JP2022119650A - コンクリート組成物およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】結合材量を多くせず、且つ水結合材比を低くせずに、固まる前のコンクリートにおいて、優れた流動保持性と、低減したブリーディング量とコンクリートの一体感(分離抵抗性)と、を有しつつ、初期の硬化段階において凝結が遅延せず、また、優れた強度を有するコンクリートを得ることができる、コンクリート組成物を提供する。【解決手段】減水成分であるポリカルボン酸系共重合体(A)と、保持成分である加水分解性基を有する共重合体(B)と、粘性調整成分であるスルホ基含有(メタ)アクリル酸誘導体由来の構造単位を有する水溶性高分子(C)と、ブリーディング低減成分である糖アルコール(D)とを含有するセメント添加剤を含有し、単位結合材量が280kg/m3以上400kg/m3以下、水結合材比が45質量%以上60質量%以下、スランプフロー値が45cm以上75cm以下であるコンクリート組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、セメント添加剤を使用したコンクリート組成物とその製造方法に関するものである。
一般的にコンクリートに求められる性能は、フレッシュ性状と硬化性状に大別され、前者は、流動性、流動保持性、分離抵抗性(コンクリートの一体感、間隙通過性、ブリーディング量の抑制)、後者は、凝結性、初期強度・長期強度、耐久性が挙げられる。これらの要求性能を満たす手法として、1990年頃から、コンクリート中の結合材(粉体)の配合量を多くし、相対的に水と結合材(粉体)の質量比を小さくするコンクリートが、これに用いる化学混和剤の開発と相まって、いわゆる粉体系の高流動コンクリートとして提案されるようになってきた。後に、増粘剤を多量に添加した増粘剤系、粉体と増粘剤を併用した併用系などと称される高流動コンクリートも提案された。これらの高流動コンクリートは、高い流動性・流動保持性・分離抵抗性を有し、強度や耐久性に悪影響を及ぼさないメリットを有するものの、コンクリートの粘性が高くなり取り扱いが困難であること、さらにはコスト高となることで、広く一般的なコンクリートに普及していなかった。
その後、中流動コンクリートと呼ばれるスランプ値が15~18cmの普通コンクリートとスランプフロー値が65cm程度の高流動コンクリートの中間的な性能を持つコンクリートが提案されている。中流動コンクリートは、普通コンクリートよりも流動性が高く、振動締固めの軽減、すなわち施工の省力化の効果を併せ持つコンクリートである。
中流動コンクリートの適用事例としては、施工の効率性や省力化の観点から、トンネル覆工工事が挙げられる。トンネル用の中流動覆工コンクリートの性能としては、前記の施工の省力化のみならず、品質管理の容易さも求められる(非特許文献1)。より具体的には、山岳など遠隔地の施工現場においても製造や供給が可能である、すなわち、様々な骨材でも使用可能であること、レディミクストコンクリート工場から施工現場までのコンクリートの品質が変動しないことが求められる。また、トンネル内の狭い施工箇所においてもポンプ圧送が可能であり、少ない振動による締固めが可能であり、且つ、ブリーディングなどの分離抵抗性に優れ、適度な粘性を持つコンクリートが求められる。
しかし、中流動コンクリートにおいては、結合材量を多くしないことから、分離抵抗性が低下する傾向にあり、ブリーディングが多くなり、骨材とセメントペーストの相対的分離(コンクリートとしての一体感の喪失)が起きる恐れがあった。
また、流動保持性への対策として、分散成分のセメントへの初期吸着を抑える成分である、糖類やグルコン酸塩やリン酸塩といった別の添加成分を分散成分と共にコンクリートに添加する手法があり、有効な対策手段として用いられてきた。しかし、前記添加成分は、添加量によってはセメントの凝結を遅延させ、さらに、初期材令における強度を低下させる傾向があった。
また、近年、コンクリートを施工する熟練工員の減少や生コンクリート工場の統廃合等の要因により、生コンクリートの打込みまでの労力や管理を簡便にする要求が高まっている。このことから、コンクリートを製造してから打ち込むまで、コンクリートのフレッシュ性状が変化しないものが求められるようになっている。
すなわち、結合材量を多くせずに280kg/m以上400kg/m以下に抑え、水結合材比を低くせずに水結合材比45質量%以上60質量%以下に制御し、中・高流動性を有し、且つ、所定の流動保持性を長時間にわたり確保しつつ、凝結が遅延せず、優れた強度を有するコンクリート組成物が求められるようになってきた。
特に、現場打ちのトンネル覆工コンクリートでは、狭小空間へのコンクリートの充填が要求され、且つ、施工現場への長距離輸送が要求されるコンクリートとして好適に用いられ、結合材量を多くせずに所要のフレッシュ性状を長時間にわたり確保しつつ、凝結が遅延せず、優れた強度を有する中・高流動コンクリート組成物の要求が高まっている。
トンネル施工管理要領(中流動覆工コンクリート編)、東日本高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社、西日本高速道路株式会社、平成20年8月
上記事情に鑑み、本発明は、結合材量を多くせず、且つ水結合材比を低くせずに、固まる前のコンクリートにおいて、優れた流動保持性と、低減したブリーディング量とコンクリートの一体感(分離抵抗性)と、を有しつつ、初期の硬化段階において凝結が遅延せず、また、優れた強度を有するコンクリートを得ることができる、コンクリート組成物を提供することを目的とする。
本発明の構成の要旨は以下の通りである。
[1]減水成分であるポリカルボン酸系共重合体(A)と、保持成分である加水分解性基を有する共重合体(B)と、粘性調整成分であるスルホ基含有(メタ)アクリル酸誘導体由来の構造単位を有する水溶性高分子(C)と、ブリーディング低減成分である糖アルコール(D)とを含有するセメント添加剤を含有し、
単位結合材量が280kg/m以上400kg/m以下、水結合材比が45質量%以上60質量%以下、スランプフロー値が45cm以上75cm以下であるコンクリート組成物。
[2]トンネル覆工用コンクリート組成物である[1]に記載のコンクリート組成物。
[3]前記セメント添加剤の全質量中における、前記ポリカルボン酸系共重合体(A)の含有量が5.0質量%以上30質量%以下、前記加水分解性基を有する共重合体(B)の含有量が4.0質量%以上25質量%以下、前記水溶性高分子(C)の含有量が0.05質量%以上1.0質量%以下、前記糖アルコール(D)の含有量が0.5質量%以上10質量%以下であり、前記コンクリート組成物中における前記セメント添加剤の含有量が、セメント100質量部に対して、0.50質量部以上3.0質量部以下である[1]または[2]に記載のコンクリート組成物。
[4]前記ポリカルボン酸系共重合体(A)が、下記一般式(1)
Figure 2022119650000001
(式(1)中、R1、R、Rは、それぞれ独立して、水素またはメチル基、Rは、水素または炭素数1~30の炭化水素を表し、aは、0~2の整数、bは0または1を表す。AOは、同一又は異なって、炭素数2~3のオキシアルキレン基を表し、nはAOで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1~50の整数である。)で表される不飽和ポリアルキレングリコール系単量体由来の構造単位(I)を含む共重合体である[1]乃至[3]のいずれか1つに記載のコンクリート組成物。
[5]前記加水分解性基を有する共重合体(B)が、加水分解性を有するエチレン性不飽和モノマー(b1)とポリアルキレンオキサイド鎖を有するエチレン性不飽和モノマー(b2)とを含む少なくとも2種からなるモノマーの共重合体であり、前記ポリアルキレンオキサイド鎖を有するエチレン性不飽和モノマー(b2)に対する前記加水分解性を有するエチレン性不飽和モノマー(b1)のモル比が、0.50以上7.5以下である[1]乃至[4]のいずれか1つに記載のコンクリート組成物。
[6]前記加水分解性を有するエチレン性不飽和モノマー(b1)が、下記一般式(2)
Figure 2022119650000002
(式中、R、R、Rは、それぞれ独立して、水素またはメチル基、Rは、炭素数1~20のアルキレン基または炭素数1~20のオキシアルキレン基、rは、0~2の整数を表す。)で表される化合物である[1]乃至[5]のいずれか1つに記載のコンクリート組成物。
[7]前記ポリアルキレンオキサイド鎖を有するエチレン性不飽和モノマー(b2)が、下記一般式(3)
Figure 2022119650000003
(式中、R、R10、R11は、それぞれ独立して、水素またはメチル基、R12は、水素、メチル基または炭素数2~20の脂肪族炭化水素基、BOは、炭素数2~4のアルキレンオキサイド基、cは、2~350の整数、mは、0または1、sは、0~2の整数を表す。)で表される化合物である[1]乃至[6]のいずれか1つに記載のコンクリート組成物。
