本発明の実施の形態に係る物品の選別集合システムおよび選別方法について説明する。以下の説明では、物品として鶏卵を選別する選別集合システムおよび選別方法について、好適な実施形態を、図面を用いて説明する。しかし、本発明に係る選別集合システムおよび選別方法は、種々の物品の選別集合に利用することができる。
[第1の実施例]
先ず、本発明の第1の実施の形態に係る鶏卵の選別集合システムS1について説明する。鶏卵の選別集合システムS1は、様々な物理的性状(たとえば、重量、ヒビの有無、汚れの有無、卵内異常の有無)を有する多数の鶏卵Eを受け、その物理的性状に基づいて、鶏卵Eを選別し、物理的性状ごとに選別した鶏卵Eを集合させる。
本発明の第1の実施の形態に係る選別集合システムS1は、図1に示すように、第1の方向(図1のX方向)に向けて、複数列で多数の鶏卵Eを搬送する第1の搬送ライン10と、第1の搬送ライン10の終端に接続され、第1の搬送ライン10から多数の鶏卵Eを受け、第1の方向と交差する第2の方向(図2のY方向)に向けて、単列で多数の鶏卵Eを搬送する第2の搬送ライン12と、第1の搬送ライン10から第2の搬送ライン12に鶏卵Eを移し替える移替装置11と、第2の搬送ライン12に接続され、第2の搬送ライン12を搬送される鶏卵Eを物理的性状に基づいて集合させる複数の集合区分14と、選別集合システムS1を制御する制御手段16とを備える。
第1の搬送ライン10は、不図示の上流側に、従来よく知られた、洗卵乾燥装置、方向整列装置を備える(たとえば、特開2002−53217参照)。第1の搬送ライン10を搬送される多数の鶏卵Eは、前記洗卵乾燥装置において、洗浄された後に乾燥される。多数の鶏卵Eは、洗浄および乾燥された後に、前記方向整列装置において、その鈍端と鋭端とを一定の方向に沿わせた状態に方向整列される。
第1の搬送ライン10は、図1に示されるローラ搬送部10Aを有し、ローラ搬送部10Aには、搬送幅方向(図1のY方向)に6列に並んだ多数のローラR(図5および図6参照)が設けられており、搬送方向(図1のX方向)に隣り合う一対のローラRが1つの鶏卵Eを挟持する。第1の搬送ライン10は、前記一対のローラRが鶏卵Eを挟持した状態で搬送方向に移動することにより鶏卵Eを搬送する、従来よく知られた、ローラバーコンベアである。
また、第1の搬送ライン10は、ローラ搬送部10Aの一部に、従来よく知られた、ヒビ卵検査置20A(たとえば、特開平9−47184号公報参照)、汚卵検査装置20B(たとえば、特開2008−309678号公報参照)、異常卵検査装置20C(たとえば、特開平11−41589号公報参照)、さらに下流側に、鶏卵の重量を計量する計量装置20D等の複数の計測検査装置20を備える。また、計量装置20Dに代えて、ローラ搬送部10Aには、たとえば、特開平9−150941号公報に記載の計量装置が設けられていてもよい。
複数の計測検査装置20は、鶏卵の物理的性状を計測または検出し、種々の卵の物理的性状データDを生成する。鶏卵の物理的性状データDは、図2〜5に示すように、たとえば、ヒビの判別データDa1、卵殻色の判別データDa2、汚れ種類の判別データDa3、重量の判別データDa4等の3段階以上に分けられる判別データDa、ならびに、ヒビ卵の判定データDb1、汚卵の判定データDb2、異常卵の判定データDb3等の2段階(すなわち、有り無し)に分けられる判定データDbを含む。すなわち、判別データDaとは、3段階以上に分けられたデータ、判定データDbとは、2段階に分けられたデータである。
本実施の形態において、ヒビ卵検査装置20Aは、各鶏卵Eのヒビの大きさを検出し、ヒビの判別データDa1を生成し、またヒビの判別データDa1に基づき、ヒビの有無の判定をし、ヒビ卵の判定データDb1を生成する(図2参照)。ヒビのレベルデータは、ヒビ卵検査装置20Aが鶏卵Eを打診し、打診による鶏卵の振動に基づいて生成される。
図2に示すように、ヒビの判別データDa1は、ヒビ無しの「ヒビレベル1」、僅かなヒビ有りの「ヒビレベル2」、小さなヒビ有りの「ヒビレベル3」、中程度のヒビ有りの「ヒビレベル4」、大きなヒビ有りの「ヒビレベル5」のように5段階の判別データとして生成される。
また、ヒビ卵の判定データDb1では、たとえば、ヒビの判別データDa1の「ヒビレベル2」を基準として、「ヒビレベル2」以下が「ヒビ無し」と判定され、「ヒビ無」のヒビ卵の判定データDb1が生成され、「ヒビレベル3」以上が「ヒビ有り」と判定され、「ヒビ有」のヒビ卵の判定データDb1が生成される。さらに、ヒビ卵検査装置20Aは、ヒビの判別データDa1およびヒビ卵の判定データDb1を送信できる。ヒビの有無を判定する基準となるヒビレベルは、ヒビ卵検査装置の動作時に設定できる。
本実施の形態において、汚卵検査装置20Bは、特開2008−309678号公報に記載の汚卵検査装置と同様に、各鶏卵の卵殻色の判別レベルデータDa2、汚れ種類の判別データDa3を生成し、また、これら判別データに基づき、汚卵か否かの判定をし、汚卵の判定データDb2を生成する(図3参照)。卵殻色の判別データDa2および汚れ種類の判別データDa3は、鶏卵がカラーカメラにより撮影され、撮影された画像に基づいて生成される。すなわち、カラーカメラにより鶏卵の卵殻色および汚れの種類が検出される。
