以下に、本発明に係る駐車支援装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
[実施例]
本発明に係る駐車支援装置の実施例を図1から図5に基づいて説明する。
駐車支援装置には、駐車支援制御の演算処理を行う図1に示す電子制御装置(以下、「駐車支援ECU」と云う。)1と、周辺監視制御の演算処理を行う図1に示す電子制御装置(以下、「周辺監視ECU」と云う。)2と、が設けられている。その駐車支援制御とは、駐車領域に自車を駐車させる際の支援制御のことであり、例えば駐車領域への自車の誘導支援を行う。駐車支援ECU1は、その駐車支援制御のみならず、駐車領域から自車を退出させる際の退出支援制御の演算処理も行う。周辺監視制御とは、その駐車支援制御や退出支援制御を行う際に自車の周辺に存在する物体等を監視する制御のことである。
その駐車支援ECU1と周辺監視ECU2による演算処理は、制御指示部10の出力信号の受信を契機にして開始する。その制御指示部10は、運転者が駐車支援制御又は退出支援制御を開始又は停止させる際に操作するスイッチ等であり、車室内に設けられている。この制御指示部10は、駐車時の駐車支援制御と退出時の駐車支援制御とを分けて指示できるものである。この例示では、駐車支援制御の開始指示操作によって駐車支援制御が周辺監視制御と共に始まり、退出支援制御の開始指示操作によって退出支援制御が周辺監視制御と共に始まる。また、この例示では、各々の停止指示操作によって駐車支援制御又は退出支援制御が周辺監視制御と共に止まる。
尚、この駐車支援装置においては、周辺監視ECU2の演算処理機能を駐車支援ECU1に持たせてもよく、この場合、必ずしも周辺監視ECU2を設ける必要はない。
更に、この駐車支援装置には、自車の周辺情報を検出する周辺情報検出装置が設けられている。その周辺情報検出装置は、自車の周辺の物体を検出する為に利用するものである。この周辺情報検出装置としては、レーザ光、超音波、電波等によって検出を行うものが考えられる。また、この周辺情報検出装置としては、撮像装置を利用してもよい。この例示では、レーザ装置21が設けられている。レーザ装置21は、自車の周辺に向けてレーザ光を走査しながら照射するものであり、そのレーザ光によって自車の周辺の物体を検出する為に利用する。このレーザ装置21は、その照射範囲が広くなる様に広角のものを用いることが好ましい。また、このレーザ装置21は、車両に少なくとも1つ設ける。レーザ装置21は、例えば、少なくとも自車の駐車領域までの誘導経路の方向に向けてレーザ光を照射及び走査させることが可能な場所で、且つ、少なくとも自車の駐車領域からの退出経路と自車の進入する走行路とに向けてレーザ光を照射及び走査させることが可能な場所に配備する。例えば、後進での駐車支援制御又は退出支援制御を行う場合には、車両後部にレーザ装置21を配設すればよい。また、前進での駐車支援制御又は退出支援制御を行う場合には、車両前部にレーザ装置21を配設すればよい。また、このレーザ装置21は、車両の左側部や右側部に設けてもよい。この例示においては、図2等に示す様に、レーザ装置21を駐車領域P8に停めている自車Cの前部と後部と左側部と右側部とに夫々1つずつ配設している。
レーザ装置21は、周辺監視ECU2に有線又は無線で接続されており、照射するレーザ光の情報(強度や走査位置等)と反射光の情報(強度や受光までの時間等)を周辺監視ECU2に送信する。ここで、レーザ装置21の照射部及び受光部からレーザ光の反射位置までの距離(反射距離)は、車両におけるレーザ装置21の搭載位置(主に照射部及び受光部の路面からの高さ位置)とレーザ光の走査位置(車両上下方向におけるレーザ光の照射角度と水平方向におけるレーザ光の照射角度)と反射光を受光するまでの時間とから演算可能である。この反射距離の演算は、周辺監視ECU2が行ってもよく、レーザ装置21が行ってもよい。この反射距離の演算をレーザ装置21が行う場合、レーザ装置21は、この反射距離の情報も周辺監視ECU2に送信する。このレーザ装置21は、その動作が周辺監視ECU2のレーザ光制御部によって制御される。
この駐車支援装置は、自車の周辺の物体を検出し、その物体が自車の障害物となるのか否かを判定する。これが為、周辺監視ECU2には、自車の周辺の物体を検出する物体検出部と、検出された物体が自車の障害物であるのか否かを判定する障害物判定部と、が設けられている。その物体は、動的物体の場合もあれば、静的物体の場合もある。動的物体とは、走行中の自動車や自転車、歩行者等の動きのある物体のことを云う。また、静的物体は、動きの無い物体のことであり、停車中の自動車や電柱や壁等の不動産などのことを云う。
ここで、物体検出部は、周辺情報検出装置の検出結果を用いて自車の周辺における物体の存在を検出する。ここでは、物体検出部がレーザ光と当該レーザ光の反射光とに基づいて自車の周辺における物体の存在を検出する。その検出は、この技術分野において周知の手法によって行う。例えば、この物体検出部は、レーザ光の反射強度(レーザ光に係る反射光の反射信号強度)が所定の閾値(以下、「物体判定閾値」と云う。)以上になっているのか否かを判定する。その物体判定閾値は、従来と同じ様にして設定された閾値であり、実験やシミュレーションの結果に基づいて決めればよい。従来の物体検出部は、そのレーザ光の反射強度が物体判定閾値よりも弱い場合、レーザ光の照射された領域に物体が存在していないと判定する。これに対して、この物体検出部は、そのレーザ光の反射強度が物体判定閾値以上の場合に、このレーザ光の反射位置の高さを演算し、その高さに基づいて当該レーザ光の照射された領域に物体が存在しているのか否かを判定する。その物体の存在の有無の判定は、次の様にして行う。
