JP2014094643A - 車両用灯具の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両用灯具のオートレベリング制御の精度を高める技術を提供する。
【解決手段】ある態様の車両用灯具の制御装置において、制御部120は、傾斜センサ116が検出する合計角度の車両停止中の変化に対し光軸調節する。また、車両走行中の合計角度の変化に対し光軸調節を回避する。制御部120は、路面角度及び車両姿勢角度の基準値を揮発的に保持しており、電源スイッチのオフ時、2つの基準値を記憶部108に不揮発的に記憶させる。また、スイッチのオン後、所定時間内に車両300が発進しないとき、合計角度と記憶部108の路面角度基準値から車両姿勢角度を求めて光軸調節し、車両姿勢角度を更新する。また、所定時間内に車両300が発進したとき、合計角度と記憶部108の車両姿勢角度基準値から路面角度を求め、この路面角度と合計角度から得られる車両姿勢角度、又は記憶部108の車両姿勢角度基準値を用いて光軸調節する。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両用灯具の制御装置に関する。特に、自動車などに用いられる車両用灯具の制御装置に関する。
従来、車両の傾斜角度に応じて車両用前照灯の光軸位置を自動的に調節して、前照灯の照射方向を変化させるオートレベリング制御が知られている。一般にオートレベリング制御では、車高センサの出力値から導出される車両のピッチ角度に基づいて前照灯の光軸位置が調節される。これに対し、特許文献1及び2には、加速度センサ等の傾斜センサを用いてオートレベリング制御を実施する車両用灯具の制御装置が開示されている。
特開2012−030782号公報 特開2012−030783号公報
加速度センサ、ジャイロセンサ(角速度センサ、角加速度センサ)や地磁気センサ等の傾斜センサを用いた場合、車高センサを用いた場合に比べてオートレベリングシステムをより安価にすることができ、また軽量化を図ることもできる。その結果、車両の低コスト化及び軽量化を図ることができる。一方で、加速度センサ等の傾斜センサを用いた場合であっても、高精度にオートレベリング制御を実施したいという要求はある。
本発明者らは、オートレベリング制御の高精度化を実現すべく鋭意検討した結果、従来の車両用灯具の制御装置には、オートレベリング制御のさらなる高精度化を図る余地があることを認識するに至った。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両用灯具のオートレベリング制御の精度を高める技術を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様は車両用灯具の制御装置である。当該制御装置は、水平面に対する路面の傾斜角度である路面角度、及び路面に対する車両の傾斜角度である車両姿勢角度を含む、水平面に対する車両の傾斜角度である合計角度を導出可能な傾斜センサの出力値を受信するための受信部と、車両用灯具の光軸を制御するための制御部と、路面角度基準値及び車両姿勢角度基準値を不揮発的に記憶するための記憶部と、を備える。前記制御部は、路面角度基準値及び車両姿勢角度基準値を揮発的に保持し、車両停止中の前記合計角度の変化に対して、合計角度と保持している路面角度基準値から得られる車両姿勢角度を用いて光軸調節信号を生成し、得られる車両姿勢角度を新たな基準値として保持し、車両走行中の前記合計角度の変化に対して、前記光軸調節信号の出力を回避するか光軸維持信号を出力し、合計角度と保持している車両姿勢角度基準値から得られる路面角度を新たな基準値として保持する。また、前記制御部は、制御装置の電源のスイッチがオフ状態に移行した場合、保持している路面角度基準値及び車両姿勢角度基準値を前記記憶部に書き込み、前記スイッチがオン状態に移行した場合、移行から所定時間内に車両の発進が検知されないときは、合計角度と前記記憶部から読み出した路面角度基準値から得られる車両姿勢角度を用いて光軸調節信号を生成し、得られた車両姿勢角度を基準値として保持し、移行から所定時間内に車両の発進が検知されたときは、合計角度と前記記憶部から読み出した車両姿勢角度基準値から得られる路面角度を基準値として保持し、この路面角度基準値と合計角度から得られる車両姿勢角度、又は前記読み出した車両姿勢角度基準値を用いて光軸調節信号を生成する。この態様の制御装置によれば、車両用灯具のオートレベリング制御の精度を高めることができる。
上記態様において、前記所定時間内に車両の発進が検知された場合、前記制御部は、当該発進からその後の停止までの間、発進時の光軸位置を維持するか、光軸位置を所定の基準位置に調節してもよい。また、上記いずれかの態様において、前記スイッチがオフの状態で前記電源からの電力の供給を維持するための電力供給維持部を備えてもよい。また、上記態様において、前記制御部は、保持している路面角度基準値及び車両姿勢角度基準値の前記記憶部への書き込みが終了すると、電源からの電力供給の停止を指示する停止指示信号を生成し、前記電力供給維持部は、前記停止指示信号を受信すると前記電源からの電力の供給を停止させてもよい。
なお、上述した各要素を適宜組み合わせたものも、本件特許出願によって特許による保護を求める発明の範囲に含まれうる。
本発明によれば、車両用灯具のオートレベリング制御の精度を高める技術を提供することができる。
実施形態1に係る制御ECUの制御対象である車両用灯具を含む前照灯ユニットの概略鉛直断面図である。 前照灯ユニット及び制御ECUの動作連携を説明する機能ブロック図である。 車両に生じる加速度ベクトルと、傾斜センサで検出可能な車両の傾斜角度を説明するための模式図である。 図4(A)は、比較例に係る制御ECUにおける供給電力の時間変化を示すタイムチャートである。図4(B)は、実施形態1に係る制御ECUにおける供給電力の時間変化を示すタイムチャートである。 図5(A)は、イグニッションオン後の所定時間内に車両の発進が検知されない場合のオートレベリング制御を説明するための図である。図5(B)は、イグニッションオン後の所定時間内に車両の発進が検知された場合のオートレベリング制御を説明するための図である。 実施形態1に係る制御ECUが実行するオートレベリング制御のフローチャートである。 実施形態1に係る制御ECUが実行するオートレベリング制御のフローチャートである。
