JP2014103771A - 電気自動車の回生制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】降坂路などの走行時において過剰な充電に起因するバッテリの劣化や破損を防止した上で、車両の運動エネルギを効率よく電力に変換してバッテリを充電できる電気自動車の回生制御装置を提供する。
【解決手段】車両1が降坂路に到達するとモータの回生制御によりバッテリを充電する回生走行を開始し、充電に起因するバッテリの発熱量Hが上限許容値A1に到達すると、回生走行を中止して惰性走行に切り換えることで車両1の運動エネルギを車速Vの増加として蓄える。充電の中止により発熱量Hが回復判定値A2まで低下した時点で回生走行を再開し、再び発熱量Hが上限許容値A1に到達すると惰性走行に切り換える。以上の制御を繰り返すことにより、バッテリの発熱量Hを抑制しながらバッテリを満充電にする。
【選択図】図3

Description

本発明は電気自動車の回生制御装置に係り、詳しくは降坂路の走行中にモータを回生制御して発電された電力をバッテリに充電する回生制御装置に関する。
従来からの走行用動力源としてエンジンを搭載したエンジン車両の効率を改善するために、エンジンに加えて走行用動力源としてモータを搭載したハイブリッド電気自動車、或いはエンジンに代えてモータを搭載した電気自動車など(以下、電気自動車と総称する)が実用化されている。
このような電気自動車では、モータを回生制御することにより発電機として作動可能なため、車両の減速時や降坂路での走行時(以下、このときの車両の走行状態を回生走行という)には、駆動輪側からの逆駆動によりモータに発電させて発電電力をバッテリに充電している。これにより車両の運動エネルギを電力として回収でき、その後のモータによる走行時にバッテリからの放電電力を利用している。
ところで、この種の電気自動車にはリチウム二次電池などがバッテリとして搭載されるが、その充放電時の電流には熱的な制限がある。即ち、限界を超えた充放電電流はバッテリの温度上昇に費やされ、結果としてバッテリが過熱して劣化や破損の要因になる。そこで、例えば特許文献1の技術では、バッテリの充放電時の電流I、及び充放電時間tに基づき、次式(1)から発熱量Hを算出し、その発熱量Hが予め設定された上限許容値に達した時点で充放電電流を制限する対策を講じている。
H=I2t……(1)
特開2009−81958号公報
特許文献1に記載されたバッテリの保護対策は、上記のように電気自動車を回生走行させる場合にも実施される。しかしながら、例えば急勾配且つ長い降坂路では、モータの回生制御によるバッテリへの充電が大電流で且つ長時間に亘って行われることになる。よって、上式(1)から算出される発熱量Hが急激に増加して、早期に段階でバッテリの上限許容値に到達してモータの回生制御が中止されてしまう。
従って、例えばバッテリのSOC(充電率:State Of Charge)を制御範囲の上限まで増加(以下、バッテリの満充電という)できるほどの急勾配且つ長い降坂路であっても、その際にバッテリを満充電にできない。この状況は、降坂路によって得られるはずの車両の運動エネルギを電力として有効利用できないことを意味し、従来から抜本的な対策が要望されていた。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、降坂路などの走行時において過剰な充電に起因するバッテリの劣化や破損を防止した上で、車両の運動エネルギを効率よく電力に変換してバッテリを充電でき、もって車両全体のエネルギ効率を向上させることができる電気自動車の回生制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、モータの駆動力を駆動輪側に伝達して走行すると共に、降坂路の走行中にはモータを回生制御して回生電力をバッテリに充電する電気自動車において、車両が降坂路を走行中であることを判定する降坂路走行判定手段と、降坂路走行判定手段により降坂路での走行が判定されているときに、バッテリの充電に起因する発熱量を推定する発熱量推定手段と、降坂路での走行中にモータの回生制御を実行し、発熱量推定手段により推定された発熱量が予め設定された上限許容値に達したときに、モータの回生制御を中止して車両を惰性走行させ、その後に発熱量が予め上記上限許容値よりも小さな値に設定された回復判定値まで低下したときにモータの回生制御を再開する回生制御手段とを備えたものである。
請求項2の発明は、モータの駆動力を駆動輪側に伝達して走行すると共に、降坂路の走行中にはモータを回生制御して回生電力をバッテリに充電する電気自動車において、車両の前方に存在する降坂路の情報を取得する降坂路情報取得手段と、降坂路情報取得手段による情報から求めた降坂路の勾配及び該降坂路の終点に基づき、バッテリの充電に起因する発熱量を予め設定された許容値以下に抑制し且つ降坂路の終点でバッテリを満充電とすることができるモータの回生トルク及び回生トルクの回生継続時間を設定すると共に、降坂路の終点よりも回生継続時間相当の走行距離だけ手前側に回生制御の開始地点を設定する回生条件設定手段と、車両が降坂路を走行して回生条件設定手段により設定された回生制御の開始地点に到達したときに、回生条件設定手段により設定された回生トルクに基づきモータの回生制御を開始する回生制御手段とを備えたものである。
請求項3の発明は、請求項1において、車両の走行速度を目標車速を中心とした所定の制御範囲内に保つオートクルーズ制御手段を備え、回生制御手段が、オートクルーズ制御手段による制御中において、車両の惰性走行によりバッテリの発熱量が回復判定値まで低下する以前に車両の走行速度がオートクルーズ制御手段による制御範囲の上限値に達したときには、惰性走行を中止してモータの回生制御を再開するものである。
