JP5646694B2 - イヤホーン - Google Patents

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Description

本発明は、イヤホーンに関し、特にシリコン基板を採用するイヤホーンに関するものである。
従来のイヤホーンはケース、音響装置、制御装置、プラグを含む。音響装置は信号入力装置と音波発生素子からなり、信号入力装置によって、信号を音波発生素子に入力して、音波を発生させる。一般的に、音響装置は、信号装置及び音波発生器を含む。信号装置は、信号を音波発生器に伝送する。熱音響装置は、熱音響現象を利用した音響装置の一種であり、導電体に交流電流を流すと熱により音が発生する。該導電体は単位面積当たりの熱容量が少なく、厚さが薄いため、導電体の内部に発生する熱を周辺の媒体へ速く伝送できる。これにより、導電体に交流電流を流すと、熱音響装置に熱が生じ、周辺の媒体へ速く伝播されて、この伝播された熱によって生じた熱膨張及び圧力波によって、音波を発生させる。
非特許文献1を参照すると、熱音響装置では、音波発生器にカーボンナノチューブフィルムが利用されている。このカーボンナノチューブフィルムは、比表面積が大きく、単位面積当たりの熱容量も小さい(2×10−4J/cm・Kより小さい)ため、熱音響装置が発生させた音波は強く、熱音響周波数も広い(100Hz〜100kHz)。
しかし、非特許文献1における熱音響装置に使用されるカーボンナノチューブフィルムはナノメートルレベルであり、外力によって破壊され易く、加工しにくいため、イヤホーンに応用することは難しい。また、熱音響装置を駆動する際、熱を発生するために必要な駆動電圧を有する必要がある。しかし、従来のイヤホーンの駆動方式は熱音響装置に適さないため、熱音響装置を応用したイヤホーンは不利であり、産業化及び実用化が難しい。
特開2004−107196号公報 特開2006−161563号公報
Lin Xiao et al.,"Flexible,Stretchable,Transparent Carbon Nanotube Thin Film Loudspeakers",Nano Letters,Vol.8(12),p.4539−4545
前記課題を解決するために、本発明は、生産、小型化及び産業化が実現し易いイヤホーンを提供する。
本発明のイヤホーンは、イヤプラグと、信号装置と、音響信号入力ポートと、電源信号入力ポートと、を含むイヤホーンであって、前記イヤプラグはケース及び熱音響装置を含み、前記熱音響装置は前記ケース内部に設置され、前記信号装置は前記熱音響装置に信号を入力し、前記音響信号入力ポート及び前記電源信号入力ポートは、前記信号装置とそれぞれ接続され、前記信号装置に音響信号及び駆動電圧をそれぞれ提供し、前記電源信号入力ポートはUSBコネクタであり、前記信号装置は前記USBコネクタの内部に集積され、前記熱音響装置は基板及び音波発生器を含み、前記基板は、第一表面を有し、前記第一表面は、間隔をあけて平行な複数の凹部を有し、前記音波発生器は、前記基板の第一表面に設置され、前記音波発生器の前記凹部と対応する部分は懸架される。
本発明のイヤホーンは、イヤプラグと、信号装置と、音響信号入力ポートと、エネルギー提供装置と、を含むイヤホーンであって、前記イヤプラグはケース及び熱音響装置を含み、前記熱音響装置は前記ケース内部に設置され、前記信号装置は有線或いは無線の方式によって、前記熱音響装置に信号を入力し、前記音響信号入力ポート及び前記エネルギー提供装置は、前記信号装置とそれぞれ接続され、前記信号装置に音響信号及び駆動電圧をそれぞれ提供し、前記エネルギー提供装置は、イヤプラグの外部に単独で設置され、或いは前記ケースの外表面に設置され、或いは前記ケースの内部に設置され、前記熱音響装置は基板及び音波発生器を含み、前記基板は、第一表面を有し、前記第一表面は、間隔をあけて平行な複数の凹部を有し、前記音波発生器は、前記基板の第一表面に設置され、前記音波発生器の前記凹部と対応する部分は懸架されることを特徴とするイヤホーン。
従来の技術と比べて、本発明のイヤホーンには以下の優れた点がある。第一に、イヤホーンの熱音響装置において、基板の第一表面に複数の凹部を有し、隣接する二つの凹部の間には突起が形成され、該突起はカーボンナノチューブフィルムを支持して、カーボンナノチューブフィルムを懸架することで、カーボンナノチューブフィルムを保護して破壊されにくくする。第二に、音響信号入力ポート及び電源信号入力ポートは、信号装置とそれぞれ接続されるため、熱音響装置に必要な駆動電圧を提供し、駆動に便利であり、且つ技術が容易である。従って、イヤホーンの産業化及び実用化に有利である。
本発明の実施例1におけるイヤホーンの構造図である。 本発明の実施例1におけるイヤホーンの分解構造図である。 本発明の実施例1におけるイヤホーンの信号処理の工程図である。 本発明の実施例1のイヤホーンにおける熱音響装置の構造図である。 図4におけるV−Vに沿った断面図である。 本発明の実施例1のイヤホーンにおける熱音響装置の写真である。 本発明の実施例1におけるイヤホーンの音圧レベル‐周波数の曲線図である。 本発明の実施例1における音響チップの音の発生の効果図である。 本発明の実施例1のイヤホーンにおける熱音響装置の絶縁層が多層構造体である構造図である。 本発明の実施例1のイヤホーンにおけるカーボンナノチューブフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例1に利用された非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤの走査型電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例1に利用されたねじれ状カーボンナノチューブワイヤの走査型電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例2におけるイヤホーンの構造図である。 本発明の実施例3におけるイヤホーンの構造図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
