JP2014085007A - 無段変速機 - Google Patents

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有希 荒津
Hiroyuki Ogawa
裕之 小川
Akira Hibino
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Abstract

【課題】軸受の耐久性の向上。
【解決手段】第1及び第2の回転部材10,20と、サンローラ30と、キャリア40と、複数の遊星ボール50と、第1回転部材10に軸力発生部71を介して連結させ、且つ、軸線方向における各遊星ボール50から離れる方向に向けて延在させた入力軸11と、第2回転部材20に軸力発生部72を介して連結させ、且つ、入力軸11を径方向外側から覆う出力軸21と、入力軸11と出力軸21との間の夫々の環状面11a,21b同士の成す隙間で、且つ、入力軸11と出力軸21とにおける軸力の反力の作用点よりも径方向内側に配置したスラスト軸受TBと、を有し、入力軸11における環状面11aに、この環状面11aと対向するスラスト軸受TBのレース91の環状面91aに向け且つ当該環状面91aに当接させた膨出部11aを設けること。
【選択図】図3

Description

本発明は、共通の回転中心軸を有する複数の動力伝達要素と、その回転中心軸に対して放射状に複数配置した転動部材と、を備え、各動力伝達要素の内の2つに挟持された各転動部材を傾転させることによって入出力間の変速比を無段階に変化させるトラクションドライブ型の無段変速機に関する。
従来、この種の無段変速機としては、回転中心となる変速機軸と、この変速機軸の中心軸を回転中心軸とする相対回転可能な複数の動力伝達要素と、その回転中心軸に対して放射状に複数配置され、各動力伝達要素の内の3つに挟み込まれた転動部材と、を備えたボールプラネタリ式のものが知られている。このボールプラネタリ式の無段変速機においては、対向させて配置した第1動力伝達要素と第2動力伝達要素とで各転動部材が挟持されると共に、各転動部材が第3動力伝達要素の外周面上に配置されている。この無段変速機では、第1及び第2の動力伝達要素の内の少なくとも一方から転動部材に対して軸線方向の力(軸力)を加えることで、夫々の接触部の間にトラクション力(接線力)を発生させる。また、この無段変速機では、各転動部材を傾転させることで変速比が変わる。下記の特許文献1には、その様なボールプラネタリ式の無段変速機が開示されている。この特許文献1の無段変速機においては、第1動力伝達要素と第2動力伝達要素とに各々トルクの入力軸と出力軸とが連結されている。
尚、下記の特許文献2には、レースの環状面をこれと対向する回転体の環状面に向けて曲面状に膨出させ、この膨出部分を回転体の環状面に当接させることで、保持器等の公転に伴う供回りによるレースの損傷を抑えつつ、保持器の疲労を軽減させるスラスト軸受が開示されている。
特開2010−101496号公報 特開2012−107741号公報
ところで、上記の無段変速機においては、動力伝達要素等の複数の回転部材を備えており、その円滑な回転を図るべく、その用途に応じた様々な軸受が配置されている。しかしながら、この無段変速機においては、軸力によって第1動力伝達要素と第2動力伝達要素を各転動部材に押し付けているので、その動力伝達要素や当該動力伝達要素に連結された回転体が軸力や当該軸力の反力によって撓んでしまい、その撓みに伴う傾いた力が軸受に作用する可能性がある。そして、その様な力が軸受の転動部材に伝わると、この軸受は、耐久性が低下してしまう虞がある。
そこで、本発明は、かかる従来例の有する不都合を改善し、軸受の耐久性の向上が可能な無段変速機を提供することを、その目的とする。
上記目的を達成する為、本発明は、回転中心となる変速機軸と、前記変速機軸と同心の第1回転中心軸を有する相互間で周方向に相対回転が可能な第1から第4の動力伝達要素と、第2回転中心軸を有し、前記第1回転中心軸を中心にして放射状で且つ前記第3動力伝達要素の外周面上に複数配置されると共に、対向させて配置した前記第1及び第2の動力伝達要素で挟持され且つ前記第4動力伝達要素で傾転自在に保持された転動部材と、前記第1動力伝達要素に連結させ、且つ、軸線方向における前記各転動部材から離れる方向に向けて延在させた第1回転軸と、前記第2動力伝達要素に連結させ、且つ、前記第1回転軸を径方向外側から覆う第2回転軸と、前記第1動力伝達要素と前記第1回転軸との間及び前記第2動力伝達要素と前記第2回転軸との間の内の少なくとも一方に設け、前記第1及び第2の動力伝達要素の内の少なくとも一方を軸線方向の軸力で前記各転動部材に対して押し付ける軸力発生部と、前記第1回転軸と前記第2回転軸との間の夫々の環状面同士の成す軸線方向における隙間で、且つ、前記第1回転軸と前記第2回転軸とにおける前記軸力の反力の作用点よりも径方向内側に配置したスラスト軸受と、前記各転動部材を傾転させることで入出力間の変速比を変える変速装置と、を有し、前記第1回転軸における前記環状面と当該環状面に対向する前記スラスト軸受のレースの環状面の内の少なくとも一方に、その内の他方の環状面に向け且つ当該他方の環状面に当接させた膨出部を設けることを特徴としている。
ここで、前記第2回転軸の前記環状面に対向している前記スラスト軸受の他方のレースは、前記第2回転軸における前記環状面を有する嵌合溝に嵌め込むことが望ましい。
また、前記第2回転軸における前記環状面と当該環状面に対向する前記スラスト軸受の他方のレースの環状面の内の少なくとも一方に、その内の他方の環状面に向け且つ当該他方の環状面に当接させた膨出部を設けることが望ましい。
また、前記膨出部に対向している前記環状面には、前記膨出部が挿入されて当接し、且つ、前記軸力が発生していないときに前記膨出部との当接部分よりも径方向外側にて当該膨出部との間で隙間ができる凹部を設けることが望ましい。
本発明に係る無段変速機は、第1回転軸や第2回転軸に軸力の反力が作用しているときに、膨出部の当接部分を支点として当該当接部分よりも径方向外側の第1回転軸や第2回転軸が撓む(傾斜する)。これが為、この無段変速機においては、その当接部分よりも径方向内側を支点にして撓み(傾斜)が発生する従来の構造と比較して、その撓み量(傾斜量)が低減する。また、この無段変速機においては、その膨出部によって当接部分よりも径方向外側で隙間ができる。従って、この無段変速機のスラスト軸受においては、径方向外側部分における偏った過大な挟圧力の発生が抑制され、夫々のレースと転動部材との間における片当たりの発生を抑えることができるので、転動部材の円滑な転動動作に伴う駆動損失の低減や耐久性の向上を図ることができる。
図1は、本発明に係る無段変速機の構成の一例を示す断面図である。 図2は、実施例の膨出部について説明する斜視断面図である。 図3は、実施例の膨出部について説明する図である。 図4は、図3の膨出部による効果について説明する図である。 図5は、実施例の膨出部の他の例について説明する図である。 図6は、図5の膨出部による効果について説明する図である。 図7は、キャリアの一方の固定円盤部について説明する図である。 図8は、キャリアにおける他方の固定円盤部と回転円盤部について説明する図である。 図9は、変形例1の膨出部と環状溝について説明する図である。 図10は、変形例1の膨出部と環状溝の他の例について説明する図である。 図11は、変形例2の膨出部と環状溝について説明する図である。 図12は、変形例2の膨出部と環状溝の他の例について説明する図である。
以下に、本発明に係る無段変速機の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
[実施例]
本発明に係る無段変速機の実施例を図1から図8に基づいて説明する。
最初に、本実施例のトラクションドライブ型の無段変速機の一例について図1を用いて説明する。この無段変速機は、トラクション遊星機構に相当するボールプラネタリ式の無段変速機構を備えたものである。図1の符号1は、本実施例におけるボールプラネタリ式の無段変速機の一例を示す。
