JP2014101626A - 壁面材、及び構造物の表面構造 - Google Patents

壁面材、及び構造物の表面構造 Download PDF

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泰寛 野田
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Abstract

【課題】不燃性を備え、薄くて軽量な壁面材と、その壁面材を用いて不燃性を備えた構造物の表面構造を提供する。
【解決手段】壁面材は、繊維状の含水マグネシウム珪酸塩を含有する基材層と、金属水酸化物を含有する模様層とが積層されている。この壁面材を、金属水酸化物を50〜95質量%含有する接着剤、又は無機結合材を含有する接着剤を用いて構造物の表面に貼り付けることによって、不燃性に優れた構造物の表面構造を得ることができる。
【選択図】なし

Description

この発明は、建築物や土木構造物等の構造物の表面に取り付けて用いる壁面材、及びその壁面材を用いた構造物の表面構造に関する。
従来、建築物や土木構造物等の構造物の表面に、構造物の装飾や保護を目的として、シート状や板状の材料を取り付けることがある。このように構造物の表面に取り付けて用いる材料を、本明細書においては「壁面材」と言う。なお、壁面材は、壁面、床、天井、柱、梁等の構造物の任意の表面に貼り付けて用いることができる。
壁面材は、釘やネジ、或いは金属製の固定部材等を用いて壁面に取り付けることもあるが、厚みが薄くて比較的軽量な壁面材は接着剤で壁面に貼り付けることもある。
このような壁面材として、模様層と、無機繊維を含有する基材層とを積層したものが用いられることがある。このような壁面材としては、例えば、特許文献1〜3等がある。
特許文献1には、模様材及びベース材で構成され、ベース材が合成樹脂又は無機繊維で構成される補強材を添装された樹脂セメントモルタルであることを特徴とするフレキシブルシートが記載されている。
引用文献2には、ガラス繊維を含む不織布の一面または両面に、ポリマー成分及びセメントを含む組成物に水を加えて混練したものを塗付して形成される透湿性防水シートが記載されている。
引用文献3には、建築物の外壁外表面、内表面、床面等へ適用可能な可撓性を有する概ね短形の表装材において、その主たる構成が適用した時の表側から見た時、化粧材部1および基材部2であり、かつ化粧材部が合成樹脂および天然石,着色骨材そして吸熱性物質を主たる要素とするとき、合成樹脂成分が塩化ビニル, 塩化ビニリデン, ポリクロロプレン, 塩素化ポリエチレンから選択される成分を20重量%以上含有し、合成樹脂固形分が化粧材部重量に占める割合 (x%) が4%を越え、13%未満であり、吸熱性物質が化粧材部重量に占める割合(y%) が60%以下であり、かつx,yが y≧7x−56を満足させる範囲内にあることを特徴とする難燃性を有する表装材が記載されている。
特開2000−177041号公報 特開2000−000906号公報 特開平6−39969号公報
壁面材を取り付けた壁面には、不燃性が求められる場合がある。例えば、建築基準法では、不燃性を有する材料の規格として「不燃材料」、「準不燃材料」、「難燃材料」があり、これらについて性能基準が定められている。このような不燃性については、特許文献1〜3では十分に検討されていなかった。
また、壁面材には、納まりがよくし、構造物への加重による負担を小さくするために、薄くて軽量であることが求められることがあるが、その点については、特許文献1,3では十分に検討されていなかった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、不燃性を備え、薄くて軽量な壁面材を提供することを目的とする。