JP2014084363A - ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents

ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】転がり抵抗とウエットグリップ性といった、相反する特性のバランスに優れ、また走行安定性にも優れるゴム組成物を提供する。
【解決手段】ジエン系ゴム(A)100重量部に対して、白色充填剤(B)および/またはカーボンブラック(C)を10〜150重量部、およびジエン系ゴムの加硫時に反応可能な二重結合を分子片末端に有する(メタ)アクリル系重合体(D)0.5〜20重量部を含有することを特徴とするゴム組成物により達成できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物、およびそれを用いた空気入りタイヤに関するものである。
従来から、自動車業界においては、自動車の低燃費化の要請があり、転がり抵抗の低いタイヤを提供可能なトレッド用ゴム組成物が求められており、かつ安全面からは湿潤路面でのグリップ性、すなわちウエットグリップ性の高いタイヤを提供可能なトレッド用ゴム組成物が求められている。
これらのタイヤの転がり抵抗およびウエットグリップ性は、トレッドゴムのヒステリシスロス(tanδ)に関連しており、10Hzでは、60℃付近におけるtanδが小さい程、転がり抵抗が低く、0℃付近におけるtanδが大きいほどウエットグリップ性が高いという関係にあるが、両者を両立させることは困難であった(特許文献1)。
このような自動車分野における空気入りタイヤに用いられるトレッド用ゴム組成物として、特許文献2では共役ジエン系重合体ブロックとアクリル系重合体ブロックとからなるブロック共重合体とジエン系ゴム成分とケイ素系無機充填材からなるゴム組成物が開示されているが、これは、ブロック共重合体によって、ケイ素系無機充填材のゴム成分への分散性を改良することを目的としており、転がり抵抗とウエットグリップ性のバランスを改良するものではない。
また、特許文献3には、メタアクリル系重合体ブロック(a)および(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)からなるアクリル系ブロック共重合体(A)と、天然ゴム、ジエン系重合体ゴム、及びオレフィン系重合体ゴムから選ばれる少なくとも1種のゴム成分(B)とを含有する空気入りタイヤ用ゴム組成物が開示されている。しかし、0℃でのtanδ値は10%程度上昇しているが、40℃でのtanδ値はむしろ悪化する傾向にあり、転がり抵抗とウエットグリップ性のバランスに関して、より一層の改良が望まれている。
一方、0℃付近及び30℃付近でのtanδが高く、−20℃付近での動的弾性率(G′)が低く、スタッドレスタイヤのドライ性能、ウェット性能及び氷上性能を向上させることが可能なゴム組成物の提供、かかるゴム組成物をトレッドに用いた、ドライ性能、ウェット性能及び氷上性能に優れたスタッドレスタイヤの提供を目的として、天然ゴム及び/又はポリイソプレンゴムと、ポリブタジエンゴムとを主成分とするゴム成分(A)100質量部に対して、カーボンブラック及び白色充填剤からなる群から選択される少なくとも一種の充填剤(B)20〜70質量部と、ポリスチレン換算重量平均分子量が2×103〜50×103である(メタ)アクリレート系(共)重合体(C)3〜30質量部とを配合してなることを特徴とするゴム組成物、該ゴム組成物をトレッドに用いたことを特徴とするスタッドレスタイヤが提案されている(特許文献4)。しかしながら、このような単なる(メタ)アクリレート系重合体を含有するゴム組成物については、氷上摩擦が特に大きくはならず、耐摩耗性が低くなるという課題がある。また、転がり抵抗に関する記載はなく、実際に、転がり抵抗とウエットグリップ性のバランスは不十分であり、改善の余地があった。また、走行安定性に関するは記述もなく、どのような効果を奏するかについては、何ら示唆されていない。
また、ジエン系ゴムに対して、白色充填剤(A)と水素結合及び/又は加水分解縮合反応が可能な官能基を2個以上有する(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体(B)とを予め混合してから添加することを特徴とするゴム組成物、および該ゴム組成物を用いて得られるトレッド部を有する空気入りタイヤは氷上摩擦が大きく耐摩耗性に優れることが提案されている(特許文献5)。しかしながら、これらの効果を得ようとすると、重合体(B)を大量に添加する必要があり、経済性にも劣るという課題があった。また、転がり抵抗に関する記載はなく、実際に、転がり抵抗とウエットグリップ性のバランスは不十分であり、改善の余地があった。さらに、水素結合及び/又は加水分解縮合反応が可能な官能基を2個以上有する(メタ)アクリレート系重合体及び/又は(メタ)アクリルアミド系重合体(B)と白色充填剤(A)を予め混合すると、重合体中の官能基と白色充填剤の表面が水素結合あるいは化学結合してしまい、組成物の粘度が上昇することにより、混練に多大なエネルギーを必要とするという課題がある。
特許文献6には、重合性の炭素−炭素二重結合を有する基を、少なくとも1つの分子末端に有するビニル系重合体と、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂とを混練してなる混和物を硬化させると、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂の機械物性、耐熱性、耐薬品性、耐候性を改善できることが開示されている。しかしながら、このようなビニル系重合体をタイヤに適用することに関する記載はなく、ジエン系ゴムに対して、反応可能な二重結合を片末端に有する(メタ)アクリル系重合体を添加した場合に、得られる硬化物が、転がり抵抗/ウエットグリップ性のバランスや走行安定性に対してどのような効果を奏するかについては、何ら示唆されていない。
特開2004−196937号公報 特開2003−89729号公報 特開2010−254908号公報 特開2006−274051号公報 特開2012−21149号公報 特開2008−255198号公報
本発明が解決しようとする課題は、転がり抵抗とウエットグリップ性といった、相反する特性のバランスに優れ、さらに走行安定性にも優れたゴム組成物を提供することである。
前記課題を解決するために、鋭意検討を行った結果、ジエン系ゴムの加硫時に反応可能な二重結合を分子片末端に有する(メタ)アクリル系重合体(D)を添加することによって、転がり抵抗とウエットグリップ性という相反する特性のバランスに優れる上に、走行安定性にも優れたゴム組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、ジエン系ゴム(A)100重量部に対して、白色充填剤(B)および/またはカーボンブラック(C)を10〜150重量部、およびジエン系ゴムの加硫時に反応可能な二重結合を分子片末端に有する(メタ)アクリル系重合体(D)0.5〜20重量部を含有することを特徴とするゴム組成物に関する。
好ましい実施態様としては、ジエン系ゴム(A)100重量部に対して、白色充填剤(B)0〜90重量部および/またはカーボンブラック(C)0〜60重量部を含有することを特徴とするゴム組成物に関する。
好ましい実施態様としては、ジエン系ゴム(A)が、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ブタジエンゴムからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とするゴム組成物に関する。
好ましい実施態様としては、白色充填剤(B)が、シリカ、クレー、マイカ、タルク、シラス、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム及び硫酸バリウムからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とするゴム組成物に関する。
好ましい実施態様としては、ジエン系ゴム(A)との加硫時に反応可能な二重結合が、アルケニル基、(メタ)アクリロイル基からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とするゴム組成物に関する。
好ましい実施態様としては、(メタ)アクリル系重合体(D)の数平均分子量が、5,000〜100,000であることを特徴とするゴム組成物に関する。
好ましい実施態様としては、(メタ)アクリル系重合体(D)が、分子鎖中にカルボキシル基、水酸基、エーテル基、アミド基、アミノ基、加水分解性シリル基、エポキシ基、酸無水物基、活性塩素基からなる群より選択される官能基を分子中に少なくとも1個以上有することを特徴とするゴム組成物に関する。
好ましい実施態様としては、ゴム組成物が、タイヤ用であることを特徴とするゴム組成物に関する。
好ましい実施態様としては、上記記載のゴム組成物を用いることを特徴とする空気入りタイヤに関する。
好ましい実施態様としては、上記記載のゴム組成物を用いることを特徴とする空気入りタイヤトレッドに関する。
本発明のゴム組成物は、従来タイヤに用いられてきたゴム成分に、ジエン系ゴムの加硫時に反応可能な二重結合を分子片末端に有する(メタ)アクリル系重合体を配合することにより、転がり抵抗とウエットグリップ性といった、相反する特性のバランスに優れ、また走行安定性にも優れたゴム組成物および空気入りタイヤとして使用できる。
本発明は、ジエン系ゴム(A)100重量部に対して、白色充填剤(B)および/またはカーボンブラック(C)を10〜150重量部、およびジエン系ゴムの加硫時に反応可能な二重結合を分子片末端に有する(メタ)アクリル系重合体(D)0.5〜20重量部を含有することを特徴とするゴム組成物である。
