JP2014103652A - 音響チップ及び音響装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、拡声器のカーボンナノチューブフィルムが破壊されにくく、且つ使用に便利な音響チップを提供し、また、構造が簡潔であり、生産、小型化及び産業化が実現し易い音響装置を提供する。
【解決手段】本発明の音響チップは、拡声器と、筐体と、を含み、前記拡声器は第一基板と、音波発生器と、少なくとも一つの第一電極と、少なくとも一つの第二電極と、を含み、第一基板は第一表面を含み、音波発生器は、第一基板の第一表面に設置され、少なくとも一つの第一電極及び少なくとも一つの第二電極は、互いに間隔あけて設置されて、音波発生器と電気的に接続され、筐体はスペースを有し、前記拡声器は、このスペースに収容される。
【選択図】図1

Description

本発明は、音響チップ及び音響装置に関し、特に熱音響チップ及び熱音響装置に関するものである。
一般的に、拡声器は、信号装置及び音波発生器を含む。信号装置は、信号を音波発生器に伝送する。熱音響装置は、熱音響現象を利用した音響装置の一種であり、導電体に交流電流を流すと熱により音が発生する。具体的には、熱音響装置に熱が生じて、周辺の媒体へ伝播され、この伝播された熱で生じた熱膨張によって、周辺の媒体の密度を変化させて、音波を発生させる。
非特許文献1を参照すると、熱音響装置では、音波発生器にカーボンナノチューブフィルムが利用されている。このカーボンナノチューブフィルムは、比表面積が大きく、単位面積当たりの熱容量も小さい(2×10−4J/cm・Kより小さい)ため、熱音響装置が発生した音波は強く、熱音響周波数も広い(100Hz〜100kHz)。
しかし、非特許文献1における音波発生器は、電気エネルギーを熱に転換し、且つ空気を加熱して音を発生させるため、この原理は従来の喇叭のような音を発生させる原理と区別され、熱音響装置用に別に大きい駆動電路を設計する必要がある。従って、熱音響装置の構造は複雑になり、熱音響装置の使用が不便になり、小型化にも不利になる。また、拡声器の音波発生器に利用するカーボンナノチューブフィルムは、外力で破壊され易いため、熱音響装置の使用寿命に影響を与える。
中国特許出願公開第101239712号明細書 特開2004−107196号公報 特開2006−161563号公報
Lin Xiao et al.,"Flexible,Stretchable,Transparent Carbon Nanotube Thin Film Loudspeakers",Nano Letters,Vol.8(12),p.4539−4545
前記課題を解決するために、本発明は、拡声器のカーボンナノチューブフィルムが破壊されにくく、且つ使用に便利な音響チップを提供し、また、構造が簡単であり、生産、小型化及び産業化が実現し易い熱音響装置を提供する。
本発明の音響チップは、拡声器と、筐体と、を含み、拡声器は第一基板と、音波発生器と、少なくとも一つの第一電極と、少なくとも一つの第二電極と、を含み、第一基板は、第一表面を有し、音波発生器は、第一基板の第一表面に設置され、少なくとも一つの第一電極及び少なくとも一つの第二電極は、互いに間隔あけて設置されて、音波発生器と電気的に接続され、筐体はスペースを有し、前記拡声器は、このスペースに収容され、筐体は少なくとも一つの開孔を有し、音波発生器は少なくとも一つの開孔と対向して設置され、筐体は少なくとも二つのピンを有し、この少なくとも二つのピンによって、筐体は少なくとも一つの第一電極及び少なくとも一つの第二電極と電気的に接続される。
前記基板の第一表面に複数の突起と複数の凹部は形成され、前記凹部の深さは100μm〜200μmであることを特徴とする、請求項1記載の音響チップ。
本発明の音響装置は、音響チップと、集積回路チップと、プリント基板と、を含み、音響チップは、プリント基板に設置され、集積回路チップは、プリント基板に設置され、前記プリント基板によって、音響チップと集積回路チップとは電気的に接続される。
従来の技術と比べて、本発明の音響チップ及び音響装置には以下の優れた点がある。第一に、拡声器がスペースに収容されることによって、拡声器のカーボンナノチューブ構造体を保護できるため外力によってカーボンナノチューブ構造体が破壊されない。第二に、ピンによって、音響装置は外部回路と接続できるため、使用に便利であり、且つ従来の電子部品の回路板に適用することができる。第三に、集積回路チップは、プリント基板に設置され、このプリント基板によって、拡声器はプリント基板に設置される。この際、プリント基板によって、拡声器と集積回路チップとは電気的に接続される。これにより、音響装置は構造が簡潔になり、小型化を実現できるため、使用に便利である。
本発明の実施例1における音響チップの構造図である。 本発明の実施例1の音響チップにおけるカーボンナノチューブフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例1に利用された非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤの走査型電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例1に利用されたねじれ状カーボンナノチューブワイヤの走査型電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例2における音響チップの構造図である。 本発明の実施例3における音響チップの構造図である。 本発明の実施例4における音響チップの構造図である。 本発明の実施例5における音響チップの構造図である。 本発明の実施例6における音響チップの構造図である。 本発明の実施例7における音響チップの構造図である。 本発明の実施例8における音響チップの構造図である。 本発明の実施例9における音響チップの構造図である。 本発明の実施例10における音響チップの構造図である。 本発明の実施例10における拡声器の上面図である。 本発明の実施例10における有機溶剤で処理した後のカーボンナノチューブワイヤの光学顕微鏡写真である。 本発明の実施例10における拡声器の光学顕微鏡写真である 本発明の実施例10における音響チップの音の発生の効果図である。 本発明の実施例10における音響チップの音圧レベル‐周波数の曲線図である。 本発明の実施例11における音響装置の構造図である。 本発明の実施例12における音響装置の構造図である。 本発明の実施例13における音響装置の構造図である。 本発明の実施例14における音響装置の構造図である。 本発明の実施例15における音響装置の構造図である。 本発明の実施例16における音響装置の構造図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
図1を参照すると、本実施例の音響チップ10Aは、拡声器100と、筐体200と、を含む。該筐体200は、スペースを有し、拡声器100はこのスペースに収容される。
