以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態であるパイププランター型空気浄化装置の斜視図である。図2は図1のパイププランター型空気浄化装置の模式的な断面図である。図3は図2のパイププランター型空気浄化装置のIII部における芳香放出ユニット4の断面図である。なお、図1から図3の紙面左右側の端の図示は省略されている。
本装置はファン13、フィルターb、メッシュカバー11a、放出口11、芳香水溶液貯水槽に貯水される芳香水溶液7、AC-DCコンバーター(図示しない)、ファン回転数制御器(図示しない)、芳香放出ユニット4(芳香ユニット4)、ハイドロカルチャーに用いられる培地3、プランター5、パイプ(外側管)18、植物潅水用貯水槽8などで構成され、ファン13により培地3から吸気されて放出口11から放出される空気の流動経路が、プランター5、パイプ(外側管)18及び芳香放出ユニット4により構成される。
内径100mm程度の円形断面(一辺が100mm程度の矩形断面パイプも可)をもつパイプ18は設置空間に合わせて、エルボーやチーズなどの種々の継手を用いて自由なレイアウトが可能で、またプランター5の培地3と芳香放出ユニット4の新鮮空気12の放出口11以外の隙間(パイプ18の内部空間と外部空間とを連通させる隙間)をなくしパイプ18内の空気流動をスムーズにするためにパイプ18の両側の末端はキャップで密封される。なお、複数のパイプ18が継手を用いて無端状(末端を有さない態様)に連結されていても良い。プランター5と、パイプ18とは、プランター5の外周にリング状のシール部材(図示しない)を配置して、プランター5とパイプ18との隙間を塞いでいる。
その他、本装置に接続される補助装置として、パイププランターの貯水槽に水を供給するための図示しない揚水(送水)ポンプ、給水用タンク、給水及び排水用の配水管などを設置する。
先ず、パイププランター型の空気浄化装置の詳細を説明する。
パイププランターの周囲の汚染空気14は、高静圧型のファン13により通常の土に比べ通気抵抗の小さい培地(シリカソイル、レカトン、パフカルチップなどの混合材)3の空隙を通って、植物15の根圏(プランター5の下部)に誘導される。本発明に適した植物15には、空気浄化性能の高いシンゴニウム、スパティフィラム、アルテシマ、シュロチク、ポトス、エバーフレッシュ、シナモンなどの観葉植物が好適に用いられる。植物15は、観葉植物の他に、屋内でも利用できるバラ、シマトネリコ、ソヨゴ、ドウダン、みずきなどを用いることができる。
プランター5の外周壁には、潅水用スリット2aと、吸気口(プランター循環空気用スリット)2bとが開口される。潅水用スリット2a及び吸気口2bは、周方向略等間隔に複数が周方向の全周にわたって形成される。潅水用スリット2aの位置は、パイプ18内の植物潅水用貯水槽8から水が培地3へ流入するように調整される。吸気口2bは、潅水用スリット2aよりも上部に位置される。
植物の根圏微生物である菌根菌およびそのパートナー細菌などによりVOC等の汚染物質が吸収・分解され浄化された空気(培地通過空気9)は、プランター5の上部に設けられた吸気口2b(全開口面積が同等であれば培地が流出しない小孔で代用してもよい)からパイプ18内に流出し(各プランター5からパイプ18内に流出した培地通過空気9を以下「循環空気1a」と称す)、パイプ18を経由して芳香放出ユニット4の上部に設けられた芳香放出ユニット循環空気用スリット2c(全開口面積が同等の小孔で代用してもよい)を通り芳香放出ユニット4内に誘引される。
芳香放出ユニット循環空気用スリット2cはパイプ18内の植物潅水用貯水槽8から水が芳香放出ユニット4内に流入しないよう芳香放出ユニット循環空気用スリット2cの位置を調整する。運用時に植物潅水用貯水槽8の水位が限界値を超えて、芳香放出ユニット4内に水が浸入せず、且つ、吸気口2bを塞がない(培地通過空気9がパイプ18内に流出可能となる)ように、パイプ18内にオーバーフロー装置を設置し、オーバーフローした水はパイプ18内から排水管に流出するようにする。即ち、排水管は、芳香放出ユニット循環空気用スリット2cの開口する下端よりも下に位置し、且つ、吸気口2bの開口する下端よりも下に位置している。パイプ18内の水位を目視で確認するためには、パイプ18の適当な場所に設けた小孔に水位が分かるように細棒等を鉛直方向に立てて定期的に確認する。排水管は、密閉されたオーバーフロー槽(図示しない)に繋がっており、オーバーフロー槽には排水管へ流出した水が貯められている。
