JP6320688B2 - 環状カーボネートの製造方法 - Google Patents
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Description
上記のような環状カーボネートの合成においては、環化反応を非プロトン性有機溶媒等の中で行う必要があるのに対し、bis−MPAは極性が高いために有機溶媒への溶解性が低いという問題を有し、典型的には予めカルボキシル基に対して何らかの置換反応を行うことで、有機溶媒への溶解性を高める操作が行われる。一方、当該カルボキシル基との置換反応は、一般に反応性試薬である置換アルコールやアミンとの間でのエステル化又はアミド化を経由するため、その際にジオール部位への影響を考慮する必要がある。特にカルボキシル基をエステル化する場合、ジオール部位とのエステル化反応の競争を考慮する必要がある。そのため、bis−MPA等を出発原料とする環状カーボネートの合成においては、ジオール部位及びカルボキシル基に対する保護・脱保護段階を適切に経由する必要があり、従来より上記のような様々な合成経路が提案されている。
製法Bは非特許文献2等にて報告されており、カルボキシル基への反応性官能基の導入反応を先行させ、その後環化反応を行うものである。求核剤を大過剰に使用することで初段階の反応においてbis−MPAの自己縮合反応を抑制している。ただし、高温での加熱が必要で、精製・単離の観点から低沸点かつ化学的に安定なアルコールやアミンを使用する場合に限定される。また、その他にも反応条件や反応基質に大きな制限がかかり、様々な機能を有する分子を設計するうえでは大きな欠点を有している。
製法Cは非特許文献3及び4等で報告されており、予めジオール部位を保護した後にカルボキシル基を反応性官能基で修飾し、その後にジオール部位の脱保護、環化反応と続く手法である。製法Cによれば、ジオール部位の保護によってカルボキシル基への反応性官能基の導入反応において自己縮合の懸念がなく、製法Bと比較して使用できる求核試薬の範囲が拡大する。その一方で、製法Bと同様に、カルボキシル基に導入される基Rには、その後の酸性条件で行われるジオール部位の脱保護反応や環化反応に対する耐性が必要とされる。
製法Aと同様に導入できる求核試薬の多様性を維持しつつ工程数の大幅な低減が達成されているが、PFCは高価で入手性に問題がある。また、副生するペンタフルオロフェノールの除去が不十分な場合、その後の重合反応に影響することも不利となる。
本発明において、以下の用語は、単独で現れるか又は組み合わせて現れるかにかかわらず、それぞれについて説明される内容を示すものとして使用される。
各種検討の結果より、カルボキシル基を有するジオール化合物が上記反応を生じる機序は以下のようであると考えられる。つまり、ジオール化合物のカルボキシル基から生じるプロトンを補足するための有機塩基を介在させることで、ジオール化合物と有機塩基との錯体が形成され、ジオール化合物のカルボキシル基が当該有機塩基により保護される。この際に、当該有機塩基として陽イオンを生じる物質を使用した場合には、当該錯体が有機溶媒に対する溶解度を示し、また当該有機塩基として陰イオン交換樹脂等を使用した場合には、陰イオン交換樹脂の表面に当該錯体が生成するなどにより、錯体の一部であるジオール化合物が有機溶媒中に安定して存在可能となる。
上記により有機溶媒中に安定して存在するジオール化合物に対し、ジオール部位を環化するための炭酸源「−(C=O)−」を適用することで、カルボキシル基部分に影響を与えることなくジオール部位が環化されるものと考えられる。 本発明によれば、適宜の有機塩基によってジオール化合物のカルボキシル基を保護した状態でジオール部位の環化を行うため、以下に説明するように、環化反応に使用する炭酸源の構造についての選択の幅が広く、使用するジオール化合物等に応じて適宜の炭素源を使用することが可能となる。一方、カルボキシル基を保護する保護基として特に有機塩基を用いることで、ジオール化合物の有機溶媒に対する溶解度を高められると共に、環化反応後の脱保護を容易に行うことが可能となって、その後の環化反応とカルボキシル基の脱保護を効率的に行うことができる。また、環化反応に炭酸源として使用する化合物とは独立にカルボキシル基を保護する保護基を適宜選択可能となるため、合成される環状カーボネートにおけるカルボニル基に導入される官能基の構造等に応じた保護基を使用することが可能になる。
R1−(C=O)−R2 (I)
式(I)の化合物において、R1及びR2は、適宜の条件でカルボニル炭素から遊離可能なものであればよく、フッ素、塩素、臭素を含むハロゲン原子であるか、イミダゾリウム基であるか、−OR3であり、ここでR3は炭素数6以下のアルキル基若しくはそれらのハロゲン置換体であるか、ベンゼンやナフタレン等のアリール基、又は1個以上の置換基により置換されたアリール基(ここで、置換基には例えばフッ素、塩素、臭素を含むハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、アルコキシ基、アルキル基、ハロアルキル基が挙げられる)等が例示される。また、R1とR2の構造は同じでも異なっていてもよい。また、R1,R2はカーボネートの生成の際に遊離するため、遊離後のR1,R2が一連の反応系において望まない影響を示さないものとすることが好ましい。
