JP2014096480A - 磁性強化樹脂 - Google Patents
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Abstract
【課題】透磁率を高めた磁性強化樹脂等を提供する。
【解決手段】磁性強化樹脂は、強磁性体と、大環式化合物と、接着樹脂を含有する。前記強磁性体はFe−Ni合金、Fe−Si合金、Fe−Co合金、Fe−Ni−Mo合金、Fe−Ni−Cu合金又はFe−Al−Si合金の粉末である。また、前記大環式化合物はフタロシアニン若しくはポルフィリン、それらの置換体又はそれらと金属の配位体である。さらに、前記接着樹脂はエポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂又はフルオロシリコーン樹脂である。
【選択図】図1
【解決手段】磁性強化樹脂は、強磁性体と、大環式化合物と、接着樹脂を含有する。前記強磁性体はFe−Ni合金、Fe−Si合金、Fe−Co合金、Fe−Ni−Mo合金、Fe−Ni−Cu合金又はFe−Al−Si合金の粉末である。また、前記大環式化合物はフタロシアニン若しくはポルフィリン、それらの置換体又はそれらと金属の配位体である。さらに、前記接着樹脂はエポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂又はフルオロシリコーン樹脂である。
【選択図】図1
Description
本発明は磁性強化樹脂及びこれを用いた塗料等の技術分野に属する。
樹脂結合型磁性体は、成形温度が低い、機械加工が容易、精密成形ができる、高周波磁気損失が低い等の特徴を有する。とりわけ、上記磁性体は高周波磁気損失が少ないため、特殊形状の小型磁性部品等への応用が期待されている。しかし、従来の樹脂結合型磁性体は透磁率が低く、磁性体としての用途は限られていた。
他方、Mn−Znフェライト粉末に熱硬化型樹脂及び金属キレート化合物を加えることで、組成物の磁気特性を向上させることは知られていた(非特許文献1参照)。しかし、かかる文献では、Coキレート、Feキレート、Mnキレート及びNiキレートの各粉末を等量配合して用いたとの記載があるのみで、キレート剤としていかなる化合物を用いるのか、溶媒としていかなるものを用いるのか等の具体的な構成が不明であった。
他方、Mn−Znフェライト粉末に熱硬化型樹脂及び金属キレート化合物を加えることで、組成物の磁気特性を向上させることは知られていた(非特許文献1参照)。しかし、かかる文献では、Coキレート、Feキレート、Mnキレート及びNiキレートの各粉末を等量配合して用いたとの記載があるのみで、キレート剤としていかなる化合物を用いるのか、溶媒としていかなるものを用いるのか等の具体的な構成が不明であった。
谷野克巳、外5名、「237樹脂結合型磁性材の特性に及ぼすキレート剤の効果」、昭和62年電気学会全国大会要旨集、1987年、p.287-288
本発明の目的は、透磁率を高めた磁性強化樹脂等を提供することにある。
本願発明者等は、鋭意検討した結果、強磁性体と、大環式化合物と、接着樹脂を含有することにより、樹脂の透磁率を向上させることができることを見出した。
本発明は、以下の各発明を包含する。
[1] 強磁性体と、大環式化合物と、接着樹脂を含有することを特徴とする磁性強化樹脂。
[2] 強磁性体がFe−Ni合金、Fe−Si合金、Fe−Co合金、Fe−Ni−Mo合金、Fe−Ni−Cu合金又はFe−Al−Si合金の粉末である[1]に記載の磁性強化樹脂。
[3] 強磁性体がパーマロイ、スーパーマロイ、センダスト又はフェライトの粉末である[1]に記載の磁性強化樹脂。
[4] 大環式化合物がフタロシアニン若しくはポルフィリン、それらの置換体又はそれらと金属の配位体である[1]〜[3]のいずれかに記載の磁性強化樹脂。
[5] 接着樹脂がエポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂又はフルオロシリコーン樹脂である[1]〜[4]のいずれかに記載の磁性強化樹脂。
[6] 強磁性体の粉末の平均粒径が0.1〜100μmである[1]〜[5]のいずれかに記載の磁性強化樹脂。
[7] 強磁性体の配合量が、固形成分100重量部に対し50〜97重量部であり、 大環式化合物の配合量が、固形成分100重量部に対し0.01〜20重量部であり、
接着樹脂の配合量が、固形成分100重量部に対し5〜50重量部である[1]〜[6]のいずれかに記載の磁性強化樹脂。
[8] [1]〜[7]のいずれかに記載の磁性強化樹脂を含有する塗料。
[1] 強磁性体と、大環式化合物と、接着樹脂を含有することを特徴とする磁性強化樹脂。
[2] 強磁性体がFe−Ni合金、Fe−Si合金、Fe−Co合金、Fe−Ni−Mo合金、Fe−Ni−Cu合金又はFe−Al−Si合金の粉末である[1]に記載の磁性強化樹脂。
[3] 強磁性体がパーマロイ、スーパーマロイ、センダスト又はフェライトの粉末である[1]に記載の磁性強化樹脂。
[4] 大環式化合物がフタロシアニン若しくはポルフィリン、それらの置換体又はそれらと金属の配位体である[1]〜[3]のいずれかに記載の磁性強化樹脂。
[5] 接着樹脂がエポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂又はフルオロシリコーン樹脂である[1]〜[4]のいずれかに記載の磁性強化樹脂。
[6] 強磁性体の粉末の平均粒径が0.1〜100μmである[1]〜[5]のいずれかに記載の磁性強化樹脂。
[7] 強磁性体の配合量が、固形成分100重量部に対し50〜97重量部であり、 大環式化合物の配合量が、固形成分100重量部に対し0.01〜20重量部であり、
接着樹脂の配合量が、固形成分100重量部に対し5〜50重量部である[1]〜[6]のいずれかに記載の磁性強化樹脂。
[8] [1]〜[7]のいずれかに記載の磁性強化樹脂を含有する塗料。
本発明によれば、磁性強化樹脂の透磁率を向上させることができる。さらに詳説すると上記磁性強化樹脂を用いることで磁気抵抗を低下させ、モーター、発電機、磁気コイル、磁気変圧器、磁気ノイズフィルター等の磁気を用いる各種機器(以下、磁気応用機器という)の磁気効率を向上させることができる。
本発明の磁性強化樹脂は、強磁性体と、大環式化合物と、接着樹脂を含有する。
(強磁性体)
本発明に係る磁性強化樹脂は、強磁性体を有する。強磁性体とは、例えば、磁場をかけるとその方向にきわめて強く磁化し、磁場を取り去っても残留磁化を示す物質をいう。強磁性体としては特に限定されないが、例えば鉄、ケイ素鋼、パーマロイ、スーパーマロイ、ミューメタル、センダスト、パーメンジュール、ソフトフェライト、アモルファス磁性合金、ナノクリスタル磁性合金等の軟磁性材料;アルニコ磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、ネオジム鉄ボロン磁石、サマリウム鉄窒素磁石等の硬磁性材料;ニッケル、フェライト等の磁歪材料等が挙げられる。
また、強磁性体としてはFe−Ni合金、Fe−Si合金、Fe−Co合金、Fe−Ni−Mo合金、Fe−Ni−Cu合金、Fe−Ni−Cr合金又はFe−Al−Si合金等も挙げられる。