[8]前記水溶性高分子(C)が、前記スルホ基含有(メタ)アクリル酸誘導体由来の構造単位を有する、質量平均分子量が50,000g/mol以上20,000,000g/mol以下の重合体であり、前記スルホ基含有(メタ)アクリル酸誘導体由来の構造単位が、下記一般式(6)
Figure 2022119650000004
(式中、R18は、水素またはメチル基、R19、R20、R21は、それぞれ独立して、水素、炭素数1~6の脂肪族炭化水素基またはメチル基で置換されていてもよいフェニル基、Mは、水素、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウムまたは有機基で置換されたアンモニウム、dは、1/2または1を表す。)で表される構成単位である[1]乃至[7]のいずれか1つに記載のコンクリート組成物。
[9]前記糖アルコール(D)が、エリトリトール、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、ガラクチトール、イノシトール及びマルチトールからなる群から選択された少なくとも1種である[1]乃至[8]のいずれか1つに記載のコンクリート組成物。
[10]結合材量が280kg/m以上400kg/m以下、水結合材比が45質量%以上60質量%以下、スランプフロー値が45cm以上75cm以下であるコンクリート組成物の製造方法であって、
減水成分であるポリカルボン酸系共重合体(A)と、保持成分である加水分解性基を有する共重合体(B)と、粘性調整成分であるスルホ基含有(メタ)アクリル酸誘導体由来の構造単位を有する水溶性高分子(C)と、ブリーディング低減成分である糖アルコール(D)とを含有するセメント添加剤を予備調製して予備調製したセメント添加剤を得る工程と、
前記予備調製したセメント添加剤、水、結合材及び骨材を混合してコンクリート組成物を予備調製して予備調製したコンクリート組成物を得る工程と、
前記予備調製したコンクリート組成物の温度を測定する工程と、
前記予備調製したコンクリート組成物の温度が所定の閾値以下である場合に、前記予備調製したセメント添加剤と比較して前記糖アルコール(D)の含有率が高いセメント添加剤を新たに調製して新たに調製したセメント添加剤を得る工程と、
前記新たに調製したセメント添加剤、前記水、前記結合材及び前記骨材を混合して新たにコンクリート組成物を調製する工程と、を含むコンクリート組成物の製造方法。
上記[1]における「高分子」とは、質量平均分子量が10,000g/mol以上の重合体を意味する。
本発明のコンクリート組成物の態様によれば、減水成分であるポリカルボン酸系共重合体(A)と、保持成分である加水分解性基を有する共重合体(B)と、粘性調整成分であるスルホ基含有(メタ)アクリル酸誘導体由来の構造単位を有する水溶性高分子(C)と、ブリーディング低減成分である糖アルコール(D)とを含有するセメント添加剤を含有し、単位結合材量が280kg/m以上400kg/m以下、水結合材比が45質量%以上60質量%以下、スランプフロー値が45cm以上75cm以下であることにより、結合材量を多くせず、且つ水結合材比を低くせずに、固まる前のコンクリートにおいて、優れた流動保持性と、低減したブリーディング量とコンクリートの一体感(分離抵抗性)と、を有しつつ、初期の硬化段階において凝結が遅延せず、また、優れた強度を有するコンクリートを得ることができる。
本発明のコンクリート組成物の態様によれば、トンネル覆工用とすることにより、トンネル壁面の狭小空間に対してもコンクリートを充填でき、且つ、施工現場であるトンネルへのコンクリート組成物の長距離輸送が可能となるだけではなく、結合材量を多くせずに所要のフレッシュ性状を長時間にわたり確保しつつ、凝結が遅延しないので、トンネルの覆工にあたり、優れた施工の効率性と省力化を発揮できる。
本発明のコンクリート組成物は、減水成分であるポリカルボン酸系共重合体(A)と、保持成分である加水分解性基を有する共重合体(B)と、粘性調整成分であるスルホ基含有(メタ)アクリル酸誘導体由来の構造単位を有する水溶性高分子(C)と、ブリーディング低減成分である糖アルコール(D)とを含有するセメント添加剤を含有し、単位結合材量が280kg/m以上400kg/m以下、水結合材比が45質量%以上60質量%以下、スランプフロー値が45cm以上75cm以下のコンクリート組成物である。
本発明のコンクリート組成物の適用範囲は、特に限定されず、例えば、トンネル覆工用等のコンクリート組成物として使用することができる。
本発明のコンクリート組成物では、減水成分であるポリカルボン酸系共重合体(A)と、保持成分である加水分解性基を有する共重合体(B)と、粘性調整成分であるスルホ基含有(メタ)アクリル酸誘導体由来の構造単位を有する水溶性高分子(C)と、ブリーディング低減成分である糖アルコール(D)とを含有するセメント添加剤を含有し、単位結合材量が280kg/m以上400kg/m以下、水結合材比が45質量%以上60質量%以下、スランプフロー値が45cm以上75cm以下であることにより、結合材量を多くせず、且つ水結合材比を低くせずに、固まる前のコンクリートにおいて、優れた流動保持性と、低減したブリーディング量とコンクリートの一体感(分離抵抗性)と、を有しつつ、初期の硬化段階において凝結が遅延せず、また、優れた強度を有するコンクリートを得ることができる。
また、本発明のコンクリート組成物では、トンネル覆工用とすることにより、トンネル壁面の狭小空間に対してもコンクリートを充填でき、且つ、コンクリート施工現場であるトンネルへのコンクリート組成物の長距離輸送が可能となるだけではなく、結合材量を多くせずに所要のフレッシュ性状を長時間にわたり確保しつつ、凝結が遅延しないので、トンネルの覆工にあたり、優れた施工の効率性と省力化を発揮できる。
以下に、本発明のコンクリート組成物の上記各成分について、詳細を説明する。まず、本発明のコンクリート組成物に適用される、減水成分であるポリカルボン酸系共重合体(A)と、保持成分である加水分解性基を有する共重合体(B)と、粘性調整成分であるスルホ基含有(メタ)アクリル酸誘導体由来の構造単位を有する水溶性高分子(C)と、ブリーディング低減成分である糖アルコール(D)と、を含有するセメント添加剤の各成分について、詳細を説明する。
<ポリカルボン酸系共重合体(A)>
ポリカルボン酸系共重合体(A)は、減水成分である。本発明におけるポリカルボン酸系共重合体(A)は、一般式(1)で表される不飽和ポリアルキレングリコール系単量体(モノマー)に由来する構造単位を含むことが好ましい。
Figure 2022119650000005
式(1)中、R1、R、Rは、それぞれ独立して、水素またはメチル基、Rは、水素または炭素数1~30の炭化水素を表し、aは、0~2の整数、bは0または1を表す。AOは、同一又は異なって、炭素数2~3のオキシアルキレン基を表し、nはAOで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1~50の整数である。
また、ポリカルボン酸系共重合体(A)は、下記の構造単位(I)及び(II)を含むことが好ましい。これにより、多様なコンクリート組成物の配合に対してもセメントペーストの分散性が得られ、コンクリート組成物の製造が可能となる。
構造単位(I)は、上記一般式(1)で示されるモノマーに由来する構造単位である。一般に、一般式(1)で示されるモノマーに由来する構造単位中のオキシアルキレン基の平均付加モル数nが大きいほど、より高い立体的反発力が発生し、より高い分散性を発揮する。しかしながら、側鎖長が大きくなると共重合体の高分子量化に伴ってセメント添加剤の粘性が高くなる。さらに、セメント添加剤中において分子鎖が伸張するために、所要の分散性を発揮するのに必要とする時間が長くなるため、所要の分散性を発揮するための時間、すなわち、セメント添加剤の練り混ぜに必要な時間が長くなる。一方、側鎖長が小さい場合、分散性は低いが、セメント添加剤の粘性は低く抑えることができる。また、所要の分散性を発揮するのに要する時間も短くなる傾向にある。このように側鎖長の長さによって共重合体の性能は大きく変化し、共重合体の性能に対してオキシアルキレン基の平均付加モル数の与える影響度は大きい。
構造単位(II)は、不飽和モノカルボン酸及び不飽和ジカルボン酸より選ばれる1種または2種以上のモノマーに由来する構造単位である。
本発明に用いるポリカルボン酸系共重合体(A)は、各モノマーを重合することにより得られる。例えば、構造単位(I)を形成する不飽和ポリオキシアルキレングリコール系モノマー(モノマー(I))と、構造単位(II)を形成する不飽和カルボン酸モノマー(モノマー(II))と、を重合することにより得られる。
