JP2014089066A - 電気泳動用試験具およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高精度かつ信頼性の高い電気泳動を行うことができる電気泳動用試験具を提供すること。
【解決手段】ゲル層を乾燥させた乾燥膜が基材上に形成されてなる電気泳動用試験具であって、
前記乾燥膜は、pH勾配を有すると共に、前記pH勾配の方向に前記乾燥膜の膜厚が変化する厚さ勾配を有し、
前記乾燥膜を膨潤させて復元するゲル層の厚さ勾配は、前記乾燥膜の前記厚さ勾配よりも小さいことを特徴とする電気泳動用試験具。
【選択図】図2

Description

本発明は、電気泳動用試験具およびその製造方法に関する。
近年、生物が有する全タンパク質の構造および機能を網羅的に解析することを目的とするプロテオーム解析の一環として、前記の2つの電気泳動法を組み合わせた二次元電気泳動法が利用されている。二次元電気泳動法では、一次元目に等電点電気泳動が行われ、続く二次元目にSDS-PAGEが行われる。これにより、数千種類ものタンパク質を高い分解能で一挙に分離することが可能となった。
このように、ゲル電気泳動法はタンパク質などの生体高分子の分離分析に不可欠な手法であるが、いずれの電気泳動法においても分析の精度および再現性は、用いるゲルの品質によるところが大きい。したがって、当該分野においては、分解能の高いゲルを搭載した電気泳動用試験具を安定して製造可能な技術の開発が望まれている。
例えば、特許文献1には、濃度が異なる2種類のゲル原液を撹拌槽で混合し、その混合液をゲル容器内へ底部から導入してゲル化(重合)させることにより濃度勾配を有するゲルシートを作製する方法が開示されている。この場合、ゲル容器内へ導入する混合液中の各ゲル原液の割合を変化させることによって、所定の濃度勾配を有するSDS-PAGE用ゲルシートが得られる。また、特許文献1に記載のグラジェントメイカーを用い、pHが異なる2種類のゲル原液を撹拌槽で混合し、その混合液をゲル容器内へ底部から導入してゲル化させることによりpH勾配を有するゲルシートを作製することができる。この場合、ゲル容器内へ導入する混合液中の各ゲル原液の割合を変化させることによって、所定のpH勾配を有するゲルシートが得られ、このゲルシートをpH勾配方向に所定の幅で切断して細長いプレート上に貼り付けることにより、等電点電気泳動用のゲルプレートが得られる。
特許文献1に記載のゲルプレート製造方法では、ゲル容器内でのpH勾配の管理が難しく、安定した品質のゲルプレートが得られ難いという面があった。そこで、pH勾配を精度よく管理できる技術として、プレート上にモノマー溶液を塗布するゲルプレート製造方法(インクジェット法)が特許文献2に開示されている。すなわち、基材上に液たまりを形成し、液たまりにモノマー溶液を吐出した後、重合開始剤を塗布して塗布膜をゲル化させることにより、基材上にゲル層を形成する。この場合、pHが異なる2種類のモノマー溶液を塗布量を変化させながら液たまりに塗布することにより、所定のpH勾配を有する等電点電気泳動用のゲルプレート(電気泳動用試験具)が得られる。なお、電気泳動用試験具は、プレート上のゲル層を乾燥して乾燥膜を形成することにより保存可能とされ、使用時に乾燥膜を膨潤溶液にて膨潤させることによりゲル層が復元する。
特開昭62−167459号公報 特開2012−2739号公報
図8は特許文献2の電気泳動用試験具およびその製造方法を説明する概念図である。なお、図8はそれぞれ上下5段から構成されている。図8の上から1段目は、後述するゲル製造時に用いる2種類のpH緩衝溶液である酸性モノマー溶液と塩基性モノマー溶液の塗布量の変化を面積で示している。図8の2段目は、酸性モノマー溶液(細線)と塩基性モノマー溶液(太線)の吐出量の変化および単位面積当たりの吐出量を線グラフで示している。図8の3段目は、酸性モノマー溶液中のpH緩衝剤の濃度(細線)と塩基性モノマー溶液中のpH緩衝剤の濃度(太線)の変化を線グラフで示している。図8の4段目は、ゲル層の乾燥膜を膨潤させたときの膜厚の厚さ勾配を示している。図8の5段目は、ゲル層の電気泳動方向位置におけるpHを線グラフで示している。
特許文献2の場合、図8の5段目の線グラフのようなpH勾配となるよう、すなわち、基材Sの一端S1から他端S2に向かってpH値が直線的に増加するように、インクジェットヘッドにて塗布量を変化させながら酸性モノマー溶液と塩基性モノマー溶液を液たまりに塗布する。このとき、酸性および塩基性モノマー溶液の単位面積当たりの塗布量合計は一定である(図8の1〜2段目参照)。
ところで、特定のpH緩衝剤(強酸性側および強塩基性側のもの)はモノマー溶液のゲル化をある程度阻害する要因となっている。そのため、図8の3段目に示すように、pH緩衝剤濃度が高い溶液層(塗布膜)における基材Sの一端S1側および他端S2側の部分は、これら両端の間の中間部分よりもゲル化の度合い(重合度や架橋度)が低下してしまう。よって、ゲル層を乾燥させた乾燥膜を膨潤溶液にて膨潤させてゲル層を復元する場合、図8の4段目に示すように、ゲル化の度合いが低い乾燥膜の両端部分は膨潤溶液を多く取り込んで大きく膨潤し、ゲル化の度合いが高い乾燥膜の中間部分は膨潤溶液を多く取り込まないため小さく膨潤する。
