JP2014114325A - 粘着剤組成物および粘着層を備える光学部材用フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】剥離帯電による静電気の発生が少なく、粘着性、基材密着性に優れる粘着剤組成物を提供する。
【解決手段】炭素数1〜5であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルと炭素数6〜18であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエスエルと水酸基を有する単量体とを共重合してなるアクリル系共重合体(A)と、アルキレンオキシド基含有共重合体(B)と、アルカリ金属塩(C)とを含有する粘着剤組成物。
【選択図】なし
【解決手段】炭素数1〜5であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルと炭素数6〜18であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエスエルと水酸基を有する単量体とを共重合してなるアクリル系共重合体(A)と、アルキレンオキシド基含有共重合体(B)と、アルカリ金属塩(C)とを含有する粘着剤組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、粘着剤組成物および粘着剤層を備える光学部材用フィルムに関する。
液晶表示板は、薄型軽量であること、消費電力が少なくて済むことなどから、近年、各種の情報関連機器、例えばパーソナルコンピュータなどの画面表示装置として利用されている。このような液晶表示板には、本体である液晶を内包したガラスセル(液晶セル)と共に偏光板や位相差板などの光学部材が用いられている。
これらの光学部材は、通常、打抜加工、検査、輸送、液晶表示板の組立などの各工程を経る間にその表面が汚染されたり損傷したりしないように、表面保護フィルムで接着被覆されて長尺の光学部材積層体として形成される。そして、表面保護フィルムは表面保護が不要となった段階で光学部材から剥離除去される。
光学部材表面保護フィルムには、光学部材の表面保護が必要とされる間、該部材の表面上でずれを生じたり表面から脱落したりすることがない程度にその表面に接着する粘着力を有していることが必要とされ、光学部材積層体を切断する工程等において、めくりあがった表面保護フィルムの端部が自然にもとの状態に戻る性質(なじみ性)を有していることも必要とされる。
また、表面保護フィルムは光学部材表面を汚染されたり損傷したりしないように、光学部材を保護するために張りつけてあり、物品同士の衝突、すり合せ等、保護フィルム表面は外的応力を受けやすい環境にある。よって、このような外部応力を受けた際にも粘着剤層が光学部材に貼着することなく剥離できるように、基材と粘着剤層が強く密着していることも必要とされる。
さらに、一般に光学部材や表面保護フィルムはプラスチックにより構成されているため、電気絶縁性が高く、摩擦や剥離の際に静電気が発生する。したがって、表面保護フィルムを光学部材から剥離する際に静電気が発生することは避けられないものである。表面保護フィルムを光学部材から剥離する際に静電気が発生すると、光学フィルム表面にごみやホコリが吸着され製品に不都合が生じる。また、保護フィルムを剥離する際に、大きな静電気が発生すると表示部材の回路が破壊してしまうおそれもある。
上記に関連して、特許文献1には、アクリル系共重合体、金属塩、およびポリオキシアルキレン基を有するオルガノポリシロキサンを含む粘着剤が開示されている。しかしながら、特許文献1の粘着剤組成物では、剥離帯電による静電気の発生抑制と、粘着性、基材密着性とを両立することが難しいことがあった。
本発明の課題は、剥離帯電による静電気の発生が少なく、粘着性、基材密着性に優れた粘着剤組成物、ならびにそれを用いてなる光学部材用フィルムを提供することである。
本発明は、上記目的を達成するため、以下の構成を備える粘着剤組成物を提供する。
(1)炭素数1〜5であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを共重合体成分として40〜80重量%、炭素数6〜18であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを共重合性分として10〜59.9重量%、水酸基を有する単量体を共重合体成分として0.1〜10重量%含有するアクリル系共重合体(A)100重量部と、アルキレンオキシド単位の平均付加モル数が20以上であるアルキレンオキシド基含有単量体を共重合成分として60重量%以下含有する、重量平均分子量0.3万〜10万であるアルキレンオキシド鎖含有共重合体(B)と、アルカリ金属塩(C)とを含有する粘着剤組成物。
(1)炭素数1〜5であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを共重合体成分として40〜80重量%、炭素数6〜18であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを共重合性分として10〜59.9重量%、水酸基を有する単量体を共重合体成分として0.1〜10重量%含有するアクリル系共重合体(A)100重量部と、アルキレンオキシド単位の平均付加モル数が20以上であるアルキレンオキシド基含有単量体を共重合成分として60重量%以下含有する、重量平均分子量0.3万〜10万であるアルキレンオキシド鎖含有共重合体(B)と、アルカリ金属塩(C)とを含有する粘着剤組成物。
(2)前記アクリル系共重合体(A)100重量部に対し、前記アルキレンオキシド鎖含有共重合体(B)を0.05〜2.0重量部、前記アルカリ金属塩(C)を0.01〜0.6重量部含有する上記(1)に記載の粘着剤組成物。
(3)前記炭素数1〜5であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルがn−ブチル(メタ)アクリレートである上記(1)または(2)に記載の粘着剤組成物。
(4)炭素数6〜18であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが2−エチルヘキシルアクリレートである上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の粘着剤組成物。
(5)基材と、前記基材上に設けられ、上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の粘着剤組成物を含有する粘着剤層とを備える光学部材用フィルム。
本発明の粘着剤組成物によれば、剥離帯電による静電気の発生が少なく、粘着性、基材密着性に優れた粘着剤組成物、ならびにそれを用いてなる光学部材用フィルムを提供できる。
