JP2014083757A - 難燃性樹脂積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】難燃剤の種類が同じで含有量が少量の場合でも、難燃剤が均一に含まれる難燃性樹脂単層体よりも優れた難燃性を有する難燃性樹脂積層体を提供する。
【解決手段】難燃剤を含む熱可塑性樹脂層11,12を2層以上積層したものを構成単位1とし、この構成単位1を積み重ねて一体化した難燃性樹脂積層体であって、上記構成単位1の熱可塑性樹脂層11,12に含まれる難燃剤の種類又は組合わせが熱可塑性樹脂層ごとに異なる難燃性樹脂積層体とする。構成単位1の熱可塑性樹脂層11,12ごとに燃焼サイクルが異なり、各層の界面で伝熱阻害や分解ガスの拡散遅延が生じて燃焼が阻害されると共に、界面剥離で生じる断熱層によって伝熱が妨げられて燃焼が阻害されるため、難燃剤の含有量が難燃性樹脂単層体(2種以上の難燃剤を均一に含有させた単層体)より少量でも、難燃性樹脂単層体に比べて難燃性が向上する。
【選択図】図1

Description

本発明は難燃性樹脂積層体に関し、更に詳しくは、難燃剤の種類が同じで含有量が少量の場合でも、難燃剤が均一に含まれている難燃性樹脂単層体よりも優れた難燃性を有する難燃性樹脂積層体に関する。
難燃剤を熱可塑性樹脂に含有させた難燃性樹脂組成物は周知であり、これまでに種々の難燃性樹脂組成物が提案されている。
そのような難燃性樹脂組成物の一つとして、(A)ポリカーボネート系樹脂30〜70質量%と、(B)ゴム質重合体及び、1種又は2種以上のビニル化合物を成分として含むゴム強化樹脂70〜30質量%とからなる樹脂混合物100質量部に対して、(C)臭素化ビスフェノキシ化合物10〜30質量部と、(D)三酸化アンチモン1〜5質量部を配合した難燃性樹脂組成物が知られており、かかる難燃性樹脂組成物を用いると、難燃剤のブルーミングがない難燃性樹脂成形品が得られることが開示されている(特許文献1)。
特開平9−316318号公報
ところで、難燃剤を配合した難燃性樹脂組成物は、一般に、難燃剤の種類が同じであれば、難燃剤の配合量の多い組成物の方が、配合量の少ない組成物よりも優れた難燃性を有し、配合量が同じであれば、ほぼ同等の難燃性を有すると考えられる。
けれども、前記特許文献1のように二種類の難燃剤を配合した難燃性樹脂組成物を用いて、二種類の難燃剤が均一に含有された難燃性樹脂単層板を成形し、コーンカロリーメーターで燃焼試験を行うと、二種類の難燃剤が各層に個別に含有された難燃性樹脂積層板(難燃剤の含有量は上記単層板の半分)よりも上記の難燃性樹脂単層板の方が早く着火し、一度燃焼し始めると、燃焼サイクル(熱で樹脂が溶融、分解してガスとなり、酸素と反応して燃焼し、その燃焼熱で樹脂の溶融、分解、ガス化が更に促進されて燃焼が継続すること)によって燃焼がすみやかに拡大することが判明した。
本発明は上記事実に基づいてなされたもので、その目的とするところは、難燃剤の種類が同じで含有量が少量の場合でも、難燃剤が均一に含まれている難燃性樹脂単層体よりも優れた難燃性を有する難燃性樹脂積層体を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係る難燃性樹脂積層体は、難燃剤を含む熱可塑性樹脂層を2層以上積層したものを構成単位とし、この構成単位を積み重ねて一体化した難燃性樹脂積層体であって、上記構成単位の熱可塑性樹脂層に含まれる難燃剤の種類又は組合わせが熱可塑性樹脂層ごとに異なっていることを特徴とするものである。
本発明の難燃性樹脂積層体においては、構成単位の熱可塑性樹脂層を形成する熱可塑性樹脂が自己消火性の熱可塑性樹脂であることが好ましく、この自己消火性の熱可塑性樹脂がポリカーボネート樹脂であることがより好ましい。