本実施例の無段変速機構は、共通の第1回転中心軸R1を有する4つの動力伝達要素と、第1回転中心軸R1を中心にして放射状に配置された複数の転動部材と、4つの動力伝達要素の回転中心に配置した変速機軸と、を備える。転動部材は、第1回転中心軸R1とは異なる第2回転中心軸R2を有するものであり、自身の第2回転中心軸R2と第1回転中心軸R1とを含む傾転平面上での傾転動作が可能である。以下においては、特に言及しない限り、その第1回転中心軸R1に沿う方向を軸線方向と云い、その第1回転中心軸R1周りの方向を周方向と云う。また、その第1回転中心軸R1に直交する方向を径方向と云い、その中でも、内方に向けた側を径方向内側、外方に向けた側を径方向外側と云う。
この無段変速機構は、4つの動力伝達要素の内の3つ(第1から第3の動力伝達要素)で各転動部材を挟持すると共に、残りの動力伝達要素(第4動力伝達要素)で各転動部材を自転自在で且つ傾転自在に保持する。各転動部材は、第1回転中心軸R1を中心にして放射状に配置される。そして、各転動部材は、軸線方向において対向させて配置された第1及び第2の動力伝達要素に挟持され、且つ、第3動力伝達要素の外周面上に配置される。
この無段変速機構は、第1から第4の動力伝達要素の間で各転動部材を介したトルクの伝達を行うことができる。例えば、この無段変速機構は、第1から第3の動力伝達要素と各転動部材との間にトラクション力(接線力)を発生させることで、その第1から第3の動力伝達要素の間での各転動部材を介したトルク(動力)の伝達を行うことができる。そのトラクション力は、第1及び第2の動力伝達要素の内の少なくとも一方を各転動部材に押し付けることによって発生させる。更に、この無段変速機構では、第4動力伝達要素の回転を許容することで、第4動力伝達要素と各転動部材との間におけるトルクの伝達も可能である。
また、この無段変速機構においては、夫々の転動部材の第2回転中心軸R2を傾転平面上で第1回転中心軸R1に対して傾倒させ、各転動部材を傾転させることによって、入出力間の回転速度(回転数)の比、つまり変速比γを変える。
この無段変速機構は、第1から第4の動力伝達要素の全てが変速機軸に対して相対回転可能な回転要素として用いられるものもあれば、第1から第4の動力伝達要素の内の何れか1つを変速機軸に対して相対回転できぬ固定要素として用いるものもある。前者の構成の場合には、第1から第4の動力伝達要素の内の何れか1つがトルクの入力部となり、これとは別の1つがトルクの出力部となる。一方、後者の構成の場合には、固定要素以外の3つの動力伝達要素の間で各転動部材を介したトルクの伝達が行われるので、その3つの動力伝達要素の内の何れか1つがトルクの入力部となり、これとは別の1つがトルクの出力部となる。これが為、この無段変速機構においては、入力部となる動力伝達要素と出力部となる動力伝達要素との間の回転速度(回転数)の比が変速比γとなる。例えば、この無段変速機1は、車両の動力伝達経路上に配設される。その際には、その入力部が機関(内燃機関等のエンジン)や回転機(電動機等)などの動力源側に連結され、その出力部が駆動輪側に連結される。この無段変速機1と駆動輪側との間には、別の変速機(例えば有段の手動変速機又は自動変速機等)を介在させる場合もある。この無段変速機1においては、入力部としての動力伝達要素にトルクが入力された場合の各動力伝達要素の回転動作を正駆動と云い、出力部としての動力伝達要素に正駆動時とは逆方向のトルクが入力された場合の各動力伝達要素の回転動作を逆駆動と云う。例えば、この無段変速機1は、先の車両の例示に従えば、加速等の様に動力源側からトルクが入力部たる動力伝達要素に入力されて当該動力伝達要素を回転させているときが正駆動となり、減速等の様に駆動輪側から出力部たる回転中の動力伝達要素に正駆動時とは逆方向のトルクが入力されているときが逆駆動となる。
ここで、この無段変速機1においては、第1及び第2の動力伝達要素がトラクション遊星機構で云うところのリングギヤ等の機能を為すものとなる。また、第3動力伝達要素と第4動力伝達要素は、各々トラクション遊星機構におけるサンローラとキャリアとして機能する。また、転動部材は、トラクション遊星機構におけるボール型ピニオンとして機能する。従って、この無段変速機1は、第1及び第2の動力伝達要素としての第1及び第2の回転部材10,20と、第3動力伝達要素としてのサンローラ30と、第4動力伝達要素としてのキャリア40と、転動部材としての遊星ボール50と、変速機軸としてのシャフト60と、を備える。そのシャフト60は、図示しない筐体や車体等における無段変速機1の固定部に固定したものであり、その固定部に対して相対回転させぬよう構成した円柱状又は円筒状の固定軸とする。この無段変速機1においては、傾転平面上で第1回転中心軸R1と第2回転中心軸R2とが平行になっている状態(図1の状態)を基準位置としている。尚、ここでは、キャリア40を固定要素として利用する場合を例示する。但し、後述する回転円盤部材42の回転だけは可能にしている。
第1及び第2の回転部材10,20は、中心軸を第1回転中心軸R1に一致させた円盤部材(ディスク)や円環部材(リング)であり、軸線方向で対向させて各遊星ボール50を挟み込むように配設する。この例示においては、双方とも円環部材とする。
この無段変速機1においては、第1及び第2の回転部材10,20と各遊星ボール50とが互いに点接触(厳密には楕円形状の面接触)している接触部P1,P2を有する。各遊星ボール50は、後で詳述するが転動面としての外周曲面を有しており、その外周曲面において第1及び第2の回転部材10,20に挟持される。つまり、各遊星ボール50は、その外周曲面に接触部P1,P2を有する。一方、第1及び第2の回転部材10,20は、各遊星ボール50を径方向外側から挟持するものであり、その内周面10a,20aに接触部P1,P2を各々有する。その内周面10a,20aにおいては、各遊星ボール50に対して実際に接触している接触部P1,P2と、第1及び第2の回転部材10,20の回転に伴い接触部P1,P2となる部分(以下、「接触予備部」と云う。)と、が周方向に連なっている。即ち、その接触予備部は、第1及び第2の回転部材10,20が回転することで、遊星ボール50に接触したり遊星ボール50から離れたりを繰り返す部分である。第1及び第2の回転部材10,20の接触部P1,P2や接触予備部における形状は、例えば、遊星ボール50の外周曲面の曲率と同等の曲率の凹円弧面、その外周曲面の曲率とは異なる曲率の凹円弧面、凸円弧面又は平面等を成している。そして、この第1及び第2の回転部材10,20の接触部P1,P2や接触予備部における形状は、第1及び第2の回転部材10,20から遊星ボール50に向けて軸線方向の力(押圧力)が加わった際に、その遊星ボール50に対して径方向内側で且つ斜め方向の力(法線力)が加わるように形成されている。
ここでは、上記基準位置の状態で第2回転中心軸R2から夫々の接触部P1,P2や接触予備部までの最短距離が同じ長さになるように、第1及び第2の回転部材10,20の内周面10a,20aと各遊星ボール50の外周曲面を形成する。更に、ここでは、第1及び第2の回転部材10,20と各遊星ボール50との夫々の接触角θが同じ角度になるように、第1及び第2の回転部材10,20の内周面10a,20aと各遊星ボール50の外周曲面を形成する。その接触角θとは、基準平面に対する接触部P1,P2又は接触予備部と遊星ボール50の中心(自転中心及び傾転中心であって、球体であれば重心に相当)とを結ぶ線の成す角度のことである。基準平面とは、夫々の遊星ボール50の中心を有する径方向に広がる平面のことである。
この例示においては、第1回転部材10を正駆動時におけるトルクの入力部として用い、第2回転部材20を正駆動時におけるトルクの出力部として用いる。この無段変速機1においては、上記の基準平面に対して入力部となる第1回転部材10が配置された側をトルクの入力側と云い、その基準平面に対して出力部となる第2回転部材20が配置された側をトルクの出力側と云う。そして、軸線方向は、その出力側から入力側に向く方向をトルクの入力側方向と云い、入力側から出力側に向く方向をトルクの出力側方向と云う。その第1回転部材10には当該第1回転部材10と同心の入力軸(第1回転軸)11が連結され、第2回転部材20には当該第2回転部材20と同心の出力軸(第2回転軸)21が連結される。
その入力軸11と出力軸21は、第1回転中心軸R1を中心として周方向に回転することができる。ここではシャフト60が固定軸なので、入力軸11と出力軸21は、夫々にシャフト60に対して周方向に相対回転する。また、入力軸11と出力軸21は、トルクの入力側と出力側の内の何れか一方に纏めて延在させる。この例示の入力軸11と出力軸21は、第1回転部材10等の配設されているトルクの入力側に纏めて延在させている。この例示では、出力軸21が入力軸11を径方向外側から覆っている。
