JP2014101617A - 生分解性防塵材料、防塵服、及び防塵服の処理方法 - Google Patents

生分解性防塵材料、防塵服、及び防塵服の処理方法 Download PDF

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周作 成田
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Kazuya Matsumura
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Abstract

【課題】放射性物質を含む粉塵を衣服内に進入させない高度な防塵性と快適に作業が行える適度な通気性を併せもち、さらに、使用後は生分解によって嵩を減らすことができる処分しやすい防塵材料の提供、ならびに防塵服と、衣服使用後に付着した放射性物質を分離することを想定した有効な処理方法の提供。
【解決手段】
生分解性を有する繊維(たとえばポリ乳酸繊維)から構成される不織布を含有する積層シートからなり、積層シートの透気度が10秒以下であり、粒子径0.3μm以上の微粒子捕集効率が80%以上である生分解性防塵材料、それを用いた防塵服、さらに、放射性物質が付着した前記防塵服を土壌またはコンポスト中に混合することで、その体積を減容することを特徴とする防塵服の処理方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、事故等により環境中に放出された放射性物質を含む粉塵から人体を防護する防塵材料、防塵服、およびその有効で包括的な廃棄システムに関するものである。
東日本大震災から一年半が経過し、国を挙げての復旧・復興事業が本格化する中で、大きな問題となっているのが、大量に発生する放射性廃棄物の問題である。
東京電力福島第一原子力発電所の事故により放出された放射性物質の除染等作業及び廃棄物の処理等については、「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」(平成二十三年法律第百十号。「特措法」という。)により実施されることになり、同法に基づく除染等の作業に従事する労働者の放射線障害を防止するため、除染等業務に従事する労働者に対して、東日本大震災で生じた放射性物質により汚染された土壌等を除染するための業務等に係る電離放射線障害防止規則(「除染電離則」)及びこれに基づく厚生労働大臣告示が公布・施行され、除染等業務に従事する労働者の放射線障害防止のためのガイドラインが策定された。特に、福島第一原子力発電所内での事故収束作業、及びその周辺の高線量地域での除染作業等に該当するような、50万ベクレル/kgを超える高濃度汚染土壌等の状況中であって、かつ10mg/mを超える高濃度粉塵作業を実施する際には、長袖の衣服の上に全身化学防護服、ゴム手袋(綿手袋と二重)、ゴム長靴、捕集効率95%以上の防塵マスクを作業者に着用させることが義務付けられている。このような化学防護服は1日1〜4着が使用されるが、一度着用した化学防護服は放射性物質が付着するため使い捨てされる。これらの化学防護服は生分解しない一般的なプラスチック製であり、薄いが嵩張り、また放射性汚染物であるため使用済み品は場外への持ち出しや焼却ができない。このためこれまで使用された48万着以上の防護服が未だ処分方法が決まらないまま、作業員の拠点となっているJビレッジに山積み放置されており、保管場所確保の点から深刻な問題となっている。今後も、このような使用済み防護服はじめマスク、ヘルメット、長靴、軍手、タオル、モップ等の使い捨て資材は、増え続けることが予測されている。なかでも使用量が多い防塵服においては、粉塵を衣服内に進入させない高度な防塵性と快適に作業が行える適度な通気性を併せもち、さらに、使用後は嵩を減らすことができる処分しやすい防塵材料、防塵服のニーズが高まっている。さらに、付着した放射性物質を将来的に分離することを想定した包括的な廃棄システムも望まれている。
特許文献1には生分解性樹脂からなる分解性高密度材料、特許文献2及び3には着用後の廃棄が容易である生分解性繊維からなる衣料が示されているが、いずれも事故等により環境中に放出された放射性物質を含む粉塵から人体を防護することは想定しておらず、高濃度粉塵作業において粉塵を衣服内に進入させない高度な防塵性や、快適に作業が行える適度な通気性の両立に関して何ら触れられてはいない。
一方、特許文献4には、アスベスト除去作業用防護服シートに好適である水で溶融可能で遮断性を有するフィルム積層シート材料が示されており、防護服を作業現場において水に溶かして減容処分する方法が提案されている。しかし、汚染物が放射性物質である場合、水に溶かすとさらにその水を除染する必要が生じ適切な方法とはいえない。
特許第3731829号公報 特開2005−154960公報 特開2005−187993公報 特開2009−56727公報
本発明は、放射性物質を含む粉塵を衣服内に進入させない高度な防塵性と快適に作業が行える適度な通気性を併せもち、さらに、使用後は生分解によって嵩を減らすことができる処分しやすい防塵材料、防塵服と、衣服使用後に付着した放射性物質を将来的に分離することを想定した有効な処理方法を提供するものである。
課題を解決するために本発明は以下の手段をとる。
(1)生分解性を有する繊維から構成される不織布を含有する積層シートからなり、積層シートの透気度が10秒以下であり、粒子径0.3μm以上の微粒子捕集効率が80%以上である生分解性防塵材料。
(2)生分解性を有する繊維から構成される不織布を含有する単層シートからなり、単層シートの透気度が10秒以下であり、粒子径0.3μm以上の微粒子捕集効率が80%以上である生分解性防塵材料。
(3)生分解性を有する繊維の積層シートに占める質量が50%以上である(1)の生分解性防塵材料。
(4)生分解性を有する繊維の単層シートに占める質量が50%以上である(2)の生分解性防塵材料。
(5)生分解性を有する繊維がポリ乳酸である(3)又は(4)の生分解性防塵材料。
(6)前記積層シートがエレクトレット不織布を有している(1)、(3)又は(5)の生分解性防塵材料。