本発明の粘着剤組成物は、アクリル系共重合体(A)と、共重合体(B)と、アルカリ金属塩(C)とを含有する。
本発明に用いられるアクリル系共重合体(A)は、炭素数1〜5であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを共重合体成分として40〜80重量%、炭素数6〜18であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを共重合性分として10〜59.9重量%、水酸基を有する単量体を共重合体成分として0.1〜10重量%含有するアクリル系共重合体である。
本願において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」の両方を示す意味で用いる。また同様に、本願において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を示す意味で用いる。
本発明におけるアクリル系共重合体(A)の共重合体成分としては、光学部材の表面保護が必要とされる間、該部材の表面上でずれを生じたり表面から脱落したりすることがない程度にその表面に接着する粘着力を有する粘着剤組成物を得られることから、炭素数1〜5であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが用いられる。好ましくは炭素数1〜4であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルであり、特に好ましくは炭素数4であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。
本発明において、炭素数1〜5であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(エタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート等を使用することができる。なかでも、粘着性となじみ性とのバランスに優れることから、炭素数4であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルであるn−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレートが好適に用いられ、特にn−ブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
さらに、本発明におけるアクリル系共重合体(A)の共重合成分としては、炭素数6〜18であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが用いられる。好ましくは、炭素数8であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルが用いられる。上記炭素数6〜18であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、n−オクチル(メタ)アクリレート、i−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、i−ノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等を使用することができる。なかでも炭素数8であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルであるn−オクチル(メタ)アクリレート、i−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好適に用いられ、特に2−エチルヘキシルアクリレートが好ましい。
また、本発明におけるアクリル系共重合体(A)の共重合成分としては、被着体に対する適度な粘着力を有し、再剥離性にも優れることから、水酸基を有する単量体が用いられる。水酸基を有する単量体としては、水酸基を有する(メタ)アクリル単量体及びその他の水酸基を有する単量体を挙げることができる。上記水酸基を有する(メタ)アクリル単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,1−ジメチル−3−ブチル(メタ)アクリレート、1,3−ジメチル−3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,2,4−トリメチル−3−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−3−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、等を使用することができる。その他の水酸基を有する単量体としては、N−メチロールアクリルアミド、アリルアルコール、メタリルアルコール等を使用することができる。
これらの水酸基を有する単量体の中で、アクリル系共重合体(A)を合成する際の他の単量体との相溶性及び共重合性が良好である、並びに架橋剤との架橋反応が良好である観点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
アクリル系共重合体(A)において、共重合体成分として炭素数1〜5であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが含まれる割合は、アクリル系共重合体(A)に対して40〜80重量%、好ましくは40〜65重量%である。炭素数1〜5であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量が、アクリル系共重合体(A)に対して40重量%以上であれば、光学部材の表面保護が必要とされる間、該部材の表面上でずれを生じたり表面から脱落したりすることがない程度にその表面に接着する粘着力を有しているので好ましい。また、炭素数1〜5であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量が、アクリル系共重合体(A)に対して80重量%以下であれば、十分ななじみ性と基材密着性とを有しているので好ましい。
また、アクリル系共重合体(A)において、共重合体成分として炭素数6〜18であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが含まれる割合は、アクリル系共重合体(A)に対して10〜59.9重量%、好ましくは30〜58重量%である。
さらに、アクリル系共重合体(A)において、共重合体成分として水酸基含有単量体が含まれる割合は、アクリル系共重合体(A)に対して0.1〜10.0重量%、好ましくは2.0〜5.0重量%である。水酸基含有単量体の含有量が0.1重量%以上であれば十分な凝集力を有し、被着体への汚染がないので好ましく、一方10.0重量%以下であれば、なじみ性に問題を生じない。