モノマー(I)~(II)の合計含有量100質量%中におけるモノマー(II)の含有量は、ポリカルボン酸系共重合体の酸価が低くなることを確実に防止し、セメント添加剤として分散性が低下することを確実に防止する点から、13質量%以上が好ましく、ポリカルボン酸系共重合体の酸価が高くなることを確実に防止し、スランプ値及びスランプフロー値の経時保持性を確実に確保する点から、25質量%以下が好ましい。
本発明で用いるポリカルボン酸系共重合体(A)の質量平均分子量は、充分な減水性能を得つつ、減水性能、スランプ値およびスランプフロー値の経時保持性を十分に得る点から、5,000~100,000であることが好ましい。なお、本願明細書において、質量平均分子量は、プルラン換算でゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した質量平均分子量を意味する。
セメント添加剤の全質量中における、ポリカルボン酸系共重合体(A)の含有量(固形分)は、特に限定されないが、その下限値は、45cm以上75cm以下であるコンクリート組成物のスランプフロー値と流動保持性と強度を確実に得る点から、5.0質量%が好ましく、7.0質量%がより好ましく、9.0質量%が特に好ましい。一方で、ポリカルボン酸系共重合体(A)の含有量の上限値は、45cm以上75cm以下であるコンクリート組成物のスランプフロー値と流動保持性を確実に得る点から、30質量%が好ましく、25質量%がより好ましく、20質量%がさらに好ましく、15質量%が特に好ましい。
次に、本発明に用いるポリカルボン酸系共重合体(A)の製造方法について、以下に説明する。モノマーの共重合は、例えば、各モノマーと重合開始剤とを用いて、溶液重合や塊状重合等の公知の重合方法により行うことができる。重合開始剤としては、公知のものを使用することができ、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過酸化水素;アゾビス-2メチルプロピオンアミジン塩酸塩、アゾイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド等のパーオキシドが挙げられる。また、促進剤として、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、モール塩、ピロ重亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシレート、アスコルビン酸等の還元剤;エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、グリシン等のアミン化合物を併用することもできる。これらの重合開始剤や促進剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、モノマーの共重合は、回分式でも連続式でも行うことができる。また、モノマーの共重合の際、必要に応じて溶媒を使用してもよい。溶媒としては、水;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n-ヘプタン等の芳香族又は脂肪族炭化水素類;酢酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、モノマー及び得られるポリカルボン酸系共重合体(A)の溶解性の点から、水及び炭素数1~4の低級アルコールからなる群より選択される1種又は2種以上の溶媒が好ましい。
また、モノマーや重合開始剤等の反応容器への添加方法としては、例えば、反応容器にモノマーの全てを仕込み、重合開始剤を反応容器内に添加することによって共重合を行う方法;反応容器に一部のモノマーを仕込み、重合開始剤と残りのモノマーを反応容器内に添加することによって共重合を行う方法;反応容器に溶媒を仕込み、モノマーと重合開始剤の全量を添加する方法等が挙げられる。特に、得られる共重合体の分子量分布を狭くすることができ、セメント添加剤の流動性を高める作用であるセメント分散性を向上することができることから、重合開始剤とモノマーを反応容器に逐次滴下する方法が好ましい。また、モノマーの共重合性が向上して得られる共重合体の保存安定性がより向上することから、重合中、反応容器内の水の濃度を50質量%以下に維持することが好ましい。
また、モノマーの共重合における温度条件としては、使用する重合方法、溶媒、重合開始剤、連鎖移動剤により、適宜、選択可能であるが、その下限値は、0℃が好ましく、40℃がより好ましく、50℃がさらに好ましく、60℃が特に好ましい。一方で、温度の上限値は、150℃が好ましく、120℃がより好ましく、100℃がさらに好ましく、85℃が特に好ましい。
得られる共重合体は、必要に応じて、さらにアルカリ化合物で中和して用いてもよい。アルカリ化合物としては、例えば、金属の水酸化物、塩化物及び炭酸塩等の無機塩;アンモニア;有機アミン等が好ましい。
上記共重合方法では、モノマー(II)の中和率は0~60mol%であることが好ましく、より好ましくは、50mol%以下である。モノマー(II)の中和率は、モノマー(II)の全モル数を100mol%としたときに、塩を形成しているモノマー(II)のmol%で表されることになる。不飽和カルボン酸系モノマー(II)の中和率が60mol%を超えると、共重合工程における重合率が上がらず、得られる重合体の分子量が低下したり、製造効率が低下したりする傾向がある。
モノマー(II)の中和率を0~60mol%として共重合を行う方法としては、例えば、全て酸型であるモノマー(II)、すなわちモノマー(II)において上記一般式(2)におけるMが水素原子であるものを中和せずに共重合に付することにより行う方法、モノマー(II)をアルカリ性物質を用いてナトリウム塩やアンモニウム塩等の塩の形態に中和するときに中和率を0~60mol%としたものを共重合に付することにより行う方法等が挙げられる。
<加水分解性基を有する共重合体(B)>
加水分解性基を有する共重合体(B)は、保持成分である。加水分解性基を有する共重合体は、加水分解性を有するエチレン性不飽和モノマー(b1)とポリアルキレンオキサイド鎖を有するエチレン性不飽和モノマー(b2)とを含む少なくとも2種からなるモノマーの共重合体である。従って、加水分解性基を有する共重合体は、加水分解性を有するエチレン性不飽和モノマーとポリアルキレンオキサイド鎖を有するエチレン性不飽和モノマーとを必須の構成成分とする少なくとも2種からなるモノマーの共重合体である。上記から、加水分解性基を有する共重合体は、加水分解性を有するエチレン性不飽和モノマー由来の構成単位とポリアルキレンオキサイド鎖を有するエチレン性不飽和モノマー由来の構成単位とを有している。
加水分解性基を有する共重合体が配合されることで、適度な凝結時間とブリーディング抑制特性を得つつ、優れた流動保持性に寄与する。また、加水分解性基を有する共重合体は、加水分解性基が加水分解されることで、セメントに対する活性結合部を生成するので、加水分解性基が加水分解されたエチレン性不飽和モノマーの残部を有する共重合体は、コンクリート中における分散性が向上する。
加水分解性を有するエチレン性不飽和モノマー(b1)
加水分解性を有するエチレン性不飽和モノマーとは、アルカリ環境下において加水分解によりセメントに対する活性結合部を生成するモノマーである。加水分解性を有するエチレン性不飽和モノマー由来の構造単位は、ポリアルキレンオキサイド鎖を有するエチレン性不飽和モノマー由来の構造単位とあいまって、適度な凝結時間とブリーディング抑制特性を得つつ、優れた流動保持性に寄与する。また、加水分解性を有するエチレン性不飽和モノマー由来の構造単位は、加水分解されるとセメントに対する活性結合部を生成して、コンクリート中における、加水分解性基が加水分解されたエチレン性不飽和モノマーの残部を有する共重合体の分散を均一化する。加水分解性を有するエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル等、エステル官能基を有するエチレン性不飽和モノマーを挙げることができる。
加水分解性を有するエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、下記一般式(2)
Figure 2022119650000006
(式中、R、R、Rは、それぞれ独立して、水素またはメチル基、Rは、炭素数1~20のアルキレン基または炭素数1~20のオキシアルキレン基、rは、0~2の整数を表す。)で表される化合物を挙げることができる。このうち、Rは、炭素数2~10のアルキレン基またはオキシアルキレン基が好ましく、炭素数2~4のアルキレン基またはオキシアルキレン基が特に好ましい。
なお、一般式(2)の化合物では、エステル結合が加水分解されることで共重合体からHO-Rで表される化合物が離脱する。
ポリアルキレンオキサイド鎖を有するエチレン性不飽和モノマー(b2)
