JP2014093370A - 光電素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】CZTS系光吸収層を用いた光電素子において、短波長域における量子効率を向上させる。
【解決手段】光電素子は、基板と、前記基板の表面に形成された裏面電極と、前記裏面電極の表面に形成された光吸収層と、前記光吸収層の表面に形成されたバッファ層と、前記バッファ層の表面に形成された透明電極と、前記透明電極の表面に形成された表面電極とを備えている。前記光吸収層は、CZTS系化合物半導体からなる。また、前記バッファ層は、立方晶系の結晶構造を持つ(Cd,Zn)Sからなる。
【選択図】なし

Description

本発明は、光電素子に関し、さらに詳しくは、CZTS系光吸収層の上に(Cd,Zn)S固溶体からなるバッファ層が形成された各種光電素子(例えば、薄膜太陽電池、光導電セル、フォトダイオード、フォトトランジスタ、増感型太陽電池など)に関する。
光電素子とは、光量子のエネルギーを何らかの物理現象を介して電気的信号に変換(光電変換)することが可能な素子をいう。太陽電池は、光電素子の一種であり、太陽光線の光エネルギーを電気エネルギーに効率よく変換することができる。
太陽電池に用いられる半導体としては、単結晶Si、多結晶Si、アモルファスSi、GaAs、InP、CdTe、CuIn1-xGaxSe2(CIGS)、Cu2ZnSnS4(CZTS)などが知られている。
これらの中でも、CIGSやCZTSに代表されるカルコゲナイト系の化合物は、光吸収係数が大きいので、低コスト化に有利な薄膜化が可能である。特に、CIGSを光吸収層に用いた太陽電池は、薄膜太陽電池中では変換効率が高く、多結晶Siを用いた太陽電池を超える変換効率も得られている。しかしながら、CIGSは、環境負荷元素及び希少元素を含んでいるという問題がある。
一方、CZTSは、太陽電池に適したバンドギャップエネルギー(1.4〜1.5eV)を持ち、しかも、環境負荷元素や希少元素を含まないという特徴がある。
CIGSやCZTSを光吸収層として用いる太陽電池において、バッファ層が必須である。バッファ層は、光吸収層と窓層の間に成膜され、バンドプロファイル及びヘテロ界面の調整のために必要と推測されている。バッファ層の成膜には、溶液成長(Chemical Bath Deposition、CBD)法が用いられる場合が多く、この系において、CdSが用いられる場合が多い。
CIGS系太陽電池において、CdS以外のバッファ層として、例えば、(Cd,Zn)系バッファ層が知られている(非特許文献1、2参照)。CIGS系太陽電池における(Cd,Zn)系バッファ層は、スパッタ法ではなく、CBD法により製造されている。これは、CIGS系太陽電池において、バッファ層をスパッタ法で成膜すると、スパッタダメージにより効率が低下すると言われているためである。
CBD法を用いた(Cd,Zn)系バッファ層は、純粋な(Cd,Zn)Sではなく、酸化物イオン、水酸化物イオンを含んだZn−Cd−S(O,OH)からなる。また、非特許文献1には、Zn−Cd−S(O,OH)系バッファ層を用いたCIGS系太陽電池の変換効率が、CdSバッファ層を用いた太陽電池の1.03倍になる点が記載されている。変換効率の向上は、バッファ層のワイドバンドギャップ化による短波長域の効率が向上したためである。
一方、CZTS系太陽電池において、CdS以外のバッファ層が検討された例は、従来にはない。
本発明が解決しようとする課題は、CZTS系光吸収層を用いた光電素子において、短波長域における量子効率を向上させることにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、短波長域における量子効率を向上させることによって、CZTS系光電素子の変換効率を向上させることにある。
