JP2014104545A - 被覆工具 - Google Patents

被覆工具 Download PDF

Info

Publication number
JP2014104545A
JP2014104545A JP2012259922A JP2012259922A JP2014104545A JP 2014104545 A JP2014104545 A JP 2014104545A JP 2012259922 A JP2012259922 A JP 2012259922A JP 2012259922 A JP2012259922 A JP 2012259922A JP 2014104545 A JP2014104545 A JP 2014104545A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
cutting
average thickness
volume
gas
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012259922A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5898051B2 (ja
Inventor
Takahiko Makino
貴彦 牧野
Koichi Fujisaki
浩一 藤崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Corp filed Critical Kyocera Corp
Priority to JP2012259922A priority Critical patent/JP5898051B2/ja
Publication of JP2014104545A publication Critical patent/JP2014104545A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5898051B2 publication Critical patent/JP5898051B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Cutting Tools, Boring Holders, And Turrets (AREA)

Abstract

【課題】 耐熱合金の切削加工においても、熱亀裂の発生を抑制して長寿命な切削工具等の被覆工具を提供する。
【解決手段】 平均粒径0.9〜1.2μmのWC相を主体として、10〜15質量%のCoと、0.2〜0.6質量%のCrとを含有する超硬合金からなる基体2の表面に、平均厚みが0.3〜0.7μmのTiN層4と、平均厚みが1〜3μmのTiCN層5と、平均厚みが0.01〜0.1μmの中間層6と、平均厚みが0.3〜0.7μmのAl層7と、平均厚みが0.3〜0.7μmの最表層8とが順に積層されてなる切削工具1である。
【選択図】 図1