図1、図2を参照すると、本実施例のイヤホーン10は、イヤプラグ15、信号装置13、音響信号入力ポート16、電源信号入力ポート18、イヤホーンケーブル17を含む。電源信号入力ポート18は、イヤホーンケーブル17によってイヤプラグ15と連接される。また、音響信号入力ポート16は、イヤホーンケーブル17によって電源信号入力ポート18と連接される。音響信号入力ポート16が信号装置13と電気的に接続されることによって、信号装置13に音響信号を提供し、電源信号入力ポート18が信号装置13と電気的に接続されることによって、信号装置13に駆動電圧を提供する。また、イヤプラグ15と信号装置13とが接続されることによって、イヤプラグ15は信号装置13からの音響信号を復元する。
本実施例のイヤプラグ15は、ケース12及び熱音響装置14を含む。該ケース12は収容スペースを有し、熱音響装置14はこの収容スペースに収容される。ケース12の材料は軽く、特定の強度を有する。例えば、プラスチック、樹脂、合金の中の何れかの一種である。ケース12のサイズは人の耳のサイズに相当する。また、ケース12の形状は楕円形であり、この楕円形のサイズは人の外耳道のサイズに相当する。
ケース12は前カバー121及び後カバー123を含む。前カバー121と後カバー123は緊密に結合して、ケース12を形成する。後カバー123はイヤホーンケーブル17の入口を有する。ケース12は、イヤプラグ15の音発生部である開口を有し、熱音響装置14は該開口と相対して、且つ間隔をあけて設置される。前記開口は前カバー121に形成される。また、前カバー121は金属ネット127を含み、イヤプラグ15の前記音発生部は、この金属ネット127に被覆される。金属ネット127によって、熱音響装置14を保護して塵等を防ぎ、且つ熱音響装置14が発生させた音をケース12の外部に伝導する。熱音響装置14がケース12内に固定設置され、並びに熱音響装置14が発生させた音がケース12の外部に伝導することを保証しさえすれば、その固定位置は制限されない。本実施例において、熱音響装置14は後カバー123に設置される。後カバー123には支持素子128が収容され、該支持素子128によって、熱音響装置14は後カバー123に固定される。支持素子128の材料及び形状は制限されない。本実施例において、支持素子128はプリント基板であり、後カバー123に固定される。熱音響装置14は接着剤によって支持素子128の表面に固定される。更に、支持素子128に複数の第三電極125を設置しても良い、該第三電極125はイヤホーンケーブル17及び熱音響装置14の電極に接続される。これにより、熱音響装置14は信号装置13と電気的に接続される。
図3を併せて参照すると、電源信号入力ポート18は、外ケース182及び電源入力ポート184と、を含む。電源入力ポート184は外ケース182に被覆される。電源と接続されて電流を得ることができさえすれば、電源入力ポート184の形式に制限はない。本実施例において、電源信号入力ポート18はUSBコネクタであり、電源入力ポート184は電源信号入力ポート18と電源との接続ポートである。電源信号入力ポート18は、電源入力ポート184によって、コンピュータ或いは他の電源設備と電気的に接続されて電源を得る。
信号装置13は熱音響装置14に信号を伝送する。該信号を伝送する方式は制限されない。例えば、信号装置13は、有線或いは無線の方式(例えば、ブルートゥース)によって、熱音響装置14に信号を伝送する。本実施例において信号装置13は、イヤホーンケーブル17によって熱音響装置14に信号を伝送する。信号装置13は、電源信号入力ポート18の外ケース182内に集積できる。具体的には、信号装置13は、電源入力ポート184の後端のプリント基板に設置される。電源入力ポート184は溶接によって、前記プリント基板に設置された信号装置13と接続される。本実施例において、信号装置13は電源信号入力ポート18内に集積されるため、素子の間における導線の使用を減少させることができる。従って、集積に有利であり、且つコストも低い。また、イヤホーン10の抵抗及び駆動電圧を減少させる。本実施例において、前記駆動電圧は5Vである。
信号装置13は、その内部に集積回路チップを備えており、且つ音声処理ユニット132及び電流処理ユニット134を含む。音響信号入力ポート16が音声処理ユニット132と電気的に接続されることによって、信号装置13に音響信号が提供される。また、電源信号入力ポート18が電流処理ユニット134と電気的に接続されることによって、信号装置13に駆動電圧が提供される。前記駆動電圧及び音響信号が信号装置13に処理されると、駆動信号が形成され、該形成された駆動信号は、熱音響装置14に入力されて音を発生する。音声処理ユニット132は、入力された音響信号の仕事率を増大した後、熱音響装置14に入力する。また、電流処理ユニット134によって、電源信号入力ポート18の電源入力ポート184が入力した直流電流をバイアスする。これにより、周波数電気信号の周波数問題を解決し、熱音響装置14に安定した電流を提供することができ、正常に熱音響装置14を駆動させることができる。信号装置13のサイズ及び形状は制限されない。信号装置13は仕事率増大作用及び直流バイアス作用のみに用いられるため、信号装置13の面積は1cmより小さくすることができ、信号装置13を電源信号入力ポート18内に集積し易い。例えば、信号装置13の面積は、49mm、25mm、9mm或いは9mmより小さい。また、信号装置13を独立した素子として、電源信号入力ポート18の外部に設置しても良い。この場合、信号装置13は、イヤホーンケーブル17によって、音響信号入力ポート16及び電源信号入力ポート18に電気的に接続される。