ここで、パーマロイとは、例えば、FeとNiを主成分とする強磁性の合金をいう。上記パーマロイは、FeとNi以外にCr、Cu、Moの1種又は2種以上を含有するものを含む。スーパーマロイとは、例えば、Fe、Ni及びMoを主成分とする強磁性の合金をいい、パーマロイの一種である。ミューメタルとは、例えば、Fe、Ni、Cu及びCrを主成分とする強磁性の合金等をいい、パーマロイの一種である。センダストとは、例えば、Fe、Si及びAlを主成分とする強磁性の合金をいう。
強磁性体としては鉄、ケイ素鋼、パーマロイ、スーパーマロイ、ミューメタル、センダスト、パーメンジュール、ソフトフェライト、アモルファス磁性合金、ナノクリスタル磁性合金等の軟磁性材料が好ましく、パーマロイ、スーパーマロイ、センダスト又はフェライトがさらに好ましい。また、強磁性体としてはFe−Ni合金、Fe−Si合金、Fe−Co合金、Fe−Ni−Mo合金、Fe−Ni−Cu合金、Fe−Ni−Cr合金又はFe−Al−Si合金が好ましい。また、強磁性体は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
強磁性体は粉末状であることが好ましく、中でも微細粉末であることがより好ましい。強磁性体粉末の粒子径は特に限定されないが、その平均粒径は0.1〜100μmであることが好ましく、0.5〜90μmであることがより好ましく、15.0〜80.0μmであることが特に好ましい。強磁性体が粉末状であることにより、強磁性体を上記磁性強化樹脂中に均一に分布させることが容易となる。また、上記磁性強化樹脂を用いた硬化体を生成する際に、低い温度にて焼成することが可能となる。強磁性体粉末の粒子形状は特に限定されず、略球形であってもよいし、略長円形であってもよいし、不定形であってもよい。なお、本明細書において平均粒径とは、メディアン径d50をいう。
強磁性体の配合量は、固形成分100重量部に対し50〜97重量部であることが好ましく、75〜97重量部であることがより好ましい。
なお、本明細書において、固形成分とは強磁性体、大環式化合物及び接着樹脂をいう。
本発明に係る磁性強化樹脂は、強磁性体を有する。強磁性体とは、例えば、磁場をかけるとその方向にきわめて強く磁化し、磁場を取り去っても残留磁化を示す物質をいう。強磁性体としては特に限定されないが、例えば鉄、ケイ素鋼、パーマロイ、スーパーマロイ、ミューメタル、センダスト、パーメンジュール、ソフトフェライト、アモルファス磁性合金、ナノクリスタル磁性合金等の軟磁性材料;アルニコ磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、ネオジム鉄ボロン磁石、サマリウム鉄窒素磁石等の硬磁性材料;ニッケル、フェライト等の磁歪材料等が挙げられる。
また、強磁性体としてはFe−Ni合金、Fe−Si合金、Fe−Co合金、Fe−Ni−Mo合金、Fe−Ni−Cu合金、Fe−Ni−Cr合金又はFe−Al−Si合金等も挙げられる。
ここで、パーマロイとは、例えば、FeとNiを主成分とする強磁性の合金をいう。上記パーマロイは、FeとNi以外にCr、Cu、Moの1種又は2種以上を含有するものを含む。スーパーマロイとは、例えば、Fe、Ni及びMoを主成分とする強磁性の合金をいい、パーマロイの一種である。ミューメタルとは、例えば、Fe、Ni、Cu及びCrを主成分とする強磁性の合金等をいい、パーマロイの一種である。センダストとは、例えば、Fe、Si及びAlを主成分とする強磁性の合金をいう。
強磁性体としては鉄、ケイ素鋼、パーマロイ、スーパーマロイ、ミューメタル、センダスト、パーメンジュール、ソフトフェライト、アモルファス磁性合金、ナノクリスタル磁性合金等の軟磁性材料が好ましく、パーマロイ、スーパーマロイ、センダスト又はフェライトがさらに好ましい。また、強磁性体としてはFe−Ni合金、Fe−Si合金、Fe−Co合金、Fe−Ni−Mo合金、Fe−Ni−Cu合金、Fe−Ni−Cr合金又はFe−Al−Si合金が好ましい。また、強磁性体は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
強磁性体は粉末状であることが好ましく、中でも微細粉末であることがより好ましい。強磁性体粉末の粒子径は特に限定されないが、その平均粒径は0.1〜100μmであることが好ましく、0.5〜90μmであることがより好ましく、15.0〜80.0μmであることが特に好ましい。強磁性体が粉末状であることにより、強磁性体を上記磁性強化樹脂中に均一に分布させることが容易となる。また、上記磁性強化樹脂を用いた硬化体を生成する際に、低い温度にて焼成することが可能となる。強磁性体粉末の粒子形状は特に限定されず、略球形であってもよいし、略長円形であってもよいし、不定形であってもよい。なお、本明細書において平均粒径とは、メディアン径d50をいう。
強磁性体の配合量は、固形成分100重量部に対し50〜97重量部であることが好ましく、75〜97重量部であることがより好ましい。
なお、本明細書において、固形成分とは強磁性体、大環式化合物及び接着樹脂をいう。
(大環式化合物)
本発明に係る磁性強化樹脂は、大環式化合物を有する。大環式化合物とは、大環状構造をもつ有機化合物であれば特に限定されないが、例えば環の構成元素数が9以上である環状構造を有する有機化合物が挙げられる。大環式化合物は炭素元素のみで環が形成されていてもよいし、環内に酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含んでもよい。大環式化合物が環内にヘテロ原子を含む場合、当該ヘテロ原子が配位子となり錯体を形成してもよい。大環式化合物は、分子内に非共有電子対を2つ以上持つことが好ましい。分子内に非共有電子対を2つ以上持つ化合物は、いわゆるキレート剤として、金属原子と配位結合を行うことができる。
大環式化合物としては、例えば炭素数9以上のシクロアルカン;ムスコン等の炭素数9以上の環状ケトン;18−クラウン−6等の環内に酸素原子を有するクラウンエーテル類;フタロシアニン、ポルフィリン、サイクラム等の環内に窒素原子を有するアザクラウン類;環内に硫黄原子を有するチオクラウン類;等が挙げられる。大環式化合物は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
本発明に係る磁性強化樹脂は、大環式化合物を有する。大環式化合物とは、大環状構造をもつ有機化合物であれば特に限定されないが、例えば環の構成元素数が9以上である環状構造を有する有機化合物が挙げられる。大環式化合物は炭素元素のみで環が形成されていてもよいし、環内に酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含んでもよい。大環式化合物が環内にヘテロ原子を含む場合、当該ヘテロ原子が配位子となり錯体を形成してもよい。大環式化合物は、分子内に非共有電子対を2つ以上持つことが好ましい。分子内に非共有電子対を2つ以上持つ化合物は、いわゆるキレート剤として、金属原子と配位結合を行うことができる。
大環式化合物としては、例えば炭素数9以上のシクロアルカン;ムスコン等の炭素数9以上の環状ケトン;18−クラウン−6等の環内に酸素原子を有するクラウンエーテル類;フタロシアニン、ポルフィリン、サイクラム等の環内に窒素原子を有するアザクラウン類;環内に硫黄原子を有するチオクラウン類;等が挙げられる。大環式化合物は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
