JP2014082387A - 光起電力素子の製造方法及び光起電力素子 - Google Patents

光起電力素子の製造方法及び光起電力素子 Download PDF

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Abstract

【課題】光起電力素子の変換効率を増加させる。
【解決手段】n型単結晶シリコン基板1の第1の面1Aにp型の非晶質シリコン層2pを形成する工程と、この上に第1の電極を形成する工程と、第2の面1Bに第2の電極を形成する工程とを備えた光起電力素子の製造方法であって、第1及び第2の電極を形成する工程の少なくとも一方が、透光性電極を形成する工程と、集電電極を形成する工程とを含む。そしてこの透光性電極を形成する工程が、金属酸化物を母材とする透光性初期層4t1を形成する工程と、透光性初期層4t1をシードに、シードと同じ金属酸化物を母材とする透光性導電膜4t2を結晶成長させる工程とを含む。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光起電力素子の製造方法及び光起電力素子に係り、特に、結晶シリコン基板の一方の面にp層を配置し、他方の面にn層を配置したヘテロ接合型の光起電力素子の製造方法及び光起電力素子に関する。
近年、単結晶シリコン基板や多結晶シリコン基板などの結晶系シリコン基板を用いた結晶シリコン系光起電力素子(以下、単に光起電力素子と呼ぶ場合がある)の開発が盛んに行われている。特に、単結晶シリコン基板を用いたものは、光起電力効率が優れており、シリコンウェハの低価格化に伴って普及が進展している。設置面積の限られた都市部の住宅用途などでは、さらなる光起電力効率の改善が求められている。
ヘテロ接合型セルは、結晶系シリコン基板と非晶質シリコン薄膜を組み合わせたもので、一般的な結晶シリコン系光起電力素子に比べて開放電圧が高く、高い光起電力効率を有している。結晶系シリコン基板上に薄膜非晶質シリコンを形成したことから、ハイブリッド型とも呼ばれる技術である。
具体的な構成は、例えばn型単結晶シリコン基板の表面側にi型非晶質シリコン層、その上に正極となるp型非晶質シリコン層、透光性の受光面側電極及び集電電極が順次形成され、裏面側には負極となるn型非晶質シリコン層、裏面電極及び集電電極が順次形成されている。
一般に、2つの電極によって光起電力を生成するための半導体層を挟持する構造を有する光起電力素子では、半導体層でより多くの光を吸収させるため、半導体層の両面に形成される電極は透光性電極材料を使用する。光起電力素子の受光面側に形成される受光面側電極は透光性でなければならないのは当然であるが、裏面側に形成される裏面電極に関しても透光性材料が使用される。金属を主な材料とする集電電極の金属成分が半導体層へ拡散するのを防ぐため、また、半導体層で吸収されずに通過してきた光を、半導体層へ効率よく閉じ込めるためである。
略板状の光起電力素子の少なくとも受光面側に、該面側の表面より透光性電極、非晶質又は微晶の導電型半導体層及び結晶系半導体基板の積層構造を有した光起電力素子において、透光性電極としてキャリア密度が6×1020/cm3未満である透光性材料を用いた技術が開示されている(例えば特許文献1)。
これは、透光性電極のキャリア密度が透光性電極の光吸収率、特に800nm以上の赤外光の光吸収率と関係しているためである。一般に透光性電極のキャリア密度が増加すると、800nm以上の赤外光の光吸収率が増える。そのため、透光性電極を光起電力素子に用いる場合は、キャリア密度をなるべく低減させる必要がある。
特開2002−299658号公報
しかし、キャリア密度を低減させると、透光性電極の抵抗率が増加してしまうという問題がある。光起電力素子に用いられている透光性電極の抵抗率が増加した場合、光起電力素子の直列抵抗が増加してしまい、曲線因子が低下するため、光起電力素子の変換効率が低下してしまうという問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、透光性電極の光吸収を低減しつつ、直列抵抗の増大を低減し、変換効率の高い光起電力素子及びその製造方法を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、第1導電型の結晶系半導体基板の第1の面に第2導電型の非晶質又は微結晶半導体層を形成する工程と、前記第2導電型の非晶質又は微結晶半導体層上に第1の電極を形成する工程と、第1導電型の結晶系半導体基板の第2の面に第2の電極を形成する工程とを備えた光起電力素子の製造方法であって、前記第1及び第2の電極を形成する工程の少なくとも一方が、透光性電極を形成する工程と、集電電極を形成する工程とを含み、前記透光性電極を形成する工程が、金属酸化物を母材とする透光性初期層を形成する工程と、前記透光性初期層をシードに、前記シードと同じ金属酸化物を母材とする透光性導電膜を結晶成長させる工程とを含むことを特徴とする。
本発明によれば、光起電力素子に使用される透光性電極の抵抗率及び光吸収を低減させることができ、それによって光起電力素子の変換効率を向上させることができるという効果を奏する。
図1は、本発明の実施の形態1にかかる光起電力素子の構造を示す断面図である。 図2−1は、本発明の実施の形態1にかかる光起電力素子の製造工程を示す断面図である。 図2−2は、本発明の実施の形態1にかかる光起電力素子の製造工程を示す断面図である。 図2−3は、本発明の実施の形態1にかかる光起電力素子の製造工程を示す断面図である。 図2−4は、本発明の実施の形態1にかかる光起電力素子の製造工程を示す断面図である。 図2−5は、本発明の実施の形態1にかかる光起電力素子の製造工程を示す断面図である。 図3は、本発明の実施の形態1にかかる光起電力素子の製造工程を示すフローチャートである。 図4は、本発明の実施の形態1にかかる光起電力素子の製造工程の要部を示すフローチャートである。 図5は、本発明の実施の形態2にかかる光起電力素子の製造工程の要部を示すフローチャートである。 図6は、本発明の実施の形態3にかかる光起電力素子の構造を示す断面図である。 図7−1は、本発明の実施の形態3にかかる光起電力素子の製造工程を示す断面図である。 図7−2は、本発明の実施の形態3にかかる光起電力素子の製造工程を示す断面図である。 図7−3は、本発明の実施の形態3にかかる光起電力素子の製造工程を示す断面図である。 図8は、本発明の実施の形態3にかかる光起電力素子の製造工程を示すフローチャートである。
