JP2014088789A - 熱電発電装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱電変換モジュールの熱害による損傷を防止しつつ、熱電変換モジュールの発電効率が低下するのを防止することができる熱電発電装置を提供すること。
【解決手段】熱電発電装置17は、排気ガスが一方向に流れる主通路部44と、主通路部44に隣接して設けられた副通路部45と、副通路部45を流れる排気ガスを、主通路部44を流れる排気ガスの流れる方向と反対方向に逆流して主通路部44に還流させる絞り部材46とを含んで構成され、熱電変換モジュール29の受熱基板が主通路部44および副通路部45に対向している。
【選択図】図4

Description

本発明は、熱電発電装置に関し、特に、高温媒体と低温媒体との温度差に応じて発電を行う熱電発電装置に関する。
従来、高温の排気ガスが流れる排気管と低温の冷却水が流れる冷却装置との間に排気ガスと冷却水との温度差に応じて熱電発電を行う熱電変換モジュールを配置した熱電発電装置が知られている。この熱電発電装置は、排気ガスの熱が排気管に伝達され易くするために排気管に吸熱フィンを設けるようにしている。
特開2010−275975号公報
しかしながら、このような従来の熱電発電装置にあっては、排気管に吸熱フィンを設けているため、上流側の熱電変換モジュールが高温に晒されてしまう。このため、熱電変換モジュールの使用上限温度以上に温度が上昇する場合には、熱電変換モジュールが熱害を受けてしまう。
また、排気管内を流れる排気ガスは、上流側の熱電変換モジュールによって熱量の多くが奪われてしまい、排気管の下流側において排気ガスの熱量が低下してしまう。このため、排気管の上流側と下流側とで排気ガスの熱量のばらつきが発生してしまい、下流側の熱電変換モジュールの発電効率が上流側の熱電変換モジュールに比べて低下し、結果的に熱電変換モジュールの全体の発電効率が低下してしまうという問題が発生してしまった。
本発明は、上述のような従来の問題を解決するためになされたもので、熱電変換モジュールの熱害による損傷を防止しつつ、熱電変換モジュールの発電効率が低下するのを防止することができる熱電発電装置を提供することを目的とする。
本発明に係る熱電発電装置は、上記目的を達成するため、(1)高温媒体が流通する高温媒体流通部と、低温媒体が流通する低温媒体流通部と、前記高温媒体流通部に高温部が対向するとともに前記低温媒体流通部に低温部が対向し、前記高温部と前記低温部との温度差に応じて熱電発電を行う複数の熱電変換モジュールとを備えた熱電発電装置であって、前記高温媒体流通部は、前記高温媒体が一方向に流れる主通路部と、前記主通路部に隣接して設けられた副通路部と、前記副通路部を流れる前記高温媒体を、前記主通路部を流れる高温媒体の前記一方向と反対方向に逆流させて前記主通路部に還流させる逆流部とを含んで構成され、前記熱電変換モジュールの高温部が前記主通路部および前記副通路部に対向するものから構成されている。
この熱電発電装置は、高温媒体流通部が、高温媒体が一方向に流れる主通路部と、主通路部に隣接して設けられ、逆流部の作用によって高温媒体を主通路部に還流させる副通路部とを備えるので、主通路部に導入された新規の高温媒体が、副通路部から主通路部に還流した熱回収後の高温媒体と混合される。
このため、主通路部の高温媒体の流れ方向上流側の熱電変換モジュールに高温の新規の高温媒体を直接接触させないようにすることができる。したがって、主通路部の高温媒体の流れ方向上流側の熱電変換モジュールが高温媒体の熱害を受けて損傷するのを防止することができる。
また、主通路部から副通路部に導入された新規の高温媒体と熱回収後の高温媒体との混合媒体は、副通路部の高温媒体の流れ方向下流側に移動するにつれて冷却媒体によって熱を奪われるが、この混合媒体は、主通路部に導入された新規の高温媒体の放射熱によって温められることで熱量を回復することができる。
すなわち、副通路部を流れる高温媒体の温度を略均一にすることができ、副通路部を流れる略均一の温度の高温媒体と主通路部を流れる高温媒体との間で熱交換が行われることになる。
したがって、主通路部と副通路部とを流れる高温媒体の温度が高温媒体の流れ方向においてばらついてしまうのを防止しつつ、主通路部と副通路部とを流れる高温媒体を熱電変換モジュールの高温部に作用させることができる。この結果、熱電変換モジュールの高温部と低温部との温度差が高温媒体の流れ方向にばらついてしまうのを防止することができ、熱電変換モジュールの発電効率が低下するのを防止することができる。