上記大環式化合物は、環内にエーテル結合、カルボニル基、エステル結合、及び炭素−炭素二重結合を含んでいてもよい。また、上記化合物は、任意の置換基で置換されていてもよい。上記化合物に含まれる置換基としては、例えばアルキル基、アルキニル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルキレンジオキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アラルキルオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキル基、脂肪族複素環基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、ヘテロアリールチオ基、アミノ基、置換アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、スルホ基、オキソ基、ニトロ基、メルカプト基又はハロゲン原子等が挙げられ、これらの置換基はさらに別の置換基により置換されていてもよい。上記化合物は無色であってもよく、呈色してもよい。
大環式化合物は、化合物を単独で用いてもよいし、上記化合物と金属原子、ハロゲン化金属又は金属酸化物等との配位体を用いてもよい。上記化合物と配位体を形成する金属原子としては、例えば鉄、コバルト、銅、銀、亜鉛、スズ、マンガン、ニッケル、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、リチウム、ジルコニウム等が挙げられる。上記化合物と配位体を形成するハロゲン化金属原子又は金属酸化物としては、例えばSnCl2、SiCl4、AlCl3、FeCl3、TiO2、TiO等が挙げられる。上記金属原子、ハロゲン化金属又は金属酸化物等は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
大環式化合物は、化合物を単独で用いてもよいし、上記化合物と金属原子、ハロゲン化金属又は金属酸化物等との配位体を用いてもよい。上記化合物と配位体を形成する金属原子としては、例えば鉄、コバルト、銅、銀、亜鉛、スズ、マンガン、ニッケル、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、リチウム、ジルコニウム等が挙げられる。上記化合物と配位体を形成するハロゲン化金属原子又は金属酸化物としては、例えばSnCl2、SiCl4、AlCl3、FeCl3、TiO2、TiO等が挙げられる。上記金属原子、ハロゲン化金属又は金属酸化物等は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
大環式化合物としては、例えばフタロシアニン、ポルフィリン等の化合物;
フタロシアニンコバルト(II)、フタロシアニン銅(II)(α−型)、フタロシアニン銅(II)(β−型)、フタロシアニン鉄(II)、フタロシアニンマグネシウム(II)、フタロシアニンクロロアルミニウム、フタロシアニン二リチウム、フタロシアニン鉛、フタロシアニンシリコンジクロリド、フタロシアニン銀、フタロシアニンすず(IV)ジクロリド、ピグメントブルー15、フタロシアニンナトリウム、フタロシアニンすず(II)、フタロシアニン亜鉛等のフタロシアニンと金属原子等との配位体;2,9,16,23−テトラ−tert−ブチルフタロシアニン銅(II)、1,2,3,4,8,9,10,11,15,16,17,18,22,23,24,25−ヘキサデカフルオロフタロシアニン銅(II)等のフタロシアニンの化合物若しくはその置換体と金属原子等との配位体;
5−(4−カルボキシフェニル)−10,15,20−トリフェニルポルフィリン、5,15−ジフェニルポルフィリン、5−(4−メトキシカルボニルフェニル)−10,15,20−トリフェニルポルフィリン、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチルポルフィリン、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタフルオロ−5,10,15,20−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ポルフィリン、プロトポルフィリン二ナトリウム、テトラフェニルポルフィリン、テトラキス(4−カルボキシフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(4−アミノフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(4−カルボキシメチルオキシフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(2,6−ジクロロフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(3,5−ジヒドロキシフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(3,5−ジメトキシフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(4−メトキシフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(2,4,6-トリメチルフェニル)ポルフィリン、meso−テトラフェニルクロリン、テトラフェニルポルフィン、5,10,15,20−テトラ(4−ピリジル)ポルフィリン、α,β,γ,δ−テトラキス(1−メチルピリジニウム−4−イル)ポルフィリンp−トルエンスルホナート、テトラフェニルポルフィリンテトラスルホン酸等のポルフィリン置換体;
ビス(亜鉛ポルフィリン)、ヘミン、オキソ[5,10,15,20−テトラ(4−ピリジル)ポルフィリナト]チタニウム(IV)、ペンタメチレンビス[4−(10,15,20−トリフェニルポルフィン−5−イル)ベンゾアート]二亜鉛(II)、[5,10,15,20−テトラキス(4−メトキシフェニル)ポルフィリナト]コバルト(II)等のポルフィリン若しくはその置換体と金属原子等との配位体;等が挙げられる。
また、大環式化合物としては、12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6、ジベンゾ−18−クラウン−6、ジアザ−18−クラウン−6等のクラウンエーテル;ポリシアニン、サイクレン、サイクラム等の化合物;ポリシアニン、クラウンエーテル、サイクレン、サイクラム等の置換体;ポリシアニン、クラウンエーテル、サイクレン、サイクラム等の化合物又はその置換体と金属原子等との配位体;等が挙げられる。大環式化合物としては、フタロシアニン、ポルフィリン、ポリシアニン、クラウンエーテル、サイクレン、サイクラム、それらの置換体又はそれらと金属の配位体等が好ましく、フタロシアニン若しくはポルフィリン、それらの置換体又はそれらと金属の配位体が特に好ましい。
フタロシアニンコバルト(II)、フタロシアニン銅(II)(α−型)、フタロシアニン銅(II)(β−型)、フタロシアニン鉄(II)、フタロシアニンマグネシウム(II)、フタロシアニンクロロアルミニウム、フタロシアニン二リチウム、フタロシアニン鉛、フタロシアニンシリコンジクロリド、フタロシアニン銀、フタロシアニンすず(IV)ジクロリド、ピグメントブルー15、フタロシアニンナトリウム、フタロシアニンすず(II)、フタロシアニン亜鉛等のフタロシアニンと金属原子等との配位体;2,9,16,23−テトラ−tert−ブチルフタロシアニン銅(II)、1,2,3,4,8,9,10,11,15,16,17,18,22,23,24,25−ヘキサデカフルオロフタロシアニン銅(II)等のフタロシアニンの化合物若しくはその置換体と金属原子等との配位体;
