JP2014087827A - 軸部における中空部の形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】長手方向における途中位置に径方向外側に延びるシーブ部15を有する軸部11内に、当該軸部11の一端11aからシーブ部15の内径側を超えて他端11b側まで延びる中空部12を、柱状のパンチPを用いた押し出し加工により形成する方法であって、パンチPの先端Paが、シーブ部15の内径側に達するまでは、前方押し出し加工により中空部12を形成し、シーブ部15の内径側に達したのちは、後方押し出し加工により中空部12を形成する構成の軸部11における中空部12の形成方法とした。
【選択図】図2
Description
固定円錐板では、フランジ状のシーブ部が、回転軸方向に延びる軸部の外周から径方向外側に延びており、軸部内には、回転軸方向に沿って油孔が形成されている。
そのため、軸部の一端および他端側からシーブ部を拘束して、シーブ部の変形を防止する必要があり、そのために、鍛造装置の構成が大型化してしまうという問題があった。
前記パンチの先端が、前記フランジ部の内径側に達するまでは、前方押し出し加工により前記中空部を形成し、前記フランジ部の内径側に達したのちは、後方押し出し加工により前記中空部を形成することを特徴とする軸部における中空部の形成方法。
よって、パンチの先端がフランジ部の内径側に達するまでの間は、余肉が側方や後方側に移動しないので、余肉がフランジ部側に移動してフランジ部の形状が大きく変化することがない。
また、パンチの先端がフランジ部の内径側に達したのちも、余肉の前方側への押し出しを継続すると、フランジ部側の肉が前方側に引き込まれてフランジ部のつけ根の破断などが発生する虞があるが、パンチの先端がフランジ部の内径側に達した時点で、余肉が後方側に押し出されるようになるので、フランジ部側の肉が前方側に引き込まれてフランジ部のつけ根の破断などが発生することもない。
よって、フランジ部の形状を大きく損なうことなどなく、軸部の一端からフランジ部の内径側を超えて他端側まで延びる中空部を軸部内に形成できる。
図1は、実施の形態にかかる中空部の形成方法のフローチャートである。
図2は、実施の形態にかかる中空部の形成方法を説明する図であり、(a)は、初期形状のワークW1をダイス50に載置した状態を示す図であり、(b)は、前方押し出しによる中空部12の形成過程を示す図である。
なお、以下においては、パンチPにより押されたワークの余肉の移動方向を説明する際に、パンチPの移動方向側(図中下側)を前方、移動方向とは反対側(図中上側)を後方とも標記する。
そのため、中空部12を形成するに当たり、初期形状に加工されたワークW1の表面に潤滑剤を塗布したのち、パンチPの移動方向側(図中下側)に位置するダイス50に、ワークW1がセットされる(図1:ステップS101、図2の(a)参照)。
ワークW1では、シーブ部15は、軸部11の長手方向における一端11a寄りの位置の外周から、軸部11の中心軸線(以下、軸線X)の径方向に延びており、軸線X周りの周方向の全周に亘って、同じ径方向高さで形成されている。
シーブ部15は、その他端11b側(図中下側)が、軸線Xに対して所定角度θ傾斜したシーブ面15aとなっており、シーブ部15の内径側は、外径側よりも厚肉に形成された厚肉部15bとなっている。
ワーク支持面50aは、シーブ面15aと同様に、軸線Xに対して所定角度θ傾斜しており、ワークW1がダイス50に載置された際に、シーブ面15aの略全面が、ワーク支持面50aに接触した状態で保持されるようになっている。
実施の形態では、孔部51は、ワーク支持面50aから離れる方向に3段階に縮径しており、ワーク支持面50a側から順番に、大径孔部511、縮径孔部512、中径孔部513、縮径孔部514、小径孔部515となっている。
大径孔部511は、図中下側に向かうにつれて縮径する縮径孔部512を介して、中径孔部513に接続されており、中径孔部513は、図中下側に向かうにつれて縮径する縮径孔部514を介して、小径孔部515に接続されている。
