以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態である縦滑り出し窓1の内観図である。この縦滑り出し窓1では、ガラス20の四方を取り囲む框21〜24が、室内側から見たときに隠れる構造である、いわゆる隠し框構造を備える装飾窓が実現されている。なお、装飾窓の実施形態としては、縦滑り出し窓、横滑り出し窓、上げ下げ窓、FIX窓、ルーバー窓とすることも考えられる。また、装飾窓とするほか、隠し框構造を備える引違い窓についても、本発明は適用できる。
ガラス20を備える障子2は、回転ハンドルを有して構成される開閉操作機構60(「オペレーター機構」とも称される)を操作することによって、室外側へ滑り出すようにして開かれる。
図2は、図1のA−A線断面図であり、縦滑り出し窓1の窓枠30を構成する上枠31と下枠34と、縦滑り出し窓1の障子2を構成するガラス20と、上框21、下框24が表されている。この図2に示すごとく、建物開口部の室外側の周囲には、凹み部201,202が設けられ、凹み部201,202に、縦枠および横枠により組まれた枠体の室内側見付け面部の室内側の面(上枠31における取付片231、下枠34における取付片234)を、凹み部の壁面203,204に当接させて設置することにより、枠体が建物開口部の室内側から見て室内側開口部構成部材(窓額縁75、78や樹脂製アングル71,74)、により隠蔽された構造となっている。窓額縁75、78の見付方向の外側には、室内壁206が配置されている。
図3は、図1のB−B線断面図であり、縦滑り出し窓1の窓枠30を構成する縦枠32,33と、縦滑り出し窓1の障子2を構成するガラス20と、縦框22,23が表されている。縦框22は吊り元側、縦框23は戸先側となるように構成され、縦框23が室外側へと大きく移動するようにして、障子2が室外側へと滑り出すように構成される。この図3に示すごとく、建物開口部の室外側の周囲には、凹み部301,302が設けられ、凹み部301,302に、縦枠および横枠により組まれた枠体の室内側見付け面部の室内側の面(縦枠32における取付片332、縦枠33における取付片333)を、凹み部の壁面303,304に当接させて設置することにより、枠体が建物開口部の室内側から見て室内側開口部構成部材(窓額縁76、77や樹脂製アングル72,73)、により隠蔽された構造となっている。窓額縁76、77の見付方向の外側には、室内壁206が配置されている。
図4には下枠34の部位の拡大断面が示されている。下枠34は、アルミニウムを押出成形してなる軽量の金属性の長尺部材であって、障子2が閉じた状態において障子2の下框24の下方に形成される室外側枠部34aと、室外側枠部34aよりも室内側に形成される室内側枠部34bと、室外側枠部34aと室内側枠部34bの間に形成される中間部枠部34cなどを有して構成される。
室外側枠部34aには、横面を構成する板面部34dが形成されており、板面部34dには帯型としたシート状の耐火材54dが取付けられている。
中間部枠部34cには、上下に対面する板面部34e,34fが形成されており、板面部34e,34fには、それぞれ帯型としたシート状の耐火材54e,54fが取付けられている。
室内側枠部34bの上部においてガラス20より室内側の部位には、樹脂製アングル74が取付けられている。この の下方、つまり、内側に隠されるように、開閉操作機構60の駆動伝達機構61が収容されている。
駆動伝達機構61は、樹脂製アングル74の外側に配置された操作具85と連結されている。操作具85は、図2、図3にも示されるように、回転ハンドルにて構成されている。
駆動伝達機構61は、複数のアーム部材を有して構成されるリンク機構97を介して、障子2の下框24に連結される。
樹脂製アングル74には、網戸87の縁部材87aを嵌着するための溝部74aが形成されている。この溝部74aの下方に、中間部枠部34cの板面部34eが配置されるようになっている。
室内側枠部34bには室内側に突出する保持片部34mが設けられ、この保持片部34fに対面する保持片部74fが樹脂製アングル74に設けられる。そして、両保持片部34m,71fの間には、窓額縁78の室外側端部が挿入されて、嵌着固定される。窓額縁78の上面78gと、樹脂製アングル74の上面74gは、略同一高さとなるように構成される。
