JP2015107758A - 車両用灯具の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両用灯具のオートレベリング制御の精度を高める技術を提供する。【解決手段】ある態様の車両用灯具の制御装置は、イグニッションスイッチ326を介さずに車載バッテリ328と制御装置とを接続し、制御装置に駆動電圧を供給する駆動回路部110と、イグニッションスイッチ326を介した場合の車載バッテリ328の電圧情報を制御装置に送る電圧監視回路部114と、イグニッションスイッチ326を介して車載バッテリ328から駆動電圧を供給されるアクチュエータに制御信号を出力する制御部120と、を備える。制御部120は、傾斜センサ116の出力値に対応するアクチュエータ駆動電圧値を、駆動回路部110を介して制御装置に供給される電圧と電圧監視回路部114を介して得られる車載バッテリ328の電圧との電位差分だけ補正してアクチュエータに出力する。【選択図】図2
Description
本発明は、車両用灯具の制御装置に関する。特に、自動車などに用いられる車両用灯具の制御装置に関する。
従来、車両の傾斜角度に応じて車両用前照灯の光軸位置を自動的に調節して、前照灯の照射方向を変化させるオートレベリング制御が知られている。一般にオートレベリング制御では、車高センサの出力値から導出される車両のピッチ角度に基づいて前照灯の光軸位置が調節される。これに対し、特許文献1及び2には、加速度センサ等の傾斜センサを用いてオートレベリング制御を実施する車両用灯具の制御装置が開示されている。
加速度センサ、ジャイロセンサ(角速度センサ、角加速度センサ)や地磁気センサ等の傾斜センサを用いた場合、車高センサを用いた場合に比べてオートレベリングシステムをより安価にすることができ、また軽量化を図ることもできる。この結果、車両の低コスト化及び軽量化を図ることができる。一方で、加速度センサ等の傾斜センサを用いた場合であっても、高精度にオートレベリング制御を実施したいという要求はある。
本発明者らは、オートレベリング制御の高精度化を実現すべく鋭意検討した結果、従来の車両用灯具の制御装置には、オートレベリング制御のさらなる高精度化を図る余地があることを認識するに至った。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両用灯具のオートレベリング制御の精度を高める技術を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様は車両用灯具の制御装置である。当該制御装置は、車両の傾斜センサの出力値に基づいて車両用灯具の光軸を制御する車両用灯具の制御装置であって、イグニッションスイッチを介さずに車載バッテリと制御装置とを接続し、制御装置に駆動電圧を供給する駆動回路部と、イグニッションスイッチを介した場合の車載バッテリの電圧情報を制御装置に送る電圧監視回路部と、イグニッションスイッチを介して車載バッテリから駆動電圧を供給されて車両用灯具の光軸を変位させるアクチュエータに制御信号を出力する制御部と、を備える。制御部は、傾斜センサの出力値に対応するアクチュエータ駆動電圧値を、駆動回路部を介して制御装置に供給される電圧と電圧監視回路部を介して得られる車載バッテリの電圧との電位差分だけ補正し、得られた補正電圧値を制御信号としてアクチュエータに出力する。この態様の制御装置によれば、車両用灯具のオートレベリング制御の精度を高めることができる。
本発明の他の態様も車両用灯具の制御装置である。当該制御装置は、車両の傾斜センサの出力値に基づいて車両用灯具の光軸を制御する車両用灯具の制御装置であって、制御装置に駆動電圧を供給する制御装置駆動回路部と、車両用灯具の光軸を変位させるアクチュエータに駆動電圧を供給するアクチュエータ駆動回路部と、アクチュエータに制御信号を出力する制御部と、を備える。制御装置駆動回路部は、イグニッションスイッチを介さずに車載バッテリと制御装置を接続し、アクチュエータ駆動回路部は、イグニッションスイッチを介さずに車載バッテリとアクチュエータを接続する。この態様の制御装置によっても、車両用灯具のオートレベリング制御の精度を高めることができる。上記態様において、イグニッションスイッチがオフ状態に移行すると車載バッテリとアクチュエータを切断するスイッチを備えてもよい。これによれば、車載バッテリの電力消費を抑制することができる。
本発明のさらに他の態様も車両用灯具の制御装置である。当該制御装置は、車両の傾斜センサの出力値に基づいて車両用灯具の光軸を制御する車両用灯具の制御装置であって、イグニッションスイッチを介して車載バッテリと制御装置を接続し、制御装置に駆動電圧を供給する第1駆動回路部と、イグニッションスイッチを介さずに車載バッテリと制御装置とを接続し、制御装置に駆動電圧を供給する第2駆動回路部と、イグニッションスイッチを介して車載バッテリから駆動電圧を供給されて車両用灯具の光軸を変位させるアクチュエータに制御信号を出力する制御部と、イグニッションスイッチがオンの状態では第2駆動回路部を介した制御装置への駆動電圧の供給を抑制し、イグニッションスイッチがオフの状態では第2駆動回路部を介して制御装置に駆動電圧を供給する回路制御部と、を備える。この態様の制御装置によっても、車両用灯具のオートレベリング制御の精度を高めることができる。
上記いずれかの態様において、傾斜センサの出力値から、水平面に対する路面の傾斜角度である路面角度、及び路面に対する車両の傾斜角度である車両姿勢角度を含む、水平面に対する車両の傾斜角度である合計角度を導出可能であり、路面角度基準値及び車両姿勢角度基準値を不揮発的に記憶するための記憶部をさらに備え、制御部は、路面角度基準値及び車両姿勢角度基準値を揮発的に保持し、車両停止中、合計角度と保持している路面角度基準値から得られる車両姿勢角度を用いて光軸制御信号を生成し、得られる車両姿勢角度を新たな基準値として保持し、車両走行中、光軸制御信号の生成又は出力を回避するか光軸維持信号を出力し、合計角度と保持している車両姿勢角度基準値から得られる路面角度を新たな基準値として保持し、イグニッションスイッチがオフ状態に移行すると、保持している路面角度基準値及び車両姿勢角度基準値のうち少なくとも路面角度基準値を記憶部に書き込んでもよい。なお、上述した各要素を適宜組み合わせたものも、本件特許出願によって特許による保護を求める発明の範囲に含まれうる。
本発明によれば、車両用灯具のオートレベリング制御の精度を高める技術を提供することができる。