ノックアウトピン30の上端30aは、ダイス50にセットされたワークW1の軸部11の他端11bとの間に間隔Waを開けて設けられており、押し出し加工が開始される前の初期段階で、小径孔部515内に空間Sが確保されている。
よって、ワークW1の余肉がノックアウトピン30に達する(空間S内に満たされる)までの間は、前方押し出し加工により、軸部11の小径部116の形状を整えながら、軸部11内に中空部12が形成されることになる(図1:ステップS102、図2の(b)参照)。
例えば、基部111に挿入穴12aが予め形成されていない場合や、挿入穴12aの軸線X方向の長さが短い場合には、中空部12の形成に当たりパンチPにより押された肉が、径方向に移動して基部111を大きく変形させる虞がある。実施の形態では、挿入穴12aがシーブ部15(厚肉部15b)の内径側に及ぶ長さL1で形成されており、パンチPより押された肉が、大量に径方向に移動しないようにされているので、基部111及びその近傍が大きく変形しないようになっている。
そうすると、パンチPにより押された余肉が、孔部51内を後方側(上方側)に移動して、大径孔部511から押し出されることになる。
よって、この図3の(a)に示す時点で、押し出し加工が、前方押し出し加工から後方押し出し加工に切り替わることになる。
よって、前方押し出し加工により得られた中間形状のワークW2に対して、後方押し出しにより中空部12が形成されている間は、パンチPにより押された余肉が後方側に押し出される(図3の(b)、矢印参照)ので、シーブ部15の形状が崩されることなく、大径部112が後方側に延伸させられることになる。
(b)は、前方押し出し加工のために、ノックアウトピン30がダイスから取り外された状態を示す図である。
そうすると、その時点で、ノックアウトピン30が取り外される(図4の(b)参照)。これにより、パンチPにより押された余肉の前方側(図中下側)への移動が可能となるので、押し出し加工が、後方押し出し加工から前方押し出し加工に切り替わることになる(図1:ステップS106、図4の(a)、(b)参照)。
ここで、中径部114は大径部112よりも小径であるために、後方側に移動可能な肉の量が、大径部112側よりも限られているので、パンチPの前方側への移動に伴って中径部114側の肉が大径部112側に引き込まれる際に、移動可能な肉の不足に起因して、縮径部113の部分にひび割れが生ずる虞がある。
そして、この前方押し出し加工により、軸部11内に形成される中空部12の長さが、予め規定された所定長さ(例えば、図中L2で示す長さ)に達すると(図1:ステップS107、Yes、図5の(a)参照)、パンチPの図中下方向への移動を終了して、前方押し出し加工による中空部12の形成を終了する(図1:ステップS108)。
パンチPの先端Paが、シーブ部15の内径側に達するまでは、前方押し出し加工により中空部12を形成し、シーブ部15の内径側に達したのちは、後方押し出し加工により中空部12を形成する構成の軸部11における中空部12の形成方法とした。
よって、パンチPの先端Paがシーブ部15の内径側に達するまでの間は、余肉が、パンチPの移動方向の径方向外側や後方側に移動しないので、余肉がシーブ部15側に移動してシーブ部15の形状が大きく変化することがない。
また、パンチPの先端Paがシーブ部15の内径側に達したのちも、余肉の前方側への押し出しを継続すると、シーブ部15側の肉が前方側に引き込まれてシーブ部15が変形することや、シーブ部15のつけ根に破断や割れが発生する虞があるが、パンチPの先端Paがシーブ部15の内径側に達した時点で、余肉が後方側に押し出されるようになるので、シーブ部15側の肉が前方側に引き込まれてシーブ部15の形状が大きく変化することや、シーブ部15のつけ根に破断や割れが発生することもない。
よって、シーブ部15の形状などを大きく損なうことなく、軸部11の一端11aからシーブ部15の内径側を超えて他端11b側まで延びる中空部12を軸部11内に形成できる。
