JP2014084520A - 転炉における溶銑の精錬方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 バーナー機能を有する上吹きランスを用い、粉状精錬剤をバーナー火炎で加熱しながら溶鉄に吹き付け、脱燐処理や脱炭精錬などの酸化精錬を溶銑に施す際に、火炎を安定的に形成させ、鉄スクラップなどの冷鉄源の配合比率を高める。
【解決手段】 粉状精錬剤供給流路、燃料ガス供給流路、燃料ガスの燃焼用酸化性ガス供給流路、精錬用酸化性ガス供給流路を有する上吹きランス3を用い、上吹きランスの先端に溶銑26の浴面に向けて火炎を形成させながら、粉状精錬剤供給流路から粉状精錬剤29を不活性ガスとともに供給し、且つ、精錬用酸化性ガス供給流路から精錬用酸化性ガスを供給して溶銑26を酸化精錬するにあたり、燃焼用酸化性ガスの供給流量が、燃料ガスを完全燃焼するに必要となる酸化性ガスの供給流量、及び、火炎と精錬用酸化性ガスとの干渉率に対して所定の範囲となるように、燃焼用酸化性ガスの供給流量を制御し、これにより火炎長さを溶銑浴面まで確保する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、バーナー機能を有する上吹きランスを用い、上吹きランスの先端下方に形成されるバーナー火炎で粉状精錬剤を加熱しながら、この粉状精錬剤を上吹きランスを介して不活性ガスとともに転炉内の溶鉄に吹き付け、バーナー火炎で加熱した粉状精錬剤の熱を溶銑に着熱させて脱燐処理や脱炭精錬などの酸化精錬を溶銑に施す方法に関する。
環境保護の観点から、鉄鋼製造工程におけるCO2排出量の抑制が急務となっており、製鋼工程においては、鉄源として鉄スクラップなどの冷鉄源の使用量を増加させて溶銑配合率を低下させるなどの対応策が、検討され実施されている。これは、鉄鋼製品の製造にあたり、高炉での溶銑の製造では、鉄鉱石を還元し且つ溶融するための多大なエネルギーを要すると同時に多量のCO2を排出するのに対し、鉄スクラップなどの冷鉄源は溶解熱のみを必要としており、製鋼工程で冷鉄源を利用した場合には、エネルギー使用量及びCO2発生量を少なくすることができるからである。
但し、高炉−転炉の組み合わせからなる鉄鋼製造工程では、鉄スクラップなどの冷鉄源の溶解用熱源は、溶銑の有する顕熱、溶銑中の炭素及び珪素の燃焼熱が主体であり、本来、多量の冷鉄源を溶解することはできない。しかも、溶銑に対して予備処理として脱燐処理(「予備脱燐処理」ともいう)が実施されるようになり、処理工程の追加に伴う溶銑温度の低下のみならず、溶銑中の炭素及び珪素が脱燐処理で酸化されてその濃度が減少し、冷鉄源の溶解に対して不利になっている。尚、溶銑の脱燐処理とは、転炉における溶銑の脱炭精錬の前に溶銑段階で予め脱燐処理を実施し、溶銑中の燐を或る程度除去する工程である。
そこで、溶銑の脱燐処理や転炉脱炭精錬において、より多くの冷鉄源を溶解するべく、溶銑及び溶鋼の熱的余裕を高めるための多数の方法が提案されている。例えば、特許文献1には、脱燐処理中の生成スラグ中に炭素源を添加するとともに、スラグ中に酸素源を吹き込んで前記炭素源を燃焼させ、この燃焼熱を溶銑に着熱させる方法が提案されている。
特許文献2には、精錬容器内の溶銑に上吹きランスから酸素ガスとともに鉄スクラップ粉、合金鉄粉、生石灰粉などの伝熱媒体を吹き込み、この伝熱媒体を、二次燃焼率を10〜50%に調整した二次燃焼の火炎で加熱し、加熱した伝熱媒体で溶銑を加熱する方法が提案されている。
また、特許文献3には、酸素噴出用主孔と、該主孔から噴出する酸素ガスの供給流路とは独立し、且つ、燃料ガス、酸素ガス及び精錬用フラックスを同時に噴出できるフラックス供給用副孔とを有する上吹きランスを用い、酸素ガス噴流と独立して副孔先端で火炎を形成させながら、該火炎中に精錬用フラックスを通過させて該精錬用フラックスの滓化を促進させる方法が提案されている。
特開平9−20913号公報 特開2001−323312号公報 特開平11−80825号公報
しかしながら、上記従来技術には以下の問題点がある。
即ち、特許文献1では、生成スラグ中に炭素源を添加することで、溶銑温度は上昇するが、炭素源に含有される硫黄の混入を招き、溶銑中の硫黄濃度が高くなる。また、炭素源の燃焼時間を確保するために精錬時間が長くなり、製造コストが上昇するという問題がある。また更に、炭素源を燃焼させることから、CO2ガスの発生量が自ずと増加するという問題もある。
特許文献2では、二次燃焼率を伝熱媒体の供給速度に応じて制御する必要があり、これを実現する手段として、排ガスの分析結果に基づいて二次燃焼率を求めつつ上吹きランスのランス高さ(ランス先端と静止状態の炉内溶銑浴面との距離)を調整する方法が示されている。一般に、ランス高さを大きくすると、上吹きランスからの酸素噴流に同伴される雰囲気ガス(主にCOガス)の量が増加し、二次燃焼率は高くなり、逆に、ランス高さを小さくすると、二次燃焼率は低くなる。つまり、特許文献2のように、二次燃焼率を高くすると、脱炭速度が低下して脱炭精錬時間が長くなるという問題が起こる。