請求項4の発明は、請求項2において、車両の走行速度を目標車速を中心とした所定の制御範囲内に保つオートクルーズ制御手段を備え、回生条件設定手段が、オートクルーズ制御手段による制御中において、降坂路での惰性走行によって車両の走行速度をオートクルーズ制御手段による目標車速から制御範囲の上限値まで増加させるために必要な惰性継続時間を算出し、降坂路の終点よりも惰性継続時間相当の走行距離だけ手前側に惰性走行の開始地点を設定すると共に、惰性走行の開始地点よりも回生継続時間相当の走行距離だけ手前側に回生制御の開始地点を設定し、回生制御手段が、車両が降坂路を走行して回生制御の開始地点に到達したときにモータの回生制御を開始し、その後に車両が惰性走行の開始地点に到達したときに車両の惰性走行を開始するものである。
以上説明したように請求項1の発明の電気自動車の回生制御装置によれば、降坂路での走行中にモータを回生制御し、バッテリの発熱量が上限許容値に到達するとモータの回生制御を中止して車両を惰性走行させ、その後に発熱量が回復判定値まで低下するとモータの回生を再開するようにした。
従って、モータの回生制御中にバッテリの発熱量が上限許容値に達すると惰性走行に切り換えられ、この惰性走行中には車速の増加として車両の運動エネルギが蓄えられる。そして、その後に発熱量が低下してモータの回生制御が再開されると、本来の降坂路による運動エネルギに加えて惰性走行中に蓄えた運動エネルギも電力に変換される。従って、過剰な充電に起因するバッテリの劣化や破損を防止した上で、車両の運動エネルギを効率よく電力に変換してバッテリを充電でき、もって車両全体のエネルギ効率を向上させることができる。
請求項2の発明の電気自動車の回生制御装置によれば、車両の前方に存在する降坂路の情報を取得して、降坂路の勾配及び終点に基づき、バッテリの発熱量を上限許容値以下に抑制し且つ降坂路の終点でバッテリを満充電にできるモータの回生トルク及び回生継続時間を設定すると共に、降坂路の終点を基準とした回生制御の開始地点を設定し、降坂路を走行中の車両が回生制御の開始地点に到達したときに、設定された回生トルクに基づきモータの回生制御を開始するようにした。
従って、車両が降坂路を走行して終点に到達した時点では、バッテリの発熱量を上限許容値以下に抑制し且つバッテリを満充電にできる。結果として、過剰な充電に起因するバッテリの劣化や破損を防止した上で、車両の運動エネルギを効率よく電力に変換してバッテリを充電でき、もって車両全体のエネルギ効率を向上させることができる。
請求項3の発明の電気自動車の回生制御装置によれば、請求項1に加えて、オートクルーズ中において車両の惰性走行により発熱量が回復判定値まで低下する以前に車両の走行速度がオートクルーズの制御範囲の上限値に達すると、惰性走行を中止してモータの回生制御を再開するようにした。
従って、車両の走行速度がオートクルーズの制御範囲の上限を超える事態を回避でき、これによる運転者の違和感を未然に防止することができる。
請求項4の発明の電気自動車の回生制御装置によれば、請求項2に加えて、オートクルーズ中において降坂路での惰性走行により車両の走行速度を目標車速から制御範囲の上限値まで増加させるために要する惰性継続時間を算出し、この惰性継続時間及び回生継続時間に基づき惰性走行の開始地点及び回生制御の開始地点を設定し、降坂路を走行する車両が回生制御の開始地点に到達したときにモータの回生制御を開始し、惰性走行の開始地点に到達したときに惰性走行を開始するようにした。
従って、モータの回生制御が中止された後は惰性走行により車両の走行速度が増加し、その速度増加分が運動エネルギとして車両に蓄えられる。このため降坂路の終点以降では、蓄えた運動エネルギを車両の走行に利用することができる。
実施形態の回生制御装置が搭載されたハイブリッド型トラックを示す全体構成図である。 第1実施形態の車両ECUが降坂路の走行中に実行するモータ回生制御ルーチンを示すフローチャートである。 第1実施形態におけるモータ回生制御の実行状況を示すタイムチャートである。 第2実施形態の車両ECUが降坂路の走行中に実行するモータ回生制御ルーチンを示すフローチャートである。 第2実施形態におけるモータ回生制御の実行状況を示すタイムチャートである。 第3実施形態の車両ECUが降坂路の走行中に実行するモータ回生制御ルーチンを示すフローチャートである。 第3実施形態におけるモータ回生制御の実行状況を示すタイムチャートである。
以下、本発明をハイブリッド型トラックの回生制御装置に具体化した実施形態を説明する。
図1は本実施形態の回生制御装置が搭載されたハイブリッド型トラックを示す全体構成図である。
ハイブリッド型トラック1はいわゆるパラレル型ハイブリッド車両として構成されており、以下の説明では、車両と称する場合もある。車両1には走行用動力源としてディーゼルエンジン(以下、エンジンという)2、及び例えば永久磁石式同期電動機のように発電機としても作動可能なモータ3が搭載されている。エンジン1の出力軸にはクラッチ4が連結され、クラッチ4にはモータ3の回転軸を介して自動変速機5の入力側が連結されている。自動変速機5の出力側にはプロペラシャフト6を介して差動装置7が連結され、差動装置7には駆動軸8を介して左右の駆動輪9が連結されている。
自動変速機5は一般的な手動変速機をベースとしてクラッチ4の断接操作及び変速段の切換操作を自動化したものであり、本実施形態では、前進6速後退1速の変速段を有している。当然ながら、変速機5の構成はこれに限るものではなく任意に変更可能であり、例えば手動式変速機として具体化してもよいし、2系統の動力伝達系を備えたいわゆるデュアルクラッチ式自動変速機として具体化してもよい。
