JP2014084289A - フルオレン誘導体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、フルオレン誘導体の製造方法に関する。詳しくは、本発明は、フルオレン骨格の3,6位の少なくとも一方に置換基を有するフルオレン誘導体の製造方法に関する。
フルオレン誘導体は機能材料または工業材料の合成中間体として利用されている。例えばボロン酸(特許文献1)、有機エレクトロルミネッセンス材料(特許文献2)、有機薄膜トランジスタ材料(特許文献3)などの合成中間体として多分野で広く利用されている。その中でも有用な用途の一つとして、オレフィン重合触媒として有用なメタロセン触媒の合成中間体としての用途がある。
メタロセン触媒は遷移金属原子および配位子と呼ばれる有機化合物で構成されており、この配位子の構造を様々に変化させることによって、重合反応で得られるポリマーの物性を幅広くコントロールできる。フルオレン誘導体はメタロセン触媒の配位子として重要な構成要素である。特徴あるポリマーを合成するために、様々なフルオレン骨格を持つメタロセン触媒が数多く合成されている。
例えば、特許文献4には、3−tert−ブチルシクロペンタジエンとフルオレンとを、ジメチルメチレンで架橋した配位子を有する遷移金属錯体を含むオレフィン重合触媒が開示されている。また、非特許文献1には、シクロペンタジエンとフルオレンとを、イソプロピリデンで架橋した配位子を有する遷移金属錯体を含むオレフィン重合触媒が開示されている。
また、配位子のフルオレニル基を、2,7−ジ−tert−ブチルフルオレニル基または3,6−ジ−tert−ブチルフルオレニル基にすることにより、得られるポリマーの立体規則性を向上させる試みが報告されている(例えば、特許文献5、6参照)。
このようにメタロセン触媒における配位子の構造を変化させることで種々のポリマーが合成されている。更なる特徴あるポリマーを合成するために、様々な構造のフルオレン誘導体の合成が待たれている。
フルオレン化合物に置換基を導入する方法の一つとして、ハロゲン原子または硫黄含有基を有するフルオレン化合物とホウ素化合物とを、リン化合物、パラジウム化合物および塩基の存在下で反応させて、フルオレン化合物のハロゲン原子または硫黄含有基を、ホウ素化合物の置換基に変換する反応が用いられている。しかしながら、この反応を、3,6位にハロゲン原子または硫黄含有基を有するフルオレン化合物とオルトトリルボロン酸とを用いて行なった場合には、目的物の収率が低いという問題点があった(例えば、特許文献6参照)。
また、特定のリン化合物を前記反応に用いると反応性が向上し様々な基質と反応することが報告されている(例えば、特許文献7参照)。
さらに、フルオレン2、7位の電子密度の高さゆえに、2、7位は容易にFriedel-Crafts反応やハロゲン化反応などの求電子置換反応を受けるが(例えば、非特許文献2、3参照)、3、6位への置換基導入はほとんど知られていない。
さらに、フルオレン2、7位の電子密度の高さゆえに、2、7位は容易にFriedel-Crafts反応やハロゲン化反応などの求電子置換反応を受けるが(例えば、非特許文献2、3参照)、3、6位への置換基導入はほとんど知られていない。
J.Am.Chem.Soc.1998,110,6255.
Bull.Chem.Soc.Jpn.1986,59,97.
J.Appl.Poly.Sci.2009,114,3464.
J.Org.Chem.2003,68,3991.
Angew.Chem.Int.Ed.2010,49,2909.
J.Am.Chem.Soc.2004,126,6035.
本発明は、従来の方法では製造が困難であった、フルオレン骨格の3,6位の少なくとも一方に置換基を有するフルオレン誘導体を効率的に製造する方法を提供することを課題としている。
本発明のフルオレン誘導体の製造方法は、以下の[1]〜[5]に関する。
[1]フルオレン骨格を有し、フルオレン骨格の2,7位の少なくとも一方に水素原子以外の原子または基を有する化合物を、原料物質あるいは中間体として経る工程を有し、
下記一般式(1)で表されるフルオレン誘導体を製造することを特徴とするフルオレン誘導体の製造方法。
[1]フルオレン骨格を有し、フルオレン骨格の2,7位の少なくとも一方に水素原子以外の原子または基を有する化合物を、原料物質あるいは中間体として経る工程を有し、
下記一般式(1)で表されるフルオレン誘導体を製造することを特徴とするフルオレン誘導体の製造方法。
R1〜R10は水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基または炭素数1〜20の硫黄含有炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよいが、R3およびR6の少なくとも一方は水素原子ではなく、R1〜R10の隣り合う2つの基が結合して環を形成していてもよい。)
[2]下記一般式(2)で表される化合物を中間体として経ることを特徴とする、[1]に記載のフルオレン誘導体の製造方法。
R1、R3〜R6、R8〜R10は水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基または炭素数1〜20の硫黄含有炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R1〜R10の隣り合う2つの基が結合して環を形成していてもよく、
R2およびR7は水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基または炭素数1〜20の硫黄含有炭化水素基あるいはアミノ基であり、同一でも異なっていてもよいが少なくとも一つはアミノ基またはアミノ保護基で保護されたアミノ基であり、
かつ、R1〜R8の少なくとも一つはハロゲン原子または炭素数1〜20の硫黄含有炭化水素基である。)
[3]前記一般式(2)において、R3およびR6の少なくとも一方がハロゲン原子または炭素数1〜20の硫黄含有炭化水素基であることを特徴とする、[2]に記載のフルオレン誘導体の製造方法。
[4]下記一般式(3)で表される化合物を中間体として経ることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれか一項に記載のフルオレン誘導体の製造方法。
R2およびR7は水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基または炭素数1〜20の硫黄含有炭化水素基あるいはアミノ基であり、同一でも異なっていてもよいが少なくとも一つはアミノ基またはアミノ保護基で保護されたアミノ基である。)