本発明の難燃性樹脂積層体の極めて好ましい具体例は、難燃剤としてハロゲン系難燃剤を含むポリカーボネート樹脂層と、難燃剤としてアンチモン化合物を含むポリカーボネート樹脂層を積層したものを構成単位とし、この構成単位を積み重ねて一体化したものである。
本発明の難燃性樹脂積層体のように、含まれる難燃剤の種類又は組合わせが異なる熱可塑性樹脂層を2層以上積層したものを構成単位とし、この構成単位を積み重ねて一体化した難燃性樹脂積層体は、後述のコーンカロリーメーターを用いた燃焼試験の結果から判るように、難燃性樹脂単層体(含まれる難燃剤が上記難燃性樹脂積層体に含まれる難燃剤と同じでその含有量が2倍であるもの)よりも着火時間が長くなり、5分間での総発熱量も抑えることができるので、燃焼の拡大も遅くなって、難燃性が向上する。その理由は、難燃性樹脂単層体の場合は、難燃剤が全体に亘って均一に含有されているため、前述した燃焼サイクルが一定し、表面から裏面に向かって連続して燃焼が拡大していくのに対し、本発明の難燃性樹脂積層体の場合は、構成単位の熱可塑性樹脂層ごとに難燃剤の種類又は組合わせが異なるため、燃焼サイクルが熱可塑性樹脂層ごとに異なり、各層の界面で伝熱阻害や分解ガスの拡散遅延が生じて燃焼が阻害されると共に、界面剥離で生じる断熱層によって伝熱が妨げられて燃焼が阻害されるからであると推測される。
そして、本発明の難燃性樹脂積層体において、構成単位の熱可塑性樹脂層を形成する熱可塑性樹脂として自己消火性の熱可塑性樹脂、特にポリカーボネート樹脂を用いると、樹脂自体が燃焼を抑えて消火作用を行うため、難燃性が更に向上する利点がある。
本発明の難燃性樹脂積層体の極めて好ましい具体例は、前記のように、難燃剤としてハロゲン系難燃剤を含むポリカーボネート樹脂層と、難燃剤としてアンチモン化合物を含むポリカーボネート樹脂層を積層したものを構成単位とし、この構成単位を積み重ねて一体化したものであり、この難燃性樹脂積層体は、後述のコーンカロリーメーターを用いた燃焼試験の結果、上記のハロゲン系難燃剤とアンチモン化合物を均一に含有した難燃性樹脂単層体(難燃剤の含有量は上記積層体の2倍)に比べて、着火時間がほぼ4倍になるという優れた成績であった。
本発明の一実施形態に係る難燃性樹脂積層体の説明図である。 本発明の他の実施形態に係る難燃性樹脂積層体の説明図である。 本発明の更に他の実施形態に係る難燃性樹脂積層体の説明図である。
以下、図面を参照して本発明に係る難燃性樹脂積層体の実施形態を説明する。
図1は本発明に係る難燃性樹脂積層体の最も基本的な実施形態を示すものであって、この難燃性樹脂積層体は、難燃剤aを含んだ熱可塑性樹脂Aからなる熱可塑性樹脂層11と、難燃剤aとは種類が異なる難燃剤bを含んだ熱可塑性樹脂Aからなる熱可塑性樹脂層12を積層したものを構成単位1とし、この構成単位1を2つ(2単位)積み重ねて一体化した、全体で4層構造の難燃性樹脂積層体である。
また、図2に示す難燃性樹脂積層体は、難燃剤a+bを混合して含んだ熱可塑性樹脂Aからなる熱可塑性樹脂層11と、難燃剤a+bとは組合わせが異なる難燃剤c+dを混合して含んだ熱可塑性樹脂層12を積層したものを構成単位1とし、この構成単位を2つ(2単位)積み重ねて一体化した、全体で4層構造の難燃性樹脂積層体である。
図1,図2に示す難燃性樹脂積層体において、構成単位1の熱可塑性樹脂層11,12を形成する熱可塑性樹脂Aとしては、公知の種々の熱可塑性樹脂が使用可能であるが、その中でも、樹脂自体が燃焼を抑えて消火作用を行うポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フッ素系樹脂などの自己消火性の熱可塑性樹脂が好適であり、特に、難燃性が要求される採光屋根材などの用途に最適なポリカーボネート樹脂が極めて好ましく使用される。
