JP2020105457A - 重合体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】透明性に優れた重合体を製造し得る重合体の製造方法を提供する。【解決手段】重合体と金属触媒残渣とを含む粗重合体から精製重合体を得る重合体の製造方法であって、前記重合体のガラス転移温度以上の温度下で、前記粗重合体と、プロトン性有機化合物とを接触させて、前記粗重合体から前記金属触媒残渣を除去する除去工程を含む、重合体の製造方法。前記プロトン性有機化合物は、アルコール類、カルボン酸類、およびアミン類からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、重合体の製造方法に関するものである。
重合体の製造方法においては、一般に、金属単体または金属化合物を含む金属触媒を用いた化学反応が利用される。例えば、各種の単量体を重合して重合体を形成する重合反応を行なう場合、重合触媒として金属触媒が用いられる。また、形成された重合体を更に水素化する水素化反応を行なう場合、水素化触媒として金属触媒が用いられる。
より具体的に、ノルボルネンおよびジシクロペンタジエンなどの環状オレフィン単量体を開環重合して開環重合体を形成する開環重合反応では、開環重合触媒として、クロム、モリブデン、タングステン等の金属を含む金属触媒が用いられ、形成された開環重合体を更に水素化する水素化反応では、水素化触媒として、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム等の金属を含む金属触媒が用いられる(特許文献1および2参照)。
ここで、上記金属触媒を用いた反応により得られた重合体には、金属触媒に由来する残渣(以下、「金属触媒残渣」と称することがある。)が含まれ得る。
そして、重合体中に金属触媒残渣等の不純物が多く含まれると、重合体の透明性が低下することがある。
そこで、このような金属触媒残渣を含む重合体(以下、「粗重合体」と称することがある。)から、金属触媒残渣を除去することが求められる。
例えば、特許文献3では、粗重合体が溶媒に溶解している粗重合体溶液と、上記溶媒と液液分離が可能なジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒とを液液接触させる工程を含む重合体の製造方法により、粗重合体より金属触媒残渣を除去して、含有金属成分が充分に低減された重合体溶液を取得し得る旨が開示されている。
特開2014−162811号公報 特開2015−54885号公報 特開2012−92258号公報
しかしながら、上記従来技術の重合体の製造方法では、粗重合体から金属触媒残渣等の不純物を十分に除去することが困難であり、特に、製造される重合体の透明性を高める点に改善の余地があった。
そこで、本発明は、透明性に優れた重合体を製造し得る重合体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決することを目的として鋭意検討を行った。そして、本発明者は、所定温度以上の温度下で、重合体と金属触媒残渣とを含む粗重合体をプロトン性有機化合物に接触させて、粗重合体から金属触媒残渣を除去すれば、透明性に優れた重合体を製造し得ることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の重合体の製造方法は、重合体と金属触媒残渣とを含む粗重合体から精製重合体を得る重合体の製造方法であって、前記重合体のガラス転移温度以上の温度下で、前記粗重合体と、プロトン性有機化合物とを接触させて、前記粗重合体から前記金属触媒残渣を除去する除去工程を含むことを特徴とする。このように、上記所定温度以上の温度下で、重合体と金属触媒残渣とを含む粗重合体を、プロトン性有機化合物に接触させて、粗重合体から金属触媒残渣を除去すれば、透明性に優れた重合体を製造することができる。
なお、重合体のガラス転移温度は、本明細書の実施例に記載の方法により測定することができる。
ここで、本発明の重合体の製造方法は、前記プロトン性有機化合物が、アルコール類、カルボン酸類、およびアミン類からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。このように、プロトン性有機化合物が上記所定の化合物を含めば、透明性に更に優れた重合体を製造することができる。
また、本発明の重合体の製造方法は、前記プロトン性有機化合物が、炭素数10以上のアミンを含むことがより好ましい。このように、プロトン性有機化合物が、上記所定の炭素数のアミンを含めば、残留金属量が低減された重合体を製造することができる。
さらに、本発明の重合体の製造方法は、前記金属触媒残渣が、開環重合触媒および/または水素化触媒に由来することが好ましい。
また、本発明の重合体の製造方法は、前記金属触媒残渣が、周期表における第4族〜第13族の金属から選択される少なくとも1種の金属を含有することが好ましい。このように、金属触媒残渣が上記所定の金属を含有すれば、残留金属量が低減された重合体を製造することができる。
さらに、本発明の重合体の製造方法は、前記金属触媒残渣が、タングステン、チタン、ニッケル、コバルト、アルミニウム、およびルテニウムからなる群より選択される少なくとも1種の金属を含有することが好ましい。このように、金属触媒残渣が上記所定の金属を含有すれば、残留金属量が低減された重合体を製造することができる。
また、本発明の重合体の製造方法は、前記重合体が環状オレフィン重合体を含むことが好ましい。
さらに、本発明の重合体の製造方法は、前記重合体が結晶性であることが好ましい。
本発明によれば、透明性に優れた重合体を製造し得る重合体の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
(重合体の製造方法)
本発明の重合体の製造方法は、重合体と金属触媒残渣とを含む粗重合体から精製重合体を得る重合体の製造方法であって、所定の除去工程を含み、必要に応じて、任意のその他の工程を更に含む。
本発明の重合体の製造方法によれば、粗重合体から金属触媒残渣を十分に除去できるため、透明性に優れた重合体を製造することができる。
また、本発明の重合体の製造方法によれば、粗重合体から金属触媒残渣等の不純物を十分に除去できるため、残留金属量が低減された重合体を製造することができる。
さらに、例えば金属触媒残渣の由来である金属触媒がリンを含有する場合、粗重合体中にはリンが残留し得るが、本発明の重合体の製造方法によれば、粗重合体中に残留するリンを除去して、残留リン量が低減された重合体を製造することができる。
<除去工程>
除去工程では、粗重合体とプロトン性有機化合物とを、ガラス転移温度以上の温度下で、接触させて、粗重合体から金属触媒残渣を除去する。これは、粗重合体中に含まれる金属触媒残渣が、プロトン性有機化合物に吸着されること等による。
ここで、除去工程において、「粗重合体から金属触媒残渣を除去」するとは、粗重合体に含まれる金属触媒残渣の少なくとも一部を除去することを指すものとする。
なお、本明細書中では、除去工程で得られる、粗重合体とプロトン性有機化合物とを上記所定温度以上の温度下で接触させた状態のものを「接触系」と称することがある。
ここで、接触系内には、金属触媒残渣が除去された粗重合体が含まれる。なお、金属触媒残渣が除去された粗重合体を、本発明の重合体の製造方法により得られる重合体(即ち、精製重合体)としてもよいものとする。
