JP2014102076A - 電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】組電池の備える単電池の出力電圧の均等化処理とその単電池の満充電量の算出処理とをともに適切に実施する。
【解決手段】制御装置50は、検出される電流に基づいて複数の単電池C1〜Cnの充放電量の変化量をそれぞれ算出する。また、検出される電圧に基づいて複数の単電池C1〜Cnの充電状態SOCをそれぞれ算出する。そして、満充電量算出期間である第1時刻から第2時刻までの間における充電状態の変化量ΔSOCを充電状態SOCを用いて算出し、その充電状態の変化量ΔSOCと、満充電量算出期間における充放電量の変化量ΔAhと、に基づいて複数の単電池の満充電量Ahfをそれぞれ算出する。また、複数の単電池それぞれの出力電圧に基づいて複数の単電池のうち特定のものを放電させ、複数の単電池の出力電圧を均等にする。さらに、満充電量算出期間と均等化放電の実施期間との重複を禁止する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、複数の単電池を備える組電池を備え、その組電池の満充電量の算出を行う電池システムに関する。
電池は充放電を繰り返すことで劣化が進行する。特に、過充電や過放電が生じると劣化の進行が速くなる。過充電や過放電を抑制するために充電状態(SOC:State of Charge)が所定の範囲内となるように電池の充電及び放電を行うことで、電池の劣化の進行を抑制することができる。ここで、充電状態とは、満充電量(Ahf)に対する電池の現在の充電量の比であり、満充電量とは、満充電された電池の充電量である。
充電状態は、満充電量を用いて算出することができる。ここで、電池は充放電を繰り返すに従って劣化が進行し、その満充電量が減少していく。電池の劣化に応じて変化する満充電量を算出し、その満充電量を用いて電池の充電状態を算出することで、電池の充電状態をより正確に算出することができ、ひいては過充電や過放電を抑制することが可能となる。
そこで、特許文献1には以下のような満充電量(Ahf)の算出方法が提案されている。第1時刻と第2時刻との間において、電池に流れる電流量を検出し、その電流量を用いて充放電量の変化量(ΔAh)を算出する。さらに、第1時刻及び第2時刻において、電池の出力電圧を検出し、その出力電圧を用いてそれぞれのタイミングにおける充電状態を算出して、その充電状態を用いて充電状態の変化量(ΔSOC)を算出する。充放電量の変化量(ΔAh)を、充電状態の変化量(ΔSOC)で割ることで、満充電量(Ahf=ΔAh/ΔSOC)を算出する。
特開2008―241368号公報
また、例えば、電気自動車やハイブリッド車に用いられる電池には、高い出力電圧が求められるため、複数の単電池が直列に接続された組電池が用いられる。複数の単電池には個体差があり、それぞれの単電池の内部抵抗等は異なった値となる。このため、組電池において、充放電を繰り返すと、単電池間に出力電圧のばらつきが生じることとなる。ばらつきが生じた場合、最も出力電圧が高い単電池の過充電を検出するまでが電池の充電範囲、最も電圧が低い単電池の過放電を検出するまでが電池の放電範囲となる。
このため、単電池の出力電圧のうち最も高い出力電圧と最も低い出力電圧の差である出力電圧のばらつきが大きくなるほど、組電池としての充電・放電可能な範囲が狭くなることとなる。そこで、単電池毎に放電回路を設けておき、単電池の出力電圧に基づいて個別に放電を実施することで、単電池間の出力電圧を均等化させる均等化処理が行われている。
満充電量を算出する際に、上記第1時刻と第2時刻との間で出力電圧の均等化を行った場合に、出力電圧に基づいて充電状態を算出し、その充電状態から充電状態の変化量(ΔSOC)を算出すると、その算出された充電状態の変化量は出力電圧の均等化に伴う放電の影響が含まれたものとなる。
一方で、出力電圧の均等化において組電池全体には電流が流れない。このため、第1時刻と第2時刻との間において、組電池に流れる電流を検出し、その検出値を用いて充放電量の変化量を算出すると、その算出結果には出力電圧の均等化に伴う放電の影響が含まれず、実際の充放電量の変化量と異なるものとなる。このため、第1時刻から第2時刻において出力電圧の均等化が行われると、満充電量の算出精度が低下する。
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、組電池の備える単電池の出力電圧の均等化処理とその単電池の満充電量の算出処理とをともに適切に実施可能な手段を提供することを目的とする。
