JP2014082364A - 半導体発光素子及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 透光性基板の一つの主面上に半導体層を有し、半導体層が形成される主面とは対向する第2主面に反射層を有する半導体発光素子において、透光性基板と、反射層との剥離を抑制することのできる半導体発光素子を提供する。
【解決手段】 透光性基板の第2主面に接して形成される第1金属層と、前記第1金属層の周囲において、少なくとも前記透光性基板の第2主面又は側面に接して形成される第2金属層と、前記第2金属層上に形成される第3金属層と、を有し、前記第1金属層は、前記第2金属層よりも前記発光層の発光ピーク波長に対する反射率が高く、前記第2金属層は、前記透光性基板との密着力が、前記第1金属層と前記透光性基板との密着力より大きいことを特徴とする半導体発光素子である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、透光性基板の主面上に半導体層を有するとともに、透光性基板の主面と反対側の面に金属層を有する半導体発光素子及びその製造方法に関する。
特許文献1には、透光性基板上に発光層を含む複数の半導体層が積層されるとともに、前記透光性基板の裏面に前記発光層により発生された光を反射する反射層が形成されたことを特徴とする半導体発光素子が記載されている。また、特許文献1には、反射層は、金属膜又は異なる屈折率を有する2つの誘電体層が交互に積層された誘電体反射膜であることが記載されている。
また、特許文献2には、基板の上にIII族窒化物系化合物半導体より成る複数の半導体層が結晶成長により積層された半導体発光素子において、前記基板の発光層が位置する側とは反対側の面に、透光性の金属酸化物又は透光性のセラミックスより成る透光層と、前記発光層から放出される光を前記基板側に反射する金属製の反射層と、金属酸化物又はセラミックスより成る耐蝕層とを順次積層することにより、鏡部が形成されていることを特徴とするIII族窒化物系化合物半導体発光素子が記載されている。
また、特許文献3には、第1主面と第2主面とを備える透光性基板の前記第1主面上に、少なくとも発光層を有する半導体発光素子構造を有する半導体発光素子であって、前記第2主面上に、前記半導体発光素子構造の前記発光層から放出された光を反射する反射層と、前記反射層の前記透光性基板と反対側の上面及び側面を被覆する第2金属層と、前記第2金属層の前記反射層と反対側の上面に設けられた接着層と、を有することを特徴とする半導体発光素子が記載されている。また、特許文献3には、前記反射層は、Al、Ag、Al合金、Ag合金、Rh及びPtから選択されるいずれか一種からなること、前記金属酸化物として、SiO、TiO、Nbなどを用いることができることができることが記載されている。
特開平10−270754号公報 特開2001−284642号公報 特開2010−199335号公報
しかしながら、透光性基板に光を反射するための金属層を設ける場合、互いの材質が異なるために透光性基板と金属層との密着力が弱く、金属層の周縁部で剥離しやすいという問題がある。特に、サファイア基板を透光性基板として、その表面にAgからなる金属層を形成する場合には、金属層の周縁部のみならず、金属層がサファイア基板から剥離してしまうという問題が生じることがある。
そこで、上述の問題を解決するために、本発明は、半導体層が形成される主面と反対側の面に金属層を有する半導体発光素子において、透光性基板と、金属層との剥離を抑制することのできる半導体発光素子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
本発明に係る構成は、第1主面と、第2主面と、前記第1主面及び前記第2主面に接する側面とを備える透光性基板と、前記透光性基板の第1主面側に形成される半導体層と、を有する半導体発光素子であって、前記透光性基板の第2主面に接して形成される第1金属層と、前記第1金属層の周囲において、少なくとも前記透光性基板の第2主面又は側面に接して形成される第2金属層と、前記第2金属層上に形成される第3金属層と、を有し、前記第1金属層は、前記第2金属層よりも前記発光層の発光ピーク波長に対する反射率が高く、前記第2金属層は、前記透光性基板との密着力が、前記第1金属層と前記透光性基板との密着力より大きいことを特徴とする半導体発光素子である。なお、第2金属層の代わりに誘電体多層膜を用いることもできる。