図3Aに示すように、卵殻色の判別データDa2は、たとえば、卵殻色が白色の「卵殻色レベル1」、ピンクの「卵殻色レベル2」、赤色の「卵殻色レベル3」のように3段階の判別データとして生成される。また、図3Bに示すように、汚れ種類判の判別データDb3は、たとえば、白色・灰色汚れ、黄色・茶色汚れ、黒汚れ、しみ汚れ等の汚れの種類ごとに、「汚れレベル1(酷い汚れ)」〜「汚れレベル8(汚れ無し)」の8段階の判別データとして生成される。
また、汚卵の判定データDb2は、卵殻色の判別データDa2と汚れ種類の判別データDa3との関係に基づいて生成される。たとえば、図3Cに示すように、卵殻色が白色の鶏卵(白玉)に対して白色・灰色汚れは目立たないため、白玉(卵殻色レベル1)では、「白色・灰色汚れレベル2」以下を「汚れ有」と判定し、黄色・茶色汚れ、黒汚れ、しみ汚れは目立つため、黄色・茶色汚れの「汚れレベル4」以下、黒汚れの「汚れレベル4」以下、しみ汚れの「汚れレベル3」以下を「汚れ有」と判定し、「汚れ無」または「汚れ有」の汚卵の判定データDb2を生成する。いずれの卵殻色の鶏卵Eに対して、汚れ種類ごとにいずれの汚れレベルを汚卵と判定するかは、汚卵検査装置の動作時に設定できる。汚卵検査装置20Bは、これら卵殻色および汚れ種類の判別データDa2,Da3および汚卵の判定データDb2を送信することができる。
異常卵検査装置20Cは、各鶏卵Eの内部の異常卵の判定データDb3を生成する。鶏卵の内部異常として、内部に血液の混入した血卵、卵黄のない無黄卵、腐敗した腐敗卵等がある。内部異常の検出は、従来よく知られるように、鶏卵Eに光を照射し、鶏卵Eを透過した光のスペクトル分光を測定することにより行われる。異常卵検査装置20Cとして、たとえば、特開2004−184113号公報に記載の異常卵検査装置がある。
異常卵検査装置20Cは、これら内部異常を有する鶏卵Eを異常卵と判定し、「異常有」の判定データDb3を生成し、異常を有しない鶏卵Eを正常卵と判定し、「異常無」の判定データDb3を生成する。異常卵検査装置20Cは、異常卵の判定データDb3を送信することができる。また、異常卵検査装置20Cは、異常卵の判定データDb3の他に、異常の判別データを生成および送信してもよい。異常判別データとしては、たとえば、血卵の場合に混入する血液の量を段階的に分けた血卵の判別データがある。また、異常判別データの他に、異常の種類ごとに無黄卵の判別データ、腐敗卵の判別データ等を生成および送信してもよい。
計量装置20Dは、第1の搬送ライン10を搬送されてくる各鶏卵Eの重量を計測し、重量の判別データDa4を生成する。重要の判別データDa4は、たとえば、図4に示すように、40g以上かつ46g未満の「重量レベル1」、46g以上かつ52g未満の「重量レベル2」、52g以上かつ58g未満の「重量レベル3」、58g以上かつ64g未満の「重量レベル4」、64g以上かつ70g未満の「重量レベル5」、70g以上かつ76g未満の「重量レベル6」、これらの重量レベルに該当しない「規格外」の7段階の判別データDbとして生成される。また、計量装置20Dは、重量の判別データDa4を送信できる。
各計測検査装置20は、上記のように個別に制御手段を有し、各データを生成し、送信することができる。選別集合システムは、これら計測検査装置20に加えて、他の物理的性状を計測または検出する計測検査装置を含んでいてもよい。
第1の搬送ライン10では、一対のローラRに1つの鶏卵が挟持されるため、ローラRの位置を特定することで、鶏卵の位置を特定することができる。第1の搬送ライン10には、ローラRの動きに連動する第1のエンコーダ22が設けられており、一対のローラRに挟持された鶏卵Eが所定距離移動する毎にパルス信号が生成され、鶏卵の搬送や計測検査装置の動作が制御される。これにより、選別集合システムを流れる多数の鶏卵のうち、いずれの鶏卵Eがいずれの位置にあるかを特定することができる。
移替装置11は、図5に示すように、第1の搬送ライン10から第2の搬送ライン12へ卵を移し替える、従来よく知られた、移替装置である(たとえば、特開2011−173714号公報参照)。移載装置11は、ローラRに挟持されて搬送されてきた鶏卵Eを羽根車11aにより計量装置20Dに移載させる。その後、計量装置20Dは、鶏卵の重量を計測し、移載装置11の移替卵座11bに鶏卵を移載する。移載卵座11bは、鶏卵Eを第2の搬送ライン12へ移し替える。本実施の形態において、第1の搬送ライン10を並んで搬送された6個の鶏卵が、移替装置11により第2の搬送ライン12に一度に移し替えられ、第2の搬送ライン12を単列で搬送される。
第2の搬送ライン12は、図6に示すように、従来よく知られた、バケットB(特開2011−173714号公報ではカップ)と称される把持部材に、移載卵座11bから鶏卵Eを受けて把持する。なお、図6では、図を簡略化するために移替卵座11bを省略する。第2の搬送ライン12は、鶏卵Eを把持したバケットBが搬送方向(図6の紙面から紙背に向かう方向)に移動することにより、鶏卵Eを搬送するバケットコンベアである。本実施の形態において、第2の搬送ライン12は、搬送方向(図1のY方向)にバケットが単列で複数並べられている。第1の搬送ライン10で、位置を特定された鶏卵Eは、第2の搬送ライン12のいずれのバケットBに把持されたかを特定される。