請求項1に記載の電池システムは、直列接続された複数の単電池(C1〜Cn)を備える組電池(10)と、前記複数の単電池の出力電圧をそれぞれ検出する電圧検出手段(U)と、前記組電池に流れる充放電電流を検出する電流検出手段(60)と、前記電圧検出手段により検出した電圧に基づいて前記複数の単電池の充電状態(SOC)をそれぞれ算出する充電状態算出手段(50)と、を備える。
さらに、第1時刻からその後の第2時刻までを満充電量算出期間とし、前記充電状態算出手段により算出した前記第1時刻及び前記第2時刻における各充電状態を用いて、前記満充電量算出期間における前記複数の単電池の充電状態の変化量(ΔSOC)をそれぞれ算出する第1変化量算出手段(50)と、前記電流検出手段により検出した電流に基づいて、前記満充電量算出期間における前記複数の単電池の充放電量の変化量(ΔAh)をそれぞれ算出する第2変化量算出手段(50)と、前記第1変化量算出手段により算出した充電状態の変化量と、前記第2変化量算出手段により算出した充放電量の変化量とに基づいて、前記複数の単電池の満充電量(Ahf)をそれぞれ算出する満充電量算出手段(50)と、前記電圧検出手段により検出した電圧に基づいて前記複数の単電池を個別に選択的に放電させ、前記複数の単電池の出力電圧を均等にする均等化手段(50)と、前記満充電量算出期間と前記均等化手段による放電の実施期間との重複を禁止する禁止手段(50)と、を備えることを特徴とする。
上記構成によれば、満充電量算出期間と均等化手段による放電の実施期間との重複が禁止されるため、出力電圧の均等化に伴って生じる満充電量の算出精度の低下を抑制することができる。
一実施形態にかかるシステム構成図。 充放電量の変化量と充電状態の変化量との対応関係を示す図。 開放端電圧と充電状態との対応関係を示す図。 同実施形態にかかる均等化処理を示すフローチャート。 同実施形態にかかる満充電量算出処理を示すフローチャート。 変形例にかかる均等化処理を示すフローチャート。 変形例にかかる満充電量算出処理を示すフローチャート。
以下、組電池の電池セル(単電池)について満充電量をそれぞれ算出し、また、組電池の均等化放電を行う電池システムをハイブリッド車に適用した一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に、本実施形態にかかるシステム構成を示す。
図示される組電池10は、電池セルC1〜Cnの直列接続体としての組電池であり、その開放端電圧(OCV:Open Cell Voltage)が例えば100V以上となるものである。電池セルCi(i=1〜n)は、リチウムイオン蓄電池等の2次電池である。電池セルC1〜Cnは、個体差を除き、互いに等しい構成である。すなわち、SOCに対するOCVの関係や、劣化が生じていない場合での満充電量及び内部抵抗値等が互いに等しいものである。
組電池10は、メインリレーMR、インバータ12を介して第2モータジェネレータ14に接続されている。第2モータジェネレータ14は、車載主機であり、その回転子が駆動輪16に機械的に連結されている。
また、組電池10は、メインリレーMR、インバータ18を介して第1モータジェネレータ20に接続されている。第1モータジェネレータ20の回転子は、内燃機関であるエンジン22のクランク軸に機械的に連結されている。第1モータジェネレータ20は、クランク軸の動力を電気エネルギに変換する発電機としての機能と、エンジン22の停止時において、クランク軸に初期回転を付与する初期回転付与手段(スタータ)としての機能とを有する。
本実施形態では、第2モータジェネレータ14、第1モータジェネレータ20及びエンジン22がそれらを制御対象とする図示しない制御装置によって制御され、これにより、エンジン22を駆動するHVモードと、エンジン22を停止した状態で走行するEVモードとが適宜選択される。
組電池10には、電池セルC1〜Cnの状態を監視する監視ユニットUが接続されている。監視ユニットUは、電池セルC1〜Cnのそれぞれに対して接続された放電用抵抗体30及びスイッチング素子32と、スイッチング素子32を選択的にオン操作する放電制御部34とを備えている。また、監視ユニットUは、電池セルC1〜Cnの出力電圧のうちの1つを選択的に差動増幅回路38に印加するマルチプレクサ36を備えている。これにより、電池セルC1〜Cnのそれぞれの出力電圧は、差動増幅回路38を介してアナログデジタル変換器40に入力され、ここでデジタルデータに変換される。
一方、制御装置50は、監視ユニットUを操作することで、組電池10の状態を制御するものである。制御装置50は、監視ユニットUを操作し、電池セルC1〜Cnの出力電圧の均等化放電を実施する。制御装置50は、中央処理装置やメモリを備えたソフトウェア処理手段である。ここで、制御装置50は、アナログデジタル変換器40の出力するデジタルデータ(検出信号Sv)を入力し、これに基づき、指令信号Scを監視ユニットUの放電制御部34に出力する機能を有する。ここで、指令信号Scは、放電用抵抗体30を用いて電池セルC1〜Cnのうちのいずれを放電させるか(また、放電を停止するか)を指令するものである。
