JP2014094846A - 流動化コンクリートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】現場で特別な練混ぜ作業を必要とせず、ベースコンクリートと同等の硬化性状を有し、高い流動性及び充分な材料分離抵抗性を有する流動化コンクリートの製造方法を提供する。
【解決手段】水硬性結合材、細骨材、粗骨材、水及びコンクリート用減水剤を混合して、練り混ぜ、JIS A 1101の規定によるスランプ値が15〜21cmであるベースコンクリートを得る工程(イ)、
工程(イ)の後、5〜180分の時間の経過とともに、JIS A 1101の規定によるスランプ値が12cm〜21cmとなったベースコンクリートに、スルホ基含有(メタ)アクリル酸誘導体であるモノマーを構成単位として含む水溶性高分子からなる粘性調整成分及びポリカルボン酸系化合物からなる流動化成分を含有する粘性調整成分一液型コンクリート用流動化剤を添加して、練り混ぜることにより、JIS A 1150の規定によるスランプフロー値が35〜65cmである流動化コンクリートを得る工程(ロ)、を経る。
【選択図】なし

Description

本発明は、流動化コンクリートの製造方法に関する。
トンネルや橋梁、道路等の土木構造物や、ビル等の建築物を施工する際、一般的には、コンクリート等の建設材料が使用される。この建設材料として使用されるコンクリートは、施工時には適度な流動性や施工性が要求され、また、得られた構造物には、十分な強度や耐久性が要求されるために、セメント等の水硬性結合材や骨材、水、混和材料等を適切に配合して製造される必要がある。また、得られた建設材料は、品質が維持されて施工現場まで運搬され、熟練した作業員により適切な手順で施工されなければならない。
しかし、近年、良質な骨材の減少等の問題により、安定した品質のコンクリートを製造することが困難となっており、また、レディミクストコンクリート工場の集約化に伴う施工現場までの運搬時間の延長により、得られるコンクリートの品質の低下や、熟練した建設従事者の高齢化による施工技術レベルの低下等が問題となっている。
このため、近年、上述の問題を解決する目的で、締固め不要で、高い流動性や型枠充填性を有し、さらに、流動性の経時変化の少ない、スランプフロー値50cm以上の高流動コンクリートが開発された(特許文献1)。
しかし、この高流動コンクリートは、その高い流動性を得るために多くの水硬性結合材や、コンクリート用化学混和剤及び増粘剤成分が配合される必要があり、コスト高となる問題が挙げられる。また、この高流動コンクリートは、多くの水硬性結合材を配合する必要があり、得られたセメントペーストは粘性が高くなり、ハンドリング性に乏しく、施工時のコンクリートポンプでの圧送時の圧力損失が大きくなるという問題があるほか、骨材の表面水の影響を受けやすく、レディミクストコンクリート工場等での製造時の品質管理が容易でないといった問題があり、広い普及には至っていない。
このため、最近では、高流動コンクリートより結合材量が少ないため経済的で、適度な粘性を持ち、短時間の振動を加えることによって、高流動コンクリート程ではないものの、ある程度の型枠充填性が確保でき、かつ、品質管理の容易なスランプフロー35〜50cmの中流動コンクリートが報告されている(特許文献2)。しかし、この中流動コンクリートは、上述の特徴から、過密に配筋された部材型枠への十分な充填は難しいため、通常、鉄筋量の比較的少ない土木構造物へ適用されている。
また、最近では、トンネル覆工コンクリート向けの中流動コンクリートの性能を満足するために、水硬性結合材として、セメント以外に、石灰石微粉末やフライアッシュ等を添加する方法が提案されている(非特許文献1)。
しかし、石灰石微粉末やフライアッシュを使用するためには、新たな貯蔵サイロや計量器等を既設のレディミクストコンクリート工場等に増設する必要が生じるため、最近では、増粘剤成分を含有したコンクリート用化学混和剤を使用することにより、中流動コンクリートを製造する方法が提案されている(特許文献3)。
しかし、レディミクストコンクリート工場等で、増粘剤成分を含有したコンクリートを練り混ぜた後のミキサで、異なる配合のコンクリートを練り混ぜる際、バッチャー内に残った増粘剤成分が後に混練されるコンクリートの品質に悪影響を与えることがあり、レディミクストコンクリート工場では、増粘剤成分を含有したコンクリートの製造を敬遠する傾向がある。
一方、レディミクストコンクリート工場等で練り混ぜられ、固まらない状態のコンクリート(以下、ベースコンクリートという)を施工現場まで運搬し、流動化剤等のコンクリート用化学混和剤を添加し、コンクリートの流動性を改善させる方法(以下、流動化という)も提案されている。この方法は、練上り後から時間の経過とともに低下したコンクリートの流動性を一時的に高め、施工性を改善することが可能であり、また、従来の高流動コンクリートと異なり、多くの水硬性結合材を必要としないため経済的な手法であるが、単純にコンクリートの流動性を高めるだけでは材料分離を生じやすくなり、硬化後の強度や耐久性に悪影響を与える可能性がある。
また、現場まで運搬されたベースコンクリートにコンクリート用化学混和剤と多糖類を添加し、流動化することにより中流動コンクリートを製造する方法も提案されている(特許文献4)が、多糖誘導体の溶解作業やコンクリートへの練混ぜ作業等は、得られるコンクリートの品質管理の面で課題が残り、さらに、多糖類に特有の凝結遅延特性に起因する問題が挙げられる。
特許第3065476号公報 特開2008−285843号公報 特開2011−236080号公報 特許第4920232号公報
トンネル施工管理要領(中流動覆工コンクリート編)、東日本高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社、西日本高速道路株式会社、平成20年8月
本発明は、現場で特別な練混ぜ作業を必要とせず、ベースコンクリートと同等の硬化性状を有し、高い流動性及び充分な材料分離抵抗性を有する流動化コンクリートの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、下記工程、
水硬性結合材、細骨材、粗骨材、水及びコンクリート用減水剤を混合して、練り混ぜ、JIS A 1101の規定によるスランプ値が15〜21cmであるベースコンクリートを得る工程(イ)、
工程(イ)の後、5〜180分の時間の経過とともに、JIS A 1101の規定によるスランプ値が12cm〜21cmとなったベースコンクリートに、スルホ基含有(メタ)アクリル酸誘導体であるモノマーを構成単位として含む水溶性高分子からなる粘性調整成分及びポリカルボン酸系化合物からなる流動化成分を含有する粘性調整成分一液型コンクリート用流動化剤を添加して、練り混ぜることにより、JIS A 1150の規定によるスランプフロー値が35〜65cmである流動化コンクリートを得る工程(ロ)、
を経る流動化コンクリートの製造方法である。
本発明の製造方法により、低コストで、低い粘性、優れた充填性、利便性及びベースコンクリートと同等の硬化性状を有する、流動化コンクリートを得ることができる。
本発明では、水硬性結合材、細骨材、粗骨材、水及びコンクリート用減水剤を混合して、練り混ぜ、JIS A 1101の規定によるスランプ値が15〜21cmであるベースコンクリートを得る工程(イ)を経る。
工程(イ)で得られるベースコンクリートのJIS A 1101の規定によるスランプ値は15〜21cmである。得られるベースコンクリートのスランプ値が15cm未満であると、施工現場等への運搬時にスランプ値が低下し、コンクリートの製造する際の粘性調整成分一液型コンクリート用流動化剤の添加量が過剰となるため、硬化後のコンクリートの強度特性や耐久性に悪影響を与えるおそれがあるため好ましくなく、スランプ値が21cm超であると、粘性調整成分一液型コンクリート用流動化剤の添加による流動化後のスランプフロー量の制御が困難となるおそれがあるため好ましくない。
本発明では、水硬性結合材としては、セメントが好ましい。水硬性結合材には、適宜必要に応じて、フライアッシュ、高炉スラグ、シリカフューム、石灰石微粉末等を添加することができる。
本発明では、単位水硬性結合材量は、280〜420kg/mであることが好ましい。単位水硬性結合材量が280kg/m未満であると、骨材間を充填するフィラーとしての結合材の絶対量が不足することにより、得られるコンクリートの強度が低下するおそれがあるため好ましくなく、420kg/m超であると、コスト高となるため好ましくない。単位水硬性結合材量は、300〜400kg/mであることが特に好ましい。