本発明に用いられるアクリル系共重合体(A)は、炭素数1〜5のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルと炭素数6〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルと水酸基を有する単量体とを共重合してなるものであるが、その他の単量体を、前記単量体の構成量を損なわない範囲でアクリル系共重合体(A)の共重合成分として使用することができる。
その他の単量体としては、アクリル単量体以外の単量体、水酸基以外の官能基を有する単量体を使用することができる。水酸基以外の官能基を有する単量体としては、例えば、カルボキシル基含有単量体、グリシジル基含有単量体、アミド基,N−置換アミド基含有単量体、三級アミノ基含有単量体を使用することができる。
アクリル単量体以外の単量体としては、例えば、スチレン、αーメチルスチレン、tーブチルスチレン、pークロロスチレン、クロロメチルスチレン、ビニルトルエンの芳香族モノビニル単量体;例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルのシアン化ビニル単量体;例えば、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、更にこれらの各種誘導体を使用することができる。
カルボキシル基含有単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、桂皮酸、コハク酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、マレイン酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フマル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,2−ジカルボキシシクロヘキサンモノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ダイマー、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートを使用することができる。
グリシジル基含有単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルビニルエーテル、グリシジル(メタ)アリルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アリルエーテルを使用することができる。
アミド基,N−置換アミド基含有単量体としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドを使用することができる。
三級アミノ基含有単量体としては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドを使用することができる。
本発明に用いられるアクリル系共重合体(A)は、重量平均分子量(Mw)が20万〜100万のアクリル系共重合体(A)であることが好ましい。該重量平均分子量(Mw)が該下限値以上あれば、再剥離時の粘着力が大きくなりすぎることがなく、表面保護フィルムを容易に剥離することができるので好ましい。一方該上限値以下であれば、得られる感圧接着剤層の流動性が優れており、表面の微小の凹凸を有する偏光板に用いたときにでも感圧接着剤が偏光板表面を十分に濡らすことができ、なじみ性に優れるので好ましい。
なお、アクリル系共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、下記の方法により測定された値である。
(重量平均分子量の測定方法)
下記(1)〜(3)に従って測定する。
(1)アクリル系共重合体溶液を剥離シートに塗布し、100℃で2分間乾燥し、フィルム状のアクリル系共重合体を得る。
(2)上記(1)で得られたフィルム状のアクリル系共重合体をテトラヒドロフランにて固形分0.2%になるように溶解させる。
(3)下記条件にて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)を測定する。
(重量平均分子量の測定方法)
下記(1)〜(3)に従って測定する。
(1)アクリル系共重合体溶液を剥離シートに塗布し、100℃で2分間乾燥し、フィルム状のアクリル系共重合体を得る。
(2)上記(1)で得られたフィルム状のアクリル系共重合体をテトラヒドロフランにて固形分0.2%になるように溶解させる。
(3)下記条件にて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)を測定する。
(条件)GPC :HLC−8220 GPC〔東ソー(株)製〕
カラム :TSK−GEL GMHXL 4本使用
移動相溶媒:テトラヒドロフラン
流速 :0.6ml/min
カラム温度:40℃
カラム :TSK−GEL GMHXL 4本使用
移動相溶媒:テトラヒドロフラン
流速 :0.6ml/min
カラム温度:40℃
また、アクリル系共重合体(A)のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−45℃以下、更に好ましくは−60〜−80℃であるのが望ましい。Tgが−45℃以下であれば、十分ななじみ性を有しているので好ましい。
なお、アクリル系共重合体(A)のガラス転移温度(Tg)は下記式1の計算によって求められる温度(K)を(℃)に換算した値である。
式1 1/Tg=w1/Tg1+w2/Tg2+・・・・・・・・・+wk/Tgk
式1中、Tg1、Tg2、・・・・・・Tgkは各単量体成分の単独重合体のガラス転移温度(K)を示し、w1、w2、・・・・・・wkは各単量体成分の重量分率を表わし、w1+w2+・・・・・・+wk=1である。
式1 1/Tg=w1/Tg1+w2/Tg2+・・・・・・・・・+wk/Tgk
式1中、Tg1、Tg2、・・・・・・Tgkは各単量体成分の単独重合体のガラス転移温度(K)を示し、w1、w2、・・・・・・wkは各単量体成分の重量分率を表わし、w1+w2+・・・・・・+wk=1である。
本発明の粘着剤組成物は、アルキレンオキシド単位の平均付加モル数が20以上であるアルキレンオキシド基含有単量体を共重合成分として60重量%以下含有する、重量平均分子量0.3万〜10万であるアルキレンオキシド鎖含有共重合体(B)を含有する。