また、制御装置50は、電源スイッチとしてのイグニッションスイッチ(以下、IGスイッチという)のオン・オフや車両の走行状態に基づいて、メインリレーMRを開閉する機能を備える。制御装置50は、IGスイッチがオフからオンに操作された場合に一時的にメインリレーMRのオンを遅らせるものとなっている。また、制御装置50は、IGスイッチがオフとされている期間において、メインリレーMRを制御して開状態とし、組電池10における充放電を停止させる。
先の図1に示す制御装置50は、検出信号Svに基づき、電池セルC1〜Cn間のOCVのばらつき幅が規定量以上になっている場合に、OCVの高い電池セルを放電させるべく指令信号Scを出力するとともに、均等化放電時間が経過することで、放電の停止指令を出力する。ここで、OCVのばらつき幅とは、電池セルC1〜CnのOCVのうち、最大の電圧値と最小の電圧値との差である。ここで、均等化放電時間は、比較的長い時間(たとえば1時間以上)に設定される。これは、放電用抵抗体30を用いた放電電流が比較的小さいことに起因している。
また、図1に示すように、組電池10とメインリレーMRとの間には、電流センサ60が設けられている。電流センサ60は、組電池10の出力電流である充放電電流を検出し、検出信号Siを出力する。制御装置50は、電流センサ60から入力される検出信号Siから組電池10の充放電電流の電流値Iaを取得する。制御装置50は、検出信号Si及び検出信号Svに基づいて電池セルC1〜Cnそれぞれの満充電量Ahfを算出する。
図2にSOCと充放電量とが変化する場合におけるこれら両者の関係図を示す。SOCは、満充電量Ahfに対する実際の蓄電池の充電量の比であるため、SOCが100%のとき充放電量は0、SOCが0%のとき充放電量は満充電量Ahfとなる。以下、図2を用いて、SOCの変化量ΔSOCと、充放電量の変化量ΔAhとに基づいて満充電量Ahfを算出する方法について説明する。なおここでは、説明の便宜上、1つの電池セルCについて説明する。
図2において、第1時刻から第2時刻までが満充電量算出期間である。これら第1時刻、第2時刻はそれぞれ、電池セルCのOCVを検出可能なタイミングであり、例えばIGスイッチがオフ状態からオン状態に切替操作された直後のタイミングである。このタイミングでは、組電池10に充放電電流が流れておらずOCVの検出が可能となっている。
満充電量算出期間の始まり時期である第1時刻、終わり時期である第2時刻では、電池セルCのOCVにより充電状態がSOC1,SOC2としてそれぞれ算出される。ここで、図3に示すように、OCVとSOCとは一対一の関係にあり、この関係がマップとして制御装置50に記憶されている。そして、図3の関係に基づいて、電池セルCのSOC1,SOC2が算出される。そして、第1時刻と第2時刻との間におけるSOCの変化量ΔSOCが、SOC1とSOC2との差として算出される(ΔSOC=SOC1―SOC2)。
また、第1時刻〜第2時刻の期間では、充放電量の変化量ΔAh、すなわち電池セルCから出入りした電荷量が、組電池10の出力電流の電流値Iaを時間積分することで算出される(ΔAh=∫Ia・dt)。
なお、上記のとおり第1時刻、第2時刻はそれぞれIGスイッチのオン直後であり、第1時刻〜第2時刻の間にはIGスイッチ=オフとなる期間が存在する。この場合、IGスイッチのオフ中にもSOC1、ΔAhの情報が保持されるよう、SOC1、ΔAhが、制御装置50内の不揮発性の記憶部であるEEPROM(登録商標)に記憶されるとよい。
上記のとおり算出されたSOCの変化量ΔSOCと、充放電量の変化量ΔAhとは、Ahf×ΔSOC=ΔAhという関係にあるため、満充電量Ahfは、Ahf=ΔAh/ΔSOCとして求められる。図2では、直線L1の傾きが満充電量Ahfに相当する。
ただし、第1時刻と第2時刻との間において電池セルCの均等化放電が実施されると、均等化放電に伴う電池セルCのOCVの低下により、第2時刻では、電池セルCのSOCがSOC2より低いSOC2’となり、SOCの変化量が「SOC1−SOC2’」として算出される(図のΔSOC’)。一方で、充放電量の変化量ΔAhについては、電池セルCで均等化放電が実施されても電池セルCごとの放電用抵抗体30に電流が流れるだけであり、組電池10には充放電電流は流れず、電流センサ60によって検出される電流値Iaは0のままとなる。このため、充放電量の変化量ΔAhは均等化放電が実施された場合と実施されていない場合とで変化しない。