第2の搬送ライン12には、バケットBの動きに連動する第2のエンコーダ26が設けられており、各バケットBに挟持された鶏卵が所定距離移動する毎にパルス信号が生成され、鶏卵の搬送やバケットBの作動が制御される。第2の搬送ライン12には、第1の搬送ライン10と同様に、計測検査装置20を設けることもできる。たとえば、第2の搬送ライン12に異常卵検査装置を設けた選別集合システムも開発されている(たとえば、特開2001−99829号公報参照)。
第2の搬送ライン12のバケットBは、移替装置11から下流に配置された複数の集合区分14に向けて鶏卵Eを把持した状態で搬送する。
複数の集合区分14は、図1に示すように、第2の搬送ライン12に接続されている。本実施の形態において、複数の集合区分14は、上流側から第1の集合区分14a、第2の集合区分14b、第3の集合区分14c、第4の集合区分14d、第5の集合区分14e、第6の集合区分14fが単列の第2の搬送ライン12に直交する状態で、相互に平行に配置されている。各集合区分14は、後述する制御手段16の指示により、鶏卵の物理的性状に基づいて、適合する鶏卵の引き取りを行う。
各集合区分14の第2の搬送ライン12からの鶏卵の引き取りは、キック装置28により行われる。キック装置28は、各集合区分14において、引取判断に適合した鶏卵を選択的に落下させ、集合区分14に引き取らせる。キック装置として、たとえば特開平8−82546号公報に記載されたキック装置がある。
制御手段16は、図1および図7に示すように、選別集合システムに関する種々の制御を行うべく、計測検査装置20、第1および第2のエンコーダ22,26、第1および第2の搬送ライン10,12、移替装置11、各集合区分14等に接続されている。また、制御手段16は、第1の制御装置(プロファイラ)30と、複数の第2の制御装置(コレクタ)32と、第3の制御装置(アビトレイタ)34と、第1ないし第3の制御装置30,32,34に必要な数値、条件等を入力し、選別集合システムの情報を出力する入出力部36とを備える。
第1ないし第3の制御装置30,32,34と、入出力部36とは、相互に接続されている。第1ないし第3の制御装置30,32,34は、相互に独立した配線基板に、後述する構成(図8参照)が実装されている。すなわち、本実施の形態において、第1ないし第3の制御装置30,32,34は、それぞれ、独立している。本実施の形態において、第1ないし第3の制御装置30,32,34は、制御手段16の制御盤に組み込まれているが、各集合区分14に制御盤を設け、対応する第2の制御装置を各集合区分14の制御盤に組み込んでもよい。
第1の制御装置30は、図8(A)に示すように、CPUのような第1の演算部40と、半導体メモリのような第1の記憶部42と、第1のI/Oインターフェース44と、これら制御用の構成が実装される第1の配線基板(図示しない)とを含む。第1の演算部40、第1の記憶部42および第1のI/Oインターフェース44は、バスを通じて相互に接続されている。
第1の制御装置30では、第1の演算部40の動作の下、各計測検査装置20から、卵の物理的性状データDを第1のI/Oインターフェース44を介して受信し、第1の記憶部42に記憶する。第1の記憶部42は、図9に示すような鶏卵情報テーブルT1を有し、卵の物理的性状データDが鶏卵情報テーブルT1に記憶される。すなわち、第1の制御装置30は、物理的性状データDを計測検査装置20から受け、各鶏卵の種々の物理的性状データDを対応する鶏卵Eに仮想的に貼り付ける。
また、第1の演算部40は、物理的性状データDを受信し、第1の記憶部42に記憶するように演算を行い、鶏卵に物理的性状データDを仮想的に貼り付けるが、記憶された鶏卵の物理的性状データDに基づく判定(たとえば、ヒビの有無に関する判定)を行わない。すなわち、第1の演算部40では、判定を行うプログラムが動作することがなく、第1の制御装置には判定を行うプログラムが格納されていなくてもよい。これにより、第1の演算部40の処理速度を低速にすることができる。
複数の第2の制御装置32は、複数の集合区分14に対応している。本実施例において、6つの集合区分14a〜14fに対応して6つの第2の制御装置32a〜32fが設けられている。すなわち、第1の制御装置32aは、第1の集合区分14aに対応し、第2の制御装置32bは、第2の集合区分14bに対応し、第3の制御装置32cは、第3の集合区分14cに対応し、第4の制御装置32dは、第4の集合区分14dに対応し、第5の制御装置32eは、第5の集合区分14eに対応し、第6の制御装置32fは、第6の集合区分14fに対応する。
各第2の制御装置32は、図8(B)に示すように、CPUのような第2の演算部50と、半導体メモリのような第2の記憶部52と、第2のI/Oインターフェース54と、これら制御用の構成が実装される第1の配線基板(図示しない)とを含む。第2の演算部50、第2の記憶部52および第2のI/Oインターフェース54は、バスを通じて相互に接続されている。
