JP2014105221A - 生体適合性ポリマー及びその製造方法並びにそれを製造するための新規化合物 - Google Patents

生体適合性ポリマー及びその製造方法並びにそれを製造するための新規化合物 Download PDF

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Abstract

【課題】血液適合性のみならず、細胞接着の制御や幹細胞の運命決定に及ぼす影響等の多様な生体適合性に対応することのできる新規ポリマー及び製造方法を提供する。
【解決手段】炭素−炭素不飽和結合を有する4〜13員環の環状構造を有し、少なくとも一つの中間水の含有に寄与する構造を含む置換基が当該環状構造に結合している環状化合物を開環重合させてポリマーを得る工程を含むことを特徴とする、ポリマーの調製方法に関する。また、前記方法に用いられる環状化合物及び前記方法によって得られたポリマー組成物に関する。
【選択図】図13

Description

本発明は、主に生体適合性を有するポリマーの製造に使用されるポリマーの製造方法及びその製造方法により製造されたポリマーに関する。より詳細には、生体内に留置され、又は、生体に由来する物質に接触した際に、抗血液凝固作用等の血液適合性や、目的とする生体物質を選択的に吸着可能とできるような機能を有するポリマーを提供可能な新規な製造方法及びその製造方法により製造されるポリマー、並びにその製造方法に使用される新規化合物に関する。
一般に、医療用材料表面等に血液等の生体成分が接触すると、材料表面が異物として認識され、材料表面への生体組織中のタンパク質の非特異吸着、変性、多層吸着等が生起し、この結果として凝固系、補体系、血小板系等の活性化が起こる。このため、生体との接触界面である医療用器具表面が異物として認識されることを防止するために、医療用器具表面に生体適合性を付与することが望まれる。具体的には、人工肺装置、透析装置、血液保存バッグ、血小板保存バッグ、血液回路、人工心臓、留置針、カテーテル、ガイドワイヤー、ステント、人工血管、内視鏡等の医療用具では、血液等の生体物質に接触する部位が優れた生体適合性を有することが望まれる。
医療用器具表面に生体適合性を付与する手段として、従来から生体適合性を示す材料を人工的に合成し、これを各種医療器具の表面に適用して使用することで生体に対する負荷を低減する試みがなされている。このような生体適合性材料としては、これまでに2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)ポリマー、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(2−メトキシエチルアクリレート)(PMEA)、ポリアルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド(特許文献1)等が知られており、各種の用途で実用化がなされている。
MPCポリマーは、生体環境下で電気的な中性を保つベタインの一種であり、生体の細胞膜を被っているリン脂質極性基をビニル基等の重合性基に対してエステル結合を介して結合させ、更にその重合性基を重合させることで製造されるポリマーであり、アルキル鎖(主鎖)に対してリン脂質極性基が側鎖として設けられた構造を有している。
ポリエチレングリコール(PEG)は、エーテル構造である(C−O)を繰返し単位とする構造を有し、非常に優れた生体適合性を示すことが知られている。しかし、PEG自体は水溶性であるため、医療用材料として使用する場合には耐水溶性を付与する目的で、他のポリマーとのブロック共重合体やグラフト共重合体にして使用する等の必要がある。一方、ポリ(2−メトキシエチルアクリレート)(PMEA)等は、PEGの構成単位であるエーテル構造を主な構成とする基をビニル基等に結合したモノマーを重合させて、アルキル鎖(主鎖)に対してエーテル構造を主な構成とする側鎖として設けた構造を有している。このような構造を採ることにより、PEGが示す生体親和性を維持しつつ、アルキル鎖により耐水溶性を付与することが可能であることが明らかになっている。
ポリアルコキシアルキル(メタ)アクリルアミドは、側鎖の末端にエーテル構造を有する、(メタ)アクリルアミドを繰り返し単位とする構造を有し、その適度な親水性により、凝固系、補体系、血小板系の活性化を抑制することが可能であり、優れた血液適合性を発現することが見出されている。
アルキル鎖(主鎖)に対してリン脂質極性基を含む側鎖有するMPCポリマーをはじめ、エーテル構造からなるPEGや、主にエーテル構造から構成される側鎖を有するポリマーであるPMEA、並びにエーテル構造及びアミド結合を有するポリアルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド等のような、エーテル構造、アミド結合等の親水性基(以下、単に「エーテル構造等」という。)を有するポリマー材料が、生体を構成する物質と全く異なる構造を有するにも関わらず高い生体適合性を示す理由は必ずしも明らかとされていない。一方、最近の研究により、これらのポリマーには、生体物質において観察される「中間水」と呼ばれる状態の水分子が含有可能であることが明らかにされている(例えば、非特許文献1を参照されたい)。つまり、上記文献にも記載されるように、生体由来物質であるか人工的な合成物であるかによらず、生体適合性を示す物質は「中間水」を含有可能であり、この中間水と呼ばれる状態の水分子が物質の表面に存在することにより生体組織中のタンパク質の非特異吸着が防止され、その結果として生体適合性を発現することが実験的に明らかにされてきている。そして、所定の物質が「中間水」を含有するためには、必ずしもPEGのように物質全体が「中間水」の含有に適した構造を有する必要はなく、アルキル鎖等を主鎖として「中間水」の含有に適した構造を側鎖として設けることによっても、「中間水」を含有可能であることが明らかになっている。
生体適合性物質に含有される中間水は、典型的には、過冷却後の昇温過程で見られる特異な潜熱の放出や吸収によって特徴付けられる。つまり、中間水を含有する物質においては、−100℃程度に急冷した後に室温付近まで徐々に加熱する過程で、−40℃付近において潜熱の放出が観察されたり、−10℃以上の氷点下において潜熱の吸収が観察される等、特異的な潜熱の放出や吸収が観察される。様々な検証により、これらの潜熱の放出・吸収は物質に含まれる水分子の一定割合が規則化・不規則化を生じることに起因することが明らかになっており、このような挙動を示す水分子が中間水と定義されている。中間水は、物質を構成する分子からの特定の影響により弱く拘束された水分子であると推察されるが、リン脂質等の生体物質にも含まれることが明らかになっており、生体組織中のタンパク質の非特異吸着等の防止と関連するものと考えられている。そして、生体に含まれるリン脂質極性基を側鎖として設けたPMCポリマーの他、上記PEG、PMEA、ポリアルコキシアルキル(メタ)アルキルアミド等の、エーテル構造等を含む物質においても中間水を含有可能であることが、生体適合性の発現に関係しているものと考えられている。
上記PMEA等のエーテル構造等を含む側鎖を有するポリマーは、単純な構造を有するために合成が容易であると共に、耐水溶性を示す点で、医療用器具表面に適用される生体適合性材料として有望である。エーテル構造等を含む側鎖を有するポリマーとしては、上記以外にも、例えば、特許文献2に、生体適合性と温度応答性を併せ持つ血液適合性材料として、下記式(1):
Figure 2014105221