前記アルキレンオキシド含有単量体としては、たとえば、エチレンオキシド鎖、プロピレンオキサイド鎖を有するアルキレンオキシド含有(メタ)アクリル系単量体等を使用することができる。アルキレンオキシド含有(メタ)アクリル系単量体としては、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等を使用することができ、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートが好ましい。
また、前記アルキレンオキシド含有単量体におけるアルキレンオキシド単位の平均付加モル数は20以上である。アルキレンオキシド単位の平均付加モル数が20以上の単量体を共重合体成分として含むものであれば後述するアルカリ金属塩との組み合わせによって顕著な帯電防止効果を発揮することができる。
本発明に用いられるアルキレンオキシド鎖含有共重合体(B)の、アルキレンオキシド含有単量体以外の共重合成分としては、アクリル系共重合体(A)に記載した、炭素数1〜5であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、炭素数6〜18であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルと同様の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが使用できる。さらに、上記共重合体(B)中に、構成成分としてカルボキシル基、水酸基等の官能基を有する単量体を含んでもよい。
アルキレンオキシド鎖含有共重合体(B)において、共重合体成分としてアルキレンオキシド含有単量体が含まれる割合は、剥離帯電による静電気の発生抑制に優れ、良好な粘着性を示すことから、共重合体(B)に対して、60重量%以下である。
本発明に用いられる共重合体(B)は、重量平均分子量(Mw)が0.3万〜10万、好ましくは0.5万〜6万である。重量平均分子量(Mw)が0.3万以上であれば十分な粘着力が得られ、10万未満であれば十分な相溶性が得られる。
なお、共重合体(B)の重量平均分子量(Mw)は、アクリル系共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)を測定したのと同様の方法で測定できる。
本発明に用いられる共重合体(B)が粘着剤組成物に含有される量は、アクリル系共重合体(A)100重量部に対して、0.05〜2.0重量部が好ましい。共重合体(B)の含有量がアクリル系共重合体(A)100重量部に対して、0.05重量部以上であれば、十分な帯電防止効果が得られる。また、共重合体(B)の含有量がアクリル系共重合体(A)100重量部に対して、2.0重量部以下であれば、被着体を汚染したり、基材密着を悪化させたりすることがなく好ましい。
本発明に用いられるアクリル系共重合体(A)および共重合体(B)の重合方法は、特に制限されるものではなく、溶液重合、乳化重合、懸濁重合などの公知の方法により重合できるが、重合により得られたアクリル系共重合体を用いて本発明の粘着剤組成物を製造するに当り、処理工程が比較的簡単で且つ短時間で行えることから溶液重合により重合することが好ましい。
溶液重合は、一般に、重合槽内に所定の有機溶媒、単量体、重合開始剤、及び、必要に応じて用いられる連鎖移動剤を仕込み、窒素気流中又は有機溶媒の還流温度で、撹拌しながら数時間加熱反応させることにより行なうなど公知の方法を使用することができる。
なお、本発明のアクリル系共重合体(A)および共重合体(B)の重量平均分子量は、反応温度、時間、溶剤量、触媒の種類や量により容易に調節することができる。
前記アクリル系共重合体(A)および共重合体(B)の重合に際し、重合用有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、t−ブチルベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、テトラリン、デカリン、芳香族ナフサなどの芳香族炭化水素類;例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、i−オクタン、n−デカン、ジペンテン、石油スピリット、石油ナフサ、テレピン油などの脂肪系もしくは脂環族系炭化水素類;例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸n−アミル、酢酸2−ヒドロキシエチル、酢酸2−ブトキシエチル、酢酸3−メトキシブチル、安息香酸メチルなどのエステル類;例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンなどのケトン類;例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル類;例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類;などを挙げることができる。これらの有機溶媒はそれぞれ単独で、又は2種以上混合して用いることができる。
前記の重合開始剤としては、通常の溶液重合で使用できる有機過酸化物、アゾ化合物などを使用することが可能である。有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、カプロイルパーオキシド、ジ−i−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシビバレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−アミルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−オクチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−α−クミルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−オクチルパーオキシシクロヘキシル)ブタンなどが挙げられる。アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビス−i−ブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルなどが挙げられる。