図1,図2の難燃性樹脂積層体は、構成単位1の一方の熱可塑性樹脂層11も他方の熱可塑性樹脂層12も同じ熱可塑性樹脂Aで形成されているが、互いに異なる種類又は組合わせの熱可塑性樹脂で熱可塑性樹脂層11,12を形成するようにしてもよい。ここに「互いに異なる種類又は組合わせの熱可塑性樹脂で熱可塑性樹脂層11,12を形成する」とは、(1)樹脂層11を樹脂Aで形成し、樹脂層12を異なる種類の樹脂Bで形成する態様、(2)樹脂層11を樹脂Aで形成し、樹脂層12を異なる組合わせの混合樹脂A+Bで形成する態様、(3)樹脂層11を混合樹脂A+Bで形成し、樹脂層12を異なる組合わせの樹脂B、又は、樹脂C、又は、混合樹脂A+C、又は、混合樹脂B+C、又は、混合樹脂C+Dで形成する態様などを、主たる態様として含むことを意味する。但し、いずれの態様であっても、樹脂層11を形成する樹脂と、樹脂層12を形成する樹脂は、互いに相溶性を有するものを選択することが必要である。
また、構成単位1の熱可塑性樹脂層11,12に含まれる難燃剤は、その種類又は組合わせが熱可塑性樹脂層ごとに異なっていることが必要である。「難燃剤の種類又は組合わせが熱可塑性樹脂層ごとに異なる」とは、(1)図1に示すように樹脂層11に難燃剤aが含まれ、樹脂層12に種類の異なる難燃剤bが含まれる態様、(2)図2に示すように樹脂層11に難燃剤a+bが混合して含まれ、樹脂層12に組合わせの異なる難燃剤c+dが混合して含まれる態様、(3)その他、樹脂層11に難燃剤a+bが混合して含まれ、樹脂層12に組合わせの異なる難燃剤a、難燃剤b、又は、難燃剤c、又は、難燃剤a+c、又は、難燃剤b+cが単独でもしくは混合して含まれる態様などを、主たる態様として包含することを意味する。
構成単位1の熱可塑性樹脂層11,12に含まれる難燃剤としては、下記のハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、無機系難燃剤、その他の難燃剤が挙げられる。
1.ハロゲン系難燃剤
1−1.臭素系難燃剤
デカブロモジフェニルエーテル; テトラブロモビスフェノールA、その誘導体であるテトラブロモビスフェノールAカーボネートオリゴマー、テトラブロモビスフェノールAエポキシオリゴマー等; 多ベンゼン環化合物系のビス(ペンタブロモフェニール)エタン、1,2ビス(2,4,6トリブロモフェノキシ)エタン等; 臭素化ポリスチレン系の臭素化ポリスチレン、ポリ臭素化スチレン等; フタール酸系のエチレンビステトラブロモフタールイミド等; 環状脂肪族系のヘキサブロモシクロドデカン等; その他ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモベンジルアクリレート等。
1−2.塩素系難燃剤
塩素化パラフィン、デクロラン、クロレンド酸、無水クロレンド酸等。
2.リン系難燃剤
2−1.芳香族リン酸エステル系
トリフェニルフォスフェート、クレジルフェニルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、トリキシリニルフォスフェート、トリス(t−ブチル化フェニル)フォスフェート、トリス(i−プロピル化フェニル)フォスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルフォスフェート等。
2−2.芳香族縮合型リン酸エステル系
1,3フェニレンビス(ジフェニルフォスフェート)、1,2フェニレンビス(ジキシレニルフォスフェート)等。
2−3.含ハロゲンリン酸エステル系
トリス(ジクロロプロピル)フォスフェート、トリスクロロエチルフォスフェート、2,2ビス(ジクロロメチル)トリメチレン,ビス(2−クロロエチル)フォスフェート等。
2−4.その他
赤燐、リン酸エステルアミド、ポリリン酸アンモニウム等。
3.無機系難燃剤
3−1.アンチモン化合物