すなわち、式(I)で表される化合物の例としては、非限定的に、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジブチル等の脂肪族炭酸ジエステル、炭酸ジフェニル、炭酸ジナフチル等の芳香族炭酸ジエステル、炭酸メチルフェニル等の混合炭酸ジエステル、ホスゲン、トリホスゲン(炭酸ビス(トリクロロメチル))、カルボニルジイミダゾール(CDI)等が挙げられる。炭酸ジメチル、炭酸ジフェニル又はトリホスゲンが、入手又は取扱いの容易さ、安全性等の面で好ましい。
式(I)で表される化合物において、適宜のR1,R2を選択することにより、カルボニル炭素との結合強度等が変化し、特にカルボニル炭素からR1,R2が遊離する温度等を変化することが可能である。R1,R2の選択によりカルボニル炭素が遊離しやすい化合物を使用する場合には、比較的低温においてジオール化合物の環化反応を行うことが好ましい。また、カルボニル炭素と強固な結合を形成するR1,R2を選択する場合には、加熱環境下で環化反応を行う他、適宜の触媒などを使用してカルボニル炭素の遊離を促進することも好ましい。
また、R1,R2として比較的分子量の大きい炭化水素基を選択することで、ジオール化合物の環化反応の反応場として使用する有機溶媒中への溶解度が向上し、高い密度での環状カーボネートの合成が可能になる点で好ましい。
本発明においてジオール化合物の環化反応における炭素源として使用される化合物の量は、使用されるジオール化合物と等モル量以上が好ましく、より好ましくはジオール1分子に対して等モル以上2モル以下のカルボニル単位が作用する量である。
本発明においては、ジオール化合物のジオール部位をカルボニル炭素により環化する環化反応の反応場として、典型的には有機溶媒が選択されるが、当該環化反応を良好に進行させるためには、特に非プロトン性有機溶媒が好ましく使用される。
本発明の好ましい実施形態では、有機塩基等の介在によって有機溶媒に溶解させたジオール化合物に対して炭酸源である化合物を作用させることで、ジオール部位の環化反応を行うことが好ましい。
式中、R4は、合成される環状カーボネートの重合により得られるポリカーボネートの側鎖の有無やその構成を決定する部分であり、当該ポリカーボネートにおいて期待される特性に応じてR4が適宜決定される。つまり、ポリカーボネートにおける該当箇所に側鎖を設けない場合は、R4は水素原子とされ、側鎖を設ける場合には、当該側鎖に応じた官能基等がR4として導入される。また、特に以下で説明する生体親和性のポリカーボネートを得るための環状カーボネートである場合には、R4は水素原子又は低級アルキル基であり、低級アルキル基としては特にC1−3アルキル基が好ましく、メチルであることが最も好ましい。
式(II)におけるm及びm’は、合成される環状カーボネートの環状部の員数を決定する部分であり、環化反応の容易さや、合成される環状カーボネートの安定性の観点から、m及びm’の和が1〜7程度以下であることが好ましい。また、環状カーボネートの生成を選択的に行うことを可能とするため、その和が1〜3の範囲であることが好ましい。この範囲において、m及びm’は、互いに独立して、0〜5の整数であってよいが、m,m’間の差が大きい場合には環化反応が困難になる傾向があり、環化反応の容易さの点からはm,m’間の差が2以下であり、特にm及びm’が同じ値であることが好ましい。環状カーボネートの生成の点からは、m及びm’が 共に1であることが最も好ましい。
また、カルボキシル基を有するジオール化合物に反応試薬を作用させる際には、カルボキシル基部分とジオール部位との反応の競争を考慮する必要があるが、一般に有機塩基はジオール部位との反応を生じ難いため、カルボキシル基の保護に適している。この点において、トリエチルアミン等の三級アミン等においては窒素上の水素が存在せず、ジオール部位の環化反応に関与する可能性が特に低い点で好ましく用いられる。また、ジオール化合物との錯体形成後の余剰分の有機塩基を減圧乾燥で除去可能な点でも、トリエチルアミンが好ましく用いられる。
本発明において用いられる有機塩基の例としては、非限定的に、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン等の第三級アルキルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、メチルモルホリン等の環状アミン、ピリジン、イミダゾール等の芳香族アミン、アミジン、グアニジンのような含窒素化合物、フォスファゼン等のリン原子を含む化合物、オキソニウム、イミダゾリウム、アンモニウム、スルホニウム、ホスフォニウム等のオニウムイオンの水酸化物、陰イオン交換樹脂等が挙げられる。好ましくは、トリエチルアミン等の三級アミンである。また、本発明において用いられる有機塩基には、炭酸源である式(I)の化合物から脱離した基R1及びR2をトラップする作用が期待される。
