JP2014087961A - 複合断熱材、及び複合断熱材に用いられるモルタル組成物用材料 - Google Patents

複合断熱材、及び複合断熱材に用いられるモルタル組成物用材料 Download PDF

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【課題】基材として樹脂発泡体を用いた複合断熱材であって、厚み及び重量が小さく、優れた耐燃焼性能を有する複合断熱材を提供する。
【解決手段】複合断熱材は、樹脂発泡体と、セメント、無機質充填材及び繊維を含有するモルタル組成物とが積層されている複合断熱材であって、前記モルタル組成物がセメント100質量部に対して無機質充填材110〜1000質量部、繊維0.5〜30質量部を含有し、且つ無機質充填材中に吸熱物質100〜800質量部、無機質軽量骨材10〜200質量部を含有することを特徴とする。また、前記樹脂発泡体とモルタル組成物とが、樹脂結合材と吸熱物質と鱗片状無機質粒子と含有する下塗材塗膜を介して積層されていることが特に好ましい。
【選択図】なし

Description

この発明は、樹脂発泡体とモルタル組成物とを積層した複合断熱材に関する。この複合断熱材は、建築物や土木構造物等の構造物等に用いることができる。
従来から、建築物や土木構造物等の建造物には断熱材として、樹脂発泡体が用いられることがある。
しかし、樹脂発泡体は、断熱性能に優れているが、火災時等に燃焼しやすいという欠点があった。建造物に用いられる材料には、火災時等に燃焼し難い性能(以下、「耐燃焼性能」という。)が要求されることがあり、そのような場合には、樹脂発泡体に、火災等から樹脂発泡体を保護するための耐火材を積層した複合断熱材が用いられていた。
そして、このような目的で用いる耐火材として、セメントを結合材とする耐火材(以下、「耐火モルタル」ともいう。)が提案されていた。樹脂発泡体に耐火モルタルを積層したものとしては、例えば、特許文献1に記載されているもの等がある。
特許文献1には、従来技術として、樹脂発泡体に耐火モルタルを積層した複合断熱材が記載されており、その複合断熱材の製造方法として、樹脂発泡体に別に製造した耐火モルタル板を張り付ける製造方法や、樹脂発泡体の表面に耐火モルタルを直接形成する製造方法が記載されている。
また、特許文献1には、樹脂発泡体の表面に耐火モルタルを積層した複合断熱材の発明として、「断熱材層の片面にパネル材層が接着され、コーンカロリー試験の発熱性試験において準不燃レベル以上である断熱用パネルであって、前記断熱材層は、密度が20〜60kg/m3 の合成樹脂発泡体で構成され、前記パネル材層は、線膨張率が6×10-5〜9×10-4cm/cm/℃、気乾嵩比重が1.0〜1.7、厚さが2〜10mmの繊維強化セメントボードで構成されることを特徴とする断熱用パネル」が記載されている。
特許文献2には、樹脂発泡体の表面に耐火モルタルを積層した複合断熱材の発明として、「無機質基材及び有機質基材から選ばれる基材の少なくとも一方の面に、セメント100重量部に対し、発泡有機樹脂粒子を4〜40重量部、無機軽量粒子を5〜300重量部、及び吸熱物質を5〜800重量部を含む組成物の硬化体からなる耐火断熱層が設けられたことを特徴とする積層体」が記載されている。
特開2005−240331号公報 特開2011−156799号公報
近年、耐燃焼性能をより向上させた断熱材が求められているが、特許文献1の複合断熱材では耐燃焼性能を向上させることが難しかった。また、特許文献2では、基材として樹脂発泡体を用いた複合断熱材の耐燃焼性能については十分に検討されていなかった。
また、従来から樹脂発泡体に対して用いられている耐火モルタルでは、耐燃焼性能を向上させるために耐火モルタルの厚みを厚くする必要があり、複合断熱材の厚み及び重量が大きくなってしまうという問題があった。
また、樹脂発泡体に耐火モルタルを積層しても、火災等によって加熱された際に樹脂発泡体が熱変形して、その変形に耐火モルタルが追従できずに、耐火モルタルにひび割れが発生してしまい、耐燃焼性能が十分に発揮されないことがあった。
本発明者は、前記課題を解決するために検討した結果、耐火モルタルとして、セメント、吸熱物質を含む無機質充填材、及び樹脂結合材を特定の範囲の量で含有するモルタル組成物を用いることによって、厚み及び重量が小さく、優れた耐燃焼性能を有する複合断熱材を得ることができることを見出し本発明に至った。
本発明は、厚み及び重量が小さく、優れた耐燃焼性能を有する複合断熱材を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、樹脂発泡体と、セメント、無機質充填材及び繊維を含有するモルタル組成物とが積層されている複合断熱材であって、前記モルタル組成物がセメント100質量部に対して無機質充填材110〜1000質量部、繊維0.5〜30質量部を含有し、且つ無機質充填材中に吸熱物質100〜800質量部、無機質軽量骨材10〜200質量部を含有することを特徴とする複合断熱材である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記モルタル組成物が、セメント100質量部に対して樹脂結合材1〜20質量部を含有することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