Description

本発明は被覆層を具備する被覆工具に関する。
従来から金属の切削加工に広く用いられている切削工具は、超硬合金等の基体の表面にTiCN層やAl層等の多層の被覆層を被着形成したものが広く用いられている。また、インコネルやステンレス等の耐熱合金の需要の増加に伴って、耐熱合金の切削における切削性能に優れた切削工具が求められている。しかしながら、従来の切削工具では、切削時に切刃付近の温度が高温になる。その結果、切刃に熱亀裂が発生したり、発生した熱亀裂からクラックが進展したりして、切刃にチッピングや欠損が発生するという問題があった。
そこで、特許文献1では、Coを12.0〜15.0wt%と、Crを0.52〜0.64wt%と、残部がWCとからなる超硬合金基体の表面に、合計厚さが1.9〜3.6μmの第1〜第3のTiCNO層と、1.8〜3.6μmの厚みの最表層Al層とを被覆した切削工具フライスインサートが記載されている。
特開2007−160504号公報
しかしながら、特許文献1のインサートでは、熱亀裂の発生を抑制する効果が不十分であり、被覆層が剥離するおそれがあった。
本発明の目的は、耐熱合金の切削加工のように切刃が高温になる加工においても、切刃における熱亀裂の発生を抑制し、かつ被覆層の剥離の発生を抑えることができる切削工具を提供することにある。
本発明の被覆工具は、平均粒径0.9〜1.2μmのWC相を主体として、10〜15質量%のCoと、0.2〜0.6質量%のCrとを含有する超硬合金からなる基体の表面に、平均厚みが1〜3μmのTiCN層と、平均厚みが0.3〜0.7μmのAl層と、が順に積層されてなるものである。
本発明の被覆工具によれば、WC相の平均粒径とCo含有量を難削材の加工に最適な範囲に調整して、切削時の発熱によっても熱亀裂およびその進展が抑制される。また、切刃が高温になっても、Al層が被覆層の酸化を抑制する。しかも、Al層の厚みは0.3〜0.7μmなので、凝着しやすい耐熱合金の加工であってもAl層の剥離を抑制できる。
本発明の被覆工具の好適例である切削工具の概略断面図である。 図1の切削工具の(a)切刃、(b)すくい面における最表層の表面についての走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 図1の切削工具を成膜する際の試料のセット方法の一例を説明するための断面図であり、(a)切刃およびすくい面におけるAl層の厚みや最表層の結晶構造を異ならせるセット方法、(b)一方の主面側のAl層の厚みと他方の主面側のAl層の厚みとを異ならせるセット方法の一例を示す模式図である。
本発明の被覆工具の好適例である切削工具1は、図1に示すように、基体2の表面に、TiN層4と、TiCN層5と、中間層6と、Al層7と、最表層8とが基体2側から順に形成された被覆層9が設けられている。また、図1によれば、Al層7の表面に、TiC層(0<x、0.5≦y、x+y=1、以下単に最外層と称す)が最表層8として積層されている。被覆層9の各層の平均厚みは、TiN層4が0.3〜0.7μm、TiCN層5が1〜3μm、中間層6が0.01〜0.1μm、Al層7が0.3〜0.7μm、最外層8が0.3〜0.7μmである。なお、各層の平均厚みは、各層の任意の位置において10μm以上の幅に亘って1μm間隔で厚みを測定し、その平均値を取って算出する。
ここで、TiCN層5が1μmよりも薄いと、十分な耐摩耗性を維持できない。逆に、TiCN層5が3μmよりも厚いと、欠損しやすい。TiCN層5のより好適な範囲は、2〜2.5μmである。Al層7が0.3μmよりも薄いと、十分な耐酸化性を維持できず、耐摩耗性が低下する。逆に、Al層7が0.7μmよりも厚いと、チッピングしやすい。Al層7のより好適な範囲は、0.4〜0.6μmである。
また、基体2は、平均粒径0.9〜1.2μmのWC相を主体として、10〜15質量%のCoと、0.2〜0.6質量%のCrとを含有する超硬合金からなる。なお、WC相を主体とするとは、WCを50質量%以上含有する状態を指し、特に、好適な範囲としては、WCを84.4質量%以上含有しているものである。この基体2と被覆層9との組み合わせによって、切削時の発熱によっても熱亀裂およびその進展が抑制される。また、切刃が高温になっても、Al層7が被覆層の酸化を抑制する。しかも、Al層7の平均厚みは0.3〜0.7μmなので、Ni基合金やTi基合金のような凝着しやすい耐熱合金の加工であってもAl層7の剥離を抑制できる。
ここで、WC相の平均粒径が0.9μmよりも小さいと、靱性が低く、突発欠損しやすくなる。逆に、WC相の平均粒径が1.2μmよりも大きいと、硬度が低下するため、十分な耐摩耗性を維持出来ない。WC相の平均粒径のより好適な範囲は、1.0〜1.15μmである。Co含有量が10質量%よりも少ないと、十分な靱性、強度が確保できず、欠損しやすい。逆に、Co含有量が15質量%よりも多いと、熱伝導率が低下し、熱亀裂が発生し欠損しやすいという不具合がある。Co含有量のより好適な範囲は、11〜13質量%である。Crの含有量がCr換算で0.2質量%よりも少ないと、基体2が腐食しやすく被膜が剥離しやすい。逆に、Cr含有量がCr換算で0.6質量%よりも多いと、靱性が低下し欠損しやすくなる。CrのCr換算量のより好適な範囲は、0.4〜0.5質量%である。