本発明では、細骨材として、JIS A 5308に規定されるものが好ましく、例えば、砂、砕砂、スラグ細骨材、軽量細骨材、再生細骨材等が挙げられる。
本発明では、粗骨材としては、JIS A 5308に規定されるものが好ましく、例えば、砂利、砕石、スラグ粗骨材、軽量粗骨材、再生粗骨材等が挙げられる。
本発明では、単位粗骨材体積は280〜350リットル/mであることが好ましい。単位粗骨材体積が、280リットル/m未満であると、得られるコンクリート1m中のセメントペースト量が増加することに起因する硬化コンクリートの収縮量が増大するおそれがあるため好ましくなく、また、350リットル/m超であると、得られるコンクリートの流動性が低下し、所要の流動性が得られなくなるおそれがあるため好ましくない。単位粗骨材体積は、290〜340リットル/mであることが特に好ましい。
本発明では、水は、JIS A 5308に規定されるものが好ましく、上水道水が特に好ましい。
本発明では、コンクリート用減水剤は、市販の製品を使用することが好ましい。コンクリート用減水剤の主成分の例としては、リグニンスルホン酸系化合物、ポリカルボン酸系化合物、メラミン系化合物、アミノスルホン系化合物、ナフタレン系化合物、オキシカルボン酸塩、ポリオール誘導体から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。市販の製品の例としては、リグニンスルホン酸とポリカルボン酸エーテルの複合体(BASFジャパン(株)製、品名ポゾリス15S)や、ポリカルボン酸エーテル系化合物(BASFジャパン(株)製、品名レオビルドSP8SV)等が挙げられる。
コンクリート用減水剤は、水硬性結合材100質量部に対して、固形分換算で0.01〜1.5質量部含有することが好ましい。コンクリート用減水剤の量が、0.01質量部未満であると、目標とする流動性が得られないおそれがあるため好ましくなく、1.5質量部超であると、流動性が過剰となり材料分離を生じて凝結の遅延等を引き起こすおそれがあるため好ましくない。コンクリート用減水剤の量は、水硬性結合材100質量部に対して、0.05〜1.0質量部であることが特に好ましい。
本発明の工程(イ)では、水硬性結合材、細骨材、粗骨材、水及びコンクリート用減水剤を、水と水硬性結合材との質量比(水/水硬性結合材)が、35〜65%となるように配合し、混合した後、練混ぜを行い、JIS A 1101に規定するスランプ値が15〜21cmであるベースコンクリートを得ることが好ましい。
本発明では、水と水硬性結合材との質量比(水/水硬性結合材)が35%未満であると、配合される水硬性結合材量及びコンクリート用減水剤の添加量が多くなるためコスト高となるおそれがあるため好ましくなく、質量比(水/水硬性結合材)が65%超であると、配合される水の量が過剰となり、材料分離の起こるおそれがあるため好ましくない。水と水硬性結合材との質量比(水/水硬性結合材)は、40〜60%であることが好ましい。本発明では、各材料の配合比率は、各地のレディミクストコンクリート工場が所有するレディミクストコンクリート配合計画書等に記載されている配合比率に従って配合することが好ましい。
本発明では、水硬性結合材、細骨材、粗骨材、水及びコンクリート用減水剤を混合した後、練混ぜを行う。練混ぜ方法としては、例えば、水硬性結合材、細骨材、粗骨材を二軸強制練りミキサに投入し空練りを行なった後、コンクリート用減水剤を予め混合した練混ぜ水を使用し、ベースコンクリートを得る方法が挙げられる。ベースコンクリートを製造する際には、重力式ミキサ、パン型強制練りミキサ、二軸強制練りミキサ等の混練機を使用することが好ましい。
本発明の工程(イ)では、適宜必要に応じて、コンクリート用減水剤に、他の添加剤を添加することができる。他の添加剤としては、慣用の空気量調整剤、ポリサッカライド誘導体、乾燥収縮低減剤、促進剤、遅延剤、起泡剤、消泡剤、防錆剤、急結剤等が挙げられる。
本発明の工程(ロ)は、工程(イ)を行った後一定の時間が経過したベースコンクリートに、スルホ基含有(メタ)アクリル酸誘導体であるモノマーを構成単位として含む水溶性高分子からなる粘性調整成分及びポリカルボン酸系化合物からなる流動化成分を含有する粘性調整成分一液型コンクリート用流動化剤を添加して、練り混ぜることにより、JIS A 1150の規定によるスランプフロー値が35〜65cmである流動化コンクリートを得る工程である。工程(イ)を行った後、工程(ロ)を行うまでの時間間隔は5〜180分間である。工程(ロ)を行うまでの時間間隔が5分未満であると、工程(イ)により得られたベースコンクリートの流動性は高い状態を保持しているため流動化を行わずともよく、180分超であると、工程(イ)により得られたベースコンクリートの流動性が著しく低下しているおそれがあるので好ましくない。経過時間は、5〜150分間が特に好ましい。
工程(ロ)を行う際の、工程(イ)を行った後一定時間が経過したベースコンクリートのJIS A 1101の規定によるスランプ値は12cm〜21cmである。スランプ値が12cm未満であると、工程(ロ)において所要の目標スランプフロー値を得るための粘性調整成分一液型コンクリート用流動化剤の添加量を多量に添加する必要があり、硬化後のコンクリートの強度特性や耐久性に悪影響を与えるおそれがあるため好ましくなく、スランプ値が21cm超であると、粘性調整成分一液型コンクリート用流動化剤の添加による流動化後のスランプフロー量の制御が困難となるため好ましくない。スランプ値の範囲は、15〜20cmであることが特に好ましい。
本発明の工程(ロ)では、さらに、得られたベースコンクリートに、スルホ基含有(メタ)アクリル酸誘導体であるモノマーを構成単位として含む水溶性高分子からなる粘性調整成分及びポリカルボン酸系化合物からなる流動化成分を含有する粘性調整成分一液型コンクリート用流動化剤を添加して、練り混ぜることにより、JIS A 1150の規定によるスランプフロー値が35〜65cmである流動化コンクリートを得る。
本発明の粘性調整成分一液型コンクリート用流動化剤は、スルホ基含有(メタ)アクリル酸誘導体であるモノマーを構成単位として含む水溶性高分子からなる粘性調整成分及びポリカルボン酸系化合物からなる流動化成分を含有する。これにより、得られる混合溶液の安定性が良好となるため好ましい。
本発明では、スルホ基含有(メタ)アクリル酸誘導体であるモノマーを構成単位として含む水溶性高分子からなる粘性調整成分を使用する。これにより、所要の粘性を流動化後のコンクリートに付与することができるため好ましい。
本発明のスルホ基含有(メタ)アクリル酸誘導体は、一般式(I)で示されるモノマーであることが好ましい。
式(I)において、Rは水素又はメチル基であり、R、R、Rは、水素、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、又は、メチル基で置換されていてもよいフェニル基であり、Mは、水素、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム又は有機基で置換されたアンモニウムであり、aは、1/2又は1であることが好ましい。これにより、所定の粘性をコンクリートに付与することが可能となるので好ましい。
本発明のスルホ基含有(メタ)アクリル酸誘導体を含む水溶性高分子は、以下のモノマー(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)からなる水溶性高分子であることが好ましい。これにより、多様なコンクリート材料やコンクリート配合に対しても、所要の粘性や材料分離抵抗性をコンクリートに付与させることが可能となるので好ましい。
本発明のモノマー(a)は、一般式(I)で示されるモノマーであることが好ましい。
モノマー(a)は、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミドブタンスルホン酸、3−アクリルアミド−3−メチルブタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2、4、4−トリメチルペンタンスルホン酸等が好ましく、なかでも、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が特に好ましい。
