JP2014104401A - 純水製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電気脱イオンスタックにおけるスケールの発生を防止することができる純水製造装置を提供すること。
【解決手段】逆浸透膜モジュール11、12と、電気脱イオンスタック20と、逆浸透膜モジュール11、12で分離された透過水W4を電気脱イオンスタック20に流通させる透過水ラインL3と、電気脱イオンスタック20で得られた脱塩水W6を需要箇所に向けて送出する脱塩水ラインL8と、電気脱イオンスタックの脱塩室21及び濃縮室22の流通水W61、W71、W81の流量を測定する流量測定手段54、56、57と、脱塩室21及び濃縮室22の流通水W61、W71、W81それぞれの流量について、いずれかの流量の定格流量に対する流量低下率が所定の低下率閾値を下回る状態であり、且つその状態が所定時間継続した場合には、電気脱イオンスタック20への通電を停止するように制御する制御部30と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、供給水から透過水を分離する逆浸透膜モジュールと、透過水を脱塩処理して脱塩水を得る電気脱イオンスタックと、を備える純水製造装置に関する。
半導体の製造工程や電子部品の洗浄、医療器具の洗浄等においては、不純物を含まない高純度の純水が使用される。この種の純水を製造する場合には、純水製造装置が用いられることがある。純水製造装置として、供給水から透過水を分離する逆浸透膜モジュール(以下、「RO膜モジュール」ともいう)と、逆浸透膜モジュールで分離された透過水を脱塩処理して脱塩水を得る電気脱イオンスタック(以下、「EDIスタック」ともいう)と、を備える純水製造装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような純水製造装置においては、一般に、地下水や水道水等の原水を、逆浸透膜を用いたRO膜モジュールで処理することにより、原水から溶存塩類の大部分が除去された透過水を分離する。その後、透過水をEDIスタックで精製することにより、更に純度を高めている。
特開2001−259376号公報
特許文献1に記載の純水製造装置においては、RO膜モジュールの膜面に懸濁物質などが堆積し、透過水の流量が低下することがある。透過水の流量が低下すると、EDIスタックの濃縮室等を流通する水の流量も低下するため、イオン交換膜の表面等でスケール発生のリスクが高まる。そのため、電気脱イオンスタックにおけるスケールの発生を防止することができる純水製造装置が望まれる。
本発明は、電気脱イオンスタックにおけるスケールの発生を防止することができる純水製造装置を提供することを目的とする。
本発明は、供給水から透過水を分離する逆浸透膜モジュールと、前記逆浸透膜モジュールで分離された透過水を脱塩処理して脱塩水を得る電気脱イオンスタックと、供給水を前記逆浸透膜モジュールに流通させる供給水ラインと、前記逆浸透膜モジュールで分離された透過水を前記電気脱イオンスタックに流通させる透過水ラインと、前記電気脱イオンスタックで得られた脱塩水を需要箇所に向けて送出する脱塩水ラインと、前記電気脱イオンスタックの脱塩室及び濃縮室の流通水の流量を測定する流量測定手段と、前記脱塩室及び前記濃縮室の流通水それぞれの流量について、いずれかの流量の定格流量に対する流量低下率が所定の低下率閾値を下回る状態であり、且つその状態が所定時間継続した場合、又は、前記脱塩室及び前記濃縮室の流通水それぞれの流量について、いずれかの流量の流量測定値が所定の流量閾値を下回る状態であり、かつその状態が所定時間継続した場合には、前記電気脱イオンスタックへの通電を停止するように制御する制御部と、を備える純水製造装置に関する。
また、前記逆浸透膜モジュールで分離された透過水を前記逆浸透膜モジュールの上流側へ返送する第1循環水ラインと、前記電気脱イオンスタックで得られた脱塩水を前記逆浸透膜モジュールの上流側へ返送する第2循環水ラインと、を更に備え、制御部は、装置の起動時において、前記逆浸透膜モジュールで分離された透過水を前記第1循環水ラインを介して前記逆浸透膜モジュールの上流側へ返送する第1工程を実行し、前記第1工程の実行後更に、前記電気脱イオンスタックで得られた脱塩水を前記第2循環水ラインを介して前記逆浸透膜モジュールの上流側へ返送する第2工程を実行し、前記第2工程において、前記脱塩室を流通する水及び前記濃縮室の流通水それぞれの流量の流量低下率、又は、前記脱塩室を流通する水及び前記濃縮室の流通水それぞれの流量の流量測定値を監視することが好ましい。
また、前記所定の低下率閾値は、前記脱塩室を流通する水及び前記濃縮室の流通水それぞれに設定され、前記濃縮室の流通水、前記脱塩室の流通水の順に、低い値から高い値であることが好ましい。
また、前記流量測定手段は、前記電気脱イオンスタックの脱塩室、濃縮室及び電極室の流通水の流量を測定し、前記制御部は、前記脱塩室、前記濃縮室及び前記電極室の流通水それぞれの流量について、いずれかの流量の定格流量に対する流量低下率が所定の低下率閾値を下回る状態であり、且つその状態が所定時間継続した場合、又は、前記脱塩室、前記濃縮室及び前記電極室の流通水それぞれの流量について、いずれかの流量の流量測定値が所定の流量閾値を下回る状態であり、且つその状態が所定時間継続した場合には、前記電気脱イオンスタックへの通電を停止するように制御することが好ましい。
また、前記逆浸透膜モジュールで分離された透過水を前記逆浸透膜モジュールの上流側へ返送する第1循環水ラインと、前記電気脱イオンスタックで得られた脱塩水を前記逆浸透膜モジュールの上流側へ返送する第2循環水ラインと、を更に備え、制御部は、装置の起動時において、前記逆浸透膜モジュールで分離された透過水を前記第1循環水ラインを介して前記逆浸透膜モジュールの上流側へ返送する第1工程を実行し、前記第1工程の実行後更に、前記電気脱イオンスタックで得られた脱塩水を前記第2循環水ラインを介して前記逆浸透膜モジュールの上流側へ返送する第2工程を実行し、前記第2工程において、前記脱塩室、前記濃縮室及び前記電極室の流通水それぞれの流量の流量低下率、又は、前記脱塩室、前記濃縮室及び前記電極室の流通水それぞれの流量の流量測定値を監視することが好ましい。
また、前記所定の低下率閾値は、前記脱塩室、前記濃縮室及び前記電極室の流通水それぞれに設定され、前記濃縮室の流通水、前記脱塩室の流通水、前記電極室の流通水の順に、低い値から高い値であることが好ましい。
本発明によれば、電気脱イオンスタックにおけるスケールの発生を防止することができる純水製造装置を提供することができる。
第1実施形態に係る純水製造装置1の全体構成図である。 第1実施形態の純水製造装置1の動作の処理手順を示すフローチャートである。 第1実施形態の純水製造装置1の動作の処理手順を示すフローチャートである。 第1実施形態の純水製造装置1の動作の処理手順を示すフローチャートである。 第2実施形態の純水製造装置1の動作の処理手順を示すフローチャートであって、第1実施形態の図3に相当するフローチャートである。 第2実施形態の純水製造装置1の動作の処理手順を示すフローチャートであって、第1実施形態の図4に相当するフローチャートである。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る純水製造装置1について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る純水製造装置1の全体構成図である。本実施形態に係る純水製造装置1は、例えば、原水(例えば、水道水)から脱塩水を製造する純水製造装置に適用される。純水製造装置で製造された脱塩水は、純水として、需要箇所等に送出される。なお、本実施形態の純水製造装置において、需要箇所等へ純水を供給することを「採水」ともいう。
図1に示すように、第1実施形態に係る純水製造装置1は、活性炭濾過器2と、プレフィルタ3と、原水タンク4と、加圧ポンプ5と、インバータ6と、逆浸透膜モジュールとしての第1RO膜モジュール11及び第2RO膜モジュール12と、電気脱イオンスタックとしてのEDIスタック20と、制御部30と、報知部31と、入力操作部32と、直流電源装置33と、を備える。
また、純水製造装置1は、原水補給弁61と、第1流路切換弁62と、第2流路切換弁63と、第3流路切換弁64と、脱塩水リターン弁65と、第1RO弁101〜第4RO弁104と、第1EDI弁201〜第6EDI弁206と、水位センサ41と、タンク内電気伝導率センサ42と、タンク内温度センサ43と、第1電気伝導率センサ51と、圧力センサ52と、第1流量センサ53と、流量測定手段としての第2流量センサ54と、第2電気伝導率センサ55と、流量測定手段としての第3流量センサ56と、流量測定手段としての第4流量センサ57と、を備える。