入力軸11は、第1回転部材10に連結させ、且つ、軸線方向における各遊星ボール50から離れる方向(トルクの入力側方向)に向けて延在させる。この入力軸11は、外縁部分に同心の第1回転部材10が連結される円盤部11aと、この円盤部11aの径方向内側部分からトルクの入力側方向に向けて延設された筒状部11bと、を備える。円盤部11aは、第1回転部材10やキャリア40よりもトルクの入力側方向に配置し、その第1回転部材10と共にキャリア40の後述する第1円盤部材41を覆う。筒状部11bは、同心の回転軸12に固定される円筒状の部材である。その回転軸12は、シャフト60におけるトルクの入力側において同心に配置される。この回転軸12は、軸受(例えばころ軸受やニードル軸受等)B1を介してシャフト60に対する周方向の相対回転を行うことができる。この例示では、筒状部11bの内周面と回転軸12の外周面とがスプライン嵌合される。
一方、出力軸21は、第2回転部材20に連結させ、且つ、軸線方向における入力軸11と同じ方向に向けて当該入力軸11を径方向外側から覆った状態で延在させる。この出力軸21は、同心の第1及び第2の回転部材10,20を径方向外側から覆う第1筒状部21aと、この第1筒状部21aにおけるトルクの入力側方向の端部を外縁とする円盤部21bと、この円盤部21bの径方向内側部分からトルクの入力側方向に向けて延設された第2筒状部21cと、を備える。第1筒状部21aは、トルクの出力側方向の端部に固定された環状部材22を介して第2回転部材20に連結する。円盤部21bは、入力軸11の円盤部11aよりもトルクの入力側方向に配置する。第2筒状部21cは、入力軸11の筒状部11bを径方向外側から覆う。
その入力軸11と第1回転部材10との間には、軸力を発生させる軸力発生部71が設けられている。その軸力とは、第1回転部材10を各遊星ボール50に押し付ける為の軸線方向の押圧力である。ここでは、その軸力発生部71としてトルクカムを利用する。従って、この軸力発生部71は、円盤部11aの外縁部分における係合部又は係合部材と第1回転部材10側の係合部又は係合部材とが係合することで、入力軸11と第1回転部材10との間で軸力を発生させると共に回転トルクを伝達させ、これらを一体にして回転させる。一方、この無段変速機1には、出力軸21と第2回転部材20との間にも軸力発生部72が配設されている。その軸力発生部72は、第2回転部材20を各遊星ボール50に押し付ける為の軸線方向の押圧力(軸力)を発生させるものであり、軸力発生部71と同様のトルクカムを用いる。この軸力発生部72は、環状部材22を介して出力軸21に接続されている。
この無段変速機1は、その軸力によって、第1回転部材10と各遊星ボール50との間、第2回転部材20と各遊星ボール50との間及びサンローラ30と各遊星ボール50との間において、運転中にトラクション力を発生させることができる。
尚、この無段変速機1においては、第1回転部材10をトルク出力部とし、且つ、第2回転部材20をトルク入力部とすることも可能であり、その場合、入力軸11として設けているものを出力軸として利用し、出力軸21として設けているものを入力軸として利用する。また、サンローラ30をトルク入力部やトルク出力部として用いる場合には、そのサンローラ30に対して別途構成した入力軸や出力軸を連結する。
ところで、この無段変速機1においては、後述する変速比γが増速側変速比又は減速側変速比(γ≠1)のときに、第1回転部材10と第2回転部材20が夫々に異なる回転数で回転する。これが為、そのときには、入力軸11と出力軸21との間において第1回転中心軸R1を中心とする周方向への相対回転が行われることになる。ここで、この無段変速機1では、入力軸11と出力軸21とをトルクの入力側に纏めて延在させている。従って、入力軸11と出力軸21との間には、その相対回転に伴う相互間の差回転を吸収させる為に、軸受B2やスラスト軸受TBを介在させている。
軸受B2は、入力軸11と出力軸21との径方向における隙間に介在させる環状のものである。この例示では、筒状部11bの外周面と第2筒状部21cの内周面との間に配置している。例えば、この軸受B2には、ころ軸受やニードル軸受等を利用することができる。
スラスト軸受TBは、入力軸11と出力軸21との間の軸線方向における隙間に介在させる環状のものである。この例示では、円盤部11aと円盤部21bとの間の夫々の環状面11a,21b同士の成す軸線方向における隙間に配置している。環状面11aとは、スラスト軸受TBにおける一方のレース91の環状面91aに軸線方向において対向している部分のことである。これと同様に、環状面21bとは、スラスト軸受TBにおける他方のレース92の環状面92aに軸線方向において対向している部分のことである。その夫々の環状面11a,21b,91a,92aは、軸力発生部71,72による軸力が発生していないときに軸線方向に対して略直交している平面である。例えば、このスラスト軸受TBには、スラストころ軸受やスラストニードル軸受、スラスト玉軸受等を利用することができる。
ここで、入力軸11と出力軸21には、夫々に軸力発生部71,72による軸力の反力が作用している。従って、入力軸11においては、その反力によって円盤部11aに撓みが発生する可能性がある。入力軸11に作用する反力は、トルクの入力側に向けて働いている。これが為、その円盤部11aの撓みは、出力軸21の円盤部21bに向けて発生する。例えば、この入力軸11においては、円盤部11aと筒状部11bの境界部分を支点にして当該円盤部11aが出力軸21の円盤部21bに向けて傾く。また、出力軸21においては、その軸力の反力によって円盤部21bに撓みが発生する可能性がある。出力軸21に作用する反力は、トルクの出力側に向けて働いている。これが為、その円盤部21bの撓みは、入力軸11の円盤部11aに向けて発生する。例えば、この出力軸21においては、円盤部21bと第2筒状部21cの境界部分を支点にして当該円盤部21bが入力軸11の円盤部11aに向けて傾く。尚、出力軸21は、入力軸11と比較して、第1筒状部21aを備えているので(つまり円盤部21bの径方向外側部分と径方向内側部分とに各々逆向きの軸線方向に延設された第1及び第2の筒状部21a,21cを有しているので)、同一径部分における撓み量が小さい。
入力軸11や出力軸21においては、軸力の反力の作用点が略同一の径方向にて環状に存在している。スラスト軸受TBは、その作用点と同等の位置までスラスト軸受TBを径方向に拡大した場合、円盤部11a,21bの撓みの影響を受け難くなる。しかしながら、スラスト軸受TBは、径方向に拡大した場合、許容回転数が低下し、また、ころやニードル等の転動部材の数量増加に伴う駆動損失の増大を招く虞がある。これが為、この無段変速機1においては、その様な不都合を許容できる大きさ又は少なくとも発生させない大きさまでスラスト軸受TBの径を小さくする。つまり、そのスラスト軸受TBは、入力軸11と出力軸21とにおける軸力の反力の作用点よりも径方向内側に配置する。
但し、その環状の作用点よりも径の小さいスラスト軸受TBにおいては、円盤部11aの撓みに伴い当該円盤部11aにおける軸線方向の環状面11aが一方のレース91の径方向外側部分に押圧力を加えると共に、円盤部21bの撓みに伴い当該円盤部21bにおける軸線方向の環状面21bが他方のレース92の径方向外側部分に押圧力を加える可能性がある。つまり、このスラスト軸受TBにおいては、軸力の反力に応じた入力軸11や出力軸21の撓みによって、径方向外側部分に他の部分(径方向内側部分等の径方向外側以外の部分)よりも大きい挟圧力が発生する可能性がある。その挟圧力は、スラスト軸受TBの径が小さくなるほど大きくなる。これが為、このスラスト軸受TBでは、入力軸11側と出力軸21側の夫々のレース91,92が転動部材93を片当たりの状態で押さえ付ける可能性があるので、転動部材93の円滑な転動動作が妨げられて、駆動損失の増大を招く虞があり、また、耐久性の低下を招く虞もある。尚、従来においては、その環状面11a,21bがスラスト軸受TBのレース91,92の環状面91a,92aとの当接面となる。
そこで、この無段変速機1においては、その様な偏った挟圧力をスラスト軸受TBに作用させない構成を設ける。その構成は、入力軸11及び出力軸21の内の少なくとも同一径部分における撓み量の小さい方とこれに接するスラスト軸受TBのレース(レース91,92の内の一方)との間に設ける。この例示では、その構成を少なくとも入力軸11と当該入力軸11に接するスラスト軸受TBのレース91との間に設ける。