芳香放出ユニット4内にゼオライト等の粒状の多孔質材料6を円筒状のネットで包み、この芳香放出ユニット4内に芳香液注入管10を介して芳香水溶液7を入れておく。粒状の多孔質材料6の粒形は、培地3の所望の通気性能に合わせて、適宜調整する。即ち、培地3の通気性を大きくしたい場合は、粒径を大きくし、培地3の通気性を小さくしたい場合は、粒径を小さくすればよい。芳香液注入管10は、蓋で密閉することができ、芳香水溶液7を補充するときのみ蓋を開放して補充する。もしくは、芳香水溶液7が少なくなったことを水位センサー等で検知、確認して、芳香水溶液7が少なくなったことを検知した信号を受けて、芳香液注入管10につながる容器から自動的に補充されるものであっても良い。この芳香水溶液7は、毛管浸透現象により粒状の多孔質材料6により形成される層に浸透・吸収される。このとき、多孔質材料6は、粒状であるから、粒状ではない多孔質材料には存在しない粒の間の隙間を存在させることができる。従って、粒の間の隙間に芳香水溶液7をより多く浸透・吸収させることができる。
芳香放出ユニット循環空気用スリット2c(スリット2cはスリットの代わりに全開口面積が等しい複数の小孔で代用してもよい)から吸引された循環空気1aは芳香放出ユニット4を通過する際に、多孔質材料6に浸透・吸収された除菌・芳香成分(みかん、オレンジ、レモンなどの柑橘類、ひのき、ティーツリーなどから抽出された除菌・消臭効果が高く安全・安心な材料で作成されたエッセンシャルオイル)が多孔質材料6表面から循環空気1aに放散される。ゼオライト等の多孔質材料6は自然の土壌と比較して比表面積が大きく細孔径が小さいためホルムアルデヒドやその他のVOC等の化学物質の物理吸着効果も期待できる。芳香放出ユニット4内の芳香水溶液7の水位を目視で確認するためには、芳香放出ユニット4の適当な場所に設けた小孔に水位が分かるように細棒等を鉛直方向に立てて定期的に確認する。
ファン13の下流側には捕集効率の高いフィルター11bを設置することで、循環空気1a中のPM2.5等の浮遊微粒子や浮遊真菌等はフィルター11bで除去され、その新鮮空気12が最終的にステンレス等のメッシュカバー11aを通して放出される。新鮮空気12がショートサーキットで培地3に流入しないよう新鮮空気12の吹出し方向が調整される(芳香放出ユニット4の新鮮空気12の放出口11が培地3の上面よりも高い位置とされると共に、放出口11が上方、且つ、プランター5とは反対側を向くようにされる)。さらに、放出口11の面積の和である放出口総面積は、各吸気口2bの面積の和である吸気口総面積よりも同等か、吸気口総面積よりも大きく設定される。これによって、吸気口2bから吸気される空気を芳香放出ユニット4に入れ易くできる。
本装置の空気循環を効率的に行うためには、通気抵抗の大きな多孔質材料6の通気が可能となる高静圧型のファン13を使用する。このファンの選択には、使用する培地3の通気抵抗を実験等で事前に調べ、この通気抵抗に対して設置する空間に必要な風量が得られるようにファン13の性能曲線(一般にはファン13のメーカーから提供される)を基に最適なファン13を選択する。ファン13は、本実施の形態では、吸気ファンであって、培地3から空気を吸気するから、培地3へ空気を送風するよりも、培地3から均一に空気を吸気し易くできる。また、培地3に対してファン13が配置される側と逆側の空間(プランター22の外側)の汚染空気14を培地3へ吸気し、汚染空気14の粉塵を培地3で吸着し集めることで空気の浄化をさらに良好にできる。さらに、培地3へ空気を送風する場合に比べ、培地3の粒子を室内へ飛散させ難くできる。
本装置の芳香放出ユニット4上部から放出される新鮮空気12は、植物15の葉を揺らす緩やかな風の流れを生じさせる。この緩やかな気流により植物15の葉の自然な揺らぎが生じ、植物15による熱空気環境の制御効果の他に、室内で居ながらにして視覚的なバイオフィリアの効果も期待できる。
上流側にプランター5の培地3内の根圏に付着した菌根菌およびそのパートナー細菌で化学物質を分解・吸収する前処理をし、次に植物オイルの除菌・芳香成分によるウイルスや浮遊真菌の殺菌・除菌という後処理のプロセスの順番は本装置では必須条件であり、逆のプロセスでは植物の根にダメージを与え植物の成長に影響を与えることになる。以下に記述するキューブプランター型空気浄化装置の処理プロセスの順番もパイププランター型空気浄化装置と同様である。
パイププランター型空気浄化装置は、既存のパイプ型のプランターを用いて、培地3の通気抵抗、設置空間の規模、要求される機能・性能に応じて、植物が植栽されたプランター5が5個から10個ごとに図2に示すような芳香放出ユニット4を設置する。
次に、本発明の一実施形態であるキューブプランター型空気浄化装置を説明する。図4は本発明の一実施形態であるキューブプランター型空気浄化装置の斜視図である。図5は図4のキューブプランター型空気浄化装置の模式的な斜視図である。図6は図5のキューブプランター型空気浄化装置のVI部における芳香放出ユニット4の断面図である。装置の構成は基本的にはパイププランター型とほぼ同一であるが、芳香放出ユニット4の他、培地3、パイプ類がキューブ型のプランター22内に一体化したもの(芳香放出ユニット4及び横引きパイプ(内側管)17をプランター22内に配置し、芳香放出ユニット4の新鮮空気12の放出口11の部分を除き、プランター22内に培地3を充填したもの)となっている。