除去工程においては、上記所定温度以上の温度下で、粗重合体とプロトン性有機化合物とを接触させる限り、特に限定されないが、攪拌等の方法により粗重合体とプロトン性有機化合物とを混合し、接触系としての混合物を得ることが好ましい。粗重合体とプロトン性有機化合物とを混合して接触させることで、残留金属量が更に低減された重合体を製造することができる。なお、接触系としての混合物には、後述する非極性有機溶媒が含まれていてもよい。
<<接触>>
粗重合体とプロトン性有機化合物との接触においては、所定温度以上の温度下で、粗重合体とプロトン性有機化合物とを接触させる限り、特に限定されないが、攪拌等の方法により粗重合体とプロトン性有機化合物とを混合し、接触系としての混合物を得ることが好ましい。粗重合体とプロトン性有機化合物とを混合して接触させることで、透明性に優れると共に、残留金属量および残留P量が更に低減された重合体を製造することができる。なお、上記混合物には、後述する非極性有機溶媒が含まれていてもよい。
−接触温度−
除去工程において、粗重合体と、プロトン性有機化合物とを接触させる温度(接触温度)は、粗重合体に含まれる重合体のガラス転移温度以上であることが必要であり、(当該重合体のガラス転移温度+50℃)以上であることが好ましく、(当該重合体のガラス転移温度+75℃)以上であることがより好ましく、(当該重合体のガラス転移温度+100℃)以上であることが更に好ましく、(当該重合体のガラス転移温度+250℃)以下であることが好ましく、(当該重合体のガラス転移温度+200℃)以下であることがより好ましく、(当該重合体のガラス転移温度+180℃)以下であることが更に好ましい。粗重合体と、プロトン性有機化合物とを接触させる温度が上記下限以上であれば、透明性に更に優れると共に、残留金属量および残留P量が更に低減された重合体を製造することができる。一方、粗重合体と、プロトン性有機化合物とを接触させる温度が上記上限以下であれば、粗重合体中に含まれる金属触媒残渣とプロトン性有機化合物とがより強く吸着することができるため、残留金属量が更に低減された重合体を製造することができる。
−接触時間−
上記所定温度以上の温度下で、粗重合体とプロトン性有機化合物とを接触させる時間は、粗重合体とプロトン性有機化合物との接触の態様および規模などに応じて適宜調整することができる。
例えば、攪拌等の方法により粗重合体とプロトン性有機化合物と任意の非極性有機溶媒とを混合することで除去工程を行なう場合、粗重合体とプロトン性有機化合物とを接触させる時間は、1分以上であることが好ましく、30分以上であることがより好ましく、1時間以上であることが更に好ましく、30時間以下であることが好ましく、20時間以下であることがより好ましく、10時間以下であることが更に好ましい。粗重合体とプロトン性有機化合物とを接触させる時間が上記下限以上であれば、プロトン性有機化合物と金属触媒残渣との吸着効率を向上でき、それにより、透明性に更に優れ、残留金属量および残留P量が更に低減された重合体を製造することができる。
−その他−
なお、除去工程は、窒素およびアルゴンなどの不活性ガスの存在下で行なうことが好ましい。例えば、耐熱反応器内に粗重合体およびプロトン性有機化合物などを入れて除去工程を行なう場合、耐熱反応器内を上記不活性ガスで置換することが好ましい。
接触時において、粗重合体に含まれていた重合体は、プロトン性有機化合物中に溶解していてもよいし、プロトン性有機化合物中に分散していてもよいし、プロトン性有機化合物とは混ざり合わずに分離していてもよいものとする。
また、除去工程における接触操作で非極性有機溶媒を用いる場合、粗重合体に含まれていた重合体は、非極性有機溶媒中に溶解していてもよいし、非極性有機溶媒中に分散していてもよいし、非極性有機溶媒とは混ざり合わずに分離していてもよいものとする。
<<粗重合体>>
粗重合体は、重合体と金属触媒残渣とを含む。なお、粗重合体は、上述した重合体および金属触媒残渣以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、粗重合体の調製時に生じ得る金属触媒残渣以外の残渣などが挙げられる。
−重合体−
粗重合体に含まれる重合体としては、特に限定されることはなく、例えば、重合触媒としての金属触媒の存在下で、各種の単量体を重合して得られる重合体を用いることができる。
さらに、粗重合体に含まれる重合体は、水素化されていてもよい。即ち、粗重合体に含まれる重合体は、重合体の水素化物であってもよい。重合体の水素化物は、例えば、水素化触媒としての金属触媒の存在下で、重合体を水素化することにより得られる。
なお、本明細書において、重合体を「水素化する」とは、重合体が有する不飽和結合を還元することを指す。ここで、不飽和結合としては、炭素−炭素不飽和結合、炭素−窒素不飽和結合、炭素−酸素不飽和結合などが挙げられるが、好ましくは炭素−炭素不飽和結合、より好ましくは炭素−炭素二重結合である。なお、炭素−炭素不飽和結合には芳香環を構成する不飽和結合も含まれる。
上述した重合触媒および/または水素化触媒などの金属触媒としては、既知のものを用いることができ、例えば、後述する金属触媒残渣の由来である金属触媒を用いることができる。
粗重合体に含まれる重合体の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、500以上であることが好ましく、5000以上であることがより好ましく、10000以上であることが更に好ましく、1000000以下であることが好ましく、500000以下であることがより好ましく、200000以下であることが更に好ましい。重合体の重量平均分子量(Mw)が上記下限以上であれば、プロトン性有機化合物と金属触媒残渣との吸着効率を上げて、残留金属量が更に低減された重合体を製造することができる。一方、重合体の重量平均分子量(Mw)が上記上限以下であれば、残留金属量が更に低減された重合体を製造することができる。
なお、重合体の重量平均分子量(Mw)は、本明細書の実施例に記載の方法により測定することができる。
また、粗重合体に含まれる重合体のガラス転移温度は、特に限定されず、重合体の種類によっても異なるが、−10℃以上であることが好ましく、30℃以上であることがより好ましく、50℃以上であることが更に好ましく、300℃以下であることが好ましく、250℃以下であることがより好ましく、200℃以下であることが更に好ましい。
また、粗重合体に含まれる重合体は、結晶性であることが好ましい。粗重合体に含まれる重合体が結晶性であれば、残留金属量が低減された精製重合体を高い収率で得ることできる。
ここで、「結晶性」とは、測定条件等を最適化することにより、示差走査熱量測定(DSC)で融点を観測することができる性質をいい、重合体鎖の立体規則性により定まる性質である。
そして、粗重合体に含まれる重合体の融点は、特に限定されないが、50℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましく、130℃以上であることが更に好ましく、400℃以下であることが好ましく、350℃以下であることがより好ましく、300℃以下であることが更に好ましい。重合体の融点が上記下限以上であれば、製造される重合体を実使用する際の耐熱変形性に優れる。一方、重合体の融点が上記上限以下であれば、製造される重合体は溶融時に十分な流動性を有し、成形性に優れる。
なお、重合体の融点は、本明細書の実施例に記載の方法により測定することができる。
そして、粗重合体に含まれる重合体としては、特に限定されないが、環状オレフィン重合体を用いることが好ましい。