[5]得られるフルオレン誘導体が、前記一般式(1)において、R3およびR6の少なくとも一方がアリール基であることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかに記載のフルオレン誘導体の製造方法。
本発明によれば、フルオレン骨格の3,6位に所望の置換基を導入したフルオレン誘導体を、効率よく製造することができる。
フルオレン骨格の3,6位に置換基を導入したフルオレン誘導体は製造が困難であり、製造できた場合にも副生物が多く混入した形態で合成され、分離に多大な労力を要していた。このため、フルオレン骨格の3,6位に所望の置換基を導入したフルオレン誘導体を効率的に製造する方法の出現が求められていた。
本発明者は、このような状況に鑑み鋭意研究した結果、3,6位に置換基を導入したフルオレン誘導体を製造する方法において、2,7位にアミノ基を有するフルオレン誘導体のハロゲン化により3,6位にハロゲン原子を導入し、その後、脱アミノ化を行うことにより3,6位にハロゲン原子が導入された合成中間体を得、これを用いて様々な置換基を導入出来ることを見出し、本発明を完成するに至った。
以下、本発明のフルオレン誘導体の製造方法について具体的に説明する。
本発明のフルオレン誘導体の製造方法では、フルオレン骨格を有し、フルオレン骨格の2,7位の少なくとも一方に水素原子以外の原子または基を有する化合物、すなわち後述する一般式(1)におけるR2およびR7の少なくとも一方が水素原子ではない化合物を、出発物質あるいは中間体として経て、一般式(1)で表されるフルオレン誘導体を製造する。
本発明のフルオレン誘導体の製造方法では、フルオレン骨格を有し、フルオレン骨格の2,7位の少なくとも一方に水素原子以外の原子または基を有する化合物、すなわち後述する一般式(1)におけるR2およびR7の少なくとも一方が水素原子ではない化合物を、出発物質あるいは中間体として経て、一般式(1)で表されるフルオレン誘導体を製造する。
<フルオレン誘導体>
本発明のフルオレン誘導体の製造方法で得られるフルオレン誘導体は、下記一般式(1)で表される化合物である。
本発明のフルオレン誘導体の製造方法で得られるフルオレン誘導体は、下記一般式(1)で表される化合物である。
R1〜R10は水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基(G)、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基(O)、炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基(N)、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基(SI)、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基(H)または炭素数1〜20の硫黄含有炭化水素基(S)であり、それぞれ同一でも異なっていてもよいが、
R3およびR6の少なくとも一方は水素原子ではなく、R1〜R10の隣り合う2つの基が結合して環を形成していてもよい。)
ここで、炭素数1〜20の炭化水素基(G)、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基(O)、炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基(N)、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基(SI)、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基(H)または炭素数1〜20の硫黄含有炭化水素基(S)としては、例えば以下の基が挙げられる。なお、後述する一般式(2)および(3)においても、これらの基については同様の具体例を挙げることができる。
炭素数1〜20の炭化水素基(G)としては、例えば、メチル基、エチル基、1−プロピル基、アリル(allyl)基、1−ブチル基、1−ペンチル基、1−ヘキシル基、1−ヘプチル基、1−オクチル基、1−ノニル基、1−デカニル基、1−エイコサニル、iso−プロピル基、tert−ブチル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,1−ジメチルブチル基、1−メチル−1−プロピルブチル基、1,1−ジプロピルブチル基、1,1−ジメチル−2−メチルプロピル基、1−メチル−1−イソプロピル−2−メチルプロピル基、1,1−ジメチル−2,2−ジメチル−3,3ジメチル−4,4−ジメチルペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、4−シクロヘキシル−tert−ブチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、メシチル基、ベンジル基、α−フェネチル基、ジフェニルメチル基、ナフチルメチル基、クミル基、ネオフィル基、ナフチル基、ビフェニル基、ビナフチル基、フェナントリル基、アントラセニル基、フルオレニル基などを挙げることができる。炭化水素基(G)の炭素数は、1〜10であることが好ましく、1〜6であることがより好ましい。炭化水素基(G)の好ましい具体例としては、メチル基、エチル基、1−プロピル基、アリル(allyl)基、1−ブチル基、1−ペンチル基、1−ヘキシル基などの直鎖状炭化水素基;iso−プロピル基、tert−ブチル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,1−ジメチル−2−メチルプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アリール基などが挙げられる。
炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基(O)としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、1−デシロキシ基、1−イコシロキシ基、フェノキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−フェノキシフェニル基等などを挙げることができる。酸素含有炭化水素基(О)の炭素数は、1〜10であることが好ましく、1〜6であることがより好ましい。酸素含有炭化水素基(О)の好ましい具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、フェノキシ基などが挙げられる。
炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基(N)としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジデシルアミノ基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、ピロリル基、ピリジル基、キノリル基、イミダゾリル基、ジメチルアミノフェニル基、ピペリジニルフェニル基などを挙げることができる。窒素含有炭化水素基(N)の炭素数は、1〜10であることが好ましく、1〜6であることがより好ましい。窒素含有炭化水素基(N)の好ましい具体例としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、ピロリル基、ピリジル基、イミダゾリル基などが挙げられる。
炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基(SI)としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、ヘキシル-ジ-1-ヘプチルシリル基、4−トリメチルシリルフェニル基、トリフェニルシリル基などを挙げることができる。ケイ素含有炭化水素基(SI)の炭素数は、1〜10であることが好ましく、1〜6であることがより好ましい。ケイ素含有炭化水素基(SI)の好ましい具体例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基などが挙げられる。
炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基(H)としては、例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、ペンタフルオロエチル基、1−フルオロフェニル基、1−クロロフェニル基、1−ブロモフェニル基、1−ヨードフェニル基、2−フルオロフェニル基、2−ブロモフェニル基、2−ヨードフェニル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、3−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、フルオロナフチル基、クロロナフチル基、ブロモナフチル基、ヨードナフチル基、ペンタフルオロフェニル基、トリ-パーフルオロフェニル-メチル基などを挙げることができる。ハロゲン含有炭化水素基(H)の炭素数は、1〜10であることが好ましく、1〜6であることがより好ましい。ハロゲン含有炭化水素基(H)の好ましい具体例としては、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、ペンタフルオロエチル基、1−フルオロフェニル基、1−クロロフェニル基、1−ブロモフェニル基、1−ヨードフェニル基、2−フルオロフェニル基、2−ブロモフェニル基、2−ヨードフェニル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、3−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
炭素数1〜20の硫黄含有炭化水素基(S)としては、例えば、メタンスルホナート基、エタンスルホナート基、トリフルオロメタンスルホナート基、2,2,2−トリフルオロエタンスルホナート基、ベンゼンスルホナート基、o−トルエンスルホナート基、m−トルエンスルホナート基、p−トルエンスルホナート基、p−エチルベンゼンスルホナート基、p−tert−ブチルベンゼンスルホナート基を挙げることができる。硫黄含有炭化水素基(S)の炭素数は、1〜10であることが好ましく、1〜6であることがより好ましい。硫黄含有炭化水素基(S)の好ましい具体例としては、メタンスルホナート基、エタンスルホナート基、トリフルオロメタンスルホナート基、2,2,2−トリフルオロエタンスルホナート基、ベンゼンスルホナート基、p−トルエンスルホナート基、p−エチルベンゼンスルホナート基、p−tert−ブチルベンゼンスルホナート基などが挙げられる
上記式(1)において、R3およびR6の少なくとも一方は水素原子ではなく、メチル基、エチル基、1−プロピル基、アリル(allyl)基、1−ペンチル基、1−ヘキシル基、1−ヘプチル基、1−オクチル基、1−ノニル基、1−デカニル基、1−エイコサニル、iso−プロピル基、tert−ブチル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,1−ジメチルブチル基、1−メチル−1−プロピルブチル基、1,1−ジプロピルブチル基、1,1−ジメチル−2−メチルプロピル基、1−メチル−1−イソプロピル−2−メチルプロピル基、1,1−ジメチル−2,2−ジメチル−3,3ジメチル−4,4−ジメチルペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、4−シクロヘキシル−tert−ブチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、メシチル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、α−フェネチル基、ジフェニルメチル基、ナフチルメチル基、クミル基、ネオフィル基、ナフチル基、ビフェニル基、ビナフチル基、フェナントリル基、アントラセニル基、フルオレニル基などの基であることが好ましい。
上記式(1)において、R3およびR6の少なくとも一方は水素原子ではなく、メチル基、エチル基、1−プロピル基、アリル(allyl)基、1−ペンチル基、1−ヘキシル基、1−ヘプチル基、1−オクチル基、1−ノニル基、1−デカニル基、1−エイコサニル、iso−プロピル基、tert−ブチル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,1−ジメチルブチル基、1−メチル−1−プロピルブチル基、1,1−ジプロピルブチル基、1,1−ジメチル−2−メチルプロピル基、1−メチル−1−イソプロピル−2−メチルプロピル基、1,1−ジメチル−2,2−ジメチル−3,3ジメチル−4,4−ジメチルペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、4−シクロヘキシル−tert−ブチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、メシチル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、α−フェネチル基、ジフェニルメチル基、ナフチルメチル基、クミル基、ネオフィル基、ナフチル基、ビフェニル基、ビナフチル基、フェナントリル基、アントラセニル基、フルオレニル基などの基であることが好ましい。