以下、本発明の各成分につき、詳細に説明する。
<ジエン系ゴム(A)>
ジエン系ゴム(A)としては、ジエン化合物を含むモノマーから得られるゴムであれば特に制限されない。例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴムクロロプレンゴムなどが挙げられる。スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)は乳化重合法SBR、溶液重合法SBRのいずれであってもよい。溶液重合法SBRや変性ブタジエンゴムのように、官能基を導入したゴムであってもよい。ジエン系ゴム(A)としては、より好ましくは、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ブタジエンゴム、又はこれらの2種以上のブレンドである。
また、これらのジエン系ゴムに、オレフィン系重合体ゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種を併用してもよい。オレフィン系ゴムとしては、ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴムが例示される。
<白色充填剤(B)>
白色充填剤(B)としては、一般的にゴム組成物に充填材として配合できるものであれば特に制限されない。白色充填剤(B)としては、例えば、シリカ;クレー、タルクのような粘土鉱物やマイカなどのケイ酸塩鉱物;シラス;炭酸カルシウム(例えば、膠質炭酸カルシウム、極微細炭酸カルシウム、軽微性炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム)、炭酸マグネシウム、炭酸カリウムのような炭酸塩類;水酸化アルミニウムのようなアルミナ水和物;硫酸バリウムなどが挙げられる。
なかでも、転がり抵抗とウエットグリップ性のバランスに優れる点から、シリカ、クレーやタルク、マイカ等のケイ酸塩鉱物、シラス、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、及び硫酸バリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましく、その効果がより高いシリカであるのがより好ましい。
シリカは特に限定されず、例えば、湿式シリカ、乾式シリカ、粉砕シリカ等が挙げられる。なかでも、耐摩耗性、機械特性に優れ、経済性にも優れている点で、湿式シリカが好ましい。
白色充填剤(B)はそれぞれ単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明において、白色充填剤(B)の量はジエン系ゴム100重量部に対して0〜90重量部であることが好ましい。白色充填剤(B)の量は、転がり抵抗とウエットグリップ性のバランスに優れるという点で、ジエン系ゴム(A)100重量部に対して、10〜60重量部であるのがより好ましく、30〜60重量部であるのがさらに好ましい。
<カーボンブラック(C)>
カーボンブラック(C)としては、一般的にゴム組成物に充填材として配合できるものであれば特に制限されない。カーボンブラック(C)としては、FEF、SRF、HAF、ISAF、SAFグレードのもの等が挙げられる。カーボンブラック(C)は、機械特性、耐摩耗性をより向上させる点で、HAF、ISAF、SAFグレードのものが好ましい。カーボンブラック(C)はそれぞれ単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明において、カーボンブラック(C)の量はジエン系ゴム100重量部に対して0〜60重量部であることが好ましい。カーボンブラック(C)の量は、耐摩耗性により優れるという点で、ジエン系ゴム(A)100重量部に対して、5〜60重量部であるのがより好ましく、5〜40重量部であるのがさらに好ましい。
白色充填剤(B)とカーボンブラック(C)との合計量は、機械特性に優れ、耐摩耗性により優れるという点で、ジエン系ゴム(A)100重量部に対して10〜150重量部であるが、30〜90重量部であるのが好ましい。
充填剤として白色充填剤(B)およびカーボンブラック(C)をいずれも配合する場合、カーボンブラック(C)の量は、耐摩耗性により優れるという点で、充填剤全量中10〜50重量%であるのが好ましく、転がり抵抗がより向上するという点で10〜30重量%であるのがより好ましい。
<ジエン系ゴムの加硫時に反応可能な二重結合を分子片末端に有する(メタ)アクリル系重合体(D)>
本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴムの加硫時に反応可能な二重結合を分子片末端に有する(メタ)アクリル系重合体(D)を、ジエン系ゴム(A)100重量部に対して、0.5〜20重量部含有する。好ましくは0.5〜10重量部であり、より好ましくは0.5〜5重量部である。添加量が0.5重量部より少ないと転がり抵抗とウエットグリップ性のバランスの改善効果が得られにくくなり、20重量部より多いと経済的に不利であるばかりでなく、ゴム組成物の取り扱いが困難になり、好ましくない。
<<ジエン系ゴムの加硫時に反応可能な二重結合>>
ジエン系ゴムの加硫時に反応可能な二重結合としては、ジエン系ゴムを硫黄加硫、または過酸化物加硫した際に、反応が可能な二重結合官能基であれば特に制限されない。そのような二重結合としては、アルケニル基、アルケノキシ基、アルケノイル基、アルキニル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。
アルケニル基、アルケノキシ基、アルケノイル基としては炭素数2〜22の直鎖状、分枝状及び環状のうちのいずれの基でもよく、例えば、ビニル基、ビニロキシ基、プロペニル基、プロペノキシ基、ブテニル基、ブテノキシ基、ブテノイル基、ペンテニル基、ペンテノキシ基、ペンテノイル基、ペンタジエニル基、ペンタジエノキシ基、ペンタジエノイル基、ヘキセニル基、ヘキセノキシ基、ヘキセノイル基、ヘキサジエニル基、ヘキサジエノキシ基、ヘキサジエノイル基、ヘキサトリエニル基、ヘキサトリエノキシ基、ヘキサトリエノイル基、ヘプテニル基、ヘプテノキシ基、ヘプテノイル基、ヘプタジエニル基、ヘプタジエノキシ基、ヘプタジエノイル基、ヘプタトリエニル基、ヘプタトリエノキシ基、ヘプタトリエノイル基、オクテニル基、オクテノキシ基、オクテノイル基、オクタジエニル基、オクタジエノキシ基、オクタジエノイル基、オクタトリエニル基、オクタトリエノキシ基、オクタトリエノイル基、オクタテトラエニル基、オクタテトラエノキシ基、オクタテトラエノイル基、ノネニル基、ノネンオキシ基、ノネンノイル基、ノナジエニル基、ノナジエノキシ基、ノナジエノイル基、ノナトリエニル基、ノナトリエノキシ基、ノナトリエノイル基、ノナテトラエニル基、ノナテトラエノキシ基、ノナテトラエノイル基、デセニル基、デセノキシ基、デセノイル基、およびこれらのジエン、トリエン、テトラエン、ペンタエン化合物、ウンデセニル基、ウンデセノキシ基、ウンデセノイル基、およびこれらのジエン、トリエン、テトラエン、ペンタエン化合物、ドデセニル基、ドデセノキシ基、ドデセノイル基、およびこれらのジエン、トリエン、テトラエン、ペンタエン、ヘキサエン化合物、トリデセニル基、トリデセノキシ基、トリデセノイル基、およびこれらのジエン、トリエン、テトラエン、ペンタエン、ヘキサエン化合物、テトラデセニル基、テトラデセノキシ基、テトラデセノイル基、およびこれらのジエン、トリエン、テトラエン、ペンタエン、ヘキサエン、ヘプタエン化合物、ペンタデセニル基、ペンタデセノキシ基、ペンタデセノイル基、およびこれらのジエン、トリエン、テトラエン、ペンタエン、ヘキサエン、ヘプタエン化合物、ヘキサデセニル基、ヘキサデセノキシ基、ヘキサデセノイル基、およびこれらのジエン、トリエン、テトラエン、ペンタエン、ヘキサエン、ヘプタエン、オクタエン化合物、ヘプタデセニル基、ヘプタデセノキシ基、ヘプタデセノイル基、およびこれらのジエン、トリエン、テトラエン、ペンタエン、ヘキサエン、ヘプタエン、オクタエン化合物等が挙げられる。また、この他に、オレイル基(−C1835)、リノリル基(−C1833)、リノレニル基(−C1831)、アラキドニル基(−C2035)、エイコサペンタエニル基(C2033)、11−ドコセニル基(−C2243)、13−ドコセニル基(−C2243)、12−ヒドロキシ−9−オクタデセニル基、ドコサヘキサエニル基(−C2233)や、オレイロキシ基、リノールオキシ基、リノレイノキシ基、アラキドオキシ基、エイコサペンタエノキシ基、11−ドコセノキシ基、13−ドコセノキシ基、12−ヒドロキシ−9−オクタデセノキシ基、ドコサヘキサエノキシ基、ウンデセノイル基、ヘキサデセノイル基、オレオイル基、リノレイル基、リノイル基、アラキドノイル基、11−ドコセノイル基、13−ドコセノイル基、12−ヒドロキシ−9−オクタデセノイル基、ドコサヘキサエノイル基、エイコサペンタエノイル基のような天然脂肪酸由来の官能基も挙げられる。
また、ジシクロペンテニル基、ジシクロペンテニルオキシエチル基、2−ビニロキシエチル基、2−(2−ビニロキシエトキシエチル)基、テルペニル基、リモネール基、オルトスチリル基、メタスチリル基、パラスチリル基等の官能基も挙げられる。
またこれらの基の中で、水素原子がフッ素、塩素、臭素、又はヨウ素等のハロゲン原子に置換した有機基や酸素原子、窒素原子を含む有機基が挙げられる。
アルキニル基としては炭素数2〜10の直鎖状、分枝状及び環状のうちのいずれのアルキニル基でもよく、例えば、エチニル基、プロピニル基、1−ブチニル基、1−ペンチニル基、3−メチル−1−ブチニル基、フェニルブチニル基等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基等が挙げられる。