レーザ光の反射位置までの距離(反射距離)は、前述した様にして演算できる。ここで、レーザ光の照射方向に物体が存在しない場合の反射距離を基準反射距離とすると、その照射方向に物体が存在する場合は、反射距離が基準反射距離よりも短くなる。これが為、物体検出部は、その反射距離及び基準反射距離の差分とレーザ装置21の照射部の高さ位置とレーザ光の走査位置とに基づいて、レーザ光の反射位置の高さを求めることができる。例えば、物体検出部には、反射距離が基準反射距離と同じ場合、レーザ光の反射位置の高さを0と演算させる。この場合には、レーザ光が路面で反射していることが判る。一方、物体検出部は、反射距離が基準反射距離よりも短い場合、レーザ光の反射位置の高さを正の値に演算する。故に、この場合には、レーザ光の照射された領域で且つ路面よりも高い位置に何かしらの物体が存在していることが判る。また、反射距離が基準反射距離よりも長い場合には、レーザ光の反射位置の高さが負の値に演算される。この場合には、例えばレーザ光の照射された領域の路面の凹みで当該レーザ光が反射していることが判る。
物体検出部には、レーザ光の反射位置の高さが演算された場合、その高さと所定の閾値(以下、「高さ判定閾値」と云う。)とを比較させる。この物体検出部には、レーザ光の反射強度が物体判定閾値以上の場合で、且つ、その高さが高さ判定閾値よりも高い場合に、その反射位置の領域に物体が存在していると判定させる。一方、この物体検出部には、レーザ光の反射強度が物体判定閾値以上の場合で、且つ、その高さが高さ判定閾値以下の場合、その反射位置の領域に物体が存在していないと判定させる。例えば、路面から僅かでも突出している物体を障害物と定義するのであれば、高さ判定閾値は、路面の高さ位置(つまり0)に設定する。一方、駐車場によっては、車輪が物体を乗り越えなければならない所(例えばコインパーキング等)もある。これが為、高さ判定閾値は、例えば、その様な乗り越え可能な物体の路面からの高さよりも高く、且つ、車輪の輪留めの路面からの高さよりも低い正の値に設定してもよい。
周辺監視ECU2の障害物判定部は、物体検出部の検出した物体が自車の障害物であるのか否かを判定する。例えば、この障害物判定部は、自車の誘導経路上や退出経路上に物体が検出された場合、その物体を障害物と判定する。また、この障害物判定部は、駐車領域上に存在している物体についても障害物と判定する。また、この障害物判定部は、自車の誘導経路や退出経路の候補となる領域に存在している物体についても障害物と判定する。また、この障害物判定部は、自車の進行方向に存在している物体についても障害物と判定する。その際には、その物体が動的物体であれば動的障害物と判定し、その物体が静的物体であれば静的障害物と判定する。この駐車支援装置は、自車の周辺に障害物が存在すると判定された場合、その障害物の存在を運転者に報知したり、運転者への警告を行ったりすることができる。これが為、周辺監視ECU2には、運転者への報知や警告を行う報知部が設けられている。
ここで、レーザ光の反射位置の高さが高さ判定閾値よりも低い場合、その判定結果には、その高さが負の演算値になっている場合(つまり路面に凹みがある場合や路面の境目の向う側に凹み段差がある場合)も含まれる。そして、その凹みは、その深さや広さにも依るが、車輪がはまる大きさのものであれば、車両の進入を避けるべき静的障害物と云える。また、凹み段差の先の領域(土地)は、車両の進入が不可能な領域又は車両の進入が拒まれている領域と考えられ、車両の進入を避けるべき静的障害物と云える。これが為、障害物判定部には、高さ判定閾値が0に設定されている場合、レーザ光の反射位置の高さが高さ判定閾値よりも低く、物体の存在が検出されなければ、その路面の凹み等による静的障害物であると判定させる。また、障害物判定部には、高さ判定閾値が正の値に設定されている場合、レーザ光の反射位置の高さが高さ判定閾値よりも低く、物体の存在が検出されなければ、その高さがもう1つの新たな高さ判定閾値(=0)よりも低いときに、路面の凹み等による静的障害物であると判定させる。この場合には、最初に使う高さ判定閾値(>0)を第1高さ判定閾値と云い、もう1つの新たな高さ判定閾値(=0)を第2高さ判定閾値と云う。従って、障害物判定部とは、物体検出部の検出結果を利用すると否とに拘わらず、レーザ光と当該レーザ光の反射光とに基づいて自車の周辺の障害物の存在を検出及び判定するものと云える。尚、この障害物判定部には、物体検出部の演算処理機能を持たせることも可能である。
この駐車支援装置は、前述した様に、駐車支援制御や退出支援制御を行う。これが為、駐車支援ECU1には、駐車支援制御を行う駐車支援制御部と退出支援制御を行う退出支援制御部とが設けられている。また、この駐車支援ECU1には、自車の駐車領域の生成を行う駐車領域演算部と、自車の駐車領域からの退出先を決める退出先演算部と、駐車させる際の自車の誘導経路や駐車領域から退出させる際の自車の退出経路の生成を行う経路生成部と、が設けられている。