図4には下框24の部位の拡大断面が示されている。下框24は、アルミニウムを押出成形してなる軽量の金属性の長尺部材であって、室外側で縦面を構成する見付面部24aと、室内側で縦面を構成する見付面部24bと、横面を構成する板面部24c,24dと、を有して構成される。
見付面部24aの下端部は、下枠34の板面部34dよりも下側に位置しており、見付面部24aの室内側面には、帯型としたシート状の耐火材54eが取付けられている。
下框24において、見付面部24a,24b、及び、板面部24cにより上方が開放される溝状の空間24kが構成され、この空間24k内に断面略コ字状のグレーチングチャネル68を介してガラス20の下端部が挿入されて、ガラス20と下框24が一体化される。
グレーチングチャネル68と、下框24の見付面部24a及び板面部24cの間には、火災時においてガラス20が下框24から外れることを防止するための外れ止め部材84が設けられている。この外れ止め部材84は、板面部24cに対してボルト固定される。
グレーチングチャネル68と、下框24の板面部24cの間の位置には、帯型としたシート状の耐火材54gが設けられている。この耐火材54gは、板面部24cに取付けられている。
下框24の室内側の見付面部24bには、リンク機構97が接続されており、リンク機構97が室外方向に伸ばされることによって、下框24が室外側へと滑り出されるようになっている。
下框24の下側の板面部24dには、フリクションロック機構94が連結されている。このフリクションロック機構94は、下枠34に固定されるガイド枠34gに対して摺動可能に設けられるものであり、障子2が開かれた際に、下框24とガイド枠34gの間で突っ張ることによって摩擦力を生じさせ、障子2が開いた状態を維持できるようにしている。
下框24の室内側の見付面部24bは、室内側から見たときに、樹脂製アングル74よりも見付方向Nにおいて外側(ガラス20の中心から離れる方向)に配置されており、これにより、見付面部24bが室内側から見たときに隠れる(樹脂製アングル74によって見えない)、隠し框構造が実現されている。
図5には上枠31の部位の拡大断面が示されている。上枠31は、アルミニウムを押出成形してなる軽量の金属性の長尺部材であって、障子2が閉じた状態において障子2の上框21の上方に形成される室外側枠部31aと、室外側枠部31aよりも室内側に形成される室内側枠部31bと、室外側枠部31aと室内側枠部31bの間に形成される中間部枠部31cなどを有して構成される。
室外側枠部31aには、横面を構成する板面部31dが形成されている。
中間部枠部31cには、上下方向の縦面部31eが形成されており、縦面部31eには、帯型としたシート状の耐火材51eが取付けられている。
室内側枠部31bの下部においてガラス20より室内側の部位には、樹脂製アングル71が取付けられている。
樹脂製アングル71には、網戸87の縁部材87aを嵌着するための溝部71aが形成されている。この溝部71aの上方に、中間部枠部31cの縦面部31eが配置されるようになっている。
室内側枠部31bには室内側に突出する保持片部31fが設けられ、この保持片部31fに対面する保持片部71fが樹脂製アングル71に設けられる。そして、両保持片部31f,71fの間には、窓額縁75の室外側端部が挿入されて、嵌着固定される。窓額縁75の下面75gと、樹脂製アングル71の室内側の下面71gは、略同一高さとなるように構成される。
図5には上框21の部位の拡大断面が示されている。上框21は、アルミニウムを押出成形してなる軽量の金属性の長尺部材であって、室外側で縦面を構成する見付面部21aと、室内側で縦面を構成する見付面部21bと、横面を構成する板面部21cと、を有して構成される。
見付面部21aの上端部は、上枠31の板面部31dよりも上側に位置しており、見付面部21aの室内側面には、帯型としたシート状の耐火材51eが取付けられている。