モータ3にはインバータ10を介してバッテリ11が接続されている。バッテリ11に蓄えられた直流電力はインバータ10により交流電力に変換されてモータ3に供給され(力行制御)、モータ3が発生した駆動力は自動変速機5で変速された後に駆動輪9に伝達されて車両1を走行させる。また、例えば車両1の減速時や降坂路での走行時(回生走行時)には、駆動輪9側からの逆駆動によりモータ3が発電機として作動する(回生制御)。モータ3が発生した負側の駆動力は制動力として駆動輪9側に伝達されると共に、モータ3が発電した交流電力がインバータ10で直流電力に変換されてバッテリ11に充電される。
このようなモータ3が発生する駆動力は上記クラッチ4の断接状態に関わらず駆動輪9側に伝達され、これに対してエンジン2が発生する駆動力はクラッチ4の接続時に限って駆動輪9側に伝達される。従って、クラッチ4の切断時には、上記のようにモータ3が発生する正側または負側の駆動力が駆動輪9側に伝達されて車両1が走行する。また、クラッチ4の接続時には、エンジン2及びモータ3の駆動力が駆動輪9側に伝達されたり、或いはエンジン2の駆動力のみが駆動輪側に伝達されたりして車両1が走行する。
車両ECU13は車両全体を統合制御するための制御回路である。そのために車両ECU13には、アクセルペダル14の操作量θaccを検出するアクセルセンサ15、ブレーキペダル16の踏込操作を検出するブレーキスイッチ17、車両1の速度Vを検出する車速センサ18、エンジン2の回転速度Neを検出するエンジン回転速度センサ19、及びモータ3の回転速度Ntを検出するモータ回転速度センサ20などの各種センサ・スイッチ類が接続されている。
また、車両ECU13には、図示はしないがクラッチ4を断接操作するアクチュエータ、及び自動変速機5を変速操作するアクチュエータなどが接続されると共に、エンジン制御用のエンジンECU22、インバータ制御用のインバータECU23、及びバッテリ11を管理するバッテリECU24が接続されている。
車両ECU13は、運転者によるアクセル操作量θaccなどに基づき車両1を走行させるために必要な要求トルクを算出し、その要求トルクやバッテリ11のSOCなどに基づき車両1の走行モードを選択する。本実施形態では走行モードとして、エンジン2の駆動力のみを用いるE/Gモード、モータ3の駆動力のみを用いるEVモード、及びエンジン2及びモータ3の駆動力を共に用いるHEVモードが設定されており、その何れかの走行モードを車両ECU13が選択するようになっている。
車両ECU13は選択した走行モードに基づき、要求トルクをエンジン2やモータ3が出力すべきトルク指令値に換算する。例えばHEVモードでは要求トルクをエンジン2側及びモータ3側に配分した上で、その時点の変速段に基づきエンジン2及びモータ3のトルク指令値を算出する。また、E/Gモードでは要求トルクを変速段に基づきエンジン2へのトルク指令値に換算し、EVモードでは要求トルクを変速段に基づきモータ3へのトルク指令値に換算する。
そして、車両ECU13は選択した走行モードを実行すべく、EVモードでは上記クラッチ4を切断し、E/Gモード及びHEVモードではクラッチ4を接続した上で、エンジンECU22及びインバータECU23にトルク指令値を適宜出力する。また、車両1の走行中において車両ECU13は、アクセル操作量θaccや車速Vなどに基づき図示しないシフトマップから目標変速段を算出し、この目標変速段を達成すべく、アクチュエータによりクラッチ4の断接操作及び変速段の切換操作を実行する。
一方、エンジンECU22は、車両ECU13から入力された走行モード及びトルク指令値を達成するように噴射量制御や噴射時期制御を実行する。例えばE/GモードやHEVモードでは、正側のトルク指令値に対してエンジン2に駆動力を発生させ、負側のトルク指令値に対してエンジンブレーキを発生させる。また、EVモードの場合には、燃料噴射の中止によりエンジン2を停止保持する、またはアイドリング状態とする。
また、インバータECU23は、車両ECU13から入力された走行モード及びトルク指令値を達成するように、インバータ10を駆動制御する。例えばEVモードやHEVモードでは、正側のトルク指令値に対してモータ3を力行制御して正側の駆動力を発生させ、負側のトルク指令値に対してはモータ3を力行制御して負側の駆動力を発生させる。また、E/Gモードの場合には、モータ3の駆動力を0に制御する。
また、バッテリECU24は、バッテリ11の温度、バッテリ11の電圧、インバータ10とバッテリ11との間に流れる電流などを検出すると共に、これらの検出結果からバッテリ11のSOCを算出し、このSOCを検出結果と共に車両ECU13に出力する。
ところで、上記したように降坂路などでの車両1の回生走行時にはモータ3により発電された電力をバッテリ11に充電しているが、[発明が解決しようとする課題]で述べたように、バッテリ11への充電電流は熱的な制限を受ける。このため上式(1)に基づき発熱量Hが所定の上限許容値A1に達した時点で、たとえ降坂路が連続していたとしてもモータ3の回生制御を中止せざるを得ない。結果として、バッテリ11を十分に充電できないという問題がある。
ここで、本発明者は、上式(1)において算出される発熱量Hの特性について考察した結果、以下の2つの対策を見出した。
1つ目は、発熱量Hはバッテリ11の充電中に増加するものの、モータ3の回生制御の中止に伴い充電が中止されると、発熱量Hは次第に低下してバッテリ11の充電を再開可能となる点である。そして、充電中止の期間中に車両1を惰性走行させて車速Vの増加として車両1の運動エネルギを蓄えておけば、モータ3の回生制御を再開したときに蓄えた運動エネルギを電力に変換してバッテリ11の充電に有効利用できる。