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一又は同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る制御ECUの制御対象である車両用灯具を含む前照灯ユニットの概略鉛直断面図である。前照灯ユニット210は、左右対称に形成された一対の前照灯ユニットが車両の車幅方向の左右に1つずつ配置された構造である。右側の前照灯ユニット210R及び左側の前照灯ユニット210Lは実質的に同一の構成であるため、以下では、右側の前照灯ユニット210Rの構造を説明する。前照灯ユニット210Rは、車両前方側に開口部を有するランプボディ212と、この開口部を覆う透光カバー214とを有する。ランプボディ212は、車両後方側に着脱カバー212aを有する。ランプボディ212と透光カバー214とによって灯室216が形成されている。灯室216には車両用灯具としての灯具ユニット10が収納される。
図1は、実施形態1に係る制御ECUの制御対象である車両用灯具を含む前照灯ユニットの概略鉛直断面図である。前照灯ユニット210は、左右対称に形成された一対の前照灯ユニットが車両の車幅方向の左右に1つずつ配置された構造である。右側の前照灯ユニット210R及び左側の前照灯ユニット210Lは実質的に同一の構成であるため、以下では、右側の前照灯ユニット210Rの構造を説明する。前照灯ユニット210Rは、車両前方側に開口部を有するランプボディ212と、この開口部を覆う透光カバー214とを有する。ランプボディ212は、車両後方側に着脱カバー212aを有する。ランプボディ212と透光カバー214とによって灯室216が形成されている。灯室216には車両用灯具としての灯具ユニット10が収納される。
灯具ユニット10には、灯具ユニット10の上下左右方向の揺動中心となるピボット機構218aを有するランプブラケット218が接続される。ランプブラケット218は、ランプボディ212に支持されたエイミング調整ネジ220と螺合する。灯具ユニット10の下面には、スイブルアクチュエータ222の回転軸222aが固定される。スイブルアクチュエータ222は、ユニットブラケット224に固定される。ユニットブラケット224には、レベリングアクチュエータ226が接続される。レベリングアクチュエータ226は、例えばロッド226aを矢印M,N方向に伸縮させるモータなどで構成される。灯具ユニット10は、ロッド226aが矢印M,N方向に伸縮することで後傾姿勢、前傾姿勢となり、これにより光軸Oのピッチ角度を下方、上方に向けるレベリング調整ができる。
灯具ユニット10は、回転シェード12を含むシェード機構18、光源14、リフレクタ16を内壁に支持する灯具ハウジング17、及び投影レンズ20を備える。光源14は、白熱球やハロゲンランプ、放電球、LEDなどが使用可能である。リフレクタ16は、少なくとも一部が楕円球面状であり、光源14から放射された光を反射する。光源14からの光及びリフレクタ16で反射した光は、一部が回転シェード12を経て投影レンズ20へと導かれる。回転シェード12は、回転軸12aを中心に回転可能な円筒部材であり、切欠部と複数のシェードプレート(図示せず)とを備える。切欠部又はシェードプレートのいずれかが光軸O上に移動されて、所定の配光パターンが形成される。投影レンズ20は、平凸非球面レンズからなり、後方焦点面上に形成される光源像を反転像として灯具前方の仮想鉛直スクリーン上に投影する。
図2は、実施形態1に係る制御ECUと前照灯ユニットの動作連携を説明する機能ブロック図である。なお、図2では前照灯ユニット210R及び前照灯ユニット210Lをまとめて前照灯ユニット210としている。また、制御ECU100は、ハードウェア構成としてはコンピュータのCPUやメモリをはじめとする素子や回路で実現され、ソフトウェア構成としてはコンピュータプログラム等によって実現されるが、図2では適宜、それらの連携によって実現される機能ブロックとして描いている。これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
車両用灯具の制御装置としての制御ECU100は、入力インターフェース102、CPU104、出力インターフェース106、記憶部108、駆動回路部110、回路制御部112及び電圧監視回路部114を備える。制御ECU100は、例えば車両300のダッシュボード付近に設置される。なお、制御ECU100の設置位置は特に限定されず、例えば前照灯ユニット210内に設けられてもよい。
入力インターフェース102には、ライトスイッチ304や車速センサ312等が接続される。ライトスイッチ304や車速センサ312から出力される信号は、入力インターフェース102を介して制御ECU100に入力される。入力された信号は、入力インターフェース102からCPU104に送信される。
CPU104は、傾斜センサ116、受信部118、制御部120、送信部122及びRAM124を備える。本実施形態の傾斜センサ116は、加速度センサで構成されている。本実施形態では、傾斜センサ116はCPU104内に設けられているが、CPU104の外、さらには制御ECU100の外に設けられてもよい。
受信部118は、入力インターフェース102を介して制御ECU100に入力された各種信号を受信する。また、受信部118は、電圧監視回路部114からイグニッションスイッチ326を介した場合の車載バッテリ328の電圧情報を示す信号や、傾斜センサ116から出力される信号を受信する。受信部118が受信した信号は、制御部120に送信される。制御部120は、傾斜センサ116の出力値に基づいて灯具ユニット10の光軸Oを制御する。制御部120は、調節指示部1202、基準値書き込み部1204、信号補正部1206及び停止信号生成部1210を有する。制御部120は、傾斜センサ116の出力値と必要に応じて記憶部108又はRAM124に保持している情報とを用いて車両300のピッチ角度情報を生成する。そして、得られたピッチ角度情報を用いて、光軸Oの調節を指示する光軸制御信号を生成する。また、制御部120は、灯具ユニット10の点消灯を指示する信号や、駆動回路部110の制御を指示する信号等を生成する。制御部120が備える各部の動作については後に詳細に説明する。
RAM124は、制御部120が実施する制御に用いられる情報を一時的に記憶する揮発性メモリである。RAM124には、制御部120から送られてきた情報や、記憶部108から呼び出された情報が一時的に記憶される。制御部120は、RAM124を用いて、後述する路面角度基準値及び車両姿勢角度基準値を揮発的に保持する。記憶部108は、路面角度基準値及び車両姿勢角度基準値を含む各種情報を不揮発的に記憶する不揮発性メモリである。
送信部122は、制御部120から各種信号を受信すると、この信号を出力インターフェース106に送信する。また、送信部122は、駆動回路部110の制御を指示する信号を回路制御部112に送信する。出力インターフェース106には、前照灯ユニット210の電源回路230及びレベリングアクチュエータ226が接続される。