上框21において、見付面部21a,21b、及び、板面部21cにより下方が開放される溝状の空間21fが構成され、この空間21f内に断面略コ字状のグレーチングチャネル65を介してガラス20の上端部が挿入されて、ガラス20と上框21が一体化される。
グレーチングチャネル65と、上框21の見付面部21a及び板面部21cの間には、火災時においてガラス20が上框21から外れることを防止するための外れ止め部材81が設けられている。この外れ止め部材81は、板面部21cに対してボルト固定される。
グレーチングチャネル65と、上框21の板面部21cの間の位置には、帯型としたシート状の耐火材51gが設けられている。この耐火材51gは、外れ止め部材81、或いは、板面部21cに取付けることができる。
上框21の板面部21cにおいて、ガラス20と反対側となる上面には、耐火材51hが取付けられる。
上框21の板面部21cには、フリクションロック機構91が連結されている。このフリクションロック機構91は、上枠31に固定されるガイド枠31gに対して摺動可能に設けられるものであり、障子2が開かれた際に、上框21とガイド枠31gの間で突っ張ることによって摩擦力を生じさせ、障子2が開いた状態を維持できるようにしている。
上框21の室内側の見付面部21bは、室内側から見たときに、樹脂製アングル71よりも見付方向Nにおいて外側(ガラス20の中心から離れる方向)に配置されており、これにより、見付面部21bが室内側から見たときに隠れる(樹脂製アングル71によって見えない)、隠し框構造が実現されている。
図6には吊り元側の縦枠32の部位の拡大断面が示されている。縦枠32は、アルミニウムを押出成形してなる軽量の金属性の長尺部材であって、障子2が閉じた状態において障子2の縦框22の側方に形成される室外側枠部32aと、室外側枠部32aよりも室内側に形成される室内側枠部32bと、室外側枠部32aと室内側枠部32bの間に形成される中間部枠部32cなどを有して構成される。
室外側枠部32aには、見込方向Mに延びる見込面部32dが形成されており、見込面部32dには、帯型としたシート状の耐火材52dが取付けられている。
中間部枠部32cには、見付方向Nに延びる見付面部32eが形成されており、見付面部32eには、帯型としたシート状の耐火材52eが取付けられている。
室内側枠部32bにおいてガラス20より室内側の部位には、樹脂製アングル72が取付けられている。
樹脂製アングル72には、網戸87の縁部材87aを嵌着するための溝部72aが形成されている。この溝部72aの側方に、中間部枠部32cの見付面部32eが配置されるようになっている。
室内側枠部32bには室内側に突出する保持片部32fが設けられ、この保持片部32fに対面する保持片部72fが樹脂製アングル72に設けられる。そして、両保持片部32f,72fの間には、窓額縁76の室外側端部が挿入されて、嵌着固定される。窓額縁76の見込面76gと、樹脂製アングル72の見込面72gは、略同一面に配置されるように構成されている。
図6には縦框22の部位の拡大断面が示されている。縦框22は、アルミニウムを押出成形してなる軽量の金属性の長尺部材であって、室外側で縦面を構成する見付面部22aと、室内側で縦面を構成する見付面部22bと、見込面を構成する見込面部22cと、を有して構成される。
見付面部22aの見付方向Nの外側の側端部には、パッキン22pが設けられており、パッキン22pが縦枠32の見込面部32dに当接するようにして気密性が確保されている。
縦框22において、見付面部22a,22b、及び、見込面部22cにより見付方向N内側が開放される溝状の空間22fが構成され、この空間22f内に断面略コ字状のグレーチングチャネル66を介してガラス20の側端部が挿入されて、ガラス20と縦框22が一体化される。
グレーチングチャネル66と、縦框22の見付面部22a及び見込面部22cの間には、火災時においてガラス20が縦框22から外れることを防止するための外れ止め部材82が設けられている。この外れ止め部材82は、見込面部22cに対してボルト固定される。
グレーチングチャネル66と、縦框22の見込面部22cの間の位置には、帯型としたシート状の耐火材52gが設けられている。この耐火材52gは、外れ止め部材82、或いは、見込面部22cに取付けることができる。