[式中、Rは、水素原子又はメチル基であり、Rは、メチル基又はエチル基であり、mは2又は3であり、nは繰り返し数を示す]で表される繰り返し単位を有する高分子が開示されている。式(1)に示されるように、当該高分子はアルキル鎖に対して鎖状エーテル構造を含む側鎖を、エステル結合を介して結合させた構造を有している。
また、特許文献3には、下記構造式(1)で表されるような環状エーテル構造を含む側鎖部分をエステル結合を介してアルキル鎖に結合させた構造を有する合成高分子(ポリテトラヒドロフルフリルアクリレート、PTHFA)が開示され、血小板の粘着及び活性化の抑制効果を有することが記載されている。
Figure 2014105221
また、本発明者は、アルキル鎖に対して鎖状や環状のエーテル構造を含む側鎖を結合させる際に、上記のエステル結合に代えて、エーテル結合(−O−)を用いることによっても生体適合性が発揮されることを見出し、特許出願を行っている。
Tanaka, M. et al., J. Biomat. Sci. Polym. Ed., 2010, 21, 1849-1863
特許第4718766号公報 特許第4746984号公報 特許第4219154号公報 特開2012−105579号公報
上記説明したPMCやPMEA等の生体適合性ポリマーにおいては、非水溶性のアルキル鎖に対して、生体適合性に寄与する所定のベタイン構造やエーテル構造等を側鎖として結合させた構造を有することで、全体として非水溶性のポリマーでありながら生体適合性を示すことが可能であると考えられている。
一方、上記のポリマーにおいては、その製造方法として、ビニル基等の重合性基に所定のベタイン構造やエーテル構造等を結合させた分子をモノマーとして、これを重合させることにより所定のポリマーを得ていた。このため、合成により得られるポリマーの主鎖をなすアルキル鎖等に設けられる側鎖の密度や位置等が使用されるビニル基等の構造によって制限され、合成されるポリマー構造の自由度が充分でないことが問題であった。例えば、ビニル基を重合性基としてポリマーを合成した場合、主鎖を成す炭素原子列において、一つおきの炭素原子に側鎖が結合したポリマーが得られやすく、側鎖の密度を変更したり、側鎖が設けられる位置を制御する等の操作を行うことが困難であった。
上記問題を解決するために、本発明は主鎖に対して設けられる側鎖の密度や位置等の制御が容易である新規な生体適合性ポリマーの製造方法を提供することを課題とする。また、当該製造方法により製造される新規な生体適合性ポリマー、及び当該ポリマーを用いた医療用器具を提供することを課題とする。更に、上記製造方法にモノマーとして用いる新規の化合物を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、以下の特徴を有する。
(1)炭素−炭素不飽和結合を有する4〜13員環の環状構造を有し、少なくとも一つの中間水の含有に寄与する構造を含む置換基が当該環状構造に結合している環状化合物を開環重合させてポリマーを得る工程を含むことを特徴とする、ポリマーの調製方法。
(2)前記環状化合物の開環重合においてグラブス触媒が使用されることを特徴とする上記(1)に記載のポリマーの調製方法。
(3)前記環状化合物の開環重合で得られたポリマー組成物の主鎖の部分に含まれる不飽和結合の少なくとも一部を還元して飽和結合とする工程をさらに含むことを特徴とする、ポリマーの調製方法。
(4)相互に結合した炭素原子の列を含む主鎖を有し、当該炭素原子の一部に中間水の含有に寄与する構造を含む基が主鎖に対する側鎖として結合されたポリマーであって、
前記炭素原子の列には側鎖が結合されていない炭素原子が2個以上連続して存在する部分が含まれることを特徴とするポリマー。
(5)ポリマーの主鎖に含まれる炭素原子において、中間水の含有に寄与する構造を含む側鎖が結合されている炭素原子の割合が1/2未満であることを特徴とする上記(4)に記載のポリマー。
(6)中間水の含有に寄与する構造を含む側鎖についての位置特異性が90%以上であることを特徴とする上記(4)又は(5)のいずれか一に記載のポリマー。
(7)上記(4)〜(6)のいずれか一に記載のポリマーを含むことを特徴とする組成物。
(8)医療用材料として用いられることを特徴とする、上記(7)に記載の組成物。
(9)上記(7)又は(8)に記載の組成物を少なくとも一部に使用することを特徴とする機器。
(10)炭素−炭素不飽和結合を有する4〜13員の環状構造を有し、少なくとも一つの中間水の含有に寄与する構造を含む置換基が当該環状構造に結合していることを特徴とする、環状化合物。
(11)前記環状化合物に含まれる炭素−炭素不飽和結合の数が1又は2であることを特徴とする、上記(10)に記載の環状化合物。
(12)前記中間水の含有に寄与する構造を含む置換基が、エーテル構造を含む置換基であることを特徴とする、上記(10)又は(11)のいずれか一に記載の環状化合物。
(13)前記エーテル構造として、環状エーテル又は鎖状エーテルの少なくとも一方を含むことを特徴とする、上記(12)に記載の環状化合物。
(14)前記中間水の含有に寄与する構造を含む置換基が、生体環境で電気的に中性なベタインを含む置換基であることを特徴とする、上記(10)又は上記(11)のいずれか一に記載の環状化合物。
(15)前記生体環境で電気的に中性なベタインが、ホスホベタイン、カルボキシベタイン、スルホベタインのいずれかであることを特徴とする、上記(14)に記載の環状化合物。
(16)開環重合を行う際のモノマーとして使用されることを特徴とする、上記(10)〜(15)のいずれか一に記載の環状化合物。
本発明に係る製造方法によれば、従来は実現が困難であった側鎖密度や側鎖の配置を有する生体適合性ポリマーが容易に合成可能となり、各種の使用用途に適した新規な生体適合性ポリマーや、それを用いた医療用器具を提供することができる。
実施例1で得られた3−メトキシ−1−シクロオクテンのH−NMR、13C−NMRスペクトルを示す図である。 実施例2で得られた3−(2−メトキシエトキシ)−1−シクロオクテンのH−NMR、13C−NMRスペクトルを示す図である。 実施例3で得られた3−(2−メトキシエトキシカルボニル)−1−シクロオクテンのH−NMR、13C−NMRスペクトルを示す図である。 実施例4で得られた3−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−1−シクロオクテンのH−NMR、13C−NMRスペクトルを示す図である。 実施例5の(1)で得られた3−メトキシ−1−シクロオクテン重合体のH−NMR、13C−NMRスペクトルを示す図である。 実施例5の(2)で得られた水素添加3−メトキシ−1−シクロオクテン重合体のH−NMR、13C−NMRスペクトルを示す図である。 実施例6の(1)で得られた3−(2−メトキシエトキシ)−1−シクロオクテン重合体のH−NMR、13C−NMRスペクトルを示す図である。 実施例6の(2)で得られた水素添加3−(2−メトキシエトキシ)−1−シクロオクテン重合体のH−NMR、13C−NMRスペクトルを示す図である。 実施例7の(1)で得られた3−(2−メトキシエトキシカルボニル)−1−シクロオクテン重合体のH−NMR、13C−NMRスペクトルを示す図である。 実施例7の(2)で得られた水素添加3−(2−メトキシエトキシカルボニル)−1−シクロオクテン重合体のH−NMR、13C−NMRスペクトルを示す図である。 実施例8の(1)で得られた3−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−1−シクロオクテン重合体のH−NMR、13C−NMRスペクトルを示す図である。 実施例8の(2)で得られた水素添加3−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−1−シクロオクテン重合体のH−NMR、13C−NMRスペクトルを示す図である。 実施例5の(1)で得られた重合体の含水サンプルのDSCチャートを示す図である。 実施例5の(2)で得られた重合体の含水サンプルのDSCチャートを示す図である。 実施例6の(1)で得られた重合体の含水サンプルのDSCチャートを示す図である。 実施例6の(2)で得られた重合体の含水サンプルのDSCチャートを示す図である。 実施例7の(1)で得られた重合体の含水サンプルのDSCチャートを示す図である。 実施例7の(2)で得られた重合体の含水サンプルのDSCチャートを示す図である。 実施例8の(1)で得られた重合体の含水サンプルのDSCチャートを示す図である。 実施例8の(2)で得られた重合体の含水サンプルのDSCチャートを示す図である。 比較例1のポリシクロオクテン重合体の含水サンプルのDSCチャートを示す図である。 比較例1の水素添加ポリシクロオクテン重合体の含水サンプルのDSCチャートを示す図である。
用語の定義
本発明において、以下の用語は、単独で現れるか又は組み合わせて現れるかにかかわらず、適用される。
本明細書において、用語「低級アルキル」は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖状の炭素鎖を含む、1価の飽和炭化水素基を示す。低級アルキルの例は、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等を含むが、これらに限定されない。
用語「低級アルキレン」は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖状の炭素鎖を含む、2価の飽和炭化水素基を示す。低級アルキレンの例は、−CH−、−CHCH−、−CH(CH)−、−CHCHCH−、−CH(CHCH−、−CH(CH)(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−CH(CHCH−、−CH(CHCH−等を含むが、これらに限定されない。
用語「炭素−炭素不飽和結合を含む環状化合物」は、その環内に二重結合又は三重結合を有する、不飽和であり非芳香族である、脂肪族環状炭化水素を示す。炭素−炭素不飽和結合を含む環状化合物は、炭素−炭素二重結合を有するシクロアルケンと、炭素−炭素三重結合を有するシクロアルキン等であり、環の一部に酸素原子等を含むことができる。炭素−炭素不飽和結合を含む環状化合物において用語「環員数」は、環式骨格を形成する炭素原子と酸素原子の合計数をいう。シクロアルケンの例は、シクロプロペン(C)、シクロブテン(C)、シクロペンテン(C)、シクロヘキセン(C10)、シクロヘプテン(C12)、シクロオクテン(C14)、シクロノネン(C16)、1,3−シクロオクタジエン(C12)、1,5−シクロオクタジエン(C12)等を含むが、これらに限定されない。シクロアルキンの例は、シクロブチン(C)、シクロペンチン(C)、シクロヘキシン(C)、シクロヘプチン(C10)、シクロオクチン(C12)等を含むが、これらに限定されない。
用語「モノマー」又は「単量体」は、互換的に使用することができ、高分子の基本構造の構成要素となりうる、低分子量の分子をいう。モノマーは通常、例えば炭素−炭素二重結合のような、重合反応の反応点となる官能基を有する。
用語「ポリマー」又は「重合体」は、互換的に使用することができ、分子量の小さいモノマーから得ることができる、モノマー単位の繰り返しで構成された構造を有する分子をいう。用語「高分子」は、ポリマーのほか、例えばタンパク質、核酸等のような多数の原子が共有結合してなる巨大分子をいう。
ポリマーにおいて用語「平均重合度」は、1個のポリマー分子中に含まれるモノマー単位の平均数をいう。すなわち、ポリマー組成物中には、異なる長さのポリマー分子がある程度の範囲で分散して存在している。
ポリマーの重合度に関して「数平均分子量」とは、ポリマー組成物中の分子1個あたりの分子量の平均をいい、「重量平均分子量」とは、重量に重みをつけて計算した分子量をいう。また、数平均分子量と重量平均分子量の比を分散度といい、ポリマー組成物の分子量分布の尺度となる。分散度が1に近いほど、ポリマー組成物中の平均重合度が近くなり、同じ程度の長さのポリマー鎖を多く含むことになる。
本発明において、用語「生体適合性材料」とは、中間水を含有可能であることにより、目的とする機能を発現しながらも、生体物質と接触した際に異物として認識されにくい材料をいう。生体適合性材料には、例えば補体活性、血栓活性、組織侵襲性のような生体に対する活性を有しない材料、及び例えば特定のタンパク質吸着や細胞粘着を誘導するような生体に対する活性を示す材料を含む。本発明において用語「血液適合性材料」とは、主に血液凝固を惹起しない材料をいう。
本発明に係るポリマーの製造方法においては、適宜のベタイン構造やエーテル構造等の中間水の含有に寄与する構造を含む基を結合させた炭素−炭素不飽和結合を含む環状化合物をモノマーとして、この環状化合物同士を開環重合させることにより、中間水の含有に寄与する構造等を含む基を側鎖として有する鎖状のポリマーを生成させる工程を含むことを特徴とする。このような重合方法によりポリマーを製造することで、予め環状化合物の環の構造や、環状化合物に結合させるエーテル構造等を含む基の結合位置や数を適宜定めることにより、環状化合物を開環重合して得られる鎖状のポリマーにおいて、中間水の含有に寄与する構造等を含む基で構成される側鎖の配置や密度を定めることが可能となる。これにより、従来のビニル基等を重合性基として使用する場合に比較して、合成されるポリマーにおける中間水の含有に寄与する構造等を含む基で構成される側鎖の密度や配置についての自由度を向上することができる。
主にアルキル鎖を主鎖として、特にエーテル構造等を含む基で構成される側鎖を有するポリマーにおいては、一般的に当該側鎖部分が水溶性を示すと共に、中間水の保持に寄与する一方で、耐水溶性を示す主鎖によってポリマー全体としての耐水溶性が担保され、構造材料や被膜として使用が可能になるものと理解されている。このため、本発明に係るポリマーの製造方法により、主鎖に対する側鎖の密度や配置の自由度が向上されることにより、各種用途に適した生体適合性を有するポリマーの提供が容易になると考えられる。
本発明に係るポリマーの製造方法において、ポリマーの重合に用いられる環状化合物としては、4員環から13員環までのいずれかの環状構造を有すると共に炭素−炭素原子間の不飽和結合を有することにより、開環重合を良好に生じるものが用いられる。開環重合の方法は特に限定されないが、重合により得られるポリマーにおいて規則的な側鎖配置を実現できる点で開環メタセシス重合反応(ROMP)を好ましく用いることができる。開環メタセシス重合は、シクロアルケン類をモノマーとして用いる重合反応であり、モノマーと触媒である遷移金属カルベン錯体間での連続的な開環メタセシス反応により進行する、連鎖的な重合反応である。開環メタセシス重合については、例えばChristopher W. Bielawski, Robert H. Grubbs, Prog. in Poly. Sci., 32(2007), 1-29等に詳細に記載されており、これは参照により本願明細書に組み込まれる。
本発明に係るポリマーの製造方法においては、一般的にモノマーである環状化合物に含まれる不飽和結合が切断されることで開環し、他の開環したモノマーの両端に存在する切断された不飽和結合の部分と結合し、これが連鎖的に生じることで環状構造を構成していた部分同士が不飽和結合で鎖状に結合した重合体を生じるものと考えられている。環状化合物を開環して鎖状の重合体を生じる方法であれば、開環メタセシス重合に限定されず、本発明に係るポリマーの製造に用いることができる。
開環メタセシス重合によれば、使用する触媒の選択等により、2カ所に炭素間の不飽和結合を有する環状化合物についても、いずれか一方の不飽和結合での開環重合を選択的に行うことが可能であり、このような環状化合物についても本発明に係るポリマーの製造に用いることができる。また、開環によって生じる鎖状のモノマー間の接合方向を制御することにより、主鎖に対する側鎖の位置の規則性を制御することができる。
また、開環メタセシス重合によれば、酸素、窒素、リン等のヘテロ原子を含む環状化合物についても炭素間の不飽和結合での開環重合が可能であり、これを利用して環状オレフィン以外の環状化合物を用いた開環重合を行うことが可能となる。本発明においては、特に環状構造内に酸素原子を有する環状化合物を用いることにより、重合により得られるポリマーの主鎖部分にエーテル結合を導入することが可能となり、生体適合性の発現に寄与することができる。
開環重合により得られるポリマーの主鎖部分には重合時に生成する炭素原子間の不飽和結合が残留することが一般的である。このような不飽和結合に対しては、ポリマーが使用される用途等に応じて、適宜の方法で水素や適宜の官能基を付加することができる。水素や適宜の官能基を付加することで、不飽和結合を消滅させてポリマーの化学的安定性の向上や、各種機能を付与することが可能である。特に、当該不飽和結合の部分に、更にエーテル構造を含む基等を付加することも可能である。
本発明に係るポリマーの製造方法において、重合の際のモノマーである環状化合物の環状部に結合される基は、製造されるポリマーの主鎖部分に対する側鎖を構成する部分である。従来から知られるように、生体環境で電気的に中性なベタインやエーテル構造のように中間水の含有に寄与する構造を含む基を、主にアルキル鎖で構成される主鎖に対して側鎖として設けることにより、高い生体親和性と耐水溶性を両立できるポリマーとすることが可能である。
本発明において、環状化合物の環状部に中間水の含有に寄与する構造等を含む基を導入する形態としては、環状構造を構成する炭素原子に当該基を結合する他、環状構造内に窒素原子等を導入し、これに当該基を結合してもよい。本発明において、環状化合物の環状部に導入される基は、中間水の含有に寄与する構造を有するものであれば特に限定されないが、典型的には、エーテル構造を有するものや、生体環境で電気的に中性なベタインが挙げられる。
環状化合物の環状部に導入されるエーテル構造を含む基は、少なくとも一つのエーテル結合(−O−)を有する基であれば良く、最も単純な構造の例としては、環状化合物の環状部にエーテル結合を介してメチル基を結合させたものが挙げられる。一方、ポリマー全体として含有可能な中間水の量を向上するためには、一般に複数のエーテル結合を含む鎖状のエーテル構造や、環状のエーテル構造を含む基を用いることが好ましい。また、エーテル構造等を含む基においては、生体親和性等を阻害しない範囲の比較的分子量が小さいアルキレン基やアルキル基や水素原子や、これらを環状化合物の環状部に結合する架橋基を含むことで、当該構造を安定化したり、製造を容易にすることが可能である。
中間水の含有可能量や物質としての安定性の観点から、本発明で使用されるエーテル構造等を含む基は、これまでに生体適合性に対する寄与が観察されている構造として、以下の一般式により示されるものが好ましく挙げられる。
Figure 2014105221