制御部120により生成された光軸制御信号や点消灯指示信号は、出力インターフェース106を介して前照灯ユニット210のレベリングアクチュエータ226や電源回路230に出力される。レベリングアクチュエータ226は、受信した光軸制御信号を受けて駆動し、これにより灯具ユニット10の光軸Oがピッチ角度方向について調整される。また、電源回路230は、受信した点消灯指示信号に基づいて光源14の点消灯を行う。
車両には、イグニッションスイッチ326と車載バッテリ328とが搭載されている。レベリングアクチュエータ226は、イグニッションスイッチ326を介して車載バッテリ328から駆動電圧を供給されて灯具ユニット10の光軸Oを変位させる。したがって、イグニッションスイッチ326のオン、オフにより、車載バッテリ328からレベリングアクチュエータ226への電力の供給、非供給が切り替えられる。制御ECU100は、駆動回路部110によってイグニッションスイッチ326を介さずに車載バッテリ328と接続される。したがって、制御ECU100は、車載バッテリ328から直に駆動電圧が供給される。駆動回路部110は、スイッチ1102を有する。回路制御部112は、制御部120やイグニッションスイッチ326からの信号を受けて、スイッチ1102のオン、オフを制御する。
電圧監視回路部114は、イグニッションスイッチ326を介して車載バッテリ328と制御ECU100とを接続する。そして、イグニッションスイッチ326を介した場合の車載バッテリ328の電圧情報を受信部118に送る。この電圧情報は、例えばイグニッションスイッチ326から出力される電圧、すなわちイグニッション電圧である。制御部120は、この電圧情報からイグニッションスイッチ326のオン、オフの状態を判定することができる。例えば、制御部120は、イグニッション電圧が予め定められたしきい値を下回ったとき、あるいは0Vとなったとき、イグニッションスイッチ326がオフになったと判定する。
制御ECU100は、運転者によるライトスイッチ304の操作内容に応じて、前照灯ユニット210によって形成すべき配光パターンを決定する。また、制御ECU100は、ライトスイッチ304の操作によらず、各種センサで検出された車両の状態に最適な配光パターンを形成するように自動制御してもよい。この配光パターンの自動形成制御は、例えばライトスイッチ304によって配光パターンの自動形成制御が指示された場合に実行される。
続いて、上述の構成を備える制御ECU100によるオートレベリング制御について詳細に説明する。図3は、車両に生じる加速度ベクトルと、傾斜センサで検出可能な車両の傾斜角度を説明するための模式図である。
例えば、車両後部の荷室に荷物が載せられたり後部座席に乗員がいる場合、車両姿勢は後傾姿勢となり、荷室から荷物が下ろされたり後部座席の乗員が下車した場合、車両姿勢は後傾姿勢の状態から前傾する。車両が後傾姿勢あるいは前傾姿勢になると、灯具ユニット10の照射方向も上下に変動し、前方照射距離が長くなったり短くなったりする。そこで、制御ECU100は、傾斜センサ116の出力値から車両のピッチ方向の傾斜角度又はその変化を導出し、光軸Oのピッチ角度(以下では適宜、この角度を光軸角度θoという)を車両姿勢に応じた角度とする。車両姿勢に基づき灯具ユニット10のレベリング調整をリアルタイムで行うオートレベリング制御を実施することで、車両姿勢が変化しても前方照射光の到達距離を最適に調節することができる。
傾斜センサ116は、例えば互いに直交するX軸、Y軸、Z軸を有する3軸加速度センサである。傾斜センサ116は、任意の姿勢で車両300に取り付けられ、車両300に生じる加速度ベクトルを検出する。走行中の車両300には、重力加速度と車両300の移動により生じる運動加速度とが生じる。そのため、傾斜センサ116は、図3に示すように、重力加速度ベクトルGと運動加速度ベクトルαとが合成された合成加速度ベクトルβを検出することができる。また、車両300の停止中、傾斜センサ116は、重力加速度ベクトルGを検出することができる。傾斜センサ116は、検出した加速度ベクトルの各軸成分の数値を出力する。傾斜センサ116から出力されるX軸、Y軸、Z軸の各成分の数値は、CPU104によって車両300の前後軸、左右軸、上下軸の成分に変換される。
車両停止中の傾斜センサ116の検出値からは、重力加速度ベクトルGに対する車両300の傾きを導出することができる。すなわち、傾斜センサ116の出力値から、水平面に対する路面の傾斜角度である路面角度θr、及び路面に対する車両の傾斜角度である車両姿勢角度θvを含む、水平面に対する車両の傾斜角度である合計角度θを導出可能である。なお、路面角度θr、車両姿勢角度θv及び合計角度θは、車両300のピッチ方向の角度である。これに対し、オートレベリング制御は、車両のピッチ方向の傾斜角度の変化にともなう車両用灯具の前方照射距離の変化を吸収して、照射光の前方到達距離を最適に保つことを目的とするものである。したがって、オートレベリング制御に必要とされる車両の傾斜角度は、車両姿勢角度θvである。すなわち、オートレベリング制御では、車両姿勢角度θvが変化した場合に灯具ユニット10の光軸位置が調節され、路面角度θrが変化した場合に灯具ユニット10の光軸位置が維持されることが望まれる。
そこで、本実施形態の制御ECU100は、車両停止中の合計角度θの変化を車両姿勢角度θvの変化と推定し、車両走行中の合計角度θの変化を路面角度θrの変化と推定する。車両走行中は、積載荷量や乗車人数が増減して車両姿勢角度θvが変化することは稀であるため、車両走行中の合計角度θの変化を路面角度θrの変化と推定することができる。一方、車両停止中は車両300が移動して路面角度θrが変化することは稀であるため、車両停止中の合計角度θの変化を車両姿勢角度θvの変化と推定することができる。
そして、制御ECU100の調節指示部1202は、車両停止中の合計角度θの変化に対して光軸調節を実施し、車両走行中の合計角度θの変化に対して光軸調節を回避する。調節指示部1202は、光軸制御信号の生成又は出力を回避するか光軸位置の維持を指示する光軸維持信号を出力することで光軸調節を回避することができる。
具体的には、まず車両メーカの製造工場等などで、車両300が水平面に置かれて基準状態とされる。そして、初期化処理装置のスイッチ操作やCAN(Controller Area Network)システムの通信等により、制御ECU100に初期化信号が送信される。制御部120は、初期化信号を受けると初期エイミング調整を開始し、灯具ユニット10の光軸Oを初期設定位置に合わせる。また、制御部120は、基準状態における傾斜センサ116の出力値を、路面角度基準値(θr=0°)、車両姿勢角度基準値(θv=0°)として、RAM124に記憶することで保持する。また、制御部120は、必要に応じてこれらの基準値を記憶部108に書き込む。