また、TiN層4は基体2と被覆層9との密着性を高めるものであり、TiN層4の平均厚みが0.3〜0.7μmであると、被覆層9は基体2との密着性が良く、かつ、被覆層9はチッピングしにくい。TiN層4のより好適な範囲は、0.4〜0.5μmである。さらに、TiCN層5とAl層7との間にはTiCO、TiNOおよびTiCNOのうちのいずれかからなる中間層6が設けられており、中間層6はTiCN層5とAl層7との密着性を高めることができる。中間層6の平均厚みが0.01〜0.1μmであると、Al層7が剥離しにくく、かつAl層7がチッピングしにくい。中間層6のより好適な範囲は、0.03〜0.08μmである。
なお、最外層8は、TiC層(0<x、0.5≦y、x+y=1)からなり、切削工具1の表面を金色として、切刃の未使用、使用済みの判定を容易にするために設けたものであり、0.3〜0.7μmであれば、目視で識別できる。また、本実施態様では、図2に示すように、最表層8の表面において、切刃ではTiC結晶(0<x、0.5≦y、x+y=1)が粒状粒子からなるとともに、すくい面では針状粒子からなる。これによって、切刃においては、被覆層9の表面での空隙が少なく、被覆層9の摩耗が小さい。一方、すくい面では被覆層9の表面に針状粒子が析出した構造なので、被覆層9の表面での空隙が多いので、被覆層9の表面における切削液の保持力が向上する。その結果、加工によって発生する切屑の流れがスムーズになり、切刃における温度上昇を抑制することができる。なお、最表層8には、酸素を全量中10質量%以下の割合で含有してもよい。
さらに、本実施態様では、最表層8は、基体側の炭素濃度が表面側の炭素濃度よりも高い構成となっている。これによって、すくい面においては、針状粒子が形成されるとともに、最表層8の表面では金色になり、使用の識別がしやすい。
また、図1の切削工具1の全体形状は、概略板形状で、主面に対して側面が90°であり、両主面の端部を切刃として使用する形状、いわゆる、両面使いのネガチップ形状が好適例として挙げられる。そして、両主面は同じ形状からなるものであってもよいが、他の実施態様として、一方の主面側のAl層7の平均厚みと他方の主面側のAl層7の平均厚みとが異なっている構成であってもよい。この構成であれば、2つの加工条件で切削加工を行うような場合に、一方の主面側の切刃と他方の主面側の切刃を別々の加工条件で使い分けすることにより、切削工具はより最適な工具性能を発揮する。なお、このとき、より最適な工具性能とするために、一方の主面側のブレーカ形状と他方の主面側のブレーカ形状とが異なっていてもよい。
さらに、上記切削工具1は、すくい面と逃げ面との交差部に形成された切刃を被切削物に当てて切削加工するが、本発明の被覆工具は、これに限定されるものではなく、切削工具1以外にも、摺動部品や金型等の耐摩部品、掘削工具、刃物等の工具、耐衝撃部品等の各種の用途へ応用可能であり、この場合にも優れた機械的信頼性を有するものである。
(製造方法)
本発明の被覆工具を作製する方法について説明する。
まず、基体2となる硬質合金を焼成によって形成しうる金属炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物等の無機物粉末に、金属粉末、カーボン粉末等を適宜添加、混合し、プレス成形、鋳込成形、押出成形、冷間静水圧プレス成形等の公知の成形方法によって所定の工具形状に成形した後、真空中または非酸化性雰囲気中にて焼成することによって上述した硬質合金からなる基体2を作製する。そして、上記基体2の表面に所望によって研磨加工や切刃部のホーニング加工を施す。
そして、その表面に化学気相蒸着(CVD)法によって表面被覆層を成膜する。
まず、反応ガス組成として四塩化チタン(TiCl)ガスを0.5〜10体積%、窒素(N)ガスを10〜60体積%、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを調整して反応チャンバ内に導入し、チャンバ内を800〜940℃、8〜50kPaの条件でTiN層4を成膜する。
次に、反応ガス組成として、体積%で四塩化チタン(TiCl)ガスを0.5〜10体積%、窒素(N)ガスを10〜60体積%、アセトニトリル(CHCN)ガスを0.1〜3.0体積%、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを調整して反応チャンバ
内に導入し、成膜温度を780〜880℃、5〜25kPaにてTiCN層5の下側部分を成膜する。ここで、上記成膜条件のうち、反応ガス中のアセトニトリルガスの割合が0.1〜0.4体積%に調整すること、および成膜温度を780℃〜880℃とすることが、断面観察において下側部分が微細な筋状晶(MT−TiCN)からなるTiCN層5を形成できるために望ましい。