なお、本明細書において、「環状オレフィン重合体」は、環状オレフィン単量体を重合して得られる重合体および/またはその水素化物を指す。ここで、環状オレフィン単量体を重合して環状オレフィン重合体を得る際、環状オレフィン単量体のみを重合してもよいし、環状オレフィン単量体と、環状オレフィン単量体以外のその他の単量体とを重合してもよい。
そして、環状オレフィン重合体としては、例えば、環状オレフィン単量体を付加重合して得られる重合体(環状オレフィン付加重合体)を用いてもよいが、機械的強度に優れるため、環状オレフィンを開環重合して得られる重合体(環状オレフィン開環重合体)およびその水素化物を用いることがより好ましく、環状オレフィン開環重合体水素化物を用いることが更に好ましい。水素化反応に供する環状オレフィン開環重合体のH−NMRによって測定されるシス含有率は、50%より高いことが好ましく、70%より高いことがより好ましく、90%より高いことが特に好ましい。
環状オレフィン単量体の具体例としては、特に限定されないが、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン等の1環(単環)の環状オレフィンおよび環に置換基を有するこれらの誘導体;
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(慣用名:ノルボルネン、以下「NB」と略記することがある。)、5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5,5−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクタデシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−メチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−プロペニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン等の2環の環状オレフィンおよび環に置換基を有するこれらの誘導体;
トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,8−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン、以下、「DCP」と略記することがある。)、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エン、トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−3,9−ジエン、トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−4,9−ジエン、トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−9−エン、5−シクロペンチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−シクロヘキセニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン等の3環の環状オレフィンおよび環に置換基を有するこれらの誘導体;
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン(単に「テトラシクロドデセン」ともいう。以下、「TCD」と略記することがある。)、9−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン(以下、「ETD」と略記することがある。)、9−メチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−ビニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−プロペニル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう。以下、「MTF」と略記することがある。)、テトラシクロ[10.2.1.02,11.04,9]ペンタデカ−4,6,8,13−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9,9a,10−ヘキサヒドロアントラセンともいう)等の4環の環状オレフィンおよび環に置換基を有するこれらの誘導体;
9−シクロペンチル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロヘキシル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロヘキセニル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、ペンタシクロ[7.4.0.02,7.13,6.110,13]−4−ペンタデセン、9−フェニル−シクロペンチル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.012,16]−5−エイコセン、ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.03,8.14,7.012,17.113,16]−14−エイコセン等の5環以上の環状オレフィンおよび環に置換基を有するこれらの誘導体;などが挙げられる。
環状オレフィン開環重合体の調製に用いる環状オレフィン単量体の全使用量に対するジシクロペンタジエンの使用量の割合は、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが更に好ましい。
なお、上記の誘導体が環に有する置換基としては、特に限定されることはなく、例えば、アルキル基、アルキレン基、ビニル基、アルコキシカルボニル基、アルキリデン基などが挙げられる。
また、環状オレフィン単量体以外のその他の単量体としては、上記環状オレフィン単量体と共重合可能であれば、特に限定されないが、例えば、環状オレフィン単量体と付加共重合可能なその他の単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、および1−ヘキセンなどの炭素数2〜20のα−オレフィン並びにこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、および1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン;などが挙げられる。
ここで、環状オレフィン単量体と、環状オレフィン単量体以外のその他の単量体とを重合して環状オレフィン重合体を得る場合、環状オレフィン単量体の使用量に対するその他の単量体の使用量の質量比(その他の単量体/環状オレフィン単量体)は、特に限定されないが、30/70以下であることが好ましく、20/80以下であることがより好ましく、10/90以下であることが更に好ましく、0/100であることが特に好ましい。
上述した環状オレフィン開環重合体は、例えば、国際公開第2010/110323号に記載のルテニウムカルベン錯体触媒などのメタセシス反応触媒(開環重合触媒)を用いる方法、および、特開2015−54885号公報に記載のタングステン(フェニルイミド)テトラクロリド・テトラヒドロフラン錯体等の開環重合触媒を用いる方法などにより製造することができる。
