JP2014115085A - 接触式形状測定装置および方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】急傾斜面のように振動が生じやすい区間が、長い区間に渡る場合であっても、プローブに力を作用させて振動を低減しながらも、高精度に被測定面を測定する装置および方法を提供する。
【解決手段】所定の周波数よりも高いプローブの動作を低減する作用力を求め、作用力に基づいてプローブに力を作用させながら、プローブを走査する。これにより、高周波の振動を低減することができる。また、低周波の振動を低減することがないため、被測定面の長い空間周期の形状に追従することができる。よって、プローブに力を作用させて振動を低減しながらも、高精度に被測定面を測定することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、光学素子や光学素子を製造するための成形用金型の形状を高精度に測定する接触式形状測定装置および方法に関する。
撮像カメラをはじめとした各種光学製品の小型化に伴い、開口数の大きい光学素子の使用が増えている。このような光学素子の中には、開角±70°を超える急傾斜面を有するものがある。急傾斜面を有する光学素子、あるいは光学素子を製造するための成形用金型の形状を測定する手段として、プローブを倣い走査して形状を測定する接触式形状測定装置が使用されている。
光学素子や成形用金型を被測定物として、被測定面の形状を測定する接触式形状測定装置の従来技術の一例として、特許文献1に開示された形状測定装置が挙げられる。プローブの一端を被測定面に接触させて、反対の一端の3次元位置を測定する。プローブとステージとの間にはバネ機構が設けられており、つりあい位置からステージを押し込むことで接触力を得る。ステージをXY方向に駆動させると、プローブはXY方向に動きながら被測定面2aのZ方向の形状に倣う。ステージは、所定の接触力に対応した押し込み量を保つようにZ方向に追従制御される。プローブの一端の3次元位置を時系列に取得しながら、プローブを被測定面の全面に渡って走査することで、被測定面の測定データを得る。続いて、測定データを解析して形状情報を求める。一般的に、形状情報には、求めたい空間周期が定められている。対象とする接触式形状測定装置は、被測定面2aの全面から幅0.1mm程度の空間周期の形状情報を求めることに適している。求めた形状情報は、光学素子の性能評価、あるいは形状を修正加工するための加工機への指令値などとして用いられる。
また、プローブを走査している時に、様々な要因でプローブが跳ねて振動してしまう現象が生じることがある。これにより、測定データに比較的空間周期の短いうねり形状が表れる。この短いうねり形状は、被測定面の形状情報を表しておらず、不要な形状である。この不要な形状が、求めたい空間周期よりも短いうねり形状であるならば、演算処理を行って除去することができる。しかし、プローブの振動は、測定箇所によって、その振幅が異なることが多い。急傾斜面の振動の振幅は、緩い傾斜面の振動の振幅と比べて大きい。振幅が測定箇所によって異なる場合、測定データに空間周期の長いうねり形状が表れることと等価と考えられる。被測定面の形状情報に、プローブの振動の影響が含まれることになる。
振動を低減する方法として、接触力を強くすることが考えられる。接触力を強くするには、バネ機構のバネ剛性を硬くしたり、押し込み量を大きくしたりすれば良い。接触力を強くすると、プローブが被測定面から浮いても、プローブを被測定面に戻そうとする力がより強く作用するため、振動を低減できる。しかし、接触力を強くすると、それに伴って被測定面の変形が大きくなる。また、被測定面から受ける抗力も強くなり、プローブの倒れや曲がりが大きくなる。このような状態では、被測定面の形状を正確に表す測定データを取得することができなくなる。そのため、測定データの信頼性が低下してしまう。