なお、TiCN層5の下側部分の成膜条件は単一条件で形成しても良いが、TiCN層の成膜条件を途中で変更して組織状態を変えることもできる。例えば、アセトニトリル(CHCN)ガスの比率を増してTiCN層5の上側の結晶を下側の結晶よりも幅の広い柱状結晶とすることができる。または、上記TiCN層5の成膜途中から、成膜条件を、四塩化チタン(TiCl)ガスを1〜5体積%、メタン(CH)ガスを4〜10体積%、窒素(N)ガスを10〜30体積%、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを調整して反応チャンバ内に導入し、チャンバ内を950〜1100℃、5〜40kPaの条件に変更することによって、TiCN層5の上側の結晶を下側の結晶よりも幅の広い柱状結晶とすることができる。この条件において、メタン(CH)ガスの代わりにアセトニトリル(CHCN)ガスを0.5〜5体積%の割合で使用しても所望のTiCN層5の形成が可能である。
次に、TiCN層5の上側部分を構成するHT−TiCN層を成膜する。HT−TiCN層の具体的な成膜条件は、四塩化チタン(TiCl)ガスを2.5〜4体積%、メタン(CH)ガスを0.1〜10体積%、窒素(N)ガスを5〜20体積%、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを調整して反応チャンバ内に導入し、チャンバ内を900〜1050℃、5〜40kPaとし、成膜時間を20〜60分とすることが望ましい。
さらに、中間層6を作製する。具体的な成膜条件は、四塩化チタン(TiCl)ガスを1〜4体積%、メタン(CH)ガスを0〜7体積%、窒素(N)ガスを0〜20体積%、二酸化炭素(CO)ガスを1〜5体積%、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを調整する。これらの混合ガスを調整して反応チャンバ内に導入し、チャンバ内を900〜1050℃、5〜40kPaとし、成膜時間を20〜60分とする条件で成膜する。
そして、引き続き、Al層7を成膜する。Al層7の成膜方法としては、三塩化アルミニウム(AlCl)ガスを0.5〜5.0体積%、塩化水素(HCl)ガスを0.5〜3.5体積%、二酸化炭素(CO)ガスを0.5〜5.0体積%、硫化水素(HS)ガスを0.0〜0.5体積%、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを用い、950〜1100℃、5〜10kPaとすることが望ましい。
また、所望により、最表層8を成膜する。具体的な成膜条件は、反応ガス組成として四塩化チタン(TiCl)ガスを0.1〜10体積%、窒素(N)ガスを0〜60体積%、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを調整して反応チャンバ内に導入し、チャンバ内を960〜1100℃、10〜85kPaとすればよい。
上記被覆層9の成膜においては、試料をセットする状態を制御する。図3(a)に示すように、セットプレート17に略棒状の支柱11を立てて、支柱11に略円錐状または円筒状のスペーサ14を挿入し、その後、支柱11に基体2である試料12(12a)のネジ孔13を貫通させてスペーサ14も貫通した状態で載置する。次に、スペーサ14を挿入して、次の試料12(12b)を挿入し、このスペーサ14が介在した状態で2つの試料12(12b)を載置する。このとき、2つの試料の対向するすくい面同士が全体的に平行となるようにし、2つの試料のすくい面の間隔dが0.5〜1mmとなるように調整する。このようにして複数の試料をセットする。そして、最も上部に位置する試料の上に
は、ダミー試料16を載置する。また、下段の試料とセットプレート17との間隔も0.5〜1.0mmに制御する。この状態で成膜することによって、切刃およびすくい面におけるAl層の厚みや最表層の結晶構造を異ならせることができる。
また、一方の主面側のAl層7の厚みと他方の主面側のAl層7の厚みとを異ならせるには、図3(b)に示すように、下段の試料12とセットプレートとの間隔を1.0mmよりも広くするとともに、上記支柱11に試料12を2つだけセットし、最も上部に位置する試料の上には、ダミー試料を載置しない。この状態で成膜することによって、一方の主面側のAl層7の厚みと他方の主面側のAl層7の厚みとを異ならせることができる。このとき、対向するすくい面に設けられるブレーカ形状と、対向しないすくい面に設けられるブレーカ形状とを異ならせることによって、得られた切削工具は、両面を異なる切削条件で使うことができる。
炭化タングステン(WC)粉末に対して、平均粒径1.2μmの金属コバルト(Co)粉末および平均粒径2.5μmのCr粉末とを添加、混合して、プレス成形により切削工具形状に成形した後、脱バインダ処理を施し、0.5〜100Paの真空中、1400℃で1時間焼成して、表1に示す超硬合金を作製した。さらに、作製した超硬合金にブラスト加工にてすくい面側について刃先処理(Rホーニング)を施した。
次に、上記超硬合金に対して、CVD法により被覆層を成膜した。試料は、図3(a)に示すように、セットプレートに立てた略棒状の支柱にスペーサを挿入した状態で試料のネジ孔を貫通させてスペーサ上に載置し、略円錐状のスペーサを介在させて次の試料を載置し、試料をセットプレートにセットした。このとき、2つの試料の対向するすくい面同士が全体的に平行となるようにし、2つの試料のすくい面の間隔が表1の間隔となるように調整した。そして、最も上部に位置する試料の上には、ダミー試料を載置した。また、下段の試料とセットプレートとの間隔も表1の間隔となるように調整した。