一般式(A)において、RはC1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基であり、好ましくは、RはCH、C、C又はCのいずれかを意味する。また、RはH又はC1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基であり、好ましくは、RはH、CH、C、C又はCのいずれかを意味する。mは1〜10の自然数であり、好ましくは1〜4の範囲内にあり、より好ましくは1又は2である。ここで、(R−O)の部分が、PEG等の単位構造であるエーテル構造を示す部分である。
本発明で使用される環状化合物においては、エーテル構造等を含む基として、一般式(A)におけるR、R、及びm値が相互に異なる基を含むことができる。つまり、本発明で使用される環状化合物においては、末端を水素又はアルキル基で終端したモノエーテル(m=1)、又はポリエーテル(m≧2)を有することができる。例えば、RがCの場合には、PEGの構成単位である鎖状エーテル(C−O)をアルキル基等で終端し、架橋基により環状構造に結合した構造を有する。
一般式(A)において、Rを成すアルキル鎖が短いほど親水性が高まる傾向が見られる一方で、RがC10以上の場合には疎水性が高まり中間水の保持が困難になる。また、RとOの結合で構成されるアルキルオキサイドの部分は1単位(m=1)でもよく、複数単位でもよい。Rの構造を一定とした場合、mの値が大きい場合には側鎖部分のポリエーテルとしての性格が強まり、水溶性が高まる傾向が見られる。高分子化合物中における一般式(A)で表される繰返し単位の密度が高い場合には、m≦4程度が好ましいが、当該密度が低い場合にはm≦10程度であれば高分子化合物が充分な耐水溶性を有する。一般式(A)で表される繰返し単位において、m≧2の場合には、それぞれの単位に含まれるRとして異なる長さのアルキル鎖を用いることができる。また、本発明の高分子化合物においては、分子内でm値が相互に異なる繰返し単位を含むことができる。
一般式(A)において、Rとしては、H、CH、C、C又はCを選択することができる。Rは、本発明により製造されるポリマーの側鎖部分を終端する部分であり、この部分の違いによっても側鎖部分の疎水性等を調整することができる。特にRとして水素を選択し、側鎖の先端をヒドロキシ基とすることで親水性を向上することができる。
また、一般式(B)においては、Rは3員環から6員環のうちのいずれかの環状エーテルであって、環状エーテルに含まれる酸素原子の数(k)は、k≧1である。また、本発明においては、R、Rに含まれる任意の水素が−OH、CH、Cの少なくともいずれか一つで置換されたものを含むものとする。また、Rは環状エーテルを含む構造を安定とするために、CH又はCのいずれかから選択されるアルキレン基が選択される。つまり、一般式(B)で示される基は、環状エーテルを所定のアルキレン基を介して主鎖に対して架橋基により結合した構造を有する。
を介在させずにRで示される環状エーテルを成す炭素原子と架橋基の結合を形成しようとした場合には、環状エーテルが不安定となって不安定となる傾向がみられる。一方、Rとして長い炭素鎖を導入した場合には疎水性が高まり、良好な生体適合性の発現が困難になるため、Rとして、CH、Cを用いることが好ましい。また、Rの部分に含まれる任意の水素原子を−OH、CH、Cの少なくともいずれかで置換することにより、親水性/疎水性の程度を調整することができるため、重合されるポリマーの使用目的に応じて適宜の置換を行うことができる。
一般式(B)で表される繰返し単位の側鎖部分においてRで示される環状エーテル部分は、7員環以上の環状エーテルを用いた場合には構造が不安定になるため、3員環から6員環のいずれか環状エーテルであることが望ましい。環状エーテルに含まれる酸素原子の数や位置は、環状エーテルが安定に存在する範囲内で適宜設定することができる。例えば、3員環の場合には、存在する2個の炭素原子間に1個の酸素原子(k=1)が存在する構造が一意に決定されるが、5員環の場合には、1又は2個の酸素原子(k=1,2)を相互に隣接しない任意の位置に含むことができる。また、Rの部分に含まれる任意の水素原子を−OH、CH、Cで置換することにより、親水性/疎水性の程度を調整することができるため、重合されるポリマーの使用目的に応じて適宜の置換を行うことができる。
一般式(A)又は(B)においてAで示される架橋基は、主にエーテル構造から構成される部分を環状構造に結合する部分である。エーテル構造が中間水を含有するためには、特有の高い分子運動性を維持することが必要であることが明らかになりつつあり、架橋基はその分子運動性を阻害し難いものであることが望ましい。具体的には、Aとして、炭素数が1〜6の低級のアルキレン基を用いることが好ましい。一方、モノマーとしての環状化合物の合成の容易性の点からは、Aとしてエステル構造(−C(=O)O−)、エーテル構造(−O−)、アミド構造(−C(=O)NH−)を採用することが便宜である。
環状化合物の環状部に好ましく導入される、生体環境で電気的に中性なベタインを含む基としては、ホスホベタイン、カルボキシベタイン、スルホベタイン等が一般的に知られている。つまり、例えば、これらの群に含まれる以下の一般式(C)〜(E)で示される構造を有するものを、架橋基やアルキレン基等を用いた適宜の結合様式により環状部に導入して用いることができる。
Figure 2014105221

(上記式において、R及びRは、各々独立して、低級アルキレン基であり、R及びRは、各々独立して、低級アルキル基である)
以上で説明した本発明で使用される環状化合物の構造の内で、特に環状構造が炭素原子から構成される場合について一般式で示すと以下の式(I)に示すとおりである。
Figure 2014105221

式中、下記:
Figure 2014105221

で表される部分は、炭素原子間の不飽和結合であり、R、R、R3n及びR4nのうちの少なくとも一つは中間水の含有に寄与する構造等を含む基である。また、nは1〜10の整数であることにより、環状構造は4員環から13員環のいずれかである。また、上記に明示される不飽和結合の他にもうひとつの不飽和結合を含むことができる。更に、上記のように、環状構造の一部に酸素原子、窒素原子等のヘテロ原子を、ヘテロ原子同士が隣接しない位置に含むことができる。
特に、式(I)の化合物を合成する際に良好な収率で得られること及び当該環状化合物をモノマーとして開環メタセシス重合反応に用いた際の反応性の点から、環員数が4、5、7又は8である環状化合物がより好ましい。本発明の一つの実施態様では、環員数が5、7又は8(n=2、4又は5)であり、他の一つの実施態様では、環員数が7又は8(n=4又は5)であり、さらに他の一つの実施態様では、環員数が12(n=9)である炭素−炭素不飽和結合を含む環状化合物が提供される。それらの中でも、環員数が8である、すなわちnが5である炭素−炭素不飽和結合を含む環状化合物が最も好ましい。
式(I)の環状化合物において、置換基である所定のベタインやエーテル構造等を含む中間水の含有に寄与する置換基が設けられる位置や数は、本発明により製造されるポリマーにおける側鎖の配置を決定する点で重要であり、当該ポリマーに求められる特性に応じて決定される。一般的には、当該置換基が多い場合には、重合で得られるポリマーが含有できる中間水の量が大きくなる一方で、ポリマーの耐水溶性が低下する傾向がある。一方、当該置換基を少なくすることで、ポリマーが含有できる中間水の量が減少し、特定のタンパク質や細胞を吸着する特性を付与することができる。つまり、当該置換基は、不飽和結合を形成する炭素原子以外の位置に設けることが可能であるが、ポリマーとして耐水溶性や中間水の含有可能量を適切に調節する点等から、適宜、置換基の密度や配置を決定することができる。特に、重合されるポリマーにおいて、各炭素原子に設けられる側鎖を一つにするために、式(I)の環状化合物において各炭素原子に結合する置換基の上限を一つにすることも好ましい。
また、特にGrubbs触媒を用いた開環重合を行う場合には、得られるポリマーにおける側鎖配置の規則性を高められる点で、置換基の少なくとも一つはアリル位(3位)に存在することが好ましく、最も好ましくは、アリル位のみに一つの置換基を設けることで規則性の高いポリマーを得ることができる。他の好ましい実施態様では、当該置換基は、シクロアルケン環の3、4及び5位、3、5及び7位、又は3及び5位に複数存在することができる。
本発明に係るポリマーの重合においては、員環数、置換基の構造、置換基の密度等が異なる環状化合物を用いて、ランダム重合、ブロック重合、グラフト重合等によって共重合体を生成させることが可能であり、重合で得られるポリマーの用途等に応じて適宜実施することができる。
本発明で好ましく重合に使用される環状化合物としては、例えば、以下:
3−(2−メトキシエチルオキシカルボニル)−1−シクロオクテン、
3−(2−メトキシエチルアミノカルボニル)−1−シクロオクテン、
3−(2−メトキシエチルオキシ)−1−シクロオクテン、
3−{(2−メトキシエチルオキシ)−メチル}−1−シクロオクテン、
3−{2−(テトラヒドロフラン−2−イルメチル−オキシ)−エチルオキシカルボニル}−1−シクロオクテン、
3−{2−(テトラヒドロフラン−3−イルメチル−オキシ)−エチルオキシカルボニル}−1−シクロオクテン、
3−{2−(テトラヒドロフラン−2−イルメチル−オキシ)−エチルアミノカルボニル}−1−シクロオクテン、
3−{2−(テトラヒドロフラン−3−イルメチル−オキシ)−エチルアミノカルボニル}−1−シクロオクテン、
等が挙げられるが、これらに限定されない。
上記式(I)において、架橋基Aがエーテル結合(−O−)であるような化合物は、例えば以下のスキーム1に従って調製することができる。
Figure 2014105221