特許文献3では、燃料ガス及び酸素ガスによって上吹きランスの下方に火炎を形成する際に燃料ガス及び燃焼用酸素ガスの流量を一定としており、上吹きランスを用いて転炉で酸化精錬処理を行う際には、酸化精錬の途中で上吹きランスのランス高さを変動させる場合があり、このような場合には、燃料ガス及び燃焼用酸素ガスの流量を一定としていることから、火炎長さとランス高さが大きく異なってしまい、粉状精錬剤に効果的に着熱しない虞がある。また、上吹きランスの下方に溶銑浴面まで届く火炎を形成するためには、精錬用酸素ガスの流量及び上吹きランスの形状に応じて燃焼用酸素ガスの流量を制御する必要があるが、この点について特許文献3は何ら考慮していない。また更に、特許文献3では、1つの流路を、酸素ガスと金属や炭素分を含有する精錬剤(酸化鉄、鉄鉱石、製鉄所発生ダストなど)とが同時に通過しており、酸素ガスと精錬剤の一部とが反応して、流路内で発熱・燃焼する虞があり、設備の安全管理上に問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、バーナー機能を有する上吹きランスを用い、この上吹きランスを介して粉状精錬剤をバーナー火炎で加熱しながら転炉内の溶鉄に吹き付け、脱燐処理や脱炭精錬などの酸化精錬を溶銑に施すにあたり、上吹きランスの形状やランス高さに影響されることなく、且つ、上吹きランスの流路内での発熱・燃焼を危惧することなく、燃焼ガスを効率的に燃焼させて炉内の溶銑浴面に届くバーナー火炎を安定して形成させることができ、それにより、鉄スクラップなどの冷鉄源の配合比率を安定して高めることのできる、転炉における溶銑の精錬方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]転炉の上方に配置された、粉状精錬剤供給流路、燃料ガス供給流路、該燃料ガスの燃焼用酸化性ガス供給流路、精錬用酸化性ガス供給流路を有する上吹きランスを用い、前記燃料ガス供給流路から燃料ガスを供給すると同時に前記燃焼用酸化性ガス供給流路から燃焼用酸化性ガスを供給し、前記上吹きランスの先端下方に前記転炉に収容される溶銑の浴面に向けて火炎を形成させながら、前記粉状精錬剤供給流路から粉状精錬剤を不活性ガスとともに転炉内溶銑浴面に向けて供給し、且つ、前記精錬用酸化性ガス供給流路から精錬用酸化性ガスを転炉内溶銑浴面に向けて供給して転炉内の溶銑を酸化精錬する、転炉における溶銑の精錬方法であって、前記燃焼用酸化性ガスの供給流量が、前記燃料ガスを完全に燃焼するために必要となる燃焼用酸化性ガスの供給流量、及び、前記火炎と前記精錬用酸化性ガスとの干渉率に対して下記の(1)式を満足する範囲となるように、前記燃焼用酸化性ガスの供給流量を制御することを特徴とする、転炉における溶銑の精錬方法。
0.89≦G/Gst+0.81×ri≦1.54 …(1)
但し、(1)式において、G:燃焼用酸化性ガスの供給流量(Nm3/分)、Gst:燃料ガスを完全に燃焼するために必要となる燃焼用酸化性ガスの供給流量(Nm3/分)、ri:火炎と精錬用酸化性ガスとの干渉率であり、riは、下記の(2)式〜(6)式で表される。
i={(φ1-sinφ1)+(R2/R1)2×(φ2-sinφ2)}×n/2π …(2)
1=d1/2+Z×tanθ1 …(3)
2={(R+d2)/2+Z×tan(α+θ2)}/2-{(R-d2)/2+Z×tan(α-θ2)}/2 …(4)
φ1=2cos-1[{R1 2+(R/2+Z×tanα)2-R2 2}/{2×R1×(R/2+Z×tanα)}] …(5)
φ2=2cos-1[{R2 2+(R/2+Z×tanα)2-R1 2}/{2×R2×(R/2+Z×tanα)}] …(6)
ここで、R1:火炎の静止溶銑浴面への衝突面の半径(mm)、R2:それぞれの精錬用酸化性ガスの静止溶銑浴面への衝突面の半径(mm)、φ1:静止溶銑浴面にて火炎と精錬用酸化性ガスとが重なった部分の円の弦に対応する火炎の静止溶銑衝突面での中心角(rad.)、φ2:静止溶銑浴面にて火炎と精錬用酸化性ガスとが重なった部分の円の弦に対応する精錬用酸化性ガスの静止溶銑衝突面での中心角(rad.)、d1:バーナーノズル(燃料ガス噴射孔と燃焼用酸化性ガス噴射孔とのうちで外周側の噴射孔)の噴出開口部での直径(mm)、d2:精錬用酸化性ガス噴射孔の噴出開口部での直径(mm)、R:精錬用酸化性ガス噴射孔のピッチサークルの直径(mm)、α:精錬用酸化性ガス噴射孔の傾角(deg.)、n:精錬用酸化性ガス噴射孔の孔数、θ1:火炎の広がり角度(deg.)、θ2:精錬用酸化性ガスの広がり角度(deg.)、Z:ランス高さ(mm)である。
[2]前記干渉率riが下記の(7)式の範囲内であることを特徴とする、上記[1]に記載の転炉における溶銑の精錬方法。
0≦ri≦1.0 …(7)
[3]前記上吹きランスは、横断面構造において中心側から、粉状精錬剤供給流路、燃料ガス供給流路、該燃料ガスの燃焼用酸化性ガス供給流路、精錬用酸化性ガス供給流路、冷却水の給水及び排水の2つの冷却水流路を構成する6重管構造であることを特徴とする、上記[1]または上記[2]に記載の転炉における溶銑の精錬方法。