各第2の制御装置32では、第2の演算部50の動作の下、第1の記憶部42に記憶された鶏卵の物理的性状データDを、第2のI/Oインターフェース54を介して受信し、第2の記憶部52に記憶する。第2の記憶部52は、図10に示すような鶏卵引取判断用テーブルT2を有し、卵の物理的性状データDが鶏卵引取判断用テーブルT2に記憶される。
さらに、鶏卵引取判断用テーブルT2に記憶された鶏卵の物理的性状データDから、対応する集合区分14に引き取る鶏卵Eを判断する。また、第2の制御装置32は、引取判断に適合した鶏卵Eを対応する集合区分14に引き取らせるべく、対応する集合区分14に設けられたキック装置28を動作させる。
すなわち、各第2の制御装置32の第2の演算部50は、対応する集合区分14のキック装置28を制御し、各鶏卵Eに貼り付けられた物理的性状データDから、対応する集合区分の引取判断を行う。さらに、第2の制御装置32は、引取判断に適合した鶏卵Eのみを対応する集合区分14に引き取らせる。鶏卵Eの引き取り条件は、入出力部36から設定される。なお、複数の第2の制御装置32に設定された引き取り条件のいずれにも適合しない鶏卵Eは、いずれの集合区分14にも引き取られずに、第2の搬送ライン12の最下流に設けられた持越区分(図示しない)に引き取られる。
第3の制御装置34は、第1および第2の制御装置30,32と同様の構成、すなわち、第3の演算部、第3の記憶部、第3のI/Oインターフェース、これらが実装される配線基板を含む。第3の制御装置34は、第2の制御装置32の引き取り条件に偏りがある場合に、第2の制御装置32の設定の偏りを解消すべく機能する。すなわち、第3の制御装置は、第2の制御装置32の引取判断を補完する。たとえば、いずれの第2の制御装置32の設定も重量の判別データが「レベル5」の鶏卵Eを引き取ることが設定されていない場合に、「重量レベル5」の鶏卵Eが全て前記持ち越し区分に持ち越されることになる。これを解消すべく、第3の制御装置34は、入出力部36を介して警告を行う。警告は、入出力部のLEDの点灯、警報等により行われてもよい。また、第3の制御装置34が、第2の制御装置32の設定を自動で変更することにより設定の偏りを解消するようにしてもよい。
本実施の形態において、第1ないし第3の演算部は、それぞれ、別個のCPUとして異なる配線基板に実装されている。しかし、各演算部を1つのCPUにより達成してもよい。たとえば、各演算部をプロセッサコアとし、1つのCPU内に複数のプロセッサコアを有する構成とすることができる。
次に、第1の実施の形態に係る選別集合システムS1を用いた選別集合方法について説明する。
先ず、選別集合システムを動作S1させるべく、各集合区分14がどのような物理的性状の鶏卵Eを引き取るか、第2の制御装置32に入出力部36から引取判断の条件が設定される。本実施の形態において、図11に示すような条件に適合する鶏卵を各集合区分14が引き取るように第2の制御装置32は引き取り条件を設定される。引取判断の条件は、入出力部36から入力される。
図11に示すように、第1ないし第5の集合区分14a〜14eに対応する第2の制御装置32a〜32eは、計測検査装置20で生成された重量の判別データDa4と、ヒビ卵の判定データDb1と、汚れの判定データDb2と、異常卵の判定データDb3とを判断基準として引取判断の条件を設定されている。これに対して、第6の集合区分14fは、重量の判別データDa4と、異常卵の判定データDb3と、ヒビの判別データDa1、卵殻色の判別データDa2、汚れ種類の判別データDa3から生成される判定データDb4,Db5とを判断基準として、引取判断の条件を設定されている。判定データDb1,Db2,Db3は各計測検出装置20により生成され、判定データDb4,Db5は、第2の演算部50により生成される。
この引取判断の条件によれば、第1の集合区分14は、重量の判別データDa4が「重量レベル6(Lv.6)」、ヒビ卵の判定データDb1が「ヒビ無」、汚卵の判定データDb2が「汚れ無」、異常卵の判定データDb3「異常無」の鶏卵を引き取る。次の第2の集合区分14は、「重量レベル5(Lv.5)」、「ヒビ無」、「汚れ無」、「異常無」の鶏卵を引き取る。次の第3の集合区分14は、「重量レベル4(Lv.4)」、「ヒビ無」、「汚れ無」、「異常無し」の鶏卵を引き取る。次の第4の集合区分14は、「重量レベル3(Lv.3)」、「ヒビ無」、「汚れ無」、「異常無」の鶏卵を引き取る。次の第5の集合区分14は、「重量レベル2(Lv.2)」、「ヒビ無」、「汚れ無」、「異常無」の鶏卵を引き取る。
次の第6の集合区分14に対応する第2の制御装置32fは、重量判別データは「重量レベル1(Lv.1)」、異常卵の判定データDb3は「異常無」の鶏卵を引き取るように設定される。しかし、ヒビと汚れに関しては、ヒビの判別データDa1と卵殻色の判別データDa2および汚れ種類判別データDa3とから生成される判定データDb4と判定データDb5とが、それぞれ、「ヒビ無」と「汚れ無」との引取判断の条件として設定される。
判定データDb4と判定データDb5とは、計測検査装置20が生成した一のヒビ卵の判定データDb1および一の汚れ判定データDb2と異なる。すなわち、第2の制御装置32の第2の演算部50は、鶏卵の引取判断用テーブルの判別データDaに基づき、計測検査装置20が生成した一の判定データDbと異なる他の判定データDbを生成し、他の判定データDbに基づき引取判断を行う。