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一又は同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る制御ECUの制御対象である車両用灯具を含む前照灯ユニットの概略鉛直断面図である。前照灯ユニット210は、左右対称に形成された一対の前照灯ユニットが車両の車幅方向の左右に1つずつ配置された構造である。右側の前照灯ユニット210R及び左側の前照灯ユニット210Lは実質的に同一の構成であるため、以下では、右側の前照灯ユニット210Rの構造を説明する。前照灯ユニット210Rは、車両前方側に開口部を有するランプボディ212と、この開口部を覆う透光カバー214とを有する。ランプボディ212は、車両後方側に着脱カバー212aを有する。ランプボディ212と透光カバー214とによって灯室216が形成されている。灯室216には車両用灯具としての灯具ユニット10が収納されている。
灯具ユニット10には、灯具ユニット10の上下左右方向の揺動中心となるピボット機構218aを有するランプブラケット218が形成されている。ランプブラケット218は、ランプボディ212に支持されたエイミング調整ネジ220と螺合している。灯具ユニット10の下面には、スイブルアクチュエータ222の回転軸222aが固定されている。スイブルアクチュエータ222は、ユニットブラケット224に固定されている。ユニットブラケット224には、レベリングアクチュエータ226が接続されている。レベリングアクチュエータ226は、例えばロッド226aを矢印M,N方向に伸縮させるモータなどで構成されている。灯具ユニット10は、ロッド226aが矢印M,N方向に伸縮することで後傾姿勢、前傾姿勢となり、これにより光軸Oのピッチ角度を下方、上方に向けるレベリング調整ができる。
灯具ユニット10は、回転シェード12を含むシェード機構18、光源14、リフレクタ16を内壁に支持する灯具ハウジング17、及び投影レンズ20を備える。光源14は、白熱球やハロゲンランプ、放電球、LEDなどが使用可能である。リフレクタ16は、少なくとも一部が楕円球面状であり、光源14から放射された光を反射する。光源14からの光及びリフレクタ16で反射した光は、一部が回転シェード12を経て投影レンズ20へと導かれる。回転シェード12は、回転軸12aを中心に回転可能な円筒部材であり、切欠部と複数のシェードプレート(図示せず)とを備える。切欠部又はシェードプレートのいずれかが光軸O上に移動されて、所定の配光パターンが形成される。投影レンズ20は、平凸非球面レンズからなり、後方焦点面上に形成される光源像を反転像として灯具前方の仮想鉛直スクリーン上に投影する。
図2は、前照灯ユニット及び制御ECUの動作連携を説明する機能ブロック図である。なお、図2では前照灯ユニット210R及び前照灯ユニット210Lをまとめて前照灯ユニット210としている。また、制御ECU100は、ハードウェア構成としてはコンピュータのCPUやメモリをはじめとする素子や回路で実現され、ソフトウェア構成としてはコンピュータプログラム等によって実現されるが、図2では適宜、それらの連携によって実現される機能ブロックとして描いている。これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
車両用灯具の制御装置としての制御ECU100は、入力インターフェース102、CPU104、出力インターフェース106、記憶部108、スイッチ回路110、制御用電源回路112及びIG監視部114を備える。制御ECU100は、例えば車両300のダッシュボード付近に設置される。なお、制御ECU100の設置位置は特に限定されず、例えば前照灯ユニット210内に設けられてもよい。
入力インターフェース102には、ライトスイッチ304や車速センサ312等が接続されている。ライトスイッチ304や車速センサ312から出力される信号は、入力インターフェース102を介して制御ECU100に入力される。入力された信号は、入力インターフェース102からCPU104に送信される。
CPU104は、傾斜センサ116、受信部118、制御部120、送信部122及びRAM124を備える。傾斜センサ116は、加速度センサで構成されている。本実施形態では、傾斜センサ116はCPU104内に設けられているが、CPU104の外、さらには制御ECU100の外に設けられてもよい。
受信部118は、入力インターフェース102を介して制御ECU100に入力された各種信号を受信する。また、受信部118は、IG監視部114、及び傾斜センサ116から出力される信号を受信する。受信部118が受信した信号は、制御部120に送信される。制御部120は、傾斜センサ116の出力値を用いて灯具ユニット10のの光軸Oを制御する。制御部120は、調節指示部1202、基準値書き込み部1204、発進検知部1206、電力供給維持部1208及び停止指示信号生成部1210を有する。制御部120は、傾斜センサ116の出力値と必要に応じて記憶部108又はRAM124に保持している情報とを用いて車両300のピッチ角度情報を生成する。そして、得られたピッチ角度情報を用いて、光軸Oの調節を指示する光軸調節信号を生成する。また、制御部120は、灯具ユニット10の点消灯を指示する制御信号や、スイッチ回路110の切り替えを指示する制御信号等を生成する。制御部120が備える各部の動作については後に詳細に説明する。
RAM124は、制御部120が実施する制御に用いられる情報を一時的に記憶する揮発性メモリである。RAM124には、制御部120から送られてきた情報や、記憶部108から呼び出された情報が一時的に記憶される。制御部120は、RAM124を用いて、後述する路面角度基準値及び車両姿勢角度基準値を揮発的に保持する。記憶部108は、路面角度基準値及び車両姿勢角度基準値を含む各種情報を、不揮発的に記憶する不揮発性メモリである。