ポリアルキレンオキサイド鎖を有するエチレン性不飽和モノマー由来の構造単位は、加水分解性を有するエチレン性不飽和モノマー由来の構造単位とあいまって、適度な凝結時間とブリーディング抑制特性を得つつ、優れた流動保持性に寄与する。
ポリアルキレンオキサイド鎖を有するエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、下記一般式(3)
Figure 2022119650000007
(式中、R、R10、R11は、それぞれ独立して、水素またはメチル基、R12は、水素、メチル基または炭素数2~20の脂肪族炭化水素基、BOは、炭素数2~4のアルキレンオキサイド基、cは、2~350の整数、mは、0または1、sは、0~2の整数を表す。)で表される化合物を挙げることができる。このうち、R12は、水素、メチル基または炭素数2~5の脂肪族炭化水素基が好ましく、水素またはメチル基が特に好ましい。また、cは、3~200の整数が好ましく、5~100の整数が特に好ましい。
また、必要に応じて、加水分解性基を有する共重合体は、加水分解性を有するエチレン性不飽和モノマーとポリアルキレンオキサイド鎖を有するエチレン性不飽和モノマー以外のエチレン性不飽和モノマー(以下、「他のエチレン性不飽和モノマー」ということがある。)由来の構造単位を有していてもよい。他のエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸を挙げることができる。加水分解性基を有する共重合体が、さらに不飽和カルボン酸由来の構造単位を有していることにより、分散性を後から発揮することができる。
不飽和カルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸等のジカルボン酸等を挙げることができる。
ポリアルキレンオキサイド鎖を有するエチレン性不飽和モノマー(b2)に対する加水分解性を有するエチレン性不飽和モノマー(b1)のモル比は、特に限定されないが、優れた流動保持性を確実に得ることができる点から、0.50以上7.5以下が好ましく、より長時間にわたって流動保持性がさらに向上する点から、0.75以上5.0以下が特に好ましい。
また、他のエチレン性不飽和モノマー由来の構造単位を有する場合、ポリアルキレンオキサイド鎖を有するエチレン性不飽和モノマー(b2)に対する他のエチレン性不飽和モノマーのモル比は、特に限定されないが、本発明の効果を阻害しない範囲で選択可能であり、例えば、2.00以下が好ましく、1.50以下が特に好ましい。
セメント添加剤の全質量中における、加水分解性基を有する共重合体の含有量(固形分)は、特に限定されないが、その下限値は、優れた流動保持性を確実に得る点から、4.0質量%が好ましく、6.0質量%がより好ましく、8.0質量%が特に好ましい。一方で、加水分解性基を有する共重合体の含有量の上限値は、過剰な減水性を防止する点から、25質量%が好ましく、17質量%がより好ましく、15質量%が特に好ましい。
<スルホ基含有(メタ)アクリル酸誘導体由来の構造単位を有する水溶性高分子(C)>
スルホ基含有(メタ)アクリル酸誘導体由来の構造単位を有する水溶性高分子(C)(以下、単に「水溶性高分子(C)」ということがある。)は、粘性調整成分である。水溶性高分子(C)が配合されることで、セメント添加剤としての相溶性に優れ、これを適用したコンクリートに所定の粘性が付与され、また、中流動コンクリート組成物であっても、優れた流動保持性と一体感を付与することに寄与できる。水溶性高分子(C)のスルホ基含有(メタ)アクリル酸誘導体由来の構造単位としては、下記一般式(6)
Figure 2022119650000008
(式中、R18は、水素またはメチル基、R19、R20、R21は、それぞれ独立して、水素、炭素数1~6の脂肪族炭化水素基またはメチル基で置換されていてもよいフェニル基、Mは、水素、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウムまたは有機基で置換されたアンモニウム、dは、1/2または1を表す。)で表される構成単位が挙げられる。
スルホ基含有(メタ)アクリル酸誘導体由来の構造単位を有する水溶性高分子としては、例えば、以下のモノマー(a)、(b)、(c)及び(d)を構成単位として含む重合体である水溶性高分子であることが好ましい。これにより、多様なコンクリート材料やコンクリート配合に対しても、所要の粘性や材料分離抵抗性をコンクリートに付与させることが可能となる。
モノマー(a)は、上記一般式(6)で表される構成単位に由来するモノマーである。モノマー(a)としては、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-メタクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミドブタンスルホン酸、3-アクリルアミド-3-メチルブタンスルホン酸、2-アクリルアミド-2、4、4-トリメチルペンタンスルホン酸等が好ましく、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸が特に好ましい。
モノマー(b)としては、下記一般式(4)で表される構成単位に由来するモノマーであることが好ましい。
Figure 2022119650000009
上記一般式(4)において、R13は水素またはメチル基、R14及びR15は、それぞれ独立に、水素、1~20個の炭素原子を含有する脂肪族炭化水素基、5~8個の炭素原子を含有する脂環式炭化水素基または6~14個の炭素原子を含有するアリール基を表す。
モノマー(b)としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N、N-ジメチルアクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N-シクロヘキシルアクリルアミド、N-ベンジルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-t-ブチルアクリルアミド等が挙げられる。
モノマー(c)としては、下記一般式(5)で表される構成単位に由来するモノマーであることが好ましい。
Figure 2022119650000010
上記一般式(5)において、R16は、水素またはメチル基、Yは、-COO(C2tO)-R22、または-(CH-O(CO)-R22を表し、R22は、
Figure 2022119650000011
または10~40個の炭素原子を含有する不飽和若しくは飽和または直鎖若しくは枝分れした脂肪族アルキル基を表し、R17は、H、C~Cアルキル、またはC~C12アルキル基とC~C14アリール基とを有するアリールアルキル基を表し、tは2~4、pは0~200、qは0~20、hは2~4、xは0~3を表す。
モノマー(c)としては、トリスチリルフェノールポリエチレングリコール(1100)-メタクリレート、ベヘニルポリエチレングリコール(1100)-メタクリレート、ステアリルポリエチレングリコール(1100)-メタクリレート、トリスチリルフェノール-ポリエチレングリコール(1100)-アクリレート、トリスチリルフェノール-ポリエチレングリコール(1100)-モノビニルエーテル、ベヘニルポリエチレングリコール(1100)-モノビニルエーテル、ステアリルポリエチレングリコール(1100)-モノビニルエーテル、トリスチリルフェノール-ポリエチレングリコール(1100)-ビニルオキシ-ブチルエーテル、ベヘニルポリエチレングリコール(1100)-ビニルオキシ-ブチルエーテル、トリスチリルフェノールポリエチレングリコール-ブロック-プロピレングリコールアリルエーテル、ベヘニルポリエチレングリコール-ブロック-プロピレングリコールアリルエーテル、ステアリルポリエチレングリコール-ブロック-プロピレングリコールアリルエーテル等が挙げられる。
モノマー(d)は、ポリエチレングリコール-ブロック-プロピレングリコール(500~5000)-ビニルオキシ-ブチルエーテル由来のモノマーであることが好ましく、アリルポリエチレングリコール(350~2000)、メチルポリエチレングリコール(350~2000)-モノビニルエーテル、ポリエチレングリコール(500~5000)-ビニルオキシ-ブチルエーテル、ポリエチレングリコール-ブロック-プロピレングリコール(500~5000)-ビニルオキシ-ブチルエーテル、メチルポリエチレングリコール-ブロック-プロピレングリコールアリルエーテル等が挙げられる。
水溶性高分子(C)は、モノマー(a)~(d)の合計含有量100mol%中に、構成単位として、モノマー(a):モノマー(b):モノマー(c):モノマー(d)=3~96mol%:3~96mol%:0~10mol%:0~30mol%であることが好ましい。