以下に、本発明にかかる光起電力素子の製造方法、光起電力素子の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す図面においては、理解の容易のため、各部材の縮尺が実際とは異なる場合がある。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる光起電力素子の構造を示す断面図である。基板の表面にテクスチャと呼ばれる凹凸構造が形成されたn型単結晶シリコン基板1に対し、受光面側である第1の面1Aには非晶質シリコン層2、及び第1の電極4が順次積層されており、裏面側である第2の面1Bには非晶質シリコン層3、第2の電極5が順次積層されている。ここで第1の電極4は、第1の透光性電極4t、及びグリッド状の第1の集電電極4mが順次積層され、第2の電極5は、第2の透光性電極5t、及び第2の集電電極5mが順次積層されて、形成されている。第1の面1A側の非晶質シリコン層2はi型非晶質シリコン層2i及びp型非晶質シリコン層2pからなり、第2の面1B側の非晶質シリコン層3はi型非晶質シリコン層3i及びn型非晶質シリコン層3nからなる。光電変換されるべき光は、p型非晶質シリコン層2p及びi型非晶質シリコン層2iが形成された第1の面1A側から入射される。そして受光面側1Aに形成される透光性導電膜4tが、2層膜で構成され、基板側つまり下層側の透光性初期層4t1に比べ、上層側の透光性導電膜4t2の移動度が大きいことを特徴とする。
このように構成された光起電力素子では、光起電力素子の表面側からn型単結晶シリコン基板1のpn接合面(n型単結晶シリコン基板1とp型非晶質シリコン層2pとの接合面)に光が照射されると、ホールと自由電子とが生成される。pn接合部の電界の作用により、生成された自由電子はn型単結晶シリコン基板1に向かって移動し、ホールはp型非晶質シリコン層2pに向かって移動する。これにより、n型単結晶シリコン基板1は電子が過剰となり、p型非晶質シリコン層2pはホールが過剰となって光起電力が発生する。この光起電力は、pn接合を順方向にバイアスする向きに生じ、n型非晶質シリコン層3nに接続した裏面側の第2の透光性電極5tがマイナス極となり、p型非晶質シリコン層2pに接続した第1の透光性電極4tがプラス極となって、不図示の外部回路に電流が流れる。
上記構成によれば、第1の面1A側の第1の透光性電極4tとp型非晶質シリコン層2pとの接触抵抗を増加させること無く、第1の透光性電極4tにおける光吸収量を減少させ電流密度を増加させる光起電力素子を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態1の光起電力素子の製造工程を説明する。
まず、基板の表面にテクスチャが形成されたn型単結晶シリコン基板1の受光面側1Aにi型非晶質シリコン層2i及びp型非晶質シリコン層2pを順次形成する。i型非晶質シリコン層2iは、n型単結晶シリコン基板1のパッシベーション作用を有する他、その上に形成される非晶質シリコン層と単結晶シリコン基板との間でドーパントが相互に混入することを防ぐものである。
続いて、n型単結晶シリコン基板1の裏面側1Bにi型非晶質シリコン層3i及びn型非晶質シリコン層3nを順次形成する。i型非晶質シリコン層2i、i型非晶質シリコン層3i、p型非晶質シリコン層2p、n型非晶質シリコン膜3nの形成方法としてはプラズマCVD法が好適である。
次に、p型非晶質シリコン層2pの上に、透光性初期層4t1及び透光性導電膜4t2を順次形成する。透光性初期層4t1及び透光性導電膜4t2の形成方法としては、スパッタリング、イオンプレーティング及び蒸着などを用いることが出来る。そしてアニール工程を経て再結晶化が起こり、透光性初期層4t1をシードとし、より粒径の大きい透光性導電膜4t2が成長する。透光性初期層4t1はp型非晶質シリコン層2pに対して電気的に接続されるコンタクト層となる。
次に、n型非晶質シリコン層3nの上層に、第2の透光性電極5tを形成する。第2の透光性電極5tの形成方法は、スパッタリング、イオンプレーティング及び蒸着などを用いることが出来る。第2の透光性電極5tはn型非晶質シリコン層3nに対して電気的に接続されるコンタクト層となる。
次に、透光性導電膜4t2及び第2の透光性電極5tの直上にそれぞれグリッド状の第1の集電電極4m及び第2の集電電極5mを形成する。第1の集電電極4mと第2の集電電極5mを形成することで、ヘテロ接合型光起電力素子(太陽電池セル)が完成する。
以下、本発明の実施の形態1の光起電力素子の製造工程を詳細に説明する。図2−1〜図2−5はこの光起電力素子の製造工程図であり、図3は同光起電力素子の製造工程を示すフローチャートである。
ここで、基板としては、n型単結晶シリコン基板1を用いるが、通常、引き上げにより得られたインゴットをスライスすることにより切り出されたものであるため、表面に自然酸化膜、及び構造的欠陥、金属等による汚染をはらんでいる。このため、ここで用いられるn型単結晶シリコン基板1に対して洗浄及び、ダメージ層エッチングを行う(S1001)。
n型単結晶シリコン基板1に対し、洗浄、ダメージ層エッチングを行った後、n型単結晶シリコン基板1内の不純物を除去するためにゲッタリングを行う(S1002)。ゲッタリング工程では、処理温度1000℃程度のリンの熱拡散により形成されたリンガラス層に不純物を偏析させ、リンガラス層をフッ化水素等でエッチングする。