5−(4−カルボキシフェニル)−10,15,20−トリフェニルポルフィリン、5,15−ジフェニルポルフィリン、5−(4−メトキシカルボニルフェニル)−10,15,20−トリフェニルポルフィリン、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチルポルフィリン、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタフルオロ−5,10,15,20−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ポルフィリン、プロトポルフィリン二ナトリウム、テトラフェニルポルフィリン、テトラキス(4−カルボキシフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(4−アミノフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(4−カルボキシメチルオキシフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(2,6−ジクロロフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(3,5−ジヒドロキシフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(3,5−ジメトキシフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(4−メトキシフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ポルフィリン、5,10,15,20−テトラキス(2,4,6-トリメチルフェニル)ポルフィリン、meso−テトラフェニルクロリン、テトラフェニルポルフィン、5,10,15,20−テトラ(4−ピリジル)ポルフィリン、α,β,γ,δ−テトラキス(1−メチルピリジニウム−4−イル)ポルフィリンp−トルエンスルホナート、テトラフェニルポルフィリンテトラスルホン酸等のポルフィリン置換体;
ビス(亜鉛ポルフィリン)、ヘミン、オキソ[5,10,15,20−テトラ(4−ピリジル)ポルフィリナト]チタニウム(IV)、ペンタメチレンビス[4−(10,15,20−トリフェニルポルフィン−5−イル)ベンゾアート]二亜鉛(II)、[5,10,15,20−テトラキス(4−メトキシフェニル)ポルフィリナト]コバルト(II)等のポルフィリン若しくはその置換体と金属原子等との配位体;等が挙げられる。
また、大環式化合物としては、12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6、ジベンゾ−18−クラウン−6、ジアザ−18−クラウン−6等のクラウンエーテル;ポリシアニン、サイクレン、サイクラム等の化合物;ポリシアニン、クラウンエーテル、サイクレン、サイクラム等の置換体;ポリシアニン、クラウンエーテル、サイクレン、サイクラム等の化合物又はその置換体と金属原子等との配位体;等が挙げられる。大環式化合物としては、フタロシアニン、ポルフィリン、ポリシアニン、クラウンエーテル、サイクレン、サイクラム、それらの置換体又はそれらと金属の配位体等が好ましく、フタロシアニン若しくはポルフィリン、それらの置換体又はそれらと金属の配位体が特に好ましい。
大環式化合物の配合量は、固形成分100重量部に対し0.01〜20重量%であることが好ましく、0.01〜5重量%であることがより好ましい。また、大環式化合物の配合量は、強磁性体100重量部に対し0.01〜40重量%であることが好ましく、0.01〜10重量%であることがより好ましい。
本発明に係る磁性強化樹脂は、接着樹脂を有する。接着樹脂としては特に限定されないが、例えば酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアセタール、エチレン酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、セルロース、ポリカーボネート樹脂、α−オレフィン等の熱可塑性樹脂;ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂、エポキシ樹脂、構造用アクリル樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、シリコーン樹脂、フルオロシリコーン樹脂、ポリアロマティック等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。中でも塗膜特性の観点より、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂又はフルオロシリコーン樹脂が好ましく、レゾール型フェノール樹脂又はフルオロシリコーン樹脂がより好ましい。接着樹脂の配合量は、固形成分100重量部に対し5〜50重量部であることが好ましく、5〜25重量部であることがより好ましい。接着樹脂を配合することで、本発明に係る磁性強化樹脂は接着力を発揮することができる。また、接着樹脂がバインダーとして働き、強磁性体、大環式化合物及び他の任意成分を均一に混合することができる。上記接着樹脂は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
(任意成分)
本発明に係る磁性強化樹脂は、溶媒を有することができる。溶媒としては、大環式化合物、磁性体、接着樹脂及び他の任意成分が溶解する限りにおいて特に限定されない。
有機溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール、t−アミルアルコール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチルカルビトール等のグリコール類;ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジグリム、tert−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、エチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;アセトニトリル、プロピオノニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル化合物;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の非プロトン性極性溶媒;高沸点芳香族ナフサ(商品名:ソルベッソ#150)等が挙げられる。
無機溶媒としては、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸、リン酸等の酸性溶媒;水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム等の塩基性溶媒;純水、食塩水等の中性溶媒等が挙げられる。