また、本発明に用いられるアクリル系共重合体(A)および共重合体(B)の製造に際しては、連鎖移動剤は使用しないのが普通であるが、本発明の目的及び効果を損なわない範囲で、必要に応じて使用することは可能である。連鎖移動剤としては、例えば、シアノ酢酸;シアノ酢酸の炭素数1〜8のアルキルエステル類;ブロモ酢酸;ブロモ酢酸の炭素数1〜8のアルキルエステル類;アントラセン、フェナントレン、フルオレン、9−フェニルフルオレンなどの芳香族化合物類;p−ニトロアニリン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、p−ニトロ安息香酸、p−ニトロフェノール、p−ニトロトルエンなどの芳香族ニトロ化合物類;ベンゾキノン、2,3,5,6−テトラメチル−p−ベンゾキノンなどのベンゾキノン誘導体類;トリブチルボランなどのボラン誘導体;四臭化炭素、四塩化炭素、1,1,2,2−テトラブロモエタン、トリブロモエチレン、トリクロロエチレン、ブロモトリクロロメタン、トリブロモメタン、3−クロロ−1−プロペンなどのハロゲン化炭化水素類;クロラール、フラルデヒドなどのアルデヒド類:炭素数1〜18のアルキルメルカプタン類;チオフェノール、トルエンメルカプタンなどの芳香族メルカプタン類;メルカプト酢酸、メルカプト酢酸の炭素数1〜10のアルキルエステル類;炭素数1〜12のヒドロキシアルキルメルカプタン類;ビネン、ターピノレンなどのテルペン類;などが挙げられる。
重合温度としては、一般に約30〜180℃の範囲である。
なお、溶液重合法などで得られた重合物中に未反応の単量体が含まれる場合は、該単量体を除くために、メタノールなどによる再沈澱法で精製することも可能である。
本発明の粘着剤組成物は、アルカリ金属塩(C)を含有する。アルカリ金属塩(C)は、リチウム、ナトリウム、カリウムをカチオンとする金属塩である。具体的には、Li+、Na+、K+等のカチオンと、Cl−、Br−、I−、BF4 −、PF6 −、SCN−、ClO4 −、CF3SO3 −、(CF3SO2)2N−、(C2F5SO2)2N−、(CF3SO2)3C−等のアニオンから構成される金属塩が好適に用いられる。特に、LiBr、LiI、LiBF4、LiPF6、LiSCN、LiClO4、LiCF3SO3、Li(CF3SO2)2N、Li(C2F5SO2)2N、Li(CF3SO2)3Cなどのリチウム塩が好ましく用いられる。中でもLiCF3SO3は、帯電防止効果、金属腐食性が良好であるため特に好ましい。これらのアルカリ金属塩は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
上記粘着剤組成物のアルカリ金属塩の配合量については、アクリル系共重合体(A)100重量部に対して、アルカリ金属塩を0.01〜0.6重量部配合することが好ましく、0.01〜0.2重量部配合することがさらに好ましい。アルカリ金属塩の含有量がアクリル系共重合体(A)100重量部に対して、0.01重量部以上であることで十分な帯電特性が得られる。また、0.6重量部以下であれば被着体を汚染することがない。
本発明の粘着剤組成物は、イソシアネート化合物を含むことが好ましい。本発明の粘着剤組成物は、イソシアネート化合物により架橋することにより、粘着剤組成物の凝集力が向上し、より粘着特性に優れた粘着剤を得ることができる。
本発明で使用することのできるイソシアネート化合物としては、例えば、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート;例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、上記芳香族イソシアネート化合物の水素添加物等の脂肪族又は脂環族イソシアネート;それらイソシアネートの2量体もしくは3量体又はそれらイソシアネートとトリメチロールプロパンなどのポリオールとのアダクト体などの各種イソシアネートに由来するイソシアネート化合物を使用することができる。なかでも、ヘキサメチレンジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネートに由来するイソシアネート化合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらのイソシアネート化合物は、単独でまたは2種類以上混合して使用することができる。
これらのイソシアネート化合物は、例えば「コロネートHX」、「コロネートHL−S」、「コロネート2234」「アクアネート200」、「アクアネート210」〔以上日本ポリウレタン(株)製〕、「デスモジュールN3400」、「デスモジュールN3300」〔住友バイエルウレタン(株)製〕、「デュラネートE−405−80T」、「デュラネート24A−100」、「デュラネートTSE−100」〔旭化成工業(株)製〕、「タケネートD−110N」、「タケネートD−120N」、「タケネートM−631N」、「MT−オレスターNP1200」〔以上三井武田ケミカル(株)製〕などの商品名により市販されているものを好適に使用することができる。
これらイソシアネート化合物の使用量は、前記アクリル系共重合体(A)100重量部に対して、0.01〜15重量部が好ましい。また、必要に応じてジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート等の硬化触媒を使用してもよい。
本発明の光学部材表面保護フィルム用粘着剤組成物には、以上述べたアクリル系共重合体(A)、共重合体(B)、アルカリ金属塩(C)、イソシアネート化合物、硬化触媒の他に、必要に応じて、粘着剤組成物に配合される配合物、例えば、耐候性安定剤、タッキファイヤー、可塑剤、軟化剤、無機充填剤などを適宜配合することができる。
かくして得られる本発明の粘着剤組成物は、光学部材用表面保護フィルムを作製するため、適宜の透明な表面保護基材の少なくとも一方の面に、従来公知の方法によって粘着剤層を形成するために用いられる。
本発明の光学部材用表面保護フィルムに用いられる基材としては、粘着剤が塗布できる基材であることが必要である。基材樹脂としては透視による光学部材の検査や管理の観点から、例えば、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂などからなるフィルムを挙げることができるが、表面保護性能からポリエステル系樹脂が好ましく、実用性を考慮すればポリエチレンテレフタレート樹脂が特に好ましい。
基材の厚さは一般には500μm以下、好ましくは5〜300μm、さらに好ましくは10〜200μm程度の厚さを例示することができる。これらの基材に片面又は両面には、剥離時の帯電防止を目的に、帯電防止層が設けられていてもよい。また該基材の、粘着剤層が設けられる側の表面には、粘着剤層との密着性を向上させるためにコロナ放電処理等が施されていてもよい。
基材上に形成される粘着剤層の厚さは、光学部材用表面保護フィルムの求められる粘着力や光学部材表面粗さなどに応じて適宜設定することができ、一般に1〜100μm、好ましくは5〜50μm、さらに好ましくは15〜30μm程度の厚さを例示することができる。