(7)前記単層シートがエレクトレット不織布である(2)、(4)又は(5)に記載の生分解性防塵材料。
(8)(1)〜(7)のいずれかの生分解性防塵材料を用いてなる防塵服。
(9)前記積層シートを構成する各層を重ね合わせ、接着されるべき部分に超音波接着加工または熱エンボスロールを用いた熱接着加工を施し接着する(1)、(3)、(5)又は(6)の防塵材料の製造方法。
(10)前記積層シートを構成する各層を重ね合わせ、接着されるべき部分に超音波接着加工を施し接着する(9)の防塵材料の製造方法。
(11)放射性物質が付着した(8)の防塵服を土壌またはコンポスト中に混合することで、その体積を減容する防塵服の処理方法。
(12)(11)の防塵服の処理方法において、防塵服が減容された後の土壌またはコンポストから放射性物質を熱処理、分級および化学処理のいずれかの手法で除染し、除染後再び放射性物質が付着した防塵服を混合しその減容化に使用する土壌の処理方法。
本発明によれば、放射性物質を含む粉塵を衣服内に進入させない高度な防塵性と快適に作業が行える適度な通気性を併せもち、さらに、使用後は生分解によって嵩を減らすことができる処分しやすい防塵材料、防塵服と、衣服使用後に付着した放射性物質を将来的に分離することを想定した有効な防塵服の処理方法の提供が可能となる。
表面電荷密度を測定するための装置を示す概念図
本発明の防塵材料は、生分解性を有する繊維から構成される不織布を含有する積層シートからなり、積層シートの透気度が10秒以下であり、粒子径0.3μm以上の微粒子捕集効率が80%以上を用いる。透気度が10秒を超えると、積層シートの密封性が高すぎ、防塵服として着用した際、体から発せられた熱や蒸気が抜けにくくなり、作業者の不快感が増す。また、粒子径0.3μm以上の微粒子捕集効率が80%より下回ると、放射性物質を含む粉塵を衣服内に進入させやすくなる。生分解性を有する繊維から構成される不織布を有することで、使用した後、焼却処分の必要はなく、埋め立て等の処分後、化学的に分解され減容化を図ることが可能となる。
上記の積層シートの通気性は、通気性が1cm/cm/s以上が好ましく、7cm/cm/s以上がより好ましく、10cm/cm/s以上が特に好ましい。積層シートの通気性が、通気性が1cm/cm/s以上となることで、防塵服として着用した際に体から発せられた熱や蒸気が抜け易くなり、防塵服の着用者に与える不快感を低減することができるためである。
本発明の単層シートは生分解性を有する繊維から構成される不織布であって、透気度が10秒以下であり、粒子径0.3μm以上の微粒子捕集効率が80%以上である。また、単層シートの粒子径0.3μm以上の微粒子捕集効率を80%以上とする手段としては、上記の生分解性を有する繊維から構成される不織布を後述するメルトブロー不織布とする手段などが挙げられる。
上記の単層シートの通気性は、通気性が1cm/cm/s以上が好ましく、7cm/cm/s以上がより好ましく、10cm/cm/s以上が特に好ましい。単層シートの通気性が、通気性が1cm/cm/s以上となることで、防塵服として着用した際に体から発せられた熱や蒸気が抜け易くなり、防塵服の着用者に与える不快感を低減することができるためである。
本発明において供される積層シートは生分解性を有する繊維から構成される不織布層を含有するものであれば特に制約はなく、同種類の不織布を積層しても異種類の不織布を積層してもよい。
不織布の製造方法としては、湿式不織布やレジンボンド式乾式不織布、サーマルボンド式乾式不織布、スパンボンド式乾式不織布、ニードルパンチ式乾式不織布、ウォータジェットパンチ式乾式不織布、メルトブロー式乾式不織布またはフラッシュ紡糸式乾式不織布等のほか、目付や厚みが均一にできることから抄紙法も好ましく使用できる。なかでも、溶融したポリマーに加熱高速ガス流体を吹き当てることにより該溶融ポリマーを引き伸ばして極細繊維化し、捕集してシートとする、いわゆるメルトブロー法により製造された不織布を含むのが、微粒子捕集効率の点から特に好ましい。
メルトブロー不織布の目付量は特に限定されるものではないが、40〜250g/mが好ましい。目付が40g/m以上の場合にはより優れた防塵性を有する防塵材料の実現が可能となる。また目付が250g/m以下の場合は、防塵材料全体の軽量化が可能であり、嵩張り、柔軟性や着心地もより優れたものとすることができ、さらに製造コストも低くすることができる。通気性の更なる向上の観点からは、40〜100g/mがより好ましい。 さらに該メルトブロー不織布を構成する繊維の平均繊維径は10μm以下であることが好ましい。平均繊維径を10μm以下とすることで該メルトブロー不織布の空隙率を小さくすることができ、防塵性をより向上させることができる。より好ましいメルトブロー不織布を構成する繊維の平均繊維径は4μm以下である。
さらに、前記メルトブロー不織布の少なくとも片面にスパンボンド不織布を積層することが好ましい。そうすることで、優れた防塵性と優れた強度を併せ持つ防塵材料を得ることが可能となるとともに、スパンボンド不織布が最表面となっている防塵材料を表地にスパンボンド不織布が配される防塵服とした場合には、防塵服の表地の表面への塵やほこりの付着が抑制されるため上記の防護服を脱ぐ際にエアーシャワーなどで塵やほこりを落とす必要がなく作業性に優れ 、かつ防塵服の表地の表面に塵やほこりの付着が目立たず、風合いに優れるものであった。 前記スパンボンド不織布は、溶融したポリマーをノズルより押し出し、これを高速吸引ガスにより吸引延伸した後、移動コンベア上に捕集してウェブとし、さらに連続的に熱処理、絡合等を施すことによりシートとする、いわゆるスパンボンド法により製造された不織布である。該スパンボンド不織布の目付量は特に限定されるものではないが、10〜100g/mが好ましい。目付が10g/mよりも低い場合には、シートの強度が低くなり、使用することが難しい場合がある。また、目付が100g/mよりも高い場合には、シート全体の重量が重く、嵩張り、柔軟性や着心地に劣り、さらに製造コストも高くなる方向にあり好ましくない。さらに好ましい該スパンボンド不織布の目付量は、20〜80g/m、該スパンボンド不織布を構成する繊維の平均繊維径は10〜40μmであることが好ましい。