つまり、満充電量算出期間において均等化放電が実施されると、均等化放電が実施されない場合とは満充電量Ahfの値が異なってしまい、満充電量Ahfの算出精度の低下が生じる。図2では、直線L2の傾きとして満充電量が算出され、それは「Ahf’」となる。そこで、本実施形態では、満充電量算出期間と均等化放電の実施期間との重複を防止することで、満充電量Ahfの算出精度の低下を抑制する。
図4に本実施形態における均等化処理に関し、特に制御装置50によって行われる処理の手順を示す。均等化処理は、IGスイッチがオフされ、そのオフ状態のまま所定の時間(例えば、1時間)継続した場合に制御装置50が起動されて実施される。
まず、ステップS10において、各電池セルC1〜CnのOCVをそれぞれ検出する。ステップS11において、電池セル同士のOCVのばらつき幅を算出する。ステップS12において、OCVのばらつき幅が、均等化放電を実施するかどうかを判定するための第1判定値K1以上であるか否かを判断する。第1判定値K1は、例えばOCVをSOCに換算した場合に5%となる値である。ばらつき幅<第1判定値K1の場合(S12:NO)、均等化放電を行わずに処理を終了する。
ステップS12において肯定的な判断がなされた場合、ステップS13において、今現在、満充電量Ahfの算出が実施されているか否かを判断する。満充電量Ahfの算出が実施されていない場合(S13:NO)、均等化放電の実施を許可する。すなわち、ステップS16において、監視ユニットUを制御して電池セルC1〜Cnについて均等化放電を実施し、その後本処理を終了する。
また、満充電量Ahfの算出が実施されている場合(S13:YES)、満充電量Ahfの算出と均等化放電とのいずれを優先するかを判断する優先判断処理(S14,S15)を実施する。すなわち、ステップS14において、OCVのばらつき幅が、満充電量Ahfの算出よりも均等化放電を優先するかどうかを判定するための第2判定値K2以上であるか否かを判断する。第2判定値K2は、上記の第1判定値K1よりも大きい値であり、例えばOCVをSOCに換算した場合に10%となる値である。ばらつき幅<第2判定値K2の場合、満充電量Ahfの算出よりも均等化放電を優先することはせず、そのまま本処理を終了する。つまり、均等化放電の実施を禁止する。
ステップS14において肯定的な判断がなされた場合、ステップS15において、複数の電池セルC1〜Cnに所定の劣化状態になっている電池セルが含まれているか否かを判断する。ここで、各電池セルC1〜Cnについての劣化判定は、例えば電池セルC1〜Cnのうち過充電又は過放電が生じているものがあるかどうかに基づいて行われるとよい。より具体的には、組電池10では各電池セルC1〜Cnにおいて充放電が実施されるべき充放電範囲が各々定められており、制御装置50は、車両の運転中に、各電池セルC1〜CnのSOCが充放電範囲内に入っているかどうかを逐次判定することで、過充電/過放電の診断を実施する。そして、いずれかの電池セルで過充電/過放電が生じた場合(又はその過充電/過放電が繰り返し生じる場合)に、その電池セルが所定の劣化状態になっていると判断する。
所定の劣化状態になっている電池セルが含まれている場合(S15:YES)、各電池セルC1〜Cnについてより精密な充放電管理が要求される。そのため、ばらつき幅≧第2判定値K2であっても、満充電量Ahfの算出よりも均等化放電を優先することはせず、そのまま本処理を終了する。つまり、均等化放電の実施を禁止する。
また、所定の劣化状態になっている電池セルが含まれていない場合(S15:NO)には、ステップS16において、監視ユニットUを制御して電池セルC1〜Cnについて均等化放電を実施する。つまり、満充電量Ahfの算出中であっても、OCVのばらつき幅が第2判定値K2以上であることから、満充電量Ahfの算出よりも均等化放電を優先する。
図5に本実施形態における満充電量算出処理に関し、特に制御装置50によって行われる処理の手順を示す。この処理は、IGスイッチがオンになっている状態下で、制御装置50によってΔt秒周期で行われる。
まず、ステップS20において、Ahf算出要求があるか否かを判断する。ここで、Ahf算出要求は、満充電量Ahfを前回算出してから車両が走行した距離が所定値を超えている場合や、組電池10における過放電や過充電のダイアグが頻発している場合に生じる。Ahf算出要求が無い場合、処理を終了する。ステップS20において肯定的な判断がなされた場合、ステップS21において、今現在、均等化放電が実施されていないか否かを判断する。