上記(1)に記載の熱電発電装置において、(2)前記逆流部は、前記主通路部に対して排気ガスの流れ方向の上流側に設けられ、前記主通路部の流路面積よりも小さい流路面積を有する絞り部材を備え、前記主通路部の一端側と前記副通路の一端側とが連通するとともに、前記主通路部の他端側と前記副通路の他端側とが連通するものから構成されている。
この熱電発電装置は、主通路部の上流側に、主通路部の流路面積よりも小さい流路面積を有する逆流部材が設けられるので、絞り部材を通過して主通路部に導入される高温媒体の流速が増加され、絞り部材の下流側でベンチュリ効果による負圧を発生させることができる。
また、熱電発電装置は、主通路部の一端側と副通路の一端側とが連通するとともに主通路部の他端側と副通路部の他端側とが連通しているので、絞り部材の下流側で発生した負圧によって主通路部を流れる高温媒体の一部を副通路部を通して主通路部の上流側に還流させることができる。
この結果、主通路部に導入された新規の高温媒体を副通路部から主通路部に還流した熱回収後の高温媒体と混合させることができ、熱電変換モジュール高温媒体が熱害を受けて損傷するのを防止することができる。
上記(1)または(2)に記載の熱電発電装置において、(3)前記高温媒体流通部は、前記高温媒体が流通する排気管部と、前記排気管部の内部に設けられ、前記排気管部の内部を前記排気管部の延在方向に沿って延在する前記主通路部と前記主通路部に隣接して前記排気管部の延在方向に沿って延在する前記副通路部とに区画し、前記排気管部に前記高温媒体の熱を伝達する吸熱フィンとを含んで構成され、前記排気管部に前記熱電変換モジュールの高温部が対向するものから構成されている。
この熱電発電装置は、排気管部の内部に設けられた吸熱フィンによって主通路部と副通路部とが構成されるので、高温媒体の熱を排気管部に効率よく伝達することができ、熱電変換モジュールの高温部への伝熱効率を向上させることができ、熱電変換モジュールの発電効率を向上させることができる。
本発明によれば、熱電変換モジュールの熱害による損傷を防止しつつ、熱電変換モジュールの発電効率が低下するのを防止することができる熱電発電装置を提供することができる。
本発明に係る熱電発電装置の第1の実施の形態を示す図であり、熱電発電装置を備える車両の概略構成図である。 本発明に係る熱電発電装置の第1の実施の形態を示す図であり、熱電発電装置の側面断面図である。 本発明に係る熱電発電装置の第1の実施の形態を示す図であり、熱電変換モジュールの斜視図である。 本発明に係る熱電発電装置の第2の実施の形態を示す図であり、図2のA−A方向矢視断面図である。 本発明に係る熱電発電装置の第1の実施の形態を示す図であり、図2のB−B方向矢視断面図である。 本発明に係る熱電発電装置の第1の実施の形態を示す図であり、絞り部材および吸熱フィンの要部斜視図である。 本発明に係る熱電発電装置の第2の実施の形態を示す図であり、熱電発電装置を備える車両の概略構成図である。 本発明に係る熱電発電装置の第2の実施の形態を示す図であり、熱電発電装置の縦断面図である。 本発明に係る熱電発電装置の第2の実施の形態を示す図であり、図8のC−C方向矢視断面図である。 本発明に係る熱電発電装置の第2の実施の形態を示す図であり、図8のD−D方向矢視断面図である。 本発明に係る熱電発電装置の第2の実施の形態を示す図であり、吸熱フィンおよび絞り部材の他の構成を示す図である。
以下、本発明に係る熱電発電装置の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、本実施の形態では、熱電発電装置を、自動車等の車両に搭載される水冷式の多気筒の内燃機関、例えば4サイクルガソリンエンジン(以下、単にエンジンという)に適用した場合について説明している。また、エンジンは、ガソリンエンジンに限定されるものではない。
(第1の実施の形態)
図1〜図6は、本発明に係る熱電発電装置の第1の実施の形態を示す図である。
まず、構成を説明する。
図1に示すように、自動車等の車両に搭載される内燃機関としてのエンジン1は、吸気系から供給される空気と燃料供給系から供給される燃料とを適宜の空燃比で混合して成る混合気を燃焼室に供給して燃焼させた後、この燃焼に伴って発生する高温媒体としての排気ガスを排気系から大気に放出するようになっている。
排気系は、エンジン1に取り付けられたエキゾーストマニホールド2と、このエキゾーストマニホールド2に球面継手3を介して連結された排気管4とを含んで構成されており、エキゾーストマニホールド2と排気管4とによって排気通路が形成されている。