図1では、電気的な接続の経路を省略するが、制御部30は、原水補給弁61、第1流路切換弁62、第2流路切換弁63、水位センサ41、タンク内電気伝導率センサ42、タンク内温度センサ43、第1電気伝導率センサ51、第2電気伝導率センサ55、圧力センサ52、第1流量センサ53、第2流量センサ54、第3流量センサ56及び第4流量センサ57と電気的に接続される。また、本実施形態においては、第3流路切換弁64、脱塩水リターン弁65、第1RO弁101〜第4RO弁104、及び第1EDI弁201〜第6EDI弁206は、手動により開閉状態を切り換えたり、弁開度を調整したりすることが可能な弁である。
また、純水製造装置1は、供給水ラインとしての原水ラインL1と、透過水ラインとしての第1透過水ラインL2及び第2透過水ラインL3と、第1RO濃縮水リターンラインL5と、第1RO濃縮水排出ラインL41と、第2RO濃縮水リターンラインL6と、第1循環水ラインとしての第2RO透過水リターンラインL7と、第2RO透過水排出ラインL42と、脱塩水ラインL8と、第2循環水ラインとしての脱塩水リターンラインL9と、EDI濃縮水リターンラインL10と、EDI濃縮水排出ラインL43と、EDI電極水排出ラインL44と、を備える。なお、本明細書における「ライン」とは、流路、径路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
原水ラインL1には、原水W1(供給水)が流通する。原水ラインL1は、原水W1を、第1RO膜モジュール11へ流通させるラインである。原水ラインL1は、第1原水ラインL11と、第2原水ラインL12と、を有する。
第1原水ラインL11は、原水W1の供給源(不図示)と原水タンク4とをつなぐラインである。第1原水ラインL11の上流側の端部は、原水W1の供給源(不図示)に接続されている。また、第1原水ラインL11の下流側の端部は、原水タンク4に接続されている。
第1原水ラインL11には、上流側から順に、原水補給弁61、活性炭濾過器2、プレフィルタ3、及び原水タンク4が設けられている。原水補給弁61は、第1原水ラインL11を開閉可能な弁である。原水補給弁61は、制御部30と電気的に接続されている。原水補給弁61の開閉動作は、制御部30からの流路開閉信号により制御される。
活性炭濾過器2は、原水W1に含まれる塩素成分(主として遊離塩素)を除去する機器である。活性炭濾過器2は、圧力タンク内に活性炭からなる濾材床を有している。活性炭濾過器2は、原水W1に含まれる塩素成分を分解除去するほか、有機成分を吸着除去したり、懸濁物質を捕捉したりして原水W1を浄化する。
プレフィルタ3は、活性炭濾過器2により濾過された原水W1に含まれる微粒子を除去するフィルタである。プレフィルタ3は、ハウジング内にフィルタエレメントが収容されて構成される。フィルタエレメントとしては、例えば、濾過精度が1〜50μmの不織布フィルタエレメントや糸巻きフィルタエレメント等が用いられる。原水タンク4は、活性炭濾過器2及びプレフィルタ3を経て浄化された原水W1を供給水として貯留するタンクである。
第2原水ラインL12は、原水タンク4と第1RO膜モジュール11とをつなぐラインである。第2原水ラインL12の上流側の端部は、原水タンク4に接続されている。また、第2原水ラインL12の下流側の端部は、第1RO膜モジュール11の一次側入口ポート(原水W1の入口)に接続されている。
第2原水ラインL12には、上流側から順に、加圧ポンプ5、第1RO弁101、及び第1RO膜モジュール11が設けられている。第1RO弁101は、第2原水ラインL12における加圧ポンプ5と第1RO膜モジュール11との間に設けられている。第1RO弁101は、第2原水ラインL12を流通する原水W1の流量を調整可能な弁である。
加圧ポンプ5は、第2原水ラインL12を流通する原水W1を吸入し、第1RO膜モジュール11へ向けて圧送する装置である。加圧ポンプ5には、インバータ6から周波数が変換された駆動電力が供給される。加圧ポンプ5は、供給された駆動電力の周波数(以下、「駆動周波数」ともいう)に応じた回転速度で駆動される。
インバータ6は、加圧ポンプ5に、周波数が変換された駆動電力を供給する電気回路(又はその回路を持つ装置)である。インバータ6は、制御部30と電気的に接続されている。インバータ6には、制御部30から指令信号が入力される。インバータ6は、制御部30により入力された指令信号(電流値信号又は電圧値信号)に対応する駆動周波数の駆動電力を加圧ポンプ5に出力する。
第1RO膜モジュール11は、加圧ポンプ5により圧送された原水W1を、溶存塩類が除去された第1透過水W2と、溶存塩類が濃縮された濃縮水W3と、に分離する。第1RO膜モジュール11は、単一又は複数のスパイラル型RO膜エレメントを圧力容器(ベッセル)に収容して構成される。当該RO膜エレメントに使用されるRO膜としては、架橋芳香族ポリアミド系複合膜などが例示される。架橋芳香族ポリアミド系複合膜からなるRO膜エレメントとしては、東レ社製:型式名「TMG20−400」、ウンジン・ケミカル社製:型式名「RE8040−BLF」、日東電工社製:型式名「ESPA1」等が市販されており、これらのエレメントを好適に用いることができる。
第1RO濃縮水リターンラインL5は、第1RO膜モジュール11で分離された濃縮水W3の一部を原水タンク4へ返送するラインである。第1RO濃縮水リターンラインL5は、上流側第1RO濃縮水リターンラインL51と、下流側第1RO濃縮水リターンラインL52と、を有する。
上流側第1RO濃縮水リターンラインL51の上流側の端部は、第1RO膜モジュール11の一次側出口ポート(濃縮水W3の出口)に接続されている。上流側第1RO濃縮水リターンラインL51の下流側の端部は、分岐部J11において、下流側第1RO濃縮水リターンラインL52及び第1RO濃縮水排出ラインL41に分岐されている。
下流側第1RO濃縮水リターンラインL52の上流側の端部は、分岐部J11に接続されている。下流側第1RO濃縮水リターンラインL52の下流側の端部は、原水タンク4に接続されている。下流側第1RO濃縮水リターンラインL52には、第2RO弁102が設けられている。第2RO弁102は、下流側第1RO濃縮水リターンラインL52を流通する濃縮水W3の流量を調整可能な弁である。
第1RO濃縮水排出ラインL41は、第1RO膜モジュール11で分離された濃縮水W3の残部を、第1RO濃縮水リターンラインL5の途中から装置の外へ排出するように流通させるラインである。第1RO濃縮水排出ラインL41の上流側の端部は、分岐部J11に接続されている。第1RO濃縮水排出ラインL41の下流側は、例えば、排水ピット(不図示)に接続又は開口している。第1RO濃縮水排出ラインL41には、第3RO弁103が設けられている。第3RO弁103は、第1RO濃縮水排出ラインL41を介して装置の外へ排出される濃縮水W3の排水流量を調整可能な弁である。
第1透過水ラインL2は、第1RO膜モジュール11で分離された第1透過水W2を第2RO膜モジュール12に流通させるラインである。第1透過水ラインL2の上流側の端部は、第1RO膜モジュール11の二次側ポート(第1透過水W2の出口)に接続されている。第1透過水ラインL2の下流側の端部は、第2RO膜モジュール12の一次側入口ポート(第1透過水W2の入口)に接続されている。
第2RO膜モジュール12は、第1RO膜モジュール11で分離されて加圧ポンプ5により圧送された第1透過水W2を、第1透過水W2よりも溶存塩類が除去された第2透過水W4と、溶存塩類が濃縮された濃縮水W5と、に分離する。第2RO膜モジュール12は、単一又は複数のスパイラル型RO膜エレメントを圧力容器(ベッセル)に収容して構成される。第1RO膜モジュール11においても、第2RO膜モジュール12と同様のRO膜エレメントを使用することができる。
第2RO濃縮水リターンラインL6は、第2RO膜モジュール12で分離された濃縮水W5を原水タンク4へ返送するラインである。第2RO濃縮水リターンラインL6の上流側の端部は、第2RO膜モジュール12の一次側出口ポート(濃縮水の出口)に接続されている。第2RO濃縮水リターンラインL6の下流側の端部は、原水タンク4に接続されている。第2RO濃縮水リターンラインL6には、第4RO弁104が設けられている。第4RO弁104は、第2RO濃縮水リターンラインL6を流通する濃縮水W3の流量を調整可能な弁である。
第2透過水ラインL3は、第2RO膜モジュール12で分離された第2透過水W4をEDIスタック20に流通させるラインである。第2透過水ラインL3は、前段側透過水ラインL31と、中段側透過水ラインL32と、脱塩室流入ラインL321と、濃縮室流入ラインL322と、電極室流入ラインL323と、を有する。
前段側透過水ラインL31の上流側の端部は、第2RO膜モジュール12の二次側ポート(第2透過水W4の出口)に接続されている。前段側透過水ラインL31の下流側の端部は、第1流路切換弁62を介して、中段側透過水ラインL32及び第2RO透過水リターンラインL7に接続されている。
第1流路切換弁62は、第2RO膜モジュール12で分離された第2透過水W4を、中段側透過水ラインL32を介してEDIスタック20へ向けて流通させる流路(採水側流路)、又は、第2RO透過水リターンラインL7を介して第3流路切換弁64へ向けて流通させる流路(循環側流路及び排水側流路)に切り換え可能な弁である。第1流路切換弁62は、例えば、電動式や電磁式の三方弁により構成される。第1流路切換弁62は、制御部30と電気的に接続されている。第1流路切換弁62における流路の切り換えは、制御部30からの流路切換信号により制御される。
