JP2014082995A - 空気調和システムおよび植物栽培装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 栽培棚の各棚上を流れる気流の気流速を均一にし、栽培される植物の品質を均一にすることができる装置を提供する。
【解決手段】 空気調和システムは、栽培室内に栽培棚11とともに設置される装置であり、栽培棚11の周囲を閉鎖し、栽培室10を2つの空間に仕切る隔壁18と、隔壁18に設けられ、一方の空間に存在する空気を吸引し、圧縮して他方の空間へ供給することにより、2つの空間に圧力差を生じさせる空気圧縮手段とを含む。この空気調和システムは、生じた圧力差により、栽培棚11の複数の棚上の各開口部20を通して他方の空間から一方の空間へ流れる空気流を各棚上に形成させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、植物の栽培室内に設置される空気調和システムおよびその空気調和システムを備えた植物栽培装置に関する。
植物を栽培するには、水、栄養分、光のほか、適当な温度や湿度、適量の二酸化炭素、適当な気流速が必要とされる。従来、栽培室の天井や壁に空気調和システム、送風機、二酸化炭素注入ノズル等を設置して、温度や湿度、気流速を調整し、適量の二酸化炭素を供給する技術が知られている(例えば、特許文献1〜4参照)。
特開2011−147384号公報 特開2010−45989号公報 特開2004−329130号公報 特開2004−275119号公報
空気調和システム、送風機、二酸化炭素注入ノズル等の近傍では、適切に温度、湿度、二酸化炭素濃度、気流速が調整されるため、これらの値は、ほぼ一定に維持される。しかしながら、それらから離れた場所では、温度、湿度、二酸化炭素濃度、気流速はいずれも不均一となっている。その結果、それらの近傍と、それらから離れた場所とでは、栽培される植物の品質に大きなばらつきが生じていた。
本発明は、上記課題を解決するために、栽培室内に栽培棚とともに設置される空気調和システムであって、栽培棚の周囲を閉鎖し、栽培室を2つの空間に仕切る隔壁と、隔壁に設けられ、一方の空間に存在する空気を吸引し、圧縮して他方の空間へ供給することにより、2つの空間に圧力差を生じさせる空気圧縮手段とを含み、生じた圧力差により、栽培棚の複数の棚上の各開口部を通して他方の空間から一方の空間へ流れる空気流を各棚上に形成させる、空気調和システムが提供される。
本発明の空気調和システムおよびその空気調和システムを備える植物栽培装置を提供することにより、圧力差により空気流を形成するので、各棚上の気流速をほぼ均一にすることができ、これにより、温度、湿度、二酸化炭素濃度もほぼ均一にすることができる。また、気流速、温度、湿度、二酸化炭素濃度がほぼ均一になることにより、栽培室内のどの場所においても、栽培される植物の品質をほぼ均一にすることができる。
空気調和システムの第1の構成例を示した図。 図1に示す空気調和システムを別の角度から見た図。 空気調和システムの第2の構成例を示した図。 空気調和システムの第3の構成例を示した図。
図1は、本発明の植物栽培装置が備える空気調和システムの第1の構成例を示した図である。この空気調和システムは、植物を栽培する栽培室10内に、栽培棚11とともに設置される。栽培室10は、例えば、鉄筋コンクリートにより構築された出入口を備える構造物の一室とされる。
植物栽培装置は、空気調和システムと、栽培棚11とを含んで構成される。この栽培棚11は、複数段の棚を有していて、各段の棚上には、植栽された植物12が載置される。図1では、栽培棚11は、薄膜水耕(NFT)用の多段型栽培棚とされている。ここで、NFTとは、約1%の緩やかな傾斜をもつ棚上に、植物の栄養分となる養液を薄く少量ずつ流す水耕栽培である。なお、NFTに限定されるものではなく、養液を溜め、その養液のみで栽培を行う湛液型水耕(DFT)にも適用できるものである。
例えば、栽培棚11の各段の棚上には、複数の樋13が隣接して、あるいは一定の間隔で平行に並ぶように、上記角度で傾斜して載置され、複数の樋13上に、互いに隣接するように複数の栽培トレイ14が載置される。樋13としては、例えば、住宅建築において用いられる雨樋を採用することができる。雨樋は、筒をその長手方向に半分に切断した形状を有するものである。