駐車領域演算部は、物体検出部(又は障害物判定部)で検出された物体に基づいて自車の駐車領域を決める。例えば、この駐車領域演算部は、物体検出部(又は障害物判定部)で検出された物体に基づいて複数台分の駐車領域の中から物体(又は障害物)の存在していない駐車領域を選択し、選択された駐車領域が1台分だけであれば当該駐車領域を自車の駐車領域と定める一方、選択された駐車領域が複数台分存在していれば当該各駐車領域の中から自車の駐車領域を定める。更に、この駐車領域演算部には、運転者が上記の表示装置のタッチパネル等から与えた指示(運転者の望む駐車領域の指示)に基づいて、自車の駐車領域を決めさせてもよい。
退出先演算部は、運転者が上記の表示装置のタッチパネル等から与えた指示(運転者の望む右折や左折等の如き退出先の指示)に基づいて、自車の退出先を決めることができる。また、この退出先演算部は、カーナビゲーションシステム(図示略)で自車の行き先が設定されている場合、その案内経路に従った自車の退出先を決めることができる。
経路生成部は、自車の現在位置から駐車領域までの誘導経路又は自車の駐車領域から退出先までの退出経路を生成する。その自車の誘導経路や退出経路は、物体検出部で検出された物体(又は障害物判定部で検出された障害物)を避けることができるものとする。その際に避けるべき物体(又は障害物)は、静的物体(又は静的障害物)である。動的物体(又は動的障害物)は、その場から離れる可能性が高いからである。但し、その動的物体(又は動的障害物)が所定時間経過しても検出され続けている場合には、この動的物体(又は動的障害物)も避けるように自車の誘導経路や退出経路の生成を行う。更に、この経路生成部には、運転者が表示装置のタッチパネル等から与えた指示(運転者の望む誘導経路や退出経路の指示)に基づいて、自車の誘導経路又は退出経路を生成させてもよい。
図2は、駐車領域P1〜P10を有する駐車場内において、駐車領域P8に前向きに駐車している自車Cを場内の通路へと後進で退出(出庫)させる際の一例を示したものである。また、図3は、店舗の駐車場(駐車領域P1〜P3)で駐車領域P2に前向きに駐車している自車Cを店舗の前の道路(例えば幹線道路)へと後進で退出(出庫)させる際の一例を示したものである。これらにおける自車Cは、退出後に紙面右側へと進行するので、後進で紙面左側の退出先へと退出経路に沿って退出する。従って、退出先演算部は、自車Cよりも紙面左側に自車の退出先を定める。そして、経路生成部は、駐車領域P8から退出先までの退出経路(破線)を生成する。
駐車支援制御部は、自車の現在位置から駐車領域までの誘導経路を自車や周辺の障害物等と共に例えば車室内の表示装置(図示略)へと表示させることができる。その際には、その誘導経路に沿うように運転者が自車を動かせばよく、運転者にとって有用な運転支援となる。また、これと同じ様に、退出支援制御部は、自車の駐車領域からの退出経路を自車や周辺の障害物等と共に例えば車室内の表示装置へと表示させることができる。その際には、その退出経路に沿うように運転者が自車を動かせばよく、これも運転者にとって有用な運転支援となる。
また、駐車支援制御部は、その表示と共に又は当該表示を行わずに、操舵ECU3とエンジンECU4と制動ECU5の内の少なくとも1つに指令を送り、自車の現在位置から駐車領域までの移動を支援するものであってもよい。これと同じ様に、退出支援制御部は、その表示と共に又は当該表示を行わずに、操舵ECU3とエンジンECU4と制動ECU5の内の少なくとも1つに指令を送り、自車の駐車領域からの退出時の移動を支援するものであってもよい。操舵ECU3は、運転者の操舵操作の有無に拘わらず転舵輪の転舵角を制御することのできる電子制御装置である。エンジンECU4は、運転者のアクセル操作の有無に拘わらずエンジンの出力制御を行うことのできる電子制御装置である。制動ECU5は、運転者の制動操作の有無に拘わらず車輪の制動力を制御することのできる電子制御装置である。従って、駐車支援制御部又は退出支援制御部は、誘導経路又は退出経路に沿った転舵輪の転舵角だけを制御するものであってもよく、現在位置から駐車領域までの間の又は駐車領域からの退出を終えるまでの間のエンジン出力だけを制御するものであってもよく、現在位置から駐車領域までの間の又は駐車領域からの退出を終えるまでの間の制動力だけを制御するものであってもよい。更に、この駐車支援制御部又は退出支援制御部は、操舵ECU3とエンジンECU4と制動ECU5の全てに指令を送り、自車の現在位置から駐車領域までの誘導経路に沿った自動走行又は駐車領域からの退出経路に沿った自動走行を実行させるものであってもよい。つまり、この駐車支援制御部は、自車を駐車させる際に、自車の加減速制御や操舵制御等の走行制御を行うことで、自車を駐車領域に自動走行で誘導することができるものであってもよい。また、退出支援制御部は、自車を駐車領域から退出させる際に、自車の走行制御を行うことで、自車を駐車領域から自動走行で退出させることができるものであってもよい。
