JP2014110737A - すり板の局部摩耗検出装置とその局部摩耗検出プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】すり板の局部摩耗の発生を早期に検出することができるすり板の局部摩耗検出装置とその局部摩耗検出プログラムを提供する。
【解決手段】(A)に示すトロリ線偏位波形SWは、すり板5fに対するトロリ線の時間変化を表し、(B)に示す基準トロリ線偏位波形SWrefはすり板5fに局部摩耗Wが存在しないときのトロリ線の時間変化を表す。トロリ線偏位波形SWと基準トロリ線偏位波形SWrefとを局部摩耗判定部が照合する。すり板5fに局部摩耗Wが発生しているときには、このすり板5fに対してトロリ線が左右方向に偏位すると、この局部摩耗Wの凹部にトロリ線が嵌り込み引っ掛かる。その結果、(A)に示す時刻t1,t3,t4,t6,t7,t9,t10,…において、トロリ線偏位波形SWの一部が崩れているため、すり板5fに局部摩耗Wが発生していると局部摩耗判定部が判定する。
【選択図】図9
【解決手段】(A)に示すトロリ線偏位波形SWは、すり板5fに対するトロリ線の時間変化を表し、(B)に示す基準トロリ線偏位波形SWrefはすり板5fに局部摩耗Wが存在しないときのトロリ線の時間変化を表す。トロリ線偏位波形SWと基準トロリ線偏位波形SWrefとを局部摩耗判定部が照合する。すり板5fに局部摩耗Wが発生しているときには、このすり板5fに対してトロリ線が左右方向に偏位すると、この局部摩耗Wの凹部にトロリ線が嵌り込み引っ掛かる。その結果、(A)に示す時刻t1,t3,t4,t6,t7,t9,t10,…において、トロリ線偏位波形SWの一部が崩れているため、すり板5fに局部摩耗Wが発生していると局部摩耗判定部が判定する。
【選択図】図9
Description
この発明は、トロリ線と摺動するすり板に発生する局部摩耗を検出するすり板の局部摩耗検出装置とその局部摩耗検出プログラムに関する。
従来のすり板の局部摩耗検出装置は、車両基地の入口に設置されてこの車両基地に入線する電車の集電装置のすり板の表面を連続的に測定するビームセンサと、このビームセンサを駆動するスライダ機構と、ビームセンサからの出力信号に基づいてすり板の表面形状データを生成する情報処理端末手段などを備えている(例えば、特許文献1参照)。このような従来のすり板の局部摩耗検出装置では、ビームセンサからの出力信号に基づいて生成したすり板の表面形状データと予め格納された設計データとを情報処理端末手段が比較して、この情報処理端末手段がすり板の摩耗量を演算している。
従来のすり板の局部摩耗検出装置では、検出精度が低いためすり板の局部摩耗がかなり進行しないと、このすり板の局部摩耗を検出することができない問題点がある。また、従来のすり板の局部摩耗検出装置では、車両基地内のビームセンサの下を車両が通過しない限り、すり板の局部摩耗を検出することができない。このため、従来のすり板の局部摩耗検出装置では、すり板の局部摩耗が発生する初期の段階でこのすり板の局部摩耗を発見することができず、車両基地の入口を車両が通過する前にすり板の局部摩耗が急激に進展したときには、このような局部摩耗を検出することができない問題点がある。さらに、従来のすり板の局部摩耗検出装置では、車両基地内の全ての線路上にビームセンサなどを設置するとコストが高くなるため、車両基地内の一部の線路上にのみビームセンサなどを設置している。このため、従来のすり板の局部摩耗検出装置では、ビームセンサなどが設置されていない線路上を電車が走行するときには、この電車のすり板の局部摩耗を検出することができない問題点がある。
この発明の課題は、すり板の局部摩耗の発生を早期に検出することができるすり板の局部摩耗検出装置とその局部摩耗検出プログラムを提供することである。
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、図2、図3及び図9に示すように、トロリ線(1a)と摺動するすり板(5f)に発生する局部摩耗(W)を検出するすり板の局部摩耗検出装置であって、前記すり板に対する前記トロリ線の動作に基づいて、このすり板の局部摩耗の有無を判定する局部摩耗判定部(8g)を備えることを備えるすり板の局部摩耗検出装置(8)である。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、図2、図3及び図9に示すように、トロリ線(1a)と摺動するすり板(5f)に発生する局部摩耗(W)を検出するすり板の局部摩耗検出装置であって、前記すり板に対する前記トロリ線の動作に基づいて、このすり板の局部摩耗の有無を判定する局部摩耗判定部(8g)を備えることを備えるすり板の局部摩耗検出装置(8)である。
請求項2の発明は、請求項1に記載のすり板の局部摩耗検出装置において、前記局部摩耗判定部は、前記すり板に対して前記トロリ線が左右方向に偏位するときの動作に基づいて、このすり板の局部摩耗の有無を判定することを特徴とするすり板の局部摩耗検出装置である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のすり板の局部摩耗検出装置において、図7〜図9に示すように、前記局部摩耗判定部は、前記すり板に局部摩耗が発生していないときの前記トロリ線の左右方向の動作を基準として、このすり板の局部摩耗の有無を判定することを特徴とするすり板の局部摩耗検出装置である。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のすり板の局部摩耗検出装置において、図3及び図7〜図9に示すように、前記すり板に対して前記トロリ線が左右方向に偏位するときの時間変化を表すトロリ線偏位波形(SW)を生成するトロリ線偏位波形生成部(8c)を備え、前記局部摩耗判定部は、前記すり板に局部摩耗が発生していないときの基準トロリ線偏位波形(SWref)と、前記トロリ線偏位波形生成部が生成する前記トロリ線偏位波形とに基づいて、このすり板の局部摩耗の有無を判定することを特徴とするすり板の局部摩耗検出装置である。
請求項5の発明は、図2、図9及び図10に示すように、トロリ線(1a)と摺動するすり板(5f)に発生する局部摩耗(W)を検出するすり板の局部摩耗検出プログラムであって、前記すり板に対する前記トロリ線の動作に基づいて、このすり板の局部摩耗の有無を判定する局部摩耗判定手順(S140,S150)をコンピュータ(8j)に実行させることを特徴とするすり板の局部摩耗検出プログラムである。
請求項6の発明は、請求項5に記載のすり板の局部摩耗検出プログラムにおいて、前記局部摩耗判定手順は、前記すり板に対して前記トロリ線が左右方向に偏位するときの動作に基づいて、このすり板の局部摩耗の有無を判定する手順を含むことを特徴とするすり板の局部摩耗検出プログラムである。
請求項7の発明は、請求項5又は請求項6に記載のすり板の局部摩耗検出プログラムにおいて、図7〜図10に示すように、前記局部摩耗判定手順は、前記すり板に局部摩耗が発生していないときの前記トロリ線の左右方向の動作を基準として、このすり板の局部摩耗の有無を判定する手順を含むことを特徴としているすり板の局部摩耗検出プログラムである。