本発明によれば、上吹きランス先端下方にバーナー火炎を形成するための燃焼用酸化性ガスの流量を、上記(1)式を満足する範囲となるように制御するので、上吹きランスの形状及びランス高さに拘らず、燃焼ガスを効率的に燃焼させて溶銑浴面に届く長さの火炎を安定して形成することが実現され、これにより、粉状精錬剤への伝熱が最適化されて溶銑の熱的余裕が向上し、転炉における溶銑の酸化精錬で鉄スクラップなどの冷鉄源の配合比率を大幅に増加することが可能となる。また、溶銑への着熱効率が安定して高く維持されるので、加炭用炭材の使用量を削減することができ、CO2排出量の低減という効果も発現する。
本発明を実施する際に用いる転炉設備の1例を示す概略断面図である。 図1に示す上吹きランスの概略拡大縦断面図である。 本発明の操業条件を決める各因子を説明する概略図である。 火炎の静止溶銑浴面への衝突面の半径(R1)と精錬用酸化性ガスの静止溶銑浴面への衝突面の半径(R2)との位置関係、及び、火炎の静止溶銑衝突面での中心角(φ1)、精錬用酸化性ガスの静止溶銑衝突面での中心角(φ2)を示す概略図である。 「G/Gst+0.81×ri」の値と鉄スクラップの配合比率との関係を示す図である。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明は、転炉に収容された溶銑に対して上吹きランスから精錬用酸化性ガスを供給して行う酸化精錬を対象としており、この酸化精錬としては、現在、脱炭精錬の前に予備処理として行う溶銑の脱燐処理、並びに、溶銑の脱炭精錬が行われており、本発明はこれらの何れにも適用することができる。この場合に、溶銑の脱炭精錬では、予め脱燐処理が施された溶銑を使用しても、脱燐処理が施されていない溶銑を使用してもどちらでも構わない。本発明を溶銑の脱燐処理に適用し、この脱燐処理によって精錬された溶銑を転炉で脱炭精錬する際にも本発明を適用することができる。精錬用酸化性ガスとしては、酸素ガス(工業用純酸素)、酸素富化空気、酸素ガスと希ガスとの混合ガスが用いられるが、一般的には、酸素ガスが使用される。
本発明において使用する溶銑は、高炉で製造された溶銑であり、この溶銑を、溶銑鍋、トピードカーなどの溶銑搬送容器で受銑して、脱燐処理及び脱炭精錬を実施する転炉に搬送する。脱燐処理を行う場合には、少ない石灰系媒溶剤の使用量で効率的に脱燐処理するために、脱燐処理前に溶銑中の珪素を予め除去(「溶銑の脱珪処理」という)し、溶銑の珪素含有量を0.20質量%以下、望ましくは0.10質量%以下まで低減させることが好ましい。脱珪処理を実施した場合には、脱珪処理時に生成したスラグを脱燐処理の前までに排滓する。
以下、転炉における溶銑の脱燐処理を例として本発明を説明する。溶銑の脱燐処理は、溶銑鍋またはトピードカーなどの溶銑搬送容器内でも行うことができるが、転炉は、これらの溶銑搬送容器に比べてフリーボードが大きく、溶銑を強攪拌することが可能であり、これにより、冷鉄源の溶解能力が高いのみならず、少ない石灰系媒溶剤の使用量で迅速に脱燐処理を行うことができることから、本発明においては、転炉を使用して脱燐処理を実施する。
図1は、本発明を実施する際に用いる転炉設備の1例を示す概略断面図、図2は、図1に示す上吹きランス3の概略拡大縦断面図である。ここでは1例として6重管のランスを示す。
図1に示すように、本発明において脱燐処理に用いる転炉設備1は、その外殻を鉄皮4で構成され、鉄皮4の内側に耐火物5が施工された炉本体2と、この炉本体2の内部に挿入され、上下方向に移動可能な上吹きランス3とを備えている。炉本体2の上部には、脱燐処理終了後の溶銑26を出湯するための出湯口6が設けられ、また、炉本体2の炉底部には、攪拌用ガス28を吹き込むための複数の底吹き羽口7が設けられている。この底吹き羽口7はガス導入管8と接続されている。
上吹きランス3には、窒素ガス、Arガスなどの不活性ガスからなる搬送用ガスとともに、酸化鉄、石灰系媒溶剤、可燃性物質のうちの1種以上からなる粉状精錬剤29を供給するための粉状精錬剤供給管9と、プロパンガス、液化天然ガス、コークス炉ガスなどのガス燃料を供給するための燃料ガス供給管10と、供給した燃料ガスを燃焼するための酸素ガス、空気などの燃焼用酸化性ガスを供給するための燃焼用酸化性ガス供給管11と、酸素ガスなどの精錬用酸化性ガスを供給するための精錬用酸化性ガス供給管12と、上吹きランス3を冷却するための冷却水を供給・排出するための冷却水給水管及び排水管(図示せず)とが、接続されている。図1では、燃焼用酸化性ガス及び精錬用酸化性ガスを酸素ガスとした例を示している。
尚、燃料ガス供給管10に供給する燃料ガスに代えて、重油、灯油などの炭化水素系の液体燃料を使用することも可能であるが、流路出口のノズルなどで目詰まりを起こす恐れがあるので、本発明では燃料ガス(気体燃料)を使用する。気体燃料を使用すれば、ノズルなどの目詰まりを防止できるだけでなく、供給速度の調整が容易である、或いは着火しやすいので失火を防止できるなどの利点がある。
粉状精錬剤供給管9の他端は、粉状精錬剤29を収容したディスペンサー13に接続され、また、ディスペンサー13は粉状精錬剤搬送用ガス供給管9Aに接続されており、粉状精錬剤搬送用ガス供給管9Aを通ってディスペンサー13に供給された不活性ガスが、ディスペンサー13に収容された粉状精錬剤29の搬送用ガスとして機能し、ディスペンサー13に収容された粉状精錬剤29は粉状精錬剤供給管9を通って上吹きランス3に供給され、上吹きランス3の先端から溶銑26に向けて吹き付けることができるようになっている。