(式中、n、xは、それぞれ独立して、1〜10の自然数であり、Rは、上記Rと同義である)
まず炭素原子間の不飽和結合が存在する不飽和環状化合物を、窒素雰囲気下、四塩化炭素のような適切な溶媒中で、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)の存在下、例えばN−ブロモスクシンイミドのような臭素化試薬と反応させ、ブロモ化した不飽和環状化合物を得る。これをさらに適切なアルコール(例えば、2−メトキシエタノール等)と反応させることにより、Aが−O−であるような式(I)の化合物を得る。不飽和環状化合物と臭素化試薬との反応では、ラジカル開始剤を用いることができる。ラジカル開始剤の例は、AIBN、過酸化ベンゾイル等が挙げられるが、これらに限定されない。不飽和環状化合物と臭素化試薬との反応に用いられる溶媒は、例えば四塩化炭素、ジクロロメタン、クロロホルム等が挙げられるが、これらに限定されない。不飽和環状化合物と臭素化試薬との反応を行う温度は、室温から溶媒の沸点までの温度範囲をとることができ、還流条件下で行うことが好ましい。臭素化した不飽和環状化合物とアルコールとの反応では、溶媒を用いることもできるが、不飽和環状化合物に導入するアルコール基の母体となるアルコールが液体である場合、前記アルコールそのものを溶媒として用いることもできる。
上記式(I)において、架橋基Aがエステル結合(−C(=O)O−)であるような化合物は、例えば以下のスキーム2に従って調製することができる。
Figure 2014105221

(式中、n、x、Rは、上記定義のとおりである)
まず非置換の不飽和環状化合物を、トルエンのような適切な溶媒中、ニンヒドリンと加熱還流することにより、3−位を(2−ヒドロキシ−1,3−インダンジオン−2−イル)基で置換した不飽和環状化合物を得る。これをさらに、過ヨウ素酸で処理した後、例えば硫酸のような酸の存在下で、適切なアルコール(例えば、2−メトキシエタノール)と反応させることにより、Aが−C(=O)O−であるような式(I)の化合物を得る。ニンヒドリンとの反応に用いられる溶媒は、例えばトルエン、キシレン等のような高沸点の溶媒が挙げられるが、これらに限定されない。ニンヒドリンとの反応を行う温度は、室温から溶媒の沸点までの温度範囲をとることができるが、反応の進行により生成する水を溶媒との共沸によって除去することができる温度の範囲、例えば水の沸点以上で行うことが好ましい。
上記式(I)において、架橋基Aがアミド結合(−C(=O)NH−)であるような化合物は、例えば以下のスキーム3に従って調製することができる。
Figure 2014105221

(式中、n、x、Rは、上記定義のとおりであり、Xは、ハロゲンである)
まず、モノマー上の置換基の母体となるアルコールHO(CHCHO)Rを適切なハロゲン化試薬によりハロゲン化し、次いでフタルイミドカリウムで処理し、さらに加水分解することで、第1級アミンを得る。また、上記スキーム2に従って得られる不飽和環状化合物のカルボン酸を、例えば塩化チオニルで処理することにより、カルボン酸クロリドを得る。これを前記第1級アミンと、場合によりピリジン等の塩基の触媒量での存在下で反応させることにより、目的の化合物を得る。各反応段階における好ましい反応条件は、当業者に公知である。
上記式(I)において、架橋基Aが低級アルキレン(−C2n−)であるような化合物は、例えば以下のスキーム4に従って調製することができる。
Figure 2014105221

(式中、n、x、Rは、上記定義のとおりであり、Xは、ハロゲンであり、lは、0〜4の整数である)
まず、アルコールHO(CHCHO)Rを例えばNaHで処理することにより得られるナトリウムアルコキシドを、α,ω−ジハロアルカンと反応させることにより、X−低級アルキレン−O−(CHCHO)Rを合成する。次いで得られた化合物とマグネシウムを反応させることで、対応するグリニャール試薬とする。これをさらに、上記スキーム1に従って得られるハロゲン化不飽和環状化合物と、例えば乾燥THFのような溶媒中、ヨウ化銅(I)の存在下で反応させることにより、目的の生成物を得る。
上記式(I)で示される環状化合物を開環重合することにより、式(II)で示される繰り返し単位を有するポリマー組成物を得ることができる。
Figure 2014105221

上記式(II)で示されるポリマー組成物においては、モノマー単位間の二重結合は、その各々についてcis又はtrans配置をとることができる。
式(II)で示されるポリマー組成物に対して、特に水素添加をすることで不飽和結合を還元して飽和結合としたポリマー組成物とすることで、ポリマー組成物の化学的な安定性を高めることができる。また、水素に代えて適宜の基を導入することで、ポリマー組成物に機能を付加することができる。式(II)で示されるポリマー組成物に対して、特に水素添加をすることで得られるポリマー組成物の構造を式(III)に示す。
Figure 2014105221
上記式(II)又は式(III)で示されるポリマー組成物において、mは、ポリマーの平均重合度を表す。mの値は特に制限されないが、重合反応に用いる触媒とモノマーの比等によって調節することができ、好ましくは2〜20000の範囲をとる。ポリマー組成物の平均分子量は、用いるモノマーの分子量によって変化し、特に制限されないが、2000〜1000000の範囲であることが好ましく、5000〜800000の範囲であることがより好ましく、10000〜500000の範囲であることが最も好ましい。ポリマー組成物の分子量分布は、特に制限されないが、1.0〜10の範囲であることが好ましく、1.0〜8の範囲であることがより好ましく、1.05〜5.0の範囲であることが最も好ましい。
上記式(II)、(III)から明らかなように、重合の際にモノマーとして使用される環状化合物において開環される不飽和結合を構成する炭素原子以外の炭素原子に置換基が設けることができる結果、本発明により製造されるポリマー組成物においては側鎖を設ける自由度が極めて高く、幅広い特性を有する生体適合性を有するポリマー組成物を合成することが可能である。また、本発明により製造されるポリマー組成物は、重合の際に形成される結合を挟む2個の炭素原子には側鎖が設けられていないことによっても特徴付けられる。
従来知られているPMEA等の主にアルキル鎖からなる主鎖に対して、エーテル構造を含む側鎖を設けたポリマー組成物においては、重合に用いるモノマーの構造に起因して、主鎖を成す炭素原子の内の1/2の割合の炭素原子に対して側鎖が設けられることが通常であった。一方、このようにして得られるPMEA等は、側鎖を有さないアルキル鎖であるポリエチレンと比較して化学的な安定性が低下し、これは多量に導入された側鎖の存在に起因するものであると考えられている。
これに対し、本発明に係る方法で製造されるポリマー組成物においては、主鎖を成す炭素原子に対して1/2未満の割合で側鎖を導入することも容易である。例えば、4員環の環状構造に一つの置換基を導入した環状化合物をモノマーとして用いることにより、主鎖を成す炭素原子に対して1/4の割合で側鎖を導入することができる等、より安定性の高い生体適合性ポリマーを容易に得ることが可能となる。一方、ポリマー組成物が使用される用途に応じて、主鎖を成す炭素原子に対して1/2以上(1/2を含まない)の割合で側鎖を導入することも可能であり、特に各炭素原子に対して2個の側鎖を導入することにより、極めて特異なポリマー組成物を製造することもできる。
上記式(II)又は式(III)で示されるポリマー組成物においては、その用途等に応じて、エーテル構造を含む置換基について位置特異的なポリマーとすることができる。ここで「位置特異的」とは、ポリマーの主鎖に対して置換基が等間隔に配置していることを指す。本発明の製造方法によれば、環員数に比べて置換基の密度が1/3以下の場合に位置特異的なポリマー組成物の製造が可能であり、例えば、環員数がn+3で置換基の数が1であるシクロアルケンをモノマーとして用いる場合に、重合の際の条件や使用する触媒を調整することで、開環で生じる非対称の鎖状分子をいわゆる頭−尾型で重合させることで、得られるポリマーにおいて、置換基を、ポリマー主鎖の炭素原子n+3個おきに設けることができる。本発明に係る製造方法で得られるポリマーにおいて、重合度に対して約90%以上の位置特異性を有し、特に約95%以上の位置特異性を有することが可能である。
本発明に係るポリマーの製造方法においては、式(I)で示されるような環状化合物を開環重合させる際の具体的手段として、触媒の存在下で開環メタセシス重合反応(ROMP)により式(II)に示すようなポリマー組成物を得ることができる。
開環メタセシス重合反応は、シクロアルケン類をモノマーとして使用し、モノマーと触媒である遷移金属カルベン錯体間での連続的な開環メタセシス反応により進行する、連鎖的な重合反応である。
本発明において開環メタセシス重合反応を用いる際に使用する触媒としては、遷移金属ハロゲン化物と有機金属系の共触媒の他、遷移金属カルベン錯体が好ましく用いられる。遷移金属カルベン錯体とは、遷移金属と炭素間に二重結合を有する遷移金属錯体であり、例えばチタン(Ti)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、ルテニウム(Ru)等のカルベン錯体が開環メタセシス重合反応の触媒として作用する。ルテニウムのカルベン錯体の例としては、以下:
Figure 2014105221