これらのジエン系ゴムの加硫時に反応可能な二重結合としては、転がり抵抗とウエットグリップ性のバランスに優れ、反応性が良好であるという観点から、アルケニル基、または(メタ)アクリロイル基であることが好ましく、中でも、重合体への導入が容易という観点から、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、ウンデセニル基、ウンデセノイル基、オレイル基、オレオイル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基が好ましい。
<<(メタ)アクリル系重合体の主鎖>>
本発明におけるジエン系ゴムの加硫時に反応可能な二重結合を分子片末端に有する(メタ)アクリル系重合体(D)の主鎖を構成する(メタ)アクリル系モノマーとしては特に限定されず、各種のものを用いることができる。
(メタ)アクリレート系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸オレイル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸2−デシルテトラデカニル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸トリル、(メタ)アクリル酸4−tert−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸1−メチルアダマンチル、(メタ)アクリル酸1−エチルアダマンチル、(メタ)アクリル酸3、5−ジヒドロキシ−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸メチルフェノキシエチル、(メタ)アクリル酸m−フェノキシベンジル、(メタ)アクリル酸エチルカルビトール、(メタ)アクリル酸−メトキシトリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸−エトキシジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルジエチレングリコ−ル、(メタ)アクリル酸メトキシ−ジプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸1,4−シクロヘキサンジメタノール、(メタ)アクリル酸グリセリン、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール(日油製ブレンマーPE−90、PE−200、PE−350、PE−350G、AE−90、AE−200、AE−400等)、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール(日油製ブレンマーPP−500、PP−800、PP−1000、AP−150、AP−400、AP−550等)(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(日油製ブレンマー50PEP−300、70PEP−350B等)、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール−ポリテトラメチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール−ポリテトラメチレングリコール)、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール−ポリブチレングリコール、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル−グリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル四級化物(共栄社化学製ライトエステルDQ−100、DQ−75等)、4−(メタ)アクリル酸−2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン、2−(メタ)アクリル酸−1,4−ジオキサスピロ[4,5]デシ−2−イルメチル(大阪有機化学工業製、CHDOL−10)、(メタ)アクリル酸3−エチル−3−オキセタニル(大阪有機化学工業製、OXE−10)、(メタ)アクリル酸γ−ブチロラクトン、(メタ)アクリル酸2−フェニルチオエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−3−(2−プロペニルオキシ)プロピル、無水フタル酸−(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル付加物(大阪有機化学工業製ビスコート#2100)、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸(共栄社化学製ライトエステルHPA−MPL、新中村化学製CB−1等)、1,2−シクロヘキシルジカルボン酸−モノ[1−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ]エチル]エステル(大阪有機化学工業製ビスコート#2150)、(メタ)アクリルロイルオキシ−エチルヘキサヒドロフタレート(共栄社化学製ライトエステルHO−HH、HOA−HH等)、(メタ)アクリルロイルオキシエチルサクシネート(共栄社化学製ライトエステルHO−MS、HOA−MS、新中村化学製SA、A−SA等)、2−(メタ)アクリルロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタル酸(共栄社化学製ライトエステルHO−MPP等)、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−ヒドロキシエチルフタル酸(共栄社化学製HOA−MPE等)、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−リン酸エステル(共栄社化学製ライトエステルP−1M、P−2M等)、(メタ)アクリル酸エトキシ化−o−フェニルフェノール、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール(共栄社化学製ライトエステルMC、130MA、041MA、MTG、MTG−A、130A、新中村化学製M−90G、AM−90G、M−230G、AM130G、日立化成製ファンクリルFA−400M、日油製ブレンマーPME−100、PME−200、PME−400、PME−550、PME−1000、PME−4000、AME−400等)、(メタ)アクリル酸フェノキシポリエチレングリコール(共栄社化学製ライトアクリレートP−200A、新中村化学製AMP−20GY、日油製ブレンマーPAE−50、PAE−100、AAE−50、AAE−300、東亞合成製アロニックスM−101、M−102等)、(メタ)アクリル酸パラクミルフェノキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシポリエチレングリコール(共栄社化学製ライトアクリレートNP−4EA、NP−8EA、日立化成製ファンクリルFA−314A、FA−318A、日油製ブレンマーANE−1300、東亞合成製M−111、M113、M−117等)、(メタ)アクリル酸オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸ラウロキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ステアロキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸フェノキシ−ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシ−ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸アリロキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸ウンデシレノキシ、(メタ)アクリル酸ウンデシレノキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ω−カルボキシ−ポリカプロラクトン(東亞合成製M−5300等)、アクリル酸ダイマー(東亞合成製M−5600、ダイセルサイテック製β−CEA等)、(メタ)アクリル酸N−エチルマレイミド、(メタ)アクリル酸ペンタメチルピペリジニル、(メタ)アクリル酸テトラメチルピペリジニル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリエトキシシラン、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(メタ)アクリル酸2−イソシアネートエチル、(メタ)アクリル酸2−(0−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチル、(メタ)アクリル酸亜鉛、(メタ)アクリル酸カリウム、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸マグネシウム、(メタ)アクリル酸カルシウム、(メタ)アクリル酸バリウム、(メタ)アクリル酸ストロンチウム、(メタ)アクリル酸ニッケル、(メタ)アクリル酸銅、(メタ)アクリル酸アルミニウム、(メタ)アクリル酸リチウム、(メタ)アクリル酸ネオジウム、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロエチルパーフルオロブチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2,2−ジ−パーフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチルパーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等を挙げることができる。