送信部122は、制御部120から各種信号を受信すると、この信号を出力インターフェース106に送信する。また、送信部122は、スイッチ回路110の切り替えを指示する制御信号をスイッチ回路110に送信する。出力インターフェース106には、前照灯ユニット210の電源回路230及びレベリングアクチュエータ226が接続されている。
制御部120により生成された光軸調節信号や点消灯指示信号は、出力インターフェース106を介して前照灯ユニット210の電源回路230やレベリングアクチュエータ226に出力される。レベリングアクチュエータ226は、受信した光軸調節信号を受けて駆動し、これにより灯具ユニット10の光軸Oがピッチ角度方向について調整される。また、電源回路230は、受信した点消灯指示信号に基づいて光源14の点消灯を行う。
車両には、バッテリ328と、イグニッションスイッチ326とが搭載されている。イグニッションスイッチ326のオン、オフにより、バッテリ328から制御ECU100への電力の供給、非供給が切り替えられる。すなわち、イグニッションスイッチ326は制御ECU100の電源のスイッチとして機能する。スイッチ回路110は、バッテリ328と制御用電源回路112とを接続している。スイッチ回路110は、スイッチ1102と、OR回路1104とを有する。スイッチ1102は、OR回路1104からHighレベルに設定されたスイッチ切り替え指示信号(以下では適宜、この信号をHighレベル信号と称する)を受信するとオンになり、Lowレベルに設定されたスイッチ切り替え指示信号(以下では適宜、この信号をLowレベル信号と称する)を受信するとオフになる。OR回路1104には、IG監視部114又はCPU104から信号が入力される。
IG監視部114は、イグニッションスイッチ326のオン、オフの状態を監視し、イグニッションスイッチ326がオンの場合はHighレベル信号を受信部118及びOR回路1104に送信する。また、IG監視部114は、イグニッションスイッチ326がオフの場合はLowレベル信号を受信部118及びOR回路1104に送信する。IG監視部114は、例えば、イグニッションスイッチ326からオン状態あるいはオフ状態を示す信号を受信することで、イグニッションスイッチ326のオン、オフを監視することができる。あるいは、IG監視部114は、イグニッション電圧を監視することで、イグニッションスイッチ326のオン、オフを監視することもできる。この場合、IG監視部114は、例えばイグニッション電圧が予め定められたしきい値を下回ったとき、あるいは0Vとなったとき、イグニッションスイッチ326がオフになったと判定する。
イグニッションスイッチ326がオンの状態で、IG監視部114からOR回路1104を介してスイッチ1102にHighレベル信号が送信されると、スイッチ1102がオンになりバッテリ328と制御用電源回路112とが接続される。これにより、バッテリ328から制御用電源回路112に電力が供給される。若しくは、後述する制御により制御部120からOR回路1104を介してスイッチ1102にHighレベル信号が送信されると、同様にスイッチ1102がオンになり、バッテリ328から制御用電源回路112に電力が供給される。制御用電源回路112は、バッテリ328から供給された電力をCPU104に供給する。IG監視部114及び制御部120からスイッチ1102にLowレベル信号が送信されると、スイッチ1102がオフになりバッテリ328と制御用電源回路112との接続が解除される。これにより、バッテリ328からCPU104への電力の供給が停止する。
制御ECU100は、運転者によるライトスイッチ304の操作内容に応じて、前照灯ユニット210によって形成すべき配光パターンを決定する。また、制御ECU100は、ライトスイッチ304の操作によらず、各種センサで検出された車両の状態に最適な配光パターンを形成するように自動制御してもよい。この配光パターンの自動形成制御は、例えばライトスイッチ304によって配光パターンの自動形成制御が指示された場合に実行される。
続いて、上述の構成を備える制御ECU100によるオートレベリング制御について詳細に説明する。図3は、車両に生じる加速度ベクトルと、傾斜センサで検出可能な車両の傾斜角度を説明するための模式図である。
例えば、車両後部の荷室に荷物が載せられたり後部座席に乗員がいる場合、車両姿勢は後傾姿勢となり、荷室から荷物が下ろされたり後部座席の乗員が下車した場合、車両姿勢は後傾姿勢の状態から前傾する。車両が後傾姿勢あるいは前傾姿勢になると、灯具ユニット10の照射方向も上下に変動し、前方照射距離が長くなったり短くなったりする。そこで、制御ECU100は、傾斜センサ116の出力値から車両のピッチ方向の傾斜角度又はその変化を導出し、光軸Oのピッチ角度(以下では適宜、この角度を光軸角度θoという)を車両姿勢に応じた角度とする。車両姿勢に基づき灯具ユニット10のレベリング調整をリアルタイムで行うオートレベリング制御を実施することで、車両姿勢が変化しても前方照射の到達距離を最適に調節することができる。
傾斜センサ116は、例えば互いに直交するX軸、Y軸、Z軸を有する3軸加速度センサである。傾斜センサ116は、任意の姿勢で車両300に取り付けられ、車両300に生じる加速度ベクトルを検出する。走行中の車両300には、重力加速度と車両300の移動により生じる運動加速度とが生じる。そのため、傾斜センサ116は、図3に示すように、重力加速度ベクトルGと運動加速度ベクトルαとが合成された合成加速度ベクトルβを検出することができる。また、車両300の停止中、傾斜センサ116は、重力加速度ベクトルGを検出することができる。傾斜センサ116は、検出した加速度ベクトルの各軸成分の数値を出力する。傾斜センサ116から出力されるX軸、Y軸、Z軸の各成分の数値は、CPU104によって車両300の前後軸、左右軸、上下軸の成分に変換される。したがって、傾斜センサ116の出力値からは、車両前後方向、車両左右方向及び車両上下方向の加速度を導出可能である。
車両停止中の傾斜センサ116の検出値からは、重力加速度ベクトルGに対する車両300の傾きを導出することができる。すなわち、傾斜センサ116の出力値から、水平面に対する路面の傾斜角度である路面角度θr、及び路面に対する車両の傾斜角度である車両姿勢角度θvを含む、水平面に対する車両の傾斜角度である合計角度θを導出可能である。なお、路面角度θr、車両姿勢角度θv及び合計角度θは、車両300のピッチ方向の角度である。