ここで、自動走行による退出支援(以下、「自動出庫支援」と云う。)を実施しない方が良い場合とは、例えば、退出経路と交差する道路上又は通路上に検出された動的障害物が自車に近づいてくる場合で、且つ、この動的障害物と自車との距離を自車が退出し終えるまで所定距離以上確保できない場合である。この場合、退出支援制御部には、その動的障害物が少なくとも自車から離れ始めるまで、自動出庫支援を中断させる。その動的障害物の動きは、物体検出部(又は障害物判定部)の検出結果を利用して判断すればよい。また、その所定距離は、自車と動的障害物とが接触しない距離であることは当然のことながら、その退出経路と交差する道路上又は通路上で当該道路等に進入した直後の自車と動的障害物とが近づき過ぎない距離に定める。自車と動的障害物とが近づき過ぎない距離とは、例えば、自車の進入に伴い動的障害物に急制動させない距離のことである。この所定距離は、その動的障害物の移動速度が速いほど長くする。その移動速度は、物体検出部(又は障害物判定部)の検出結果を利用して判断すればよい。
例えば、この自動出庫支援を実施しない方が良い場合とは、図2に示す状況に相当する場合である。この図2の駐車場においては、退出経路(破線)と交差する通路上に、自車Cに近づいてくる他車Caや歩行者Hが検出されている。従って、自車Cの退出支援制御部は、その他車Caや歩行者Hが自車Cから離れ始めるまで(より好ましくは検出範囲から外れるまで)、自動出庫支援を中断する。この退出支援制御部は、その際に、自車Cが退出し始める前であれば、自車Cを駐車領域P8に留めたままにし、自車Cが退出し始めていたならば、その場所で自車Cを停車させる。そして、退出支援制御部は、他車Caや歩行者Hが自車Cから離れ始めた後(より好ましくは検出範囲から外れた後)、自動出庫支援制御を再開する。この退出支援制御部は、自動出庫支援の中断対象となる新たな動的物体(又は動的障害物)が検出されたならば、再び自動出庫支援制御の中断と再開とを繰り返し、その様な新たな動的物体(又は動的障害物)が検出されなければ、自車Cを駐車領域P8から完全に退出させる。
これに対して、自動出庫支援を実施しても良いと考えられる場合とは、例えば、退出経路と交差する道路上又は通路上に動的障害物が検出されなかった場合(図3)、その道路上又は通路上に動的障害物が検出されていても当該動的障害物が自車から離れていく場合(図2における自動出庫支援制御の再開後に相当する場合)である。更に、その道路上又は通路上に検出された動的障害物が自車に近づいてくるとしても、この動的障害物と自車との距離を自車が退出し終えるまで上記の所定距離以上確保できる場合には、自動出庫支援を実施しても良いと考えられる。尚、その図3は、退出先の道路(幹線道路)に面する歩行者用の通路(歩道)まで後述する自動出庫支援制御を行った状態であり、その歩道と幹線道路との境界部分まで自車Cを退出させている。
この様な自動出庫支援の実施が可能であると思われる場合でも、その退出経路と交差する道路又は通路においては、自車における物体(又は障害物)の検出範囲外に動的物体(動的障害物)が存在していることもある。図3は、この状態についても表しており、その道路上の自車Cにおける物体(又は障害物)の検出範囲外に自車Cへと近づいてくる他車Caが存在している。ここで、その検出範囲とは、自車における物体(又は障害物)の最大検出範囲(つまりレーザ光の最大照射範囲)である。そして、その最大検出範囲内に物体(又は障害物)が存在している場合、その物体(又は障害物)の更に先の領域は、この物体(又は障害物)によってレーザ光が遮られるので、最大検出範囲内であっても検出範囲外とする。
その退出経路と交差する道路上又は通路上における検出範囲外に動的物体(又は動的障害物)が存在している場合、その動的物体(又は動的障害物)は、自車に近づいてくるものであれば、自車の物体検出部(又は障害物判定部)で何れ検出される。その物体検出部(又は障害物判定部)は、その動的物体(又は動的障害物)の移動速度が速いほど、この動的物体(又は動的障害物)を自動出庫支援の実施中に検出する可能性が高い。これが為、この駐車支援装置においては、その動的物体(又は動的障害物)の移動速度が速いほど、自動出庫支援の中断を必要とする可能性が高くなる。しかしながら、その検出範囲外の動的物体(又は動的障害物)については、その存在のみならず、自車でその移動速度を把握することも難しい。従って、このままでは、その動的物体(又は動的障害物)の移動速度が速いほど、自車との距離が上記の所定距離にまで近づいてしまう可能性が高くなる。
ここで、この動的物体(又は動的障害物)の移動速度は、一般的に、この動的物体(又は動的障害物)の移動している道路又は通路の幅が広いほど速くなる。特に、この関係は、その動的物体(又は動的障害物)が自動車や自転車等の車両である場合に当て嵌まる。例えば、図2の様な駐車場では、自車Cの退出先である通路の幅が1台の自動車が走行できる又は2台の自動車が併走できる程度の広さであり、幹線道路等と比べると狭いので、この通路を移動する他車Caの移動速度が幹線道路上の移動速度よりも遅くなる。また、例えば住宅街等では、住居等の駐車場からの退出先である道路の幅が1台の自動車が走行できる又は2台の自動車がすれ違える程度の広さであり、図2の駐車場等と同じ様に、その道路を移動する車両の移動速度が遅い。一方、片側一車線等の如く車線が区画された車両用の道路においては、駐車場内の通路や住宅街等の道路と比較すると、車両の移動速度が速くなる。この車両用の道路では、車線が多いほど幅が広くなる。これが為、片側が二車線以上の道路では、片側一車線の道路と比べて、制限速度の範囲内で車両の移動速度が速くなる。この様に、退出経路と交差する道路上又は通路上での動的物体(又は動的障害物)の移動速度は、その道路又は通路の幅が広いほど速くなると云える。