ステップS21において肯定的な判断がなされた場合、ステップS22において、OCV検出条件が成立しているか否かを判断する。ここで、OCV検出条件は、IGスイッチがオフ状態からオン状態へと切り替えられた直後であって、かつメインリレーMRがオフ状態であることを含んでいる。また、本実施形態では、IGスイッチがオン状態へと切り替えられる前においてメインリレーMRが所定の時間(例えば、1時間)以上オフ状態を継続していたこととを含んでいる。IGスイッチがオン状態へと切り替えられた直後は組電池10に電流は流れておらず、OCVの検出に好適な状態である。また、メインリレーMRが所定の時間以上オフ状態を継続していることは、組電池10に電流が流れていないことを意味する。このため、OCVに対する分極の影響を抑制することができ、OCVの検出に好適な状態である。これら、両条件がともに成立した場合に、OCV検出条件が成立したと判断する。
ステップS22において肯定的な判断がなされた場合、ステップS23において各電池セルC1〜CnのOCVを検出する。次に、ステップS24において、満充電量算出期間の始まり時期である第1時刻におけるSOC(SOC1)が算出されていないか否かを判断する。ステップS24において肯定的な判断がなされた場合、ステップS25において、各電池セルC1〜CnのOCVに基づいてSOC1を算出する。そして、ステップS26において、その算出されたSOC1をEEPROMに記憶し処理を終了する。
ステップS22において否定的な判断がなされた場合、すなわちOCV検出条件が成立していない場合、ステップS27において、SOC1の算出後であるか否かを判断する。SOC1の算出後でない場合は処理を終了する。ステップS27において肯定的な判断がなされた場合、ステップS28において、組電池10の充放電電流の電流値Iaを検出する。ステップS29において、充放電量の変化量ΔAh(前回値)に対して、今回の電流値Iaと満充電量算出処理の周期Δtとの積を加算してΔAhの今回値を算出する。そして、ステップS26において、その算出されたΔAhをEEPROMに記憶し処理を終了する。なお、EEPROMに対するSOC1やΔAhの記憶を、処理ごとに実施するのではなく、IGスイッチのオフ操作時にまとめて実施する構成であってもよい。
ステップS24において否定的な判断がなされた場合、すなわちSOC1算出後であると判断された場合、ステップS30において、Ahf算出条件が成立しているか否かを判断する。ここでAhf算出条件には、電流センサ60の検出誤差の累積に伴うAhfの算出誤差の増大を抑制するために、組電池10において充放電がなされた時間であるT_ONが所定値(例えば、10時間)以下であることを含む。また、組電池10において、自然放電によってSOCが低下し、それに起因してAhfの算出誤差が生じることを抑制するために、満充電量算出期間においてメインリレーMRがオフ状態とされていた時間T_OFFが所定値(例えば、3日間)以下であることを含む。また、外乱の影響を抑制するために、充電状態の変化量であるΔSOCが所定値(例えば、10%)以上であることを含む。また、外乱の影響を抑制するために、充放電量の変化量であるΔAhが所定値(例えば、劣化していない状態でのAhfの10%)以上であることを含む。これら各条件が全て成立している場合に、Ahf算出条件が成立しているとする(S30:YES)。
そして、ステップS31において、今回の処理において検出された各電池セルC1〜CnのOCVに基づいて、満充電量算出期間の終わり時期である第2時刻におけるSOC(SOC2)を算出する。次に、ステップS32において、各電池セルC1〜CnのSOCの変化量ΔSOCを算出する(ΔSOC=SOC1−SOC2)。ステップS33において、各電池セルC1〜CnのAhfを算出し(Ahf=ΔAh/ΔSOC)、処理を終了する。
また、Ahf算出条件が成立していない場合(S30:NO)、ステップS34において、Ahfの算出を中止し、処理を終了する。なお、ステップS34では、SOC1、ΔAhの各値の初期化を実施する。また、ステップS21において否定的な判断がなされた場合、すなわち、均等化放電が実施されている場合、均等化処理と満充電量算出処理の重複を抑制するため、ステップS34においてAhfの算出を中止し、処理を終了する。
以下本実施形態の奏する効果を述べる。
上記構成によれば、満充電量算出期間と均等化放電の実施期間との重複が禁止されるため、均等化放電の実施に起因する満充電量Ahfの算出精度の低下を抑制することができる。さらに、図4のステップS12の判定時に、OCVのばらつき幅が第1判定値K1以上になっていたとしても、満充電量算出期間であれば均等化放電の実施を禁止する。満充電量算出処理を優先して実施することで、満充電量Ahfの算出機会を確保することができる。