これに対し、オートレベリング制御は、車両のピッチ方向の傾斜角度の変化にともなう車両用灯具の前方照射距離の変化を吸収して、照射光の前方到達距離を最適に保つことを目的とするものである。したがって、オートレベリング制御に必要とされる車両の傾斜角度は、車両姿勢角度θvである。すなわち、オートレベリング制御では、車両姿勢角度θvが変化した場合に灯具ユニット10の光軸位置が調節され、路面角度θrが変化した場合に灯具ユニット10の光軸位置が維持されることが望まれる。
そこで、本実施形態の制御ECU100は、車両停止中の合計角度θの変化を車両姿勢角度θvの変化と推定し、車両走行中の合計角度θの変化を路面角度θrの変化と推定する。車両走行中は、積載荷量や乗車人数が増減して車両姿勢角度θvが変化することは稀であるため、車両走行中の合計角度θの変化を路面角度θrの変化と推定することができる。一方、車両停止中は車両300が移動して路面角度θrが変化することは稀であるため、車両停止中の合計角度θの変化を車両姿勢角度θvの変化と推定することができる。
そして、制御ECU100の調節指示部1202は、車両停止中の合計角度θの変化に対して光軸調節を実施し、車両走行中の合計角度θの変化に対して光軸調節を回避する。調節指示部1202は、光軸調節信号の出力を回避するか光軸位置の維持を指示する光軸維持信号を出力することで光軸調節を回避する。なお、光軸調節信号を生成しないことで光軸調節信号の出力を回避してもよいし、光軸調節信号を生成した上で生成した光軸調節信号の出力を回避してもよい。
具体的には、まず車両メーカの製造工場等などで、車両300が水平面に置かれて基準状態とされる。そして、初期化処理装置のスイッチ操作やCAN(Controller Area Network)システムの通信等により、制御ECU100に初期化信号が送信される。制御部120は、初期化信号を受けると初期エイミング調整を開始し、灯具ユニット10の光軸Oを初期設定位置に合わせる。また、制御部120は、基準状態における傾斜センサ116の出力値を、路面角度基準値(θr=0°)、車両姿勢角度基準値(θv=0°)として、RAM124に記憶することで保持する。また、制御部120は、必要に応じてこれらの基準値を記憶部108に書き込む。
(イグニッションスイッチがオン状態にある間(通常時)の制御)
車両300が実際に使用されている状況において、制御部120の調節指示部1202は、車両走行中の合計角度θの変化に対して光軸調節を回避する。車両が走行中であることは、例えば車速センサ312から得られる車速により判断することができる。そして車両停止時に、調節指示部1202は、現在の合計角度θからRAM124に記憶されている車両姿勢角度基準値を減算して路面角度θrを得る。そして、得られた路面角度θrを新たな基準値としてRAM124に記憶する。これにより、路面角度θrの変化と推定される車両走行中の合計角度θの変化が、路面角度基準値に取り込まれる。なお、調節指示部1202は、車両停止時に走行前後での合計角度θの差分を算出し、この差分を路面角度基準値に算入して新たな路面角度基準値を算出してもよい。
車両停止中、調節指示部1202は、所定のタイミングで繰り返し車両姿勢角度θvを計算する。調節指示部1202は、現在の合計角度θからRAM124に記憶されている路面角度基準値を減算して車両姿勢角度θvを得る。そして、得られた車両姿勢角度θvを新たな基準値としてRAM124に記憶する。これにより、車両姿勢角度θvの変化と推定される車両停止中の合計角度θの変化が、車両姿勢角度基準値に取り込まれる。なお、調節指示部1202は、例えば前回検出した合計角度θと現在の合計角度θとの差分を算出し、この差分を車両姿勢角度基準値に算入して新たな車両姿勢角度基準値を算出してもよい。
そして、調節指示部1202は、得られた車両姿勢角度θv(更新した車両姿勢角度基準値を含む)を用いて光軸調節信号を生成する。例えば、調節指示部1202は、予め記憶部108に記憶されている車両姿勢角度θvと光軸角度θoとを対応付けた変換テーブルを用いて光軸角度θoを決定する。生成された光軸調節信号は、送信部122からレベリングアクチュエータ226に送信され、レベリングアクチュエータ226の駆動により光軸Oが決定された光軸角度θoに調節される。
前記「車両走行中」は、例えば車速センサ312の検出値が0を越えたときから、車速センサ312の検出値が0となるまでの間である。前記「車両停止時」は、例えば車速センサ312の検出値が0となった後、傾斜センサ116の出力値が安定したときである。この「安定したとき」は、傾斜センサ116の検出値の単位時間あたりの変化量が所定量以下となったときとしてもよいし、車速センサ312の検出値が0になってから所定時間経過後(例えば1〜2秒後)としてもよい。前記「車両停止中」は、例えば傾斜センサ116の出力値が安定したとき(車両停止時)から車速センサ312の検出値が0を越えるまでの期間である。前記「車両走行中」、「車両停止時」、「所定量」、「所定時間」及び「車両停止中」は、設計者による実験やシミュレーションに基づき適宜設定することが可能である。
(イグニッションスイッチがオフ状態に移行する際の制御)
制御部120は、バッテリ328から供給される電力で駆動する。そのため、イグニッションスイッチ326がオフになってバッテリ328からの電力供給が停止すると、RAM124に記憶されている路面角度基準値及び車両姿勢角度基準値が消えてしまう。そこで、イグニッションスイッチ326がオフ状態に移行した場合、制御部120は、RAM124により保持している路面角度基準値及び車両姿勢角度基準値を、不揮発性メモリである記憶部108に書き込む。
より詳細には、イグニッションスイッチ326がオフ状態に移行すると、IG監視部114は、Lowレベル信号を制御部120に送信する。制御部120の基準値書き込み部1204は、Lowレベル信号を受信すると、RAM124に保持している路面角度基準値及び車両姿勢角度基準値を記憶部108に書き込む。これにより、制御ECU100は、イグニッションスイッチ326がオフになってバッテリ328からの給電が解除されても、車両姿勢角度θv及び路面角度θrの基準値を保持することができる。