この装置は、培地3、プランター22、横引きパイプ17、吸気口16、植物潅水用貯水槽8、多孔質材料6、ファン13、フィルター11b、メッシュカバー11a、放出口11、芳香水溶液貯水槽に貯水される芳香水溶液7、芳香放出ユニット4(芳香ユニット4)、AC-DCコンバーター20b、ファン回転数制御器20c、バッテリー20dなどで構成され、ファン13により培地3から吸気されて放出口11から放出される空気の流動経路が、プランター22、横引きパイプ17及び芳香放出ユニット4により構成される。なお、プランター22の底部には、AC-DCコンバーター20b等を収納する空間(収納スペース19)が形成される。また、バッテリー20dに代えて、AC電源を採用しても良い。
プランター22の周囲の汚染空気14は、高静圧型のファン13により通気性に優れた培地3の空隙を通って、植物の根圏(プランター22の下部)に吸引される。本発明に適した植物15には、シンゴニウム、スパティフィラム、アルテシマ、シュロチク、ポトス、エバーフレッシュ、シナモンなどの空気浄化能力の高い植物が好適に用いられる。植物15は、観葉植物の他に、屋内でも利用できるバラ、シマトネリコ、ソヨゴ、ドウダン、みずきなどを用いることができる。
横引きパイプ17は、一端が芳香放出ユニット4に接続され、他端(末端)がキャップで密封される。植物15の根圏に到達した吸引空気中の汚染物質は、植物15の根圏に付着した菌根菌およびそのパートナー細菌などの根圏微生物で分解・吸収され、培地3を通過した培地通過空気21は、芳香放出ユニット4に接続された内径60mmから80mm程度の横引きパイプ17の上面に開けられた内径30mmから40mm程度の吸気口16を通り芳香放出ユニット4に吸引される。また、吸気口16から培地3が横引きパイプ17に混入しないような網目をもつステンレスや樹脂製メッシュで吸気口16を覆う。このとき、プランター22の植物潅水用貯水槽8の水面より上方に吸気口16の開口が位置するよう調整し、横引きパイプ17の吸気口16を上方に向け水が流入しないようにプランター22内に横引きパイプ17を設置する。
吸気口16の径は、各吸気口16の流量が等しくなるように予め実験等で確認して決定される。実験が困難な場合は、管路網計算モデルやCFDシミュレーション等により確認する。一般にはファン13に近い場所で吸気口16の吸引空気の流速は距離が遠くなるに応じて小さくなるので、ファン13から吸気口16までの距離を測定して、吸気口16径はファン13から近い穴は小さく、遠くにある穴は大きく設定される。
なお、横引きパイプ17がプランター22の底面を構成する4辺に沿って横向きに配置されると共に、吸気口16の径がファン13に近い穴ほど小さくされるので、プランター22内の培地3の一部に空気流動が偏る(アンバランスな流動分布となる)ことを抑制でき、培地3全体にバランスよく空気流動を発生させることができる。
横引きパイプ17の配置は、培地3に這う植物15の根が多い植物15の中心部分に対して真下を通るように配置されるのが好ましい。この場合、横引きパイプ17は、根圏微生物の多い根圏を通過した空気を吸気口16から吸気し易いから、汚染空気14の中の汚染物質をより多く分解・吸収した空気を吸気することができる。また、横引きパイプ17の配置は、培地3からの吸気するバランスを均等にするために、プランター22の内形に沿って湾曲しているものであっても良い。横引きパイプ17は、植物15の中心に配置されるものと、プランター22の内形に沿って湾曲するものを組み合わせても良い。この場合、植物15の中心に配置されるものの横引きパイプ17の周りをもう一つの横引きパイプ17が囲むように配置される。
芳香水溶液7を適量入れた芳香放出ユニット4内には円筒状のネットに充填したゼオライト等の多孔質材料6が鉛直方向に芳香水溶液7に常時浸るように設置されている。芳香水溶液7は毛管浸透現象により多孔質材料6に浸透・吸収され、多孔質材料6の表面に生じる上向き気流により物質伝達係数が大きくなり、除菌・芳香成分が循環空気1aに効率的に放散される。
本実施の形態では、ファン13は、空気を吸気する吸気ファンであって、ファン13の下流側にはフィルター11bを設置することで、循環空気1a中の浮遊微粒子や浮遊真菌等がフィルター11bで除去され、最終的に新鮮空気12がメッシュカバー11aを通してショートカットでプランターの培地3に戻らないよう放出口11の吹出し方向が調整される(芳香放出ユニット4の新鮮空気12の放出口11が培地3の上面よりも高い位置とされると共に、放出口11が上方を向き、新鮮空気12が直接または植物15の葉に反射して室内に放出される)。本実施の形態では、放出口11がプランター22の外縁側に配置されている。また、放出口11から放出される新鮮空気12の流速を強くして、そのまま培地3周辺に新鮮空気12が滞るのを防いでも良い。