拡声器100は、第一基板102と、第一電極104と、第二電極106と、音波発生器108と、を含む。第一基板102は、対向する第一表面101及び第二表面103を有する。第一電極104と第二電極106とは、互いに間隔をあけて設置され、音波発生器108と電気的に接続される。第一基板102が絶縁基板である場合、第一電極104及び第二電極106は、第一基板102の第一表面101に直接設置される。また、音波発生器108は、第一基板102の第一表面101に接触して設置しても良い。或いは、音波発生器108は、第一電極104及び第二電極106によって、懸架して設置されても良い。
第一基板102の形状は制限されず、円形、方形、矩形及び他の形状でも良い。第一基板102の第一表面101及び第二表面103は、平面或いは曲面である。第一基板102のサイズは制限されず、必要に応じて選択可能であるが、好ましくは、第一基板102の面積は25mm〜100mmである。具体的には、第一基板102の面積は40mm、60mm或いは80mmである。第一基板102の厚さは0.2mm〜0.8mmである。これにより、マイクロサイズの音響チップを製造でき、電子部品(例えば、携帯電話、コンピュータ、イヤホンなど)の小型化を実現することができる。
また、第一基板102の材料も制限されず、特定の強度を有する硬質材料或いは軟質材料であれば良い。本実施例において、第一基板102の材料の抵抗は音波発生器108の抵抗より大きい。また、第一基板102の材料が、優れた断熱性を有するので、音波発生器108が、第一基板102の第一表面101に接触して設置された場合、音波発生器108が発生させた熱が、第一基板102に吸収されることを防止することができる。第一基板102の材料は、ガラス、セラミック、石英、ダイヤモンド、ポリマー、酸化ケイ素、金属酸化物或いは木質材料である。具体的には、本実施例において、第一基板102は一辺の長さが8mmの正方形であり、厚さは0.6mmであり、材料はガラスである。また、第一基板102の第一表面101は平面である。
音波発生器108は、単位面積当たりの熱容量が非常に低い。本実施例において、音波発生器108の単位面積当たりの熱容量は、2×10−4J/cm・Kより小さい。具体的には、音波発生器108は導電構造体であり、比表面積が大きく、厚さが薄い。これにより、音波発生器108は、入力された電気エネルギーを熱に変換することができ、且つ周辺の媒体と熱とを素早く交換することができる。また、音波発生器108は、自立構造であることが好ましい。ここで、自立構造とは、支持体を利用しなくとも利用できる構造のことである。つまり、音波発生器108は、支持体を利用せず、自身の特定の形状を保持する。これにより、音波発生器108は、その一部分を懸架して設置でき、また、周辺の媒体と十分に接触でき、熱を伝播することができる。ここで、周辺の媒体とは、音波発生器108の外部に存在する媒体であり、音波発生器108の内部に存在する媒体ではない。例えば、音波発生器108が、複数のカーボンナノチューブのみからなる場合、その周辺の媒体は、各カーボンナノチューブ内に存在する媒体を含まない。
本実施例において、音波発生器108は、カーボンナノチューブ構造体を含み、好ましくはカーボンナノチューブ構造体のみからなる。具体的には、該カーボンナノチューブ構造体は層状構造である。この層状構造のカーボンナノチューブ構造体の厚さは、好ましくは、0.5nm〜1mmである。カーボンナノチューブ構造体の厚さが薄く、例えば10nm以下である場合、カーボンナノチューブ構造体の透明度が優れる。カーボンナノチューブ構造体は自立構造であり、カーボンナノチューブ構造体における複数のカーボンナノチューブは分子間力で相互に接続するので、カーボンナノチューブ構造体は特定の形状を有する。従って、カーボンナノチューブ構造体の一部は第一基板102に支持され、他の部分は懸架されることができる。即ち、カーボンナノチューブ構造体の少なくとも一部分は懸架して設置される。
カーボンナノチューブ構造体は、少なくともカーボンナノチューブフィルム、或いはカーボンナノチューブワイヤ、或いはそれらの組み合わせを、含み、好ましくはカーボンナノチューブのみからなる。カーボンナノチューブフィルムは、カーボンナノチューブアレイから直接に引き伸ばして得られる。カーボンナノチューブフィルムの厚さは0.5nm〜100μmであり、カーボンナノチューブフィルムの単位面積当たりの熱容量は1×10−6J/cm・Kより小さい。カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブの一種又は多種である。単層カーボンナノチューブの直径は0.5nm〜50nmであり、二層カーボンナノチューブの直径は1nm〜50nmであり、多層カーボンナノチューブの直径は1.5nm〜50nmである。該カーボンナノチューブフィルムの長さは制限されず、幅はカーボンナノチューブアレイの幅によって選択可能である。
図2を参照すると、カーボンナノチューブフィルムは、複数のカーボンナノチューブからなる自立構造であり、該複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って配列されている。複数のカーボンナノチューブの延伸する方向は、カーボンナノチューブフィルムの表面と基本的に平行である。また、複数のカーボンナノチューブは分子間力で接続されている。具体的に、複数のカーボンナノチューブにおける各カーボンナノチューブは、延伸する方向における隣接するカーボンナノチューブと、分子間力で端と端とが接続されている。また、カーボンナノチューブフィルムは、少数のランダムなカーボンナノチューブを含む。しかし、大部分のカーボンナノチューブは同じ方向に沿って配列されているので、このランダムなカーボンナノチューブの延伸方向は、大部分のカーボンナノチューブの延伸方向には影響しない。
カーボンナノチューブフィルムは自立構造である。ここで、自立構造とは、支持体を利用せず、カーボンナノチューブフィルムを独立して利用することができる形態のことである。すなわち、カーボンナノチューブフィルムを対向する両側から支持して、カーボンナノチューブフィルムの構造を変化させずに、カーボンナノチューブフィルムを懸架させることができることを意味する。カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブは、分子間力で端と端とが互いに接続されて配列することによって、自立構造が実現する。具体的には、カーボンナノチューブフィルムにおける多数のカーボンナノチューブは、基本的に絶対的な直線状ではなく、やや湾曲しても良い。又は、延伸する方向が完全に配列せず、少しずれても良い。従って、同じ方向に沿って配列されている複数のカーボンナノチューブの中において、隣同士のカーボンナノチューブが部分的に接触する可能性がある。
前記複数のカーボンナノチューブは、第一基板102の第一表面101に平行である。カーボンナノチューブ構造体が複数のカーボンナノチューブフィルムを含み、該複数のカーボンナノチューブフィルムの広さが非常に小さい場合、複数のカーボンナノチューブフィルムは、同一面上で第一基板102の第一表面101に並べて設置される。また、カーボンナノチューブ構造体は、相互に重なった多層のカーボンナノチューブフィルムを含み得て、この場合、隣接する二層のカーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブは交差して角度βを有し、この角度βは、0°〜90°であり、好ましくは90°である。カーボンナノチューブフィルムの製造方法は、特許文献1に掲載されている。