第2RO透過水リターンラインL7は、第2RO膜モジュール12で分離された第2透過水W4を、第1RO膜モジュール11の上流側の原水タンク4へ返送するラインである。第2RO透過水リターンラインL7は、上流側第2RO透過水リターンラインL71と、下流側第2RO透過水リターンラインL72と、を有する。
上流側第2RO透過水リターンラインL71の上流側の端部は、第1流路切換弁62に接続されている。上流側第2RO透過水リターンラインL71の下流側の端部は、第3流路切換弁64に接続されている。
第3流路切換弁64は、上流側第2RO透過水リターンラインL71を流通される第2透過水W4を、下流側第2RO透過水リターンラインL72を介して原水タンク4へ向けて流通させる流路(循環側流路)、又は、第2RO透過水排出ラインL42を介して装置の外へ向けて排出させるように流通させる流路(排水側流路)に切り換え可能な弁である。第3流路切換弁64は、手動により開閉状態を切り換え可能な弁である。
下流側第2RO透過水リターンラインL72の上流側の端部は、第3流路切換弁64に接続されている。下流側第2RO透過水リターンラインL72の下流側の端部は、原水タンク4に接続されている。
第2RO透過水排出ラインL42は、第2RO膜モジュール12で分離された第2透過水W4を、第2RO透過水リターンラインL7に合流させて装置の外へ排出するように流通させるラインである。第2RO透過水排出ラインL42の上流側の端部は、第3流路切換弁64に接続されている。第3流路切換弁64の下流側は、例えば、排水ピット(不図示)に接続又は開口している。
第2RO透過水排出ラインL42は、接続部J12において、第1RO濃縮水排出ラインL41に合流されている。接続部J12は、第1RO濃縮水排出ラインL41における第3RO弁103よりも下流側に配置されている。第2RO透過水排出ラインL42における接続部J12よりも下流側の部分は、第1RO濃縮水排出ラインL41における接続部J12よりも下流側の部分と共通する。
中段側透過水ラインL32の上流側の端部は、第1流路切換弁62に接続されている。中段側透過水ラインL32の下流側の端部は、分岐部J4において、脱塩室流入ラインL321、濃縮室流入ラインL322及び電極室流入ラインL323に分岐されている。
脱塩室流入ラインL321、濃縮室流入ラインL322及び電極室流入ラインL323の下流側の端部は、EDIスタック20の一次側ポート(脱塩室21、濃縮室22及び電極室23の各入口側)に接続されている。
EDIスタック20は、第2RO膜モジュール12で第1透過水W2から分離された第2透過水W4を脱塩処理して、脱塩水W6と濃縮水W7と電極水W8とを得る水処理機器である。EDIスタック20は、直流電源装置33と電気的に接続されている。EDIスタック20には、直流電源装置33から直流電圧が入力される。EDIスタック20は、直流電源装置33から入力された直流電圧により、通電され、動作される。
直流電源装置33は、直流電圧をEDIスタック20の一対の電極間に印加する。直流電源装置33は、制御部30と電気的に接続されている。直流電源装置33は、制御部30により入力された指令信号に応答して、直流電圧をEDIスタック20に出力する。
EDIスタック20は、一対の電極間に、陽イオン交換膜及び陰イオン交換膜(不図示)が交互に配置される。EDIスタック20の内部は、これらイオン交換膜により、脱塩室21、濃縮室22及び電極室23に区画される。脱塩室21には、イオン交換体(不図示)が充填される。脱塩室21に充填されるイオン交換体としては、例えば、イオン交換樹脂やイオン交換繊維等が用いられる。なお、図1では、EDIスタック20の内部に区画された複数の脱塩室21、濃縮室22、及び電極室23を模式的に示す。
脱塩室21の入口側には、第2透過水W4を流入させる脱塩室流入ラインL321が接続されている。脱塩室21の出口側には、脱塩室21においてイオンが除去されて排出された脱塩水W6を流通させる脱塩水ラインL8が接続されている。濃縮室22の入口側には、第2透過水W4を流入させる濃縮室流入ラインL322が接続されている。濃縮室22の出口側には、イオンが濃縮されて排出された濃縮水W7を流通させるEDI濃縮水リターンラインL10が接続されている。電極室23の入口側には、第2透過水W4を流入させる電極室流入ラインL323が接続されている。電極室23の出口側には、電極水W8を流通させる電極水排出ラインL44が接続されている。
脱塩室流入ラインL321には、第1EDI弁201が設けられている。濃縮室流入ラインL322には、第2EDI弁202が設けられている。電極室流入ラインL323には、第3EDI弁202が設けられている。第1EDI弁201は、脱塩室流入ラインL321を流通する第2透過水W4の流量(即ち、脱塩室21を流通する脱塩水W6の流量)を調整可能な弁である。第2EDI弁202は、濃縮室流入ラインL322を流通する第2透過水W4の流量(即ち、濃縮室22を流通する濃縮水W7の流量)を調整可能な弁である。第3EDI弁203は、電極室流入ラインL323を流通する第2透過水W4の流量(即ち、電極室23を流通する電極水W8の流量)を調整可能な弁である。
脱塩室21、濃縮室22及び電極室23それぞれには、第2透過水ラインL3を流通する第2透過水W4が流入される。第2透過水W4に含まれる残留イオンは、脱塩室21内に充填されたイオン交換体(不図示)により捕捉され、脱塩水W6となる。脱塩水W6は、脱塩水ラインL8(後述)を介して需要箇所へ送出される。また、脱塩室21内のイオン交換体に捕捉された残留イオンは、付与された電気エネルギーにより濃縮室22に移動する。そして、残留イオンを含む水は、濃縮室22からEDI濃縮水リターンラインL10及びEDI濃縮水排出ラインL43(後述)を介して濃縮水W7として排出される。また、電極室23に流入された第2透過水W4は、電極室23からEDI電極水排出ラインL44を介して電極水W8として装置の外へ排出される。
脱塩水ラインL8は、EDIスタック20で得られた脱塩水W6を純水として需要箇所に向けて送出するラインである。脱塩水ラインL8は、上流側脱塩水ラインL81と、下流側脱塩水ラインL82と、を有する。
上流側脱塩水ラインL81の上流側の端部は、EDIスタック20の二次側ポート(脱塩室21の出口側)に接続されている。上流側脱塩水ラインL81の下流側の端部は、第2流路切換弁63を介して、下流側脱塩水ラインL82及び脱塩水リターンラインL9(後述)に接続されている。
第2流路切換弁63は、EDIスタック20の脱塩室21で得られた脱塩水W6を、下流側脱塩水ラインL82を介して需要箇所に向けて送出させる流路(採水側流路)、又は、脱塩水リターンラインL9を介して原水タンク4に向けて流通させる流路(循環側流路)に切り換え可能な弁である。第2流路切換弁63は、例えば、電動式や電磁式の三方弁により構成される。第2流路切換弁63は、制御部30と電気的に接続されている。第2流路切換弁63における流路の切り換えは、制御部30からの流路切換信号により制御される。
第2流路切換弁63は、制御部30により採水側流路に切り換えられることにより、EDIスタック20で得られた脱塩水W6を脱塩水ラインL8から需要箇所に供給するように送り出す処理を実行可能な送出手段として機能する。
下流側脱塩水ラインL82の上流側の端部は、第2流路切換弁63に接続されている。下流側脱塩水ラインL82の下流側の端部は、需要箇所の装置等(不図示)に接続されている。
脱塩水リターンラインL9は、EDIスタック20の脱塩室21で得られた脱塩水W6を、脱塩水ラインL8の途中から、第1RO膜モジュール11の上流側の原水タンク4へ返送するラインである。本実施形態においては、脱塩水リターンラインL9の上流側の端部は、第2流路切換弁63に接続されている。脱塩水リターンラインL9の下流側の端部は、原水タンク4に接続されている。脱塩水リターンラインL9は、EDIスタック20の脱塩室21で得られた脱塩水W6を原水タンク4へ返送する。脱塩水リターンラインL9には、脱塩水リターン弁65が設けられている。
EDI濃縮水リターンラインL10は、EDIスタック20の濃縮室22から排出された濃縮水W7を、脱塩水リターンラインL9に合流させて原水タンク4に返送するラインである。EDI濃縮水リターンラインL10の上流側の端部は、EDIスタック20の二次側ポート(濃縮室22の出口側)に接続されている。EDI濃縮水リターンラインL10の下流側の端部は、原水タンク4に接続されている。
EDI濃縮水リターンラインL10は、接続部J13において、脱塩水リターンラインL9に合流されている。接続部J13は、脱塩水リターンラインL9における原水タンク4と脱塩水リターン弁65との間に配置されている。EDI濃縮水リターンラインL10における接続部J13よりも下流側の部分は、脱塩水リターンラインL9における接続部J13から原水タンク4までの部分と共通する。EDI濃縮水リターンラインL10における接続部J13よりも上流側には、第5EDI弁205が設けられている。