成膜条件は、まず、880℃、16kPaの成膜条件で、TiCl:2.0体積%、N:33体積%、残りがHの混合ガスを流してTiN層を成膜した。次に、825℃、9kPaの成膜条件で、TiCl:2.5体積%、N:23体積%、CHCN:0.4体積%、残りがHの混合ガスを流して平均結晶幅が0.3μmの第1のTiCN層を成膜した後、混合ガスをTiCl:2.5体積%、N:10体積%、CHCN:0.9体積%、残りがHに切り替えて、平均結晶幅が0.7μmの第2のTiCN層を成膜した。続いて、1010℃、20kPaの成膜条件で、TiCl:3.5体積%、CH:7体積%、N:10体積%、残りがHの混合ガスを流して第3のTiCN層を形成した。表中には、第1〜第3のTiCN層の総厚みをTiCN層の平均厚みとして示した。
そして、1010℃、20kPaの成膜条件で、TiCl:3.5体積%、CH:0〜3体積%、N:0〜10体積%、CO:2体積%、残りがHの混合ガスを流して中間層を形成した。その後、1005℃、9kPaの成膜条件で、AlCl:1.5体積%、HCl:2体積%、CO:4体積%、HS:0.3体積%、残りがHの混合ガスを流してαAl層を成膜した。最後に、1010℃、30Paの成膜条件で、TiCl:3.0体積%、N:30体積%、残りがHの混合ガスを流して最表層を成膜した。最表層については、TiNを基本とする組成であったが、炭素(C)の拡散等による混入があったために、表中にはTi(CN)と表記した。
得られた切削工具について、表1、2に記載する被覆層が観察できるように機械研磨およびイオンミリングによる研磨加工を実施し、断面を露出させた。各層の断面に略垂直な
方向からみた各層のミクロな組織状態を観察し、平均厚みを測定した。そして、エネルギー分散型X線分光法(EDS)、電子エネルギー損失分光法(EELS)などにより、最表層に存在する原子種の確認、組成等についても観察した。結果は表1、2に示した。
そして、この切削工具を用いて下記の条件により、切削試験を行い、耐欠損性を評価した。結果は表2に示した。
(切削条件)
被削材 :インコネル718 角材
工具形状:PNMU1205ANER−SM(京セラ株式会社製インサート)
切削速度:40m/分
送り速度:0.15mm/刃
切り込み:2.0mm(軸方向)×10mm(径方向)
その他 :水溶性切削液使用
評価項目:欠損に至るまでの時間および切刃の状態
表1、2より、WC相の平均粒径が0.9μmよりも小さい試料No.12では、靱性が低く、突発欠損した。WC相の平均粒径が1.2μmよりも大きい試料No.13では、摩耗が大きくなった。Co含有量が10質量%よりも少ない試料No.14では、欠損した。逆に、Co含有量が15質量%よりも多い試料No.15では、熱亀裂による欠損が発生した。Cr含有量が0.2質量%よりも少ない試料No.16では、基体から被覆層が剥離した。Cr含有量が0.6質量%よりも多い試料No.17では、靱性が低下し欠損した。TiCN層の平均厚みが1μmよりも薄い試料No.18では、摩耗が大きくなった。TiCN層の平均厚みが3μmよりも厚い試料No.19では、欠損が発生した。Al層の平均厚みが0.3μmよりも薄い試料No.20では、摩耗が大きかった。Al層の平均厚みが0.7μmよりも厚い試料No.21では、チッピングが発生した。
これに対して、本発明の範囲内である基体と被覆層とからなる試料No.1〜11では、チッピングや欠損が抑制され、かつ摩耗の進行も抑制されていた。
実施例1の試料No.1の基体と同じ材質を用いて、一方の主面に京セラ株式会社製PNMU1205ANER−GMブレーカが設けられ、他の主面に京セラ株式会社製PNMU1205ANER−SMブレーカが設けられた2つの試料を準備した。そして、2つの
試料の一方の主面同士を対向させて0.8mmの間隔にして図3(b)のような状態でセットして、試料No.1のCVD膜を成膜した。得られた切削工具の断面を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、一方の主面におけるAl層の平均厚みは0.6μm、他方の主面におけるAl層の平均厚みは0.5μmであった。この試料の両面を使って、耐酸化性が要求される下記切削条件にて切削評価を行ったところ、GMブレーカを形成した切刃では切削可能時間が14分であり、SMブレーカを形成した切刃では切削可能時間が10分であり、この切削条件ではGMブレーカ側の切刃の仕様がより優れた切削性能を示すことがわかった。
(切削条件)
被削材 :インコネル718 角材
工具形状:PNMU1205ANER−GM/SM(京セラ株式会社製インサート)
切削速度:40m/分
送り速度:0.25mm/刃
切り込み:2.0mm(軸方向)×10mm(径方向)
その他 :水溶性切削液使用
1 切削工具
2 基体
4 TiN層
5 TiCN層
6 中間層
7 Al
8 最表層
9 被覆層

