以下、実施形態に係るワイヤーハーネス配索構造部10について説明する(図1、図2参照)。このワイヤーハーネス配索構造部10は、自動車の車体2とドア6との間にワイヤーハーネスWHを配索するものである。
ワイヤーハーネスWHは、ドア6に搭載されるパワーウインドウ、ドアロック、サイドミラー用モータ、スピーカー、スイッチ系統等の電気機器に対して電源供給又は信号伝達するための複数の電線が、配索経路に対応して束ねられて構成されている。ここで、ワイヤーハーネスWHのうち車体2からドア6に架け渡される部分は、上記複数の電線が1本に束ねられて構成されている。そして、ワイヤーハーネスWHは、ドア6内で分岐され上記各種電気機器に接続される。
ドア6は、車体2に形成されている出入口を開閉可能なように、車体2に対してドアヒンジ5及び開度規制部3を介して連結されている(図1、図3参照)。ここで、車体2とは、金属部材で形成されたフレーム部分を言うものとする。ここでは、対象とするドア6は、フロントサイドドアであり、説明の便宜上、垂直方向に沿った軸(ドアヒンジ5の回転軸)周りに姿勢変更するように車体2に連結されているものとする。以下、ドア6について、開閉姿勢に関わらず、閉姿勢における前後方向をドア6の前後方向として説明する。
上記開度規制部3(ドアチェックリンクとも言う)は、ドア6を所定の開度で維持するための部材であり、アーム部とケース部とを備えている。アーム部は、長手方向複数位置に他の部分より肉薄な部分が形成された棒状に形成されている。ケース部は、アーム部を挟むように押圧付勢される挟持部を内部に有する筐状に形成されている。そして、ドア6の半開姿勢及び全開姿勢等の姿勢で、挟持部がアーム部の薄肉部を挟んで、ドア6の姿勢を維持する。
また、ドア6には、その周縁部に沿って防水用のウェザーストリップ6wが設けられている(図3参照)。このウェザーストリップ6wは、ドア6を閉めた状態で、車体2の開口縁部に密着して車室内外において水密状態を保持できるゴム等で形成された部材である。なお、図3ではドア6に設けられたウェザーストリップ6wのみを示しているが、車体2の出入口の開口縁部にもウェザーストリップが設けられていてもよい。すなわち、このようなウェザーストリップは、ドア6の周縁部に密着可能であるとよい。
ドア6は、金属材料で形成されたドアインナーパネル7及びその車室外側に設けられる外装部材としてのドアアウターパネルと、樹脂材料等で形成され、ドアインナーパネル7の車室内側に取り付けられる内装部材としてのトリム8とを有している(図3参照)。また、ドア6は、その前端部から内部にワイヤーハーネスWHを挿通可能に構成されている。ここでは、ドアインナーパネル7の前方側部分に、前端部で開口する凹部7hが形成され、この凹部7hを通じて車体2側からドアインナーパネル7とトリム8との間にワイヤーハーネスWHを配索するようになっている。なお、この凹部7hは、後述するプロテクタPを収容可能に形成されている。
また、車体2には、ドア6により開閉される出入口の開口縁部のうち、ドア6の閉姿勢で凹部7hの前方側開口部と対向する部分に、車体2内にワイヤーハーネスWHを配索するための孔部2hが形成されている(図1参照)。ここでは、凹部7hと孔部2hとは、車体2の前後方向において対向するように形成されている。なお、凹部7h及び孔部2hは、ドア6を閉めた状態では、車体2及びドア6により隠れるようになっている(図2参照)。
また、ここでは、ワイヤーハーネスWHは、車体2とドア6との間でウェザーストリップ6wより車室内側に配索されるため、凹部7hの前方側開口及び孔部2hは、当該ウェザーストリップ6wより車室内側に形成されている(図2参照)。ウェザーストリップがドア6の内外方向に複数設けられている場合、上記ウェザーストリップ6wとは、最も車室外側に配設されるウェザーストリップをいい、ワイヤーハーネスWHもこのウェザーストリップ6wより車室内側に配索されればよい。すなわち、車体2とドア6との間に配索されるワイヤーハーネスWHより車室内側に別のウェザーストリップが設けられていてもよい。
ワイヤーハーネス配索構造部10は、上記ワイヤーハーネスWHと、外装部材20と、取付部材30と、プロテクタPとを備えている。
ワイヤーハーネスWHのうち車体2とドア6との間に架け渡される部分を含む部分には、外装部材20が外装されている(図4参照)。この外装部材20は、ワイヤーハーネスWHを、外部から保護すると共に、車体2とドア6との間で垂れ下がり等を抑制して支持する部材である。