EDI濃縮水排出ラインL43は、EDIスタック20の濃縮室22から排出された濃縮水W7を、EDI濃縮水リターンラインL10の途中から装置の外に排出するように流通させるラインである。EDI濃縮水排出ラインL43の上流側の端部は、接続部J9に接続されている。接続部J9は、EDI濃縮水リターンラインL10における濃縮室22と第5EDI弁205と間に配置されている。EDI濃縮水排出ラインL43の下流側は、例えば、排水ピット(不図示)に接続又は開口している。EDI濃縮水排出ラインL43には、第6EDI弁206が設けられている。
電極水排出ラインL44は、EDIスタック20の電極室23から排出された電極水W8を装置の外に排出するように流通させるラインである。電極水排出ラインL44の上流側の端部は、EDIスタック20の電極室23に接続されている。電極水排出ラインL44は、接続部J10において、EDI濃縮水排出ラインL43に合流されている。接続部J10は、EDI濃縮水排出ラインL43における第6EDI弁206よりも下流側に配置されている。電極水排出ラインL44における接続部J10よりも下流側の部分は、EDI濃縮水排出ラインL43における接続部J10よりも下流側の部分と共通する。
水位センサ41は、原水タンク4に貯留される原水W1の水位を測定する機器である。水位センサ41は、原水タンク4の内部の下方側に配置されている。また、水位センサ41は、制御部30と電気的に接続されている。水位センサ41で測定された原水タンク4の水位は、制御部30へ検出信号として送信される。本実施形態においては、水位センサ41は、連続式レベルセンサであり、例えば、静電容量式センサ、圧力式センサ、超音波式センサ等が用いられる。図1では、水位センサ41として、原水タンク4の底部に近い外壁面に圧力式センサを設けた例を示す。なお、水位センサ41は、連続式レベルセンサには制限されず、例えば、レベルスイッチであってもよい。レベルスイッチは、予め設定された液面位置の検出器であり、例えば、複数の液面位置を検出するように構成されている。レベルスイッチとしては、例えば、フロート式や電極式のものが用いられる。
タンク内電気伝導率センサ42は、原水タンク4に貯留される原水W1の電気伝導率を測定する機器である。タンク内電気伝導率センサ42は、原水タンク4の内部の下方側に配置されている。
第1電気伝導率センサ51は、第2透過水ラインL3を流通する第2透過水W4の電気伝導率を測定する機器である。第1電気伝導率センサ51は、接続部J1において、第2透過水ラインL3に接続されている。接続部J1は、第2透過水ラインL3における第2RO膜モジュール12と第1流路切換弁62との間に配置されている。第2電気伝導率センサ55は、脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の電気伝導率を測定する機器である。第2電気伝導率センサ55は、接続部J6において、脱塩水ラインL8に接続されている。接続部J6は、脱塩水ラインL8におけるEDIスタック20と第4EDI弁204との間に配置されている。
タンク内電気伝導率センサ42、第1電気伝導率センサ51及び第2電気伝導率センサ55は、制御部30と電気的に接続されている。タンク内電気伝導率センサ42で測定された原水W1の電気伝導率、第1電気伝導率センサ51で測定された第2透過水W4の電気伝導率及び第2電気伝導率センサ55で測定された脱塩水W6の電気伝導率は、制御部30へ検出信号として送信される。
タンク内温度センサ43は、原水タンク4に貯留された原水W1の温度を測定する機器である。タンク内温度センサ43は、原水タンク4の下方側に配置されている。タンク内温度センサ43は、制御部30と電気的に接続されている。タンク内温度センサ43で測定された原水W1の温度は、制御部30へ検出信号として送信される。
第1流量センサ53は、第2透過水ラインL3を流通する第2透過水W4の流量を測定する機器である。第1流量センサ53は、接続部J3において、第2透過水ラインL3に接続されている。接続部J3は、第2透過水ラインL3における第2RO膜モジュール12と第1流路切換弁62との間に配置されている。
第2流量センサ54は、脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の流量を測定する機器である。第2流量センサ54は、脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の流量を測定することにより、脱塩室21を流通する第1流通水W61の流量を測定する。脱塩室21を流通する第1流通水W61の流量は、流入側における脱塩室流入ラインL321を流通する第2透過水W4の流量と等しく、流出側における脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の流量と等しい。第2流量センサ54は、接続部J5において、脱塩水ラインL8に接続されている。接続部J5は、脱塩水ラインL8におけるEDIスタック20と第4EDI弁204との間に配置されている。
第3流量センサ56は、濃縮室流入ラインL322を流通する第2透過水W4の流量を測定する機器である。第3流量センサ56は、濃縮室流入ラインL322を流通する第2透過水W4の流量を測定することにより、濃縮室22を流通する第2流通水W71の流量を測定する。濃縮室22を流通する第2流通水W71の流量は、流入側における濃縮室流入ラインL322を流通する第2透過水W4の流量と等しく、流出側におけるEDI濃縮水リターンラインL10を流通する脱塩水W6の流量と等しい。第3流量センサ56は、接続部J7において、濃縮室流入ラインL322に接続されている。接続部J7は、濃縮室流入ラインL322におけるEDIスタック20と第2EDI弁202との間に配置されている。
第4流量センサ57は、電極室流入ラインL323を流通する第2透過水W4の流量を測定する機器である。第4流量センサ57は、電極室流入ラインL323を流通する第2透過水W4の流量を測定することにより、電極室23を流通する第3流通水W81の流量を測定する。電極室23を流通する第3流通水W81の流量は、流入側における電極室流入ラインL323を流通する第2透過水W4の流量と等しく、流出側におけるEDI電極水排出ラインL44を流通する脱塩水W6の流量と等しい。第4流量センサ57は、接続部J8において、電極室流入ラインL323に接続されている。接続部J8は、電極室流入ラインL323におけるEDIスタック20の電極室23と第3EDI弁203との間に配置されている。
第1流量センサ53、第2流量センサ54、第3流量センサ56及び第4流量センサ57は、制御部30と電気的に接続されている。第1流量センサ53で測定された第2透過水W4の流量、第2流量センサ54で測定された脱塩水W6の流量、第3流量センサ56で測定された第2透過水W4の流量、及び、第4流量センサ57で測定された第2透過水W4の流量は、制御部30へ検出信号として送信される。
圧力センサ52は、第2透過水ラインL3を流通する第2透過水W4の圧力を測定する機器である。圧力センサ52は、接続部J2において、第2透過水ラインL3に接続されている。圧力センサ52は、制御部30と電気的に接続されている。接続部J2は、第2RO膜モジュール12と第1流路切換弁62との間に配置されている。圧力センサ52で測定された第2透過水W4の圧力は、制御部30へ検出信号として送信される。
報知部31は、所定の警報を報知する。報知部31は、制御部30と電気的に接続されている。報知は、例えば、表示、音声、発光などのうちの一つ以上である。つまり、報知部31は、表示器(液晶ディスプレイ等)、ブザーやスピーカー、ランプなどのうちの一つ以上から構成される。
入力操作部32は、装置の運転モードに係る選択(例えば、運転/停止の選択、警報の解除など)や、装置の運転条件に係る各種設定について、ユーザーや管理者の入力操作を受け付ける入力インターフェースである。この入力操作部32は、ディスプレイとボタンスイッチを組み合わせた操作パネルや、ディスプレイ上で直接操作するタッチパネル等により構成される。入力操作部32は、制御部30と電気的に接続されている。入力操作部32から入力された情報は、制御部30に送信される。
次に、制御部30について説明する。制御部30は、CPU及びメモリを含むマイクロプロセッサ(不図示)により構成される。制御部30において、マイクロプロセッサのメモリには、純水製造装置1を制御するための各種プログラムが記憶される。また、マイクロプロセッサのメモリには、例えば、第2透過水W4及び脱塩水W6の電気伝導率の閾値や、EDIスタック20から排出される脱塩水W6、濃縮水W7及び電極水W8の流量の閾値に関するデータ等が記憶される。
制御部30において、マイクロプロセッサのCPUは、メモリから読み出した所定のプログラムに従って後述する各種の制御を実行する。また、制御部30において、マイクロプロセッサには、時間の計時等を管理するインテグレーテッドタイマユニットが組み込まれている。