そこで、本実施例の駐車支援制御部には、自車の退出経路と交差する道路又は通路の幅に基づいて、駐車領域からの自動出庫支援を実行するのか否か判定させる。
その道路又は通路の幅は、例えば、レーザ装置21のレーザ光と当該レーザ光の反射光とに基づいて演算することができる。その演算は、周辺監視ECU2の交差路情報演算部が行う。この場合には、自車の物体検出部(又は障害物判定部)の検出結果を利用して道路又は通路の幅を求めてもよい。また、道路又は通路の幅は、レーザ装置21と略同等の場所に撮像装置(図示略)を配置し、この撮像装置の撮影した画像情報や映像情報に基づいて演算してもよい。また、その道路又は通路の幅の情報が含まれている場合には、例えばカーナビゲーションシステムの地図情報と自車位置情報とを利用して道路又は通路の幅の演算を行ってもよい。
更に、交差路情報演算部は、別の情報を用いて道路又は通路の幅の情報を得てもよい。例えば、図2の例示では、自車Cの退出初動時の退出方向に存在する静的障害物(駐車領域P3の他車C0)と自車Cとの距離Dが、自車Cの退出経路と交差する通路の幅に相当する。従って、この場合、交差路情報演算部には、その距離Dを演算させる。自車の退出初動時の退出方向とは、退出支援制御によって自車が駐車領域から移動し始めたときの移動方向のことである。具体的には、前進で退出し始めるのであれば前進方向、後進で退出し始めるのであれば後進方向のことである。その退出方向に存在する静的障害物としては、壁やフェンス、側溝なども該当する。
また、図2の例示で駐車領域P3に他車C0が存在していない場合、交差路情報演算部は、例えば、その周囲の駐車領域P2,P4等に停まっている他車C0からのレーザ光の反射光に基づいて、自車Cから自車Cの退出初動時の退出方向における駐車領域P3の通路側までの距離を演算してもよい。この場合、退出支援制御部は、その距離に基づいて又は当該距離をその退出方向に存在すると仮定した静的障害物と自車Cとの距離Dに置き換えて、自動走行による駐車領域からの退出支援を実行するのか否か判定する。また、この場合、交差路情報演算部は、その駐車領域P3を区画する線(白線等)を撮像装置等で検出し、その線の通路側の位置と自車Cとの距離を演算してもよい。
また、図3の例示では、自車Cの退出初動時の退出方向に存在する道路に面した反対車線側の歩道の凸段差が当該退出方向に存在する静的障害物となる。これが為、この場合には、その歩道と自車Cとの距離Dが自車Cの退出経路と交差する道路の幅に相当する。尚、この図3の道路においては、車道と歩道との間に自転車の走行路が設けられている。
退出支援制御部は、その道路若しくは通路の幅又は距離Dが所定値以下であるのか否かを判定する。換言するならば、この退出支援制御部は、その道路上又は通路上の動的物体(又は動的障害物)の移動速度が所定速度以下であるのか否かを判定していることになる。その所定値と所定車速は、一意の対応関係をもっており、所定値が決まれば所定車速が定まり、所定車速が決まれば所定値が定まる。例えば、自車は、退出支援制御中(自動出庫支援制御中)に自車の検出範囲に入ってきた動的物体(又は動的障害物)との距離が上記の所定距離よりも縮まってしまう可能性がある場合、その自動出庫支援を中断する。従って、例えば、自車の検出範囲の直ぐ外に存在する動的物体(又は動的障害物)が自車の検出範囲に入った場合に、その後、この動的物体(又は動的障害物)と自車との距離が上記の所定距離以上のまま保てるのであれば、この動的物体(又は動的障害物)の移動速度を所定速度として決めればよい。故に、上記の所定値は、その所定速度に応じた値、つまり、この動的物体(又は動的障害物)の移動速度が道幅から考えて最大速度になると推定される道路若しくは通路の幅又は距離Dに決めればよい。
退出支援制御部は、その道路若しくは通路の幅が所定値以下の場合又は距離Dが所定値以下の場合、仮に自動出庫支援制御中に自車の検出範囲に動的物体(又は動的障害物)が入ってきたとしても、この動的物体(又は動的障害物)と自車との距離を上記の所定距離以上のまま保つことができると判断して、駐車領域からの自動出庫支援の実行を許可する。この駐車支援装置では、自車の退出する方向を把握するべく、その判定を行う前に上述した退出先や退出経路の生成を行っておく。これにより、この駐車支援装置は、物体検出部(又は障害物判定部)で自車に近づく動的物体(又は動的障害物)が検出されていなければ、自車を自動走行で退出させ始め、自車に近づく動的物体(又は動的障害物)が検出されていれば、この動的物体(又は動的障害物)が自車から離れ始めてから自車を自動走行で退出させ始めることができる。
ここで、自動出庫支援制御中に自車の検出範囲に入ってきた動的物体(又は動的障害物)は、必ずしも上記の所定速度以下で移動しているとは限らない。これが為、実際に自車の検出範囲に動的物体(又は動的障害物)が入ってきた場合、退出支援制御部には、物体検出部(又は障害物判定部)の検出結果に基づいて、実行中の自動出庫支援の継続又は中断を判定させる。
一方、退出支援制御部は、その道路若しくは通路の幅が所定値よりも広い場合又は距離Dが所定値よりも長い場合、仮に自動出庫支援制御中に自車の検出範囲に動的物体(又は動的障害物)が入ってきたとすると、この動的物体(又は動的障害物)と自車との距離を上記の所定距離以上のまま保つことができない可能性があると判断して、駐車領域からの自動出庫支援の実行を禁止する。この場合、周辺監視ECU2の報知部は、例えば表示装置への表示や音声等を用いて、自動走行での退出支援が実行できないと運転者に知らせる。また、この場合でも、退出支援制御部は、自動走行以外の退出支援(表示装置への退出経路の表示等)を行ってもよい。運転者は、その情報に基づいて、自らの視覚による判断と操作で駐車領域から自車を退出させる。