音響信号入力ポート16がイヤホーンケーブル17によって、電源信号入力ポート18内の信号装置13と接続されることによって、前記音響信号が音声処理ユニット132に入力される。音響信号入力ポート16の形式は制限されない。本実施例において、音響信号入力ポート16は立体的なイヤホーンコネクタであり、例えば、2.5mmのイヤホーンコネクタ、3.5mmのイヤホーンコネクタ等である。本実施例において、音響信号入力ポート16は、3.5mmの立体的なイヤホーンコネクタである。この3.5mmの立体的なイヤホーンコネクタは、イヤホーンケーブル17によって、電源信号入力ポート18内の信号装置13と接続される。これにより、音響設備が発生した音響信号は、音声処理ユニット132に入力されて処理された後、熱音響装置14に入力され、次いで熱音響装置14に復元されて音が発生する。
図4、図5及び図6を参照すると、熱音響装置14は、基板100と、少なくとも一つの第一電極106と、少なくとも一つの第二電極116と、音波発生器110と、絶縁層120と、を含む。基板100は、対向する第一表面101及び第二表面103を有する。音波発生器110は、前カバー121の金属ネット127と間隔をあけて対応して設置される。即ち、基板100と反対側の音波発生器110の表面はケース12の音発生部と対応する。第一電極106と第二電極116とは、互いに間隔をあけて設置されて、音波発生器110と電気的に接続される。また、第一電極106と第二電極116とは、前記プリント基板における第三電極125と電気的に接続される。これにより、音波発生器110は信号装置13と電気的に接続される。
第一表面101には、複数の凹部102及び複数の突起104が形成される。該複数の凹部102及び複数の突起104は第一表面101に交互に設置される。絶縁層120は、基板100の第一表面101に設置されて、複数の凹部102及び複数の突起104の表面に付着する。従って、音波発生器110は、基板100の第一表面101上に設置されて、この絶縁層120によって基板100と絶縁して設置される。音波発生器110は、第一区域112及び第二区域114を有している。第一区域112は、凹部102の位置と対応する。従って、第一区域112の音波発生器110は懸架され、凹部102の底面と間隔をあけて設置される。第二区域114の音波発生器110は、突起104の表面に設置され、絶縁層120によって、基板100と絶縁して設置される。
基板100は、平面構造体であり、その形状に制限はない。例えば、円形、方形、矩形或いは他の形状である。基板100の面積は、25mm〜100mmである。具体的には、基板100の面積は、36mm、64mm或いは80mmである。基板100の厚さは0.2mm〜0.8mmである。基板100が音波発生器110を支持する表面を有することを保証しさえすれば、基板100は他の構造でも良い。例えば、塊状構造、曲面構造、弧面構造などである。基板100の材料は、単結晶シリコン、多結晶シリコン或いは他の半導体材料である。基板100は熱伝導性に優れるため、音波発生器110が作動中に発生する熱は、外界に伝播されて、音波発生器110の使用寿命を延ばすことができる。本実施例において、基板100は、正方形の平面構造体であり、一辺の長さは、8mmであり、厚さは0.6mmである。また、基板100の材料は、単結晶シリコンである。
複数の凹部102は、均一な分布方式、特定の規則を有する分布方式、アレイの分布方式或いはランダムな分布方式によって、第一表面101に設置される。好ましくは、複数の凹部102は、第一表面101に均一に分布され、且つ相互に間隔をあけて設置される。複数の凹部102は、貫通溝、止まり溝、止まり穴のいずれか一種或いは多種である。凹部102は、基板100の第一表面101から基板100の内部に延伸する方向に、一つの底面と該底面に連接する二つの側面を含む。また、隣接する二つの凹部102の間には、突起104が形成されている。つまり、隣接する二つの凹部102の間の基板100の表面は、突起104の表面である。第一区域112は、凹部102の位置と対応する。従って、第一区域112の音波発生器110は懸架され、凹部102の底面及び側面には接触しない。
図7及び図8は、凹部102の異なる深さによるイヤホーン10の音の発生の効果を示している。凹部102の深度は、必要に応じて及び基板100の厚さによって選択できる。好ましくは、凹部102の深度は、100μm〜200μmである。この際、基板100は、音波発生器110を保護すると同時に、基板100と音波発生器110との距離を保証する。該距離は、音波発生器110の作動中に生成された熱が基板100に完全に吸収されることができる。これにより、生成された熱が周辺の媒体へ伝播されないために、音量が低くなることを防止する。また、音波発生器110が各音響周波数に優れた音響効果を有することを保証する。凹部102が溝である場合、凹部102が第一表面101で延伸する長さは、基板100の一辺の長さより短い。凹部102が延伸する方向における横断面の形状は、V字型、長方形、台形、多辺形、円形或いは他の不規則な形状である。凹部102の最大の幅(ここで最大の幅とは、横断面の長さの最大値である)は、0.2mm〜1mmである。
凹部102の横断面が逆台形である場合、溝の幅は、溝の深さが深くなるにつれて狭くなる。逆台形の底面と側面との成す角度はαである。該角度αの大小は、基板100の材料に関係する。具体的には、角度αの大小は、基板100の単結晶シリコンの結晶面の角度と同じである。好ましくは、複数の凹部102は複数の溝であり、該複数の溝は、相互に平行であり、且つ間隔をあけて均一に分布する。隣接する二つの溝の間の距離はd1であり、該d1は、20μm〜200μmである。前記d1は、20μm〜200μmであるから、後続のスクリーン印刷方法によって、基板100の表面に第一電極106及び第二電極116を形成する際の、エッチングの精確性を保証し、音響効果を高めることができる。本実施例において、基板100の第一表面101は、複数の相互に平行し、且つ間隔をあけて均一に分布する複数の逆台形の溝を有している。逆台形の溝の第一表面101における幅(最大の幅)は0.6mmであり、深度は150μmである。また、隣接する二つの溝の間の距離であるd1は100μmであり、逆台形の角度αは54.7°である。