2−エチル−1,3,5−トリメチルピラゾリウムヒドロキシド、2−プロピル−1,3,5−トリメチルピラゾリウムヒドロキシド、2−ブチル−1,3,5−トリメチルピラゾリウムヒドロキシド、2−ヘキシル−1,3,5−トリメチルピラゾリウムヒドロキシド等のピラゾリウムの水酸化物;
1−エチルピリジニウムヒドロキシド、1−ブチルピリジニウムヒドロキシド、1−ヘキシルピリジニウムヒドロキシド、1−オクチルピリジニウムヒドロキシド、1−エチル−3−メチルピリジニウムヒドロキシド、1−エチル−3−ヒドロキシメチルピリジニウムヒドロキシド、1−ブチル−3−メチルピリジニウムヒドロキシド、1−ブチル−4−メチルピリジニウムヒドロキシド、1−オクチル−4−メチルピリジニウムヒドロキシド、1−ブチル−3,4−ジメチルピリジニウムヒドロキシド、1−ブチル−3,5−ジメチルピリジニウムヒドロキシド等のピリジニウムの水酸化物;
1−プロピル−1−メチルピロリジニウムヒドロキシド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムヒドロキシド、1−ヘキシル−1−メチルピロリジニウムヒドロキシド、1−オクチル−1−メチルピロリジニウムヒドロキシド、1−ブチル−1−プロピルピロリジニウムヒドロキシド等のピロリジニウムの水酸化物;
1−プロピル−1−メチルピペリジニウムヒドロキシド、1−ブチル−1−メチルピペリジニウムヒドロキシド、1−(2−メトキシエチル)−1−メチルピペリジニウムヒドロキシド等のピペリジニウムの水酸化物;
4−プロピル−4−メチルモルホリニウムヒドロキシド、4−(2−メトキシエチル)−4−メチルモルホリニウムヒドロキシド等のモルホリニウムの水酸化物;
テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘプチルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラオクチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、プロピルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ジエチル−2−メトキシエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリオクチルアンモニウムヒドロキシド、シクロヘキシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリエチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルジステアリルアンモニウムヒドロキシド、ジアリルジメチルアンモニウムヒドロキシド、2−メトキシエトキシメチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラキス(ペンタフルオロエチル)アンモニウムヒドロキシド、N−メトキシトリメチルアンモニウムヒドロキシド、N−エトキシトリメチルアンモニウムヒドロキシド、N−プロポキシトリメチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウムの水酸化物;
トリヘキシルテトラデシルホスホニウムヒドロキシド等のホスホニウムの水酸化物;
トリメチルスルホニウムヒドロキシド等のスルホニウムの水酸化物;
グアニジニウムヒドロキシド、2−エチル−1,1,3,3−テトラメチルグアニジニウムヒドロキシド等のグアニジニウムの水酸化物;
2−エチル−1,1,3,3−テトラメチルイソウロニウムヒドロキシド等のイソウロニウムの水酸化物;及び
2−エチル−1,1,3,3−テトラメチルイソチオウロニウムヒドロキシド等のイソチオウロニウムの水酸化物を挙げることができる。
錯体生成反応と、環化反応を同一の反応場で行う場合には、必ずしも全ての錯体生成が完了した後に環化反応を生じさせる必要はなく、例えば、別相から供給されるジオール化合物を錯体とする反応と、生成した錯体に対する環化反応とを同時に進行することもできる。
(式中、R4は、水素原子又は低級アルキル基であり、m及びm’は、互いに独立して、0〜5の整数であり、ただし、その少なくとも一方は0ではなく、また、m及びm’の和は、7以下である)
式(III)中、繰り返し数(l)は、1〜30の整数であり、Uは、水素原子又は炭素数5以下の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基である。式(III)で示される繰り返しは鎖状エーテルに相当し、繰り返し数(l)が大きい場合には側鎖の水への溶解度が高くなる傾向が見られる。このため、式(III)で示される構造によりポリカーボネート材料に与えられる水溶性等所望の物性にも依存するが、典型的にはlは20以下であり、また10以下とされることが好ましく、さらには、lは5以下、例えば1、2、3程度としてもよい。また、式(III)で示される繰り返しはエチレングリコール(−C2H4−O−)に対応するものであるが、本発明ではこれに限定されず、ポリマーの耐水溶性を向上する点でプロピレングリコール(−C3H6−O−)に対応する構造や、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体を用いることも可能である。