本発明のモノマー(b)は、一般式(II)で示されるモノマーであることが好ましい。
式(II)において、Rは水素又はメチル基であり、R及びRはそれぞれ独立に、水素、1〜20個の炭素原子を含有する脂肪族炭化水素基、5〜8個の炭素原子を含有する脂環式炭化水素基又は6〜14個の炭素原子を含有するアリール基であることが好ましい。
一般式(II)で示されるモノマーには、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N、N−ジメチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド等が挙げられる。
本発明のモノマー(c)は、一般式(III)で示されるモノマーであることが好ましい。
式(III)において、Rは水素又はメチル基であり、Yは−COO(C2n)p−R、−(CH−O(CH2O)−Rであり、
及び10〜40個の炭素原子を含有する不飽和又は飽和、直鎖又は枝分れした脂肪族アルキル基、RはH、C〜Cアルキル、C〜C12アルキル基とC〜C14アリール基とを有するアリールアルキル基を表し、nは2〜4、pは0〜200、qは0〜20、xは0〜3であることが好ましい。
一般式(III)で示されるモノマーには、トリスチリルフェノールポリエチレングリコール(1100)−メタクリレート、ベヘニルポリエチレングリコール(1100)−メタクリレート、ステアリルポリエチレングリコール(1100)−メタクリレート、トリスチリルフェノール−ポリエチレングリコール(1100)−アクリレート、トリスチリルフェノール−ポリエチレングリコール(1100)−モノビニルエーテル、ベヘニルポリエチレングリコール(1100)−モノビニルエーテル、ステアリルポリエチレングリコール(1100)−モノビニルエーテル、トリスチリルフェノール−ポリエチレングリコール(1100)−ビニルオキシ−ブチルエーテル、ベヘニルポリエチレングリコール(1100)−ビニルオキシ−ブチルエーテル、トリスチリルフェノールポリエチレングリコール−ブロック−プロピレングリコールアリルエーテル、ベヘニルポリエチレングリコール−ブロック−プロピレングリコールアリルエーテル、ステアリルポリエチレングリコール−ブロック−プロピレングリコールアリルエーテル等が挙げられる。
本発明のモノマー(d)は、ポリエチレングリコール−ブロック−プロピレングリコール(500〜5000)−ビニルオキシ−ブチルエーテル由来のモノマーであることが好ましく、なかでも、アリルポリエチレングリコール(350〜2000)、メチルポリエチレングリコール(350〜2000)−モノビニルエーテル、ポリエチレングリコール(500〜5000)−ビニルオキシ−ブチルエーテル、ポリエチレングリコール−ブロック−プロピレングリコール(500〜5000)−ビニルオキシ−ブチルエーテル、メチルポリエチレングリコール−ブロック−プロピレングリコールアリルエーテル等が挙げられる。
本発明のモノマー(e)は、一般式(IV)で示されるモノマーであることが好ましい。
式(IV)において、Rは水素又はメチル基であり、R及びRはそれぞれ独立に、水素、1〜20個の炭素原子を含有する脂肪族炭化水素基、5〜8個の炭素原子を含有する脂環式炭化水素基又は6〜14個の炭素原子を含有するアリール基であり、Wは−CO−O−(CH−、−CO−NR−(CH−であり、mは1〜6であることが好ましい。
一般式(IV)で示されるモノマー(e)には、[3−(メタクリロイルアミノ)−プロピル]−ジメチルアミン、[3−(アクリロイルアミノ)−プロピル]−ジメチルアミン、[2−(メタクリロイル−オキシ)−エチル]−ジメチルアミン、[2−(アクリロイル−オキシ)−エチル]−ジメチルアミン、[2−(メタクリロイル−オキシ)−エチル]−ジエチルアミン、[2−(アクリロイル−オキシ)−エチル]−ジエチルアミン等が挙げられる。
本発明の粘性調整成分は、構成単位として、モノマー(a):モノマー(b):モノマー(c):モノマー(d):モノマー(e)=3〜96mol%:3〜96mol%:0〜10mol%:0〜30mol%:0〜20mol%を含む水溶性高分子であることが好ましい。
モノマー(a)の含有量が3mol%未満であると、本発明の粘性調整成分の水への溶解性が低下するおそれがあるので好ましくなく、モノマー(a)の含有量が96mol%超であると、多様な流動化コンクリートに所要の材料分離抵抗性を付与しにくくなるおそれがあるので好ましくない。モノマー(b)の含有量が3mol%未満であると、多様な流動化コンクリートに所要の材料分離抵抗性を付与することが困難となるおそれがあるため好ましくなく、モノマー(b)の含有量が96mol%超であると、本発明の粘性調整成分の水への溶解性が低下するおそれがあるので好ましくない。また、モノマー(c)の含有量が10mol%超であるか、モノマー(d)の含有量が30mol%超であるか、又は、モノマー(e)の含有量が20mol%超であると、多様な流動化コンクリートに所要の材料分離抵抗性を付与しにくくなるおそれがあるため好ましくない。粘性調整成分を構成するモノマーの含有量は、モノマー(a):モノマー(b):モノマー(c):モノマー(d):モノマー(e)=20〜75mol%:10〜65mol%:0〜10mol%:0〜15mol%:0〜15mol%であることが特に好ましい。
本発明では、粘性調整成分に、所望により少量の架橋剤を組み込むことによって、構造中に少しだけ枝分かれした、又は架橋した構造を提供することができる。架橋剤としては、例えば、トリアリルアミン、トリアリルメチルアンモニウムクロリド、テトラアリルアンモニウムクロリド、N、N'−メチレン−ビス−アクリルアミド、トリエチレングリコール−ビス−メタクリレート、トリエチレングリコール−ビス−アクリレート、ポリエチレングリコール(400)−ビス−メタクリレート及びポリエチレングリコール(400)
−ビス−アクリレートが挙げられる。架橋剤は、粘性調整成分の作用を妨げない程度の量で使用することができ、モノマー(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)の合計に対して0.1mol%以下であることが好ましい。
本発明の粘性調整成分は、周知の水相中のゲル重合により製造することができ、低い反応温度において適切な開始剤系を用いて重合を行うことが好ましい。最初は低温で光化学的に開始され、ついで重合の発熱により熱的に開始される、2つの開始剤系の組み合わせ(アゾ開始剤及びレドックス系)が99%以上の反応率の達成を可能にする。
ゲル重合は、好ましくは、−5〜50℃で実施され、水溶液の濃度は、好ましくは、35〜70質量%に調節される。ゲル重合は、通常の市販されている、スルホ基含有(メタ)アクリル酸誘導体を水に溶解し、アルカリ金属水酸化物の添加により中和し、モノマーと緩衝剤、分子量調整剤及びその他の重合助剤を撹拌しながら混合することが好ましい。また、ゲル重合は、pH4〜9の範囲で行い、ヘリウム又は窒素等の保護ガスでフラッシュした後、所定の温度に加熱又は冷却することが特に好ましい。
撹拌しないゲル重合を実施形態として選択する場合、重合を、断熱的な反応条件下で、好ましい2〜20cmの、特に8〜10cmの層厚みで実施する。重合を、低温(−5〜10℃)で重合開始剤の添加及び紫外線の照射により開始する。モノマーの反応が完了次第、表面積を増加させることにより乾燥を促進するために、得られた高分子を剥離剤を用いて静かに砕くことが好ましい。
できるだけゆるやかな反応及び乾燥条件を用いることが、架橋の二次反応を回避することを可能にし、したがって非常に低いゲル含有率を有する高分子を提供する。
本発明では、粘性調整成分の含有量は、必要に応じて、適宜調整可能であるが、粘性調整成分一液型コンクリート用流動化剤の全質量に対して0.05〜5質量%が好ましい。含有量が0.05質量%未満であると、得られるコンクリートに十分な粘性を付与できないおそれがあるため好ましくなく、含有量が5質量%超であると、粘性調整成分一液型コンクリート用流動化剤の溶液粘度が大きくなり、施工現場での使用に適さなくなるおそれがあるため好ましくない。粘性調整成分の含有量は、0.1〜3.0質量%であることが特に好ましい。
