JP2014093852A - 永久磁石式同期モータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 コイル3を集中巻きした円筒状ステータ4と、外周部に周方向等間隔に永久磁石5を配置したロータ6とを備えている。ステータ4のモータ電圧の波形の頂を、ロータ6の外周部形状を円弧膨出状磁極部8と略三日月状凹部9とを形成することにより頂高さを低く抑え、磁極部8に複数本のスリット10を形成することにより頂高さを低く抑えるとともに時間方向の幅を広げ、中央磁路12の幅を側部磁路13の幅より広く形成することにより頂高さを高くするとともに時間方向の幅を更に広げ、側部磁路13から側部スリット10eを介在して端部磁路14を形成しかつ端部磁路14に隣接して凹部9を形成することにより、モータ電圧波形の頂から裾野へスムーズな傾斜面Eに形成する。
【選択図】図1
Description
また、特許文献2に開示されるように、ロータの外周部の形状を、永久磁石を挿入したスロットの径外側の磁極部を磁極中心を境にして周方向に次第に径小となる曲面の円弧膨出状に形成し、この円弧膨出状磁極部間を凹部で繋いで、ティースとの間隙を変化させるようにしている。
本発明は、このような従来技術の問題点を解決できるようにした永久磁石式同期モータを提供することを目的とする。
第1に、コイル3を集中巻きした円筒状ステータ4と、外周部に周方向等間隔に永久磁石5を配置したロータ6とを備えており、前記ロータ6の外周部には、永久磁石を挿入したスロット7と、このスロット7の径外側で外周面が磁極中心dを境にして周方向に次第に径小となる曲面の円弧膨出状磁極部8と、この磁極部8間を繋ぐ略三日月状凹部9とが形成されており、
前記各磁極部8には、永久磁石5の磁極面Gと直交する方向に長いスリット10が磁極中心dを境にして対称状に複数本平行に形成されていて、中心側スリット10s間に磁束が通る中央磁路12が形成され、中心側スリット10sとその両側の側部スリット10e
との間に磁束が通る側部磁路13が形成され、両側部スリット10eより磁極部8の端部側に磁束が通る端部磁路14が形成されており、
前記ステータ4のモータ電圧の波形の頂Aを、ロータ6の外周部形状を円弧膨出状磁極部8と略三日月状凹部9とを形成することにより頂高さを低く抑え、磁極部8に複数本のスリット10を形成することにより頂高さを低く抑えるとともに時間方向の幅を広げ、中央磁路12の幅を側部磁路13の幅より広く形成することにより頂高さを高くするとともに時間方向の幅を更に広げており、
側部磁路13から側部スリット10eを介在して端部磁路14を形成しかつ端部磁路14に隣接して凹部9を形成することにより、モータ電圧波形の頂Aから裾野Bへスムーズな傾斜面Eに形成していることを特徴とする。
第3に、前記ロータ6の円弧膨出状磁極部8と略三日月状凹部9とで形成される外周面とステータ4の内周面との間に形成されるエアギャップHにおける磁束密度分布を略正弦波形に設定していることを特徴とする。
第5に、前記中央磁路12と側部磁路13との幅比を12対8〜11に設定していることを特徴とする。
第6に、前記凹部9は、磁極部8の外周面の端部からロータ径内方向に傾斜した前後側壁9f、9rと、この前後側壁9f、9rを繋ぐ底壁9cとを有し、前記底壁9cは永久磁石5の磁極面Gよりロータ中心側に位置していることを特徴とする。
即ち、請求項1に係る発明は、ロータ6の外周部に円弧膨出状磁極部8と略三日月状凹部9とを形成し、磁極部8に、磁極中心dから順次、中央磁路12、中心側スリット10s、側部磁路13、側部スリット10e、端部磁路14を形成し、ステータ4のモータ電圧の波形の頂Aを、磁極部8と凹部9のロータ外周形状により頂高さを低く抑え、複数本の平行なスリット10で頂高さを低く抑えかつ時間方向の幅を広げ、中央磁路12の幅を側部磁路13の幅より広く形成して頂高さを高くしかつ時間方向の幅を更に広げ、側部磁路13、側部スリット10e、端部磁路14及び凹部9を形成して頂Aから裾野Bへスムーズな傾斜面Eに形成しているので、モータ電圧波形の大きな歪みを減少して、理想の正弦波形に近づくように波形整形でき、トルクリプルを抑えることができる。
請求項3に係る発明は、エアギャップHにおける磁束密度分布を略正弦波形に設定しているので、モータ電圧波形の波形整形を容易にできる。
請求項5に係る発明は、中央磁路12と側部磁路13との幅比は12対8〜11に設定されているので、モータ電圧波形の頂Aの高さを適正に抑えることができる。