振動を低減する別の方法として、プローブとステージとの間に粘性を作用させることが考えられる。具体的には、減衰特性の高い材料や粘性流体を利用する方法が挙げられる。粘性を作用させれば、プローブとステージとの相対速度に比例した抵抗力が作用し、振動が低減する。しかし、プローブとステージとの間に粘性を作用させると、プローブは被測定面に倣う代わりにステージの動きに倣うことになる。ステージはそもそもプローブに追従して動作していること、およびステージの質量は大きく動き難いことを考慮すれば、ステージが被測定面の形状に沿って動いているとは考えづらい。そのため、ステージが被測定面の形状に沿わない量、具体的にはステージと被測定面の相対位置の変化量に応じて、プローブは被測定面に沿った方向と異なる方向に動こうとする。言い換えると、被測定面に押し付けられる方向、あるいは被測定面から離れる方向に大きな力が作用する。プローブが被測定面に強い力で押し付けられたり、被測定面から浮いてしまうと、測定データの信頼性が低下してしまう。
ここでは、ステージをプローブに追従して動作させる場合について説明したが、おおよその被測定面の形状に沿って動作させる方法も考えられる。しかし、この場合も、ステージの動作誤差が生じるため、同様の問題が生じる。
以上のように、急傾斜面を高精度に測定するためには、プローブの振動を低減することと、プローブを被測定面に倣わせることを両立することが求められる。特許文献2では、プローブの振動を低減する区間と、プローブを被測定面に倣わせる区間を、時分割で切り替える方法が開示されている。例えば、被測定面の上にゴミが付着している場合、プローブは、ゴミを越える時に跳ね上げられて振動することがある。接触力を弱く設定している場合、跳ね上げられる高さが高くなり、振動が収まるまでの時間が長くなる。振動が収まるまでの時間に取得した測定データは、被測定面の形状を表していないデータであり、エラーデータとなる。そこで、振動を検知したら、プローブに素早く力を作用させて、振動を低減する。振動が収まったら、再び弱い接触力で被測定面に倣わせる。この方法により、測定データ全体の中で、エラーデータの数の割合を少なくすることができる。エラーデータの数の割合が少なくなれば、演算処理によってエラーデータを除去しても、求めたい形状情報を損なう影響は小さい。
急傾斜面では、走査している間、常に振動のきっかけがある状態が続く。そのため、振動を低減する区間を長い区間に渡って設ける必要がある。しかし、従来技術では、振動を低減する区間で、測定データの信頼性が低くなってしまう。つまり、信頼性が低い区間が長い区間に渡って続くという問題がある。信頼性が低い区間が長い区間に渡って続けば、求めたい形状情報を得ることが困難となる。
そこで、本発明は、振動のきっかけが長い区間に渡る場合であっても、プローブに力を作用させて振動を低減しながら、高精度に被測定面を測定する接触式形状測定装置および方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本出願に係る発明は、プローブを被測定物に接触させつつ被測定物の表面を走査させるとともにプローブの位置を取得することで被測定物の表面の形状を測定する接触式形状測定装置において、所定の周波数よりも高いプローブの動作を低減する作用力を求める作用力制御手段と、求めた作用力に基づいてプローブに加える力を発生する作用力発生手段と、を有することを特徴とする。
また、プローブを被測定物に接触させつつ被測定物の表面を走査させるとともにプローブの位置を取得することで被測定物の表面の形状を測定する接触式形状測定方法において、所定の周波数よりも高いプローブの動作を低減する作用力を求め、求めた作用力に基づいてプローブに力を加えながら、プローブを走査することを特徴とする。
本発明の接触式形状測定装置および方法によれば、所定の周波数よりも高周波のプローブの振動を低減することができる。これにより、測定データに表れる短い空間周期のうねり形状を低減できる。また、短い空間周期のうねり形状を低減できることから、振動の振幅が測定箇所によって異なることで生じる長い空間周期のうねり形状も低減できる。一方で、低周波のプローブの振動を低減しないため、プローブは、長い空間周期の被測定面の形状には倣うことできる。つまり、求めたい空間周期に対して、被測定面の形状を表す測定データを高精度に取得することができる。
以上のように、急傾斜面のように振動のきっかけが長い区間に渡る場合であっても、振動を低減しながら、高精度に被測定面を測定することができる。
さらに、プローブの位置情報に対して、微分演算、高周波通過演算、比例係数の乗算を行うことで、簡易な演算で効果的な作用力を求めることができる。