この結果、膨潤後のゲル層Gの厚さが均一にならず、厚みムラが発生する。そのため、この厚みムラを有するゲル層GをIPGゲルとして二次元電気泳動の一次元目電気泳動に用いた後、ゲル層Gを二次元目のPAGEゲルに押し当ててタンパク質を転写する際、ゲル層GとPAGEゲルとの接触不良が発生し、タンパク質をゲル層Gからゲルシートへ正しい位置に転写できなくなる。また、接触できた領域でも、接触領域の高低差が発生してしまい、PAGEゲル内での分子量分離時のバラツキ要因になってしまう。このようなことから、二次元目電気泳動の正確な結果を得ることができなくなる。
本発明は、このような課題を鑑みてなされたものであり、高精度かつ信頼性の高い電気泳動を行うことができる電気泳動用試験具、およびこの試験具を容易に製造できる製造方法を提供することを目的とする。
かくして、本発明によれば、ゲル層を乾燥させた乾燥膜が基材上に形成されてなる電気泳動用試験具であって、
前記乾燥膜は、pH勾配を有すると共に、前記pH勾配の方向に前記乾燥膜の膜厚が変化する厚さ勾配を有し、
前記乾燥膜を膨潤させて復元するゲル層の厚さ勾配は、前記乾燥膜の前記厚さ勾配よりも小さい電気泳動用試験具が提供される。
また、本発明の別の観点によれば、基材上に2種以上の溶液を塗布してゲル材料とpH緩衝剤とが混合した溶液層を形成する溶液塗布工程と、前記溶液層をゲル化してゲル層を形成するゲル化工程とを含み、
前記溶液塗布工程において、前記溶液層にpH勾配およびこのpH勾配の方向の厚さ勾配が形成される電気泳動用試験具の製造方法が提供される。
ゲル層を乾燥させた乾燥膜を基材上に有する本発明の電気泳動用試験具は、pH勾配を有する乾燥膜を膨潤させて復元するゲル層の厚さムラが抑えられ、均一な厚さを有する。そのため、本発明におけるゲル層をIPGゲルとして二次元電気泳動の一次元目電気泳動に用いた後、ゲル層を二次元目のPAGEゲルに押し当ててタンパク質を転写する際、ゲル層とPAGEゲルとが隙間無く密着し、タンパク質をゲル層からゲルシートへ正しい位置に転写することができる。この結果、二次元目電気泳動の正確な結果を得ることができる。
また、本発明の電気泳動用試験具の製造方法によれば、高精度なタンパク質の分離測定を行うことができるゲル層を備えた電気泳動用試験具を製造することが可能となる。
本発明の実施形態1の電気泳動用試験具の使用可能な状態を示す斜視図である。 図1(A)の電気泳動用試験具におけるゲル層を乾燥した後の保存可能な状態を示す斜視図である。 実施形態1の電気泳動用試験具およびその製造方法を説明する概念図である。 実施形態1の電気泳動用試験具を製造することができる装置を示す構成図である。 図3の製造装置におけるインクジェットヘッドを下方から見た概略底面図である。 図3の製造装置におけるインクジェットヘッドのノズル孔群を示す拡大図である。 図3の製造装置を用いて基材へ酸性モノマー溶液を塗布する状態を示す説明図である。 図6(A)から引き続いて基材へ塩基性モノマー溶液を塗布する状態を示す説明図である。 図6(B)から引き続いて基材へ重合開始剤を塗布する状態を示す説明図である。 図3の製造装置によるゲル材料液の塗布が終了した状態を示す説明図である。 従来(特許文献2)の電気泳動用試験具およびその製造方法を説明する概念図である。
(実施形態1)
<電気泳動用試験具について>
図1(A)に示す実施形態1の電気泳動用試験具GP1は、pH勾配を有する蒲鉾状のゲル層G1が基材S上に形成されたものである。このゲル層G1は、緩やかな凸曲面となった上面(基材と反対側の面)を有すると共に、電気泳動方向である長手方向(以下、「X方向」という場合がある)にpH勾配を有している。X方向と直交する方向が基材Sの幅方向(以下、「Y方向」という場合がある)である。
実施形態1の場合、ゲル層G1は、基材SのX方向の一端S1から他端S2に向かってpH値がpH3〜11に増加するpH勾配を有している(図2参照)。
電気泳動用試験具GP1の基材Sの形態は、特に限定されるものではなく、例えば、細長プレート、所定形状に成型したチップ等が挙げられる。基材Sの材料としては、電気泳動用試験具の基材としての機能が発揮できるものであれば特に限定されず、例えば、石英ガラス、無アルカリガラス等のガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)等の樹脂、アルミナ、低温同時焼成セラミック等のセラミックスなどが挙げられる。また、基材が疎水性材料からなる場合、基材Sにおけるゲル層G1が形成される面を親水性処理してもよく、これにより基材Sに対する後述のモノマー溶液の濡れ性が向上し、モノマー溶液がゲル化したゲル層G1と基材Sとの密着性が向上する。親水性処理としては、硫酸を用いたニトロ化、硝酸を用いたスルホン化、酸素プラズマ処理等が挙げられる。