請求項8の発明は、請求項5から請求項7までのいずれか1項に記載のすり板の局部摩耗検出プログラムにおいて、図3及び図7〜図10に示すように、前記すり板に対して前記トロリ線が左右方向に偏位するときの時間変化を表すトロリ線偏位波形(SW)を生成するトロリ線偏位波形生成手順(S110)を含み、前記局部摩耗判定手順(S160)は、前記すり板に局部摩耗が発生していないときの基準トロリ線偏位波形(SWref)と、前記トロリ線偏位波形生成手順において生成される前記トロリ線偏位波形とに基づいて、このすり板の局部摩耗の有無を判定する手順を含むことを特徴とするすり板の局部摩耗検出プログラムである。
この発明によると、すり板の局部摩耗の発生を早期に検出することができる。
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について詳しく説明する。
図1に示す架線1は、線路上空に架設される架空電車線である。架線1は、所定の間隔をあけて架線支持装置2によって支持点Pで支持されている。図1に示す架線1は、トロリ線1aと、ちょう架線1bと、ハンガイヤー1cなどを備えるシンプルカテナリ式ちょう架方式の架線である。架線1は、トロリ線1a及びちょう架線1bの径間長(径間)Lが所定の長さ(例えば45〜50m程度)になるように架線支持装置2によって支持されている。ここで、径間長Lとは、トロリ線1aが支持される支持点P間の距離である。
図1に示す架線1は、線路上空に架設される架空電車線である。架線1は、所定の間隔をあけて架線支持装置2によって支持点Pで支持されている。図1に示す架線1は、トロリ線1aと、ちょう架線1bと、ハンガイヤー1cなどを備えるシンプルカテナリ式ちょう架方式の架線である。架線1は、トロリ線1a及びちょう架線1bの径間長(径間)Lが所定の長さ(例えば45〜50m程度)になるように架線支持装置2によって支持されている。ここで、径間長Lとは、トロリ線1aが支持される支持点P間の距離である。
図1、図2及び図5に示すトロリ線1aは、集電装置5のすり板5fが接触する電線である。トロリ線1aは、すり板5fが摺動(接触移動)することによって車両4に負荷電流を供給する。トロリ線1aは、例えば、材質が硬銅又は銀若しくはすずなどを僅かに含有する銅合金であり、鋼線を銅で被覆した複合トロリ線(CSトロリ線)、鋼心をアルミニウムで被覆した複合トロリ線(TAトロリ線)、又は大きな引張強さと高い導電率を有する銅合金トロリ線でCr,Zr,Siを僅かに含有する銅合金を熱処理することによって特性を向上させたクロム・ジルコニウム系高強度銅合金トロリ(PHCトロリ線)などである。
図1に示すちょう架線1bは、トロリ線1aを支持する線条(撚線)である。ちょう架線1bは、トロリ線1aの重量による弛み(弛度)が小さくなるようにこのトロリ線1aを吊るして水平に保持する。ハンガイヤー1cは、トロリ線1aをちょう架線1bに吊り下げる架線金具(電車線金具)である。ハンガイヤー1cは、トロリ線1aの高さを略一定に保持するようにこのトロリ線1aの長さ方向に所定の間隔をあけて配置されている。
図1及び図2に示す架線支持装置2は、架線1を支持する装置である。架線支持装置2は、図1及び図5に示すように、トロリ線1a及びちょう架線1bを支持しており、図2及び図5に示すようにトロリ線1aにトロリ線偏位Δを付与している。ここで、トロリ線偏位Δとは、図1に示す軌道3の左右のレール3aの上面に対して垂直な軌道中心面と図5に示すトロリ線1aとの間の最短距離であり、図2及び図5に示す集電装置5のすり板5fが左右方向に平均的に摩耗して、このすり板5fの同一箇所をトロリ線1aが摺動しないように、トロリ線1aの数径間周期で付与されるジグザグ偏位(左右偏位)である。トロリ線偏位Δは、普通鉄道の場合には250mm以内に設定されており、新幹線の場合には300mm以内に設定されている。架線支持装置2は、図5に示すように、左右交互にトロリ線1aが偏位するように、このトロリ線1aを外側に引っ張る曲線引金具、又はトロリ線1aの振動を抑えてこのトロリ線1aを支持する振止金具などの架線金具である。
図1に示す軌道3は、車両4が走行する通路(線路)である。軌道3は、車両4の車輪4dが転がり接触する左右一対のレール3aを備えている。車両4は、軌道3に沿って走行する移動体である。車両4は、例えば、電車又は電気機関車などの電気車(鉄道車両)である。車両4は、車体4aと、屋根上面4bと、台車4cなどを備えている。車体4aは、乗客又は貨物などの搭載物を積載し輸送するための構造物であり、屋根上面4bは集電装置5及び離線検出装置9Bなどの屋根上機器が設置される部分である。台車4cは、車体4aを支持して走行する装置であり車輪4dなどを備えている。
図1及び図2に示す集電装置(パンタグラフ)5は、架線1のトロリ線1aから電力を車両4に導くための装置である。集電装置5は、図1に示す台枠5aと、碍子(がいし)5bと、枠組5cと、図1及び図2に示す集電舟(舟体)5dと、ホーン5eと、すり板5fなどを備えている。集電装置5は、架線1のトロリ線1aと摺動するすり板5fによってこのトロリ線1aから集電する。図1に示す集電装置5は、車両4の進行方向に対して非対称であり、一方向又は両方向に使用可能なシングルアーム式パンタグラフである。
図1に示す台枠5aは、枠組5cを支持して車体4aの屋根上に設置される部材であり、碍子5b上に設置されている。碍子5bは、車体4aと台枠5aとの間を電気的に絶縁する部材である。枠組5cは、集電舟5dを支持する部材であり、集電舟5dを支持した状態で上下方向に動作可能なリンク機構である。枠組5cは、台枠5aに取り付けられて上昇力を付与する主ばね(押上げ用ばね)によって上方に押上げられている。図1及び図2に示す集電舟5dは、すり板5fを取り付けて支持する部材である。集電舟5dは、図2に示すように、一般にトロリ線1aと直交する方向(まくらぎ方向)に伸びた細長い金属製の柱状部材である。図1及び図2に示すホーン5eは、車両4が分岐器を通過するときに、この分岐器の上方で交差する2本のトロリ線1aのうち車両4の進行方向とは異なる方向のトロリ線1aへの割込みを防止するための部材である。ホーン5eは、図2に示すように、集電舟5dの長さ方向の両端部から突出しており、先端部が湾曲して形成された金属製の部材である。
図1及び図2に示すすり板5fは、トロリ線1aと摺動する部材である。すり板5fは、図2に示すように、車両4の進行方向と直交する方向に伸びた金属製又は炭素製の板状部材である。すり板5fは、集電舟5dとは別個に製造される別部品であり、この集電舟5dと一体に取り付けられている。すり板5fは、トロリ線1aと接触移動(摺動)して大電流が流れるため、一定の機械的強度、導電性及び耐摩耗性などが要求される。すり板5fは、車両4が本線走行時に主にトロリ線1aと摺動する主すり板として機能するすり板片であり、このすり板片を複数並べた状態で配置されている。すり板5fは、例えば、外観形状が略平行四辺形の薄板状部材であり、集電舟5dの中央部に取り付けられている。すり板5fは、図5に示すように、集電舟5dの進行する方向(すり板5fの長さ方向と直交する方向)に対して所定の傾斜角度で両端部が斜めに直線状に切断されている。すり板5fは、例えば、カーボン(炭素)を主原料とするカーボン系すり板、鉄又は銅などを主成分とする焼結合金すり板である。