本発明の粘性調整成分は、数平均分子量が50,000〜20,000,000g/molの水溶性高分子が好ましい。粘性調整成分の数平均分子量が、50,000g/mol未満であると、適度な粘性をコンクリートに付与することができなくなるおそれがあり、20,000,000g/mol超であると、流動化成分への溶解が困難となり、また、粘性調整成分一液型流動化剤の溶液粘度が上昇し、施工現場等での使用に適さくなるおそれのあることから好ましくない。なお、本願明細書において、数平均分子量はプルラン換算でゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することが好ましい。
本発明の粘性調整成分一液型コンクリート用流動化剤の流動化成分は、ポリカルボン酸系化合物を使用する。これにより、所要の流動性を容易に得ることが可能となるため好ましい。本発明の粘性調整成分一液型コンクリート用流動化剤の流動化成分は、アクリル酸及び/又はその塩を構成単位として含むポリカルボン酸系化合物が特に好ましい。
本発明において最も好ましく使用される流動化成分としては、下記一般式(V)で表される化合物1種類以上のモノマー(A)及び/又は下記一般式(VI)で表される化合物1種以上のモノマー(B)と、アクリル酸及び/又はその塩であるモノマー(C)とを構成単位として含有する共重合体を1種以上含有し、前記モノマー(A)及び/又は前記モノマー(B)と、前記モノマー(C)との質量比が、(モノマー(A)及び/又はモノマー(B)):(モノマー(C))=70〜90:10〜30であり、前記モノマー(A)と、前記モノマー(B)との質量比が(モノマー(A));(モノマー(B))=0〜100:100〜0であり、かつ、前記モノマー中のオキシアルキレン基の平均付加モル数が50〜150である高分子が挙げられる。
式(V)において、Rは炭素数2〜5のアルケニル基、R10は水素又は炭素数1〜4のアルキル基、Aは炭素数2〜4のアルキレンイミン基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、eは0〜30の整数、fは10〜150の整数であることが好ましい。
一般式(V)で表されるモノマー(A)は、メトキシポリエチレングリコール(25)−ビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコール(100)−ビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコール(25)−アリルエーテル、メトキシポリエチレングリコール(75)−アリルエーテル、メトキシポリエチレングリコール(50)−イソプレノール、メトキシポリエチレングリコール(115)−イソプレノール、メトキシポリエチレングリコール(25)−ポリエチレンイミン(10)−アリルエーテル、メトキシポリエチレングリコール(50)−ポリエチレンイミン(10)−アリルエーテル、メトキシポリエチレングリコール(100)−ポリエチレンイミン(25)−アリルエーテル、メトキシポリエチレングリコール(135)−ポリエチレンイミン(10)−ビニルエーテル等が挙げられる。
式(VI)において、R11、R12は水素又はメチル基、Aは炭素数2〜4のアルキレンイミン基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、Xは水素又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、bは0〜2の整数、gは0〜30の整数、hは10〜150の整数であることが好ましい。
一般式(VI)で表されるモノマー(B)は、gが0で、hが10〜150の整数の化合物としては、メトキシポリエチレングリコール(11)−アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(11)−メタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(25)−メタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(50)−メタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(100)−メタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(135)−メタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(11)−ポリプロピレングリコール(3)−メタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(25)−メタリルカルボン酸エステルが挙げられる。また、一般式(VI)で表されるモノマー(B)は、gが1〜30の整数で、hが10〜150の整数の化合物としては、具体的には、メトキシポリエチレングリコール(11)−ポリエチレンイミン(10)−アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(11)−ポリエチレンイミン(10)−メタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(25)−ポリエチレンイミン(10)−メタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(25)−ポリエチレンイミン(15)−メタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(50)−ポリエチレンイミン(10)−メタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(100)−ポリエチレンイミン(15)−メタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(135)−ポリエチレンイミン(10)−メタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(11)−ポリプロピレングリコール(3)−ポリエチレンイミン(10)−メタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(25)−メタリルカルボン酸エステル等が挙げられる。
モノマー(C)は、アクリル酸及び/又はその塩を構成単位として含有することが好ましい。アクリル酸の塩は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩及びアルキルアンモニウム塩からなる群より選ばれることが好ましい。
本発明の流動化成分は、モノマー(A)、モノマー(B)及びモノマー(C)のほか、さらに、一般式(VII)で表される化合物1種類以上のモノマー(D)を、モノマー(A)及び/又はモノマー(B)と、モノマー(C)と、モノマー(D)との質量比が、(モノマー(A)及び/又はモノマー(B)):モノマー(C):モノマー(D)=70〜90:10〜30:0〜10の割合で含有することができる。
式中、R13は水素又はメチル基、Zは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又はアルキルアンモニウムを表す。
本発明の粘性調整成分一液型コンクリート用流動化剤の流動化成分は、粘性調整成分一液型コンクリート用流動化剤の全質量に対して、2〜40質量%含有されることが好ましい。本発明の流動化成分の含有量が2質量%未満であると、得られるコンクリートの目標とするスランプフローを得るために、粘性調整成分一液型コンクリート用流動化剤を過剰に添加することが必要となり、硬化後のコンクリートに強度低下等の悪影響を与えるおそれがあるので好ましくない。また、流動化成分の含有量が40質量%超であると、粘性調整成分一液型コンクリート用流動化剤の添加量が少量となるため、流動化剤の有姿での添加量に対するスランプフローの動きが敏感となり、目標とするスランプフローの制御が困難となるおそれがあるので好ましくない。本発明の流動化成分の含有量は、4〜30質量%であることが好ましい。
本発明の粘性調整成分一液型コンクリート用流動化剤の流動化成分は、質量平均分子量が20,000〜80,000であることが好ましい。質量平均分子量が20,000未満であると、得られるコンクリートに十分な流動化効果が得られなくなるおそれがあるため好ましくなく、質量平均分子量が80,000超であると、得られるコンクリートに十分な流動化効果が得られなくなるばかりでなく、粘性調整成分との溶液安定性が損なわれるおそれがあるので好ましくない。なお、本願明細書において、数平均分子量はプルラン換算でゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することが好ましい。