ゲッタリング後、基板表面での光反射損失を低減させる目的でKOH(水酸化カリウム)、NaOH(水酸化ナトリウム)、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)等のアルカリ性水溶液に浸漬し、異方性エッチング法によりn型単結晶シリコン基板1の表面に微細ピラミッド状の凹凸を形成する(S1003)。なお、図1、2−1〜2−5では、本実施の形態の構成の理解を容易にするため凹凸形状は描画せず、平坦とした。
テクスチャ形成後、ヘテロ接合界面となるn型単結晶シリコン基板1表面のパーティクル、有機物汚染、金属汚染を除去するために基板洗浄を実施する(S1004)。洗浄には、いわゆるRCA洗浄、SPM洗浄(硫酸過酸化水素水洗浄)、HPM洗浄(塩酸過酸化水素水洗浄)、DHF洗浄(希弗酸洗浄)、アルコール洗浄等を用いる。
ここでRCA洗浄とは、まずn型単結晶シリコン基板1を希フッ酸水溶液(HF)の中に入れ、表面の薄いシリコン酸化膜を溶出する。このときシリコン酸化膜が溶出すると同時に、その上に付着していた多くの異物も同時に取り去られる。さらに、アンモニア(NH4OH)+過酸化水素(H22)で、有機物、パーティクルなどを除去する。次いで塩酸(HC1)+過酸化水素(H22)で金属類を除去し、最後に超純水で仕上げを行う方法である。
上記のいずれかの洗浄方法を用いて、基板洗浄を行った後、ヘテロ接合、及び、pn、nn+接合を形成するために、n型単結晶シリコン基板1上に、順次各導電型の半導体層を形成する。上記テクスチャ形成工程、洗浄工程を経て得られたn型単結晶シリコン基板1は、厚さ100〜500μmであった。
まず、図2−1に示すように、n型単結晶シリコン基板1の第1主面1Aに、プラズマCVD法を用いて約1〜10nmの厚さのi型非晶質シリコン層2i、及び約5〜50nmの厚さのp型非晶質シリコン層2pをこの順に堆積する(S1005:i型非晶質シリコン層形成、S1006:p型非晶質シリコン層形成)。i型非晶質シリコン層2iの成膜に際しては、真空チャンバー内にSiH4(シラン)ガス及びH(水素)ガスを導入して形成する。また、p型非晶質シリコン層2pの成膜に際しては、真空チャンバー内にSiH4ガス、H2ガス及びB26(ジボラン)ガスを導入して形成する。ここで、i型非晶質シリコン層2i、p型非晶質シリコン層2pはそれぞれ非晶質を用いているが、微結晶シリコンを用いてもよい。ここでi型非晶質シリコン層2iは、n型単結晶シリコン基板1のパッシベーション作用を有する他、その上に形成されるp型非晶質シリコン層2pとn型単結晶シリコン基板1との間でドーパントが相互に混入することを防ぐものである。
続いて、図2−2に示すように、n型単結晶シリコン基板1の第2の面1B側にプラズマCVD法を用いて約1〜10nmの厚さのi型非晶質シリコン層3i及び約5〜50nmの厚さのn型非晶質シリコン層3nをこの順に形成する(S1007:i型非晶質シリコン層形成,S1008:n型非晶質シリコン層形成)。i型非晶質シリコン層3iの成膜に際しては、真空チャンバー内にSiH(シラン)ガス及びH(水素)ガスを導入して形成する。また、n型非晶質シリコン層3nの成膜に際しては、真空チャンバー内にSiHガス、Hガス及びPH(ホスフィン)ガスを導入して形成する。また、i型非晶質シリコン層3i、n型非晶質シリコン層3nはそれぞれ非晶質を用いているが、微結晶シリコンを用いてもよい。なおp型非晶質シリコン層2pとn型非晶質シリコン層3nの形成順序は入れ替わっても良い。
次に、p型非晶質シリコン層2pの上に、図2−3に示すように、透光性初期層4t1を形成する(S1009a:透光性初期層形成)。続いて、図2−4に示すように、透光性導電膜4t2を形成する(S1009b:透光性導電膜形成)。このようにして透光性初期層4t1及び透光性導電膜4t2の2層膜からなる第1の透光性電極4tが形成される(S1009:第1の透光性電極形成)。この第1の透光性電極4tはp型非晶質シリコン層2pに対して電気的に接続されるコンタクト層となる。
透光性初期層4t1、透光性導電膜4t2の材料としては、ZnO(酸化亜鉛)、In(酸化インジウム)、SnO(酸化錫)及びTiO(酸化チタン)等の金属酸化物が望ましいが、透光性電極のコストを考えるとZnOが最も望ましい。これらの酸化物は、n型半導体の性質を有している。また、上記金属酸化物に導電性を高めるため、ドーパントを含有させたものを用いても良い。ドーパントの種類としては、ZnOにはAl、Ga、In、Ti、B及びF、InにはSn、Ti、Zn、Zr、Hf及びW、SnOにはIn、Ti、Sb及びF、TiOにはNb、Ta及びWが望ましい。透光性導電膜4t2の形成方法としては、プラズマCVDなどの化学的気相法及びスパッタリング、イオンプレーティングなどの物理的気相法などがあるが、大量生産においてはスパッタリング、イオンプレーティング及び蒸着が望ましい。また、透光性初期層4t1を形成する前に、フッ酸系溶液などでp型非晶質シリコン層2pの表面に形成されている自然酸化膜を除去することが望ましい。
次に、図2−5に示すように、n型非晶質シリコン層3nの上層に、透光性導電膜からなる第2の透光性電極5tを形成する(S1010:第2の透光性電極形成)。第2の透光性導電膜5tはn型非晶質シリコン層3nに対して電気的に接続されるコンタクト電極層となる。第2の透光性電極5tの形成には、同様にスパッタリング、イオンプレーティング及び蒸着などを用いることができる。ここで、第2の面1B側の第2の透光性電極5tの形成時には真空チャンバー内に窒素を導入するようにしてもよい。導入方法は、第2の透光性電極5tの形成開始から終了時にわたり、導入量が多くなるように窒素の流量を次第に増加させる。この方法により、n型非晶質シリコン層3nの表面を酸化させることなく、第2の透光性電極5tのキャリア濃度を減少させることができる。これにより、第2の面1B側でも透光性を向上しつつもコンタクト抵抗の低減をはかることができる。