これらは、単独で用いても良いし、複数を共重合させても構わない。ここで、(メタ)アクリルとは、アクリル及び/又はメタクリルを表す。
本発明におけるジエン系ゴムの加硫時に反応可能な二重結合を分子片末端に有する(メタ)アクリル系重合体(D)の主鎖は、ゴム組成物の混合のし易さや硬化物の低温での柔軟性や伸びなどの物性に優れる点から、アクリル酸エステル系モノマーを主として重合して製造されるものであることが好ましい。ここで「主として」とは、(メタ)アクリル系重合体(D)を構成するモノマー単位のうち、50モル%以上がアクリル酸エステル系モノマーであることを意味し、好ましくは70モル%以上である。
特に好ましいアクリル酸エステルモノマーとしては、アクリル酸アルキルエステルモノマーが挙げられ、具体的には、アクリル酸エチル、アクリル酸、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−tert−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリルである。
本発明においては、これらの好ましいモノマーを他のモノマーと共重合、更にはブロック共重合させても構わない。共重合させるモノマーとしては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、スチレンスルホン酸及びその塩等のスチレン系モノマー;パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニルモノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のケイ素含有ビニル系モノマー;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等を挙げることができる。
本発明における(メタ)アクリル系重合体(D)の分子量分布、即ち、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、特に限定されないが、好ましくは1.8未満であり、より好ましくは1.7以下であり、さらに好ましくは1.6以下であり、よりさらに好ましくは1.5以下であり、特に好ましくは1.4以下であり、最も好ましくは1.3以下である。分子量分布が大きすぎると、取り扱いが困難になるだけでなく、得られるゴム組成物および硬化物の温度特性のコントロールが困難になる傾向にある。本発明でのGPC測定は、移動相としてクロロホルムを用い、測定はポリスチレンゲルカラムにて行い、数平均分子量等はポリスチレン換算で求めることができる。
本発明における(メタ)アクリル系重合体(D)の数平均分子量は特に制限はないが、GPCで測定した場合に、500〜1,000,000の範囲が好ましく、1,000〜100,000がより好ましく、5,000〜100,000がさらに好ましい。分子量が低くなりすぎると、(メタ)アクリル系重合体(D)の添加効果が充分に得られず、転がり抵抗とウエットグリップ性のバランスが取れ難くなる。一方、高くなりすぎると、取扱いが困難になる傾向がある。
<<(メタ)アクリル系重合体の合成法>>
本発明で使用する(メタ)アクリル系重合体(D)は、特に限定されず従来既知の重合法により得ることができる。中でも、モノマーの汎用性、末端への二重結合の導入が容易であるという観点からラジカル重合法またはアニオン重合法が好ましい。ラジカル重合の中では、「連鎖移動剤法」と「リビングラジカル重合法」とに分類することができる。連鎖移動剤法としては、特開平9−104718号公報に記載されているように、カルボキシル基を有する連鎖移動剤存在下に(メタ)アクリル系モノマーを重合し、次いでカルボキシル基と反応し得る反応性基としてグリシジル基や水酸基等を有する化合物を反応させることにより、ポリマーの片末端に(メタ)アクリロイル基等のラジカル重合性基を導入させる方法が一般的である。「リビングラジカル重合法」としては、たとえば、特開2005−232419号公報や、特開2006−291073号公報などに記載されているように、有機ハロゲン化物を開始剤とし、遷移金属錯体を重合触媒として用い、(メタ)アクリル系モノマーを重合し、末端ハロゲン官能基を所望の二重結合に変換することができる。
原子移動ラジカル重合について以下に簡単に説明する。
原子移動ラジカル重合では、有機ハロゲン化物、特に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物(例えば、α位にハロゲンを有するカルボニル化合物や、ベンジル位にハロゲンを有する化合物)、あるいはハロゲン化スルホニル化合物等が開始剤として用いられることが好ましい。
原子移動ラジカル重合において用いられる(メタ)アクリル系モノマーとしては特に制約はなく、例示した(メタ)アクリル系モノマーをすべて好適に用いることができる。
重合触媒として用いられる遷移金属錯体としては特に限定されないが、好ましくは周期律表第7族、8族、9族、10族、又は11族元素を中心金属とする金属錯体でありより好ましくは0価の銅、1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄又は2価のニッケルを中心金属とする遷移金属錯体、特に好ましくは銅の錯体が挙げられる。銅の錯体を形成するために使用される1価の銅化合物を具体的に例示するならば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅等である。銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるために2,2′−ビピリジル若しくはその誘導体、1,10−フェナントロリン若しくはその誘導体、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチルトリエチレンテトラアミン若しくはヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン等のポリアミン等が配位子として添加される。
重合反応は、無溶媒でも可能であるが、各種の溶媒中で行うこともできる。溶媒の種類としては特に限定されず、特開2005−232419公報段落[0067]記載の溶剤が挙げられる。これらは、単独でもよく、2種以上を併用してもよい。また、エマルジョン系もしくは超臨界流体CO2を媒体とする系においても重合を行うことができる。
重合温度は、限定はされないが、0〜200℃の範囲で行うことができ、好ましくは、室温〜150℃の範囲である。
<<二重結合の導入法>>
本発明に用いるジエン系ゴムの加硫時に反応可能な二重結合を末端に導入する方法としては、公知の方法を利用することができる。アルケニル基の導入方法としては、例えば、特開2007−302749公報 段落[0085]〜[0098]記載の方法が挙げられる。これらの方法の中でも制御がより容易である点から、(A−b)リビングラジカル重合により(メタ)アクリル系重合体を合成する際に、重合反応の終期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、例えば1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエンなどのような重合性の低いアルケニル基を少なくとも2個有する化合物を反応させる方法が好ましい。
(メタ)アクリロイル基の導入法としては、例えば、特開2004−203932公報段落[0080]〜[0091]記載の方法が挙げられる。これらの方法の中でも制御がより容易である点から、(メタ)アクリル系重合体の末端ハロゲン基を、(メタ)アクリロイル基を有する化合物で置換することにより製造されたものであることが好ましい。
末端ハロゲン基を有する(メタ)アクリル系重合体は、上述した有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーを重合する方法、あるいは、ハロゲン化合物を連鎖移動剤としてビニル系モノマーを重合する方法により製造されるが、好ましくは前者である。
(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては特に限定されないが、下記一般式(1)で表される化合物が使用でき、
+-OC(O)C(R)=CH2(1)
上記式(1)中のRの具体例としては、例えば、−H、−CH3、−CH2CH3、−(CH2nCH3(nは2〜19の整数を表す)、−C65、−CH2OH、−CN、等が挙げられ、好ましくは−H、−CH3である。
上記式(1)中のM+はオキシアニオンの対カチオンであり、M+の種類としてはアルカリ金属イオン、具体的にはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、および4級アンモニウムイオンが挙げられる。4級アンモニウムイオンとしてはテトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラベンジルアンモニウムイオン、トリメチルドデシルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンおよびジメチルピペリジニウムイオン等が挙げられ、反応性および入手のし易さから、好ましくはナトリウムイオン、カリウムイオンである。