外装部材20は、筒状に形成され、ワイヤーハーネスWHを内部に配設した状態で保護する。より具体的には、外装部材20には、ドア6の開閉動作に対応して車体2とドア6との間で曲がるように可撓性を(長手方向全体的に)有すると共に、少なくともワイヤーハーネスWHより高い剛性、好ましくは、車体2とドア6との間における屈曲及び垂れ下がりを抑制してワイヤーハーネスWHを支持可能な程度に高い剛性を有する部材が採用される。ここでは、外装部材20は、合成樹脂(例えば、PP(ポリプロピレン)、PA(ポリアミド)、PE(ポリエチレン))を、押出成型すると共にブロー成型或いはバキューム成型して製造されたコルゲートチューブである。コルゲートチューブは、周方向に沿った凸状の山部及び凹状の谷部が軸方向に交互に連続した部材である。そして、コルゲートチューブは、軸方向に平行な断面視において、山部の頂部とその両側の側壁部との内角、及び、谷部の底部とその両側の側壁部との内角が大小変化することにより伸縮する。つまり、コルゲートチューブは、曲げ方向に力が加えられると内周側の部分の各内角が小さくなるように変形すると共に、外周側の部分の各内角が大きくなるように変形して曲げられる。
また、この外装部材20は、扁平な形状(例えば、断面視略楕円形、略長方形等の扁平な形状)に形成されている。ここでは、角が丸められた断面視略長方形に形成されている。すなわち、断面視における長手方向に曲がり難く(剛性が高く)、短手方向に曲がりやすい(可撓性が高い)形状である。より具体的には、コルゲートチューブの軸方向の伸縮可能量は通常周方向どの部分でも変わらないため、内周側端部と外周側端部との距離が長いほど角度変化量が小さく曲がり難い。なお、ワイヤーハーネスWHは、断面視円形に形成されていても、外装部材20の内部形状に対応した断面形状に形成されていてもよい。
なお、外装部材20は、ワイヤーハーネスWHより高い剛性を有していればよく、上述したようなコルゲートチューブに限定されるものではない。例えば、外装部材として、比較的硬度が高いゴム(EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)、エラストマー等)により成形性された扁平な筒状の部材を採用することができる。
上記外装部材20の一端部は、ワイヤーハーネスWHのうち車体2内に配索される部分に対してテープT巻き等されて固定されると共に、車体2に取り付けられる取付部材30に対して固定されている(図3参照)。また、外装部材20の他端部は、ワイヤーハーネスWHに対してテープT巻き等により固定され、当該ワイヤーハーネスWHと共にドア6内で移動可能とされている(図1、図2参照)。
取付部材30は、ワイヤーハーネスWHを車体2側に配索するように、ワイヤーハーネスWHに外装されている外装部材20の一端部を車体2に取り付ける部材である(図1、図3、図4参照)。この取付部材30は、外装部材20の一端側部分に固定され、車体2に対して取り付け可能に形成されている。より具体的には、取付部材30は、車体2に形成されている孔部2hに対して押し付けることにより取り付け可能に構成されている。この取付部材30は、挿入部34と、押え部36と、車体側嵌合部38とを有している。
挿入部34は、車体2の孔部2h内に挿入可能、且つ、内側に外装部材20を配設可能な筒状に形成されている。ここでは、挿入部34は、孔部2hに対して車体2の前方(以下、挿入方向S)に向けて挿入される。挿入部34の先端側部分には、挿入部34を孔部2h内に挿入した状態で孔部2hに対して係止可能な係止部35が設けられている。この係止部35は、挿入部34の周方向複数位置(ここでは等間隔に4箇所)から外周側に突出するように形成され、それぞれ、孔部2hの周縁部に対して挿入方向S前方側から接触可能な係止面を有している。より具体的には、係止部35は、挿入部34の先端側から基端側に向けて徐々に突出寸法が大きくなるように形成されている。そして、各係止部35は、挿入部34が孔部2hに挿入される際に、挿入部34又は係止部35自身が挿入部34の内周側に弾性変形し、孔部2hを乗り越えた位置で外周側に弾性復帰して孔部2hの周縁部に係止するようになっている。
押え部36は、挿入部34の基端部に連続して設けられ、その外周側に張り出す鍔状に形成されている。この押え部36は、孔部2hの周縁部に対して、挿入方向S後方側から面接触可能である。すなわち、押え部36の外周形状は、孔部2hより大きく形成されている。
そして、挿入部34が孔部2hに挿入されると、係止部35が孔部2hの周縁部に対して挿入方向S前方側から係止すると共に、押え部36が孔部2hの周縁部に対して挿入方向S後方側から面接触する。これにより、孔部2hの周縁部が係止部35と押え部36とで挟まれて、取付部材30は車体2に対して固定される。
車体側嵌合部38は、挿入部34(及び押え部36)内に配設される外装部材20に対して、その延在方向に相対移動不能に位置決めする部分である。ここでは、車体側嵌合部38は、外装部材20としてのコルゲートチューブの凹凸外部形状に対して嵌合可能に形成されている。より具体的には、車体側嵌合部38は、挿入部34(及び押え部36)の内周部から、内周側に突出する周方向に沿った凸条に形成され、挿入方向Sにおいて、外装部材20の凹部に対応する間隔で複数設けられている。