次に、受光面側に位置する第1の透光性電極4t、裏面側の第2の透光性電極5tにそれぞれグリッド状の第1の集電電極4m、第2の集電電極5mを形成する。グリッド状の第1の集電電極4mと、第2の集電電極5mを形成する(S1011:集電電極形成)ことで、図1に示した、ヘテロ接合型の光起電力素子(太陽電池セル)が完成する。
ここで受光面側である第1の透光性電極の形成工程については図4にフローチャートを示すように、まず、第1のスパッタリング工程S1091aで、透光性初期層4t1となる第1層を形成し、第2のスパッタリング工程S1091bで、透光性導電膜となる第2層を成膜する。そして第2の透光性電極の形成工程S1010を経て第1の集電電極4m、第2の集電電極5mは銀ペーストをスクリーン印刷し(銀ペースト塗布:S1011a)、焼成する。この集電電極の焼成のためのアニール工程で透光性初期層4t1をシードとして酸化亜鉛が再結晶化し、透光性導電膜4t2となる(アニール:S1011S)。
このようにして、受光面側に位置する第1の透光性電極4t、裏面側の第2の透光性電極5tにそれぞれグリッド状の第1の集電電極4m、第2の集電電極5mが形成されると同時に、透光性初期層4t1と透光性導電膜4t2も再結晶化による、膜質の向上が得られコンタクト性に優れた電極となる。
なお、前記実施の形態では、i型非晶質シリコン層2i及びi型非晶質シリコン層3iの形成には、プラズマCVD法を用いたがCatCVD法等、他の方法を用いてもよい。CatCVD法は、プラズマCVD法に比べてプラズマダメージが小さいという点では有効である。i型非晶質シリコン層2i及びi型非晶質シリコン層3i形成前に、n型単結晶シリコン基板1上に形成されている自然酸化膜をフッ酸系溶液で除去するのが望ましい。
ところで透光性導電膜4t2及び透光性初期層4t1の材料としては、ZnO(酸化亜鉛)、In23(酸化インジウム)、SnO2(酸化錫)及びTiO2(酸化チタン)等の金属酸化物が望ましいが、透光性電極としてのコストを考えるとZnOが最も望ましい。これらの酸化物は、n型半導体の性質を有している。また、上記金属酸化物に導電性を高めるため、ドーパントを含有させたものを用いても良い。ドーパントの種類としては、ZnOにはAl、Ga、In、Ti、B及びFが望ましい。また、In23にはSn、Ti、Zn、Zr、Hf及びW、SnOにはIn、Ti、Sb及びFが望ましい。さらにまた、TiO2にはNb、Ta及びWが望ましい。透光性導電膜4t2の形成方法としては、プラズマCVDなどの化学的気相法及びスパッタリング、イオンプレーティングなどの物理的気相法などがあるが、大量生産においてはスパッタリング、イオンプレーティング及び蒸着が望ましい。また、透光性初期層4t1を形成する前に、フッ酸系溶液などでp型非晶質シリコン層2pの表面に形成されている自然酸化膜を除去することが望ましい。
第2の透光性電極5tの材料としては、透光性導電膜4t2及び透光性初期層4t1と同様の材料が望ましい。第2の透光性電極5tの形成方法としては、プラズマCVDなどの化学的気相法及びスパッタリング、イオンプレーティングなどの物理的気相法などがあるが、大量生産においてはスパッタリング、イオンプレーティング及び蒸着が望ましい。
一般に、化学的気相法及び物理的気相法で形成された膜は下地基板の影響を強く受けることが知られている。例えば、上記形成法で形成された酸化亜鉛膜は(002)面優先配向性をとることが知られているが、ガラス等の非晶質及び配向性の異なる基板上に形成した場合、下地の影響により膜の初期層部分は(002)面優先配向性にならず、また結晶粒径が小さくなってしまう。すると結晶粒界が多くなり、膜の移動度が低下してしまう。また、サファイア基板等、配向性が酸化亜鉛に近い基板を用いた場合、膜の初期層部分の結晶粒径が大きく、また結晶粒界が少なくなり、膜の移動度が増加する。さらに、膜の移動度を増加するために形成温度を上げる方法もあるが、光起電力素子上の非晶質シリコン層は220℃以上で再結晶化してしまうため、透光性電極を220℃以下望ましくは、200℃以下で結晶成長させる必要がある。
また、ガラス等の非晶質及び配向性の異なる基板上に、結晶粒界が大きくなるような条件で透光性導電膜を形成する場合、透光性導電膜となる金属酸化物の金属と酸素の比率を理想値に近づける必要がある。例えば酸化亜鉛の場合、亜鉛に比べて酸素が膜中から抜けやすいため、膜の形成中に酸素を添加する必要があるが、酸素を添加することでキャリア密度が大幅に低下してしまい、光起電力素子の直列抵抗が増加し、変換効率が低下してしまう。
上記理由から本実施の形態では、光起電力素子のp型非晶質シリコン層2p上に、透光性初期層4t1を形成し、この透光性初期層4t1をシードとして透光性導電膜4t2を成長させる。第1の透光性電極4tの結晶粒径及び移動度を増加させる。透光性初期層4t1の形成条件はスパッタリング法による製膜の場合、雰囲気圧力、雰囲気中酸素濃度及び不純物ドープ濃度等を透光性導電膜4t2と比べて変化させる。具体的には雰囲気圧力は、透光性初期層4t1の形成時に高くし、緻密な膜を形成しこの透光性初期層4t1をシードとして、雰囲気圧力をより低くして、透光性導電膜4t2を形成する。あるいは、酸素濃度を透光性初期層4t1の形成時に高くし、透光性導電膜4t2では低くする。あるいはまた、不純物ドープ濃度を透光性初期層4t1の形成時に低くし、透光性導電膜4t2では高くするなどの方法が用いられる。