一般式(1)のオキシアニオンの使用量は、ハロゲン基に対して、好ましくは1〜5当量、更に好ましくは1.0〜1.2当量である。この反応はほぼ定量的に進行することから、少なすぎるとハロゲン基に対して十分な量の(メタ)アクリロイル基が導入されず、また多すぎた場合には、経済的に好ましくない。
この反応を実施する溶媒としては特に限定はされないが、求核置換反応であるため極性溶媒が好ましく、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、アセトニトリル等が用いられる。
反応を行う温度は限定されないが、一般に0〜150℃で、重合性の末端基を保持するために好ましくは室温〜100℃で行う。
本発明においては、必要に応じて、(メタ)アクリル系重合体(D)が、少なくとも1種の官能基を1分子中に少なくとも1個以上有していてもよい。官能基としては、カルボキシル基、水酸基、エーテル基、アミド基、アミノ基、加水分解性シリル基、エポキシ基、酸無水物基、活性塩素基から選ばれる少なくとも1種の官能基であることが好ましい。官能基を導入することにより、ゴム成分(A)や白色充填剤(B)、カーボンブラック(C)との分散性や結合力、ひいては転がり抵抗やウエットグリップ性が向上したり、得られるゴム組成物とタイヤを構成するゴム部品との接着性などを付与することができる。さらには、官能基を利用して架橋点として利用することができる。
本発明において官能基は、耐熱性やゴム成分(A)との分散性、接着性付与や(メタ)アクリル系重合体(D)への導入の容易さ、コストなどの点から、カルボキシル基、酸無水物基、水酸基、エポキシ基から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
これらの官能基の含有量は、空気入りタイヤ用ゴム組成物として必要とされる、分散性、粘度、動的粘弾性、反応性から適宜選択することができるが、含有量が多くなると(メタ)アクリル系重合体(D)のガラス転移温度が高くなったり、白色充填剤(B)との相互作用が強まることで混練が困難になることがあり、柔軟性やゴム弾性、混練性の観点から、(メタ)アクリル系重合体(D)中に20重量%以下であることが好ましく、10重量%以下が更に好ましい。
官能基のアクリル系重合体への導入方法としては特に限定されず、官能基を有する単量体を共重合させる方法、官能基の前駆体となる官能基を有する単量体を共重合させた後、公知の化学反応にて官能基を生成させる方法などがある。
カルボキシル基を有する単量体としては、たとえば、(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸化合物、マレイン酸、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸化合物およびそのモノエステル化合物などが挙げられる。また、カルボキシル基は、その前駆体となる官能基から変換することができる。カルボキシル基の前駆体となる官能基を有する単量体としては、たとえば、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸トリメチルシリル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸α,α−ジメチルベンジル、(メタ)アクリル酸α−メチルベンジル、無水マレイン酸などが挙げられる。これらの単量体を重合させた後、加水分解や酸分解、熱分解などによりカルボキシル基を生成させることができる。
酸無水物基を有する単量体としては、たとえば、無水マレイン酸などが挙げられる。また、酸無水物基の前駆体となる官能基としては、カルボキシル基が挙げられ、カルボキシル基を導入する方法としては前記の方法を挙げることができる。
ヒドロキシル基を有する単量体としては、たとえば、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ブレンマーPEシリーズ(日本油脂(株))、ブレンマーAEシリーズ(日本油脂(株))、ブレンマーP(日本油脂(株))、ブレンマーPPシリーズ(日本油脂(株))、ブレンマーAPシリーズ(日本油脂(株))、ブレンマーPEPシリーズ(日本油脂(株))、ブレンマーAEPシリーズ(日本油脂(株))、ブレンマーPETシリーズ(日本油脂(株))、ブレンマーAETシリーズ(日本油脂(株))、ブレンマーPPTシリーズ(日本油脂(株))、ブレンマーAPTシリーズ(日本油脂(株))などが挙げられる。
エポキシ基を有する単量体としては、たとえば、(メタ)アクリル酸グリシジル、2,3−エポキシ−2−メチルプロピル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸とエポキシ環を含有する有機基含有アルコールとのエステル、4−ビニル−1−シクロヘキセン1,2エポキシドなどのエポキシ基含有不飽和化合物などを挙げることができる。
<その他の添加剤>
本発明のゴム組成物は、上記の他に、通常、ゴム業界で用いられている、充填剤、可塑剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤等の配合剤をその目的、用途に合わせ、適宜配合することができる。充填剤としては、上述のカーボンブラック、白色充填剤以外に、酸化アルミニウム、有機短繊維、(メタ)アクリル系樹脂微粒子、エポキシ樹脂微粒子、ガラス微粒子、ガラス繊維、フレークグラファイト等が例示される。可塑剤としては、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイルなどの石油系プロセスオイル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、アジピン酸ジブチルなどの二塩基酸ジアルキル、液状ポリブテン、液状ポリイソプレンなどの低分子量液状ポリマー、オレンジオイル等の天然オイルが例示され、なかでも、ゴム成分との相溶性から、液状ポリブテン、液状ポリイソプレン、芳香族系プロセスオイルが好ましい。加硫剤としては、硫黄、フェノール樹脂、金属酸化物、過酸化物等が例示される。これらは、通常、ゴム成分100重量部に対し、約0.5〜10部使用される。加硫促進剤としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール(M)、2,2−ジチオビスベンゾチアゾール(DM)、メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩(MZ)、メルカプトベンゾチアゾールシクロヘキシルアミン塩(M60)、2,4−ジニトロフェニルチオベンゾチアゾール(DBM)、N,N−ジエチルチオカルバモイルチオベンゾチアゾール(64)等のチアゾール系加硫促進剤、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾイルスルフェンアミド(CZ)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(NS)、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾイルスルフェンアミド(NOBS)、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾイルスルフェンアミド(DZ)、モルフォリノジチオベンゾチアゾール(MDB)等のスルフェンアミド系加硫促進剤、ヘキサメチレンテトラミン(H)等のアミン系加硫促進剤、ブチルアルデヒドアニリン(B)、ブチルアルデヒドモノブチルアミン(833)等のアルデヒドアンモニア系加硫促進剤、ジフェニルグアニジン(D)、ジ−o−トリルグアニジン(DT)、o−トリルグアニジン(BG)、ジカテコールホウ酸−ジ−o−トリルグアニジン塩(PR)等のグアニジン系、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TS)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TT)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TET)、テトラブチルチウラムジスルフィド(TBT)、ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド(TRA)、テトラベンジルチウラムジスルフィド等のチウラム系加硫促進剤、が例示される。これらは、通常、ゴム成分100重量部に対し、約0.2〜5部使用される。加硫促進剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のゴム組成物は、さらにシランカップリング剤を配合することができる。
白色充填剤としてシリカを用いる場合、その補強性を更に向上させる観点から、シランカップリング剤を配合時に添加してもよい。
シランカップリング剤としては、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、スチリルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
なかでも、耐摩耗性により優れ、補強性改善効果の観点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、スチリルトリエトキシシランが好ましい。
シランカップリング剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
<ゴム組成物の調整方法>
本発明のゴム組成物の調製方法は従来ゴム業界で行われている方法を採用すれ本発明のゴム組成物の製造方法は、特に限定されず、例えば、上述した各成分を、公知の方法、装置(例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等)を用いて、混練する方法等が挙げられる。