制御部30は、第1工程及び第2工程を実行するように制御する。制御部30により実行される第1工程とは、第1RO膜モジュール11及び第2RO膜モジュール12で分離された第2透過水W4を、第2RO透過水リターンラインL7(第1循環水ライン)を介して第1RO膜モジュール11の上流側へ返送する工程である。具体的には、第1工程においては、第3流路切換弁64が循環側流路に設定された状態下で、第1流路切換弁62を循環側流路に切り換えて、加圧ポンプ5を駆動することにより、第1RO膜モジュール11及び第2RO膜モジュール12で分離された第2透過水W4を原水タンク4へ返送する。
制御部30により実行される第2工程とは、EDIスタック20で得られた脱塩水W6を、脱塩水リターンラインL9(第2循環水ライン)を介して第1RO膜モジュール11の上流側へ返送する工程である。具体的には、第2工程においては、第1流路切換弁62を採水側流路に切り換えると共に、第2流路切換弁63を循環側流路に切り換えて、加圧ポンプ5を駆動することにより、EDIスタック20で得られた脱塩水W6を原水タンク4へ返送する。
制御部30は、装置の起動時において、第1工程を実行し、第1工程の実行後更に、第2工程を実行した後に、需要箇所への脱塩水W6の供給(採水)を開始するように第2流路切換弁63を制御する。
また、制御部30は、第1工程の実行を開始してから第1時間経過後に、第2工程に移行するように制御する。制御部30は、第1時間経過した時点において、第2透過水ラインL3を流通する第2透過水W4の電気伝導率が所定の第1伝導率閾値を上回る場合には報知部31による報知を実行するように制御する。所定の第1伝導率閾値としては、例えば、劣化や閉塞のないRO膜モジュールを用いて標準的な水質の原水を所定の運転条件(運転圧力,回収率,水温等)で逆浸透膜処理したときに得られる透過水の電気伝導率値が設定される。
制御部30は、第2工程において、脱塩室21を流通する第1流通水W61、濃縮室22を流通する第2流通水W71及び電極室23を流通する第3流通水W81それぞれの流量の定格流量に対する流量低下率を監視するように制御する。流量低下率[%]は、下記の式(1)により計算される。
流量低下率=(定格流量−流量測定値)/定格流量×100 (1)
式(1)において、流量測定値は、第2流量センサ54、第3流量センサ56又は第4流量センサ57で測定される値である。なお、第1流通水W61、第2流通水W71及び第3流通水W81の各定格流量は、通常、EDIスタック20のセルペア数等に応じて異なる流量値に設定される。
また、制御部30は、第2工程の開始時点において、脱塩室21を流通する第1流通水W61、濃縮室22を流通する第2流通水W71及び電極室23を流通する第3流通水W81それぞれの流量について、全ての流量の定格流量に対する流量低下率が所定の低下率閾値を上回る状態であり、且つその状態が第2時間継続した場合には、EDIスタック20の動作(即ち、通電)を開始するように制御する。
制御部30は、第2工程の開始時点において、脱塩室21を流通する第1流通水W61、濃縮室22を流通する第2流通水W71及び電極室23を流通する第3流通水W81それぞれの流量について、いずれかの流量の定格流量に対する流量低下率が所定の低下率閾値を下回る状態であり、且つその状態が第3時間(所定時間)継続した場合には、EDIスタック20への通電を停止するように制御する。なお、EDIスタック20への通電が行われていない場合において、EDIスタック20への通電を停止すると、EDIスタック20への通電の停止は継続される。
所定の低下率閾値としては、例えば、脱塩室21、濃縮室22及び電極室23が正常に機能して、イオン交換膜や電極の表面等においてスケールが発生しない下限の流量値に基づいて設定される。所定の低下率閾値は、イオン交換体やスペーサーの形状など、各室の水力学的特性に応じて、例えば、定格流量に対して20〜60%の流量低下率とされる。
第1流通水W61、第2流通水W71及び第3流通水W81の流量の流量低下率を、EDIスタック20への通電を停止させるための条件とした理由は、各流通水の瞬間流量が定格流量に対して一定割合を超えて低下した場合には、各室の内部で局所的な過濃縮が起こり易くなり、イオン交換膜や電極の表面において、スケール発生やファウリング等のリスクが高まるためである。
出願人による知見によれば、流通水の瞬間流量が低下した状態が継続した場合のスケールの発生のリスクは、濃縮室22>脱塩室21>電極室23の順に高い。そのため、所定の低下率閾値は、第1流通水W61、第2流通水W71及び第3流通水W81それぞれに設定され、スケールの発生のリスクが高い室の順に、第2流通水W71、第1流通水W61、第3流通水W81の順に、低い値から高い値を設定することが好ましい。これにより、スケールの発生のリスクが高い室の流通水ほど、所定の低下率閾値が低い値に設定されるため、定格流量に対する流量低下率が所定の低下率閾値を下回るか否かを早い段階において判定することができる。
例えば、所定の低下率閾値としては、スケールの発生のリスクが高い順に、濃縮室22を流通する第2流通水W71については定格流量に対して30%の流量低下率、脱塩室21を流通する第1流通水W61については定格流量に対して40%の流量低下率、電極室23を流通する第3流通水W81については定格流量に対して50%の流量低下率に設定されている。
また、制御部30は、EDIスタック20の動作を開始してから第4時間経過した時点において、脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の電気伝導率が所定の第2伝導率閾値を下回る場合には、第2流路切換弁63による需要箇所への脱塩水W6の供給を開始するように第2流路切換弁63を制御する。制御部30は、脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の電気伝導率が所定の第3伝導率閾値を上回る場合には、報知部31による報知を実行するように制御する。
所定の第2伝導率閾値としては、例えば、需要箇所で継続して要求される純水の電気伝導率値が設定される。所定の第3伝導率閾値としては、例えば、需要箇所で一時的に許容される純水の上限の伝導率値が設定される。
なお、所定の第2伝導率閾値及び所定の第3伝導率閾値は、異なる値であってもよいし、同じ値であってもよい。本実施形態においては、所定の第2伝導率閾値及び所定の第3伝導率閾値が同じ値である場合について説明し、以降の説明においては、所定の第2伝導率閾値及び所定の第3伝導率閾値を、所定の第2伝導率閾値として説明する。
ここで、制御部30は、報知部31による報知に関して、第2工程からなる循環工程の強制的な実行、需要箇所への脱塩水W6の供給の強制的な開始又は需要箇所への脱塩水W6の供給の強制的な停止についてユーザーに選択させるように、報知部31による報知を実行する。これにより、ユーザーは、採水(需要箇所への脱塩水の供給の強制的な開始)、循環(第2工程からなる循環工程の強制的な実行)、待機(需要箇所への脱塩水の供給の強制的な停止)について、入力操作部32を操作することにより、選択して実行させることができる。
また、制御部30は、待機状態中に需要箇所から純水の送水要求がある場合には、第1工程を実行する。制御部30は、採水中に需要箇所から純水の送水要求がある場合には、純水製造装置1が採水を継続するように制御し、採水中に需要箇所から純水の送水要求がない場合には、純水製造装置1が待機状態に移行するように制御する。更に、制御部30は、採水中に純水製造装置1の運転スイッチがOFF(停止)である場合には、純水製造装置1の運転を停止させる。
また、制御部30は、報知部31又は入力操作部32に表示された採水、循環又は待機を選択する選択画面において、採水が選択された場合には採水動作に移行するように制御し、循環が選択された場合には循環動作に移行するように制御し、又は、待機が選択された場合には待機状態に移行するように制御する。
次に、本実施形態に係る純水製造装置1の動作について説明する。図2から図4は、純水製造装置1の動作の処理手順を示すフローチャートである。純水製造装置1は、運転スイッチがON(運転)にされることで、動作が開始される。図2から図4に示すフローチャートの処理は、純水製造装置1の運転中において、繰り返し実行される。
図2に示すステップST110において、純水製造装置1は、電源が投入されて、運転スイッチがONにされることで、待機状態となる。
ステップST120において、制御部30は、待機状態中に需要箇所から純水の送水要求があるか否かを判定する。待機状態中に需要箇所から純水の送水要求があると判定された場合(YES)には、処理は、ステップST130へ移行する。待機状態中に需要箇所から純水の送水要求がないと判定された場合(NO)には、処理は、ステップST120を繰り返す。