グリッド状の第1の集電電極4mは、第1の透光性電極4tの直上に、スパッタリング蒸着、電子ビーム蒸着、スクリーン印刷等の方法を用いて形成する。第1の透光性電極4tは集電電極としての機能も有しているため、必ずしも第1の透光性電極4tの全面に第1の集電電極4mを形成しなくても良い。金属電極の材料としては、Ag(銀)、Al(アルミニウム)、Ti(チタン)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)などが望ましい。
さらに、第1の集電電極4m形成後、受光面の光反射率を低減させるために反射防止膜を透光性電極4t上に形成しても良い。反射防止膜としては、窒化珪素膜、酸化珪素膜、フッ化マグネシウム膜などを用いる。この場合、光起電力素子の短絡電流が最大となるように、反射防止膜と透光性電極4tそれぞれの膜厚を調整する。また反射防止膜は第1の集電電極4m形成前に予め透光性電極4t上に直接形成しても構わない。
第2の集電電極5mは、第2の透光性電極5tの直上に、スパッタリング蒸着、電子ビーム蒸着、スクリーン印刷等の方法を用いて形成する。第2の透光性電極5tは集電電極としての機能も有しているため、必ずしも第2の透光性電極5tの全面に第2の集電電極5mを形成しなくても良い。金属電極の材料としては、Ag(銀)、Al(アルミニウム)、Ti(チタン)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)などが望ましい。
この場合、光起電力素子の受光面から入射した光が裏面側まで到達した場合に第2の集電電極5mが無いと、反射光を利用できない。そのため、第2の集電電極5mを部分的に形成した光起電力素子の完成後、モジュール化する際に、裏面側に白色板などの反射部材を設置することが望ましい。
本実施形態の光起電力素子によれば、p型非晶質シリコン層2pと透光性初期層4t1との接合界面での抵抗が小さいため、光起電力素子の直列抵抗が低下し曲線因子が増加する。さらに、キャリア濃度が低減しているため、光起電力素子への光吸収量が増加し、電流密度が増加する。その結果、光起電力素子の光電変換効率が向上する。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
実施例1.
この実施例1では実施の形態1の方法で光起電力素子を作製し、特性を評価した。本発明の実施例1にかかる光起電力素子の構造は実施の形態1において図1に示した断面図のとおりである。n型単結晶シリコン基板1には、第1の面1Aの結晶方位が(100)で、寸法が10cm×10cm×t200μmの正方形ウエハを用いた。作製プロセスは、次の通りである。
まずNaOH水溶液にて、基板表面にピラミッド状のテクスチャ構造を形成した。基板洗浄後、n型単結晶シリコン基板1の第1の面1A側にi型非晶質シリコン層2i、p型非晶質シリコン層2pをCVD法にて順次形成し、第2の面1B側にi型非晶質シリコン層3i、n型非晶質シリコン層3nをCVD法にて順次形成した。表1は、上記の形成膜の製膜条件で、製膜チャンバー内に導入するガスの組成と、圧力、投入電力の一覧である。
Figure 2014082387
次に、n型非晶質シリコン層3n上に酸化亜鉛の第2の透光性電極5tをRFスパッタリングにて70nm形成した。酸化亜鉛に対するドープ条件その他の形成条件を表2に示す。
Figure 2014082387
次に、第1の面1A側のp型非晶質シリコン層2p上に酸化亜鉛からなる透光性初期層4t1及び透光性導電膜4t2を順次RFスパッタリングにて順次形成した。形成条件を表2に示す。透光性初期層4t1及び透光性導電膜4t2の形成条件を表3に示す。表3に示すとおり、実施例1では透光性初期層4t1の酸素濃度のみを変化させている。また、透光性初期層4t1を形成せず、透光性導電膜4t2のみ形成したものを比較例1としている。実施例1−1、1−2、1−3ではそれぞれ透光性初期層4t1の酸素濃度を0%、3%、10%とそれぞれ変化させた。透光性初期層のAlドープ濃度はすべて1%、チャンバー圧力は0.3Pa、膜厚は10nmとした。透光性導電膜4t2は、すべて酸素濃度を0%、Alドープ濃度は1%、チャンバー圧力は0.16Pa、膜厚は60nmとした。
Figure 2014082387
最後に、グリッド状の第1の集電電極4m及び第2の集電電極5mをスクリーン印刷で形成した。材料はAgペーストを用い、印刷後に乾燥炉にて200℃で1時間乾燥させた。また、実施例及び比較例の透光性初期層4t1及び透光性導電膜4t2の単膜特性も評価するため、透光性初期層4t1及び透光性導電膜4t2をガラス基板上に形成した。形成後、アルゴン雰囲気にて200℃で1時間アニールを行った。
表4は、実施例1−1、1−2、1−3及び比較例1におけるガラス基板上単膜特性及び光起電力素子特性を示す表である。規格化と記してある値は、全て比較例1の値を1として規格化されている。
ガラス基板上単膜特性として、ホール効果測定を行い、抵抗率、キャリア密度及びホール移動度を評価した。さらにX線回折装置を用いて、酸化亜鉛の優先配向面である002面の半値幅(FWHM)を測定した。
光起電力素子特性として、短絡電流密度(Jsc)、曲線因子(FF)及び変換効率(Eff)をソーラーシミュレーターを用いて評価した。
Figure 2014082387
表4に示すとおり、実施例1−2及び1−3にて規格化移動度が1を越えている。また、FWHMが比較例1に比べ減少している。以上より、透光性初期層4t1を形成することにより、透光性導電膜4t2の結晶粒径が増加し、移動度が増加したと推測される。また、透光性初期層4t1を形成することで、比較例1に比べキャリア濃度が低下している。これは、透光性導電膜4t2に比べ、高い圧力で形成したためであると考えられる。
以上のように、実施例1−2及び1−3にて抵抗率及びキャリア濃度が比較例1と比べ低下しており、光起電力素子特性にて、比較例1を越える短絡電流密度、曲線因子及び変換効率を得ることができた。実施例1−1においても曲線因子及び変換効率は若干低くなったが比較例1を越える短絡電流密度を得ることができた。
実施例2.