Claims (8)

  1. 平均粒径0.9〜1.2μmのWC相を主体として、10〜15質量%のCoと、0.2〜0.6質量%のCrとを含有する超硬合金からなる基体の表面に、平均厚みが1〜3μmのTiCN層と、平均厚みが0.3〜0.7μmのAl層と、が順に積層されてなる被覆工具。
  2. 前記基体と前記TiCN層との間に、平均厚みが0.3〜0.7μmのTiN層が積層されてなる請求項1記載の被覆工具。
  3. 前記TiCN層と前記Al層との間に、平均厚みが0.01〜0.1μmのTiCO、TiNOおよびTiCNOのうちのいずれかからなる中間層が積層されてなる請求項1または2記載の被覆工具。
  4. 前記Al層の表面に、平均厚みが0.3〜0.7μmのTiC層(0<x、0.5≦y、x+y=1)からなる最表層が積層されてなる請求項1乃至3のいずれか記載の被覆工具。
  5. 切削工具用の被覆工具であって、前記最表層の表面において、切刃では粒状粒子からなるとともに、すくい面では針状粒子からなる請求項4記載の被覆工具。
  6. 切削工具用の被覆工具であって、前記最表層は、すくい面において、基体側の炭素濃度が表面側の炭素濃度よりも高い請求項4または5記載の被覆工具。
  7. 概略板状の両面使いの切削工具であって、一方の主面側の前記Al層の厚みと他方の主面側の前記Al層の厚みとが異なっている請求項1乃至6のいずれか記載の被覆工具。
  8. 前記一方の主面側のブレーカ形状と前記他方の主面側のブレーカ形状とが異なっている請求項7記載の被覆工具。
JP2012259922A 2012-11-28 2012-11-28 被覆工具 Active JP5898051B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012259922A JP5898051B2 (ja) 2012-11-28 2012-11-28 被覆工具