図2(B)に示す局部摩耗Wは、すり板5fの摺動面に発生する局所的な摩耗である。局部摩耗Wは、すり板5fの摺動面の同一箇所でトロリ線1aと摺動が続いたときに、この箇所のみですり板5fの摩耗が進行してこのすり板5fに発生する凹状の摩耗(段付き摩耗)である。局部摩耗Wは、トロリ線1aとすり板5fとが離れる離線が発生したときに、このトロリ線1aとこのすり板5fとの間にアークAが発生し、このアークAの発生によってすり板5fの摺動面に形成される。局部摩耗Wは、すり板5fが摩耗するときにある部位の摩耗だけが特に早く進行し、一旦すり板5fに発生すると成長してすり板5fの寿命を短くする。
図1及び図3に示す走行速度検出装置6は、車両4の速度を検出する装置である。走行速度検出装置6は、図1に示すように、車両4の車輪4dの回転を検出して、この車輪4dの回転数に応じたパルス信号を発生する速度発電機などの速度計である。走行速度検出装置6は、例えば、車両4の車輪4dの1回転毎に所定数のパルス信号(距離パルス信号)を発生してこの車輪4dの回転数を検出し、この検出結果を走行速度検出情報(走行速度検出信号)として局部摩耗検出装置8に出力する。
図1、図3及び図4に示すトロリ線位置検出装置7は、トロリ線1aの左右方向の位置を検出する装置である。トロリ線位置検出装置7は、図4及び図5に示すように、すり板5fに対してトロリ線1aが摺動しながら左右方向に往復移動するときに、このすり板5fに対するトロリ線1aの位置(偏位位置)をトロリ線位置±ΔXとして検出する。ここで、トロリ線位置±ΔXは、図4に示す軌道3の左右のレール3aの上面に対して垂直な軌道中心面と交わるすり板5fの長さ方向の中間点を基準位置(原点)Oとしたときに、左右方向に往復移動するトロリ線1aとこの基準位置Oとの間の距離である。トロリ線位置±ΔXは、図4及び図5に示す基準位置Oに対してすり板5fの進行方向左側を+で示し、基準位置Oに対してすり板5fの進行方向右側を−で示している。トロリ線位置検出装置7は、図4に示すように、車両4に搭載された状態でこの車両4とともに軌道3上を移動して、リアルタイムでトロリ線位置±ΔXを検出する。トロリ線位置検出装置7は、例えば、トロリ線1aの摺動面にレーザ光を照射してこのトロリ線1aの摺動面で反射する反射レーザ光を受光することによってトロリ線位置±ΔXを測定するレーザ式のトロリ線偏位測定装置などである。トロリ線位置検出装置7は、図4に示すように、距離測定部7aと、走査部7bと、回転角度検出部7cと、トロリ線位置演算部7dなどを備えている。
図4に示す距離測定部7aは、トロリ線1aの摺動面までの距離を測定する手段である。距離測定部7aは、例えば、トロリ線1aの摺動面に向けてレーザ光を照射してこのトロリ線1aの摺動面で反射する反射レーザ光を受光して、トロリ線1aの摺動面からの光路長D1を測定する回転式レーザ変位計のようなレーザ距離計である。距離測定部7aは、レーザ光を照射する照射部と、反射レーザ光を受光する受光部とを備えており、照射部が照射するレーザ光と受光部が受光する反射レーザ光との位相差に基づいて、トロリ線1aの摺動面から反射する反射光の光路長D1を測定する。距離測定部7aは、図4に示す軌道3の左右のレール3aの中間位置を通過する直線とこの距離測定部7aの照射部及び受光部の中心線とが一致し、かつ、これらの照射部及び受光部の中心線がすり板5fの基準位置Oを通過するように、車両4の屋根上面4bに固定されている。
図4に示す走査部7bは、距離測定部7aの照射部から照射されるレーザ光をトロリ線1aの移動方向に走査する手段である。走査部7bは、例えば、距離測定部7aの照射部から照射されるレーザ光を反射面7eによってトロリ線1aの摺動面に向かって反射させるとともに、このトロリ線1aの摺動面で反射する反射レーザ光を距離測定部7aの受光部にこの反射面7eによって反射させるポリゴンミラーのような回転ミラーである。走査部7bは、図4に示す軌道3の左右のレール3aの中間位置を通過する直線上にこの走査部7bの回転中心が位置し、かつ、この走査部7bの回転中心が距離測定部7aの照射部及び受光部の中心線上に位置するように、車両4の屋根上面4bに回転自在に支持されている。回転角度検出部7cは、走査部7bの回転角度θを検出する手段である。回転角度検出部7cは、例えば、図4に示すように、走査部7bの回転軸の回転角度θを検出するエンコーダなどである。
図4に示すトロリ線位置演算部7dは、トロリ線1aの位置を演算する手段である。トロリ線位置演算部7dは、距離測定部7aの測定結果と回転角度検出部7cの検出結果とに基づいて、トロリ線1aの位置を演算する。トロリ線位置演算部7dは、距離測定部7aからトロリ線1aの摺動面までの光路長D1であり、走査部7bの反射面7eから距離測定部7aまでの距離D2であり、走査部7bの回転角度θであるときに、以下の数1によってトロリ線位置±ΔXを演算する。
トロリ線位置検出装置7は、すり板5f上のトロリ線位置±ΔXを検出して、この検出結果をトロリ線位置情報(トロリ線位置信号)として現在時刻情報とともに局部摩耗検出装置8に出力する。トロリ線位置検出装置7は、すり板5fに対するトロリ線1aの現在位置とこの現在位置にトロリ線1aが位置する時刻とが対応するように、トロリ線位置情報をトロリ線位置±ΔXの検出時刻と対応させて局部摩耗検出装置8に出力する。
図1及び図3に示す局部摩耗検出装置8は、トロリ線1aと摺動するすり板5fに発生する局部摩耗Wを検出する装置である。局部摩耗検出装置8は、車両4に搭載された状態でこの車両4とともに軌道3上を移動して、トロリ線1aにすり板5fが摺動するときに発生する局部摩耗Wをリアルタイムで検出する。局部摩耗検出装置8は、トロリ線位置検出装置7を使用することによってトロリ線1aの左右方向の往復動作を検出して局部摩耗Wを検出する。局部摩耗検出装置8は、図3に示すように、信号入力部8aと、現在位置検出部8bと、トロリ線偏位波形生成部8cと、基準トロリ線偏位波形記憶部8dと、基準トロリ線偏位波形選定部8eと、トロリ線偏位波形補正部8fと、局部摩耗判定部8gと、判定結果送信部8hと、プログラム記憶部8iと、制御部8jなどを備えている。
図3に示す信号入力部8aは、種々の信号を入力させる手段である。信号入力部8aには、走行速度検出装置6が出力する走行速度検出情報と、トロリ線位置検出装置7が出力するトロリ線位置情報とが入力し、信号入力部8aはこれらの走行速度検出情報及びトロリ線位置情報を制御部8jに出力する。