上記課題を解決するために本発明に係る光電素子は、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記光電素子は、
基板と、
前記基板の表面に形成された裏面電極と、
前記裏面電極の表面に形成された光吸収層と、
前記光吸収層の表面に形成されたバッファ層と、
前記バッファ層の表面に形成された透明電極と、
前記透明電極の表面に形成された表面電極と
を備えている。
(2)前記光吸収層は、CZTS系化合物半導体からなる。
(3)前記バッファ層は、立方晶系の結晶構造を持つ(Cd,Zn)Sからなる。
CZTS系光吸収層用のバッファ層として、(Cd,Zn)S固溶体からなるバッファ層を用いると、光電素子の変換効率が向上する。これは、バッファ層として(Cd,Zn)S固溶体を用いることによって、短波長側の量子効率が増大するためと考えられる。
ガラス基板上に成膜されたCdS膜及び(Cd,Zn)S膜のXRD図形である。 CdSバッファ層又はCd0.6Zn0.4Sバッファ層を用いたCZTS太陽電池のIPCEスペクトルである。
以下に、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 光電素子]
本発明に係る光電素子は、
基板と、
前記基板の表面に形成された裏面電極と、
前記裏面電極の表面に形成された光吸収層と、
前記光吸収層の表面に形成されたバッファ層と、
前記バッファ層の表面に形成された透明電極と、
前記透明電極の表面に形成された表面電極と
を備えている。
[1.1. 基板]
基板の材料は、特に限定されるものではなく、種々の材料を用いることができる。
基板の材料としては、例えば、
(1)ガラス(例えば、SLG、低アルカリガラス、非アルカリガラス、石英ガラス、Naイオンを注入した石英ガラス、サファイアガラスなど)、
(2)セラミックス(例えば、シリカ、アルミナ、イットリア、ジルコニアなどの酸化物、Naを含む各種セラミックスなど)、
(3)金属(例えば、ステンレス、Naを含むステンレス、Au、Mo、Tiなど)
などがある。
[1.2. 裏面電極]
裏面電極は、基板の表面に形成される。裏面電極の材料は、特に限定されるものではなく、種々の材料を用いることができる。
裏面電極の材料としては、例えば、Mo、MoSi2、ステンレス、In−Sn−O、In−Zn−O、ZnO:Al、ZnO:B、SnO2:F、SnO2:Sb、ZnO:Ga、TiO2:Nbなどがある。
[1.3. 光吸収層]
光吸収層は、裏面電極の表面に形成される。本発明において、光吸収層は、CZTS系化合物半導体からなる。「CZTS系化合物半導体」とは、Cu2ZnSnS4(CZTS)をベースとする半導体をいう。
本発明において、「CZTS系化合物半導体」というときは、化学量論組成の化合物だけでなく、すべての不定比化合物、あるいは、Cu、Zn、Sn、及びSを主成分とするすべての化合物が含まれる。
CZTS系化合物半導体は、Cu、Zn、Sn及びSのみからなるものでも良く、あるいは、これらに加えて、他のカルコゲン元素や各種のドーパントや不可避的不純物などがさらに含まれていても良い。
[1.4. バッファ層]
バッファ層は、光吸収層の表面に形成される。本発明において、バッファ層は、立方晶系の結晶構造を持つ(Cd,Zn)Sからなる。「(Cd,Zn)S」とは、CdSとZnSの固溶体を表す。
CdSにZnSを固溶させると、バンドギャップが増大し、短波長域の量子効率が増大する。高い変換効率を得るためには、Zn量(at%)及びCd量(at%)に対するZn量の割合(=Zn/(Zn+Cd)比)は、0.1以上が好ましい。Zn/(Zn+Cd)比は、さらに好ましくは、0.2以上、さらに好ましくは、0.30以上である。