モノマー(a)の含有量が3mol%未満であると、水溶性高分子(C)の水への溶解性が低下してしまう傾向があり、モノマー(a)の含有量が96mol%超であると、多様なコンクリートに材料分離抵抗性(コンクリートの一体感、ブリーディング量の抑制)を付与しにくくなる傾向がある。また、モノマー(b)の含有量が3mol%未満であると、多様コンクリートに材料分離抵抗性を付与しにくくなる傾向があり、モノマー(b)の含有量が96mol%超であると、水溶性高分子(C)の水への溶解性が低下してしまう傾向がある。また、モノマー(c)の含有量が10mol%超であるか、モノマー(d)の含有量が30mol%超であると、多様なコンクリートに材料分離抵抗性を付与しにくくなる傾向がある。(メタ)アクリル系粘性調整成分を構成するモノマーの含有量は、モノマー(a):モノマー(b):モノマー(c):モノマー(d)=20~75mol%:10~65mol%:0~10mol%:0~15mol%であることが特に好ましい。
また、必要に応じて、水溶性高分子(C)に、少量の架橋剤を組み込むことによって、構造中に枝分かれした、または架橋した構造を付与することができる。架橋剤としては、例えば、トリアリルアミン、トリアリルメチルアンモニウムクロリド、テトラアリルアンモニウムクロリド、N、N'-メチレン-ビス-アクリルアミド、トリエチレングリコール-ビス-メタクリレート、トリエチレングリコール-ビス-アクリレート、ポリエチレングリコール(400)-ビス-メタクリレート及びポリエチレングリコール(400)-ビス-アクリレートが挙げられる。架橋剤は、水溶性高分子(C)の作用を妨げない程度の量で使用することができ、モノマー(a)、(b)、(c)及び(d)の合計に対して0.1mol%以下であることが好ましい。
水溶性高分子(C)は、水相中のゲル重合により製造することができ、低い反応温度において適切な開始剤系を用いて重合を行うことが好ましい。最初は低温で光化学的に重合が開始され、その後、重合反応の発熱により熱的に重合が開始される、2つの開始剤系の組み合わせ(アゾ開始剤及びレドックス系)が、99%以上の反応率の達成を可能にする。
ゲル重合は、好ましくは、-5~50℃で実施され、水溶液の濃度は、好ましくは、35~70質量%に調節される。ゲル重合は、市販されている、スルホ基含有(メタ)アクリル酸誘導体を水に溶解し、アルカリ金属水酸化物の添加により中和し、モノマーと緩衝剤、分子量調整剤及びその他の重合助剤を撹拌しながら混合することが好ましい。また、ゲル重合は、pH4~9の範囲で行い、ヘリウムまたは窒素等の保護ガスでフラッシュした後、所定の温度に加熱または冷却することが特に好ましい。
撹拌しないゲル重合を選択する場合、重合を、断熱的な反応条件下で、好ましくは2~20cmの、特に好ましくは8~10cmの層厚みで実施する。重合を、低温(-5~10℃)で重合開始剤の添加及び紫外線の照射により開始する。モノマーの反応が完了次第、表面積を増加させることにより乾燥を促進するために、得られた高分子を、剥離剤を用いて静かに砕くことが好ましい。
できるだけゆるやかな反応及び乾燥条件を設定することが、架橋の二次反応を回避することを可能にし、従って、非常に低いゲル含有率を有する水溶性高分子(C)を得ることができる。
水溶性高分子(C)の質量平均分子量は、50,000g/mol以上20,000,000g/mol以下が好ましい。水溶性高分子(C)の質量平均分子量が、50,000g/mol未満であると、適度な粘性をコンクリートに確実に付与することができなくなる傾向があり、質量平均分子量が20,000,000g/mol超であると、流動化成分への溶解性が低下する傾向があり、また、セメント添加剤の粘度が上昇して施工性が低下する傾向がある。
セメント添加剤の全質量中における、水溶性高分子(C)の含有量(固形分)は、特に限定されないが、その下限値は、十分な一体感と優れた流動保持性を確実に得る点から、0.05質量%が好ましく、0.10質量%が特に好ましい。一方で、水溶性高分子(C)の含有量の上限値は、コンクリートの過度な粘度上昇とセメント添加剤の相溶性の低下とを防止する点から、1.0質量%が好ましく、0.70質量%が特に好ましい。
<糖アルコール(D)>
糖アルコール(D)は、ブリーディング低減成分である。糖アルコールとしては、エリトリトール、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、ガラクチトール、イノシトール及びマルチトールからなる群から選択された少なくとも1種が好ましく、ソルビトールとマルチトールを併用したものが特に好ましい。ソルビトールとマルチトールを併用する場合、ソルビトール及びマルチトールの合計含有量100質量%中に、ソルビトール:マルチトール=40~80質量%:20~60質量%の割合であることが好ましく、ソルビトール:マルチトール=50~75質量%:25~50質量%の割合であることが特に好ましい。ソルビトールの割合が40質量%以上であることにより、ブリーディング低減効果を確実に得ることができ、また、ソルビトールの割合が80質量%以下であることにより、セメント添加剤の溶液安定性の低下を防止することができる。また、マルチトールの割合が20質量%以上であることにより、スランプ値およびスランプフロー値の経時保持性が低下することを確実に防止することができる。
セメント添加剤の全質量中における、糖アルコールの含有量(固形分)は、特に限定されないが、その下限値は、ブリーディング低減効果を確実に得る点から、0.5質量%が好ましく、1.0質量%がより好ましく、1.5質量%がさらに好ましく、2.0質量が特に好ましい、一方で、糖アルコールの含有量の上限値は、水溶性高分子(C)の分散性の低下を防止し、優れた流動保持性を確実に得つつ、ブリーディング低減効果を確実に得る点から、10質量%が好ましく、7.0質量部がより好ましく、5.0質量部が特に好ましい。
<その他の成分>
本発明で用いるセメント添加剤は、一液化が可能であり、温度5~40℃において均質な水溶液であることが好ましい。すなわち、本発明で用いるセメント添加剤は、減水成分、粘性調整成分、ブリーディング低減成分以外に、さらに溶媒として水を含有することが好ましい。セメント添加剤は、温度5~40℃において、3か月間の溶液安定性を維持することが好ましく、6ヶ月間の溶液安定性を維持することが特に好ましい。
本発明で用いるセメント添加剤は、上記した減水成分、保持成分、粘性調整成分、ブリーディング低減成分、水以外に、必要に応じて、さらに無機塩を含有していてもよい。
無機塩の含有量は、セメント添加剤100質量%に対して、0.01~5質量%であることが好ましい。無機塩は、安定化剤として使用され、減水成分、保持成分、粘性調整成分及びブリーディング低減成分の混合溶液の粘度を低減させる効果や溶液安定性を向上させる効果がある。無機塩としては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、アルミニウムイオンのハロゲン化物、硫酸化物、硝酸化物からなる単塩及び複塩等が挙げられる。
本発明で用いるセメント添加剤は、必要に応じて、さらに他の任意成分を含有していてもよい。他の任意成分としては、慣用の空気量調整成分、ポリサッカライド誘導体、乾燥収縮低減成分、促進成分、遅延成分、起泡成分、消泡成分、防錆成分、急結成分等が挙げられる。
コンクリート組成物のセメント添加剤以外の成分について
本発明のコンクリート組成物では、水硬性結合材(結合材)、細骨材、粗骨材、水及びセメント添加剤を混合して練り混ぜ、単位結合材量が280kg/m以上400kg/m以下、水と結合材との比である水結合材比が45質量%以上60質量%以下、スランプフロー値が45cm以上75cm以下のコンクリート組成物である。
本発明のコンクリート組成物を製造する際における、コンクリート組成物中のセメント添加剤の含有量(溶媒を含む)は、特に限定されないが、その下限値は、流動保持性とブリーディング低減効果を確実に得る点から、セメント(結合材)100質量部に対して、0.50質量部が好ましく、0.75質量部がより好ましく、1.0質量部が特に好ましい。一方で、セメント添加剤の含有量の上限値は、凝結の遅延を確実に防止する点から、セメント(結合材)100質量部に対して、3.0質量部が好ましく、2.5質量部がより好ましく、2.0質量部が特に好ましい。
本発明のコンクリート組成物では、水硬性結合材としては、セメントが好ましい。水硬性結合材には、必要に応じて、フライアッシュ、高炉スラグ、シリカフューム、石灰石微粉末等を添加することができる。
本発明のコンクリート組成物では、細骨材として、JIS A 5308に規定されるものが好ましく、例えば、砂、砕砂、スラグ細骨材、軽量細骨材、再生細骨材等が挙げられる。