電気泳動用試験具GP1のゲル層G1の材料は、電気泳動用試験具のゲル層としての機能が発揮できるものであれば特に限定されず、例えば、一般的なポリアクリルアミドゲルの材料としては、アクリルアミド(モノマー)、ビスアクリルアミド(架橋剤)、pH調整材料(pHバッファ)、テトラメチルエチレンジアミン(TEMED:重合促進剤)、重合開始剤および純水が挙げられる。重合開始剤としては、過硫酸アンモニウム(APS)、過酸化ベンゾイル等の熱重合開始剤、あるいはリボフラビン類、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン等のアセトフェノン類、ベンゾフェノン類、アゾイソブチロニトリル類等の光重合開始剤を用いることができる。
このゲル層G1を含水率5%以下に乾燥させることにより、ゲル層G1が乾燥して乾燥膜D1となった図1(B)に示す等電点電気泳動用試験具GPD1が得られる。なお、図1(A)で示されたゲル層G1は、製造直後のゲル層であり、乾燥膜D1を膨潤させて復元したゲル層でもある。
本発明において、ゲル層G1の長さおよび幅は、基材Sの長さおよび幅と同じである。
基材Sの長さおよび幅は特に限定されないが、一例としては、長さは50〜250mm程度であり、幅は0.5〜5mm程度である。ゲル層G1の厚さは特に限定されないが、例えば、195〜1010μm程度である。
このゲル層G1を乾燥した乾燥膜D1の厚さは100μm以下に収縮するが、長さおよび幅はほとんど変化しない。
図2は実施形態1の電気泳動用試験具およびその製造方法を説明する概念図である。なお、図2はそれぞれ上下5段から構成されている。図2の上から1段目は、後述するゲル製造時に用いる2種類のpH緩衝溶液である酸性モノマー溶液と塩基性モノマー溶液の塗布量の変化を面積で示している。図2の2段目は、酸性モノマー溶液(細線)と塩基性モノマー溶液(太線)の吐出量の変化および単位面積当たりの吐出量を線グラフで示している。図2の3段目は、酸性モノマー溶液中のpH緩衝剤の濃度(細線)と塩基性モノマー溶液中のpH緩衝剤の濃度(太線)の変化を線グラフで示している。図2の4段目は、ゲル層の乾燥膜を膨潤させたときの膜厚の厚さ勾配を示している。図2の5段目は、ゲル層の電気泳動方向位置におけるpHを線グラフで示している。
本発明の主たる特徴は、乾燥膜D1を膨潤させて復元するゲル層G1の厚さ勾配は、乾燥膜D1の厚さ勾配よりも小さいことである。以下、「乾燥膜D1を膨潤させて復元するゲル層G1」を短縮して「復元ゲル層G1」と言う。
具体的には、復元ゲル層G1において、最も厚い部分の膜厚をTH1とし、最も薄い部分の膜厚をTL1とすると、厚さ勾配はTL1/TH1で表すことができ、TL1/TH1の値が1に近づくほど厚さ勾配は小さくなる。
また、乾燥膜D1において、最も厚い部分の膜厚をTH2とし、最も薄い部分の膜厚をTL2とすると、厚さ勾配はTL2/TH2で表すことができ、TL2/TH2の値が1に近づくほど厚さ勾配は小さくなる。
そして、本発明において、復元ゲル層G1の厚さ勾配は、乾燥膜D1の厚さ勾配よりも小さい。換言すると、TL1/TH1の値はTL2/TH2の値よりも1に近い。
ここで、復元ゲル層G1の厚さ勾配を表すTL1/TH1の値は1に近い程好ましい(つまり、復元ゲル層G1の厚さは均一であることが好ましい)が、1でなくとも乾燥膜D1の厚さ勾配を表すTL2/TH2の値よりも大きければよい。
例えば、TL1/TH1が0.9であるとき、TL2/TH2は0.9未満の値となる。
実施形態1において、復元ゲル層G1および乾燥膜D1は、一端S1側に酸性領域(pH3〜6近傍)、他端S2側に塩基性領域(pH8近傍〜11)、それらの間に中性領域(pH7およびその近傍)を有している。
この乾燥膜D1において、最も厚い箇所は中性領域であり、最も薄い箇所は酸性領域(pH3付近)と塩基性領域(pH11付近)の両方または一方であり、このような厚さ勾配の向きとなっている。
一方、復元ゲル層G1において、厚さ勾配の向きは特に限定されず、復元ゲル層G1の厚さ勾配が乾燥膜D1の厚さ勾配よりも小さければ、乾燥膜D1の厚さ勾配の向きと同じでも逆でもどちらでもよい。
本発明では、復元ゲル層G1の厚さ勾配が乾燥膜D1の厚さ勾配よりも小さくなるように、乾燥膜D1が形成されている。これにより、復元ゲル層G1の厚みムラが小さく抑えられることになる。したがって、本発明における復元ゲル層G1をIPGゲルとして二次元電気泳動の一次元目電気泳動に用いた後、復元ゲル層G1を二次元目のPAGEゲルに押し当ててタンパク質を転写する際、復元ゲル層G1とPAGEゲルとが隙間無く密着し、タンパク質を復元ゲル層G1からゲルシートへ正しい位置に転写することができる。この結果、二次元目電気泳動の正確な結果を得ることができる。
次に、図1(A)に示す試験具GP1を製造することができる装置について説明し、その後でこの装置を用いて試験具GP1を製造する方法について説明する。
図3は実施形態1の電気泳動用試験具を製造することができる装置を示す構成図である。この試験具製造装置は、基材Sがセットされるステージ10と、塗布部としてのインクジェット装置30と、ステージ10を直線方向に移動させる移動機構40と、これらを収納する密閉可能なケース50と、図示しない制御部とを備える。なお、ケース50には図示しない開閉扉が設けられている。
移動機構40は、ステージ10を支持する支持台40aを有し、この支持台40aが図示しないリニアガイド機構によって直線方向に往復移動可能とされている。