また、積層シートの強度を向上させる観点から、スパンボンド不織布の強度の下限は、5N/50mm以上が好ましい。さらに好ましくは、10N/50mm以上、さらに好ましくは15N/50mm以上である。また、柔軟性に優れた防塵材料を得ることができるため、スパンボンド不織布の強度の上限は、200N/50mm以下が好ましい。
本発明の防塵材料に用いる積層シートはエレクトレット不織布を有していることが好ましい。積層シートがエレクトレット不織布を有することで、積層シートの目付を小さくすることができ、高い防塵性を有しつつ、軽量で嵩張らず、柔軟性や着心地に優れた防塵材料を得ることができる。
また、積層シートの目付は、積層シートを構成する各不織布の目付を足し合わせたものとなる。積層シートの目付は、50〜450g/mが好ましい。目付の下限については、高い捕集効率を得る観点から、60g/m以上がより好ましく、120g/m以上が更に好ましく、140g/m以上が特に好ましい。一方、目付の上限については、高い通気性、軽量性及び柔軟性の観点から、290g/m以下がより好ましく、270g/m以下が更に好ましく、250g/m以下が特に好ましい。
本発明の防塵材料に用いる単層シートはエレクトレット不織布であることが好ましい。単層シートをエレクトレット不織布とすることで、単層シートの目付を小さくすることができ、高い防塵性を有しつつ、軽量で嵩張らず、柔軟性や着心地に優れた防塵材料を得ることができる。
上記の積層シートが有するエレクトレット不織布及び上記の単層シートを構成するエレクトレット不織布は、非導電性の繊維材料からなるシートであり、公知のメルトブロー法、または公知のスパンボンド法によって得ることができる。
メルトブロー法は、一般に、紡糸口金から押し出された熱可塑性ポリマーを熱風噴射することにより繊維状に細化し、該繊維の自己融着特性を利用してウェブとして形成せしめる方法である。
また、メルトブロー法は、スパンボンド法等の他の不織布製造法に比べて複雑な工程を必要とせず、また数10μmから数μm以下の細い繊維が容易に得られる。
メルトブロー法における紡糸条件としては、ポリマー吐出量、ノズル温度、エア圧力等があるが、これら紡糸条件の最適化を行うことで、所望の繊維径を有する不織布が得られる。
スパンボンド法は、樹脂を溶融し、紡糸口金から紡糸した後、冷却固化した糸条に対し、エジェクターから噴射される圧縮エアで牽引、延伸し、移動するネット上に捕集して不織繊維ウェブ化した後、熱接着する工程を要する製造方法であり、樹脂を牽引することにより、メルトブロー法よりも高強度の繊維を得やすい特徴がある。
エレクトレット不織布の繊維材料は、合成繊維或いは天然繊維からなるが、中でも特に合成繊維からなるものが好ましい。
エレクトレット不織布の繊維材料の非導電性は、好ましくは、体積抵抗率が1012・Ω・cm以上、さらに好ましくは1014・Ω・cm以上の素材を主体とするものを使用する。これらの中でも、ポリ乳酸を主体とするエレクトレット不織布の繊維材料は、生分解性とエレクトレット性能の点から好ましい。
本発明に使用するエレクトレット不織布には、ヒンダードアミン系添加剤及び/又はトリアジン系添加剤を少なくとも1種配合することが好ましい。これらの添加剤をエレクトレット不織布に含有させることにより、特に高いエレクトレット性能を保持させることが可能になる。
上記2種類の添加剤のうちヒンダードアミン系添加剤としては、ポリ〔((6−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)〕(チバガイギー製、“キマソープ”(登録商標。以下同じ。)944LD)、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物( チバガイギー製、“チヌビン”(登録商標。以下同じ。)622LD)、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)(チバガイギー製、“チヌビン”144)などが挙げられる。
また、トリアジン系添加剤としては、前述のポリ〔((6−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)〕(チバガイギー製、“キマソープ”944LD)、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−((ヘキシル)オキシ)−フェノール(チバガイギー製、“チヌビン”1577FF)などを挙げることができる。これらのなかでも特にヒンダードアミン系添加剤を使用することが好ましい。
エレクトレット不織布の表面電荷密度は、1×10−10クーロン/cm以上、さらには1×10−9クーロン/cm以上、さらには、1×10−8クーロン/cmが好ましい。
また、エレクトレット不織布の表面電荷密度は、図1に示す装置により測定する。図1は、表面電荷密度を測定するための装置を示す概念図である。上記の装置は、接地された金属製箱1と金属製平板電極2を有しており、上記金属製箱1と上記金属製平板電極2の間に不織布等の試料3をはさみ、静電誘導によって発生した電荷をコンデンサー4を介してエレクトロメーター5によって電位を測定する。表面電荷密度は測定した電位にコンデンサー容量を乗じた値を平面電極面積で除して求める。
エレクトレット不織布は、上記添加剤の他に、熱安定剤、耐候剤、重合禁止剤等の一般にエレクトレット加工品の非導電性繊維シートに使用されている公知の添加剤を添加するようにしてもよい。
上記ヒンダードアミン系添加剤及び/又はトリアジン系添加剤の添加量としては、特に限定されないが、添加剤を含む全エレクトレット不織布を100質量%とした場合に、ヒンダードアミン系添加剤及びトリアジン系添加剤の合計量を0.5〜5質量%の範囲とすることが好ましく、0.7〜3重量%の範囲とすることが更に好ましい。ヒンダードアミン系添加剤及び/又はトリアジン系添加剤の添加量が少ないと、目的とする高レベルのエレクトレット性能を得ることが難しくなる。また、多すぎると製糸性や製膜性を悪くし、かつコスト的にも不利になる。