さらに、環状オレフィン開環重合体を水素化して環状オレフィン開環重合体水素化物を製造する方法としては、例えば、国際公開第2010/110323号に記載の水素化触媒を用いる方法などが挙げられる。また、例えば、開環重合触媒として上述したルテニウムカルベン錯体触媒を用いて、環状オレフィン重合体を製造した後、当該ルテニウムカルベン触媒をそのまま水素化触媒としても使用し、環状オレフィン開環重合体を水素化して環状オレフィン開環重合体水素化物を製造することもできる。
環状オレフィン開環重合体水素化物の水素化率は、90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましく、99%以上であることが更に好ましい。環状オレフィン開環重合体水素化物の水素化率が上記所定値以上であれば、耐候性および耐熱性を向上することができる。
なお、環状オレフィン開環重合体水素化物の水素化率は、本明細書の実施例に記載の方法により測定することができる。
さらに、粗重合体に含まれる重合体が環状オレフィン開環重合体水素化物である場合、環状オレフィン開環重合体水素化物は、シンジオタクチック立体規則性を有することが好ましい。環状オレフィン開環重合体水素化物がシンジオタクチック立体規則性を有していれば、製造される重合体の耐熱性、機械強度、および耐溶剤性などの物性を高めることができる。ここで、シンジオタクチック立体規則性の程度は特に限定されないが、環状オレフィン開環重合体水素化物の結晶性を高めて耐熱性を特に良好なものとする観点からは、よりシンジオタクチック立体規則性の程度は高いことが好ましい。より具体的には、環状オレフィン単量体を開環重合して、次いで水素化して得られる繰り返し単位についてのラセモ・ダイアッドの割合が、51%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることが特に好ましい。ラセモ・ダイアッドの割合が高いものほど、すなわち、シンジオタクチック立体規則性の高いものほど、高い融点を有するジシクロペンタジエン開環重合体水素化物となる。なお、ラセモ・ダイアッドの割合は、13C−NMRスペクトル分析で測定し、定量することができる。具体的な定量の方法としては、オルトジクロロベンゼン−dを溶媒として、150℃でinverse−gated decoupling法を適用して13C−NMR測定を行い、オルトジクロロベンゼン−d4の127.5ppmのピークを基準シフトとして、メソ・ダイアッド由来の43.35ppmのシグナルと、ラセモ・ダイアッド由来の43.43ppmのシグナルとの強度比から算出されるメソ/ラセモ比より、ラセモ・ダイアッドの割合を決定する方法を挙げることができる。
−金属触媒残渣−
金属触媒残渣は、金属触媒に由来する成分である。ここで、金属触媒残渣は、金属触媒が有する化学構造の少なくとも一部を有する成分であればよく、金属触媒そのものであってもよいし、金属触媒に対して、金属触媒以外の他の成分が更に結合してなる化学構造を有する成分であってもよいものとする。そして、金属触媒残渣は、通常、金属触媒に含有される金属を含んでいる。また、金属触媒残渣の由来である金属触媒がリンを含有する場合、金属触媒残渣は当該金属触媒に含有されるリンを含み得る。
金属触媒残渣は、特に限定されないが、例えば、タングステン、チタン、ニッケル、コバルト、アルミニウム、ルテニウム等の周期表における第4族〜第13族の金属から選択される少なくとも1種の金属を含有することが好ましい。
−−金属触媒−−
金属触媒残渣の由来である金属触媒は、粗重合体の調製に使用し得るものであれば、特に限定されないが、重合触媒および/または水素化触媒を含むことが好ましく、開環重合触媒および/または水素化触媒を含むことがより好ましい。
ここで、金属触媒として使用し得る重合触媒としては、特に限定されることはなく、例えば、特開2015−54885号公報に記載された開環重合触媒、および、国際公開第2010/110323号に記載された開環メタセシス反応触媒(開環重合触媒)であるルテニウムカルベン錯体触媒などが挙げられる。なお、ルテニウムカルベン錯体触媒は、水素化触媒としても使用することができる。また、金属触媒として使用し得る重合触媒は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。
また、金属触媒として使用し得る水素化触媒としては、特に限定されることはなく、上記ルテニウムカルベン錯体触媒に加えて、例えば、特開2015−54885号公報に記載された水素化触媒を用いることができる。
ここで、粗重合体中にリンが残留した場合であっても、本発明の重合体の製造方法によれば、粗重合体に残留するリンを除去して、残留リン量が低減された重合体を製造できるため、金属触媒として使用する水素化触媒としては、例えば、特開2015−54885号公報に記載されたクロロヒドリドカルボニルビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム等のリンを含有する貴金属錯体触媒を好適に使用することができる。
なお、金属触媒として使用し得る水素化触媒は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。
そして、残留金属量が更に低減された重合体を製造する観点から、上述した重合触媒および水素化触媒などの金属触媒は、周期表における第4族〜第13族の金属から選択される少なくとも1種の金属を含むことが好ましく、タングステン、チタン、ニッケル、コバルト、アルミニウム、およびルテニウムからなる群より選択される少なくとも1種の金属を含有することがより好ましく、タングステンおよびルテニウムを含有することが更に好ましく、ルテニウムを含有することが一層好ましい。
なお、上記における「周期表」は長周期表を指す。
また、上述した重合触媒および水素化触媒などの金属触媒がリンを含有する場合、粗重合体中には金属触媒残渣の由来である金属触媒に含有されるリンが残留し得るが、本発明の重合体の製造方法によれば、粗重合体中に残留するリンを除去して、残留リン量が低減された重合体を製造できるため、上述した重合触媒および水素化触媒などの金属触媒はリンを含有していてもよい。
−粗重合体の調製方法−
上述した粗重合体の調製方法としては、特に限定されることはなく、通常、上述した金属触媒を用いた反応を行なう方法を用いることができる。ここで、上記反応は、重合反応であってもよいし、水素化反応であってもよいし、重合反応および水素化反応触媒の両方であってもよい。
例えば、粗重合体は、重合触媒の存在下で重合反応を行ない、各種の単量体を重合して重合体を形成した後、水素化触媒の存在下で水素化反応を行ない、形成された重合体を更に水素化することにより、調製することができる。ここで、各種の単量体としては、例えば、「重合体」の項で上述した環状オレフィン単量体などを用いることができる。また、重合触媒および水素化触媒としては、「金属触媒残渣」の項で上述した金属触媒である重合触媒および水素化触媒を用いることができる。
上記では、重合反応および水素化反応の両方を行なう場合の粗重合体の調製方法について詳述したが、粗重合体の調製方法は、これに限定されることはなく、重合反応のみを行なってもよいし、水素化反応のみを行なってもよいものとする。
重合反応のみを行なう場合の粗重合体の調製方法では、例えば、「金属触媒残渣」の項で上述した重合触媒の存在下で重合反応を行ない、各種の単量体を重合して重合体を形成することで、粗重合体を得ることができる。