(式中、Cyは、シクロヘキシル基であり、Mesは、2,4,6−トリメチルフェニル基である)のようなカルベン錯体が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明のような置換基を有する環状化合物を重合して、側鎖を含むポリマーを調製する場合においては、触媒活性、官能基耐性、安定性、オレフィン選択性等の面から、ルテニウムのカルベン錯体、いわゆるGrubbs触媒を用いることが好ましい。Grubbs触媒の中でも、第二世代Grubbs触媒といわれる、N−ヘテロサイクリックカルベン(NHC)配位子を有するルテニウム錯体が、高度に位置選択的なポリマーが得られるために、好ましい。以下、単に「第二世代Grubbs触媒」というときは、上記2のルテニウム錯体を指す。
開環メタセシス重合を行う場合においては、必要に応じて溶媒を使用して行うことが好ましい。開環メタセシス重合反応に用いられる溶媒は、反応に対して不活性であり、反応物を溶解する溶媒であれば特に制限されない。溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、シクロドデカン、石油エーテル等の脂肪族炭化水素や、ジクロロエタン、クロロホルム等の脂肪族ハロゲン化炭化水素や、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン等の芳香族炭化水素や、クロロベンゼン、クロロトルエン等の芳香族ハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)等のエーテル溶媒等が使用される。これらの溶媒では、芳香族炭化水素、芳香族ハロゲン化炭化水素、エーテル溶媒が好ましく、中でもTHF、THPが更に好ましい。
本発明で開環メタセシス重合反応により重合を行う温度は、反応が進行し原料や生成物が分解しない範囲であればよく、通常は室温〜250℃、好ましくは50〜200℃、更に好ましくは60〜180℃である。反応圧力は反応が進行する条件であれば特に制限されず、常圧、加圧、減圧、いずれの条件でもよい。反応雰囲気は大気下であってもよいが、ヘリウム、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下又は気流下であることが好ましい。なお、反応時間は反応条件等により異なるが、通常は0.1〜100時間の範囲である。
開環メタセシス重合反応に用いる触媒の使用量は、触媒種や反応条件等により異なるが、式(I)のモノマー1molに対して、触媒が0.00001〜0.3mol、更には0.0001〜0.2mol、特に0.001〜0.1molの割合であることが好ましい。なお、触媒は単独でも複数でも使用することができる。
開環メタセシス重合反応で環状化合物を開環重合することにより、上記式(II)で示されるような主鎖に不飽和結合が残留したポリマー組成物を得ることができる。このようなポリマー組成物に対して、安定性を高める等の理由により、必要に応じて当業者に公知の手段等によって水素添加行うことで、上記式(III)で示されるような不飽和結合を含まないポリマー組成物を得ることができる。
水素添加は、例えば不活性溶媒中で、式(II)で示されるようなポリマー組成物を適切な溶媒中で例えばp−トルエンスルホン酸ヒドラジド等のヒドラジド化合物と反応させることで行うことができる。また、パラジウム担持活性炭素等を触媒として、その存在下で水素ガスと反応させる等によって生じさせることができる。
水素添加の際に用いられる溶媒は、反応に対して不活性であり、水素添加されるポリマー組成物に対して溶解性がある溶媒であれば特に制限されない。使用されうる溶媒の例としては、THF、THP、トルエン、キシレン等が挙げられるが、これらに限定されない。
水素添加によって式(II)で示されるようなポリマー組成物中の不飽和結合が還元される水素添加率は、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、最も好ましくは99%以上とされることが望ましい。水素添加率は、例えばH NMRを用いて、不飽和結合の水素に由来するシグナルを観測することによって、求めることができる。
また、式(II)で示されるような不飽和結合を有するポリマー組成物に対しては、水素添加の他にも、二重結合に対して反応性を示す試薬と反応させる等により、水素以外の官能基を導入することも可能である。不飽和結合に対して置換基を導入する反応として、例えばハロゲン化水素の付加、ハロゲン化、ハイドロボレーション、syn-ジヒドロキシル化等が挙げられ、得られるポリマー組成物の用途等に応じて適宜決定することができる。
本発明に係るポリマー組成物の製造方法においては、重合の際のモノマーとして使用する環状化合物について、員環数、置換基の構造、置換基の密度等が異なる二種類以上の異なる環状化合物を用いて共重合体であるポリマー組成物を製造することができる。例えば、置換シクロオクテン(8員環)と置換シクロブテン(4員環)を同時に開環メタセシス重合反応に用いてもよく、側鎖がエステル結合で環に結合している化合物と、側鎖がエーテル結合で環に結合している化合物とを同時に開環メタセシス重合反応に用いてもよい。特に、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において製造されるポリマー組成物に特定の機能を付与する等の目的で、エーテル構造を含まない基を結合した環状化合物を重合の際に混合し、ポリマー組成物の一部にエーテル構造を含まない側鎖を導入することも可能である。また、本発明に係る製造方法で製造された構造の異なる二種以上のポリマー組成物を混合して用いたり、更に、他の製造方法で製造されたるポリマー組成物と混合して使用することも可能である。
更に、本発明に係るポリマー組成物の製造方法において、重合の際に、例えばエチレン、スチレン、メタクリル酸メチル等のモノマーを混合することで、これらのモノマーに起因する単位をポリマー組成物に導入していてもよい。また、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチルのようなポリマーとのブロックコポリマーを形成していてもよい。
本発明により製造されるポリマー組成物には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて、例えば、ラジカル捕捉剤、過酸化物分解剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤等の添加剤を添加して使用することができる。
本発明により製造される種々のポリマー組成物は、適宜の有機溶媒に溶解させて単独で使用することもできるし、使用の目的に応じて他の高分子化合物と混合して使用する等、各種の組成物として使用することができる。また、本発明の医療機器は、生体内組織や血液と接して使用される表面の少なくとも一部分に本発明のポリマー組成物を有していればよい。つまり、医療機器を成す基材の表面に対して、本発明のポリマー組成物を含む組成物を表面処理剤として用いることができる。また、医療機器の少なくとも一部の部材を本発明のポリマー組成物、又は、その組成物で構成しても良い。
本発明のポリマー組成物は、医療用途に好ましく使用されることができる。本発明のポリマー組成物を他の高分子化合物等と混合して組成物として使用する場合には、その使用の用途に応じて適宜の混合割合で使用することができる。特に、本発明のポリマー組成物の割合を90重量%以上とすることで、本発明の特徴を強く有する組成物とすることができる。その他、使用の用途によっては、本発明のポリマー組成物の割合を50〜70重量%とすることで、本発明の特徴を活かしつつ、各種の特性を併せ持つ組成物とすることができる。
また、本発明の医療機器は、本発明のポリマー組成物を少なくとも表面の一部に有する医療用途に使用される機器である。本発明でいう医療機器の表面とは、例えば、医療機器が使用される際に血液等が接触する医療機器を構成する材料の表面並びに材料内の孔の表面部分等をいう。
なお、本明細書において、「生体内組織や血液に接して使用され」とは、例えば、生体内に入れられた状態、生体内組織が露出した状態で当該組織や血液と接して使用される形態、及び体外循環医用材料において体外に取り出した生体内成分である血液と接して使用される形態等を当然に含むものとする。また、「医療用途に使用され」とは、上記「生体内組織や血液に接して使用され」、又は、それを予定して使用されることを含むものである。
本発明において、医療機器を構成する部材の材質や形状は特に制限されることなく、例えば、多孔質体、繊維、不織布、粒子、フィルム、シート、チューブ、中空糸や粉末等いずれでも良い。その材質としては木錦、麻等の天然高分子、ナイロン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリオレフィン、ハロゲン化ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ(メタ)アクリレート、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体等の合成高分子あるいはこれらの混合物が挙げられる。また、金属、セラミクス及びそれらの複合材料等が例示でき、複数の基材より構成されていても構わない。
本発明のポリマー組成物は、生体内組織や血液と接して使用される医療機器に用いることができ、体内埋め込み型の人工器官や治療器具、体外循環型の人工臓器類、さらにカテーテル類(血管造影用カテーテル、ガイドワイヤー、PTCA用カテーテル等の循環器用カテーテル、胃管カテーテル、胃腸カテーテル、食道チューブ等の消化器用カテーテル、チューブ、尿道カテーテル、尿菅カテーテル等の泌尿器科用カテーテル) 等の医療機器の血液と接する表面の少なくとも一部、好ましくは血液と接する表面のほぼ全部に用いられることが望ましい。
本発明のポリマー組成物は、止血剤、生体組織の粘着材、組織再生用の補修材、薬物徐放システムの担体、人工すい臓や人工肝臓等のハイブリッド人工臓器、人工血管、塞栓材、細胞工学用の足場のためのマトリックス材料等に用いても良い。
これらの医療器具においては、血管や組織への挿入を容易にして組織を損傷しないため、さらに表面潤滑性を付与してもよい。表面潤滑性を付与する方法としては水溶性高分子を不溶化して材料表面に吸水性のゲル層を形成させる方法が優れている。この方法によれば、生体適合性と表面潤滑性を併せ持つ材料表面を提供できる。
本発明のポリマー組成物はそれ自体が生体適合性に優れた材料であるが、様々な生理活性物質をさらに担持させることもできるため、血液フィルターのみならず、血液保存容器、血液回路、留置針、カテーテル、ガイドワイヤー、ステント、人工肺装置、透析装置、内視鏡等の様々な医療機器に用いることができる。
具体的には、本発明のポリマー組成物を、血液フィルターを構成する基材表面の少なくとも一部にコーティングしてもよい。また、血液バッグと前記血液バッグに連通するチューブの血液と接する表面の少なくとも一部に本発明の高分子化合物をコーティングしてもよい。また、チューブ、動脈フィルター、遠心ポンプ、ヘモコンセントレーター、カーディオプレギア等からなる器械側血液回路部、チューブ、カテーテル、サッカー等からなる術野側血液回路部から構成される体外循環血液回路の血液と接する表面の少なくとも一部を本発明のポリマー組成物でコーティングしてもよい。
また、先端に鋭利な針先を有する内針と、前記内針の基端側に設置された内針ハブと、前記内針が挿入可能な中空の外針と、前記外針の基端側に設置された外針ハブと、前記内針に装着され、かつ前記内針の軸方向に移動可能なプロテクタと、前記外針ハブと前記プロテクタとを連結する連結手段とを備えた留置針組立体の、血液と接する表面の少なくとも一部が本発明のポリマー組成物でコーティングされてもよい。また、長尺チューブとその基端(手元側)に接続させたアダプターから構成されるカテーテルの血液と接触する表面の少なくとも一部が本発明のポリマー組成物でコーティングされてもよい。
また、ガイドワイヤーの血液と接触する表面の少なくとも一部が本発明のポリマー組成物でコーティングされてもよい。また、金属材料や高分子材料よりなる中空管状体の側面に細孔を設けたものや金属材料のワイヤや高分子材料の繊維を編み上げて円筒形に成形したもの等、様々な形状のステントの血液と接触する表面の少なくとも一部が本発明のポリマー組成物でコーティングされてもよい。
また、多数のガス交換用多孔質中空糸膜をハウジングに収納し、中空糸膜の外面側に血液が流れ、中空糸膜の内部に酸素含有ガスが流れるタイプの中空糸膜外部血液灌流型人工肺の、中空糸膜の外面もしくは外面層に、本発明のポリマー組成物が被覆されている人工肺としてもよい。
また、透析液が充填された少なくとも一つの透析液容器と、透析液を回収する少なくとも一つの排液容器とを含む透析液回路と、前記透析液容器を起点とし、又は、前記排液容器を終点として、透析液を送液する送液手段とを有する透析装置であって、その血液と接する表面の少なくとも一部が本発明のポリマー組成物でコーティングされてもよい。
本発明のポリマー組成物を含む組成物を医療用機器等の表面に保持させる方法としては、コーティング法、放射線、電子線及び紫外線によるグラフト重合、基材の官能基との化学反応を利用して導入する方法等の公知の方法が挙げられる。この中でも特にコーティング法は製造操作が容易であるため、実用上好ましい。さらにコーティング方法についても、塗布法、スプレー法、ディップ法等があるが、特に制限なくいずれも適用できる。その膜厚は、好ましくは、0.1μm〜1mmである。例えば、本発明の高分子化合物を含む組成物の塗布法によるコーティング処理は、適当な溶媒に本発明のポリマー組成物を含む組成物を溶解したコーティング溶液に、コーティングを行う部材を浸漬した後、余分な溶液を除き、ついで風乾させる等の簡単な操作で実施できる。また、コーティングを行う部材に本発明のポリマー組成物をより強固に固定化させるために、コーティング後に熱を加え、本発明のポリマー組成物との接着性を更に高めることもできる。また、表面を架橋することで固定化しても良い。架橋する方法として、コモノマー成分として架橋性モノマーを導入しても良い。また、電子線、γ線、光照射によって架橋しても良い。
架橋性モノマーとしては、メチレンビスアクリルアミド、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリアリルイソシアネート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート等のビニル基又はアリル基を1分子中に複数個有する化合物のほかに、ポリエチレングリコールジアクリレートがあげられる。このうち、ポリエチレングリコールジアクリレートを用いて、種々の官能基を導入した場合が、官能基を有する化合物の導入率が高く、更にポリエチレングリコール鎖を導入して親水性化できることにより、上記のように目的以外の細胞やタンパク質等の非特異的吸着が抑制されるので好ましい。この場合のポリエチレングリコール鎖の分子量は好ましくは100〜10000、さらに好ましくは500〜6000である。
以上のように本発明のポリマー組成物を含む組成物を、医療機器の血液と接触する表面の少なくとも一部に導入すると、凝固系、補体系、血小板系の活性化等を抑制することが可能であり、優れた生体適合性を付与することができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、以下の例で用いた薬品は、とくに断りの無い場合は市販品をそのまま用いた。以下の例において、実施例1〜4で得られた生成物(中間化合物、最終化合物)の構造の確認、重合の進行度、各実施例で得られた重合体の数平均分子量及び分子量分布の測定、重合体のガラス転移温度の測定、接触角、中間水の有無の確認は以下のようにして行った。
(1)数平均分子量([Mn]、単位:g/mol)
ピーク分子量が既知の標準ポリスチレンを用い、該標準ポリスチレンで校正したゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(東ソー社製「HLC−8220」、カラム構成:Tosoh TSK−gels super AW5000、super AW4000、super AW3000)を使用して、重合体の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を測定した。(溶媒:テトラヒドロフラン、温度:40℃、流量:1.0mL/min)。
(2)分子量分布([Mw/Mn])
上記(1)の方法で求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の値を用い、その比(Mw/Mn)として求めた。
(3)ガラス転移温度([Tg]、単位:℃)
DSC装置(エスアイアイ・ナノテクノロジーズ株式会社、「EXSTAR X−DSC7000」)を用い、窒素流量50mL/min、5.0℃/minの条件で測定を行った。温度プログラムは、(i)30℃から−100℃まで冷却、(ii)−100℃で5分間保持、(iii)−100℃から30℃まで加熱を行った。上記(iii)において観察されるガラス転移温度を示した。
(4)接触角
0.2g/mLのポリマー溶液を調製し、スピンコート基板を作成した。24時間風乾した後、コーティング基板上に超純水を2μL滴下し、30秒後の接触角θ/2を測定し、θを算出した。スピンコート基板5枚についてそれぞれ3カ所の接触角を測定し、その平均値を用いた。
(5)中間水の有無の確認
DSC装置(エスアイアイ・ナノテクノロジーズ株式会社、「EXSTAR X−DSC7000」)を用い、窒素流量50mL/min、5.0℃/minの条件で測定を行った。温度プログラムは、(i)30℃から−100℃まで冷却、(ii)−100℃で5分間保持、(iii)−100℃から30℃まで加熱を行った。上記(iii)において、水の低温結晶化に起因する発熱ピーク及び水の低温融解に起因する吸熱ピークの有無によって中間水の有無を確認した。
(6)NMR測定
モノマー及びポリマーの構造解析については、NMR測定装置(日本電子株式会社製、JEOL 500MHz JNM−ECX)を用い、H−NMR測定及び13C−NMR測定を行った。なお、ケミカルシフトはCDClH:7.26ppm、13C:77.1ppm)を基準とした。
1.モノマーの調製
≪実施例1≫[3−メトキシ−1−シクロオクテンの合成]
Figure 2014105221