エレクトレット不織布の製造方法は、非導電性繊維シートを走行させながら、そのシートにスリット状の吸引ノズルをシート幅方向に横切るように接触させ、かつこの接触部反対側のシート面を水面に接触させるか又は浸漬させ、その状態で吸引ノズルから水を吸引するようにする方法があげられる。吸引ノズルから水を吸引すると、吸引ノズルをシートに接触させた部分の反対側の水がシートを厚さ方向に貫通するように移動するため、水
をシート内に厚さ方向全体に渡り浸透させることができる。しかも、吸引ノズルをシート幅方向に横切るように配置し、かつシートを走行させながら吸引するから、上記シート厚さ方向全体に水を浸透させた状態をシート全面に満遍なく行き渡らせることができる。したがって、このシートを乾燥すると、シート全面に電荷が均一かつ高密度に帯電したエレクトレット化シートになり、エレクトレット不織布が得られる。
また、非導電性繊維シートへの直流コロナ放電による方法でも良い。複数の直流コロナ放電電極を設け、被エレクトレット化シートに対し、第一番目に作用する直流コロナ放電電極による電界強度よりも、該第一番目に作用する直流コロナ放電電極よりも後に作用する直流コロナ放電電極による電界強度の方を強く構成して、複数のコロナ電場を用いたエレクトレット化加工を施すことを特徴とするエレクトレット化シートの製造方法である。
エレクトレット不織布の耐摩耗性は、JIS L 1913:2010(6.6.1)記載のテーバー形法において、3級以上が好ましい。さらに好ましくは、4級以上である。
エレクトレット不織布の剛軟性は、JIS L 1913:2010(6.7.1)のa)41.5°カンチレバー法において、150mm以下であることが好ましい。より好ましくは、130mm以下。さらに好ましくは、100mm以下である。150mm以上であると布帛としての剛性が高く、防護服とした際にごわつきの原因となる。
これらの条件を満たすとすると、好ましいエレクトレット不織布の厚みは、0.01mm以上、さらに好ましくは、0.1mm以上、一方5mm以下、好ましくは1mm以下である。
また、本発明に用いる積層シートは、表面に制電加工などの機能加工がされていると好ましい。
制電加工は、導電性ポリマーを表面に加工する方法や、吸湿性ポリマーを表面に加工する方法が好ましい。この際、積層シートがエレクトレット不織布を有しており、該エレクトレット不織布が積層シートの一方の最表面に配されている場合には、積層シートの他方の表面に制電加工するのが好ましい。そうすることで、制電加工によるエレクトレット不織布の帯電性能の低下を抑制することができる。
積層シートの構成としては、防塵材料を防塵服とした際に、(i)防護服の外側となる防塵材料の面にスパンボンド不織布、防塵服の内側となる防塵材料の面にメルトブロー不織布を持つ構成、(ii)スパンボンド不織布、メルトブロー不織布およびスパンボンド不織布をこの順に積層し、メルトブロー不織布を2枚のスパンボンド不織布で挟み込む3層の構成、(iii)耐摩耗性の高いスパンボンド不織布、強度の高いスパンボンド不織布の2枚を積層しスパンボンド不織布積層体を得て、さらに、2枚の上記のスパンボンド不織布積層体でメルトブロー不織布を挟み込む5層の構成、(iv)特性の異なる2種のメルトブロー不織布を積層したメルトブロー不織布積層体をさらに2枚のスパンボンド不織布で挟み込む4層の構成などが例示できる。中でも強度、防塵性の観点から、メルトブロー不織布を2枚のスパンボンド不織布で挟み込む3層の構成が好ましい。
また、積層シートがエレクトレット不織布を有する場合、エレクトレット不織布は防塵性に優れるため、エレクトレット不織布を積層シートの最表面に配すると積層シートの表面に塵やほこりが付着しやすくなり、着用時、縫製時などの作業性に劣るものとなる。よって、積層シートを3層積層構成とし、エレクトレット不織布を2枚のスパンボンド不織布により挟み込むことで、空気が透過する際の捕集効率を落とさずに、塵やほこりが表面に付きにくくなる効果を有するため好ましい。さらに、上記の3層構成に用いるスパンボンド不織布を強度に優れるスパンボンド不織布又は耐摩耗性に優れるスパンボンド不織布とすることがより好ましい。
さらに、積層シートとしての防塵性と強度を確保するために、エンボスロール等で熱プレス加工を施すことが好ましい。特に望ましくは、エンボスロールで部分的に熱接着し一体化したものが好ましい。一体化は、不織布の構成繊維の一部を熱融着させ、該構成繊維同士を熱圧着させる自己接合方式の他、構成繊維以外の接着剤などをいずれの方法を用いてもよい。熱プレスの条件としては、構成繊維の融点を考慮したものであれば特に制約はないが、構成繊維が生分解樹脂、とりわけポリ乳酸樹脂である場合には150〜210℃でプレスすることが好ましい。さらに好ましくは、120〜150℃でプレスすることが好ましい。
さらに、積層シートを構成するスパンボンド不織布又はメルトブロー不織布からなる各層を接着する方法としては、超音波接着加工や、熱エンボスロールを用いた熱接着加工が例示できる。これらの方法は、過度の熱により、積層シートを構成する各層が後述する所望の部分的熱接着の面積を超えて溶融または融着すること抑制することができ、不織布の受けるダメージが少なく、また、繊維の溶融や不織布にかかる熱による収縮を抑制することができるため好ましい。
また、小さい接着面積で十分な接着力を担保することができ、更に通気性に優れた防塵材料を得ることができるとの観点により、超音波接着加工を採用することがより好ましい。
超音波接着加工は、超音波振動するブレードと接着材料と下記の接着パターンを有するエンボスロールの間に0.01MPa〜1MPaの圧力で挟み込み、ブレードと呼ばれる振動子を超音波振動1〜5万Hzで振動させ、ブレードと接触するパターン部分を溶融接着させる方法が例示される。ブレードは、おもに摩擦に強いチタン製が用いられるが、その他、アルミ、ステンレス合金などが用いられる。また、ブレード幅は、10〜50cm幅のものが用いられる。