図1〜5に示す永久磁石式同期モータ1は、集中巻き方式の永久磁石埋込型同期電動機(IPMSM)であり、モータジェネレータにも使用可能な電動機である。
永久磁石式同期モータ1は、コイル(巻線)3を集中巻きした円筒状ステータ4と、外周部に周方向等間隔に永久磁石5を配置したロータ6と、このロータ6をキー16を介して取り付けたモータ軸17とを備えている。
ロータ6は、例えば、薄いけい素鋼板を複数枚積層した回転子鉄心の外周部に周方向30度間隔をおいてスロット7を形成し、そのスロット7内に永久磁石5を埋設している。永久磁石5は外周側の磁極面GがS極になるものとN極になるものとがロータ6の周方向に交互に配置されている。
前記凹部9は、磁極部8の外周面の端部からロータ径内方向に傾斜した前後側壁9f、9rと、この前後側壁9f、9rを繋ぐ底壁9cとが形成され、ロータ径方向において前記底壁9cは永久磁石5の磁極面Gよりロータ中心側に位置されている。凹部9はq軸を中心に周方向対称形状である。
これにより、ロータ6の外周面とティース4aの内周面との間の磁極間距離が、ロータ6の周方向にスムーズ(正弦波的)に変化するようになっている。即ち、ロータ6の円弧膨出状磁極部8と略三日月状凹部9とで形成される外周面とステータ4の内周面との間に形成されるエアギャップHにおける磁束密度分布を略正弦波形に設定している。
前記各磁極部8には、永久磁石5の磁極面Gと直交する方向に長いスリット10が磁極中心dを境にして対称状に4本形成されていて、2本の中心側スリット10s及び2本の側部スリット10eは磁極中心dと平行に形成されている。
前記中央磁路12は側部磁路13より幅広に形成されており、中央磁路12、側部磁路13及びスリット10の幅の寸法比は、例えば、6:5:2になっており、中央磁路12及び側部磁路13の幅は磁束飽和を生じない寸法に設定されている。
磁極部8が円弧膨出状であり、各スリット10は磁極部8の円弧外周面から一定距離離
れているので、中心側スリット10sは側部スリット10eより長くなっている。この各スリット10は磁極面Gの真上に横磁場を通さないので、永久磁石5の磁極面Gから出てくる磁束を、中央磁路12及び側部磁路13内で横流れのないように案内し、ティース4aの内周面に垂直入射させることができる。この磁束がティース4aの内周面に垂直入射することは、モータ電圧波形の高調波成分が減少することになる。
同期モータ1は3相交流をコイル3に流すことによりティース4aに磁場を発生し、ロータ6の永久磁石5と吸引力を発生してロータ6を回転する。その際の磁力線の流れは図3に示される。
永久磁石5の磁極中心dがティース4aの中心と一致した時が吸引力最大の状態であり、中央磁路12より幅狭の側部磁路13はスリット10で磁束が絞られて密度が高くなっており、中央磁路12は幅広であることにより、磁束が余り絞られなく、磁束密度が低くなっており、結果的に中央磁路12と側部磁路13は磁束本数に大差がない。なお、2つの小磁石5aの境目は中央磁路12に対応している。
長点線波IIでは2点鎖線波Iに比べて、波形の頂Aの高さは低くなり、谷Cの深さは余り変化ないが、小山Dは低くなっており、ロータ6の外周部形状を円弧膨出状磁極部8と略三日月状凹部9とを形成することにより頂Aの高さが低く抑えられ、電圧波形のピークが緩和され、電圧波形正弦率はやや高く(86%→88%)なり、トルク30Nmを基準にした上下振幅が小さくなっており、トルクリプルが大きく低減(18%→9%)することになる。
短点線波IIIでは長点線波IIに比べて、波形の頂Aの高さが大幅に低くなり、理想正弦波形Vより低い谷Cは存在するが、谷Cと小山Dの区別がつかなくなっており、頂Aの高さを低く抑えるとともに時間方向の幅が若干広げられており、磁極部8に複数本のスリット10を形成することにより、長点線波IIより更に正弦率は向上(88%→95%)するものの、トルク30Nmを基準にした上振幅は2点鎖線波Iと略同じであるが、下振幅は2点鎖線波Iよりも大きくなっており、トルクリプルが悪化(9%→23%)している。
前記実施形態の同期モータ1の電圧波形IVは、理想的な正弦波形に近くなると同時に、トルク30Nmを基準にした上振幅は多少存在するものの、下振幅は解消し、トルクリプルも最小に抑えられている。
前述の如く、同期モータ1のモータ電圧波形が理想の正弦波形に近くなると、モータ制御が容易になり、高調波に起因するモータ損失が減少し、モータ効率が向上する。また、波形の頂Aが低くなって、電圧ピーク値が減少するため、基底速度が上昇してモータの高速化が可能になり、波形の頂Aから裾野Bにかけて凹凸が無くなることにより、コギングトルクあるいはトルクリプルがスムーズになる。
