JP2014087321A - 生チョコレート様菓子及びその製造方法 - Google Patents

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敬司 河村
Natsuko Kawanami
那津子 川浪
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幸一 増本
Kiyoshi Suzuki
潔 鈴木
Takeki Matsui
雄毅 松居
Yasumasa Yamada
泰正 山田
Ichiro Yamada
一郎 山田
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【課題】 比較的高い水分条件下でも長期保存が可能であり、引き裂き性及び生チョコレート様の食感を有する含水チョコレートを提供する。
【解決手段】 チョコレートを60〜80重量%、グリセリンを3〜10重量%、グリセリンを除く分子量が212以下の糖質から選択される1種以上の糖質とグリセリンとを合計で10〜20重量%、並びにゼラチン、ペクチン、カラギーナン及びプルランから選択される1種以上の増粘剤を0.5〜3.0重量%含有し、水分含有量が10〜14重量%であり、切断されない程度の深さを有する麺線状の溝条が表面に形成され、50g・sec/mm以下の力で引き裂かれることを特徴とする生チョコレート様菓子。
【選択図】なし

Description

本発明は、比較的高い水分条件下でも長期保存が可能であり、引き裂き性及び生チョコレート様の食感を有する含水チョコレート及びその製造方法に関する。
チョコレート菓子は、従来から菓子市場の中で大きな市場を形成してきた。特によりソフトな食感で口溶けのよいガナッシュは、チョコレートの中でも非常に嗜好性が高い商品である。しかしながら、ガナッシュは水分を多く含む生菓子であり、通常、水分活性が0.80程度であるため、あまり日持ちがしないという欠点がある。
水分活性(以下、「Aw」とすることがある。)とは、微生物がその生育に使うことができる自由水量の尺度を数値化したものであり、その数値の大きさによって、どのような微生物が増殖するかが知られている。資料によって数値は多少異なるが、例えば、食中毒で有名なサルモネラ菌、ボツリヌス菌、大腸菌等は、大凡Aw=0.90以上、また毒性の非常に強いことで有名な黄色ブドウ球菌はAw=0.80以上で増殖する。消費期限の短い食品は小さくともAw=0.80以上であり、Aw=0.90以上のものが殆どである。そのため食品の安全や廃棄リスクを低減させる等の面で水分活性を減少させることは非常に重要である。尚、Aw=0.60未満では、微生物は増殖できないとされている。
水分活性を減少させる技術としては、例えば、チョコレートに、エリスリトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトールから選ばれる1種又は2種以上の特定の糖アルコールを1重量%以上、10重量%未満含有させ、水分含有量を2〜15重量%としたチョコレート菓子(特許文献1)、全量の50重量%以上のチョコレート生地と、クリーム類、糖液、洋酒、牛乳、果汁等の水性成分と、HLB値7.0以上の乳化剤とを使用し、水分含有量を10〜20重量%及び全油脂分を15〜25重量%にそれぞれ調整した、長期常温流通が可能な含水チョコレート類(特許文献2)、転化糖、水飴、果糖、ブドウ糖、ショ糖、液糖及び蜂蜜からなる群から選ばれた1種又は2種以上の糖類を含有し、糖度が60以上である水相と、チョコレート生地とからなり、長期保存性を高めた水中油型乳化チョコレート類(特許文献3)などの技術が提案されている。しかしながら、いずれの技術でも実現できる水分活性は0.60を超えており、十分な保存性があるとは言えない。
また、本出願人はこれまでに、8〜18重量%という比較的高い水分含有量を有するにもかかわらず、水分活性を0.60未満に抑え、生チョコレート様の風味及び食感を持ち、1年に及ぶ長期流通を行なっても風味及び食感を良好に維持することができる生チョコレート様組成物を発明した(特許文献4)。前記特許文献4の発明によって、水分活性の課題は幾分解決されたものの、糖アルコール由来の甘味が強かったり、チョコレート感が弱かったりと改善の余地がまだ残されている。更に本出願人は、前記特許文献4の生チョコレート様組成物に対し、80〜200ブルームのゼラチンを添加することによって、餅様の食感を持つ含水チョコレートを発明したが(特許文献5)、食感が餅様であること、及び引き裂き性を有さないことから本発明とは全く異なるものである。
一方、本発明の生チョコレート様菓子の形状と類似するものとしては下記のようなものがある。例えば、走行するスチールベルトの表面で、シート状チョコレートにその幅方向に延びる切り込みを刻設し、スチールベルトの湾曲部分においてスクレーバーによりシート状チョコレートをスチールベルトから剥離して巻き上げる巻きチョコレートの製造方法が提案されている(特許文献6)。また、一方の表面に長手方向に延びる複数の凸条の筋目が形成されたシート状チョコレートを、長手方向に巻いた巻きチョコレートの製造方法が提案されている(特許文献7)。前記特許文献6、7で切り込みや凸条の筋目を設ける目的は、所定の円筒形状の巻きチョコレートを連続的に製造したり、巻きチョコレートの装飾性を高めたりするためであり、チョコレートに引き裂き性を付与するためではない。
また、蟹や貝柱やスルメイカ等のいわゆる指で引き裂けるという特性に関しては、魚肉を主とした練り製品を原料として、蟹や貝柱等の実際の形状や風味や食感、裂ける繊維感等を模した食品が種々販売されており、その製造方法も種々提案されている。例えば、かまぼこを麺状に細断して、それを集束させる方法が知られている。また、加熱前のすり身成型物の繊維状又は棒状の細断片を集束し、さらに加熱することによって細断片同士の結着性を向上させる方法(特許文献8)や、練り製品から成りかつ切断されない程度の深さの溝条が形成されたシートを巻いて棒状成型品とする方法(特許文献9)等が提案されている。