球面継手3は、エキゾーストマニホールド2と排気管4との適度な揺動を許容するとともに、エンジン1の振動や動きを排気管4に伝達させないか、あるいは減衰して伝達するように機能する。
排気管4上には、2つの触媒5、6が直列に設置されており、この触媒5、6により排気ガスが浄化されるようになっている。
この触媒5、6のうち、排気管4において排気ガスの排気方向の上流側に設置される触媒5は、所謂、スタートキャタリスタ(S/C)と呼ばれるものであり、排気管4において排気ガスの排気方向の下流側に設置される触媒6は、所謂、メインキャタリスタ(M/C)またはアンダーフロアキャタリスタ(U/F)と呼ばれるものである。
これらの触媒5、6は、例えば三元触媒により構成されている。この三元触媒は、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)を一括して化学反応により無害な成分に変化させるといった浄化作用を発揮する。
エンジン1の内部には、ウォータジャケットが形成されており、このウォータジャケットにはロングライフクーラント(LLC)と呼ばれる低温媒体としての冷却水が充填されている。
この冷却水は、エンジン1に取付けられた導出管8から導出された後、ラジエータ7に供給され、このラジエータ7から還流管9を経てエンジン1に戻されるようになっている。ラジエータ7は、ウォータポンプ10によって循環される冷却水を外気との熱交換により冷却するものである。
また、還流管9にはバイパス管12が連結されており、このバイパス管12と還流管9との間にはサーモスタット11が介装され、このサーモスタット11によって、ラジエータ7を流通する冷却水量とバイパス管12を流通する冷却水量とが調節されるようになっている。
例えば、エンジン1の暖機運転時においてはバイパス管12側の冷却水量が増加されて暖機が促進されるようになっている。
バイパス管12にはヒータ配管13が連結されており、このヒータ配管13の途中には、ヒータコア14が設けられている。このヒータコア14は、冷却水の熱を利用して車両室内の暖房を行うための熱源である。
このヒータコア14によって暖められた空気は、ブロアファン15によって車両室内に導入されるようになっている。なお、ヒータコア14とブロアファン15とによりヒータユニット16が構成されている。
また、ヒータ配管13には後述する熱電発電装置17に冷却水を供給する上流側配管18aが設けられており、熱電発電装置17と還流管9との間には熱電発電装置17から還流管9に冷却水を排出する下流側配管18bが設けられている。
このため、熱電発電装置17において排熱回収動作(この排熱回収動作の詳細については後述する)が行われている場合には、下流側配管18bを流れる冷却水は、上流側配管18aを流れる冷却水の温度よりも高くなる。
一方、エンジン1の排気系には、熱電発電装置17が設けられており、この熱電発電装置17は、排気管4に接続されている。この熱電発電装置17は、エンジン1から排出される排気ガスの熱を回収し、排気ガスの熱エネルギーを電気エネルギーに変換するものである。
図2に示すように、熱電発電装置17は、エンジン1から排出された排気ガスが流通する排気管部としての内管22と、内管22の外方に設けられた排気管部としての外管23とを備えている。
内管22の上流端は、排気管4に連結されており、内管22の内部には排気管4から排気ガスが流通するバイパス通路24が形成されている。内管22は、支持部材25を介して外管23に固定されており、外管23の下流端は、テールパイプ(図1参照)に連結されている。
このため、エンジン1から排気管4を通して内管22のバイパス通路24に排出された排気ガスGは、バイパス通路24を通してテールパイプ26に排出された後、テールパイプ26から外気に排出される。
また、内管22の外周面22aと外管23の内周面23aとの間には受熱通路27が画成されている。この受熱通路27は、内管22に形成された連通孔28を通してバイパス通路24に連通しており、連通孔28は、内管22の周方向に形成されている。
また、熱電発電装置17は、排気ガスGの排気方向に設置される複数の熱電変換モジュール29と低温媒体流通部としての筒状の冷却水管30とを備えている。
図3に示すように、熱電変換モジュール29は、高温部を構成する絶縁セラミックス製の受熱基板31と、低温部を構成する絶縁セラミックス製の放熱基板32との間に、ゼーベック効果により温度差に応じた起電力を発生するN型熱電変換素子33およびP型熱電変換素子34が複数個設置されており、N型熱電変換素子33およびP型熱電変換素子34が電極35a、35bを介して交互に直列に接続されている。また、隣接する熱電変換モジュール29は、配線36を介して電気的に連結されている。