車両300が実際に使用されている状況において、制御部120の調節指示部1202は、車両走行中の合計角度θの変化に対して光軸調節を回避する。車両が走行中であることは、例えば車速センサ312から得られる車速により判断することができる。そして車両停止時に、調節指示部1202は、現在の合計角度θからRAM124に記憶されている車両姿勢角度基準値を減算して路面角度θrを得る。そして、得られた路面角度θrを新たな基準値としてRAM124に記憶する。これにより、路面角度θrの変化と推定される車両走行中の合計角度θの変化が、路面角度基準値に取り込まれる。なお、調節指示部1202は、車両停止時に走行前後での合計角度θの差分を算出し、この差分を路面角度基準値に算入して新たな路面角度基準値を算出してもよい。
車両停止中、調節指示部1202は、所定のタイミングで繰り返し車両姿勢角度θvを計算する。調節指示部1202は、現在の合計角度θからRAM124に記憶されている路面角度基準値を減算して車両姿勢角度θvを得る。そして、得られた車両姿勢角度θv新たな基準値としてRAM124に記憶する。これにより、車両姿勢角度θvの変化と推定される車両停止中の合計角度θの変化が、車両姿勢角度基準値に取り込まれる。なお、調節指示部1202は、例えば前回検出した合計角度θと現在の合計角度θとの差分を算出し、この差分を車両姿勢角度基準値に算入して新たな車両姿勢角度基準値を算出してもよい。
そして、調節指示部1202は、得られた車両姿勢角度θv(更新した車両姿勢角度基準値を含む)を用いて光軸制御信号を生成する。例えば、調節指示部1202は、予め記憶部108に記憶されている車両姿勢角度θvと光軸角度θoとを対応付けた変換テーブルを用いて光軸角度θoを決定する。光軸制御信号は、例えば、光軸Oが決められた光軸角度θoとなるようレベリングアクチュエータ226を駆動させるために必要な電圧である。生成された光軸制御信号は、送信部122からレベリングアクチュエータ226に送信され、レベリングアクチュエータ226の駆動により光軸Oが決定された光軸角度θoに調節される。
前記「車両走行中」は、例えば車速センサ312の検出値が0を越えたときから、車速センサ312の検出値が0となるまでの間である。前記「車両停止時」は、例えば車速センサ312の検出値が0となった後、傾斜センサ116の出力値が安定したときである。この「安定したとき」は、傾斜センサ116の検出値の単位時間あたりの変化量が所定量以下となったときとしてもよいし、車速センサ312の検出値が0になってから所定時間経過後(例えば1〜2秒後)としてもよい。前記「車両停止中」は、例えば傾斜センサ116の出力値が安定したとき(車両停止時)から車速センサ312の検出値が0を越えるまでの期間である。前記「車両走行中」、「車両停止時」、「所定量」、「所定時間」及び「車両停止中」は、設計者による実験やシミュレーションに基づき適宜設定することが可能である。
ここで、制御ECU100の駆動電源について検討する。一般に、車両の燃費向上等の観点から、車載バッテリ328の消費電力の低減が求められる。車載バッテリ328の消費電力の低減を図る方法としては、レベリングアクチュエータ226だけでなく、制御ECU100についても、イグニッションスイッチ326を介して車載バッテリ328と接続する構成、すなわちイグニッション電源とすることが考えられる。また、イグニッションスイッチ326がオフの状態では車両300が走行することはなく、したがってオートレベリング制御を実行する必要性も低い。このため、イグニッションスイッチ326がオフの状態では制御ECU100に電力を供給する必要性も低いため、制御ECU100の駆動電源をイグニッション電源とすることが好ましい。
しかしながら、制御ECU100の駆動電源をイグニッション電源とした場合、イグニッションスイッチ326がオフになって車載バッテリ328からの電力供給が停止すると、RAM124に記憶されている路面角度基準値及び車両姿勢角度基準値が消えてしまう。このため、イグニッションスイッチ326がオフ状態に移行した場合、RAM124により保持している路面角度基準値及び車両姿勢角度基準値を、不揮発性メモリである記憶部108に書き込む必要がある。
ここで、基準値の書き込み動作に必要な電力の供給状態について説明する。図4(A)は、比較例に係る制御ECUにおける供給電力の時間変化を示すタイムチャートである。図4(B)は、実施形態1に係る制御ECUにおける供給電力の時間変化を示すタイムチャートである。図4(A)及び図4(B)の縦軸は電源電圧(V)を示し、横軸は時間(t)を示す。
路面角度基準値及び車両姿勢角度基準値の書き込みは、イグニッションスイッチ326のオフ状態が検知された後に実行される。一方、イグニッションスイッチ326がオフになると、車載バッテリ328から制御ECU100への電力の供給が停止し、基準値の書き込み動作も停止してしまう。したがって、イグニッションスイッチ326のオフ状態の検知から基準値の書き込み動作が終了するまでの間、基準値の書き込み動作に必要な電力を確保する必要がある。
この電力は、例えばイグニッションスイッチ326がオフ状態になってから、車載バッテリ328からの電力供給が停止するまでの間に車載バッテリ328から供給される電力と、車載バッテリ328の周辺や制御ECU100に設けられたコンデンサ(キャパシタ)等の蓄電素子(図示せず)から供給される電力とで賄うことが考えられる。このようにして基準値の書き込み動作に必要な電力を確保する構成、すなわちイグニッション電源から電力の供給を受けて駆動する構成を比較例とすると、比較例の制御ECUにおける供給電力は、図4(A)に示すように変化する。図4(A)の縦軸の電源電圧は、イグニッション電圧に等しい。
制御ECU100は、イグニッション電圧が所定のしきい値電圧を下回ったとき、ここではイグニッション電圧の値がV1となったとき、すなわち時間t1においてイグニッションスイッチ326のオフ状態を検知する。電源電圧は、イグニッションスイッチ326のオフ状態が検知されたときの電圧V1から徐々に減少していき、時間t2に基準値書き込み動作の下限電圧V2に達する。したがって、基準値の書き込みは、時間t1から時間t2までの間に終了させる必要がある。時間t1からの電源電圧の低下率(直線の傾き)、すなわち、時間t1から時間t2までの長さは、CPU104等のシステム負荷と蓄電素子の時定数等に依存する。このため、比較例の制御ECUでは、基準値の書き込み動作が終了するまで、必要な電力を供給できない可能性がある。
これに対し、本実施形態の制御ECU100は、イグニッションスイッチ326を介さずに車載バッテリ328に接続されているため、イグニッションスイッチ326がオフ状態に移行した後も、基準値の書き込み動作に必要な電力を確保することができる。一方で、本実施形態の制御ECU100においても、イグニッションスイッチ326がオフ状態に移行した後は、上述した車載バッテリ328の電力消費を抑えたいという要求に応えるべく、速やかに車載バッテリ328から制御ECU100への電力供給を停止させることが望ましい。