縦框22の見込面部22cにおいて、ガラス20と反対側の面には、耐火材52hが取付けられる。
縦框22の見込面部22c、及び、縦枠32の見込面部32dには、互いに対向する反り防止金具92,93が間隔を空けて設けられており、火災によって障子2の框が伸びた際に、反り防止金具92,93の間隔を小さくして框の反りを防止し、ガラス20が外れ難くなるようにしている。
縦框22の室内側の見付面部22bは、室内側から見たときに、樹脂製アングル72よりも見付方向Nにおいて外側(ガラス20の中心から離れる方向)に配置されており、これにより、見付面部22bが室内側から見たときに隠れる(樹脂製アングル72によって見えない)、隠し框構造が実現されている。
図7には戸先側の縦枠33の部位の拡大断面が示されている。縦枠33は、アルミニウムを押出成形してなる軽量の金属性の長尺部材であって、障子2が閉じた状態において障子2の縦框23の側方に形成される室外側枠部33aと、室外側枠部33aよりも室内側に形成される室内側枠部33bと、室外側枠部33aと室内側枠部33bの間に形成される中間部枠部33cなどを有して構成される。
室外側枠部33aには、見込方向Mに伸びる見込面部33dが形成されており、見込面部33dには、帯型としたシート状の耐火材53dが取付けられている。
中間部枠部33cには、見付方向Nに延びる方向の見付面部33eが形成されており、見付面部33eには、帯型としたシート状の耐火材53eが取付けられている。
室内側枠部33bにおいてガラス20より室内側の部位には、樹脂製アングル73が取付けられている。
樹脂製アングル73には、網戸87の縁部材87aを嵌着するための溝部73aが形成されている。この溝部73aの側方に、中間部枠部33cの見付面部33eが配置されるようになっている。
室内側枠部33bには室内側に突出する保持片部33fが設けられ、この保持片部33fに対面する保持片部73fが樹脂製アングル73に設けられる。そして、両保持片部33f,73fの間には、窓額縁77の室外側端部が挿入されて、嵌着固定される。窓額縁77の見込面77gと、樹脂製アングル73の見込面73gは、略同一面に配置されるように構成されている。
図7には縦框23の部位の拡大断面が示されている。縦框23は、アルミニウムを押出成形してなる軽量の金属性の長尺部材であって、室外側で縦面を構成する見付面部23aと、室内側で縦面を構成する見付面部23bと、見込面を構成する見込面部23cと、を有して構成される。
見付面部23aの見付方向Nの外側の側端部には、パッキン23pが設けられており、パッキン23pが縦枠33の見込面部33dに当接するようにして気密性が確保されている。
縦框23において、見付面部23a,23b、及び、見込面部23cにより見付方向N内側が開放される溝状の空間23fが構成され、この空間23f内に断面略コ字状のグレーチングチャネル67を介してガラス20の側端部が挿入されて、ガラス20と縦框23が一体化される。
グレーチングチャネル67と、縦框23の見付面部23a及び見込面部23cの間には、火災時においてガラス20が縦框23から外れることを防止するための外れ止め部材83が設けられている。この外れ止め部材83は、見込面部23cに対してボルト固定される。
グレーチングチャネル67と、縦框23の見込面部23cの間の位置には、帯型としたシート状の耐火材53gが設けられている。この耐火材53gは、外れ止め部材83、或いは、見込面部23cに取付けることができる。
縦框23の見込面部23cにおいて、ガラス20と反対側の面には、耐火材53hが取付けられる。
戸先側となる縦框23は、閉ロック機構96を介して縦枠33に対してロックされるように構成されている。この閉ロック機構96によって、縦框23がしっかりと縦枠33に対して保持され、障子2を閉じた状態が維持できるようになっている。
縦框23の室内側の見付面部23bは、室内側から見たときに樹脂製アングル73よりも見付方向Nにおいて外側(ガラス20の中心から離れる方向)に配置されており、これにより、見付面部23bが室内側から見たときに隠れる(樹脂製アングル73によって見えない)、隠し框構造が実現されている。