本実施の形態において、第2の制御装置32fの第2の演算部50は、重量の判別データDa4の「レベル1」に対して、ヒビの判別データDa1の「ヒビレベル3」以下を「ヒビ無し」と判定し、他のヒビ卵の判定データDb4として「ヒビ無」の判定データを生成する。一方、重量の判別データDa4の「レベル1」に対して、ヒビの判別データDa1「ヒビレベル4」以上を「ヒビ有り」と判定し、他のヒビ判定データとして「ヒビ有」の判定データを生成する。生成された他の判定データDbは、第2の制御装置32fの第2の記憶部52に記憶される。
また、第2の制御装置32fの第2の演算部50は、「卵殻色レベル1(白玉)」なら、「白汚れレベル3以上」、その他の汚れ「レベル6以上」、「卵殻色レベル2(ピンク玉)」なら、「白汚れレベル5以上」、その他の汚れ「レベル6以上」、「卵殻色レベル2(ピンク玉)」なら、「白汚れレベル7以上」、その他の汚れ「レベル6以上」を「汚れ無し」と判定し、「汚れ無」の判定データを生成する。一方、これらに該当しない卵殻色および汚れ種類の判別データDa2,Da3が貼り付けられた鶏卵Eは、「汚れ有り」と判定され、他の汚れ判定データDb5として「汚れ有」の判定データが生成される。生成された他の判定データDbは、第2の制御装置32fの第2の記憶部52に記憶される。
これらにより、第6の集合区分14fは、計測検査装置20の重量判別データDa4及び異常卵の判定データDb3と、第2の制御装置32fにより生成された他のヒビ卵の判定データDb4と他の汚れ判定データDb5に基づき、「重量レベル1」、「ヒビ無」、「汚れ無」、「異常無」の鶏卵を引き取る。なお、各集合区分14の引き取り設定に該当しない鶏卵Eは、前記持越区分に引き取られる。
また、第2の制御装置32の設定の際に、第6の集合区分14fの引取判断の条件のうち、重量の判別データDa4を「重量レベル2」と誤って設定した場合、「重量レベル1」の鶏卵を引き取る集合区分14が存在しないことになる。したがって、第3の制御装置は、「重量レベル1」の鶏卵を引き取る集合区分14が存在しないことを警告する。また、この場合、引取判断の条件の重量判別データDa1とヒビ卵の判定データDb4に齟齬が生じる(不備がある)ことになる。したがって、第3の制御装置は、設定内容に不備があることを警告する。
第2の制御装置32が上記の設定をされた後、鶏卵の選別集合において、選別集合システムS1は、第1の搬送ライン10の上流端(図示しない)で多数の鶏卵Eを受ける。各鶏卵Eは、卵重、ヒビの有無、汚れの有無、卵内異常の有無等の種々の物理的性状を有する。たとえば、鶏卵E1は、物理的性状として、卵重「65g」、ヒビ「無し」、卵殻色「赤色」、汚れ種類「全ての汚れレベル8」、卵内異常「無し」、の物理的性状を有する。また、鶏卵E2は、卵重「42g」、ヒビ「小さなヒビ」、卵殻色「白色」、汚れ種類「白汚・灰色汚れレベル2」、「他の汚れレベル8」、卵内異常「無し」の性状を有する。
第1の搬送ライン10に受けられた多数の鶏卵Eは、前記洗卵乾燥装置により、洗浄および乾燥され、その後、前記方向整列装置により、水平面のうち、搬送方向に直交した一方に鋭端を向けた状態に方向を整列される。たとえば、鶏卵E1ないし3は、ローラ搬送部10Aを1列目として、左右に並んで搬送される。
次いで、多数の卵は、第1の搬送ライン10のローラ搬送部10Aに到達する。ローラ搬送部10Aは、前後方向に隣り合う一対のローラRにより1つの鶏卵Eを挟持した状態で鶏卵を搬送する。ここで、前記第1のエンコーダ22により、各ローラの位置が特定される。これにより、各鶏卵の位置も特定される。前記第1のエンコーダ22による各ローラの位置情報、すなわち鶏卵の位置情報は、制御手段16に送られる。たとえば、鶏卵E1は、ローラR1001とローラR1002とに挟持され、鶏卵E2は、ローラR2001とローラR2002とに挟持され、鶏卵E3は、ローラR3001とローラR3002とに挟持されて搬送される。
次いで、ローラ搬送部10Aを搬送される各卵Eは、ヒビ卵検査装置20A、汚卵検査装置20B、異常卵検査装置20C、計量装置20D等の複数種類の計測検査装置20により、種々の物理的性状を検出される。
たとえば、図9に示すように、ヒビ卵検査装置20Aは、自身を通過する一対のローラR1001およびR1002に挟持された鶏卵E1に、ヒビ「ヒビ無し」の検出を行い、「ヒビレベル1(Lv.1)」のヒビの判別データDa1を生成し、これに基づいて「ヒビ無」のヒビ卵の判定データDb1を生成する。また、ヒビ卵検査装置20Aは、自身を通過する一対のローラ2001およびローラR2002に挟持された鶏卵E2に、ヒビ「小さなヒビ有り」の検出を行い、「ヒビレベル3(Lv.3)」のヒビの判別データDa1を生成し、これに基づいて「ヒビ有り」のヒビ卵の判定データDb1を生成する。
汚卵検査装置20Bは、自身を通過する一対のローラR1001およびR1002に挟持された鶏卵E1に、卵殻色「赤色」の検出を行い、「卵殻色レベル3(Lv.3)」の卵殻色の判別データDa2を生成し、かつ、各種類の汚れ「汚れレベル8(ALL/Lv.8)」の検出を行い、これら判別データに基づいて「汚れ無」の汚れの判定データを生成する。また、汚卵検査装置20Bは、自身を通過する一対のローラR2001およびR2002に挟持された鶏卵E2に、卵殻色「白色」の検出を行い、「卵殻色レベル1(Lv.1)」の卵殻色の判別データDa2を生成し、かつ、汚れ種類「白色・灰色汚れレベル2(W/Lv.2)」の検出を行い、これら判別データDaに基づいて「汚れ有り」の汚卵の判定データDb2を生成する。