2つ目は、回生制御中のモータ3の回生トルクを制限すれば(例えば、降坂路で目標車速Vtgtを維持するために必要な回生トルクよりも制限)、発熱量Hの増加をより緩やかにすることができる。結果として発熱量Hが上限許容値A1に到達する以前に、バッテリ11のSOCを制御範囲の上限まで増加(満充電)させることができる点である。
そこで、これらの対策を第1及び第2実施形態として以下に説明する。
各実施形態は車速Vを一定に保つオートクルーズ制御を前提としており、オートクルーズ中の車両1が降坂路を走行したときのモータ3の回生制御を例示したものである。そのために車両ECU13はオートクルーズ機能を備えている(オートクルーズ制御手段)。
車両ECU13は、オートクルーズ中にはアクセル操作量θaccとは関係なく、運転者により設定された目標車速Vtgtを維持し得る要求トルクを算出し、その要求トルクに基づきエンジン2やモータ3の駆動力或いは車両1のブレーキなどを制御している。これにより車両1は目標車速Vtgtを中心とした所定の制御範囲内で車速Vを自動的に調整され、車速調整のための運転操作が不要となる。
[第1実施形態]
図2は第1実施形態の車両ECU13が降坂路の走行中に実行するモータ回生制御ルーチンを示すフローチャートであり、車両ECU13は車両1がオートクルーズで走行しているときに当該ルーチンを所定の制御インターバルで実行する。
まず、ステップS2で現在車両1が降坂路を走行中であるか否かを判定する(降坂路走行判定手段)。例えば目標車速Vtgtを達成するために実際に適用されている要求トルクと平坦路で設定されるべき要求トルクとを比較し、実際の要求トルクが平坦路での要求トルクよりも低いときに、車両1が降坂路を走行中であると見なす。降坂路では、モータ3の回生制御により車両1の運動エネルギを可能な限り電力として回収することが望ましいため、走行モードとしてモータ3のみによるEVモードが選択される。
車両ECU13は、降坂路ではないとしてNo(否定)の判定を下したときには、ステップS4に移行して通常走行を実行した後に一旦ルーチンを終了する。通常走行では、例えば平坦路や登坂路などで目標車速Vtgtに対応する要求トルクを達成するように、走行モードを適宜切り換えながらエンジン2及びモータ3を運転する。
一方、降坂路であるとしてステップS2でYes(肯定)の判定を下したときにはステップS6に移行し、上式(1)に従って算出した発熱量Hが予め設定した上限許容値A1未満であるか否かを判定する。判定がNoのときには、たとえ降坂路であってもバッテリ11を充電できないため、ステップS4に移行して通常走行を実行する。また、ステップS6の判定がYesのときにはステップS8に移行して、バッテリ11のSOCが制御範囲の上限値B未満であるか否かを判定する。判定がNoのときには既にバッテリ11が満充電であり充電不要なため、ステップS4に移行して通常走行を実行する。
また、ステップS8の判定がYesのときには、ステップS10に移行して回生走行を行う(回生制御手段)。即ち、モータ3を回生制御して降坂路での駆動輪9側からの逆駆動により発電機として作動させ、発電された電力をバッテリ11に充電する。このとき車両ECU13は、車両1の全ての運動エネルギをモータ3に入力するために、クラッチ4を切断してエンジン2をモータ3側から切り離した上でアイドル運転させる。
車両ECU13は、続くステップS12ではバッテリ11のSOCが制御範囲の上限値Bに未満であるか否かを判定し、YesのときにはステップS14で発熱量Hが上限許容値A1未満であるか否かを判定する(発熱量推定手段)。判定がYesのときには上記ステップS10に戻り、ステップS10〜14の処理を繰り返す。
そして、ステップS12の判定がNoになると、ステップS4に移行して通常走行に切り換える。この場合にはバッテリ11が満充電になったため充電不要と見なし、通常走行への切換によりモータ3の回生制御が中止される。
また、バッテリ11が満充電になる以前に発熱量Hが上限許容値A1に達すると、ステップS14でNoの判定を下してステップS16で車両1を惰性走行させる(回生制御手段)。具体的には、モータ3の回生制御を中止(回生トルク=0)して惰性回転させる。なお、この操作に代えて、例えば変速機5をニュートラルに切り換えてもよい。
続くステップS18では車速Vがオートクルーズの制御範囲の上限値Vupに達したか否かを判定し、判定がNoのときにはステップS20で発熱量Hが回復判定値A2未満であるか否かを判定する。モータ3の回生制御の中止と共にバッテリ11への充電も中止されるため、発熱量Hは次第に低下して何れかの時点でバッテリ11は再び充電可能な状態に回復する。回復判定値A2は、このような発熱量Hの低下によりバッテリ11が回復したことを判断するための閾値であり、上限許容値A1よりも小さな値(例えば0でもよい)に予め設定されている。
ステップS20の判定がNoのときには上記ステップS16に戻り、ステップS16〜S20の処理を繰り返す。惰性走行中には車速Vが次第に増加し、ステップS18の判定がYesになるとルーチンを終了する。その後に再びルーチンを開始してステップS2,6,8の条件が満たされると、ステップS10で回生走行を再開する。このためモータ3の回生トルクが再び車両1に作用し、車速Vは増加を抑制されてオートクルーズの制御範囲内にとどめられる。
一方、惰性走行の継続により発熱量Hが低下してステップS20の判定がYesになった場合も、一旦ルーチンを終了する。そして、ステップS2〜8を経てステップS10で回生走行を再開し、上記と同様の処理を繰り返す。