熱エンボスロールを用いた熱接着加工は、エンボスの深さが1mm以上かつ下記の接着パターンを有する熱エンボスロールを用い、パターン以外には、布帛に熱をかけずに、接着加工を行う。ここで、柄高さとは、熱エンボスロールのエンボス柄を構成するエッジの上部と下部との距離をいう。また、熱エンボスの温度の下限は、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上、特に好ましくは、100℃以上である。一方、熱エンボスの温度の上限は、好ましくは170℃以下、より好ましくは150℃以下、特に好ましくは135℃以下である。また、熱エンボスロールとそれを挟み込むニップロールの押し圧力の下限は、好ましくは0.5Mpa以上、より好ましくは1MPa以上である。一方、上限は、好ましくは10Mpa以下、より好ましくは5MPa以下である。
本発明における部分的接着の面積は、十分な柔軟性、強度、防塵性等を満たしていれば特に限定されるものではないが、5〜40%の範囲であることが好ましい。ここで、接着面積とは、積層シートの所定の面積中の積層シートの接着部位の面積の合計が、積層シートの該所定の面積に占める割合をいう。該接着面積が5%より低い場合は、不織布の層間が剥離しやすくなってきて、さらに不織布の表面に毛羽立ちが発生しやすくなり、また接着したシートの強度が低くなる方向であるため好ましくない。また、該接着面積が40%を超えると、層間剥離は発生しにくく、強度も高くなるが、一方で、接着したシートが硬くなる方向であるので、風合い、柔軟性または通気性の点で好ましくない方向である。さらに好ましい該接着面積は7〜30%の範囲であり、特に好ましくは10〜20%の範囲である。
また、接着パターンは、積層シートの接着部位が局所的に集中しない限りにおいて特に限定されないが、ピンポイント柄、クロス柄、格子柄、波柄、斜線柄などの柄を用いることができる。縫製を考えた際は、左右対称が好ましく、ピンポイント柄、クロス柄、格子柄、波柄などが好ましい。
また、接着部分は繊維の一部または全部が溶融され膜状となっていることが好ましい。膜状部分の厚みは、0.01〜0.5mmとなり、接着部分一つの面積は、0.001mm〜100mmである。これらの厚み、面積は、接着部分の断面を切断し、SEM写真にて断面の面積を拡大撮影し、測定ソフトにより厚み、面積を求める。
防塵材料の引張強度の下限は、防塵材料のタテ、ヨコ共に、好ましくは20N/50mm以上、より好ましくは40N/50mm以上、特に好ましくは60N/50mm以上である。一方、防塵材料の引張強度の上限は、防塵材料のタテ、ヨコ共に、好ましくは200N/50mm以下、より好ましくは150N/50mm以下である。防塵材料の引張強度が、防塵材料のタテ、ヨコ共に、20N/50mm以上であると防塵服とした後に縫い目で破れが生じ、肘や膝の部分が破れやすくなるのを抑制することができる。一方、200N/50mm以下であると、防塵服とした際に、防塵服としての柔軟性の低下を抑制することができる。また、防塵材料の引張強度は、単層シート又は積層シートを構成する不織布の目付を変更することや、1枚以上のスパンボンド不織布を積層することで調整することができる。
本発明に用いる生分解性を有する繊維は、積層シートに占める質量が50%以上であるのが好ましい。100%生分解性を有する繊維としてもよいが、補強のために、生分解性でないプラスチック、例えばポリエチレンテレフタレート繊維やポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ナイロン繊維から構成される不織布または織布を、50%を超えない範囲で積層してもよい。これら原料は化学的に安定なため、その積層シート全体に占める含有量が50%を超えると、長期間に渡って形状を保ち続けてしまうという環境上の問題点が顕著となり本発明が目的とするコンポスト処理によって嵩を減らす効果があまり期待できなくなる。
また、本発明の単層シートにおいても、上記の積層シートの場合と同様の理由により、生分解性を有する繊維の単層シートに占める質量は50%以上であるのが好ましい。
本発明にて使用される生分解繊維の材料は、特に限定されないが、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシブチレートバリレート、あるいはこれらの共重合体や変成物を、単独またはブレンドして用いることができる。なかでも紡糸性、力学的特性が良好であり、かつ植物由来のデンプンからの合成が可能であるため環境影響が小さい、ポリ乳酸樹脂が最も好ましい。
かかるポリ乳酸としては、ポリ(D−乳酸)、ポリ(L−乳酸)、D−乳酸とL−乳酸の共重合体、あるいはこれらのブレンド体(ステレオコンプレックスを含む)が好ましいものである。かかるポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量は5万〜30万が好ましく、より好ましくは10万〜30万である。重量平均分子量が5万を下回る場合は、繊維の強力が低くなる傾向があり、また、重量平均分子量が30万を越える場合は、粘度が高いためノズルから押し出したポリマーの曳糸性が乏しく、高速延伸ができにくくなり、究極的には未延伸状態になり、十分な繊維強度を得ることができない傾向がでてくる。
また、本発明に用いるポリ乳酸樹脂は、分子鎖末端のカルボキシル基の一部、またはすべてが末端封鎖剤により末端封鎖されてなるものが好ましい。脂肪族ポリエステルの分子鎖末端のカルボキシル基の一部、またはすべてが末端封鎖されることにより、加水分解によるフィラメント、さらにはシートの強度低下が抑制される。末端封鎖剤の添加により脂肪族ポリエステルのカルボキシル基末端濃度を、0〜20当量/tonとすることが好ましく、15当量/ton以下とすることがより好ましく、10当量/ton以下とすることがさらに好ましい。ここで脂肪族ポリエステルのカルボキシルキ基末端濃度は、精秤したサンプルをo−クレゾール(水分5%)に溶解し、この溶液にジクロロメタンを適量添加した後、0.02規定のKOHメタノール溶液にて滴定することにより求めることができる。
本発明にて用いられるポリ乳酸樹脂の末端封鎖剤としては、何ら制限されるものではないが、カルボジイミド化合物や、イソシアヌル酸を基本骨格とするグリシジル変性化合物が好ましいものである。これら末端封鎖剤の添加量は、脂肪族ポリエステルに対して、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましい。また、10質量%以下が好ましく、7質量%以下がさらに好ましい。