現在位置検出部8bは、車両4の現在位置を検出する手段である。現在位置検出部8bは、例えば、軌道3側の特定地点に設置された自動列車停止装置(ATS(Automatic Train Stop))のATS地上子との間で相互に情報を送受信するために車両4側に設置されたATS車上子と、このATS車上子からの信号を受信し起点(出発地点)からATS地上子までの距離を表す絶対位置情報(絶対位置信号)を出力するATS受信機と、ATS受信機が出力する絶対位置情報に基づいて車両4の絶対位置を検出し、次のATS地上子に車両4が到達するまでの間に走行速度検出装置6が出力するパルス信号(走行速度検出情報)を積算して車両4の現在位置を演算する演算部などを備えている。現在位置検出部8bは、走行速度検出装置6が出力する走行速度検出情報とATS受信機が出力する絶対位置情報とに基づいて、起点からの車両4の移動距離(走行距離)を演算し、車両4の現在位置を現在位置情報(現在位置信号)として制御部8jに出力する。
トロリ線偏位波形生成部8cは、すり板5fに対してトロリ線1aが左右方向に偏位するときの時間変化を表すトロリ線偏位波形SWを生成する手段である。トロリ線偏位波形生成部8cは、図1、図3及び図4に示すトロリ線位置検出装置7が出力するトロリ線位置情報に基づいて、図6、図7(A)(B)及び図9(A)に示すようなトロリ線偏位波形SWを生成する。ここで、図6、図7(A)(B)及び図9(A)に示す横軸は、時刻tであり、縦軸はトロリ線位置±ΔXである。トロリ線偏位波形生成部8cは、例えば、図6(A)に示すように、すり板5fに局部摩耗Wが発生していないときには、時間の経過とともにトロリ線位置±ΔXが増減を繰り返す略直線状の傾きのジグザグ波形(鋸波)を生成する。一方、トロリ線偏位波形生成部8cは、例えば、図6(B)に示すように、すり板5fに局部摩耗Wが発生しているときには、時間の経過とともにトロリ線位置±ΔXが増減を繰り返す略直線状の傾きの一部が図中二点鎖線で示すように崩れたジグザグ波形(鋸波)を生成する。トロリ線偏位波形生成部8cは、図6、図7(A)(B)及び図9(A)に示すようなトロリ線偏位波形SWを生成し、このトロリ線偏位波形SWを車両4の走行速度Vと対応させてトロリ線偏位波形情報(トロリ線偏位波形信号)として制御部8jに出力する。
図3に示す基準トロリ線偏位波形記憶部8dは、すり板5fに局部摩耗Wが発生しないときに、このすり板5fに対してトロリ線1aが左右方向に偏位するときの時間変化を表す基準トロリ線偏位波形SWrefを記憶する手段である。基準トロリ線偏位波形記憶部8dは、図2(A)に示すように、すり板5fに局部摩耗Wが発生しない状態で、図1に示す車両4が所定走行速度(基準走行速度VO)で走行したときのトロリ線偏位波形SWを、図7(D)及び図9(B) に示すような基準トロリ線偏位波形SWrefとして記憶する。基準トロリ線偏位波形記憶部8dは、車両4が通過する各通過地点の基準トロリ線偏位波形SWrefを基準トロリ線偏位波形情報として記憶するメモリであり、各通過地点の基準トロリ線偏位波形SWrefが変更されたような場合には変更後の基準トロリ線偏位波形SWrefが書き込まれ記憶される。基準トロリ線偏位波形記憶部8dは、例えば、局部摩耗Wが存在しないときに、軌道3上を基準走行速度VOで走行しながら架線1を検査する電気計測車のトロリ線位置検出装置7によって検出したトロリ線偏位波形SWを、起点からの距離と対応させて基準トロリ線偏位波形情報として記憶する。
図3に示す基準トロリ線偏位波形選定部8eは、車両4が現在走行している軌道3上の基準トロリ線偏位波形SWrefを選定する手段である。基準トロリ線偏位波形選定部8eは、信号入力部8aが出力する現在位置情報と基準トロリ線偏位波形記憶部8dが記憶する基準トロリ線偏位波形情報とに基づいて、図1に示す車両4が現在走行している軌道3上の図7(D)及び図9(B)に示すような基準トロリ線偏位波形SWrefを特定する。基準トロリ線偏位波形選定部8eは、現在位置情報と基準トロリ線偏位波形情報とを参照して、車両4の起点から現在位置までの距離と対応する基準トロリ線偏位波形SWrefを基準トロリ線偏位波形記憶部8dから読み出してこの基準トロリ線偏位波形情報(基準トロリ線偏位波形信号)を制御部8jに出力する。
図3に示すトロリ線偏位波形補正部8fは、トロリ線偏位波形SWを補正する手段である。トロリ線偏位波形補正部8fは、図7(C)(D)、図8及び図9(A)(B)に示すように、トロリ線偏位波形生成部8cが生成するトロリ線偏位波形SWと基準トロリ線偏位波形記憶部8dが記憶する基準トロリ線偏位波形SWrefとを比較可能なように、このトロリ線偏位波形SWを補正する。トロリ線偏位波形補正部8fは、図1に示す車両4が走行速度Vであるときにトロリ線偏位波形生成部8cが生成したトロリ線偏位波形SWを、車両4が基準走行速度VOであるときにトロリ線偏位波形生成部8cが生成すると予測されるトロリ線偏位波形SWに補正する。トロリ線偏位波形補正部8fは、例えば、車両4の実際の走行速度Vが基準走行速度VOよりも速いときには、図7(A)に示すような補正前のトロリ線偏位波形SWの時間軸を図7(C)に示すように比率V/VOで拡大して、この補正前のトロリ線偏位波形SWを図7(C)に示すような補正後のトロリ線偏位波形SWに補正する。一方、トロリ線偏位波形補正部8fは、例えば、車両4の実際の走行速度Vが基準走行速度VOよりも遅いときには、図7(B)に示すような補正前のトロリ線偏位波形SWの時間軸を図7(C)に示すように比率V/VOで圧縮して、この補正前のトロリ線偏位波形SWを図7(C)に示すような補正後のトロリ線偏位波形SWに補正する。トロリ線偏位波形補正部8fは、図7(C)に示すような補正後のトロリ線偏位波形SWを生成し、このトロリ線偏位波形SWを補正後のトロリ線偏位波形情報(トロリ線偏位波形信号)として制御部8jに出力する。
図3に示す局部摩耗判定部8gは、すり板5fに対するトロリ線1aの動作に基づいて、このすり板5fの局部摩耗Wの有無を判定する手段である。局部摩耗判定部8gは、図2及び図9に示すように、すり板5fに対してトロリ線1aが左右方向に偏位するときの動作に基づいて、このすり板5fの局部摩耗Wの有無を判定する。局部摩耗判定部8gは、図2(A)及び図7(D)に示すように、すり板5fに局部摩耗Wが発生していないときのトロリ線1aの左右方向の動作を基準として、このすり板5fの局部摩耗Wの有無を判定する。局部摩耗判定部8gは、図7(D)に示すようなすり板5fに局部摩耗Wが発生していないときの基準トロリ線偏位波形SWrefと、図7(A)(B)に示すようなトロリ線偏位波形生成部8cが生成するトロリ線偏位波形SWとに基づいて、このすり板5fの局部摩耗Wの有無を判定する。局部摩耗判定部8gは、例えば、図7(C)に示すようなトロリ線偏位波形補正部8fが補正する補正後のトロリ線偏位波形SWと、図7(D)に示すような基準トロリ線偏位波形記憶部8dが記憶する基準トロリ線偏位波形SWrefとを照合して、すり板5fの局部摩耗Wの有無を判定する。
局部摩耗判定部8gは、図7(D)に示すような基準トロリ線偏位波形SWrefを基準として、図7(C)に示すような補正後のトロリ線偏位波形SWが崩れているときには、すり板5fに局部摩耗Wが発生していると判定する。局部摩耗判定部8gは、例えば、図9(A)に示す時刻t1,t3,t4,t6,t7,t9,t10,…においてトロリ線偏位波形SWの一部が崩れているため、すり板5fに局部摩耗Wが発生していると判定する。一方、局部摩耗判定部8gは、図7(D)に示すような基準トロリ線偏位波形SWrefを基準として、補正後のトロリ線偏位波形SWが崩れていないときには、すり板5fに局部摩耗Wが発生していないと判定する。局部摩耗判定部8gは、例えば、図9(C)に示す時刻t2,t5,t8,…においてアークAが発生して離線が発生しているが、図9(A)に示すようにこれらの時刻t2,t5,t8,…においてトロリ線偏位波形SWが崩れていないため、すり板5fに局部摩耗Wが発生していないと判定する。