上吹きランス3の1例として図2に示した6重管構造の上吹きランスは、円筒状のランス本体14と、このランス本体14の下端に溶接などにより接続された銅鋳物製のランスチップ15とで構成されており、ランス本体14は、最内管20、仕切り管21、内管22、中管23、外管24、最外管25の同心円形状の6種の鋼管、即ち6重管で構成されている。粉状精錬剤供給管9は最内管20に連通し、燃料ガス供給管10は仕切り管21に連通し、燃焼用酸化性ガス供給管11は内管22に連通し、精錬用酸化性ガス供給管12は中管23に連通し、冷却水給水管及び排水管はそれぞれ外管24または最外管25の何れか一方に連通しており、従って、粉状精錬剤29が搬送用ガスとともに最内管20の内部を通り、プロパンガスなどの燃料ガスが最内管20と仕切り管21との間隙を通り、燃料燃焼用酸化性ガスが仕切り管21と内管22との間隙を通り、精錬用酸化性ガスが内管22と中管23との間隙を通り、中管23と外管24との間隙及び外管24と最外管25との間隙は、冷却水の給水流路または排水流路となっている。中管23と外管24との間隙及び外管24と最外管25との間隙のうちの一方が給水流路で、他方が排水流路であり、どちらを給水流路としても構わない。冷却水は、ランスチップ15の位置で反転するように構成されている。
最内管20の内部は、ランスチップ15のほぼ軸心位置に配置された粉状精錬剤噴射孔16と連通し、最内管20と仕切り管21との間隙は、粉状精錬剤噴射孔16の周囲に円環状のノズルまたは同心円上の複数個のノズル孔として開口する燃料ガス噴射孔17と連通し、仕切り管21と内管22との間隙は、燃料ガス噴射孔17の周囲に円環状のノズルまたは同心円上の複数個のノズル孔として開口する燃焼用酸化性ガス噴射孔18と連通し、そして、内管22と中管23との間隙は、燃焼用酸化性ガス噴射孔18の周辺に複数個設置された精錬用酸化性ガス噴射孔19と連通している。粉状精錬剤噴射孔16は、粉状精錬剤29を搬送用ガスとともに吹き付けるためのノズル、燃料ガス噴射孔17は、燃料ガスを噴射するためのノズル、燃焼用酸化性ガス噴射孔18は、燃料ガスを燃焼する酸化性ガスを噴射するためのノズル、精錬用酸化性ガス噴射孔19は、精錬用酸化性ガスを吹き付けるためのノズルである。
つまり、最内管20の内部が粉状精錬剤供給流路となり、最内管20と仕切り管21との間隙が燃料ガス供給流路となり、仕切り管21と内管22との間隙が燃焼用酸化性ガス供給流路となり、内管22と中管23との間隙が精錬用酸化性ガス供給流路となっている。尚、図2において、粉状精錬剤噴射孔16はストレート形状のノズルで、精錬用酸化性ガス噴射孔19は、その断面が縮小する部分と拡大する部分の2つの円錐体で構成されるラバールノズルの形状を採っているが、粉状精錬剤噴射孔16も、ラバールノズル形状としても構わない。燃料ガス噴射孔17及び燃焼用酸化性ガス噴射孔18は円環のスリット状に開口するストレート型のノズル、または断面が円形のストレート形状のノズルである。ラバールノズルにおいて、縮小する部分と拡大する部分の2つの円錐体の境界である最も断面が狭い位置をスロートと呼んでいる。
この構成の転炉設備1を用い、溶銑26の熱的余裕を増加させて冷鉄源の配合比率を高めることを目的とする本発明に係る脱燐処理を、以下に示すようにして溶銑26に対して実施する。
先ず、炉本体2の内部へ冷鉄源を装入する。使用する冷鉄源としては、製鉄所で発生する鋳片及び鋼板のクロップ屑や市中屑などの鉄スクラップ、磁力選別によってスラグから回収した地金、更には、冷銑、還元鉄などを使用することができる。冷鉄源の配合比率は、装入する全鉄源に対して4.0質量%以上、望ましくは5.0質量%以上とすることが好ましい(冷鉄源の配合比率(質量%)=冷鉄源配合量×100/(溶銑配合量+冷鉄源配合量))。冷鉄源の配合比率が4.0質量%未満では、生産性向上の効果が少ないのみならず、CO2発生量の削減効果が少ないからである。冷鉄源の配合比率の上限は特に決める必要はなく、脱燐処理後の溶銑温度が目標範囲を維持できる上限まで添加することができる。冷鉄源の装入完了に前後して、底吹き羽口7から攪拌用ガス28の吹き込みを開始する。
冷鉄源の炉本体2への装入後、溶銑26を炉本体2へ装入する。用いる溶銑26としてはどのような組成であっても処理することができ、脱燐処理の前に脱硫処理や脱珪処理が施されていてもよい。因みに、脱燐処理前の溶銑26の主な化学成分は、炭素:3.8〜5.0質量%、珪素:0.3質量%以下、燐:0.08〜0.2質量%、硫黄:0.05質量%以下程度である。但し、脱燐処理時に炉本体内で生成されるスラグ27の量が多くなると脱燐効率が低下するので、前述したように、炉内でのスラグ発生量を少なくして脱燐効率を高めるために、予め溶銑26に脱珪処理を行い、溶銑中の珪素濃度を0.20質量%以下、望ましくは0.10質量%以下まで低減しておくことが好ましい。また、溶銑温度は1200〜1400℃の範囲であれば問題なく脱燐処理することができる。