この様に、この駐車支援装置は、自車の退出先の道路又は通路を移動する検出範囲外の動的物体(又は動的障害物)の移動速度が検知できなくても、上述した道路等の幅又は距離Dに基づいて当該移動速度を推定することになる。つまり、この駐車支援装置では、その道路等の幅が狭い場合又は距離Dが短い場合、この道路等における動的物体(又は動的障害物)の移動速度が遅いと判断でき、その道路等の幅が広い場合又は距離Dが長い場合、この道路等における動的物体(又は動的障害物)の移動速度が速いと判断できる。従って、この駐車支援装置は、この道路等の幅が狭い場合又は距離Dが短い場合、自車の退出先の道路上又は通路上で自車に検出範囲外から近づいてくる移動速度の判らない動的物体(又は動的障害物)が検知されたとしても、自車を直ぐに停車させることができるので、自車を自動で安全に駐車領域から退出先へと退出させることができる。一方、この駐車支援装置は、この道路等の幅が広い場合又は距離Dが長い場合、その様な検出範囲外から近づいてくる移動速度の判らない動的物体(又は動的障害物)が検知されると、自車を直ぐに停車させたとしても、自車と動的物体(又は動的障害物)との距離が近づき過ぎる可能性があるので、この自動出庫支援の実行を禁止する。以上示した様に、この駐車支援装置は、安全に自動出庫支援を実行することができるので、特に道路等の幅が狭い場合又は距離Dが短い場合と云う退出時の自車の取り回しが難しい環境下で自動出庫支援を実施できるので、自車を駐車領域から退出させる際の安全性と利便性が向上する。また、この駐車支援装置では、自動出庫支援を安全に実行できない可能性がある場合、この自動出庫支援の実行を禁止するので、この点からも自車を駐車領域から退出させる際の安全性が向上している。
[変形例1]
前述した実施例では、自車の退出経路と交差する道路若しくは通路の幅が所定値よりも広い場合、又は、自車の退出初動時の退出方向に存在する静的障害物と自車との距離Dが所定値よりも長い場合、駐車領域からの自動出庫支援の実行を禁止する。これに対して、本変形例の駐車支援装置は、その様な場合でも、駐車領域からの自動出庫支援を実行させるものである。
本変形例の退出支援制御部は、自車の退出経路と交差する道路若しくは通路の幅が所定値よりも広い場合、又は、自車の退出初動時の退出方向に存在する静的障害物と自車との距離Dが所定値よりも長い場合に、自動走行による駐車領域からの退出時の自車の車速を上記の幅が所定値以下の場合又は上記の距離Dが所定値以下の場合よりも低くする。その低下させた車速は、例えば、自動出庫支援制御中に自車の検出範囲に動的物体(又は動的障害物)が入ってきたときに、この動的物体(又は動的障害物)と自車との距離を上記の所定距離以上のまま保つことができる速度に設定すればよい。また、この低下させた車速は、自動出庫支援制御中に自車の検出範囲に動的物体(又は動的障害物)が入ってきたときに、その場で直ぐに自車を停車させることのできる速度に設定してもよい。
この様に、本変形例の駐車支援装置は、自車を駐車領域から退出させる際の安全性を車速の低下によって確保ししつつ、自動出庫支援の適用範囲を実施例よりも拡張することができるので、利便性の更なる向上が図れる。
[変形例2]
本変形例の駐車支援装置は、退出経路と交差する道路又は通路に対する運転者の視認性が阻害されている場合に、その視認性が今よりも向上する場所まで自車を自動走行で退出させる、と云うものである。その運転者の視認性が阻害されている場合とは、その視認性を阻害する視認性阻害物が自車の側方に存在する場合のことである。その視認性阻害物は、静的物体に限らず、動的物体の場合もある。例えば、図2の例示では、駐車領域P7,P9に駐車されている他車C0のことである。また、図3の例示では、駐車領域P1,P3に駐車されている他車C0のことである。
例えば、自車の退出経路と交差する道路若しくは通路の幅が所定値よりも広い場合、又は、自車の退出初動時の退出方向に存在する静的障害物と自車との距離Dが所定値よりも長い場合であっても、その道路又は通路に対する運転者の視認性が阻害されている場合には、喩え少しだけでも今より視認性が向上する場所まで、その道路上又は通路上の動的物体(又は動的障害物)の有無を車両側で監視しながら自動走行で自車を退出させることができれば、運転者にとって利便性が高い。
そこで、本変形例の退出支援制御部には、自車の退出経路と交差する道路若しくは通路の幅が上記の所定値よりも広い場合、又は、自車の退出初動時の退出方向に存在する静的障害物と自車との距離Dが上記の所定値よりも長い場合で、且つ、その道路又は通路に対する運転者の視認性が阻害されている場合に、その運転者の視認性が今よりも向上する場所まで駐車領域からの自動出庫支援を実行させる。その際、退出支援制御部には、その自動出庫支援制御中に自車の検出範囲に動的物体(又は動的障害物)が入ってきて、この動的物体(又は動的障害物)と自車との距離を上記の所定距離以上のまま保つことができないと判定したならば、この自動出庫支援制御を中断させる。