上記溶媒のうち、各成分が均一に混合されるため有機溶媒が好ましく、ブチルカルビトール又はメチルエチルケトンがより好ましい。
溶媒の配合量は、固形成分100重量部に対し50重量部以下であることが好ましく、30重量部以下であることがより好ましい。上記溶媒は任意成分であるため、使用しても使用しなくてもよい。なお自動乳鉢、自公転式ミキサー、ビーズミル、ボールミルなどの混合用機器を用いて混合する場合は、溶媒の添加量をゼロ若しくはごく少量とすることもできる。溶媒は、添加後に加熱等により気化させてもよいし、磁性強化樹脂にそのまま含有させてもよい。上記磁性強化樹脂は、溶媒を十分量配合して液状としてもよいし、溶媒を少量配合して半固状又は固状としてもよい。
本発明に係る磁性強化樹脂は、溶媒を有することができる。溶媒としては、大環式化合物、磁性体、接着樹脂及び他の任意成分が溶解する限りにおいて特に限定されない。
有機溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール、t−アミルアルコール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチルカルビトール等のグリコール類;ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジグリム、tert−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、エチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;アセトニトリル、プロピオノニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル化合物;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の非プロトン性極性溶媒;高沸点芳香族ナフサ(商品名:ソルベッソ#150)等が挙げられる。
無機溶媒としては、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸、リン酸等の酸性溶媒;水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム等の塩基性溶媒;純水、食塩水等の中性溶媒等が挙げられる。
上記溶媒のうち、各成分が均一に混合されるため有機溶媒が好ましく、ブチルカルビトール又はメチルエチルケトンがより好ましい。
溶媒の配合量は、固形成分100重量部に対し50重量部以下であることが好ましく、30重量部以下であることがより好ましい。上記溶媒は任意成分であるため、使用しても使用しなくてもよい。なお自動乳鉢、自公転式ミキサー、ビーズミル、ボールミルなどの混合用機器を用いて混合する場合は、溶媒の添加量をゼロ若しくはごく少量とすることもできる。溶媒は、添加後に加熱等により気化させてもよいし、磁性強化樹脂にそのまま含有させてもよい。上記磁性強化樹脂は、溶媒を十分量配合して液状としてもよいし、溶媒を少量配合して半固状又は固状としてもよい。
本発明に係る磁性強化樹脂は、発明の効果を損なわない範囲で任意の化合物等を有することができる。任意の化合物等として、例えば金属粉体、親水性又は疎水性シリカ系粉体、クレイ粉体、アクリル系等の有機系粉体、アマイドワックス等の揺変剤、酸化カルシウム等の脱水剤、希釈剤、可塑剤、難燃剤、機能性オリゴマー、ヒンダードアミン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、3−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジ−4−イルオキシ)プロピルトリエトキシシラン等の老化防止剤、ベンゾトリアゾール系化合物等の紫外線吸収剤、顔料、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、ブロックドポリイソシアネート等の耐水性向上剤、乾性油等を配合することができる。
(磁性強化樹脂の混合)
本発明に係る磁性強化樹脂は、強磁性体、大環式化合物及び接着樹脂に加え、必要に応じて溶媒等の任意成分を配合することにより製造することができる。配合した各成分は、自動乳鉢、自公転式ミキサー、ビーズミル、ボールミルなどの混合用機器を用いて、均一に分散するまで混合することができる。
本発明に係る磁性強化樹脂は、強磁性体、大環式化合物及び接着樹脂に加え、必要に応じて溶媒等の任意成分を配合することにより製造することができる。配合した各成分は、自動乳鉢、自公転式ミキサー、ビーズミル、ボールミルなどの混合用機器を用いて、均一に分散するまで混合することができる。
(磁性強化樹脂の性質)
本発明に係る磁性強化樹脂は高い透磁率を有する。上記磁性強化樹脂を充填した空間は磁気抵抗が低いため、透過する磁束が増加する。すなわち、上記磁性強化樹脂を用いることにより、磁気応用機器の磁気効率を向上させることができる。
上記磁性強化樹脂は、固状、液状、粉末状、ゲル状等のいずれであってもよい。
本発明に係る磁性強化樹脂は高い透磁率を有する。上記磁性強化樹脂を充填した空間は磁気抵抗が低いため、透過する磁束が増加する。すなわち、上記磁性強化樹脂を用いることにより、磁気応用機器の磁気効率を向上させることができる。
上記磁性強化樹脂は、固状、液状、粉末状、ゲル状等のいずれであってもよい。
(用途)
上記磁性強化樹脂が固状又は粉末状の場合は任意の溶媒に溶解させることにより、上記磁性強化樹脂が液状又はゲル状の場合はそのままの状態で、塗料とすることができる。
上記塗料は、例えば刷毛、スプレー、ローラー、鏝、筆、へら、スクリーン印刷、パット印刷等の塗装器具又はロールコーター、フローコーター、真空含浸装置等の塗装用機械等を用いた種々の方法により、磁気応用機器の対象部分に塗布することができる。
上記塗料を塗布する部分としては、例えばガラス板、金属板等の平面状又は曲面状の表面、モーター等の磁気応用機器の特定の平面等が挙げられる。
上記磁性強化樹脂は、充填材として用いることができる。上記充填材は、ノズルによる噴霧、シリンジ、チューブ若しくは充填機による注入等の方法により、磁気応用機器の例えば空隙部分等の対象部分に充填することができる。
上記磁性強化樹脂の透磁率は大気中又は真空中の透磁率より大きいため、磁気応用機器の対象部分に塗布又は空間中に充填することにより、当該部分の磁気抵抗を低減し、磁気応用機器の磁気効率を向上させることができる。
上記磁性強化樹脂が固状又は粉末状の場合は任意の溶媒に溶解させることにより、上記磁性強化樹脂が液状又はゲル状の場合はそのままの状態で、塗料とすることができる。
上記塗料は、例えば刷毛、スプレー、ローラー、鏝、筆、へら、スクリーン印刷、パット印刷等の塗装器具又はロールコーター、フローコーター、真空含浸装置等の塗装用機械等を用いた種々の方法により、磁気応用機器の対象部分に塗布することができる。
上記塗料を塗布する部分としては、例えばガラス板、金属板等の平面状又は曲面状の表面、モーター等の磁気応用機器の特定の平面等が挙げられる。
上記磁性強化樹脂は、充填材として用いることができる。上記充填材は、ノズルによる噴霧、シリンジ、チューブ若しくは充填機による注入等の方法により、磁気応用機器の例えば空隙部分等の対象部分に充填することができる。
上記磁性強化樹脂の透磁率は大気中又は真空中の透磁率より大きいため、磁気応用機器の対象部分に塗布又は空間中に充填することにより、当該部分の磁気抵抗を低減し、磁気応用機器の磁気効率を向上させることができる。