次に、以上の構成において特徴的な構成を詳細に説明する。
まず、図2及び図4において代表的に示されるように、
建物開口部の室外側の周囲には、凹み部201,202が設けられ、凹み部201,202に、縦枠および横枠により組まれた枠体の室内側見付け面部の室内側の面(上枠31における取付片231、下枠34における取付片234)を、凹み部の壁面203,204に当接させて設置することにより、枠体が建物開口部の室内側から見て室内側開口部構成部材(窓額縁75、78や樹脂製アングル71,74)、により隠蔽された構造とし、枠体(下枠34)に開閉可能に配置される障子2の枠を構成する框(下框24)と、枠体(下枠34)が金属製であることとしている。
これにより、火災時には、框が枠体と同様に燃え難くなり、高い防火性能を発揮することができる。
また、図4に代表的に示されるように、框(下框24)は、アルミニウム部材である、こととするものである。
これにより、例えば、框(下框24)を樹脂部材とアルミニウム部材の複合の枠体で構成する場合と比較して、火災時における変形が抑制され、框からガラス20が外れてしまうことを防止できる。
また、図4、図5、図7に代表的に示されるように、障子2は開閉可能に構成されるものであり、障子2を開閉するための開閉操作機構60、障子2が開いた状態を維持するためのフリクションロック機構91,94、障子2が閉じた状態を維持するための閉ロック機構96、といった開閉関連機構を構成するための樹脂部品の一部、又は、全部が、さらに、防火部材(耐火材54d,54e,54f)が、枠体(下枠34、上枠31、縦枠33)の厚み方向の範囲(見付方向Nの寸法の範囲)内に収められる構成としている。
これにより、開閉関連機構を構成する樹脂部品の露出が少なくなり、この樹脂部品の着火が抑制され、防火性能を高めることが可能となる。
また、図4に代表的に示されるように、火災時において、框(下框24)の見付方向Nにおいて外側に配置される枠(下枠34)と、框(下框24)の間の隙間を埋めるための防火部材(耐火材54d,54e,54f)を備える、隠し框構造を備えるサッシとしている。
これにより、例えば、図8に示すごとく、火災時には、框(下框24)と枠(下枠34)の隙間Sが埋められることになり、当該隙間Sを通じた延焼の広がりを防止することができる。また、耐火材54d,54e,54fが断熱材としても機能し、熱の伝達を防止することができる。また、当該隙間Sに配置される樹脂部材が耐火材54d,54e,54fを覆うことによって、樹脂部材への着火が防止される。
なお、防火部材としては、市販品を用いることができる。具体的には、例えば、積水化学工業株式会社製の商品名「フィブロック」(登録商標)といった、有機系耐火材を使用することができる。通常の状態では柔軟な薄いシート状で、200℃以上に加熱されると発泡して厚さ方向に5〜40倍に膨張し、断熱層を形成するため、本発明の実施に好適である。また、火災時の消失や、有害ガス発生もないといった利点もある。また、貼着で設置することが可能なため、特に、長尺部材に対する施工においては、施工性にも優れたものとなる。
また、図3、図6、及び、図9(A)に代表的に示されるように、建物開口部の室外側の周囲には、凹み部301,302が設けられ、凹み部301,302に、縦枠および横枠により組まれた枠体の室内側見付け面部の室内側の面(縦枠32における取付片332、縦枠33における取付片333)を、凹み部の壁面303,304に当接させて設置することにより、枠体が建物開口部の室内側から見て室内側開口部構成部材(窓額縁76、77や樹脂製アングル72,73)、により隠蔽された構造とし、枠体(縦枠32)に開閉可能に配置される消磁2の枠を構成する框(縦框22)と、枠体(縦枠32(図6))が金属製であり、框(縦框22)には、火災時において、框(縦框22)からのガラス20の外れを防止するための外れ止め部材82が設けられることとしている。
これにより、火災時には、框(縦框22)からのガラス20の外れが防止され、高い防火性能を発揮することができる。なお、この外れ止め部材82は、枠(縦框22(図2))を補強する補強部材としても機能することになる。