また、その壁面材を用いて不燃性を備えた構造物の表面構造を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、構造物の表面に取り付けて用いる壁面材であって、繊維状の含水マグネシウム珪酸塩を含有する基材層と、金属水酸化物を含有する模様層とが積層されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記基材層が、繊維状の含水マグネシウム珪酸塩を60〜90質量%含有することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記模様層が、金属水酸化物を40〜95質量%含有することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の壁面材が、無機充填材を50〜95質量%含有する接着剤を介して構造物の表面に貼り付けられていることを特徴とする構造物の表面構造である。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の壁面材が、無機結合材を含有する接着剤を介して構造物の表面に貼り付けられていることを特徴とする構造物の表面構造である。

請求項1〜3に記載の発明によれば、不燃性を備え、薄くて軽量な壁面材を提供することができる。
請求項4〜5に記載の発明によれば、不燃性を備えた構造物の表面構造を提供することができる。
本発明の壁面材は、構造物の表面に取り付けて用いる壁面材であって、繊維状の含水マグネシウム珪酸塩を含有する基材層と、金属水酸化物を含有する模様層とが積層されていることを特徴とする。壁面材をこのような構成とすることによって、不燃性を備えた壁面材を得ることができる。また、このような構成とすることによって、意匠性に優れ、薄くて軽量な壁面材を得ることができる。
以下に、壁面材の構成要素となる基材層と模様層の詳細について詳細に説明する。
(基材層)
前記基材層は、繊維状の含水マグネシウム珪酸塩を含有する。基材層が繊維状の含水マグネシウム珪酸塩を含有することによって、壁面材の不燃性を向上させることができる。また、前記基材層は、引張り強度や曲げ強度等(以下、これらの機械的特性を示す強度をまとめて「強度」という。)に優れるため、基材層を薄くすることができるとともに、基材層が強度に優れることによって模様層を薄く形成することができるため、壁面材を薄くて軽量なものにすることができる。また、前記基材層は、柔軟性に優れるており曲げ応力を受けると曲がるため、基材層を薄くしても、割れ、欠け等の不具合が発生しにくい。
前記基材層には、具体的には、繊維状の含水マグネシウム珪酸塩に、必要に応じて有機繊維、無機繊維(但し、含水マグネシウム珪酸塩繊維は除く。なお、以下の説明において、「無機繊維」とは含水マグネシウム珪酸塩繊維を除いたものをいう。)等の繊維、有機結合材、無機結合材等の結合材を混合して紙状や薄板状に成形したものを用いることができる。
前記含水マグネシウム珪酸塩としては、具体的には、セピオライト(含水珪酸マグネシウム系鉱物)、アタパルジャイト(含水珪酸マグネシウム・アルミニウム系鉱物)等の鉱物繊維を挙げることができる。前記含水マグネシウム珪酸塩は、加熱されて脱水する際の吸熱作用によって壁面材の不燃性を向上させることができる。また、前記含水マグネシウム珪酸塩を加熱するとこれらが固まって焼結体となり、形状を維持することができるため、基材層が燃え抜け難くなる。
また、前記含水マグネシウム珪酸塩は、形状が繊維状であるため、紙状や薄板状に成形したものは、繊維同士が絡まることによって、強度に優れ、柔軟性を有する。また、これらの含水マグネシウム珪酸塩は、水を加えて乾燥することによって固結する性質があるため、水を加えて紙状や薄板状に成形することによって、より強度を向上させることができる。
また、前記含水マグネシウム珪酸塩に水を加えて紙状や薄板状に成形したものは、含水マグネシウム珪酸塩以外の無機繊維を紙状や薄板状に成形したものに比べて強度に優れているため、含水マグネシウム珪酸塩以外の無機繊維を用いる場合に比べて基材層の厚みを薄くすることができるとともに、模様層を薄くすることもできるため、壁面材を薄くて軽量なものにすることができる。また、基材層の厚みが薄くなると、有機繊維や有機結合材を用いる場合には、基材層の単位面積あたりの有機繊維や有機結合材の含有量を減らすことができ、不燃性を向上させることができる。