(1)3−ブロモ−1−シクロオクテンの合成
(i)3口ナスフラスコ(容量1000mL)に、cis−シクロオクテン123.5g(1.12mol)、N−ブロモスクシンイミド120g(675mmol)、四塩化炭素400mLを加え、系内を攪拌しつつ窒素バブリングを30分行った。アゾビスイソブチロニトリル79.3mg(0.48mmol)を加え、90℃、2時間加熱還流を行って3−ブロモ−1−シクロオクテンを調製した。反応溶液を室温まで冷却した後、沈殿したスクシンイミドを吸引ろ過により濾別した。ろ液から四塩化炭素、過剰に用いたcis−シクロオクテンを減圧留去し、ヘキサンと混合した後、水で洗浄操作を行った。得られた有機層を減圧留去し、黄色透明の液体を得た。
(ii)上記(i)で得られた液体を減圧蒸留で分離精製し、3−ブロモ−1−シクロオクテン76.1g(403mmol、収率62mol%)(透明液体)を得た。その沸点は40℃/0.08mmHgであり、NMRスペクトルにおけるピークは以下のとおりであった。
H−NMR(500MHz、CDCl3):δ=5.83−5.75(m,1H)、5.65−5.55(m,1H)、 4.99−4.92(m,1H)、2.29−2.16(m,2H)、2.11(m,1H)、2.05−1.94(m,1H)、1.75−1.64(m,2H)、1.62−1.47(m,2H)、1.45−1.23(m,2H).
13C−NMR(125MHz、CDCl3):δ=133.30,129.91,49.07,40.94,29.08,26.62,26.21,25.75.
(2)3−メトキシ−1−シクロオクテンの合成
(i)3口ナスフラスコ(容量500mL)に、3−ブロモ−1−シクロオクテン42.6g(225mmol)、メタノール200mLを加え、50℃、2時間加熱攪拌を行って3−メトキシ−1−シクロオクテンを調製した。メタノールを減圧留去した後、水100mLを加え、ヘキサン100mLを用いて3回抽出操作を行った。得られた油層を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した後、これを無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶媒を減圧留去し、液体を得た。
(ii)上記(i)で得られた液体を、水素化カルシウムの存在下に減圧蒸留を行うことで精製し、3−メトキシ−1−シクロオクテン18.2g(収率58mol%)(透明液体)を得た。その沸点は51℃/70mmHgであった。NMRスペクトルを図1に示す。NMRスペクトルにおけるピークは以下のとおりであった。
H−NMR(500MHz、CDCl3):δ=5.71(dddd,J=10.9,9.0,7.3,1.6Hz,1H)5.47(ddd,J=10.9,7.1,1.3Hz,1H),4.14(dddd,J=11.5,6.6,4.5,1.5Hz,1H),3.32(s,3H),2.22−2.05(m,2H),1.92(ddt,J=13.2,9.0,4.3Hz,1H),1.69−1.33(m,7H).
13C−NMR(125MHz、CDCl3):δ=133.79,130.34,78.26,56.44,35.70,29.20,26.53,26.32,23.72.
≪実施例2≫[3−(2−メトキシエトキシ)−1−シクロオクテンの合成]
Figure 2014105221

(1)3−(2−メトキシエトキシ)−1−シクロオクテンの合成
(i)3−ブロモ―1−シクロオクテンは≪実施例1≫の(1)と同様にして調製した。
(ii)3口ナスフラスコ(容量500mL)に、3−ブロモ−1−シクロオクテン48.4g(256mmol)、2−メトキシエタノール200mLを加え、50℃、24時間加熱攪拌を行って3−(2−メトキシエトキシ)−1−シクロオクテンを調製した。2−メトキシエタノールを減圧留去した後、水300mLを加え、ジエチルエーテル100mLを用いて3回抽出操作を行った。得られた油層を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶媒を減圧留去し、液体を得た。
(iii)上記(ii)で得られた液体を、水素化カルシウムの存在下に減圧蒸留を行うことで精製し、3−(2−メトキシエトキシ)−1−シクロオクテン12.2g(66.3mmol、収率25mol%)(透明液体)を得た。その沸点は47℃/0.08mmHgであった。NMRスペクトルを図2に示す。NMRスペクトルにおけるピークは以下のとおりであった。
H−NMR(500MHz、CDCl3):δ=5.68(dddd,J=10.8,9.0,7.3,1.6Hz,1H),5.49(ddd,J=10.9,7.2,1.4Hz,1H),4.32−4.18(m,1H),3.55−3.47(m,3H),3.37(s,3H),2.20−2.10(m,1H),2.10−2.01(m,1H),1.99−1.88(m,1H),1.70−1.27(m,7H).
13C−NMR(125MHz、CDCl3):δ=133.93,130.18,77.16,72.25,68.00,59.10,35.80,29.24,26.54,26.31,23.76.
≪実施例3≫[3−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−1−シクロオクテンの合成]
Figure 2014105221

(1)3−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−1−シクロオクテンの合成
(i)3−ブロモ―1−シクロオクテンは≪実施例1≫の(1)と同様にして調製した。
(ii)3口ナスフラスコ(容量500mL)に、3−ブロモ−1−シクロオクテン45.2g(238mmol)、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール200mLを加え、80℃、24時間加熱攪拌を行って3−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−1−シクロオクテンを調製した。2−(2−メトキシエトキシ)エタノールを減圧留去した後、水300mLを加え、ジエチルエーテル100mLを用いて3回抽出操作を行った。得られた油層を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶媒を減圧留去し、液体を得た。
(iii)上記(ii)で得られた液体を、水素化カルシウムの存在下に減圧蒸留を行うことで精製し、3−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−1−シクロオクテン17.2g(75.4mmol、収率32mol%)(透明液体)を得た。その沸点は100℃/0.08mmHgであった。NMRスペクトルを図3に示す。NMRスペクトルにおけるピークは以下のとおりであった。
H−NMR(500MHz、CDCl3):δ=5.69(dddd,J=10.9,9.0,7.2,1.6Hz,1H),5.49(ddd,J=10.9,7.2,1.3Hz,1H),4.29(dddd,J=11.0,6.3,4.5,1.5Hz,1H),3.71−3.62(m,5H),3.59−3.52(m,3H),3.38(s,3H),2.21−2.11(m,1H),2.11−2.03(m,1H),1.97−1.90(m,1H),1.70−1.31(m,7H).
13C−NMR(125MHz、CDCl3):δ=133.98,130.11,77.14,72.04,70.92,70.58,68.07,59.09,35.84,29.25,26.55,26.33,23.78.
≪実施例4≫[3−(2−メトキシエトキシカルボニル)−1−シクロオクテンの合成]
Figure 2014105221