本実施例において、音波発生器108は、単層のカーボンナノチューブフィルムである。第一電極104及び第二電極106によって、第一基板102の第一表面101に、前記単層のカーボンナノチューブフィルムは懸架して設置される。単層のカーボンナノチューブフィルムの厚さは50nmであり、単層のカーボンナノチューブフィルムの光透過率は67%〜95%である。カーボンナノチューブフィルムは強い接着性を有するので、第一電極104の表面及び第二電極106の表面に、直接に接着できる。また、カーボンナノチューブフィルムを、接着剤によって第一電極104の表面及び第二電極106の表面に固定することができる。カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブは、第一電極104から第二電極106に向かって延伸する。
更に、カーボンナノチューブフィルムを、第一電極104の表面及び第二電極106の表面に、直接接着させた後、有機溶剤によって、カーボンナノチューブフィルムを処理する。具体的には、試験管を使用して、有機溶剤をカーボンナノチューブフィルムが浸るまで垂らす。該有機溶剤は、揮発性の有機溶剤であり、例えば、エタノール、メタノール、アセトン、塩化エチレン或いはクロロホルムである。本実施例において、有機溶剤はエタノールである。揮発性の有機溶剤が揮発すると、表面張力の作用によって、微視的には、カーボンナノチューブフィルムにおける一部分の隣接するカーボンナノチューブは収縮して束になる。また、前記一部分の隣接するカーボンナノチューブは収縮して束になるため、カーボンナノチューブフィルムの機械強度及び強靭度は増強し、カーボンナノチューブフィルムの表面積は減少し、接着性は小さくなる。巨視的には、カーボンナノチューブフィルムは均一なフィルム構造になる。
カーボンナノチューブワイヤは、非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤ又はねじれ状カーボンナノチューブワイヤである。非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤ及びねじれ状カーボンナノチューブワイヤは自立構造である。図3を参照すると、カーボンナノチューブワイヤが、非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤである場合、分子間力で端と端とが接続された複数のカーボンナノチューブセグメント(図示せず)を含む。さらに、各々のカーボンナノチューブセグメントに、同じ長さの複数のカーボンナノチューブが平行に配列されている。複数のカーボンナノチューブは、カーボンナノチューブワイヤの中心軸に平行に配列されている。カーボンナノチューブセグメントの長さ、厚さ、均一性及び形状は制限されない。非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤの長さは制限されず、その直径は、0.5nm〜100μmである。有機溶剤によって、図2のカーボンナノチューブフィルムを処理して、非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤを得る。具体的には、有機溶剤によって、カーボンナノチューブフィルムの全ての表面を浸す。その後、揮発性の有機溶剤が揮発すると、表面張力の作用によって、カーボンナノチューブフィルムにおける相互に平行する複数のカーボンナノチューブが分子間力によって互いに緊密に結合して、カーボンナノチューブフィルムが収縮して、非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤを形成する。前記有機溶剤はエタノール、メタノール、アセトン、塩化エチレン或いはクロロホルムである。この有機溶剤によって処理されないカーボンナノチューブフィルムと比較して、有機溶剤によって処理される非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤは、比表面積が減少し、接着性も小さい。また、カーボンナノチューブワイヤの機械強度及び強靭度は増強し、外力によってカーボンナノチューブワイヤが破壊される可能性が低くなる。
図4を参照すると、図2のカーボンナノチューブフィルムの長手方向に沿う対向する両端に対して、相反する力を印加することにより、ねじれ状カーボンナノチューブワイヤを形成することができる。このねじれ状カーボンナノチューブワイヤは、好ましくは、分子間力によって端と端とが接続された複数のカーボンナノチューブセグメント(図示せず)を含む。また、各々のカーボンナノチューブセグメントには、同じ長さの複数のカーボンナノチューブが平行に配列されている。カーボンナノチューブセグメントの長さ、厚さ、均一性及び形状は制限されない。一本のねじれ状カーボンナノチューブワイヤの長さは制限されず、その直径は、0.5nm〜100μmである。更に、有機溶剤によって、ねじれ状カーボンナノチューブワイヤを処理する。この有機溶剤によって処理されたねじれ状カーボンナノチューブワイヤは、比表面積が減少し、接着性も小さい一方、カーボンナノチューブワイヤの機械強度及び強靭度が増強する。カーボンナノチューブワイヤの製造方法は、特許文献2及び特許文献3に掲載されている。
第一電極104及び第二電極106は、音波発生器108と電気的にそれぞれ接続され、また、この第一電極104及び第二電極106によって、周波数電気信号を音波発生器108に入力する。第一電極104及び第二電極106は、第一基板102の第一表面に直接設置されても良い。或いは、支持素子を用いて、第一電極104及び第二電極106は、第一基板102の第一表面に設置されても良い。第一電極104及び第二電極106は、導電材料からなり、その形状と構造は制限されない。具体的には、第一電極104及び第二電極106は、細長いストリップ状、棒状或いは他の形状でも良く、その材料は、金属、導電ポリマー、導電性接着剤、導電ペースト、導電スラリー、金属性のカーボンナノチューブ、ITOなどの導電性材料である。カーボンナノチューブは、その軸方向に優れた導電性を有するため、カーボンナノチューブが同じ方向に沿って配列される際、カーボンナノチューブは、第一電極104から第二電極106までの方向に沿って延伸するのが好ましい。本実施例において、第一電極104及び第二電極106は、平行して設置される二つの導電スラリー層である。
拡声器100において、音波発生器108に含まれたカーボンナノチューブ構造は、筐体200によって保護されるので、外力によって該カーボンナノチューブ構造が破壊されない。筐体200のサイズと形状は制限されず、必要に応じて選択可能である。筐体200は少なくとも一つの開孔210を有し、該開孔210によって、拡声器100が発生させた音を、筐体200の外部に伝播することができる。音波発生器108は、好ましくは、第一基板102と開孔210との間に設置され、且つ少なくとも一つの開孔210と対向して設置される。本実施例において、筐体200は、第二基板202及び保護カバー204を含む。前記保護カバー204は、第二基板202の表面に設置される。拡声器100は、第二基板202の表面に設置され、保護カバー204は、拡声器100をカバーする。即ち、第二基板202と保護カバー204とはスペースを形成し、拡声器100は、該スペース内に収容される。