なかでも、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、メシチル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、α−フェネチル基、ジフェニルメチル基、ナフチルメチル基、クミル基、ネオフィル基、ナフチル基、ビフェニル基、ビナフチル基、フェナントリル基、アントラセニル基、フルオレニル基などのアリール基が好ましい。
<フルオレン誘導体の製造方法>
本発明のフルオレン誘導体の製造方法では、フルオレン骨格を有し、フルオレン骨格の2,7位の少なくとも一方に水素原子以外の原子または基を有する化合物(すなわち、フルオレン骨格を有し、前記一般式(1)におけるR2およびR7の少なくとも一方が水素原子ではない化合物)を、原料物質あるいは中間体として経る工程を有する。
本発明のフルオレン誘導体の製造方法では、フルオレン骨格を有し、フルオレン骨格の2,7位の少なくとも一方に水素原子以外の原子または基を有する化合物(すなわち、フルオレン骨格を有し、前記一般式(1)におけるR2およびR7の少なくとも一方が水素原子ではない化合物)を、原料物質あるいは中間体として経る工程を有する。
好ましくは、本発明のフルオレン誘導体の製造方法では、出発物質あるいは中間体として、フルオレン骨格の2,7位の少なくとも一方、好ましくは両方が、アミノ基である化合物(すなわち前記一般式(1)においてR2およびR7の少なくとも一方、好ましくは両方がアミノ基である化合物)を経ることが望ましい。
このような本発明のフルオレン誘導体の製造方法では、具体的には、(工程1:アミノ基の保護)、(工程2:ハロゲン化)、(工程3:ジアゾ化)および(工程4:交差カップリング)の少なくとも一つの工程を経ることが好ましく、(工程1)〜(工程4)をすべて経ることがより好ましい。
(工程1:アミノ基の保護)
工程1では、フルオレン骨格の2,7位の少なくとも一方、好ましくは両方にアミノ基を有する、アミノフルオレン化合物のアミノ基を保護する。アミノ基の保護は、たとえば、Protective groups in organic synthesis, 2nd ed., (John Wiley & Sons Inc., 1991)に記載の方法により、アミノ保護基を導入して行うことができる。なお、フルオレン骨格の2,7位にアミノ基を有するアミノフルオレン化合物は従来公知の方法で調製することができ、市販品を用いることもできる。
工程1では、フルオレン骨格の2,7位の少なくとも一方、好ましくは両方にアミノ基を有する、アミノフルオレン化合物のアミノ基を保護する。アミノ基の保護は、たとえば、Protective groups in organic synthesis, 2nd ed., (John Wiley & Sons Inc., 1991)に記載の方法により、アミノ保護基を導入して行うことができる。なお、フルオレン骨格の2,7位にアミノ基を有するアミノフルオレン化合物は従来公知の方法で調製することができ、市販品を用いることもできる。
(工程2:ハロゲン化)
工程2においては、ハロゲン化剤を用いてハロゲン化を行う。好ましくは、ハロゲン化剤を用いてフルオレン骨格の3,6位のうちの少なくとも一方、具体的には3,6位のうち上述したアミノ保護基導入部に隣接する方の部位、好ましくは3,6位の両方をハロゲン化する。ハロゲン化には、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、N−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド、N−ヨードスクシンイミド、N-クロロフタルイミド、N-ブロモフタルイミド、N-ヨードサッカリン、シアヌル酸クロリド、ジブロモイソシアヌル酸、ジクロラミンT、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン三臭化水素酸塩、トリクロロイソシアヌル酸、2,4,4,6-テトラブロモ-2,5-シクロヘキサジエノン等を用いることができる。好ましくは臭素、ヨウ素を用いてハロゲン化する。
工程2においては、ハロゲン化剤を用いてハロゲン化を行う。好ましくは、ハロゲン化剤を用いてフルオレン骨格の3,6位のうちの少なくとも一方、具体的には3,6位のうち上述したアミノ保護基導入部に隣接する方の部位、好ましくは3,6位の両方をハロゲン化する。ハロゲン化には、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、N−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド、N−ヨードスクシンイミド、N-クロロフタルイミド、N-ブロモフタルイミド、N-ヨードサッカリン、シアヌル酸クロリド、ジブロモイソシアヌル酸、ジクロラミンT、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン三臭化水素酸塩、トリクロロイソシアヌル酸、2,4,4,6-テトラブロモ-2,5-シクロヘキサジエノン等を用いることができる。好ましくは臭素、ヨウ素を用いてハロゲン化する。
次に、酸を作用させ、フルオレン骨格の2,7位のアミノ保護基をアミノ基に変換する。適当な酸としては、無機酸としては塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、燐酸等、有機酸としては酢酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸等が挙げられ、好ましくは塩酸、臭化水素酸を用いる。
このようにして、中間体として、フルオレン骨格の2,7位の少なくとも一方にアミノ基を有し、これに隣接する3,6位がハロゲン化された、フルオレン化合物を得ることができる。本発明のフルオレン誘導体の製造方法では、当該フルオレン化合物が目的物のフルオレン誘導体であってもよいが、当該フルオレン化合物を中間体として用いることが好ましい。
このような工程(2)では、本発明の製造方法において中間体として好適に用いられる、後述する一般式(2)で表されるフルオレン化合物(A)を容易に得ることができる。