記樹脂発泡体とモルタル組成物とが、樹脂結合材と吸熱物質とを含有する下塗材塗膜を介して積層されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記下塗材塗膜が、鱗片状無機質粒子を含有することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記下塗材塗膜が、樹脂結合材100質量部に対して、吸熱物質10〜800質量部、鱗片状無機質粒子10〜400質量部を含有することを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記樹脂発泡体とモルタル組成物とが、樹脂結合材とセメントとを含有する下塗材塗膜を介して積層されていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の複合断熱材のモルタル組成物を得るための材料であって、セメント100質量部に対して無機質充填材110〜1000質量部、繊維0.5〜30質量部を含有し、且つ無機質充填材中に吸熱物質100〜800質量部、無機質軽量骨材10〜200質量部を含むことを特徴とするモルタル組成物用材料である。
請求項1に記載の発明によれば、厚み及び重量が小さく、優れた耐燃焼性能を有する複合断熱材を得ることができる。この複合断熱材は、火災等によって加熱されて樹脂発泡体が熱変形しても、モルタル組成物が変形に追従してひび割れが発生しにくいため、優れた耐燃焼性能を発揮する。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、樹脂発泡体とモルタル組成物との密着性が向上するとともに、耐燃焼性能に優れる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加えて、樹脂発泡体とモルタル組成物との密着性を向上する。また、下塗材塗膜によって複合断熱材の耐燃焼性能が向上するので、複合断熱材の厚み及び重量の増加を抑えることができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明の効果に加えて、複合断熱材の耐燃焼性能がより向上する。
請求項5に記載の発明によれば、請求項4に記載の発明の効果に加えて、複合断熱材の耐燃焼性能が特に向上する。
請求項6に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加えて、樹脂発泡体とモルタル組成物との密着性を向上する。また、下塗材塗膜によって複合断熱材の耐燃焼性能が向上する。
請求項7に記載の発明によれば、厚み及び重量が小さいとともに、火災等によって加熱されて樹脂発泡体が熱変形しても、変形に追従してひび割れが発生しにくいため、優れた耐燃焼性能を発揮することができるモルタル組成物を得ることができる。
本発明の複合断熱材は、樹脂発泡体と、セメント、無機質充填材及び繊維を含有するモルタル組成物とが積層されているものであって、前記モルタル組成物がセメント100質量部に対して無機質充填材110〜1000質量部、繊維0.5〜30質量部を含有し、且つ無機質充填材中に吸熱物質100〜800質量部、無機質軽量骨材10〜200質量部を含有することを特徴とする。
この複合断熱材は、樹脂発泡体にこのような組成のモルタル組成物が積層されていることによって、厚み及び重量が小さくても、優れた耐燃焼性能を有する。
前記複合断熱材は、樹脂発泡体とモルタル組成物とが、下塗材塗膜を介して積層されていることがより好ましい。複合断熱材が下塗材塗膜を有することによって、樹脂発泡体とモルタル組成物との密着性が向上する。また、下塗材塗膜によって複合断熱材の耐燃焼性能が向上するため、複合断熱材の厚み及び重量の増加を抑えることができる。
(樹脂発泡体)
前記樹脂発泡体は、樹脂製の多孔質体である。樹脂発泡体に用いられる樹脂としては、例えば、エチレン樹脂、プロピレン樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は一種類だけで用いられてもよく、二種類以上が併用されていてもよい。また、二種類以上の樹脂のモノマーが共重合されたものであってもよい。
前記樹脂発泡体の嵩比重は、0.01〜0.25(より好ましくは0.015〜0.15、特に好ましくは0.02〜0.1)であることが好ましい。前記嵩比重がこの範囲にあれば、複合断熱材が断熱性能に優る。前記嵩比重が0.25を超える場合には、断熱性能が十分でない恐れがある。逆に、前記嵩比重が0.01未満である場合には、樹脂発泡体が脆弱になり、モルタル組成物が硬化する際の収縮によって、樹脂発泡体とモルタル組成物との間にずれが生じて密着性が低下したり、樹脂発泡体が反ったりする恐れがある。なお、密着性が低下すると、モルタル組成物が樹脂発泡体から剥離しやすくなり、複合断熱材の耐燃焼性能が低下する恐れがある。
前記樹脂発泡体の厚みは、5〜200mm(より好ましくは10〜150mm、特に好ましくは20〜100mm)であることが好ましい。前記厚みがこの範囲にあれば、複合断熱材が断熱性能に優るとともに、耐燃焼性能に優れる。前記厚みが5mm未満である場合には、断熱性能が十分でない恐れがある。逆に、前記厚みが200mmを超える場合には、複合断熱材の厚み及び重量が大きくなるとともに、耐燃焼性能が低下する恐れがある。