ファン13の選択方法はパイププランター型と同じである。また、本装置もパイププランター型と同様なバイオフィリアの効果も期待できる。
以上の通り、ハイドロカルチャー用の培地3を通過し、植物15の根圏に付着した菌根菌およびそのパートナー細菌などの根圏微生物により空気中に含まれる化学物質や浮遊真菌等を分解・吸収された培地通過空気(浄化空気)にさらに安心・安全で殺菌・除菌効果のある除菌・芳香成分を付加することにより、住宅やオフィス等のワークプレイスにおいて居住者やワーカーの心身の健康やリラクゼーション、作業効率の向上が期待できる。
本発明は、汎用的な基幹技術の提案であり、独立した小さな植物プランター、壁面緑化や緑化パーティション、大空間における大きな植栽などの幅広い緑化システムへの応用が可能であり、様々なスケールの空間での普及が期待できる。
一般環境における室内環境基準における対象物質の一つであるホルムアルデヒドやVOCの分解・吸収機能による効率的な空気浄化により、外気導入量の削減が可能となり、換気負荷の増大を抑制し暖冷房・空調の省エネルギー化が期待できる。
一般的な室内用植物は、主としてインテリアデザインの一要素としての利用となっており、植物のもつ調湿効果や空気汚染物質の分解・吸収性能などの機能が十分に生かされていない。また、これまで提案された植物を用いた空気浄化装置も通常の土を培地としているため、培地を通した根圏への空気の誘引は少なく、培地および根圏を通して、空気を浄化し難い。また、これらの装置の付加機能として、浮遊真菌や空気感染のリスクの高いウイルス等の生物由来の汚染物質を殺菌・除菌し、心身の健康やリラクゼーションを高める除菌・芳香成分を放出する機能を有する植物を用いた空気浄化装置もない。
本発明は、日常生活における在室時間の長期化に伴う化学物質やウイルス等の生物由来の複合汚染された空気汚染物質の曝露リスクを低減し、心身の健康やリラクゼーション効果を高めた簡便で安価、かつ効果的な空気浄化装置を提供する。
本発明は、一般的な植物用の培地にはない優れた特徴をもつハイドロカルチャーで用いられる通気性の高い培地、プランター、根圏に菌根菌およびそのパートナー細菌などの根圏微生物を付着させた空気浄化効果の高い植物、培地を通して室内空気を吸引・循環する高静圧型ファン、パイプもしくは吸気バランス調整可能なダクト(内側管または外側管)、AC-DCコンバーター、ファン回転数制御器、芳香放出ユニット(粒状の多孔質材料、ネット、除菌・芳香溶液)、潅水用貯水槽で構成され、前処理段階でファンにより通気性のある培地を通して汚染空気を吸引・循環し、植物の根圏に付着した根圏微生物で微量なVOC等を分解・吸収する。さらに、培地を経由した清浄空気は後処理段階で芳香放出ユニットにより消臭・除菌効果のある植物由来の安全・安心な除菌・芳香成分が付加されて室内に放散するという多段階処理によるハイドロカルチャー用の植物とエッセンシャルオイルを用いた空気浄化装置である。この多段階処理のプロセスを組み合わせた空気浄化装置は先行事例にはなく、また処理プロセスの順番が極めて重要な必須条件であり、この条件により相乗的に空気浄化効果の増幅が期待できる。
ハイドロカルチャー用の培地(多孔質材料、パフカルチップ等の単一もしくはそれらの混合材)は、通気係数(粒子からの流動抵抗の逆数であり、粒子径が大きくなると通気係数は大きくなる。通気係数は培地の空隙率や空隙径によって異なるが、たとえば、土の培地が主に砂とシルトで構成される准透過性であるとした場合、通気係数はおおよそ10―7cm2から10-10cm2であり、それに対して細かい砂利相当の粒径をもつハイドロカルチャー用の培地は100倍以上大きい通気係数となる)が大きいため、一般的な土の培地に比べ格段に通気性が優れている。そのため、比較的容易に安価で消費電力の小さいファンにより植物の根圏への空気循環が可能である。
植物の根圏に付着した菌根菌およびそのパートナー細菌(Bacillus sp. (KTCIGME01)NBRC109633菌株、Bacillus thuringiensis(KTCIGME02)NBRC109634菌株、Paenibacillus rhizosphaerae(KTCIGME03)NBRC109635菌株、Pseudomonas sp.(KCIGC01)NBRC109613菌株の内の少なくとも一つ)などの根圏微生物は、植物の生長の促進や揮発性有機化合物(VOC)などの化学物質を分解・吸収する効果が高いことが知られている。芳香放出ユニットにつながる横引きパイプ上に設けた複数の吸気口の径の調整により、吸引空気量のバランス調整が可能で過度な気流速を抑えることにより根毛の乾燥を防ぐことができる。根圏への空気流動の促進は植物の根の成長を助け、根圏微生物による化学物質の分解・吸収性能を向上させる。