均等化放電は、組電池10に充放電電流が流れていない状態で検出される開放端電圧OCVに基づいて実施される。したがって、OCVは不連続で検出されることになり、組電池10において充放電電流が流れていた状態から流れていない状態に切り替わった際には、各電池セルC1〜CnのOCVのばらつき幅が過度に大きくなっていることがあると考えられる。つまり、OCVのばらつき幅が第2判定値K2以上になっていることが生じると考えられる。この場合、OCVのばらつき幅が過度に大きい状態を放置しておくことは望ましくない。この点、ばらつき幅≧K2の場合には、満充電量Ahfの算出中であっても均等化放電が優先して実施されるため、OCVのばらつき幅が過度に大きい状態が放置されるといた不都合を抑制できる。また、均等化放電の実施機会を好適に確保することができる。
電池セルが劣化状態になっていると、充放電の速度が大きく、SOCを所定の充放電範囲内に制御することが困難になる。この点、電池セルCが劣化状態になっている場合には、OCVのばらつき幅≧K2であっても、満充電量Ahfの算出よりも均等化放電を優先することはせず、均等化放電を禁止するようにした。これにより、電池セルが劣化状態になっている場合において、各電池セルC1〜Cnのより精密な充放電管理を実施できる。
電池に電流が流れると、分極が発生して起電力が変動する。そして、その起電力の変動は、電流出力が停止された後も所定の時間が経過するまで継続する。起電力の変動に伴いOCVも変動する。上記構成では、IGスイッチがオフ状態とされ、そのオフ状態のまま所定の時間継続した場合、すなわち、組電池10における電流出力が所定時間以上停止されている状態でOCVを検出するため、OCVを精度よく検出できる。均等化処理において、精度よく検出されたOCVを用いて、OCVのばらつき幅を判定し、均等化放電の要否を決定するため、適切に均等化放電を実施できる。同様に、満充電量算処理において、精度よく検出されたOCVに基づいて、それぞれのSOCの算出を行うこととなる。このため、その算出されるSOCは精度よく算出されることとなる。そして、そのSOCを用いて満充電量Ahfを算出することで、満充電量Ahfを精度よく算出することが可能となる。
IGスイッチをオフ状態にして組電池10の充放電を停止している場合に、組電池10の充電量は自然放電によって低下していく。自然放電による充電量の変化は組電池10の出力電流を用いて算出することができないため、自然放電が大きくなると、充放電量の変化量ΔAhの算出精度が低下する。そこで、自然放電による算出精度への影響を抑制するために、満充電量算出条件として、T_OFFが所定値(例えば、3日)より短いことを含む。これにより、IGスイッチがオフ状態とされている時間が所定の時間以上である場合に、満充電量Ahfの算出を中止して、満充電量Ahfが精度低く算出されることを抑制する。
電流センサ60によって検出される電流値Iaには誤差が含まれ、その電流値Iaの時間積分として算出される充放電量の変化量ΔAhについては、その積分時間が長いほど誤差が累積されることとなる。このため、満充電量算出期間において、組電池10に電流が流れている時間が長いほど、算出される満充電量Ahfの精度も低下することとなる。そのため、満充電量算出条件として、T_ONが所定値以下(例えば、10時間)であることを含む。これにより、長時間の電流値Iaの加算に伴い充放電量の変化量ΔAhの誤差が大きくなった場合に、満充電量Ahfの算出を行わないことで、満充電量Ahfにおける誤差を抑制することができる。
満充電量算出条件として、ΔSOCが所定値以上であることと、ΔAhが所定値以上であることを含む。これにより、ノイズなどの外乱による誤差の影響を抑制することができる。
(他の実施形態)
・満充電量算出期間の途中において、OCVのばらつき幅が第2判定値K2以上であり均等化放電の実施が許可される場合(図4のステップS13,S14が共にYESとなる場合)に、その許可の時点を満充電量算出期間の終わり時期とし、第1時刻から許可の時点との間の期間におけるΔSOCとΔAhとに基づいて各電池セルC1〜Cnの満充電量Ahfを算出するようにしてもよい。具体的には、制御装置50は、図6に示す均等化処理を実施するとともに、図7に示す満充電量算出処理を実施する。なお、図6に示す均等化処理は、図4に示す均等化処理に置き換えて実施される。また、図7に示す満充電量算出処理は、図5に示す満充電量算出処理に追加して(又はこれに並行して)実施される処理である。
図6に示す均等化処理は、図4に示す均等化処理と比較して、ステップS15において肯定的な判断がなされた後の処理としてステップS40が追加されている。このステップS40では、この時点でのOCVに基づいて各電池セルC1〜CnのSOC3を算出し、そのSOC3をEEPROMに記憶する。そしてその次に、ステップS16において均等化放電を実施する。