この実施例2では実施の形態1の方法で光起電力素子を作製し、特性を評価した。透光性導電膜4t2及び透光性初期層4t1の形成条件以外は、全て実施例1と同様の形成条件とした。p型非晶質シリコン層2p上に酸化亜鉛の透光性初期層4t1及び透光性導電膜4t2をRFスパッタリングにて順次形成した。透光性初期層4t1及び透光性電極4t2の形成条件を表5に示す。表5に示すとおり、実施例2では透光性初期層4t1のAlドープ濃度のみを変化させている。また、透光性初期層4t1を形成せず、透光性導電膜4t2のみ形成したものを、実施例1と同じく比較例1としている。
Figure 2014082387
また、実施例及び比較例の透光性初期層4t1及び透光性導電膜4t2の単膜特性も評価するため、透光性初期層4t1及び透光性導電膜4t2をガラス基板上に形成した。形成後、アルゴン雰囲気にて200℃で1時間アニールを行った。表6は、実施例2−1、2−2、2−3及び比較例1におけるガラス基板上単膜特性及び光起電力素子特性を示す表である。規格化と記してある値は、全て比較例1の値を1として規格化されている。
Figure 2014082387
表6に示すとおり、実施例2−1、2−2及び2−3にて規格化移動度が1を越えている。また、FWHMが比較例1に比べ減少している。以上より、透光性初期層4t1を形成することにより、透光性導電膜4t2の結晶粒径が増加し、移動度が増加したと推測される。また、透光性初期層4t1を形成することで、比較例1に比べキャリア濃度が低下している。これは、透光性導電膜4t2に比べ、高圧力かつ高酸素濃度で形成したためだと考えられる。
以上より、実施例2−1、2−2及び2−3にて抵抗率及びキャリア濃度が比較例1と比べ低下しており、光起電力素子特性にて、比較例1を越える短絡電流密度、曲線因子及び変換効率を得られた。特に、透光性初期層4t1のAlドープ濃度を3%とした実施例2−3において、比較例1と比べ変換効率が7%改善した。
実施例3.
この実施例3では実施の形態1の方法で光起電力素子を作製し、特性を評価した。透光性導電膜4t2及び透光性初期層4t1の形成条件以外は、全て実施例1と同様の形成条件とした。
p型非晶質シリコン層2p上に酸化亜鉛の透光性初期層4t1及び透光性導電膜4t2をRFスパッタリングにて順次形成した。透光性初期層4t1及び透光性導電膜4t2の形成条件を表7に示す。表7に示すとおり、実施例3では透光性初期層4t1の形成時圧力のみを変化させている。また、透光性初期層4t1を形成せず、透光性導電膜4t2のみ形成したものを、実施例1と同じく比較例1としている。
表7において、透光性初期層4t1の形成時圧力に比べ、透光性導電膜4t2の形成時圧力を同じか低く設定している。スパッタリング法による製膜においては圧力を下げるほど緻密な膜ができるとされている。このため、低圧力で形成した透光性初期層4t1上に高圧力で形成した透光性導電膜4t2は、透光性初期層なしで形成した透光性導電膜4t2に比べると緻密な膜が出来ず、透光性電極膜の高移動度化が見込めない。このため、実施例は全て高圧力で形成した透光性初期層4t1上に、低圧力で形成した透光性導電膜4t2を形成する条件とした。
Figure 2014082387
また、実施例及び比較例の透光性初期層4t1及び透光性導電膜4t2の単膜特性も評価するため、透光性初期層4t1及び透光性導電膜4t2をガラス基板上に形成した。形成後、アルゴン雰囲気にて200℃で1時間アニールを行った。
表8は、実施例3−1、3−2、3−3及び比較例1におけるガラス基板上単膜特性及び光起電力素子特性を示す表である。規格化と記してある値は、全て比較例1の値を1として規格化されている。
Figure 2014082387
表8に示すとおり、実施例3−2及び3−3にて規格化移動度が1を越えている。また、FWHMが比較例1に比べ減少している。以上より、透光性初期層4t1を形成することにより、透光性導電膜4t2の結晶粒径が増加し、移動度が増加したと推測される。また、透光性初期層4t1を形成することで、比較例1に比べキャリア濃度が低下している。これは、比較例1の透光性電極に比べ、高圧力かつ高酸素濃度で形成したためだと考えられる。
以上より、実施例3−2及び3−3にて抵抗率が比較例1と比べ低下しており、実施例3−1、3−2及び3−3にてキャリア濃度が比較例1と比べ低下している。故に光起電力素子特性にて、比較例1を越える短絡電流密度及び変換効率を得られた。
なお、再結晶化のためのアニール温度は、150〜220℃、望ましくは200℃以下とする。非晶質シリコン層の劣化を防ぐため、上限は低いほうがよい。酸化インジウムに関しては比較的低温(150度以上)で結晶化するが、酸化亜鉛に関しては、温度が高い方が結晶化度は上がるため、アニール温度を高くするのが望ましい。
実施の形態2.