本発明では、粘性調整成分一液型コンクリート用流動化剤100質量部に対し、無機塩を0.01〜5質量部含有することが好ましい。無機塩は、安定化剤として使用され、スルホ基含有(メタ)アクリル酸誘導体と流動化成分との混合溶液の溶液粘度の低減や溶液安定性を向上させる効果があるので好ましい。無機塩は、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、アルミニウムイオンのハロゲン化物、硫酸化物、硝酸化物からなる単塩及び複塩が、コストの面で好ましい。
本発明の粘性調整成分一液型コンクリート用流動化剤は、粘性調整成分、流動化成分及び無機塩を含み、さらに、溶媒として水を含有することが好ましい。
本発明では、さらに、粘性調整成分一液型コンクリート用流動化剤に、適宜必要に応じて、他の添加剤を添加することができる。他の添加剤としては、慣用の空気量調整剤、ポリサッカライド誘導体、乾燥収縮低減剤、促進剤、遅延剤、起泡剤、消泡剤、防錆剤、急結剤等が挙げられる。
本発明の粘性調整成分一液型コンクリート用流動化剤は、温度5〜40℃において水溶液であり、かつ、5℃での溶液粘度が500mPa・s以下であることが好ましい。これにより、本発明の粘性調整成分一液型コンクリート用流動化剤は、温度5〜40℃の温度下において粘性調整成分の分離等が認められず、良好な溶液安定性を示すことができ、流動化作業を屋外で実施することができるので好ましい。
本発明の粘性調整成分一液型コンクリート用流動化剤は、5℃での溶液粘度が500mPa・s以下であることにより、メスシリンダーやバケツ、又は機械式のポンプ等を使用しベースコンクリートに直接添加することができるため好ましい。5℃での溶液粘度が500mPa・s超であると、冬期における施工現場での使用には適さないおそれがあるため好ましくない。
本発明の粘性調整成分一液型コンクリート用流動化剤中の流動化成分の添加量は、ベースコンクリート中の水硬性結合材100質量%に対して、0.01〜0.5質量%が好ましく、より好ましくは0.03〜0.3質量%である。流動化成分の添加量が0.01質量%未満であると、所要の流動性が得られないおそれがあるため好ましくなく、添加量が0.5質量%超であると、流動性が過剰となり材料分離を生じやすくなるおそれがあるため好ましくない。
工程(ロ)において、粘性調整成分一液型コンクリート流動化剤中の粘性調整成分の添加量は、所要の粘性を得るために適宜調製することが可能であり、ベースコンクリート中の水硬性結合材100質量%に対して、0.001〜0.5質量%であり、より好ましくは0.005〜0.3質量%である。粘性調整成分の添加量が0.001質量%未満であると、流動化コンクリートに所要の粘性を付与することが困難となるおそれがあるため好ましくなく、添加量が0.5質量%超であると、流動化コンクリートの粘性が過剰となるため、本発明で目標とするスランプフローを得ることが困難となるおそれがあるため好ましくない。
本発明の工程(ロ)では、粘性調整成分一液型コンクリート用流動化剤が一液型であることが好ましい。これにより、粘性調整成分一液型コンクリート用流動化剤を適切に配合することができ、現場作業で添加の際、簡易に添加できるため好ましい。
粘性調整成分一液型コンクリート用流動化剤の添加は、工程(イ)で得られたベースコンクリートに対して一度に全量添加する方法か、又は、数回に分割して添加する方法のいずれでもよい。
また、本発明では、粘性調整成分一液型コンクリート用流動化剤をベースコンクリートに添加した後、ベースコンクリートと容易な練混ぜにより均一な流動化コンクリートが得られるので好ましい。練混ぜには、傾胴式ミキサや強制練りミキサ等の混練機、アジテータートラック等を使用することができる。
本発明の流動化コンクリートの製造方法は、様々な用途のコンクリートに使用することができ、特にトンネルの覆工コンクリート用として使用することが好ましい。この理由としては、トンネルの施工現場において、多くの作業員による施工作業を行うことが困難であること、山岳部付近での施工となるため近隣にレディミクストコンクリート工場が少なく、品質が管理された中(高)流動コンクリートの入手が困難であること、ならびに、セグメントの裏込めには必ずしも高流動コンクリートほどの高い充填性能を要求されないこと等が挙げられる。
本発明により、得られる流動化コンクリートは、JIS A 1150に規定するスランプフロー値が35〜65cmである。これにより、施工時のコンクリート型枠への十分な充填が可能となるため好ましい。得られる流動化コンクリートのJIS A 1150に規定するスランプフロー値が35cm未満であると、流動性不足のため施工時の構造物型枠内への十分な充填がなされないため好ましくなく、スランプフロー値が65cm超であると、流動化コンクリートの材料分離が発生しやすくなり、硬化後の構造物の耐久性が低下するおそれがあるため好ましくない。得られる流動化コンクリートのJIS A 1150に規定するスランプフロー値は、トンネル覆工や橋梁等の比較的配筋量の少ない土木構造物を対象とする場合には35〜50cmが特に好ましく、配筋量の多い建築構造物等を対象とする場合には50〜65cmが特に好ましい。
本発明により、得られる流動化コンクリートの空気量は、コンクリート100容積%に対して3〜6容積%であることが好ましい。空気量が3容積%未満であると得られる流動化コンクリートの、凍結融解抵抗性が得られなくなるおそれがあり好ましくなく、空気量が6容積%超であると、得られる流動化コンクリートの強度特性や物質遮蔽性が低下するおそれがあるので好ましくない。
本発明の製造方法により得られる流動化コンクリートは、JIS A 1123に規定するブリーディング量が、ベースコンクリートのブリーディング量の70%以下であることが好ましい。これは、得られる流動化コンクリーが、粘性調整成分を有するため、適度な粘性を有することができ、ベースコンクリートよりも優れた材料分離抵抗性を得ることができることによる。
本発明の製造方法により得られる流動化コンクリートは、ベースコンクリートの凝結特性に影響を与えず、構造物を施工する際の容易な工程管理を可能とする凝結特性の範囲であることが好ましく、すなわち、本発明の製造方法により得られる流動化コンクリートとベースコンクリートの凝結時間の差が、始発時間において±30分以内であり、かつ、終結時間において±30分以内であることが好ましい。これにより、建設物を施工する際の、コンクリートの製造時期、打込み時期及び表面仕上げ時期の見極め等の工程管理が容易となり、凝結遅延による工程の組換え等を避けることができるため好ましい。
本発明の製造方法により得られる流動化コンクリートは、JIS A 1150に規定するスランプフロー値が50〜65cmである場合に、JIS A 1150に規定するフローの流動停止時間が10〜30秒であることが好ましい。これは、コンクリートの粘性を評価する指標の1つとして挙げられるものであり、コンクリートの流動時間の測定をすることにより行う。この評価方法は、スランプコーン引上げ開始から、目視によって停止が確認されるまでの時間を計測するものであり、一般的に、単位水硬性結合材量の多い従来型の高流動コンクリートほどこの流動停止時間は長くなり、たとえば水/水硬性結合材比が30%でスランプフローが60cm程度の高流動コンクリートの場合、40秒以上である。また、高い粘性を示すことから、施工時のハンドリング性やポンプ圧送性能が大きく低下し、それに伴って施工に要する時間も長くなり、作業にかかる人件費も増大する。
本発明の製造方法により得られる流動化コンクリートのうち、スランプフローが50〜65cmの範囲であるものは、従来型の高流動コンクリートよりも低粘性を示し、施工性が向上することから時間や費用等のコストの低減に大きく貢献することが可能となるので好ましい。
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施態様例によって限定されるものではない。
〈粘性調整成分の合成〉
[水溶性高分子1の合成]