ここで、基準値書き込み部1204の動作に必要な電力の供給方法について説明する。図4(A)は、比較例に係る制御ECUにおける供給電力の時間変化を示すタイムチャートである。図4(B)は、実施形態1に係る制御ECUにおける供給電力の時間変化を示すタイムチャートである。図4(A)及び図4(B)の縦軸は電源電圧(V)を示し、横軸は時間(t)を示す。
上述したように、基準値書き込み部1204は、イグニッションスイッチ326のオフ状態が検知された後に、路面角度基準値及び車両姿勢角度基準値を記憶部108に書き込む。一方、イグニッションスイッチ326がオフになると、IG監視部114からのHighレベル信号によるスイッチ1102のオン状態の維持が解除されてしまう。そのため、このままでは、バッテリ328から制御部120への電力の供給が停止し、基準値書き込み部1204の書き込み動作も停止してしまう。したがって、イグニッションスイッチ326のオフ状態の検知から基準値書き込み部1204の書き込み動作が終了するまでの間、基準値書き込み部1204の書き込み動作に必要な電力を確保する必要がある。
この電力は、例えばイグニッションスイッチ326がオフ状態になってから、スイッチ1102がオフになってバッテリ328からの電力供給が停止するまでの間にバッテリ328から供給される電力と、バッテリ328の周辺や制御ECU100に設けられたコンデンサ(キャパシタ)等の蓄電素子(図示せず)から供給される電力とで賄うことが考えられる。このようにして基準値書き込み部1204の動作用電力を確保する構成を比較例とすると、比較例の制御ECUにおける供給電力は、図4(A)に示すように変化する。
すなわち、時間t1においてイグニッションスイッチ326のオフ状態が検知されたとする。電源電圧は、イグニッションスイッチ326のオフ状態が検知されたときの電圧V1から徐々に減少していき、時間t2に基準値書き込み部1204の駆動下限電圧V2に達する。したがって、基準値書き込み部1204は、時間t1から時間t2までの間に、路面角度基準値及び車両姿勢角度基準値の書き込みを終了させる必要がある。時間t1からの電源電圧の低下率(直線の傾き)、すなわち、時間t1から時間t2までの長さは、CPU104等のシステム負荷と蓄電素子の時定数等に依存する。
したがって、比較例の制御ECUでは、基準値書き込み部1204の書き込み動作の終了まで、基準値書き込み部1204に必要な電力を供給できない可能性がある。なお、比較例の制御ECUは、イグニッション電源から電力の供給を受けて駆動する構成である。したがって、図4(A)の縦軸の電源電圧は、イグニッション電圧に等しい。また、制御ECU100は、イグニッション電圧が所定のしきい値電圧を下回ったとき、ここではイグニッション電圧の値がV1となったときに、イグニッションスイッチ326のオフ状態を検知している。
そこで、本実施形態に係る制御ECU100は、次のようにして基準値書き込み部1204の書き込み動作に必要な電力を確保する。すなわち、本実施形態の制御ECU100において、制御部120の電力供給維持部1208は、イグニッションスイッチ326がオフの状態でバッテリ328からの電力の供給を維持する。より詳細には、イグニッションスイッチ326がオンになってIG監視部114からHighレベル信号が送信されると、電力供給維持部1208は、送信部122を介してOR回路1104にHighレベル信号を送信する。そして、イグニッションスイッチ326がオフになってもHighレベル信号の送信を継続する。これにより、本実施形態の制御ECU100における供給電力は、図4(B)に示すように変化する。
すなわち、電力供給維持部1208によってイグニッションスイッチ326のオフ後もスイッチ1102のオン状態が維持されるため、イグニッションスイッチ326のオフ状態が検知された時間t1から、電源電圧が基準値書き込み部1204の駆動下限電圧V2に達する時間t3までの長さを、基準値書き込み処理に要する時間に合わせて調整することができる。そのため、基準値書き込み部1204は、より確実に路面角度基準値及び車両姿勢角度基準値を記憶部108に書き込むことができる。なお、電力供給維持部1208は、イグニッションスイッチ326のオン時にHighレベル信号を送信せず、イグニッションスイッチ326がオフになりIG監視部114からLowレベル信号を受信したときにHighレベル信号を送信してもよい。この場合でも、イグニッションスイッチ326のオフ後、スイッチ1102のオン状態を維持することができる。なお、制御部120への電力供給の安定化の観点から、電力供給維持部1208は、イグニッションスイッチ326のオンとともにHighレベル信号を送信することが好ましい。
基準値書き込み部1204は、RAM124に保持している路面角度基準値及び車両姿勢角度基準値の記憶部108への書き込みが終了すると、停止指示信号生成部1210に対して基準値の書き込みが終了したことを示す書き込み終了信号を送信する。停止指示信号生成部1210は書き込み終了信号を受信すると、バッテリ328からの電力供給の停止を指示する停止指示信号を生成し、電力供給維持部1208に送信する。電力供給維持部1208は、停止指示信号を受信するとOR回路1104に送信する信号をHighレベルからLowレベルに切り替える。これにより、IG監視部114及びCPU104からOR回路1104にLowレベル信号が送信される状態になるため、スイッチ1102がオフ状態に移行する。その結果、バッテリ328から制御部120への電力の供給が停止する。このように、電力供給維持部1208が停止指示信号を受けてバッテリ328からの電力供給を停止させることで、電力消費量の増大を抑制することができる。