その他、引き裂き可能な特性を有する食品の製造方法としては、例えば、pHを酸性に調整したチーズを熱水中で軟化させた後、加圧して繊維化する方法(特許文献10、11)、還元乳又は加工乳にカルシウム化合物の添加及びpH調整を行なってカゼインをゲル化させ、このゲルに応力を加えて繊維化する方法(特許文献12)等が挙げられる。
菓子においても、溶融したチョコレート生地と、ゼラチン等のゲル化剤水溶液とを混合し、可塑状態で延伸させることによって製造される、繊維状の構造に組織化されたチョコレートが提案されている(特許文献13)。本発明者らが、特許文献13記載の実施例に基づいて試作を行ったところ、チョコレート特有の風味を持ち、かつ生地の内部に繊維状の構造を有し、引き裂くことができるチョコレート加工品が得られたものの、得られたチョコレート加工品は、弾力が非常に強く、引き裂くのに力がいるために生地が部分的に千切れてしまうものであった。更に、経時的に硬さが増すため、もろくて崩れるような物性に変化し、引き裂き性が消失するものであった。そして、水分活性が0.75程度と高いことから、保存性の点でも問題がある。
以上に述べたように、本発明のように保存性、ガナッシュの様な口溶け、及び経時的に保持される引き裂き性を持つ含水チョコレートはこれまでに発明されておらず、特に組成に依って引き裂き性が長期的に保持されることはこれまでに全く発明されていない。
特許第4331013号公報 特開2001−275570号公報 特開2001−149014号公報 特開2011−177087号公報 特開2012−039915号公報 特開昭59−66842号公報 特許第3134206号 特公昭61−09022号公報 特公昭58−029065号公報 特公昭58−48145号公報 特公昭58−31173号公報 特公昭55−30822号公報 特許第3575514号公報
本発明の目的は、比較的高い水分条件下でも長期保存が可能であり、引き裂き性及び生チョコレート様の食感や風味を有する含水チョコレート及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の配合組成を有する含水チョコレートをシート状に成型し、得られたシートの表面に、該シートを切断しない程度の深さを有する麺線状の溝条を形成することにより、内部を繊維状の構造に組織化することなく、大量生産が可能な、引き裂くことができる生チョコレート様菓子が得られることを見出した。さらに本発明者らは、得られた生チョコレート様菓子が、驚くべきことに、単に引き裂くことができるだけでなく、あたかも生チョコレートのような口溶けのよい食感と濃厚なチョコレート風味とを有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、チョコレートを60〜80重量%、グリセリンを3〜10重量%、グリセリンを除く分子量が212以下の糖質から選択される1種以上の糖質とグリセリンとを合計で10〜20重量%、並びにゼラチン、ペクチン、カラギーナン及びプルランから選択される1種以上の増粘剤を0.5〜3.0重量%含有し、水分含有量が10〜14重量%であり、切断されない程度の深さを有する麺線状の溝条が表面に形成され、50g・sec/mm以下の力で引き裂かれることを特徴とする生チョコレート様菓子に関する。
また、本発明は、増粘剤がゼラチンを含有し、ゼラチンがアルカリ処理ゼラチンであることを特徴とする生チョコレート様菓子に関する。
また、本発明は、糖質が(A)グルコース及び/又は(B)ソルビトール、(C)キシリトール並びに(D)エリスリトールの3種糖質又は4種糖質を含有し、3種糖質又は4種糖質の総含有量に対する、(A)グルコース及び/又は(B)ソルビトールの含有率が20〜80重量%、かつ、(D)エリスリトールの含有率が25重量%以下であることを特徴とする生チョコレート様菓子に関する。
また、本発明は、無脂カカオ固形分の含有量が5〜15重量%であることを特徴とする生チョコレート様菓子に関する。
さらに、本発明は、下記(1)〜(4)の工程を有することを特徴とする、生チョコレート様菓子の製造方法に関する。
(1)チョコレート、グリセリン、糖質、増粘剤、及び水を加熱混合し、固形分として、チョコレートを60〜80重量%、グリセリンを3〜10重量%、グリセリンと糖質とを合計で10〜20重量%、及び増粘剤を0.5〜3.0重量%含有し、水分含有量が10〜14重量%である含水チョコレートを得る工程。
(2)含水チョコレートを成型してシートを得る工程。
(3)シートの表面に、該シートが切断されない程度の深さを有する麺線状の溝条を形成する工程。
(4)麺線状の溝条が表面に形成されたシートを厚さ方向に切断する工程。
本発明によれば、あたかも生チョコレートのような口溶けのよい食感と濃厚なチョコレート風味とを持ちながら、好みの大きさに引き裂きながら食することができ、引き裂くことができるという楽しさと、引き裂いた菓子片それぞれの味の出方や食感のバラエティを楽しむことができ、さらに新しいおいしさとときめき感とを与えることができ、さらに常温での長期保存が可能な生チョコレート様菓子が提供できる。
本発明の製造方法により得られるシート状生チョコレート様菓子の一実施形態の構成を模式的に示す側面図である。
本発明の生チョコレート様菓子は、後述する配合組成の特徴と、構造的な特徴とを有し、これらの組み合わせにより、該菓子を50g・sec/mm以下の力(以下「引き裂き力」とすることがある)で引き裂くことが可能になる。50g・sec/mmの力で引き裂くことにより、内部を繊維状の構造に組織化しなくても、スルメ等と同様に、途中で千切れたりすることが少なくなり、該菓子を最後まで引き裂くことが可能になる。引き裂き力は、後述するせん断試験によって求められる。また、上記配合組成の特徴により、水分活性を0.6未満に調整することができる。その結果、15〜25℃程度の常温、及び45〜85%RH程度の常湿下で1年程度の保存及び流通を行なっても、風味の劣化や引き裂き性の低下が非常に少ない本発明の生チョコレート様菓子が得られる。