上記取付部材30は、一対の略U字部材(ここでは、対向片の長さが異なるU字形状)を合体させることにより構成される。ここでは、一対の略U字部材の各突き合わせ部分に嵌合可能な凹凸が形成され、凹凸嵌合することにより一対の略U字部材が合体される。すなわち、一対の略U字部材により外装部材20を挟み込むことにより、車体側嵌合部38が外装部材20の外周部に対して嵌合し、取付部材30は、外装部材20に対して延在方向に相対移動不能に取り付けられる。なお、取付部材30は、一対の略U字部材が、合体された状態において、離間不能に係合する形状を有していることが好ましいが、孔部2hに嵌合されることにより合体状態を維持されるものでもよい。また、取付部材30は、一対の略U字部材が、開閉可能なようにヒンジにより一端部で連結されていてもよい。
そして、取付部材30は、外装部材20が上下方向に扁平となる姿勢で車体2に対して取り付けられる。これにより、外装部材20の剛性が高い上下方向においてより確実に垂れ下がりが抑制され、外装部材20に挿通配設されているワイヤーハーネスWHの上下方向における屈曲を抑制することができる。
もっとも、取付部材30は、上記形状に限られるものではない。例えば、車体側嵌合部が、押え部36の基端部から挿入方向S後方に向けて突出する扁平な細長矩形状に形成されていてもよい。すなわち、挿入部34(及び押え部36)内に配設した外装部材20を、当該車体側嵌合部に対して、テープ巻き又はタイバンドで締め付ける等して固定することにより、取付部材30に対して挿入方向Sに位置決めすることができる。なお、タイバンドとは、段階的に環状体の周方向寸法を調節し保持可能な部材をいう。このような位置決め部を採用する場合、取付部材は、全体として射出成型により一体に形成されてもよい。
また、取付部材30は、車体2に取り付け可能で且つ外装部材20を固定可能であればよく、上記のような樹脂成形品に限られず、ゴム(例えば、EPDM等の合成ゴム)等のエラストマーで成形されたグロメットであってもよい。グロメットが採用されて、グロメットの一端部が車体2に固定され、他端部がプロテクタPの案内口52に固定される場合には、ワイヤーハーネスWHがグロメット内に挿通されて、外装部材20が省かれてもよい。
プロテクタPは、収容部40、案内口(「第1口部」)52、引出口(「第2口部」)44、及びドア内位置決め部(「固定部」)46を備えている(図5〜図7参照)。
プロテクタPの一端部には、外装部材20の他端側部分を挿入可能な案内口52が形成されている。案内口52は、収容部40の一端部において収容空間47と連通しており、案内口52には、外装部材20の他端部が挿入される。収容部40は、挿入された外装部材20の他端部から延出されるワイヤーハーネスWHを収容可能な収容空間47を有している。プロテクタPの他端部には、案内口52を通じて収容部40の収容空間内に進退可能に挿入されるワイヤーハーネスWHを、ドア6内(ドアインナーパネル7とトリム8との間の空間内)に引出し可能な引出口44が形成されている。引出口44は、収容部40の他端部において収容空間47と連通している。
また、プロテクタPは、引出口44でワイヤーハーネスWHを固定可能なドア内位置決め部46を有している。ドア内位置決め部46は、引出口44の開口縁部が部分的に延出した形状に形成されている(図5〜図7参照)。ドア内位置決め部46は、ワイヤーハーネスWHのうち引出口44から外部に引き出されている部分の少なくとも一部と引出口44との相対的位置関係を固定する部分である。引出口44を通じて引出されるワイヤーハーネスWHを、ドア内位置決め部46の内側に当接させた状態で、ドア内位置決め部46と一緒にテープT巻き又はタイバンドで締付けして固定(ここではテープT巻きして固定)することにより、ドア6内において位置決めすることができる。この位置決めにおいて、ワイヤーハーネスWHのうちドア内位置決め部46により固定された部分の延在方向は、ドア内位置決め部46が引出口44から延出される方向に略一致する。ワイヤーハーネスWHのうち引出口44から外部に引き出されている部分の少なくとも一部と引出口44との相対的位置関係が固定されることにより、ドア6の開閉動作時に収容部40内に車体2側のワイヤーハーネスWHが進退しても、ドア6内に配索されるワイヤーハーネスWHに対して引張り又は弛みが発生することを抑制できる。ワイヤーハーネスWHを収容部40に対して固定する構成は、上記ドア内位置決め部46に限られず、例えば、引出口44から壁状に延出するドア内位置決め部にタイバンド挿通用の孔部が複数形成され、タイバンドを孔部に挿通してワイヤーハーネスWHを締め付け固定するものであってもよい。
収容部40は、ワイヤーハーネスWHの両端側が案内口52および引出口44からそれぞれ外部に引き出されている状態で当該ワイヤーハーネスWHを収容空間47に収容する。当該収容状態において、ワイヤーハーネスWHは、案内口52から車体2内に引き出されているとともに、引出口44からドア6内に引き出されている。
ワイヤーハーネスWHにはドア6の開閉動作における車体2とドア6との間隔の変動幅に対応した余長部が設けられている。ドア6の開閉に追従して余長部が収容空間47に対して進退移動されることにより、ドア6の開閉の際に、車体2内とドア6内とのそれぞれ配線されたワイヤーハーネスWHに引張り又は弛みが発生することを抑制しつつ、ドア6をスムーズに開閉できる。すなわち、収容部40は、外装部材20の他端部から延出されるワイヤーハーネスWHを収容空間47により余長吸収可能に収容する。該余長吸収において、余長部は、収容空間47内に収容されているとともに、余長部の一部は、案内口52から車体2側へと引き出されている。