(1)2−シクロオクテン−1−カルボン酸の合成
(i)Dean−Stark装置を取り付けた3口ナスフラスコ(容量1000mL)に、cis−シクロオクテン74.5g(677mmol)、ニンヒドリン23.5g(132mmol)、トルエン600mLを加え、系内を攪拌しながら140℃で加熱還流を行い、生成した水を除去しつつ40時間反応を行うことで3−(2−ヒドロキシ−1,3−インダンジオン−2−イル)−1−シクロオクテンを調製した。トルエン、過剰に用いたcis−シクロオクテンを減圧留去した後、若干黄色に着色した固体を得た。
(ii)3口ナスフラスコ(容量500mL)に上記(i)で得られた固体を入れ、ジエチルエーテル300mLに分散させた後、攪拌しながら系を0℃に冷却した。発熱に注意しつつ過ヨウ素酸47.8g(209mmol)を徐々に加え、さらに室温で5時間反応させた。ジエチルエーテルを減圧留去した後、黄色の液体と固体からなる反応混合物を得た。
(iii)上記(ii)で得られた反応混合物にヘキサン150mLを加えて攪拌し、ヘキサンに可溶な成分のみ回収する操作を3回行った。得られた油層からヘキサンを減圧留去することで、2−シクロオクテン−1−カルボン酸を含む黄色の反応混合物13.8g(液体)を得た。
(2)3−(2−メトキシエトキシカルボニル)−1−シクロオクテンの合成
(i)3口ナスフラスコ(容量500mL)に上記(1)の(iii)で得られた反応混合物と2−メトキシエタノール150mLを入れ、硫酸2.3mLを加えて70℃、2時間反応を行った。炭酸水素ナトリウムを加え硫酸を中和した後、沈殿を濾別し、2−メトキシエタノールを減圧留去することで黄色の反応混合物(液体)14.8gを得た。
(ii)上記(i)で得られた液体を水素化カルシウム存在下に減圧蒸留することで精製し、3−(2−メトキシエトキシカルボニル)−1−シクロオクテン12.9g(60.8mmol、収率46.1%)(透明液体)を得た。その沸点は68.5℃/0.08mmHgであった。NMRスペクトルを図4に示す。NMRスペクトルにおけるピークは以下のとおりであった。
H−NMR(500MHz、CDCl3):δ=5.75(dddd,J=10.7,8.2,7.1,1.0Hz,1H)、5.68 (ddd,J=10.5,8.5,1.2,Hz,1H)、4.35−4.09(m,2H)、3.64−3.55(m,2H),3.54−3.43(m,1H),3.37(s,3H),2.26−2.02(m,2H),2.00−1.85(m,1H),1.77−1.61(m,2H),1.60−1.48(m,3H),1.47−1.20(m,2H).
13C−NMR(125MHz、CDCl3):δ=175.65,131.21,127.58,70.56,63.57,59.03,42.67,33.52,29.19,26.51,26.50,25.28.
2.ポリマーの調製
≪実施例5≫
(1)3−メトキシ−1−シクロオクテン重合体の製造
Figure 2014105221

3口ナスフラスコ(容量100mL)に、実施例1で得られた3−メトキシ−1−シクロオクテン14.0g(100mmol)、乾燥THF48mL、cis−4−オクテン59.7mg(0.533mmol)を加え、凍結−脱気を繰り返した後、乾燥窒素ガスで反応容器を置換した。第二世代Grubbs触媒34.0mg(40.0μmol)を含む乾燥THF溶液(2.0mL)をシリンジで反応容器内に添加し、60℃、16時間、攪拌下に重合させ、次いでエチルビニルエーテル3mLを添加して重合反応を停止した。重合の進行度をH−NMR測定により確認した結果、99%以上であった。得られた重合体溶液の一部を用いて前述した方法で分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)50000g/mol及び、分子量分布(Mw/Mn)1.6であった。これらの結果を下記の表1に示す。得られた重合体のH−NMRスペクトルを図5(a)に、13C−NMRスペクトルを図5(b)に示す。また、この重合体のガラス転移温度を上記した方法で測定したところ、表1に示すように−52℃であった。
(2)水素添加3−メトキシ−1−シクロオクテン重合体の製造
Figure 2014105221

(i)3口ナスフラスコ(容量500mL)に、上記(1)で得られた3−メトキシ−1−シクロオクテン重合体4.5g、o−キシレン100mL、p−トルエンスルホン酸ヒドラジド28.8g(160mmol)、トリブチルアミン28.8g(155mmol)及び少量(5mg程度)の2,6−ジtertブチル−ヒドロキシトルエン(BHT)を加え、得られた溶液を攪拌下に140℃に加熱して17時間還流を行ったところ、反応の進行に伴い黄色均一溶液となるとともに、窒素ガスの生成による気泡の発生が確認された。反応終了後、反応溶液を室温まで冷却した後、大過剰のメタノールに投入し、水素添加3−メトキシ−1−シクロオクテン重合体を沈殿させて回収した。これにより得られた水素添加3−メトキシ−1−シクロオクテン重合体をベンゼンに溶解させた後、メタノールで再沈殿させる作業を3回繰り返して生成を行い、得られた沈殿をさらに水中で24時間攪拌した。デカントにより水を取り除き、沈殿をTHFに溶解させてポリマーを回収した。溶媒を減圧留去した後、真空乾燥機で乾燥を行い、水素添加3−メトキシ−1−シクロオクテン重合体3.4g(収率75%)を得た。
(ii)上記(i)で得られた水素添加3−メトキシ−1−シクロオクテン重合体の水素転化率をH−NMRで測定したところ、二重結合に由来するピークが消失し、水素転化率は99%以上であった。得られた水素添加重合体のH−NMRスペクトルを図6(a)に、13C−NMRスペクトルを図6(b)に示す。また、この水素添加重合体のガラス転移温度を上記した方法で測定したところ、表1に示すように−68℃であった。
≪実施例6≫
(1)3−(2−メトキシエトキシ)−1−シクロオクテン重合体の製造
Figure 2014105221

3口ナスフラスコ(容量100mL)に、実施例2で得られた3−(2−メトキシエトキシ)−1−シクロオクテン11.0g(59.8mmol)、乾燥THF19mL、cis−4−オクテン33.6mg(0.300mmol)を加え、凍結−脱気を繰り返した後、乾燥窒素ガスで反応容器を置換した。第二世代Grubbs触媒20.3mg(23.9μmol)を含む乾燥THF溶液(2mL)をシリンジで反応容器内に添加し、60℃、16時間、攪拌下に重合させ、次いでエチルビニルエーテル2mLを添加して重合反応を停止した。重合の進行度をH−NMR測定により確認した結果、99%以上であった。得られた重合体溶液の一部を用いて前述した方法で分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)83000及び、分子量分布(Mw/Mn)1.3であった。これらの結果を下記の表1に示す。得られた重合体のH−NMRスペクトルを図7(a)に、13C−NMRスペクトルを図7(b)に示す。また、この重合体のガラス転移温度を上記した方法で測定したところ、表1に示すように−56℃であった。
(2)水素添加3−(2−メトキシエトキシ)−1−シクロオクテン重合体の製造
Figure 2014105221

(i)3口ナスフラスコ(容量500mL)に、上記(1)で得られた3−(2−メトキシエトキシ)−1−シクロオクテン重合体3.0g、o−キシレン120mL、p−トルエンスルホン酸ヒドラジド15.0g(80.6mmol)、トリブチルアミン20.9g(113mmol)、及び少量(5mg程度)の2,6−ジtertブチル−ヒドロキシトルエン(BHT)を加え、得られた溶液を攪拌下に140℃に加熱して7時間還流を行ったところ、反応の進行に伴い黄色均一溶液となるとともに、窒素ガスの生成による気泡の発生が確認された。反応終了後、反応溶液を室温まで冷却した後、大過剰のメタノールに投入し、水素添加3−(2−メトキシエトキシ)−1−シクロオクテン重合体を沈殿させて回収した。これにより得られた水素添加3−メトキシ−1−シクロオクテン重合体をベンゼンに溶解させた後、メタノールで再沈殿させる作業を3回繰り返して生成を行い、得られた沈殿をさらに水中で24時間攪拌した。デカントにより水を取り除き、沈殿をTHFに溶解させてポリマーを回収した。溶媒を減圧留去した後、真空乾燥機で乾燥を行い、水素添加3−(2−メトキシエトキシ)−1−シクロオクテン重合体2.1g(収率69%)を得た。
(ii)上記(i)で得られた水素添加3−(2−メトキシエトキシ)−1−シクロオクテン重合体の水素転化率をH−NMRで測定したところ、二重結合に由来するピークが消失し、水素転化率は99%以上であった。得られた水素添加重合体のH−NMRスペクトルを図8(a)に、13C−NMRスペクトルを図8(b)に示す。また、この水素添加重合体のガラス転移温度を上記した方法で測定したところ、表1に示すように−67℃であった。
≪実施例7≫
(1)3−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−1−シクロオクテン重合体の製造
Figure 2014105221

3口ナスフラスコ(容量100mL)に、実施例3で得られた3−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−1−シクロオクテン11.4g(50mmol)、乾燥クロロホルム29mL、cis−4−オクテン23.9mg(0.213mmol)を加え、凍結−脱気を繰り返した後、乾燥窒素ガスで反応容器を置換した。第二世代Grubbs触媒78.7mg(0.093mmol)を含む乾燥THF溶液(2mL)をシリンジで反応容器内に添加し、60℃、16時間、攪拌下に重合させ、次いでエチルビニルエーテル2mLを添加して重合反応を停止した。重合の進行度をH−NMR測定により確認した結果、78%であった。得られた重合体溶液の一部を用いて前述した方法で分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)46000及び、分子量分布(Mw/Mn)2.4であった。これらの結果を下記の表1に示す。得られた重合体のH−NMRスペクトルを図9(a)に、13C−NMRスペクトルを図9(b)に示す。また、この重合体のガラス転移温度を上記した方法で測定したところ、表1に示すように−67℃であった。
(2)水素添加3−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−1−シクロオクテン重合体の製造
Figure 2014105221