前記実施の形態1では、第1の透光性電極の形成にあたり、透光性初期層4t1、透光性導電膜4t2のいずれもスパッタリング法で形成し、集電電極のアニール工程で再結晶化させるようにしたが、本実施の形態では、図5に要部のフローチャートを示すように、透光性初期層4t1、透光性導電膜4t2のいずれもCVD法で形成したことを特徴とするものである。
すなわち図5に示すように、n型非晶質シリコン層形成後、第1の透光性電極の形成ステップS1009においてまず、酸素濃度が3%、Alドープ濃度1.00%とし、10nmの透光性初期層4t1を形成する(第1のCVD工程:S1092a)。
ついでこの透光性初期層4t1をシードとして、酸素濃度が0%、Alドープ濃度1.00%とし、60nmの透光性導電膜4t2を形成する(第2のCVD工程:S1092b)。このとき、透光性初期層4t1をシードとして、配向性が良好で粒径の大きい透光性導電膜4t2が形成される。そして受光面側1Aに形成される透光性導電膜4tが、2層膜で構成され、基板側つまり下層側の透光性初期層4t1に比べ、上層側の透光性導電膜4t2の移動度が大きくなっていることを特徴とする。従って、アニール工程なしに所望の特性の透光性電極が得られる点が、実施の形態1の第1の透光性電極と異なる点である。そして第2の透光性電極の形成(S1010)、集電電極の形成(S1011)は、実施の形態1と同様であるためここでは説明を省略する。全体としても図1に示した太陽電池と同様であり、工程断面図についても図2−1から図2−5に示したものと同様である。
実施の形態によれば、透光性電極の抵抗率及び光吸収を低減させることができ、それによって光起電力素子の変換効率を向上させることができる。
この工程では集電電極は実施の形態1と同様、アニール工程を含むものを用いているが、アニール工程を使用しない、スパッタリング法による金属電極の形成などを用いて集電電極を用いてもよい。
また本実施の形態2においても、実施の形態1と同様、酸素濃度、Alドープ濃度、雰囲気圧力など、種々の条件についても透光性初期層に対して透光性導電膜の条件を変化させることで、所望の特性を得ることが可能となる。
さらにまた、透光性初期層4t1を形成する第1のCVD工程S1092aと透光性導電膜4t2を形成する第2のCVD工程S1092bとを同一チャンバー内で真空を破ることなく、徐々に供給ガスの組成を変化させて、透光性初期層4t1と透光性導電膜4t2とに相当する組成傾斜層4gとして、形成してもよい。
実施の形態3.
前記実施の形態1、2では、第1の透光性電極の形成にあたり、透光性初期層4t1、透光性導電膜4t2の2層構造としたが、本実施の形態では、図6に全体構成を示すように、2層構造の透光性電極に代えて、膜厚方向に組成の異なる組成傾斜層4gを形成したことを特徴とする。
以下、本発明の実施の形態3の光起電力素子の製造工程を詳細に説明する。図7−1〜図7−3はこの光起電力素子の製造工程図であり、図8は同光起電力素子の製造工程を示すフローチャートである。
すなわち図8にフローチャートを示すように、ステップS1008のn型非晶質シリコン層形成工程までは、実施の形態1と同様であり、ステップS1008の後、第1の透光性電極の形成ステップS1009として組成傾斜層を形成する(S1009g)。この工程では、まず、酸素濃度が3%とし、徐々に酸素濃度を小さくし、最後に酸素0%、Alドープ濃度1.00%し、70nmの組成傾斜層4gからなる第1の透光性導電膜を形成する(組成傾斜層の形成:S1009g)。
つまり、図7−1に示すように、n型単結晶シリコン基板1の第1主面1Aに、プラズマCVD法を用いて約1〜10nmの厚さのi型非晶質シリコン層2i、及び約5〜50nmの厚さのp型非晶質シリコン層2pをこの順に堆積する(S1005:i型非晶質シリコン層形成,S1006:p型非晶質シリコン層形成)。
続いて、図7−2に示すように、n型単結晶シリコン基板1の第2の面1B側にプラズマCVD法を用いて約1〜10nmの厚さのi型非晶質シリコン層3i及び約5〜50nmの厚さのn型非晶質シリコン層3nをこの順に形成する(S1007:i型非晶質シリコン層形成,S1008:n型非晶質シリコン層形成)。
次に、p型非晶質シリコン層2pの上に、図7−3に示すように、組成傾斜層4gを形成する(組成傾斜層の形成:S1009g)。このとき、徐々に組成を変化させているため配向性が良好で粒径の大きい透光性導電膜4gが形成される。このようにして受光面側1Aに形成される透光性電極4tが、組成傾斜層で構成され、基板側つまり下層側に比べ、上層側の透光性導電膜の移動度が大きくなっている。そして第2の透光性電極5tの形成(S1010)、集電電極4m、5mの形成(S1011)は、実施の形態1と同様であるためここでは説明を省略する。
実施の形態3によっても、透光性電極の抵抗率及び光吸収を低減させることができ、それによって光起電力素子の変換効率を向上させることができる。
この工程では集電電極は実施の形態1と同様、アニール工程を含むものを用いているが、アニール工程を使用しない、スパッタリング法による金属電極の形成などを用いて集電電極を用いてもよい。
また本実施の形態3においても、実施の形態1、2と同様、酸素濃度、Alドープ濃度、雰囲気圧力など、種々の条件についても透光性初期層に対して透光性導電膜の条件を変化させることで、所望の特性を得ることが可能となる。
なお、結晶系半導体基板としては、単結晶シリコン基板、多結晶シリコン基板などの結晶シリコン基板の他、透光性導電膜を用いる構成の光起電力素子であれば、シリコンカーバイド基板などのシリコン化合物基板をはじめとする結晶シリコン系基板などにも適用可能である。真性又は各導電型の非晶質シリコン層についても、透光性導電膜を用いる構成の光起電力素子であれば、微結晶シリコン系薄膜、多結晶シリコン系薄膜などの結晶系薄膜にも適用可能である。