一方、Zn/(Zn+Cd)比が高くなりすぎると、かえって変換効率が低下する。これは、ZnSの伝導体オフセット(CBO)が高すぎるため、すなわち、ZnS成分がキャリア移動のバリアとなるためである。従って、Zn/(Zn+Cd)比は、0.7以下が好ましい。Zn/(Zn+Cd)比は、さらに好ましくは、0.60以下、さらに好ましくは、0.55以下、さらに好ましくは、0.50以下である。
(Cd,Zn)Sは、立方晶系の結晶構造を持つものからなる。立方晶系の結晶構造を持つ(Cd,Zn)Sは、CZTSと同様な結晶系であり、かつ、格子定数が近いためにCZTSとエピタキシャル接合するので、バッファ層として好適である。
(Cd,Zn)Sは、均一な相(複層構造になっていないこと)である必要がある。また、(Cd,Zn)Sは、O、OHの含有量が少ないものが好ましい。O、OHの含有量は、それぞれ、3mol%以下が好ましい。
バッファ層の厚さは、変換効率に影響を与える。バッファ層が薄すぎると、短絡電流は大きくなるが、開放端電圧及び形状因子が低下する。従って、バッファ層の厚さは、10nm以上が好ましい。バッファ層の厚さは、さらに好ましくは、50nm以上である。
一方、バッファ層が厚すぎると、CdS成分が500nm以下の短波長光を吸収するために、短波長域での量子効率が低下する。従って、バッファ層の厚さは、200nm以下が好ましい。バッファ層の厚さは、さらに好ましくは、150nm以下である。
[1.5. 透明電極]
透明電極は、バッファ層の表面に形成される。透明電極の材料は、特に限定されるものではなく、種々の材料を用いることができる。
透明電極の材料としては、例えば、ZnO:Al、ZnO:Ga、ZnO:B、In−Sn−O、In−Zn−O、SnO2:Sb、TiO2:Nbなどがある。
[1.6. 表面電極]
表面電極は、透明電極の表面に形成される。表面電極の材料は、特に限定されるものではなく、種々の材料を用いることができる。
表面電極の材料としては、例えば、Al、Cu、Ag、Au、又は、これらのいずれか1以上を含む合金などがある。また、このような合金としては、具体的には、Al−Ti合金、Al−Mg合金、Al−Ni合金、Cu−Ti合金、Cu−Sn合金、Cu−Zn合金、Cu−Au合金、Ag−Ti合金、Ag−Sn合金、Ag−Zn合金、Ag−Au合金などがある。
[1.7. その他の構成要素]
本発明に係る光電素子は、必要に応じて、その他の構成要素をさらに備えていても良い。その他の構成要素としては、例えば、各層の間に形成される付加的な層がある。
付加的な層としては、具体的には、
(1)基板と裏面電極の接着性を高めるため接着層、
(2)入射した光を反射させ、光吸収層での光吸収効率を高めるため光散乱層であって、光吸収層より表面電極側に形成するもの、
(3)光吸収層より基板側に設けられる光散乱層、
(4)入射した光の窓層での反射量を低減し、光吸収層での光吸収効率を高めるための反射防止層、
などがある。
本発明において、付加的な層の材料は、特に限定されるものではなく、目的に応じて種々の材料を用いることができる。
[2. 光電素子の製造方法]
本発明に係る光電素子の製造方法は、裏面電極形成工程と、光吸収層形成工程と、バッファ層形成工程と、透明電極形成工程と、表面電極形成工程とを備えている。
[2.1. 裏面電極形成工程]
裏面電極形成工程は、基板の表面に裏面電極を形成する工程である。裏面電極の形成方法は、特に限定されるものではなく、種々の方法を用いることができる。
裏面電極の形成方法としては、例えば、スパッタ法、真空蒸着法、パルスレーザー堆積(PLD)法、メッキ法、化学溶液析出(CBD)法、電気泳動成膜(EPD)法、化学気相成膜(CVD)法、スプレー熱分解成膜(SPD)法、スクリーン印刷法、スピンコート法、微粒子堆積法などがある。
[2.2. 光吸収層形成工程]
光吸収層形成工程は、裏面電極の表面に、CZTS系化合物半導体からなる光吸収層を形成する工程である。裏面電極が形成された基材表面にCZTS系光吸収層を形成する方法は、特に限定されるものではなく、種々の方法を用いることができる。