式(IV)中、M’は、水素原子、炭素数3以下の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基であり、好ましくは、メチルである。E及びE’は、互いに独立して、直接結合、−O−又は−CH2−であり、ただし、少なくとも一方は−O−である。Q’及びQ”は、互いに独立して、水素原子、炭素数6以下の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル、アルケニル若しくはアルキニル、C3−8脂環式アルキル又はベンジルを表すか、あるいはQ’及びQ”は、一緒になって炭素数2〜5のアルキレン基を形成するが、ポリカーボネート材料としたときに含有可能な中間水の割合を好ましい程度に保つため、好ましくは水素原子又は炭素数6以下のアルキルであり、最も好ましくは、Q及びQ’は、共に水素原子又はメチルである。k及びk’は、互いに独立して、0〜2の整数であるが、原料の入手容易性等から、k=1、k’=0である場合が好ましい。
第一の工程で得られる錯体は単離されなくてもよく、塩基性有機化合物を過剰に用いて、第二の工程の環状カーボネート化で用いる炭酸源の脱離成分を捕捉させることもできる。この場合、第一及び第二の工程は、連続した1工程とすることができる。さらに、錯体状の環状カーボネートに対して第四の工程を行って、基Rで示す構造部分等を有するアルコールとエステル化させることもできる。
(式中、R4は、水素原子又は低級アルキル基であり、m及びm’は、互いに独立して、0〜5の整数であり、ただし、m及びm’の少なくとも一方は0ではなく、また、m及びm’の和は、7以下である)で表される化合物又は錯体である。
(式中、
m、m’、R4は、上記定義のとおりであり、
lは、0〜30の整数であり、ここで、
lが0でないとき、Uは、低級アルキル又は環員数3〜7までの環状エーテル基であり、
lが0のとき、Uは、下記:
(式中、M’は、水素原子、炭素数3以下の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基であり、E及びE’は、互いに独立して、直接結合、−O−又は−CH2−であり、ただし、少なくとも一方は−O−であり、Q’及びQ”は、互いに独立して、水素原子、炭素数6以下の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル、アルケニル若しくはアルキニル、C3−8脂環式アルキル又はベンジルを表すか、あるいはQ’及びQ”は、一緒になって炭素数2〜5のアルキレン基を形成し、k及びk’は、互いに独立して、0〜2の整数である)で表される基である)で表すことができる。
(式中、m、m’、R4、M’、E及びE’、Q’及びQ”ならびにk及びk’は、上記定義のとおりである)で表される化合物である。
5−メチル−5−(2−テトラヒドロフラニルメチル)オキシカルボニル−1,3−ジオキサン−2−オン、
5−メチル−5−(3−テトラヒドロフラニルメチル)オキシカルボニル−1,3−ジオキサン−2−オン、
5−メチル−5−(3−テトラヒドロピラニルメチル)オキシカルボニル−1,3−ジオキサン−2−オン
4−メチル−4−(2−テトラヒドロフラニルメチル)オキシカルボニル−1,3−ジオキサン−2−オン、
4−メチル−4−(3−テトラヒドロフラニルメチル)オキシカルボニル−1,3−ジオキサン−2−オン、及び
4−メチル−4−(3−テトラヒドロピラニルメチル)オキシカルボニル−1,3−ジオキサン−2−オン、
等を挙げることができる。
例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン又はトルエン等の溶媒中、1−ピレンブタノール、ラウリルアルコール、デカノール又はステアリルアルコール等の重合開始剤、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン(DBU)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)又はトリエチレンジアミン(DABCO)等の環状アミン重合開始剤の存在下で、場合により二官能基化チオウレア、例えば1−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)−3−シクロヘキシル−2−チオウレア等の有機分子触媒を用いて、窒素雰囲気下、室温で反応させることにより行われる。
(式中、
Xは、O、NH,又はSであり;
R5は、上述した少なくとも1つのエーテル基を有する構造部分であり;
m及びm’は、互いに独立して、0〜5の整数であり、また、m及びm’の和は、7以下であり;
これらの各々は、各繰り返し単位において異なっていてもよく、
nは、重合度を表し、好ましくは2〜2000の範囲である)。
なお、本明細書において、「生体内組織や血液に接して使用され」とは、例えば、生体内に入れられた状態、生体内組織が露出した状態で当該組織や血液と接して使用される形態、及び体外循環医用材料において体外に取り出した生体内成分である血液と接して使用される形態等を当然に含むものとする。また、「医療用途に使用され」とは、上記「生体内組織や血液に接して使用され」、又は、それを予定して使用されることを含むものである。