(モルタル組成物)
前記モルタル組成物は、セメント100質量部に対して無機質充填材110〜1000質量部、繊維0.5〜30質量部を含有し、且つ無機質充填材中に吸熱物質100〜800質量部、無機質軽量骨材10〜200質量部を含有する。
前記モルタル組成物は、セメント、無機質充填材、及び繊維に水を加えて混練された混合物が乾燥硬化することで形成される。なお、モルタル組成物は、必要に応じてこれら以外の成分を含有していてもよい。
前記モルタル組成物は、耐燃焼性能に優れるとともに、樹脂発泡体の膨張収縮や変形に追従することができる。モルタル組成物が樹脂発泡体の膨張収縮や変形に追従できないと、施工後にモルタル組成物にひび割れや剥離が発生してしまう恐れがある。また、モルタル組成物が樹脂発泡体の変形に追従できないと、火災等によって複合断熱材が加熱された際に、樹脂発泡体が熱変形してモルタル組成物にひび割れが発生して、そのひび割れから熱が入ることによって樹脂発泡体が融解したり燃焼したりするために、複合断熱材の耐燃焼性能が大幅に低下してしまう恐れがある。なお、樹脂発泡体の熱変形は融解温度や燃焼温度よりも低い温度でもおこる。
前記セメントは、水と反応して硬化する水硬性セメント、及び二酸化炭素等と反応して硬化する気硬性セメントである。水硬性セメントとしては、例えば、普通ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、アルミナセメント等の各種セメント等が挙げられる。また、気硬性セメントとしては、例えば、石膏、消石灰、ドロマイトプラスター等が挙げられる。
前記無機質充填材は、モルタル組成物に一般的に用いられるものであればよく、例えば、珪砂、山砂、川砂、寒水砂、タルク、カオリンクレー、炭酸カルシウム、雲母、陶磁器粉砕物、ガラス粉砕物、金属酸化物、金属水酸化物等の無機質骨材、シラスバルーン、パーライト、バーミキュライト、膨張頁岩、軽石、珪藻土、ガラス発泡体、セラミック発泡体、スラグ発泡体等の無機質軽量骨材等が挙げられる。
前記モルタル組成物は、無機質充填材として吸熱物質を含有することが好ましい。吸熱物質とは、加熱されることによって脱水反応をする物質である。モルタル組成物が吸熱物質を含有することによって、吸熱物質が加熱された際の脱水反応による吸熱作用によって、複合断熱材の耐燃焼性能が向上する。
吸熱物質としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム等の金属水酸化物が挙げられる。これらの中でも、吸熱量が大きいとともに、前記モルタル組成物に用いられる他の材料との混合性がいい水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムが好ましく、水酸化アルミニウムが特に好ましい。
前記吸熱物質の含有量は、セメント100質量部に対して100〜800質量部(より好ましくは250〜750質量部、特に好ましくは400〜700質量部)であることが好ましい。前記含有量がこの範囲にあれば、複合断熱材が耐燃焼性能に優れる。前記含有量がセメント100質量部に対して100質量部未満である場合には、耐燃焼性能が十分でない。逆に、前記含有量がセメント100質量部に対して800質量部を超える場合には、相対的にセメントの割合が小さくなることによって、モルタル組成物が脆くなってしまう恐れがある。
前記モルタル組成物は、無機質充填材として無機質軽量骨材を含有することが好ましい。無機質軽量骨材とは、本明細書では、JIS A5002:2003で規定されている絶乾密度が2.3g/cm未満の骨材をいう。モルタル組成物が無機質軽量骨材を含有することによって、モルタル組成物の熱伝導率が小さくなり、複合断熱材の耐燃焼性能が向上する。また、モルタル組成物の重量が軽くなるため、複合断熱材の重量を小さくなる。
無機質軽量骨材としては、前記したように、シラスバルーン、パーライト、バーミキュライト、膨張頁岩、軽石、珪藻土、ガラス発泡体、セラミック発泡体、スラグ発泡体等が挙げられる。
前記無機質軽量骨材の絶乾密度は、0.01〜1.6g/cm(より好ましくは0.02〜1.0g/cm、特に好ましくは0.03〜0.6g/cm)であることが好ましい。前記絶乾密度がこの範囲にあれば、複合断熱材の耐燃焼性能及び断熱性能を特に向上する。前記絶乾密度が1.6g/cmを超える場合には、複合断熱材の耐燃焼性能及び断熱性能が十分に向上しない恐れがある。逆に、前記絶乾密度が0.01g/cm未満である場合には、モルタル組成物が脆くなってしまう恐れがある。
前記無機質軽量骨材の含有量は、セメント100質量部に対して10〜200質量部(より好ましくは15〜150質量部、特に好ましくは20〜100質量部)であることが好ましい。前記含有量がこの範囲にあれば、複合断熱材の耐燃焼性能及び断熱性能が向上するとともに、モルタル組成物が樹脂発泡体の膨張収縮や変形に追従しやすくなる。前記含有量がセメント100質量部に対して10質量部未満である場合には、複合断熱材の耐燃焼性能及び断熱性能が十分に向上しないとともに、モルタル組成物が樹脂発泡体の膨張収縮や変形に十分に追従できない恐れがある。逆に、前記含有量がセメント100質量部に対して200質量部を超える場合には、モルタル組成物が脆くなってしまう恐れがあるとともに、相対的に吸熱物質の割合が少なくなることによって複合断熱材の耐燃焼性能が十分に向上しない恐れがある。