CZTS系光吸収層を形成する方法としては、具体的には、
(1)基材表面にCu−Zn−Sn前駆体膜、又は、Cu−Zn−Sn−S前駆体膜を形成し、前駆体膜を硫化させる方法、
(2)基材表面にCu、Zn及びSnを含む金属酸化物薄膜を形成し、金属酸化物膜を硫化させる方法、
などがある。
[2.3. バッファ層形成工程]
バッファ層形成工程は、光吸収層の表面にバッファ層を形成する工程である。バッファ層は、立方晶系の結晶構造を持つ固溶体を形成することができ、かつ、O及びOHの少ない材料を製造可能な方法が好ましい。
このような条件を備えたバッファ層の形成方法としては、例えば、スパッタ法、真空蒸着法、パルスレーザー堆積(PLD)法、化学気相成膜(CVD)法、スプレー熱分解成膜(SPD)法、微粒子堆積法などがある。特に、スパッタ法は、立方晶系の結晶構造を持つ固溶体を容易に形成することができるので、(Cd,Zn)S系バッファ層の形成方法として好適である。
種々の方法を用いてバッファ層を成膜した後、バッファ層をアニール処理するのが好ましい。バッファ層をアニール処理すると、(Cd,Zn)S/CZTS界面の欠陥が低減し、エピタキシャル接合の形成を促進することができる。
アニール処理温度が低すぎると、十分なアニール効果が得られない。従って、アニール処理温度は、150℃以上が好ましい。アニール処理温度は、さらに好ましくは、200℃以上である。
一方、アニール処理温度が高すぎると、CdがCZTSに拡散して、CZTSの半導体特性が劣化する。従って、アニール処理温度は、400℃以下が好ましい。アニール処理温度は、さらに好ましくは、350℃以下である。
アニール処理時間は、アニール処理温度に応じて、最適な時間を選択する。一般に、アニール処理温度が高くなるほど、短時間で十分な効果が得られる。アニール処理時間は、アニール処理温度にもよるが、通常、1〜60分程度である。
アニール処理は、大気中、又は、非酸化性雰囲気(例えば、窒素中、Ar中など)で行うのが好ましい。
[2.4. 透明電極形成工程]
透明電極形成工程は、バッファ層の表面に透明電極を形成する工程である。透明電極の形成方法は、特に限定されるものではなく、種々の方法を用いることができる。透明電極の形成方法の詳細は、裏面電極と同様であるので、説明を省略する。
[2.5. 表面電極形成工程]
表面電極形成工程は、透明電極の表面に表面電極を形成する工程である。表面電極の形成方法は、特に限定されるものではなく、種々の方法を用いることができる。表面電極の形成方法の詳細は、裏面電極と同様であるので、説明を省略する。
[3. 光電素子の作用]
CZTS系光電素子のバッファ層に求められる特性は、
(1)CZTSに対して伝導体オフセット(CBO)が0〜+0.4eVであること、
(2)バンドギャップが2.5eVより広いこと、及び、
(3)CZTSと同様な結晶系であり、かつ、格子定数が近く、CZTSとエピタキシャル接合すること
である。
条件(1)は、Vocを向上させるために必要な特性である。条件(2)は、短波長光の効率を高めるために(すなわち、短波長光がバッファ層で吸収されることなく、光吸収層まで到達させるために)必要な特性である。条件(3)は、バッファ層/CZTS界面での再結合を減少させ、結果的にJscやVocを向上させるために必要な特性である。
CdSは、条件(1)を満たすが、バンドギャップが2.4eVと狭く、CZTSとの格子定数のミスマッチが大きいという問題がある。一方、ZnSは、条件(2)(バンドギャップ=3.7eV)及び条件(3)を満たすが、CBOが0.5eV以上という問題がある。
これに対し、(Cd,Zn)Sは、条件(1)〜(3)の要求を高いレベルで満たす。そのため、(Cd,Zn)Sは、CZTS系光電素子用バッファ層として適切であり、結果として光電素子特性を向上できる。