また、前記含水マグネシウム珪酸塩は、水を加えて乾燥することによって固結する性質があることによって、含水マグネシウム珪酸塩以外の無機繊維を用いる場合に比べて結合材の含有率を減らすことができる。そのため、有機結合材を用いる場合には、有機結合材の含有率が小さくなり、それによって基材層の単位面積あたりの有機繊維や有機結合材の含有量を減らすことができ、不燃性を向上させることができる。
前記繊維は、形状が繊維状であれば特に限定しない。例えば、有機繊維としては、パルプ、合成樹脂繊維等を挙げることができ、前記無機繊維としては、ロックウール、スラグウール、グラスウール、セラミックファイバー、ガラス繊維などの鉱物繊維、及びカーボン繊維等を挙げることができる。これらの有機繊維及び無機繊維は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。前記含水マグネシウム珪酸塩に繊維を加えることによって、基材層の強度や柔軟性を向上させることができる。
前記結合材は、前記含水マグネシウム珪酸塩、及び有機繊維、無機繊維等の基材層に含有されるその他の材料を結合、固結することができるものであれば特に限定しない。例えば、有機結合材としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、フッ素樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等の合成樹脂又はこれらの共重合合成樹脂を挙げることができ、前記無機結合材としては、シリカ、アルミナ、アルカリ金属珪酸塩等を挙げることができる。これらの有機結合材及び無機結合材は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
なお、前記基材層は、本発明の効果を損なわない範囲において、含水マグネシウム珪酸塩、繊維、結合材以外にも、川砂、珪砂、寒水砂、陶磁器粉砕物、ガラス粉砕物、炭酸カルシウム、シリカ粉、水酸化アルミニウム、パーライト、バーミキュライト、シラスバルーン、ガラス発泡体、雲母、珪藻土等の充填材、顔料、添加剤等を含有していてもよい。
前記基材層は、含水マグネシウム珪酸塩の含有率が60〜95質量%(より好ましくは70〜90質量%、特に好ましくは74〜85質量%)であることが好ましい。含有率が前記範囲にあれば、壁面材の不燃性が特に優れる。含有率が60質量部未満である場合には、不燃性を向上させる効果が小さくなる。逆に、含有率が95質量%を超えると、相対的に繊維、結合材等の含有率が小さくなるため、基材層の強度が小さくなる。
前記基材層は、繊維の含有率が5〜28質量%(より好ましくは8〜25質量%、特に好ましくは10〜20質量%)であり、結合材の含有率が合計で2〜15質量%(より好ましくは3〜12質量%、特に好ましくは4〜10質量%)であることが好ましい。これらの含有率が前記範囲にあれば、特に強度に優れ、柔軟性を有する基材層が得られる。繊維の含有率が5質量%未満である場合、又は結合材の含有率が2質量%未満である場合には、基材層の強度及び柔軟性が小さくなる。逆に、繊維の含有率が28質量%を超える場合、又は結合材の含有率が15質量%を超える場合には、相対的に含水マグネシウム珪酸塩の含有率が小さくなるため、不燃性を向上させる効果が小さくなる。
前記基材層を形成する方法としては、繊維状の含水マグネシウム珪酸塩に必要に応じて、有機繊維、無機繊維等の繊維、有機結合材、無機結合材等の結合材、及び溶媒等を混合して攪拌してスラリー製造し、そのスラリーを任意の厚みに抄造して、紙状や薄板状に成形する方法を挙げることができる。また、このように紙状や薄板状に成形したものに、更に有機結合材、無機結合材等の結合材を浸み込ませてもよい。なお、前記スラリーには、有機結合材としては、合成樹脂を溶媒中に溶解させた溶液や、合成樹脂を溶液中に分散させたエマルション等の形態のものを用いることができ、無機結合材としては、シリカゾル、コロイダルシリカ、アルミナゾル、アルカリ金属珪酸塩水溶液等の形態のものを用いることができる。