収容部40のうち案内口52に連続した部分には案内部50が形成されている。案内部50は、外装部材20のうち自由端とされた他端側部分を収容部40の中心側に向けて挿通案内可能に延在する筒状又は溝状に形成されている部分である。案内部50は、案内口52から挿入される外装部材20を収容部40の中心側に向けて案内する。
ここで、案内部50と外装部材20との関係について説明しておく。外装部材20は、一端側部分が車体2に取り付けられた取付部材30に固定された状態で、ドア6が開状態において、少なくとも他端側の一部が案内部50内に挿入される程度に長い延在寸法に設定されている。一方、案内部50は、ドア6が開閉動作される際に、ドア6内で進退される外装部材20の他端側部分を主として車室内外方向に位置規制できればよく、ここでは、ドア6の閉状態において、外装部材20の他端部を収容部40内に突出させる程度の延在寸法に設定されている。もっとも、案内部50は、上記寸法より長く、ドア6の閉状態で外装部材20の他端部まで収容可能に設定されていてもよい。また、例えば、上述のようにグロメットが採用されて外装部材20が省かれる場合などには、収容部40に案内部50を省くことや、案内部50の案内方向の長さをより短くすることが出来る。
上述したように、プロテクタPは、外装部材20の他端部から延出されるワイヤーハーネスWHを、案内口52を通じて収容部40の収容空間47内で余長吸収可能に収容し、さらに引出口44を通じてその外方すなわちドア6内に延出させる部材である。ここでは、プロテクタPにおいては、案内口52と引出口44とが略直交する方向に開口し、全体として側面視略L字形状に形成されている。すなわち、収容部40は、側面視略L字形状に形成されている。より詳細には、当該側面視略L字形状は、側面視において、L字形状の角部分が案内口52と引出口44とを結ぶ直線に対して反対側(外周側)に膨らんだ形状である。ここで、プロテクタP(ワイヤーハーネス配索構造部10)の側面とは、案内口52の開口方向(案内部50の案内方向)と引出口44の開口方向とに平行な面である。また、プロテクタPをドア6に取り付けた状態で説明すると、ドア6の前方から見たのが正面、車室内側から見たのが側面である。以下、プロテクタPの構成等について、より詳細に説明する。
収容部40は、外装部材20の他端部から延出されるワイヤーハーネスWHを、第1経路R1と、当該第1経路R1に対して中間部が離間するように膨らんだ第2経路R2との間で曲げて余長吸収可能に収容するように形成されている(図5参照)。ワイヤーハーネスWHの余長部は、開かれたドア6の閉動作に伴って外装部材20が案内部50の案内方向に沿って収容空間47内に前進移動することにより収容空間47内に押し込まれる。この際、ワイヤーハーネスWHは、第1経路R1から第2経路R2に経路変更される。また、余長部は、閉じられたドア6の開動作に伴って外装部材20が案内部50の案内方向に沿って案内口52側に移動することにより収容空間47から引き出される。この際、ワイヤーハーネスWHは、第2経路R2から第1経路R1に経路変更される。
この収容部40は、側面視において、収容空間を挟んで対向する第1壁部41と第2壁部42とを有している。第1壁部41のうち案内口52側の端部と、引出口44側の端部とが直線状に形成されるとともに、第1壁部41の他の部分は、各直線状部分同士を結ぶように略直線状の緩やかな曲線状に形成されている。第2壁部42は、第1壁部41よりも案内口52と引出口44とを結ぶ直線からより離れている。すなわち、第1壁部41と第2壁部42とのうち第2壁部42が、当該直線からより離れる方向側の壁部である。当該離れる方向には、案内部50から離間する方向(ドア6の後方側)も含まれる。
収容空間内に収容されるワイヤーハーネスWHは、ドア6の開動作によって第1経路R1を通る際に第1壁部41に近接し、ドア6の閉動作によって第2経路R2を通る際に第2壁部42に近接して配設される。すなわち、第1壁部41は、ドア6の開動作に伴って変動するワイヤーハーネスWHの経路を規制可能に構成され、第2壁部42は、ドア6の閉動作に伴って変動するワイヤーハーネスWHの経路を規制可能に構成されている。この第1壁部41及び第2壁部42は、各一端部が案内口52の対向する壁部を形成し、各他端部が引出口44の対向する壁部を形成している。より具体的には、第1壁部41は、側面視略L字形状のプロテクタPの内周側で、案内口52と引出口44とを結ぶように延在している。また、第2壁部42は、第1壁部41に対してワイヤーハーネスWHを曲げ変形可能な間隔をあけて、側面視略L字形状のプロテクタPの外周側で、案内口52と引出口44とを結ぶように延在している。