また、図6に代表的に示されるように、外れ止め部材82は、ガラス20を嵌め込むための框(縦框22)の溝状の空間22f内に収められる、こととしている。
これにより、外れ止め部材82を框(縦框22)の内側に隠すことが可能となり、隠し框構造において、外れ止め部材82によって美観が損なわれることがない。
また、図9(B)に代表的に示されるように、外れ止め部材82は、框(縦框22)の長手方向に沿って設けられる長尺部材であって、框(縦框22)の長さよりも短く構成されることとしている。
図9(B)の例では、縦框22について、縦框22の約2/3の長さの外れ止め部材82を設けた構成としている。同様に、縦框23については、縦框23の約2/3の長さの外れ止め部材83を設けた構成としている。同様に、上框21については、上框21の約1/2の長さの外れ止め部材81を設けた構成としている。下框24については、下框24の約1/5の長さの二つの外れ止め部材84を間隔を空けて設けた構成としている。
これにより、例えば、サイズの異なるサッシが存在し、各サッシの框の長さ寸法が異なる場合においても、各框の長さ寸法に一対一で対応する長さの外れ止め部材を準備する必要がなく、外れ止め部材について部品の共用化が図られる。また、例えば、寸法が1mm単位で設計される特注サイズのサッシの場合には、框の長さが適宜設計されるものであるが、外れ止め部材が框よりも短いものとしておくことにより、特注サイズのサッシにも対応することが可能となる。
なお、外れ止め部材の長さは、適宜設定することが可能であるが、例えば、図9(B)のように縦寸法の長い縦滑り出し窓1の場合には、その長手となる方向の縦框22の寸法に対して、1/2よりも長く構成されることが好ましい。また、一本の連続ものではなく、複数のパーツを間隔を空けて配置することで、全体として1/2よりも長い範囲において、外れ止めの機能が実施されることとしてもよい。
また、図5及び図9(B)に示すごとく、障子2は、矩形のガラス20を框組みしてなるものであり、四隅のコーナー部Ka〜Kdにおいて、少なくとも、互いに対角関係にある二箇所のコーナー部Ka,Kcの近傍において、外れ止め部材81,82,84が配置されることとしている。
これにより、上下左右の四隅における対角位置において、効果的に外れ止めを抑制することができる。即ち、上下方向において少なくとも一箇所、左右方向において、少なくとも一箇所において、外れ止めを抑制できることとなる。なお、近傍とは、框の長さ方向において、その中心よりもコーナー部Ka〜Kd側に近い側をいうものである。
また、図5及び図9(B)に示すように、サッシ(縦滑り出し窓1)は、吊り元側を基点として回動する滑り出し窓であって、サッシ(縦滑り出し窓1)の上部に水平方向に配置される框(上框21)に設けられる外れ止め部材81は、框(上框21)の長手方向において、吊り元側(図9(B)における吊り元TM側)に設けられる、こととしている。
これにより、火災の際に框から外れ易いガラスの上部において、ガラス20が外れてしまうことをしっかりと抑制できることになる。なお、ガラスの下部においては、その自重が下框24に作用することになるため、比較的ガラス20が外れ難いものとなる。また、吊り元側にフリクションロック機構91が設けられ、このフリクションロック機構91が樹脂部品を有する場合においては、この樹脂部品の発火に伴う框(上框21)の強度低下が懸念されるため、特に吊り元側に外れ止め部材81を設けることが好ましい。また、戸先側(図9(B)における戸先TS側)について閉ロック機構96(図7)が設けられる形態については、閉ロック機構96によって戸先側がしっかりと保持されることから、この閉ロック機構96がない吊り元側に外れ止め部材81を設けることが好ましい。
なお、図9(C)に示すように、横滑り出し窓1Aでの実施形態では、サッシ(横滑り出し窓1A)の側部に位置し上下方向に配置される框(縦框22A,23A)に設けられる外れ止め部材82A,83Aは、框(縦框22A,23A)の長手方向において、吊り元TM側に設ける形態とすることが考えられる。