また、水素化反応のみを行なう場合の粗重合体の調製方法では、例えば、「金属触媒残渣」の項で上述した水素化触媒の存在下で水素化反応を行ない、市販品として購入して準備した重合体を水素化することで、粗重合体を得ることができる。
上述した粗重合体の調製方法により得られる粗重合体の性状は、特に限定されることはなく、固体であってもよいし、液体であってもよいものとする。
また、上述した粗重合体の調製方法では、粗重合体は、有機溶媒中に溶解または分散された状態で調製されてもよい。ここで、有機溶媒は、粗重合体の調製時の重合反応および/または水素化反応の際に使用されたものである。なお、有機溶媒としては、特に限定されないが、例えば、後述する非極性有機溶媒を用いることができる。
なお、粗重合体は、上述した金属触媒に由来する金属触媒残渣が含むことから、粗重合体中には金属触媒残渣の由来である金属触媒中に含有される金属が残留する。
粗重合体中に残留する金属の種類は、特に限定されることはない。例えば、金属触媒残渣の由来である金属触媒が複数種類の金属を含む場合、粗重合体中には、当該複数種類の金属のうちの少なくとも一部が残留する。
ここで、粗重合体中の残留金属量は、本発明の所望の効果が得られる範囲内であれば、特に限定されず、粗重合体中に残留する金属の種類によっても異なる。
例えば、残留金属量が更に低減された重合体を製造する観点から、粗重合体中の残留Ru量は、5ppm以上50ppm以下であることが好ましい。
また、残留金属量が更に低減された重合体を製造する観点から、粗重合体中の残留タングステン(W)量は、10ppm以上100ppm以下であることが好ましい。
また、金属触媒残渣の由来である金属触媒がリンを含有する場合、粗重合体中には金属触媒残渣の由来である金属触媒中に含有されるリンが残留し得る。
なお、粗重合体中の残留リン(P)量は、残留P量が更に低減された重合体を製造する観点から、0.1ppm以上100ppm以下であることが好ましい。
<<プロトン性有機化合物>>
除去工程で用いるプロトン性有機化合物は、所定の接触温度下で、粗重合体と接触させることで、粗重合体中に含まれる金属触媒残渣を吸着し得る成分である。なお、本明細書において、「プロトン性有機化合物」とは、プロトン供与性(水素原子をプロトンとして放し得る性質)を有する有機化合物を指す。
ここで、プロトン性有機化合物の炭素数は、10以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましく、18以上であることが更に好ましく、10000以下であることが好ましい。プロトン性有機化合物の炭素数が上記下限以上であれば、残留金属量が更に低減された重合体を製造することができる。
なお、残留金属量が更に低減された重合体を製造する観点から、プロトン性有機化合物は、炭化水素基を有することが好ましい。そして、プロトン性有機化合物が有し得る炭化水素基は、特に限定されず、直鎖または分岐の鎖式炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、などが挙げられる。
また、プロトン性有機化合物の分子量は、100以上であることが好ましく、300以上であることがより好ましく、500以上であることが更に好ましく、500000以下であることが好ましい。プロトン性有機化合物の分子量が上記下限以上であれば、透明性に更に優れると共に、残留金属量および残留P量が更に低減された重合体を製造することができる。
さらに、プロトン性有機化合物の沸点は、60℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることが更に好ましい。プロトン性有機化合物の沸点が上記下限以上であれば、残留金属量が更に低減された重合体を製造することができる。
そして、プロトン性有機化合物は、特に限定されないが、透明性に更に優れた重合体を製造する観点から、アルコール類、カルボン酸類、およびアミン類からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含むことが好ましく、アミン類を含むことがより好ましい。
ここで、アルコール類としては、1価アルコールおよび多価アルコールのいずれを用いることもできるが、透明性に一層優れた重合体を製造する観点から、多価アルコールを用いることが好ましい。
そして、多価アルコールとしては、特に限定されないが、例えば、1,2−エタンジオール(エチレングリコール)、1,2,6−ヘキサントリオール等を用いることができる。
カルボン酸類としては、例えば、酪酸、デカン酸等を用いることができる。
アミン類としては、1級アミン、2級アミン、および3級アミンのいずれを用いてもよいが、透明性に一層優れた重合体を製造する観点から、1級アミンおよび3級アミンを用いることが好ましく、1級アミンを用いることがより好ましい。
また、アミン類としては、アルキルアミンおよびアリールアミンのいずれを用いてもよいが、残留金属量が更に低減された重合体を製造する観点から、アルキルアミンを用いることが好ましい。
そして、アミン類としては、残留金属量が更に低減された重合体を製造する観点から、プロピルアミン、ヘキシルアミン、ヘキサデシルアミン等の炭素数2以上1000以下のアミンを用いることがより好ましく、ヘキシルアミン、ヘキサデシルアミン等の炭素数5以上500以下のアミンを用いることが更に好ましく、ヘキサデシルアミン等の炭素数10以上100以下のアミンを用いることが特に好ましい。
なお、アミン類としては、ダイマー酸型ジアミンを用いることもできる。
ここで、ダイマー酸型ジアミンとは、特開2018−174287号公報に記載されているように、ダイマー酸の二つの末端カルボン酸基(−COOH)が、1級のアミノメチル基(−CH−NH)またはアミノ基(−NH)に置換されてなるジアミンを指す。ダイマー酸は、不飽和脂肪酸の分子間重合反応によって得られる既知の二塩基酸であり、例えば、炭素数が11〜22の不飽和脂肪酸を粘土触媒等の存在下で二量化して得られる。なお、工業的に得られるダイマー酸は、オレイン酸やリノール酸などの炭素数18の不飽和脂肪酸を二量化することによって得られる炭素数36の二塩基酸が主成分であるが、精製の度合いに応じて、任意量のモノマー酸(炭素数18)、トリマー酸(炭素数54)、炭素数20〜54の他の重合脂肪酸を含有し得る。また、不飽和脂肪酸の分子間重合反応によって得られるダイマー酸には二重結合が残存するが、本明細書では、更に水素添加反応して不飽和度を低下させたものもダイマー酸に含めるものとする。例えば、オレイン酸やリノール酸などの炭素数18の不飽和脂肪酸を二量化することによって得られる炭素数36の二塩基酸を更に水素添加して得られる、見かけ上ステアリン酸が二量化されてなる炭素数36の二塩基酸もダイマー酸に含まれるものとする。
ダイマー酸型ジアミンとしては、市販品を用いることができ、例えば、CRODA社製「Priamine1075」等を用いることができる。
なお、本発明の所望の効果が得られる限り、これらのプロトン性有機化合物は、1種類を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
また、プロトン性有機化合物はリンを含有していてもよいが、残留P量が更に低減された重合体を製造する観点から、プロトン性有機化合物はリンを含有しないことが好ましい。