例えば、生体内の人工血管に用いた場合は、血管内皮細胞が接着して自己の組織が再生するまでその足場として機能し、一定期間経過後は生体内で分解されるので再手術により取り出す必要がない。また、抗血栓性と癌細胞の接着性を利用して血液中を循環している転移性の高い癌細胞の吸着及び補足剤としても利用することができる。癌細胞の表面抗原に結合する抗体を用いた従来の特異的な吸着法に比べて、生体親和性ポリカーボネートを用いる場合はより広範囲の癌細胞を吸着できる可能性がある。さらに生体内の環境により近い状態で癌細胞を培養することができるため、抗癌剤のスクリーニングに用いる培養基材としても利用でき、抗癌剤の開発促進が期待される。生体親和性ポリカーボネートが生分解性を有する点は、生体内で癌細胞を吸着する用途においても有利な効果を示す。例えば、生体内で吸着された癌細胞が一定の大きさに達すると自然免疫システムによって認識されるが、免疫細胞に捕食されたときにポリマー自体が分解されやすいことは生体内の免疫システムにとって有利である。したがって、血液適合性と細胞接着性を併せ持つ生体親和性ポリカーボネートは、癌の診断や治療デバイスとして新たな用途に使用できると考えられる。
一方、生体内には様々な細胞が存在するところ、未分化な幹細胞を吸着することができれば、事故や病気で損傷を受けた組織の修復、補修材として用いた場合に、生体内に存在するこれらの幹細胞を損傷部位に濃縮することができ、組織の再生に極めて有利であろう。
環状カーボネートの出発原料であるジオール化合物として2,2−ビス(メチロール)プロピオン酸(bis−MPA;268mg、2.0mmol)を塩化メチレン(4mL)に分散させ、有機塩基であるトリエチルアミン(0.97mL、7.0mmol)を加えて攪拌することで、bis−MPAが塩化メチレン中に溶解して透明な溶液がえられた。溶液が透明になった後、その溶液をドライアイス−アセトン浴中で−75℃に冷却した。次にジオール化合物の環化反応における炭酸源としてトリホスゲン(239mg、0.8mmol)の塩化メチレン溶液(3mL)を滴下し、−75℃の冷却下にて30分、その後室温にて2時間撹拌し反応を終了させた。反応終了後、反応により生じた沈殿物をろ過にて除去した。沈殿物は、トリエチルアミン塩酸塩を主成分とするものであった。得られたろ液を減圧下で濃縮し、その後にテトラヒドロフランに再溶解させた。
なお、図1には、上記と同一の操作を経て合成され、沈殿物(トリエチルアミン塩酸塩)を除去した後の溶液に含まれる溶質について得られた1H−NMRスペクトルを示す。1H−NMRスペクトルから、上記操作によりMTC-TEAが生成していると同定した。
次に、テトラヒドロフランに溶解したMTC−TEAから有機塩基を分離して除去するために、その溶液にイオン交換樹脂Amberyst-15(登録商標)(550mg)を加えて室温で5時間撹拌後、溶液からイオン交換樹脂を濾別した。得られた濾液を減圧下で濃縮、乾燥して淡黄色の固体(245mg)を得た。
図2には、上記淡黄色の固体について得られた1H−NMRスペクトルを示す。また、図5には、公知の方法で合成(比較例1)された5−カルボキシル−5−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン(MTC−OH)についての1H−NMRスペクトルを示す。両スペクトルは良く一致し、上記操作により得られた淡黄色の固体は、MTC−OHであると考えられた。上記操作により得られるMTC−OHの収率は76.4%であった。
実施例1に記載の方法で合成したMTC−TEA(2.60g、10mmol)を塩化メチレン50mLに溶解させ、氷浴中で0℃以下に冷却した溶液中に、シュウ酸クロリド(1.05mL、12mmol)の塩化メチレン溶液(20mL)を15分かけて滴下した。その後、当該溶液を室温にて1時間攪拌し、ロータリーエバポレーターにて濃縮した。濃縮物にテトラヒドロフラン50mLを加え、不溶物を濾別後、濾液を濃縮して淡黄色の固体を得た(1.711g)。
図3には、上記で得られた淡黄色の固体についての1H−NMRスペクトルを示す。当該スペクトルより、上記で得られた淡黄色の固体はMTC−Clであると推察され、収率が96.1%と計算された。
実施例2に記載の操作で合成したMTC−Cl(1.403g、7.86mmol)をテトラヒドロフラン20mLに溶解させ、氷浴中で0℃以下に冷却した溶液中に、テトラヒドロフルフリルアルコール(0.725g、7.1mmol)とトリエチルアミン(1.51mL、10.8mmol)をテトラヒドロフラン(10mL)に溶解した溶液を10分かけて滴下した。その後、当該溶液を室温にて3時間攪拌し、不溶物を濾別後、ロータリーエバポレーターにて濃縮した。油状の残渣に酢酸エチル100mLを加えて、1N塩酸水溶液と蒸留水で各1回ずつ洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で濃縮、乾燥させて透明な油状物質を得た(0.6653g)。
