JP4364847B2 - 撮像装置および画像変換方法 - Google Patents
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特に、デジタルカメラに象徴されるように撮像面は従来のフィルムに変わって固体撮像素子であるCCD(Charge Coupled Device),CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサが使用されているのが大半である。
この撮像レンズ装置1は、光学系2とCCDやCMOSセンサ等の撮像素子3とを有する。
光学系は、物体側レンズ21,22、絞り23、および結像レンズ24を物体側(OBJS)から撮像素子3側に向かって順に配置されている。
図16(A)〜(C)は、撮像レンズ装置1の撮像素子3の受光面でのスポット像を示している。
"Wavefront Coding;jointly optimized optical and digital imaging systems",Edward R.Dowski,Jr.,Robert H.Cormack,Scott D.Sarama. "Wavefront Coding;A modern method of achieving high performance and/or low cost imaging systems",Edward R.Dowski,Jr.,Gregory E.Johnson.
したがって、単焦点でのレンズであっても、その物体距離によってそのスポット像が変化する通常の光学系では、一定の(変化しない)PSFは実現できず、それを解決するには、位相板を挿入する以前に物体距離の変化に対してスポット像が変化しないように光学系を設計する必要があり、設計の難度、精度が求められ、光学系のコストアップにも影響が及ぶ。
したがって、WFCOは設計難度や精度の問題を抱え、かつデジタルカメラやカムコーダー等に適用するために求められる絵作り、つまり撮影したい物体にはピントが合い、背景はぼかすといった、いわゆる自然な画像を実現することはできないという大きな課題を抱えている。
また、本発明によれば、光学系を簡単化でき、コスト低減を図ることができる。
操作スイッチ401は、たとえば図2に示すように、カメラ(撮像装置)の背面側の液晶画面403の下部側に備えられた切替スイッチ401a,401b,401cにより構成される。
切替スイッチ401aが遠景撮影モード(無限遠)を選択し入力するためのスイッチであり、切替スイッチ401bが通常撮影モード(ポートレイト)を選択し入力するためのスイッチであり、切替スイッチ401cがマクロ撮影モード(至近)を選択し入力するためのスイッチである。
なお、モードの切り替え方法は、図2のようなスイッチによる方法の他、タッチパネル式でも構わないし、メニュー画面から物体距離を切り替えるモードを選択しても構わない。
画像処理装置300は、撮像レンズ装置200の撮像素子220からの分散画像信号より分散のない画像信号に変換処理するが、このとき物体概略距離情報検出装置402により信号S402に受けて、設定された撮影モードに応じて異なる変換処理を行う。
たとえば、画像処理装置300は、通常撮影モードにおける通常変換処理と、この通常変換処理に比べて近接側に収差を少なくするマクロ撮影モードに対応したマクロ変換処理と、通常変換処理に比べて遠方側に収差を少なくする遠景撮影モードに対応した遠景変換処理と、を撮影モードに応じて選択的に実行する。
なお、本実施形態においては、位相板を用いた場合について説明したが、本発明の光波面変調素子としては、波面を変形させるものであればどのようなものでもよく、厚みが変化する光学素子(たとえば、上述の3次の位相板)、屈折率が変化する光学素子(たとえば屈折率分布型波面変調レンズ)、レンズ表面へのコーディングにより厚み、屈折率が変化する光学素子(たとえば、波面変調ハイブリッドレンズ)、光の位相分布を変調可能な液晶素子(たとえば、液晶空間位相変調素子)等の光波面変調素子であればよい。
図で示された位相板213aは、光学系により収束される光束を規則正しく分光する光学レンズである。この位相板を挿入することにより、撮像素子220上ではピントのどこにも合わない画像を実現する。
換言すれば、位相板213aによって深度の深い光束(像形成の中心的役割を成す)とフレアー(ボケ部分)を形成している。
この規則的に分光した画像をデジタル処理により、ピントの合った画像に復元する手段を波面収差制御光学系システム(WFCO:Wavefront Coding Optical system)といい、この処理を画像処理装置300において行う。
このように、物体距離で異なるスポット像を持つ光学系においては、後で説明するH関数が異なる。
当然、図6および図7に示すように、このスポット像に影響される位相板を通したスポット像もその物体距離が至近側と無限側では異なったスポット像となる。
そこで、本実施形態においては、図1に示すように、撮像装置(カメラ)100が撮影状態に入った時点で、操作スイッチ401にて選択され入力された撮影モード(本実施形態の場合、通常撮影モード、遠景撮影モード、マクロ撮影モード)に応じた被写体の物体距離の概略距離を物体概略距離情報検出装置402から信号S402として読み出し、画像処理装置300に供給する。