前記無機質充填材の含有量は、セメント100質量部に対して110〜1000質量部(より好ましくは250〜900質量部、特に好ましくは400〜800質量部)であることが好ましい。前記含有量がこの範囲にあれば、複合断熱材が耐燃焼性能に優れる。前記含有量がセメント100質量部に対して110質量部未満である場合には、吸熱物質及び無機質軽量骨材が少なすぎて耐燃焼性能が十分でない。逆に、前記含有量がセメント100質量部に対して1000質量部を超える場合には、相対的にセメントの割合が小さくなることによって、モルタル組成物が脆くなってしまう恐れがある。
前記モルタル組成物は、無機質繊維、有機質繊維等の繊維を含有することが好ましく、有機質繊維を含有することがより好ましい。モルタル組成物が繊維を含有することによって、モルタル組成物が樹脂発泡体の膨張収縮や変形に追従しやすくなる。
なお、繊維は少ない含有量で効果を発揮することができるので、繊維が有機質繊維であっても、複合断熱材の耐燃焼性能への影響は小さい。
無機質繊維としては、例えば、ロックウール、スラグウール等の鉱物繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、金属繊維、炭素繊維等が挙げられる。また、有機質繊維としては、例えば、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ビニロン繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維などが挙げられる。
前記繊維の繊維長は、4〜50mm(より好ましくは6〜35mm、特に好ましくは8〜20mm)であることが好ましい。前記繊維長がこの範囲にあれば、モルタル組成物が樹脂発泡体の膨張収縮や変形により追従しやすくなる。前記繊維長が4mm未満である場合には、モルタル組成物が樹脂発泡体の膨張収縮や変形に十分に追従できない恐れがある。逆に、前記繊維長が50mmmを超える場合には、セメントや無機質充填材と混練する際に繊維が絡まる現象が生じやすく、繊維がモルタル組成物中に均一に分散されないことによって、モルタル組成物が樹脂発泡体の膨張収縮や変形に追従する効果が十分に発揮されない恐れがある。
前記繊維の繊維径は、5〜600μm(より好ましくは10〜300μm、特に好ましくは15〜200μm)であることが好ましい。前記繊維径がこの範囲にあれば、モルタル組成物が樹脂発泡体の膨張収縮や変形により追従しやすくなる。前記繊維径が5μm未満である場合には、モルタル組成物が樹脂発泡体の膨張収縮や変形に十分に追従できない恐れがある。逆に、前記繊維径が600μmmを超える場合には、少ない含有量で十分な効果が発揮されにくくなるので、繊維径の含有量が増えて耐燃焼性能が低下する恐れがある。
なお、前記繊維径とは、繊維の断面積と等面積の円の直径をいう。
前記繊維の含有量は、セメント100質量部に対して0.5〜30質量部(より好ましくは1〜20質量部、さらに好ましくは1.5〜10質量部、特に好ましくは2〜6質量部)であることが好ましい。前記含有量がこの範囲にあれば、モルタル組成物が樹脂発泡体の膨張収縮や変形に追従しやすくなる。前記含有量がセメント100質量部に対して0.5質量部未満である場合には、モルタル組成物が樹脂発泡体の膨張収縮や変形に十分に追従できない恐れがある。逆に、前記含有量がセメント100質量部に対して30質量部を超える場合には、セメントや無機質充填材と混練する際に繊維が絡まる現象が生じやすく、繊維がモルタル組成物中に均一に分散されないことによって、モルタル組成物が樹脂発泡体の膨張収縮や変形に追従する効果が十分に発揮されない恐れがある。また、繊維が有機質繊維であると、前記含有量がセメント100質量部に対して30質量部を超える場合には、複合断熱材の耐燃焼性能が低下する恐れがある。
前記モルタル組成物は、樹脂結合材を含有することが好ましい。モルタル組成物が樹脂結合材を含有することによって、樹脂発泡体とモルタル組成物との密着性が向上する。
樹脂結合材は、セメントと混和可能な樹脂結合材であればよく、一般的に用いられるものとしては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂、これらの樹脂のモノマーが共重合された樹脂、またはこれらの樹脂に他のモノマーが共重合された樹脂等の合成樹脂等が挙げられる。これらの樹脂結合材は単独で用いられてもよく、2種類以上が混合されて用いられてもよい。なお、樹脂結合材は、樹脂が水に分散されたエマルション、又は水と混合されることでエマルションとなる再乳化型粉末樹脂等の形態のものが用いられる。
前記樹脂結合材の含有量は、セメント100質量部に対して1〜20質量部(より好ましくは1.5〜15質量部、特に好ましくは1.5〜10質量部)であることが好ましい。前記含有量がこの範囲にあれば、樹脂発泡体とモルタル組成物との密着性が向上するとともに、耐燃焼性能に優れる。前記含有量がセメント100質量部に対して1質量部未満である場合には、樹脂発泡体とモルタル組成物との密着性が十分でなく、モルタル組成物が樹脂発泡体から剥離しやすくなることによって、複合断熱材の耐燃焼性能が低下する恐れがある。逆に、前記含有量がセメント100質量部に対して20質量部を超える場合には、複合断熱材の耐燃焼性能が低下する恐れがある。