図4には、当該油状物質についての1H−NMRスペクトルを示す。当該スペクトルより、上記で得られた油状物質はMTC−THFであると推察され、収率が34.7%と計算された。
実施例1に記載の方法で合成したMTC−TEA(2.08g、7.95mmol)を塩化メチレン40mLに溶解させ、氷浴中で0℃以下に冷却した溶液中に、シュウ酸クロリド(0.83mL、9.54mmol)の塩化メチレン溶液(15mL)を15分かけて滴下した。その後、当該溶液を室温にて3時間攪拌した後、窒素気流下で副生した塩化水素ガスを除去した。再び、溶液を0℃以下に冷却し、テトラヒドロフルフリルアルコール(0.732g、7.17mmol)とトリエチルアミン(1.66mL、11.3mmol)をテトラヒドロフラン(10mL)に溶解した溶液を10分かけて滴下した。その後、反応溶液を室温にて3時間攪拌し、不溶物を濾別後、ロータリーエバポレーターにて濃縮した。油状の残渣に酢酸エチル100mLを加えて、1N塩酸水溶液と蒸留水で各1回ずつ洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で濃縮、乾燥させて透明な油状物質を得た(0.4867g)。当該油状物質について1H−NMRスペクトルを取得したところ、MTC−THFが生成していることが推察され、収率が25.1%と計算された。
公知の手法、たとえば非特許文献[Pratt et al., Chem. Commun., 2008, 114-116]にならってMTC−OHを合成した。つまり、bis−MPAから58.9%の収率で得られたた5−ベンジルオキシカルボニル−5−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン(MTC−Bn;253.4mg、1.0mmol)をテトラヒドロフランに溶解し、脱気、窒素置換後に10wt%パラジウム担持Pd/C(63mg)を加えてさらに脱気と窒素置換し、シクロヘキセン(1.0mL、10mmol)を加えて18時間攪拌した。その後、Pd/Cをろ別し、ろ液を減圧下で濃縮してMTC−OHを得た(149.5mg、収率92.2%)。
図5には、上記で得られたMTC−OHについての1H−NMRスペクトルを示す。
テトラヒドロフルフリルアルコールに替えて、2−メトキシエタノール(150mL、1.91mol)を用いた以外は実施例3と同様の方法にて反応を行い、無色の粘性液体を得た(11.0g)。
図6には、当該粘性液体についての1H−NMRスペクトルを示す。当該スペクトルより、上記で得られた油状物質は5−メチル−5−(2−メトキシエチル)オキシカルボニル−1,3−ジオキサン−2−オン(MTC−ME)であると推察され、収率が43.8%と計算された。
窒素雰囲気下グローブボックス内で、MTC−ME(0.441g、2.02mmol)を、1−ピレンブタノール(PB;5.2mg、0.019mmol)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU;6.1mg、0.040mmol)及び1−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)−3−シクロヘキシル−2−チオウレア(TU;15.0mg、0.041mmol)の存在下、DCM(1mL)中、室温で重合した。90分間の撹拌後、1H−NMRにてモノマーの消費を確認した後、停止剤として無水酢酸を数滴加え、一晩撹拌した。その後、反応溶液をジエチルエーテル:ヘキサン(1:3、40mL)中に再沈殿し、真空下で乾燥させて無色で粘性のあるポリマーを得た(0.350g)。
図7には、当該粘性のあるポリマーについての1H−NMRスペクトルを示す。当該スペクトルより、上記で得られたポリマーはMTC−MEが重合したP(MTC−ME)であると推察され、収率が79.3%と計算された。また当該ポリマーについて、GPCにより分子量を測定した結果、数平均分子量(Mn)が9556g/mol、重量平均分子量との比(Mw/Mn)が1.27であった。
窒素雰囲気下のグローブボックス内で、トリメチレンカーボネート(TMC:408mg、4.0mmol)を、PB(11.3mg、0.041mmol)、DBU(33.5mg、0.22mmol)、TU(75.3mg、0.20mmol)の存在下、DCM(1mL)中、室温で重合した。90分間の撹拌後、1H−NMRにてモノマーの消費を確認した後、停止剤として無水酢酸を数滴加え、一晩撹拌した。その後、反応溶液をメタノール(40mL)中に再沈殿し、真空下で乾燥させて、無色で粘性のあるポリマーPTMCを得た(292.9mg、71.8%)。
当該ポリマーについて、GPCにより分子量を測定した結果、数平均分子量(Mn)が12000g/mol、重量平均分子量との比(Mw/Mn)が1.1であった。また、1H−NMRスペクトル(500MHz、CDCl3)を測定したところ、δ;4.25(t, 4H, CH2CH2CH2), 2.05(quin, 2H, CH2CH2CH2)のピークが観察された。