第2壁部42は、側面視において、ワイヤーハーネスWHが、案内部50の案内方向(延在方向)に沿ったライン及びドア内位置決め部46を通って当該案内方向に直交するラインを通る経路より大きく曲げられるように形成されている(後述する膨らみ部42a)。ここで、ラインを通る経路とは、側面視において、ワイヤーハーネスWHのうち収容部40内に収容されている部分が、延在方向に亘って、一部が当該ラインに重複していることをいう。すなわち、必ずしもワイヤーハーネスWHの中心軸が当該ライン上を通っている必要はない。また、大きく曲げられるとは、上記各ラインを越えて曲げられることをいう。以下、収容部40の具体的な形状について説明する。
第2壁部42は、側面視において、案内口52と引出口44とを結ぶ直線から離れる方向に膨らんで形成された膨らみ部42aを備える。膨らみ部42aは、側面視において、例えば、緩やかな曲線状に形成されている。また、当接部42bは、側面視において、第2壁部42のうち引出口44と膨らみ部42aとの間の部分に設けられている。当接部42bは、収容空間47の内壁である第2壁部42の収容空間47側の壁面の一部が収容空間47の内側に向かって凸状に湾曲するように形成されている部分である。当接部42bは、収容空間47内に収容されたワイヤーハーネスWHが収容空間47の内側に向かって凸状に湾曲するようにワイヤーハーネスWHに当接可能である。当接部42bは、少なくとも、ドア6の閉動作によって外装部材20が収容空間47内に最も深く押し込まれた状態、すなわち、収容空間47内に収容されるワイヤーハーネスWが最も長い状態において、ワイヤーハーネスWHに対して当接可能に構成されている。
また、側面視において、収容空間47のうち、当接部42bに対向する収容部40の内壁、すなわち第1壁部41の収容空間47側の壁面と、当接部42bとの間の部分には、当該対向の方向に沿ったワイヤーハーネスWHの変位を許容する許容空間48が形成されている。許容空間48により、ワイヤーハーネスWHの経路がドア6の開閉動作に応じて第1経路R1から第2経路R2に、または、第2経路R2から第1経路R1に変動する際に、ワイヤーハーネスWHのうち当接部42bに当接する部分に応力が集中することが抑制される。
収容部40は、ワイヤーハーネスWHを、第2経路R2のように、膨らみ部42aに略沿って案内口52と引出口44とを結んだ直線から離れる方向に向けて凸状に湾曲するように収容可能である。また、第2経路R2においてワイヤーハーネスWHの一部は当接部42bに当接する。より詳細には、膨らみ部42aと当接部42bとは、側面視において、ワイヤーハーネスWHの収容部40に収容された部分のうち、当接部42bに当接して収容空間47の内側に向かって凸状に湾曲している第1部分91と、膨らみ部42aに略沿って、案内口52と引出口44とを結ぶ直線から離れる方向に向けて凸状に湾曲している第2部分92とを変曲点95を介して連続させるように構成されている。
具体的には、側面視において、収容空間47の内側に向かって凸状に湾曲している当接部42bのうち膨らみ部42a側の部分49bは、収容空間47の内側に向かって凸状に湾曲して形成されている。また、側面視において、収容空間47の外側に向かって凸状に湾曲している膨らみ部42aのうち当接部42b側の部分49aは、収容空間47の外側に向かって凸状に湾曲して形成されている。そして、部分49aと部分49bとは、変曲点45を介して滑らかに連続して形成されている。
そして、ワイヤーハーネスWHがドア6の閉状態に対応して第2経路R2を通るときには、側面視において、収容空間47内のワイヤーハーネスWHのうち第2壁部42に沿った第2部分92が案内口52と引出口44とを結ぶ直線から離れる方向に向かって凸状に湾曲する。このとき第2部分92は、収容空間47の外側に向かって凸状に湾曲している。また、収容空間47内のワイヤーハーネスWHのうち第2部分92よりも引出口44側の第1部分91は、当接部42bに当接することにより膨らみ部42a側の第2部分92と反対方向、すなわち収容空間47の内側に向かって凸状に湾曲する。なお、第1部分91は、収容空間47に収容されたワイヤーハーネスWHのうち膨らみ部42aに沿った第2部分92以外の引出口44側の部分でもある。また、当接部42bは、ワイヤーハーネスWHが当接部42bに当接したときに、ワイヤーハーネスWHのうち引出口44から当接部42bにわたる部分が、ワイヤーハーネスWHのうちドア内位置決め部46により固定された部分の延在方向に対して、好ましくは、例えば、30度以内の角度で曲がるように設けられる。
また、当接部42bは、側面視において、第2壁部42のうち当接部42bよりも引出口44側の部分の壁面の平均的な曲率よりも、当接部42bの曲率の方が大きいように形成されている。これにより、収容空間47によって余長吸収がされる際に、ワイヤーハーネスWHのうちドア内位置決め部46に固定された部分と、当接部42bへの当接部分との間の部分(引出口44側の部分)についてのワイヤーハーネスWHのドア内位置決め部46に固定された部分の延在方向からの曲り角度を、当接部42bにより湾曲されて膨らみ部42a側に至る部分についての、上記の引出口44側の部分の延長方向からの曲り角度よりも小さくすることが出来る。従って、ワイヤーハーネスWHのうちドア内位置決め部46に固定された部分に生ずる応力がより低減される。