次に、以上の車両ECU13による降坂路でのモータ3の回生制御の実行状況を図3のタイムチャートに基づき説明する。
車両1が降坂路に到達すると、モータ3の回生制御が開始される(図3中のポイントa)。このときの回生トルクは、例えば車速Vと目標車速Vtgtとの偏差ΔVに基づくPID制御などにより偏差ΔVを縮小する方向に制御され、これにより車速Vが目標車速Vtgt付近に維持される。
モータ3により発電された電力の充電によりバッテリ11のSOCは次第に増加し、これと並行して式(1)に基づく発熱量Hも次第に増加する。図3では、SOCが上限に達する以前に発熱量Hが上限許容値A1に到達した場合を示しており(図3中のポイントb)、この時点でモータ3の回生制御が中止されて、回生走行から惰性走行に切り換えられる。
このためバッテリ11のSOCの増加が中断されると共に車速Vが増加を開始し、同時にバッテリ11への充電中止によって発熱量Hが低下し始める。図3では、車速Vが上限値Vupに達する以前に発熱量Hが回復判定値A2まで低下した場合を示しており(図3中のポイントc)、この時点で惰性走行から回生走行に切り換えられて、モータ3の回生制御が再開される。
直前までの惰性走行により車速Vは増加しており、車両1が有する運動エネルギも増加している。従って、この2回目の回生走行では、本来の降坂路によって得られる車両1の運動エネルギを電力に変換するだけでなく、それに加えて惰性走行中に車速Vの増加として蓄えられた運動エネルギも電力に変換することになる。
即ち、バッテリ11の発熱量Hに基づく制限によりモータ3の回生制御は一時的に中止されるものの、その間の惰性走行で運動エネルギを車速Vの増加として蓄えることにより無駄なく電力に変換してバッテリ11に充電できる。
以降の制御状況は同様であり、発熱量Hが上限許容値A1に到達すると回生走行から惰性走行に切り換えられ、発熱量Hが回復判定値A2まで低下すると惰性走行から回生走行に切り換えられる。
図では示していないが、惰性走行中において発熱量Hが回復判定値A2まで低下する以前に車速Vが上限値Vupに到達した場合には、その時点で車両ECU13により図2のステップS18でYesの判定が下される。よって、直ちに惰性走行が中止されて回生走行に切り換えられ(回生制御手段)、車速Vが制御範囲の上限を超える事態を回避でき、これによる運転者の違和感を未然に防止することができる。
そして、回生走行の繰り返しによりバッテリ11のSOCは次第に増加し、何れかの回生走行中に制御範囲の上限値Bに到達する(図3中のポイントd)。よって、その後も降坂路が連続する場合であっても、以降はバッテリ11の充電が不要なため回生走行から通常走行に切り換えられ、当該通常走行が継続される。
以上のように本実施形態では、降坂路での回生走行中に発熱量Hが上限許容値A1に到達すると、惰性走行に切り換えて車両1の運動エネルギを車速Vの増加として蓄える。そして、その後の回生走行では、本来の降坂路による運動エネルギに加えて惰性走行中に蓄えた運動エネルギも電力に変換している。従って、過剰な充電に起因するバッテリ11の劣化や破損を防止した上で、車両1の運動エネルギを効率よく電力に変換してバッテリ11を充電でき、もって車両全体のエネルギ効率を向上させることができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態を説明する。
上記したように第2実施形態の趣旨は、回生制御中のモータ3の回生トルクを制限することにより、発熱量Hが上限許容値A1に到達する以前にバッテリ11のSOCを制御範囲の上限まで増加させる点にある。このような回生トルクの制限により、第1実施形態のような惰性走行を行うことなく、1回の回生走行によってバッテリ11を満充電することが可能となる。
しかし、無闇に回生トルクを制限すれば、充電量の低下に伴ってバッテリ11を満充電するまでの所要時間が長引くため、それよりも先に車両1が降坂路の終点に到達して充電できなくなる可能性がある。
このような事態を回避するには、発熱量Hを上限許容値A1以下に抑制した上で、可能な限り回生トルクの制限を緩和してバッテリ11を早期に満充電することが望ましい。よって、バッテリ11が満充電に至るタイミングと発熱量Hが上限許容値A1に到達するタイミングとを一致させることが最も望ましい。
降坂路の勾配及び終点が予め判明していれば、それらの情報に基づき、降坂路の終点でバッテリ11が満充電になり且つ発熱量Hが上限許容値A1に到達するようなモータ3の回生トルク及び回生トルクの継続時間を算出可能である。そして、その継続時間及び降坂路での車速Vに基づき、降坂路の終点を基準としたより手前側(自車側)のモータ3の回生制御を開始すべき地点を特定することができる。
このような自車の道路上の前方に存在する降坂路の情報を取得するために、本実施形態では、図1に示すように車両ECU13にナビゲーション装置31及び通信装置32(降坂路情報取得手段)が接続されている。
ナビゲーション装置31は自己の記憶領域に記憶されている地図データ、及びアンテナを介して受信されるGPS情報やVICS(登録商標)情報などに基づき、車両1の走行中に地図上の自車位置を特定する。通信装置32は、路側に適宜設置されているデータセンタの路側通信システムとの間で路車間通信を行うと共に、周囲を走行中の他車との間で車々間通信を行う。
通信対象となる情報は多岐にわたり、例えば自車が保有しない地図情報、或いは道路情報(道路のカーブや勾配など)や交通情報(渋滞情報、事故情報、工事情報など)、或いは地域情報(観光スポットの案内など)を路側通信システムや他車から取得したり、逆にこれらの情報を他車に供給したりする。