待機状態中に需要箇所からの送水要求を受けると、ステップST130において、制御部30は、装置を起動させて第1工程の実行を開始する。具体的には、第3流路切換弁64が循環側流路に設定された状態下で、制御部30は、第2透過水W4を原水タンク4に返送するように第1流路切換弁62を循環側流路に切り換える。この状態で、制御部30は、加圧ポンプ5を駆動する。これにより、第2RO膜モジュール12で分離された第2透過水W4を、第2RO透過水リターンラインL7を介して、原水タンク4に返送する。
ステップST140において、制御部30は、第1工程の実行を開始してから第1時間(例えば、60秒)経過したか否かを判定する。第1工程の実行を開始してから第1時間経過したと判定された場合(YES)には、処理は、ステップST150に進む。第1工程の実行を開始してから第1時間経過していないと判定された場合(NO)には、処理は、ステップST140に戻り、第1工程を継続する。
ステップST150において、制御部30は、第1工程の実行を開始してから第1時間経過した時点において、第2透過水W4の電気伝導率値(EC値)が所定の第1伝導率閾値(例えば、15μS/cm)を下回るかを判定する。第2透過水W4の電気伝導率値が第1伝導率閾値を上回ると判定された場合(NO)には、処理は、ステップST151に進み、警報を報知した後に、ステップST160に進む。第2透過水W4の電気伝導率値が第1伝導率閾値を下回ると判定された場合(YES)には、処理は、そのままステップST160に進む。
ステップST160において、制御部30は、第2工程の実行を開始する。具体的には、制御部30は、第1流路切換弁62を採水側流路に切り換えると共に、脱塩水W6を原水タンク4に返送するように第2流路切換弁63を循環側流路に切り換える。この状態で、制御部30は、加圧ポンプ5を駆動する。これにより、EDIスタック20で得られた脱塩水W6を、脱塩水リターンラインL9を介して、原水タンク4に返送する。
以上のように、装置の起動時において、第1工程及び第2工程を実行することにより、水質の悪い第2透過水W4を第1RO膜モジュール11の上流側に返送することができると共に、水質の悪い脱塩水W6を第1RO膜モジュール11の上流側に返送することができる。ステップST160の後に、処理は、ステップST210に進む。
図3に示すステップST210において、制御部30は、第2工程の開始時点において、脱塩室21、濃縮室22及び電極室23を流通する第1流通水W61、第2流通水W71及び第3流通水W81それぞれの流量について、いずれかの流量の定格流量に対する流量低下率が所定の低下率閾値を下回るか否かを判定する。所定の低下率閾値としては、スケールの発生のリスクが高い室の流通水ほど、低い値が設定される。本実施形態においては、所定の低下率閾値として、例えば、濃縮室22を流通する第2流通水W71については30%、脱塩室21を流通する第1流通水W61については40%、電極室23を流通する第3流通水W81については50%が設定されている。脱塩室21、濃縮室22及び電極室23を流通する第1流通水W61、第2流通水W71及び第3流通水W81それぞれの流量について、いずれかの流量の定格流量に対する流量低下率が所定の低下率閾値を下回る場合(YES)には、処理は、ステップST211に移行する。脱塩室21、濃縮室22及び電極室23を流通する第1流通水W61、第2流通水W71及び第3流通水W81それぞれの流量について、全ての流量の定格流量に対する流量低下率が所定の低下率閾値を下回らない場合(NO)には、処理は、ステップST220に移行する。
ステップST220において、制御部30は、脱塩室21、濃縮室22及び電極室23を流通する第1流通水W61、第2流通水W71及び第3流通水W81それぞれの流量について、全ての流量の定格流量に対する流量低下率が所定の低下率閾値を上回る状態が第2時間継続しているか否かを判定する。流量低下率が所定の低下率閾値を上回る状態が第2時間継続している場合(YES)には、処理は、ステップST230に進む。流量低下率が所定の低下率閾値を上回る時間が第2時間継続していない場合(NO)には、処理は、ステップST210へ戻る。
ステップST230において、制御部30は、直流電源装置33に対し、EDIスタック20へ直流電圧を出力させる指令信号を送信する。これにより、EDIスタック20へ通電がなされ、EDIスタック20の動作が開始される。
ステップST210において、脱塩室21、濃縮室22及び電極室23を流通する第1流通水W61、第2流通水W71及び第3流通水W81それぞれの流量について、いずれかの流量の定格流量に対する流量低下率が所定の低下率閾値を下回る場合(YES)には、ステップST211において、制御部30は、その状態が第3時間継続しているか否かを判定する。流量低下率が所定の低下率閾値を下回る状態が第3時間継続している場合(YES)には、処理は、ステップST212に進む。流量低下率が所定の低下率閾値を下回る状態が第3時間継続していない場合(NO)には、処理は、ステップST210へ戻る。
ステップST212において、制御部30は、直流電源装置33を制御することにより、EDIスタック20への通電を停止する。なお、制御部30は、EDIスタック20への通電が行われていない場合には、EDIスタック20への通電の停止を継続する。その後、処理は、ステップST110に移行して、純水製造装置1は、待機状態となる。
ステップST240において、制御部30は、EDIスタック20の動作を開始してから第4時間(例えば、60秒)経過したか否かを判定する。EDIスタック20の動作を開始してから第4時間経過したと判定された場合(YES)には、処理は、ステップST250へ移行する。EDIスタック20の動作を開始してから第4時間経過していない判定された場合(NO)には、処理は、ステップST240を繰り返す。
ステップST250において、制御部30は、EDIスタック20の動作を開始してから第4時間経過した時点において、脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の電気伝導率(EC値)が所定の第2伝導率閾値(例えば、1μS/cm)を下回るか否かを判定する。脱塩水ラインL8を流通する脱塩水の電気伝導率が所定の第2伝導率閾値を下回る場合(YES)には、処理は、ステップST260に進む。脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の電気伝導率が所定の第2伝導率閾値を上回る場合(NO)には、処理は、ステップST251に進む。
ステップST260において、制御部30は、純水の採水を開始して、需要箇所等へ脱塩水W6を供給する。具体的には、制御部30は、脱塩水W6を需要箇所へ供給するように第2流路切換弁63を採水側流路に切り換える。これにより、EDIスタック20で得られた脱塩水W6を、脱塩水ラインL8を介して、需要箇所へ供給するように送り出す。これにより、需要箇所へ向けて純水の採水が実行される。
ステップST261において、制御部30は、採水中において、ステップST210の動作と同様に、脱塩室21、濃縮室22及び電極室23を流通する第1流通水W61、第2流通水W71及び第3流通水W81それぞれの流量について、いずれかの流量の定格流量に対する流量低下率が所定の低下率閾値を下回るか否かを判定する。脱塩室21、濃縮室22及び電極室23を流通する第1流通水W61、第2流通水W71及び第3流通水W81それぞれの流量について、いずれかの流量の定格流量に対する流量低下率が所定の低下率閾値を下回る場合(YES)には、処理は、ステップST262に移行する。脱塩室21、濃縮室22及び電極室23を流通する第1流通水W61、第2流通水W71及び第3流通水W81それぞれの流量について、全ての流量の定格流量に対する流量低下率が所定の低下率閾値を下回らない場合(NO)には、処理は、ステップST264に移行する。
ステップST264において、制御部30は、脱塩室21、濃縮室22及び電極室23を流通する第1流通水W61、第2流通水W71及び第3流通水W81それぞれの流量について、全ての流量の定格流量に対する流量低下率が所定の低下率閾値を上回る状態が第2時間継続しているか否かを判定する。流量低下率が所定の低下率閾値を上回る状態が第2時間継続している場合(YES)には、処理は、ステップST230に進む。流量低下率が所定の低下率閾値を上回る時間が第2時間継続していない場合(NO)には、処理は、ステップST261へ戻る。
ステップST261において、脱塩室21、濃縮室22及び電極室23を流通する第1流通水W61、第2流通水W71及び第3流通水W81それぞれの流量について、いずれかの流量の定格流量に対する流量低下率が所定の低下率閾値を下回る場合(YES)には、ステップST262において、制御部30は、その状態が第3時間継続しているか否かを判定する。流量低下率が所定の低下率閾値を下回る状態が第3時間継続している場合(YES)には、処理は、ステップST212に進む。流量低下率が所定の低下率閾値を下回る状態が第3時間継続していない場合(NO)には、処理は、ステップST261へ戻る。