栽培トレイ14は、一定の厚さを有するポリエチレンやポリプロピレン等のプラスチック樹脂製あるいはセラミック製の平板に、一定間隔で穴が設けられたものとされる。植物12は、ポリウレタン製の植栽用スポンジに植えられ、このスポンジをその穴に嵌め込むことにより栽培トレイ14に植栽される。栽培トレイ14に植栽された植物12は、根が栽培トレイ14の下方に伸び、葉が栽培トレイ14の上方に拡がっている。
栽培トレイ14を複数の樋13に跨るように載置すると、各植物12の根が各樋13の内部に収納される。各樋13内には、傾斜に沿って養液が薄く流されていて、その養液に根の先端が浸漬するようになっている。このため、植物12は、根の先端から栄養分や水を吸収し、その成長のために使用することができる。
栽培トレイ14が載置される棚の1段上の棚の下面には、植物12の葉に光を照射するための照明装置15が取り付けられる。照明装置15は、光を照射することができればいかなる光源を用いてもよいが、例えば、蛍光灯、発光ダイオード(LED)を用いることができる。消費電力を少なくし、光源から発生する熱を極力少なくすることができる点で、LEDが好ましい。照明装置15から発生した熱を植物12が受けると、熱による障害を引き起こすからである。
しかしながら、LEDでも、熱が発生するので、LEDが実装される金属製の基板を直接冷却するために、内部に冷却水が流れる冷却パイプを取り付けたものを採用することができる。この冷却パイプ内には、冷却水に限らず、冷却することができるものであればいかなる熱媒体でも使用することができる。したがって、空気等の気体を使用し、空冷するものであってもよい。また、この冷却方法は一例を示したものであり、これまでに知られたいかなる方法でも採用することができるものである。
栽培トレイ14は、互いに隣接して複数の樋13上に載置される。これは、樋13の内部を流れる養液に光が当たらないようにするためである。なお、光が当たると、樋13内に藻や細菌が発生し、それらが根に付着すると、病気等の障害が発生する。
養液は、養液を貯留する養液循環タンク16から養液循環ポンプ17によって、傾斜して載置された複数の樋13の上部側へ供給され、その傾斜に沿って下部側へ流れる。下部側へ流れた養液は、各樋13に設けられた穴から落下し、漏斗状の集液器に回収され、養液循環タンク16へ戻される。
本発明においては、このような栽培棚11が設置された栽培室10に、隔壁18と、空気圧縮手段としての有圧扇19とから構成される空気調和システムが設置される。隔壁18は、栽培棚11の長手方向のいずれの位置に配設されていてもよいが、図2に示すように、栽培棚11の周囲を閉鎖し、図1に示すように、栽培室10を2つの空間に仕切る。
隔壁18は、一定の厚さを有する木製、プラスチック樹脂製、金属製の板から作製され、栽培棚11の各段の棚上の各開口部20以外からは空気が流れないように閉鎖する。したがって、最下段の棚の下側も、隔壁18により閉鎖する。
有圧扇19は、複数枚の回転する羽根を有する大型の換気扇であって、空気に圧力をかけて流れを作り、その静圧が294〜392Paのものとされている。この有圧扇19は、空気の吸入口が、隔壁18により仕切られた一方の空間側(図1では、向かって右側の空間)にあり、空気の吐出口が、他方の空間側(図1では、向かって左側の空間)となるように、隔壁18に配設される。
図2では、有圧扇19が、4つ配設されているのが示されている。すなわち、栽培室10の天井側に2つ配設され、床側に残りの2つが配設されている。なお、床側に配設された2つの有圧扇19は、栽培棚11の最下段の棚の下側に配設されている。これらの配設位置は、適宜決定することができ、また、その数は、適切な圧力差になるように適宜決定することができる。
また、図2に示すように、各段の棚上は、隔壁18によって閉鎖されないことから、空気が流れることを可能にする各開口部20を有する。この開口部20は、図2に示すように、左右が隔壁18により画定され、上下が上下段の棚により画定された開口とされる。なお、栽培トレイ14は、樋13の長手方向にスライドさせることができ、一方の側から栽培トレイ14を取り除いて収穫し、他方の側には新しい栽培トレイ14を追加することができる。このため、開口部20は、栽培トレイ14をスライドさせたときに、植物12の葉がその開口部20を通り抜けることができるようになっている。