前記モルタル組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記以外の成分を含有してもよい。前記以外の成分としては、添加剤、有機質充填材等が挙げられる。
前記添加剤は、モルタル組成物に一般的に用いられるものであればよく、例えば、セルロース誘導体等の粘性調整剤、吸水防止剤、撥水剤、減水剤、流動化剤、保水剤、硬化遅延剤、硬化促進剤、起泡剤等が挙げられる。
前記有機質充填材としては、樹脂、ゴム、又はこれらの発泡体の粒子等の有機質骨材等が挙げられる。
前記モルタル組成物は、有機質充填材として樹脂発泡体粒子を含有することが好ましい。モルタル組成物が樹脂発泡体粒子を含有することによって、複合断熱材の断熱性が向上する。
前記樹脂発泡体粒子の含有量は、セメント100質量部に対して0.5〜10質量部(より好ましくは1〜6質量部、特に好ましくは1.5〜3.5質量部)であることが好ましい。前記含有量がこの範囲にあれば、複合断熱材の断熱性能が特に向上する。前記含有量がセメント100質量部に対して0.5質量部未満である場合には、断熱性能が十分に向上しない。逆に、前記含有量がセメント100質量部に対して10質量部を超える場合には、複合断熱材の耐燃焼性能が低下する恐れがある。
前記モルタル組成物の厚みは、5〜60mm(より好ましくは8〜45mm、特に好ましくは10〜35mm)であることが好ましい。前記厚みがこの範囲にあれば、複合断熱材が断熱性能及び耐燃焼性能に特に優れる。前記厚みが5mm未満である場合には、断熱性能及び耐燃焼性能が十分でない恐れがある。逆に、前記厚みが60mmを超える場合には、複合断熱材の厚み及び重量が大きくなる。
(下塗材塗膜)
前記下塗材塗膜は、樹脂発泡体とモルタル組成物との間に設けられる塗膜であって、樹脂結合材を結合材として含有する下塗材によって形成される塗膜である。このような下塗材塗膜を介して、樹脂発泡体とモルタル組成物とが積層されていることによって、樹脂発泡体とモルタル組成物との密着性を向上する。また、下塗材塗膜によって複合断熱材の耐燃焼性能が向上するので、複合断熱材の厚み及び重量の増加を抑えることができる。
前記下塗材塗膜は、結合材として、樹脂結合材に加えてセメントを含有していてもよい。
下塗材塗膜が樹脂結合材とセメントとを含有する場合には、それらの含有量がセメント100質量部に対して、樹脂結合材5〜100質量部(より好ましくは8〜60質量部、特に好ましくは16〜40質量部)であることが好ましい。また、下塗材塗膜が樹脂結合材とセメントとに加えて無機質充填材を含有し、その含有量がセメント100質量部に対して無機質充填材50〜300質量部(より好ましくは80〜250質量部、特に好ましくは100〜200質量部)であることがより好ましい。前記含有量がこの範囲にあれば、樹脂発泡体とモルタル組成物との密着性が向上するとともに、複合断熱材の耐燃焼性能が向上する。樹脂結合材がセメント100質量部に対して5質量部未満である場合には、樹脂発泡体とモルタル組成物との密着性を十分に向上しない恐れがあり、セメント100質量部に対して100質量部を超える場合には、耐燃焼性能が十分に向上しない恐れがある。また、無機質充填材がセメント100質量部に対して50質量部未満である場合には、下塗材塗膜にひび割れが発生しやすいため、耐燃焼性能が十分に向上しない恐れがあり、セメント100質量部に対して300質量部を超える場合には、相対的に結合材の割合が小さくなるので、樹脂発泡体とモルタル組成物との密着性が十分に向上しない恐れがある。
なお、下塗材塗膜に含有されるセメント、樹脂結合材、及び無機質充填材は、前記のモルタル組成物に用いられるものと同様のものでよい。
前記下塗材塗膜は、樹脂結合材と吸熱物質とを含有することが好ましく、それらに加えて鱗片状無機質粒子を含有することがより好ましい。下塗材塗膜が樹脂結合材と吸熱物質とを含有することによって複合断熱材の耐燃焼性能が向上し、それらに加えて鱗片状無機質粒子を含有することによって耐燃焼性能が特に向上する。
前記樹脂結合材は、塗料や接着剤に一般的に用いられる樹脂結合材であればよく、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、フッ素樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、これらの樹脂のモノマーが共重合された樹脂、またはこれらの樹脂に他のモノマーが共重合された樹脂等の合成樹脂が挙げられる。これらの合成樹脂は単独で用いられてもよく、2種類以上が混合されて用いられてもよい。なお、下塗材には、樹脂を水に分散させたエマルション、又は水や有機溶剤等の溶媒に溶解させた樹脂溶液等の形態のものが用いられる。
前記樹脂結合材の下塗材塗膜中における含有率は、下塗材塗膜が吸熱物質を含有する場合、およびそれに加えて鱗片状無機質粒子を含有する場合には、7.5〜85質量%(より好ましくは10〜75質量%、更に好ましくは、20〜65質量%、特に好ましくは30〜60質量%)であることが好ましい。前記含有率この範囲にあれば、樹脂発泡体とモルタル組成物との密着性が向上するとともに、複合断熱材の耐燃焼性能が向上する。前記含有率が7.5質量%未満である場合には、密着性が十分でない恐れがある。逆に、前記含有率が85質量%を超えると、吸熱物質及び鱗片状無機質粒子の含有量が少なくなり、複合断熱材の耐燃焼性能が十分に向上しない恐れがある。