ここで、この退出支援制御部は、運転者の視認性が阻害されているのか否かの判定を物体検出部(又は障害物判定部)の車両側方における検出結果に基づいて行う。例えば、自車の側方に物体(又は障害物)が検出された場合には、これを検出したレーザ装置21の搭載位置と物体(又は障害物)との位置関係、そして、このレーザ装置21の搭載位置と運転席との位置関係に基づいて、その物体(又は障害物)が運転者の視認性を阻害する視認性阻害物となるのか否か判定する。また、この退出支援制御部は、この判定と同じ方法で、自動走行による退出に伴い運転者の視認性が向上したのか否かの判定を行う。
また、この退出支援制御部は、その運転者の視認性が向上する場所までの自動出庫支援において、前述した変形例1の様に自車の車速を低下させることが望ましい。
以下に、この変形例における駐車支援装置の演算処理動作を図4のフローチャートに基づいて説明する。
駐車支援ECU1は、制御指示部10の出力信号(つまり駐車支援制御又は退出支援制御の制御開始指令)を受信したのか否かを判定する(ステップST1)。駐車支援ECU1は、その出力信号を受信していなければ、演算処理を一旦終わらせて、制御開始指令の受信を待つ。
一方、その出力信号を受信した場合、駐車支援ECU1は、その出力信号が退出支援制御の制御開始指令であるのか否かを判定する(ステップST2)。ここでは、自動出庫支援制御の制御開始指令であるのか否かが判定されている。その出力信号が退出支援制御の制御開始指令ではない場合、駐車支援ECU1は、ステップST19に進んで駐車支援制御を実行する。
尚、駐車支援ECU1は、制御指示部10の出力信号を受信した場合、周辺監視ECU2に指令を送信して、周辺監視制御を開始させる。そして、退出支援制御の制御開始指令を受信した場合には、退出先演算部に自車の駐車領域からの退出先を決定させ、経路生成部に自車の退出経路を生成させる。一方、駐車支援制御の制御開始指令を受信した場合には、駐車領域演算部に自車の駐車領域を決定させ、経路生成部に自車の駐車領域への誘導経路を生成させる。
退出支援制御の制御開始指令を受信した場合には、障害物判定部に自車の退出初動時の退出方向に存在する静的障害物を検出させ、その静的障害物と自車との距離Dを交差路情報演算部に演算させる(ステップST3)。例えば、図2の場合には、自車Cと駐車領域P3の他車C0との距離Dが演算される。図3の場合には、自車Cと自車Cの退出初動時の退出方向に存在する道路に面した反対車線側の歩道との距離Dが演算される。この図3の場合には、退出支援制御部が自車Cを店舗側の歩道と自転車の走行路との境目まで自動走行で後退させてから、交差路情報演算部に自車Cと反対車線側の歩道との距離Dを演算させる。尚、このステップST3において静的障害物が検出されなかった場合には、例えば、白線等で区画された駐車領域と自車との距離Dを演算してもよく、また、道路上の車線を表す白線等と自車との距離Dを演算してもよい。
退出支援制御部は、その距離Dが上記の所定値以下であるのか否かを判定する(ステップST4)。そして、退出支援制御部は、その距離Dが所定値以下であれば、後述するステップST5に進んで自動出庫支援制御を開始し、その距離Dが所定値よりも長ければ、後述するステップST14に進んで自動出庫支援制御を開始する。
距離Dが所定値以下の場合、退出支援制御部は、自動出庫支援制御を開始する(ステップST5)。尚、この時点では、自車を未だ移動させていない。
先ず、障害物判定部は、レーザ装置21のレーザ光に基づいて、自車に近づいてくる動的障害物(以下、「接近動的障害物」と云う。)が自車の周辺(自車のレーザ装置21の検出範囲内)に存在しているのか否かを判定する(ステップST6)。
接近動的障害物が存在していない場合には、自車を退出先へと移動させても良いと考えられるので、後述するステップST11に進む。一方、接近動的障害物が存在している場合、自車を退出先へと移動させることで自車と接近動的障害物とが近づき過ぎてしまう可能性があるので、障害物判定部は、自車と接近動的障害物との距離が上述した所定距離以上離れているのか否かを判定する(ステップST7)。
自車と接近動的障害物との距離が所定距離以上離れている場合、自車を退出先へと移動させても良いと考えられるので、後述するステップST11に進む。一方、自車と接近動的障害物との距離が所定距離以上離れていない場合、自車を退出先へと移動させることで自車と接近動的障害物とが近づき過ぎてしまう可能性が高いので、退出支援制御部は、自動出庫支援制御を中断する(ステップST8)。
障害物判定部は、自動出庫支援制御の中断の後、その接近動的障害物が自車から離れていくのか否かを判定する(ステップST9)。このステップST9の判定は、自動出庫支援の実行と共に自車と接近動的障害物とが近づき過ぎてしまう可能性があるのか否かを観るものである。従って、このステップST9では、例えば、自車と接近動的障害物との距離が所定距離以上離れたのか否かを判定してもよく、また、接近動的障害物が自車のレーザ装置21の検出範囲から外れたのか否かを判定してもよい。
退出支援制御部は、接近動的障害物が自車から離れていっていない場合、自動出庫支援制御の中断状態を継続させる。これに対して、退出支援制御部は、接近動的障害物が自車から離れていっている場合、自動出庫支援制御を再開する(ステップST10)。