絶縁層120は単層構造或いは多層構造である。絶縁層120が単層構造である場合、絶縁層120は、突起104の表面のみに設置される或いは基板100の第一表面101の全てに付着する。ここで、付着とは、絶縁層120が凹部102の底面及び側面を被覆し、突起104の表面を被覆することを意味する。即ち、絶縁層120の起伏の傾向は、凹部102と突起104の起伏の傾向と同じである。従って、どのような場合でも、絶縁層120によって、基板100と音波発生器110とは絶縁される。基板100が絶縁材料の場合、絶縁層120を設置する必要はない。
絶縁層120の材料は、シリカ、窒化ケイ素或いはその組み合わせであるが、絶縁層120の材料が、基板100と音波発生器110と絶縁することを保証しさえすれば他の絶縁材料であっても良い。絶縁層120の厚さは、10nm〜2μmであり、具体的には、50nm、90nm或いは1μmである。本実施例において、絶縁層120の厚さは1.2μmである。
更に、図9を参照すると、熱音響装置14における絶縁層120は多層構造である。絶縁層120は突起104の表面のみに設置されても良い。又は、絶縁層120は第一表面101のみに設置されても良い。又は、一層の絶縁層120は突起104の表面のみに設置され、他の数層の絶縁層120は第一表面101の全てに設置されても良い。本実施例において、絶縁層120は第一絶縁層122と、第二絶縁層124と、第三絶縁層126と、を含む。第一絶縁層122及び第二絶縁層124は非連続の構造であり、突起104の表面のみに順次に堆積される。第三絶縁層126は連続した層状構造であり、第二絶縁層124並びに凹部102の底面及び側面に付着する。第一絶縁層122及び第三絶縁層126の材料はシリカであり、第二絶縁層124の材料は窒化ケイ素である。
絶縁層120が複数の絶縁材料からなる多層構造である場合、各層の絶縁材料は同じか或いは同じでなくても良い。各層の厚さは10nm〜1μmである。該各層の厚さは、必要に応じた素子によって選択できる。本実施例において、絶縁層120は三層構造である。第一絶縁層122の材料はシリカであり、厚さは100nmである。第二絶縁層124の材料は窒化ケイ素であり、厚さは90nmである。第三絶縁層126材料はシリカであり、厚さは1μmである。音波発生器110は、絶縁層120によって、基板100と良好に絶縁して設置されるため、シリコン基板100を製造する過程において、シリコン基板100の酸化を減少或いは防止することができる。
音波発生器110は、基板100の第一表面101に設置される。具体的には、音波発生器110は、絶縁層120の表面に設置される。即ち、第一区域112の音波発生器110は、凹部102に懸架されて設置され、第二区域114の音波発生器110は、突起104の表面における絶縁層120の表面に設置される。音波発生器110を基板100の第一表面101に強固に固定するために、突起104の表面に接着層或いは接着点を設置する。又は、音波発生器110を基板100の第一表面101に強固に固定するために、素子を利用する。この際、音波発生器110は該素子の表面に設置される。つまり、音波発生器110が設置された素子を、基板100の第一表面101に固定する。この時、音波発生器110は基板100の第一表面101と直接接触しない。
音波発生器110は単位面積当たりの熱容量が非常に低い。本実施例において、音波発生器110はカーボンナノチューブを含み、単位面積当たりの熱容量は2×10−4J/cm・Kより小さい。具体的には、音波発生器110は導電構造であり、比表面積が非常に高く、厚さが薄い。これにより、音波発生器110は入力されたエネルギーを熱エネルギーに変換することができる。即ち、音波発生器110は、入力された信号によって、速く昇温し、熱を周辺の媒体へ伝播させ、この伝播された熱によって生じた熱膨張及び圧力波によって音波を発生させる。
好ましくは、音波発生器110は自立構造体である。ここで、自立構造体とは、支持体を利用しなくとも利用できる構造のことである。つまり、音波発生器110は、支持体を利用せず、それ自体の特定の形状を保持することを意味する。従って、音波発生器110の一部分を懸架して設置でき、周辺の媒体と十分に接触でき、熱を伝播することができる。音波発生器110は、フィルム構造、複数の線状構造が平行に形成する層状構造、或いはフィルム構造及び線状構造の組み合わせである。
音波発生器110は、層状のカーボンナノチューブ構造体である。該層状のカーボンナノチューブ構造体は複数のカーボンナノチューブを含む。好ましくは、該層状のカーボンナノチューブ構造体は複数のカーボンナノチューブのみからなる。該層状のカーボンナノチューブ構造体の厚さは、好ましくは、0.5nm〜1mmである。カーボンナノチューブ構造体の厚さが薄い場合、例えば10nm以下である場合、カーボンナノチューブ構造体の透明度が優れる。カーボンナノチューブ構造体は自立構造を有し、カーボンナノチューブ構造体における複数のカーボンナノチューブは分子間力で相互に引き合い、カーボンナノチューブ構造体は特定の形状を有する。即ち、カーボンナノチューブ構造体の一部分は基板100に支持され、他の部分は懸架される。カーボンナノチューブ構造体における複数のカーボンナノチューブは同じ方向に延伸し、該延伸する方向と溝が延伸する方向とは角度を成す。該角度は0°〜90°である(0°は含まず)。