ステップST263において、制御部30は、直流電源装置33を制御することにより、EDIスタック20への通電を停止する。なお、制御部30は、EDIスタック20への通電が行われていない場合には、EDIスタック20への通電の停止を継続する。その後、処理は、ステップST110に移行して、純水製造装置1は、待機状態となる。
ステップST270において、制御部30は、採水中に需要箇所から純水の送水要求がないか否かを判定する。採水中に需要箇所から純水の送水要求がないと判定された場合(YES)には、処理は、ステップST110に移行して、純水製造装置1は、待機状態(即ち、採水を終了)となる。採水中に需要箇所から純水の送水要求があると判定された場合(NO)には、処理は、ステップST280へ移行する。
ステップST280において、制御部30は、純水製造装置1の運転スイッチがOFF(停止)であるか否かを判定する。純水製造装置1の運転スイッチがOFF(停止)である場合(YES)には、純水製造装置1の運転が停止されて、処理は、終了する。純水製造装置1の運転スイッチがON(運転)である場合(NO)には、処理は、ステップST270へ戻り、純水の採水を継続する。
ステップST250における脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の電気伝導率が所定の第2伝導率閾値を上回る場合(NO)には、ステップST251において、制御部30は、水質異常の警報を報知部31により報知する。その後、処理は、ステップST110へ移行して、純水製造装置1は、待機状態となる。
上述した第1実施形態に係る純水製造装置1によれば、例えば、以下のような効果が奏される。
本実施形態に係る純水製造装置1は、第1RO膜モジュール11及び第2RO膜モジュール12と、EDIスタック20と第1RO膜モジュール11及び第2RO膜モジュール12で分離された第2透過水W4をEDIスタック20に流通させる第2透過水ラインL3と、EDIスタック20で得られた脱塩水W6を需要箇所に向けて送出する脱塩水ラインL8と、脱塩室21を流通する第1流通水W61、濃縮室22を流通する第2流通水W71及び電極室23を流通する第3流通水W81の流量を測定する第2流量センサ54、第3流量センサ56及び第4流量センサ57と、脱塩室21、濃縮室22及び電極室23を流通する第1流通水W61、第2流通水W71及び第3流通水W81それぞれの流量について、いずれかの流量の定格流量に対する流量低下率が所定の低下率閾値を下回る状態であり、且つその状態が第3時間継続した場合には、EDIスタック20への通電を停止するように制御する制御部30と、を備える。
そのため、脱塩室21、濃縮室22及び電極室23を流通する第1流通水W61、第2流通水W71及び第3流通水W81それぞれの流量について、いずれかの流量の定格流量に対する流量低下率が所定の低下率閾値を下回る時間が、第3時間継続した場合に、EDIスタック20の動作を停止させることができる。これにより、EDIスタック20におけるスケールの発生を防止することができる。
また、本実施形態においては、制御部は、装置の起動時において、第2RO膜モジュール12で分離された第2透過水W4を第2RO透過水リターンライン(第1循環水ライン)L7を介して第1RO膜モジュール11の上流側へ返送する第1工程を実行し、第1工程の実行後更に、EDIスタック20で得られた脱塩水W6を脱塩水リターンライン(第2循環水ライン)L9を介して第1RO膜モジュール11の上流側へ返送する第2工程を実行し、第2工程において、脱塩室21、濃縮室22及び電極室23を流通する第1流通水W61、第2流通水W71及び第3流通水W81それぞれの流量の流量低下率を監視する。
そのため、装置の起動時において、第1工程及び第2工程を実行することにより、第2RO膜モジュール12からの第2透過水W4を第1RO膜モジュール11の上流側に返送しつつ、第2透過水W4の水質を回復させることができると共に、EDIスタック20からの脱塩水W6を第1RO膜モジュール11の上流側に返送しつつ、脱塩水W6の水質を回復させることができる。これにより、装置の起動時において、水質が回復された脱塩水W6を需要箇所へ供給することができる。そして、第2工程において、脱塩室21、濃縮室22及び電極室23を流通する第1流通水W61、第2流通水W71及び第3流通水W81それぞれの流量の流量低下率を監視することにより、EDIスタック20におけるスケールの発生を防止することができる。
また、本実施形態においては、所定の低下率閾値は、脱塩室21、濃縮室22及び電極室23を流通する第1流通水W61、第2流通水W71及び第3流通水W81それぞれに設定され、濃縮室22を流通する第2流通水W71、脱塩室21を流通する第1流通水W61、電極室23を流通する第3流通水W81の順に、低い値から高い値である。そのため、スケールの発生のリスクの高い室の流通水ほど、所定の低下率閾値が低い値に設定される。これにより、スケールの発生のリスクの高い順に、流量低下率が所定の低下閾値を下回るか否かを早い段階で判定して、EDIスタック20への通電を停止させることができる。従って、EDIスタック20におけるスケールの発生を確実に防止することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態については、主として、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同様な構成については、詳細な説明を省略する。第2実施形態において、特に説明しない点は、第1実施形態についての説明が適宜適用される。また、第2実施形態においても、第1実施形態と同様な効果が奏される。
第2実施形態においては、第1実施形態と比べて、制御部30の構成が主として異なる。具体的には、制御部30は、第2工程において、脱塩室21を流通する第1流通水W61、濃縮室22を流通する第2流通水W71及び電極室23を流通する第3流通水W81それぞれの流量の流量測定値を監視するように制御する。流量測定値は、第2流量センサ54、第3流量センサ56又は第4流量センサ57で測定される値である。
制御部30は、第2工程の開始時点において、脱塩室21を流通する第1流通水W61、濃縮室22を流通する第2流通水W71及び電極室23を流通する第3流通水W81それぞれの流量について、全ての流量の流量測定値が所定の流量閾値を上回る状態であり、且つその状態が第2時間継続した場合には、EDIスタック20の動作(即ち、通電)を開始するように制御する。
制御部30は、第2工程の開始時点において、脱塩室21を流通する第1流通水W61、濃縮室22を流通する第2流通水W71及び電極室23を流通する第3流通水W81それぞれの流量について、いずれかの流量の流量測定値が所定の流量閾値を下回る状態であり、且つその状態が第3時間(所定時間)継続した場合には、EDIスタック20への通電を停止させ又は行わないように制御する。
所定の流量閾値としては、例えば、脱塩室21、濃縮室22及び電極室23が正常に機能して、イオン交換膜や電極の表面等においてスケールが発生しない下限の流量値に基づいて設定される。所定の流量閾値は、イオン交換体やスペーサーの形状など、各室の水力学的特性に応じて、例えば、定格流量に対して40〜80%の流量値とされる。
次に、第2実施形態における純水製造装置1の動作について、図5及び図6を参照しながら説明する。図5は、第2実施形態の純水製造装置1の動作の処理手順を示すフローチャートであって、第1実施形態の図3に相当するフローチャートである。図6は、第2実施形態の純水製造装置1の動作の処理手順を示すフローチャートであって、第1実施形態の図4に相当するフローチャートである。
第1実施形態では、ステップST210(制御フロー、図3参照)及びステップST261(制御フロー、図4参照)において、第1流通水W61、第2流通水W71及び第3流通水W81それぞれの流量について、いずれかの流量の定格流量に対する流量低下率が所定の低下率閾値を下回るか否かを判定する点に対して、第2実施形態では、ステップST310(制御フロー、図5参照)及びステップST361(制御フロー、図6参照)において、第1流通水W61、第2流通水W71及び第3流通水W81それぞれの流量について、いずれかの流量の流量測定値が所定の流量閾値を下回るか否かを判定する点において主として異なる。
そのため、第2実施形態については、主として、第1実施形態とは異なる点を中心に説明する。第2実施形態の動作は、第1実施形態における図2のステップST110からステップST160までの動作と同様であるため、第1実施形態の図2に相当する図面及びその説明を省略し、第1実施形態の図3及び図4に相当する第2実施形態の図5及び図6について説明する。第2実施形態の図5及び図6の説明について、第1実施形態と同様の動作については、制御フローのうちのステップに3桁の数字のうち百の位を「2」から「3」に代えて付し、詳細な説明を省略する。第2実施形態において特に説明しない点は、第1実施形態についての説明が適宜適用又は援用される。
具体的には、第2実施形態におけるステップST310(制御フロー、図5参照)及びステップST361(制御フロー、図6参照)の動作は、第1実施形態におけるステップST210(制御フロー、図3参照)及びステップST261(制御フロー、図4参照)の動作と異なる。