なお、基材層の表面は、平滑であてもよく、凹凸による模様等を有していてもよい。基材層が凹凸模様を有していれば、その基材層に模様層を積層することによって、凹凸模様を有する壁面材を容易にえることができる。壁面材は、構造物の表面を装飾する目的で用いられる場合には意匠性を求められることがあるが、凹凸模様を設けることによって意匠性を向上させることができる。
前記基材層の厚みは、0.2〜3mm(より好ましくは0.25〜2mm、特に好ましくは0.5〜1.5mm)が好ましい。なお、基材層が表面に凹凸を有していて厚みが均一でない場合には、前記厚みは平均厚みとする。厚みがこの範囲にあれば、特に不燃性に優れ、柔軟性を有する基材層が得られるとともに、壁面材の重量及び厚みを小さくすることができる。厚みが0.2mm未満である場合には、壁面材の不燃性を向上させる効果が小さくなる。また、厚みが0.2mm未満である場合には、基材層の強度が不足するために、模様層の厚みを厚くして強度不足を補う必要があり、壁面材の重量及び厚みが増すことになる。逆に、厚みが3mmを超える場合には、基材層の柔軟性が小さくなるとともに、壁面材の重量及び厚みが増すことになる。
(模様層)
前記模様層は、金属水酸化物を含有する。模様層が金属水酸化物を含有することによって、壁面材の不燃性を向上させることができる。
金属水酸化物は、加熱されて脱水する際の吸熱作用によって壁面材の不燃性を向上させることができる。金属水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの金属水酸化物の中でも、吸熱量が大きいとともに、模様層を形成する際に用いられる他の材料との混合性がいい水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムが好ましく、水酸化アルミニウムが特に好ましい。
前記模様層は、金属水酸化物の含有率が40〜98質量%(より好ましくは50〜95質量%、特に好ましくは60〜90質量%)であることが好ましい。含有率が前記範囲にあれば、壁面材の不燃性が特に優れる。含有率が40質量部未満である場合には、不燃性を向上させる効果が小さくなる。逆に、含有率が95質量%を超えると、相対的に結合材等の含有率が小さくなるため、模様層の脆くなる恐れがある。
前記模様層には、具体的には、前記金属水酸化物と、有機結合材、無機結合材等の結合材と、更に必要に応じて充填材、顔料、添加剤等とを混合して紙状や薄板状に成形したものを用いることができる。
前記結合材は、金属水酸化物、及び模様層に含有されるその他の材料を結合、固結することができるものであれば特に限定しない。例えば、有機結合材としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、フッ素樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等の合成樹脂又はこれらの共重合合成樹脂を挙げることができ、前記無機結合材としては、シリカ、アルミナ、アルカリ金属珪酸塩、セメント等を挙げることができる。これらの有機結合材及び無機結合材は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよいが、少なくとも1種類以上の有機結合材を含有することが好ましい。有機結合材を用いない模様層は柔軟性がないため、柔軟性を有する前記基材層に積層すると、模様層に割れ、欠け等の不具合が発生しやすいため、模様層の厚みを薄くすることが難しいが、有機結合材を用いると模様層に柔軟性を持たせることができ、模様層に割れ、欠け等の不具合が発生し難くなるため、模様層の厚みを薄くすることができる。
前記模様層は、有機結合材の含有率が2〜15質量%(より好ましくは3〜13質量%、特に好ましくは5〜10質量%)であることが好ましい。含有率がこの範囲にあれば、壁面材の不燃性が特に優れる。含有率が2質量%未満である場合には、模様層の脆くなる恐れがある。逆に、含有率が15質量%を超える場合には、加熱された際に有機結合材が燃焼することによって、不燃性を向上させる効果が小さくなる。