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012259922A JP5898051B2 (ja) 2012-11-28 2012-11-28 被覆工具

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014104545A true JP2014104545A (ja) 2014-06-09
JP5898051B2 JP5898051B2 (ja) 2016-04-06

Family

ID=51026469

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012259922A Active JP5898051B2 (ja) 2012-11-28 2012-11-28 被覆工具

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5898051B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115379913A (zh) * 2021-03-22 2022-11-22 住友电工硬质合金株式会社 切削工具
CN115397587A (zh) * 2021-03-22 2022-11-25 住友电工硬质合金株式会社 切削工具
CN115397586A (zh) * 2021-03-22 2022-11-25 住友电工硬质合金株式会社 切削工具

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03188265A (ja) * 1989-09-29 1991-08-16 Sumitomo Electric Ind Ltd 切削工具・耐摩工具用表面被覆硬質部材
JPH09253916A (ja) * 1996-03-21 1997-09-30 Mitsubishi Materials Corp 表面被覆微粒超硬エンドミル
JPH10286711A (ja) * 1997-04-11 1998-10-27 Mitsubishi Materials Corp 硬質被覆層がすぐれた密着性を有する表面被覆超硬合金製エンドミル
JPH11254208A (ja) * 1998-03-04 1999-09-21 Mitsubishi Materials Corp 耐摩耗性のすぐれたミーリング工具
JPH11347804A (ja) * 1998-06-08 1999-12-21 Mitsubishi Materials Corp 耐欠損性のすぐれたミーリング工具
JP2008200778A (ja) * 2007-02-16 2008-09-04 Mitsubishi Materials Corp 表面被覆切削工具
WO2012144574A1 (ja) * 2011-04-20 2012-10-26 株式会社タンガロイ 被覆切削工具
WO2012144088A1 (ja) * 2011-04-21 2012-10-26 住友電工ハードメタル株式会社 表面被覆切削工具およびその製造方法

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03188265A (ja) * 1989-09-29 1991-08-16 Sumitomo Electric Ind Ltd 切削工具・耐摩工具用表面被覆硬質部材
JPH09253916A (ja) * 1996-03-21 1997-09-30 Mitsubishi Materials Corp 表面被覆微粒超硬エンドミル
JPH10286711A (ja) * 1997-04-11 1998-10-27 Mitsubishi Materials Corp 硬質被覆層がすぐれた密着性を有する表面被覆超硬合金製エンドミル
JPH11254208A (ja) * 1998-03-04 1999-09-21 Mitsubishi Materials Corp 耐摩耗性のすぐれたミーリング工具
JPH11347804A (ja) * 1998-06-08 1999-12-21 Mitsubishi Materials Corp 耐欠損性のすぐれたミーリング工具
JP2008200778A (ja) * 2007-02-16 2008-09-04 Mitsubishi Materials Corp 表面被覆切削工具
WO2012144574A1 (ja) * 2011-04-20 2012-10-26 株式会社タンガロイ 被覆切削工具
WO2012144088A1 (ja) * 2011-04-21 2012-10-26 住友電工ハードメタル株式会社 表面被覆切削工具およびその製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115379913A (zh) * 2021-03-22 2022-11-22 住友电工硬质合金株式会社 切削工具
CN115397587A (zh) * 2021-03-22 2022-11-25 住友电工硬质合金株式会社 切削工具
CN115397586A (zh) * 2021-03-22 2022-11-25 住友电工硬质合金株式会社 切削工具

Also Published As

Publication number Publication date
JP5898051B2 (ja) 2016-04-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2570511B1 (en) Grain boundary engineered alpha-alumina coated cutting tool
KR101822514B1 (ko) 피복공구
JP5597786B1 (ja) 切削工具
KR101801660B1 (ko) 피복 공구
KR102320077B1 (ko) 표면 피복 절삭 공구 및 그 제조 방법
JP6507959B2 (ja) 硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具
JP2007260851A (ja) 表面被覆切削工具
WO2019146785A1 (ja) 被覆工具およびそれを備えた切削工具
JP2010172989A (ja) 表面被覆切削工具
JP2007229821A (ja) 表面被覆切削工具
WO2016047685A1 (ja) 被覆工具
JP2010253594A (ja) 表面被覆工具
US10744568B2 (en) Coated tool
JP4991244B2 (ja) 表面被覆切削工具
JP2014198362A (ja) 表面被覆切削工具
JP2004042193A (ja) 被覆切削工具
JP5898051B2 (ja) 被覆工具
JP6245432B2 (ja) 表面被覆切削工具
JP2016221672A (ja) 硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具
JP6169913B2 (ja) 切削工具
JP2019119045A (ja) 硬質被覆層が優れた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具
WO2019146784A1 (ja) 被覆工具およびこれを備えた切削工具
JP4817799B2 (ja) 表面被覆体
JP6759536B2 (ja) 被覆切削工具
JP5864826B1 (ja) 被覆工具および切削工具

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150415

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151117

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151215

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160202

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160303

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5898051

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150