第二基板202はガラス板、セラミック板、プリント基板(PCB)、ポリマー板或いは木板である。第二基板202は、拡声器100を支持し、且つ固定するために用いられる。第二基板202のサイズと形状は制限されず、必要に応じて選択可能である。第二基板202の面積は、拡声器100のサイズより大きい。第二基板202の面積は36mm〜150mmであり、例えば、49mm、64mm、81mm、100mmである。第二基板202の厚さは0.5mm〜5mmであり、例えば、1mm、2mm、3mm、4mmである。保護カバー204は環状側璧206及び底壁208を含む。該底壁208は複数の前記開孔210を有する。保護カバー204のサイズ及び形状は制限されず、必要に応じて選択可能である。保護カバー204のサイズは、拡声器100のサイズよりやや大きい。また、保護カバー204は、接着剤によって或いは取り外し可能な方式によって、第二基板202の表面に固定される。保護カバー204の材料は、ガラス、セラミック、ポリマー或いは金属である。本実施例において、第二基板202はプリント基板であり、保護カバー204はその一端が開口された金属バケツ型である。保護カバー204と拡声器100とは、互いに間隔をあけて設置される。
筐体200は、二つのピン212を有し、該二つのピン212は筐体200の外部に設置される。二つのピン212の位置に制限はない。二つのピン212は、第一電極104及び第二電極106とそれぞれ電気的に接続される。また、二つのピン212は、ピングリッドアレイ(PGA)、表面実装型(SMT)或いは他の形状である。二つのピン212がピングリッドアレイである場合、電子部品に音響チップ10Aを設置する際、二つのピン212は、電子部品の電気回路板における対応する挿孔に直接挿入される。二つのピン212が表面実装型である場合、電子部品に音響チップ10Aを設置する際、二つのピン212は電子部品の電気回路板の表面に溶接される。本実施例において、二つのピン212は、ピングリッドアレイであり、第二基板202の拡声器100と反対側の底面に設置され、且つ導線110によって、第一電極104及び第二電極106にそれぞれ電気的に接続される。
(実施例2)
図5を参照すると、本発明の実施例2は、音響チップ10Bを提供する。本実施例の音響チップ10Bは、複数の拡声器100と、複数の筐体200と、を含む。該複数の筐体200は、複数のスペースを有し、複数の拡声器100は、この複数のスペースにそれぞれ収容される。
本実施例2の音響チップ10Bの構造と、実施例1の音響チップ10Aの構造とは基本的に同じであるが、異なる点は、音響チップ10Bが、一つの第二基板202と、複数の保護カバー204と、複数の拡声器100と、を含む点である。複数の拡声器100は、第二基板202の表面に設置され、且つ対応する各保護カバー204にカバーされる。更に、筐体200は、複数のピン212を有し、各一つの拡声器100に対して二つのピン212が設置され、且つ対応する拡声器100の二つの電極と電気的に接続される。電気回路を制御することによって、複数の拡声器100は、同時に音を発生させる或いは特定の位相差で音を発生させる。複数の拡声器100が、並列或いは直列接続される場合、複数の拡声器100は二つのピン212を共用できる。
(実施例3)
図6を参照すると、本発明の実施例3は音響チップ10Cを提供する。本実施例の音響チップ10Cは、複数の拡声器100と、筐体200と、を含む。該筐体200はスペースを有し、複数の拡声器100は、このスペースに収容される。
本実施例3の音響チップ10Cの構造と、実施例1の音響チップ10Aの構造とは基本的に同じであるが、異なる点は、一つの筐体200が複数の拡声器100を収容する点である。更に、筐体200は、複数のピン212を有し、各拡声器100に対して二つのピン212が設置され、且つ対応する拡声器100の二つの電極と電気的に接続される。電気回路を制御することによって、複数の拡声器100は、同時に音を発生させる或いは特定の位相差で音を発生させる。複数の拡声器100が並列或いは直列接続される場合、複数の拡声器100は二つのピン212を共用できる。
(実施例4)
図7を参照すると、本発明の実施例4は音響チップ20Aを提供する。本実施例の音響装置20Aは、複数の拡声器100と、筐体200と、を含む。該筐体200はスペースを有し、複数の拡声器100は、このスペースに収容される。
本実施例4の音響チップ20Aの構造と、実施例1の音響チップ10Aの構造とは基本的に同じであるが、異なる点は、筐体200が、第二基板202と、保護ネット216を含み、該第二基板202は第一凹部214を有する点である。具体的には、拡声器100は第二基板202の第一凹部214内に設置され、保護ネット216は第一凹部214を被覆する。また、保護ネット216は複数の開孔210を有する。保護ネット216は金属ネット或いは繊維ネットでも良い。或いは、複数の開孔を有する金属板、セラミック板、樹脂板或いはガラス板でも良い。保護ネット216は、第一凹部214に懸架して設置される。第一凹部214は、エッチング、インプリント、モールディング、スタンピングによって製造される。本実施例において、第二基板202はプリント基板であり、保護ネット216は金属ネットである。また、筐体200は、二つのピンを有し、該二つのピンは、第二基板202の底部における同一側面或いは異なる側面に設置されても良い。
(実施例5)
図8を参照すると、本発明の実施例5は音響チップ20Bを提供する。本実施例の音響チップ20Bは、複数の拡声器100と、筐体200と、を含む。該筐体200はスペースを有し、複数の拡声器100は、このスペースに収容される。
本実施例5の音響チップ20Bの構造と、実施例4の音響チップ20Aの構造とは基本的に同じであるが、異なる点は、第二基板202が複数の第一凹部214を有し、この複数の第一凹部214が第二基板202の同一表面に設置され、拡声器100が、この第一凹部214内に設置され、一つの拡声器100が、一つの第一凹部214に対応し、一つの保護ネット216が、複数の第一凹部214を被覆する点である。更に、筐体200は複数のピン212を有し、各拡声器100に対して二つのピン212が設置され、該二つのピン212は、対応する拡声器100の二つの電極と電気的に接続される。電気回路を制御することによって、複数の拡声器100は同時に音を発生させる或いは特定の位相差で音を発生させる。複数の拡声器100が、並列或いは直列接続される場合、複数の拡声器100は、二つのピン212を共用できる。
(実施例6)
図9を参照すると、本発明の実施例6は音響チップ20Cを提供する。本実施例の音響チップ20Cは、複数の拡声器100と、筐体200と、を含む。該筐体200は、スペースを有し、複数の拡声器100は、このスペースに収容される。