メタノールで前洗浄したPET基板(直径14mm、厚さ125μm)に1.0、0.5、0.2、0.1w/v%の各濃度に調整したP(MTC−ME)のアセトン溶液、及びPTMCのテトラヒドロフラン(THF)溶液(40μL)をスピンコートにて塗布した(スピン条件:500rpm 5s、2000rpm 10s、SLOPE 5s、4000rpm 5s、SLOPE 4s、25℃)。1度目のスピンコートの10分後に2度目の塗布を行った。24時間の真空乾燥後、各ポリマーコート基板の中心部、左端、右端の3点についてそれぞれ水に対する接触角をθ/2法を用いて測定した。1点の測定につき2μLの水滴を使用した。
その結果を表1に示す。参考例1で合成したP(MTC−ME)の接触角は、比較例2で合成したPTMCに比べて小さな値を示し、ポリマーの表面がより親水性であることが示された。
準備したポリマーコーティング基板を6 well plateに収め、クリーンベンチ内で30分間UV滅菌を行った。基板をリン酸緩衝(phosphate buffered saline:PBS)溶液500μLで洗浄後、20% FBS DMEM/F−12(HUVEC用培地)を500μLずつ加え、37℃で一晩インキュベートした。HUVEC(P5)が培養されている10cmディッシュをPBS溶液2mLで洗浄し、トリプシン/エチレンジアミンテトラ酢酸イオン(EDTA)酵素溶液を2mL入れ、37℃で2分間インキュベート後、細胞を回収した。その溶液を1300rpmで5分間遠心分離し、上澄みを除去後、顕微鏡にて細胞数をカウントし、20% FBS DMEM/F−12を加え播種密度を5.0×104cells/cm2に調製した。プレコンディショニングで使用した培地を除去した後、調製した細胞溶液500μLと20% FBS DMEM/F−12 500μLを播種し、37℃でインキュベートした。培養は1時間、1日、3日の3つのタイムポイントで行った。各試料は抗体染色により染色し、共焦点レーザー顕微鏡にて細胞数と細胞形態を観察した。
上記同様にポリマーコーティング基板を準備し、プレコンデショニング(60分、37℃まで)を行った。HT−1080が培養されている10cmディッシュをPBS溶液2mLで洗浄し、トリプシン/EDTA酵素溶液を3mL加え、37℃で2分間インキュベート後、細胞を回収した。その溶液を1300rpmで5分間遠心分離し、上澄みを除去後、顕微鏡にて細胞数をカウントし、培地を加え播種密度を1.0×104cells/cm2に調製した。プレコンディショニングで使用した培地を除去後、調製した細胞懸濁液を1mL播種し、37℃で1時間インキュベートした。培養後、PBS1mLで2回洗浄した後、4%パラホルムアルデヒドで固定し、PBS 1mLで洗浄後、クリスタルバイオレットで染色し、位相差顕微鏡にて細胞数をカウントした。
P(MTC−ME)の0.2w/v%のアセトン溶液を塗布したスピンコート基板を8mm四方に切り、走査型電子顕微鏡(SEM)用試料台に固定した。ヒト血液を1500rpmで5分間遠心分離し、上澄みを多血小板血漿(platelet rich plasma:PRP)として回収した。残りの血液をさらに4000rpmで10分間遠心分離した上澄みを乏血小板血漿(platelet poor plasma:PPP)として回収した。PPPをリン酸緩衝(phosphate buffered saline:PBS)溶液を用いて800倍に希釈し、さらにPRPを希釈し、顕微鏡にて血小板数を確認しながら血小板濃度が4×107cell/mLの血小板溶液を調製した。この血小板溶液を各基板に200μL滴下し、37℃にて1時間静置した。その後、各基板をPBS溶液にて2回洗浄し、1%グルタルアルデヒド溶液に浸漬し、37℃にて2時間固定した。固定化した試料はPBS溶液にて10分、PBS:水=1:1にて8分、水にて8分、さらに水でもう一度8分浸漬させて洗浄した。各試料は室温で風乾し、SEMにて血小板粘着数を計測した。計測結果は、各基板表面に粘着した血小板の粘着形態を三種類、すなわちI型:活性化の度合いが小さい、血液中と同様の円形状の粘着形態、II型:活性化の度合いが中程度の、偽足形成が見られる粘着形態、III型:活性化の度合いが大きい、伸展した粘着形態に分類し、PETを対照として評価した。
P(MTC−ME)とPTMCの2種類のポリマーを使用した。1.5mLチューブにポリマーを30mg、リパーゼ溶液1mLを加えて、37℃にて静置した。リパーゼ溶液は2日毎に交換し、9日後、チューブよりリパーゼ溶液を抜き取り、残ったポリマー試料をミリQ水で3回すすいだ。その後、室温で24時間の真空乾燥後のポリマー重量から重量損失を求めた。
酵素処理9日後の重量減少率はそれぞれ、P(MTC−ME):6.4%、PTMC:1.7%であった。この結果から、比較例のPTMCと比べて、P(MTC−ME)は、酵素による優れた生分解性を有することが明らかになった。
Claims (15)
- カルボキシル基を有するジオール化合物を環化して環状カーボネートを製造する方法において、前記カルボキシル基から生じるプロトンを有機塩基により捕捉して錯体を形成する工程と、その後に炭酸源を作用させて環化する工程を含むことを特徴とする環状カーボネートの製造方法。
- 前記炭酸源が、式(I):
R1−(C=O)−R2 (I)