層状のカーボンナノチューブ構造体は、少なくともカーボンナノチューブフィルム、複数の平行に設置されるカーボンナノチューブワイヤ、或いは少なくとも一つのカーボンナノチューブフィルムとカーボンナノチューブワイヤの組み合わせを含む。音波発生器110が単層カーボンナノチューブフィルムである場合、該カーボンナノチューブフィルムは基板100の第一表面101に設置される。カーボンナノチューブフィルムの厚さは50nmであり、光透過率は67%〜95%である。カーボンナノチューブフィルムはカーボンナノチューブアレイを直接引き出して得られる。カーボンナノチューブフィルムの厚さは0.5nm〜100μmであり、カーボンナノチューブフィルムの単位面積当たりの熱容量は1×10−6J/cm・Kより小さい。カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブの一種又は多種である。単層カーボンナノチューブの直径は0.5nm〜50nmであり、二層カーボンナノチューブの直径は1nm〜50nmであり、多層カーボンナノチューブの直径は1.5nm〜50nmである。カーボンナノチューブフィルムの長さは制限されず、カーボンナノチューブフィルムの幅はカーボンナノチューブアレイの幅によって選択できる。
図10を参照すると、カーボンナノチューブフィルムは複数のカーボンナノチューブによって形成された自立構造であり、複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って配列されている。複数のカーボンナノチューブの延伸する方向は、カーボンナノチューブフィルムの表面と基本的に平行である。また、複数のカーボンナノチューブは分子間力で接続されている。具体的には、複数のカーボンナノチューブにおける各カーボンナノチューブは、延伸する方向における隣接するカーボンナノチューブと、分子間力で端と端とが接続されている。また、カーボンナノチューブフィルムには、少数のランダムなカーボンナノチューブが含まれている。しかし、大部分のカーボンナノチューブは同じ方向に沿って配列されているため、このランダムなカーボンナノチューブの延伸方向は、大部分のカーボンナノチューブの延伸方向には影響しない。
前記カーボンナノチューブフィルムは自立構造を有する。ここで、自立構造とは、支持体材を利用せず、カーボンナノチューブフィルムを独立して利用することができる形態のことである。即ち、カーボンナノチューブフィルムを対向する両側から支持して、カーボンナノチューブフィルムの構造を変化させずに、カーボンナノチューブフィルムを懸架させることができることを意味する。
具体的には、カーボンナノチューブフィルムにおける複数のカーボンナノチューブは、絶対的に直線状ではなく、やや湾曲しても良い。又は、延伸する方向に完全に配列せず、少しずれても良い。従って、同じ方向に沿って配列されている複数のカーボンナノチューブの中において、隣同士のカーボンナノチューブが部分的に接触する可能性がある。前記カーボンナノチューブフィルムにおいて、複数のカーボンナノチューブは、基板100の第一表面101にほぼ平行である。カーボンナノチューブフィルムの幅が小さい場合、カーボンナノチューブ構造体は複数のカーボンナノチューブフィルムを含み、該複数のカーボンナノチューブフィルムは同一面上で基板100の第一表面101に並べて配置される。さらに、カーボンナノチューブ構造体は、相互に重なった多層のカーボンナノチューブフィルムを含んでもよく、この場合、隣接する二層のカーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブは交差して角度βを成し、該角度βは0°〜90°である。
カーボンナノチューブフィルムは強い接着性を有するため、突起104における絶縁層120の表面に該カーボンナノチューブフィルムを直接付着できる。カーボンナノチューブフィルムにおける複数のカーボンナノチューブは同じ方向に沿って配列されている。該複数のカーボンナノチューブの延伸する方向と凹部102の延伸する方向とは角度を成す。複数のカーボンナノチューブの延伸する方向は、好ましくは、凹部102の延伸する方向と垂直である。更に、カーボンナノチューブフィルムを突起104における絶縁層120の表面に付着させた後、有機溶剤によって、基板100に付着したカーボンナノチューブフィルムを処理する。
具体的には、試験管を利用して、有機溶剤をカーボンナノチューブフィルムが浸るまで垂らす。該有機溶剤は揮発性の有機溶剤であり、例えば、エタノール、メタノール、アセトン、ジクロロエタン或いはクロロホルムである。本実施例において、有機溶剤はエタノールである。微視的には、揮発性の有機溶剤が揮発すると、表面張力の作用によって、カーボンナノチューブフィルムにおける一部の隣接するカーボンナノチューブは収縮して束になるため、カーボンナノチューブフィルムと基板100との接触面積を増大させ、突起104における絶縁層120の表面に緊密に付着できる。また、一部の隣接するカーボンナノチューブは収縮して束になるため、カーボンナノチューブフィルムの機械強度及び強靭度は増強し、カーボンナノチューブフィルムの表面積は減少し、接着性は小さくなる。巨視的には、カーボンナノチューブフィルムは均一なフィルム構造体になる。
本実施例において、音波発生器110は複数の平行に設置されたカーボンナノチューブワイヤを含む。複数のカーボンナノチューブワイヤは間隔をあけて平行して、層状のカーボンナノチューブ構造体を形成する。カーボンナノチューブワイヤの延伸方向は凹部102の延伸方向と一定の角度を成す。カーボンナノチューブワイヤにおけるカーボンナノチューブの延伸方向は、カーボンナノチューブワイヤの延伸方向と平行である。凹部102の位置において、層状のカーボンナノチューブ構造体は、間隔をあけて平行する複数のカーボンナノチューブワイヤを含み、且つ該複数のカーボンナノチューブワイヤは凹部102と対応する位置に懸架して設置される。好ましくは、カーボンナノチューブワイヤの延伸方向は凹部102の延伸方向と垂直である。隣接するカーボンナノチューブワイヤの距離は1μm〜200μmである。好ましくは、50μm〜150μmである。本実施例において、隣接するカーボンナノチューブワイヤの距離は120μmであり、カーボンナノチューブワイヤの直径は1μmである。