(i)3口ナスフラスコ(容量500mL)に、上記(1)で得られた3−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−1−シクロオクテン重合体1.8g、o−キシレン100mL、p−トルエンスルホン酸ヒドラジド7.33g(39.4mmol)、トリブチルアミン10.5g(56.4mmol)、及び少量(5mg程度)の2,6−ジtertブチル−ヒドロキシトルエン(BHT)を加え、得られた溶液を攪拌下に140℃に加熱して7時間還流を行ったところ、反応の進行に伴い黄色均一溶液となるとともに、窒素ガスの生成による気泡の発生が確認された。反応終了後、反応溶液を室温まで冷却した後、大過剰の水に投入し、水素添加3−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−1−シクロオクテン重合体を沈殿させて回収した。これにより得られた水素添加3−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−1−シクロオクテン重合体をTHFに溶解させた後、水で再沈殿させる作業を3回繰り返して生成を行い、得られた沈殿をさらに水中で24時間攪拌した。デカントにより水を取り除き、沈殿をTHFに溶解させてポリマーを回収した。溶媒を減圧留去した後、真空乾燥機で乾燥を行い、水素添加3−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−1−シクロオクテン重合体0.40g(収率22%)を得た。
(ii)上記(i)で得られた水素添加3−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−1−シクロオクテン重合体の水素転化率をH−NMRで測定したところ、二重結合に由来するピークが消失し、水素転化率は99%以上であった。得られた水素添加重合体のH−NMRスペクトルを図10(a)に、13C−NMRスペクトルを図10(b)に示す。また、この水素添加重合体のガラス転移温度を上記した方法で測定したところ、表1に示すように−75℃であった。
≪実施例8≫
(1)3−(2−メトキシエトキシカルボニル)−1−シクロオクテン重合体の製造
Figure 2014105221

3口ナスフラスコ(容量100mL)に、実施例2で得られた3−(2−メトキシエトキシカルボニル)−1−シクロオクテン9.2g(43.4mmol)、乾燥THF10mL、cis−4−オクテン23.3mg(0.208mmol)を加え、凍結−脱気を繰り返した後、乾燥窒素ガスで反応容器を置換した。第二世代Grubbs触媒13.6mg(16.0μmol)を含む乾燥THF溶液(1.0mL)をシリンジで反応容器内に添加し、60℃、16時間、攪拌下に重合させ、次いでエチルビニルエーテル0.2mLを添加して重合反応を停止した。重合の進行度をH−NMR測定により確認した結果、99%以上であった。得られた重合体溶液の一部を用いて前述した方法で分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)38000及び、分子量分布(Mw/Mn)1.6であった。これらの結果を下記の表1に示す。また、得られた重合体のH−NMRスペクトルを図11(a)に、13C−NMRスペクトルを図11(b)に示す。
(2)水素添加3−(2−メトキシエトキシカルボニル)−1−シクロオクテン重合体の製造
Figure 2014105221

(i)3口ナスフラスコ(容量300mL)に、上記(1)で得られた3−(2−メトキシエトキシカルボニル)−1−シクロオクテン重合体1.5g、o−キシレン100mL、p−トルエンスルホン酸ヒドラジド6.6g(35.4mmol)、トリブチルアミン6.7g(36.1mmol)及び少量(5mg程度)の2,6−ジtertブチル−ヒドロキシトルエン(BHT)を加え、得られた溶液を攪拌下に140℃に加熱して20時間還流を行ったところ、反応の進行に伴い黄色均一溶液となるとともに、窒素ガスの生成による気泡の発生が確認された。反応終了後、反応溶液を室温まで冷却した後、大過剰のメタノールに投入し、水素添加3−(2−メトキシエトキシ)−1−シクロオクテン重合体を沈殿させて回収した。これにより得られた水素添加3−メトキシ−1−シクロオクテン重合体をベンゼンに溶解させた後、メタノールで再沈殿させる作業を3回繰り返して生成を行い、得られた沈殿をさらに水中で12時間攪拌した。デカントにより水を取り除き、沈殿をTHFに溶解させてポリマーを回収した。溶媒を減圧留去した後、真空乾燥機で乾燥を行い、水素添加3−(2−メトキシエトキシカルボニル)−1−シクロオクテン重合体1.32g(収率88%)を得た。
(ii)上記(i)で得られた水素添加3−(2−メトキシエトキシカルボニル)−1−シクロオクテン重合体の水素転化率をH−NMRで測定したところ、二重結合に由来するピークが消失し、水素転化率は99%以上であった。得られた水素添加重合体のH−NMRスペクトルを図12(a)に、13C−NMRスペクトルを図12(b)に示す。また、この重合体のガラス転移温度を上記した方法で測定したところ、表1に示すように−53℃であった。
≪比較例1≫
(1)cis−シクロオクテン重合体の製造
Figure 2014105221

3口ナスフラスコ(容量300mL)に、cis−シクロオクテン15.0g(136mmol)、乾燥THF68mL、cis−4−オクテン0.764g(0.682mmol)を加え、凍結−脱気を繰り返した後、乾燥窒素ガスで反応容器を置換した。第二世代Grubbs触媒23.3mg(27.4μmol)を含む乾燥THF溶液(2.0mL)をシリンジで反応容器内に添加し、60℃、16時間、攪拌下に重合させ、次いでエチルビニルエーテル2mLを添加して重合反応を停止した。重合の進行度をH−NMR測定により確認した結果、99%以上であった。得られた重合体溶液の一部を用いて前述した方法で分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)37000及び、分子量分布(Mw/Mn)1.7であった。これらの結果を下記の表1に示す。また、この重合体のガラス転移温度を上記した方法で測定したところ、表1に示すように−70℃であった。
(2)水素添加cis−シクロオクテン重合体の製造
Figure 2014105221

(i)3口ナスフラスコ(容量500mL)に、上記(1)で得られたcis−1−シクロオクテン重合体6.0g、o−キシレン250mL、p−トルエンスルホン酸ヒドラジド49.9g(53.6mmol)、トリブチルアミン49.7g(53.6mmol)及び少量(5mg程度)の2,6−ジtertブチル−ヒドロキシトルエン(BHT)を加え、得られた溶液を攪拌下に140℃に加熱して4時間還流を行ったところ、反応の進行に伴い黄色均一溶液となるとともに、窒素ガスの生成による気泡の発生が確認された。反応終了後、反応溶液を室温まで冷却した後、大過剰のメタノールに投入し、水素添加cis−1−シクロオクテン重合体を沈殿させて回収した。これにより得られた水素添加cis−1−シクロオクテン重合体を熱o−キシレンに溶解させた後、メタノールで再沈殿させる作業を3回繰り返して精製を行い、さらに水中で24時間攪拌した。吸引ろ過により水を取り除いた後、得られた白色固体を真空乾燥機で乾燥を行い、水素添加cis−1−シクロオクテン重合体5.8g(収率95%)を得た。
(ii)上記(i)で得られた水素添加cis−1−シクロオクテン重合体の水素転化率をH−NMRで測定したところ、二重結合に由来するピークが消失し、水素転化率は99%以上であった。また、この水素添加重合体のガラス転移温度を上記した方法で測定したところ、30℃から−100℃までの範囲内には観察されなかった。
実施例5〜8及び比較例1によって得られたポリマー組成物について、その物性をまとめた結果を表1に示す。また、中間水の有無を確認するために、実施例5〜8及び比較例1によって得られたポリマー組成物について、DSC測定を行った結果を図13〜22に示す。DSCチャートでは、−40℃付近において潜熱の放出が観察されたり、−10℃以上の氷点下において潜熱の吸収が観察された場合に、中間水が存在していることを示す。
Figure 2014105221
上の表及び図から明らかなように、本発明のポリマー組成物は、中間水を保持しており、これは本発明のポリマー組成物が生体適合性材料として使用することに適していることを示している。一方、比較例のポリマーにおいては、中間水の存在は確認されなかった。
本発明によれば、本発明のポリマー組成物は、血液凝固等の原因となる物質が付着しにくく、生体の修復を促進する生体適合性材料として用いることができる。本発明のポリマー組成物は、例えば、人工血管のような医療機器、又はステント等の、生体に接触することがある医療機器の表面処理剤として用いることができる。

Claims (16)

  1. 炭素−炭素不飽和結合を有する4〜13員環の環状構造を有し、少なくとも一つの中間水の含有に寄与する構造を含む置換基が当該環状構造に結合している環状化合物を開環重合させてポリマーを得る工程を含むことを特徴とする、ポリマーの調製方法。
  2. 前記環状化合物の開環重合においてグラブス触媒が使用されることを特徴とする請求項1に記載のポリマーの調製方法。
  3. 前記環状化合物の開環重合で得られたポリマー組成物の主鎖の部分に含まれる不飽和結合の少なくとも一部を還元して飽和結合とする工程をさらに含むことを特徴とする、ポリマーの調製方法。
  4. 相互に結合した炭素原子の列を含む主鎖を有し、当該炭素原子の一部に中間水の含有に寄与する構造を含む基が主鎖に対する側鎖として結合されたポリマーであって、
    前記炭素原子の列には側鎖が結合されていない炭素原子が2個以上連続して存在する部分が含まれることを特徴とするポリマー。
  5. ポリマーの主鎖に含まれる炭素原子において、中間水の含有に寄与する構造を含む側鎖が結合されている炭素原子の割合が1/2未満であることを特徴とする請求項4に記載のポリマー。
  6. 中間水の含有に寄与する構造を含む側鎖についての位置特異性が90%以上であることを特徴とする請求項4又は請求項5のいずれか一項に記載のポリマー。
  7. 請求項4から6のいずれか一項に記載のポリマーを含むことを特徴とする組成物。
  8. 医療用材料として用いられることを特徴とする請求項7に記載の組成物。
  9. 請求項7又は8に記載の組成物を少なくとも一部に使用することを特徴とする機器。
  10. 炭素−炭素不飽和結合を有する4〜13員の環状構造を有し、少なくとも一つの中間水の含有に寄与する構造を含む置換基が当該環状構造に結合していることを特徴とする、環状化合物。
  11. 前記環状化合物に含まれる炭素−炭素不飽和結合の数が1又は2であることを特徴とする、請求項10に記載の環状化合物。
  12. 前記中間水の含有に寄与する構造を含む置換基が、エーテル構造を含む置換基であることを特徴とする、請求項10又は請求項11のいずれか一項に記載の環状化合物。
  13. 前記エーテル構造として、環状エーテル又は鎖状エーテルの少なくとも一方を含むことを特徴とする、請求項12に記載の環状化合物。
  14. 前記中間水の含有に寄与する構造を含む置換基が、生体環境で電気的に中性なベタインを含む置換基であることを特徴とする、請求項10又は請求項11のいずれか一項に記載の環状化合物。
  15. 前記生体環境で電気的に中性なベタインが、ホスホベタイン、カルボキシベタイン、スルホベタインのいずれかであることを特徴とする、請求項14に記載の環状化合物。
  16. 開環重合を行う際のモノマーとして使用されることを特徴とする請求項10から請求項15のいずれか一項に記載の環状化合物。
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