JP2014111716A - 紙塗工用共重合体ラテックスおよび紙塗工用組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 脂肪族共役ジエン系単量体20〜70重量%、シアン化ビニル単量体0〜35重量%、エチレン系不飽和カルボン酸単量体1〜15重量%およびこれらと共重合可能な他の単量体0〜79重量%からなる単量体(単量体合計100重量%)を乳化重合するに際し、連鎖移動剤を実質的に使用せず、かつ、炭化水素系有機溶剤を使用することを特徴とする共重合体ラテックス。
【選択図】 なし
Description
一般に紙塗工用組成物は、クレーや炭酸カルシウムなどの白色顔料を水に分散した顔料分散液、顔料同士および顔料を原紙に接着固定するためのバインダー、およびその他の添加剤によって構成される水性塗料である。バインダーとしてはスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスに代表されるような合成エマルションバインダーやデンプン、カゼインに代表されるような天然バインダーが使用される。その中でもスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスは、品質設計の自由度が大きく、今日では紙塗工用組成物に最も適したバインダーとして広く使用されており、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスの性能が紙塗工用組成物の性能や塗工紙作成時の操業性あるいは最終的な塗工紙製品の表面強度、印刷光沢などの品質に影響することが知られている。
さらにオンマシン型の設備では、高速連続操業による高生産性、省力化による低コスト化が徹底されており、共重合体ラテックスにおいても少量の添加で強い接着力を発揮する低コスト化に有利な高強度タイプが求められている。
しかし、これらの様々な改良技術は、未だ熱カレンダー適性と紙塗工用組成物に要求される性能を十分に満足するレベルには至っておらず、特にラテックスからの更なる改良が強く求められていた。
連鎖移動剤を使用しない事で、ラテックスフィルムの熱時の耐ベタツキ性を向上させ、かつ紙塗工用組成物の再分散性を向上させる事ができる。
一方、連鎖移動剤を使用しないと、ポリマーにおける架橋が進みやすく、ポリマーが柔軟性を失うことにより、塗工紙の表面強度が低下するが、後述する炭化水素系有機溶剤を使用する事で、塗工紙の表面強度の低下を抑える事が可能である。
また、炭化水素系有機溶剤の使用量にはなんら制限はないが、単量体100重量部に対して、1〜30重合部使用することが好ましい。炭化水素系有機溶剤使用量が1重量部未満では塗工紙の表面強度や紙塗工用組成物の再分散性が劣る傾向となり、また30重量部を超えるとラテックスフィルムの耐ベタツキ性が劣る傾向となるため、好ましくない。
さらに、重合において炭化水素系有機溶剤の添加方法等には特に制約はないが、熱時の耐ベタツキ性の観点から、乳化重合の系内に全単量体の60重量%を投入するまでに、炭化水素系有機溶剤の全使用量を投入することが好ましい。より好ましくは、全単量体の50重量%を投入するまでに、炭化水素系有機溶剤の全使用量を投入することが好ましい。
また、紙塗工用組成物中の共重合体ラテックスの含有量は顔料100重量部(固形分)に対して2〜20重量部(固形分)を使用することが好ましい。共重合体ラテックスの含有量が2重量部以下では顔料を充分に接着できず好ましくなく、20重量部を超えると不透明度や白紙光沢が低下して好ましくない。
温度40℃、湿度85%の雰囲気にてラテックスフィルムを作成する。その後ラテックスフィルムを約1g秤量しXgとする。これを400mlのトルエンに入れ48時間膨潤溶解させる。その後、これを秤量済みの300メッシュの金網で濾過し、その後トルエンを蒸発乾燥させ、その乾燥後重量からメッシュ重量を減じて、試料の乾燥後重量を秤量しYgとする。
ゲル含量(%)=Y/X*100
ポリエステルフィルムに各共重合体ラテックスを塗布量12g/m2で塗工し、120℃オーブン中で1分間乾燥後、1cm幅の短冊状に切る。黒色台紙上に、A〜Jのラテックスフィルムの短冊を全て並べて貼り付ける。
その上に濾紙を重ねて、RI印刷機を用いロ−ル間を通し圧着する。その後、濾紙を剥がした後の、濾紙の繊維の各ラテックスフィルム表面上への付着状態を目視で判断し、各ラテックスフィルムのベタツキ性を比較した。繊維の付着の少ないものは耐ベタツキ性に優れる、繊維の付着が多いものは耐ベタツキ性が劣るとして、下記のとおり相対的に評価した。
(優)◎ > ○ > △ > ×(劣)
ポリエステルフィルムに各共重合体ラテックスを塗布量12g/m2で塗工し、120℃オーブン中で1分間乾燥後、1cm幅の短冊状に切る。黒色台紙上に、A〜Jのラテックスフィルムの短冊を全て並べて貼り付ける。
その上に濾紙を重ねて、ラボ試験用熱カレンダーを用い110℃に加熱した熱ロール間を通し圧着する。その後、濾紙を剥がした後の、濾紙の繊維の各ラテックスフィルム表面上への付着状態を目視で判断し、各ラテックスフィルムのベタツキ性を比較した。繊維の付着が少ないものは耐ベタツキ性に優れる、繊維の付着が多いものは耐ベタツキ性が劣るとして、下記のとおり相対的に評価した。