そして、除去工程における粗重合体の使用量に対するプロトン性有機化合物の使用量の質量比(プロトン性有機化合物/粗重合体)は、1/10000以上であることが好ましく、1/5000以上であることがより好ましく、1/1000以上であることが更に好ましく、10/1以下であることが好ましく、5/1以下であることがより好ましく、3/1以下であることが更に好ましい。粗重合体の使用量に対するプロトン性有機化合物の使用量の質量比(プロトン性有機化合物/粗重合体)が上記下限以上であれば、透明性に更に優れると共に、残留金属量および残留P量が更に低減された重合体を製造することができる。
<<非極性有機溶媒>>
除去工程は、非極性有機溶媒の存在下で行なってもよい。即ち、除去工程においては、上述した所定の接触温度下で、粗重合体とプロトン性有機化合物とを非極性有機溶媒の存在下で接触させてもよい。
非極性有機溶媒としては、例えば、シクロヘキサン、デカリン(デカヒドロナフタレン)等の脂環式炭化水素;トルエン等の芳香族炭化水素;などを用いることができる。
なお、粗重合体として、非極性有機溶媒中に粗重合体が溶解または分散した状態のものを使用する場合、当該粗重合体の溶媒または分散媒である非極性有機溶媒をそのまま除去工程に使用してもよい。
除去工程における粗重合体の使用量に対する非極性有機溶媒の使用量の質量比(非極性有機溶媒/粗重合体)は、1/2以上であることが好ましく、1/1以上であることがより好ましく、2/1以上であることが更に好ましく、10000/1以下であることが好ましい。粗重合体の使用量に対する非極性有機溶媒の使用量の質量比(非極性有機溶媒/粗重合体)が上記下限以上であれば、除去工程の際に粗重合体が非極性有機溶媒に溶解して、プロトン性有機化合物と金属触媒残渣との吸着効率を上げることで、残留金属量が更に低減された重合体を製造することができる。一方、粗重合体の使用量に対する非極性有機溶媒の使用量の質量比(非極性有機溶媒/粗重合体)が上記上限以下であれば、プロトン性有機化合物と金属触媒残渣との吸着効率を十分に高く確保できる。
<その他の工程>
本発明の重合体の製造方法は、任意で、上述した除去工程以外のその他の工程を更に含んでいてもよい。
このようなその他の工程としては、例えば、粗重合体を調製する粗重合体調製工程などが挙げられる。なお、粗重合体調製工程において、粗重合体を調製する方法としては、「除去工程」の項で上述した粗重合体の調製方法を用いることができる。
また、本発明の重合体の製造方法においては、その他の工程として、上述した除去工程の後に、接触系内の金属触媒残渣が除去された粗重合体を、金属触媒残渣を吸着したプロトン性有機化合物から分離する分離工程を実施してもよい。
分離工程としては、接触系を重合体のガラス転移温度以上の温度で加温した状態で静置し、金属触媒残渣が除去された粗重合体および任意の非極性有機溶媒を含む相と、金属触媒残渣を吸着したプロトン性有機化合物の相とに分離させた後、液液分離の方法により、金属触媒残渣が除去された粗重合体および任意の非極性有機溶媒を含む相のみを分離取得する液液分離工程などを実施してもよいが、金属触媒が除去された粗重合体を冷却する冷却工程を実施することが好ましい。分離工程として冷却工程を実施すれば、透明性に更に優れると共に、残留金属量および残留P量が更に低減された重合体を製造することができる。
以下に、分離工程として好適に実施し得る冷却工程について詳述する。
<<冷却工程>>
冷却工程では、上述した除去工程で得られた金属触媒残渣が除去された粗重合体を冷却する。これにより、金属触媒残渣が除去された粗重合体を、金属触媒残渣を吸着したプロトン性有機化合物および非極性有機溶媒などの接触系内の他の成分から容易に分離し、精製重合体として分離取得することができる。
冷却工程において、金属触媒残渣が除去された粗重合体を冷却する温度は、上述した接触温度未満である限り、特に限定されないが、(重合体のガラス転移温度+50℃)以下であることが好ましく、(重合体のガラス転移温度+10℃)以下であることがより好ましく、重合体のガラス転移温度未満であることが更に好ましく、(重合体のガラス転移温度−10)℃以上であることが好ましく、(重合体のガラス転移温度−30℃)以上であることがより好ましく、(重合体のガラス転移温度−50℃)以上であることが更に好ましい。金属触媒残渣が除去された粗重合体を冷却する温度が上記上限以下および上記下限以上であれば、精製重合体の収量を高めることができる。
金属触媒が除去された粗重合体を冷却する方法は、特に限定されることはなく、金属触媒が除去された粗重合体を単独で冷却してもよいし、金属触媒が除去された粗重合体を含む接触系全体を冷却してもよい。また、例えば、除去工程にて所定の接触温度下で粗重合体とプロトン性有機化合物と非極性有機溶媒とを混合し、接触系として混合物を得た場合、上記混合物全体をそのまま冷却してもよいし、上記混合物を重合体のガラス転移温度以上の温度に加温した状態で静置し、金属触媒残渣が除去された粗重合体が溶解または分散した非極性有機溶媒相と、金属触媒残渣を吸着したプロトン性有機化合物相とに分離させた後、液液分離の方法により、当該非極性有機溶媒相のみを取り出して、冷却を行なってもよい。
また、通常、冷却工程では、金属触媒残渣が除去された粗重合体を冷却することにより、金属触媒残渣が除去された粗重合体が固体化して、精製重合体が得られる。例えば、上述した除去工程で得られた接触系としての混合物を冷却することにより、金属触媒残渣が除去された粗重合体が析出および/または沈殿して、重合体の析出物および/または沈殿物が発生する。そして、発生した重合体の析出物および/または沈殿物を、濾過等の既知の固液分離の方法により分離して、精製重合体を取得することができる。
なお、得られた精製重合体は、トルエン、シクロヘキサン、アセトン等の有機溶媒によって洗浄されてもよい。さらに、有機溶媒で洗浄された精製重合体を窒素およびアルゴンなどの不活性ガスの存在下で加熱することにより、精製重合体中に混入した有機溶媒を除去することができる。
−精製重合体−
上述した除去工程および任意の分離工程(冷却工程)により得られる精製重合体は、透明性に優れている。
したがって、精製重合体は、例えば、光学レンズ、プリズム、導光体等の光学部材などの用途に好適に使用することができる。
ここで、除去工程および任意の分離工程により得られる精製重合体は、本発明の重合体の製造方法により製造される重合体としてそのまま上記用途に供されてもよいし、上述した除去工程および分離工程以外の他の工程を経てから、上記用途に供されてもよいものとする。
なお、精製重合体中の残留金属量は、特に限定されず、精製重合体中に残留する金属の種類によっても異なるが、通常、粗重合体中の残留金属量よりも少ないものとする。
例えば、残留金属量を低減された重合体を製造する観点から、精製重合体中の残留Ru量は、7.0ppm以下であることが好ましく、5.5ppm以下であることがより好ましく、4.0ppm以下であることが更に好ましく、2.5ppm以下であることが一層好ましい。
また、残留金属量を低減された重合体を製造する観点から、精製重合体中の残留タングステン(W)量は、19.0ppm以下であることが好ましく、10.0ppm以下であることがより好ましく、2.5ppm以下であることが更に好ましく、2.0ppm以下であることが一層好ましい。
また、精製重合体中の残留P量は、特に限定されず、通常、粗重合体中の残留P量よりも少ないものとする。なお、精製重合体中に残留するリンは、粗重合体(より具体的には、粗重合体中の金属触媒残渣)に由来するものであってもよいし、プロトン性有機化合物に由来するものであってもよいものとする。
残留P量が更に低減された重合体を製造する観点から、精製重合体中の残留リン(P)量は、2.0ppm以下であることが好ましく、1.5ppm以下であることがより好ましく、1.2ppm以下であることが更に好ましく、1.0ppm未満であることが一層好ましい。