局部摩耗判定部8gは、例えば、図8に示すように、時刻tn,tn+2,…におけるトロリ線偏位波形SWのレベルと基準トロリ線偏位波形SWrefのレベルとの差が所定範囲外であるときには、すり板5fに局部摩耗Wが発生していると判定する。一方、局部摩耗判定部8gは、例えば、図8に示す時刻tn-1,tn+1,tn+3,…におけるトロリ線偏位波形SWのレベルと基準トロリ線偏位波形SWrefのレベルとの差が所定範囲内であるときには、すり板5fに局部摩耗Wが発生していないと判定する。局部摩耗判定部8gは、例えば、基準トロリ線偏位波形SWrefを中心としてこの基準トロリ線偏位波形SWrefを超える所定範囲内と下回る所定範囲内とにしきい値Thを設定している。局部摩耗判定部8gは、図8に示すように、トロリ線偏位波形SWのレベルと基準トロリ線偏位波形SWrefのレベルとを所定時間間隔Δtでサンプリングし、各時刻tn-1,tn,tn+1,…におけるレベル差がしきい値Th内であるか否かを判定する。局部摩耗判定部8gは、例えば、時刻tn-1,tn+2におけるトロリ線偏位波形SWのレベルと基準トロリ線偏位波形SWrefのレベルとの差がしきい値Th内であるためすり板5fに局部摩耗Wが発生していないと判定する。一方、局部摩耗判定部8gは、例えば、時刻tn,tn+1におけるトロリ線偏位波形SWのレベルと基準トロリ線偏位波形SWrefのレベルとの差がしきい値Th外であるためすり板5fに局部摩耗Wが発生していると判定する。局部摩耗判定部8gは、すり板5fに局部摩耗Wが発生しているときには局部摩耗判定情報(局部摩耗判定信号)を制御部8jに出力する。
図3に示す判定結果送信部8hは、局部摩耗判定部8gの判定結果を送信する手段である。判定結果送信部8hは、図2(B)及び図9(C)に示すような局部摩耗Wがすり板5fに発生していると局部摩耗判定部8gが判定したときに、告知装置9などにこの判定結果を送信する送信機などである。
図3に示すプログラム記憶部8iは、トロリ線1aと摺動するすり板5fに発生する局部摩耗Wを検出する局部摩耗検出プログラムを記憶する手段である。プログラム記憶部8iは、例えば、情報記録媒体から読み取った局部摩耗検出プログラム、又は電気通信回線を通じて取り込まれた局部摩耗検出プログラムなどを記憶するメモリである。
制御部8jは、局部摩耗検出装置8に関する種々の動作を制御する手段(中央処理部(CPU))である。制御部8jは、プログラム記憶部8iから局部摩耗検出プログラムを読み出して局部摩耗検出装置8のコンピュータに所定の処理を指令し実行させる。制御部8jは、例えば、信号入力部8aが出力する走行速度検出情報を現在位置検出部8b及び基準トロリ線偏位波形選定部8eに出力したり、現在位置検出部8bに車両4の現在位置の検出を指令したり、信号入力部8aが出力するトロリ線位置情報をトロリ線偏位波形生成部8cに出力したり、トロリ線偏位波形生成部8cにトロリ線偏位波形SWの生成を指令したり、トロリ線偏位波形生成部8cが生成するトロリ線偏位波形情報をトロリ線偏位波形補正部8fに出力したり、基準トロリ線偏位波形選定部8eに基準トロリ線偏位波形SWrefの選定を指令したり、基準トロリ線偏位波形選定部8eが選定した基準トロリ線偏位波形情報をトロリ線偏位波形補正部8f及び局部摩耗判定部8gに出力したり、トロリ線偏位波形補正部8fにトロリ線偏位波形SWの補正を指令したり、トロリ線偏位波形補正部8fが補正する補正後のトロリ線偏位波形情報を局部摩耗判定部8gに出力したり、局部摩耗判定部8gに局部摩耗Wの有無の判定を指令したり、局部摩耗判定部8gが出力する局部摩耗判定情報を判定結果送信部8hに出力したり、判定結果送信部8hに局部摩耗判定情報の送信を指令したり、プログラム記憶部8iから局部摩耗検出プログラムを読み出したりする。制御部8jには、信号入力部8a、現在位置検出部8b、トロリ線偏位波形生成部8c、基準トロリ線偏位波形記憶部8d、基準トロリ線偏位波形選定部8e、トロリ線偏位波形補正部8f、局部摩耗判定部8g、判定結果送信部8h及びプログラム記憶部8iが相互に通信可能なようにバスなどの通信部によって接続されている。
告知装置9は、すり板5fの局部摩耗Wの発生を告知する装置である。告知装置9は、すり板5fに局部摩耗Wが発生していると局部摩耗判定部8gが判定したときに、この判定結果を告知する。告知装置9は、車両4の乗務員が運転操作する乗務員室内の運転台などに設置されている。告知装置9は、例えば、判定結果を音声で案内するスピーカ又は警報音などの音声発生装置、この判定結果を文字、図形、記号又はこれらの組み合わせによって案内する液晶画面などの表示装置である。
次に、この発明の実施形態に係るすり板の局部摩耗検出装置の動作を説明する。
以下では、図3に示す制御部8jの動作を中心として説明する。
図10に示すステップ(以下、Sという)100において、車両4の現在位置の検出を現在位置検出部8bに制御部8jが指令する。図3に示す走行速度検出装置6、トロリ線位置検出装置7及び局部摩耗検出装置8に電源装置から電力が供給されると、局部摩耗検出プログラムをプログラム記憶部8iから制御部8jが読み出して、一連の局部摩耗検出処理を制御部8jが実行する。図1に示す軌道3上を起点から車両4が走行を開始すると、図3に示す走行速度検出装置6が車両4の車輪4dの回転を検出して走行速度検出情報を局部摩耗検出装置8の信号入力部8aに出力する。信号入力部8aから制御部8jに走行速度検出情報が入力すると、現在位置検出部8bにこの走行速度検出情報を制御部8jが出力する。走行速度検出情報に基づいて車両4の現在位置を現在位置検出部8bが検出すると、この現在位置検出部8bが現在位置検出情報を制御部8jに出力する。
以下では、図3に示す制御部8jの動作を中心として説明する。
図10に示すステップ(以下、Sという)100において、車両4の現在位置の検出を現在位置検出部8bに制御部8jが指令する。図3に示す走行速度検出装置6、トロリ線位置検出装置7及び局部摩耗検出装置8に電源装置から電力が供給されると、局部摩耗検出プログラムをプログラム記憶部8iから制御部8jが読み出して、一連の局部摩耗検出処理を制御部8jが実行する。図1に示す軌道3上を起点から車両4が走行を開始すると、図3に示す走行速度検出装置6が車両4の車輪4dの回転を検出して走行速度検出情報を局部摩耗検出装置8の信号入力部8aに出力する。信号入力部8aから制御部8jに走行速度検出情報が入力すると、現在位置検出部8bにこの走行速度検出情報を制御部8jが出力する。走行速度検出情報に基づいて車両4の現在位置を現在位置検出部8bが検出すると、この現在位置検出部8bが現在位置検出情報を制御部8jに出力する。