本発明による生分解性防塵材料は、カバーオール、カッパ、ガウン等の形に縫製することで防塵服として好適に使用することができる。特に、放射性物質の進入を防ぐ上で、カバーオール型の防護服が好ましい。
本発明による生分解性防塵材料を用いた防塵服について述べる。
防塵服は、放射性物質の進入を防ぐ上で、全身防護型のカバーオール型が好ましい。
カバーオール型防塵服とは、フードの付いた全身つなぎタイプの防塵服である。
フード部分、袖口、裾口には、粉塵の侵入を防ぐために伸縮性のある素材で止める事ができる。また、着用するために防護服の中心部分に長さ60〜80cmの開閉できる開口部を取り付けることが好ましい。開口部は、主にファスナーを用いるが、必要に応じてファスナーの上から粘着テープを貼り付けた合わせ部分を取り付けてもよい。その他、ファスナー以外にも、繰り返し粘着可能なテープにより開口部を貼り合わせてもよい。
これらの防塵服に用いられるファスナー、目止めテープ、縫い糸、ゴムなどの副資材も生分解性であることが好ましい。例えば、ファスナーは、生地部分アペクサ(登録商標)樹脂を用いたファスナー、目止めテープは、低架橋ウレタン又はポリ乳酸、縫い糸は綿糸、麻糸、ゴムは、生ゴムなどの生分解性材料が好ましく用いられる。
また、本発明の防塵服の縫合部(縫合、溶接又はその他の方法で作られた防塵材料間の恒久的な接合部分)は、綿糸、麻糸の20〜40番手の縫い糸を用い、ピッチ間隔0.5〜3mmで本縫いにより縫合される。縫合部分の縫合強さの下限は、好ましくは、10N/25.4mm以上、より好ましくは、20N/25.4mm以上、特に好ましくは50N/25.4mm以上である。一方、上限は、好ましくは200N/25.4mm以下、さらに好ましくは150N/25.4mm以下である。縫合強さが、20N/25.4mm以上であると、縫い目で破れるのを抑制することができる。一方、200N/50mm以下であると、縫製部分の柔軟性を向上させることができる。
また、防塵服を混合する土壌は、通常の土壌でよいが、安全に隔離保管が可能な場所であれば、放射性セシウム汚染土壌であってもよい。汚染土壌は放射性物質を含む土壌や、側溝の汚泥、草木や落ち葉等を含む。汚染土壌は、管理された貯蔵施設で一定期間保存される必要があるが、単独で保管するのではなく、防塵服と混ぜて保管することで、防塵服の減容化に寄与できるようになる。放射線はプラスチックを劣化させる性質があるため、組み合わせればその劣化促進の性質を利用して防塵服の分解速度、すなわち廃棄物の減容が促進されることが期待できる。最終的には、防塵服コンポスト後の土壌から放射性物質を熱処理、分級および化学処理のいずれかの手法で濃縮除去し、除染後の土壌を再びコンポスト化に利用するのが望ましい。
次に、好ましいコンポスト条件について述べる。
コンポスト化とは、生ゴミ、落ち葉、家畜糞尿などの有機物を微生物により最終的に土壌還元出来る状態まで分解することである。コンポスト化に必要なコンポスト資材は、野菜類、果実類などからなる植物性生ゴミ、肉、魚、卵殻からなる動物性生ゴミ、残飯、茶殻などを所定の比率で混合した標準生ゴミと落ち葉、朽ち木、家畜糞などの動植物性廃棄物を用いる。
コンポスト資材を混ぜ合わせる場合において、混ぜ合わせたコンポスト資材における標準生ゴミと動植物性廃棄物との容積比は、標準生ゴミは10%以上好ましくは20%以上、さらに好ましくは30%以上、一方50%以下、好ましくは40%以下、動植物性廃棄物は90%以下、好ましくは80%以下、さらに好ましくは70%以下、一方50%以上、好ましくは60%以上である。
混ぜ合わせたコンポスト資材に添加する防塵材料の量としては、コンポスト資材に防塵材料を添加したものを100%とした場合に、10%以上が好ましく、20%以上がより好ましく、30%以上が特に好ましい。 一方、上限としては、60%以下が好ましく、50%以下がより好ましく、40%以下が特に好ましい。添加する防塵材料が、10%以下であると、減容する防塵材料に対し、コンポスト資材の容積が大きくなり必要以上の分解場所が必要になる。一方、60%以上となると防塵材料が多いため、分解速度が遅くなる。
混ぜ合わせたコンポスト資材に添加した防塵材料の分解温度としては、20℃以上、好ましくは35℃以上、さらに好ましくは50℃以上である。一方、80℃以下、好ましくは70℃以下である。20℃以下となると、微生物の働きが鈍くなり、分解・発酵が遅くなる。80℃を超えると、限られた微生物しか生息出来ないため、防塵材料を分解することが難しくなる。
さらにコンポスト中で好気性微生物を活性化させるため、一定量の換気を行うことが好ましい。換気の方法としては、一定期間で混ぜ合わせる方法、一定の空気量をコンポスト中に注入する方法が上げられる。空気をコンポスト中に注入する場合コンポスト1kg当たりの注入量は、50ml/min・kg以上好ましくは、80ml/min・kg以上、さらに好ましくは、100ml/min・kg以上である。50ml/min・kg以下であれば、微生物の活性度合いが空気を注入しない場合と比較しても、大きく変化が見られなくなる。
以下、本発明をさらに実施例により詳細に説明する。
[測定方法]
(1)引張強度
JIS L 1906(2010)に基づき測定した。試料サイズ5cm×30cmの防塵材料の試料をつかみ間隔20cm、引張速度10cm/minの条件でシート縦方向、横方向とも3個のサンプルについて定速伸長型引張試験機にて引張試験を行い、サンプルが破断するまで引っ張ったときの最大強力を引張強度とし、シート縦方向、横方向それぞれの平均値について算出した。
(2)透気度
防塵材料のシートにおいて10カ所、測定用サンプルを採取し、JIS L 1906(2010)のガーレ形法に基づき、それぞれの試料について、空気100mlが試験片シートを通過する時間を測定し、その平均値について算出した。
(3)捕集性能