ここで、上述したドア内位置決め部46は、第1壁部41の他端部から延出する部分を一片とする平面視矩形に形成されている。すなわち、ワイヤーハーネスWHのうちドア内位置決め部46に固定される部分は、ドア内位置決め部46に接触した状態でドア内位置決め部46の延出方向に沿って延在する。ここでは、引出口44が案内口52に対して略直交する方向に開口するように形成されており、ワイヤーハーネスWHの固定部分は、側面視において、ドア内位置決め部46と共に案内部50の案内方向に略直交する方向に沿って延在している。このように、ワイヤーハーネスWHは、外装部材20の他端部及びドア内位置決め部46に対してテープT巻き固定されており、ドア6の開状態および閉状態において、両固定部分に隣接する部分が自身の剛性により緩やかに湾曲されている(第1経路R1および第2経路R2)。
図5、および後述する図8に示される例ではドア内位置決め部46は、側面視において、引出口44の縁部のうち当接部42b(142b)から遠い側に設けられているが、ドア内位置決め部46が、当接部42b(142b)から近い側に設けられたとしても本発明の有用性を損なうものではない。また、上記例では、引出口44の側面視における幅は、ワイヤーハーネスWHの径よりも大きいが、当該幅がワイヤーハーネスWHの径と略等しいとしても本発明の有用性を損なうものではない。
上記プロテクタPは、ドアインナーパネル7に形成されている凹部7h内に配設される。より具体的には、プロテクタPは、凹部7hに対して、一方向から(ここでは、凹部7hの車室内側開口を通じて車室内側から車室外側に向けて)配設可能に形成されている。
そして、プロテクタPは、案内部50がドア6の前後方向に沿って延在し、案内部50が収容部40に対して前方側に位置すると共に、引出口44がドア6の上方を向く姿勢で配設されている(図1、図2参照)。また、プロテクタPの取り付け位置について、取付部材30の車体2に対する取付け態様との関係で説明すると、取付部材30及びプロテクタPは、外装部材20が開度規制部3の下方に架け渡されるように、それぞれ、車体2に対して取り付け可能又はドア6内に配設可能に形成されている。ここでは、プロテクタPは、案内部50の案内口52が、開度規制部3のドア側連結部分の下方に位置するようにドア6内に配設可能となっている。
すなわち、凹部7hは、プロテクタPを、上記姿勢且つ上記位置で全体的又は部分的に収容可能な収容空間を有する凹形状に形成されている。そして、案内部50の案内口52は、凹部7hのうちドア6の前方の開口部を通じてドア6外に露出される。
ここで、プロテクタPのドア6に対する取り付け構造について説明しておく。プロテクタPは、ドア6のドアインナーパネル7に対して、車室外側に向けて押し付けることにより、上記取り付け姿勢及び位置に取り付け可能に形成されている。ここでは、プロテクタPは、ドアインナーパネル7(凹部7hの奥側面)に形成される孔部に対して嵌合可能な固定部58を有している。例えば、固定部58としては、プロテクタP(ここでは後述する第1部材P1)の外面から突出する基軸部と、その先端部からその外周側に拡がるように設けられると共に内周側に向けて弾性変形可能な係止部とを有する構成を採用できる。つまり、この固定部58を孔部に対して車室内側から車室外側に向けて挿入することにより、係止部が、孔部の周縁部に当接して内周側に弾性変形し、孔部を越えると外周側に弾性復帰して孔部の周縁部に対して裏側から係止する。他にも、プロテクタPは、ドアインナーパネル7に対してねじ止め等により固定されてもよい。なお、この場合でも、プロテクタPは、ドアインナーパネル7(凹部7h)に対して、車室内側から車室外側に向けて配設可能であるとよい。
そして、ドア6の開閉動作において、取付部材30と案内部50(案内口52)との間に架け渡されている外装部材20は、自身の断面視短手方向の剛性により比較的緩やかに(大きい曲げ半径で)曲げられ、ワイヤーハーネスWHの一部分に曲げ応力が集中してしまうことが抑制される。これにより、ワイヤーハーネスWHの略水平方向の屈曲が抑制される。また、外装部材20は、一端側の一部分が取付部材30を介して車体2に固定されているため、自身の剛性により、取付部材30と案内部50との間における弛みが抑制され、他端側部分がよりスムーズ且つ確実に案内部50内に進退される。
また、上記のように、プロテクタPは、全体として外周側に膨らんだ略L字形状に形成されている。このため、プロテクタPの内側方、すなわち、ドア6に配設された状態における案内部50の上方且つ収容部40の前方には、プロテクタPによって2方を囲まれるスペースが生まれる。ここでは、プロテクタPは、案内部50の案内口52が開度規制部3のケース部の固定位置の下方に位置すると共に、引出口44が車体2の上方を向く姿勢で凹部7hに対して配設される。つまり、プロテクタPは、開度規制部3を2方から囲む形態でドア6に配設され、このプロテクタPにより2方を囲まれるスペース内で開度規制部3のアーム部が進退する。これにより、複数の電気機器が設置されるドア6内のスペースを有効活用することができる。