本発明のコンクリート組成物では、細骨材の表乾密度は2.60g/cm以上3.20g/cm以下であることが好ましい。細骨材の表乾密度が2.60g/cm未満では細骨材自身の分離が小さく、発生するブリーディング量が少なくなるものの、骨材としての機械的特性が低下する傾向がある。一方で、細骨材の表乾密度が3.20g/cmを超えると細骨材自身の分離が大きいのみならず、細骨材の保水性が減少し、ブリーディング量を確実に低減できなくなる傾向があり、中・高流動覆工コンクリートに優れた耐久性を確実に付与できなくなる傾向がある。細骨材の表乾密度は、2.65g/cm以上3.00g/cm以下が特に好ましい。
本発明のコンクリート組成物では、粗骨材として、JIS A 5308に規定されるものが好ましく、例えば、砂利、砕石、スラグ粗骨材、軽量粗骨材、再生粗骨材等が挙げられる。
本発明のコンクリート組成物では、コンクリートの骨材に含まれる微粒分量が1.0質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。骨材に含まれる微粒分量が1.0質量%未満ではブリーディング量の増加傾向により材料分離抵抗性が低下する傾向がある。一方で、骨材に含まれる微粒分量が5.0%を超えると、ブリーディング量が少なくなりすぎて、コンクリートの粘性が過多になり、コンクリートの仕上げ性に影響を及ぼすおそれがある。骨材の微粒分量は、より好ましくは、1.2質量%以上4.5質量%以下である。
本発明のコンクリート組成物では、単位粗骨材体積は280リットル/m以上370リットル/m以下であることが好ましい。単位粗骨材体積が、280リットル/m未満であると、得られるコンクリート1m中の結合材量が増加することに起因する硬化コンクリートの収縮量が増大するおそれがある、一方で、370リットル/mを超えると、得られるコンクリートの流動性が低下する傾向がある。単位粗骨材体積は、290リットル/m以上360リットル/m以下であることが特に好ましい。
本発明のコンクリート組成物では、水は、JIS A 5308に規定されるものが好ましく、上水道水が特に好ましい。
本発明のコンクリート組成物では、水結合材比が45質量%以上60質量%以下である。水結合材比が45質量%未満であると、結合材の増加によってブリーディング量が少なくなる一方で、セメント添加剤の使用量が増加して凝結遅延を生じさせるおそれがあるため好ましくない。水結合材比が60質量%を超えると、配合される水の量が過剰となり、材料分離の起こるおそれがある。水結合材比は、45~59質量%であることが好ましい。
コンクリート組成物の製造方法について
本発明のコンクリート組成物の製造方法では、水硬性結合材、細骨材、粗骨材、水及びセメント添加剤を混合した後、練混ぜを行う。練混ぜ方法としては、例えば、水硬性結合材、細骨材、粗骨材を混練機に投入し空練りを行なった後、セメント添加剤を水に混合した練混ぜ水を混練機に投入する方法が挙げられる。コンクリート組成物を製造する際には、重力式ミキサ、パン型強制練りミキサ、二軸強制練りミキサ等の混練機を使用することが好ましい。
なお、本発明のコンクリート組成物の製造方法では、製造したコンクリート組成物の温度によって、セメント添加剤の組成を変更するのが好ましい。具体的には、コンクリート組成物の温度が所定の閾値以下(例えば、10℃以下)である場合に、セメント組成物に含まれる糖アルコール(D)の含有率を高くするのが好ましい。
まず、減水成分であるポリカルボン酸系共重合体(A)と、保持成分である加水分解性基を有する共重合体(B)と、粘性調整成分であるスルホ基含有(メタ)アクリル酸誘導体由来の構造単位を有する水溶性高分子(C)と、ブリーディング低減成分である糖アルコール(D)とを含有するセメント添加剤を予備調製する。そして、予備調製したセメント添加剤、水、結合材及び骨材を混合してコンクリート組成物を予備調製する。予備調製したコンクリート組成物の温度を測定し、当該温度が所定の閾値以下である場合に、予備調製したセメント添加剤と比較して糖アルコール(D)の含有率が高いセメント添加剤を新たに調製する。新たに調製したセメント添加剤、水、結合材及び骨材を混合して新たにコンクリート組成物を調製する。
コンクリートを均一に締め固めるためには、ある程度のブリーディング量が必要である。一方、ブリーディング量が多すぎると、空隙が生じ、強度が低下するおそれがある。従って、上記のように、コンクリート組成物の温度によって糖アルコール(D)の含有率を変更することで、ブリーディング量のバランスを保持することができる。
本発明のコンクリート組成物をトンネル覆工用コンクリート組成物として適用する場合、トンネルの中にスライドセントルを導入し、トンネルの内壁面とスライドセントルとの間にコンクリート組成物を打ち込む。その後、コンクリート組成物は半円形状に締め固められる。
トンネル覆工用コンクリート組成物は、夏季、冬季に亘る年間を通じて施工される場合が多い。打ち込まれる個々のコンクリート組成物のブリーディング量が、年間を通じて変動する場合、トンネルの覆工体として一体構築されたコンクリートの品質にばらつきが生じる。このような品質のばらつきによって、例えば、漏水や剥落が発生する。本発明のコンクリート組成物の製造方法によれば、トンネル覆工用コンクリート組成物として使用した場合、コンクリート組成物の温度が所定の閾値以下である際に、糖アルコール(D)の含有率が高いセメント添加物を新たに調製することで、ブリーディング量の変動を抑制できる。従って、トンネル覆工体として一体構築されたコンクリートの品質にばらつきが発生せず、その結果、漏水や剥落の発生を低減できる。
上記した予備調製は、トンネル覆工用コンクリート組成物に利用できる。その場合、打ち込まれるコンクリート組成物の温度を、年間を通じて継続して測定しておく。測定した温度が所定の閾値以下になったら、糖アルコール(D)の含有率が高いセメント添加剤を新たに調製し、当該セメント添加剤を他のコンクリート材料と混合する。一方、測定した温度が所定の閾値より高くなったら、糖アルコール(D)の含有率が低いセメント添加剤を調製し、当該セメント添加剤を他のコンクリート材料と混合する。
上記所定の閾値は、例えば、10℃である。コンクリート組成物の温度が10℃以下である場合には、例えば、ポリカルボン酸系共重合体(A)の含有量は5.0質量%以上30質量%以下、加水分解性基を有する共重合体(B)の含有量は4.0質量%以上25質量%以下、水溶性高分子(C)の含有量は0.05質量%以上1.0質量%以下、糖アルコール(D)の含有率を1.0質量%以上10質量%以下とする。また、コンクリート組成物の温度が10℃を超える場合には、ポリカルボン酸系共重合体(A)と加水分解性基を有する共重合体(B)と水溶性高分子(C)の含有量は同じままで、糖アルコール(D)の含有率を0.5質量%以上5質量%以下とする。
トンネル覆工コンクリートでは、一般的に覆工厚さに対比して、打込み高さが高いコンクリート構築物を一体施工する。通常のコンクリート構築物に比べてブリーディング量を適切に管理することで、コンクリート品質が格段に向上する。
以下、本発明のセメント添加剤を含有するコンクリート組成物について、実施例を挙げて詳細に説明する。尚、本発明は、以下に示す実施例に限定されるものではない。
<減水成分であるポリカルボン酸系共重合体(A)の合成>
マルチネック、機械式攪拌機、pHメーター、および計量供給装置(例えばシリンジポンプ)を装備したガラス製反応器を440gの水、440gの溶融ポリエチレングリコール(重合度26)モノビニルエーテル(溶液A)で満たした。該反応器内の温度を13℃に調整した。
150gの水、133.2gのメタクリル酸、31.2kgのKOH(40質量%)からなる予め調製された第二の溶液(溶液B)の一部(78.6g)を、反応容器に10分にわたって、緩やかに攪拌しながら滴下した。反応器内で得られる溶液について、KOH(40質量%)水溶液にてpHを5.8に調整した。残留溶液Bに、3.9gの3-メルカプトプロピオン酸(3-MPA)を添加した。さらに、1.3gの3-MPAを、重合の開始直前に反応器にゆっくりと添加した。3gのナトリウムヒドロキシメタンスルフィネート二水和物を47gの水中に含有する第三の溶液(溶液C)が調製された。
数ミリリットルの水中に溶解した32mgのFeSO4・7H2Oと、3gのH22(30質量%)溶液とを反応容器に添加することによって、重合を開始した。同時に、残留溶液BおよびCの重合容器への計量供給を開始した。以下の表1に記載される可変の添加速度を使用して計量供給した。溶液Cは60g/hその後、より速い計量供給速度の100g/時間でさらに18分間にわたって計量供給した。溶液Bの30分間の計量供給時間の間、KOH40質量%水溶液の添加によって、反応器内のpHを5.8で維持した。溶液Cの添加後のポリマー溶液のpHを、KOH溶液(40質量%)を用いてpH7に調整し、質量平均分子量が23,000の共重合体1を得た。下記表2に記載のモノマーを使用して、同様の方法でポリカルボン酸系共重合体(A)を得、得られたポリカルボン酸系共重合体(A)を共重合体2とした。
Figure 2022119650000012