カーボンナノチューブワイヤは、非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤ又はねじれ状カーボンナノチューブワイヤであることができる。非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤ及びねじれ状カーボンナノチューブワイヤは自立構造体である。図11を参照すると、カーボンナノチューブワイヤが、非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤである場合、分子間力で端と端とが接続された複数のカーボンナノチューブセグメント(図示せず)を含む。さらに、各カーボンナノチューブセグメントに、同じ長さの複数のカーボンナノチューブが平行に配列されている。複数のカーボンナノチューブはカーボンナノチューブワイヤの中心軸に平行に配列されている。カーボンナノチューブセグメントの長さ、厚さ、均一性及び形状は制限されない。一本の非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤの長さは制限されず、その直径は、0.5nm〜100μmである。有機溶剤によって、カーボンナノチューブフィルムを処理して、非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤを得る。具体的には、有機溶剤によって、カーボンナノチューブフィルムの全ての表面を浸す。その後、揮発性の有機溶剤が揮発すると、表面張力の作用によって、カーボンナノチューブフィルムにおける相互に平行である複数のカーボンナノチューブが分子間力によって緊密に結合して、カーボンナノチューブフィルムが収縮して非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤを形成する。該有機溶剤は、エタノール、メタノール、アセトン、ジクロロエタン或いはクロロホルムである。有機溶剤によって処理されないカーボンナノチューブフィルムと比較して、有機溶剤によって、処理された非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤは、比表面積が減少し、接着性も小さい。また、カーボンナノチューブワイヤの機械強度及び強靭度を増強し、外力によってカーボンナノチューブワイヤが破壊される可能性が低くなる。作動中において、凹部102位置に懸架されたカーボンナノチューブワイヤは変形しないため、優れた熱音響効果を保持できる。
図12を参照すると、カーボンナノチューブフィルムの長手方向に沿う対向する両端に相反する力を加えることにより、ねじれ状カーボンナノチューブワイヤを形成することができる。このねじれ状カーボンナノチューブワイヤは、好ましくは、分子間力で端と端とが接続された複数のカーボンナノチューブセグメント(図示せず)を含む。さらに、各カーボンナノチューブセグメントには、同じ長さの複数のカーボンナノチューブが平行に配列されている。カーボンナノチューブセグメントの長さ、厚さ、均一性及び形状は制限されない。一本のねじれ状カーボンナノチューブワイヤの長さは制限されず、その直径は、0.5nm〜100μmである。更に、有機溶剤によって、ねじれ状カーボンナノチューブワイヤを処理する。有機溶剤によって処理されたねじれ状カーボンナノチューブワイヤは、比表面積が減少し、接着性も小さい一方、カーボンナノチューブワイヤの機械強度及び強靭度が増強する。カーボンナノチューブワイヤの製造方法は、特許文献1及び特許文献2に掲載されている。
少なくとも一つの第一電極106及び少なくとも一つの第二電極116は、音波発生器110とそれぞれ電気的に接続される。また、該少なくとも一つの第一電極106及び少なくとも一つの第二電極116によって、音波発生器110に周波数電気信号を入力する。本実施例において、熱音響装置14は、複数の第一電極106及び複数の第二電極116を含み、複数の第一電極106及び複数の第二電極116は、突起104に対応する絶縁層120の表面に交互に設置される。図6を参照すると、複数の第一電極106は、電気的に連接されて、第一櫛歯電極(図示せず)を形成し、該第一櫛歯電極は第三電極125と電気的に接続される。複数の第二電極116は電気的に連接されて、第二櫛歯電極(図示せず)を形成し、該第二櫛歯電極は第三電極125と電気的に接続される。第一櫛歯電極の歯部及び第二櫛歯電極の歯部は交互に設置される。第一電極106及び第二電極116は、導電材料からなり、その形状と構造は制限されない。具体的には、第一電極106及び第二電極116は、細長いストリップ状、棒状或いは他の形状でも良く、その材料は、金属、導電ポリマー、導電性接着剤、導電ペースト、金属性のカーボンナノチューブ、ITO等の導電性材料である。また、第一電極106及び第二電極116は、音波発生器110の基板100と反対側の表面に設置しても良く、これによって、音波発生器110を基板100上に固定することができる。
カーボンナノチューブは、その軸方向に沿って優れた導電性を有するため、カーボンナノチューブ構造体におけるカーボンナノチューブが同じ方向に沿って配列されている場合、カーボンナノチューブ構造体におけるカーボンナノチューブは、好ましくは、第一電極106から第二電極116までの方向に沿って延伸する。好ましくは、第一電極106及び第二電極116との間の距離は基本的に同じである。これにより、第一電極106及び第二電極116との間におけるカーボンナノチューブは、基本的に同じ抵抗値を有する。好ましくは、第一電極106及び第二電極116の長さは、カーボンナノチューブ構造体の幅と同じかそれ以上である。これにより、カーボンナノチューブ構造体全体を平均的に利用できる。本実施例において、音波発生器110におけるカーボンナノチューブは、第一電極106及び第二電極116の長手方向に垂直な方向に配列する。第一電極106と第二電極116とは平行に設置される。第一電極106及び第二電極116によって、周波数電気信号をカーボンナノチューブ構造体に入力する。