ハイドロカルチャー用の培地は、粒状の多孔質材料を用いているため通常の土の培地に比べ通気係数が大きく通気性が格段に優れている。そのため、比較的容易に安価で消費電力の小さいファンにより植物の根圏に空気を送ることが可能になり、植物の根圏に付着した菌根菌およびそのパートナー細菌などの根圏微生物により効果的な化学物質の分解・吸収作用による汚染物質の除去効果が期待できる。
植物の根圏微生物である菌根菌およびそのパートナー細菌などにより清浄化された空気にさらに添加される芳香成分は植物由来(みかん、オレンジ、レモンなどの柑橘類、ひのき、ティーツリーなどから抽出されたエッセンシャルオイル)で安心・安全で除菌・抗菌・消臭効果があり、また心身の健康やリラクゼーションを高める効果や作業効率の向上が期待できる。
本発明は基幹技術であり、独立した小さなプランターから大きな植栽に至る様々なスケールの空間や多様な用途に合わせてカスタマイズが可能であり、比較的安価、且つ、空気浄化能力の優れた空気浄化装置としての普及効果が期待できる。
室内環境基準の指標の一つであるホルムアルデヒドやVOC等の分解・吸収による空気浄化をすることにより、一般的な新鮮空気による換気によって得られる換気回数をエアクリーナーなどそれ以外の方法で得られる相当換気量を増やすことができるため大幅に新鮮外気導入量の削減が可能となり、換気負荷を低減して暖冷房空調に要する消費エネルギーの大幅な削減が期待できる。
本発明の空気浄化装置は、空気中のVOC等の吸収・分解による空気浄化だけでなく、混合培地を構成する多孔質材料や潅水時にスポンジ状のパフカルチップに含まれる水分等により、空気中に含まれるCO2も吸収する効果があり、新鮮空気導入量の削減による省エネルギー効果も期待できる。
本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
本発明の効果を確認するためホルムアルデヒドおよびCO2の除去試験(試験1)を行った。各キューブプランター型空気浄化装置は、縦430mm×横430mm、高さ500mmのキューブ形状のプランター内に培地として発泡煉石であるレカトン、発泡粒状のピートモスであるパフカルチップ、ガラスを発泡焼成したシリカソイルをそれぞれ体積比3:1:1の配合で、450mmの高さとなるように充填した。各キューブプランター型空気浄化装置は、その培地に、植物であるエバーフレッシュが植えられているもの、シナモンが植えられているもの、及び、植物を植えないものをそれぞれ準備した。試験に用いたエバーフレッシュの樹高は1.6mであり、シナモンの樹高は2.1mであった。各培地には、予め菌根菌であるアーバスキュラー菌根菌と、パートナー細菌であるBacillus sp. (KTCIGME01)NBRC109633菌株と、を添加した。
各キューブプランター型空気浄化装置は、鉛直方向に立てた内径80mm、高さ500mmの塩化ビニル製の芳香放出ユニットの下側に、内径50mm、長さ260mmの塩化ビニル製の横引きパイプが横向きに一本接続されている。また、芳香放出ユニットには、吸気ファンとして三洋電機製のSanAce60(最大風量0.62m3/min、最大静圧99Pa)を設置した。横引きパイプには、芳香放出ユニットと接続する一端から他端に向かって50mmの位置から55mmピッチで、一端側から他端に向かう順に12mm、14mm、16mm、18mmの径の吸気口を鉛直方向上側に設けた。各吸気口を通る風量が同等となるように予備実験による結果から各吸気口の径を決定した。各キューブプランター型空気浄化装置は、吸気ファンにより培地から吸気されて放出口から放出される空気の流動経路が、プランター、横引きパイプ及び芳香放出ユニットにより構成されるようにした。
予備実験は、吸気口の吸気ファンからの距離および口径により風量分布が異なることが予想されたので、本試験のシステムとは別にファンを設置した芳香放出ユニットを挟んで直線状の左右2方向にそれぞれの長さが600mmの横引きパイプ(内側管)を設置し、その横引きパイプ上に120mmピッチで片側5個の吸気口を設けたものを準備した。左右5個の吸気口の芳香放出ユニットの接続する部分からの距離は近い吸気口から順にそれぞれ吸気口位置E,Fは60mm、吸気口位置D,Gは180mm、吸気口位置C,Hは300mm、吸気口位置B,Iは420mm、吸気口位置A,Jは540mmとした。
図7は、横引きパイプ上の片側3ヶ所毎(吸気口位置B,D,G,Iの吸気口は閉鎖)の吸気口位置と各吸気口位置での流速との関係を表した図である。吸気口E,Fの径を34mmとし、吸気口位置C,Hの径を41mm、吸気口位置A,Jの径を44mmとした。図7における吸気口位置AからJは、吸気口位置E,Fの間に芳香放出ユニットが位置し、左右に向かって吸気口位置EからA、及び、吸気口位置FからJに向かって芳香放出ユニットから遠くなる。予備実験における各吸気口位置の流速は、吸気口位置A,Jで0.73m/sであり、吸気口位置C,Hで0.80m/sであり、吸気口位置Eで0.93m/sであり、吸気口位置Fで0.97m/sであった。各吸気口位置の流速は3回測定した測定値の平均値から算出した。