そこで、本実施形態に係る制御ECU100は、次のようにして基準値の書き込み動作に必要な電力を制御する。すなわち、基準値書き込み部1204は、電圧監視回路部114から受信したイグニッションスイッチ326の電圧がV1に達した時間t1に、イグニッションスイッチ326のオフ状態を検知する。そして、基準値書き込み部1204は、イグニッションスイッチ326のオフ状態を検知した時間t1から、RAM124に保持している路面角度基準値及び車両姿勢角度基準値の記憶部108への書き込みを実行する。基準値書き込み部1204は、基準値の書き込みが終了すると、停止信号生成部1210に対して基準値の書き込みが終了したことを示す書き込み終了信号を送信する。停止信号生成部1210は書き込み終了信号を受信すると、車載バッテリ328からの電力供給の停止を指示する停止信号を生成し、回路制御部112に送信する。回路制御部112は、停止信号を受信すると駆動回路部110のスイッチ1102をオフ状態に移行させる。この結果、車載バッテリ328から制御ECU100への電力の供給が停止する。
これにより、電源電圧が基準値書き込み部1204の駆動の下限電圧V2に達する時間t3までの長さを、基準値書き込み処理に要する時間に合わせて調整することができる。このため、基準値書き込み部1204は、より確実に路面角度基準値及び車両姿勢角度基準値を記憶部108に書き込むことができる。また、回路制御部112が停止信号を受けて車載バッテリ328からの電力供給を停止させることで、消費電力の増大を抑制することができる。
イグニッションスイッチ326がオン状態に移行する際、制御ECU100は、以下の制御を実行する。すなわち、イグニッションスイッチ326がオン状態に移行すると、イグニッションスイッチ326から回路制御部112に、イグニッションスイッチ326のオン状態を示すイグニッション電圧が印加される。回路制御部112は、当該イグニッション電圧が印加されるとスイッチ1102をオン状態に移行させる。これにより、車載バッテリ328から制御ECU100への電力供給が開始される。
また、イグニッションスイッチ326がオフの状態では、車両300が移動して路面角度θrが変化することは稀である。このため、イグニッションスイッチ326のオフからオンまでの間の合計角度θの変化を、車両姿勢角度θvの変化と推定することができる。そこで、調節指示部1202は、イグニッションスイッチ326がオン状態に移行した場合、起動後の最初の制御として、現在の傾斜センサ116の出力値から得られる合計角度θから、記憶部108から読み出した路面角度基準値を減算して、現在の車両姿勢角度θvを得る。そして、得られた車両姿勢角度θvを基準値としてRAM124に保持する。また、得られた車両姿勢角度θvを用いて光軸制御信号を生成する。これにより、イグニッションスイッチ326がオフにされている間の車両姿勢角度θvの変化を基準値に取り込むことができ、また光軸角度θoを適切な位置に調節できる。このため、オートレベリング制御の精度を高めることができる。
続いて、レベリングアクチュエータ226の駆動電源と制御ECU100の駆動電源との違いがオートレベリング制御に与える影響について検討する。上述のように、レベリングアクチュエータ226の駆動電源がイグニッション電源であるのに対し、本実施形態に係る制御ECU100の駆動電源は、イグニッションスイッチ326を介さずに車載バッテリ328から直に電力が供給されるバッテリ電源である。イグニッションスイッチ326を介して供給されるイグニッション電圧と車載バッテリ328から直に供給されるバッテリ電圧とには電位差が生じることがあり、この電位差はオートレベリング制御の精度を低下させる原因となり得る。以下、この電位差を考慮しないオートレベリング制御を比較例として挙げて、上記電位差に起因するオートレベリング制御の精度低下について詳細に説明する。
比較例において、調節指示部は、アクチュエータ駆動電圧値Vaを光軸制御信号として生成する。アクチュエータ駆動電圧値Vaは、光軸Oが傾斜センサ116の出力値に対応する光軸角度θoとなるようレベリングアクチュエータ226を駆動させるために必要な電圧値であり、バッテリ電圧VBに係数Pa(%)を乗じて得られる(Va=VB×Pa)。例えば、調節指示部は、予め記憶部108に記憶されている光軸角度θoと係数Paを対応付けた変換テーブルを用いて係数Paを決定する。係数Paは、制御ECU側における光軸角度θoの変位の目標値に相当する。そして、調節指示部は、アクチュエータ駆動電圧値Vaを光軸制御信号としてレベリングアクチュエータ226に送信する。
レベリングアクチュエータ226では、アクチュエータ駆動電圧値Vaに対応する電圧値がレベリングアクチュエータ226に供給される。具体的には、イグニッション電圧VIに係数Pb(%)を乗じて得られる値のアクチュエータ駆動電圧Vbがレベリングアクチュエータ226に供給される。この結果、供給されたアクチュエータ駆動電圧Vb分だけレベリングアクチュエータ226が駆動して、灯具ユニット10の光軸角度θoが変位する。係数Pbは、レベリングアクチュエータ226側における光軸角度θoの変位の目標値に相当する。
ここで、アクチュエータ駆動電圧値Vaとアクチュエータ駆動電圧値Vbは等しいため、バッテリ電圧VBとイグニッション電圧VIとの間に電位差がない場合(VI=VB)、係数Paと係数Pbとは一致する。すなわち、光軸角度θoの変位についての制御ECU100側の目標値とレベリングアクチュエータ226側の目標値とが一致する。これに対し、バッテリ電圧VBとイグニッション電圧VIとの間に電位差がある場合、係数Paと係数Pbとは一致しない。すなわち、光軸角度θoの変位についての制御ECU100側の目標値とレベリングアクチュエータ226側の目標値とが一致しない。したがって、制御ECU100側で決定した光軸角度θoの変位量と、レベリングアクチュエータ226側で実際に変位させた光軸角度θoの変位量とに差が生じる(以下では適宜、この差を「変位量差」と称する)。この結果、比較例のオートレベリング制御では、その精度が低下してしまう。
比較例では、バッテリ電圧VBとイグニッション電圧VIの電位差を考慮せず、制御部が制御ECU側で定めたアクチュエータ駆動電圧値Vaを出力するため、光軸角度θoに誤差が生じている。これに対し、本実施形態の制御ECU100では、制御部120が、傾斜センサ116の出力値に対応するアクチュエータ駆動電圧値Vaを、駆動回路部110を介して制御ECU100に供給される電圧、すなわちバッテリ電圧VBと、電圧監視回路部114を介して得られる車載バッテリ328の電圧、すなわちイグニッション電圧VIとの電位差分だけ補正し、得られた補正電圧値を光軸制御信号としてレベリングアクチュエータ226に出力する。