音波発生器110が音波を発生する原理は、電気‐熱‐音の変換であるため、音波発生器110は、音波を発生すると同時に一定の熱を発生する。本実施例において、溝構造体は音波発生器110の散熱に有利である。更に、熱音響装置14は散熱装置(図示せず)を含み、該散熱装置は、基板100の音波発生器110と反対側の表面に設置される。
更に、信号装置13はイヤプラグ15のケース12に集積できる。例えば、信号装置13を基板100の第二表面103に設置して、或いは第一表面101に設置して、ケース12に収容する。信号装置13を基板100の第二表面103に設置する時、基板100の第二表面103に少なくとも一つの溝(図示せず)を形成し、信号装置13は該溝に嵌められる。他の例として、信号装置13を支持素子128の表面に集積して、ケース12に収容することもできる。
基板100の材料はシリコンであるので、信号装置13は基板100に直接に形成できる。即ち、従来のマイクロ電子技術(例えば、研磨技術、酸化技術、拡散技術、エッチング技術、エピタキシー技術等)によって、基板に、トランジスタ、ダイオード、抵抗、キャパシタ等の素子を製造して、信号装置13が形成される。信号装置13における回路、マイクロ電子素子等は、基板100の第二表面103の溝に直接に形成できる。基板100は電子回路及びマイクロ電子素子の担体であり、信号装置13と一体構造を形成する。これにより、熱音響装置14の体積を減少し、熱音響装置14の小型化及び集積化を有利にする。また、基板100は優れた散熱性を有するので、信号装置13及び音波発生器110が発生した熱は外部に伝送され、音響効果を保証することができる。
更に、信号装置13は、第三電極(図示せず)及び第四電極(図示せず)を含み、第三電極は、第一電極106と電気的に接続され、第四電極は第二電極116と電気的に接続される。これにより、音波発生器110に信号を入力する。また、第三電極及び第四電極は、基板100の内部に設置されても良い。第三電極及び第四電極の表面が絶縁層で被覆されるので、第三電極及び第四電極は基板100と絶縁する。
更に、イヤホーン10は、イヤホーン制御装置(図示せず)を含んでも良い。イヤホーン制御装置は、イヤホーンケーブル17によって、イヤプラグ15と電気的に接続される。前記イヤホーン制御装置は、出力音量を制御できる。信号装置13はイヤホーン制御装置に集積でき、音響信号入力ポート16及び電源信号入力ポート18は信号装置13とそれぞれ電気的に接続される。
本発明のイヤホーンは以下の優れた点がある。第一に、カーボンナノチューブ構造体は、単位面積が小さい熱容量と大きい散熱表面を有するので、信号が入力されると、カーボンナノチューブ構造体は速く昇温し、周期的に温度変化して、周辺の媒体と熱を交換する。従って、周辺の媒体の密度は周期的に変化して音を発生することができる。第二に、熱音響装置14にはシリコンの基板100を採用するので、従来のシリコン半導体の技術を利用して、熱音響装置を加工でき、生産し易く、且つ微小な部品を製造でき、産業化でき、小型の熱音響装置を生産できる。第三に、シリコン基板は優れた熱伝導性を有するので、熱音響装置も優れた散熱性を有し、別に散熱素子を設置する必要がない。第四に、熱音響装置は従来の半導体の製造方法における他の素子(例えば、チップ)と集積し易く、空間の占有率を減少させることができるため、小型の電子部品に適用することができる。
(実施例2)
図13を参照すると、本発明の実施例2は、イヤホーン20を提供する。本実施例のイヤホーン20は、イヤプラグ15と、信号装置13と、電源信号入力ポート18と、イヤホーンケーブル17と、を含む。イヤプラグ15と電源信号入力ポート18とは、イヤホーンケーブル17によって、連接される。イヤプラグ15は、ケース12及び熱音響装置14を含む。ケース12は収容スペースを有し、熱音響装置14はこの収容スペースに収容される。
本実施例2のイヤホーン20の構造と、実施例1のイヤホーン10の構造と比較すると、次の異なる点がある。電源信号入力ポート18が信号装置13に駆動電圧を提供すると同時に、音響信号入力ポートとして、信号装置13に音響信号を提供し、この信号装置13の処理によって、外部からの音響信号は駆動信号となり、該駆動信号はイヤホーンケーブル17によって、イヤプラグ15に入力される。具体的には、電源信号入力ポート18は電流入力回路と、音響信号入力回路と、を含む。電源信号入力ポート18は、音響信号が出力される設備と接続されると、電流入力回路が信号装置13の電流処理ユニット134と電気的に接続されることによって、イヤホーン20に作動電流を提供し、音響信号入力回路が信号装置13の音声処理ユニット132と電気的に接続されることによって、信号装置13に音響信号を提供する。イヤホーン20において、単独で音響信号入力ポート及び音響信号入力ポートと信号装置13との間のイヤホーンケーブルを設置する必要がないので、イヤホーンケーブルが生成する抵抗を減少させることができ、且つコストも低くなる。
(実施例3)
図14を参照すると、本発明の実施例3は、イヤホーン30を提供する。本実施例のイヤホーン30は、イヤプラグ15と、信号装置13と、音響信号入力ポート16と、エネルギー提供装置11と、イヤホーンケーブル17と、を含む。イヤホーンケーブル17によって、イヤプラグ15と信号装置13とは接続され、音響信号入力ポート16及びエネルギー提供装置11は信号装置13と接続される。イヤプラグ15は、ケース12及び熱音響装置14を含む。ケース12は収容スペースを有し、熱音響装置14はこの収容スペースに収容される。