粘着剤層の形成方法としては、本発明の粘着剤組成物を、そのまま又は、必要に応じて適宜の溶媒で希釈し、これを表面保護ベースフィルムに直接塗布・乾燥して溶媒を除去する方法を採用することができる。また、先ずシリコーン樹脂等により離型処理が施された紙やポリエステルフィルム等の適宜のフィルムからなる剥離シート上に、本発明の粘着剤組成物を塗布し、加熱乾燥して粘着剤層を形成させ、次に該剥離シートの接着剤層側を表面保護ベースフィルムに圧接して該接着剤層を該保護フィルムに転写させることもできる。
かくして得られる光学部材用表面保護フィルムは、光学部材の表面に積層されて、その光学部材の表面が汚染されたり損傷したりしないよう保護し、該光学部材が液晶表示板などに加工される際には、該保護フィルムが光学部材に積層された状態のまま、打抜加工、検査、輸送、液晶表示板の組立などの各工程に供され、必要に応じて、オートクレーブ処理や高温エージング処理などの加熱加圧処理が施され、表面保護が不要となった段階で光学部材から剥離除去される。
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明の効果を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、実施例及び比較例において用いた、試験片の作製、並びに各種の試験方法及び評価方法は以下のとおりである。
(1)試験用粘着シートの作製
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム〔商品名;帝人テトロンフィルム、タイプG2、厚み38μm;帝人デュポンフィルム(株)製〕上に、乾燥後の塗工量が20g/m2となるように、粘着剤組成物を塗布し、100℃で60秒間熱風循環式乾燥機にて乾燥して粘着剤層を形成した後、シリコーン系離型剤で表面処理された離型フィルム上に該粘着剤層面が接するように載置し、加圧ニップロールを通して圧着して貼り合わせた後、23℃、50%RHで3日間養生を行って試験用表面保護フィルムを得た。
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム〔商品名;帝人テトロンフィルム、タイプG2、厚み38μm;帝人デュポンフィルム(株)製〕上に、乾燥後の塗工量が20g/m2となるように、粘着剤組成物を塗布し、100℃で60秒間熱風循環式乾燥機にて乾燥して粘着剤層を形成した後、シリコーン系離型剤で表面処理された離型フィルム上に該粘着剤層面が接するように載置し、加圧ニップロールを通して圧着して貼り合わせた後、23℃、50%RHで3日間養生を行って試験用表面保護フィルムを得た。
(2)粘着力の測定
前(1)項により作製した試験用表面保護フィルムを25mm×150mmにカットしたのち、この表面保護フィルム片を、卓上ラミネート機を用いて、アンチグレア処理された偏光フィルムに圧着して試験サンプルとした。このサンプルを23℃、50%RHの条件下で24時間放置した後、180゜剥離における粘着力を剥離速度300mm/分(低速)、もしくは30m/分(高速)にて測定した。
剥離速度300mm/分における粘着力が0.07N/25mm以上であれば、光学部材の表面保護が必要とされる間、該部材の表面上でずれを生じたり表面から脱落したりすることがなく好ましい。
また、剥離速度30m/分における粘着力が2.0N/25mm以下であれば、剥離作業性が良好であり好ましい。
前(1)項により作製した試験用表面保護フィルムを25mm×150mmにカットしたのち、この表面保護フィルム片を、卓上ラミネート機を用いて、アンチグレア処理された偏光フィルムに圧着して試験サンプルとした。このサンプルを23℃、50%RHの条件下で24時間放置した後、180゜剥離における粘着力を剥離速度300mm/分(低速)、もしくは30m/分(高速)にて測定した。
剥離速度300mm/分における粘着力が0.07N/25mm以上であれば、光学部材の表面保護が必要とされる間、該部材の表面上でずれを生じたり表面から脱落したりすることがなく好ましい。
また、剥離速度30m/分における粘着力が2.0N/25mm以下であれば、剥離作業性が良好であり好ましい。
(3)基材密着性の評価
前(1)項により作製した試験用粘着シートの剥離フィルムを剥がし、粘着剤層にカッターにてクロスカットを施し、指にてクロスカット部を3回強くこすり、こすった箇所の粘着剤が基材から剥離したかどうか目視にて観察した。
(評価基準)
○:剥離なし、または、わずかに(5%未満)剥がれが見られるが
実用上問題ない程度である
△:部分的に剥がれが見られる。
×:全面的に剥がれが見られる
前(1)項により作製した試験用粘着シートの剥離フィルムを剥がし、粘着剤層にカッターにてクロスカットを施し、指にてクロスカット部を3回強くこすり、こすった箇所の粘着剤が基材から剥離したかどうか目視にて観察した。
(評価基準)
○:剥離なし、または、わずかに(5%未満)剥がれが見られるが
実用上問題ない程度である
△:部分的に剥がれが見られる。
×:全面的に剥がれが見られる
(4)なじみ性の試験
前(1)項により作製した試験用粘着シートを200mm×150mmにカットしたのち、アンチグレア処理された偏光フィルムに23℃、50%RHの条件下で中心部分より貼り合せ、自然重力により濡れ広がる時間を測定した。
(評価基準)
○:端部まで完全になじむ時間が45秒以内である。
△:端部まで完全になじむ時間が45−60秒以内である。
×:端部まで完全になじむ60秒以上または、端部まで完全になじまない。
前(1)項により作製した試験用粘着シートを200mm×150mmにカットしたのち、アンチグレア処理された偏光フィルムに23℃、50%RHの条件下で中心部分より貼り合せ、自然重力により濡れ広がる時間を測定した。
(評価基準)
○:端部まで完全になじむ時間が45秒以内である。
△:端部まで完全になじむ時間が45−60秒以内である。
×:端部まで完全になじむ60秒以上または、端部まで完全になじまない。
(5)剥離帯電圧測定
前(1)項により作製した試験用粘着シートを25mm×150mmにカットしたのち、この表面保護フィルム片を、卓上ラミネート機を用いて、アンチグレア処理された偏光フィルムに圧着して試験サンプルとした。このサンプルを23℃、50%RHの条件下で24時間放置(コンディショニング処理)した後、180゜剥離、剥離速度30m/分(高速剥離条件)で剥離する。このときの発生する偏光板表面の電位を下図のとおり、所定の位置に固定してある電位測定機〔春日電機(株)製KSD−0303〕にて測定した。測定は、23℃×50%RHの環境下で行った。
剥離速度30m/分で剥離した際の、剥離帯電圧の絶対値が0.5kV以下であれば、光学部材から表面保護フィルムを剥離する際に、剥離帯電による静電気の発生が少なく、液晶表示装置の回路が破壊したり、光学部材表面にごみや埃を吸着したりすることがなく好ましい。