前記吸熱物質は、前記モルタル組成物に用いられるものと同様のものでよく、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム等の金属水酸化物が挙げられる。これらの中でも、吸熱量が大きいとともに、前記モルタル組成物に用いられる他の材料との混合性がいい水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムが好ましく、水酸化アルミニウムが特に好ましい。
前記吸熱物質の含有量は、樹脂結合材100質量部に対して10〜800質量部(より好ましくは20〜600質量部、特に好ましくは30〜200質量部)であることが好ましい。前記含有量がこの範囲にあれば、前記複合断熱材の耐燃焼性能が特に向上する。前記含有量が樹脂結合材100質量部に対して10質量部未満である場合は、耐燃焼性能が十分に向上しない恐れがある。逆に、前記含有量が樹脂結合材100質量部に対して800質量部を超える場合は、相対的に樹脂結合材の割合が少なくなることによって、樹脂発泡体とモルタル組成物との密着性が十分に向上しない恐れがある。
前記鱗片状無機質粒子を含有することが好ましい。下塗材塗膜が、樹脂結合材と吸熱物質とに加えて鱗片状無機質粒子を含有することによって、複合断熱材の耐燃焼性能がより向上する。下塗材塗膜が鱗片状無機質粒子を含有することによって複合断熱材の耐燃焼性能が向上する理由は定かではないが、鱗片状無機質粒子の熱反射性や耐熱性によって耐燃焼性能が向上するのではないかと推測される。
前記鱗片状無機質粒子としては、例えば、金属、合金、及び酸化物等の鱗片状粒子、鱗片状鉱物、鱗片状ガラス等が挙げられる。
前記の金属、合金、及び酸化物等の鱗片状粒子としては、例えば、アルミニウム、銀、金、白金、ニッケル、クロム、亜鉛、インジウム、チタン、銅等の金属、これらの金属を含有する合金、及びこれらの金属の酸化物等が挙げられる。また、前記鱗片状鉱物としては、例えば、白雲母、黒雲母、金雲母等の雲母類、タルク、モンモリロナイト、カオリナイト等が挙げられる。また、天然鉱物でない雲母類として合成雲母が挙げられる。
前記鱗片状無機質粒子は、表面が他の化合物で被覆されたものであってもよい。このようなものとしてはマイカ顔料等があり、例えば、雲母類、ガラス、酸化鉄、酸化アルミニウム、又はその他の各種金属等によって形成された鱗片状基材の表面が、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ジルコニウム等の金属酸化物で被覆されたもの等が挙げられる。
これらの鱗片状無機質粒子のなかでも、前記下塗材塗膜は、白雲母、黒雲母、金雲母、合成雲母等の雲母類、タルク、モンモリロナイト、カオリナイト等の鱗片状珪酸塩を含有することが好ましく、雲母類を含有することが特に好ましい。鱗片状無機質粒子として鱗片状珪酸塩を含有することによって、複合断熱材の耐燃焼性能が特に向上する。
前記鱗片状無機質粒子の平均粒子径は、10〜200μm(より好ましくは15〜100μm、特に好ましくは20〜60μm)であることが好ましい。また、鱗片状無機質粒子のアスペクト比(粒子径/厚み)が10〜150(より好ましくは15〜120、特に好ましくは20〜100)であることが特に好ましい。前記平均粒子径、及びアスペクト比がこの範囲にあれば、複合断熱材が耐燃焼性能に特に優れる。
なお、前記平均粒子径はレーザ回折式粒度分布測定装置等によって測定することができる。前記粒子径及び厚みは、顕微鏡法等によって測定することができる。なお、顕微鏡法等で測定する場合の粒子径は、鱗片状粒子の平面の最大径とする。
前記鱗片状無機質粒子の含有量は、樹脂結合材100質量部に対して10〜400質量部(より好ましくは20〜200質量部、特に好ましくは30〜150)であることが好ましい。前記含有量がこの範囲にあれば、複合断熱材の耐燃焼性能が特に向上する。前記含有量が樹脂結合材100質量部に対して10質量部未満である場合には、耐燃焼性能が十分に向上しない恐れがある。逆に、前記含有量が樹脂結合材100質量部に対して400質量部を超える場合には、相対的に樹脂結合材や吸熱物質の割合が小さくなることによって、樹脂発泡体とモルタル組成物との密着性が十分に向上しないと共に、耐燃焼性能が十分に向上しない恐れがある。
前記下塗材塗膜は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記以外の成分を含有してもよい。前記以外の成分としては、例えば、炭酸カルシウム、クレイ、シリカ等の充填材、酸化チタン、酸化亜鉛、黄鉛、亜鉛華、黄色酸化鉄、ベンガラ、カーボンブラック等の顔料、粘性調整剤、分散剤、湿潤剤、消泡剤、造膜助剤、凍結防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、防腐剤等の添加剤等が挙げられる。
前記下塗材塗膜の厚みは、0.02〜1.0mm(より好ましくは0.05〜0.6mm、特に好ましくは0.08〜0.3mm)であることが好ましい。前記厚みがこの範囲にあれば、樹脂発泡体とモルタル組成物との密着性が特に向上するとともに、複合断熱材の耐燃焼性能を特に向上する。前記厚みが0.02mm未満である場合には、密着性や耐燃焼性能が十分に向上しない恐れがある。逆に、前記厚みが1.0mmを超える場合には、厚み1.0mmの場合から耐燃焼性能がそれほど向上しないか、もしくは耐燃焼性能が低下する恐れがあるとともに、複合断熱材の厚み及び重量が大きくなる。