三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、5酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダ等。
3−2.モリブデン化合物
酸化モリブデン、モリブデン酸アンモン等。
3−3.水和金属化合物
水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等。
3−4.その他
酸化チタン、モンモリロナイト、シリカ等のナノフィラー; ホウ酸亜鉛、錫酸亜鉛、硫化亜鉛、酸化錫、酸化ジルコニウム、ゼオライト、低融点ガラス等。
4.その他の難燃剤
メラミンシアヌレート、硫酸メラミン等のメラミン化合物、トリアジン化合物、グアニジン化合物等の窒素化合物; パーフルオロブタンスルフォン酸カルシウム、パーフルオロブタンスルフォン酸カリウム、ジフェニルスルフォン酸カリウム、ジフェニルスルフォン−3−スルフォン酸カリウム、p−トルエンスルフォン酸カリウム等の有機金属化合物; シリコーン化合物、ヒンダードアミン化合物、膨張性黒鉛等。
上記の難燃剤を難燃作用によって分類すると、以下のようになる。
(1)ラジカルトラップ作用による難燃剤: ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、ヒンダードアミン化合物、アンチモン化合物。
(2)吸熱作用による難燃剤: 水和金属化合物、膨張性黒鉛。
(3)酸素遮断もしくは可燃ガス希釈作用による難燃剤: リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、窒素化合物、水和金属化合物、アンチモン化合物、ポリリン酸アンモニウム。
(4)断熱作用による難燃剤: シリコーン化合物、低融点ガラス、水和金属化合物、赤燐、ポリリン酸アンモニウム、膨張性黒鉛、有機金属化合物。
(1)〜(4)の違う難燃作用がある難燃剤の組合わせは、より難燃効果が向上するので好ましい。
構成単位1の熱可塑性樹脂層11,12に含有させる難燃剤は、上記(1)〜(4)のそれぞれの分類の範囲に属する難燃剤の中から相乗効果を発揮する難燃剤の組合わせを選択して使用することが好ましい。
相乗効果を発揮する難燃剤の特に好ましい組合わせとしては、以下の組合わせを挙げることができる。
ハロゲン系難燃剤とアンチモン化合物との組合わせ、
ハロゲン系難燃剤とリン系難燃剤との組合わせ、
リン系難燃剤と水和金属化合物との組合わせ、
リン系難燃剤と窒素化合物との組合わせ
熱可塑性樹脂層11,12における難燃剤の含有率は特に限定されないが、0.1〜50質量%、より好ましくは2〜30質量%程度とするのが適当であり、この範囲内で、難燃剤の種類や難燃性能を考慮して最適な含有率を決定すればよい。なお、難燃剤の含有率は、熱可塑性樹脂層11と熱可塑性樹脂層12で異なっていてもよいし、同一であってもよい。
図1,図2に示す難燃性樹脂積層体は、熱可塑性樹脂層11,12からなる構成単位1を2つ(2単位)積み重ねて、全体で4層構造の積層体としているが、4層構造は最小限であり、最大限100層構造の難燃性樹脂積層体となるまで構成単位1を積み重ねて一体化することも可能である。熱可塑性樹脂層11,12の厚さは特に制限されないが、100〜1000μm程度の厚さとするのが適当であり、この範囲内で、難燃性樹脂積層体の全体の厚さや積層数を考慮して最適な厚さを決定すればよい。なお、熱可塑性樹脂層11の厚さと熱可塑性樹脂層12の厚さは同じであってもよいし、異なっていてもよい。
図1,図2に示す難燃性樹脂積層体は、2つの熱可塑性樹脂層11,12を積層したものを構成単位1としているが、例えば、図3に示す難燃性樹脂積層体のように、3つの熱可塑性樹脂層21,22,23を積層したものを構成単位2としてもよく、更に、熱可塑性樹脂層を4層以上積層したものを構成単位としてもよい。但し、いずれの場合も、構成単位の熱可塑性樹脂層に含有させる難燃剤の種類又は組合わせを熱可塑性樹脂層ごとに異ならせる必要がある。