前(1)項により作製した試験用粘着シートを25mm×150mmにカットしたのち、この表面保護フィルム片を、卓上ラミネート機を用いて、アンチグレア処理された偏光フィルムに圧着して試験サンプルとした。このサンプルを23℃、50%RHの条件下で24時間放置(コンディショニング処理)した後、180゜剥離、剥離速度30m/分(高速剥離条件)で剥離する。このときの発生する偏光板表面の電位を下図のとおり、所定の位置に固定してある電位測定機〔春日電機(株)製KSD−0303〕にて測定した。測定は、23℃×50%RHの環境下で行った。
剥離速度30m/分で剥離した際の、剥離帯電圧の絶対値が0.5kV以下であれば、光学部材から表面保護フィルムを剥離する際に、剥離帯電による静電気の発生が少なく、液晶表示装置の回路が破壊したり、光学部材表面にごみや埃を吸着したりすることがなく好ましい。
アクリル系共重合体(A)溶液の製造
製造例1
温度計、攪拌機、窒素導入管及び還流冷却器を備えた反応容器内に、酢酸エチル35.0重量部を入れた。別の容器に2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)55.0重量部、n−ブチルアクリレート(BA)42.0重量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)3.0重量部を入れて混合して単量体混合物を作製し、その中の15重量%を反応容器中に加え、次いで窒素雰囲気下で攪拌しながら還流温度まで加熱した。その後、残りの単量体混合物の全量と、酢酸エチル10重量部、トルエン10重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部とを混合した混合液を、100分かけて還流温度の反応容器に逐次添加し、引き続いて45分間還流温度を維持したまま反応させた。さらにその後、酢酸エチル15重量部とt−ブチルパーオキシピバレート0.2重量部とを混合した溶液を60分かけて還流温度の反応容器に逐次添加し、引き続いてさらに80分間還流状態にて反応させた。反応終了後、酢酸エチルにて希釈して固形分50重量%のアクリル系共重合体(A)を得た。得られたアクリル系共重合体溶液(A)の固形分、ガラス転移点(Tg)、重量平均分子量(Mw)を表1に示す。
製造例1
温度計、攪拌機、窒素導入管及び還流冷却器を備えた反応容器内に、酢酸エチル35.0重量部を入れた。別の容器に2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)55.0重量部、n−ブチルアクリレート(BA)42.0重量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)3.0重量部を入れて混合して単量体混合物を作製し、その中の15重量%を反応容器中に加え、次いで窒素雰囲気下で攪拌しながら還流温度まで加熱した。その後、残りの単量体混合物の全量と、酢酸エチル10重量部、トルエン10重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部とを混合した混合液を、100分かけて還流温度の反応容器に逐次添加し、引き続いて45分間還流温度を維持したまま反応させた。さらにその後、酢酸エチル15重量部とt−ブチルパーオキシピバレート0.2重量部とを混合した溶液を60分かけて還流温度の反応容器に逐次添加し、引き続いてさらに80分間還流状態にて反応させた。反応終了後、酢酸エチルにて希釈して固形分50重量%のアクリル系共重合体(A)を得た。得られたアクリル系共重合体溶液(A)の固形分、ガラス転移点(Tg)、重量平均分子量(Mw)を表1に示す。
製造例2〜製造例4
単量体組成を表1に示す単量体組成に変更し、適宜開始剤量等を調整する以外は製造例1と同様にしてアクリル系共重合体溶液A−2〜A−11を製造した。得られたアクリル系共重合体溶液の固形分、ガラス転移点(Tg)、重量平均分子量(Mw)を表1に示す。
単量体組成を表1に示す単量体組成に変更し、適宜開始剤量等を調整する以外は製造例1と同様にしてアクリル系共重合体溶液A−2〜A−11を製造した。得られたアクリル系共重合体溶液の固形分、ガラス転移点(Tg)、重量平均分子量(Mw)を表1に示す。
アルキレンオキサイド含有共重合体(B)の製造
製造例5
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器、滴下ロートを備えた反応容器内に、メチルエチルケトン100.0重量部を入れ、窒素雰囲気下で攪拌しながら還流温度まで過熱した。滴下ロートに、予め混合しておいた、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(アルキレンオキシド単位の平均付加モル数:23)10重量部、t−ブチルメタクリレート90重量部、メチルエチルケトン100重量部、アゾビスイソブチロニトリル5.0重量部の混合溶液を入れ、120分かけて還流温度の反応容器に逐次添加した。その後、240分間還流温度を維持したまま反応させ、反応を終了した。得られたアルキレンオキサイド含有共重合体(B)の固形分、重量平均分子量(Mw)を表2に示す。
製造例5
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器、滴下ロートを備えた反応容器内に、メチルエチルケトン100.0重量部を入れ、窒素雰囲気下で攪拌しながら還流温度まで過熱した。滴下ロートに、予め混合しておいた、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(アルキレンオキシド単位の平均付加モル数:23)10重量部、t−ブチルメタクリレート90重量部、メチルエチルケトン100重量部、アゾビスイソブチロニトリル5.0重量部の混合溶液を入れ、120分かけて還流温度の反応容器に逐次添加した。その後、240分間還流温度を維持したまま反応させ、反応を終了した。得られたアルキレンオキサイド含有共重合体(B)の固形分、重量平均分子量(Mw)を表2に示す。
実施例1 表面保護フィルム用粘着剤組成物の作製
攪拌羽根、温度計を備えた四つ口フラスコに、製造例1で得られたアクリル系共重合体(A−1)溶液100重量部(ただし、有効成分として50重量部)、製造例12で得られたアルキレンオキサイド基含共重合体(B−1)溶液0.6重量部(ただし、アクリル系共重合体(A)100重量部に対して、有効成分として0.4重量部)、アルカリ金属塩(C)としてLiCF3SO3(LiTFS)0.05重量部(ただし、アクリル系共重合体(A)100重量部に対して、有効成分として0.1重量部)、ジブチルスズジラウレート0.01重量部(ただし、アクリル系共重合体(A)100重量部に対して、有効成分として0.02重量部)を仕込み、フラスコ内の液温を25℃付近に保って4.0時間混合撹拌を行い、アクリル系共重合体混合溶液を得た。これにイソシアネート化合物としてN33001.5重量部(住化バイエルウレタン(株)製ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体であるイソシアヌレート構造を有するイソシアネート化合物、アクリル系共重合体(A)100重量部に対して、有効成分として3.0重量部)を添加し十分に攪拌して表3に示す光学部材表面保護フィルム用粘着剤組成物溶液を得た。前記の試験用粘着シートの作製方法に従って試験用表面保護フィルムを作製し、前記の各種物性試験を行った。得られた結果を表4に示す。