(製造方法)
前記複合断熱材の製造方法は特に限定しないが、例えば、以下の方法で製造することができる。
なお、以下の説明においては、樹脂発泡体は、モルタル組成物を積層する側を表面、反対側の面を裏面として説明する。
まず、樹脂発泡体を準備する。なお、樹脂発泡体は、必要に応じて裏面側に基材を備えていてもよい。例えば、モルタル組成物を積層する前に、樹脂発泡体が基材に取り付けられていてもよい。
前記基材としては、構造物の壁、天井、柱、梁等、それらを構成する部材、又はそれらの表面に施工される材料等が挙げられる。また、これらの素材としては、例えば、コンクリート、モルタル、れんが、無機質タイル、繊維強化セメント板、ケイ酸カルシウム板、鉄鋼、金属板、ガラス、しっくい、石、石膏ボード、ロックウール、グラスウール、樹脂板、ゴム、紙等が挙げられる。
なお、樹脂発泡体を基材に取り付ける方法としては、予め板状に成形された樹脂発泡体を基材に張り付ける方法だけでなく、基材の表面に未発泡の樹脂発泡体用材料を吹き付けて発泡硬化させるとによって樹脂発泡体を成形する方法を採用することもできる。また、基材は、樹脂発泡体を取り付ける前に、既に構造物の壁、天井、柱、梁等を構成していてもよい。例えば、コンクリート等によって形成された壁を基材として、そこに未発泡の樹脂発泡体用材料を吹き付けて樹脂発泡体を成形したり、板状の樹脂発泡体を接着剤で貼り付けたりしたものを複合断熱材の樹脂発泡体とすることができる。
次に、必要に応じて、樹脂発泡体の表面に下塗材塗膜を積層する。例えば、樹脂発泡体の表面に、下塗材を塗付して乾燥硬化させことによって下塗材塗膜を形成することができる。下塗材の塗付方法としては、塗料や接着剤の塗装に一般的に用いられる方法を採用することができ、例えば、エアレススプレーやエアスプレー等の塗装機を用いて吹付け塗装する方法、ローラーや刷毛等の塗装器具を用いて塗装する方法等が挙げられる。
次に、必要に応じて下塗材塗膜が積層された樹脂発泡体の表面にモルタル組成物を積層する。例えば、樹脂発泡体の表面に、セメント、無機質充填材、繊維、及びその他成分に水を加えて混練した混合物を塗付して乾燥硬化させることによってモルタル組成物を形成することができる。前記混合物の塗付方法としては、モルタルの施工に一般的に用いられる方法を採用することができ、例えば、モルタル吹付機等を用いて吹付け塗付する方法、コテ等の塗装器具を用いて塗付ける方法等が挙げられる。
以上に説明した製造方法は、樹脂発泡体の片面にモルタル組成物を積層する方法であるが、樹脂発泡体の両面にモルタル組成物を積層してもよい。また、表面と裏面に加えて、樹脂発泡体の側面等にもモルタル組成物を積層してもよい。
また、前記複合断熱材を使用する際には、必要に応じて樹脂発泡体やモルタル組成物の表面に他の材料を塗付したり、取り付けたりしてもよい。他の材料としては、各種の塗料、コーティング剤、下地調整塗材、シート材、板材等が挙げられる。
複合断熱材の耐燃焼性能を以下に示す実施例および比較例によって評価した。
樹脂発泡体として、基材となる石膏ボード(100mm×100mm×厚み12.5mm)の表面に未発泡の発泡ポリウレタン用材料を吹付けて発泡硬化させた発泡ポリウレタン(100mm×100mm×厚み15mm)を用いた。
なお、発泡ポリウレタン用材料としては、イソシアネート成分、ポリオール成分、発泡剤(水)、難燃剤(含塩素リン酸エステル)、及びウレタン化触媒を主成分とするものを使用した。
下塗材塗膜を形成するための下塗材として、表1に示す組成の塗料を用いた。なお、表1の組成は、各材料の配合量を質量部で記載したものである。
また、表1には各下塗材中の不揮発分の量も質量部で記載した。
セメントを含有しない下塗材には、樹脂結合材としてアクリル樹脂エマルション(不揮発分50質量%)、吸熱物質として水酸化アルミニウム、鱗片状無機質粒子として鱗片状の白雲母、無機質充填材として珪砂を用いた。
また、セメントを含有する下塗材には、樹脂結合材としてアクリル樹脂エマルション(不揮発分50質量%)、セメントとして普通ポルトランドセメント、無機質充填材として珪砂を用いた。
Figure 2014087961
モルタル組成物を形成するための材料として、表2に示す組成の材料を用いた。なお、表2の組成は、各材料の配合量を質量部で記載したものである。
モルタル組成物には、セメントとして白色ポルトランドセメント、吸熱物質として水酸化アルミニウム、無機質軽量骨材としてバーミキュライト及びパーライト、その他の無機質充填材として珪砂及び炭酸カルシウム、樹脂結合材として再乳化型アクリル樹脂粉末、有機質充填材として発泡ポリスチレン、繊維としてアクリル繊維、添加剤として粘性調整剤(セルロース誘導体)及び減水剤を用いた。
Figure 2014087961
前記の樹脂発泡体に、必要に応じて表1に示す下塗材を塗装して乾燥させた後に、表2に示す材料に水を加えて混練したものを塗付して乾燥硬化させたものを試験体とした。実施例および比較例となる試験体の詳細を表3に示す。
表3には、各試験体に使用した下塗材の組成を表1の記号で記載し、モルタル組成物の組成を表2の記号で記載している。また、下塗材及びモルタル組成物の乾燥硬化後の厚みも記載している。