予備実験の結果、吸気ファンが設置してある芳香放出ユニットに近い場所で流速が大きく、芳香放出ユニットから離れた場所で流速が小さくなることを確認した。その値は吸気ファンが設置してある芳香放出ユニットからの距離に反比例する傾向が見られた。この予備実験における各吸気口の吸気速度(流速)の測定結果から、各吸気口における吸気量と差圧の関係を表す式を用いて吸気口での風量が一定になるような吸気口の径を決定した。
次に、準備したそれぞれのエバーフレッシュ、シナモン、植物無の空気浄化装置を中心として、縦2m×横2m×高さ2.4mの試験用チャンバーで囲った。試験用チャンバーは、対向する側壁同士の一方の1組(2面)がアルミフレームで、他方の1組(2面)がアクリル板で構成されているものを使用した。床はタイル、天井は、複合パネルで構成され、天井の内側の面には、十分な光を植物に照射するためにLED照明装置を設置した。LED照明装置の照度は5,700ルクスとした。試験用チャンバーは、内側の面にはVOC(揮発性有機化合物)の吸着を抑制する機能を有するフィルムを貼付した。
この試験用チャンバーの外側に、ホルムアルデヒドが入れられた小型ボックスを設置し、さらに、吸気ファンとは別のファンを小型ボックスと試験用チャンバーとの間に設置した。ファンは、小型ボックスに入れたホルムアルデヒドを一定量、試験用チャンバー内に供給することができ、本試験では、ホルムアルデヒドを2ppmとなるまで各試験用チャンバー内に供給し、その後、ファンを止めた。試験用チャンバーには、ホルムアルデヒドの分布が均一となるようにサーキュレータが設けられ、連続運転させた。
ホルムアルデヒド濃度を試験用チャンバー内に2ppmとし、CO2濃度が1,000ppmとなるように供給した後、試験用チャンバー内に設置された、温度センサー、湿度センサー、CO2センサー及びホルムアルデヒド濃度測定器によって、5分間隔で連続測定を行った。
試験結果を図8から図10に示す。図8(a)は、エバーフレッシュを用いたキューブプランター型空気浄化装置の経過時間とホルムアルデヒド濃度(ppm)との関係を表した図であり、図8(b)は、図8(a)の各時間におけるホルムアルデヒド除去率(%)を表した図である。図9(a)は、シナモンを用いたキューブプランター型空気浄化装置の経過時間とホルムアルデヒド濃度(ppm)との関係を表した図であり、図9(b)は、図9(a)の各時間におけるホルムアルデヒド除去率(%)を表した図である。図10(a)は、エバーフレッシュを用いたキューブプランター型空気浄化装置の経過時間とCO2濃度(ppm)との関係を表した図であり、図10(b)は、図10(a)の各時間におけるCO2除去率(%)を表した図である。ホルムアルデヒド除去率(%)は、1から、測定時のホルムアルデヒド濃度(ppm)を初期のホルムアルデヒド濃度(ppm)で除した値を引いて、その引いた値に100を乗じた値である。CO2除去率(%)は、1から、測定時のCO2濃度(ppm)から初期のCO2濃度(ppm)を除した値を引いて、その引いた値に100を乗じた値である。図8(a)、図9(a)、図10(a)は、経過時間5分毎にホルムアルデヒド濃度またはCO2濃度の測定値の点をプロットして各点をつないだものである。
図8(a)および図8(b)に示すように、エバーフレッシュを用いたキューブプランター型空気浄化装置は、植物無の培地(図8(a)の線L1で示す)のときの、ホルムアルデヒド除去率は、経過時間5時間で15.7%、植物有の培地で吸気ファンOFF(図8(a)の線L2で示す)のときの、ホルムアルデヒド除去率は、経過時間5時間で38.2%、植物有の培地で吸気ファンON(図8(a)の線L3で示す)のときの、ホルムアルデヒド除去率は、経過時間5時間で86.5%であった。さらに、植物有の吸気ファンOFFのときの、ホルムアルデヒド除去率は、経過時間10時間で62.0%、植物有の吸気ファンONのときの、ホルムアルデヒド除去率は、経過時間10時間で92.7%であった。
図9(a)および図9(b)に示すように、シナモンを用いたキューブプランター型空気浄化装置は、植物無の培地無(空室、図9(a)の線L4で示す)のときの、ホルムアルデヒド除去率は、経過時間5時間で15.9%、植物無の培地で吸気ファンOFF(図9(a)の線L5で示す)のときの、ホルムアルデヒド除去率は、経過時間5時間で24.6%、植物無の培地で吸気ファンON(図9(a)の線L6で示す)のときの、ホルムアルデヒド除去率は、経過時間5時間で60.7%、植物有の培地で吸気ファンOFF(図9(a)の線L7で示す)のときの、ホルムアルデヒド除去率は、経過時間5時間で66.8%、植物有の培地で吸気ファンON(図9(a)の線L8で示す)のときの、ホルムアルデヒド除去率は、経過時間5時間で90.7%であった。さらに、植物無の培地で吸気ファンOFFのときの、ホルムアルデヒド除去率は、経過時間8時間で33.3%、植物無の培地で吸気ファンONのときの、ホルムアルデヒド除去率は、経過時間8時間で74.7%、植物有の培地で吸気ファンOFFのときの、ホルムアルデヒド除去率は、経過時間8時間で78.8%、植物有の培地で吸気ファンONのときの、ホルムアルデヒド除去率は、経過時間8時間で93.7%であった。