車両ECU13はナビゲーション装置31により特定された自車位置に基づき、取得した各種情報の中から自車にとって有効に利用可能な情報を選出する。選出した情報を車両1の運転席に設けられた図示しないディスプレイに逐次表示する。例えば自車が走行している道路上の前方地点の道路情報や交通情報であれば、間もなく自車が走行するはずの地点の情報であることから、運転者は情報を参考にして当該地点を迂回したり走行時刻をずらしたりする対処を行うことができる。
車両ECU13は、このようにして取得した各種情報に基づき、オートクルーズによる走行中には自車の前方に降坂路が存在するか否かを常に監視している。そして、降坂路が存在すると判定したときには、図4に示すモータ回生制御ルーチンを所定の制御インターバルで実行し始める。
まず、ステップS22で現在車両1が降坂路を走行中であるか否かを判定する。車両1が前方の降坂路に未だ到達していない場合にはNoの判定を下し、ステップS24で通常走行を実行した後にルーチンを終了する。
そして、車両1が降坂路に到達すると、ステップS22からステップS26に移行して発熱量Hが上限許容値A1未満であるか否かを判定し、続くステップS28でバッテリ11のSOCが制御範囲の上限値B未満であるか否かを判定する。ステップS26,28の何れかでNoの判定を下したときにはステップS24で通常走行を実行し、何れの判定もYesのときにはステップS30に移行する。
その後、ステップS30で前方の降坂路に関する情報、具体的には降坂路の勾配及び終点を通信装置32により改めて取得する(降坂路情報取得手段)。続くステップS32では回生走行の開始地点及びモータ3の回生制御に関する各種条件を設定する(回生条件設定手段)。
図5は車両ECU13による降坂路でのモータ3の回生制御の実行状況を示すタイムチャートである。回生走行の開始地点とは、モータ3の回生制御を開始すべき地点であり、降坂路の終点(図5中のポイントe)よりも手前側の地点(図5中のポイントf)としてステップS32の処理により設定される。
上記したように降坂路での回生走行によりバッテリ11のSOCは次第に増加して最終的に満充電に至るが、これと並行してバッテリ11の充電により発熱量Hも次第に増加して上限許容値A1に到達する。モータ3の回生トルクを制限するほど発熱量Hの増加が緩やかになり、発熱量Hが上限許容値A1に到達するタイミングが遅くなる。
よって、バッテリ11の満充電と発熱量Hの上限許容値A1への到達とのタイミングを一致させることができるモータ3の回生トルクを特定できると共に、その回生トルクで現在のSOCを上限値Bまで増加させることができる回生トルクの回生継続時間を特定できる。そして、車速V(例えば目標車速Vtgt)に基づき回生継続時間を走行距離L1に換算し、降坂路の終点を基準として走行距離L1だけ手前側の地点を回生走行の開始地点として設定する。なお、回生継続時間の算出には降坂路中の勾配変化を考慮する。
また、上記のように発熱量Hの抑制のために回生トルクを制限しているが、一方で、オートクルーズ側では目標車速Vtgtを維持するための回生トルクが要求されている。このため、要求回生トルクに対して実際の回生トルクが不足する可能性がある。第1実施形態で述べたように回生走行中のエンジン2はクラッチの切断によりアイドル運転させているが、本実施形態では、このときエンジン2を燃料カットした上でクラッチ4を接続し、駆動輪9側からの逆駆動によりエンジン2をモータリング運転させる。
これによりモータ3の回生トルクに対しエンジン2をモータリング運転させる駆動負荷が上乗せされ、目標車速Vtgtを維持するための要求トルクを達成可能となる。エンジン2の燃料カットは、目標車速Vtgtの維持に貢献するだけでなく、回生走行中にエンジン2のアイドル運転によって消費される燃料を節減することにもつながる。
また、エンジン2の駆動負荷だけでは要求トルクを達成できない場合やより正確な車速制御が要求される場合には、車両1に装備されている制動作用を奏する既存の装備、例えばエンジン2の圧縮開放ブレーキ、リターダ、或いは排気ブレーキなどを適宜作動させる。
一般的に、これらの装備を回生走行中に作動させることは、その制動力の分だけモータ3の回生量を低下させることになるため好ましくはない。しかし、このときの状況では、既にバッテリ11を満充電するための必要な走行距離L1を確保した上でモータ3の回生制御を開始しているため、このような装備の作動による弊害は一切生じない。以上のようにしてステップS32では、回生走行の開始地点と共にモータ3の回生制御に関する各種条件が設定される。
その後、車両ECU13はステップS34に移行して車両1が回生制御の開始地点に到達したか否かを判定し、NoのときにはステップS24で通常走行を継続する。ステップS34の判定がYesになると、ステップS36で実際に回生走行を実行し(回生制御手段)、その後にルーチンを終了する。
その後に再びルーチンを開始すると、降坂路が連続している間はステップS22,26〜34を経てステップS36で回生走行を継続する。なお、ステップS32では前回の処理で既に各条件が設定されているため、実質的な処理は行わない。そして、車両1が降坂路の終点に到達してステップS22の判定がNoになると、ステップS4で通常走行に切り換える。
次に、以上の車両ECU13による降坂路でのモータ3の回生制御の実行状況を図5のタイムチャートに基づき説明する。
車両1が降坂路に到達すると、ステップS30の処理により前方の降坂路に関する情報が取得され、ステップS32の処理により回生走行の開始地点及びモータ3の回生制御に関する各種条件が設定される(図5中のポイントg)。車両1は降坂路を走行し続け、回生走行の開始地点に到達すると、モータ3の回生制御が開始される(図5中のポイントe)。