図9に示すように、計測する物体をs(x,y)、計測においてボケをもたらす重み関数(点像分布関数PSF)をh(x,y)とすると計測される観測像f(x,y)は次式で表される。
f(x,y)=s(x,y)*h(x,y)
ただし、*はコンボリューションを表す。
H(x,y)=h-1(x,y)
g(x,y)=f(x,y)*H(x,y) → s(x,y)
物体概略距離をFPn,FPn−1・・・とする。また、物体概略距離に対するそれぞれのH関数をHn,Hn−1、・・・・とする。
物体距離によって各々のスポット像が異なる、つまり、フィルタを生成するために使用するPSFが異なるので、各々のH関数は物体距離によって異なる。
したがって、各々のH関数は、次のようになる。
ここで、各々のH関数はメモリに格納しておいても構わないし、PSFを物体距離の関数としておき、物体距離によって計算し、H関数を算出することによって任意の物体距離に対して最適なフィルタを作るように設定できるようにしても構わない。また、H関数を物体距離の関数として、物体距離によってH関数を直接求めても構わない。
また一方、所定の狭い範囲内に収差が生じない画像処理を施すことにより、所定の狭い範囲外の画像にぼけ味を出すことも可能になる。
本実施形態においては、主被写体までの距離を、距離検出センサを含む物体概略距離情報検出装置400により検出し、検出した距離に応じて異なる画像補正の処理を行うことにように構成されている。
画像処理演算プロセッサ303が、撮影モード設定部400の操作スイッチ401により設定された撮影モードに応じて、被写体距離情報生成手段としての物体概略距離情報検出装置402により生成された情報に基づき、変換係数記憶手段としてのレジスタ302から変換係数を抽出する。このとき、たとえば画像処理演算プロセッサ303が変換係数抽出手段とて機能する。
そして、変換手段としてのコンボリューション装置301が、レジスタ302に格納された変換係数によって、画像信号の撮影モードに応じた変換処理を行う。
画像処理演算プロセッサ303においては、物体概略距離FPからカーネルサイズ、数値演算係数をレジスタ302に格納される(ST2)。
そして、撮像レンズ装置200で撮像され、コンボリューション装置301に入力された画像データに対して、レジスタ302に格納されたデータに基づいてコンボリューション演算が行われ、演算され変換されたデータS302が画像処理演算プロセッサ303に転送される(ST3)。
ただし、撮影モードを設定する撮影モード設定ステップと、被写体分散像を撮像素子で撮像する撮影ステップとは、処理時の前後を問わない。すなわち、撮影モード設定ステップが撮影ステップより前であってもいいし、撮影モード設定ステップが撮影ステップより後であっても良い。
以下、この特徴について説明する。
図11(A)は焦点が0.2mmずれた場合(Defocus=0.2mm)、図11(B)が合焦点の場合(Best focus)、図11(C)が焦点が−0.2mmずれた場合(Defocus=−0.2mm)の各スポット像を示している。
図11(A)〜(C)からもわかるように、本実施形態に係る撮像レンズ装置200においては、位相板213aを含む波面形成用光学素子群213によって深度の深い光束(像形成の中心的役割を成す)とフレアー(ボケ部分)が形成される。
図13中曲線Bで示す特性は、たとえば本実施形態のように、波面形成用光学素子を用いずに波面を変形させない場合に得られる特性である。
なお、本実施形態における全ての補正は、空間周波数のパラメータによる。
たとえば、図13のMTF特性の場合、空間周波数に対するエッジ強調の曲線は、図14に示すようになる。
本実施形態では、撮像レンズ装置200による1次画像は深度が非常に深い光束条件にしている。そのために、1次画像のMTFは本質的に低い値になっており、そのMTFの補正を画像処理装置300で行う。
物点の1点から発散された球面波は結像光学系を通過後、収斂波となる。そのとき、結像光学系が理想光学系でなければ収差が発生する。波面は球面でなく複雑な形状となる。幾何光学と波動光学の間を取り持つのが波面光学であり、波面の現象を取り扱う場合に便利である。
結像面における波動光学的MTFを扱うとき、結像光学系の射出瞳位置における波面情報が重要となる。
MTFの計算は結像点における波動光学的強度分布のフーリエ変換で求まる。その波動光学的強度分布は波動光学的振幅分布を2乗して得られるが、その波動光学的振幅分布は射出瞳における瞳関数のフーリエ変換から求まる。
さらにその瞳関数はまさに射出瞳位置における波面情報(波面収差)そのものからであることから、その光学系210を通して波面収差が厳密に数値計算できればMTFが計算できることになる。
本実施形態においても、波面の形状変化を波面形成用光学素子で行うのが主であるが、まさにphase(位相、光線に沿った光路長)に増減を設けて目的の波面形成を行っている。
そして、目的の波面形成を行えば、射出瞳からの射出光束は、図11(A)〜(C)に示す幾何光学的なスポット像からわかるように、光線の密な部分と疎の部分から形成される。