さらに、所定の周波数は、測定対象とする空間周期の下限値の逆数にプローブの走査速度を乗じた値よりも高い値とすることで、測定対象とする空間周期の形状をより高精度に測定することができる。
本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係わる接触式形状測定装置30の構成を説明する図である。接触式形状測定装置30は、ステージ6に支持されているプローブ1を備えている。プローブ1は、被測定物2の被測定面2aを倣い走査する。プローブ1はリニアガイド3を介して、ハウジング4に支持されている。これにより、ハウジング4に対して1軸方向に移動することができる。つまり、リニアガイド3は、移動方向には摩擦抵抗や粘性抵抗を小さくして動き易く、移動方向に直交する方向には剛性を高くして動き難い構造としている。このような特性を得る手段として、空気軸受が挙げられる。プローブ1とハウジング4の間には、バネ機構5が設けられている。また、ハウジング4はステージ6の被測定物2に対向した下面6aの先端部に取り付けられている。被測定物2は、台座14上に載置されている。
ハウジング4が取り付けられているステージ6の先端部には、貫通孔6bが設けられている。プローブ1の軸方向の端部1dに取り付けられたミラー1mの3次元位置データを測定する(後述)。3次元位置の測定データは、信号線20及び信号線21を介して測定データ演算手段13に送られる。また、信号線22を介して高周波通過微分器10に送信される。更に、高周波通過微分器10の出力値は、作用力制御器11に送信される。
プローブ1は、プローブシャフト1a、プローブシャフト1aの軸方向の一端に取り付けられたプローブチップ1b、プローブチップ1bの先端に配置された球1cを備えている。プローブシャフト1aは、ハウジング4の壁から内方に延在するフランジ部4aの先端に配置されたリニアガイド3により軸方向に移動可能に支持されている。フランジ部4aは、ハウジング4の軸方向に所定間隔で2箇所に設けられている。
バネ機構5は、リニアガイド3の移動軸に沿った方向に対して、プローブ1とステージ6との相対位置に従った力を発生するバネ要素として働く。本実施例では、リニアガイド3の移動軸は重力方向(Z方向)とする。バネ機構5の手段としては、材料剛性を利用した板バネや磁気力を利用した磁気バネが挙げられる。また、リニアガイド3とバネ機構5を別体の構成としたが、1つの構成で2つの機能を得ることもできる。例えば、プローブ1の上下に板バネを2枚並列に取り付ける構成が挙げられる。
プローブ1とステージ6とのZ方向の相対位置に関して、プローブ1にかかる重力とバネ機構5によって発生する力がつりあう状態の位置を、中立位置と定義する。プローブ1が被測定面2aに接している状態で、ステージ6が中立位置から押し込まれると、押し込まれた量に従った力がプローブ1に加わる。このようにしてプローブ1に加わる力を、接触力とする。静的な状態であれば、プローブ1に加わる接触力と同じ力が被測定面2aのZ方向にも加わる。また、ステージ6を中立位置から押し込む量を押し込み量とする。
プローブ1の軸方向の他の端部1dにはミラー1mが取り付けられており、レーザ測長を利用してプローブ1の3次元位置を測定することができる。ステージ6の貫通孔6bより更に先端に位置する端部の上面6cにはミラー6mが取り付けられており、同様にステージ6の3次元位置を測定することができる。ミラー6mによって得られた3次元位置の測定データは、信号線23及び信号線22を介してZ駆動制御手段12に送られる。また、プローブ1とステージ6の3次元位置の測定データから、両者のZ方向の相対位置を得ることができる。
ステージ6には、Z駆動手段7とXY駆動手段8が取り付けられている。Z駆動手段7は、ステージ6をZ軸並進方向に駆動することができる。XY駆動手段8は、ステージ6をXY軸並進方向に駆動することができる。ここで、ステージ6を駆動するための駆動手段の駆動軸は、並進方向や回転方向である。あるいはそれらの組み合わせを適宜変更しても良い。XY駆動手段8は、ベース部材15上に載置されている。
XY駆動手段8を駆動して、ステージ6を直交座標系のXY方向に移動させると、プローブ1はXY方向に移動しながら被測定面wのZ方向の形状に倣う。