本発明の生チョコレート様菓子の配合組成について、更に詳しく説明する。
本発明の生チョコレート様菓子は、チョコレート、グリセリン、グリセリンを除いた所定の糖質及び増粘剤を含有し、チョコレート、グリセリン、前記グリセリンを除いた所定の糖質、及び増粘剤をそれぞれ所定の重量割合で含有し、水分含有量が10〜14重量%であることを特徴とする。
本発明の生チョコレート様菓子に含まれるチョコレートとは、カカオマス及び/又はココアと、砂糖等の糖質、粉乳、油脂等とを使用し、これらを常法通りロール掛けし、所望によりコンチングしたチョコレート生地であればよく、例えば、カカオマス及び/又はカカオパウダーを使用した通常のダークチョコレート、乳固形分(粉乳)や糖質(粉糖)を主成分として使用したホワイトチョコレート、スイートチョコレート、ミルクチョコレート等が挙げられる。なお、カカオマスに微量に含まれる糖質は、本発明の生チョコレート様菓子の引き裂き性や口溶けに影響を及ぼすことはないため、下記に述べる糖質として考慮しないが、単糖類及び糖アルコール等を砂糖の代替としてチョコレートを作製する場合、その含有量を考慮しなければならない。
本発明の生チョコレート様菓子におけるチョコレートの含有量は、60〜80重量%、好ましくは62〜70重量%である。チョコレートの含有量が60重量%未満の場合、得られる生チョコレート様菓子の口溶けやチョコレート感が低下する傾向がある。一方、チョコレートの含有量が80重量%を超えると、得られる生チョコレート様菓子が硬くなり過ぎ、口溶けが悪くなり、引き裂き性が低下する傾向がある。
また、本発明の生チョコレート様菓子は、チョコレートに含まれるカカオマス、カカオパウダーなどのカカオ原料に由来する無脂カカオ固形分を含んでいる。無脂カカオ固形分とは、カカオ原料に含まれる成分のうち、脂肪分、すなわちココアバターを除いた成分を示す。本発明の生チョコレート様菓子における無脂カカオ固形分の含有量は5〜15重量%が好ましく、特に好ましい態様は8〜12重量%である。無脂カカオ固形分を前記範囲にすることにより、引き裂きに適した強度、及び口溶けに優れた食感が得られる。なお、無脂カカオ固形分の含有量の調整は、例えば、チョコレート中に含まれるカカオ原料の含有量の調整、本発明の生チョコレート様菓子における各成分の含有量の調整等により実施できる。
本発明の生チョコレート様菓子に含まれるグリセリンは、例えば、該菓子の水分活性や引き裂き性等に影響を及ぼしているものと推測される。該菓子におけるグリセリンの含有量は3〜10重量%、好ましくは3〜9重量%である。グリセリンの含有量が3重量%未満の場合、該菓子の水分活性が0.60を超える可能性が高くなるのに加え、引き裂き性が得られなくなる傾向がある。一方、グリセリンの含有量が10重量%を超えると、グリセリンの味が強く感じられ、該菓子の風味が損なわれる傾向がある。
本発明の生チョコレート様菓子に含まれる糖質は、グリセリンを除いた分子量が212以下の糖質から選択される1種以上である。該糖質としては、グリセリン以外の炭素数7以下の糖アルコールであるエリスリトール、トレイトール、アラビニトール、キシリトール、リビトール、イジトール、ガラクチトール、ソルビトール、マンニトール、ヘプチトール及び単糖類であるグルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース等が挙げられる。該糖質は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用でき、分子量が182以下の糖質のみから構成されるのが好ましい態様である。これにより、甘すぎず、濃厚なチョコレート風味を有し、口溶けが良く、引き裂くことが可能な本発明の生チョコレート様菓子がさらに得られやすくなる。なお、前記糖質の分子量は、水素の原子量を1、炭素の原子量を12、酸素の原子量を16とした数値である。
本発明の生チョコレート様菓子におけるグリセリンとグリセリンを除いた分子量が212以下の糖質との合計含有量(以下、「グリセリンと糖質との合計含有量」とすることがある。)は10〜20重量%であり、好ましくは11〜19重量%である。合計含有量が10重量%未満の場合、該菓子の水分活性が0.60を超える傾向があり、一方、合計含有量が20重量%を超えると、甘味が強く感じられ、該菓子の風味が損なわれる傾向がある。
グリセリンを除いた分子量が212以下の糖質の中で、特に好ましい糖質としては、(A)グルコース及び/又は(B)ソルビトール、(C)キシリトール、(D)エリスリトールの3種糖質又は4種糖質を含有し、3種糖質又は4種糖質の総含有量に対する、(A)グルコース及び/又は(B)ソルビトールの合計含有率が20〜80重量%、且つ(D)エリスリトールの含有率が25重量%以下である糖質が挙げられる。すなわち、(A)グルコース、(C)キシリトール、及び(D)エリスリトールの3種からなる態様、(B)ソルビトール、(C)キシリトール、及び(D)エリスリトールの3種からなる態様、(A)グルコース、(B)ソルビトール、(C)キシリトール、(D)エリスリトールの4種からなる態様が挙げられる。前記3種糖質又は4種糖質の総含有量に対する、(A)グルコース及び/又は(B)ソルビトールの合計含有率、及び(D)エリスリトールの含有率を前記範囲にすることによって、水分活性の減少効果が強くなり、保存性を一層向上させることができる。