図3において、実線で示された支持台40aは待機位置にあり、塗布工程において2点鎖線で示された位置まで支持台40a、ステージ10および基材Sは直進する。これにより、ステージ10上にセットされた基材Sは、後述する第1〜第3インクジェットヘッド31b、32b、33bの真下を通過する。
インクジェット装置30は、酸性溶液吐出部31と、塩基性溶液吐出部32と、重合開始剤吐出部33と、負圧調整部34とを備える。
酸性溶液吐出部31は、酸性モノマー溶液Aを貯蔵する第1タンク31aと、第1インクジェットヘッド31bと、第1タンク31aから第1インクジェットヘッド31bへ酸性モノマー溶液Aを送る第1パイプ31cとを有し、水頭差を利用して第1タンク31aから第1インクジェットヘッド31bへ酸性モノマー溶液Aが供給されるように構成されている。なお、酸性モノマー溶液Aは、1種以上のpHバッファによって所定pH(例えば、pH2〜7)に設定されている。
塩基性溶液吐出部32は、塩基性溶液Bを貯蔵する第2タンク32aと、第2インクジェットヘッド32bと、第2タンク32aから第2インクジェットヘッド32bへ塩基性溶液Bを送る第2パイプ32cとを有し、水頭差を利用して第2タンク32aから第2インクジェットヘッド32bへ塩基性モノマー溶液Bが供給されるように構成されている。なお、塩基性モノマー溶液Bは、1種以上のpHバッファによって所定pH(例えば、pH7〜12)に設定されている。
重合開始剤吐出部33は、重合開始剤Cを貯蔵する第3タンク33aと、第3インクジェットヘッド33bと、第3タンク33aから第3インクジェットヘッド33bへ重合開始剤Cを送る第3パイプ33cとを有し、水頭差を利用して第3タンク33aから第3インクジェットヘッド33bへ重合開始剤Cが供給されるように構成されている。
第1〜第3インクジェットヘッド31b〜33bとしては、サーマルジェット方式、ピエゾジェット方式、静電駆動方式等が挙げられるが、インクジェット装置30における各液(酸性モノマー溶液A、塩基性モノマー溶液B、重合開始剤C)を冷却する場合は、各液に熱を加えるサーマルジェット方式を用いず、ピエゾジェット方式または静電駆動方式を用いることが望ましい。
負圧調整部34は、第1〜第3タンク31a〜33aとパイプ35〜37にて接続されており、第1から第3のタンク内の気圧を管理し、第1〜第3インクジェットヘッド31b〜33bのノズル孔H(図5参照)から液が垂れ落ちない所定の圧力となるよう、第1〜第3タンク31a〜33a内を大気圧より低い所定圧で一定になるように調整する。
第1〜第3インクジェットヘッド31b〜33bは一体化されて1組の吐出ヘッドユニットUが構成されており、この吐出ヘッドユニットUは図示しない固定部材にて固定されている。そして、図4に示すように、この基材Sの移動軌跡E上に、第1〜第3インクジェットヘッド31b〜33bは一列で配置されているが、ヘッド配置順はこの順番に限定されない。なお、実施形態1の場合、基材Sの移動方向の上流側から第1〜第3インクジェットヘッド31b〜33bの順で配置されている。
また、図4と図5に示すように、基材Sの移動軌跡Eと対向する第1〜第3インクジェットヘッド31b〜33bの下面には、移動軌跡Eの方向と直交する方向に複数のノズル孔Hが1列で設けられている。すなわち、1列のノズル孔群HGが、移動軌跡Eの方向と直交する方向に、かつ移動軌跡Eの幅を超える長さで延びている。ノズル孔径Dおよびノズル孔間隔Pは特に限定されないが、ノズル孔Hの径は10〜100μm程度が適当であり、ノズル孔間隔Pは100〜200μm程度が適当である。なお、ノズル列が直線状に配置されている場合、ヘッド向きを傾けることで見掛け上、ノズル孔間隔を狭くする方法も使用できる。また、第1〜第3インクジェットヘッド31b〜33bにおいて、ノズル孔群HGは2列以上の複数列で設けられていてもよい。
<電気泳動用試験具の製造方法について>
次に、前記構成を有する試験具製造装置を用いて試験具GP1を製造する方法の一例について説明する。
本発明の電気泳動用試験具の製造方法は、基材上に2種以上の溶液を塗布してゲル材料とpH緩衝剤とが混合した溶液層を形成する溶液塗布工程と、前記溶液層をゲル化してゲル層を形成するゲル化工程とを含み、
前記溶液塗布工程において、前記溶液層にpH勾配およびこのpH勾配の方向の厚さ勾配が形成される。
実施形態1における溶液塗布工程では、基材上にゲル材料液の液たまりを形成し、その液たまり上にpH緩衝溶液を塗布する。この場合、液たまりとしては、予め重合開始剤を添加したモノマー溶液(重合開始剤入りゲル材料液)を用いる場合と、重合開始剤以外の架橋剤、重合促進剤等を混合したモノマー溶液(重合開始剤を含まないゲル材料液)を用いる場合と、重合開始剤を用いる場合とを包含する。なお、溶液塗布方法はこれに限定されるものではなく、例えば、pH緩衝剤を含むモノマー溶液を基材に直接塗布してもよく、この際、1回または2回以上繰り返して塗布してもよい。
また、実施形態1における溶液塗布は、インクジェット装置が用いられる。インクジェットヘッドを用いれば、細長い基材の所定領域にも高精度かつ定量的に微小液滴を塗布することができるため、得ようとするゲル層の形成領域、膜厚、pH勾配および濃度勾配等を容易かつ高精度に制御することができる。なお、溶液塗布方法はこれに限定されるものではなく、基材上面の所定領域にゲル材料液を塗布できるものであればよく、例えば、ピペッター、ディスペンサー等が挙げられる。