この時、同時に次の方法でZ駆動手段7を駆動する。プローブ1とステージ6の3次元位置の測定データからZ方向の差を計算し、Z変位とする。Z変位をZ駆動制御器9に送る。Z駆動制御器9は、前述の中立位置がゼロ点となるようにZ変位をオフセットして、現在の押し込み量とする。また、Z駆動制御器9には、予め所定の接触力を発生させるために必要な押し込み量が保存されている。ここで、接触力には、プローブ1を被測定面2aに押し付けて、プローブ1の浮きを生じにくくする作用がある。そのため、ある程度大きい力が必要であるが、被測定面の変形、またはプローブの倒れや曲がりが許容できる程度に小さい力とする。具体的には、0.1mNから1mNの間で設定すると良い。続いて、現在の押し込み量が、必要な押し込み量に近づくようにステージ6のZ方向の駆動量を求める。求めた駆動量に基づいてZ駆動手段7に流れる電流を制御し、ステージ6を駆動する。ステージ6が必要な押し込み量となる位置にいれば、プローブ1に所定の接触力が加わる。
プローブ1の3次元位置の測定データのうち、Z方向位置の測定データを、高周波通過微分器10に送る。高周波通過微分器10は、高周波通過器と微分器の機能を備えている。高周波通過器は、入力された信号に対して、周波数の高い成分を通過させ、周波数の低い成分を遮断する特性を有し、微分器は、入力された信号を微分した信号を出力する。
図2は、高周波通過微分器10の特性を示す図である。横軸を周波数、縦軸を利得としている。利得は入力信号と出力信号の比であり、値が大きいほど入力信号に対する出力信号が大きくなることを表す。利得曲線100が、高周波通過微分器10の利得と周波数の関係を示している。高周波通過周波数を周波数Aとする。周波数Aよりも低い周波数域では、利得が小さくなるように設計されている。入力信号に対して出力信号を遮断する特性を有する。周波数Aよりも高い周波数域では、周波数が高くなるほど、利得が大きくなるように設計されている。これは、入力信号を微分演算した値を出力信号としているためである。ここで、高周波通過微分器10の入力信号は、プローブ1のZ方向位置の測定データである。そのため、出力信号は、周波数Aよりも高い周波数に対するプローブ1のZ方向速度データとなる。また、必要に応じて低周波通過器のような他の演算器の機能を付加しても良い。低周波通過器を付加すると、信号ノイズの大きい高周波の信号を遮断することができる。
高周波通過微分器10の出力値は、作用力制御器11に送られる。作用力制御器11は、作用力発生手段12によってプローブ1に作用する力(作用力)を制御する。作用力については後述する。作用力発生手段12は、ハウジング4内であって、プローブ1の周囲に配置され、ヨーク、永久磁石、コイルからなる磁気回路で構成されている。作用力制御器11が、作用力発生手段12のコイルに流れる電流を制御することで、プローブ1に所望の作用力が加わる。
プローブ1の3次元位置の測定データは、測定データ演算手段13にも送られる。被測定面2aの全面を走査して測定データを取得した後、測定データ演算手段13は、必要に応じて測定データを解析し、形状情報として出力する。形状情報は、光学素子の性能評価、あるいは形状を修正加工するための加工機への指令値に用いられる。
ここでプローブ1に加える作用力について説明する。作用力は、高周波通過微分器10の出力値に比例係数を乗じて求める。高周波通過微分器10の出力値は、周波数Aよりも高い周波数に対するプローブ1のZ方向速度データである。一般に速度に比例係数を乗じた力を加えると、粘性特性を得ることができる。ここでは、周波数Aよりも高い周波数に対するプローブ1の動きに対して粘性特性が働く。周波数Aよりも高い周波数の振動を低減できる。一方で、周波数Aよりも低い周波数の振動に対しては、粘性特性が作用しない。周波数Aよりも低い周波数では、プローブ1は被測定面2aの形状に倣うことができる。
また、作用力は被測定面2aに向かう方向に限定しても良い。このようにすると、プローブ1が被測定面2aから離れる方向に力が作用しないため、プローブの浮きを抑えることができる。