このときの回生制御は、ステップS32で決定されたモータ3の回生トルクに基づき実行される。ステップS32の処理により、目標車速Vtgtの維持のためにエンジン2のモータリング運転が決定されている場合には、エンジン2が燃料カットされると共にクラッチ4が接続される。また、ステップS32で車両1の各種制動装備の作動が設定されている場合には、該当する制動装備を作動させる。
これらの制御により車両1は目標車速Vtgtを維持しながら降坂路を走行し、バッテリ11のSOC及び発熱量Hが増加し続ける。降坂路の終点に到達した時点では、バッテリ11のSOCが上限値Bに到達すると共に発熱量Hが上限許容値A1に到達する(図5中のポイントf)。降坂路の終点以降は平坦路や登坂路に移行することから、それに応じて通常走行に切り換えられ、当該通常走行が継続される。
以上のように本実施形態では、路側通信システムや他車から取得した降坂路に関する情報に基づき、降坂路の終点でバッテリ11が満充電になると共に発熱量Hが上限許容値A1に到達するようなモータ3の回生トルク及び回生走行の開始地点を設定し、その回生トルク及び開始地点に基づき回生走行を開始している。
このため降坂路の終点では、バッテリ11の発熱量Hを上限許容値A1以下に抑制し且つバッテリ11を満充電にできる。結果として、過剰な充電に起因するバッテリ11の劣化や破損を防止した上で、車両1の運動エネルギを効率よく電力に変換してバッテリ11を充電でき、もって車両全体のエネルギ効率を向上させることができる。
加えて、このように発熱量Hの抑制のために回生トルクを制限しているが、回生トルクの不足分をエンジン2のモータリング運転や車両1の各種制動装備の作動により補っているため、目標車速Vtgtを維持しながら回生走行を継続できる。よって、車速変動による運転者の違和感などを未然に防止することができる。
そして、モータリング運転により通常は回生走行中にアイドル運転を継続するエンジン2を燃料カットでき、結果としてエンジン2の燃料消費を節減して車両1の燃費向上に貢献することができる。
一方で、第1実施形態では回生走行と惰性走行を交互に繰り返すため、切換時に生じる僅かなショックなどで運転者に違和感を与える可能性もあった。しかし、本実施形態では降坂路の終点まで回生走行を継続することから、このような事態を防止できる。また、第1実施形態では回生走行と惰性走行との切換毎に僅かであるが運動エネルギを回収できないタイムラグが発生するが、本実施形態ではこのような事態も防止できるため、よりエネルギ効率を高めることができる。
ところで、本実施形態のように事前に降坂路の勾配や終点が判っている場合には、回生走行後に第1実施形態のように車両1を惰性走行させて運動エネルギを蓄えることも可能である。このときの車速Vの増加はオートクルーズの制御範囲内に制限されるが、車速Vが高い状態で降坂路の終点から平坦路や登坂路に移行するため、移行した当初には蓄えた運動エネルギにより車両1を走行させることができる。以下、この場合を第3実施形態として説明する。
[第3実施形態]
本実施形態の構成及び車両ECU13の処理は基本的に第2実施形態に即したものであるため、相違点を重点的に説明する。
図6は車両ECU13が実行するモータ回生制御ルーチンを示すフローチャートである。
車両ECU13は走行中の車両1が降坂路に到達すると、ステップS22,26〜30を経てステップS32に移行し、モータ3の回生トルク、回生継続時間、回生継続時間相当の走行距離L1を算出する。これに加えて本実施形態では、降坂路で車両1を惰性走行させたときに車速Vをオートクルーズの目標車速Vtgtから制御範囲の上限値Vupまで増加させるために必要な惰性継続時間を算出する。なお、降坂路中で勾配が変化している場合には、その勾配変化を考慮して惰性継続時間を算出する。
そして、車速Vに基づき惰性継続時間を走行距離L2に換算し、降坂路の終点を基準として走行距離L2だけ手前側の地点を惰性走行の開始地点として設定し、終点を基準として走行距離L1+L2だけ手前側の地点を回生走行の開始地点として設定する(回生条件設定手段)。
車両1が回生制御の開始地点に到達すると、ステップS34からステップS36に移行して回生走行を実行し(回生制御手段)、その後にステップS42で車両1が惰性制御の開始地点に到達したか否かを判定する。判定がNoのときにはステップS36で回生走行を継続し、判定がYesになるとステップS44に移行して惰性走行を実行し(回生制御手段)、ルーチンを終了する。その後もルーチンを繰り返し、車両1が降坂路の終点に到達してステップS22の判定がNoになると、ステップS4で通常走行に切り換える。
従って、図7のタイムチャートに示すように、降坂路を走行する車両1が回生走行の開始地点に到達すると、まずモータ3の回生制御が開始される(図7中のポイントh)。回生制御は第2実施形態と同様に行われ、降坂路の終点よりも手前に設定された惰性走行の開始地点に車両1が到達した時点で、バッテリ11のSOCが上限値Bに達すると共に発熱量Hが上限許容値A1に達する(図7中のポイントi)。
このときに回生走行から惰性走行に切り換えられ、発熱量Hが次第に低下すると共に車速Vが増加し始める。降坂路の終点に車両1が到達した時点で、車速Vはオートクルーズの制御範囲の上限Vupに達し、車両1には車速Vの増加分が運動エネルギとして蓄えられる(図7中のポイントj)。