撹拌機及び温度計を備えた1リットルの三口フラスコ中に、水650gを加え、撹拌しながら、水酸化ナトリウム87gを加えて溶解し、56.6mol%の2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(モノマー(a))450gを少しずつ添加して、透明な水溶液を得た。得られた透明な水溶液に、クエン酸水和物0.50gを添加した後、冷却した状態で撹拌しながら、5質量%水酸化ナトリウム水溶液を加えて、pH4.6に調節した42.8mol%のN、N−ジメチルアクリルアミド(モノマー(b))164g及び0.6mol%のトリスチリルフェノール−ポリエチレングリコール(1100)−メタクリレート(モノマー(c))8.6gを加え、さらに、ギ酸300ppmを分子量調整剤として添加して混合溶液を得た。得られた混合溶液を、20質量%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH=6.0に調節し、30分間窒素でフラッシュした後、約5℃に冷却した、15cm×10cm×20cmの寸法を有する塑性材料容器中に移して、2、2’−アゾ−ビス−(2−アミジノプロパン)−二塩酸塩150mg、1質量%ロンガリット溶液1.0g及び0.1質量%t−ブチルヒドロペルオキシド溶液10gを連続して添加した。この後、紫外線(Philips管2本、Cleo Performance 40W)を照射することにより、溶液中のモノマーの重合を開始した。照射を約2〜3時間した後、硬いゲルが得られた。得られたゲルを塑性材料容器から取り出し、はさみを用いて約5cm×5cm×5cmの寸法の立方体のゲルに裁断した。得られた立方体のゲルに、剥離剤のポリジメチルシロキサンエマルジョンをはけで塗り、ミンサーで粉砕してゲル細粒を得た。得られたゲル細粒を敷き並べ、一定した質量となるまで、温度90〜120℃で真空下で空気循環乾燥器中において乾燥させて、約650gの白色の、硬い細粒が得られた。得られた細粒を遠心ミルにより粉末にして、粘性調整成分である水溶性高分子1の粉末を得た。得られた水溶性高分子1の粉末の平均細粒は、約40μmであり、100μmを超える直径を有する粒子の割合は、1質量%未満であった。
[水溶性高分子2〜5の合成]
表1に記載のモノマーを使用して、粘性調整成分である水溶性高分子1と同様にして操作を行い、粘性調整成分である水溶性高分子2〜5それぞれを得た。
得られた、粘性調整成分1〜5の数平均分子量測定結果を併せて、表1に示す。なお、数平均分子量測定は、東ソー社製ECOSEC HLC−8320GPCを用いて実施し、カラムはShodex、OHpak SB−806HQを2本使用し、較正曲線はプルラン、溶離液は0.5M酢酸及び硝酸を使用した。
〈流動化成分の合成〉
[共重合体1の合成]
撹拌機、pH装置、温度計及び滴下ロートを備えた反応容器中に、モノマーとして、メトキシポリエチレングリコール(75)−アリルエーテルの80質量部及びアクリル酸ナトリウム20質量部、水122質量部、3−メルカプトプロピオン酸1質量部、30質量%過酸化水素水、1.9質量部及び硫酸第一鉄7水和物0.03質量部を投入した後、撹拌を行いながら、温度30℃以下、pH6.0以下に保った状態で反応を行った。反応中は、温度30℃以下、pH6.0以下になるように調整しながら撹拌を継続し、還元剤としてロンガリット3.0質量部を添加して30分反応させた。反応終了後、共重合体1を102gを含む水溶液を得た。
[共重合体2〜5]
表2に記載の質量比に基づいて、モノマーの合計を100質量部にすること以外は、共重合体1と同様にして操作を行い、共重合体2〜4を含む水溶液をそれぞれ得た。
得られた共重合体1〜4の質量平均分子量、オキシアルキレン基の平均付加モル数を、使用したモノマーと合わせて表2に示す。なお、数平均分子量測定は、東ソー社製ECOSEC HLC−8320GPCを用いて実施し、カラムはShodex、OHpak SB−803HQを2本使用し、較正曲線はプルラン、溶離液は0.5M酢酸及び硝酸を使用した。
〈粘性調整成分一液型コンクリート用流動化剤の調製〉
撹拌機を備えた1リットルのビーカー中に、顆粒無水硫酸ナトリウム(試薬特級、和光純薬製)10g、水道水640gを加え、50rpmで2分撹拌した後、水溶性高分子1を10g添加し、200rpmで30分間撹拌した。次いで、同ビーカー中に共重合体1の45質量%水溶液を340g添加し、200rpmで10分間撹拌し、粘性調整成分一液型コンクリート用流動化剤1(以下、流動化剤1と記す。)を1000g調製した。
流動化剤1の調製方法に従って、表3に示す組み合わせで、流動化剤2〜13及び比較流動化剤1〜4を1000g調製した。なお、粘性調整成分として、比較流動化剤2には、ヒドロキシメチルセルロース(信越化学工業社製「SFCA2000」)、比較流動化剤3には、ウェランガム(三晶株式会社製「ウェランガムBG」)を使用した。
流動化剤1〜13及び比較流動化剤1〜4の5℃での溶液粘度測定結果及び溶液安定性試験結果を表3に併せて示す。
なお、溶液粘度測定は、東京計器社のBL粘度計(針No.3、回転数60rpm)を使用して測定した。
また、表3の溶液安定性試験は、流動化剤を調整した後、6ヶ月間5℃、20℃、40℃の環境下に保管し、目視によりその液体性状を観察するものであって、溶液が6ヶ月間均一な状態を保持し、分離・ゲル・沈殿が観察されない場合を○とし、分離・ゲル・沈殿が観察された場合を×とした。
表3中の、粘度測定結果及び溶液安定性試験結果による判定として、溶液安定性試験結果が良好で、かつ、粘度測定結果が500mPa・s以下であるものを◎、溶液安定性試験結果が良好で、かつ、粘度測定結果が500mPa・sを超えるものを○、及び、溶液安定性試験結果を満足しないものを×とした。
なお、比較流動化剤1については、本発明で使用する粘性調整成分を含有しないが、溶液粘度測定結果及び溶液安定性試験結果の両方を満足するものであったため、判定を◎とした。
〈コンクリート試験〉
[コンクリートの試験方法]
コンクリートの評価は、以下の規格に準じて実施した。
スランプ値:JIS A 1101
スランプフロー値:JIS A 1150
空気量: JIS A 1128
コンクリートの温度: JIS A 1156
凝結時間:JIS A 1147
ブリーディング: JIS A 1123
凍結融解試験: JIS A 1148
圧縮強度試験: JIS A 1108
中流動コンクリートの加振変形試験: JHS 733
中流動コンクリートの充填性試験: JHS 733
高流動コンクリートの充填性試験: JSCE−F 511−2011
[中流動コンクリートを対象とした実施例及び比較例]
中流動コンクリートを対象としたコンクリートの配合を表4に示す。また、コンクリートの目標練上り温度は20℃とした。
表4で使用した材料は、以下の通りである。
水(W):上水道水
セメント(C):普通ポルトランドセメント(太平洋セメント株式会社製、密度3.16g/cm
細骨材(S):大井川水系陸砂(密度2.57g/cm、粗粒率2.71)
粗骨材(G):青梅産 硬質砂岩砕石2005(密度2.65g/cm、実績率62.5%)
減水剤:リグニンスルホン酸化合物とポリカルボン酸エーテルの複合体(BASFジャパン株式会社製、品名 ポゾリス15S)
空気量調整剤:変性ロジン酸化合物系陰イオン界面活性剤(BASFジャパン株式会社製、品名 マイクロエア202)
表4の配合1について、容量55リットルのパン型強制練りミキサを使用し、コンクリートの練混ぜ量が40リットルとなるように配合量を決定した。セメント(C)、細骨材(S)及び粗骨材(G)をパン型強制練りミキサに投入し、10秒間練り混ぜ、次に、予め減水剤及び空気量調整剤を上水道水(W)に混合した練混ぜ水を、セメント(C)、細骨材(S)及び粗骨材(G)を入れたパン型強制練りミキサに投入し、90秒間練り混ぜて、ベースコンクリートを調製した(以下、工程(イ)という。)。なお、練上り後のコンクリートの空気量が4.5±1.5容積%となるように空気量調整剤の添加量をセメント100質量%あたり0.001〜0.005質量%の範囲で調整した。
工程(イ)で得られたベースコンクリートのスランプ値、スランプフロー値、空気量、コンクリート温度を測定した(表6の工程(イ)直後)。施工時のコンクリートの運搬時間を考慮して、練り板上にベースコンクリートを15分間静置した後、スランプ値、スランプフロー値、空気量及びコンクリートの温度を再び測定した(表6の工程(イ)15分後)。