本実施例6の音響チップ20Cの構造と、実施例4の音響チップ20Aの構造とは基本的に同じであるが、異なる点は、複数の拡声器100が一つの凹部214内に設置される点である。更に、筐体200は複数のピン212を有し、各拡声器100に対して二つのピン212が設置され、該二つのピン212は、対応する拡声器100の二つの電極と電気的に接続される。電気回路を制御することによって、複数の拡声器100は同時に音を発生させる或いは特定の位相差で音を発生させる。複数の拡声器100が、並列或いは直列接続される場合、複数の拡声器100は、二つのピン212を共用できる。
(実施例7)
図10を参照すると、本発明の実施例7は音響チップ30Aを提供する。本実施例の音響チップ30Aは、拡声器100と、筐体200と、を含む。該筐体200は、スペースを有し、拡声器100は、このスペースに収容される。
本実施例7の音響チップ30Aの構造と、実施例1の音響チップ10Aの構造とは基本的に同じであるが、異なる点は、拡声器100が、第一電極104と、第二電極106と、音波発生器108と、を含む点である。また、筐体200は、二つのピン212を有し、この二つのピン212は、表面実装型であり、且つ筐体200の両側にそれぞれ設置される。具体的には、第一電極104及び第二電極106は、第二基板202の表面に直接設置され、この第一電極104及び第二電極106によって、音波発生器108は懸架して設置される。即ち、拡声器100は第一基板102を省くことができる。これにより、音響装置30Aの構造は更に簡潔になる。また、第二基板202は、絶縁基板であることが好ましい。
(実施例8)
図11参照すると、本発明の実施例8は音響チップ30Bを提供する。本実施例の音響チップ30Bは、拡声器100と、筐体200と、を含む。該筐体200は、スペースを有し、拡声器100は、このスペースに収容される。
本実施例8の音響チップ30Bの構造と、実施例4の音響チップ20Aの構造とは基本的に同じであるが、異なる点は、拡声器100が、第一電極104と、第二電極106と、音波発生器108と、を含む点である。また、筐体200は、二つのピン212を有し、この二つのピン212は、表面実装型であり、且つ筐体200の両側にそれぞれ設置される。具体的には、本実施例において、凹部214の底面は一つの凹部を有し、この凹部によって、音波発生器108は懸架して設置される。即ち、拡声器100は、第一基板102は省くことができる。これにより、音響チップ30Bの構造は更に簡潔になる。また、第二基板202は絶縁基板であることが好ましい。本実施例において、二つのピン212は第二基板202の外表面に貼着される。
(実施例9)
図12を参照すると、本発明の実施例9は、音響チップ40A提供する。本実施例の音響チップ40Aは、拡声器100と、筐体200と、第一集積回路チップ120と、を含む。該筐体200は、スペースを有し、拡声器100及び第一集積回路チップ120は、このスペースに収容される。
本実施例9の音響チップ40Aの構造と、実施例4の音響チップ20Aの構造とは基本的に同じであるが、異なる点は、音響チップ40Aが、第一集積回路チップ120を含み、この第一集積回路チップ120は前記スペースに収容される点である。具体的には、第一基板102の第一表面101は第二凹部114を有し、この第二凹部114によって、音波発生器108は懸架して設置される。第一基板102の第二表面103に、第三凹部116を形成し、第一集積回路チップ120は、この第三凹部116内に設置される。筐体200は四つのピン212を有し、この内、二つのピン212は第一集積回路チップ120と電気的に接続される。これにより、第一集積回路チップ120に駆動電圧を提供する。他の二つのピン212は第一集積回路チップ120を介して、第一電極104及び第二電極106に電気的に接続されて、周波数電気信号を拡声器100に入力する。
第一集積回路チップ120を設置する位置は制限されず、基板に接触して設置され、例えば、第一基板102の第一表面101、第二表面103或いは第一基板102の内部に設置されれば良い。第一集積回路チップ120は、周波数電気信号の電力増幅回路(図示せず)及び直流バイアス回路(図示せず)を含む。第一集積回路チップ120は周波数電気信号に対して、電力増幅作用及び直流バイアス作用を有する。これにより、第一集積回路チップ120は、入力された周波数電気信号を増大させた後、音波発生器108に入力すると同時に、直流バイアスによって、周波数電気信号の周波数逓倍の問題を解決することができる。また、第一集積回路チップ120は、パッケージングされたチップ或いはパッケージングされていない裸のチップでも良い。第一集積回路チップ120のサイズ及び形状は制限されない。第一集積回路チップ120は、電力増幅作用及び直流バイアス作用を実現するのみであるから、内部回路構造は簡単であり、且つその面積は1cmより小さい、例えば、49mm、25mm、9mm或いは9mmより更に小さい。これにより、音響装置40Aは小型化される。本実施例において、第一集積回路チップ120は、接着剤によって第一基板102の第二表面103に固定される。また、第一集積回路チップ120は、二つの導線110によって、第一電極104及び第二電極106にそれぞれ電気的に接続される。第一基板102が絶縁基板である場合、第一基板102に二つの穴を形成し、この二つの穴に二つの導線110を通す。第一基板102が導電基板である場合、絶縁材料によって導線110を被覆する必要がある。音響チップ40Aが作動すると、第一集積回路チップ120は、音波発生器108に周波数電気信号を出力し、この出力された周波数電気信号によって、音波発生器108は間欠的に周辺の媒体を加熱して周辺の媒体に熱膨張させ、且つ熱交換を行って、音波を発生させる。
(実施例10)
図13及び図14を参照すると、本発明の実施例10は、音響チップ40Bを提供する。本実施例の音響チップ40Bは、拡声器100と、筐体200と、第一集積回路チップ120と、を含む。該筐体200は、スペースを有し、拡声器100及び第一集積回路チップ120は、このスペースに収容される。
本実施例10の音響チップ40Bの構造と、実施例9の音響チップ40Aの構造とは基本的に同じであるが、異なる点は、第一基板102がシリコンからなり、第一集積回路チップ120が、マイクロ電子加工によって、この第一基板102に直接に設置され、且つ第一基板102と一体成型される点である。また、この時、第一基板102の第一表面101は、複数の凹凸構造体122を有し、拡声器100は、複数の第一電極104及び複数の第二電極106を含む。
第一基板102は単結晶シリコン或いは多結晶シリコンである。第一基板102はシリコンからなるため、第一集積回路チップ120は、第一基板102に直接形成できる。即ち、第一集積回路チップ120における回路、マイクロ電子素子などは第一基板102に直接に集積することができる。電子回路及びマイクロ電子素子の担体である第一基板102は、第一集積回路チップ120と一体成型である。第一集積回路チップ120は、導線110によって、第一電極104及び第二電極106に電気的に接続される。導線110は第一基板102の内部において、第一基板102の第一表面101に垂直する方向に沿って、第一基板102を通っている。本実施例において、第一基板102は正方形の平面構造であり、その一つの辺の長さは0.8mmであり、厚さは0.6mmであり、材料は単結晶シリコンである。