以下に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本実施例における「部」は、特記しない限り質量基準である。
実施例および比較例における各種の測定および評価については、以下の方法に従って行なった。
<分子量の測定>
開環重合体の重量平均分子量(Mw)は、テトラヒドロフラン(THF)を溶離液とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)による、標準ポリスチレン換算値として求めた。なお、GPCは40℃において測定した。また、測定装置としては、東ソー社製「システム HLC−8320」を用い、測定カラムとしては東ソー社製「Hタイプカラム」を用いた。
<開環重合体の主鎖の炭素−炭素二重結合のシス/トランス比の測定>
H−NMR測定に基づいて、開環重合体の主鎖の炭素−炭素二重結合のシス/トランス比を求めた。
<開環重合体水素化物の水素化率の測定>
H−NMR測定に基づいて、開環重合体水素化物中の不飽和結合の水素化率を求めた。
<開環重合体水素化物のメソ/ラセモ比の測定>
オルトジクロロベンゼン−dを溶媒として、150℃でinverse−gated decoupling法を適用して13C−NMR測定を行い、オルトジクロロベンゼン−dの127.5ppmのピークを基準シフトとして、メソ・ダイアッド由来の43.35ppmのシグナルと、ラセモ・ダイアッド由来の43.43ppmのシグナルとの強度比に基づいて、開環重合体水素化物のメソ/ラセモ比を求めた。
<開環重合体水素化物のガラス転移温度の測定>
示差走査型熱量計(DSC,日立ハイテクサイエンス社製X−DSC7000)を用いて、20℃〜320℃まで10℃/分で昇温する条件で、ガラス転移温度(Tg)を測定した。
<開環重合体水素化物の融点の測定>
試料としての開環重合体水素化物を含む粗重合体の結晶を、示差走査熱量計装置内で加熱することで完全に融解させた後、10℃/分の降温条件で室温まで冷却させ、次いで、10℃/分の昇温条件で320℃まで示差走査熱量測定を行なったときの結晶融解ピークの吸熱極大での温度を、その試料の融点とした。なお、示差走査熱量計装置としては、日立ハイテクサイエンス社製高感度型示差走査熱量計「EXSTAR X−DSC7000」を用いた。また、示差走査熱量測定では、温度および熱量の標準物質としてインジウム、スズ、鉛を用いて校正を行なった。
<残留金属量および残留リン量の測定>
各実施例および比較例で得られた粗重合体および精製重合体のそれぞれを、測定試料として約0.3g〜約0.5g用い、硫酸および硝酸を用いて湿式分解し、超純水で10mLに定容した後に、ICP−AES(SIIナノテクノロジー社製「SPS5100」)による測定を行なって、残留金属量としての残留ルテニウム(Ru)量および残留タングステン(W)量、並びに残留リン(P)量を測定した。
<HAZEの測定>
各実施例および比較例で得られた精製重合体を用いて、熱プレス成形によりフィルム(厚み:50μm)を作製した。
次いで、作製されたフィルムの任意の箇所を切り出して得られた120mm×120mm×50μmの正方形薄膜サンプルについて、HAZEメーター(日本電色工業社製「NDH5000」)を使用して、HAZE(%)を測定した。なお、HAZEは、透明性に関する指標であり、濁度(曇度)を表す。そして、HAZEの値が小さいほど、重合体の透明性が高いことを示す。
(実施例1)
<粗重合体(開環重合体水素化物)調製工程>
攪拌機付きガラス製反応器に、開環重合触媒としてのタングステン(フェニルイミド)テトラクロリド・テトラヒドロフラン錯体0.060部をシクロヘキサン1.0部に溶解させた溶液を添加した。さらに、有機金属還元剤としてのジエチルアルミニウムエトキシド0.047部をヘキサン0.50部に溶解した溶液を添加して、これを室温で30分間反応させた。得られた混合物に、環状オレフィン単量体としてのジシクロペンタジエン7.5部、溶媒としてのシクロヘキサン27.0部、環状オレフィン単量体以外のその他の単量体としての1−オクテン5.0部を添加し、50℃において重合反応を行なった。重合反応開始後、徐々に溶液の粘度が上昇した。3時間重合反応させた後、重合反応液に大量のイソプロピルアルコールを注いで沈殿物を凝集させ、濾別洗浄後、40℃で24時間減圧乾燥した。得られたジシクロペンタジエン開環重合体の収量は7.4部であり、その重量平均分子量(Mw)は29,700であった。また、ジシクロペンタジエン開環重合体の主鎖の炭素−炭素二重結合のシス/トランス比は、93/7であった。
次に、攪拌機付きオートクレーブに、得られたジシクロペンタジエン開環重合体3.0g、および、溶媒としてのシクロヘキサン47gを加えた。そして、シクロヘキサン10mlに水素化触媒としてのクロロヒドリドカルボニルビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム0.00165gを分散させたものをさらに添加し、水素圧4.0MPa、160℃で8時間水素化反応を行なった。この水素化反応液を多量のアセトンに注いで、粗重合体を完全に析出させ、濾別洗浄後、40℃で24時間減圧乾燥することで、ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物を含む粗重合体を得た。
得られた粗重合体中のジシクロペンタジエン開環重合体水素化物の水素化率は99%以上であった。また、粗重合体中のジシクロペンタジエン開環重合体水素化物のメソ/ラセモ比は10/90(ラセモ・ダイアッドの割合90%)であることから、ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物はシンジオタクチック立体規則性を有するものであった。また、粗重合体を減圧乾燥した後、粗重合体中のジシクロペンタジエン開環重合体水素化物のガラス転移温度および融点を測定したところ、ガラス転移温度は100℃で、融点は265℃であった。
そして、得られた粗重合体中の残留金属量および残留P量の測定を行なった。結果を表1に示す。
<除去工程>
500mlの耐圧反応器内に、非極性有機溶媒としてのデカリン23.625g、プロトン性有機化合物としてCRODA社製「Priamine1075」(炭素数36のダイマー酸型ジアミン等を含む1級アミン、以下「プリアミン」と称することがある)7.875g、上記で得られた結晶性を有するジシクロペンタジエン開環重合体水素化物を含む粗重合体3.5gをそれぞれ入れた。その後、耐熱反応器をTVS−N2型ポータブルリアクター(耐圧硝子工業社製)にセットし、窒素置換を行なった。さらに、耐圧反応器を、215℃で3時間加熱しながら撹拌を行ない、接触系としての混合物を得た。
<冷却工程>
次いで、上記で得られた混合物を常温(23℃)まで冷却した。そして、冷却後の混合物中に析出物が発生していることを確認した。混合物を濾過することで、析出物を分離して取得した。得られた析出物を、トルエン、シクロヘキサン、アセトンをこの順に用いて洗浄した後、窒素ガス存在下で加熱してこれらの有機溶媒を除去することで、ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物の精製重合体を得た。
精製重合体中の残留金属量および残留P量の測定を行なった。結果を表1に示す。