次いで、上吹きランス3の精錬用酸化性ガス噴射孔19から、酸素ガスなどの精錬用酸化性ガスを溶銑26の浴面に向けて吹き付けるとともに、ディスペンサー13に搬送用ガスとして不活性ガスを供給し、酸化鉄、石灰系媒溶剤、可燃性物質のうちの1種以上または2種以上からなる粉状精錬剤29を、上吹きランス3の粉状精錬剤噴射孔16から搬送用ガスとともに溶銑26の浴面に向けて吹き付ける。この粉状精錬剤29の吹き付けに前後して、上吹きランス3の燃料ガス噴射孔17から燃料ガスを噴射させるとともに燃焼用酸化性ガス噴射孔18から酸素ガスなどの燃焼用酸化性ガスを噴射させ、上吹きランス3の下方に火炎を発生させる。
上吹きランス3の先端に火炎を発生させるにあたり、燃焼用酸化性ガス噴射孔18から供給する燃焼用酸化性ガスの供給流量(G)が、燃料ガス噴射孔17から供給される燃料ガスを完全に燃焼するために必要となる燃焼用酸化性ガスの供給流量(Gst)、及び、発生する火炎と精錬用酸化性ガス噴射孔19から供給する精錬用酸化性ガスとの干渉率(ri)に対して下記の(1)式を満足する範囲となるように、燃焼用酸化性ガスの供給流量(G)を、上吹きランス3に供給する燃料ガスの供給流量及び上記干渉率(ri)に応じて調整し、火炎を発生させる。
0.89≦G/Gst+0.81×ri≦1.54 …(1)
但し、(1)式において、Gは、燃焼用酸化性ガスの供給流量(Nm3/分)、Gstは、燃料ガスを完全に燃焼するために必要となる燃焼用酸化性ガスの供給流量(Nm3/分)、riは、火炎と精錬用酸化性ガスとの干渉率である。干渉率(ri)は、上吹きランス3の形状及びランス高さ(ランス先端と静止状態の炉内溶銑浴面との距離)から幾何学的に定まる値であり、下記の(2)式〜(6)式で表される。
i={(φ1-sinφ1)+(R2/R1)2×(φ2-sinφ2)}×n/2π …(2)
1=d1/2+Z×tanθ1 …(3)
2={(R+d2)/2+Z×tan(α+θ2)}/2-{(R-d2)/2+Z×tan(α-θ2)}/2 …(4)
φ1=2cos-1[{R1 2+(R/2+Z×tanα)2-R2 2}/{2×R1×(R/2+Z×tanα)}] …(5)
φ2=2cos-1[{R2 2+(R/2+Z×tanα)2-R1 2}/{2×R2×(R/2+Z×tanα)}] …(6)
ここで、R1は、火炎の静止溶銑浴面への衝突面の半径(mm)、R2は、それぞれの精錬用酸化性ガスの静止溶銑浴面への衝突面の半径(mm)、φ1は、静止溶銑浴面にて火炎と精錬用酸化性ガスとが重なった部分の円の弦に対応する火炎の静止溶銑衝突面での中心角(rad.)、φ2は、静止溶銑浴面にて火炎と精錬用酸化性ガスとが重なった部分の円の弦に対応する精錬用酸化性ガスの静止溶銑衝突面での中心角(rad.)、d1は、バーナーノズル(燃料ガス噴射孔と燃焼用酸化性ガス噴射孔とのうちで外周側の噴射孔)の噴出開口部での直径(mm)、d2は、精錬用酸化性ガス噴射孔の噴出開口部での直径(mm)、Rは、精錬用酸化性ガス噴射孔のピッチサークルの直径(mm)、αは、精錬用酸化性ガス噴射孔の傾角(deg.)、nは、精錬用酸化性ガス噴射孔の孔数、θ1は、火炎の広がり角度(deg.)、θ2は、精錬用酸化性ガスの広がり角度(deg.)、Zは、ランス高さ(mm)である。精錬用酸化性ガス噴射孔19の傾角(α)とは、上吹きランス3の軸心線に対する精錬用酸化性ガス噴射孔19の傾斜角度である。
上記(2)式〜(6)式は、以下の方法で求めることができる。
図3に、精錬用酸化性ガス噴射孔の傾角(α)、バーナーノズルの噴出開口部での直径(d1)、精錬用酸化性ガス噴射孔の噴出開口部での直径(d2)、精錬用酸化性ガス噴射孔のピッチサークルの直径(R)、ランス高さ(Z)、火炎の広がり角度(θ1)、精錬用酸化性ガスの広がり角度(θ2)を示す。これらの数値から、火炎の静止溶銑浴面への衝突面の半径(R1)が上記(3)式として、また、1つの精錬用酸化性ガス噴射孔から噴射される精錬用酸化性ガスの静止溶銑浴面への衝突面の半径(R2)が上記(4)式として、幾何学的に導出される。尚、ここでは、バーナーノズルの噴出開口部での直径(d1)として、燃焼用酸化性ガス噴射孔18の外径を用いているが、燃料ガス噴射孔17が燃焼用酸化性ガス噴射孔18の外側に配置される場合には、燃料ガス噴射孔17の外径をバーナーノズルの噴出開口部での直径(d1)として計算する。尚、図3は、本発明の操業条件を決める各因子を説明する概略図である。
また、図4に、火炎の静止溶銑浴面への衝突面の半径(R1)と、1つの精錬用酸化性ガス噴射孔19から噴射される精錬用酸化性ガスの静止溶銑浴面への衝突面の半径(R2)との位置関係、並びに、火炎と精錬用酸化性ガスとが重なった部分の円(火炎の衝突面の円)の弦に対応する火炎の静止溶銑衝突面での中心角(φ1)と、火炎と精錬用酸化性ガスとが重なった部分の円(精錬用酸化性ガスの衝突面の円)の弦に対応する精錬用酸化性ガスの静止溶銑衝突面での中心角(φ2)との関係を示す。図4からも明らかなように、「R1×sin(φ1/2)=R2×sin(φ2/2)」が成り立ち、また、図4に示す符号Sは、火炎と1つの精錬用酸化性ガスとが重なった面積を示している。