模様層は、金属水酸化物と結合材以外に、本発明の効果を損なわない範囲において、充填材、顔料、添加剤等を含有していてもよい。
前記充填材としては、例えば、川砂、珪砂、寒水砂、陶磁器粉砕物、ガラス粉砕物、炭酸カルシウム、シリカ粉、雲母等の無機粉粒体、及び、パーライト、バーミキュライト、シラスバルーン、ガラス発泡体、珪藻土等の軽量無機骨材等の無機充填材、合成樹脂粉粒体等の有機充填材を挙げることができる。また、これらの表面を塗料等絵で着色したものを用いることもできる。
前記顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、黄鉛、亜鉛華、黄色酸化鉄、ベンガラ、カーボンブラック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムエロー、酸化クロム、プルシアンブルー、コバルトブルー等の無機系着色顔料、アゾ顔料、ジケトピロロピロール顔料、ベンズイミダゾロン顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリン顔料、イソインドリノン顔料、スレン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、ジオキサン顔料等の有機系着色顔料を挙げることができる。
前記添加剤としては、塗料等の樹脂組成物の添加剤として通常用いられているものを挙げることができる。例えば、増粘剤、吸水防止剤、撥水剤、減水剤、流動化剤、保水剤、硬化遅延剤、硬化促進剤などを挙げることができる。
前記模様層を形成する方法としては、金属水酸化物と結合材と、更に必要に応じて充填材、顔料、添加剤等とを混合してスラリーを製造し、そのスラリーを硬化させて任意の厚みの紙状や薄板状に成形したものを基材層に接着剤等で貼り付ける方法、或いは、そのスラリーを基材層に直接塗装して硬化させる方法などを挙げることができる。なお、前記スラリーには、有機結合材としては、合成樹脂を溶媒中に溶解させた溶液や、合成樹脂を溶液中に分散させたエマルション等の形態のものを用いることができ、無機結合材としては、シリカゾル、コロイダルシリカ、アモルファスシリカ、アルミナゾル、アルカリ金属珪酸塩水溶液等の形態のものを用いることができる。
なお、模様層の表面は、平滑であてもよく、凹凸による模様等を有していてもよい。壁面材は、構造物の表面を装飾する目的で用いられる場合には意匠性を求められることがあるが、模様層に凹凸模様を設けることによって意匠性を向上させることができる。
前記模様層の厚みは、0.5〜4mm(より好ましくは0.6〜2.5mm、特に好ましくは0.7〜2mm)が好ましい。なお、模様層が表面に凹凸を有していて厚みが均一でない場合には、前記厚みは平均厚みとする。厚みがこの範囲にあれば、特に不燃性に優れた模様層が得られるとともに、壁面材の重量及び厚みを小さくすることができる。厚みが0.5mm未満である場合には、模様層に割れ等の不具合が発生しやすくなる。逆に、厚みが4mmを超える場合には、壁面材の不燃性を向上させる効果が小さくなるとともに、壁面材の重量及び厚みが増すことになる。
(その他の層)
前記壁面材は、本発明の効果を損なわない範囲において、模様層の表面に樹脂被膜層が積層されていてもよい。前記樹脂被膜層は、塗料等を塗装して乾燥硬化させることによって形成することができる。なお、樹脂被膜層を形成するための塗料等は、目的に応じて適宜選択すればよい。例えば、模様層の耐候性向上を目的として、クリヤー塗料による樹脂被膜層を設けることができる。
(構造物の表面構造)
前記壁面材は、構造物を装飾したり、保護したりする材料である。壁面材は、模様層の持つ色彩、質感、及び形状等による意匠性によって構造物の表面を装飾するために、模様層が表面に現れるように、基材層が構造物側となるようにして構造物の表面に取り付けられる。
また、壁面材を予め板状部材等に取り付けておいて、その板状部材を用いて、壁面、床、天井、柱、梁等の構造物の表面を形成してもよい。なお、前記壁面材は不燃性を有するので、その性能を有効に発揮させるためには、壁面材を取り付ける構造物の表面の材質も不燃材料或いは準不燃材料であることが好ましい。