また、本発明では、中間体として経るフルオレン化合物が、3,6位の少なくとも一方が、硫黄含有炭化水素基である化合物であることも好ましい。
また、本発明では、中間体として経るフルオレン化合物が、3,6位の少なくとも一方が、硫黄含有炭化水素基である化合物であることも好ましい。
すなわち本発明のフルオレン誘導体の製造方法では、下記一般式(2)で表されるフルオレン化合物(A)を、中間体として経ることが好ましい。
R2およびR7は水酸基、ハロゲン原子(X)、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基または炭素数1〜20の硫黄含有炭化水素基(S)あるいはアミノ基であり、同一でも異なっていてもよいが少なくとも一つはアミノ基またはアミノ保護基で保護されたアミノ基であり、
かつ、R1〜R8の少なくとも一つはハロゲン原子(X)または炭素数1〜20の硫黄含有炭化水素基(S)である。)
式(2)中において、前記ハロゲン原子(X)としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を挙げることができる。中でも、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子が好ましく、特に好ましくは臭素原子またはヨウ素原子である。
炭素数1〜20の炭化水素基(G)、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基(O)、炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基(N)、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基(H)、炭素数1〜20の硫黄含有炭化水素基(S)としては、フルオレン誘導体の項で述べた、前記式(1)中の基と同様の基が好ましく例示される。
アミノ保護基で保護されたアミノ基とは、アミノ基にアミノ保護基を結合させたものを意味する。具体的には、たとえば、上述した工程(1)で得られる基が挙げられる。アミノ保護基としては、Protective groups in organic synthesis, 2nd ed., (John Wiley & Sons Inc., 1991)記載のアミノ保護基が挙げられる。具体的には、ホルミル、アセチル、ベンゾイル、t−ブトキシカルボニル、9−フルオレニルメトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、4−ニトロシンナミルオキシカルボニル、ピペリジノオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、4−トリルメチルスルホニル、4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルホニルなどが挙げられ、好ましくはアセチル、t−ブトキシカルボニルが挙げられる。
フルオレン化合物(A)としては、前記一般式(2)において、R3およびR6の少なくとも一方が、ハロゲン原子または炭素数1〜20の硫黄含有炭化水素基である化合物が好ましく、R3およびR6の少なくとも一方が、ハロゲン原子である化合物がより好ましい。
前記フルオレン化合物(A)は、下記式(3)で表されるフルオレン化合物であることが特に好ましい。
R2およびR7は水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基または炭素数1〜20の硫黄含有炭化水素基あるいはアミノ基であり、同一でも異なっていてもよいが少なくとも一つはアミノ基またはアミノ保護基で保護されたアミノ基である。
アミノ保護基で保護されたアミノ基とは、たとえば、Protective groups in organic synthesis, 2nd ed., (John Wiley & Sons Inc., 1991)記載のアミノ保護基で保護されたアミノ基である。
工程1のアミノ基の保護および工程2のハロゲン化の好適な具体例として、2,7ジアミノフルオレンのアミノ基を保護した後、3、6位をハロゲン化するスキーム例を示す。
(工程3:ジアゾ化)
工程2で得たフルオレン化合物(A)を、適当なジアゾ化剤(亜硝酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硝酸、亜硫酸、亜硝酸エステル、亜硫酸エステル等、好ましくは亜硝酸ナトリウム)を、触媒(銅、鉄、錫、アルミニウム等、好ましくは銅)の存在下に反応させることで、2,7位のアミノ基を水素に置換し、かつ3,6位の少なくとも一つがハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、好ましくは臭素原子、ヨウ素原子)に置換されたフルオレン化合物を得ることができる。
このような工程3のジアゾ化のスキーム例を示す。
工程2で得たフルオレン化合物(A)を、適当なジアゾ化剤(亜硝酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硝酸、亜硫酸、亜硝酸エステル、亜硫酸エステル等、好ましくは亜硝酸ナトリウム)を、触媒(銅、鉄、錫、アルミニウム等、好ましくは銅)の存在下に反応させることで、2,7位のアミノ基を水素に置換し、かつ3,6位の少なくとも一つがハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、好ましくは臭素原子、ヨウ素原子)に置換されたフルオレン化合物を得ることができる。
このような工程3のジアゾ化のスキーム例を示す。
(工程4:交差カップリング)
工程3で得た3,6位の少なくとも一つがハロゲン原子であるフルオレン化合物、あるいは3,6位の少なくとも一つが炭素数1〜20の硫黄含有炭化水素基であるフルオレン化合物を、適当なカップリング試薬を用いた、交差カップリング反応(鈴木−宮浦カップリング、Stilleカップリング、Heckカップリング、Grignard試薬等を用いたカップリング等、好ましくは鈴木−宮浦カップリング反応)により、フルオレン骨格の3,6位の少なくとも一つに任意の置換基を導入したフルオレン誘導体を得る。
工程4の交差カップリングのスキーム例を示す。