図3及び図4から、火炎の静止溶銑衝突面での中心角(φ1)及び精錬用酸化性ガスの静止溶銑衝突面での中心角(φ2)が、上記(5)式及び上記(6)式として幾何学的に導出される。
干渉率(ri)は、火炎の面積に対する火炎と精錬用酸化性ガスとの重なり面積(S×n)の比率である。ここで面積Sは、下記の(8)式で算出される
S=(φ1/2×R1 22/2×R2 2)-{R1cos(φ1/2)+R2cos(φ2/2)}×R1sin(φ1/2)
=(φ1/2×R1 22/2×R2 2)-R1 2sin(φ1/2)cos(φ1/2)-R2 2sin(φ2/2)cos(φ2/2)
=1/2×{R1 21-sinφ1)+R2 22-sinφ2)} …(8)
従って、干渉率(ri)は下記の(2)式で算出される。
i=重なり面積(n×S)/火炎の面積
=S×n/πR1 2
={(φ1-sinφ1)+(R2/R1)2×(φ2-sinφ2)}×n/2π …(2)
このようにして、(2)式〜(6)式が導出される。
上記の(1)式に示す条件で燃料ガス及び燃焼用酸化性ガスを供給することで、上吹きランス3の形状及びランス高さに拘らず、静止時の溶銑26の浴面近傍までバーナー火炎が形成され、効率的に粉状精錬剤29を加熱することが可能となる。また、燃料ガス噴射孔17から供給される燃料と、燃焼用酸化性ガス噴射孔18から供給される酸化性ガスとは、上吹きランス半径方向の全方位で近接しているので、各々干渉し合い、雰囲気温度が高いこともあって、点火装置がなくても燃焼限界範囲内にガス濃度が達した時点で燃焼し、上吹きランス3の下方に火炎が形成される。
(1)式に示す「G/Gst+0.81×ri」の値が0.89を下回ると、未燃の燃料ガスが残存してしまい、粉状精錬剤29への着熱効率が悪くなり、一方、「G/Gst+0.81×ri」の値が1.54を上回ると、溶銑26の浴面に到達する前に燃料ガスが燃え尽き、加熱された粉状精錬剤29の温度が低下する。つまり、(1)式を外れた範囲では、溶銑26への着熱効率が悪くなる。
ここで、火炎の形成に干渉率(ri)が影響する理由は、精錬用酸化性ガスが火炎と干渉する場合は、精錬用酸化性ガスが燃料ガスの燃焼用として機能することによる。干渉率(ri)は、ランス形状が同一であってもランス高さが大きくなると増加し、また、ランス形状においては、精錬用酸化性ガス噴射孔19の傾角(α)が小さくなったり、孔数(n)が増加したり、火炎の広がり角度(θ1)及び精錬用酸化性ガスの広がり角度(θ2)が大きくなったりすると、干渉率(ri)が増加する。
干渉率(ri)の値が1.0以上となるランス形状及びランス高さでは、火炎温度のピークが上吹きランス3の先端部側に生じ、溶銑湯面近傍では粉状精錬剤29の温度が低下し、溶銑26への着熱効率が低下するので、干渉率(ri)の値は、下記の(7)式の範囲内、つまり、0以上1.0以下の範囲とすることが望ましい。
0≦ri≦1.0 …(7)
粉状精錬剤噴射孔16から搬送用ガスとともに噴射される粉状精錬剤29は、形成される火炎の熱を受けて加熱または加熱・溶融し、加熱または溶融した状態で溶銑26の浴面に吹き付けられる。これにより、溶銑26に粉状精錬剤29の熱が着熱し、溶銑26の温度が上昇して、添加した冷鉄源の溶解が促進される。
溶銑26の脱燐反応は、溶銑中の燐が酸化性ガスまたは酸化鉄と反応して燐酸化物(P25)を形成し、この燐酸化物が石灰系媒溶剤の滓化によって形成されるスラグ27に3CaO・P25の形態で吸収されることで進行する。しかも、石灰系媒溶剤の滓化が促進されるほど脱燐速度が速くなる。従って、粉状精錬剤29としては、生石灰(CaO)、石灰石(CaCO3)、消石灰(Ca(OH)2)などの石灰系媒溶剤を使用することが好ましい。生石灰に蛍石(CaF2)またはアルミナ(Al23)を滓化促進剤として混合したものを石灰系媒溶剤として使用することもできる。また、溶銑26の脱炭吹錬工程で生成する転炉スラグ(CaO−SiO2系スラグ)を石灰系媒溶剤の全部または一部として使用することもできる。
粉状精錬剤29として溶銑浴面に吹き付けられた石灰系媒溶剤は直ちに滓化してスラグ27を形成し、また、供給された精錬用酸化性ガスと溶銑中の燐とが反応して燐酸化物が形成される。攪拌用ガス28によって溶銑26とスラグ27とが強攪拌されることも相まって、形成した燐酸化物が滓化したスラグ27に迅速に吸収されて、溶銑26の脱燐反応が速やかに進行する。石灰系媒溶剤を粉状精錬剤29として使用しない場合には、石灰系媒溶剤を炉上ホッパーから別途上置き投入する。
粉状精錬剤29として、鉄鉱石やミルスケールなどの酸化鉄を使用した場合には、酸化鉄は酸素源として機能し、溶鋼中の燐と反応して脱燐反応が進行する。また、酸化鉄が石灰系媒溶剤と反応して石灰系媒溶剤の表面にFeO−CaOの化合物が形成され、石灰系媒溶剤の滓化が促進され、脱燐反応が促進される。酸化鉄として高炉ダストや転炉ダストなどの可燃性物質を含有するものを使用した場合には、可燃性物質が火炎により燃焼し、上記に加えて可燃性物質の燃焼熱が溶銑26の加熱に寄与する。