本実施例3のイヤホーン30の構造と、実施例1のイヤホーン10の構造と比較すると、次の異なる点がある。イヤホーン30がエネルギー提供装置11を含み、該エネルギー提供装置11が信号装置13の電流処理ユニット134と電気的に接続されることによって、イヤホーン30に作動電流を提供する。
エネルギー提供装置11は、物理電池(例えば、太陽電池、圧電電池、光感作電池(photosensitizer battery)、熱感作電池(thermosensitive bttery)など)、化学電池(例えば、鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池、Zn−MnO電池(zinc−manganese battery)、リチウム電池等)の中の何れか一種である。エネルギー提供装置11はイヤホーン30に駆動電圧を提供し、熱音響装置14を駆動して作動させる。エネルギー提供装置11の形式は制限されず、必要に応じて選択できる。エネルギー提供装置11がリチウム電池である場合、リチウム電池はイヤホーン30のケース12内に集積できる。好ましくは、エネルギー提供装置11は太陽電池である。太陽電池は、平面構造或いは特定の柔軟性を有するので、ケース12の表面に直接付着できる。太陽光を吸収でき、且つイヤホーン30の音の発生に影響しないことを保証しさえすれば、太陽電池の位置は制限されない。好ましくは、太陽電池はケース12の後カバー123の外表面に直接付着する。これにより、イヤホーン30の音の発生に影響を与えないため、イヤホーン30を耳に装着する際快適である。並びに太陽電池が多量の太陽光を吸収することを保証する。また、太陽電池は、イヤホーン30のケース12内に固定されても良い。この場合、太陽電池の一部は露出され、該露出された太陽電池の一部は太陽光を吸収する。次いで吸収された太陽光は電気エネルギーに変換されて、イヤホーン30に電気エネルギーを提供する。さらに、イヤホーン30は、イヤホーン制御装置を備えても良く、太陽電池はイヤホーン制御装置の外表面に付着しても良い。
本実施例において、エネルギー提供装置11とケース12とを集積するため、イヤホーン30に対して、別に固定電源を設置する必要はない。従って、いつでもイヤホーン30を駆動できるため、イヤホーン30の応用に有利である。
更に、信号装置13は熱音響装置14に集積できる。具体的には、信号装置13は支持素子128の音響装置14と反対側の表面に集積しても良い。或いは、熱音響装置14の基板100の中に集積しても良い。これにより、信号装置13とイヤプラグ15との間にイヤホーンケーブルを設置する必要がなくなり、イヤホーン30の入力電圧が低くなり、イヤホーン30の体積を減少させる。従って、イヤホーン30の携帯に便利であり、容易に使用できる。
10、20、30 イヤホーン
11 エネルギー提供装置
12 ケース
13 信号装置
14 熱音響装置
15 イヤプラグ
16 音響信号入力ポート
17 イヤホーンケーブル
18 電源信号入力ポート
100 基板
101 第一表面
102 凹部
103 第二表面
104 突起
106 第一電極
110 音波発生器
112 第一区域
114 第二区域
116 第二電極
120 絶縁層
121 前カバー
122 第一絶縁層
123 後カバー
124 第二絶縁層
125 第三電極
126 第三絶縁層
127 金属ネット
128 支持素子
132 音声処理ユニット
134 電流処理ユニット
182 外ケース
184 電源入力ポート

Claims (2)

  1. イヤプラグと、信号装置と、音響信号入力ポートと、電源信号入力ポートと、を含むイヤホーンであって、
    前記イヤプラグはケース及び熱音響装置を含み、
    前記熱音響装置は前記ケース内部に設置され、
    前記信号装置は前記熱音響装置に信号を入力し、
    前記音響信号入力ポート及び前記電源信号入力ポートは、前記信号装置とそれぞれ接続され、前記信号装置に音響信号及び駆動電圧をそれぞれ提供し、
    前記電源信号入力ポートはUSBコネクタであり、
    前記信号装置は前記USBコネクタの内部に集積され、
    前記熱音響装置は基板音波発生器、複数の第一電極、及び複数の第二電極を含み、
    前記基板は、第一表面を有し、前記第一表面は、間隔をあけて平行な複数の凹部、及び隣接する二つの前記凹部の間に位置する突起を有し、
    前記複数の第一電極及び複数の第二電極は、前記突起に対応する位置に交互に設置されて、前記音波発生器と電気的に接続されており、
    前記音波発生器は、前記基板の第一表面に設置され、前記音波発生器の前記凹部と対応する部分は懸架されることを特徴とするイヤホーン。
  2. イヤプラグと、信号装置と、音響信号入力ポートと、エネルギー提供装置と、を含むイヤホーンであって、
    前記イヤプラグはケース及び熱音響装置を含み、
    前記熱音響装置は前記ケース内部に設置され、
    前記信号装置は有線或いは無線の方式によって、前記熱音響装置に信号を入力し、
    前記音響信号入力ポート及び前記エネルギー提供装置は、前記信号装置とそれぞれ接続され、前記信号装置に音響信号及び駆動電圧をそれぞれ提供し、
    前記エネルギー提供装置は、イヤプラグの外部に単独で設置され、或いは前記ケースの外表面に設置され、或いは前記ケースの内部に設置され、
    前記熱音響装置は基板音波発生器、複数の第一電極、及び複数の第二電極を含み、
    前記基板は、第一表面を有し、前記第一表面は、間隔をあけて平行な複数の凹部、及び隣接する二つの前記凹部の間に位置する突起を有し、
    前記複数の第一電極及び複数の第二電極は、前記突起に対応する位置に交互に設置されて、前記音波発生器と電気的に接続されており、
    前記音波発生器は、前記基板の第一表面に設置され、前記音波発生器の前記凹部と対応する部分は懸架されることを特徴とするイヤホーン。
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