パンチPの先端Paが縮径部113との境界に達した時点で、中空部12の形成が、後方押し出し加工から前方押し出し加工に切り換えられる構成の軸部11における中空部12の形成方法とした。
上記のように構成して、パンチPの先端Pa側が縮径部113に達した時点で、中径部114側の肉を大径部112側の後方に移動させるのではなく、中径部114内の肉を前方側に押し出すことで、縮径部113にひび割れが生ずる可能性を低減できる。
実施の形態では、パンチPを用いた押し出し加工により中空部を形成するに当たり、前方押し出し、後方押し出し、前方押し出しの順番で、パンチPにより押された余肉の押し出し方向を変えており、後方押し出しと前方押し出しを組み合わせて中空部12を形成している。よって、押し出し加工の全体を通してパンチに作用する荷重を低減できるので、パンチの耐久性が向上する。
(A)最終形状のワークW4の軸部11の形状に対応する形状の孔部51と、前記シーブ部15のシーブ面15aを支持するワーク支持面50aを有するダイス50に、前記初期形状のワークW1をセットして、前記軸部11の他端11b側を前記孔部51内に挿入し、前記シーブ面15aをワーク支持面50aで支持させた状態とするステップと、
(B)初期形状のワークW1の軸部11の一端11aに開口する挿入穴12aに、パンチPを挿入してセットしたのち、パンチPを軸部11の他端11b側に移動させて、
(a)パンチPの先端Paがシーブ部15の内径側に達すると共に、
(b)パンチPにより前方側に押し出された余肉の移動が前記孔部51内に挿入されたノックアウトピン30により妨げられるまで、
前方押し出し加工により前記軸部11内に中空部12を形成して、中間形状のワークW2とするステップと、
(C)前記中間形状のワークW2において、前記パンチPを軸部11の他端11b側にさらに移動させて、前記パンチPの先端PaがワークW2の軸部11における縮径部113との境界に達するまで、後方押し出し加工により前記軸部11内に中空部12を形成して、中間形状のワークW3とするステップと、
(D)前記ノックアウトピン30を前記孔部51から取り外した後、前記中間形状のワークW3において、前記パンチPを軸部11の他端11b側にさらに移動させて前方押し出し加工を行うことにより、前記軸部11の形状を整えつつ前記軸部11内に中空部12を形成して、最終形状のワークW4とするステップと、を備える構成の軸部における中空部の形成方法とした。
11a 一端
11b 他端
111 基部
112 大径部
113 縮径部
114 中径部
115 縮径部
116 小径部
12 中空部
12a 挿入穴
15 シーブ部
15a シーブ面
15b 厚肉部
30 ノックアウトピン
30a 上端
50 ダイス
50a ワーク支持面
51 孔部
511 大径孔部
512 縮径孔部
513 中径孔部
514 縮径孔部
515 小径孔部
Im1 仮想線
P パンチ
Pa 先端
S 空間
W1 ワーク
W2 ワーク
W3 ワーク
W4 ワーク
Wa 間隔
X 軸線
Claims (2)
- 長手方向における途中位置に径方向外側に延びるフランジ部を有する軸部内に、当該軸部の一端から前記フランジ部の内径側を超えて他端側まで延びる中空部を、柱状のパンチを用いた押し出し加工により形成する方法であって、
前記パンチの先端が、前記フランジ部の内径側に達するまでは、前方押し出し加工により前記中空部を形成し、前記フランジ部の内径側に達したのちは、後方押し出し加工により前記中空部を形成することを特徴とする軸部における中空部の形成方法。 - 前記軸部では、前記フランジ部よりも前記他端側に、前記軸部の外径が前記フランジ部から離れるにつれて小さくなる縮径部が設けられており、
前記パンチの先端が縮径部との境界に達した時点で、前記中空部の形成が、前記後方押し出し加工から前記前方押し出し加工に切り換えられることを特徴とする請求項1に記載の軸部における中空部の形成方法。
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