また、異常卵検査装置20Cは、自身を通過する一対のローラに挟持された鶏卵Eに対して分光測定により卵内異常、すなわち鶏卵の内部が、正常か、腐敗していないか、血混入はないか等について検査する。異常卵検査装置20Cは、たとえば、自身を通過する一対のローラに挟持された鶏卵E1およびE2に、「異常無し」の判定を与える。
また、計量装置20Dは、卵の重量、すなわち卵重を計測し、各鶏卵の重量に応じて「重量レベル1」〜「重量レベル6」のいずれかの重量の判別データDa4を鶏卵Eごとに生成する。たとえば、計量装置20Dは、自身を通過する一対のローラ1001および1002に挟持された鶏卵E1に、卵重「65グラム」の検出を行い、「卵重レベル5(Lv.5)」の重量の判別データDa4を生成する。また、計量装置20Dha,自身を通過する一対のローラ2001および2002に挟持された鶏卵E2に、卵重「42グラム」の検出を行い、「卵重レベル1(Lv.1)」の重量の判別データDa4を生成する。
第1の制御装置30では、第1の演算部50が各計測検査装置20から種々の物理的性状データDを受信するように動作し、図9に示すように、第1の記憶部42が各物理的性状データDを鶏卵情報テーブルT1に記憶する。すなわち、第1制御装置30は、各鶏卵の各種類の物理的性状データDを、対応する鶏卵Eに仮想的に貼り付ける。
たとえば、鶏卵E1は、ヒビ判別データDa1「レベル1(Lv.1)」、卵殻色判別データDa2「レベル3(Lv.3)」、汚れ種類判別データDa3「全ての汚れレベル8(ALL/Lv.8)」、重量判別データDa4「レベル5(Lv.5)」等の判別データ、ならびにヒビ卵判定データDb1「ヒビ無」、汚卵判定データDb2「汚れ無」、異常卵判定データDb3「異常無」等の判定データを含む物理的性状データDを貼り付けられる。
また、同様に、鶏卵E2は、ヒビ判別データDa1「レベル3(Lv.3)」、卵殻色判別データDa2「レベル1(Lv.1)」、汚れ種類判別データDa3「白汚れレベル2(W/Lv.2)」、重量判別データDa4「レベル1(Lv.1)」等の判別データ、ならびにヒビ卵判定データDb1「ヒビ有」、汚卵判定データDb2「汚れ有」、異常卵判定データDb3「異常無」等の判定データを含む物理的性状データDを貼り付けられる。
次いで、計量装置20Dを通過した後に、多数の鶏卵Eは、複数列の第1の搬送ライン10から移載装置11を介して単列の第2の搬送ライン12に移載され、第2の搬送ライン12のバケットBに把持される。このとき、第1の搬送ライン10を搬送される多数の鶏卵Eは、それぞれ、いずれの鶏卵EがいずれのバケットBに把持されたかを特定することができる。したがって、鶏卵情報テーブルT1に、バケット番号(バケット♯)が記憶される。たとえば、鶏卵E1はバケットB0001に把持され、鶏卵E2は、バケットB0002に把持される。
次いで、バケットBに把持された鶏卵Eは、第2の搬送ライン12を集合区分14に向けて搬送される。第2の搬送ライン12は、移載装置11から最上流の第1の集合区分14aまでの間に、第1および第2の制御装置30,32の管理範囲を定める仮想的な基準点Oを有する。基準点Oを通過したか否かの情報は、鶏卵情報テーブルT1に基準点通過情報として追加される。図示の例では、基準点を通過した鶏卵E1には、「済」、基準点を通過していない鶏卵E2には、「未」の情報が鶏卵情報テーブルT1に記憶される。
基準点Oは、第1および第2の制御装置30,32の管理範囲を区切っており、鶏卵は、基準点Oを通過するまでは(すなわち、基準点Oより上流に位置ときは)第1の制御装置30の管理下におかれ、基準点Oを通過した後は(すなわち、基準点Oより下流に位置ときは)第2の制御装置32の管理下におかれる。第1および第2の制御装置30,32は、管理範囲にある鶏卵Eにのみ関与し、管理から外れた鶏卵には関与しない。たとえば、基準点を通過した鶏卵に対して、第1の演算部40は、物理的性状データDを第1の記憶部42の鶏卵情報テーブルT1に書き込めない。基準点Oを境界として鶏卵の管理を振り分けることにより、第1および第2の制御装置30,32の分担が明確になる。
次いで、基準点Oを通過した多数の鶏卵は、第2の制御装置の管理下におかれ、集合区分14に向かって順次搬送される。
このとき、第2の制御装置32では、第2の演算部50が第1の記憶部42の鶏卵情報テーブルT1から各鶏卵の物理的性状データDを取得し、第2の記憶部52の鶏卵引取判断用テーブルT2に記憶する。さらに、第2の制御装置32は、第2の演算装置が鶏卵引取判断用テーブルT2の鶏卵の物理的性状データDに基づき引取判断を行うように動作する。
鶏卵E1は、第2の集合区分14bの引き取り条件に適合するため、第2の集合区分14bに到達した際、第2の制御装置32bの第2の演算部50が第2の集合区分14bのキック装置28が動作させ、第2の集合区分14bに鶏卵E1を引き取らせる。