(Cd,Zn)Sバッファ層を成膜する方法として、非特許文献1に記載されているように、CBD法を用いることも考えられる。しかしながら、本願出願人は、非特許文献1に記載の方法をCZTSに対して試みたが、均一なZn−Cd−S(O,OH)系バッファ層を成膜することができなかった。深さ分析により、CZTS表面でCdSが多い2層構造(Zn(S,O,OH)/CdS/CZTS)になることを確認している。
従って、非特許文献1に記載の方法は、基板の影響が大きく、CIGS系光吸収層に対しては均一な(Cd,Zn)S系バッファ層を形成することができるが、CZTS系光吸収層に対しては2層構造に成膜されると考えられる。あるいは、非特許文献1では、バッファ層の組成分布を解析していないので、非特許文献1には均一なバッファ層のごとく記載されているが、実際には2層構造になっていると考えられる。
これに対し、スパッタ法のような乾式の成膜法を用いると、CZTS系光吸収層の表面に(Cd,Zn)S固溶体からなるバッファ層を形成することができる。また、このようにして得られたバッファ層をCZTS系光吸収層に適用すると、CdSバッファ層を用いたCZTS系光電素子に対して、変換効率は、1.2〜1.3倍に向上する。
(実施例1〜5、比較例1〜3)
[1. 試料の作製]
[1.1. 予備実験]
まず、予備実験として、ガラス基板上に、CdS膜(比較例1)、ZnS膜(比較例2)及び(Cd,Zn)S膜を成膜した。成膜は、CdSとZnSの複合ターゲットを用い、RFマグネトロンスパッタリングにより行った。Zn/(Zn+Cd)比は、複合ターゲットのCdSとZnSの面積比により調整した。また、Zn/(Zn+Cd)比は、0.2(実施例1)、0.3(実施例2)、0.4(実施例3)、0.5(実施例4)、又は、0.7(実施例5)とした。膜厚は、それぞれ、100nmとした。バッファ層成膜後、300℃、20min、窒素中でアニール処理した。
さらに、CdS/ZnS積層膜(比較例3)も試験に供した。積層膜は、ZnSがCZTS側に来るように成膜した。CdSの膜厚は100nm、ZnSの膜厚は5nmとした。
[1.2. 太陽電池の作製]
以下の手順に従い、太陽電池を作製した。
(1)ソーダライムガラス(SLG)基板上にMo裏面電極層(層厚:〜1μm)をスパッタ法により形成した。
(2)Mo裏面電極層の上に、Cu−Zn−Sn−S前駆体膜をスパッタ法により形成した。次いで、大気圧、5%H2S+N2ガス雰囲気中、550〜580℃、3hの硫化処理により、前駆体膜をCZTS光吸収層(層厚:〜1μm)にした。硫化後、CZTS光吸収層をイオン交換水に10分間浸漬し、光吸収層の表面を洗浄した。
(3)予備実験と同様の方法を用いて、CZTS光吸収層の表面に、CdS膜、ZnS膜、CdS/ZnS膜、又は、(Cd,Zn)S膜を形成した。バッファ層成膜後、300℃、20min、窒素中でアニール処理した。
(4)バッファ層の上に、透明電極としてZnO:Ga(GZO)を成膜し、その上に表面電極としてAl電極を成膜した。
(5)作製した太陽電池の有効受光面積は、約0.16cm2であった。
[2. 試験方法]
[2.1. 予備試験で得られた膜の評価]
予備試験で得られた膜の組成、バンドギャップ、及び、格子定数を、それぞれ、EDX、X線光電子分光光度計(XPS)、及び、XRDにより評価した。
[2.2. 太陽電池の評価]
作製された太陽電池を用いて、短絡電流密度(JSC)、開放端電圧(VOC)、形状因子(F.F.)、及び、変換効率(Eff)を評価した。測定には、太陽光シミュレータを用いた。測定は、エアマス1.5(AM1.5)の疑似太陽光を太陽電池に当て、時間を置かずに測定を開始し、約20secで測定を完了した。
なお、変換効率(Eff)、開放端電圧(VOC)、短絡電流密度(JSC)、及び形状因子(F.F.)には、次の(1)式の関係が成り立つ。