また、N型熱電変換素子33およびP型熱電変換素子34としては、例えば、高温部の使用上限値(耐熱温度)が約300℃のBi−Te系の熱電変換素子あるいは、高温部の使用上限が約500℃のSi−Ge系の熱電変換素子等が用いられる。なお、N型熱電変換素子33およびP型熱電変換素子34は、これに限定されるものではない。
熱電変換モジュール29は、受熱基板31が外管23に対向して外管23に接触するとともに、放熱基板32が冷却水管30に対向して冷却水管30に接触しており、排気ガスGの排気方向に並列に設置されている。なお、図2では、図3に示す熱電変換モジュール29を簡略化している。
そして、熱電変換モジュール29は、受熱基板31と放熱基板32との温度差に応じて熱電発電を行うことにより、ケーブル37を介してバッテリに発電電力を供給(充電)するようになっている。
なお、熱電変換モジュール29は、略正方形のプレート形状をしており、外管23および冷却水管30の間に密着させる必要があるため、内管22、外管23および冷却水管30は、多角形に形成されている。
また、内管22、外管23および冷却水管30は、円形であってもよい。この場合には、熱電変換モジュール29の受熱基板31および放熱基板32等を湾曲させるようにすればよい。
冷却水管30は、上流側配管18aに連結される冷却水導入部30aおよび下流側配管18bに連結される冷却水排出部30bを備えている。なお、本実施の形態の上流側配管18aは、バイパス通路24を流れる排気ガスの排気方向の下流側に設けられ、下流側配管18bは、上流側配管18aに対して上流側に設けられているが、上流側配管18aが上流側に設けられ、下流側配管18bが下流側に設けられてもよい。
また、冷却水管30の上流側と内管22との間にはプレート38が設けられており、冷却水管30の下流側と外管23との間にはプレート39が設けられている。このため、熱電変換モジュール29は、プレート38、39、冷却水管30の内周面30cおよび外管23の外周面23bによって囲まれる密閉空間であるモジュール室40に収容されている。
一方、受熱通路27を構成する内管22および外管23は、高温媒体流通部を構成しており、内管22の外周面22aおよび外管23の内周面23aの間には吸熱フィン41が設けられている。この吸熱フィン41は、内管22および外管23の長手方向(延在方向)に延在するとともに、内管22および外管23の幅方向に沿って櫛歯状に延在している。
図4に示すように、吸熱フィン41は、内管22の外周面22aに当接する底部41aと、外管23の内周面23aに当接する天井部41bと、底部41aと天井部41bとを連接して縦方向に延在する仕切壁41cとを含んで構成されている。
図4、図5に示すように、吸熱フィン41の仕切壁41cおよび底部41aと外管23の内周面23aとによって囲まれる空間は、排気ガスが流れる主通路42を構成しており、吸熱フィン41の仕切壁41cおよび天井部41bと内管22の外周面22aとによって囲まれる空間は、排気ガスが流れる副通路43を構成している。
そして、熱電変換モジュール29の受熱基板31は、主通路42および副通路43に対向するように外管23の外周面23bに接触している。
本実施の形態の熱電発電装置17は、仕切壁41c、底部41aおよび外管23が主通路部44を構成し、仕切壁41c、天井部41bおよび内管22が主通路部44に隣接する副通路部45を構成している。
また、主通路部44の排気管4側の一端側は、副通路部45の排気管4側の一端側に連通しており、主通路部44のテールパイプ26側の他端側は、副通路部45のテールパイプ26側の他端側に連通している。
また、図5、図6に示すように、主通路42の上流側には逆流部を構成する絞り部材46が設けられており、この絞り部材46は、主通路42に連通する開口部47aを有するフレーム47を備えている。このフレーム47のそれぞれの開口部47aには、それぞれの開口部47aから主通路42に向かって突出し、突出方向先端が絞られた一対の絞り片47bが設けられている。
このため、開口部47aを流れる排気ガスは、絞り片47bによって絞られて主通路42に導入されることになる。すなわち、開口部47aの流路面積は、絞り片47bによって主通路42の流路面積よりも小さい流路面積に絞られる。
なお、本実施の形態の熱電発電装置17は、主通路部44、副通路部45および絞り部材46が高温媒体流通部を構成している。
また、支持部材25には支持部材25の円周方向に亘って連通孔25aが形成されており、受熱通路27は、連通孔25aを通してテールパイプ26に連通している。