また、本発明の生チョコレート様菓子は、その風味、口溶けの良い食感、引き裂き性等を損なわない範囲で、二糖類以上の糖質を含有していてもよい。二糖類以上の糖質は、212を超える分子量を有している。二糖類以上の糖質としては特に限定されないが、例えば、スクロース、ラクトース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、セロビオース等の二糖類、ラクチトール、オリゴ糖アルコール等の炭素数が8以上の糖アルコール、三糖類、四糖類、オリゴ糖、多糖類等が挙げられる。なお、二糖類以上の糖質を含有する場合は、口溶けの点から二糖類を使用するのが最も好ましい態様である。また、果汁や水飴のように2種以上の糖質から成る原料を使用することも勿論可能であり、該原料に分子量が212以下の糖質が含まれる場合、その含有量を考慮しなければならない。
本発明の生チョコレート様菓子に含まれる増粘剤は、ゼラチン、ペクチン、カラギーナン、及びプルランから選択される1種以上である。増粘剤は、例えば、後述する製造工程中の原料混合溶液(含水チョコレート)の乳化力向上や保型性を調整し、更には得られる生チョコレート様菓子の食感を調整する目的等で使用する。
増粘剤としてゼラチンを含有する場合、ゼラチンの種類は特に限定されず、豚皮ゼラチン、豚骨ゼラチン、牛皮ゼラチン、牛骨ゼラチン、フィッシュゼラチン等が挙げられる。また、ゼラチンのブルーム値は本発明の生チョコレート様菓子の食感に殆ど影響がなく、特に限定されないが、作業性の点から100〜250ブルームが好ましい。ブルーム値は、ゼリー強度を示す物性であり、ゼラチンの6.67重量%水溶液を規定のカップに入れて10±0.1℃の恒温槽で16〜18時間冷却してゼリー化し、ブルーム式ゼリー強度計のプランジャー(直径12.7mm)を4mmだけゼリー中に押し込むのに要する散弾の重さ(g)として求められる。更に、前記ゼラチンは、加熱処理前に酸処理やアルカリ処理等の別の処理が施されていてもよく、ゼラチンは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できるが、特に好ましい態様はアルカリ処理ゼラチンである。詳細は不明であるが、アルカリ処理ゼラチンを使用することによって、優れた引き裂き性を保つことができる。
増粘剤としてペクチンを含有する場合、ペクチンの種類は特に限定されず、例えば、HMペクチン、LMペクチン等、種々のペクチンを使用できる。増粘剤としてカラギーナンを含有する場合においても、カラギーナンの種類は特に限定されず、例えば、λカラギーナン、κカラギーナン、ιカラギーナン等、種々のカラギーナンを使用できる。
本発明の生チョコレート様菓子における増粘剤の含有量は0.5〜3.0重量%、好ましくは0.65〜1.5重量%である。増粘剤の含有量が0.5重量%未満の場合、乳化力が不十分であり、本発明の生チョコレート様菓子中の油脂が分離する傾向がある。一方、増粘剤の含有量が3.0重量%を超えると、該菓子の食感に弾力性が生じ、口溶けが悪くなる傾向がある。
本発明の生チョコレート様菓子は、水分含有量が10〜14重量%である。水分含有量が10重量%未満では、水分含有量が少ないため乳化構造が形成されにくく、形成された場合でも経時的に水分が揮発し、該菓子の引き裂き性が消失する傾向がある。一方、水分含有量が14重量%を超えると、該菓子の水分活性が0.60を超える可能性が高く、またベタツキが生じるため製造時の作業性が悪くなる傾向がある。なお、水分含有量は、減圧乾燥法により測定される値である。
本発明の生チョコレート様菓子は、必要に応じて乳化剤を含むことができる。乳化剤は、例えば、製造工程中の混合溶液の乳化力を向上させたり、得られる生チョコレート様菓子の品質を安定させたりすることができる。乳化剤としては、例えば、モノグリセリド、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリリシノレート、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチン等が挙げられる。これらの中でも、レシチン及びポリリシノレートが好ましい。乳化剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。本発明の生チョコレート様菓子における乳化剤の含有量は、好ましくは0.01〜0.2重量%であり、かつ本発明の生チョコレート様菓子の口溶けの良い食感や濃厚なチョコレート風味、引き裂き性等の好ましい特性を損なわない範囲で添加しなければならない。
また、本発明の生チョコレート様菓子は、その口溶けの良い食感や濃厚なチョコレート風味、引き裂き性等の好ましい特性を損なわない範囲で、任意成分を含有することができる。任意成分は、例えば、本発明の生チョコレート様菓子の風味や食感を調整するために用いられる。任意成分としては、例えば、乳タンパク、大豆タンパク、小麦タンパク、甘味料、酸味料、香料、穀粉、アミノ酸等が挙げられる。任意成分は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
次に、本発明の生チョコレート様菓子の構造的な特徴について詳しく説明する。
本発明の生チョコレート様菓子はシート状の形状を有し、その引き裂き性等を考慮すると、その厚さは好ましくは0.2〜5mmであり、さらに好ましくは1〜3mmである。厚さが0.2mm未満では、後述する製造工程において原料混合溶液(含水チョコレート)を成型して得られるシート(以下「生地シート」とする)が切断されないようにその表面に麺線状の溝条を形成することが困難になる傾向がある。厚さが5mmを超えると、該菓子の引き裂き性が低下する傾向がある。なお、ここでの厚さは、厚さ方向の両面に麺線状の溝条が形成されていない部分の厚さである。
本発明の生チョコレート様菓子の少なくとも一方の表面には、麺線状の溝条が形成されている。引き裂き性等の観点から、麺線状の溝条は、シート状の生チョコレート様菓子の厚さ方向の両面に形成されていることが好ましい。また、麺線状の溝条は、1本でも良く又は複数本でもよい。引き裂き性等の観点から、麺線状の溝条は、複数本であることが好ましい。