図10(a)および図10(b)に示すように、エバーフレッシュを用いたキューブプランター型空気浄化装置は、植物無の培地(図10(a)の線L9で示す)のときの、CO2除去率は、経過時間1時間で4.0%、植物有の培地で吸気ファンOFF(図10(a)の線L10で示す)のときの、CO2除去率は、経過時間1時間で3.3%、植物有の培地で吸気ファンON(図10(a)の線L11で示す)のときの、CO2除去率は、経過時間1時間で4.0%であった。さらに、植物無の培地のときの、CO2除去率は、経過時間3時間で7.9%、植物有の培地で吸気ファンOFFのときの、CO2除去率は、経過時間3時間で8.1%、植物有の培地で吸気ファンONのときの、CO2除去率は、経過時間3時間で9.8%であった。
シナモンを用いたキューブプランター型空気浄化装置の試験の結果より、空室(植物無+培地無)のときよりも植物無の培地のときのほうが、ホルムアルデヒド濃度(ppm)が経過時間と共に低減することがわかった。植物無の培地のときよりも、植物有の培地のときのほうがホルムアルデヒド濃度(ppm)およびCO2濃度(ppm)が経過時間と共に低減し、植物有の培地のうち、吸気ファンがOFFのときより、吸気ファンがONのときのほうがホルムアルデヒド濃度(ppm)およびCO2濃度(ppm)は経過時間と共に低減することがわかった。植物無のときでもホルムアルデヒド濃度(ppm)およびCO2濃度(ppm)がわずかに低減しているのは、完全な密閉状態ではなかったからと推察される。また、植物無より、植物有のほうがホルムアルデヒド濃度(ppm)およびCO2濃度(ppm)が低減したのは、植物の根の根圏の菌根菌およびパートナー細菌がホルムアルデヒドを分解、吸収する作用、及び、根や培地がCO2を吸収する作用によるものと推察される。なお、経過時間2.5時間まで植物有の培地でファンOFFのときが植物無の培地のときよりCO2除去率が低かったのは、植物が光合成を行い、CO2を吸収するまでに多少時間がかかったためと推察される。
さらに、植物有の培地のうち吸気ファンがOFFのときよりも、吸気ファンONのときのほうがホルムアルデヒド濃度(ppm)およびCO2濃度(ppm)が低減したのは、より多くの汚染空気を培地に送り、菌根菌およびパートナー細菌によるホルムアルデヒドの分解、除去する作用を促進したためと推察される。また、エバーフレッシュを用いたキューブプランター型空気浄化装置よりもシナモンを用いたキューブプランター型空気浄化装置のほうが全体的にホルムアルデヒド除去率よりも高かったのは、各植物の葉面積の違いによるものと推察される。
エアロゾル(ダスト、フューム、ミスト、スモーク)の中で生物由来の浮遊物質は粒径が0.1~30μmのバイオエアロゾル(ウイルス、細菌、真菌、ウイルス飛沫、花粉など)とよばれ、細かい粒径のバイオエアロゾルはより大きな固体の粉塵に付着して浮遊しているものもある。本システムの後処理段階に用いる植物から抽出された芳香成分(芳香性ハーブであるみかん、オレンジ、レモンなどの柑橘類、ティーツリー、ひのきなどから抽出された安全・安心なエッセンシャルオイル)は除菌・消臭効果が高く、抗ウイルス効果もあることが確認されている(Mohamed N.B.、William N.S.2020)。
次に、ウイルスや細菌よりも粒径の大きいダニやカビ等の真菌やPM2.5などのバイオエアロゾルを想定した本システムのエアロゾルの除去効果(前処理段階と後処理段階)を確認するために粉塵除去試験(試験2)を行った。粒径1~5μmのダニやカビなどのバイオエアロゾルを線香の煙(粒径0.4~1μm)で代用した。模擬バイオエアロゾルとして線香の煙を試験1と同じ試験用チャンバー内で焚き、粉塵の初期濃度が2~3mg/m3程度になるまで放出し、デジタル粉塵計(SIBATA LD-5R)により5分間隔で約2時間測定を行った。試験は、キューブプランター型空気浄化装置を置かないもの(空室、図11(a)の線L12で示す)、プランターにハイドロカルチャー用の培地のみを充填させてファンを動作させないもの(植物無+培地+ファンOFF、図11(a)の線L13で示す)、プランターにハイドロカルチャー用の培地のみを充填させてファンを動作させたもの(植物無+培地+ファンON、図11(a)の線L14で示す)、プランターにハイドロカルチャー用の培地を充填させて植物を植えファンを動作させたもの(植物有+培地+ファンON、図11(a)の線L15で示す)、最下流側にファイルターを備えプランターにハイドロカルチャー用の培地を充填させて植物を植えファンを動作させたもの(植物有+培地+ファンON+フィルター、図11(a)の線L16で示す)とした。植物には、試験1と同じエバーフレッシュを用いて試験を行った。