また、粉状精錬剤29として、アルミ灰(Alの地金やスクラップを溶解炉で溶かした時に、Alと空気中の酸素とが反応して生成した、金属Alを30〜50質量%含有するAl酸化物)やコークスなどの可燃性物質を使用した場合には、可燃性物質が火炎により燃焼し、燃料ガスの燃焼熱に加えて可燃性物質の燃焼熱が溶銑26の加熱に寄与する。粉状精錬剤29として、石灰系媒溶剤、酸化鉄及び可燃性物質を混合したものを使用する場合には、それぞれの効果を並行して得ることができる。
また、粉状精錬剤29は加熱または加熱・溶融しており、その熱が溶銑26に伝達し、更には、溶銑26の上方に存在する、上吹きランス先端の火炎の燃焼熱が溶銑26に伝達することから、溶銑26が激しく攪拌されることも相まって、溶銑中の冷鉄源の溶解が促進される。即ち、装入した冷鉄源の溶解が脱燐処理の期間中に終了する。
その後、溶銑26の燐濃度が目的とする値かそれ以下になったなら、上吹きランス3から溶銑26への全ての供給を停止して脱燐処理を終了する。脱燐処理後、炉本体2を傾動させて脱燐処理の施された溶銑26を、出湯口6を介して、取鍋、転炉装入鍋などの溶銑保持容器に出湯し、出湯した溶銑26を次工程に搬送する。
以上説明したように、本発明によれば、上吹きランス先端下方にバーナー火炎を形成するための燃焼用酸化性ガス供給流量を調節することで、様々なランス形状、ランス高さに対応した火炎長さに制御することが可能となる。その結果、上吹きランス3を介して炉内に供給される粉状精錬剤29を溶鉄26の浴面に到達するまでの間、連続的に安定して加熱することが実現され、粉状精錬剤29の熱は溶銑26に確実に着熱するので、溶銑26の熱的余裕が向上し、転炉設備1における溶銑26の酸化精錬において、鉄スクラップなどの冷鉄源の配合比率を大幅に増大することが実現される。
尚、転炉における溶銑の脱炭精錬においても、上記に沿って酸化精錬することで、本発明を適用することができる。また、上吹きランス3の1例として、図2に示す6重管構造の上吹きランスによる精錬方法を説明したが、燃料ガスの全量を粉状精錬剤供給流路から吹き込む場合には、仕切り管21のない5重管ランスであっても問題ない。
図1に示す転炉設備と同様の形式である炉容量が2.5トンの上底吹き転炉(「脱燐炉」とも呼ぶ)を用いて、この転炉に鉄スクラップ及び溶銑を装入して脱燐処理を行った(本発明例1〜21、比較例1〜11)。
本発明例1〜21及び比較例1〜11において脱燐炉で使用した上吹きランスは、図2に示す上吹きランスと同様に6重管構造のものであり、その横断面において中心側から、粉状精錬剤供給流路、燃料ガス供給流路、燃料ガス燃焼用酸化性ガス供給流路、精錬用酸化性ガス供給流路、冷却水の給水及び排水の2つの冷却水流路の順に構成されている。冷却水流路以外はランス先端部において鉛直下方或いは鉛直斜め下方に開口したノズルを備えており、粉状精錬剤はランス中心の円形ストレート型の粉状精錬剤噴射孔から、燃料ガスは円環状(リング状)スリット型の燃料ガス噴射孔から、燃料ガス燃焼用の酸素ガスは円環状(リング状)スリット型の燃焼用酸化性ガス噴射孔から、精錬用酸素ガスは同心円上に配置した複数個のラバールノズル型の精錬用酸化性ガス噴射孔から炉内に供給した。
粉状精錬剤噴射孔は内径が11.5mmであり、燃料ガス噴射孔は円環状スリットの隙間が1.0mmであり、燃焼用酸化性ガス噴射孔は円環状スリットの隙間が1.85mmである。また、精錬用酸化性ガス噴射孔はスロート径が9.1mmの3孔ラバールノズルで、ランス中心軸に対する傾角(α)は16°(本発明例1〜7、比較例1〜4)、11°(本発明例8〜14、比較例5〜8)6°(本発明例15〜21、比較例9〜11)である。
本発明例1〜21及び比較例1〜11では、脱燐炉に鉄スクラップを装入した後、温度が1350℃の溶銑を装入し、その後、上吹きランスを、その先端が溶銑の湯面から600mmの位置となるまで下降し(ランス高さ=600mm)、次いで、上吹きランスから生石灰と鉄鉱石との混合物(=粉状精錬剤)、プロパンガス(=燃料ガス)、燃料ガス燃焼用酸素ガス、精錬用酸素ガスを溶銑浴面に向けて吹き付けながら、底吹き羽口から窒素ガスを撹拌用ガスとして溶銑中に吹き込んで脱燐処理した。プロパンガスの供給流量は0.40Nm3/分とし、燃焼用酸素ガスと精錬用酸素ガスとの供給流量は合計で7.0Nm3/分とした。底吹き撹拌用ガス及び搬送用ガスとしては窒素ガスを用い、その流量はそれぞれ0.25Nm3/分、0.70Nm3/分とした。鉄スクラップの装入量は、脱燐処理後の溶銑温度が1400℃となるように調節した。生石灰は、炉内スラグの塩基度(質量%CaO/質量%SiO2)が2.5となるように添加量を調節した。精錬時間は全て8.0分間の一定とした。
表1に、本発明例1〜21及び比較例1〜11で脱燐炉に供した溶銑の組成を示す。
Figure 2014084520
また、表2に、本発明例1〜21及び比較例1〜11における精錬用酸化性ガス噴射孔の傾角(α)、上吹きランスからの粉状精錬剤の吹き込み速度、プロパンガス供給流量、燃焼用酸素ガスの供給流量、精錬用酸素ガスの供給流量、酸素比(G/Gst)、干渉率(ri)、「G/Gst+0.81×ri」、並びに、鉄スクラップの配合量を示す。
Figure 2014084520