図3に示す難燃性樹脂積層体は、難燃剤eを含んだ熱可塑性樹脂Bからなる熱可塑性樹脂層21と、難燃剤eとは種類が異なる難燃剤fを含んだ熱可塑性樹脂Bからなる熱可塑性樹脂層22と、難燃剤e,fとは種類が異なる難燃剤gを含んだ熱可塑性樹脂Bからなる熱可塑性樹脂層23を積層したものを構成単位1とし、この構成単位1を2つ(2単位)積み重ねて一体化した、全体で6層構造の難燃性樹脂積層体である。
熱可塑性樹脂Bとしては、前記熱可塑性樹脂Aとして例示した熱可塑性樹脂が全て使用でき、図3に示すように、熱可塑性樹脂層21,22,23を全て同じ熱可塑性樹脂Bで形成してもよいし、それぞれの熱可塑性樹脂層ごとに異なる種類又は組合わせの熱可塑性樹脂で形成してもよい。
また、難燃剤e,f,gとしては前述した全ての難燃剤が使用可能であるが、その中から、前述した相乗効果を発揮する難燃剤の好ましい組合わせを考慮して各熱可塑性樹脂層21,22,23に含有させる難燃剤を選択することか望ましい。その場合、熱可塑性樹脂層ごとに難燃剤の種類又は組合わせが異なるように選択しなければならないことは、図1,図2の難燃性樹脂積層体の場合と同様である。なお、熱可塑性樹脂層21,22,23における難燃剤の含有率は、図1,図2の難燃性樹脂積層体の場合と同様に0.1〜50質量%、好ましくは2〜30質量%の範囲内で難燃剤の種類や難燃性能を考慮して最適な含有率を決定すればよい。
図3に示す難燃性樹脂積層体は、図1,図2の難燃性樹脂積層体と同様に、最大限100層構造の積層体となしうるものであり、また、構成単位2の各熱可塑性樹脂層21,22,23の厚さも、前述した構成単位1の各熱可塑性樹脂層11,12の厚さと同様に、100〜1000μmの範囲内で難燃性樹脂積層体の全体の厚さや積層数を考慮して最適な厚さに決定されるものである。
上述した図1〜図3に示す難燃性樹脂積層体は、例えば、連続多層押出成形によって製造するか、或いは、押出成形やカレンダー成形で含有される難燃剤の種類又は組合わせが異なる数種類の熱可塑性樹脂シートをそれぞれ多数枚作製し、これらの熱可塑性樹脂シートを構成単位が形成されるように一定の順序で繰り返し積み重ね、プレス等で熱圧着一体化することによって製造することができる。
以上のような難燃性樹脂積層体は、構成単位1(2)の熱可塑性樹脂層11,12(21,22,23)ごとに難燃剤の種類又は組合わせが異なり、前述した燃焼サイクルが熱可塑性樹脂層11,12(21,22,23)ごとに異なるため、各層の界面で伝熱阻害や分解ガスの拡散遅延が生じて燃焼が阻害されると共に、界面剥離で生じる断熱層によって伝熱が妨げられて燃焼が阻害されると推測される。そのため、難燃性が向上し、コーンカロリーメーターを用いた燃焼試験を行うと、着火時間が長くなり、5分間での総発熱量も抑えられるため、燃焼の拡大が遅くなる。
これに対し、難燃性樹脂積層体の熱可塑性樹脂層11,12(21,22,23)に含有された難燃剤と同種の難燃剤を混合して均一に含有させた難燃性樹脂単層体は、難燃剤の含有量が難燃性樹脂積層体より多量であっても、単層体の燃焼サイクルが一定し、表面から裏面に向かって連続して燃焼が拡大するため、上記の難燃性樹脂積層体に比べると難燃性能が低く、燃焼試験を行うと比較的短時間で着火し、燃焼がすみやかに拡大する。
また、難燃剤を含んだ自己消火性のポリカーボネート樹脂で構成単位の熱可塑性樹脂層を形成した難燃性樹脂積層体は、ポリカーボネート樹脂自体が燃焼を抑えて消火作用を行うため、難燃性が更に向上する。
次に、本発明に係る難燃性樹脂積層体の最も好ましい実施例と、比較例について説明する。
[実施例]