試験2の測定結果を図11(a)及び図11(b)に示す。図11(a)は、本試験においてエバーフレッシュを用いたキューブプランター型空気浄化装置の経過時間と粉塵濃度との関係を表した図であり、図11(b)は、図11(a)の各時間における粉塵除去率を表した図である。粉塵除去率(%)は、1から、測定時の粉塵濃度(mg/m3)から初期の粉塵濃度(mg/m3)を除した値を引いて、その引いた値に100を乗じた値である。図11(a)は、経過時間5分毎に粉塵濃度の測定値の点をプロットして各点をつないだものである。空室と植物無+培地+ファンOFFとの差はわずかで、植物無の培地で吸気ファンをOFFの状態での培地表面の吸着は無視できる程度であることを示す。一方、植物無の培地で吸気ファンOFFの場合に1時間経過時に粉塵除去率は25.6%で、植物無の培地で吸気ファンONの場合に1時間経過時に粉塵除去率は31.9%であった。その差約6%が培地表面のみでなく培地全体による粉塵除去効果と考えられる。
植物有の培地で吸気ファンをONにした場合に高い除去効果が見られた。これは培地の除去効果に加え、植物によるホルムアルデヒドの除去効果と考えられる。植物有の培地で吸気ファンをONにしてフィルター無の場合、1時間経過後で37.8%、2時間経過後で59.2%の除去率となった。一方、植物有の培地で吸気ファンONにしてフィルター有の場合は、1時間経過時で43.0%、2時間経過時で64.1%の高い除去効果が見られた。
植物の有無による違いをみると、1時間経過後の除去率は、吸気ファンをONにしたフィルター無のもので植物有のほうが植物無のものよりが約6%高かった。これは植物による粉塵除去効果と考えられる。以上の結果から、本装置は粉塵等の浮遊微粒子の除去にも優れた効果があることが分かった。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
上記各実施形態では、培地3としてシリカソイル、レカトン、パフカルチップを例示したが、他の材料を使用しても良い。他の材料としては、例えば、ヤシガラやハイドロボールなどが例示される。この場合、培地3(多孔質材料)の粒径としては、例えば、3mmから10mmが例示される。培地3の各材料の粒径は、所望の培地3の通気性により調整することが可能である。即ち、培地3の各材料の粒径が等しいものであれば、培地3の通気性は大きくなり、培地3の各材料の粒径を異なるものであれば、培地3の通気性は小さくなる。また、培地3の各材料の粒径を大きくすることで培地3の通気性が大きくなる。例えば、上記パイププランター型空気浄化装置において、ファン13から遠い側のプランター5内に充填される培地3の各材料の粒径を、ファン13から近い側のプランター5内に充填される培地3の各材料の粒径よりも大きくする。この場合、ファン13からの距離によらずに各培地3の通気性を均等に近づけて、各吸気口2bから吸気する量を均等にすることができる。
上記各実施形態では、芳香放出ユニット4に使用する多孔質材料6としてゼオライトを例示したが、他の材料を使用しても良い。他の材料としては、例えば、多孔質セラミック材料などが例示される。
上記のパイププランター型の装置では、吸気口2bがプランター5の外周壁において周方向の全周にわたって形成される場合を説明したが、周方向の一部のみに形成されていても良い。例えば、パイプ18内における循環空気1aの芳香放出ユニット4へ向けた流動方向の下流側を向く側(芳香放出ユニット4を向く側)のプランター5の外周壁のみに吸気口2bを形成しても良い。これにより、プランター5内の培地3の上面から汚染空気14を吸い込みやすくできる。また、本実施形態では、潅水用スリット2aと、吸気口2bと、が分かれているものについて説明したが、潅水用スリット2aと、吸気口2bとが一体のものであっても良い。
上記のキューブプランター型の装置において、横引きパイプ17は、パイプ18の場合と同様に、設置空間に合わせて、エルボーやチーズなどの種々の継手を用いて自由なレイアウトが可能である。
上記実施形態において、ファン13で培地3の空気を吸気する空気浄化装置を説明したが、ファン13は、吸気ファンに代えて吸気口2b,16へ外側からの空気を送風する送風ファンを採用しても良い。この場合、送風ファンによって放出口11の外側から吸気口2b,16および培地3を通過して培地3の外側へ流れる空気の流動経路中において、培地3よりも下流側に、芳香放出ユニット4が配置される。この場合の流動経路も、プランター5,22、パイプ18(又は横引きパイプ17)及び芳香放出ユニット4により構成される。