混練条件としては、加硫剤及び加硫促進剤以外の添加剤を配合する場合、混練温度は、通常50〜200℃であり、好ましくは80〜190℃であり、混練時間は、通常30秒〜30分であり、好ましくは1分〜30分である。
加硫剤、加硫促進剤を配合する場合、混練温度は、通常100℃以下であり、好ましくは室温〜80℃である。また、加硫剤、加硫促進剤を配合した組成物は、通常、プレス加硫などの加硫処理を行って用いられる。加硫温度としては、通常120〜200℃、好ましくは140〜180℃である。
<空気入りタイヤ、空気入りタイヤトレッド>
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて各種添加剤を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でタイヤのトレッドの形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧して、本発明の空気入りタイヤを製造できる。
本発明の空気入りタイヤは、乗用車用タイヤ、トラック・バス用タイヤ(重荷重用タイヤ)として好適に用いることができる。
本発明のゴム組成物を空気入りタイヤに用いたとき、そのタイヤの性能は以下の指標で推定される。
ウエットグリップ性は、タイヤの表面近傍の変形に依存していると考えられている。この表面近傍の変形は、非常に高い周波数の振動であることがわかっており、温度周波数換算を用いると、ウエットグリップ性は、10Hzにおいて、−20℃〜0℃のtanδで表される。一方、転がり抵抗は60℃付近で10〜100Hz前後の振動であるので、10Hzにおいて、40℃〜70℃のtanδで表される。したがって、−20℃〜0℃のtanδを大きくし、40℃〜70℃のtanδを小さくすることで、転がり抵抗とウエットグリップを両立できる。
また、走行安定性は40℃〜90℃での弾性率の変化が小さいことで表される。
以下に、本発明の具体的な実施例を比較例と併せて説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。下記実施例および比較例中、「部」および「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。「数平均分子量」および「分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。ただし、GPCカラムとしてポリスチレン架橋ゲルを充填したもの(shodex GPC K−804、K−802.5;昭和電工(株)製)を、GPC溶媒としてクロロホルムを用いた。
また、重合体1分子当たりに導入された官能基数は、1H−NMRによる濃度分析、及びGPCにより求まる数平均分子量を基に算出した。ただしNMRはBruker社製ASX−400を使用し、溶媒として重クロロホルムを用いて23℃にて測定した。
<転がり抵抗>
加硫したゴム硬化物から、長さ40mm×幅5mm×厚さ2mmの試験片を切り出し、動的粘弾性測定装置DVA−200(アイティー計測制御(株)製)を用い、動的歪み0.1%、10Hzの条件で70℃におけるtanδを測定した。
この特性については、基準サンプル(後述の比較例1)を100とする指数で示した。この指数が小さいものほど、転がり抵抗に優れる。
<ウエットグリップ性>
加硫したゴム硬化物から、長さ40mm×幅5mm×厚さ2mmの試験片を切り出し、動的粘弾性測定装置DVA−200(アイティー計測制御(株)製)を用い、動的歪み0.1%、10Hzの条件で0℃におけるtanδを測定した。
この特性については、基準サンプル(後述の比較例1)を100とする指数で示した。この指数が大きいものほど、ウエットグリップ性に優れる。
<転がり抵抗/ウエットグリップ性のバランス>
転がり抵抗、ウエットグリップ性において算出した指数の比(ウエットグリップ性の指数/転がり抵抗の指数)を、基準サンプル(後述の比較例1)を100とする指数で示した。この値が大きいほど、転がり抵抗とウエットグリップ性のバランスがよくなっていることを示しており、100より小さい場合は基準サンプルよりバランスが悪いことが示される。
<走行安定性>
加硫したゴム硬化物から、長さ40mm×幅5mm×厚さ2mmの試験片を切り出し、動的粘弾性測定装置DVA−200(アイティー計測制御(株)製)を用い、動的歪み0.1%、10Hzの条件で50℃および90℃における貯蔵弾性率を測定した。この特性については、50℃および90℃における貯蔵弾性率の比を、基準サンプル(後述の比較例1)を100とする指数で示した。この指数が小さいほど、温度による弾性率の変化が小さいことを示し、速度変化に対する走行性が安定していることが示される。
(合成例1)アクリロイル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル)重合体[P1]の合成例
公知の方法に従い、臭化第一銅を触媒、ペンタメチルジエチレントリアミンを配位子、α−ブロモ酪酸エチルを開始剤、アクリル酸n−ブチルをモノマーとし、(アクリル酸n−ブチル)/(α−ブロモ酪酸エチル)比を80にして重合し、末端臭素基ポリアクリル酸n−ブチルを得た。
この重合体をN,N−ジメチルアセトアミドに溶解させ、アクリル酸カリウムおよび熱安定剤を加え、窒素雰囲気下、70℃で加熱攪拌した。この混合液中のN,N−ジメチルアセトアミドを減圧留去したのち、残渣に酢酸ブチルを加えて、不溶分を濾過により除去した。濾液の酢酸ブチルを減圧留去して、片末端にアクリロイル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル)重合体[P1]を得た。
得られた重合体[P1]の数平均分子量は約12000、分子量分布は1.1であった。重合体1分子当たりに導入された平均のアクリロイル基の数を1H−NMR分析により求めたところ、約0.9個であった。
(合成例2)アクリロイル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル)重合体[P2]の合成例
モノマー/開始剤比を40とする以外は、合成例1と同様にして片末端にアクリロイル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル)重合体[P2]を得た。
得られた重合体[P2]の数平均分子量は約6500、分子量分布は1.2であった。重合体1分子当たりに導入された平均のアクリロイル基の数を1H−NMR分析により求めたところ、約0.9個であった。
(合成例3)アルケニル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル)重合体[P3]の合成例
合成例1で合成した末端臭素基ポリアクリル酸n−ブチルに、溶媒としてアセトニトリルを添加し、1,7−オクタジエンを反応させた。アセトニトリルおよび過剰の1,7−オクタジエンを減圧留去したのち、残渣に酢酸ブチルを加えて、不溶分を濾過により除去した。濾液の酢酸ブチルを減圧留去して、片末端にアルケニル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル)重合体[P3]を得た。
得られた重合体[P3]の数平均分子量は約13000、分子量分布は1.1であった。重合体1分子当たりに導入された平均のアルケニル基の数を1H−NMR分析により求めたところ、約0.9個であった。
(合成例4)アクリロイル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル)/(アクリル酸)共重合体[P4]の合成例
合成例1と同様にして、臭化第一銅を触媒、ペンタメチルジエチレントリアミンを配位子、α−ブロモ酪酸エチルを開始剤、アクリル酸n−ブチル/アクリル酸t−ブチル(重量比で90/10)をモノマーとし、モノマー/(α−ブロモ酪酸エチル)比を80にして重合し、末端臭素基ポリ(アクリル酸n−ブチル)/(アクリル酸t−ブチル)共重合体を得た。
この重合体を、同様にアクリル酸カリウムで処理して、片末端にアクリロイル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル)/(アクリル酸t−ブチル)共重合体を得た。
得られた共重合体に酸触媒としてp−トルエンスルホン酸を加え、110℃で加熱減圧下で反応を行い、ポリ(アクリル酸n−ブチル)/(アクリル酸)共重合体[P4]を得た。共重合体[P4]の数平均分子量は約9900、分子量分布は1.2であった。重合体1分子当たりに導入された平均のアクリロイル基の数を1H−NMR分析により求めたところ、約1.0個であった。
(合成例5)アクリロイル基を有するポリ(アクリル酸メトキシエチル)重合体[P5]の合成例
モノマーとしてアクリル酸メトキシエチルを用いる以外は、合成例1と同様にして片末端にアクリロイル基を有するポリ(アクリル酸メトキシエチル)重合体[P5]を得た。
得られた重合体[P5]の数平均分子量は約11000、分子量分布は1.1であった。重合体1分子当たりに導入された平均のアクリロイル基の数を1H−NMR分析により求めたところ、約0.8個であった。
(比較合成例X1)アクリロイル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル)重合体[PX1]の合成例
臭化第一銅を触媒、ペンタメチルジエチレントリアミンを配位子、ジエチル−2,5−ジブロモアジペートを開始剤、アクリル酸n−ブチルをモノマーとし、(アクリル酸n−ブチル)/(ジエチル−2,5−ジブロモアジペート)比を80にして重合し、末端臭素基ポリアクリル酸n−ブチルを得た。