また、図5に、本発明例1〜21及び比較例1〜11における「G/Gst+0.81×ri」の値と鉄スクラップの配合比率との関係を示す。
表2及び図5から明らかなように、0.89≦G/Gst+0.81×ri≦1.54となる条件において鉄スクラップの配合比率が4.0質量%以上となり、それ以外の条件と比べて高い鉄スクラップ配合比率を達成することができた。但し、0.89≦G/Gst+0.81×ri≦1.54で、「G/Gst+0.81×ri」が同じ値においては、干渉率riの値が1.0を超える(本発明例15〜21)の場合には、干渉率riの値が0以上1.0以下(本発明例1〜14)の場合に比べて鉄スクラップの配合比率が約0.5質量%低くなっており、干渉率riの値を0以上1.0以下とすることが好ましいことが確認できた。
1 転炉設備
2 炉本体
3 上吹きランス
4 鉄皮
5 耐火物
6 出湯口
7 底吹き羽口
8 ガス導入管
9 粉状精錬剤供給管
10 燃料ガス供給管
11 燃焼用酸化性ガス供給管
12 精錬用酸化性ガス供給管
13 ディスペンサー
14 ランス本体
15 ランスチップ
16 粉状精錬剤噴射孔
17 燃料ガス噴射孔
18 燃焼用酸化性ガス噴射孔
19 精錬用酸化性ガス噴射孔
20 最内管
21 仕切り管
22 内管
23 中管
24 外管
25 最外管
26 溶銑
27 スラグ
28 攪拌用ガス
29 粉状精錬剤

Claims (3)

  1. 転炉の上方に配置された、粉状精錬剤供給流路、燃料ガス供給流路、該燃料ガスの燃焼用酸化性ガス供給流路、精錬用酸化性ガス供給流路を有する上吹きランスを用い、
    前記燃料ガス供給流路から燃料ガスを供給すると同時に前記燃焼用酸化性ガス供給流路から燃焼用酸化性ガスを供給し、前記上吹きランスの先端下方に前記転炉に収容される溶銑の浴面に向けて火炎を形成させながら、
    前記粉状精錬剤供給流路から粉状精錬剤を不活性ガスとともに転炉内溶銑浴面に向けて供給し、且つ、前記精錬用酸化性ガス供給流路から精錬用酸化性ガスを転炉内溶銑浴面に向けて供給して転炉内の溶銑を酸化精錬する、転炉における溶銑の精錬方法であって、
    前記燃焼用酸化性ガスの供給流量が、前記燃料ガスを完全に燃焼するために必要となる燃焼用酸化性ガスの供給流量、及び、前記火炎と前記精錬用酸化性ガスとの干渉率に対して下記の(1)式を満足する範囲となるように、前記燃焼用酸化性ガスの供給流量を制御することを特徴とする、転炉における溶銑の精錬方法。
    0.89≦G/Gst+0.81×ri≦1.54 …(1)
    但し、(1)式において、G:燃焼用酸化性ガスの供給流量(Nm3/分)、Gst:燃料ガスを完全に燃焼するために必要となる燃焼用酸化性ガスの供給流量(Nm3/分)、ri:火炎と精錬用酸化性ガスとの干渉率であり、riは、下記の(2)式〜(6)式で表される。
    i={(φ1-sinφ1)+(R2/R1)2×(φ2-sinφ2)}×n/2π …(2)
    1=d1/2+Z×tanθ1 …(3)
    2={(R+d2)/2+Z×tan(α+θ2)}/2-{(R-d2)/2+Z×tan(α-θ2)}/2 …(4)
    φ1=2cos-1[{R1 2+(R/2+Z×tanα)2-R2 2}/{2×R1×(R/2+Z×tanα)}] …(5)
    φ2=2cos-1[{R2 2+(R/2+Z×tanα)2-R1 2}/{2×R2×(R/2+Z×tanα)}] …(6)
    ここで、R1:火炎の静止溶銑浴面への衝突面の半径(mm)、R2:それぞれの精錬用酸化性ガスの静止溶銑浴面への衝突面の半径(mm)、φ1:静止溶銑浴面にて火炎と精錬用酸化性ガスとが重なった部分の円の弦に対応する火炎の静止溶銑衝突面での中心角(rad.)、φ2:静止溶銑浴面にて火炎と精錬用酸化性ガスとが重なった部分の円の弦に対応する精錬用酸化性ガスの静止溶銑衝突面での中心角(rad.)、d1:バーナーノズル(燃料ガス噴射孔と燃焼用酸化性ガス噴射孔とのうちで外周側の噴射孔)の噴出開口部での直径(mm)、d2:精錬用酸化性ガス噴射孔の噴出開口部での直径(mm)、R:精錬用酸化性ガス噴射孔のピッチサークルの直径(mm)、α:精錬用酸化性ガス噴射孔の傾角(deg.)、n:精錬用酸化性ガス噴射孔の孔数、θ1:火炎の広がり角度(deg.)、θ2:精錬用酸化性ガスの広がり角度(deg.)、Z:ランス高さ(mm)である。
  2. 前記干渉率riが下記の(7)式の範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の転炉における溶銑の精錬方法。
    0≦ri≦1.0 …(7)
  3. 前記上吹きランスは、横断面構造において中心側から、粉状精錬剤供給流路、燃料ガス供給流路、該燃料ガスの燃焼用酸化性ガス供給流路、精錬用酸化性ガス供給流路、冷却水の給水及び排水の2つの冷却水流路を構成する6重管構造であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の転炉における溶銑の精錬方法。
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