鶏卵E2は、一の判定データDb1および一の判定データDb2では、それぞれ、「ヒビ有」および「汚れ有」とされる。しかし、第2の制御装置32が生成する他の判定データDb4およびDb5では、「ヒビ無」および「汚れ無」とされる。したがって、鶏卵E2は、第6の集合区分14fの引き取り条件に適合するため、第2の制御装置32fの第2の演算部50が第2の集合区分14fのキック装置28が動作させ、第6の集合区分14fに鶏卵E2を引き取られる。
本実施の形態において、各集合区分は、異なる引取判断の条件が設定されているが、引取判断の条件が同一に設定されている集合区分14がある場合は、上流側の集合区分14が適合する鶏卵Eを引き取る。引き取り条件に適合しない鶏卵Eは、前記持越区分に引き取られる。
第6の集合区分14fは、引き取り条件のうち、ヒビの判定と汚れの判定とに関して自身で判定データを生成し、その判定データに対して引取判断を行う。このように、各集合区分14が判定データを生成することにより、引取判断の条件を詳細に設定することができる。また、同様の引取判断の条件の項目を有する集合区分ごとに、各第2の演算部の引取判断の条件を設定することにより、条件設定を容易にすることができる。
また、本実施の形態においてヒビ卵検査装置20Aは、鶏卵の重量判別データを取得するように構成されていないため、鶏卵の重量を考慮したヒビの判定ができない。したがって、第2の制御装置が重量の判別データDa4を考慮に入れたヒビ判定を行うことにより、ヒビ判定の精度を高めることができる。
ところで、ヒビ卵検査装置20Aが、計量装置20Dからサイズデータを取得し、ヒビ判定の精度を高めたヒビ卵検査装置も開発されている(たとえば、特開2003−057216号公報)。しかし、ヒビ卵検査装置20Aに重量データを考慮した機能を追加するとヒビ卵検査装置20Aが高価となる。これに対して、第2の制御装置32にヒビの判定、汚れの判定の機能を集約することで、効率よく、詳細に引取判断の条件を詳細に設定できる。
また、本実施の形態のように第1および複数第2の演算部を用いることなく、単一の演算部により、重量のデータを考慮したヒビ卵の判定、すなわち総合判定を行うこともできる。しかし、複数の集合区分に対してそれぞれに総合判定を行い、選別集合させると、単一の制御装置を動作させるプログラムが複雑になる。これに対して本実施の形態に係る選別集合システムおよび選別集合方法によれば、各集合区分14に対応した第2の演算部50が、分散制御により総合判定を行い、これに基づいて引取判断を行うため、制御手段16を動作させるプログラムが簡易になり、同一の第2の制御装置32により鶏卵の選別集合を行うことにより、選別集合システムの製造、メンテナンス作業を簡易かつ廉価にできる。
また、本実施の形態において、第1の演算部は、鶏卵への物理的性状データの貼り付けを行い、第2の演算部は、鶏卵の引取判断を行うように役割分担がされている。これにより、各役割に応じた演算速度の演算部を選別集合システムに用いることで、データの貼り付けおよび引取判断の両方を行うための高速で高価な演算部が不要となり、選別集合システムを廉価にできる。
本実施の形態において、第1の記憶部の鶏卵情報テーブルT1の各データが第2の記憶部の鶏卵判定用テーブルT2に移されているが、第2の記憶部を用いることなく、第2の演算装置が第1の記憶部の鶏卵情報テーブルから直接データを読み出し、引取判断を行ってもよい。
また、本実施の形態において、各集合区分が単一の判別データを引取判断の条件としているが、複数の判別データを引取判断の条件としてもよい。また、選別集合システムでは、他の物理的性状に基づく総合判断、たとえば、血卵の混入する血液の量による判別データを用いた判断を各第2の演算部が行ってもよい。
[第2の実施例]
次に、本発明の第2の実施の形態に係る選別集合システムS2について説明する。第2の実施の形態に係る選別集合システムS2は、第1の実施の形態に係る選別集合システムS1と制御装置の記憶部の構成において異なるが、他の構成において同様の構成を有する。したがって、以下では、主に、制御装置の記憶部の構成について説明する。また、第1の実施の形態に対して同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施の形態に係る選別集合システムS2は、第1の実施の形態に係る選別集合システムS1と同様に、第1の制御装置30と、複数の第2の制御装置32と、第3の制御装置34とを備える。
第1の制御装置30は、第1の制御手段16の制御の下、各計測検査装置20から、卵の物理的性状データDを第1のI/Oインターフェース44を介して受信し、第1の記憶部142に記憶する。第1の記憶部142は、第1の実施例の鶏卵情報テーブルT1に代えて、図12Aに示すような第1のリングバッファRB1を有し、鶏卵の物理的性状データDが鶏卵情報第1のリングバッファRB1に記憶される。すなわち、第1の制御装置30は、物理的性状データDを計測検査装置20から受け、各鶏卵の種々の物理的性状データDを対応する鶏卵Eに仮想的に貼り付ける。