凹凸構造体122は、複数の突起1220及び複数の凹部1222を含み、該複数の突起1220及び複数の凹部1222は交互に形成される。カーボンナノチューブ構造体の一部は、突起1220の表面に設置され、他の部分は、凹部1222を介して懸架して設置される。複数の第一電極104及び複数の第二電極106は、突起1220の表面におけるカーボンナノチューブ構造体の表面に交互に設置される。これにより、カーボンナノチューブ構造体は、第一基板102の第一表面101に固定される。複数の第一電極104は、電気的に連接されて、第一櫛歯電極を形成する。複数の第二電極106は電気的に連接されて、第二櫛歯電極を形成する。また、第一櫛歯電極の歯部及び第二櫛歯電極の歯部は、カーボンナノチューブ構造体と突起1220との間に設置されても良い。図16を参照すると、第一櫛歯電極の歯部と第二櫛歯電極の歯部とは交互に設置されている。この連接方式によって、隣接する第一電極104及び第二電極106は一つの熱音響ユニットを形成する。つまり、音波発生器108は複数の熱音響ユニットを備える。また、該複数の熱音響ユニットを並列させることにより、音波発生器108の駆動電圧を低くする。
複数の凹部1222は貫通溝、貫通穴、止まり溝、止まり穴のいずれか一種或いは多種である。また、均一な分布方式、特定の規則を有する分布方式或いはランダムな分布方式によって、複数の凹部1222が設置される。第一表面101において、凹部1222の長さは、第一基板102の辺の長さより短い。凹部1222の深さは必要に応じて或いは基板100の厚さによって選択できる。好ましくは、凹部1222の深さは100μm〜200μmである。この場合、第一基板102は、音波発生器108を保護すると同時に、第一基板102と音波発生器108との距離を確保することができる。前記距離により、音波発生器108が作動して発生させる熱が、第一基板102に完全に吸収されることができる。これにより、発生する熱が周辺の媒体へ伝播されないために音量が低くなることを防止し、かつ音波発生器が各音響周波数に優れた音響効果を有することを保証する。
凹部1222が延伸する方向における横断面の形状は、V字型、長方形、エ字形、台形、多辺形、円形或いは他の不規則な形状である。凹部1222の幅(つまり、凹部1222の横断面の長さの最大値)は0.2mm〜1mmである。本実施例において、凹部1222は溝であり、その横断面は逆台形である。即ち、溝の幅は、溝が深くなるにつれて狭くなる。逆台形の底面と側面とが成す角度はαであり、該角度αの大小は第一基板102の材料に関係している。具体的には、角度αの大小は、第一基板102の単結晶シリコンの結晶面の角度と同じである。好ましくは、複数の凹部1222は相互に平行で、且つ互いに間隔をあけて均一に分布する。隣接する二つの溝の間の距離はd1であり、d1は20μm〜200μmである。前記d1は、スクリーン印刷法によって、第一基板102の表面に第一電極104及び第二電極106を形成した場合、エッチングの精確性及び音響効果を高めることを保証できる。凹部1222の延伸方向は第一電極104及び第二電極106の延伸方向と平行である。
本実施例において、第一基板102の第一表面101には、相互に平行し、且つ互いに間隔あけて均一に分布する複数の逆台形の溝が形成されている。逆台形の溝の第一表面101上の幅は0.6mmであり、その深さは150μmであり、d1は100μmであり、角度αは54.7度である。
第一集積回路チップ120は、第一基板102の第二表面103と隣接する側に形成される。さらに、第一集積回路チップ120は、シリコン基板に直接集積できる。従って、第一集積回路チップ120を設置するスペースを最小にすることにより、音響装置40Bの体積を減少させることができる。これにより、音響装置が小型化でき且つ集積化に有利である。また、凹凸構造体122により、第一基板102は優れた散熱性を有し、第一集積回路チップ120及び音波発生器108から生じた熱を外界に迅速に伝導し、さらに熱音響効果を保証することができる。
音響チップ40Bの拡声器100の製造方法は、先ず、マイクロ電子加工法によって、基板に第一集積回路チップ120を集積する。次に、凹凸構造体122をエッチングする。最後に、凹凸構造体122にカーボンナノチューブ構造体を設置した後、第一電極104及び第二電極106を設置する。前記マイクロ電子加工は、エピタキシ、拡散加工、酸化加工、イオン注入加工、エッチングなどの何れかの一種である。カーボンナノチューブ構造体、第一電極104及び第二電極106を設置する際、高温が必要とされないので、第一集積回路チップ120が破壊されることがない。
更に、シリコン基板の第一表面101に、絶縁層118が設置される。絶縁層118は単層構造或いは多層構造である。絶縁層118が単層構造である場合、絶縁層118は突起1220の表面のみに設置され、或いは第一基板102の第一表面101の全てに貼設する。ここで、貼設とは、絶縁層118が凹部1222の底面と側面を被覆し、且つ突起1220の表面を被覆することである。即ち、絶縁層118は、直接凹部1222及び突起1220をカバーし、絶縁層118の起伏形状と、凹部1222及び突起1220との起伏形状は同じである。これにより、どのような場合であっても、絶縁層118は、第一基板102と音波発生器108とを絶縁させることができる。絶縁層118の材料は、シリカ、窒化ケイ素或いはその組み合わせであり、絶縁層118が、第一基板102と音波発生器108とを絶縁できれば他の絶縁材料であっても良い。絶縁層118の厚さは10nm〜2μmであり、具体的には、50nm、90nm或いは1μmである。また、第一基板102の材料が絶縁材料である場合は、絶縁層118を設ける必要がない。本実施例において、絶縁層118は連続的な単層シリコンであり、その厚さは1.2μmであり、第一基板102の第一表面101の全てを被覆する。
本実施例において、音波発生器108は、複数のカーボンナノチューブワイヤを含む。該複数のカーボンナノチューブワイヤは互いに間隔あけて平行して設置され、層状のカーボンナノチューブ構造体を形成する。カーボンナノチューブワイヤの延伸方向は、凹部1222の延伸方向と交差して特定の角度を成す。カーボンナノチューブワイヤにおけるカーボンナノチューブの延伸方向は、カーボンナノチューブワイヤの延伸方向と平行である。これにより、複数のカーボンナノチューブワイヤは、凹部1222と対応する位置に懸架して設置される。カーボンナノチューブワイヤの延伸方向は、好ましくは、凹部1222の延伸方向と垂直である。隣接するカーボンナノチューブワイヤの距離は1μm〜200μmである。好ましくは、50μm〜150μmである。本実施例において、隣接するカーボンナノチューブワイヤの距離は120μmであり、カーボンナノチューブワイヤの直径は1μmである。
複数のカーボンナノチューブワイヤの製造方法は、先ず、カーボンナノチューブフィルムを第一電極104及び第二電極106に設置し、次に、レーザーによって、カーボンナノチューブフィルムを切断して、互いに平行に且つ間隔あけて設置された複数のカーボンナノチューブストリップを形成する。最後に、有機溶剤によって、このカーボンナノチューブストリップを収縮させて、カーボンナノチューブワイヤを形成する。