上述したプロテクタPは、第1部材P1と第2部材P2とが合体されて構成されている(図6、図7参照)。ここでは、第1部材P1と第2部材P2として、凹状部材と蓋状部材との組合せを採用している。そして、プロテクタPは、第1部材P1と第2部材P2とを、それぞれ溶融した樹脂材料を金型に流し込んで射出成型し、合体させることにより得ることができる。
この第1部材P1と第2部材P2とは、合体状態を維持可能に形成されているとよい。ここでは、第1部材P1及び第2部材P2それぞれに複数の係止部72又は被係止部74が形成され、第1部材P1と第2部材P2とを近接させることにより各係止部72及び被係止部74が係止するように構成されているとよい(図6、図7参照)。係止部72及び被係止部74としては、プロテクタPの外面に間隔をあけて設けられる壁状の被係止部74と、当該外面と被係止部74との間に挿入可能な挿入片とその挿入片の先端部から外側に突出する突部とを有する係止部72との組合せを採用することができる。すなわち、係止部72の挿入片がプロテクタPの外面と被係止部74との間に挿入されることにより、係止部72の突部が被係止部74の端縁部に当接して係止する構成である。
また、プロテクタPは、案内口52と引出口44とが、ドア6に対する取付方向にずれた位置関係となるように形成されている(図3、図6参照)。これにより、収容部40内で曲げられるワイヤーハーネスWHは、中心軸周りの力を受けてねじれ方向にも変形される。すなわち、余長吸収時にワイヤーハーネスWHに加わる力がねじれ方向に分散されると共に、ねじれ変形される部分全体に分散されるようになっている。
上記ワイヤーハーネス配索構造部10は、車体2からドア6内に配索されるワイヤーハーネスWH、外装部材20、取付部材30、プロテクタPをモジュール化して、車両組み付け前に組み立てておくとよい。すなわち、ワイヤーハーネスWHを外装部材20内に配設し、外装部材20の一端側部分に取付部材30を装着すると共にその一端部をワイヤーハーネスWHに対してテープT巻きして固定し、且つ、外装部材20の他端部をワイヤーハーネスWHにテープT巻きして固定する。そして、外装部材20の他端側部分をプロテクタPの案内部50内に配設し、外装部材20の他端部から延出されるワイヤーハーネスWHを収容部40内に配設して引出口44から引出される部分をドア内位置決め部46にテープT巻き固定しておけばよい。
また、ワイヤーハーネス配索構造部10は、ワイヤーハーネスWHとプロテクタPとがモジュール化されたものでも良い。この場合、収容部40に収容されたワイヤーハーネスWHの一端側が案内口52から収容部40の外部に引き出されているとともに、他端側が引出口44から収容部40の外部に引き出されるようにワイヤーハーネスWHが配設される。そして、ワイヤーハーネスWHのうち引出口44から引出される部分をドア内位置決め部46にテープT巻き固定しておけばよい。
次に、ワイヤーハーネス配索構造部10のワイヤーハーネスWHの余長吸収動作について、ドア6の開閉動作に関連付けて説明する(図5参照)。
まず、ドア6の開状態では、外装部材20の他端部が閉状態と比較して案内口52により近い側に位置し、当該外装部材20の他端部から延出されるワイヤーハーネスWHは、第1経路R1を通って収容空間47内に収容されている。すなわち、ワイヤーハーネスWHは、外装部材20の他端部及びドア内位置決め部46に向けて緩やかな曲線状に延在する(第1経路R1)。
また、ドア6が開姿勢から閉動作されると、外装部材20が案内部50の案内方向に沿って収容空間47内に前進移動し、その他端部から延出されるワイヤーハーネスWHの余長部は、収容空間47内に押し込まれて第2壁部42に近接していく。そして、ドア6が閉姿勢になった状態で、ワイヤーハーネスWHは、第2経路R2を通って収容空間47内に収容された状態となる。すなわち、ドア6の開状態に比べ、ワイヤーハーネスWHのうち収容空間47内に収容される部分は長くなって余長吸収される。
ドアの開動作時には、閉動作時とは逆に、ワイヤーハーネスWHは、収容空間47内から案内口52側に引き出されて、収容空間47内に収容された部分の経路が第2経路R2から第1経路R1側に変更される。
これまで、当接部として、第2壁部42の収容空間47側の壁面の一部が収容空間47の内側に向かって凸状に湾曲するように形成されている当接部42bを例として説明してきたが、当接部42bの態様はこれに限られるものではない。例えば、図8に示されるプロテクタPaの当接部142bのように、当接部がワイヤーハーネスWHに当接する部材143と、部材143を収容空間47の内側に向けて付勢可能なコイルばねなどの弾性部材144を備えて構成されてもよい。なお、プロテクタPaのうちプロテクタPと異なる部分は当接部142bを除いて、収容部40を構成する第2壁部142だけであり、その他の部分はプロテクタPの各部と同符号を付して、説明を省略する。第2壁部42と第2壁部142との差異は、第2壁部142のうち膨らみ部42aよりも引出口44側の部分が、当接部142bを設けるために、側面視において、第2壁部42の対応部分よりも第1壁部41から離れる方向(ドア6の後方側に向かう方向)に位置していることである。