また、前記実施の形態では、受光面側に位置する第1の透光性電極に対してのみ、透光性初期層と透光性導電膜との2層構造としたが、裏面側に位置する第2の透光性電極、あるいは両方について2層構造としてもよい。
以上のように、本発明にかかる光起電力装置素子の製造方法及び光起電力装置素子は、受光面側の透光性電極と半導体層との接触抵抗を増加させること無く、光吸収量を減少させ電流密度を増加させ、曲線因子及び光起電力効率に優れた光起電力装置の実現に有用である。
1 n型単結晶シリコン基板、2i i型非晶質シリコン層、2p p型非晶質シリコン層、3i i型非晶質シリコン層、3n n型非晶質シリコン層、4t1 透光性初期層、4t2 透光性導電膜、4t 透光性電極、4m 第1の集電電極、5t 透光性電極、5m 第2の集電電極。

Claims (17)

  1. 第1導電型の結晶系半導体基板の第1の面に第2導電型の非晶質又は微結晶半導体層を形成する工程と、
    前記第2導電型の非晶質又は微結晶半導体層上に第1の電極を形成する工程と、
    第1導電型の結晶系半導体基板の第2の面に第2の電極を形成する工程とを備えた光起電力素子の製造方法であって、
    前記第1及び第2の電極を形成する工程の少なくとも一方が、
    透光性電極を形成する工程と、
    集電電極を形成する工程とを含み、
    前記透光性電極を形成する工程が、
    金属酸化物を母材とする透光性初期層を形成する工程と、
    前記透光性初期層をシードに、前記シードと同じ金属酸化物を母材とする透光性導電膜を結晶成長させる工程とを含むことを特徴とする光起電力素子の製造方法。
  2. 前記結晶成長させる工程は、
    前記透光性導電膜を成膜する工程と、
    熱処理により前記透光性導電膜を再結晶化する工程とを含むことを特徴とする請求項1に記載の光起電力素子の製造方法。
  3. 前記透光性導電膜を成膜する工程は、
    スパッタリング法により前記透光性導電膜を成膜する工程であることを特徴とする請求項2に記載の光起電力素子の製造方法。
  4. 前記再結晶化する工程は、
    150℃から220℃で熱処理を行なう工程であることを特徴とする請求項3に記載の光起電力素子の製造方法。
  5. 前記結晶成長させる工程は、
    CVD法により前記透光性初期層をシードに透光性導電膜を成膜する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の光起電力素子の製造方法。
  6. 前記透光性初期層を形成する工程と、
    前記透光性導電膜を形成する工程は、同一チャンバー内で連続的に実施されることを特徴とする請求項1に記載の光起電力素子の製造方法。
  7. 前記透光性初期層を形成する工程は、
    前記透光性導電膜を形成する工程に比べて、酸素の供給量が多いことを特徴とする請求項6に記載の光起電力素子の製造方法。
  8. 前記透光性初期層を形成する工程は、
    前記透光性導電膜を形成する工程に比べて、高いドープ濃度で形成する工程であることを特徴とする請求項6又は7に記載の光起電力素子の製造方法。
  9. 前記透光性初期層を形成する工程は、
    前記透光性導電膜を形成する工程に比べて、高い雰囲気圧力で形成する工程であることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の光起電力素子の製造方法。
  10. 前記透光性初期層を形成する工程と、
    前記透光性導電膜を形成する工程は、スパッタリング法であり、前記透光性初期層を形成する工程から、酸素の供給量を連続的に少なくして実施されることを特徴とする請求項6に記載の光起電力素子の製造方法。
  11. 前記透光性導電膜を形成する工程は、前記透光性初期層を形成する工程から、連続的に、ドープ濃度を高くして形成する工程であることを特徴とする請求項6又は10に記載の光起電力素子の製造方法。
  12. 前記透光性導電膜を形成する工程は、前記透光性初期層を形成する工程から、連続的に、雰囲気圧力を低くして形成する工程であることを特徴とする請求項6、10、11のいずれか1項に記載の光起電力素子の製造方法。
  13. 前記第1の電極が、受光面側に配置され、
    前記第1の電極を形成する工程のみが、前記透光性初期層を形成する工程と前記透光性導電膜を形成する工程とを含むことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の光起電力素子の製造方法。
  14. 第1導電型の結晶系半導体基板と、
    前記結晶系半導体基板の第1の面に形成された第2導電型の非晶質又は微結晶半導体層と、
    前記第2導電型の非晶質又は微結晶半導体層上に形成された第1の電極と、
    前記結晶系半導体基板の第2の面に形成された第2の電極とを含む光起電力素子であって、
    前記第1及び第2の電極の少なくとも一方が、
    透光性電極と、集電電極とを含み、
    前記透光性電極が、
    金属酸化物を母材とする前記透光性初期層と、
    前記透光性初期層をシードに、前記シードと同じ金属酸化物を母材として結晶成長により形成されたことを特徴とする光起電力素子。
  15. 前記透光性初期層は前記透光性導電膜に比べ、酸素の含有率が多いことを特徴とする請求項14に記載の光起電力素子。
  16. 前記透光性初期層は、前記透光性導電膜に比べ、高いドープ濃度を有することを特徴とする請求項14又は15に記載の光起電力素子。
  17. 前記第1の電極が、受光面側に配置され、
    前記第1の電極のみが、前記透光性初期層を前記透光性導電膜とを含むことを特徴とする請求項14〜16のいずれか1項に記載の光起電力素子。
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