その後、容量100リットルの傾胴式ミキサに、工程(イ)で得られたベースコンクリートを移し、粘性調整成分一液型コンクリート用流動化剤を表5に示す量でベースコンクリートに添加し、150秒間練り混ぜ、流動化コンクリートを調製した(以下、工程(ロ)、実施例1〜9,比較例2〜5)。また、比較例3〜5については、表3に示した溶液安定性試験において、分離やゲルの沈殿などが認められ、十分な再攪拌においても均一な溶液とはならなかったため、粘性調整成分及び流動化成分及び硫酸ナトリウムの表5に示す量をそれぞれ別々にベースコンクリートに添加した。なお、表5には、表3に記載の溶液粘度測定結果及び溶液安定性試験結果による判定も併せて示した。
工程(ロ)で得られた流動化コンクリートについて、スランプ値、スランプフロー値、空気量、コンクリート温度を測定し、さらに、トンネル覆工コンクリートとしての品質規格への適合を確認するため、非特許文献1に記載の方法にならい、スランプフローの加振変形試験及びU形充填性試験を実施した。
スランプフローの加振変形試験は、バイブレーターを底部に装着した金属板上でスランプフローを測定後、バイブレーターを10秒間作動させることによりスランプフローの広がりを確認する試験であり、加振後のスランプフローの広がりが10±3cmの範囲に収まることを規定している。また、中流動覆工コンクリートの充填性は、無配筋(R3)のU形試験器に詰めたコンクリートの充填高さが280mm以上となることを規定している。(表6の工程(ロ)直後)。
実施例1〜9及び比較例1〜5によるコンクリートをさらにもう1バッチ分(40リットル)調製し、ブリーディング量の測定、凝結時間の測定、圧縮強度試験、凍結融解試験を実施した。
実施例1〜9及び比較例1〜5によるコンクリート試験結果を表6に示す。表6において、トンネル覆工用コンクリートとしての品質規格を満足したものを○、満足しないものを×とした。
比較例1(ベースコンクリート)では、スランプフロー値が26.0cmであり、中流動覆工コンクリートの品質規格である35〜50cmを満足しなかった。また、比較例2及び5は工程(ロ)後のスランプフロー値は、中流動覆工コンクリートの規格範囲である35〜50cmを満足したものの、加振後のスランプフロー増大値が規格範囲である7〜13cmを外れ、また、ブリーディング量の比、凝結時間、圧縮強度及び凍結融解抵抗性が比較例1より劣った。また、比較例3及び比較例4は、規格範囲を全て満足したものの、表3に示す溶液安定性が不良であることから、工程(ロ)において、粘性調整成分及び流動化成分及び硫酸ナトリウムを別々に計量し、それぞれ別々にベースコンクリートに添加する必要があった。
実施例1〜9においては、粘性調整成分一液型コンクリート用流動化剤が予め一液状であることから比較例3及び比較例4のような煩雑な流動化作業を行う必要がなく、工程(ロ)において流動化コンクリートを容易に製造することが可能であった。
また、実施例1〜9におけるコンクリートのスランプ、スランプフロー、加振後のスランプフローはトンネル覆工用中流動コンクリートの規格範囲を満足した。また、比較例1に対する実施例1〜9におけるブリーディング量(cm/cm)の比は、48.8〜54.8%であった。また、比較例1に対する実施例1〜9の凝結時間の差は、始発時間及び終結時間ともに±15分の範囲であった。コンクリートの材齢28日における圧縮強度は、比較例1が37.1N/mmであったのに対し実施例1〜9で35.9〜38.5N/mmであった。凍結融解試験による硬化コンクリートの耐久性指数は、比較例1が95%であったのに対し、実施例1〜9も全て93%以上と優れた値を示した。
[高流動コンクリートを対象とした実施例及び比較例]
高流動コンクリートを対象とした配合2〜4を表7に示す。なお、配合4は、従来型のセメント量を多く配合した高コストな高流動コンクリートである。また、コンクリートの目標練上り温度は20℃とした。
表7で使用した材料は以下の通りである。
水(W):上水道水
セメント(C):普通ポルトランドセメント(太平洋セメント株式会社製、密度3.16g/cm
細骨材(S):大井川水系陸砂(密度2.57g/cm、粗粒率2.71)
粗骨材(G):青梅産 硬質砂岩砕石2005(密度2.65g/cm、実績率62.5%)
減水剤1:リグニンスルホン酸化合物とポリカルボン酸エーテルの複合体(BASFジャパン株式会社製、品名 ポゾリス15S)
減水剤2:ポリカルボン酸エーテル系化合物(BASFジャパン株式会社製、品名 レオビルドSP8SV)
空気量調整剤:変性ロジン酸化合物系陰イオン界面活性剤(BASFジャパン株式会社製、品名 マイクロエア202)
表7の配合2及び3については、容量55リットルのパン型強制練りミキサを使用し、コンクリートの練混ぜ量が40リットルとなるように配合量を決定した。まず、セメント(C)、細骨材(S)及び粗骨材(G)をパン型強制練りミキサに投入し、10秒間練り混ぜた。次に、予め減水剤及び空気量調整剤を上水道水(W)に混合した練混ぜ水を、セメント(C)、細骨材(S)及び粗骨材(G)を入れたパン型強制練りミキサに投入し90秒間練り混ぜ、ベースコンクリートを調製した(以下、工程(イ’)という。なお、練上り後のコンクリートの空気量が4.5±1.5容積%となるよう所望により空気量調整剤の添加量をセメント100質量%あたり0.001〜0.005質量%の範囲で調整した。
工程(イ’)で得られたベースコンクリートのスランプ値、スランプフロー値、空気量、コンクリートの温度、凝結時間を測定した(表9,10の工程(イ’)直後)。施工時のコンクリートの運搬時間を想定して練り板上に15分間静置した後、スランプ値、スランプフロー値、空気量及びコンクリートの温度を再び測定した(表9,10の工程(イ’)直後)。
その後、容量100リットルの傾胴式ミキサに工程(イ’)で得られたベースコンクリートを移し、粘性調整成分一液型コンクリート用流動化剤を表8の添加量分だけベースコンクリートに添加し150秒間練り混ぜ、流動化コンクリートを調製した(以下、工程(ロ’)という、実施例10〜21、比較例7及び8)。なお、比較例7及び8については、表3に示した溶液安定性試験において、分離やゲルの沈殿などが認められ、十分な再攪拌においても均一な溶液とはならなかったため、粘性調整成分及び流動化成分及び硫酸ナトリウムの表8に示す量をそれぞれ別々に添加した。
工程(ロ’)で得られた流動化コンクリートについて、スランプフロー値、空気量、コンクリート温度、フローの流動停止時間、凝結時間を評価した(表9の工程(ロ’)直後)。また、JSCE−F 511−2011の試験法に従い、U形充填性試験(R2)を実施した。U形充填性試験(R2)は、高流動コンクリートの流動性、材料分離抵抗性を評価する指標であり、R2においては鉄筋を3本配筋したU形試験器に詰めたコンクリートの充填高さが300mm以上となることを規定している。
表9の実施例10〜21、比較例6〜9によるコンクリートをさらにもう1バッチ分(40リットル)調製し、ブリーディング量の測定、圧縮強度試験、凍結融解試験を実施した。
表7の配合4について、容量55リットルの二軸強制練りミキサを使用し、コンクリートの練混ぜ量が40リットルとなるように配合量を決定した。まず、セメント(C)、細骨材(S)を二軸強制練りミキサに投入し、10秒間練り混ぜ、次に、予め減水剤を上水道水に添加した練混ぜ水(W)を二軸強制練りミキサに投入し60秒練り混ぜた後、粗骨材(G)を投入し、さらに60秒間練り混ぜ、高流動コンクリートを調製した(比較例10)。得られた高流動コンクリートのスランプフロー値、空気量、コンクリート温度、フローの流動停止時間を評価した(表10の練混ぜ直後)。
実施例10〜21及び比較例6〜10によるコンクリート試験結果を表9及び表10に示す。
配合2による比較例6及び配合3による比較例9はスランプフロー値がそれぞれ31.0cm、30.0cmであり、U形充填性試験(R2)において、コンクリートの閉塞が認められた。従来の高流動コンクリートの配合4を使用した比較例10においては、スランプフロー値が62.0cm、U形充填性試験(R2)による充填高さが337mmであるものの、スランプフローの流動停止時間が49.8秒と長時間であり、粘性の高いコンクリートであった。
また、比較例7及び比較例8は、表3に示す溶液安定性が不良であることから、工程(ロ’)において、粘性調整成分及び流動化成分及び硫酸ナトリウムを別々に計量し、それぞれ別々にベースコンクリートに添加する必要があった。
実施例10〜21においては、粘性調整成分一液型コンクリート用流動化剤が予め一液状であることから比較例7及び比較例8のような煩雑な流動化作業を行う必要がなく、工程(ロ’)において流動化コンクリートを容易に製造することが可能であった。