また、当接部42bとして、第2壁部42のうち引出口44と膨らみ部42aとの間の部分から、側面視において、収容空間47側に突設された部材が採用されてもよい。また、当接部142bとして、部材143および弾性部材144として機能する板ばね部材などが採用されても良い。また、側面視において、収容空間47の外側に向けて凸状に湾曲した膨らみ部42aに代えて、例えば、側面視四角形状の膨らみ部が採用されたとしてもワイヤーハーネスWHのうち膨らみ部側の第2部分92は、ワイヤーハーネスWH自体の剛性によって、収容空間47の外側に向かって凸状に湾曲される。従って、第2壁部42の膨らみ部42aとして、収容空間47の外側に向かって凸状に湾曲した壁部以外の膨らみ部が採用されたとしても本発明の有用性を損なうものではない。
また、当接部42b(142b)が、引出口44と第2壁部42(142)の膨らみ部42aとの間に、複数設けられても良い。また、第1壁部41の形状に起因して、ワイヤーハーネスWHがドア6の開状態に対応した第1経路R1を通る際のワイヤーハーネスWHの曲率が大きくなって、ワイヤーハーネスWHのうちドア内位置決め部46に固定された部分に応力が集中する場合には、第2壁部42に設けられた当接部42b(142b)と同様に、第1壁部41にも当接部が設けられてもよい。
また、ドア内位置決め部46の延出方向は、案内部50の案内方向に直交する方向に限られず、当該案内方向に対して傾斜していてもよい。また、収容部40及び案内部50は、一部品のプロテクタPとして形成される場合に限られず、別部品として構成されてもよい。なお、案内部50が収容部40に向けて外装部材20を挿通案内可能な形態で、収容部40及び案内部50がドア6内に配設されるとよい。
また、取付部材30及びプロテクタPは、外装部材20が開度規制部3の下方に位置する位置に取り付け可能に形成される場合に限られず、例えば、開度規制部3の上方或いは側方等に位置するように取り付け可能であってもよい。
また、これまで、ワイヤーハーネス配索構造部10を、車体2とフロントサイドドアとしてのドア6との間に適用する例で説明したが、リアサイドドアにも適用可能である。この場合、センターピラー(フロントサイドドアとリアサイドドアとの間のピラー)とリアサイドドアとの間にワイヤーハーネスWHが架け渡される。すなわち、センターピラーに孔部が形成され、ここに取付部材30が取り付けられる。
上記構成に係るワイヤーハーネス配索構造部10によると、ワイヤーハーネスWHの余長部が第1口部から収容空間47に引き入れられて収容空間47により余長吸収される際に、ワイヤーハーネスWHが当接部42bに当接することによりワイヤーハーネスWHのうちドア内位置決め部46から、当接部42bに当接する部分にわたる部分の曲率が、当接部42bが設けられない場合に比べて小さく規制される。従って、ドア内位置決め部46の近傍のワイヤーハーネスに架かる負荷が軽減されて応力の集中が軽減されるので、余長吸収動作(ドアの開閉動作)の繰り返しによって生ずるワイヤーハーネスWHにおける断線の発生が抑制される。当接部142bについても同様の効果が生ずる。また、膨らみ部42aが設けられている場合においても、余長吸収可能なワイヤーハーネスWHの余長部の長さを長くしつつ、当接部42b(142b)によって断線の発生が抑制される。
また、上記構成に係るワイヤーハーネス配索構造部10によると、当接部42bは、収容部40の内壁、すなわち第2壁部142の収容空間47側の壁面の一部が収容空間47の内側に向かって凸状に湾曲するように形成されているので、当接部42bを設けつつ収容部40の構造を簡略化することができる。
また、上記構成に係るワイヤーハーネス配索構造部10によると、当接部142bは、当接部142bのうちワイヤーハーネスに当接する部材143を収容空間47の内側に向けて付勢可能な弾性部材144を備えるので、ワイヤーハーネスWHが案内口52から車体2側に引き出される動きがよりスムーズになる。
また、上記構成に係るワイヤーハーネス配索構造部10によると、ドア内位置決め部46は、引出口44の縁部のうち当接部42b(142b)から遠い側に設けられているので、収容部40に収容されて余長吸収されるワイヤーハーネスの余長部をより長く出来得る。
また、上記構成に係るワイヤーハーネス配索構造部10によると、引出口44の側面視における幅が、ワイヤーハーネスWHの径よりも大きいので、ワイヤーハーネスを増設した場合でも、余長吸収動作の繰り返しによりワイヤーハーネスWHに生ずる断線の発生が抑制される。
以上のようにこのワイヤーハーネス配索構造部10は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。