この重合体をN,N−ジメチルアセトアミドに溶解させ、アクリル酸カリウムを加え、窒素雰囲気下、70℃で加熱攪拌した。この混合液中のN,N−ジメチルアセトアミドを減圧留去したのち、残渣に酢酸ブチルを加えて、不溶分を濾過により除去した。濾液の酢酸ブチルを減圧留去して、両末端にアクリロイル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル)重合体[PX1]を得た。
重合体[PX1]の数平均分子量は12,000、分子量分布は1.2、重合体1分子当たりに導入された平均のアクリロイル基の数を1H−NMR分析により求めたところ約1.8個であった。
(比較合成例X2)シリル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル)重合体[PX2]の合成例
合成例3で合成した、片末端にアルケニル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル)重合体[P3]に、メチルジメトキシシランを添加し、白金触媒として[ビス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)白金錯体]のイソプロパノール溶液を混合し、110℃に加温してヒドロシリル化反応を行った。未反応のメチルジメトキシシランを減圧留去し、片末端にシリル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル)重合体[PX2]を得た。
得られた重合体[PX2]の数平均分子量は約13000、分子量分布は1.1であった。重合体1分子当たりに導入された平均のシリル基の数を1H−NMR分析により求めたところ、約0.9個であった。
(比較合成例X3)シリル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル)重合体[PX3]の合成例
臭化第一銅を触媒、ペンタメチルジエチレントリアミンを配位子、ジエチル−2,5−ジブロモアジペートを開始剤、アクリル酸n−ブチルをモノマーとし、(アクリル酸n−ブチル)/(ジエチル−2,5−ジブロモアジペート)比を160にして重合し、末端臭素基ポリアクリル酸n−ブチルを得た。この末端臭素基ポリアクリル酸n−ブチルに、1,7−オクタジエンを反応させ、両末端にアルケニル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル)重合体を得た。
この両末端にアルケニル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル)重合体に、メチルジメトキシシランをヒドロシリル化反応を用いて反応させ、両末端に加水分解性シリル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル)重合体[PX3]を得た。
得られた重合体[PX3]の数平均分子量は約25000、分子量分布は1.3であった。重合体1分子当たりに導入された平均のシリル基の数を1H−NMR分析により求めたところ、約2.0個であった。
(実施例1)
乳化重合法スチレン−ブタジエンゴム(Nipol1502、日本ゼオン社製)100重量部、合成例1で合成した(メタ)アクリル系重合体[P1]3重量部、白色充填剤としてシリカAQ(東ソー・シリカ社製)50重量部、カーボンブラックとして旭#70(旭カーボン社製)10重量部、軟化剤としてアロマックス3(富士興産社製)30重量部、ステアリン酸(試薬:和光純薬社製)2重量部、亜鉛華(酸化亜鉛、試薬:和光純薬社製)2重量部、酸化防止剤としてノクラック810−NA(大内新興社製)2重量部を80℃に設定したラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて15分間混練したのち、混合物を一旦取り出して冷却した。再び混合物をラボプラストミルに投入し、樹脂温が90℃を超えないようにして、加硫剤として硫黄(試薬:和光純薬社製)2重量部、加硫促進剤としてN−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(試薬:和光純薬社製)1.5重量部およびN,N‘−ジフェニルグアニジン(試薬:和光純薬社製)1.5重量部を加えて、5分間混練しゴム組成物を得た。該ゴム組成物を170℃×30分でプレス成形し、厚さ2mmのシートを作製した。成形性は極めて良好であった。該シートから試験片を切り出し、動的粘弾性を測定して転がり抵抗、ウエットグリップ性、走行安定性を評価した。
(実施例2〜5)
ジエン系ゴムの加硫時に反応可能な二重結合を分子片末端に有する(メタ)アクリル系重合体として、(メタ)アクリル系重合体[P1]の代わりに、表1に示すように(メタ)アクリル系重合体[P2]〜[P5]を表示の部数添加する以外は実施例1と同様にしてゴム組成物からシートを作製し、動的粘弾性を測定した。
(比較例1)
(メタ)アクリル系重合体を一切加えず、それ以外は実施例1と同様にしてゴム組成物からシートを作製し、動的粘弾性を測定した。
(比較例2)
(メタ)アクリル系重合体[P1]の代わりに、両末端にアクリロイル基を有する(メタ)アクリル系重合体[PX1]を3部添加する以外は実施例1と同様にしてゴム組成物からシートを作製し、動的粘弾性を測定した。
(比較例3)
(メタ)アクリル系重合体[P1]の代わりに、片末端に加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体[PX2]を3部添加する以外は実施例1と同様にしてゴム組成物からシートを作製し、動的粘弾性を測定した。
(比較例4)
(メタ)アクリル系重合体[P1]の代わりに、アクリル酸n−ブチルを用いて高温連続重合法で得られた無官能アクリルオリゴマーを3部添加する以外は実施例1と同様にしてゴム組成物からシートを作製し、動的粘弾性を測定した。
(比較例5)
(メタ)アクリル系重合体[P1]の代わりに、信越化学製シランカップリング剤KBE−846を5部添加する以外は実施例1と同様にしてゴム組成物からシートを作製し、動的粘弾性を測定した。
Figure 2014084363
実施例1、2の場合、ジエン系ゴムの加硫時に反応可能な二重結合を分子片末端に有する(メタ)アクリル系重合体の添加により、何も添加しない場合(比較例1)と比較して転がり抵抗性はほぼ同等で、ウエットグリップ性は著しく改善されており、転がり抵抗/ウエットグリップ性のバランスは10%以上改善されている。さらに走行安定性はいずれも20%以上改善されていることから、転がり抵抗とウエットグリップ性といった、相反する特性のバランスに優れ、また走行安定性にも優れるゴム組成物およびタイヤとして有用である。実施例3ではウエットグリップ性がわずかに低くなっているが、転がり抵抗性は改善されており、転がり抵抗/ウエットグリップ性のバランスもかなり改善されている。また、走行安定性も10%以上改善されている。実施例4では、ウエットグリップ性はやや低くなっているが、転がり抵抗性は著しく改善されており、転がり抵抗/ウエットグリップ性のバランス、走行安定性も大幅に改善されている。実施例5では、ウエットグリップ性は低くなっているものの、転がり抵抗性の改善が大きく、転がり抵抗/ウエットグリップ性のバランスはE−SBR単独(比較例1)の場合よりも20%も改善されている。さらに、走行安定性も30%以上改善されている。
一方、比較例2において、両末端にアクリロイル基を有する(メタ)アクリル系重合体を用いたところ、ウエットグリップ性は改善されるものの転がり抵抗は著しく悪化し、転がり抵抗/ウエットグリップ性のバランスを損なっている。また、走行安定性に関しても著しく悪化している。比較例3でも同様に、転がり抵抗/ウエットグリップ性のバランスを損ない、走行安定性に関しても著しく悪化している。比較例4では、高温連続重合法で得られた無官能アクリルオリゴマーを用いた。このアクリルオリゴマーは、末端にはジエン系ゴムの加硫時に反応可能な二重結合を有していない。その結果、走行安定性には優れるものの転がり抵抗は著しく悪化しており、転がり抵抗/ウエットグリップ性のバランスも悪化している。また、比較例5では、タイヤ用途におけるシリカ配合において一般的な添加剤であるシランカップリング剤(ビス−3−トリエトキシシリルプロピルテトラスルフィド)を用いた。この場合、転がり抵抗・ウエットグリップ性については若干改善されるが、走行安定性は著しく悪化する。
(実施例6)
溶液重合法スチレン−ブタジエンゴム(Nipol NS116R、日本ゼオン社製)70重量部、ブタジエンゴム(Nipol BR1220、日本ゼオン社製)30重量部、合成例1で合成した(メタ)アクリル系重合体[P1]3重量部、白色充填剤としてシリカAQ(東ソー・シリカ社製)50重量部、カーボンブラックとして旭#70(旭カーボン社製)10重量部、軟化剤としてアロマックス3(富士興産社製)30重量部、ステアリン酸(試薬:和光純薬社製)2重量部、亜鉛華(酸化亜鉛、試薬:和光純薬社製)2重量部、酸化防止剤としてノクラック810−NA(大内新興社製)2重量部を80℃に設定したラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて15分間混練(一次練り)したのち、混合物を一旦取り出して冷却した。再び混合物をラボプラストミルに投入し、樹脂温が90℃を超えないようにして、加硫剤として硫黄(試薬:和光純薬社製)2重量部、加硫促進剤としてN−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(試薬:和光純薬社製)1.5重量部およびN,N‘−ジフェニルグアニジン(試薬:和光純薬社製)1.5重量部を加えて、5分間混練(二次練り)しゴム組成物を得た。該ゴム組成物を170℃×30分でプレス成形し、厚さ2mmのシートを作製した。成形性は極めて良好であった。該シートから試験片を切り出し、動的粘弾性を測定して転がり抵抗、ウエットグリップ性、走行安定性を評価した。