障害物判定部は、自動出庫支援制御が再開された場合、又は、ステップST6で接近動的障害物が存在していないと判定した場合、レーザ装置21の検出範囲の外から入ってくる新たな接近動的障害物が存在していないのか否かを判定する(ステップST11)。
退出支援制御部は、新たな接近動的障害物が検知された場合、ステップST8に進んで自動出庫支援制御を中断する。一方、新たな接近動的障害物が検知されなかった場合、退出支援制御部は、自車を退出経路に沿って退出先まで自動走行で駐車領域から退出させる(ステップST12)。しかる後、退出支援制御部は、自動出庫支援制御を終了する(ステップST13)。
また、この退出支援制御部は、ステップST4で距離Dが所定値よりも長いと判定した場合、距離Dが所定値以下の場合よりも車速を落とした自動出庫支援制御を開始する(ステップST14)。尚、この時点では、自車を未だ移動させていない。
退出支援制御部は、障害物判定部の車両側方における判定結果を用いて、退出経路と交差する道路に対する運転者の視認性が悪いのか否かを判定する(ステップST15)。
退出支援制御部は、運転者の視認性が悪くない場合、ステップST6に進んで車速を落とした自動出庫支援制御を実施する。
一方、運転者の視認性が悪い場合、退出支援制御部は、運転者の視認性が向上する場所まで自車を自動走行させて、自動出庫支援制御を停止する(ステップST16)。その際には、接近動的障害物が検知されているならば、例えば自車と接近動的障害物との距離を上記の所定距離以上に保つことのできる範囲内で、運転者の視認性が向上する場所まで自車を自動走行させる。
退出支援制御部は、制御指示部10の出力信号に基づいて、退出支援制御が継続中であるのか否かを判定する(ステップST17)。
退出支援制御部は、退出支援制御が継続中でなければ(つまり運転者が退出支援制御の停止を指示した場合)、ステップST13に進んで自動出庫支援制御を終了する。
一方、退出支援制御部は、退出支援制御が継続中の場合(つまり運転者が退出支援制御の継続の意思を示している場合)、自動出庫支援制御を再開し(ステップST18)、ステップST6に進んで車速を落とした自動出庫支援制御を実施する。
この駐車支援装置は、以上示した様に、自車の退出先の道路又は通路を移動する動的障害物の移動速度について、自車の退出初動時の退出方向に存在する静的障害物又は駐車領域等と自車との距離D(つまり自車の退出先の道路又は通路の幅)に基づき推定している。そして、その距離Dが所定値以下であり、動的障害物の移動速度が遅い道路又は通路であると推定される場合には、自車の周囲の接近動的障害物の動きを監視しながら、自車を自動走行で退出先へと退出させる。この様に、本変形例の駐車支援装置は、自車の退出先の道路又は通路の幅が狭い環境下で、実施例と同じ様に、自車を駐車領域から退出させる際の安全性と利便性を向上させることができる。
一方、その距離Dが所定値よりも長く、動的障害物の移動速度が速い道路又は通路であると推定される場合には、自車の退出先の道路又は通路に対する運転者の視認性が確保されていれば、自車の周囲の接近動的障害物の動きを監視しながら、距離Dが所定値以下の道路又は通路の環境下と比較して、低い車速での自動走行で自車を退出先へと退出させる。従って、この駐車支援装置は、変形例1と同じ様に、自車を駐車領域から退出させる際の安全性を車速の低下によって得ることができる。
また、距離Dが所定値よりも長く、自車の取り回しが容易であっても、自車の退出先の道路又は通路に対する運転者の視認性が好ましくない場合には、接近動的障害物との間の距離を近づけ過ぎない距離を保ちつつ、距離Dが所定値以下の道路又は通路の環境下よりも低い車速での自動走行によって、運転者の視認性が向上する場所まで自車を退出させる。従って、この駐車支援装置は、運転者が自らの視覚を利用して安全に自車を退出させることができる。しかる後、運転者が退出支援制御の継続の意思を示しているときは、その低車速での自動走行による退出支援制御を再開させ、自車の周囲の接近動的障害物の動きを監視しながら、その低い車速での自動走行で自車を退出先へと退出させる。従って、この駐車支援装置は、運転者に退出支援制御の継続の意思があるならば、退出支援制御を一旦停止した後でも、自動走行で自車を退出先へと退出させることができる。
この様に、この駐車支援装置は、自車を駐車領域から退出させる際の安全性と利便性を向上させることができる。
ここで、この駐車支援装置においては、運転者が制御指示部10を押し続けているときだけ退出支援制御を実施させ、運転者が制御指示部10の操作を止めたときに退出支援制御を停止させるよう構成してもよい。但し、ステップST16においては、運転者が制御指示部10を押し続けていた場合でも、運転者の視認性が向上する場所まで自車を自動走行させたら自動出庫支援制御を停止させる。そして、この場合、退出支援制御部は、図5のフローチャートに示す様に、制御指示部10の制御開始指令を受信したままであるのか否か、つまり制御指示部10が運転者に押動され続けているのか否かを判定する(ステップST20)。退出支援制御部は、制御指示部10から指等が離されている場合、ステップST13に進んで自動出庫支援制御を終了する。一方、退出支援制御部は、制御指示部10が押動され続けている場合、自動出庫支援制御を実行する(ステップST21)。その自動出庫支援制御は、制御指示部10から指等が離されるまで継続させる。尚、図5において、ステップST20,ST21以外は、図4のフローチャートと同じである。