図3に示すインクジェット装置30を用いた溶液塗布工程では、まず、待機位置にあるステージ10上に細長い矩形の基材Sをセットする。この基材S上には予め液たまり(溶液層)L0が形成されている。なお、液たまりL0としては、モノマーを純水で希釈したモノマー溶液が用いられ、このモノマー溶液中に架橋剤および重合促進剤が添加されていてもよい。
次に、所定のプログラムに基づく常温大気圧下での塗布工程が行われる。すなわち、図6(A)、(B)および図7(A)、(B)に示すように、移動機構40により支持台40aが矢印M方向に断続的に移動すると共に、第1〜第3インクジェットヘッド31b〜33bから微小液滴La、Lb、Lcが断続的に吐出して、液たまりL0と微小液滴La、Lb、Lcとが混合した溶液層L3が形成される。
詳しく説明すると、図6(A)に示すように、基材Sの一端S1がインクジェット装置30の第1インクジェットヘッド31bのノズル孔群HGの真下位置まで移動したところで、第1インクジェットヘッド31bから酸性モノマー溶液の微小液滴Laが吐出されて液たまりL0上に塗布される。これにより、図6(B)に示すように、液たまりL0と酸性モノマー溶液とが混合した溶液層L1が基材Sの一端S1側に形成される。
この場合、ステージ10上に微小液滴Laが吐出されないように、第1インクジェットヘッド31bにおけるノズル孔群HGのうちから微小液滴Laを吐出するノズル孔Hが選択されており、これについては第2および第3インクジェットヘッド32b、33bでも同様である。また、第1インクジェットヘッド31bから基材S上に吐出される微小液滴Laの単位面積当たりの塗布量は、基材Sが所定距離ずつ断続的に移動する毎に(所定の吐出間隔毎に)所定量に制御されるが、これについて詳しくは後述する。
そして、基材Sの一端S1が第2インクジェットヘッド32bのノズル孔群HGの真下位置まで移動したところで、第2インクジェットヘッド32bから塩基性モノマー溶液の微小液滴Lbが吐出されて溶液層L1上に塗布される。これにより、図7(A)に示すように、溶液層L1と塩基性モノマー溶液とが混合した溶液層L2が基材Sの一端S1側に形成される。この場合も、第2インクジェットヘッド32bから吐出される微小液滴Lbの単位面積当たりの塗布量は、基材Sが所定距離ずつ断続的に移動する毎に(所定の吐出間隔毎に)所定量に制御されるが、これについて詳しくは後述する。
そして、基材Sの一端S1が第3インクジェットヘッド33bのノズル孔群HGの真下位置まで移動したところで、第3インクジェットヘッド33bから重合開始剤の微小液滴Lcが吐出されて溶液層L2上に塗布される。これにより、溶液層L2と重合開始剤とが混合した溶液層L3が基材Sの一端S1側に形成され(図7(B)参照)、このようにして基材Sの一端S1側から他端S2側に向かって連続的に溶液層L3が形成されていく。そして、基材Sの他端S2が第1〜第3インクジェットヘッド31b〜33bを順次通過した時点で、図7(B)に示すように、第1〜第3インクジェットヘッド31b〜33bからの液滴吐出が順次停止する。
次に、図2および図6(A)〜図7(B)を参照しながら酸性モノマー溶液と塩基性モノマー溶液の塗布量制御について説明する。以下、「酸性モノマー溶液」を「溶液A」と言い、「塩基性モノマー溶液」を「溶液B」と言う。
図6(A)〜図7(B)の溶液塗布工程では、基材Sの一端側領域A1と他端側領域A2の塗布量よりも、それらの間の領域A3の塗布量が多くなるように行われる。具体的には、次のように塗布量が決定される。
一端側領域A1から他端側領域A2に亘って、溶液Aを吐出量d0〜0まで直線的に減少させながら溶液Bを吐出量0〜d0まで直線的に増加させ、かつこれらの単位面積当たりの合計吐出量は一定となるように、第1ベース塗布量が決定される。この第1ベース塗布量は、図2の1段目に示されたベース塗布量である。
また、一端側領域A1から他端側領域A2に亘って、溶液Aを吐出量d1〜0まで直線的に減少させながら溶液Bを吐出量0〜d1まで直線的に増加させ、かつこれらの単位面積当たりの合計吐出量は一定となるように、第2ベース塗布量が決定される。
基材Sの一端側領域A1から他端側領域A2に亘って吐出量(d1−d0)で溶液AおよびBを塗布した塗布量は、第2ベース塗布量から第1ベース塗布量を差し引いた塗布量である。この塗布量から一端側領域A1の塗布量と他端側領域A2の塗布量を差し引いた分が、それらの間の領域A3に上乗せされる上乗せ塗布量である(図1の1段目参照)。このようにして、溶液AおよびBは、基材S上の一端側領域A1から他端側領域A2に亘ってベース塗布量で塗布され、さらに一端側領域A1と他端側領域A2の間の領域A3には上乗せ塗布量で塗布される。なお、重合開始剤Cの塗布量は、一端側領域A1から他端側領域A2に亘って一定である。
次に、図2(主に2段目)および図6(A)〜図7(B)を参照しながら溶液Aと溶液Bの吐出量制御について説明する。