図2に示すように、内管22には開閉弁48が設けられており、この開閉弁48は、内管22の下流端に設けられ、内管22を開閉するように外管23に回動自在に取付けられている。
この開閉弁48は、図示しないアクチュエータによって開閉制御されるようになっており、アクチュエータによって開閉弁48がバイパス通路24を閉塞することにより、バイパス通路24から受熱通路27に導入される排気ガスの流量を増大させるようになっている。
また、開閉弁48がアクチュエータによって解放されて開閉弁48の解放量が大きくなるにつれて、バイパス通路24の開度が大きくなることにより、バイパス通路24から受熱通路27に導入される排気ガスの流量が低下されるようになっている。
なお、このアクチュエータは、冷却水の温度に応じて作動するサーモアクチュエータ、あるいは、電子制御装置によって制御される電磁アクチュエータから構成されている。なお、アクチュエータは、これらサーモアクチュエータや電磁アクチュエータに限定されるものではない。
次に、作用を説明する。
エンジン1の冷間始動時等のように冷却水の温度が低い場合には、触媒5、6、エンジン1の冷却水の全てが低温(外気温程度)になっている。
この状態からエンジン1が始動されると、エンジン1の始動に伴いエンジン1からエキゾーストマニホールド2を経て排気管4に、排気ガスが排出されることになり、2つの触媒5、6が排気ガスの熱により昇温されることになる。
また、冷却水がラジエータ7を通らずにバイパス管12を経てエンジン1に戻されることによって冷却水の温度が上昇されることになる。
一方、冷却水の温度が所定温度以下の場合にアクチュエータによって開閉弁48が閉じた状態に制御される。なお、この所定温度は、暖気温度、あるいは、暖気温度以上の温度でもよく、特に限定されるものではない。
本実施の形態の熱電発電装置17は、排気ガスが一方向に流れる主通路部44と、主通路部44に隣接して設けられた副通路部45と、副通路部45を流れる排気ガスを、主通路部44を流れる排気ガスの流れる方向と反対方向に逆流して主通路部44に還流させる絞り部材46とを含んで構成され、熱電変換モジュール29の受熱基板31が主通路部44および副通路部45に対向している。
このため、開閉弁48が閉じた状態となると、排気管4からバイパス通路24に導入された排気ガスが連通孔28を通して受熱通路27に設けられた主通路42に導入される。主通路42に導入される排気ガスは、絞り片47bによって絞られることにより、流速が上昇し、絞り片47bの下流側でベンチュリ効果による負圧が発生する。
したがって、主通路42の下流側に流れる排気ガスの一部が副通路43に導入されて、副通路43を流れる排気ガスは、主通路42を流れる排気ガスの流れと逆流する流れとなる。なお、図5では、主通路42における排気ガスの流れをG1で示し、副通路43における排気ガスの流れをG2で示す。
すなわち、本実施の形態の熱電発電装置17は、絞り部材46によって生じるベンチュリ効果によって、副通路部45を流れる排気ガスを、主通路部44を流れる排気ガスの排気方向(一方向)と反対方向に逆流させ主通路部44に還流させることができる。
また、主通路42および副通路43を流れる(受熱通路27を流れる)高温の排気ガスは、熱電変換モジュール29の受熱基板31に作用し、冷却水管30を流通する低温の冷却水は、熱電変換モジュール29の放熱基板32に作用する。
このため、熱電変換モジュール29の受熱基板31と放熱基板32との間の温度差によって発電が行われ、発電された電力は、ケーブル37を介してバッテリに供給され、バッテリに充電される。
一方、主通路42を流れる排気ガスの一部は、主通路42の下流端から副通路43に導入されて副通路43から主通路42の上流側に還流されるので、この還流される排気ガスは、主通路42の上流側にエンジン1から排気管4を通して導入される新規の排気ガスと混合されることになる。
このため、上流側の熱電変換モジュール29に高温の新規の排気ガスを直接接触させないようにすることができ、上流側の熱電変換モジュール29のN型熱電変換素子33やP型熱電変換素子34、あるいは、ケーブル37が排気ガスの熱害を受けて損傷するのを防止することができる。
また、冷却水管30に伝達される排気ガスの熱量を少なくすることができるため、冷却水が過度に昇温されてしまうのを抑制することができ、冷却水管30が破損したり、エンジン1の冷却性能が低下するのを防止することができる。
また、冷却水の温度が上昇するのを抑制することができるため、排気ガスと冷却水との温度差を大きくすることができ、熱電変換モジュール29の発電効率が低下するのを防止することができる。