壁面材を構造物の表面、或いは、構造物の表面を形成するための部材の表面に取り付ける方法としては、釘やネジ、或いは金属製の固定部材等を用いて壁面に取り付ける方法や、接着剤で壁面材を貼り付ける方法を挙げることができる。これらの方法の中でも、接着剤で壁面材を貼り付ける方法は、薄くて軽量な壁面材を取り付けるのに適しており、この方法で取り付ける場合には、壁面材をより薄くて軽量なものにすることができる。
前記壁面材を貼り付けるために接着剤は、接着成分としての結合材を含有し、構造物の表面に壁面材を貼り付けることができるものであれば特に限定しない。
前記結合材としては、例えば、模様層に用いられるものと同様の有機結合材及び無機結合材を用いることができる。前記接着剤の結合材としては、無機結合材が好ましい。無機結合材を用いることによって、より不燃性に優れた構造物の表面構造を得ることができる。
前記接着剤は、金属水酸化物を含有することが特に好ましい。接着剤が金属水酸化物を含有することによって、金属水酸化物が加熱されて脱水する際の吸熱作用によって、より不燃性に優れた構造物の表面構造を得ることができる。特に、結合材として有機結合材を用いる場合には、金属水酸化物を含有させることによって、構造物の表面構造の不燃性を向上させることができる。
金属水酸化物としては、模様層に用いられるものと同様のものを用いることができ、金属水酸化物の中でも、吸熱量が大きいとともに、模様層を形成する際に用いられる他の材料との混合性がいい水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムが好ましく、水酸化アルミニウムが特に好ましい。
前記接着剤は、金属水酸化物と結合材以外に、充填材、顔料、添加剤等を含有していてもよい。無機充填材、顔料、添加剤としては、通常接着剤に用いられるものであれば特に限定しない。例えば、模様層に用いられる無機充填材、顔料、添加剤と同様のものを用いることができる。
前記接着剤は、金属水酸化物の含有率が50〜95質量%(より好ましくは55〜92質量%、特に好ましくは60〜90質量%)であることが好ましい。含有率がこの範囲にあれば、特に不燃性に優れた構造物の表面構造を得ることができる。含有率が50質量%未満である場合には、不燃性を向上させる効果が小さくなる。逆に、含有率が95質量%を超える場合には、相対的に結合材の含有率が小さくなるため、壁面材を構造物の表面に貼り付けるために十分な接着性が得られなくなる恐れがある。
また、接着剤は、有機結合材の含有率が3〜15質量%(より好ましくは4〜12質量%、特に好ましくは5〜10質量%)であることが好ましい。含有率がこの範囲にあれば、特に不燃性に優れた構造物の表面構造を得ることができる。含有率が3質量%未満である場合には、壁面材を構造物の表面に貼り付けるために十分な接着性が得られなくなる恐れがある。逆に、含有率が15質量%を超える場合には、加熱された際に有機結合材が燃焼することによって、不燃性を向上させる効果が小さくなる。
以下に記載する試験体を作製し、各試験体の不燃性を評価した。
(実施例1)
以下の基材層と模様層とを積層して壁面材を作製した。
基材層として、セピオライト74質量部、パルプ繊維11質量部、ガラス繊維11質量部、アクリル樹脂(結合材)2質量部、エポキシ樹脂(結合材)2質量部からなる平板を用いた。なお、前記平板からなる基材層の厚みは1mmであった。
模様層として、基材層となる平板の片面に、水酸化アルミニウム等を含有する塗料を塗装して、アクリル樹脂(結合材)10質量部、水酸化アルミニウム66質量部、炭酸カルシウム22質量部、顔料1質量部、添加剤1質量部からなる層を形成した。なお、模様層の表面には凹凸による模様を設け、模様層の平均厚みは1mmであった。
この壁面材を石膏ボード(厚み10mm)に、アクリル樹脂(結合材)11質量部、水酸化アルミニウム67質量部、シリカ粉22質量部、溶媒20質量部からなる接着剤を用いて貼り付けたものを試験体とした。なお、接着剤の硬化後の厚みは0.8mmであった。