この光束状態のMTFは空間周波数の低いところでは低い値を示し、空間周波数の高いところまでは何とか解像力は維持している特徴を示している。
すなわち、この低いMTF値(または、幾何光学的にはこのようなスポット像の状態)であれば、エリアジングの現象を発生させないことになる。
つまり、ローパスフィルタが必要ないのである。
そして、後段のDSP等からなる画像処理装置300でMTF値を低くしている原因のフレアー的画像を除去すれば良いのである。それによってMTF値は著しく向上する。
また、難度が高く、高価でかつ大型化した光学レンズを必要とせずに、かつ、レンズを駆動させること無く、撮影したい物体に対してピントが合い、背景はぼかすといった、いわゆる自然な画像を得ることができる利点がある。
そして、本実施形態に係る撮像装置100は、デジタルカメラやカムコーダー等の民生機器の小型、軽量、コストを考慮されたズームレンズのWFCOに使用することが可能である。
また、撮像レンズ装置200の光学系210の構成を簡単化でき、製造が容易となり、コスト低減を図ることができる。
画質向上のため、可能な限りコントラストを上げることが望ましいが、そのことは高性能なレンズ系を必要とする。
現在、エリアジングの発生を避けるため、撮像レンズ装置では、一軸結晶系からなるローパスフィルタを併用し、エリアジングの現象の発生を避けている。
このようにローパスフィルタを併用することは、原理的に正しいが、ローパスフィルタそのものが結晶でできているため、高価であり、管理が大変である。また、光学系に使用することは光学系をより複雑にしているという不利益がある。
しかし、本実施形態によれば、ローパスフィルタを用いなくとも、エリアジングの現象の発生を避けることができ、高精細な画質を得ることができる。
Claims (4)
- 少なくとも光学系および光波面変調素子を通過した被写体分散像を撮像する撮像素子と、
上記撮像素子からの分散画像信号より分散のない画像信号に変換処理する変換手段と、
撮影する被写体の撮影モードを設定する撮影モード設定手段と、
上記変換手段の変換処理に用いる変換係数を抽出する変換係数抽出手段と、を備え、
上記撮影モードは通常撮影モードの他、マクロ撮影モードまたは遠景撮影モードのいずれか1つを有し、
上記モード設定手段は、
上記撮影モードを入力する操作部と、
上記操作部により入力された撮影モードに応じた被写体までの距離に相当する概略距離情報を生成し、上記変換係数抽出手段に出力する被写体距離情報生成手段と、を含み、
上記変換係数抽出手段は、
上記撮影モード設定手段により設定された撮影モードに応じて得られた概略距離情報に応じた変換係数を抽出し、
上記変換手段は、
上記変換係数抽出手段から得られた撮影モードおよび概略距離情報に関連付けられた変換係数によって、画像信号の変換を行い、
上記マクロ撮影モードを有する場合、上記変換手段は、通常撮影モードにおける通常変換処理と、当該通常変換処理に比べて近接側に分散を少なくするマクロ変換処理と、を撮影モードに応じて選択的に実行し、
上記遠景撮影モードを有する場合、上記変換手段は、通常撮影モードにおける通常変換処理と、当該通常変換処理に比べて遠方側に分散を少なくする遠景変換処理と、を撮影モードに応じて選択的に実行する
撮像装置。 - 上記撮影モード設定手段により設定される各撮影モードに応じて異なる変換係数を記憶する変換係数記憶手段を備え、
上記変換係数抽出手段は、上記撮影モード設定手段により設定された撮影モードに応じて上記変換係数記憶手段から変換係数を抽出し、
上記変換手段は、前記変換係数抽出手段から得られた変換係数によって、画像信号の変換を行う
請求項1記載の撮像装置。 - 上記変換係数記憶手段は上記被写体分散像のカーネルサイズを変換係数として含む
請求項2に記載の撮像装置。 - 撮影する被写体の撮影モードを設定する撮影モード設定ステップと、
少なくとも光学系および光波面変調素子を通過した被写体分散像を撮像素子で撮像する撮影ステップと、
上記撮影モード設定ステップにより設定された撮影モードに応じた被写体までの距離に相当する概略距離情報を生成する距離情報生成ステップと、
上記撮影モード設定ステップにより設定された撮影モードに応じて得られた概略距離情報に応じた変換係数を抽出する変換係数抽出ステップと、
上記変換係数抽出ステップで得られた撮影モードおよび概略距離情報に関連付けられた変換係数を用い、上記撮像素子からの分散画像信号から分散のない画像信号を生成する変換ステップと、を有し、
上記撮影モードは通常撮影モードの他、マクロ撮影モードまたは遠景撮影モードのいずれか1つを有し、
上記変換ステップは、
上記マクロ撮影モードを有する場合、通常撮影モードにおける通常変換処理と、当該通常変換処理に比べて近接側に分散を少なくするマクロ変換処理と、を撮影モードに応じて選択的に実行するステップと、
上記遠景撮影モードを有する場合、通常撮影モードにおける通常変換処理と、当該通常変換処理に比べて遠方側に分散を少なくする遠景変換処理と、を撮影モードに応じて選択的に実行するステップと、を含む
画像変換方法。
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