工程3で得た3,6位の少なくとも一つがハロゲン原子であるフルオレン化合物、あるいは3,6位の少なくとも一つが炭素数1〜20の硫黄含有炭化水素基であるフルオレン化合物を、適当なカップリング試薬を用いた、交差カップリング反応(鈴木−宮浦カップリング、Stilleカップリング、Heckカップリング、Grignard試薬等を用いたカップリング等、好ましくは鈴木−宮浦カップリング反応)により、フルオレン骨格の3,6位の少なくとも一つに任意の置換基を導入したフルオレン誘導体を得る。
工程4の交差カップリングのスキーム例を示す。
工程4の交差カップリングにおいては、前記フルオレン化合物(A)の置換基のうちのハロゲン原子(X)および/または硫黄含有炭化水素基(S)が、ホウ素化合物(B)の置換基R11に変換されて、本発明の目的物であるフルオレン誘導体が得られる。ホウ素化合物(B)において置換基R11に結合する基として好ましくは、−B(OH)2で表されるボロン酸基、−B(OR12)(OR13)、または−B(OR14O)で例示されるボロン酸エステル基、−BR15BR16で例示されるボラン基が挙げられる。
ここでR12、R13は互いに独立に水素原子または炭素数が1〜6のアルキル基であり、置換されていてもよい。また、R15、R16は、互いに独立に炭素数が1〜6のアルキル基であり、置換されていてもよい。そして、R14は2価の炭化水素ラジカルが最終的に5員環または6員環となったエステル環であり、2価の炭化水素ラジカルは、置換されていてもよい。R14としての適切な官能基には、炭素数が2または3のアルキレン基、オルト−またはメタ−フェニレン基が含まれる。なお、これらのアルキレン基およびフェニレン基は、置換されていてもよい。また、適切なボロン酸エステル基には、例えば、1価の炭素数が1〜6のアルコール、ピナコール等のエタンジオール、プロパンジオールまたは1,2―ジヒドロキシベンゼン等のオルト芳香族ジオールと、対応するボロン酸とのエステル化による生成物が含まれる。
置換基R11と−B(OH)2で表されるボロン酸基が結合したホウ素化合物(B)の例は、R11−B(OH)2で示される。
交差カップリング反応に供されるフルオレン化合物としては、前記一般式(2)において、R2、R3、R6およびR7のうち、任意の2つの置換基がハロゲン原子(X)であり、残りの2つの置換基が炭素数1〜20の炭化水素基(G)、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基(O)、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基(SI)、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基(H)または炭素数1〜20の硫黄含有炭化水素基(S)であることが好ましい。
交差カップリング反応に供されるフルオレン化合物としては、前記一般式(2)において、R2、R3、R6およびR7のうち、任意の2つの置換基がハロゲン原子(X)であり、残りの2つの置換基が炭素数1〜20の炭化水素基(G)、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基(O)、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基(SI)、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基(H)または炭素数1〜20の硫黄含有炭化水素基(S)であることが好ましい。
このようなフルオレン化合物を反応原料あるいは中間体として用いると、得られるフルオレン誘導体の収率が低くなる場合があるが、触媒として (2-ビフェニル)ジシクロヘキシルホスフィン、(2S,3S)-(+)-1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)-2,3-O-イソプロピリデン-2,3-ブタンジオール、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、(S)-(-)-2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフチル、1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、ビス[2-(ジフェニルホスフィノ)フェニル]エーテル、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4-メトキシフェニル)ホスフィン、トリ(p-トリル)ホスフィン、トリ(o-トリル)ホスフィン、トリ(m-トリル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリス(2,6-ジメトキシフェニル)ホスフィン、トリ(2-フリル)ホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、トリ-t-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラートなどのリン化合物(D)および酢酸パラジウム(II)、アリルパラジウム(II)クロリド、ベンジルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド、[1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウム(II)ジクロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジアセタート、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド、[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、ビス(メチルジフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、[1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン](3-クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロリドなどのパラジウム化合物(E)を用い、水を含有する溶媒中で反応を行うと、このようなフルオレン化合物(A)を反応原料あるいは中間体として用いても速やかに交差カップリング反応が進行し、目的とするフルオレン誘導体がより良好な収率で得られる傾向となるため好ましい。
本発明のフルオレン誘導体の製造方法の特に好ましい態様としては、2,7−ジアミノフルオレンのアミノ基の保護、引き続くハロゲン化、ジアゾニウム塩経由の脱アミノ化により、3,6−ジハロゲノフルオレンを製造し、これに鈴木−宮浦カップリング、根岸カップリング、Grignard試薬によりフルオレン3,6位に置換基が導入されたフルオレンを製造する態様が挙げられる。このスキームを次に示す。