ff=VOC×JSC×F.F. ・・・(1)
また、各種バッファ層を備えた太陽電池のIPCEスペクトル(各波長毎の量子効率)を測定した。
[3. 結果]
表1に、予備試験で得られた膜の組成、バンドギャップ及び格子定数、並びに、太陽電池特性を示す。図1に、ガラス基板上に成膜されたCdS膜及び(Cd,Zn)S膜のXRD図形を示す。さらに、図2に、CdSバッファ層又はCd0.6Zn0.4Sバッファ層を用いたCZTS太陽電池のIPCEスペクトルを示す。表1、及び、図1〜2より、以下のことが分かる。
(1)XPSによる解析から、本実施例で成膜された(Cd,Zn)Sは、ほとんど酸化物イオン、及び、水酸化物イオンを含まない。
(2)バッファ層のバンドギャップは、Zn量が多くなるほど増大する(表1)。
(3)(Cd,Zn)S膜のXRD図形には、立方晶の(111)のピークが観察される。また、Zn量の増加とともに、(Cd,Zn)Sの格子定数は小さくなる(図1)。これにより、(Cd,Zn)Sの格子定数がCZTSのそれに近づき、接合界面の良化が期待できる。
(4)(Cd,Zn)Sバッファ層は、CdSバッファ層に比べて、Vocは同等で、Jscが大きく向上することがわかった(表1)。
(Cd,Zn)Sは、CZTSと類似の結晶構造で、格子定数もZn量が増えるにつれてCZTSに近づく。そのため、バッファ層/CZTS層界面が良好で、界面再結合も少なくなっていると推定できる。また、(Cd,Zn)Sは、バンドギャップもCdSより広い。その結果、短波長光の効率が向上すると共に、VocとFFはCdSと同等レベルの値を示し、結果として変換効率が向上すると考えられる。
また、現状では原因不明であるが、(Cd,Zn)Sは、長波長の量子効率も向上している。これは、バッファ層/CZTS層界面での再結合が減少したことに起因している可能性がある。
(5)Zn/(Zn+Cd)比を0.6以下とすると、変換効率は約4%以上となる。Zn/(Zn+Cd)比を0.2〜0.55とすると、変換効率は約5.3%以上となる。Zn/(Zn+Cd)比を0.3〜0.52とすると、変換効率は約6%以上となる。さらに、Zn/(Zn+Cd)比を0.35〜0.5とすると、変換効率は約6.5%以上となる。
(6)CdS/ZnS積層膜は、(Cd,Zn)S固溶体膜に比べて特性が低い。
Figure 2014093370
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
本発明に係る光電素子は、薄膜太陽電池、光導電セル、フォトダイオード、フォトトランジスタ、増感型太陽電池などに用いることができる。

Claims (4)

  1. 以下の構成を備えた光電素子。
    (1)前記光電素子は、
    基板と、
    前記基板の表面に形成された裏面電極と、
    前記裏面電極の表面に形成された光吸収層と、
    前記光吸収層の表面に形成されたバッファ層と、
    前記バッファ層の表面に形成された透明電極と、
    前記透明電極の表面に形成された表面電極と
    を備えている。
    (2)前記光吸収層は、CZTS系化合物半導体からなる。
    (3)前記バッファ層は、立方晶系の結晶構造を持つ(Cd,Zn)Sからなる。
  2. 前記バッファ層は、スパッタ法により得られるものからなる請求項1に記載の光電素子。
  3. Zn量(at%)及びCd量(at%)に対するZn量の割合(=Zn/(Zn+Cd)比)は、0.1以上0.7以下である請求項1又は2に記載の光電素子。
  4. 前記バッファ層の厚さは、10nm以上200nm以下である請求項1から3までのいずれか1項に記載の光電素子。
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