麺線状の溝条とは、麺線のように一方向に延びるように形成され、延びる方向に垂直な方向の断面が麺線の断面形状である凹部である。麺線の断面形状としては、ほぼ円形、ほぼ四角形等が挙げられる。麺線状の溝条の断面形状には、例えば、ほぼ円形、ほぼ半円形、ほぼ正方形、ほぼ長方形等が含まれる。また、麺線状の溝条は、外部から実質的に応力がかからない状態で、シート状の生チョコレート様菓子が切断されない程度の深さを有している。すなわち、溝条が延びる方向を長手方向とし、シート状の生チョコレート様菓子の幅方向の一端を指で挟んで持って該菓子を水平に保持した場合、指で保持していない幅方向他端側の部分が溝条を起点にして割れ、落下することがないような深さを溝条が有している。
複数の溝条が形成される場合、複数の溝条は、互いに離隔し、一方向にかつほぼ平行に延びるように形成される。隣り合う溝条間の間隔は、溝条の個数(本数)や断面形状及び断面寸法、生チョコレート様菓子の寸法等に応じて適宜選択されるが、好ましくは0.5〜3mm、より好ましくは1〜2mmである。なお、隣り合う溝条間の間隔を、全て等しい寸法にする必要はない。
隣り合う溝条間の間隔が0.5mm未満では、下記に述べる製造工程中の生地シートに溝条を形成する工程(3)において、生地シートの切断や変形等が起こり易くなり、大量生産における原料の歩留まりが低下する傾向がある。また、得られるシート状生チョコレート様菓子の強度が低下し、外部から応力が実質的にかからない状態でも、切断される場合が発生する傾向がある。さらに、市場流通の輸送工程等においてシート状生チョコレート様菓子の変形や部分的な破損等が発生し易くなる傾向がある。隣り合う溝条間の間隔が3mmを超えると、得られる生チョコレート様菓子の引き裂き性等がやや低下する傾向がある。
図1は、本発明の製造方法により得られるシート状生チョコレート様菓子の一実施形態の構成を模式的に示す断面図である。なお、図1は、シート状生チョコレート様菓子1の長手方向に対して垂直な方向(幅方向)から見た側面図である。図1に示すシート状生チョコレート様菓子1は、厚さ方向の両側の表面に複数の麺線状の溝条2が形成されている。複数の麺線状の溝条2はシート状生チョコレート様菓子1の長手方向に延び、隣り合う麺線状の溝条2は、互いに離隔して所定の間隔を空けて、ほぼ平行に延びている。シート状チョコレート様菓子1に示すように、一方の表面の溝条2と、他方の表面の溝条2とは、シート状チョコレート様菓子1の幅方向において、形成される位置がずれていることが好ましい。これにより、シート状生チョコレート菓子1の引き裂き性がさらに向上する。
なお、図1に示すように、一方の表面の溝条2と他方の表面の溝条2とは、形成される位置が幅方向に完全にずれている必要はなく、一方及び他方の表面の各溝条2のそれぞれの底面の一部が厚さ方向に重なるように、形成されていても良い。また、一方の表面に形成される溝条2のピッチと、他方の表面に形成される溝条2のピッチとを変えることによって、両側表面の溝条2がずれるように形成しても良い。更に、一方の表面に形成される溝条2の幅と、他方の表面に形成される溝条2の幅とを変えることによって、両側表面の溝条2がずれるように形成しても良い。
更に、図1に示すシート状生チョコレート様菓子1において、最も薄い部分の厚さをa、及び、最も厚い部分の厚さをbとした場合、aが0.1〜2mmであり、且つ、a:b=1〜25:50であることが好ましい。
aが0.1mm未満では、シート状生チョコレート様菓子1が、外部からの応力が実質的にかからない状態で、自然に切断されてしまう傾向がある。すなわち、シート状生チョコレート様菓子1の幅方向の一端を指で挟んだ状態で空間に静止させると、aの部分を起点にして、指で挟んでいない部分が千切れて落下してしまう傾向がある。また、aが2mmを超えると、引き裂き性が低下し、指で引き裂く途中で一部が千切れてしまう傾向がある。なお、このaとbとの関係は、両面に溝条2が形成された場合に限定されず、片面に溝条2が形成された場合にも当てはまる。
本発明の生チョコレート様菓子は、上記した配合組成の特徴と、構造的な特徴とを組み合わせて有することにより、後述する、速度1mm/sec条件でのせん断試験における引き裂き力が50g・sec/mm以下になっている。前記数値にすることより、スルメイカや貝柱等と同様に、成人の男女が指先で簡単に引き裂いて食することが可能になる。一方、引き裂き力が50g・sec/mmを超えると、引き裂こうとしても途中で千切れたり、引き裂こうとする指の力によって菓子そのものが潰れたりして、うまく引き裂くことができない。なお、引き裂き力は、せん断試験を行い、試料が完全に2つに引き裂かれるまでに要した力と時間との積分値を試料の長さで除することによって算出でき、生チョコレート様菓子の引き裂きやすさの目安とすることができる。引き裂き力の値が低いほど、引き裂きやすく、値が高いほど、引き裂きにくいことを表すことができる。なお、せん断試験の詳細については実施例で説明する。
次に、本発明の生チョコレート様菓子の製造方法について詳しく説明する。
本発明の生チョコレート様菓子は、(1)チョコレート、グリセリン、糖質(グリセリンを除いた分子量が212以下である1種以上の糖質)、増粘剤、及び水を加熱混合し、固形分として、チョコレートを60〜80重量%、グリセリンを3〜10重量%、グリセリンと糖質とを合計で10〜20重量%、及び増粘剤を0.5〜3.0重量%を含有し、水分値が10〜14重量%である含水チョコレートを得る工程、(2)含水チョコレートを成型して生地シートを得る工程、(3)生地シートの表面に、切断しない程度の深さを有する麺線状の溝条を形成する工程、及び(4)麺線状の溝条が表面に形成された生地シートを厚さ方向に切断する工程を有することによって製造することができる。次に各工程に関しての詳細を説明する。