まず、基材Sの一端側領域A1では、第1インクジェットヘッド31bから溶液Aが吐出量d0から0に向かう直線上の吐出量d0〜d2まで直線的に減少する吐出量で吐出され、かつ第2インクジェットヘッド32bから溶液Bが吐出量0からd0に向かう直線上の吐出量0〜d3まで直線的に増加する吐出量で吐出される。
次の領域A3では、第1インクジェットヘッド31bから溶液Aが吐出量d1から0に向かう直線上の吐出量d4〜d5まで直線的に減少する吐出量で吐出され、かつ第2インクジェットヘッド32bから溶液Bが吐出量0からd1に向かう直線上の吐出量d5〜d4まで直線的に増加する吐出量で吐出される。
そして、次の他端側領域A2では、第1インクジェットヘッド31bから溶液Aが吐出量d0から0に向かう直線上の吐出量d3〜0まで直線的に減少する吐出量で吐出され、かつ第2インクジェットヘッド32bから溶液Bが吐出量0からd0に向かう直線上の吐出量d2〜d0まで直線的に増加する吐出量で吐出される。
このような塗布量制御および吐出量制御により、基材S上には直線的なpH勾配を有する溶液層L3が形成される(図7(B)参照)。なお、この溶液層L3において、領域A3の膜厚は、一端側および他端側領域A1、A2の膜厚よりも厚くなっている。なお、このような塗布工程における試験具製造装置の一連の動作は、所定のプログラムに基づいて制御部が各駆動部を制御することにより行われる。
その後、支持台40aが待機位置まで戻り、塗布工程が終了する。
塗布工程後、ケース50の扉を開けて基材Sを取り出し、ゲル化工程用のケース内に収納し、そのケース内で溶液層L3のゲル化工程を常温下で行う。なお、常温下でのゲル化完了までには3〜5時間程度の時間を要する。ゲル化完了後は、図1(A)に示すように、四方の端部に丸みを有する蒲鉾形のゲル層G1が基材S上に形成された等電点電気泳動用試験具GP1が得られる。なお、本発明において、電気泳動用試験具GP1は未完成品である。
次に、得られた電気泳動用試験具GP1のゲル層G1を乾燥することにより、図1(B)に示す完成品としての本発明の電気泳動用試験具GPD1が得られる。この乾燥工程において、ゲル層G1を乾燥する方法は特に限定されず、例えば、ゲル層G1をヒータにて加熱する、あるいはゲル層G1に熱風を吹き付けて乾燥する方法が挙げられる。さらに、乾燥工程後に、乾燥膜D1を−20℃以下に冷却する冷却工程を行ってもよい。あるいは、乾燥工程および冷却工程の代わりに、フリーズドライ工程を行ってもよい。
得られた乾燥膜D1において、一端側領域A1はpH3程度の強酸性領域であり、他端側領域A2はpH11程度の強塩基性領域であり、これらの間の領域A3における中間付近がpH7程度の中性領域である。強酸性領域および強塩基性領域はpH緩衝剤濃度が最も高くかつ最も薄い膜厚TL2を有し、中性領域はpH緩衝剤濃度が最も低くかつ最も厚い膜厚TH2を有している。
この乾燥膜D1において、例えば、最も薄い膜厚TL2は0.8であり、最も厚い膜厚TH2は1である。このとき、乾燥膜D1の厚さ勾配TL2/TH2は0.8である。
この乾燥膜D1に膨潤液を塗布することにより、乾燥膜D1のpH勾配と同じpH勾配を有する復元ゲル層G1が復元する。
この復元ゲル層G1において、例えば、最も薄い膜厚TL1は9であり、最も厚い膜厚TH2は9.8である。このとき、復元ゲル層G1の厚さ勾配TL2/TH2は0.9であり、乾燥膜D1の厚さ勾配より小さい。
(実施形態2)
実施形態1では、基材Sが一端S1側から吐出ヘッドユニットUの下を1回通過する間に塗布工程が終了する場合を例示した。
一方、実施形態2では、図示省略するが、基材Sが吐出ヘッドユニットUの下を1回通過する間に、基材Sの一端側領域A1から他端側領域A2に亘ってベース塗布量の溶液AおよびBを塗布する。このとき、第1インクジェットヘッド31bから溶液Aが吐出量d0から0に向かう直線上の吐出量d0〜0まで直線的に減少する吐出量で吐出され、かつ第2インクジェットヘッド32bから溶液Bが吐出量0からd0に向かう直線上の吐出量0〜d0まで直線的に増加する吐出量で吐出される。その後、基材Sが他端S2側から吐出ヘッドユニットUの下を再度通過する間に、基材Sの領域A3に上乗せ塗布量の溶液AおよびBを塗布する。このとき、溶液Aの吐出量は直線的に増加し、かつ溶液Bの吐出量は直線的に減少するように吐出制御する。
また、実施形態1では、重合開始剤として過硫酸アンモニウム(APS)、過酸化ベンゾイル等の熱重合開始剤を用いて、モノマーを熱重合させてゲル化する場合を例示した。一方、実施形態2では重合開始剤としてリボフラビン類、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン等のアセトフェノン類、ベンゾフェノン類、アゾイソブチロニトリル類等の光重合開始剤を用いて、モノマーを光重合させてゲル化する。
実施形態2の場合、例えば、図3で説明した電気泳動用試験具の製造装置において、吐出ヘッドユニットUの基材搬送方向(矢印M1方向)の下流側に図示しない光照射器を設け、基材S上の塗布膜に光を照射することによりゲル化させる。この光照射器は、所定波長の光(例えば、200〜600nm程度)を所定光量で照射することができ、その照射光波長は使用する光重合開始剤の種類に応じて適切に設定される。また、光照射器は、基板上の塗布膜の一部または全体を照射できるものであればよい。