本発明により、透光性基板の一つの主面上に半導体層を有し、半導体層が形成される主面とは反対側の面に金属層を有する半導体発光素子において、透光性基板と、金属層との剥離を抑制することのできる半導体発光素子を得ることができる。
本発明の第1実施形態の半導体発光素子の構造の一例を示す模式図であり、(a)は第3金属層側から見た模式的平面図であり、(b)は、(a)のA−A’線における模式的断面図である。 本発明の第1実施形態に係る半導体発光素子の製造工程の一例を示す模式的断面図である。 本発明の第1実施形態に係る半導体発光素子の製造方法において、第1金属層及び第1金属層被覆層を形成する工程の変形例を説明するための模式的断面図である。 本発明の第2実施形態に係る半導体発光素子の構造の一例を示す模式的断面図である。 本発明の第2実施形態に係る半導体発光素子の製造工程の一例を示す模式的断面図である。 本発明の第3実施形態に係る半導体発光素子の構造の一例を示す模式的断面図である。 本発明の第3実施形態に係る半導体発光素子の製造工程の一例を示す模式的断面図である。 本発明の第3実施形態に係る半導体発光素子の製造工程の、別の一例を示す模式的断面図である。 本発明の第4実施形態に係る半導体発光素子の構造の一例を示す模式的断面図である。 本発明の第4実施形態に係る半導体発光素子の構造の、別の一例を示す模式的断面図である。
図面を参照して、本発明の実施形態に係る半導体発光素子100を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための態様を例示するものであって、本発明を以下のものに限定しない。実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は限定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。また、図面が示す各要素の大きさや位置関係等は、説明を明確にするために誇張していることがある。
半導体発光素子100は、第1主面と、第2主面と、第1主面及び第2主面に接する側面1aとを備える透光性基板1と、透光性基板1の第1主面側に形成される、少なくとも発光層3を有する半導体層20とを有する。本発明の半導体発光素子100は、反射層として、透光性基板1の第2主面に接して形成される第1金属層8を有する。本発明の半導体発光素子100は、さらに、第1金属層8の周囲において、少なくとも透光性基板1の第2主面又は側面1aに接して形成される第2金属層9を有する。
第2金属層9は、第2主面及び側面1aからなる透光性基板1の表面の少なくとも一部に接して形成される。なお、図1に示す例では、第2金属層9は、第2主面の一部に接して形成される様子を示している。また、図4に示す例では、密着部9a及び被覆部9bからなる第2金属層9のうち密着部9aが、第2主面の一部に接して形成される様子を示している。また、図6に示す例では、第2金属層9が、側面1aの一部に接して形成される様子を示している。図9及び図10に示す例では、第2金属層9の代わりに誘電体多層膜19を用いた例を示している。図1、図6、図9及び図10に示すように、第2金属層9及び誘電体多層膜19は、第2主面又は側面1aに接する部分を有しつつ、第1金属層8を囲うように覆っている。
なお、図1、図9及び図10に示す例では、第2金属層9又は誘電体多層膜19が、透光性基板1の表面のうち、第2主面のみに接して形成されている。この結果、第2金属層9又は誘電体多層膜19と、透光性基板1との密着性を確実に得ることができる。
本発明の半導体発光素子100において、第2金属層9及び誘電体多層膜19は、透光性基板1との密着力が、第1金属層8と透光性基板1との密着力より大きい。したがって、第2金属層9又は誘電体多層膜19と、透光性基板1との密着は強固である。そのため、第2金属層9によって第1金属層8の透光性基板1に対する密着力を補強することができる。この結果、本発明の半導体発光素子100において、透光性基板1の第2主面に接して形成される第1金属層8(反射層)の剥離を抑制することができる。また、第1金属層8は、第2金属層9よりも発光層3の発光ピーク波長に対する反射率が高いので、第1金属層8による高い反射率を維持しつつ、第2金属層9によって第1金属層8の透光性基板1に対する密着力を補強することができる。