工程(1)では、チョコレート、グリセリン、糖質、増粘剤、及び水、並びに必要に応じて二糖類以上の糖質、乳化剤、任意成分等を加熱混合し、チョコレート60〜80重量%、グリセリン3〜10重量%、グリセリンと糖質とを合計で10〜20重量%、及び増粘剤0.5〜3重量%含み、水分含有量が10〜14重量%である水中油型の含水チョコレートを調製する。加熱手段及び加熱温度は、各成分の種類や含有量等に応じて適宜選択されるが、例えば、湯煎にて50〜70℃の温度下に加熱混合を行なうのが好ましい。なお、増粘剤は、適量の水、例えば1〜8倍量の水で膨潤させて用いることが好ましい。また、含水チョコレートを調製する際は、チョコレート以外の原料を均一に混合し、最後にチョコレートを添加するのが好ましい。
前記工程(1)で得られた含水チョコレートは、グリセリンと糖質との影響により、後述する工程(2)〜(4)においても乾燥し難く、水分の蒸発が殆どないので、含水チョコレートにおけるチョコレート、グリセリン、糖質、及び増粘剤の各含有量、並びに水分含有量がほぼ維持された本発明の生チョコレート様菓子を得ることができる。
工程(2)では、前記工程(1)で得られた含水チョコレートを成型し、生地シートを作製する。含水チョコレートは、粘度が比較的高いので、シートへの成型は容易である。その一方で、含水チョコレートは硬化し易いので、含水チョコレートを作製して直ぐにシートに成型したり、含水チョコレートの品温を硬化しない温度に保持したりする等して、含水チョコレートが硬化する前に成型する必要がある。成型方法としては、含水チョコレートに含まれる各成分の種類や含有量、水分含有量等によって種々の既存の方法を利用することができ、例えば、含水チョコレートを一定のサイズのプレートに流し込んでシートに成型する方法、含水チョコレートに一定の圧力をかけてプレスしてシートに成型する方法、含水チョコレートを圧延ロールによって圧延してシートに成型する方法、ベルトコンベア上に含水チョコレートを流延し、所定厚さにすり切ることによってシートに成型する方法等が挙げられる。いずれの方法でも、一定の幅でシートを成型することが好ましい。なお、プレスにより生地シートを作製する場合、含水チョコレートは柔らかいものなので、プレス圧は特に限定されず、作業性等を考慮して広い範囲から適宜選択できる。
また、生地シートの厚さは特に限定されないが、含水チョコレートのシートへの成型性、後述の工程(3)における生地シートへの溝条の形成性、最終的に得られる生チョコレート様菓子の引き裂き性等を考慮すると、好ましくは0.2mm〜5mm、さらに好ましくは1mm〜3mmである。生地シートの厚さが0.2mm未満では、含水チョコレートをシートに成型する際に、シートの破れ等が生じやすくなり、また、生チョコレート様菓子の引き裂き性が低下し、引き裂きの途中で千切れ易くなる傾向がある。また、生地シートの厚さが5mmを超えると、安定してシートに成型することはできるが、工程(3)において表面に溝条を形成することが困難になる傾向がある。成型後の生地シートはそのまま硬化するので、生地シートの厚さが工程(4)後の最終製品の厚さとほぼ等しくなる。
工程(3)では、前記工程(2)で得られた生地シートの表面に、1本又は複数本の溝条を形成する。溝条は、生地シートの厚さ方向のいずれか一方の表面又は両方の表面に形成できる。本実施形態では、溝条は、生地シートの長手方向に延びるように形成されるが、これに限定されず、生地シートの幅方向に延びるように形成されてもよく、長手方向及び幅方向の両方向に延びて部分的に直交するように形成されても良い。溝条は、断面が麺線の断面形状を有する。溝条は、その溝条を起点として生地シートが自然に2つの断片に切り離されないような強度が維持される深さに形成される。なお、この深さは例えば実験や試作等により適宜決定できる。更に、図1を用いて示したように、最も薄い部分の厚さaと、最も厚い部分の厚さbとが、上記した所定の関係になるように、溝条が形成されることが好ましい。
溝条を形成する方法としては、蟹肉様かまぼこを製造する際に使用されるような、切断されない程度の深さに溝条(溝条)を刻設(形成)できる一対のロールを有する細断機を使用する方法等が挙げられる。このような細断機を利用することにより、生地シートの表面に、所定の間隔を空けてほぼ平行にかつ生地シートの長手方向に延びる複数の麺線状の溝条が形成された生地シートを容易に作ることができる。
このような細断機の具体例としては、例えば、特公昭58−29065号公報に記載されるような、一対の溝条刻設ロール等が挙げられる。溝条刻設ロールは、その表面に、該ロールの周方向に延びかつ互いにほぼ平行になるように設けられた複数の凸部が形成されている。生地シートの表面にこの凸部を押し当てることにより、生地シート表面に凸部の高さ及び幅や凸部の断面形状などに対応する深さ寸法及び幅寸法や断面形状を有する溝条が形成される。凸部の高さ及び幅、凸部の断面形状、凸部の数、隣り合う凸部間の幅などは、生地シートの配合組成や厚さ等に応じて適宜選択される。一方の溝条刻設ロールと他方の溝条刻設ロールにおいて、凸部の高さ及び幅、凸部の断面形状、凸部の数、隣り合う凸部間の幅などの少なくとも1つが異なっていてもよい。溝条刻設ロールは、金属製でもよく、樹脂製でもよい。一対の溝条刻設ロールを所定の間隔でほぼ平行に配置し、これらのロール間に生地シートを通過させることにより、生地シートの両面に所定の溝条が形成される。1つの溝条刻設ロールと表面の平滑なロールとを所定の間隔でほぼ平行に配置し、これらのロール間に生地シートを通過させることにより、生地シートの一方の表面に所定の溝条を形成してもよい。なお、ロールの回転速度や生地シートの送給速度も、生地シートの配合組成や厚さ等に応じて適宜選択される。このような細断機は、例えば、(株)ヤナギヤから市販されている。