実施形態2の電気泳動用試験具の製造方法は、実施形態1(図6(A)〜図7(B)での説明)と同様にして基板上に塗布膜を形成した後、基板を光照射器側へ移動させて塗布膜上に光を照射してゲル化させる。このとき、光照射器が塗布膜の一部に光を照射するタイプのものである場合は、基板を一端側から他端側へ移動させながら塗布膜上に光を照射する。光照射器が塗布膜全体に光を照射するタイプのものである場合は、基板を光照射器の真下に移動させた後、基板を静止させた状態で塗布膜上に光を照射する。
なお、実施形態2におけるその他の事項は実施形態1と同様である。
(他の実施形態)
1.実施形態1では、復元ゲル層の中性領域が強酸性領域および強塩基性領域よりも厚い場合を例示したが、復元ゲル層の厚さ勾配が乾燥膜の厚さ勾配より小さくなるのであれば、復元ゲル層の中性領域が強酸性領域および強塩基性領域より薄くてもよい。
2.実施形態1では、強酸性領域から中性領域を経て強塩基性領域に亘る(pH3〜11のpH勾配を有する)ゲル層G1を形成する場合を例示したが、例えば、酸性領域(pH3〜5のpH勾配)のみを有するゲル層、塩基性領域(pH9〜11のpH勾配)のみを有するゲル層、酸性領域と中性領域(pH3〜8のpH勾配)を有するゲル層、あるいは中性領域と塩基性領域(pH6〜11のpH勾配)を有するゲル層を形成してもよい。この場合、中性(pH6〜8)に近づくほど乾燥膜の膨潤度合いが小さくなることを考慮して、溶液層における強酸性領域および/または強塩基性領域の膜厚を中性に近い領域の膜厚よりも薄く設定する。
3.実施形態1では、塗布工程において、基材上に常温状態の塗布膜を形成する場合を例示したが、ペルチェ素子やタンク冷却部を備えた装置を用い、基材上に冷却下で塗布膜を形成してもよい。また、実施形態1では、塗布工程において大気下で塗布膜を形成する場合を例示したが、窒素雰囲気下で塗布膜を形成してもよい。
4.実施形態1では、モノマー溶液と重合開始剤を個別に基材上へ塗布する場合を例示したが、重合開始剤入りゲル材料液を基材上へ塗布して液たまりL0を形成してもよい。この場合、塗布工程中に重合開始剤入りゲル材料液のゲル化が進行しないよう、冷却状態の重合開始剤入りゲル材料液が用いられる。それに加え、基材を冷却してもよい。
5.実施形態1では、吐出ヘッドユニットUの下を基材Sが1度通過することにより溶液層L3が形成される場合を例示したが、基材Sを1往復以上移動させて溶液層L3を形成してもよい。この場合、重合開始剤の塗布時期を、例えば、毎回の移動時、所定回の移動時、あるいは最後の移動時に設定することができる。
(まとめ)
本発明の電気泳動用試験具GP1は、ゲル層G1を乾燥させた乾燥膜D1が基材S上に 形成されてなる電気泳動用試験具であって、
前記乾燥膜D1は、pH勾配を有すると共に、前記pH勾配の方向に前記乾燥膜D1の膜厚が変化する厚さ勾配TL2/TH2を有し、
前記乾燥膜D1を膨潤させて復元するゲル層G1の厚さ勾配TL1/TH1は、前記乾燥膜D1の前記厚さ勾配TL2/TH2よりも小さい。
本発明の電気泳動用試験具GP1は、次のように構成されてもよく、それらが適宜組み合わされてもよい。
(1)前記乾燥膜D1は、前記pH勾配における中性近傍領域に厚い膜厚を有すると共に、前記pH勾配における前記中性近傍領域から離れた領域に薄い膜厚を有してもよい。
このようにすれば、例えば、pH3〜11のpH勾配を有する乾燥膜の膜厚は、相対的に、pH3付近とpH11付近では薄く、pH7付近では厚くなる。また、pH3〜5のpH勾配を有する乾燥膜の膜厚は、相対的に、pH3付近では薄く、pH5付近では厚くなる。また、pH9〜11のpH勾配を有する乾燥膜の膜厚は、pH9付近では厚く、pH11付近では薄くなる。このように、本発明では、強酸性から強塩基性に亘るpH勾配を有する電気泳動用試験具、強酸性から弱酸性に亘るpH勾配を有する電気泳動用試験具は、および弱塩基性から強塩基性に亘るpH勾配を有する電気泳動用試験具に適応することができる。
(2)前記乾燥膜D1は、前記pH勾配を形成するpH緩衝剤を含んでおり、前記pH緩衝剤の濃度が低い領域に厚い膜厚を有すると共に、前記pH緩衝剤の濃度が高い領域に薄い膜厚を有してもよい。
このようにしても、前記(1)と同様に、強酸性領域から強塩基性領域の間の所望の領域にpH勾配を有する電気泳動用試験具に適応することができる。
(3)前記乾燥膜D1は、前記pH勾配の方向の両端部の間にpH値が中性である中性領域を有しており、
前記中性領域の膜厚が前記両端部の膜厚よりも厚くてもよい
このようにしても、前記(1)と同様に、強酸性領域から強塩基性領域の間の所望の領域にpH勾配を有する電気泳動用試験具に適応することができる。
本発明の電気泳動用試験具の製造方法は、基材上に2種以上の溶液を塗布してゲル材料とpH緩衝剤とが混合した溶液層を形成する溶液塗布工程と、前記溶液層をゲル化してゲル層を形成するゲル化工程とを含み、
前記溶液塗布工程において、前記溶液層にpH勾配およびこのpH勾配の方向の厚さ勾配が形成される。