(優)◎ > ○ > △ > ×(劣)
NBR黒ゴム板上に各組成物サンプルを並べて#6ワイヤーバーにて塗布し80℃熱風循環式オーブンにて3分間乾燥させた後、30℃の流水で1分間洗浄してNBR黒ゴム板上に残った組成物の皮膜を目視にて観察した。皮膜の付着の残量が少ないものを再分散性に優れる、皮膜の付着の残量が多いものを再分散性に劣るとし、下記のとおり目視にて相対的に評価した。
(優)◎ > ○ > △ > ×(劣)
RI印刷機で各塗工紙試料を同時に印刷した際のピッキングの程度を肉眼で判定し、5級(優)から1級(劣)まで相対的に目視評価した。
耐圧製の重合反応器に、重合水120部、過硫酸カリウム1.0部を仕込み、十分攪拌した後、表1に示す各単量体および他の化合物を加えて70℃にて重合を開始し、最終転化率が97%を超えた時点で重合を終了した。次いで、得られた共重合体ラテックスを、水酸化ナトリウムを用いてpHを7に調製し、水蒸気蒸留により未反応単量体および他の低沸点化合物を除去し、共重合体ラテックスAを得た。
共重合体ラテックス(B〜J)の合成
耐圧製の重合反応器に、重合水120部、過硫酸カリウム1.0部を仕込み、十分攪拌した後、表1および表2の1段目に示す各単量体および他の化合物を加えて70℃に昇温して重合を開始した。2段目の重合については、1段目の重合転化率が50%を越えた時点で2段目の各単量体および他の化合物を加えて重合し、3段目の重合については、2段目までの重合転化率が80%を越えた時点で3段目の各単量体および他の化合物を加えて重合し、最終重合転化率が95%を越えた時点で重合を終了した。 次いで、得られた共重合体ラテックスを水酸化ナトリウムを用いてpHを7に調製し、水蒸気蒸留により未反応単量体および他の低沸点化合物を除去し、共重合体ラテックスB〜Jを得た。
下記に示した配合処方1に従って共重合体ラテックスA〜Jを用い、NaOHでpH9.5に調整し、紙塗工用組成物を作製した。
(紙塗工用組成物の配合処方)
配合処方
カオリン 40部
重質炭酸カルシウム 60部
変性デンプン 2部
共重合体ラテックス 7部
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
固形分濃度 67%
塗工原紙(坪量55g/m2)に、上記の紙塗工用組成物を片面あたりの塗被量が10g/m2となるようにワイヤーバーを用いて塗工し乾燥した後、線圧60kg/cm、温度50℃の条件でカレンダー処理を行って塗工紙を得た。得られた塗工紙の表面強度を評価し、その結果を表1および表2に示した。
比較例4は、炭化水素系有機溶剤も連鎖移動剤も使用しておらず、塗工紙の表面強度が著しく劣る。
Claims (6)
- 脂肪族共役ジエン系単量体20〜70重量%、シアン化ビニル単量体0〜35重量%、エチレン系不飽和カルボン酸単量体1〜15重量%およびこれらと共重合可能な他の単量体0〜79重量%からなる単量体(単量体合計100重量%)を乳化重合するに際し、連鎖移動剤を実質的に使用せず、かつ、炭化水素系有機溶剤を使用することを特徴とする共重合体ラテックス。
- 異なる単量体組成からなる2段以上の多段重合工程を有することを特徴とする請求項1に記載の共重合体ラテックス。
- 乳化重合の系内に、全単量体の60重量%を投入するまでに、炭化水素系有機溶剤の全使用量を投入することを特徴とする請求項1または2に記載の共重合体ラテックス。
- 炭化水素系有機溶剤が芳香族炭化水素であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の共重合体ラテックス。
- 炭化水素系有機溶剤が環内に不飽和結合を1つ有する環状の不飽和炭化水素であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の共重合体ラテックス。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の共重合体ラテックスを含む紙塗工用組成物。
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JPH07278213A (ja) * | 1994-04-13 | 1995-10-24 | Sumitomo Dow Ltd | Uv印刷用紙塗工用共重合体ラテックスの製造方法ならびにuv印刷用紙塗工用組成物 |
US20100204382A1 (en) * | 2007-10-08 | 2010-08-12 | Basf Se | Aqueous polymer dispersions based on copolymers formed from vinylaromatics and conjugated aliphatic dienes, processes for preparation thereof and use thereof |
JP2012188797A (ja) * | 2011-02-25 | 2012-10-04 | Nippon A&L Inc | 紙塗工用共重合体ラテックス及び紙塗工用組成物 |
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