例えば、同期モータ1は、12極18スロットに限られず、その他の複数極複数スロットのものでもよい。
また、中心側スリット10s及び側部スリット10eは、線形、長円形、長楕円形、円形、多角形等に形成することができる。
永久磁石5は、1個の磁石の磁極面Gを磁極部8の円弧外周と同様な円弧面に形成したもの、2個の小磁石5aを磁極中心dに対して傾斜配置したもの、等を使用してもよい。
3 コイル
4 ステータ
4a ティース
5 永久磁石
5a 小磁石
6 ロータ
7 スロット
7a 小スロット
8 磁極部
9 凹部
9c 底壁
9f 前側壁
9r 後側壁
10 スリット
10e 側部スリット
10s 中心側スリット
12 中央磁路
13 側部磁路
14 端部磁路
A 頂
B 裾野
d 磁極中心(d軸)
E 傾斜面
G 磁極面
H エアギャップ
q q軸
Claims (6)
- コイル(3)を集中巻きした円筒状ステータ(4)と、外周部に周方向等間隔に永久磁石(5)を配置したロータ(6)とを備えており、前記ロータ(6)の外周部には、永久磁石を挿入したスロット(7)と、このスロット(7)の径外側で外周面が磁極中心(d)を境にして周方向に次第に径小となる曲面の円弧膨出状磁極部(8)と、この磁極部(8)間を繋ぐ略三日月状凹部(9)とが形成されており、
前記各磁極部(8)には、永久磁石(5)の磁極面(G)と直交する方向に長いスリット(10)が磁極中心(d)を境にして対称状に複数本平行に形成されていて、中心側スリット(10s)間に磁束が通る中央磁路(12)が形成され、中心側スリット(10s)とその両側の側部スリット(10e)との間に磁束が通る側部磁路(13)が形成され、両側部スリット(10e)より磁極部(8)の端部側に磁束が通る端部磁路(14)が形成されており、
前記ステータ(4)のモータ電圧の波形の頂(A)を、ロータ(6)の外周部形状を円弧膨出状磁極部(8)と略三日月状凹部(9)とを形成することにより頂高さを低く抑え、磁極部(8)に複数本のスリット(10)を形成することにより頂高さを低く抑えるとともに時間方向の幅を広げ、中央磁路(12)の幅を側部磁路(13)の幅より広く形成することにより頂高さを高くするとともに時間方向の幅を更に広げており、
側部磁路(13)から側部スリット(10e)を介在して端部磁路(14)を形成しかつ端部磁路(14)に隣接して凹部(9)を形成することにより、モータ電圧波形の頂(A)から裾野(B)へスムーズな傾斜面(E)に形成していることを特徴とする永久磁石式同期モータ。 - 前記スリット(10)は各磁極部(8)に2本の中心側スリット(10s)と2本以上の側部スリット(10e)とが形成され、前記モータ電圧波形の裾野(B)における頂(A)側の部分を、側部スリット(10e)と端部磁路(14)と磁極部(8)の円弧面とを形成することにより裾野(B)の高さを低く抑えていることを特徴とする請求項1に記載の永久磁石式同期モータ。
- 前記ロータ(6)の円弧膨出状磁極部(8)と略三日月状凹部(9)とで形成される外周面とステータ(4)の内周面との間に形成されるエアギャップ(H)における磁束密度分布を略正弦波形に設定していることを特徴とする請求項1又は2に記載の永久磁石式同期モータ。
- 前記永久磁石(5)及びスロット(7)は、各磁極部(8)の磁極中心(d)を境にして、小磁石(5a)及び小スロット(7a)を2個対称配置していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の永久磁石式同期モータ。
- 前記中央磁路(12)と側部磁路(13)との幅比を12対8〜11に設定していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の永久磁石式同期モータ。
- 前記凹部(9)は、磁極部(8)の外周面の端部からロータ径内方向に傾斜した前後側壁(9f、9r)と、この前後側壁(9f、9r)を繋ぐ底壁(9c)とを有し、前記底壁(9c)は永久磁石(5)の磁極面(G)よりロータ中心側に位置していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の永久磁石式同期モータ。
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