第1のリングバッファには、図12Aに示すように、第1〜第nのバッファBf1〜Bfn(nは自然数)がリング状に構成されているものと考えることができる。第1のリングバッファRB1は、第1のバッファBf1から順に情報が記憶されていき、n個のバッファの全てに情報が記憶された後は、第1のバッファBf1に情報が上書きされる。すなわち、リングバッファには、鶏卵の物理的性状データが一時保持される。
本実施の形態において、1つの鶏卵の情報が1つのバッファに記憶され、n+1個目の鶏卵の情報は、第1のバッファBf1の情報に上書きされることになる。古いデータの上に新しいデータが上書きされことにより、第1の記憶部142の記憶容量を小さくすることができる。第1のリングバッファRB1は、少なくとも、移替装置11から鶏卵を受けるバケットBから基準点までのバケットBに把持される鶏卵の情報を記憶する。
複数の第2の制御装置32は、第1の実施の形態に係る第2の制御装置と同様に、複数の集合区分14に対応している。本実施例において、6つの集合区分14a〜14fに対応して6つの第2の制御装置32a〜32fが設けられている。
各第2の制御装置32は、第2の演算部50の制御の下、第1の記憶部142に記憶された卵の物理的性状データDを第2の記憶部152に記憶する。すなわち、第2の記憶部152は、第1の実施例の鶏卵引取判断用テーブルT2に代えて、図12に示すような第2のリングバッファRB2を有し、第1のリングバッファRB1から第2のリングバッファRB2に鶏卵の情報が順次移される。
さらに、第2の記憶部152に記憶された卵の物理的性状データDから、対応する集合区分14に引き取る卵を判定する。また、第2の制御装置32は、引取判断に適合した鶏卵を対応する集合区分14に引き取らせるべく、対応する集合区分14に設けられたキック装置28を動作させる。これにより、鶏卵は、物理的性状が引き取り条件に適合する集合区分14に引き取られる。
第2のリングバッファRB2には、図12Bに示すように、第1〜第mのバッファBf1〜Bfm(mは自然数)がリング状に構成されているものと考えることができる。第2のリングバッファRB2は、第2のバッファBf1から順に情報が記憶されていき、m個のバッファの全てに情報が記憶された後は、第1のバッファBf1に情報が上書きされる。
本実施の形態において、1つの鶏卵の情報が1つのバッファに記憶され、m+1個目の鶏卵の情報は、第1のバッファBf1の情報に上書きされることになる。古いデータの上に新しいデータが上書きされことにより、第2の記憶部152の記憶容量を小さくすることができる。第2のリングバッファRB2は、少なくとも、基準点から集合区分14に引き取られるまでの鶏卵の情報を記憶する。集合区分14に引き取られた鶏卵の情報は、選別集合に不要となるため、第2のリングバッファが順次上書きされても支障がない。また、集合区分に引き取られた鶏卵Eの情報は、削除されるようにしてもよい。
また、複数の第2の制御装置32に設定された条件のいずれにも適合しない鶏卵Eは、第2の搬送ライン12の最下流に設けられた持越区分(図示しない)に引き取られる。
次に、第2の実施の形態に係る選別集合システムを用いた選別集合方法について説明する。第2の実施の形態に係る選別集合方法は、第1の実施の形態に係る選別集合方法と、第1のリングバッファと第2のリングバッファとの間で鶏卵の情報を移すことにおいて相違するが、他の点においては同様である。したがって、以下では、相違点について説明する。
第1の搬送ライン10から第2の搬送ライン12に移し替えられた複数の鶏卵は、それぞれ、第1のエンコーダにより位置を特定されており、いずれのバケットBに把持されたか特定される。
次いで、バケットに把持された鶏卵は、第2の搬送ライン12を集合区分14に向けて搬送される。バケットに把持された鶏卵は、第2の搬送ライン12の基準点を通過した場合に、通過した鶏卵の第1のリングバッファRB1の情報が、第2のリングバッファRB2に移される。
基準点Oは、第1および第2の制御装置30,32の管理範囲を区切っており、鶏卵は、基準点Oを通過するまでは第1の制御装置30の管理下におかれ、基準点Oを通過した後は第2の制御装置32の管理下におかれる。第1および第2の制御装置30,32は、管理下にある鶏卵Eのみに関与し、管理から外れた鶏卵には関与しない。したがって、第1のリングバッファRB1から第2のリングバッファRB2へ鶏卵の情報が移された後は、鶏卵Eは、第1の制御装置30の管理範囲から外れており、第1のリングバッファRB1に新たな鶏卵の情報が上書きされても支障がない。
次いで、基準点Oを通過した多数の鶏卵は、第2の演算部の管理下におかれ、集合区分14に向かって順次搬送される。
次いで、第2の制御装置32の引取判断により、引き取り条件に適合する鶏卵Eが各集合部に引き取られる。引き取られた鶏卵Eに関する情報は、第2のリングバッファRB2から消去されてもよく、新たな鶏卵の情報が上書きされても支障がない。第2の記憶部152にリングバッファを用いることにより、第2の記憶部152の容量を小さくすることができる。
本実施の形態において、6つの集合区分14に対応して、6つの第2の制御装置が設けられている。したがって、第2の記憶部も6つ必要となり、第2の記憶部の容量が小さくなると、選別集合システムの製造コストを大きく低減できる。
今回開示された実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。