なお、一般にイグニッションスイッチ326がオフになった直後は、車両300からの乗員の下車等が行われる可能性が高く、車両300の姿勢が変化しやすい。そのため、基準値書き込み部1204は、イグニッションスイッチ326のオフ状態が検知されても、車両300の姿勢が安定するまで記憶部108への基準値の書き込みを待機してもよい。調節指示部1202は、イグニッションスイッチ326がオフになった後も車両姿勢角度の算出を繰り返す。そして、基準値書き込み部1204は、車両300の姿勢が安定した後に記憶部108へ基準値を書き込む。これにより、オートレベリング制御の精度をより高めることができる。なお、車両300の姿勢が安定するまでの時間は、設計者による実験やシミュレーションに基づき適宜設定することが可能である。したがって、基準値書き込み部1204が基準値書き込みを開始するタイミングは、設計者が適宜設定することができる。
(イグニッションスイッチがオン状態に移行する際の制御)
図5(A)は、イグニッションオン後の所定時間内に車両の発進が検知されない場合のオートレベリング制御を説明するための図である。図5(B)は、イグニッションオン後の所定時間内に車両の発進が検知された場合のオートレベリング制御を説明するための図である。
イグニッションスイッチ326がオフの状態では、車両300が移動して路面角度θrが変化することは稀である。そのため、イグニッションスイッチ326のオフからオンまでの間の合計角度θの変化を、車両姿勢角度θvの変化と推定することができる。そこで、調節指示部1202は、イグニッションスイッチ326がオン状態に移行した場合、起動後の最初の制御として、現在の傾斜センサ116の出力値から得られる合計角度θから、記憶部108から読み出した路面角度基準値を減算して、現在の車両姿勢角度θvを得る。そして、得られた車両姿勢角度θvを基準値としてRAM124に保持する。また、得られた車両姿勢角度θvを用いて光軸調節信号を生成する。これにより、イグニッションスイッチ326がオフにされている間の車両姿勢角度θvの変化を基準値に取り込むことができ、また光軸角度θoを適切な位置に調節できる。そのため、オートレベリング制御の精度を高めることができる。
ここで、制御ECU100は、イグニッションスイッチ326がオンになった後、起動が完了するまでに、すなわち起動後の最初の制御が実施可能な状態になるまでに、通常1秒程度の時間を要する。そのため、車両300が実際に使用されている状況では、起動後の最初の制御が実行される前に、車両300が発進してしまう可能性がある。この場合、起動後の最初の制御が次に車両300が停止したときに実行されて、車両姿勢角度基準値に誤差が発生するおそれがある。
例えば、制御ECU100の起動が完了するまでに車両300が発進しなかった場合の一例として、車両300が図5(A)に示すように運転されたとする。すなわち、図5(A)の(i)に示すようにイグニッションスイッチ326がオフの状態において、図5(A)の(ii)に示すように荷物330が車両300に乗せられる。荷物330が乗せられたことで、車両姿勢角度θvは角度θv1だけ変化する。その後、イグニッションスイッチ326がオンにされ、バッテリ328からの電力供給を受けて、制御ECU100が起動する。
制御ECU100の起動が完了すると、調節指示部1202は、上述した起動後の最初の制御を実行する。すなわち、調節指示部1202は、その状態での傾斜センサ116の出力値と記憶部108から読み出した路面角度基準値から、車両姿勢角度θvを計算する。そして、得られた車両姿勢角度θvを新たな基準値としてRAM124に記録する。これにより、荷物330の積載による車両姿勢角度θvの変化(角度θv1)を車両姿勢角度基準値に反映させることができる。また、調節指示部1202は、角度θv1が反映された車両姿勢角度基準値を用いて光軸角度θoを調節する。
その後、車両300が発進し、図5(A)の(iii)に示すように、路面角度θrが角度θr1だけ傾いた坂道に停車する。車両300の停止時、調節指示部1202は、通常制御として現在の合計角度θからRAM124に記憶されている車両姿勢角度基準値を減算して路面角度θrを得る。そして、得られた路面角度θrを新たな基準値としてRAM124に記憶する。これにより、路面角度θrの変化(角度θr1)を路面角度基準値に反映させることができる。
一方、制御ECU100の起動が完了する前に車両300が発進した場合の一例として、車両300が図5(B)に示すように運転されたとする。すなわち、図5(B)の(i)に示すようにイグニッションスイッチ326がオフの状態において、図5(B)の(ii)に示すように荷物330が車両300に乗せられる。これにより、車両姿勢角度θvが角度θv1’だけ変化する。その後、イグニッションスイッチ326がオンにされ、制御ECU100の起動が完了する前に車両300が発進する。この場合、調節指示部1202は、車両300が発進する前に、起動後の最初の制御を実行することができない。
その後、図5(B)の(iii)に示すように、路面角度θrが角度θr1’だけ傾いた坂道に車両300が停車する。その後調節指示部1202は、起動後の最初の制御を実行する。すなわち、調節指示部1202は、現在の傾斜センサ116の出力値と記憶部108から読み出した路面角度基準値から、車両姿勢角度θvを計算する。そして、得られた車両姿勢角度θvを新たな基準値としてRAM124に記録する。
このとき用いられる路面角度基準値は、イグニッションスイッチ326がオフになったときに記憶部108に書き込まれた基準値である。すなわち、図5(B)の(i)、(ii)の状態における路面角度θrに対応する基準値である。したがって、車両300の発進後に起動後の最初の制御が実行されると、路面角度θrが角度θr1’だけ変化しているにもかかわらず、この変化を含まない路面角度基準値を用いて車両姿勢角度θvが算出されてしまう。したがって、荷物330の積載による車両姿勢角度θvの変化である角度θr1’だけでなく、車両300の移動による路面角度θrの変化である角度θr1’もが、車両姿勢角度θvの変化(角度θv2)として車両姿勢角度基準値に取り込まれてしまう。その結果、角度θr1’だけ車両姿勢角度基準値に誤差が発生してしまう。
なお、制御ECU100の起動完了前に車両300が発進し、車両300の走行中に起動後の最初の制御を実行する場合であっても、車両300の移動による路面角度θrの変化が車両姿勢角度基準値に取り込まれてしまう。