工程(4)では、前記工程(3)で得られた、表面に溝条が形成された生地シートを厚さ方向に切断し、所定の寸法のシート片を得る。生地シートは、例えば、その表面に形成された溝条の延びる方向に対して略垂直な方向(生地シートの幅方向)に切断される。生地シートを切断する方法としては特に限定されないが、例えば、キャラメルカッター等のカッターを使用する方法が挙げられる。なお、表面に溝条が形成された生地シートの寸法が、所定の製品寸法とほぼ同じである場合は、工程(4)を省略することもできる。
切断により得られるシート片は、そのまま生チョコレート様菓子とすることができる。さらに、切断により得られるシート片を、溝条が延びる方向と平行な方向の左右どちらかの辺を軸とし、溝条が延びる方向に対して垂直の方向に丸めてスティック状に成型してもよい。
こうして、チョコレートの濃厚な風味を有し、口溶けが良く、50g・sec/mm以下の力で引き裂くことが可能であり、水分活性が0.6未満である本発明の生チョコレート様菓子が得られる。該菓子は、50g・sec/mm以下の力で引き裂けることにより、良好な引き裂き性を有する。該菓子は、水分活性が0.6未満であることにより、常温常湿下で1年程度の長期保存及び長期流通を行なっても、風味の劣化や引き裂き性の低下が非常に少ない。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明の趣旨はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、%及び部は重量基準の数値を表す。
(チョコレート生地1〜2の作製)
ビターチョコレートであるチョコレート生地1、及びホワイトチョコレートであるチョコレート生地2を、ロール掛け及びコンチング製法により作製した。なお、チョコレート生地1は、砂糖42.5部、ココアバター12部、カカオマス45部、及びレシチン0.5部から成り、チョコレート生地2は、砂糖37部、ココアバター28.5部、全粉乳34部、及びレシチン0.5部から成る。なお、チョコレート生地1に含まれる無脂カカオ固形分は21.6%である。チョコレート生地2はカカオマスを含まないことから、無脂カカオ固形分を含まない。
(含水チョコレート1〜20の作製)
表1に記載の配合(部)で、先ず原料Aを混合し、60℃に加温して、各原料を完全に溶解させ、混合溶液を調製した。次に予め表1の配合(部)で水に溶解させた増粘剤Bを混合溶液に添加し、湯煎を用いて60℃に加温した。最後に、60℃の湯煎で溶解させたチョコレートCを、前記AとBの混合溶液に添加し、攪拌し、必要によって水を加えることによって、水分含有量12%の含水チョコレート1〜20を作製した。
なお、表1中の「低分子糖質」は、各原料に含まれる固形分のうち、分子量が212以下の糖質の重量割合を、「固形分」は各原料に含まれる固形分の重量割合を示す。また、表1において、ハイマルトースM70(商品名、日本コーンスターチ(株)製)は、マルトース(麦芽糖)を含むシロップである。ハイフラクトースS95(商品名、三和澱粉工業(株)製)は、異性化糖に果糖を加えたシロップである。
Figure 2014087321
(生地シート1〜20の作製)
次に、得られた含水チョコレート1〜20を、プレス機(商品名:MINI TEST PRESS−10、(株)東洋精機製作所製)を用いて、プレス圧5MPaで厚さ2mmの生地シート1〜20を作製した。生地シート1〜20は、それぞれ含水チョコレート1〜20に対応している。
(実施例1〜10、比較例1〜10の作製)
得られた生地シート1〜20を、蟹肉様かまぼこの製造に使用される、生地シートが切断されない程度の深さに溝条を刻設(形成)できる一対のロールを備えた細断機((株)ヤナギヤ製)に通し、生地シートの両方の表面に、生地シートの長手方向にかつ略平行に延びる複数の溝条をそれぞれ形成した。一方の表面に形成された溝条と、他方の表面に形成された溝条とは、生地シート表面に平行な方向において図1に示すようなずれた位置に形成されていた。また、最も薄い部分の厚さa=1mm、最も薄い部分の厚さaと最も厚い部分の厚さbとの比a:b=25:50であった。次に、表面に溝条が形成された生地シート1〜20を、キャラメルカッターを用いて1cm×5cm片に切断し、含水チョコレート1〜10から成る本発明の生チョコレート様菓子である実施例1〜10、及び含水チョコレート11〜20から成る比較例1〜10を得た。
得られた実施例1〜10、及び比較例1〜10の各成分(チョコレート、グリセリン、グリセリンを除く分子量が212以下の糖質(表1における低分子糖質)とグリセリンとの合計量、無脂カカオ固形分、増粘剤)の含有量及び水分含有量を表2に、そして20人のパネラーによる評価結果(風味、食感、引き裂き性)、及び引き裂き力(g・sec/mm)、水分活性の測定結果を表3に示した。なお、表1と表2とを比較すると、各成分の含有量の数値が若干異なっている。これは、次のような理由による。表1に示すのは含水チョコレートの原料組成であり、原料を混合する段階では各生チョコレートの水分含有量は目的の水分含有量にはなっていない。一方、表2に示すのは水分含有量を目的の水分含有量に調整した後の含水チョコレートの組成である。
「風味」、「食感」、「引き裂き性」は以下の基準により評価した。また、「水分活性」の測定は、水分活性恒温測定装置(商品名:LabMASTER−aw BASIC、novasina社製)を用いて行い、「引き裂き力」は、「引き裂き性」の評価が○若しくは△の実施例及び比較例のみに対して、下記のせん断試験の方法により測定した。なお、それぞれの評価は実施例、及び比較例作製から1週間後に行った。
[風味]
◎:チョコレートの非常に濃厚な風味がある(濃厚な風味があるとの評価が17〜20人)
○:チョコレートの濃厚な風味がある(濃厚な風味があるとの評価が11〜16人)
△:チョコレートの風味はあるが、やや物足りない(濃厚な風味があるとの評価が6〜11人)
×:チョコレートの風味が薄く、不満足である(濃厚な風味があるとの評価が0〜5人)