図1を参照して、空気の流れについて説明すると、隔壁18の表面から突出するように配設された有圧扇19により、その有圧扇19が突出した一方の側の空間に存在する空気を吸引し、圧縮して、他方の側の空間へ供給する。4つの有圧扇19がこのように圧縮して他方の側の空間へ供給すると、他方の側の空間の圧力が上昇し、一方の側の空間の圧力が低下する。このように、隔壁18で仕切られた2つの空間に圧力差が生じると、2つの空間をつなぐ開口があれば、その圧力差により、その開口を通して圧力が高い他方の側の空間から圧力が低い一方の側の空間へ空気が流れることになる。
栽培棚11の各段の棚上には、各開口部20があるため、各開口部20を通して空気が流れる。圧力差により生じた空気の流れは、ファンやブロワ等により強制的に空気を送る場合と比較して、各段の棚上に均一な気流速を生じさせる。
図1に示すような多段型の栽培棚11を用い、栽培トレイ14をスライドさせることにより収穫および新しい栽培トレイの追加を行う場合、マテリアルハンドリング装置と呼ばれる栽培トレイ14を持ち上げて搬送する搬送装置も設置される。このマテリアルハンドリング装置は、図1に示す栽培棚11から突出する樋13のさらに外側を移動可能に設置される。このため、樋13の長手方向の両側には、このマテリアルハンドリング装置を設置し、その装置が移動可能なスペースが確保される。
これらのスペースは、比較的大きく、各棚上に形成された空気の流路が合流する部分であることから、ヘッダーを形成する。ヘッダー内の圧力は、ほぼ一定であることから、いずれの棚上へもほぼ同じ圧力の空気を供給することができ、また、ほぼ同じ圧力で流れてきた空気を回収することができる。このため、気流速を、より一定に維持することができる。なお、気流速は、植物12の周囲にある空気を交換するのに必要とされる約0.3〜約0.5m/sに維持することができる。
図1には図示していないが、栽培室10内の空気は、適宜入れ替えることができ、入れ替えるための換気扇等を備えることもできる。また、二酸化炭素を供給するためのノズルやボンベ等を備えることができ、栽培室10内に適宜供給することができる。栽培室10内を一定の温度に保持するために、クーラーやヒータ等を備えることも可能である。
図3は、空気調和システムの第2の構成例を示した図である。栽培棚11、樋13、栽培トレイ14、照明装置15、養液循環タンク16、養液循環ポンプ17、隔壁18、有圧扇19についてはすでに説明したので、ここではその説明を省略する。図3に示す空気調和システムでは、隔壁18、有圧扇19に加えて、除湿手段としての除湿機21を備えている。
養液には、植物12が生きていくために必要とされる水が含まれており、その養液が樋13内を流れる間等において、その水の一部は蒸発する。また、植物12の気孔から水蒸気が蒸散する。このため、栽培室10内は、湿度が次第に高くなっていく。この高くなる湿度を一定の湿度に維持するべく、除湿機21が設けられる。
除湿機21は、隔壁18により仕切られた2つの空間の一方に設置される。そして、その空間内にある水蒸気を凝縮する等して除去し、除湿する。2つの空間内の空気は、有圧扇19により循環されるので、適宜、除湿機21を起動し、除湿することにより、一定の湿度に保つことができる。
除湿機21としては、冷媒を冷却コイルで蒸発させ冷却する方式、ブラインで空気を冷却する方式、冷水を空気と混合することにより冷却する方式、圧縮機で圧縮して空気中の水分を凝縮させる方式、空気を圧縮して透過膜に通し、水蒸気を分離させる方式、吸着剤に水蒸気を吸着させる方式等のいずれかを採用した除湿機を用いることができる。
なお、図3では、隔壁18により仕切られた2つの空間のうち、圧力が小さい側(向かって右側)の空間の、栽培室10の天井に除湿機21が配設されている。これは一例であるので、いずれの空間のどの位置に配設されていてもよい。また、除湿機21は、1台に限らず、必要に応じて2台以上配設することができる。
図4は、空気調和システムの第3の構成例を示した図である。栽培棚11、樋13、栽培トレイ14、照明装置15、養液循環タンク16、養液循環ポンプ17、隔壁18、有圧扇19、除湿機21については、図3において説明したので、ここではこれらの説明を省略する。図4に示す空気調和システムでは、さらに、空気中に浮遊する浮遊物を除去するためのHEPA(High Efficiency Particulate Filter)ユニット22を備えている。
空気中には、埃や菌が浮遊しており、人の出入り等において虫が侵入する可能性がある。植物12は、こうした菌や虫により病気にかかったり、食べられたりする。