そこで、本実施形態に係る制御ECU100の調節指示部1202は、移行から所定時間内に車両300の発進が検知されないときは、現在の傾斜センサ116の出力値から得られる合計角度θと、記憶部108から読み出した路面角度基準値から得られる車両姿勢角度θvを用いて光軸調節信号を生成する。そして、得られた車両姿勢角度θvを基準値としてRAM124に保持する。
一方、調節指示部1202は、イグニッションスイッチ326がオン状態に移行してから所定時間内に車両300の発進が検知されたときは、傾斜センサ116の出力値から得られる合計角度θと、記憶部108から読み出した車両姿勢角度基準値から得られる路面角度θrを基準値としてRAM124に保持する。そして、その後に実施される車両停止中の合計角度θの変化に対する光軸調節制御を、この路面角度基準値と合計角度θから得られる車両姿勢角度θvを用いて実施する。
なお、ここで用いられる路面角度基準値は、合計角度θと記憶部108から読み出した車両姿勢角度基準値とを用いて得られるものである。そのため、この路面角度基準値と合計角度θとから得られる車両姿勢角度θvは、記憶部108から読み出した車両姿勢角度基準値と等しい。よって、イグニッションオン後の所定時間内に車両300が発進した場合、その後に実施される車両停止中の光軸調節制御を、記憶部108から読み出した車両姿勢角度基準値を用いて実施してもよい。
これにより、車両300の移動による路面角度θrの変化が車両姿勢角度基準値に取り込まれることを回避できる。そのため、オートレベリング制御の精度を向上させることができる。なお、上述した制御では、イグニッションスイッチ326がオフの間に生じた車両姿勢角度θvの変化(θv1’)を、車両姿勢角度基準値に取り込むことができない。しかしながら、車両300の実際の使用状況では、車両姿勢角度θvの変化量に対して路面角度θrの変化量の方がはるかに大きい。そのため、イグニッションオフの間に生じた車両姿勢角度θvの変化を基準値に取り込まないことによるオートレベリング制御の精度低下よりも、路面角度θvの変化を車両姿勢角度基準値に取り込むことによるオートレベリング制御の精度低下の方がはるかに大きい。したがって、路面角度θrの変化が車両姿勢角度基準値に取り込まれることを回避することで、オートレベリング制御の精度を向上させることができる。
前記「所定時間」とは、イグニッションスイッチ326がオンになってから制御ECU100の起動が完了するまでに要する時間である。なお、前記「所定時間」は、設計者による実験やシミュレーションに基づき適宜設定することが可能である。また、車両300の発進は、車速センサ312から送信される信号に基づいて判断することができる。制御ECU100は、イグニッションスイッチ326がオンになった直後から車速センサ312の信号して車両300の発進を検知することができる。
本実施形態では、イグニッションスイッチ326がオフ状態に移行してから所定時間内に車両300の発進が検知された場合、その後の車両停止時に、当該車両停止時の傾斜センサ116の出力値と、記憶部108から読み出した車両姿勢角度基準値とから、路面角度θrを算出する。これにより、路面角度基準値をより精度良く算出することができる。この場合、調節指示部1202は、当該発進からその後の停止までの間、発進時の光軸位置を維持するか、光軸位置を所定の基準位置に調節することが好ましい。これにより、他車両の運転者にグレアを与えるおそれを回避したり、若しくは自車両の運転者の視認性が著しく低下するおそれを回避したりすることができる。
例えば、前記「所定の基準位置」は初期設定位置、あるいは光軸Oの移動範囲の下限位置である。この場合、他車両の運転者にグレアを与えるおそれを低減させることができる。また、例えば、前記「所定の基準位置」は光軸Oの移動範囲の上限位置である。この場合、自車両の運転者の視認性を確保することができる。
図6及び図7は、実施形態1に係る制御ECUが実行するオートレベリング制御のフローチャートである。このフローは、イグニッションスイッチ326がオンにされてバッテリ328から電力が供給されると開始され、所定のタイミングで繰り返し実行される。
図6に示すように、まず制御ECU100は、イグニッションスイッチ326がオン状態に移行してからの所定時間内に車両300が発進したか判断する(S101)。所定時間内に車両300が発進した場合(S101のY)、制御ECU100は、車両300が停車したか判断する(S102)。車両300が停車していない場合(S102のN)、制御ECU100は本ルーチンを終了する。車両が停車した場合(S102のY)、制御ECU100は、現在の合計角度θから、記憶部108から読み出した車両姿勢角度基準値を減算して路面角度θrを求める(S103)。そして、得られた路面角度θrを新たな路面角度基準値として更新してRAM124に記憶する(S104)。制御ECU100、灯具ユニット10の光軸角度θoを例えば初期設定位置に維持した状態で、図7に示す通常時制御に移行する。
所定時間内に車両300が発進していない場合(S101のN)、現在の合計角度θから、記憶部108から読み出した路面角度基準値を減算して、車両姿勢角度θvを算出する(S105)。そして、得られた車両姿勢角度θvを用いて光軸角度θoを調節するとともに、車両姿勢角度基準値を更新してRAM124に記憶する(S106)。また、記憶部108から読み出した路面角度基準値をRAM124に記憶する。
続いて、図7に示すように通常時制御を実行する。すなわち、制御ECU100は、車両走行中であるか判断する(S201)。車両走行中である場合(S201のY)、制御ECU100は本ルーチンを終了する。車両走行中でない場合(S201のN)、制御ECU100は、車両停止時であるか判断する(S202)。車両停止時である場合(S202のY)、制御ECU100は、現在の合計角度θから、RAM124に保持している車両姿勢角度基準値を減算して路面角度θrを算出する(S203)。そして、路面角度基準値を算出された路面角度θrに更新し(S204)、本ルーチンを終了する。
車両停止時でない場合(S202のN)、この場合は車両停止中であることを意味するため、制御ECU100は、現在の合計角度θから、RAM124に保持している路面角度基準値を減算して、車両姿勢角度θvを算出する(S205)。そして、得られた車両姿勢角度θvを用いて光軸角度θoを調節するとともに、車両姿勢角度基準値を得られた車両姿勢角度θvに更新してRAM124に記憶する(S206)。