また、図10(A)に代表的に示されるように、外れ止め部材82については、少なくとも、ガラス20の室外側面20aに対向する部位を有し、火災時において、ガラス20の室外側面20aを保持するための対向面部82aを有する、こととしている。
これにより、火災時においては、ガラス20の室外側面20aが保持され、ガラス20が室外側へ外れてしまうことを効果的に防止できる。特に、框(縦框22)の室外側の縦面を構成する見付面部22aは、外部に露出しており、室外側で火災が生じた際に炎に直接さらされることになるため、室内側の縦面を構成する見付面部22bと比較して温度上昇がし易く、変形がし易いものとなることから、対向面部82aを設けることが好ましい実施形態となる。逆に、室内側の縦面を構成する見付面部22bは、室内側で火災が生じた場合であっても、縦枠32の室内側枠部32bが存在するなどして、室内側の炎に直接さらされることがないため、変形がし難い構成となる。ただし、室内側の変形の可能性も考慮して、略コ字断面の外れ止め部材を構成することとしてもよい。
なお、本実施形態では、外れ止め部材82は、図11(A)にも示されるように、略L字状の長尺金具にて構成することとし、ガラス20の室外側面20aに対抗する対向面部82aと、框(縦框22)の見込面部22cにビス固定されるための固定面部82bと、を有する構成としている。
また、図10(A)及び図11(B)に示されるように、建物開口部の室外側の周囲には、凹み部301,302が設けられ、凹み部301,302に、縦枠および横枠により組まれた枠体の室内側見付け面部の室内側の面(縦枠32における取付片332、縦枠33における取付片333)を、凹み部の壁面303,304に当接させて設置することにより、枠体が建物開口部の室内側から見て室内側開口部構成部材(窓額縁76、77や樹脂製アングル72,73)、により隠蔽された構造とし、枠体に開閉可能に配置される障子2の框(縦框22)には見付方向Nにおいて外側に突出する反り防止金具92が設けられ、框(縦框22)の見付方向Nにおいて外側に配置される枠体(縦枠32)には見付方向N内側に突出し反り防止金具92に対向する反り防止金具93が設けられ、図10(B)に示すごとく、火災時における障子2を構成する部材の熱による伸びにより縦框22が見付方向Nにおいて外側にずれた際に、両反り防止金具92,93同士が接触する構成としている。
これにより、火災時における縦框22の反りが抑制され、縦枠32と縦框22の間の隙間増大によって発火することが防止され、また、障子2全体としての反りの抑制による障子2の外れ防止やガラス20の破損防止が図られる。
また、図9(B)に示されるように、反り防止金具92,93は、上下方向(縦框22と縦枠32の長手方向)の複数箇所に設けられる、こととしている。
これにより、上下方向の複数箇所において、縦框22の反りや、障子2全体としての反りを抑制することができる。
また、縦枠32に設けられる反り防止金具93は、縦框22に設けられる反り防止金具92よりも室外側に設けられる、こととする。
これにより、火災時には、縦框22に設けられる反り防止金具92の室外方向への移動が、縦枠32に設けられる反り防止金具93によって規制され、障子2が室外方向に外れることを抑制できる。
また、図10(A)及び図11(B)に示すごとく、両反り防止金具92,93には、平面視において、室外側よりも室内側が見付方向Nにおいて外側に配置されるような傾斜を有する当接面92a,93aがそれぞれ形成され、当接面92a,93a同士が接触する構成としている。
これにより、図10(B)に示すごとく、火災時において当接面92a,93a同士が面で接触することにより、その接触面を広く確保することができる。また、傾斜を設定することで、障子2の開閉時において、反り防止金具92,93同士が干渉して開閉の妨げが生じないようにすることができる。
なお、図6及び図10(A)に示すように、反り防止金具92は、その取付面部92cが縦框22の見込面部22cに対しビス92bにより固定され、反り防止金具93は、その取付面部93cが縦枠32の見込面部32dに対してビス93bにより固定される。