図15を参照すると、前記有機溶剤によって、前記カーボンナノチューブストリップを処理して、互いに間隔あけて設置された複数のカーボンナノチューブワイヤが形成されている。カーボンナノチューブワイヤの両端は、第一電極104と第二電極106とにそれぞれ接続される。これにより、音波発生器108の駆動電圧を減少させ、音波発生器108の安定性を向上させる。図15において、暗い部分は基板であり、白い部分は電極である。
前記有機溶剤によって、カーボンナノチューブストリップを処理する過程において、突起1220の部分に位置するカーボンナノチューブは、絶縁層118の表面に強く固定されるので、基本的には収縮されない。従って、カーボンナノチューブワイヤは、第一電極104及び第二電極106に優好的に電気的に接続される。カーボンナノチューブストリップがカーボンナノチューブワイヤに好的に収縮されることを保証するため、カーボンナノチューブストリップの幅は10μm〜50μmである。カーボンナノチューブストリップの幅が、この10μm〜50μmより広い場合、カーボンナノチューブフィルストリップが収縮する過程において、裂け目が形成される可能性があり、熱音響効果に影響する。また、カーボンナノチューブストリップの幅が、10μm〜50μmより狭い場合、カーボンナノチューブストリップが収縮する過程において、破裂し得て、或いは、形成されたカーボンナノチューブワイヤが細いため、音波発生器の使用寿命に影響する。従って、本実施例において、カーボンナノチューブストリップの幅は30μmであり、収縮したカーボンナノチューブワイヤの直径は1μmであり、隣接するカーボンナノチューブワイヤの距離は120μmである。カーボンナノチューブストリップの幅に制限はなく、カーボンナノチューブワイヤが正常に音を発生させさえすれば、必要に応じてカーボンナノチューブストリップの幅を選択できる。前記有機溶剤によって処理した後、カーボンナノチューブワイヤは、第一基板102の表面に強く貼設され、且つ懸架された部分は張った状態を保持して、作動中において、カーボンナノチューブワイヤが変形しないことを保証する。これにより、カーボンナノチューブワイヤが変形して、熱音響効果に影響することを防止する。
図17及び図18は、凹部1222の異なる深さによる音響チップ40Bの音の発生効果を示している。凹部1222の深さは、100μm〜200μmであることが好ましい。この際、音響チップ40Bの拡声器100は、人の耳でも聞こえる音響周波数に達し、優れた熱の波長を有するため、小さいサイズでも熱音響効果に優れている。更に、第一基板102は音波発生器108を保護すると同時に、第一基板102と音波発生器108との間に十分な距離を確保する。前記距離により、音波発生器108が作動して発生する熱が、第一基板102に完全に吸収されることによって周辺の媒体へ伝播されないために音量が低くなることを防止する。並びに、音波発生器108が各音響周波数に対して優れた音響効果を有することを保証する。凹部1222の深さが深すぎると、音波発生器108の音響効果に悪い影響を与える問題がある。
(実施例11)
図19を参照すると、本発明の実施例11は、音響装置50を提供する。本実施例の音響装置50は、拡声器100と、第二集積回路チップ140と、プリント基板130と、を含む。拡声器100及び第二集積回路チップ140は、プリント基板130に設置され、また、このプリント基板130によって、拡声器100と第二集積回路チップ140とは電気的に接続される。
本実施例11の拡声器100の構造は、実施例1の拡声器100の構造と基本的に同じであるが、異なる部分は、第一電極104及び第二電極106は、導線110によって、プリント基板130の表面のパッド(図示せず)と電気的に接続される点である。また、拡声器は100は、接着剤によってプリント基板板130に固定され、或いは取り外し可能な方式(例えば、挿入式)によって、プリント基板130に固定される。
第二集積回路チップ140を設置する位置に制限はないが、拡声器100及び第二集積回路チップ140は、プリント基板130の表面に設置され、拡声器100が設置されたプリント基板130の表面に、第二集積回路チップ140が設置されるのが好ましい。第二集積回路チップ140は、接着剤によってプリント基板130に固定され、或いは取り外し可能な方式(例えば、挿入式)によってプリント基板130に固定される。また、第二集積回路チップ140は、周波数電気信号の電力増幅電路及び直流バイアス回路を含むため、第二集積回路チップ140は、周波数電気信号に対して、電力増幅作用及び直流バイアス作用を有する。これにより、第二集積回路チップ140は、入力された周波数電気信号を増大させた後、音波発生器108に入力すると同時に、直流バイアスによって、周波数電気信号の周波数逓倍の問題を解決する。第二集積回路チップ140は、パッケージングされたチップ或いはパッケージングされていない裸のチップでも良い。第二集積回路チップ140のサイズ及び形状は制限されない。第二集積回路チップ140は、電力増幅作用及び直流バイアス作用を実現するのみであるから、内部回路の構造は簡潔であり、且つその面積も1cmより小さい。例えば、49mm、25mm、9mm或いは9mmよりも更に小さい。これにより、音響装置50が小型化される。本実施例において、第二集積回路チップ140は、パッケージングされたチップであり、且つ複数のピン218を有する。集積電路チップ140とプリント基板130とは、この複数のピン218によって、取り外し可能な方式で互いに設置される。プリント基板130の内部のリード線によって、第二集積回路チップ140は、第一電極104及び第二電極106とにそれぞれ電気的に接続される。音響装置50が作動すると、第二集積回路チップ140は、音波発生器108に周波数電気信号を出力する。この出力された周波数電気信号によって、音波発生器108は断続的に周辺の媒体を加熱して周辺の媒体に熱膨張させ、且つ熱交換を行って音波を発生させる。
プリント基板130は、銅箔が被覆されたラミネートを処理して形成される。また、拡声器100と第二集積回路チップ140とを、必要に応じて、プリント基板130によって、電気的に接続することができる。プリント基板130の表面には、コネクタ(図示せず)が設置され、プリント基板130の内部には複数のリード線(図示せず)が設置されている。前記コネクタ及び複数のリード線によって、拡声器100及び他の電子素子が設置される或いは接続される。前記コネクタは、プリント基板130に集積され、パット、ピン及び挿孔の何れかの一種或いは多種である。プリント基板130のサイズ及び形状は制限されず、必要に応じて選択可能である。また、音響装置50は、電子部品(例えば、携帯電話、コンピュータなど)の内部に設置されて、電子部品の回路とプリント基板130とは電気的に接続されても良い。
(実施例12)
図20を参照すると、本発明の実施例12は音響装置60を提供する。本実施例の音響装置60は、音響チップ10A、第二集積回路チップ140と、プリント板130と、を含む。第二集積回路チップ140は、複数のピン218によって、プリント基板130に設置され、音響チップ10Aは、ピン212によって、プリント基板130に設置される。また、プリント基板130によって、音響チップ10Aと第二集積回路チップ140とは電気的に接続される。