◎:非常に口溶けが良い(口溶けが良いとの評価が17〜20人)
○:口溶けが良い(口溶けが良いとの評価が11〜16人)
△:やや弾力のある食感であり口溶けも不十分(口溶けが良いとの評価が6〜11人)
×:グミのような食感であり口溶けが良くない(口溶けが良いとの評価が0〜5人)
[引き裂き性]
○:千切れることなく綺麗に引き裂くことができる
△:部分的に引き裂くことができるが、千切れる
×:引き裂くことができず、千切れる
[せん断試験]
せん断試験の試料は、溝条の延びる方向を縦、溝条の延びる方向に垂直な方向を横とし、本発明の実施例1〜10、及び比較例1〜10の生チョコレート様菓子から縦15mm、横10mmの切片を切り出し、この切片の一方の短辺側端部の中央に、短辺側端部に対して垂直に、長さ0.75mmの切込みを入れたものとした。なお、この切込みは、切片の厚さ方向には一方の表面から他方の表面にまで達している。
せん断試験は、テクスチャーアナライザー(商品名:Texture Analyzer TA.XT.plus、Stable Micro Systems社製)を使用し、試料の切込みにより分けられた一方の側をプランジャーに固定し、他方の側を台座に固定し、測定速度1mm/secでプランジャーを引き上げ、試料が完全に2つに引き裂かれるまでに要した力(g)及び時間(sec)を測定し、その積分値を試料の縦方向径(15mm)で除した数値を引き裂き力(単位:g・sec/mm)とした。
Figure 2014087321
Figure 2014087321
表2、3より本発明の実施例1〜10はいずれも、風味、食感、引き裂き性、及び保存性に優れていることがわかる。特に、アルカリ処理ゼラチンを使用した実施例1〜6及び9は、他の増粘剤を使用した実施例に比べて食感の点でさらに優れている結果となった。一方、チョコレート、グリセリン、グリセリンを除く分子量が212以下の糖質とグリセリンとの合計、増粘剤、及び水分の含有量のいずれかが規定範囲から外れる比較例1〜10は、少なくとも1つの評価項目において好ましくない結果が得られた。
また、実施例1〜10の生チョコレート様菓子の水分活性が0.6未満であることから、これらの菓子が常温での長期保存が可能なことが明らかである。また、実施例1〜10の生チョコレート様菓子をそれぞれアルミ蒸着袋で包装し、虐待試験として30℃、70%RH条件下で16週間静置した後、アルミ蒸着袋から取り出し、目視によりカビの有無を確認、また、官能評価による風味と食感の悪化、及び引き裂き性の有無の確認を行った。その結果、カビの発生は認められず、風味や食感に変化はなく、引き裂き性についても途中で千切れることなく、最後まで引き裂くことができた。このように、30℃という食品には過酷な条件で長期間保存しても、風味に変化がないことから、カビ及びその他の微生物の繁殖がなく、しかも、保存後も製造直後の良好な風味、食感及び引き裂き性を保持していることが明らかとなった。

Claims (5)

  1. チョコレートを60〜80重量%、グリセリンを3〜10重量%、グリセリンを除く分子量が212以下の糖質から選択される1種以上の糖質とグリセリンとを合計で10〜20重量%、並びにゼラチン、ペクチン、カラギーナン及びプルランから選択される1種以上の増粘剤を0.5〜3.0重量%含有し、水分含有量が10〜14重量%であり、切断されない程度の深さを有する麺線状の溝条が表面に形成され、50g・sec/mm以下の力で引き裂かれることを特徴とする生チョコレート様菓子。
  2. 前記増粘剤がゼラチンを含有し、前記ゼラチンがアルカリ処理ゼラチンであることを特徴とする請求項1に記載の生チョコレート様菓子。
  3. 前記糖質が、(A)グルコース及び/又は(B)ソルビトール、(C)キシリトール
    並びに(D)エリスリトールの3種糖質又は4種糖質を含有し、前記3種糖質又は4種糖質の総含有量に対する、(A)グルコース及び/又は(B)ソルビトールの含有率が20〜80重量%、かつ、(D)エリスリトールの含有率が25重量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の生チョコレート様菓子。
  4. 無脂カカオ固形分の含有量が5〜15重量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の生チョコレート様菓子。
  5. 下記(1)〜(4)の工程を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の生チョコレート様菓子の製造方法。
    (1)チョコレート、グリセリン、糖質、増粘剤、及び水を加熱混合し、固形分として、チョコレートを60〜80重量%、グリセリンを3〜10重量%、グリセリンと糖質とを合計で10〜20重量%、及び増粘剤を0.5〜3.0重量%含有し、水分含有量が10〜14重量%である含水チョコレートを得る工程。
    (2)前記含水チョコレートを成型してシートを得る工程。
    (3)前記シートの表面に、該シートが切断されない程度の深さを有する麺線状の溝条を形成する工程。
    (4)麺線状の溝条が表面に形成された前記シートを厚さ方向に切断する工程。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016189713A (ja) * 2015-03-31 2016-11-10 不二製油株式会社 含水チョコレート様食品
WO2016186181A1 (ja) * 2015-05-19 2016-11-24 株式会社 ブルボン スライス状チョコレート
JP2017018096A (ja) * 2015-07-07 2017-01-26 サンスター株式会社 低カロリーチョコレート組成物

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