S110において、トロリ線偏位波形SWの生成をトロリ線偏位波形生成部8cに制御部8jが指令する。図1、図5及び図9(C)に示すように、車両4がすり板5fとともに軌道3上を起点(出発地点)から矢印方向に走行を開始すると、図9に示すようにすり板5fに対してトロリ線1aが左右方向に往復動作しながらトロリ線1aとすり板5fとが摺動する。その結果、図4に示すトロリ線位置検出装置7が左右方向に移動するトロリ線1aの現在位置であるトロリ線位置±ΔXを検出してトロリ線位置情報を局部摩耗検出装置8の信号入力部8aに出力する。図3に示す信号入力部8aから制御部8jにトロリ線位置情報が入力すると、トロリ線偏位波形生成部8cにこのトロリ線位置情報を制御部8jが出力する。その結果、トロリ線位置情報に基づいてトロリ線偏位波形生成部8cがトロリ線偏位波形SWを生成する。例えば、図6及び図7(A)(B)に示すようなトロリ線偏位波形SWをトロリ線偏位波形生成部8cが生成し、トロリ線偏位波形生成部8cがトロリ線偏位波形SWをトロリ線偏位波形情報として制御部8jに出力する。
S120において、基準トロリ線偏位波形SWrefの選定を基準トロリ線偏位波形選定部8eに制御部8jが指令する。現在位置検出部8bから現在位置検出情報が制御部8jに入力すると、この現在位置検出情報を基準トロリ線偏位波形選定部8eに制御部8jが出力する。その結果、現在位置検出情報に基づいて基準トロリ線偏位波形記憶部8dを基準トロリ線偏位波形選定部8eが検索する。車両4の現在位置に対応する基準トロリ線偏位波形SWrefを基準トロリ線偏位波形記憶部8dから基準トロリ線偏位波形選定部8eが選定すると、この基準トロリ線偏位波形SWrefに相当する基準トロリ線偏位波形情報を基準トロリ線偏位波形選定部8eが制御部8jに出力する。
S130において、トロリ線偏位波形SWの補正をトロリ線偏位波形補正部8fに制御部8jが指令する。トロリ線偏位波形生成部8cからトロリ線偏位波形情報が制御部8jに入力するとともに、基準トロリ線偏位波形選定部8eから基準トロリ線偏位波形情報が制御部8jに入力すると、このトロリ線偏位波形情報及び基準トロリ線偏位波形情報をトロリ線偏位波形補正部8fに制御部8jが出力する。その結果、トロリ線偏位波形情報及び基準トロリ線偏位波形情報に基づいて、車両4の走行速度Vと基準走行速度VOとの比率V/VOをトロリ線偏位波形補正部8fが演算する。図7(C)に示すように、補正前のトロリ線偏位波形SWをトロリ線偏位波形補正部8fが比率V/VOによって拡大又は圧縮し、この補正後のトロリ線偏位波形SWに相当する補正後のトロリ線偏位波形情報をトロリ線偏位波形補正部8fが制御部8jに出力する。
S140において、局部摩耗Wの有無の判定を局部摩耗判定部8gに制御部8jが指令する。補正後のトロリ線偏位波形情報が局部摩耗判定部8gに制御部8jから入力するとともに、基準トロリ線波形情報が局部摩耗判定部8gに制御部8jから入力すると、この補正後のトロリ線偏位波形情報とこの基準トロリ線波形情報とに基づいて局部摩耗判定部8gが局部摩耗Wの有無を判定する。
S150において、補正後のトロリ線偏位波形SWと基準トロリ線偏位波形SWrefとが略一致するか否かを局部摩耗判定部8gが判定する。図2(B)に示すように、すり板5fに局部摩耗Wが発生しているときに、このすり板5fに対してトロリ線1aが左右方向に偏位すると、この局部摩耗Wの凹部にトロリ線1aが嵌り込み引っ掛かる。このため、例えば、図8に示すように、時刻tn,tn+2においてトロリ線1aの移動速度が急激に低下した後にトロリ線1aが急加速して、局部摩耗Wが発生していないときに比べてトロリ線1aの移動速度が変化する。その結果、図6(B)及び図7(A)(B)に示すように、すり板5fの局部摩耗Wの発生箇所にトロリ線1aが位置するタイミングで、トロリ線偏位波形SWの一部が崩れる。図8に示すように、補正後のトロリ線偏位波形SW及び基準トロリ線偏位波形SWrefを所定時間間隔Δtで局部摩耗判定部8gがサンプリングし、各時刻tn-1,tn,tn+1,…における補正後のトロリ線偏位波形SWと基準トロリ線偏位波形SWrefとのレベル差がしきい値Thの範囲内であるか否かを局部摩耗判定部8gが判定する。その結果、補正後のトロリ線偏位波形SWと基準トロリ線偏位波形SWrefとのレベル差がしきい値Thの範囲外(2つの波形が不一致)であるときには、すり板5fに局部摩耗Wが発生していると局部摩耗判定部8gが判定する。
一方、図2(A)に示すように、すり板5fに局部摩耗Wが発生していないときに、このすり板5fに対してトロリ線1aが左右方向に偏位すると、トロリ線1aが略一定の移動速度で往復移動する。このため、図6(A)に示すように、トロリ線偏位波形SWが規則的なジグザグ波形になる。その結果、補正後のトロリ線偏位波形SWと基準トロリ線偏位波形SWrefとのレベル差が図8に示すしきい値Thの範囲内(2つの波形が略一致)であり、すり板5fに局部摩耗Wが発生していないと局部摩耗判定部8gが判定する。局部摩耗判定部8gから判定結果情報が入力したと制御部8jが判断したときにはS160に進み、局部摩耗判定部8gから判定結果情報が入力していないと制御部8jが判断したときにはS170に進む。
S160において、判定結果の送信を判定結果送信部8hに制御部8jが指令する。図3に示す局部摩耗判定部8gから判定結果情報が制御部8jに入力すると、この判定結果情報を制御部8jが判定結果送信部8hに出力し、この判定結果送信部8hが告知装置9にこの判定結果情報を送信する。その結果、すり板5fの局部摩耗Wの発生を告知装置9が告知し、車両4内の乗務員に局部摩耗Wの発生が警告される。
S170において、局部摩耗Wの検出を終了するか否かを制御部8jが判断する。現在位置検出部8bが出力する現在位置情報に基づいて車両4が終点(終着点)に到着したか否かを制御部8jが判断する。車両4が終点に到着したと制御部8jが判断したときには、一連の局部摩耗検出処理を制御部8jが終了する。一方、車両4が終点に到着していないと制御部8jが判断したときにはS110に戻り、S110以降の局部摩耗検出処理を制御部8jが繰り返す。
この発明の実施形態に係るすり板の局部摩耗検出装置とその検出プログラムには、以下に記載するような効果がある。
(1) この実施形態では、すり板5fに対するトロリ線1aの動作に基づいて、このすり板5fの局部摩耗Wの有無を局部摩耗判定部8gが判定する。このため、トロリ線1aの偏位動作を監視するだけで、すり板5fに発生する局部摩耗Wを発生初期の段階で迅速にその場で検出することができる。
(1) この実施形態では、すり板5fに対するトロリ線1aの動作に基づいて、このすり板5fの局部摩耗Wの有無を局部摩耗判定部8gが判定する。このため、トロリ線1aの偏位動作を監視するだけで、すり板5fに発生する局部摩耗Wを発生初期の段階で迅速にその場で検出することができる。
(2) この実施形態では、すり板5fに対してトロリ線1aが左右方向に偏位するときの動作に基づいて、このすり板5fの局部摩耗Wの有無を局部摩耗判定部8gが判定する。このため、トロリ線1aの左右方向の往復動作を検出することによって、局部摩耗Wの発生を簡単に検出することができる。