HEPAユニット22は、空気中から微小の埃や菌を取り除き、空気清浄するためのHEPAフィルタを含む。このHEPAフィルタは、定格風量で粒径が0.3μmの粒子を99.97%以上捕集する能力をもつフィルタであって、クリーンルームのメインフィルタとして用いられるものである。
HEPAユニット22は、HEPAフィルタのほか、空気を取り込み、HEPAフィルタへ向けて送風するためのファン、そのファンにより空気を取り込む際、比較的大きな埃や虫等を除去するためのプレフィルタを備えることができる。
図4では、HEPAユニット22が栽培室10の天井であって、隔壁18に隣接して配設されている。このため、一方の側の空間にある空気を上記ファンにより取り込み、その際、プレフィルタで一部を除去してHEPAフィルタへ送っている。そして、HEPAフィルタでは、微小の埃や菌等を除去し、他方の側の空間へ送っている。
このHEPAユニット22による埃や菌等の除去処理を連続して実施することにより、栽培室10内をクリーンルームと同等に維持することができる。このクリーンルームと同等に維持することにより、農薬等を用いることなく、植物12を栽培することができる。
本発明の植物栽培装置により栽培することができる植物12としては、サラダ菜、サニーレタス、リーフレタス、チンゲン菜、小松菜、スイートバジル、ニチニチソウ、トマト、イチゴ、ねぎ等を挙げることができる。なお、これは一例であるので、これに限られるものではない。また、養液としては、植物の成長に必要とされる窒素、リン酸、カリウム、カルシウム、マグネシウム等を含む水溶液を挙げることができる。各物質の濃度は、栽培する植物に応じて適宜決定することができる。
このように本発明の空気調和システムおよびそのシステムを備える植物栽培装置を提供することにより、各棚上の気流速をほぼ均一に維持することができるので、各棚上の温度、湿度、二酸化炭素濃度をほぼ均一に維持することができ、その棚上で栽培される植物はどこの棚上であっても、また、その棚上のどの場所であっても、品質をほぼ均一のものとすることができる。
これまで本発明の空気調和システムおよび植物栽培装置について図面に示した実施形態を参照しながら詳細に説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態や、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
10…栽培室、11…栽培棚、12…植物、13…樋、14…栽培トレイ、15…照明装置、16…養液循環タンク、17…養液循環ポンプ、18…隔壁、19…有圧扇、20…開口部、21…除湿機、22…HEPAユニット

Claims (5)

  1. 栽培室内に栽培棚とともに設置される空気調和システムであって、
    前記栽培棚の周囲を閉鎖し、前記栽培室を2つの空間に仕切る隔壁と、
    前記隔壁に設けられ、一方の空間に存在する空気を吸引し、圧縮して他方の空間へ供給することにより、2つの空間に圧力差を生じさせる空気圧縮手段とを含み、
    生じた前記圧力差により、前記栽培棚の複数の棚上の各開口部を通して前記他方の空間から前記一方の空間へ流れる空気流を各前記棚上に形成させる、空気調和システム。
  2. 前記栽培室内には、前記栽培棚へ載置する栽培トレイと、前記栽培棚に載置された栽培トレイとを搬送するための2つの搬送装置が設置され、前記栽培室は、前記2つの搬送装置が移動するための2つのスペースを有し、前記2つのスペースは、前記2つの空間のそれぞれに存在し、前記各棚上に形成された空気の流路をつなぐヘッダーを形成する、請求項1に記載の空気調和システム。
  3. 前記栽培室内を除湿するための除湿手段をさらに備える、請求項1または2に記載の空気調和システム。
  4. 前記栽培室内に浮遊する浮遊物を除去するための浮遊物除去手段をさらに備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気調和システム。
  5. 植物を植栽するための栽培トレイが載置される複数段の棚を有する栽培棚と、請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気調和システムとを含む、植物栽培装置。
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