具体的には、調節指示部1202は、光軸制御信号としてのアクチュエータ駆動電圧値Vaを信号補正部1206に送信する。信号補正部1206は、アクチュエータ駆動電圧値Vaを受けると、バッテリ電圧VBとイグニッション電圧VIとの比率である補正係数α(α=VI/VB)をアクチュエータ駆動電圧値Vaに乗じて補正電圧値Vcを算出する(Vc=Va×α)。そして、補正電圧値Vcを光軸制御信号としてレベリングアクチュエータ226に送信する。レベリングアクチュエータ226には、補正電圧値Vcに対応する電圧値が供給される。具体的には、イグニッション電圧VIに係数Pb(%)を乗じて得られるアクチュエータ駆動電圧Vbがレベリングアクチュエータ226に供給される。
アクチュエータ駆動電圧値Vbと補正電圧値Vcとは等しい値となる。ここで、Vb=VI×Pb、Vc=α×Va、Va=VB×Pa、α=VI/VBであるため、バッテリ電圧VBとイグニッション電圧VIとの間に電位差があっても、Pa=Pbとなる。すなわち、光軸角度θoの変位についての制御ECU100側の目標値とレベリングアクチュエータ226側の目標値とが一致する。よって、本実施形態の制御ECU100によれば、イグニッション電圧VIとバッテリ電圧VBとの電位差に起因してオートレベリング制御の精度が低下してしまうことを抑制することができる。
図5は、実施形態1に係るレベリングECUが実行するオートレベリング制御の一例を示すフローチャートである。このフローは、例えばライトスイッチ304によってオートレベリング制御モードの実行指示がなされている状態において、イグニッションスイッチがオンにされた場合に制御部120により所定のタイミングで繰り返し実行され、イグニッションスイッチがオフにされた場合に終了する。
まず、制御部120は、車両300が停車しているか判断する(S101)。車両300が停車していない場合(S101のN)、すなわち車両300が走行中である場合、制御部120は本ルーチンを終了する。車両300が停車している場合(S101のY)、制御部120は、ステップS101における前回の停車判定において車両300が走行中(S101のN)であったか判断する(S102)。前回の判定が走行中であった場合(S102のY)、制御部120は、現在の合計角度θから車両姿勢角度θvの基準値を減算して路面角度θrを算出する(S103)。そして、得られた路面角度θrを新たな路面角度θrの基準値として更新し(S104)、ステップS108に移行する。
前回の判定が走行中でなかった場合(S102のN)、制御部120は、現在の合計角度θから路面角度θrの基準値を減算して、車両姿勢角度θvを算出する(S105)。そして、得られた車両姿勢角度θvを新たな車両姿勢角度θvの基準値として更新する(S106)。また、得られた車両姿勢角度θvあるいは車両姿勢角度θvの基準値を用いてレベリング制御を実施し(S107)、ステップS108に移行する。
ステップS108において、制御部120は、イグニッションスイッチ326がオフ状態に移行したか判断する(S108)。イグニッションスイッチ326がオフ状態に移行していない場合(S108のN)、制御部120は本ルーチンを終了する。イグニッションスイッチ326がオフ状態に移行した場合(S108のY)、制御部120は、RAM124に保持している路面角度基準値及び車両姿勢角度基準値を記憶部108に書き込む(S109)。基準値の書き込みが終了すると、制御部120は、車載バッテリ328からの電力供給を停止して(S110)、本ルーチンを終了する。
以上説明したように、本実施形態に係る車両用灯具の制御装置としての制御ECU100は、イグニッションスイッチ326を介さずに車載バッテリ328と制御ECU100とを接続し、制御ECU100に駆動電圧を供給する駆動回路部110と、イグニッション電圧の情報を制御ECU100に送る電圧監視回路部114と、イグニッション電圧で駆動するレベリングアクチュエータ226に光軸制御信号を出力する制御部120とを備える。そして、制御部120は、傾斜センサ116の出力値に対応するアクチュエータ駆動電圧値Vaを、バッテリ電圧VBとイグニッション電圧VIとの電位差分だけ補正し、得られた補正電圧値Vcを光軸制御信号としてレベリングアクチュエータ226に出力する。これにより、イグニッション電圧VIとバッテリ電圧VBとの電位差に起因して生じる光軸角度θoの変位量差を低減させることができる。したがって、車両用灯具のオートレベリング制御の精度を高めることができる。
(実施形態2)
実施形態2に係る制御ECU100は、制御ECU100とレベリングアクチュエータ226の駆動電源がともにバッテリ電源である点が実施形態1との主な相違点である。以下、実施形態2に係る制御ECU100について、実施形態1と異なる構成を中心に説明する。なお、実施形態1と同様の構成については同一の符号を付し、その説明及び図示は適宜省略する。
実施形態2に係る制御ECU100は、制御ECU100とレベリングアクチュエータ226の駆動電源がともにバッテリ電源である点が実施形態1との主な相違点である。以下、実施形態2に係る制御ECU100について、実施形態1と異なる構成を中心に説明する。なお、実施形態1と同様の構成については同一の符号を付し、その説明及び図示は適宜省略する。
図6は、実施形態2に係る制御ECUと前照灯ユニットの動作連携を説明する機能ブロック図である。車両用灯具の制御装置としての制御ECU100は、入力インターフェース102、CPU104、出力インターフェース106、記憶部108、電圧監視回路部114、制御装置駆動回路部410、第1回路制御部412、アクチュエータ駆動回路部414及び第2回路制御部416を備える。CPU104は、傾斜センサ116、受信部118、制御部120、送信部122及びRAM124を備える。制御部120は、調節指示部1202、基準値書き込み部1204及び停止信号生成部1210を有する。
制御装置駆動回路部410は、制御ECU100に駆動電圧を供給する回路であり、イグニッションスイッチ326を介さずに車載バッテリ328と制御ECU100を接続する。したがって、制御ECU100の駆動電源は、バッテリ電源である。制御装置駆動回路部410は、スイッチ4102を有する。第1回路制御部412は、停止信号生成部1210からの停止信号やイグニッションスイッチ326からのイグニッション電圧を受けて、スイッチ4102のオン、オフを切り替える。