(実施例7)
ジエン系ゴムの加硫時に反応可能な二重結合を分子片末端に有する(メタ)アクリル系重合体として、(メタ)アクリル系重合体[P1]を1重量部添加する以外は実施例6と同様にしてゴム組成物からシートを作製し、動的粘弾性を測定した。
(実施例8)
ジエン系ゴムの加硫時に反応可能な二重結合を分子片末端に有する(メタ)アクリル系重合体として、(メタ)アクリル系重合体[P1]の代わりに、東亞合成社製の片末端メタクリロイル基のアクリル系重合体マクロモノマーAB−6を3重量部用いる以外は実施例6と同様にしてゴム組成物からシートを作製し、動的粘弾性を測定した。
(比較例6)
(メタ)アクリル系重合体を一切加えず、それ以外は実施例6と同様にしてゴム組成物からシートを作製し、動的粘弾性を測定した。
(比較例7)
(メタ)アクリル系重合体[P1]の代わりに、両末端にアクリロイル基を有する(メタ)アクリル系重合体[PX1]を3部添加する以外は実施例6と同様にしてゴム組成物からシートを作製し、動的粘弾性を測定した。
(比較例8)
(メタ)アクリル系重合体[P1]の代わりに、片末端に加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体[PX2]を3部添加する以外は実施例6と同様にしてゴム組成物からシートを作製し、動的粘弾性を測定した。
(比較例9)
(メタ)アクリル系重合体[P1]の代わりに、両末端に加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体[PX3]を5部添加する以外は実施例6と同様にしてゴム組成物からシートを作製し、動的粘弾性を測定した。
(比較例10)
(メタ)アクリル系重合体[P1]の代わりに、アクリル酸n−ブチルを用いて高温連続重合法で得られた無官能アクリルオリゴマーを3部添加する以外は実施例6と同様にしてゴム組成物からシートを作製し、動的粘弾性を測定した。
(比較例11)
(メタ)アクリル系重合体[P1]の代わりに、MMA(メタクリル酸メチル)−BA(アクリル酸ブチル)−MMA型アクリル系ブロック共重合体(BA/MMA=80/20重量%)を3部添加する以外は実施例1と同様にしてゴム組成物からシートを作製し、動的粘弾性を測定した。
(比較例12)
(メタ)アクリル系重合体[P1]の代わりに、信越化学製シランカップリング剤KBE−846を5部添加する以外は実施例6と同様にしてゴム組成物からシートを作製し、動的粘弾性を測定した。
Figure 2014084363
実施例6の場合、ジエン系ゴムの加硫時に反応可能な二重結合を分子片末端に有する(メタ)アクリル系重合体の添加により、何も添加しない場合(比較例6)よりも転がり抵抗、ウエットグリップ性とも著しく改善されており、転がり抵抗/ウエットグリップ性のバランスで50%以上改善されている。さらに走行安定性についても30%以上改善されていることから、転がり抵抗とウエットグリップ性といった、相反する特性のバランスに優れ、また走行安定性にも優れるゴム組成物およびタイヤとして有用であることが示される。実施例7、8とも、転がり抵抗/ウエットグリップ性のバランスを大きく損なわずに、転がり抵抗もしくはウエットグリップ性が10%程度改善され、同時に走行安定性も大幅に改善されている。
一方、比較例7において、両末端にアクリロイル基を有する(メタ)アクリル系重合体を用いたところ、ウエットグリップ性、転がり抵抗は悪化し、転がり抵抗/ウエットグリップ性のバランスも損ない、さらに、走行安定性に関しても悪化した。片末端に加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体を用いた比較例8では、転がり抵抗の改善は見られず、ウエットグリップ性のみやや改善され、結果として、転がり抵抗/ウエットグリップ性のバランスはやや改善したが、効果は限定的であった。両末端に加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体を用いた比較例9では、転がり抵抗の改善が見られないばかりか、ウエットグリップ性の悪化、それに伴い転がり抵抗/ウエットグリップ性のバランスを著しく損なう結果となった。無官能アクリルオリゴマーを用いた比較例10では、転がり抵抗、ウエットグリップ性とも悪化する結果であった。アクリルブロック共重合体を用いた比較例11では、より顕著に転がり抵抗、ウエットグリップ性とも悪化する結果であった。タイヤ用途におけるシリカ配合において一般的な添加剤であるシランカップリング剤(ビス−3−トリエトキシシリルプロピルテトラスルフィド)を用いた比較例12では、ウエットグリップ性は改善するが、転がり抵抗が悪化することから転がり抵抗/ウエットグリップ性のバランスは何も添加しない比較例6と同等であり改善効果は見られない。
比較例7〜12で用いた添加剤はいずれも走行安定性に関しては10%程度の改善が見込まれるものの、転がり抵抗、ウエットグリップ性および両者のバランスにおいていずれも有効な改善は見られない。
しかしジエン系ゴムの加硫時に反応可能な二重結合を分子片末端に有する(メタ)アクリル系重合体を添加した実施例6〜8では、いずれも走行安定性の改善が見られる上に、転がり抵抗、ウエットグリップ性および両者のバランスのいずれか、もしくは複数において顕著な改善効果が見られる。
(実施例9)
ゴム組成物の一次練り時に、80℃に設定したラボプラストミルで15分間混練した後に、混合物を150℃まで混練温度を上げ10分間混練する以外は実施例6と同様にしてゴム組成物からシートを作製し、動的粘弾性を測定した。
(実施例10)
ジエン系ゴムの加硫時に反応可能な二重結合を分子片末端に有する(メタ)アクリル系重合体として、(メタ)アクリル系重合体[P1]の代わりに、(メタ)アクリル系重合体[P4]を3重量部用い、さらに信越化学製シランカップリング剤KBE−846を5部添加して、ゴム組成物の一次練り時に80℃に設定したラボプラストミルで15分間混練した後に、混合物を150℃まで混練温度を上げ10分間混練する以外は実施例6と同様にしてゴム組成物からシートを作製し、動的粘弾性を測定した。
(比較例13)
ゴム組成物の一次練り時に、80℃に設定したラボプラストミルで15分間混練した後に、混合物を150℃まで混練温度を上げ10分間混練する以外は比較例12と同様にしてゴム組成物からシートを作製し、動的粘弾性を測定した。
Figure 2014084363
実施例9、10では、転がり抵抗/ウエットグリップ性のバランス、走行安定性ともに改善されているが、タイヤ用途におけるシリカ配合において一般的な添加剤であるシランカップリング剤(ビス−3−トリエトキシシリルプロピルテトラスルフィド)のみを用いた比較例13では走行安定性が著しく悪化している。
以上の結果から、ジエン系ゴムの加硫時に反応可能な二重結合を分子片末端に有する(メタ)アクリル系重合体を用いることにより、転がり抵抗および/またはウエットグリップ性の改善、もしくは転がり抵抗/ウエットグリップ性のバランスが改善されるとともに、走行安定性に優れたゴム組成物が提供される。

Claims (10)

  1. ジエン系ゴム(A)100重量部に対して、白色充填剤(B)および/またはカーボンブラック(C)を10〜150重量部、およびジエン系ゴムの加硫時に反応可能な二重結合を分子片末端に有する(メタ)アクリル系重合体(D)0.5〜20重量部を含有することを特徴とするゴム組成物。
  2. ジエン系ゴム(A)100重量部に対して、白色充填剤(B)0〜90重量部および/またはカーボンブラック(C)0〜60重量部を含有することを特徴とする請求項1記載のゴム組成物。
  3. ジエン系ゴム(A)が、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ブタジエンゴムからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載のゴム組成物。
  4. 前記白色充填剤(B)が、シリカ、クレー、マイカ、タルク、シラス、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム及び硫酸バリウムからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のゴム組成物。
  5. 前記ジエン系ゴム(A)の加硫時に反応可能な二重結合が、アルケニル基、(メタ)アクリロイル基からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のゴム組成物。
  6. (メタ)アクリル系重合体(D)の数平均分子量が、5,000〜100,000であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のゴム組成物。
  7. (メタ)アクリル系重合体(D)が、分子鎖中にカルボキシル基、水酸基、エーテル基、アミド基、アミノ基、加水分解性シリル基、エポキシ基、酸無水物基、活性塩素基からなる群より選択される官能基を分子中に少なくとも1個以上有することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のゴム組成物。
  8. ゴム組成物が、タイヤ用であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のゴム組成物。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載のゴム組成物を用いることを特徴とする空気入りタイヤ。
  10. 請求項1から8のいずれかに記載のゴム組成物を用いることを特徴とする空気入りタイヤトレッド。
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