一方、主通路42から副通路43に導入される熱回収後の排気ガスは、副通路43内を下流側(主通路42に対しては上流側となる)に移動するにつれて冷却水管30を流通する冷却水によって熱を奪われるが、主通路42に導入された高温の新規の排気ガスの放射熱によって温められることで熱量が回復する。
このため、副通路43を流れる排気ガスの温度を副通路43の上流側から下流側に向かって略均一にすることができ、副通路43を流れる略均一の温度の排気ガスと主通路42を流れる排気ガスとの間で熱交換が行われることになる。
したがって、主通路42と副通路43とを流れる排気ガスの温度が排気ガスの流れ方向においてばらついてしまうのを防止しつつ、主通路42と副通路43とを流れる排気ガスを熱電変換モジュール29の受熱基板31に作用させることができる。
この結果、熱電変換モジュール29の受熱基板31と放熱基板32との温度差が排気ガスの流れ方向にばらついてしまうのを防止することができ、熱電変換モジュール29の発電効率が低下するのを防止することができる。
また、本実施の形態の熱電発電装置17は、絞り部材46の絞り片47bによって主通路部44に導入される排気ガスの流速を上昇させるようにしたので、ニュートンの冷却の法則により、排気ガスから熱電変換モジュール29の受熱基板31への伝熱効率を向上させることができる。したがって、熱電変換モジュール29の発電効率をより一層向上させることができる。
(第2の実施の形態)
図7〜図11は、本発明に係る熱電発電装置の実施の形態を示す図であり、第1の実施の形態と同一の符号には同一番号を付して説明を省略する。なお、熱電変換モジュール29の構成は、図3と同一であり、吸熱フィン41および絞り部材46の構成は、図6と同一であるため、熱電変換モジュール29、吸熱フィン41および絞り部材46については、図3、図6を用いて説明する。
図7、図8において、熱電発電装置50は、排気管4からバイパスされたバイパス管51に取付けられている。熱電発電装置50は、エンジン1から排出された高温媒体としての排気ガスGが導入される高温媒体流通部としての排気管部52を備えている。
排気管部52の上流端は、バイパス管51の上流管部51aに接続されているとともに、排気管部52の下流端は、バイパス管51の下流管部51bに接続されており、排気管部52の内部には排気管4からバイパス管51の上流管部51aに導入された排気ガスGが導入される排気通路53が形成されている。また、排気通路53は、バイパス管51の下流管部51bを通して排気管4に排気ガスGを排出するようになっている。
このため、エンジン1から排気管4を通して排気管部52の排気通路53に排出された排気ガスGは、再び排気管4を通して外部に排出される。
また、熱電発電装置50は、排気ガスGの排気方向に設置される複数の熱電変換モジュール29(図3参照)と、排気管部52と同軸上に設けられた低温媒体流通部としての筒状の冷却水管62とを備えている。
一方、排気管部52の内部には図6に示す吸熱フィン41が設けられており、この吸熱フィン41は、排気管部52の長手方向(延在方向)に延在するとともに、排気管部52の幅方向に沿って櫛歯状に延在している。
図9に示すように、吸熱フィン41の天井部41bは、排気管部52の内周上面52aに当接しており、吸熱フィン41の底部41aは、排気管部52の内周底面52bに当接している。
図9、図10に示すように、吸熱フィン41の仕切壁41c、底部41aおよび排気管部52の内周上面52aによって囲まれる空間は、排気ガスが流れる主通路54を構成しており、吸熱フィン41の仕切壁41c、天井部41bおよび排気管部52の内周底面52bによって囲まれる空間は、排気ガスが流れる副通路55を構成している。
そして、熱電変換モジュール29の受熱基板31は、主通路54および副通路55に対向するように排気管部52の外周面52cに接触している。
本実施の形態の熱電発電装置50は、仕切壁41c、底部41aおよび排気管部52が主通路部56を構成し、仕切壁41c、天井部41bおよび排気管部52が主通路部56に隣接する副通路部57を構成している。
また、主通路部56の上流管部51a側の一端側は副通路部57の上流管部51a側の一端側に連通しており、主通路部56の下流管部51b側の他端側は副通路部57の下流管部51b側の他端側に連通している。
また、主通路54の上流側には逆流部を構成する絞り部材46(図6参照)が設けられており、絞り部材46の開口部47aを流れる排気ガスは、絞り片47bによって絞られて主通路54に導入される。