所定の周波数Aの設定方法について説明する。求めたい形状情報を、被測定面2aの全面から0.1mmまでの空間周期で表される形状と定める。ただし、測定データは、0.1mmよりも短い空間周期まで測定できることが望ましい。例えば、0.1mmの10分の1である0.01mmまで測定することを目標とする。そのためには、0.01mm以上の空間周期の正弦波のうねりにプローブが追従することが、必要である。プローブ1を0.1mm/秒でXY方向に走査すると設定する。この時、0.01mm以上の空間周期の正弦波のうねりにプローブが追従するためには、0.01mmを0.1mm/秒で割って、0.1秒以上の時間周期でプローブ1がZ方向に動作可能であれば良い。時間周期を周波数に変換すると、0.1秒の逆数を計算して、10Hzである。10Hz以下の周波数でプローブ1がZ方向に動作可能であれば良い。言い換えると、プローブ1は、10Hzより高い周波数では動作しにくくても、目標とする空間周期で測定データを取得できる。このような特性を得るために、高周波通過周波数である周波数Aを、10Hzよりも高く設定する。例えば、30Hzに設定する。以上のことから、所定の周波数Aは、測定対象とする空間周期の下限値の逆数にプローブの走査速度を乗じた値よりも高い値であると言える。
図3は、プローブ軌跡をコンピュータ演算した結果を表す図である。プローブとステージに外乱を加えており、振動しやすい状態を再現している。被測定面2aは、X方向に角度70度で傾斜しており、0.05mmの空間周期の正弦波のうねりが形作られている。プローブ1を、傾斜上り方向(X方向)に走査速度0.1mm/秒で走査する。ここで、0.01mmまでの空間周期で表される形状を測定することを目標とすれば、70度の傾斜面や0.05mmの空間周期の正弦波のうねりを測定できなければならない。
図3(a)のプローブ軌跡200は、弱い接触力だけを作用させて走査した時のプローブ1の挙動を表している。図3(b)のプローブ軌跡201は、プローブ1とステージ6との間に粘性特性を作用させた時のプローブの挙動を表している。図3(c)のプローブ軌跡202は、本発明に係わる測定方法によって走査した時のプローブ1の挙動を表している。プローブ1は左から右に走査している。なお、見やすいように角度70度の傾斜成分を除去して表示している。プローブ軌跡200は、外乱によって大きな振動が生じている。そのため、0.05mmの空間周期の正弦波のうねりを評価することが難しい。プローブ軌跡201は、プローブ軌跡200の振動と比べて小さいものの、振動が生じている。この場合も、0.05mmの空間周期の正弦波のうねりを高精度に評価することが難しい。プローブ軌跡202は、振動が小さく、0.05mmの空間周期の正弦波のうねりに良く追従している。このように、本発明によって、被測定面2aの形状を高精度に測定することができる。
本実施例では、ステージをXY方向に送って、プローブ1をZ方向に倣わせている。そのため、プローブ1のZ方向位置の測定データを高周波通過微分器10の入力信号としている。その他に、ステージ6を被測定面2aのおおよそ接線方向に送って、プローブ1をおおよそ法線方向に倣わせる構成も考えられる。その時は、プローブ1のおおよそ法線方向位置の測定データを高周波通過微分器10の入力信号とすると良い。
高周波通過微分器10の入力信号として、プローブ1とステージ6との相対位置の測定データを入力信号としても良い。または、被測定面2aのおおよその形状を推定し、プローブ1が振動なく被測定面2aを倣い走査しているとした場合の推定データとの差を入力信号としても良い。
本実施例では、位置データから、高周波通過速度データを計算した後、作用力を求めたが、次の手順で作用力を求めても良い。まず位置データに対して通常の微分演算を行い、速度データを取得する。速度データに比例係数を乗じる。速度データに比例係数を乗じた値に対して、高周波通過演算を行い、作用力を求める。
本実施例では、微分演算を1回行った速度データに比例係数を乗じて、粘性特性を作用させているが、次のような特性を作用させても良い。微分演算を行わずに位置データに比例係数を乗じて、剛性特性を作用させることもできる。2階微分演算、もしくは微分演算を2回行った加速度データに比例係数を乗じて、慣性特性を作用させることもできる。または、粘性特性、剛性特性、慣性特性の少なくとも2つ以上を組み合わせて作用させることもできる。ここで、加速度データは、位置データを二階微分、または速度データを一階微分して得られる。