降坂路の終点からは平坦路や登坂路に移行するが、移行した当初は車速Vの増加として車両1に蓄えられた運動エネルギを利用できる。このため、例えば図7中に示す走行距離L3の区間では、バッテリ11の電力を消費することなく車両1の走行が可能となる。よって、第1実施形態に比較して、降坂路で得られる車両1の運動エネルギを一層効率よく車両1の走行に利用することができる。
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば上記各実施形態では、エンジン2に加えて走行用動力源としてモータ3を搭載したハイブリッド型トラック1に具体化したが、モータ3のみを搭載した電気自動車に具体化してもよいし、バスや乗用車に具体化してもよい。
また上記各実施形態では、オートクルーズ中の降坂路での走行を前提としたが、これに限るものではない。例えばオートクルーズを作動させない降坂路での走行中に各実施形態の対策を実行してもよい。このような場合でも回生走行中には運転者の違和感を防止するために急激な車速Vの変化を抑制しながらモータ3による回生走行が行われる。従って、オートクルーズのように車速Vを正確に制御範囲内に保つ必要はないが、運転者が違和感を抱かない程度の範囲内で車速Vを保持しながら、各実施形態の対策を実行することになる。
また上記第2実施形態では、降坂路の終点でバッテリ11が満充電となり且つ発熱量Hが上限許容値A1に到達するようにモータ3の回生トルクを制限したが、これに限ることはない。事前に取得した降坂路の情報から降坂路の長さが判明しているため、その長さの範囲内で回生走行の走行距離L1を任意に変更可能である。降坂路が長い場合には十分に長い走行距離L1を設定できるため、バッテリ11を満充電する要求を満たした上で、モータ3の回生トルクをより制限できる。このときには発熱量Hの増加が緩慢になることから、降坂路の終点ではバッテリ11は満充電になるものの、発熱量Hは上限許容値A1に到達しないことになる。このような設定に基づき制御を実行してもよく、この場合でも第2実施形態で述べた作用効果を得ることができる。
2 エンジン
3 モータ
9 駆動輪
11 バッテリ
13 車両ECU(降坂路走行判定手段、発熱量推定手段、回生制御手段、
降坂路情報取得手段、回生条件設定手段、オートクルーズ制御手段)
32 通信装置(降坂路情報取得手段)

Claims (4)

  1. モータの駆動力を駆動輪側に伝達して走行すると共に、降坂路の走行中にはモータを回生制御して回生電力をバッテリに充電する電気自動車において、
    上記車両が降坂路を走行中であることを判定する降坂路走行判定手段と、
    上記降坂路走行判定手段により降坂路での走行が判定されているときに、上記バッテリの充電に起因する発熱量を推定する発熱量推定手段と、
    上記降坂路での走行中に上記モータの回生制御を実行し、上記発熱量推定手段により推定された発熱量が予め設定された上限許容値に達したときに、上記モータの回生制御を中止して車両を惰性走行させ、その後に上記発熱量が予め上記上限許容値よりも小さな値に設定された回復判定値まで低下したときに上記モータの回生制御を再開する回生制御手段と
    を備えたことを特徴とする電気自動車の回生制御装置。
  2. モータの駆動力を駆動輪側に伝達して走行すると共に、降坂路の走行中にはモータを回生制御して回生電力をバッテリに充電する電気自動車において、
    車両の前方に存在する降坂路の情報を取得する降坂路情報取得手段と、
    上記降坂路情報取得手段による情報から求めた上記降坂路の勾配及び該降坂路の終点に基づき、上記バッテリの充電に起因する発熱量を予め設定された上限許容値以下に抑制し且つ上記降坂路の終点で該バッテリを満充電とすることができる上記モータの回生トルク及び該回生トルクの回生継続時間を設定すると共に、上記降坂路の終点よりも上記回生継続時間相当の走行距離だけ手前側に回生制御の開始地点を設定する回生条件設定手段と、
    上記車両が降坂路を走行して上記回生条件設定手段により設定された回生制御の開始地点に到達したときに、上記回生条件設定手段により設定された回生トルクに基づき上記モータの回生制御を開始する回生制御手段と
    を備えたことを特徴とする電気自動車の回生制御装置。
  3. 車両の走行速度を目標車速を中心とした所定の制御範囲内に保つオートクルーズ制御手段を備え、
    上記回生制御手段は、上記オートクルーズ制御手段による制御中において、上記車両の惰性走行により上記バッテリの発熱量が上記回復判定値まで低下する以前に該車両の走行速度が上記オートクルーズ制御手段による制御範囲の上限値に達したときには、上記惰性走行を中止して上記モータの回生制御を再開することを特徴とする請求項1記載の電気自動車の回生制御装置。
  4. 車両の走行速度を目標車速を中心とした所定の制御範囲内に保つオートクルーズ制御手段を備え、
    上記回生条件設定手段は、上記オートクルーズ制御手段による制御中において、上記降坂路での惰性走行によって上記車両の走行速度を上記オートクルーズ制御手段による目標車速から制御範囲の上限値まで増加させるために必要な惰性継続時間を算出し、上記降坂路の終点よりも上記惰性継続時間相当の走行距離だけ手前側に惰性走行の開始地点を設定すると共に、該惰性走行の開始地点よりも上記回生継続時間相当の走行距離だけ手前側に上記回生制御の開始地点を設定し、
    上記回生制御手段は、上記車両が降坂路を走行して上記回生制御の開始地点に到達したときに上記モータの回生制御を開始し、その後に該車両が上記惰性走行の開始地点に到達したときに上記車両の惰性走行を開始することを特徴とする請求項2記載の電気自動車の回生制御装置。
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