得られたポリカルボン酸系共重合体の質量平均分子量の測定結果を併せて下記表2に示す。なお、質量平均分子量測定は、東ソー社製ECOSEC HLC-8320GPCを用いて実施し、カラムはShodex、OHpak SB-804HQを2本使用し、較正曲線はプルラン、溶離液は0.5M酢酸及び硝酸を使用した。
Figure 2022119650000013
<保持成分である加水分解性基を有する共重合体(B)の合成>
マルチネック、機械式攪拌機、pHメーター、および計量供給装置(例えばシリンジポンプ)を装備したガラス製反応器を480gの水、480gの溶融ポリエチレングリコール(重合度12)モノアリルエーテル(溶液A)で満たした。該反応器内の温度を13℃に調整した。
120gの水、89.4gのヒドロキシプロピルアクリレート、23.2gの無水マレイン酸、12.4kgのKOH(40質量%)からなる予め調製された第二の溶液(溶液B)の一部(58.2g)を、反応容器に10分にわたって、緩やかに攪拌しながら滴下した。反応器内で得られる溶液について、KOH(40質量%)水溶液にてpHを5.8に調整した。残留溶液Bに、14.2gの3-メルカプトプロピオン酸(3-MPA)を添加した。さらに、4.7gの3-MPAを、重合の開始直前に反応器にゆっくりと添加した。10gのナトリウムヒドロキシメタンスルフィネート二水和物を157gの水中に含有する第三の溶液(溶液C)が調製された。
数ミリリットルの水中に溶解した116mgのFeSO4・7H2Oと、11gのH22(30%)溶液とを反応容器に添加することによって、重合を開始した。同時に、残留溶液BおよびCの重合容器への計量供給を開始した。以下の表3に記載される可変の添加速度を使用して計量供給した。溶液Cは167g/hその後、より速い計量供給速度の250g/hでさらに20分間にわたって計量供給した。溶液Bの30分間の計量供給時間の間、KOH40質量%水溶液の添加によって、反応器内のpHを5.8で維持した。溶液Cの添加後のポリマー溶液のpHを、KOH溶液(40質量%)を用いてpH7に調整し、質量平均分子量が21,000の共重合体3を得た。下記表4に記載のモノマーを使用して、同様の方法で加水分解性基を有する共重合体(B)を得、得られた加水分解性基を有する共重合体(B)を共重合体4とした。
Figure 2022119650000014
得られた加水分解性基を有する共重合体(B)の質量平均分子量の測定結果を併せて下記表4に示す。なお、質量平均分子量測定は、東ソー社製ECOSEC HLC-8320GPCを用いて実施し、カラムはShodex、OHpak SB-804HQを2本使用し、較正曲線はプルラン、溶離液は0.5M酢酸及び硝酸を使用した。
加水分解性基を有する共重合体(B)の構成モノマーは下記表4の通りである。
Figure 2022119650000015
<粘性調整成分であるスルホ基含有(メタ)アクリル酸誘導体由来の構造単位を有する水溶性高分子(C)の合成>
撹拌機及び温度計を備えた1リットルの三口フラスコ中に、水650gを加え、撹拌しながら、水酸化ナトリウム87gを加えて溶解し、56.6mol%の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(モノマー(a1))450gを少しずつ添加して、透明な水溶液を得た。得られた透明な水溶液に、クエン酸水和物0.50gを添加した後、冷却した状態で撹拌しながら、5質量%水酸化ナトリウム水溶液を加えて、pH4.6に調節した42.8mol%のN、N-ジメチルアクリルアミド(モノマー(b1))164g及び0.6mol%のトリスチリルフェノール-ポリエチレングリコール(1100)-メタクリレート(モノマー(c1))8.6gを加え、さらに、ギ酸300ppmを分子量調整剤として添加して混合溶液を得た。得られた混合溶液を、20質量%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH=6.0に調節し、30分間窒素でフラッシュした後、約5℃に冷却した、15cm×10cm×20cmの寸法を有する塑性材料容器中に移して、2、2’-アゾ-ビス-(2-アミジノプロパン)-二塩酸塩150mg、1質量%ロンガリット溶液1.0g及び0.1質量%t-ブチルヒドロペルオキシド溶液10gを連続して添加した。この後、紫外線(Philips管2本、Cleo Performance 40W)を照射することにより、溶液中のモノマーの重合を開始した。照射を約2~3時間した後、硬いゲルが得られた。得られたゲルを塑性材料容器から取り出し、はさみを用いて約5cm×5cm×5cmの寸法の立方体のゲルに裁断した。得られた立方体のゲルに、剥離剤のポリジメチルシロキサンエマルジョンをはけで塗り、ミンサーで粉砕してゲル細粒を得た。得られたゲル細粒を敷き並べ、一定した質量となるまで、温度90~120℃で真空下で空気循環乾燥器中において乾燥させて、約650gの白色の、硬い細粒が得られた。得られた細粒を遠心ミルにより粉末にして、水溶性高分子(C)の粉末を得た。得られた水溶性高分子(C)の粉末の平均細粒は、約40μmであり、100μmを超える直径を有する粒子の割合は、1質量%未満であった。得られた水溶性高分子(C)を高分子1とした。下記表5に記載のモノマーを使用して、同様の方法で水溶性高分子(C)を得、得られた水溶性高分子(C)を高分子2とした。
得られた水溶性高分子の質量平均分子量の測定結果を併せて下記表5に示す。なお、質量平均分子量測定は、東ソー社製ECOSEC HLC-8320GPCを用いて実施し、カラムはShodex、OHpak SB-806HQを2本使用し、較正曲線はプルラン、溶離液は0.5M酢酸及び硝酸を使用した。
Figure 2022119650000016
<ブリーディング低減成分である糖アルコール(D)>
撹拌機及び温度計を備えた1リットルの三口フラスコ中に、水309.6gを加え、撹拌しながら、物産フードサイエンス社製のソルビトールF(以下、ソルビトールという)有姿で357.1g(固形で250g)及び同社製マルビット(以下「マルチトール」という)有姿で333.3g(固形で250g)を加えて、ソルビトール/マルチトール=50/50(固形換算の質量比)の糖アルコール(a)を調製した。同様の方法で、下記表6に記載の質量比で糖アルコール(b)を得た。
Figure 2022119650000017
<セメント添加剤の調製>
撹拌機を備えた1リットルのビーカー中に、顆粒無水硫酸ナトリウム(試薬特級、和光純薬製)10g、水道水489gを加え、50rpmで2分撹拌した後、高分子1を3g添加し、200rpmで30分間撹拌した。次いで、同ビーカー中に、共重合体1の48質量%水溶液を115g、共重合体2の48質量%水溶液を115g、共重合体3の48質量%水溶液を125g、共重合体4の48質量%水溶液を83g、糖アルコール(a)の50質量%水溶液を60g添加し、200rpmで10分間撹拌し、セメント添加剤1を1000g調製した。セメント添加剤1の成分を下記表7に示す。なお、下記表7に示す配合量の残部は、溶媒である水である。
セメント添加剤2~10についても、セメント添加剤1と同様にして調製した。セメント添加剤2~10の成分を下記表7に示す。
Figure 2022119650000018
コンクリート試験は以下の手順に従って実施した。なお、試験用コンクリートの調製は、下記の材料を用いて、下記表8に示す配合条件にて行った。なお、表8中のW/Cは水セメント比、s/aは全骨材に対する細骨材の容積比率を意味する。
(練混ぜ方法)
セメント(C)、細骨材(S)及び粗骨材(G)を強制二軸ミキサに投入し、10秒間練り混ぜ、次に、予めセメント添加剤及び空気量調整剤を上水道水(W)に混合した練混ぜ水を強制二軸ミキサに投入し、90秒間練り混ぜて、コンクリート組成物を製造した。なお、セメント添加剤及び空気量調整成分の添加量は、練上り後のコンクリート組成物の品質規格として、スランプフロー55±5cm及び空気量が4.5±1.5容積%の範囲となるように添加した。セメント添加剤の添加量は、セメント100質量%に対する質量%とし、表7に示す値とした。
試験項目は下記の通りである。また、下記試験はいずれも環境温度20℃にて行った。
試験項目
(1)スランプフロー試験
JIS A 1150に準じて、練混ぜ直後、30分後および60分後のスランプを測定した。練混ぜ直後と比較した60分後のスランプフローの低下量により、下記基準に従って評価した。この評価結果を「流動保持性」とした。
◎:特に優れる。低下量が100mm以下
○:優れる。低下量が100mm超え、120mm以下。
×:不良。低下量が120mm超。
(2)凝結時間
JIS A 1147に準じて凝結時間を測定した。なお始発時間と終結時間のとの差により下記基準に従って評価した。
○:優れる。始発時間と終結時間との差が120分以下
×:不良。始発時間と終結時間との差が120分超
(3)ブリーディング試験