本実施例では、微分演算を1回行った速度データに比例係数を乗じて、粘性特性を作用させているが、次のような特性を作用させても良い。微分演算を行わずに位置データに比例係数を乗じて、剛性特性を作用させることもできる。2階微分演算、もしくは微分演算を2回行った加速度データに比例係数を乗じて、慣性特性を作用させることもできる。または、粘性特性、剛性特性、慣性特性の少なくとも2つ以上を組み合わせて作用させることもできる。ここで、加速度データは、位置データを二階微分、または速度データを一階微分して得られる。
また、上記に加えて、位置データからプローブ1に作用力を作用させる間のいずれかのタイミングで、低周波通過演算や帯域遮断演算の処理を行って、不要な周波数の信号を遮断しても良い。
1 プローブ
2 被測定物
2a 被測定面
3 リニアガイド
4 ハウジング
5 ばね機構
6 ステージ
7 Z駆動手段
8 XY駆動手段
9 Z駆動制御器
10 高周波通過微分器
11 作用力制御器
12 作用力発生手段
13 測定データ演算手段
30 接触式形状測定装置
100 利得曲線
200、201、202 プローブ軌跡
A 所定の周波数(高周波通過周波数)
2 被測定物
2a 被測定面
3 リニアガイド
4 ハウジング
5 ばね機構
6 ステージ
7 Z駆動手段
8 XY駆動手段
9 Z駆動制御器
10 高周波通過微分器
11 作用力制御器
12 作用力発生手段
13 測定データ演算手段
30 接触式形状測定装置
100 利得曲線
200、201、202 プローブ軌跡
A 所定の周波数(高周波通過周波数)
Claims (14)
- プローブを被測定物に接触させつつ被測定物の被測定面を走査させるとともにプローブの位置を取得することで被測定物の被測定面の形状を測定する形状測定装置において、所定の周波数よりも高いプローブの動作を低減する作用力を求める作用力制御手段と、求めた作用力に基づいてプローブに加える力を発生する作用力発生手段と、を有することを特徴とする形状測定装置。
- プローブの位置データに対して、微分演算、高周波通過演算、比例係数を乗じて作用力を求めることを特徴とする請求項1に記載の接触式形状測定装置。
- 位置データからプローブに作用力を作用させる間、低周波通過演算や帯域遮断演算の処理を行って、不要な周波数の信号を遮断することを特徴とする請求項2に記載の接触式形状測定装置。
- プローブの速度データに対して比例係数を乗じて、粘性特性を作用させて作用力を求めることを特徴とする請求項1に記載の接触式形状測定装置。
- プローブの位置データに対して比例係数を乗じて、剛性特性を作用させて作用力を求めることを特徴とする請求項1に記載の接触式形状測定装置。
- 粘性特性、剛性特性及び慣性特性の少なくとも2つ以上を作用させることで作用力を求めることを特徴とする請求項1に記載の接触式形状測定装置。
- 所定の周波数は、測定対象とする空間周期の下限値の逆数にプローブの走査速度を乗じた値よりも高い値であることを特徴とする請求項1に記載の接触式形状測定装置。
- プローブを被測定物に接触させつつ被測定物の被測定面を走査させるとともにプローブの位置を取得することで被測定物の被測定面の形状を測定する接触式形状測定方法において、所定の周波数よりも高いプローブの動作を低減する作用力を求め、求めた作用力に基づいてプローブに力を作用させながら、プローブを走査することを特徴とする接触式形状測定方法。
- プローブの位置データに対して、微分演算、高周波通過演算、比例係数を乗じて作用力を求めることを特徴とする請求項7に記載の接触式形状測定方法。
- 位置データからプローブに作用力を作用させる間、低周波通過演算や帯域遮断演算の処理を行って、不要な周波数の信号を遮断することを特徴とする請求項9に記載の接触式形状測定装置。
- プローブの速度データに対して比例係数を乗じて、粘性特性を作用させることで作用力を求めることを特徴とする請求項8に記載の接触式形状測定方法。
- プローブの位置データに対して比例係数を乗じて、剛性特性を作用させることで作用力を求めることを特徴とする請求項8に記載の接触式形状測定方法。
- 粘性特性、剛性特性及び慣性特性の少なくとも2つ以上を作用させることで作用力を求めることを特徴とする請求項8に記載の接触式形状測定方法。
- 所定の周波数は、測定対象とする空間周期の下限値の逆数にプローブの走査速度を乗じた値よりも高い値であることを特徴とする請求項8に記載の接触式形状測定方法。
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