(3) この実施形態では、すり板5fに局部摩耗Wが発生していないときのトロリ線1aの左右方向の動作を基準として、このすり板5fの局部摩耗Wの有無を局部摩耗判定部8gが判定する。このため、現在のトロリ線1aの動作を基準となるトロリ線1aの動作と比較することによって、局部摩耗Wの発生を初期の段階から簡単に検出することができる。
(4) この実施形態では、すり板5fに対してトロリ線1aが左右方向に偏位するときの時間変化を表すトロリ線偏位波形SWをトロリ線偏位波形生成部8cが生成する。また、この実施形態では、すり板5fに局部摩耗Wが発生していないときの基準トロリ線偏位波形SWrefと、トロリ線偏位波形生成部8cが生成するトロリ線偏位波形SWとに基づいて、このすり板5fの局部摩耗Wの有無を局部摩耗判定部8gが判定する。このため、現在のトロリ線偏位波形SWと基準トロリ線偏位波形SWrefとを照合することによって、局部摩耗Wを簡単に検出することができる。
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、架線1がシンプルカテナリ式ちょう架方式の架線である場合を例に挙げて説明したが、このような架線方式に限定するものではない。例えば、シンプルカテナリ式ちょう架方式の架線1のトロリ線1aとちょう架線1bとの間に補助ちょう架線を1本架設し、補助ちょう架線にトロリ線1aをハンガイヤー1cによって吊り下げるコンパウンドカテナリ式ちょう架方式の架線についてもこの発明を適用することができる。同様に、シンプルカテナリ式ちょう架方式の架線を所定の間隔をあけて2組平行に架設したツインシンプルカテナリ式ちょう架方式の架線についてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、電車線として架空式電車線路を例に挙げて説明したが、架空式電車線路のうち線条ではなく剛体を使用する剛体ちょう架式電車線路、導電性レールを使用する第三軌条式(サードレール式)電車線路などについてもこの発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、旅客又は貨物の運輸営業を行う営業車である車両4に局部摩耗検出装置8を搭載する場合を例に挙げて説明したが、架線1及び軌道3などの使用状態における機能を検査する検測車に局部摩耗検出装置8を搭載することもできる。
(1) この実施形態では、架線1がシンプルカテナリ式ちょう架方式の架線である場合を例に挙げて説明したが、このような架線方式に限定するものではない。例えば、シンプルカテナリ式ちょう架方式の架線1のトロリ線1aとちょう架線1bとの間に補助ちょう架線を1本架設し、補助ちょう架線にトロリ線1aをハンガイヤー1cによって吊り下げるコンパウンドカテナリ式ちょう架方式の架線についてもこの発明を適用することができる。同様に、シンプルカテナリ式ちょう架方式の架線を所定の間隔をあけて2組平行に架設したツインシンプルカテナリ式ちょう架方式の架線についてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、電車線として架空式電車線路を例に挙げて説明したが、架空式電車線路のうち線条ではなく剛体を使用する剛体ちょう架式電車線路、導電性レールを使用する第三軌条式(サードレール式)電車線路などについてもこの発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、旅客又は貨物の運輸営業を行う営業車である車両4に局部摩耗検出装置8を搭載する場合を例に挙げて説明したが、架線1及び軌道3などの使用状態における機能を検査する検測車に局部摩耗検出装置8を搭載することもできる。
(2) この実施形態では、集電装置5がシングルアーム式パンタグラフである場合を例に挙げて説明したが、車両4の進行方向に対して対称である菱形パンタグラフ又は翼型パンタグラフなどの他の形式のパンタグラフについてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、走行速度検出装置6の出力信号とATS車上子の出力信号とに基づいて車両4の現在位置を現在位置検出部8bが検出する場合を例に挙げて説明したが、このような検出方法に限定するものではない。例えば、GPS(Global Positioning System(全地球測位システム))又は自律航行装置(ジャイロ)を併用して車両4の現在位置を検出することもできる。例えば、トンネル区間以外の明かり区間を車両4が走行するときにはGPS信号などに基づいて現在位置検出部8bが車両4の走行距離を演算し、トンネル区間を車両4が走行するときには走行速度検出装置6の出力信号とATS車上子の出力信号とに基づいて現在位置検出部8bが車両4の走行距離を演算することもできる。
(3) この実施形態では、トロリ線位置検出装置7がレーザ式のトロリ線偏位測定装置である場合を例に挙げて説明したが、このような測定装置に限定するものではない。例えば、低圧ナトリウムランプでトロリ線1aを照明し、このトロリ線1aの摺動面で反射する光をCCDラインセンサカメラによって撮像して、トロリ線位置±ΔXを検出するナトリウムランプ式のトロリ線偏位測定装置を使用することもできる。また、この実施形態では、トロリ線偏位波形補正部8fによってトロリ線偏位波形SWを比率V/VOによって拡大又は圧縮して補正する場合を例に挙げて説明したが、トロリ線偏位波形SWを補正せずに基準トロリ線偏位波形SWrefを比率V/VOによって拡大又は圧縮して補正することもできる。さらに、この実施形態では、局部摩耗Wが存在しないときにトロリ線位置検出装置7によって検出したトロリ線偏位波形SWを基準トロリ線偏位波形SWrefとする場合を例に挙げて説明したが、車両4の走行速度V、トロリ線偏位Δ及び径間長Lに基づいて現在位置毎に基準トロリ線偏位波形SWrefを演算によって生成することもできる。
(4) この実施形態では、補正後のトロリ線偏位波形SWがしきい値Thの範囲内であるか否かによって局部摩耗Wの有無を局部摩耗判定部8gが判定する場合を例に挙げて説明したが、このような判定手法に限定するものではない。例えば、トロリ線1aが左右方向に往復動作するときの速度変化が所定範囲内であるか否か、又はトロリ線偏位波形SWの時間変化が所定範囲内であるか否かによって、局部摩耗Wの有無を判定することもできる。この場合には、図3に示す基準トロリ線偏位波形記憶部8d、基準トロリ線偏位波形選定部8e及びトロリ線偏位波形補正部8fを省略することができる。また、この実施形態では、局部摩耗Wの有無の判定結果を車両4内の告知装置9に送信する場合を例に挙げて説明したが、車両4の運行を円滑に進めるための運転指令及び業務指令を地上側から車両側に行って、車両4の運行状況を管理する中央指令装置にこの判定結果を送信することもできる。
1 架線
1a トロリ線
2 架線支持装置
3 軌道
3a レール
4 車両
5 集電装置
5f すり板
6 走行速度検出装置
7 トロリ線位置検出装置
7a 距離測定部
7b 走査部
7c 回転角度検出部
7d トロリ線位置演算部