本発明では、このようにしてフルオレン骨格の3,6位の少なくとも一つ、好ましくは両方に任意の置換基を導入したフルオレン誘導体を効率的に得ることができる。すなわち本発明のフルオレン誘導体の製造方法では、副生物を生じにくく、目的とするフルオレン誘導体を、優れた反応性で収率良く製造することができる。
得られたフルオレン骨格の3,6位の少なくとも一つに置換基を導入したフルオレン誘導体には、所望により分子内の他の位置、たとえば9位(一般式(1)のR9および/またはR10)などに、さらに水素原子以外の置換基を導入してもよい。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、合成例に記載した化合物は270MHz 1H-NMR(日本電子GSH-270)、FD-質量分析(FD-MS)(日本電子SX-102A)、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)(島津製作所 SPD-M20A 254nm)等を用いて同定した。
なお、合成例に記載した化合物は270MHz 1H-NMR(日本電子GSH-270)、FD-質量分析(FD-MS)(日本電子SX-102A)、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)(島津製作所 SPD-M20A 254nm)等を用いて同定した。
[製造例1−1]2,7―ジアセトアミドフルオレンの合成
得られた目的物の同定結果は以下のとおりであった。
1H−NMR (270 MHz, DMSO−d6) :δ 2.06 (s, 6H,),3.86 (s, 2H), 7.48(dd,2H,J=1.6Hz、8.1Hz),7.69 (d, 2H,J=8.1Hz), 7.86(brs,2H)
1H−NMR (270 MHz, DMSO−d6) :δ 2.06 (s, 6H,),3.86 (s, 2H), 7.48(dd,2H,J=1.6Hz、8.1Hz),7.69 (d, 2H,J=8.1Hz), 7.86(brs,2H)
[実施例1−2]
得られた目的物の同定結果は以下のとおりであった。
1H−NMR (270 MHz, DMSO−d6) :δ 2.10 (s, 6H,),3.87 (s, 2H), 7.80(s,2H),8.28 (s, 2H), 9.48(brs,2H)
1H−NMR (270 MHz, DMSO−d6) :δ 2.10 (s, 6H,),3.87 (s, 2H), 7.80(s,2H),8.28 (s, 2H), 9.48(brs,2H)
[実施例1−3]
得られた目的物の同定結果は以下のとおりであった。
1H−NMR (270 MHz, DMSO−d6) :δ 3.62 (s, 2H,),5.22 (s, 4H), 6.91(s,2H),7.72 (s, 2H)
1H−NMR (270 MHz, DMSO−d6) :δ 3.62 (s, 2H,),5.22 (s, 4H), 6.91(s,2H),7.72 (s, 2H)
[製造例1−4]
得られた目的物の同定結果は以下のとおりであった。
1H−NMR (270 MHz, CDCl3) :δ 1.55 (s, 18H,), 3.84 (s, 2H), 6.52(brs,2H),7.19 (dd, 2H,J=1.9Hz、J=8.4Hz), 7.58 (d, 2H,J=8.4Hz)、7.69(brs,2H)
1H−NMR (270 MHz, CDCl3) :δ 1.55 (s, 18H,), 3.84 (s, 2H), 6.52(brs,2H),7.19 (dd, 2H,J=1.9Hz、J=8.4Hz), 7.58 (d, 2H,J=8.4Hz)、7.69(brs,2H)
[実施例1−5]
得られた目的物の同定結果は以下のとおりであった。
1H−NMR (270 MHz, CDCl3) :δ1.56 (s, 18H) ,3.81−4.14 (m, 2H,), 7.15 (s, 2H), 8.33(s,2H)
1H−NMR (270 MHz, CDCl3) :δ1.56 (s, 18H) ,3.81−4.14 (m, 2H,), 7.15 (s, 2H), 8.33(s,2H)
[実施例2−1]
反応溶液を室温に戻し、水を入れたビーカーにあけ、反応停止後、セライトを敷いた桐山ロートで不溶物を除去し、ろ液をクロロホルムで2回抽出し、抽出液を水洗、飽和食塩水洗、無水硫化マグネシウムで乾燥後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチルグラジェント)にて精製し、目的の3,6−ジブロモフルオレン0.38g(収率42%)を得た。
得られた目的物の同定結果は以下のとおりであった。
1H−NMR (270 MHz, CDCl3) :δ 3.79 (s, 2H,),7.43 (m, 4H), 7.87(s,2H)
1H−NMR (270 MHz, CDCl3) :δ 3.79 (s, 2H,),7.43 (m, 4H), 7.87(s,2H)
[実施例3−1]
1H−NMR (270 MHz, CDCl3) :δ2.04 (s, 6H) ,4.03 (s, 2H,), 7.17(brs, 2H) ,7.41−7.53 (m, 10H), 7.56(s, 2H) , 8.47(s,2H)
[実施例3−2]
1H−NMR (270 MHz, d−DMSO) :δ3.72 (s, 2H) ,4.68 (s, 4H,), 6.91(s, 2H) ,7.21−7.46 (m, 14H)
[実施例3−3]
得られた目的物の同定結果は以下のとおりであった。
1H−NMR (270 MHz, CDCl3) :δ1.46 (s, 18H) ,3.98 (s, 2H,), 6.56(brs, 2H) ,7.07−7.49 (m, 12H), 8.32(s, 2H)
1H−NMR (270 MHz, CDCl3) :δ1.46 (s, 18H) ,3.98 (s, 2H,), 6.56(brs, 2H) ,7.07−7.49 (m, 12H), 8.32(s, 2H)
[実施例3−4]
得られた目的物の同定結果は以下のとおりであった。
1H−NMR (270 MHz, CDCl3) :δ3.98 (s, 2H) ,7.34−7.80 (m, 14H), 8.06(s, 2H)
1H−NMR (270 MHz, CDCl3) :δ3.98 (s, 2H) ,7.34−7.80 (m, 14H), 8.06(s, 2H)