続いて制御ECU100は、イグニッションスイッチ326がオフ状態に移行したか判断する(S207)。イグニッションスイッチ326がオフ状態に移行していない場合(S207のN)、制御ECU100は本ルーチンを終了する。イグニッションスイッチ326がオフ状態に移行した場合(S207のY)、制御ECU100は、バッテリ328からの電力供給を維持する(S208)。そして、RAM124に保持している路面角度基準値及び車両姿勢角度基準値を記憶部108に書き込んだ後(S209)、バッテリ328からの電力供給を停止して(S209)、本ルーチンを終了する。
以上説明したように、本実施形態に係る車両用灯具の制御装置としての制御ECU100において、制御部120は、路面角度基準値及び車両姿勢角度基準値を揮発的に保持している。そして、制御部120は、車両停止中の合計角度θの変化に対して、合計角度θと保持している路面角度基準値から車両姿勢角度θvを算出し、この車両姿勢角度θvを用いて光軸調節信号を生成し、得られた車両姿勢角度θvを新たな基準値として保持する。また、制御部120は、車両走行中の合計角度θの変化に対して、光軸調節信号の出力を回避するか光軸維持信号を出力し、合計角度θと保持している車両姿勢角度基準値から得られる路面角度θrを新たな基準値として保持する。
また、制御部120は、バッテリ328のスイッチであるイグニッションスイッチ326がオフ状態に移行した場合、保持している路面角度基準値及び車両姿勢角度基準値を記憶部108に書き込む。その後、イグニッションスイッチ326がオン状態に移行した場合、制御部120は、移行から所定時間内に車両300の発進が検知されないときは、合計角度θと記憶部108から読み出した路面角度基準値から得られる車両姿勢角度θvを用いて光軸調節信号を生成し、得られた車両姿勢角度θvを基準値としてRAM124に保持する。一方、移行から所定時間内に車両300の発進が検知されたときは、合計角度θと記憶部108から読み出した車両姿勢角度基準値から得られる路面角度θrを基準値としてRAM124に保持し、この路面角度基準値と合計角度θから得られる車両姿勢角度θv、又は記憶部108から読み出した車両姿勢角度基準値を用いて光軸調節信号を生成する。
これにより、制御ECU100の起動が完了する前に車両300が移動したことによる路面角度θrの変化が車両姿勢角度基準値に取り込まれることを回避できる。そのため、傾斜センサ116を用いたオートレベリング制御の精度を高めることができる。
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更などの変形を実施形態に加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれる。上述の実施形態と変形との組合せによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態及び変形それぞれの効果をあわせもつ。
上述の実施形態では、傾斜センサ116として加速度センサを用いているが、傾斜センサ116は、ジャイロセンサ(角速度センサ、角加速度センサ)や地磁気センサ等であってもよい。
10 灯具ユニット、 100 制御ECU、 108 記憶部、 116 傾斜センサ、 118 受信部、 120 制御部、 124 RAM、 300 車両、 326 イグニッションスイッチ、 328 バッテリ、 1202 調節指示部、 1204 基準値書き込み部、 1206 発進検知部、 1208 電力供給維持部、 1210 停止指示信号生成部、 O 光軸。

Claims (4)

  1. 水平面に対する路面の傾斜角度である路面角度、及び路面に対する車両の傾斜角度である車両姿勢角度を含む、水平面に対する車両の傾斜角度である合計角度を導出可能な傾斜センサの出力値を受信するための受信部と、
    車両用灯具の光軸を制御するための制御部と、
    路面角度基準値及び車両姿勢角度基準値を不揮発的に記憶するための記憶部と、を備え、
    前記制御部は、路面角度基準値及び車両姿勢角度基準値を揮発的に保持し、
    車両停止中の前記合計角度の変化に対して、合計角度と保持している路面角度基準値から得られる車両姿勢角度を用いて光軸調節信号を生成し、得られる車両姿勢角度を新たな基準値として保持し、
    車両走行中の前記合計角度の変化に対して、前記光軸調節信号の出力を回避するか光軸維持信号を出力し、合計角度と保持している車両姿勢角度基準値から得られる路面角度を新たな基準値として保持し、
    制御装置の電源のスイッチがオフ状態に移行した場合、保持している路面角度基準値及び車両姿勢角度基準値を前記記憶部に書き込み、
    前記スイッチがオン状態に移行した場合、移行から所定時間内に車両の発進が検知されないときは、合計角度と前記記憶部から読み出した路面角度基準値から得られる車両姿勢角度を用いて光軸調節信号を生成し、得られた車両姿勢角度を基準値として保持し、
    移行から所定時間内に車両の発進が検知されたときは、合計角度と前記記憶部から読み出した車両姿勢角度基準値から得られる路面角度を基準値として保持し、この路面角度基準値と合計角度から得られる車両姿勢角度、又は前記読み出した車両姿勢角度基準値を用いて光軸調節信号を生成することを特徴とする車両用灯具の制御装置。
  2. 前記所定時間内に車両の発進が検知された場合、前記制御部は、当該発進からその後の停止までの間、発進時の光軸位置を維持するか、光軸位置を所定の基準位置に調節する請求項1に記載の制御装置。
  3. 前記スイッチがオフの状態で前記電源からの電力の供給を維持するための電力供給維持部を備える請求項1又は2に記載の制御装置。
  4. 前記制御部は、保持している路面角度基準値及び車両姿勢角度基準値の前記記憶部への書き込みが終了すると、電源からの電力供給の停止を指示する停止指示信号を生成し、
    前記電力供給維持部は、前記停止指示信号を受信すると前記電源からの電力の供給を停止させる請求項3に記載の制御装置。
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