また、上記で得られた粗重合体中の残留Ru量および精製重合体中の残留Ru量に基づいて、粗重合体中に含まれていた残留Ru全量のうち、除去工程および冷却工程でプロトン性有機化合物に吸着されて除去されたRuの量の割合を、Ru除去率(質量%)として算出した。結果を表1に示す。
同様に、上記で得られた粗重合体中の残留W量および精製重合体中の残留W量に基づいて、粗重合体中に含まれていた残留W全量のうち、除去工程および冷却工程でプロトン性有機化合物に吸着されて除去されたWの量の割合を、W除去率(質量%)として算出した。結果を表1に示す。
さらに、上記で得られた粗重合体中の残留P量および精製重合体中の残留P量に基づいて、粗重合体中に含まれていた残留P全量のうち、除去工程および冷却工程でプロトン性有機化合物に吸着されて除去されたPの量の割合を、P除去率(質量%)として算出した。結果を表1に示す。
また、精製重合体を熱プレス成形して得られたフィルムのHAZE(%)を測定した。結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1の除去工程において、非極性有機溶媒としてのデカリン23.625gをシクロヘキサン23.625gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物の精製重合体を得た。そして、実施例1と同様の測定および算出を行なった。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1の除去工程において、非極性有機溶媒としてのデカリンの使用量を23.625gから31.5gに変更し、プロトン性有機化合物をプリアミン7.875gからヘキサデシルアミン(分子量:241.46、沸点:330℃)1.05gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物の精製重合体を得た。そして、実施例1と同様の測定および算出を行なった。結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例3の除去工程において、プロトン性有機化合物をヘキサデシルアミン1.05gからヘキシルアミン(分子量:101.19、沸点:130℃)0.44gに変更したこと以外は、実施例3と同様にして、ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物の精製重合体を得た。そして、実施例3と同様の測定および算出を行なった。結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例3の除去工程において、プロトン性有機化合物をヘキサデシルアミン1.05gからプロピルアミン(分子量:59.11、沸点:48℃)0.26gに変更したこと以外は、実施例3と同様にして、ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物の精製重合体を得た。そして、実施例3と同様の測定および算出を行なった。結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例3の除去工程において、プロトン性有機化合物をヘキサデシルアミン1.05gから1,2−エタンジオール(分子量:62.07、沸点:197.3℃)0.27gに変更したこと以外は、実施例3と同様にして、ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物の精製重合体を得た。そして、実施例3と同様の測定および算出を行なった。結果を表1に示す。
(実施例7)
実施例3の除去工程において、プロトン性有機化合物をヘキサデシルアミン1.05gから酪酸(分子量:88.11、沸点:164℃)0.38gに変更したこと以外は、実施例3と同様にして、ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物の精製重合体を得た。そして、実施例3と同様の測定および算出を行なった。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1の除去工程において、プロトン性有機化合物としてのプリアミン7.875gに代えて、非プロトン性有機化合物であるジメチルスルホキシド(DMSO、分子量:78.13、沸点:189℃)7.875gを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物の精製重合体を得た。そして、実施例1と同様の測定および算出を行なった。結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1の除去工程において、プロトン性有機化合物としてのプリアミン7.875gに代えて、非プロトン性有機化合物であるトリオクチルホスフィン(分子量:370.65、沸点:234℃)7.875gを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物の精製重合体を得た。そして、実施例1と同様の測定および算出を行なった。結果を表1に示す。
Figure 2020105457
表1より、所定温度以上の温度下で、重合体と金属触媒残渣とを含む粗重合体を、プロトン性有機化合物に接触させることで、粗重合体から金属触媒残渣を除去する実施例1〜7の重合体の製造方法であれば、透明性に優れた重合体を製造できることがわかる。
一方、所定温度以上の温度下で、重合体と金属触媒残渣とを含む粗重合体を、非プロトン性有機化合物に接触させた比較例1および2の重合体の製造方法では、製造される重合体の透明性に劣ることがわかる。
本発明によれば、透明性に優れた重合体を製造し得る重合体の製造方法を提供することができる。

Claims (8)

  1. 重合体と金属触媒残渣とを含む粗重合体から精製重合体を得る重合体の製造方法であって、
    前記重合体のガラス転移温度以上の温度下で、前記粗重合体と、プロトン性有機化合物とを接触させて、前記粗重合体から前記金属触媒残渣を除去する除去工程を含む、重合体の製造方法。
  2. 前記プロトン性有機化合物が、アルコール類、カルボン酸類、およびアミン類からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含む、請求項1に記載の重合体の製造方法。
  3. 前記プロトン性有機化合物が、炭素数10以上のアミンを含む、請求項1または2に記載の重合体の製造方法。
  4. 前記金属触媒残渣が、開環重合触媒および/または水素化触媒に由来する、請求項1〜3のいずれかに記載の重合体の製造方法。
  5. 前記金属触媒残渣が、周期表における第4族〜第13族の金属から選択される少なくとも1種の金属を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の重合体の製造方法。
  6. 前記金属触媒残渣が、タングステン、チタン、ニッケル、コバルト、アルミニウム、およびルテニウムからなる群より選択される少なくとも1種の金属を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の重合体の製造方法。
  7. 前記重合体が環状オレフィン重合体を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の重合体の製造方法。
  8. 前記重合体が結晶性である、請求項1〜7のいずれかに記載の重合体の製造方法。
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