実施例10〜21の流動化コンクリートは全て60±2.5cmのスランプフロー値であった。またスランプフローの流動停止時間は21.8〜27.5秒であり、比較例10よりも低い粘性を示し、U形充填性試験(R2)による充填高さも全て300mm以上を満足した。さらに、比較例6に対する実施例10〜17のブリーディング量の比が、41.2〜47.1%の範囲、比較例9に対する実施例18〜21のブリーディング量の比が42.1〜44.4%の範囲であり、実施例である粘性調整成分一液型コンクリート用流動化剤を使用した流動化コンクリートが優れた材料分離抵抗性を備えていることが認められた。
配合2における比較例6に対する実施例10〜17の凝結時間の差は、始発時間及び終結時間それぞれにおいて±20分の範囲であったのに対し、比較例7及び8の凝結時間は、比較例6に対して始発時間が60〜70分、終結時間が60〜70分それぞれ遅延した。また、凍結融解試験による硬化コンクリートの耐久性指数は、比較例6の95%に対し、実施例10〜17は全て91%以上を示した。材齢28日における圧縮強度は、比較例6が49.2N/mmであったのに対し実施例10〜17で46.8〜49.3N/mmの範囲であった。
配合3における比較例9に対する実施例18〜21の凝結時間の差は、始発時間及び終結時間それぞれにおいて±20分の範囲であった。また、硬化コンクリートの耐久性指数及び材齢28日における圧縮強度は、比較例9と同等の性状であった。
〈流動化コンクリートの製造の容易さとコンクリート性能に関する判定〉
表11に、実施例1〜21及び比較例2〜5、比較例7、比較例8、比較例10により製造した流動化コンクリート(ただし、比較例10については従来の高流動コンクリートである)について、当該流動化コンクリートの製造の容易さ及び製造された流動化コンクリートの性能の二つの面をそれぞれ評価した判定結果を示す。なお、工程(ロ)又は(ロ’)を経ない比較例1、比較例6、比較例9は表11から除外した。
表11中の、当該流動化コンクリートの製造の容易さに関して、溶液粘度及び溶液安定性の試験結果については表3の判定を使用し、流動化剤の取扱いの容易さについては、粘性調整成分と流動化成分を一液で使用が可能なものについては○判定とし、粘性調整成分と流動化成分の溶液安定性が不良のため、それぞれを別々に計量し、ベースコンクリートに添加する必要があるものについては×判定とした。
表11中の、コンクリートの性能については、表6に示す中流動コンクリートを対象とした配合1のコンクリート評価結果、表9及び表10に示す高流動コンクリートを対象とした配合2〜4のコンクリート評価結果を踏まえ、○判定及び×判定とした。中流動コンクリートを対象とした実施例1〜9および比較例2〜5の判定項目としては、工程(イ)前のスランプが12〜21cmであり、かつ、工程(ロ)後のスランプフローが35〜50cmであり、かつ、加振変形試験におけるスランプフローの増加量が7〜13cmの範囲に留まっており、かつ、U形充填性試験(R3)における充填高さが280mm以上であり、かつ、ベースコンクリート(比較例1)に対するブリーディング量の比が70%以下であり、かつ、ベースコンクリート(比較例1)との凝結時間の差が、始発時間及び終結時間についてともに±30分であること全てを満足するものであった場合を○判定とし、上記項目のうち満足しないものがあった場合を×判定とした。
高流動コンクリートを対象とした実施例10〜21および比較例7、比較例8、比較例10のフレッシュコンクリートの判定項目としては、工程(イ’)前のスランプが12〜21cmであり、かつ、工程(ロ’)のスランプフローが50〜65cmであり、フロー停止時間が10〜30秒であり、かつ、U形充填性試験(R2)における充填高さが300mm以上であり、かつ、ベースコンクリート(実施例10〜17については比較例6、実施例18〜21については比較例9)に対するブリーディング量の比が70%以下であり、かつ、ベースコンクリートとの凝結時間の差が、始発時間及び終結時間についてともに±30分であること全てを満足するものであった場合を○判定とし、上記項目のうち満足しないものがあった場合を×判定とした。
表11中において、さらに、総合判定として、流動化コンクリートの製造の容易さ及び製造されたコンクリートの性能の両方を満足するものを○判定、両方、又は、どちらか一方を満足しないものを×判定とした。
本発明の粘性調整成分一液型コンクリート用流動化剤が、流動化コンクリートを得る際の取扱いが容易で、かつ、当該流動化剤を使用して得られた流動化コンクリートが、ベースコンクリートより材料分離抵抗性に優れ、ベースコンクリートの凝結特性や強度特性及び耐久性等の諸性能に悪影響を与えないコンクリートであることが確認された。また、本発明の製造方法により得られる流動化コンクリートが、従来の高流動コンクリートと同等の高い流動性を持ち、さらに、従来の高流動コンクリートよりも低粘性で、施工時のハンドリング性に優れるコンクリートであることが確認された。
本発明の製造方法により、製造された流動化コンクリートは、建築・土木用の中流動コンクリートや高流動コンクリートに利用可能である。

Claims (9)

  1. 下記工程、
    水硬性結合材、細骨材、粗骨材、水及びコンクリート用減水剤を混合して、練り混ぜ、JIS A 1101の規定によるスランプ値が15〜21cmであるベースコンクリートを得る工程(イ)、
    工程(イ)の後、5〜180分の時間の経過とともに、JIS A 1101の規定によるスランプ値が12cm〜21cmとなったベースコンクリートに、スルホ基含有(メタ)アクリル酸誘導体であるモノマーを構成単位として含む水溶性高分子からなる粘性調整成分及びポリカルボン酸系化合物からなる流動化成分を含有する粘性調整成分一液型コンクリート用流動化剤を添加して、練り混ぜることにより、JIS A 1150の規定によるスランプフロー値が35〜65cmである流動化コンクリートを得る工程(ロ)、
    を経る流動化コンクリートの製造方法。
  2. 前記スルホ基含有(メタ)アクリル酸誘導体が、一般式(I)で示されるモノマーである請求項1に記載の流動化コンクリートの製造方法。
    (式中、Rは水素又はメチル基、R、R、Rは、水素、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、又は、メチル基で置換されていてもよいフェニル基であり、Mは、水素、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム又は有機基で置換されたアンモニウムであり、aは、1/2又は1である。)
  3. 前記ポリカルボン酸系化合物が、アクリル酸及び/又はその塩を構成単位として含む請求項1又は2に記載のコンクリートの製造方法。
  4. 前記粘性調整成分一液型コンクリート用流動化剤が、温度5〜40℃において水溶液であり、かつ、5℃での溶液粘度が500mPa・s以下である請求項1〜3のいずれかに記載の流動化コンクリートの製造方法。
  5. 前記粘性調整成分一液型コンクリート用流動化剤の全100質量%に対して、前記粘性調整成分が0.05〜5質量%であり、前記流動化成分が固形分で2〜40質量%である、請求項1〜4のいずれかに記載の流動化コンクリートの製造方法。
  6. 前記粘性調整成分一液型コンクリート用流動化剤が、該流動化剤100質量部に対して、さらに、無機塩0.01〜5質量部を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の流動化コンクリートの製造方法。
  7. 前記流動化コンクリートのブリーディング量が、前記工程(イ)で得られたベースコンクリートの量の70%以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の流動化コンクリートの製造方法。
  8. 前記流動化コンクリートの凝結時間と、前記工程(イ)で得られたベースコンクリートの凝結時間の差が、始発時間において±30分以内であり、かつ、終結時間において±30分以内である、請求項1〜7のいずれかに記載の流動化コンクリートの製造方法。
  9. 前記流動化コンクリートが、JIS A 1150に規定するスランプフロー値が50〜65cmである場合に、JIS A 1150に規定するフローの流動停止時間が10〜30秒である、請求項1〜8のいずれかに記載の流動化コンクリートの製造方法。
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