本実施例12の音響装置60の構造と、実施例11の音響装置50の構造とは基本的に同じであるが、異なる点は、音響装置60が、筐体200を含み、該筐体200がスペースを有し、拡声器100が、このスペースに収容される点である。筐体200の外部の二つのピン212によって、音響チップ10Aはプリント基板130に設置される。本実施例において、二つのピン212はピングリッドアレイであり、第二基板202の拡声器100と反対側の底面に設置され、導線110によって、第一電極104及び第二電極106にそれぞれ電気的に接続される。
(実施例13)
図21を参照すると、本発明の実施例13は音響装置70Aを提供する。本実施例の音響装置70Aは、音響チップ20Aと、第二集積回路チップ140と、プリント基板130と、を含む。集積電路チップ140は、複数のピン218によって、プリント基板130に設置され、音響チップ20Aは、ピン212によって、プリント基板130に設置される。また、音響チップ20Aと第二集積回路チップ140とは、プリント基板130によって、電気的に接続される。
本実施例13の音響装置70Aの構造と、実施例11の音響装置50の構造とは基本的に同じであるが、異なる点は、音響装置70Aが筐体200を含み、該筐体200が、スペースを有し、拡声器100が、このスペースに収容される点である。音響チップ20Aは、二つのピン212によって、プリント基板130に設置される。二つのピン212はピングリッドアレイであり、第二基板202の拡声器100と反対側の底面に設置され、導線110によって、第一電極104及び第二電極106にそれぞれ電気的に接続される。
(実施例14)
図22を参照すると、本発明の実施例14は音響装置70Bを提供する。本実施例の音響装置70Bは、音響チップ20Aと、第二集積回路チップ140と、プリント基板130と、及び電子素子150と、を含む。第二集積回路チップ140は、複数のピン218によって、プリント基板130に設置され、音響チップ20Aは、ピン212によって、プリント基板130に設置される。また、プリント基板130によって、音響チップ20Aと第二集積回路チップ140とは電気的に接続される。
本実施例14の音響装置70Bの構造と、実施例13の音響装置70Aの構造とは基本的に同じであるが、異なる点は、音響装置80が少なくとも一つの電子素子150を含み、該少なくとも一つの電子素子150がプリント基板130に設置される点である。電子素子150は静電容量素子、抵抗素子などである。電子素子150の種類と数量は必要に応じて選択可能である。電子素子150と第二集積回路チップ140とは相互に接続され、拡声器100の動作を支持する。
(実施例15)
図23を参照すると、本発明の実施例15は音響装置80を提供する。本実施例の音響装置80は、音響チップ20Aと、第二集積回路チップ140と、プリント回路基板130と、を含む。複数のピン218によって、第二集積回路チップ140はプリント基板130に設置され、ピン212によって、音響チップ20Aは、プリント基板130に設置される。また、プリント基板130によって、音響チップ20Aと第二集積回路チップ140とは電気的に接続される。
本実施例15の音響装置80の構造と、実施例13の音響装置70Aの構造とは基本的に同じであるが、異なる点は、二つのピン212が表面実装型であり、該二つのピン212が、筐体200のプリント基板130と接触する二つのコーナーに設置される点である。二つのピン212は対応するプリント基板130のパットと溶接される。
(実施例16)
図24を参照すると、本発明の実施例16は音響装置90を提供する。本実施例の音響装置90は、音響チップ40Bと、第二集積回路チップ140と、プリント基板130と、を含む。第二集積回路チップ140は、複数のピン218によって、プリント基板130に設置され、音響チップ40Bは、ピン212によって、プリント基板130に設置される。また、プリント基板130によって、音響チップ40Bと第二集積回路チップ140とは電気的に接続される。
本実施例16の音響装置90構造と、実施例13の音響装置70Aの構造とは基本的に同じであるが、異なる点は、第一基板102の第一表面101が、複数の凹凸構造体122を有し、拡声器100が複数の第一電極104及び複数の第二電極106を含む点である。
本発明の音響チップ及び音響装置には以下の優れた点がある。第一に、拡声器がスペースに収容されることによって、拡声器のカーボンナノチューブ構造体を保護できるため、外力によってカーボンナノチューブ構造体が破壊されない。第二に、ピンによって、音響装置は外部回路と接続できるため、使用に便利であり、且つ従来の電子部品の回路板に適用することができる。第三に、集積回路チップは、プリント基板に設置され、拡声器は、基板によって、プリント基板に設置される。この際、プリント基板によって、拡声器と集積回路チップとは電気的に接続される。これにより、音響装置は構造が簡潔になり、小型化を実現できるため、使用に便利である。
10A、10B、10C、20A、20B、20C、30A、30B、40A、40B 音響チップ
50、60、70A、70B、80、90 音響装置
100 拡声器
101 第一表面
102 第一基板
103 第二表面
104 第一電極
106 第二電極
108 音波発生器
110 導線
114 第二凹部
116 第三凹部
118 絶縁層
120 第一集積回路チップ
122 凹凸構造体
1220 突起
1222 凹部
130 プリント基板
140 第二集積回路チップ
150 電子素子
200 筐体
202 第二基板
204 保護カバー
206 環状側壁
208 底壁
210 開孔
212、218 ピン
214 第一凹部
216 保護ネット

Claims (3)

  1. 拡声器と、筐体と、を含む音響チップであって、
    前記拡声器は第一基板と、音波発生器と、少なくとも一つの第一電極と、少なくとも一つの第二電極と、を含み、
    前記第一基板は、第一表面を有し、
    前記音波発生器は、前記第一基板の第一表面に設置され、
    前記少なくとも一つの第一電極及び前記少なくとも一つの第二電極は、互いに間隔あけて設置されて、前記音波発生器と電気的に接続され、
    前記筐体は、スペースを有し、前記拡声器は、前記スペースに収容され、
    前記筐体は少なくとも一つの開孔を有し、前記拡声器の音波発生器は前記少なくとも一つの開孔に対向して設置され、
    前記筐体は少なくとも二つのピンを有し、前記少なくとも二つのピンによって、前記筐体は前記少なくとも一つの第一電極及び少なくとも一つの第二電極と電気的に接続されることを特徴とする音響チップ。
  2. 前記基板の第一表面に複数の突起と複数の凹部は形成され、前記凹部の深さは100μm〜200μmであることを特徴とする、請求項1記載の音響チップ。
  3. 請求項1に記載の音響チップと、集積回路チップと、プリント基板と、を含む音響装置であって、
    前記音響チップは前記プリント基板に設置され、
    前記集積回路チップは前記プリント基板に設置され、
    前記プリント基板によって、前記音響チップと前記集積回路チップとは電気的に接続されることを特徴とする音響装置。
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