攪拌羽根、温度計を備えた四つ口フラスコに、製造例1で得られたアクリル系共重合体(A−1)溶液100重量部(ただし、有効成分として50重量部)、製造例12で得られたアルキレンオキサイド基含共重合体(B−1)溶液0.6重量部(ただし、アクリル系共重合体(A)100重量部に対して、有効成分として0.4重量部)、アルカリ金属塩(C)としてLiCF3SO3(LiTFS)0.05重量部(ただし、アクリル系共重合体(A)100重量部に対して、有効成分として0.1重量部)、ジブチルスズジラウレート0.01重量部(ただし、アクリル系共重合体(A)100重量部に対して、有効成分として0.02重量部)を仕込み、フラスコ内の液温を25℃付近に保って4.0時間混合撹拌を行い、アクリル系共重合体混合溶液を得た。これにイソシアネート化合物としてN33001.5重量部(住化バイエルウレタン(株)製ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体であるイソシアヌレート構造を有するイソシアネート化合物、アクリル系共重合体(A)100重量部に対して、有効成分として3.0重量部)を添加し十分に攪拌して表3に示す光学部材表面保護フィルム用粘着剤組成物溶液を得た。前記の試験用粘着シートの作製方法に従って試験用表面保護フィルムを作製し、前記の各種物性試験を行った。得られた結果を表4に示す。
実施例2、3、比較例1、2
実施例1の配合条件の代わりに表3に示した各実施例の配合条件を使用する以外は、実施例1と同様にして表3に示すような表面保護フィルム用粘着剤組成物を作製した。 この粘着剤組成物を用い、前記の試験用表面保護フィルムの作製方法に従って試験用表面保護フィルムを作製し、前述した試験方法で各物性を測定した結果を表4に示す。
実施例1の配合条件の代わりに表3に示した各実施例の配合条件を使用する以外は、実施例1と同様にして表3に示すような表面保護フィルム用粘着剤組成物を作製した。 この粘着剤組成物を用い、前記の試験用表面保護フィルムの作製方法に従って試験用表面保護フィルムを作製し、前述した試験方法で各物性を測定した結果を表4に示す。
なお、表1〜3における各配合物の略号は以下の通りであり、Dry比として記載した値は、アクリル系共重合体(A)100重量部に対する有効成分の重量部である。
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
n−OA:n−オクチルアクリレート
BA:n−ブチルアクリレート
EA:エチルアクリレート
MA:メチルアクリレート
4HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート
t−BMA:t−ブチルメタクリレート
MePEGMA:メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、アルキレンオキシド単位の平均付加モル数は23
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
n−OA:n−オクチルアクリレート
BA:n−ブチルアクリレート
EA:エチルアクリレート
MA:メチルアクリレート
4HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート
t−BMA:t−ブチルメタクリレート
MePEGMA:メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、アルキレンオキシド単位の平均付加モル数は23
LiTFS:LiCF3SO3、アルカリ金属(C)成分
N−3300:住化バイエルウレタン(株)製ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体であるイソシアヌレート構造を有するイソシアネート化合物、商品名:デスモジュールN3300、有効成分100重量%、イソシアネート化合物成分
DBTDL:ジブチルスズジラウレート、硬化触媒
N−3300:住化バイエルウレタン(株)製ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体であるイソシアヌレート構造を有するイソシアネート化合物、商品名:デスモジュールN3300、有効成分100重量%、イソシアネート化合物成分
DBTDL:ジブチルスズジラウレート、硬化触媒
Claims (5)
- 炭素数1〜5であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを共重合成分として40〜80重量%、炭素数6〜18であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを共重合性分として10〜59.9重量%、水酸基を有する単量体を共重合成分として0.1〜10重量%含有するアクリル系共重合体(A)100重量部と、
アルキレンオキシド単位の平均付加モル数が20以上であるアルキレンオキシド基含有単量体を共重合成分として60重量%以下含有する、重量平均分子量0.3万〜10万であるアルキレンオキシド鎖含有共重合体(B)と、
アルカリ金属塩(C)と、
を含有する粘着剤組成物。 - 前記アクリル系共重合体(A)100重量部に対し、前記アルキレンオキシド鎖含有共重合体(B)を0.05〜2.0重量部、前記アルカリ金属塩(C)を0.01〜0.6重量部含有する請求項1に記載の粘着剤組成物。
- 前記炭素数1〜5であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルがn−ブチル(メタ)アクリレートである請求項1または2に記載の粘着剤組成物。
- 炭素数6〜18であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが2−エチルヘキシルアクリレートである請求項1〜3のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
- 基材と、
前記基材上に設けられ、請求項1〜4のいずれか1項に記載の粘着剤組成物を含有する粘着剤層と、
を備える光学部材用フィルム。
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