臭素系難燃剤であるエチレンビスペンタブロモベンゼンを10質量%含有させたポリカーボネート樹脂を押出成形して、厚さ300μmの第一のポリカーボネート樹脂シートを5枚作製した。
一方、無機系難燃剤である三酸化アンチモンを5質量%含有させたポリカーボネート樹脂を押出成形して、厚さ300μmの第二のポリカーボネート樹脂シートを5枚作製した。
そして、第二のポリカーボネート樹脂シートと第一のポリカーボネート樹脂シートを交互に5枚ずつ積み重ねて、最高温度185℃、最高圧力1.5MPa、加圧時間20minの条件で熱プレスすることにより、第二のポリカーボネート樹脂層に第一のポリカーボネート樹脂層を積層したものを構成単位として5単位積み重ねて一体化した、10層構造の厚さ3mmの難燃性樹脂積層体(最上層は第一のポリカーボネート樹脂層であり、最下層は第二のポリカーボネート樹脂層である積層体)を製造した。
発熱性試験装置(コーンカロリーメーター)に上記の難燃性樹脂積層体の試験片をセットし、ISO 5660 Part1の発熱性試験方法に準拠して、難燃性樹脂積層体の試験片の最上層にコーンヒーターから放射熱を与えながら、電気スパークをとばして燃焼試験を2回行った。その結果、1回目の燃焼試験では、上記の難燃性樹脂積層体の試験片が着火するまでの時間が178sec、5分間での総発熱量が33.7 MJ/mであり、2回目の燃焼試験では、191sec、21.0 MJ/mであった。
[比較例]
比較のために、臭素系難燃剤であるエチレンビスペンタブロモベンゼンを10質量%と、無機系難燃剤である三酸化アンチモンを5質量%含有させたポリカーボネート樹脂を押出成形して、難燃剤全体の含有量が上記難燃性樹脂積層体の2倍である厚さ3mmの難燃性樹脂単層体を作製した。
この難燃性樹脂単層体の試験片について、上記と同様にコーンカロリーメーターを用いて燃焼試験を2回行ったところ、1回目の燃焼試験では着火するまでの時間が48sec、5分間での総発熱量が42.9 MJ/mであり、2回目の燃焼試験では54sec、47.8 MJ/mであった。
実施例の難燃性樹脂積層体と比較例の難燃性樹脂単層体について、着火するまでの時間を対比すると、実施例の難燃性樹脂積層体の難燃剤全体の含有量は比較例の難燃性樹脂単層体の難燃剤全体の含有量の半分であるにも拘わらず、実施例の難燃性樹脂積層体の方が比較例の難燃性樹脂単層体よりも、着火するまでの時間がほぼ4倍に延長されており、難燃性が大幅に向上していることが判る。
以上説明した図1〜図3に示す実施形態の難燃性樹脂積層体、及び、具体的な実施例の難燃性樹脂積層体は、その構成単位の層数がいずれも2〜3層となっているが、前記のように構成単位の層数を4層以上としてもよいことは言うまでもない。
1,2 構成単位
11,12,21,22,23 難燃剤を含んだ熱可塑性樹脂層

Claims (4)

  1. 難燃剤を含む熱可塑性樹脂層を2層以上積層したものを構成単位とし、この構成単位を積み重ねて一体化した難燃性樹脂積層体であって、上記構成単位の熱可塑性樹脂層に含まれる難燃剤の種類又は組合わせが熱可塑性樹脂層ごとに異なっていることを特徴とする難燃性樹脂積層体。
  2. 構成単位の熱可塑性樹脂層を形成する熱可塑性樹脂が自己消火性の熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の難燃性樹脂積層体。
  3. 自己消火性の熱可塑性樹脂がポリカーボネート樹脂であることを特徴とする請求項2に記載の難燃性樹脂積層体。
  4. 難燃剤としてハロゲン系難燃剤を含むポリカーボネート樹脂層と、難燃剤としてアンチモン化合物を含むポリカーボネート樹脂層を積層したものを構成単位とし、この構成単位を積み重ねて一体化したことを特徴とする請求項1に記載の難燃性樹脂積層体。
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