ステップST310(図5参照)及びステップST361(図6参照)において、制御部30は、第2工程の開始時点において、脱塩室21、濃縮室22及び電極室23を流通する第1流通水W61、第2流通水W71及び第3流通水W81それぞれの流量について、いずれかの流量の流量測定値が所定の流量閾値を下回るか否かを判定する。脱塩室21、濃縮室22及び電極室23を流通する第1流通水W61、第2流通水W71及び第3流通水W81それぞれの流量について、いずれかの流量の流量測定値が所定の流量閾値を下回る場合(YES)には、処理は、ステップST311又はステップST362に移行する。脱塩室21、濃縮室22及び電極室23を流通する第1流通水W61、第2流通水W71及び第3流通水W81それぞれの流量について、いずれかの流量の流量測定値が所定の流量閾値を下回らない場合(NO)には、処理は、ステップST320又はステップST364に移行する。
第2実施形態におけるその他のフロー制御、第1実施形態におけるフロー制御と同様であるため、第1実施形態についての説明を援用して、第2実施形態におけるフロー制御についての説明を省略する。
第2実施形態の純水製造装置1によれば、例えば、次のような効果が奏される。第2実施形態の純粋製造装置1は、第2工程において、脱塩室21を流通する第1流通水W61、濃縮室22を流通する第2流通水W71及び電極室23を流通する第3流通水W81それぞれの流量について、いずれかの流量の流量測定値が所定の流量閾値を下回る状態となり、且つその状態が第3時間(所定時間)継続した場合には、EDIスタック20への通電を停止させ又は行わないように制御する。従って、第2工程において、脱塩室21、濃縮室22及び電極室23を流通する第1流通水W61、第2流通水W71及び第3流通水W81それぞれの流量の流量測定値を監視することにより、EDIスタック20におけるスケールの発生を防止することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。例えば、前記実施形態においては、脱塩室21、濃縮室22及び電極室23を流通する第1流通水W61、第2流通水W71及び第3流通水W81の流量を、EDIスタック20への通電を停止する際の流通水の流量の判断の値としたが、これに制限されない。例えば、脱塩室21及び濃縮室22を流通する第1流通水W61及び第2流通水W71の流量を、EDIスタック20への通電を停止する際の流通水の流量の判断の値としてもよい。
また、前記実施形態においては、脱塩水ラインL8を流通する脱塩水W6の流量を第2流量センサ54により測定することで脱塩室21を流通する第1流通水W61の流量を測定し、濃縮室流入ラインL322を流通する第2透過水W4の流量を第3流量センサ56により測定することで濃縮室22を流通する第2流通水W71の流量を測定し、電極室流入ラインL323を流通する第2透過水W4の流量を第4流量センサ57により測定することで電極室23を流通する第3流通水W81を測定するように構成しているが、これに制限されない。例えば、脱塩室流入ラインL321を流通する第2透過水W4の流量を流量センサにより測定することで脱塩室21を流通する第1流通水W61の流量を測定するように構成したり、濃縮室22からEDI濃縮水リターンラインL10に流出された濃縮水W7の流量を流量センサにより測定することで濃縮室22を流通する第2流通水W71の流量を測定するように構成したり、電極室23からEDI電極水排出ラインL44に流出された電極水W8の流量を流量センサにより測定することで電極室23を流通する第3流通水W81を測定するように構成したりしてもよい。
また、前記実施形態においては、逆浸透膜モジュールを、第1RO膜モジュール11及び第2RO膜モジュール12を直列に2段で配置した構成としたが、これに制限されない。逆浸透膜モジュールを、第1RO膜モジュール11のみの1段により構成してもよい。
1 純水製造装置
11 第1RO膜モジュール(逆浸透膜モジュール)
12 第2RO膜モジュール(逆浸透膜モジュール)
20 EDIスタック(電気脱イオンスタック)
21 脱塩室
22 濃縮室
23 電極室
30 制御部
54 第2流量センサ(流量測定手段)
56 第3流量センサ(流量測定手段)
57 第4流量センサ(流量測定手段)
L1 原水ライン(供給水ライン)
L2 第1透過水ライン(透過水ライン)
L3 第2透過水ライン(透過水ライン)
L7 第2RO透過水リターンライン(第1循環水ライン)
L8 脱塩水ライン
L9 脱塩水リターンライン(第2循環水ライン)
W1 原水(供給水)
W2 第1透過水(透過水)
W4 第2透過水(透過水)
W6 脱塩水
W7 濃縮水
W8 電極水
W61 第1流通水(脱塩室を流通する水)
W71 第2流通水(濃縮室を流通する水)
W81 第3流通水(電極室を流通する水)

Claims (6)

  1. 供給水から透過水を分離する逆浸透膜モジュールと、
    前記逆浸透膜モジュールで分離された透過水を脱塩処理して脱塩水を得る電気脱イオンスタックと、
    供給水を前記逆浸透膜モジュールに流通させる供給水ラインと、
    前記逆浸透膜モジュールで分離された透過水を前記電気脱イオンスタックに流通させる透過水ラインと、
    前記電気脱イオンスタックで得られた脱塩水を需要箇所に向けて送出する脱塩水ラインと、
    前記電気脱イオンスタックの脱塩室及び濃縮室の流通水の流量を測定する流量測定手段と、
    前記脱塩室及び前記濃縮室の流通水それぞれの流量について、いずれかの流量の定格流量に対する流量低下率が所定の低下率閾値を下回る状態であり、且つその状態が所定時間継続した場合、又は、前記脱塩室及び前記濃縮室の流通水それぞれの流量について、いずれかの流量の流量測定値が所定の流量閾値を下回る状態であり、且つその状態が所定時間継続した場合には、前記電気脱イオンスタックへの通電を停止するように制御する制御部と、
    を備える純水製造装置。
  2. 前記逆浸透膜モジュールで分離された透過水を前記逆浸透膜モジュールの上流側へ返送する第1循環水ラインと、
    前記電気脱イオンスタックで得られた脱塩水を前記逆浸透膜モジュールの上流側へ返送する第2循環水ラインと、を更に備え、
    制御部は、装置の起動時において、前記逆浸透膜モジュールで分離された透過水を前記第1循環水ラインを介して前記逆浸透膜モジュールの上流側へ返送する第1工程を実行し、前記第1工程の実行後更に、前記電気脱イオンスタックで得られた脱塩水を前記第2循環水ラインを介して前記逆浸透膜モジュールの上流側へ返送する第2工程を実行し、前記第2工程において、前記脱塩室及び前記濃縮室の流通水それぞれの流量の流量低下率、又は、前記脱塩室及び前記濃縮室の流通水それぞれの流量の流量測定値を監視する
    請求項1に記載の純水製造装置。
  3. 前記所定の低下率閾値は、前記脱塩室及び前記濃縮室の流通水それぞれに設定され、前記濃縮室の流通水、前記脱塩室の流通水の順に、低い値から高い値である
    請求項1又は2に記載の純水製造装置。
  4. 前記流量測定手段は、前記電気脱イオンスタックの脱塩室、濃縮室及び電極室の流通水の流量を測定し、
    前記制御部は、前記脱塩室、前記濃縮室及び前記電極室の流通水それぞれの流量について、いずれかの流量の定格流量に対する流量低下率が所定の低下率閾値を下回る状態であり、且つその状態が所定時間継続した場合、又は、前記脱塩室、前記濃縮室及び前記電極室の流通水それぞれの流量について、いずれかの流量の流量測定値が所定の流量閾値を下回る状態であり、且つその状態が所定時間継続した場合には、前記電気脱イオンスタックへの通電を停止するように制御する
    請求項1に記載の純水製造装置。
  5. 前記逆浸透膜モジュールで分離された透過水を前記逆浸透膜モジュールの上流側へ返送する第1循環水ラインと、
    前記電気脱イオンスタックで得られた脱塩水を前記逆浸透膜モジュールの上流側へ返送する第2循環水ラインと、を更に備え、
    制御部は、装置の起動時において、前記逆浸透膜モジュールで分離された透過水を前記第1循環水ラインを介して前記逆浸透膜モジュールの上流側へ返送する第1工程を実行し、前記第1工程の実行後更に、前記電気脱イオンスタックで得られた脱塩水を前記第2循環水ラインを介して前記逆浸透膜モジュールの上流側へ返送する第2工程を実行し、前記第2工程において、前記脱塩室、前記濃縮室及び前記電極室の流通水それぞれの流量の流量低下率、又は、前記脱塩室、前記濃縮室及び前記電極室の流通水それぞれの流量の流量測定値を監視する
    請求項4に記載の純水製造装置。
  6. 前記所定の低下率閾値は、前記脱塩室、前記濃縮室及び前記電極室の流通水それぞれに設定され、前記濃縮室の流通水、前記脱塩室の流通水、前記電極室の流通水の順に、低い値から高い値である
    請求項4又は5に記載の純水製造装置。
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