具体的には、入力軸11の環状面11aと当該環状面11aに対向するスラスト軸受TBのレース91の環状面91aの内の少なくとも一方に、その内の他方の環状面に向けて膨出させ且つ当該他方の環状面に当接させた膨出部を設ける。その膨出部は、環状面に沿って周方向に設けた環状のものであってもよく、環状面に沿って周方向に複数点在させたものであってもよい。
図2及び図3は、入力軸11の環状面11aに同心の環状の膨出部11aを設けた例である。その膨出部11aは、レース91の環状面91aに向けて軸線方向に膨出されたものであり、その膨出端部分が環状面91aに当接している。その膨出端部分は、第1回転中心軸R1に沿って径方向に切った断面の環状面91a側の稜線が弧状を成している。この例示の膨出部11aは、全体がその様な弧状による曲面を成している。従って、その膨出部11aと環状面91aは、環状に線接触している。
ここで、入力軸11に軸力の反力が作用していなければ、膨出部11aと環状面91aとの間には、これらの環状の当接部分よりも径方向外側に隙間が形成される。そして、軸力の反力が作用している入力軸11においては、膨出部11aと環状面91aとの環状の当接部分を支点にして当該当接部分よりも径方向外側部分に撓み(傾き)が発生する。つまり、この無段変速機1においては、その膨出部11aによって円盤部11aの撓み量(傾き量)を従来よりも低減させることができる。従って、スラスト軸受TBにおいては、軸力の反力で入力軸11の円盤部11aが撓んだ(傾いた)ときに、その隙間や円盤部11aの撓み量(傾き量)の低減によって、入力軸11の環状面11aがレース91の径方向外側部分に接触する可能性が減る(図4)。これが為、スラスト軸受TBにおいては、円盤部11aが撓んだ(傾いた)としても、環状面11aからレース91の径方向外側部分に対して当接部分よりも大きな押圧力が加わらない。また、環状面11aがレース91の径方向外側部分に接触したとしても、その接触した部分には、当接部分よりも大きな押圧力が加わらない。故に、このスラスト軸受TBにおいては、径方向外側部分における偏った過大な挟圧力の発生が抑制され、夫々のレース91,92と転動部材93との間における片当たりの発生を抑えることができるので、転動部材93の円滑な転動動作に伴う駆動損失の低減や耐久性の向上を図ることができる。
このことから、膨出部11aの膨出量(軸線方向の高さ)は、スラスト軸受TBの径方向外側部分における偏った過大な挟圧力の発生が抑制できるものであって、スラスト軸受TBの駆動損失や耐久性が製品として要求される所定の設計値となる様な大きさに設定することが望ましい。
また、本実施例の無段変速機1は、スラスト軸受TBの駆動損失の低減によって動力伝達効率が向上するので、耐久性の向上だけでなく、体格の小型化も可能になる。更に、この無段変速機1は、その膨出部11aによって入力軸11の円盤部11aの撓み(傾き)を吸収することができるので、目標とする設計上の強度を確保し得る限り入力軸11(特に円盤部11a)の薄肉化が可能になる。従って、この無段変速機1は、軽量化を行うことができる。
ここで、この図3の例示では、軸力の反力によって出力軸21の円盤部21bに殆ど撓みが発生しないものと仮定している。これが為、スラスト軸受TBの出力軸21側においては、レース92の環状面92aと出力軸21の環状面21bとを従来と同じ様に当接させている。その出力軸21の環状面21bとは、円盤部21bにおける環状面92aと対向する部分に形成した環状の嵌合溝の底面である。スラスト軸受TBのレース92は、その嵌合溝に嵌め込むことで、自らの中心軸を第1回転中心軸R1に位置決めすることができる。
図5は、出力軸21の環状面21bにも、上記の膨出部11aと同様の環状の膨出部21b、つまり膨出端部分がレース92の環状面92aに対して環状に線接触している膨出部21bを設けた例である。その膨出端部分は、第1回転中心軸R1に沿って径方向に切った断面の環状面92a側の稜線が弧状を成している。
ここで、出力軸21に軸力の反力が作用していなければ、膨出部21bと環状面92aとの間には、これらの環状の当接部分よりも径方向外側に隙間が形成される。そして、軸力の反力が作用している出力軸21においては、膨出部21bと環状面92aとの環状の当接部分を支点にして当該当接部分よりも径方向外側部分に撓み(傾き)が発生する。つまり、この無段変速機1においては、その膨出部21bによって円盤部21bの撓み量(傾き量)を低減させることができる。従って、スラスト軸受TBにおいては、軸力の反力で出力軸21の円盤部21bが撓んだ(傾いた)ときに、その隙間や円盤部21bの撓み量(傾き量)の低減によって、出力軸21の環状面21bがレース92の径方向外側部分に接触する可能性が減る(図6)。これが為、スラスト軸受TBにおいては、入力軸11の円盤部11aと共に出力軸21の円盤部21bが撓んだ(傾いた)としても、出力軸21の環状面21bからレース92の径方向外側部分に対して当接部分よりも大きな押圧力が加わらない。故に、このスラスト軸受TBにおいては、図3の例示と比較して、径方向外側部分における偏った過大な挟圧力の発生が更に抑制され、夫々のレース91,92と転動部材93との間における片当たりの発生を更に抑えることができるので、より駆動損失の低減や耐久性の向上を図ることができる。
更に、この構造では、図5に示す様に、入力軸11の膨出部11aと出力軸21の膨出部21bの夫々の環状面91a,92aへの当接部分を径方向において同等の位置に設けることが望ましい。つまり、この構造では、夫々の膨出部11a,21bがスラスト軸受TBを径方向において略同じ位置で押圧する様に、夫々の膨出部11a,21bの径方向における配置を決めることが望ましい。これが為、そのスラスト軸受TBにおいては、夫々のレース91,92と転動部材93との間における片当たりの発生を更に抑えることができるので、駆動損失の更なる低減や耐久性の更なる向上を図ることができる。
この場合の膨出部11a,21bの夫々の膨出量(軸線方向の高さ)は、スラスト軸受TBの径方向外側部分における偏った過大な挟圧力の発生が抑制できるものであって、スラスト軸受TBの駆動損失や耐久性が製品として要求される所定の設計値となる様な大きさに各々設定することが望ましい。また、出力軸21の方が入力軸11よりも撓みが小さいので、出力軸21側の膨出部21bの膨出量は、入力軸11側の膨出部11aの膨出量より小さくしてもよい。
この場合においても、この無段変速機1は、スラスト軸受TBの駆動損失の低減によって動力伝達効率が向上するので、耐久性の向上だけでなく、体格の小型化も可能になる。更に、この無段変速機1は、その膨出部11a,21bによって入力軸11の円盤部11aと出力軸21の円盤部21bの撓み(傾き)を夫々に吸収することができるので、目標とする設計上の強度を確保し得る限り入力軸11(特に円盤部11a)や出力軸21(特に円盤部21b)の薄肉化が可能になる。従って、この無段変速機1は、図3の例示と比較して、更なる軽量化を行うことができる。
サンローラ30は、シャフト60と同心に配置され、このシャフト60に対する周方向への相対回転を行う。このサンローラ30の外周面には、複数個の遊星ボール50が放射状に略等間隔で配置される。従って、このサンローラ30においては、その外周面が遊星ボール50の自転の際の転動面となる。このサンローラ30は、自らの回転動作によって夫々の遊星ボール50を転動(自転)させることもできれば、夫々の遊星ボール50の転動動作(自転動作)に伴って回転することもできる。
本実施例のサンローラ30は、夫々の遊星ボール50との接触部を軸線方向において2箇所(第1接触部P3、第2接触部P4)に分散させたものである。その理由は、サンローラ30と遊星ボール50との間の接触力の分散により面圧を低減させることでスピン損失を低減させ、動力伝達効率の低下を抑えると共に耐久性を向上させることができるからである。第1接触部P3は、上記の基準平面を中心とする軸線方向の一方に設ける。一方、第2接触部P4は、その基準平面を中心とする軸線方向の他方に設ける。そして、その第1及び第2の接触部P3,P4は、各遊星ボール50の中心(自転中心及び傾転中心であって、球体であれば重心に相当)からの距離が同一で、且つ、第1回転中心軸R1からの最短距離も同一となる位置に設ける。その第1及び第2の接触部P3,P4においては、サンローラ30と各遊星ボール50とが互いに点接触(厳密には面接触)している。