(硬化体)
本発明に係る磁性強化樹脂は、所望の箇所に塗布した後、乾燥および焼成することにより、硬化体とすることができる。硬化体は、例えば、[1]上記磁性強化樹脂を均一に塗布することにより塗膜を形成する工程、[2]上記磁性強化樹脂の塗膜を乾燥させる工程及び[3]乾燥させた磁性強化樹脂を焼成する工程により生成することができる。硬化体を乾燥させる工程[2]は、例えば30〜80℃にて30分間放置することにより行うことができる。また、硬化体を焼成する工程[3]は、例えば120〜200℃にて5〜100分間焼成することにより行うことができる。
本発明に係る磁性強化樹脂は、所望の箇所に塗布した後、乾燥および焼成することにより、硬化体とすることができる。硬化体は、例えば、[1]上記磁性強化樹脂を均一に塗布することにより塗膜を形成する工程、[2]上記磁性強化樹脂の塗膜を乾燥させる工程及び[3]乾燥させた磁性強化樹脂を焼成する工程により生成することができる。硬化体を乾燥させる工程[2]は、例えば30〜80℃にて30分間放置することにより行うことができる。また、硬化体を焼成する工程[3]は、例えば120〜200℃にて5〜100分間焼成することにより行うことができる。
上記硬化体は高い透磁率を有するため、磁気抵抗が低く、透過する磁束が増加する。上記硬化体を、磁気応用機器の一部に備え付けることにより、磁気応用機器の磁気効率を向上させることができる。
(磁性強化体)
上記磁性強化樹脂又はその硬化体からなる磁性強化層を有する機器を磁性強化体という。磁性強化体としては、例えばモーター、磁気コイル、磁気変圧器、磁気ノイズフィルター、発電機等が挙げられる。磁性強化体は、上記磁性強化層における磁気抵抗を低減し、磁気応用機器の効率を向上させることができる。
上記磁性強化樹脂又はその硬化体からなる磁性強化層を有する機器を磁性強化体という。磁性強化体としては、例えばモーター、磁気コイル、磁気変圧器、磁気ノイズフィルター、発電機等が挙げられる。磁性強化体は、上記磁性強化層における磁気抵抗を低減し、磁気応用機器の効率を向上させることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲において、様々な変形や修正が可能である。
(原料)
接着樹脂
レゾール型フェノール樹脂(リグナイト社製の「AH−880」)
フルオロシリコーン樹脂(液状フッ素エラストマー)(信越化学工業社製の「SIFEL2610」)
強磁性体
センダスト(日本アトマイズ加工社製の「SFR−FeSiAl」)(Fe84.5-Si10-Al5.5
:数値は質量%を示す)
スーパーマロイ(安泰科技股▲フン▼有限公司社製)
パーマロイ(安泰科技股▲フン▼有限公司社製)
Fe−Si合金(大同特殊鋼社製)
フェライト(TDK社製の「IR−L1」)
(強磁性体はいずれも粉末状である。上記強磁性体粉末の平均粒径は、各実施例に記載した通りである。)
大環式化合物
フタロシアニン(東京化成工業社製の「P0355」)
接着樹脂
レゾール型フェノール樹脂(リグナイト社製の「AH−880」)
フルオロシリコーン樹脂(液状フッ素エラストマー)(信越化学工業社製の「SIFEL2610」)
強磁性体
センダスト(日本アトマイズ加工社製の「SFR−FeSiAl」)(Fe84.5-Si10-Al5.5
:数値は質量%を示す)
スーパーマロイ(安泰科技股▲フン▼有限公司社製)
パーマロイ(安泰科技股▲フン▼有限公司社製)
Fe−Si合金(大同特殊鋼社製)
フェライト(TDK社製の「IR−L1」)
(強磁性体はいずれも粉末状である。上記強磁性体粉末の平均粒径は、各実施例に記載した通りである。)
大環式化合物
フタロシアニン(東京化成工業社製の「P0355」)
(混合及び焼成)
材料の混合には、自公転式ミキサー(倉敷紡績社製の「MAZERUSTAR−KK−2000」)を用いた。塗料の焼成(硬化処理)には、電気オーブン(タバイエスペック社製の「PH(H)−102」)を用いた。
材料の混合には、自公転式ミキサー(倉敷紡績社製の「MAZERUSTAR−KK−2000」)を用いた。塗料の焼成(硬化処理)には、電気オーブン(タバイエスペック社製の「PH(H)−102」)を用いた。
(測定)
図1に示す空芯コイル1は、エナメル被覆銅線を断面が略矩形の筒状形状となるよう成形し、接着剤で上記銅線相互を接着した。図1に示す空芯断面積S1は、空芯コイル1の断面積を示す。空芯断面積S1を測定したところ60mm2であった。空芯コイル1の巻き数は75turnsであった。この空芯コイル1は、富山県工業技術センターで作製した。なお、空芯コイルの巻き数が多いほど、インダクタンスの測定精度が高くなる。
図1に示す測定機器2は、横河ヒューレット・パッカード社製の「LFインピーダンスアナライザ4196A」を用いた。測定機器2は、空芯コイル1と接続した。測定周波数は100kHzとした。
図1に示す空芯コイル1は、エナメル被覆銅線を断面が略矩形の筒状形状となるよう成形し、接着剤で上記銅線相互を接着した。図1に示す空芯断面積S1は、空芯コイル1の断面積を示す。空芯断面積S1を測定したところ60mm2であった。空芯コイル1の巻き数は75turnsであった。この空芯コイル1は、富山県工業技術センターで作製した。なお、空芯コイルの巻き数が多いほど、インダクタンスの測定精度が高くなる。
図1に示す測定機器2は、横河ヒューレット・パッカード社製の「LFインピーダンスアナライザ4196A」を用いた。測定機器2は、空芯コイル1と接続した。測定周波数は100kHzとした。
(実施例1)
磁性強化樹脂の調製
強磁性体として平均粒径15μmのセンダスト粉を用い、接着樹脂としてレゾール型フェノール樹脂を用い、大環式化合物としてフタロシアニンを用いた。強磁性体、接着樹脂及び大環式化合物の使用量は、[表1]に従った。
強磁性体、接着樹脂及び大環式化合物にブチルカルビトール(和光純薬工業社製)を約5ml及びメチルエチルケトン(MEK)(和光純薬工業社製)を約3ml加えて、自公転式ミキサーにて攪拌し、磁性強化樹脂を調製した。
磁性強化樹脂の調製
強磁性体として平均粒径15μmのセンダスト粉を用い、接着樹脂としてレゾール型フェノール樹脂を用い、大環式化合物としてフタロシアニンを用いた。強磁性体、接着樹脂及び大環式化合物の使用量は、[表1]に従った。
強磁性体、接着樹脂及び大環式化合物にブチルカルビトール(和光純薬工業社製)を約5ml及びメチルエチルケトン(MEK)(和光純薬工業社製)を約3ml加えて、自公転式ミキサーにて攪拌し、磁性強化樹脂を調製した。
測定試料(硬化体)の形成
上記磁性強化樹脂を、図1に示す光学顕微鏡用スライドグラス3(アズワン社製)に、膜厚が100μm程度となるように、刷毛にて塗布した。これを電気オーブンを用いて、約160℃にて約30分間焼成し、図1に示す磁性強化樹脂層4を形成した。光学顕微鏡用スライドグラス3と磁性強化樹脂層4を合わせて、図1に示す試験体5を得た。
上記磁性強化樹脂を、図1に示す光学顕微鏡用スライドグラス3(アズワン社製)に、膜厚が100μm程度となるように、刷毛にて塗布した。これを電気オーブンを用いて、約160℃にて約30分間焼成し、図1に示す磁性強化樹脂層4を形成した。光学顕微鏡用スライドグラス3と磁性強化樹脂層4を合わせて、図1に示す試験体5を得た。
透磁率の測定