アクチュエータ駆動回路部414は、レベリングアクチュエータ226に駆動電圧を供給する回路であり、イグニッションスイッチ326を介さずに車載バッテリ328とレベリングアクチュエータ226を接続する。したがって、レベリングアクチュエータ226の駆動電源は、バッテリ電源である。アクチュエータ駆動回路部414は、スイッチ4142を有する。このスイッチ4142は、イグニッションスイッチ326がオフ状態に移行すると車載バッテリ328とレベリングアクチュエータ226を切断する機能を備える。第2回路制御部416は、イグニッションスイッチ326からのイグニッション電圧を受けて、スイッチ4142のオン、オフを切り替える。
本実施形態の制御ECU100は、イグニッションスイッチ326を介さずに車載バッテリ328に接続されているため、イグニッションスイッチ326がオフ状態に移行した後も、基準値の書き込み動作に必要な電力を確保することができる。基準値書き込み部1204は、電圧監視回路部114から受信したイグニッション電圧からイグニッションスイッチ326のオフ状態を検知し、路面角度基準値及び車両姿勢角度基準値の記憶部108への書き込みを実行する。基準値の書き込みが終了すると、停止信号生成部1210は停止信号を生成し、第1回路制御部412に送信する。第1回路制御部412は、停止信号を受信すると制御装置駆動回路部410のスイッチ4102をオフ状態に移行させる。
また、第2回路制御部416は、イグニッションスイッチ326からイグニッションスイッチ326のオフ状態を示すイグニッション電圧を受けると、スイッチ4142をオフ状態に移行させる。これにより、レベリングアクチュエータ226の駆動電源を、擬似的にイグニッション電源とすることができ、車載バッテリ328の電力消費を抑制することができる。
イグニッションスイッチ326がオン状態に移行すると、イグニッションスイッチ326から第1回路制御部412及び第2回路制御部416にイグニッションスイッチ326のオン状態を示すイグニッション電圧が印加される。第1回路制御部412、第2回路制御部416はそれぞれ、当該イグニッション電圧が印加されるとスイッチ4102、スイッチ4142をオン状態に移行させる。これにより、車載バッテリ328から制御ECU100及びレベリングアクチュエータ226への電力供給が開始される。
本実施形態の制御ECU100では、制御ECU100とレベリングアクチュエータ226の駆動電圧を、ともにバッテリ電源としている。このため、イグニッション電圧VIとバッテリ電圧VBとの電位差に起因する光軸角度θoの変位量差が生じることを回避できる。この結果、車両用灯具のオートレベリング制御の精度を高めることができる。
(実施形態3)
実施形態3に係る制御ECU100は、制御ECU100とレベリングアクチュエータ226の駆動電源がともにイグニッション電源である点が実施形態1との主な相違点である。以下、実施形態3に係る制御ECU100について、実施形態1と異なる構成を中心に説明する。なお、実施形態1と同様の構成については同一の符号を付し、その説明及び図示は適宜省略する。
実施形態3に係る制御ECU100は、制御ECU100とレベリングアクチュエータ226の駆動電源がともにイグニッション電源である点が実施形態1との主な相違点である。以下、実施形態3に係る制御ECU100について、実施形態1と異なる構成を中心に説明する。なお、実施形態1と同様の構成については同一の符号を付し、その説明及び図示は適宜省略する。
図7は、実施形態3に係る制御ECUと前照灯ユニットの動作連携を説明する機能ブロック図である。車両用灯具の制御装置としての制御ECU100は、入力インターフェース102、CPU104、出力インターフェース106、記憶部108、回路制御部112、第1駆動回路部510及び第2駆動回路部512を備える。CPU104は、傾斜センサ116、受信部118、制御部120、送信部122及びRAM124を備える。制御部120は、調節指示部1202、基準値書き込み部1204、電力供給維持部1208及び停止信号生成部1210を有する。
第1駆動回路部510は、制御ECU100に駆動電圧を供給する回路であり、イグニッションスイッチ326を介して車載バッテリ328と制御ECU100を接続する。第2駆動回路部512は、制御ECU100に駆動電圧を供給する回路であり、イグニッションスイッチ326を介さずに車載バッテリ328と制御ECU100とを接続する。第2駆動回路部512は、スイッチ5122を有する。回路制御部112は、制御部120の電力供給維持部1208からの電力維持信号や、停止信号生成部1210からの停止信号を受けて、スイッチ4102のオン、オフを切り替える。
本実施形態の制御ECU100では、回路制御部112が、イグニッションスイッチ326がオンの状態では第2駆動回路部512を介した制御ECU100への駆動電圧の供給を抑制し、イグニッションスイッチ326がオフの状態では第2駆動回路部512を介して制御ECU100に駆動電圧を供給する。したがって、イグニッションスイッチ326がオンの状態では第1駆動回路部510を介して制御ECU100に駆動電圧が供給され、イグニッションスイッチ326がオフの状態では第2駆動回路部512を介して制御ECU100に駆動電圧が供給される。よって、制御ECU100の駆動電源は、オートレベリング制御実施時はイグニッション電源であり、基準値書き込み処理時はバッテリ電源である。
回路制御部112による第1駆動回路部510と第2駆動回路部512の切り替えは、電力供給維持部1208及び停止信号生成部1210によって制御される。具体的には、イグニッションスイッチ326がオフ状態に移行し、第1駆動回路部510から供給されるイグニッション電圧がイグニッションスイッチ326のオフ状態を示す電圧になると、電力供給維持部1208は、電力維持信号を生成して回路制御部112に送信する。回路制御部112は、電力維持信号を受信するとスイッチ5122をオン状態に移行させる。これにより、第2駆動回路部512を介して車載バッテリ328から制御ECU100に駆動電圧が供給される。したがって、イグニッションスイッチ326がオフ状態に移行した後も、車載バッテリ328から制御ECU100への電力供給を維持することができる。
基準値書き込み部1204は、第1駆動回路部510から受けるイグニッション電圧に基づいてイグニッションスイッチ326のオフ状態を検知し、路面角度基準値及び車両姿勢角度基準値の記憶部108への書き込みを実行する。基準値の書き込みが終了すると、停止信号生成部1210は停止信号を生成し、回路制御部112に送信する。回路制御部112は、停止信号を受信するとスイッチ5122をオフ状態に移行させる。これにより、車載バッテリ328から制御ECU100への電力供給が停止する。その後、イグニッションスイッチ326がオン状態に移行すると、イグニッションスイッチ326から第1駆動回路部510を介して制御ECU100に駆動電圧が供給される。