なお、本実施の形態の熱電発電装置50は、主通路部56、副通路部57および絞り部材46が高温媒体流通部を構成している。
図7に示すように、排気管4には開閉弁58が設けられており、この開閉弁58は、上流管部51aと下流管部51bとの間に設けられ、排気管4を開閉するように排気管4に回動自在に取付けられている。
この開閉弁58は、図示しないアクチュエータによって開閉制御されるようになっており、アクチュエータによって開閉弁58が排気管4の排気通路4aを閉塞することにより、排気通路4aから排気管部52の排気通路53に導入される排気ガスの流量を増大させるようになっている。
また、開閉弁58がアクチュエータによって解放されて開閉弁58の解放量が大きくなるにつれて、排気通路4aの開度が大きくなることにより、排気通路4aから排気通路53に導入される排気ガスの流量が低下されるようになっている。
一方、排気管部52と冷却水管62との間の空間は、熱電変換モジュール29が配置される密閉空間としてのモジュール室59を画成している。すなわち、排気管部52の上流側と冷却水管62との間にはプレート60が取付けられており、このプレート60によってモジュール室59の上流端が閉止されている。
また、排気管部52の下流側と冷却水管62との間にはプレート61が取付けられており、このプレート61によってモジュール室59の下流端が閉止されている。したがって、モジュール室59は、排気管部52の外周面52cおよび冷却水管62の内周面62cおよびプレート60、61によって囲まれる密閉空間から構成される。
次に、作用を説明する。
冷却水の温度が所定温度以下の場合にアクチュエータによって開閉弁58が閉じた状態に制御される。なお、この所定温度は、暖気温度、あるいは、暖気温度以上の温度でもよく、特に限定されるものではない。
本実施の形態の熱電発電装置50は、排気ガスが一方向に流れる主通路部56と、主通路部56に隣接して設けられた副通路部57と、副通路部57を流れる排気ガスを、主通路部56を流れる排気ガスの流れる方向と反対方向に逆流して主通路部56に還流させる絞り部材46とを含んで構成され、熱電変換モジュール29の受熱基板31が主通路部56および副通路部57に対向している。
このため、開閉弁58が閉じた状態となると、排気ガスが排気管4から上流管部51aを通して排気通路53に設けられた主通路54に導入され、主通路54に導入される排気ガスは、絞り片47bによって絞られることにより、流速が上昇し、絞り片47bの下流側でベンチュリ効果による負圧が発生する。
したがって、主通路54の下流側に流れる排気ガスの一部が副通路55に導入されて、副通路55を流れる排気ガスは、主通路54を流れる排気ガスの流れと逆流する流れとなる。なお、図8では、主通路54における排気ガスの流れをG1で示し、副通路55における排気ガスの流れをG2で示す。
すなわち、本実施の形態の熱電発電装置50は、絞り部材46によって生じるベンチュリ効果によって、副通路55を流れる排気ガスを、主通路54を流れる排気ガスの排気方向(一方向)と反対方向に逆流させ主通路部56に還流させることができる。
また、主通路54および副通路55を流れる(排気通路53を流れる)高温の排気ガスは、熱電変換モジュール29の受熱基板31に作用し、冷却水管62を流通する低温の冷却水は、熱電変換モジュール29の放熱基板32に作用する。
このため、熱電変換モジュール29の受熱基板31と放熱基板32との間の温度差によって発電が行われ、発電された電力は、ケーブル37を介してバッテリに供給され、バッテリに充電される。
一方、主通路54を流れる排気ガスの一部は、主通路54の下流端から副通路55に導入されて副通路55から主通路54の上流側に還流されるので、この還流される排気ガスは、主通路54の上流側にエンジン1から排気管4を通して導入される新規の排気ガスと混合されることになる。
このため、上流側の熱電変換モジュール29に高温の新規の排気ガスを直接接触させないようにすることができ、上流側の熱電変換モジュール29のN型熱電変換素子33やP型熱電変換素子34、あるいは、ケーブル37が排気ガスの熱害を受けて損傷するのを防止することができる。
また、冷却水管62に伝達される排気ガスの熱量を少なくすることができるため、冷却水が過度に昇温されてしまうのを抑制することができ、冷却水管62が破損したり、エンジン1の冷却性能が低下するのを防止することができる。
また、冷却水の温度が上昇するのを抑制することができるため、排気ガスと冷却水との温度差を大きくすることができ、熱電変換モジュール29の発電効率が低下するのを防止することができる。