このサンローラ30は、シャフト60に対する周方向の相対回転が可能な2つの回転体(第1回転体31、第2回転体32)に分割し、第1回転体31に第1接触部P3を設けると共に、第2回転体32に第2接触部P4を設ける。何故ならば、その第1及び第2の回転体31,32を互いに周方向に相対回転させることで、サンローラ30と遊星ボール50との間の損失エネルギが小さくなり、動力伝達効率の低下を抑えることができるからである。
このサンローラ30においては、第1回転体31が上記の基準平面を中心とする軸線方向の一方に配置され、第2回転体32がその基準平面を中心とする軸線方向の他方に配置される。第1及び第2の回転体31,32は、シャフト60に対する周方向の相対回転が行えるように、夫々にアンギュラ軸受ABとラジアル軸受RBとを介してシャフト60に取り付ける。
第1接触部P3においては、第1回転体31から遊星ボール50に対して、第2回転体32側の軸線方向で且つ径方向外側に向けた斜め方向の押圧力を作用させる。一方、第2接触部P4においては、第2回転体32から遊星ボール50に対して、第1回転体31側の軸線方向で且つ径方向外側に向けた斜め方向の押圧力を作用させる。これが為、このサンローラ30は、第2回転体32に近づくにつれて外径が均等に小さくなる円錐部を第1回転体31が有し、且つ、第1回転体31に近づくにつれて外径が均等に小さくなる円錐部を第2回転体32が有している。第1接触部P3と第2接触部P4は、夫々の円錐部の外周面上に設ける。また、第1回転体31や第2回転体32は、その円錐部を弧状錐体部に置き換えてもよい。その弧状錐体部は、他方の回転体に近づくにつれて外径が放物線状に小さくなる形状のものである。第1接触部P3と第2接触部P4は、夫々の弧状錐体部の外周面上に設ける。その円錐部や弧状錐体部は、第1回転体31や第2回転体32の外周面の全て又は一部に形成する。
遊星ボール50は、支持軸51を中心にしてサンローラ30の外周面上を転がる転動部材である。この遊星ボール50は、完全な球状体であることが好ましいが、少なくとも転動方向にて球形を成すもの、例えばラグビーボールの様な断面が楕円形状のものであってもよい。支持軸51は、遊星ボール50の中心を通って貫通させたものであり、遊星ボール50を回転自在に支持する。例えば、遊星ボール50は、支持軸51の外周面との間に配設したニードル軸受等の軸受によって、第2回転中心軸R2を中心とした支持軸51に対する相対回転(つまり自転)が行える。その支持軸51の両端は、遊星ボール50から突出させておく。
その支持軸51の基準となる位置は、前述した図1に示す基準位置であり、第2回転中心軸R2が第1回転中心軸R1と平行になる位置である。この支持軸51は、傾転平面内において、基準位置とそこから傾斜させた位置との間を遊星ボール50と共に揺動(傾転)させることができる。その傾転は、その傾転平面内で遊星ボール50の中心を支点にして行われる。
キャリア40は、夫々の遊星ボール50の傾転動作を妨げないように支持軸51の夫々の突出部を支持する。このキャリア40は、例えば、中心軸を第1回転中心軸R1に一致させ且つ軸線方向にて互いに対向させて配置した第1から第3の円盤部材41,42,43を有するものである。このキャリア40においては、第1円盤部材41と第2円盤部材42とを軸線方向にて間隔を空けて配置し、その内の一方に近づけて第3円盤部材43を配置する。そして、このキャリア40においては、その第1から第3の円盤部材41,42,43の内の2つの円盤部の間にサンローラ30や遊星ボール50を配置する。この例示では、第3円盤部材43を第1円盤部材41と第2円盤部材42との間で且つ当該第2円盤部材42に近接させて配置し、その第1円盤部材41と第3円盤部材43との間にサンローラ30や遊星ボール50を配置している。尚、このキャリア40では、第3円盤部材43を必ずしも設ける必要はない。
このキャリア40においては、第1及び第2の円盤部材41,42の内の一方をシャフト60に対する周方向への相対回転が行えるように構成し、その内の他方をシャフト60に対する周方向への相対回転が行えないように構成する。また、第3円盤部材43は、シャフト60に対する周方向への相対回転が行えないように構成する。この例示では、第1及び第3の円盤部材41,43をシャフト60に対する相対回転が不能なものとし、第2円盤部材42をシャフト60に対する相対回転が可能なものとする。第1円盤部材41は、その内径側をシャフト60の外径側に例えば螺子部材等で固定する。第2円盤部材42は、軸受(図示略)を介して内径側をシャフト60の外径側に取り付ける。第3円盤部材43は、例えば複数本の支持軸(図示略)で第1円盤部材41に連結する。その第1円盤部材41と第3円盤部材43は、籠状を成しており、その支持軸間の隙間から遊星ボール50の一部分を突出させている。尚、第1及び第2の回転部材10,20は、その遊星ボール50の突出部分に接触している。以下、第1円盤部材41を第1固定円盤部材41と云い、第2円盤部材42を回転円盤部材42と云い、第3円盤部材43を第2固定円盤部材43と云う。
ここで、この無段変速機1においては、夫々の遊星ボール50の傾転角が基準位置、即ち0度のときに、第1回転部材10と第2回転部材20とが同一回転速度(同一回転数)で回転する。つまり、このときには、第2回転部材20に対する第1回転部材10の回転比(回転速度又は回転数の比)が1となり、変速比γが1になっている。一方、夫々の遊星ボール50を基準位置から傾転させた際には、支持軸51の中心軸(第2回転中心軸R2)と接触部P1との最短距離が変化すると共に、支持軸51の中心軸と接触部P2との最短距離が変化する。これが為、第1回転部材10又は第2回転部材20の内の何れか一方が基準位置のときよりも高速で回転し、他方が低速で回転するようになる。例えば第2回転部材20は、遊星ボール50を一方へと傾転させたときに第1回転部材10よりも低回転になり(減速)、他方へと傾転させたときに第1回転部材10よりも高回転になる(増速)。従って、この無段変速機1においては、その傾転角を変えることによって、第2回転部材20に対する第1回転部材10の回転比(変速比γ)を無段階に変化させることができる。尚、ここでの増速時(γ<1)には、図1における上側の遊星ボール50を紙面反時計回り方向に傾転させ且つ下側の遊星ボール50を紙面時計回り方向に傾転させる。また、減速時(γ>1)には、図1における上側の遊星ボール50を紙面時計回り方向に傾転させ且つ下側の遊星ボール50を紙面反時計回り方向に傾転させる。以下、増速時の変速比γを増速側変速比と云い、減速時の変速比γを減速側変速比と云う。
この無段変速機1には、その変速比γを変える変速装置が設けられている。変速比γは遊星ボール50の傾転角の変化に伴い変わるので、その変速装置としては、夫々の遊星ボール50を傾転させる傾転装置を用いる。ここでは、キャリア40に傾転装置(変速装置)としての機能を持たせる。
先ず、第1及び第2の固定円盤部材41,43には、径方向ガイド部44,45が遊星ボール50毎に設けられている。その径方向ガイド部44,45とは、遊星ボール50から突出させた支持軸51の端部に傾転力が加わった際に、その端部を径方向へと案内するガイド部のことである。径方向ガイド部44は、例えば長手方向を径方向とするガイド溝やガイド孔である(図7)。一方、径方向ガイド部45は、長手方向を径方向とするガイド孔であり(図8)、支持軸51を貫通させる。つまり、第1及び第2の固定円盤部材41,43においては、軸線方向から観ると、各径方向ガイド部44,45が第1回転中心軸R1を中心とする放射状を成している。その夫々の径方向ガイド部44,45は、軸線方向において互いに対向させた位置に形成されており、変速比γの大きさに拘わらず第2回転中心軸R2が略傾転平面上に位置するよう支持軸51を保持する。「略」としたのは、支持軸51の円滑な傾転動作の為に、支持軸51と径方向ガイド部44,45の幅方向との間に僅かな隙間を設けているからである。尚、図7は、遊星ボール50側から第1固定円盤部材41を軸線方向に観た図である。図8は、遊星ボール50側から回転円盤部材42と第2固定円盤部材43を軸線方向に観た図である。