上述のように、本実施形態の制御ECU100では、イグニッションスイッチ326がオフ状態に移行した後も、第2駆動回路部512を介して基準値の書き込み動作に必要な電力を確保することができる。また、オートレベリング制御実施時の制御ECU100の駆動電源は、レベリングアクチュエータ226の駆動電源と同じくイグニッション電源である。このため、イグニッション電圧VIとバッテリ電圧VBとの電位差に起因する光軸角度θoの変位量差が生じることを回避できる。この結果、車両用灯具のオートレベリング制御の精度を高めることができる。なお、基準値書き込み処理時の制御ECU100の駆動電源はバッテリ電源であるが、基準値書き込み処理時はレベリングアクチュエータ226は駆動しないため、バッテリ電圧VBとイグニッション電圧VIとの電位差によるオートレベリング制御の精度低下を考慮する必要はない。
本発明は、上述の各実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更などの変形を各実施形態に加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれる。上述の各実施形態と変形との組合せによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態及び変形それぞれの効果をあわせもつ。
上述の各実施形態では、傾斜センサ116として加速度センサを用いているが、傾斜センサ116は、ジャイロセンサ(角速度センサ、角加速度センサ)や地磁気センサ等であってもよい。上述した実施の形態では、路面角度基準値及び車両姿勢角度基準値が記憶部108に記憶されるが、少なくとも路面角度基準値が記憶されればよい。
10 灯具ユニット、 100 制御ECU、 108 記憶部、 110 駆動回路部、 112 回路制御部、 114 電圧監視回路部、 116 傾斜センサ、 120 制御部、 326 イグニッションスイッチ、 328 車載バッテリ、 410 制御装置駆動回路部、 414 アクチュエータ駆動回路部、 510 第1駆動回路部、 512 第2駆動回路部、 5122 スイッチ。
Claims (5)
- 車両の傾斜センサの出力値に基づいて車両用灯具の光軸を制御する車両用灯具の制御装置であって、
イグニッションスイッチを介さずに車載バッテリと前記制御装置とを接続し、前記制御装置に駆動電圧を供給する駆動回路部と、
イグニッションスイッチを介した場合の前記車載バッテリの電圧情報を前記制御装置に送る電圧監視回路部と、
イグニッションスイッチを介して車載バッテリから駆動電圧を供給されて車両用灯具の光軸を変位させるアクチュエータに制御信号を出力する制御部と、を備え、
前記制御部は、傾斜センサの出力値に対応するアクチュエータ駆動電圧値を、前記駆動回路部を介して前記制御装置に供給される電圧と前記電圧監視回路部を介して得られる前記車載バッテリの電圧との電位差分だけ補正し、得られた補正電圧値を前記制御信号として前記アクチュエータに出力することを特徴とする制御装置。 - 車両の傾斜センサの出力値に基づいて車両用灯具の光軸を制御する車両用灯具の制御装置であって、
前記制御装置に駆動電圧を供給する制御装置駆動回路部と、
車両用灯具の光軸を変位させるアクチュエータに駆動電圧を供給するアクチュエータ駆動回路部と、
前記アクチュエータに制御信号を出力する制御部と、を備え、
前記制御装置駆動回路部は、イグニッションスイッチを介さずに車載バッテリと前記制御装置を接続し、
前記アクチュエータ駆動回路部は、イグニッションスイッチを介さずに車載バッテリと前記アクチュエータを接続することを特徴とする制御装置。 - 前記イグニッションスイッチがオフ状態に移行すると前記車載バッテリと前記アクチュエータを切断するスイッチを備える請求項2に記載の制御装置。
- 車両の傾斜センサの出力値に基づいて車両用灯具の光軸を制御する車両用灯具の制御装置であって、
イグニッションスイッチを介して車載バッテリと前記制御装置を接続し、前記制御装置に駆動電圧を供給する第1駆動回路部と、
イグニッションスイッチを介さずに車載バッテリと前記制御装置とを接続し、前記制御装置に駆動電圧を供給する第2駆動回路部と、
イグニッションスイッチを介して車載バッテリから駆動電圧を供給されて車両用灯具の光軸を変位させるアクチュエータに制御信号を出力する制御部と、
前記イグニッションスイッチがオンの状態では前記第2駆動回路部を介した前記制御装置への駆動電圧の供給を抑制し、前記イグニッションスイッチがオフの状態では前記第2駆動回路部を介して前記制御装置に駆動電圧を供給する回路制御部と、
を備えることを特徴とする制御装置。 - 前記傾斜センサの出力値から、水平面に対する路面の傾斜角度である路面角度、及び路面に対する車両の傾斜角度である車両姿勢角度を含む、水平面に対する車両の傾斜角度である合計角度を導出可能であり、
路面角度基準値及び車両姿勢角度基準値を不揮発的に記憶するための記憶部をさらに備え、
前記制御部は、路面角度基準値及び車両姿勢角度基準値を揮発的に保持し、
車両停止中、合計角度と保持している路面角度基準値から得られる車両姿勢角度を用いて光軸制御信号を生成し、得られる車両姿勢角度を新たな基準値として保持し、
車両走行中、前記光軸制御信号の生成又は出力を回避するか光軸維持信号を出力し、合計角度と保持している車両姿勢角度基準値から得られる路面角度を新たな基準値として保持し、
前記イグニッションスイッチがオフ状態に移行すると、保持している路面角度基準値及び車両姿勢角度基準値のうち少なくとも路面角度基準値を前記記憶部に書き込む請求項1乃至4のいずれか1項に記載の制御装置。
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JP2013252097A Pending JP2015107758A (ja) | 2013-12-05 | 2013-12-05 | 車両用灯具の制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2015107758A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023067978A1 (ja) * | 2021-10-20 | 2023-04-27 | 株式会社小糸製作所 | レベリング角度制御システム |
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2013
- 2013-12-05 JP JP2013252097A patent/JP2015107758A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2023067978A1 (ja) * | 2021-10-20 | 2023-04-27 | 株式会社小糸製作所 | レベリング角度制御システム |
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