図1に示す概略構成の計測回路を用いて、試験体5の比透磁率を測定した。まず、光学顕微鏡用スライドグラス3(アズワン社製)の厚みt0、及び試験体5の厚みtをマイクロメータ(ミツトヨ社製、測定範囲1μm〜25mm)で測定した。tとt0の差から磁性強化樹脂層4の膜厚を算出し、試料断面積S2を求めた。ただし、試料断面積S2は磁性強化樹脂層4の断面積を示す。
空芯コイル1に何も挿入していない状態でのインダクタンスL0を計測したところ、18.04μHであった。空芯コイル1の内部に試験体5を挿入し、インダクタンスLを計測した。光学顕微鏡用スライドグラス3は磁性を有しないため、試験体5の挿入によるインダクタンスLの変化は磁性強化樹脂層4に起因するとした。そして、下記の数式1を用いて試験体5の透磁率を算出した。その結果、実施例1の磁性強化樹脂を用いた場合、比透磁率μrは11.3となった。
図1に示す概略構成の計測回路を用いて、試験体5の比透磁率を測定した。まず、光学顕微鏡用スライドグラス3(アズワン社製)の厚みt0、及び試験体5の厚みtをマイクロメータ(ミツトヨ社製、測定範囲1μm〜25mm)で測定した。tとt0の差から磁性強化樹脂層4の膜厚を算出し、試料断面積S2を求めた。ただし、試料断面積S2は磁性強化樹脂層4の断面積を示す。
空芯コイル1に何も挿入していない状態でのインダクタンスL0を計測したところ、18.04μHであった。空芯コイル1の内部に試験体5を挿入し、インダクタンスLを計測した。光学顕微鏡用スライドグラス3は磁性を有しないため、試験体5の挿入によるインダクタンスLの変化は磁性強化樹脂層4に起因するとした。そして、下記の数式1を用いて試験体5の透磁率を算出した。その結果、実施例1の磁性強化樹脂を用いた場合、比透磁率μrは11.3となった。
(数式1)
μ=1+(L/L0−1)×(S2/S1)
μ=1+(L/L0−1)×(S2/S1)
(実施例2〜3および比較例1)
強磁性体、接着樹脂及び大環式化合物の配合量を[表1]の通りとした以外は、実施例1と同様の操作を行って測定試料を作製し、比透磁率を求めた。その結果を[表1]に示す。表1および後記する表2ないし13において、配合量は固形成分100重量部に対する重量部を示す。
強磁性体、接着樹脂及び大環式化合物の配合量を[表1]の通りとした以外は、実施例1と同様の操作を行って測定試料を作製し、比透磁率を求めた。その結果を[表1]に示す。表1および後記する表2ないし13において、配合量は固形成分100重量部に対する重量部を示す。
(実施例4〜6および比較例2)
強磁性体、接着樹脂及び大環式化合物の配合量を[表2]の通りとした以外は、実施例1と同様の操作を行って測定試料を作製し、比透磁率を求めた。その結果を[表2]に示す。
強磁性体、接着樹脂及び大環式化合物の配合量を[表2]の通りとした以外は、実施例1と同様の操作を行って測定試料を作製し、比透磁率を求めた。その結果を[表2]に示す。
(実施例7〜9および比較例3)
接着樹脂としてフルオロシリコーン樹脂を用い、強磁性体、接着樹脂及び大環式化合物の配合量を[表3]の通りとした以外は、実施例1と同様の操作を行って測定試料を作製し、比透磁率を求めた。その結果を[表3]に示す。
接着樹脂としてフルオロシリコーン樹脂を用い、強磁性体、接着樹脂及び大環式化合物の配合量を[表3]の通りとした以外は、実施例1と同様の操作を行って測定試料を作製し、比透磁率を求めた。その結果を[表3]に示す。
(実施例10〜13および比較例4)
磁性強化樹脂の調製
強磁性体としてふるい目の大きさが200メッシュのふるいにより得たスーパーマロイ を用い、接着樹脂としてレゾール型フェノール樹脂を用い、大環式化合物としてフタロシアニンを用いた。強磁性体、接着樹脂及び大環式化合物の使用量は、[表4]に従った。
強磁性体、接着樹脂及び大環式化合物にブチルカルビトール(和光純薬工業社製)を約5ml及びメチルエチルケトン(MEK)(和光純薬工業社製)を約3ml加えて、自公転式ミキサーにて攪拌し、磁性強化樹脂を調製した。
磁性強化樹脂の調製
強磁性体としてふるい目の大きさが200メッシュのふるいにより得たスーパーマロイ を用い、接着樹脂としてレゾール型フェノール樹脂を用い、大環式化合物としてフタロシアニンを用いた。強磁性体、接着樹脂及び大環式化合物の使用量は、[表4]に従った。
強磁性体、接着樹脂及び大環式化合物にブチルカルビトール(和光純薬工業社製)を約5ml及びメチルエチルケトン(MEK)(和光純薬工業社製)を約3ml加えて、自公転式ミキサーにて攪拌し、磁性強化樹脂を調製した。
測定試料(硬化体)の形成
スクリーン印刷を用い、上記磁性強化樹脂を光学顕微鏡用スライドグラス3の表面及び裏面に短冊状となるよう塗布した。これを電気オーブンを用いて、約160℃にて約30分間焼成し、上記磁性強化樹脂の硬化体を形成した。
図2に示すように、光学顕微鏡用スライドグラス3の表面に形成した樹脂層を4a、光学顕微鏡用スライドグラス3の裏面に形成した樹脂層を4bとし、光学顕微鏡用スライドグラス3と、樹脂層4aと4bからなる磁性強化樹脂層4とを合わせて試験体5とした。
スクリーン印刷を用い、上記磁性強化樹脂を光学顕微鏡用スライドグラス3の表面及び裏面に短冊状となるよう塗布した。これを電気オーブンを用いて、約160℃にて約30分間焼成し、上記磁性強化樹脂の硬化体を形成した。
図2に示すように、光学顕微鏡用スライドグラス3の表面に形成した樹脂層を4a、光学顕微鏡用スライドグラス3の裏面に形成した樹脂層を4bとし、光学顕微鏡用スライドグラス3と、樹脂層4aと4bからなる磁性強化樹脂層4とを合わせて試験体5とした。
透磁率の測定
空芯コイル1として、空芯断面積S1が98mm2、巻き数75turnsのコイル(富山県工業技術センター作製)を用いた。また、測定機器2として、Agilent社製の「プレシジョン・インピーダンス・アナライザ4294A」を用い、測定周波数は100kHzとした。
光学顕微鏡用スライドグラス3の厚みt0、試験体5の厚みtを上記マイクロメータで測定した。tとt0の差から磁性強化樹脂層4の膜厚を算出した。図2に示す樹脂層4aの試料断面積Sa及び樹脂層4bの試料断面積Sbを合わせ、試料断面積S2とした。
空芯コイル1に何も挿入していない状態でのインダクタンスL0を計測したところ、35μHであった。そして、空芯コイル1の内部に試験体5を挿入した状態のインダクタンスLを計測し、上記数式1を用いて試験体5の透磁率を算出した。
そして、上記強磁性体、接着樹脂及び大環式化合物の配合量を[表4]のようにして求めた比透磁率の数値を[表4]に示す。
空芯コイル1として、空芯断面積S1が98mm2、巻き数75turnsのコイル(富山県工業技術センター作製)を用いた。また、測定機器2として、Agilent社製の「プレシジョン・インピーダンス・アナライザ4294A」を用い、測定周波数は100kHzとした。
光学顕微鏡用スライドグラス3の厚みt0、試験体5の厚みtを上記マイクロメータで測定した。tとt0の差から磁性強化樹脂層4の膜厚を算出した。図2に示す樹脂層4aの試料断面積Sa及び樹脂層4bの試料断面積Sbを合わせ、試料断面積S2とした。
空芯コイル1に何も挿入していない状態でのインダクタンスL0を計測したところ、35μHであった。そして、空芯コイル1の内部に試験体5を挿入した状態のインダクタンスLを計測し、上記数式1を用いて試験体5の透磁率を算出した。
そして、上記強磁性体、接着樹脂及び大環式化合物の配合量を[表4]のようにして求めた比透磁率の数値を[表4]に示す。
(実施例14〜15および比較例5)