JIS A 1123に準じてブリーディング量を測定した。なお、ブリーディング量により下記基準に従って評価した。
○:ブリーディング量が0.2cm/cm未満
×:ブリーディング量が0.2cm/cm以上
(4)圧縮強度
JIS A 1108に準じて材齢18時間後の圧縮強度を測定した。なお、養生条件は20℃封緘養生とし、圧縮強度により下記基準に従って評価した。
○:圧縮強度が2.5N/mm2以上
×:圧縮強度が2.5N/mm2未満
(5)コンクリートの一体感
目視によりコンクリートの一体感を評価した。なお、下記の基準に従って評価した。
○:骨材とペーストが分離していない(一体感あり)
×:骨材とペーストが分離気味である(一体感なし)
コンクリート試験に用いた材料を下記に、その配合を下記表8示す。
水(W):上水道水
セメント(C):普通ポルトランドセメント(太平洋セメント株式会社製、密度3.16g/cm3)
細骨材(S):大井川水系陸砂(密度2.58g/cm3、粗粒率2.65)
粗骨材(G):青梅産硬質砂岩砕石2005(密度2.65g/cm3、実績率62.5%)
空気量調整成分(AE):変性ロジン酸化合物系陰イオン界面活性剤(ポゾリスソリューションズ株式会社製、品名 マスターエア202)
Figure 2022119650000019
試験結果を下記表9~10に示す。
Figure 2022119650000020
Figure 2022119650000021
上記から、ポリカルボン酸系共重合体(A)と、加水分解性基を有する共重合体(B)と、スルホ基含有(メタ)アクリル酸誘導体由来の構造単位を有する水溶性高分子(C)と、糖アルコール(D)とを含有するセメント添加剤(セメント添加剤1~6)を配合し、
単位結合材量が300kg/m、水結合材比が45質量%以上60質量%以下、スランプフロー値が45cm以上75cm以下である実施例のコンクリート組成物では、優れた流動保持性と、ブリーディング量の低減効果とコンクリートの一体感と、を有しつつ、初期の硬化段階において凝結が遅延せず、また、優れた強度を有するコンクリートを得ることができた。
一方で、糖アルコールが配合されていないセメント添加剤7を用いた比較例1、水溶性高分子(C)が配合されていないセメント添加剤8を用いた比較例2、加水分解性基を有する共重合体(B)が配合されていないセメント添加剤9を用いた比較例3及び加水分解性基を有する共重合体(B)が配合されておらずグルコン酸ナトリウムを配合したセメント添加剤10を用いた比較例4では、流動保持性、ブリーディング量の低減効果、コンクリートの一体感、初期の硬化段階における凝結のうち、いずれかの効果を得ることができなかった。

Claims (10)

  1. 減水成分であるポリカルボン酸系共重合体(A)と、保持成分である加水分解性基を有する共重合体(B)と、粘性調整成分であるスルホ基含有(メタ)アクリル酸誘導体由来の構造単位を有する水溶性高分子(C)と、ブリーディング低減成分である糖アルコール(D)とを含有するセメント添加剤を含有し、
    単位結合材量が280kg/m以上400kg/m以下、水結合材比が45質量%以上60質量%以下、スランプフロー値が45cm以上75cm以下であるコンクリート組成物。
  2. トンネル覆工用コンクリート組成物である請求項1に記載のコンクリート組成物。
  3. 前記セメント添加剤の全質量中における、前記ポリカルボン酸系共重合体(A)の含有量が5.0質量%以上30質量%以下、前記加水分解性基を有する共重合体(B)の含有量が4.0質量%以上25質量%以下、前記水溶性高分子(C)の含有量が0.05質量%以上1.0質量%以下、前記糖アルコール(D)の含有量が0.5質量%以上10質量%以下であり、前記コンクリート組成物中における前記セメント添加剤の含有量が、セメント100質量部に対して、0.50質量部以上3.0質量部以下である請求項1または2に記載のコンクリート組成物。
  4. 前記ポリカルボン酸系共重合体(A)が、下記一般式(1)
    Figure 2022119650000022
    (式(1)中、R1、R、Rは、それぞれ独立して、水素またはメチル基、Rは、水素または炭素数1~30の炭化水素を表し、aは、0~2の整数、bは0または1を表す。AOは、同一又は異なって、炭素数2~3のオキシアルキレン基を表し、nはAOで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1~50の整数である。)で表される不飽和ポリアルキレングリコール系単量体由来の構造単位(I)を含む共重合体である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のコンクリート組成物。
  5. 前記加水分解性基を有する共重合体(B)が、加水分解性を有するエチレン性不飽和モノマー(b1)とポリアルキレンオキサイド鎖を有するエチレン性不飽和モノマー(b2)とを含む少なくとも2種からなるモノマーの共重合体であり、前記ポリアルキレンオキサイド鎖を有するエチレン性不飽和モノマー(b2)に対する前記加水分解性を有するエチレン性不飽和モノマー(b1)のモル比が、0.50以上7.5以下である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のコンクリート組成物。
  6. 前記加水分解性を有するエチレン性不飽和モノマー(b1)が、下記一般式(2)
    Figure 2022119650000023
    (式中、R、R、Rは、それぞれ独立して、水素またはメチル基、Rは、炭素数1~20のアルキレン基または炭素数1~20のオキシアルキレン基、rは、0~2の整数を表す。)で表される化合物である請求項1乃至5のいずれか1項に記載のコンクリート組成物。
  7. 前記ポリアルキレンオキサイド鎖を有するエチレン性不飽和モノマー(b2)が、下記一般式(3)
    Figure 2022119650000024
    (式中、R、R10、R11は、それぞれ独立して、水素またはメチル基、R12は、水素、メチル基または炭素数2~20の脂肪族炭化水素基、BOは、炭素数2~4のアルキレンオキサイド基、cは、2~350の整数、mは、0または1、sは、0~2の整数を表す。)で表される化合物である請求項1乃至6のいずれか1項に記載のコンクリート組成物。
  8. 前記水溶性高分子(C)が、前記スルホ基含有(メタ)アクリル酸誘導体由来の構造単位を有する、質量平均分子量が50,000g/mol以上20,000,000g/mol以下の重合体であり、前記スルホ基含有(メタ)アクリル酸誘導体由来の構造単位が、下記一般式(6)
    Figure 2022119650000025
    (式中、R18は、水素またはメチル基、R19、R20、R21は、それぞれ独立して、水素、炭素数1~6の脂肪族炭化水素基またはメチル基で置換されていてもよいフェニル基、Mは、水素、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウムまたは有機基で置換されたアンモニウム、dは、1/2または1を表す。)で表される構成単位である請求項1乃至7のいずれか1項に記載のコンクリート組成物。
  9. 前記糖アルコール(D)が、エリトリトール、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、ガラクチトール、イノシトール及びマルチトールからなる群から選択された少なくとも1種である請求項1乃至8のいずれか1項に記載のコンクリート組成物。
  10. 結合材量が280kg/m以上400kg/m以下、水結合材比が45質量%以上60質量%以下、スランプフロー値が45cm以上75cm以下であるコンクリート組成物の製造方法であって、
    減水成分であるポリカルボン酸系共重合体(A)と、保持成分である加水分解性基を有する共重合体(B)と、粘性調整成分であるスルホ基含有(メタ)アクリル酸誘導体由来の構造単位を有する水溶性高分子(C)と、ブリーディング低減成分である糖アルコール(D)とを含有するセメント添加剤を予備調製して予備調製したセメント添加剤を得る工程と、
    前記予備調製したセメント添加剤、水、結合材及び骨材を混合してコンクリート組成物を予備調製して予備調製したコンクリート組成物を得る工程と、
    前記予備調製したコンクリート組成物の温度を測定する工程と、
    前記予備調製したコンクリート組成物の温度が所定の閾値以下である場合に、前記予備調製したセメント添加剤と比較して前記糖アルコール(D)の含有率が高いセメント添加剤を新たに調製して新たに調製したセメント添加剤を得る工程と、
    前記新たに調製したセメント添加剤、前記水、前記結合材及び前記骨材を混合して新たにコンクリート組成物を調製する工程と、を含むコンクリート組成物の製造方法。
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