[実施例3−5]
得られた目的物の同定結果は以下のとおりであった。
1H−NMR (270 MHz, CDCl3) :δ2.05 (s, 12H) ,2.34 (s, 6H), 3.99(s, 2H), 6.96 (s, 2H) ,7.07 (dd, 2H,J=1.6Hz、J=7.8Hz), 7.50 (m, 2H) ,7.59 (d, 2H,J=8.1Hz)
1H−NMR (270 MHz, CDCl3) :δ2.05 (s, 12H) ,2.34 (s, 6H), 3.99(s, 2H), 6.96 (s, 2H) ,7.07 (dd, 2H,J=1.6Hz、J=7.8Hz), 7.50 (m, 2H) ,7.59 (d, 2H,J=8.1Hz)
また、副生成物として3−ブロモ、6−メシチルフルオレン0.1g(収率20%)を得た。
得られた副生成物の同定結果は以下のとおりであった。
1H−NMR (270 MHz, CDCl3) :δ2.03 (s, 6H) ,2.35 (s, 3H), 3.91(s, 2H), 6.97 (s, 2H) ,7.11 (m, 1H), 7.25 (m, 1H),7.45−7.60 (m, 3H),7.69 (m, 1H)
得られた副生成物の同定結果は以下のとおりであった。
1H−NMR (270 MHz, CDCl3) :δ2.03 (s, 6H) ,2.35 (s, 3H), 3.91(s, 2H), 6.97 (s, 2H) ,7.11 (m, 1H), 7.25 (m, 1H),7.45−7.60 (m, 3H),7.69 (m, 1H)
[実施例3−6]
得られた目的物の同定結果は以下のとおりであった。
1H−NMR (270 MHz, CDCl3) :δ2.05 (s, 6H) ,2.35 (s, 3H), 3.99(s, 2H), 6.97 (s, 2H),7.09 (dd, 1H,J=1.4Hz、J=7.6Hz), 7.32−7.94 (m, 9H) ,7.95 (s, 1H)
1H−NMR (270 MHz, CDCl3) :δ2.05 (s, 6H) ,2.35 (s, 3H), 3.99(s, 2H), 6.97 (s, 2H),7.09 (dd, 1H,J=1.4Hz、J=7.6Hz), 7.32−7.94 (m, 9H) ,7.95 (s, 1H)
[比較例1]
得られた目的物を1H−NMRにて同定した結果は、[実施例1−3]の結果と同じであった。
本発明のフルオレン誘導体の製造方法によれば、フルオレン骨格の3,6位に所望の置換基を導入したフルオレン誘導体を効率よく製造することができる。本発明の製造方法で得られたフルオレン誘導体は、重合触媒成分、メタロセン触媒原料、化学原料、工業材料の合成中間体などとして好適に用いることができる。本発明の製造方法で得られるフルオレン誘導体は、従来の4置換フルオレン触媒系に比べ、触媒構造の自由度が高いため、触媒成分あるいはその原料としての利用が見込まれ、今後幅広いポリマー製造分野において、新規な触媒の構成成分として利用できる可能性を有する。
Claims (5)
- フルオレン骨格を有し、フルオレン骨格の2,7位の少なくとも一方に水素原子以外の原子または基を有する化合物を、原料物質あるいは中間体として経る工程を有し、
下記一般式(1)で表されるフルオレン誘導体を製造することを特徴とするフルオレン誘導体の製造方法。
R1〜R10は水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基または炭素数1〜20の硫黄含有炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよいが、R3およびR6の少なくとも一方は水素原子ではなく、R1〜R10の隣り合う2つの基が結合して環を形成していてもよい。) - 下記一般式(2)で表される化合物を中間体として経ることを特徴とする、請求項1に記載のフルオレン誘導体の製造方法。
R1、R3〜R6、R8〜R10は水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基または炭素数1〜20の硫黄含有炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R1〜R10の隣り合う2つの基が結合して環を形成していてもよく、
R2およびR7は水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基または炭素数1〜20の硫黄含有炭化水素基あるいはアミノ基であり、同一でも異なっていてもよいが少なくとも一つはアミノ基またはアミノ保護基で保護されたアミノ基であり、
かつ、R1〜R8の少なくとも一つはハロゲン原子または炭素数1〜20の硫黄含有炭化水素基である。) - 前記一般式(2)において、R3およびR6の少なくとも一方がハロゲン原子または炭素数1〜20の硫黄含有炭化水素基であることを特徴とする、請求項2に記載のフルオレン誘導体の製造方法。
- 下記一般式(3)で表される化合物を中間体として経ることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフルオレン誘導体の製造方法。
R2およびR7は水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基または炭素数1〜20の硫黄含有炭化水素基あるいはアミノ基であり、同一でも異なっていてもよいが少なくとも一つはアミノ基またはアミノ保護基で保護されたアミノ基である。) - 得られるフルオレン誘導体が、前記一般式(1)において、R3およびR6の少なくとも一方がアリール基であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のフルオレン誘導体の製造方法。
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CN104072728A (zh) * | 2014-06-23 | 2014-10-01 | 华南理工大学 | 一种含二乙醇胺基的3,6-芴的共轭聚合物及其制备方法与应用 |
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- 2012-10-23 JP JP2012233592A patent/JP2014084289A/ja active Pending
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