図7に示す満充電量算出処理では、ステップS50において、IGオフ中にSOC3が算出されてそれがEEPROMに記憶されているか否かを判定し、それが肯定判断される場合に、ステップS51に進む。そして、ステップS51において、SOC1とSOC3とにより各電池セルC1〜CnのSOCの変化量ΔSOCを算出する(ΔSOC=SOC1−SOC3)。ステップS52において、各電池セルC1〜CnのAhfを算出し(Ahf=ΔAh/ΔSOC)、処理を終了する。
なお、図7の処理は、図5による満充電量Ahfの算出(ステップS31〜S33)よりも優先して実施され、図7により満充電量Ahfが算出される場合には、図5による満充電量Ahfの算出は実施されない。
なお、SOC3に基づく満充電量Ahfの算出は、IGスイッチのオン後に実施される代わりに、IGスイッチのオフ中、すなわちSOC3が算出された時点でそれに引き続き実施されてもよい。
満充電量算出期間の途中において、OCVのばらつき幅が過度に大きく(第2判定値K2以上であり)均等化放電の実施が許可される場合、その時点で満充電量Ahfの算出が中止されると、それまでにAhf算出のために取得した情報(SOC1やΔAh)が無駄になってしまう。この点について、上記のとおり許可の時点を満充電量算出期間の終わり時期とし、第1時刻から許可の時点との間の期間におけるΔSOCとΔAhとに基づいて各電池セルC1〜Cnの満充電量Ahfを算出する構成としたため、せっかくの取得情報が無駄になることはなく、算出要求に応じて好適に満充電量Ahfを算出できる。
この場合、第1時刻は先の車両運転時におけるIGスイッチのオンタイミング、第2時刻は後の車両運転時におけるIGスイッチのオンタイミングであり、その間のIGオフ期間で均等化放電の実施が許可されるようになっており、その放電許可の時点では既にAhf算出のための情報が十分に取得されていると考えられる。そのため、満充電量Ahfの算出に関しては何ら支障はないと考えられる。
なお、第1時刻と放電許可の時点との間の時間が所定時間(例えば1時間)以上か否かを判定し、所定時間以上である場合にのみ、放電許可の時点での取得情報を用いて満充電量Ahfを算出するようにしてもよい。
・IGスイッチのオン直後にOCVを検出する構成に代えて、IGスイッチのオフ直後にOCVを検出する構成としてもよい。この場合には、組電池10に流れていた電流値Iaに基づいて電池セルC1〜Cnの分極状態を推定し、その推定に基づいてOCVを補正するとよい。これにより、OCVのばらつき幅やSOCを正確に算出することができる。
・IGスイッチがオンのままであっても、モータジェネレータ14,20との間の充放電が停止されることがあると考えられ、その際にメインリレーMRが開放されることで各電池セルC1〜CnのOCVの検出が可能となる。ゆえに、メインリレーMRが開放(オフ)されているか否かを判定するとともに、メインリレーMR=開放の状態下でOCVを検出し、そのOCVに基づいて均等化放電や満充電量の算出を実施するようにしてもよい。
・各電池セルC1〜CnのOCVのばらつき幅に基づいて均等化放電を実施する構成に代えて、各電池セルC1〜Cnに電流が流れている状態で検出されたセル出力電圧のばらつき幅に基づいて均等化放電を実施する構成としてもよい。また、各電池セルC1〜CnのOCVに基づいてSOCを算出する構成に代えて、各電池セルC1〜Cnに電流が流れている状態で検出されたセル出力電圧に基づいてSOCを実施する構成としてもよい。
・均等化放電処理及び満充電量算出処理の対象は、電池セルC1〜Cnに限らない。たとえば隣接する2つ以上の電池セルであって且つ組電池10を構成する一部の電池セルを単電池として、その単電池同士を処理対象としてもよい。すなわち、その単電池毎に放電用抵抗体及びスイッチング素子を接続し、放電制御部34がそのスイッチング素子を選択的にオン操作することで、単電池毎に均等化放電を行うものであってもよい。
10…組電池、50…制御装置(充電状態算出手段、第1変化量算出手段、第2変化量算出手段、満充電量算出手段、均等化手段、禁止手段)、60…電流センサ(電流検出手段)、C1〜Cn…電池セル(単電池)、U…監視ユニット(電圧検出手段)、Ahf…満充電量、SOC…充電状態、ΔAh…充放電量の変化量、ΔSOC…充電状態の変化量。

Claims (8)

  1. 直列接続された複数の単電池(C1〜Cn)を備える組電池(10)と、
    前記複数の単電池の出力電圧をそれぞれ検出する電圧検出手段(U)と、
    前記組電池に流れる充放電電流を検出する電流検出手段(60)と、
    前記電圧検出手段により検出した電圧に基づいて前記複数の単電池の充電状態(SOC)をそれぞれ算出する充電状態算出手段(50)と、