(実施例2)
基材層の厚みを0.25mmとした以外は実施例1と同様の壁面材、及び試験体を作製した。
(比較例1)
模様層を、アクリル樹脂(結合材)10質量部、珪砂66質量部、炭酸カルシウム22質量部、顔料1質量部、添加剤1質量部からなる層とした以外は、実施例1と同様の壁面材、及び試験体を作製した。
(実施例3)
模様層を、アクリル樹脂(結合材)10質量部、珪砂56質量部、水酸化アルミニウム10質量部、炭酸カルシウム22質量部、顔料1質量部、添加剤1質量部からなる層とした以外は、実施例1と同様の壁面材、及び試験体を作製した。
(実施例4)
模様層を、アクリル樹脂(結合材)10質量部、珪砂36質量部、水酸化アルミニウム30質量部、炭酸カルシウム22質量部、顔料1質量部、添加剤1質量部からなる層とした以外は、実施例1と同様の壁面材、及び試験体を作製した。
(実施例5)
模様層を、アクリル樹脂(結合材)10質量部、珪砂16質量部、水酸化アルミニウム50質量部、炭酸カルシウム22質量部、顔料1質量部、添加剤1質量部からなる層とした以外は、実施例1と同様の壁面材、及び試験体を作製した。
(実施例6)
模様層を、アクリル樹脂(結合材)10質量部、珪砂6質量部、水酸化アルミニウム60質量部、炭酸カルシウム22質量部、顔料1質量部、添加剤1質量部からなる層とした以外は、実施例1と同様の壁面材、及び試験体を作製した。
(実施例7)
模様層を、アクリル樹脂(結合材)10質量部、水酸化アルミニウム75質量部、炭酸カルシウム13質量部、顔料1質量部、添加剤1質量部からなる層とした以外は、実施例1と同様の壁面材、及び試験体を作製した。
(実施例8)
実施例1の壁面材にアクリル樹脂系のクリヤー塗料を乾燥厚み0.05mmとなるように塗装した壁面材を用いて試験体を作製した。
(実施例9)
接着剤を、アモルファスシリカ(結合材)20質量部、雲母34質量部、溶媒46質量部からなる接着剤を用いて貼り付け、接着剤の硬化後の厚みを0.2mmとした以外は、実施例6と同様の壁面材、及び試験体を作製した。
(比較例2)
基材層基材層をロックウールフェルトとし、模様層の平均厚みを1.8mmとした以外は、実施例1と同様の壁面材、及び試験体を作製した。
ロックウールフェルトは、ロックウール470質量部、有機結合材30質量部を混合して、厚み3mmのフェルト状に成形したものを用いた。
なお、ロックウールフェルトが脆弱であったため、実施例1の壁面材より模様層を厚くする必要があった。
(試験方法)
各試験体の不燃性を評価するために、ISO5660−1に規定されているコーンカロリーメータ試験を行った。なお、輻射強度は50kw/m、加熱時間は20分間とした。
(試験結果)
試験結果として、コーンカロリーメータ試験による総発熱量(単位はMJ/m)を表1に示す。
Figure 2014101626

Claims (5)

  1. 構造物の表面に取り付けて用いる壁面材であって、繊維状の含水マグネシウム珪酸塩を含有する基材層と、金属水酸化物を含有する模様層とが積層されていることを特徴とする壁面材。
  2. 前記基材層が、繊維状の含水マグネシウム珪酸塩を60〜95質量%含有することを特徴とする請求項1に記載の壁面材。
  3. 前記模様層が、金属水酸化物を40〜95質量%含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の壁面材。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の壁面材が、金属水酸化物を50〜95質量%含有する接着剤を介して構造物の表面に貼り付けられていることを特徴とする構造物の表面構造。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の壁面材が、無機結合材を含有する接着剤を介して構造物の表面に貼り付けられていることを特徴とする構造物の表面構造。
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