本発明の電気泳動用試験具GP1の製造方法は、次のように構成されてもよく、それらが適宜組み合わされてもよい。
(I)前記2種以上の溶液が、前記ゲル材料としてのモノマーおよび酸性側pH緩衝剤を含む酸性モノマー溶液Aと、前記ゲル材料としてのモノマーおよび塩基性側pH緩衝剤を含む塩基性モノマー溶液Bとを有してなり、
前記溶液塗布工程において、前記酸性モノマー溶液Aおよび前記塩基性モノマー溶液Bを単位面積当たりの塗布量を変化させながら前記基材S上に塗布してもよい。
このようにすれば、個別のインクジェットヘッドにて酸性モノマー溶液と塩基性モノマー溶液を連続的に効率よく、かつ高精度に塗布量を制御しながら基材上に塗布することができる。この結果、基材上に理想的なpH勾配と膜厚の厚さ勾配を有する溶液層を形成することができる。
(II)前記溶液塗布工程において、前記pH勾配における中性近傍領域に厚い溶液層を形成すると共に、前記pH勾配における前記中性近傍領域から離れた領域に薄い溶液層を形成してもよい。
このようにすれば、前記(1)に記載の電気泳動用試験具の製造方法として適用できる。
(III)前記溶液塗布工程において、前記pH緩衝剤の濃度が低くかつ厚い膜厚を有する溶液層部分と、前記pH緩衝剤の濃度が高くかつ薄い膜厚を有する溶液層部分を形成してもよい。
このようにすれば、前記(2)に記載の電気泳動用試験具の製造方法として適用できる。
(IV)前記溶液塗布工程において、前記pH勾配の方向の両端部の間にpH値が中性である中性領域を有し、かつ前記中性領域の膜厚が前記両端部の膜厚よりも厚い前記溶液層を形成してもよい。
このようにすれば、前記(3)に記載の電気泳動用試験具の製造方法として適用できる。
(V)前記ゲル層G1を乾燥させる乾燥工程をさらに含んでもよい。
このようにすれば、前記効果を有する本発明の電気泳動用試験具を製造することができる。
なお、開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
A 酸性モノマー溶液
B 塩基性モノマー溶液
C 重合開始剤
1 乾燥膜
GP1 使用可能な状態となった等電点電気泳動用試験具(ゲルプレート)
GPD1 保存可能な状態となった等電点電気泳動用試験具
1 ゲル層(復元ゲル層)
S 基材
H1、TH2 最も厚い膜厚
L1、TL2 最も薄い膜厚

Claims (10)

  1. ゲル層を乾燥させた乾燥膜が基材上に形成されてなる電気泳動用試験具であって、
    前記乾燥膜は、pH勾配を有すると共に、前記pH勾配の方向に前記乾燥膜の膜厚が変化する厚さ勾配を有し、
    前記乾燥膜を膨潤させて復元するゲル層の厚さ勾配は、前記乾燥膜の前記厚さ勾配よりも小さいことを特徴とする電気泳動用試験具。
  2. 前記乾燥膜は、前記pH勾配における中性近傍領域に厚い膜厚を有すると共に、前記pH勾配における前記中性近傍領域から離れた領域に薄い膜厚を有する請求項1に記載の電気泳動用試験具。
  3. 前記乾燥膜は、前記pH勾配を形成するpH緩衝剤を含んでおり、前記pH緩衝剤の濃度が低い領域に厚い膜厚を有すると共に、前記pH緩衝剤の濃度が高い領域に薄い膜厚を有する請求項1または2に記載の電気泳動用試験具。
  4. 前記乾燥膜は、前記pH勾配の方向の両端部の間にpH値が中性である中性領域を有しており、
    前記中性領域の膜厚が前記両端部の膜厚よりも厚い請求項1〜3のいずれか1つに記載の電気泳動用試験具。
  5. 基材上に2種以上の溶液を塗布してゲル材料とpH緩衝剤とが混合した溶液層を形成する溶液塗布工程と、前記溶液層をゲル化してゲル層を形成するゲル化工程とを含み、
    前記溶液塗布工程において、前記溶液層にpH勾配およびこのpH勾配の方向の厚さ勾配が形成されることを特徴とする電気泳動用試験具の製造方法。
  6. 前記2種以上の溶液が、前記ゲル材料としてのモノマーおよび酸性側pH緩衝剤を含む酸性モノマー溶液と、前記ゲル材料としてのモノマーおよび塩基性側pH緩衝剤を含む塩基性モノマー溶液とを有してなり、
    前記溶液塗布工程において、前記酸性モノマー溶液および前記塩基性モノマー溶液を単位面積当たりの塗布量を変化させながら前記基材上に塗布する請求項5に記載の電気泳動用試験具の製造方法。
  7. 前記溶液塗布工程において、前記pH勾配における中性近傍領域に厚い溶液層を形成すると共に、前記pH勾配における前記中性近傍領域から離れた領域に薄い溶液層を形成する請求項6に記載の電気泳動用試験具の製造方法。
  8. 前記溶液塗布工程において、前記pH緩衝剤の濃度が低くかつ厚い膜厚を有する溶液層部分と、前記pH緩衝剤の濃度が高くかつ薄い膜厚を有する溶液層部分を形成する請求項6または7に記載の電気泳動用試験具の製造方法。
  9. 前記溶液塗布工程において、前記pH勾配の方向の両端部の間にpH値が中性である中性領域を有し、かつ前記中性領域の膜厚が前記両端部の膜厚よりも厚い前記溶液層を形成する請求項5〜8のいずれか1つに記載の電気泳動用試験具の製造方法。
  10. 前記ゲル層を乾燥させる乾燥工程をさらに含む請求項5〜9のいずれか1つに記載の電気泳動用試験具の製造方法。
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