回転円盤部材42は、上述した様に、シャフト60に対する周方向の相対回転が可能である。その相対回転には、図示しない電動機等のアクチュエータ(駆動部)を用いる。この駆動部の駆動力は、図8に示すウォームギヤ81を介して回転円盤部材42の外周部分に伝えられる。
一方、回転円盤部材42には、傾転力付与部46が遊星ボール50毎に設けられている。その傾転力付与部46は、回転円盤部材42の回転に伴い、遊星ボール50から突出させた支持軸51の一方の端部に傾転力を作用させるものである。例えば、この傾転力付与部46は、長手方向が径方向に対して所定の傾斜角で傾斜している直線状の溝や孔である(図8)。軸線方向から観ると、この傾転力付与部46は、その一部分が径方向ガイド部45の一部分と重なっている。その一部分同士が重なっている交差部分は、回転円盤部材42の回転と共に径方向に移動する。支持軸51の一方の端部は、その交差部分において支持されている。従って、回転円盤部材42を回転させた際には、この支持軸51の一方の端部に対して傾転力付与部46の側壁面から傾転力が作用し、その端部が径方向ガイド部44,45によって径方向へと案内される。この無段変速機1においては、この案内動作が遊星ボール50の傾転動作となる。
具体的に、このキャリア40においては、第1固定円盤部材41と回転円盤部材42とを相対回転させることで、その相対回転に応じた傾転力が支持軸51の一方の端部に作用する。例えば、回転円盤部材42を図8の紙面時計回り方向に回転させたときは、傾転力付与部46における径方向外側の側壁に沿って当該側壁が支持軸51の一方の端部を押動する。このときには、その押し動かす力が傾転力となり、支持軸51の一方の端部が径方向ガイド部44,45によって径方向内側へと移動するので、変速比γが回転前よりも増速側へと変速する。一方、回転円盤部材42を図8の紙面反時計回り方向に回転させたときは、傾転力付与部46における径方向内側の側壁に沿って当該側壁が支持軸51の一方の端部を押動する。このときには、その押し動かす力が傾転力となり、支持軸51の一方の端部が径方向ガイド部44,45によって径方向外側へと移動するので、変速比γが回転前よりも減速側へと変速する。尚、遊星ボール50は、第1回転部材10と第2回転部材20とサンローラ30とで挟持されているので、球体であれば、その傾転力が付与された際に重心位置を中心にして傾転する。
この無段変速機1においては、各部(冷却対象や潤滑対象)の冷却やトラクション力の発生に潤滑油(所謂トラクション油)を用いる。例えば、その潤滑油は、オイルポンプ(図示略)からシャフト60の軸心油路61に供給され、径方向油路62を介して無段変速機1の各部(冷却対象や潤滑対象)に供給される。
この無段変速機1においては、第1回転部材10に入力軸11を介してトルクが入力されると、その入力トルクや第2回転部材20の出力トルクに応じた軸力が軸力発生部71,72によって発生する。第1及び第2の回転部材10,20と各遊星ボール50との接触部P1,P2においては、その軸力によって法線力Fnが作用し、この法線力Fnとトラクション係数μtとに応じた夫々のトラクション力Ftが発生する(Ft=μt*Fn)。この無段変速機1においては、そのトラクション力Ftによって入出力間の動力伝達が行われる。その法線力Fnは、接触部P1,P2における各々の接触楕円の面積と面圧の乗算値である。
[変形例1]
前述した実施例の図3の無段変速機1において、スラスト軸受TBのレース91は、その環状面91aで入力軸11の膨出部11aに接するだけなので、例えばスラスト軸受TBの組み付けの際、もう一方のレース92の様に第1回転中心軸R1に対する位置決めを行うことは難しい。また、これと同様の理由により、図5の無段変速機1においては、スラスト軸受TBの夫々のレース91,92の位置決めが難しくなっている。本変形例は、前述した実施例と同等の効果を得つつ、スラスト軸受TBの組み付け時や組み付け後における夫々のレース91,92の位置決めも可能にしたものである。その位置決めは、膨出部に対向している環状面に当該膨出部が挿入される凹部を設けることで実現させる。その凹部は、膨出部が挿入されて当接し、且つ、軸力が発生していないときに(つまり軸力の反力が作用していないときに)膨出部との当接部分よりも径方向外側にて当該膨出部との間で隙間ができるものである。
図9は、実施例の図3の無段変速機1において、スラスト軸受TBのレース91をレース191に置き換えたものである。そのレース191は、入力軸11の環状面11aと軸線方向で対向している環状面191aを備える。その環状面191aには、環状の膨出部11aと軸線方向で対向している位置に同心の環状溝191bを形成している。その環状溝191bは、その膨出部11aが挿入される上記の凹部としての溝であり、その膨出部11aの曲面に沿い且つ当該膨出部11aの曲面よりも曲率半径の大きい溝壁面からなる。尚、その曲率半径は、第1回転中心軸R1に沿って径方向に切った断面において計測されたものである。
この無段変速機1においては、膨出部11aにおける環状の膨出端部分(つまり最大膨出部分)の径方向における位置と環状溝191bにおける環状の最深部の径方向における位置とが略同等の位置となるように、その膨出部11aと環状溝191bの配置を決める。従って、その膨出部11aと環状溝191bにおいては、軸力の反力が発生していないときに、その最大膨出部分と最深部とが線接触することになる。
この無段変速機1においては、入力軸11の膨出部11aをレース191の環状溝191bに挿入することで、このレース191の中心軸を第1回転中心軸R1に合わせることができるので、このレース191の第1回転中心軸R1に対する位置決めが可能になる。これが為、この無段変速機1は、スラスト軸受TBの組み付け時や組み付け後における夫々のレース191,92の位置決めを容易に行うことができる。従って、この無段変速機1においては、例えばレース191,92の位置ずれに伴う転動部材93への負荷を軽減できるので、スラスト軸受TBの耐久性を向上させることができる。
更に、この無段変速機1では、その膨出部11aの曲率半径よりも環状溝191bの曲率半径を大きくしているので、入力軸11に軸力の反力が作用していなければ、これらの間において、互いの環状の当接部分よりも径方向外側に隙間が形成される。また、この無段変速機1においても、入力軸11の円盤部11aは、軸力の反力が入力軸11に作用している場合、その当接部分を支点にして当該当接部分よりも径方向外側部分が撓む(傾く)ので、その撓み量(傾き量)が従来よりも低減する。従って、スラスト軸受TBにおいては、軸力の反力で円盤部11aが撓んだ(傾いた)ときに、その隙間や円盤部11aの撓み量(傾き量)の低減によって、入力軸11の環状面11aがレース191の径方向外側部分に接触する可能性が減る。これが為、スラスト軸受TBにおいては、円盤部11aが撓んだ(傾いた)としても、環状面11aからレース191の径方向外側部分に対して当接部分よりも大きな押圧力が加わらない。また、環状面11aがレース191の径方向外側部分に接触したとしても、その接触した部分には、当接部分よりも大きな押圧力が加わらない。故に、このスラスト軸受TBにおいては、径方向外側部分における偏った過大な挟圧力の発生が抑制され、夫々のレース191,92と転動部材93との間における片当たりの発生を抑えることができるので、駆動損失の低減や耐久性の向上を図ることができる。
ここで、膨出部11aの膨出量及び曲率半径並びに環状溝191bの深さ及び曲率半径は、スラスト軸受TBの径方向外側部分における偏った過大な挟圧力の発生が抑制できるものであって、スラスト軸受TBの駆動損失や耐久性が製品として要求される所定の設計値となる様な大きさに設定することが望ましい。
この様に、この図9の無段変速機1においては、前述した実施例における図3の無段変速機1と同等の効果を得ながらも、組み付け時や組み付け後におけるスラスト軸受TBの夫々のレース191,92の位置決めが可能になる。
図10は、実施例の図5の無段変速機1において、スラスト軸受TBのレース91を上記のレース191に置き換えると共に、レース92をレース192に置き換えたものである。そのレース192は、上記のレース191と同じ様に、出力軸21の環状面21bに対向している環状面192aに同心の環状溝192bを形成したものである。その環状溝192bは、出力軸21における環状の膨出部21bが挿入される上記の凹部としての溝であり、その膨出部21bの曲面に沿い且つ当該膨出部21bの曲面よりも曲率半径の大きい溝壁面からなる。