強磁性体、接着樹脂及び大環式化合物の配合量を[表5]の通りとした以外は、実施例10〜13と同様の操作を行って測定試料を作製し、比透磁率を求めた。その結果を[表5]に示す。
強磁性体、接着樹脂及び大環式化合物の配合量を[表5]の通りとした以外は、実施例10〜13と同様の操作を行って測定試料を作製し、比透磁率を求めた。その結果を[表5]に示す。
(実施例16〜17および比較例6)
強磁性体としてふるい目の大きさが500メッシュのふるいにより得たスーパーマロイを用い、強磁性体、接着樹脂及び大環式化合物の配合量を[表6]の通りとした以外は、実施例10〜13と同様の操作を行って測定試料を作製し、比透磁率を求めた。その結果を[表6]に示す。
強磁性体としてふるい目の大きさが500メッシュのふるいにより得たスーパーマロイを用い、強磁性体、接着樹脂及び大環式化合物の配合量を[表6]の通りとした以外は、実施例10〜13と同様の操作を行って測定試料を作製し、比透磁率を求めた。その結果を[表6]に示す。
(実施例18および比較例7)
強磁性体としてふるい目の大きさが500メッシュのふるいにより得たスーパーマロイを用い、接着樹脂としてフルオロシリコ−ン樹脂を用い、強磁性体、接着樹脂及び大環式化合物の配合量を[表7]の通りとした以外は、実施例10〜13と同様の操作を行って測定試料を作製し、比透磁率を求めた。その結果を[表7]に示す。
強磁性体としてふるい目の大きさが500メッシュのふるいにより得たスーパーマロイを用い、接着樹脂としてフルオロシリコ−ン樹脂を用い、強磁性体、接着樹脂及び大環式化合物の配合量を[表7]の通りとした以外は、実施例10〜13と同様の操作を行って測定試料を作製し、比透磁率を求めた。その結果を[表7]に示す。
(実施例19〜20および比較例8)
強磁性体としてふるい目の大きさが200メッシュのふるいにより得たパーマロイを用い、強磁性体、接着樹脂及び大環式化合物の配合量を[表8]の通りとした以外は、実施例10〜13と同様の操作を行って測定試料を作製し、比透磁率を求めた。その結果を[表8]に示す。
強磁性体としてふるい目の大きさが200メッシュのふるいにより得たパーマロイを用い、強磁性体、接着樹脂及び大環式化合物の配合量を[表8]の通りとした以外は、実施例10〜13と同様の操作を行って測定試料を作製し、比透磁率を求めた。その結果を[表8]に示す。
(実施例21〜24および比較例9)
強磁性体としてふるい目の大きさが200メッシュのふるいにより得たFe−Si合金を用い、強磁性体、接着樹脂及び大環式化合物の配合量を[表9]の通りとした以外は、実施例10〜13と同様の操作を行って測定試料を作製し、比透磁率を求めた。その結果を[表9]に示す。
強磁性体としてふるい目の大きさが200メッシュのふるいにより得たFe−Si合金を用い、強磁性体、接着樹脂及び大環式化合物の配合量を[表9]の通りとした以外は、実施例10〜13と同様の操作を行って測定試料を作製し、比透磁率を求めた。その結果を[表9]に示す。
(実施例25〜28および比較例10)
強磁性体としてふるい目の大きさが330メッシュのふるいにより得たFe−Si合金を用い、強磁性体、接着樹脂及び大環式化合物の配合量を[表10]の通りとした以外は、実施例10〜13と同様の操作を行って測定試料を作製し、比透磁率を求めた。その結果を[表10]に示す。
強磁性体としてふるい目の大きさが330メッシュのふるいにより得たFe−Si合金を用い、強磁性体、接着樹脂及び大環式化合物の配合量を[表10]の通りとした以外は、実施例10〜13と同様の操作を行って測定試料を作製し、比透磁率を求めた。その結果を[表10]に示す。
(実施例29〜31および比較例11)
強磁性体として平均粒径が16.1μmのFe−Si合金(粒子形状が球形のもの)を用い、強磁性体、接着樹脂及び大環式化合物の配合量を[表11]の通りとした以外は、実施例10〜13と同様の操作を行って測定試料を作製し、比透磁率を求めた。その結果を[表11]に示す。
強磁性体として平均粒径が16.1μmのFe−Si合金(粒子形状が球形のもの)を用い、強磁性体、接着樹脂及び大環式化合物の配合量を[表11]の通りとした以外は、実施例10〜13と同様の操作を行って測定試料を作製し、比透磁率を求めた。その結果を[表11]に示す。
(実施例32および比較例12)
強磁性体として平均粒径が16.1μmのFe−Si合金(粒子形状が球形のもの)を用い、強磁性体、接着樹脂及び大環式化合物の配合量を[表12]の通りとした以外は、実施例10〜13と同様の操作を行って測定試料を作製し、比透磁率を求めた。その結果を[表12]に示す。
強磁性体として平均粒径が16.1μmのFe−Si合金(粒子形状が球形のもの)を用い、強磁性体、接着樹脂及び大環式化合物の配合量を[表12]の通りとした以外は、実施例10〜13と同様の操作を行って測定試料を作製し、比透磁率を求めた。その結果を[表12]に示す。
(実施例33〜35および比較例13)
強磁性体として平均粒径が50μmのフェライト(粒子形状が球形のもの)を用い、強磁性体、接着樹脂及び大環式化合物の配合量を[表13]の通りとした以外は、実施例10〜13と同様の操作を行って測定試料を作製し、比透磁率を求めた。その結果を[表13]に示す。
強磁性体として平均粒径が50μmのフェライト(粒子形状が球形のもの)を用い、強磁性体、接着樹脂及び大環式化合物の配合量を[表13]の通りとした以外は、実施例10〜13と同様の操作を行って測定試料を作製し、比透磁率を求めた。その結果を[表13]に示す。
表1〜13より、本発明の磁性強化樹脂は比透磁率が向上しうることが分かった。
本発明の磁性強化樹脂等を用いることにより磁性強化樹脂の透磁率を向上させることができるため、産業上有用である。
1 空芯コイル
2 測定機器
3 光学顕微鏡用スライドグラス
4 磁性強化樹脂層
5 試験体
S1 空芯断面積
S2 試料断面積
2 測定機器
3 光学顕微鏡用スライドグラス
4 磁性強化樹脂層
5 試験体
S1 空芯断面積
S2 試料断面積
Claims (8)
- 強磁性体と、大環式化合物と、接着樹脂を含有することを特徴とする磁性強化樹脂。
- 強磁性体がFe−Ni合金、Fe−Si合金、Fe−Co合金、Fe−Ni−Mo合金、Fe−Ni−Cu合金又はFe−Al−Si合金の粉末である請求項1に記載の磁性強化樹脂。
- 強磁性体がパーマロイ、スーパーマロイ、センダスト又はフェライトの粉末である請求項1に記載の磁性強化樹脂。
- 大環式化合物がフタロシアニン若しくはポルフィリン、それらの置換体又はそれらと金属の配位体である請求項1〜3のいずれかに記載の磁性強化樹脂。
- 接着樹脂がエポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂又はフルオロシリコーン樹脂である請求項1〜4のいずれかに記載の磁性強化樹脂。
- 強磁性体の粉末の平均粒径が0.1〜100μmである請求項1〜5のいずれかに記載の磁性強化樹脂。
- 強磁性体の配合量が、固形成分100重量部に対し50〜97重量部であり、
大環式化合物の配合量が、固形成分100重量部に対し0.01〜20重量部であり、
接着樹脂の配合量が、固形成分100重量部に対し5〜50重量部である請求項1〜6のいずれかに記載の磁性強化樹脂。 - 請求項1〜7のいずれかに記載の磁性強化樹脂を含有する塗料。
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