[式中、R1及びR2は、互いに独立してハロゲン原子、イミダゾリウム基、若しくは−OR3(ここでR3は、場合によりハロゲン原子で置換された低級アルキル基、又はハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、アルコキシ基、アルキル基、及びハロアルキル基からなる群より選択される少なくとも1つの置換基で場合により置換されたアリール基である)である]で表される化合物である、請求項1に記載の環状カーボネートの製造方法。 - 前記カルボキシル基から生じるプロトンを有機塩基により捕捉して錯体を形成する工程が、カルボキシル基を有するジオール化合物を有機塩基の存在下で、有機溶媒に溶解することで行われる、請求項1又は2に記載の環状カーボネートの製造方法。
- 前記カルボキシル基を有するジオール化合物が、式(II):
(式中、R4は、水素原子又は低級アルキル基であり、m及びm’は、互いに独立して、0〜5の整数であり、ただし、m及びm’の少なくとも一方は0ではなく、また、m及びm’の和は、7以下である)で表される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の環状カーボネートの製造方法。 - 前記有機塩基が、第三級アルキルアミン、環状アミン、芳香族アミン、窒素塩基化合物、リン原子含有化合物、オニウムイオンの水酸化物、又は陰イオン交換樹脂のいずれかである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の環状カーボネートの製造方法。
- 前記有機溶媒が、ジクロロメタン、クロロホルム、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル及び酢酸エチルからなる群から選択される、請求項3に記載の環状カーボネートの製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法で得られた環状カーボネートを酸で処理することにより、当該環状カーボネートから有機塩基を分離してカルボキシル基を生成する工程を含む、環状カーボネートの製造方法。
- 請求項7に記載の方法でカルボキシル基を生成し環状カーボネートにハロゲン化剤を反応させて、カルボン酸ハロゲン化物とする工程を含む、環状カーボネートの製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法で得られた環状カーボネートにハロゲン化剤を反応させて、カルボン酸ハロゲン化物とする工程を含む、環状カーボネートの製造方法。
- 請求項8又は9に記載の方法によりカルボン酸ハロゲン化物とした環状カーボネートに、少なくとも1つのエーテル基を有する構造部分を含むアルコール又はアミンを反応させて、当該少なくとも1つのエーテル基を有する構造部分によりハロゲン原子を置換する工程を含む、環状カーボネートの製造方法。
- 前記少なくとも1つのエーテル基を有する構造部分が、鎖状エーテル、環状エーテル又はアセタール構造を少なくとも1つ有する請求項10に記載の環状カーボネートの製造方法。
- 連続的若しくは半連続的に、及び/又は単一の反応容器で行われることを特徴とする請求項1〜11に記載の環状カーボネートの製造方法。
- 下記式(V):
(式中、R4は、水素原子又は低級アルキル基であり、m及びm’は、互いに独立して、0〜5の整数であり、ただし、m及びm’の少なくとも一方は0ではなく、また、m及びm’の和は、7以下である)で表される化合物。 - 下記式(VII):
(式中、
m、m’、R4は、請求項4で定義されたとおりであり、
M’は、水素原子、炭素数3以下の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基であり、
E及びE’は、互いに独立して、直接結合、−O−又は−CH2−であり、ただし、少なくとも一方は−O−であり、
Q’及びQ”は、互いに独立して、水素原子、炭素数6以下の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル、アルケニル若しくはアルキニル、C3−8脂環式アルキル又はベンジルを表すか、あるいはQ’及びQ”は、一緒になって炭素数2〜5のアルキレン基を形成し、
k及びk’は、互いに独立して、0〜2の整数である)で表される基である)で表される化合物。 - 5−メチル−5−(2−テトラヒドロフラニルメチル)オキシカルボニル−1,3−ジオキサン−2−オン、
5−メチル−5−(3−テトラヒドロフラニルメチル)オキシカルボニル−1,3−ジオキサン−2−オン、
5−メチル−5−(3−テトラヒドロピラニルメチル)オキシカルボニル−1,3−ジオキサン−2−オン
4−メチル−4−(2−テトラヒドロフラニルメチル)オキシカルボニル−1,3−ジオキサン−2−オン、
4−メチル−4−(3−テトラヒドロフラニルメチル)オキシカルボニル−1,3−ジオキサン−2−オン、及び
4−メチル−4−(3−テトラヒドロピラニルメチル)オキシカルボニル−1,3−ジオキサン−2−オン
からなる群より選択される請求項14に記載の化合物。
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