    第1時刻からその後の第2時刻までを満充電量算出期間とし、前記充電状態算出手段により算出した前記第1時刻及び前記第2時刻における各充電状態を用いて、前記満充電量算出期間における前記複数の単電池の充電状態の変化量(ΔSOC)をそれぞれ算出する第1変化量算出手段(50)と、
    前記電流検出手段により検出した電流に基づいて、前記満充電量算出期間における前記複数の単電池の充放電量の変化量(ΔAh)をそれぞれ算出する第2変化量算出手段(50)と、
    前記第1変化量算出手段により算出した充電状態の変化量と、前記第2変化量算出手段により算出した充放電量の変化量とに基づいて、前記複数の単電池の満充電量(Ahf)をそれぞれ算出する満充電量算出手段(50)と、
    前記電圧検出手段により検出した電圧に基づいて前記複数の単電池を個別に選択的に放電させ、前記複数の単電池の出力電圧を均等にする均等化手段(50)と、
    前記満充電量算出期間と前記均等化手段による放電の実施期間との重複を禁止する禁止手段(50)と、
    を備えることを特徴とする電池システム。
  2. 前記禁止手段は、前記均等化手段による均等化について前記電圧検出手段により検出した電圧に基づく実施条件が成立する場合に、その条件成立の時点で前記満充電量算出期間になっているか否かを判定し、前記満充電量算出期間になっていれば前記均等化手段による放電の実施を禁止することを特徴とする請求項1に記載の電池システム。
  3. 前記均等化手段は、前記組電池に充放電電流が流れていない状態で前記電圧検出手段により検出される開放端電圧(OCV)の前記単電池同士のばらつき幅が、あらかじめ定めた第1判定値(K1)以上である場合に、前記複数の単電池を選択的に放電させるものであり、
    前記開放端電圧のばらつき幅が前記第1判定値以上であることにより前記放電の実施条件が成立する場合において、その時点で前記満充電量算出期間になっていても、前記開放端電圧のばらつき幅が前記第1判定値よりも大きい第2判定値(K2)以上であれば、前記均等化手段による放電の実施を許可する手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の電池システム。
  4. 前記複数の単電池に所定の劣化状態になっているものが含まれているか否かを判定する劣化判定手段を備え、
    前記禁止手段は、前記所定の劣化状態になっている単電池が含まれていると判定された場合に、前記開放端電圧のばらつき幅が前記第2判定値以上であっても、前記均等化手段による均等化を禁止することを特徴とする請求項3に記載の電池システム。
  5. 前記満充電量算出手段は、前記満充電量算出期間の途中において、前記開放端電圧のばらつき幅が前記第2判定値以上であり前記均等化手段による放電の実施が許可される場合に、その許可される時点を前記満充電量算出期間の終わり時期とし、前記第1時刻から前記許可の時点との間の期間における充電状態の変化量と充放電量の変化量とに基づいて前記単電池の満充電量を算出することを特徴とする請求項3又は4に記載の電池システム。
  6. 前記電圧検出手段は、前記組電池に充放電電流が流れていない状態で前記各単電池の開放端電圧を検出するものであり、
    前記組電池の充放電が停止されてから所定時間が経過した後に検出される前記開放端電圧に基づいて、前記充電状態算出手段による前記充電状態の算出と、前記均等化手段による前記放電とを実施することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電池システム。
  7. 車両に搭載される電池システムであって、
    前記第1時刻は、車両の電源スイッチがオンされる時刻であり、前記第2時刻は、その後に前記電源スイッチがオフされてさらに再びオンされる時刻であり、
    前記満充電量算出期間において前記電源スイッチがオフ状態で継続されている時間(T_OFF)が所定のオフ時間判定値以上である場合に、満充電量の算出を中止することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電池システム。
  8. 車両に搭載される電池システムであって、
    前記満充電量算出期間において車両の電源スイッチがオン状態で継続されている時間(T_ON)が所定のオン時間判定値以上となった場合に、満充電量の算出を中止することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電池システム。
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