一方、主通路54から副通路55に導入される熱回収後の排気ガスは、副通路55内を下流側(主通路54に対しては上流側となる)に移動するにつれて冷却水管62を流通する冷却水によって熱を奪われるが、主通路54に導入された高温の新規の排気ガスの放射熱によって温められることで熱量が回復する。
このため、副通路55を流れる排気ガスの温度を副通路55の上流側から下流側に向かって略均一にすることができ、副通路55を流れる略均一の温度の排気ガスと主通路54を流れる排気ガスとの間で熱交換が行われることになる。
したがって、主通路54と副通路55とを流れる排気ガスの温度が排気ガスの流れ方向においてばらついてしまうのを防止しつつ、主通路54と副通路55とを流れる排気ガスを熱電変換モジュール29の受熱基板31に作用させることができる。
この結果、熱電変換モジュール29の受熱基板31と放熱基板32との温度差が排気ガスの流れ方向にばらついてしまうのを防止することができ、熱電変換モジュール29の発電効率が低下するのを防止することができる。
また、本実施の形態の熱電発電装置50は、絞り部材46の絞り片47bによって主通路部56に導入される排気ガスの流速を上昇させるようにしたので、ニュートンの冷却の法則により、排気ガスから熱電変換モジュール29の受熱基板31への伝熱効率を向上させることができる。したがって、熱電変換モジュール29の発電効率をより一層向上させることができる。
なお、上記各実施の形態において、主通路42、54の幅を副通路43、55の幅よりも広くするようにしてもよい(図11参照)。このようにすれば、主通路42、54に導入される排気ガスの背圧が増大するのを抑制することができる。
また、主通路42、54の幅を広くする場合には、開口部47aの流路面積を絞り片47bによって主通路42、54の流路面積よりも小さい流路面積に絞ればよい。このようにすれば、上記各実施の形態と同様に、ベンチュリ効果によって副通路43、55から主通路42、54に排気ガスを還流させることができる。
以上のように、本発明に係る熱電発電装置は、熱電変換モジュールの熱害による損傷を防止しつつ、熱電変換モジュールの発電効率が低下するのを防止することができるという効果を有し、高温媒体と低温媒体との温度差に応じて発電を行う熱電発電装置等として有用である。
17,50…熱電発電装置、22…内管(排気管部、高温媒体流通部)、23…外管(排気管部、高温媒体流通部)、29…熱電変換モジュール、30,62…冷却水管(低温媒体流通部)、31…受熱基板(高温部)、32…放熱基板(低温部)、41…吸熱フィン、44,56…主通路部(高温媒体流通部)、45,57…副通路部(高温媒体流通部)、46…絞り部材(逆流部、高温媒体流通部)、52…排気管部

Claims (3)

  1. 高温媒体が流通する高温媒体流通部と、低温媒体が流通する低温媒体流通部と、前記高温媒体流通部に高温部が対向するとともに前記低温媒体流通部に低温部が対向し、前記高温部と前記低温部との温度差に応じて熱電発電を行う複数の熱電変換モジュールとを備えた熱電発電装置であって、
    前記高温媒体流通部は、前記高温媒体が一方向に流れる主通路部と、前記主通路部に隣接して設けられた副通路部と、前記副通路部を流れる前記高温媒体を、前記主通路部を流れる高温媒体の前記一方向と反対方向に逆流させて前記主通路部に還流させる逆流部とを含んで構成され、前記熱電変換モジュールの高温部が前記主通路部および前記副通路部に対向することを備えたことを特徴とする熱電発電装置。
  2. 前記逆流部は、前記主通路部に対して排気ガスの流れ方向の上流側に設けられ、前記主通路部の流路面積よりも小さい流路面積を有する絞り部材を備え、
    前記主通路部の一端側と前記副通路の一端側とが連通するとともに、前記主通路部の他端側と前記副通路の他端側とが連通することを特徴とする請求項1に記載の熱電発電装置。
  3. 前記高温媒体流通部は、前記高温媒体が流通する排気管部と、前記排気管部の内部に設けられ、前記排気管部の内部を前記排気管部の延在方向に沿って延在する前記主通路部と前記主通路部に隣接して前記排気管部の延在方向に沿って延在する前記副通路部とに区画し、前記排気管部に前記高温媒体の熱を伝達する吸熱フィンとを含んで構成され、
    前記排気管部に前記熱電変換モジュールの高温部が対向することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱電発電装置。
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