防塵材料のシートにおいて10カ所測定用サンプルを採取し、それぞれの試料について、捕集性能測定装置で測定した。この捕集性能測定装置は、測定サンプルをセットするサンプルホルダーの上流側にダスト収納箱を連結し、下流側に流量計、流量調整バルブ、ブロワを連結している。また、サンプルホルダーにパーティクルカウンターを使用し、切り替えコックを介して、測定サンプルの上流側のダスト個数と下流側のダスト個数をそれぞれ測定することができる。さらに、サンプルホルダーは圧力計を備え、サンプル上流、下流の静圧差を読みとることができる。
捕集性能の測定にあたっては、直径0.3μmのポリスチレン標準ラテックスパウダー(ナカライテック製0.309Uポリスチレン10重量%溶液を蒸留水で200倍に希釈)をダスト収納箱2に充填し、サンプルM をホルダーにセットし、風量をフィルター通過速度が6.5m/分になるように流量調整バルブ4 で調整し、ダスト濃度を1万〜4万個/2.83×10−4(0.01ft)の範囲で安定させ、サンプルの上流のダスト個数Dおよび下流のダスト個数dをパーティクルカウンター(リオン社製、KC−01B)で1サンプルあたり10回測定し、下記算式にて、捕集性能(%)を求め、10サンプルの平均値を算出した。
捕集性能(%)=〔1−(d/D)〕×100
ここで、d:下流ダストの10回測定トータル個数
D:上流ダストの10回測定トータル個数。
(4)風合い
蒸れ、柔らかさ、モニターによる官能評価を行った。モニターは防塵服の柔らかさ、軽さ、動きやすさの観点から3段階の次のような評価を実施した。
良い:○
普通:△
悪い:×。
(5)生分解性
コンポスト資材を0.5kg、温度58℃、通気量40ml/min条件のコンポスト中に防塵服用シートを投入し、1週間後の生分解の程度を次のように評価した。
ほとんど後かたなく分解した:○
少し残片が残った:△
ほとんど分解がみられない:×。
(6)表面電荷密度
図1により説明する。接地された金属製箱1と金属製平板電極2(面積100cm、材質:真鍮)の間に不織布の試料3をはさみ、静電誘導によって発生した電荷をコンデンサー4を介してエレクトロメーター5によって電圧を測定し、該測定した電位から次の式から計算式によって表面電荷密度を求めた。
Q=C×V/S
Q:表面電荷密度(クーロン/cm
C:コンデンサー容量
V:電位
S:平板電極面積
(7)接着面積
試料サイズ15cm×15cmの防塵材料の試料をスキャナーで読み込み、得られた画像データを面積測定ソフトウェア(Pickmap)により解析し防塵材料の接着部位の面積の合計を算出し、得られた値を225cmで除した値に100を乗じて接着面積を算出した。
(8)通気性
JIS L 1913 6.8.1 a)フラジール形法に基づき、15cm×15cmの大きさの防塵材料の試験片を通過する空気量をN=3で測定し、その平均値を通気性とした。
(9)目付
JIS L 1913(1998)6.2に基づいて測定した。
防塵材料を構成する不織布から300mm×300mmの試験片を、鋼製定規とかみそり刃とを用いて3枚採取した。標準状態における試験片の質量を測定して、単位面積当たりの質量を次の式によって求め、平均値を算出した。
ms=m/S
ms:単位面積当たりの質量(g/m
m:試験片の平均重量(g)
S:試験片の面積(m)。
また、防塵材料が複数シートからなる場合の防塵材料の目付は、防塵材料を構成する各不織布の目付を足し合わせることで算出した。
[実施例1]
平均繊維径が1.7μm、目付けが100g/mであり、ポリ乳酸樹脂を原料としたメルトブロー不織布を、エンボスパターンロールを用いて熱圧着させた。このシートを用いて、カバーオール型防塵服を作成した。得られた防塵服の評価結果は表1の通りであり、防塵服として適したものであり、かつ生分解性も有するものであった。
[実施例2]
実施例1のメルトブロー不織布の片面に、平均繊維径が12μm、目付けが20g/mであり、ポリ乳酸樹脂を原料としたスパンボンド不織布を積層し、エンボスパターンロールを用いて熱圧着させ積層一体化することで、目付けが120g/mのM/Sタイプの積層シートを得た。この積層シートを用いて、カバーオール型防塵服を作成した。得られた防塵服の評価結果は表1の通りであり、防塵服として適したものであり、かつ生分解性も有するものであった。
[実施例3]
実施例1のメルトブロー不織布の両面に、平均繊維径が12μm、目付けが20g/mであり、ポリ乳酸樹脂を原料としたスパンボンド不織布を積層し、エンボスパターンロールを用いて熱圧着させ積層一体化することで、目付けが140g/mのS/M/Sタイプの積層シートを得た。この積層シートを用いて、カバーオール型防塵服を作成した。得られた防塵服の評価結果は表1の通りであり、防塵服として適したものであり、かつ生分解性も有するものであった。
[実施例4]
平均繊維径が3.5μm、目付けが250g/mであり、ポリ乳酸樹脂を原料としたメルトブロー不織布を、エンボスパターンロールを用いて熱圧着させた。このシートを用いて、カバーオール型防塵服を作成した。得られた防塵服の評価結果は表1の通りであり、防塵服として適したものであり、かつ生分解性も有するものであった。
[実施例5]
実施例4のメルトブロー不織布の片面に、平均繊維径が16μm、目付けが20g/mであり、ポリ乳酸樹脂を原料としたスパンボンド不織布を積層し、エンボスパターンロールを用いて熱圧着させ積層一体化することで、目付けが270g/m2のM/Sタイプの積層シートを得た。この積層シートを用いて、カバーオール型防塵服を作成した。得られた防塵服の評価結果は表1の通りであり、防塵服として適したものであり、かつ生分解性も有するものであった。
[実施例6]
実施例4のメルトブロー不織布の両面に、平均繊維径が16μm、目付けが20g/mであり、ポリ乳酸樹脂を原料としたスパンボンド不織布を積層し、エンボスパターンロールを用いて熱圧着させ積層一体化することで、目付けが290g/mのS/M/Sタイプの積層シートを得た。この積層シートを用いて、カバーオール型防塵服を作成した。得られた防塵服の評価結果は表1の通りであり、防塵服として適したものであり、かつ生分解性も有するものであった。
[実施例7]