この無段変速機1においては、膨出部21bにおける環状の最大膨出部分の径方向における位置と環状溝192bにおける環状の最深部の径方向における位置とが略同等の位置となるように、その膨出部21bと環状溝192bの配置を決める。従って、その膨出部21bと環状溝192bにおいては、軸力の反力が発生していないときに、その最大膨出部分と最深部とが線接触することになる。
この無段変速機1においては、夫々の膨出部11a,21bをレース191,192の環状溝191b,192bに挿入することで、夫々のレース191,192の第1回転中心軸R1に対する位置決めが可能になる。従って、この無段変速機1においては、例えばレース191,192の位置ずれに伴う転動部材93への負荷を軽減できるので、スラスト軸受TBの耐久性を向上させることができる。
更に、この無段変速機1では、その膨出部21bの曲率半径よりも環状溝192bの曲率半径を大きくしているので、出力軸21に軸力の反力が作用していなければ、これらの間においても、互いの環状の当接部分よりも径方向外側に隙間が形成される。また、出力軸21の円盤部21bは、軸力の反力が出力軸21に作用している場合、その当接部分を支点にして当該当接部分よりも径方向外側部分が撓む(傾く)ので、その撓み量(傾き量)が従来よりも低減する。従って、スラスト軸受TBにおいては、軸力の反力で円盤部21bが撓んだ(傾いた)ときに、その隙間や円盤部21bの撓み量(傾き量)の低減によって、出力軸21の環状面21bがレース192の径方向外側部分に接触する可能性が減る。これが為、スラスト軸受TBにおいては、円盤部21bが撓んだ(傾いた)としても、環状面21bからレース192の径方向外側部分に対して当接部分よりも大きな押圧力が加わらない。また、環状面21bがレース192の径方向外側部分に接触したとしても、その接触した部分には、当接部分よりも大きな押圧力が加わらない。故に、このスラスト軸受TBにおいては、径方向外側部分における偏った過大な挟圧力の発生が抑制され、夫々のレース191,192と転動部材93との間における片当たりの発生を抑えることができるので、駆動損失の低減や耐久性の向上を図ることができる。
ここで、各膨出部11a,21bの膨出量及び曲率半径並びに各環状溝191b,192bの深さ及び曲率半径は、スラスト軸受TBの径方向外側部分における偏った過大な挟圧力の発生が抑制できるものであって、スラスト軸受TBの駆動損失や耐久性が製品として要求される所定の設計値となる様な大きさに設定することが望ましい。
更に、この構造では、図10に示す様に、入力軸11の膨出部11aと出力軸21の膨出部21bの夫々の環状溝191b,192bへの当接部分を径方向において同等の位置に設けることが望ましい。これに依れば、夫々の膨出部11a,21bがスラスト軸受TBを径方向において略同じ位置で押圧することができるので、スラスト軸受TBにおいては、夫々のレース191,192と転動部材93との間における片当たりの発生を更に抑えることができ、駆動損失の更なる低減や耐久性の更なる向上を図ることができる。
この様に、この図10の無段変速機1においては、前述した図5の実施例と同等の効果を得ながらも、組み付け時や組み付け後におけるスラスト軸受TBの夫々のレース191,192の位置決めが可能になる。
[変形例2]
本変形例は、前述した実施例や変形例1における入力軸11や出力軸21の膨出部をスラスト軸受TB側に設けたものである。
図11は、例えば変形例1の図9の無段変速機1において、スラスト軸受TBのレース191と入力軸11をレース291と入力軸211に置き換えたものである。
入力軸211は、入力軸11において円盤部11aを円盤部211aに置き換えたものである。その円盤部211aは、その主体部分が円盤部11aに類似する形状のものであり、この円盤部11aと同じ位置に配置される。
レース291は、円盤部211aの環状面211aと軸線方向で対向する環状面291aを有するものであり、その環状面291aに円盤部211aに向けて軸線方向へと膨出させた同心で且つ環状の膨出部291bを設けている。この例示では、その環状面291aの全体を膨出させており、この環状面291aにおける第1回転中心軸R1に沿って径方向に切った断面が膨出部291bの弧状の稜線を成している。尚、円盤部211aの環状面211aは、軸力発生部71,72の軸力が発生していないときに軸線方向に対して略直交している平面である。
その環状面211aには、レース291の膨出部291bと軸線方向で対向している位置に同心の環状溝211aが形成されている。その環状溝211aは、レース291の環状の膨出部291bが挿入される上記の凹部としての溝であり、その膨出部291bの曲面に沿い且つ当該膨出部291bの曲面よりも曲率半径の大きい溝壁面からなる。その曲率半径は、第1回転中心軸R1に沿って径方向に切った断面において計測されたものである。
この無段変速機1においては、膨出部291bにおける環状の最大膨出部分の径方向における位置と環状溝211aにおける環状の最深部の径方向における位置とが略同等の位置となるように、その膨出部291bと環状溝211aの配置を決める。従って、その膨出部291bと環状溝211aにおいては、軸力の反力が発生していないときに、その最大膨出部分と最深部とが線接触することになる。
この無段変速機1においては、レース291の膨出部291bを入力軸211の環状溝211aに挿入することで、このレース291の中心軸を第1回転中心軸R1に合わせることができるので、このレース291の第1回転中心軸R1に対する位置決めが可能になる。これが為、この無段変速機1は、スラスト軸受TBの組み付け時や組み付け後における夫々のレース291,92の位置決めを容易に行うことができ、例えばレース291,92の位置ずれに伴う転動部材93への負荷の軽減が可能になるので、スラスト軸受TBの耐久性を向上させることができる。
更に、この無段変速機1では、その膨出部291bの曲率半径よりも環状溝211aの曲率半径を大きくしているので、入力軸211に軸力の反力が作用していなければ、これらの間において、互いの当接部分よりも径方向外側に隙間が形成される。また、この無段変速機1においても、入力軸211の円盤部211aは、軸力の反力が入力軸211に作用している場合、その当接部分を支点にして当該当接部分よりも径方向外側部分が撓む(傾く)ので、その撓み量(傾き量)が従来よりも低減する。従って、スラスト軸受TBにおいては、軸力の反力で円盤部211aが撓んだ(傾いた)ときに、その隙間や円盤部211aの撓み量(傾き量)の低減によって、入力軸211の環状面211aがレース291の径方向外側部分に接触する可能性が減る。これが為、スラスト軸受TBにおいては、円盤部211aが撓んだ(傾いた)としても、環状面211aや環状溝211aの溝壁面からレース291の径方向外側部分に対して当接部分よりも大きな押圧力が加わらない。また、環状面211aがレース291の径方向外側部分に接触したとしても、その接触した部分には、当接部分よりも大きな押圧力が加わらない。故に、このスラスト軸受TBにおいては、径方向外側部分における偏った過大な挟圧力の発生が抑制され、夫々のレース291,92と転動部材93との間における片当たりの発生を抑えることができるので、駆動損失の低減や耐久性の向上を図ることができる。
ここで、膨出部291bの膨出量及び曲率半径並びに環状溝211aの深さ及び曲率半径は、スラスト軸受TBの径方向外側部分における偏った過大な挟圧力の発生が抑制できるものであって、スラスト軸受TBの駆動損失や耐久性が製品として要求される所定の設計値となる様な大きさに設定することが望ましい。
この様に、この図11の無段変速機1においては、前述した変形例1における図9の無段変速機1と同等の効果を得ることができる。
図12は、その図11の無段変速機1において、スラスト軸受TBのレース92と出力軸21をレース292と出力軸221に置き換えたものである。換言するならば、この図12の無段変速機1は、前述した変形例1における図10の無段変速機1と同じ様に、図11の出力軸21の側にも入力軸211の側と同等の構成を設けたものである。
出力軸221は、出力軸21において円盤部21bを円盤部221bに置き換えたものである。その円盤部221bは、その主体部分が円盤部21bに類似する形状のものであり、この円盤部21bと同じ位置に配置される。