8 局部摩耗検出装置
8a 信号入力部
8b 現在位置検出部
8c トロリ線偏位波形生成部
8d 基準トロリ線偏位波形記憶部
8e 基準トロリ線偏位波形選定部
8f トロリ線偏位波形補正部
8g 局部摩耗判定部
8h 判定結果送信部
8i プログラム記憶部
8j 制御部
9 告知装置
A アーク
L 径間長
P 支持点
V 走行速度
VO 基準走行速度
W 局部摩耗
SW トロリ線偏位波形
SWref 基準トロリ線偏位波形
Δ トロリ線偏位
D1 光路長
D2 距離
θ 回転角度
±ΔX トロリ線位置
Δt 所定時間間隔
Th しきい値
O 基準位置
1a トロリ線
2 架線支持装置
3 軌道
3a レール
4 車両
5 集電装置
5f すり板
6 走行速度検出装置
7 トロリ線位置検出装置
7a 距離測定部
7b 走査部
7c 回転角度検出部
7d トロリ線位置演算部
8 局部摩耗検出装置
8a 信号入力部
8b 現在位置検出部
8c トロリ線偏位波形生成部
8d 基準トロリ線偏位波形記憶部
8e 基準トロリ線偏位波形選定部
8f トロリ線偏位波形補正部
8g 局部摩耗判定部
8h 判定結果送信部
8i プログラム記憶部
8j 制御部
9 告知装置
A アーク
L 径間長
P 支持点
V 走行速度
VO 基準走行速度
W 局部摩耗
SW トロリ線偏位波形
SWref 基準トロリ線偏位波形
Δ トロリ線偏位
D1 光路長
D2 距離
θ 回転角度
±ΔX トロリ線位置
Δt 所定時間間隔
Th しきい値
O 基準位置
Claims (8)
- トロリ線と摺動するすり板に発生する局部摩耗を検出するすり板の局部摩耗検出装置であって、
前記すり板に対する前記トロリ線の動作に基づいて、このすり板の局部摩耗の有無を判定する局部摩耗判定部を備えること、
を備えるすり板の局部摩耗検出装置。 - 請求項1に記載のすり板の局部摩耗検出装置において、
前記局部摩耗判定部は、前記すり板に対して前記トロリ線が左右方向に偏位するときの動作に基づいて、このすり板の局部摩耗の有無を判定すること、
を特徴とするすり板の局部摩耗検出装置。 - 請求項1又は請求項2に記載のすり板の局部摩耗検出装置において、
前記局部摩耗判定部は、前記すり板に局部摩耗が発生していないときの前記トロリ線の左右方向の動作を基準として、このすり板の局部摩耗の有無を判定すること、
を特徴とするすり板の局部摩耗検出装置。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のすり板の局部摩耗検出装置において、
前記すり板に対して前記トロリ線が左右方向に偏位するときの時間変化を表すトロリ線偏位波形を生成するトロリ線偏位波形生成部を備え、
前記局部摩耗判定部は、前記すり板に局部摩耗が発生していないときの基準トロリ線偏位波形と、前記トロリ線偏位波形生成部が生成する前記トロリ線偏位波形とに基づいて、このすり板の局部摩耗の有無を判定すること、
を特徴とするすり板の局部摩耗検出装置。 - トロリ線と摺動するすり板に発生する局部摩耗を検出するすり板の局部摩耗検出プログラムであって、
前記すり板に対する前記トロリ線の動作に基づいて、このすり板の局部摩耗の有無を判定する局部摩耗判定手順をコンピュータに実行させること、
を特徴とするすり板の局部摩耗検出プログラム。 - 請求項5に記載のすり板の局部摩耗検出プログラムにおいて、
前記局部摩耗判定手順は、前記すり板に対して前記トロリ線が左右方向に偏位するときの動作に基づいて、このすり板の局部摩耗の有無を判定する手順を含むこと、
を特徴とするすり板の局部摩耗検出プログラム。 - 請求項5又は請求項6に記載のすり板の局部摩耗検出プログラムにおいて、
前記局部摩耗判定手順は、前記すり板に局部摩耗が発生していないときの前記トロリ線の左右方向の動作を基準として、このすり板の局部摩耗の有無を判定する手順を含むこと、
を特徴とするすり板の局部摩耗検出プログラム。 - 請求項5から請求項7までのいずれか1項に記載のすり板の局部摩耗検出プログラムにおいて、
前記すり板に対して前記トロリ線が左右方向に偏位するときの時間変化を表すトロリ線偏位波形を生成するトロリ線偏位波形生成手順を含み、
前記局部摩耗判定手順は、前記すり板に局部摩耗が発生していないときの基準トロリ線偏位波形と、前記トロリ線偏位波形生成手順において生成される前記トロリ線偏位波形とに基づいて、このすり板の局部摩耗の有無を判定する手順を含むこと、
を特徴とするすり板の局部摩耗検出プログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012265490A JP2014110737A (ja) | 2012-12-04 | 2012-12-04 | すり板の局部摩耗検出装置とその局部摩耗検出プログラム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012265490A JP2014110737A (ja) | 2012-12-04 | 2012-12-04 | すり板の局部摩耗検出装置とその局部摩耗検出プログラム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2014110737A true JP2014110737A (ja) | 2014-06-12 |
Family
ID=51031061
Family Applications (1)
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JP2012265490A Pending JP2014110737A (ja) | 2012-12-04 | 2012-12-04 | すり板の局部摩耗検出装置とその局部摩耗検出プログラム |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2014110737A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019176730A (ja) * | 2019-06-14 | 2019-10-10 | 公益財団法人鉄道総合技術研究所 | パンタグラフ異常検知方法及び検知装置 |
CN111678422A (zh) * | 2019-03-11 | 2020-09-18 | 三菱重工业株式会社 | 磨损传感器、磨损传感器装置、轴承及轴承的设置方法 |
CN113777105A (zh) * | 2021-09-03 | 2021-12-10 | 河北地质大学 | 一种用于监测受电弓碳滑板磨耗的光纤检测系统 |
WO2024089981A1 (ja) * | 2022-10-25 | 2024-05-02 | 三菱重工業株式会社 | 摩耗量モニタリング装置及び当該装置を備えた車両、並びに摩耗量モニタリング方法 |
-
2012
- 2012-12-04 JP JP2012265490A patent/JP2014110737A/ja active Pending
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