実施例1のメルトブロー不織布の片面に、平均繊維径が12μm、目付けが20g/mであり、ポリ乳酸樹脂を原料としたスパンボンド不織布を、もう片面に平均繊維径が12μm、目付けが20g/mであり、ポリエチレンテレフタレート樹脂を原料としたスパンボンド不織布を積層し、エンボスパターンロールを用いて熱圧着させ積層一体化することで、目付けが140g/mのS/M/Sタイプの積層シートを得た。この積層シートを用いて、カバーオール型防塵服を作成した。得られた防塵服の評価結果は表1の通りであり、防塵服として適したものであり、かつ少し残片が見られるものの生分解性も有するものであった。
[実施例8]
積層方法を超音波接着とする以外は、実施例2と同様にして、S/Mタイプの積層シートを得た。超音波接着は、チタン製の振動子を用い、振動数2万Hz、圧力0.03MPaにて接着面積が10%のクロス柄となるよう相互の層を接着した。この積層シートを用いて、カバーオール型防塵服を作成した。得られた防塵服の評価結果は表1の通りであり、防塵服として適したものであり、かつ生分解性も有するものであった。
[実施例9]
積層方法を超音波接着とする以外は、実施例3と同様にして、S/M/Sタイプの積層シートを得た。超音波接着は、チタン製の振動子を用い、振動数2万Hz、圧力0.03MPaにて接着面積が10%のクロス柄となるよう相互の層を接着した。この積層シートを用いて、カバーオール型防塵服を作成した。得られた防塵服の評価結果は表1の通りであり、防塵服として適したものであり、かつ生分解性も有するものであった。
[実施例10]
平均繊維径が1.7μm、目付けが20g/mであり、ポリ乳酸樹脂を原料としたメルトブロー不織布にコロナ放電処理を用い帯電させ、表面電荷密度1.0×10−9クーロン/cmのエレクトレット不織布を得た。その両面に、平均繊維径が12μm、目付けが20g/mであり、ポリ乳酸樹脂を原料としたスパンボンド不織布を積層し、実施例8と同様に超音波接着により積層一体化することで、目付けが60g/mのS/M/Sタイプの積層シートを得た。この積層シートを用いて、カバーオール型防塵服を作成した。得られた防塵服の評価結果は表1の通りであり、防塵服として適したものであり、かつ生分解性も有するものであった。
[比較例1]
平均繊維径が18μm、目付けが20g/mであり、ポリプロピレン樹脂を原料としたスパンボンド不織布と、平均繊維径が5μm、目付けが100g/mであり、ポリプロピレン樹脂を原料としたメルトブロー不織布を積層し、エンボスパターンロールを用いて熱圧着させ積層一体化することで、目付けが120g/mのS/Mタイプの積層シートを得た。この積層シートを用いて、カバーオール型防塵服を作成した。得られた防塵服の評価結果は表1の通りであり、防塵服として適したものであるが、生分解性を有していなかった。
表1の結果から、実施例1〜10の防塵材料は、比較例1の防塵材料に比べ、生分解性に優れるものであった。また、実施例1〜6及び8〜9の防塵材料は、実施例7の防塵材料に比べ生分解性に更に優れるものであった。
次に、表1の結果から、実施例2及び3の防塵服はメルトブロー不織布にスパンボンド不織布が積層されているので、メルトブロー不織布のみからなる実施例1の防塵服と比較し、防塵服の表地の表面に塵やほこりの付着が目立たず、かつ着用時の作業性に優れ 風合いに優れるものであった。また、実施例5及び6の防塵服は実施例4の防塵服と比較し、メルトブロー不織布にスパンボンド不織布が積層されている面については塵やほこりの付着を抑制され、より動き易くよい風合いに優れるものであった。
次に、表1の結果から、実施例7及び8の防塵材料は実施例2及び3の防塵材料と比較し、優れた引張強度を保持したまま接着面積を小さくすることが可能であるため、より通気性に優れるものであった。
次に、表1の結果から、実施例10の防塵材料は実施例1〜9の防塵材料と比較し、高い捕集効率を保持したまま目付を非常に小さくできるため、非常に通気性に優れるものであった。すなわち、実施例10の防塵材料は、非常に優れた捕集効率と非常に優れた通気性を併せ持つものであった。
1:金属製箱
2:金属製平板電極
3:試料
4:コンデンサー
5:エレクトロメーター
Figure 2014101617

Claims (12)

  1. 生分解性を有する繊維から構成される不織布を含有する積層シートからなり、積層シートの透気度が10秒以下であり、粒子径0.3μm以上の微粒子捕集効率が80%以上である生分解性防塵材料。
  2. 生分解性を有する繊維から構成される不織布を含有する単層シートからなり、単層シートの透気度が10秒以下であり、粒子径0.3μm以上の微粒子捕集効率が80%以上である生分解性防塵材料。
  3. 生分解性を有する繊維の積層シートに占める質量が50%以上である請求項1記載の生分解性防塵材料。
  4. 生分解性を有する繊維の単層シートに占める質量が50%以上である請求項2記載の生分解性防塵材料。
  5. 生分解性を有する繊維がポリ乳酸である請求項3又は4に記載の生分解性防塵材料。
  6. 前記積層シートがエレクトレット不織布を有している請求項1、3又は5に記載の生分解性防塵材料。
  7. 前記単層シートがエレクトレット不織布である請求項2、4又は5に記載の生分解性防塵材料。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の生分解性防塵材料を用いてなる防塵服。
  9. 前記積層シートを構成する各層を重ね合わせ、接着されるべき部分に超音波接着加工または熱エンボスロールを用いた熱接着加工を施し接着する請求項1、3、5又は6に記載の防塵材料の製造方法。
  10. 前記積層シートを構成する各層を重ね合わせ、接着されるべき部分に超音波接着加工を施し接着する請求項9に記載の防塵材料の製造方法。
  11. 放射性物質が付着した請求項8記載の防塵服を土壌またはコンポスト中に混合することで、その体積を減容する防塵服の処理方法。
  12. 請求項11記載の防塵服の処理方法において、防塵服が減容された後の土壌またはコンポストから放射性物質を熱処理、分級および化学処理のいずれかの手法で除染し、除染後再び放射性物質が付着した防塵服を混合しその減容化に使用する土壌の処理方法。
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