レース292は、円盤部221bの環状面221bと軸線方向で対向する環状面292aを有するものであり、その環状面292aに円盤部221bに向けて軸線方向へと膨出させた同心で且つ環状の膨出部292bを設けている。この例示では、その環状面292aの全体を膨出させており、この環状面292aにおける第1回転中心軸R1に沿って径方向に切った断面が膨出部292bの弧状の稜線を成している。尚、円盤部221bの環状面221bは、軸力発生部71,72の軸力が発生していないときに軸線方向に対して略直交している平面である。
その環状面221bには、レース292の膨出部292bと軸線方向で対向している位置に同心の環状溝221bが形成されている。その環状溝221bは、レース292の環状の膨出部292bが挿入される上記の凹部としての溝であり、その膨出部292bの曲面に沿い且つ当該膨出部292bの曲面よりも曲率半径の大きい溝壁面からなる。
この無段変速機1においては、膨出部292bにおける環状の最大膨出部分の径方向における位置と環状溝221bにおける環状の最深部の径方向における位置とが略同等の位置となるように、その膨出部292bと環状溝221bの配置を決める。従って、その膨出部292bと環状溝221bにおいては、軸力の反力が発生していないときに、その最大膨出部分と最深部とが接することになる。
この無段変速機1においては、レース292の膨出部292bを出力軸221の環状溝221bに挿入することで、このレース292の中心軸を第1回転中心軸R1に合わせることができるので、このレース292の第1回転中心軸R1に対する位置決めが可能になる。これが為、この無段変速機1は、スラスト軸受TBの組み付け時や組み付け後における夫々のレース291,292の位置決めを容易に行うことができ、例えばレース291,292の位置ずれに伴う転動部材93への負荷の軽減が可能になるので、スラスト軸受TBの耐久性を向上させることができる。
更に、この無段変速機1では、その膨出部292bの曲率半径よりも環状溝221bの曲率半径を大きくしているので、出力軸221に軸力の反力が作用していなければ、これらの間において、互いの当接部分よりも径方向外側に隙間が形成される。また、この無段変速機1においても、出力軸221の円盤部221bは、軸力の反力が出力軸221に作用している場合、その当接部分を支点にして当該当接部分よりも径方向外側部分が撓む(傾く)ので、その撓み量(傾き量)が従来よりも低減する。従って、スラスト軸受TBにおいては、軸力の反力で円盤部221bが撓んだ(傾いた)ときに、その隙間や円盤部221bの撓み量(傾き量)の低減によって、出力軸221の環状面221bがレース292の径方向外側部分に接触する可能性が減る。これが為、スラスト軸受TBにおいては、円盤部221bが撓んだ(傾いた)としても、環状面221bや環状溝221bの溝壁面からレース292の径方向外側部分に対して当接部分よりも大きな押圧力が加わらない。また、環状面221bがレース292の径方向外側部分に接触したとしても、その接触した部分には、当接部分よりも大きな押圧力が加わらない。故に、このスラスト軸受TBにおいては、径方向外側部分における偏った過大な挟圧力の発生が抑制され、夫々のレース291,292と転動部材93との間における片当たりの発生を抑えることができるので、駆動損失の低減や耐久性の向上を図ることができる。
ここで、膨出部291b,292bの夫々の膨出量及び曲率半径並びに環状溝211a,221bの夫々の深さ及び曲率半径は、スラスト軸受TBの径方向外側部分における偏った過大な挟圧力の発生が抑制できるものであって、スラスト軸受TBの駆動損失や耐久性が製品として要求される所定の設計値となる様な大きさに設定することが望ましい。
更に、この構造では、図12に示す様に、スラスト軸受TBの膨出部291b,292bの夫々の環状溝211a,221bへの当接部分を径方向において同等の位置に設けることが望ましい。これに依れば、夫々の環状溝211a,221bの最深部がスラスト軸受TBを径方向において略同じ位置で押圧することができるので、スラスト軸受TBにおいては、夫々のレース291,292と転動部材93との間における片当たりの発生を更に抑えることができ、転動部材93の円滑な転動動作に伴う駆動損失の更なる低減や耐久性の更なる向上を図ることができる。
この様に、この図12の無段変速機1においては、前述した変形例1における図10の無段変速機1と同等の効果を得ることができる。
ところで、この変形例では、入力軸211の環状面211aや出力軸221の環状面221bに凹部(環状溝211a,221b)を形成している。但し、レース291,292に不都合が無いのであれば、その凹部は、必ずしも設ける必要が無い。例えば、図11の無段変速機1においては、環状溝211aの無い環状面211aにレース291の膨出部291bが接触するよう構成してもよい。また、図12の無段変速機1においては、環状溝211a,221bの無い環状面211a,221bに、各々レース291の膨出部291bとレース292の膨出部292bとが接触するよう構成してもよい。
1 無段変速機
10 第1回転部材(第1動力伝達要素)
11 入力軸
11a 円盤部
11a 環状面
11a 膨出部
20 第2回転部材(第2動力伝達要素)
21 出力軸
21b 円盤部
21b 環状面
21b 膨出部
30 サンローラ(第3動力伝達要素)
40 キャリア(第4動力伝達要素、固定要素)
50 遊星ボール(転動部材)
51 支持軸
60 シャフト(変速機軸)
71,72 軸力発生部
91,92 レース
91a,92a 環状面
93 転動部材
191,192, レース
191a,192a 環状面
191b,192b 環状溝
211 入力軸
211a 円盤部
211a 環状面
211a 環状溝
221 出力軸
221b 円盤部
221b 環状面
221b 環状溝
291,292 レース
291a,292a 環状面
291b,292b 膨出部
R1 第1回転中心軸
R2 第2回転中心軸
TB スラスト軸受

Claims (4)

  1. 回転中心となる変速機軸と、
    前記変速機軸と同心の第1回転中心軸を有する相互間で周方向に相対回転が可能な第1から第4の動力伝達要素と、
    第2回転中心軸を有し、前記第1回転中心軸を中心にして放射状で且つ前記第3動力伝達要素の外周面上に複数配置されると共に、対向させて配置した前記第1及び第2の動力伝達要素で挟持され且つ前記第4動力伝達要素で傾転自在に保持された転動部材と、
    前記第1動力伝達要素に連結させ、且つ、軸線方向における前記各転動部材から離れる方向に向けて延在させた第1回転軸と、
    前記第2動力伝達要素に連結させ、且つ、前記第1回転軸を径方向外側から覆う第2回転軸と、
    前記第1動力伝達要素と前記第1回転軸との間及び前記第2動力伝達要素と前記第2回転軸との間の内の少なくとも一方に設け、前記第1及び第2の動力伝達要素の内の少なくとも一方を軸線方向の軸力で前記各転動部材に対して押し付ける軸力発生部と、
    前記第1回転軸と前記第2回転軸との間の夫々の環状面同士の成す軸線方向における隙間で、且つ、前記第1回転軸と前記第2回転軸とにおける前記軸力の反力の作用点よりも径方向内側に配置したスラスト軸受と、
    前記各転動部材を傾転させることで入出力間の変速比を変える変速装置と、
    を有し、
    前記第1回転軸における前記環状面と当該環状面に対向する前記スラスト軸受のレースの環状面の内の少なくとも一方に、その内の他方の環状面に向け且つ当該他方の環状面に当接させた膨出部を設けることを特徴とした無段変速機。
  2. 前記第2回転軸の前記環状面に対向している前記スラスト軸受の他方のレースは、前記第2回転軸における前記環状面を有する嵌合溝に嵌め込むことを特徴とした請求項1記載の無段変速機。
  3. 前記第2回転軸における前記環状面と当該環状面に対向する前記スラスト軸受の他方のレースの環状面の内の少なくとも一方に、その内の他方の環状面に向け且つ当該他方の環状面に当接させた膨出部を設けることを特徴とした請求項1記載の無段変速機。
  4. 前記膨出部に対向している前記環状面には、前記膨出部が挿入されて当接し、且つ、前記軸力が発生していないときに前記膨出部との当接部分よりも径方向外側にて当該膨出部との間で隙間ができる凹部を設けることを特徴とした請求項1,2又は3に記載の無段変速機。
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