(耐燃焼性能)
実施例および比較例の試験体の耐燃焼性能を評価するために、試験体のモルタル組成物側を表面として、ISO5660−1に規定されているコーンカロリーメータ試験を行った。なお、試験条件は、輻射強度は50kw/m、加熱時間は20分間とした。
コーンカロリーメータ試験で測定した総発熱量(MJ/m)を表3〜5に示す。
Figure 2014087961
Figure 2014087961
Figure 2014087961
コーンカロリーメータ試験の結果、比較例1と実施例1〜5の総発熱量を見ると、モルタル組成物が吸熱物質を一定量以上で含有することによって、総発熱量が小さくなっている。なお、試験後の比較例1の試験体は、発泡ポリウレタンが一部炭化していた。
比較例2は、総発熱量は小さく、耐燃焼性能は良好であったが、試験体に僅かな振動が加わっただけでモルタル組成物の表面から粉が落ちるほどモルタル組成物が脆弱であった。
比較例3、実施例2及び実施例6〜8の総発熱量を見ると、モルタル組成物が無機質軽量骨材を一定量以上で含有することによって、総発熱量が小さくなっていることがわかる。なお、試験後の比較例3の試験体にはひび割れが見られ、発泡ポリウレタンが一部炭化していた。
比較例4、実施例2、及び実施例9〜10の総発熱量を見ると、モルタル組成物が繊維を一定量以上で含有することによって、総発熱量が小さくなっていることがわかる。なお、試験後の比較例4の試験体にはひび割れが見られ、発泡ポリウレタンが一部炭化していた。
実施例2及び実施例11〜12の総発熱量、又は実施例3及び実施例13〜14の総発熱量を見ると、モルタル組成物の厚みが増加するにつれて、総発熱量が小さくなっていることがわかる。
実施例1、及び実施例15〜18の総発熱量を見ると、下塗材が吸熱物質を含有することによって、総発熱量が小さくなっていることがわかる。
実施例15及び実施例19の総発熱量、又は実施例16及び実施例20の総発熱量をみると、下塗材が吸熱物質に加えて鱗片状無機質粒子を含有することによって、総発熱量がさらに小さくなっていることがわかる。なお、実施例19及び実施例21の総発熱量を見ると、珪砂のような粒状の無機質充填材より、鱗片状無機質粒子の方が、総発熱量を小さくする効果が大きいことがわかる。
実施例1及び実施例22の総発熱量をみると、下塗材が樹脂結合材に加えてセメントを含有することによって、総発熱量がさらに小さくなっていることがわかる。
(参考例)
参考例として、実施例23の試験体を用い、その試験体のモルタル組成物の表面に、以下の材料を塗付した試験体を作製した。
まず、モルタル組成物の表面に、以下に配合のポリマーセメント系下地調整塗材を硬化後の厚みが0.8mmとなるように積層した。
下地調整塗材:ポルトランドセメント40質量部、珪砂50質量部、アクリル樹脂エマルション(不揮発分50質量%)15質量部、粘性調整剤2質量部、水40質量部。
次に、硬化した下地調整塗材の表面に、以下に配合の塗料を乾燥後の厚みが0.15mmとなるように積層した。
塗料:アクリル樹脂エマルション(不揮発分50質量%)100質量部、酸化チタン50質量部、炭酸カルシウム30質量部、添加剤(界面活性剤、粘性調整剤、消泡剤等)15質量部、水40質量部。
この試験体の耐燃焼性能を評価するために、前記実施例および比較例の試験体と同様の試験条件でコーンカロリーメータ試験を行った。その結果、総発熱量は4.8MJ/mであった。


Claims (7)

  1. 樹脂発泡体と、セメント、無機質充填材及び繊維を含有するモルタル組成物とが積層されている複合断熱材であって、前記モルタル組成物がセメント100質量部に対して無機質充填材110〜1000質量部、繊維0.5〜30質量部を含有し、且つ無機質充填材中に吸熱物質100〜800質量部、無機質軽量骨材10〜200質量部を含有することを特徴とする複合断熱材。
  2. 前記モルタル組成物が、セメント100質量部に対して樹脂結合材1〜20質量部を含有することを特徴とする請求項1に記載の複合断熱材。
  3. 前記樹脂発泡体とモルタル組成物とが、樹脂結合材と吸熱物質とを含有する下塗材塗膜を介して積層されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合断熱材。
  4. 前記下塗材塗膜が、鱗片状無機質粒子を含有することを特徴とする請求項3に記載の複合断熱材。
  5. 前記下塗材塗膜が、樹脂結合材100質量部に対して、吸熱物質10〜800質量部、鱗片状無機質粒子10〜400質量部を含有することを特徴とする請求項4に記載の複合断熱材。
  6. 前記樹脂発泡体とモルタル組成物とが、樹脂結合材とセメントとを含有する下塗材塗膜を介して積層されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合断熱材。
  7. 請求項1に記載の複合断熱材のモルタル組成物を得るための材料であって、セメント100質量部に対して無機質充填材110〜1000質量部、繊維0.5〜30質量部を含有し、且つ無機質充填材中に吸熱物質100〜800質量部、無機質軽量骨材10〜200質量部を含むことを特徴とするモルタル組成物用材料。
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