また、本発明の半導体発光素子100において、第3金属層11を、第2金属層9の第1金属層8とは反対側の第2金属層9上に形成することにより、高い密着性で半導体発光素子100と実装基板とを接合することができる。
なお、上述の本発明の半導体発光素子100は、次の構成A及びBである半導体発光素子100とすることができる。
構成Aの半導体発光素子100は、第1主面と、第2主面と、前記第1主面及び前記第2主面に接する側面1aとを備える透光性基板1と、前記透光性基板1の第1主面側に形成される半導体層20と、を有する半導体発光素子100であって、前記透光性基板1の第2主面に接して形成される第1金属層8と、前記第1金属層8の周囲において、少なくとも前記透光性基板1の第2主面又は側面1aに接して形成され、前記第1金属層8とは異なる材料を含む第2金属層9と、前記第2金属層9上に形成される第3金属層11と、を有する。
構成Bの半導体発光素子100は、第1主面と、第2主面と、前記第1主面及び前記第2主面に接する側面1aとを備える透光性基板1と、前記透光性基板1の第1主面側に形成される半導体層20と、を有する半導体発光素子100であって、前記透光性基板1の第2主面に接して形成される第1金属層8と、前記第1金属層8の周囲において、少なくとも前記透光性基板1の第2主面又は側面1aに接して形成される誘電体多層膜19と、前記誘電体多層膜19上に形成される第3金属層11と、を有する。
上述の構成A及びBにおいて、好ましくは、前記第2金属層9又は前記誘電体多層膜19は、前記透光性基板1との密着力が、前記第1金属層8と前記透光性基板1との密着力より大きく、さらに前記第1金属層8は、Agを含む材料からなることが好ましい。
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
図1を参照して、第1実施形態の半導体発光素子100の構成について説明する。
図1(b)に示したように、第1実施形態の半導体発光素子100は、透光性基板1と、その透光性基板1の一方の主面(これを第1主面とする)上に、発光層3を有する半導体層20が設けられている。半導体層20は、例えば、窒化物半導体からなるn型半導体層2と発光層3とp型半導体層4とを積層した半導体の積層構造である。p型半導体層4の表面にはp側全面電極6とp側パッド電極7とが設けられている。また、半導体層20の一部が除去され、n型半導体層2が露出された露出面には、n側電極5が設けられている。
透光性基板1の他方の主面(すなわち第1主面の裏面であり、これを第2主面とする)上には、第1金属層8と、第1金属層被覆層12と、第2金属層9と、中間層10と、第3金属層11とが順次積層された積層構造30が設けられている。
図1(a)及び(b)に示したように、第1金属層8は、第2主面の中央部のみを覆っている。また、第1金属層被覆層12は、第1金属層8の上面(透光性基板1と反対側の面)及び側面を被覆するように接して設けられている。
さらに、第2金属層9は、第1金属層被覆層12の上面(透光性基板1と反対側の面)及び側面を被覆し、かつ第1金属層8及び第1金属層被覆層12に覆われていない第2主面を被覆するように設けられている。すなわち、第2金属層9は、第2主面に接する部分を有しつつ、第2主面と第1金属層8の上面とを連続して覆うように形成されている。この結果、透光性基板1とともに、第1金属層8を囲うように覆うこととなり、第2金属層9によって第1金属層8の透光性基板1に対する密着力を補強することができる。
第2金属層9が、第2主面と第1金属層8の上面とを連続して覆うように形成されていることにより、第2金属層9による、第1金属層8の透光性基板1に対する密着力の補強を確実にできる。
なお、図1に示す例では、中間層10は、第一中間層15及び第二中間層16の二つの層からなる。
引き続き、図1を参照して各部の構成について詳細に説明する。
(透光性基板1)
透光性基板1は、半導体層20を形成するための部材であり、少なくとも半導体層20が発光する光の波長に対して透光性を有する材料、例えばサファイアやSiCなどの材料から選択される。
(半導体層20)
半導体層20は、少なくとも発光層3を有し、より好適には透光性基板1の第1主面上に第1導電型半導体、発光層3及び第2導電型半導体がこの順に形成される。本実施形態における半導体層20は、透光性基板1側から順に、n型半導体層2、発光層3及びp型半導体層4が積層された構成を有する。ただし、半導体発光素子100として機能する構成であれば、例えば、第1導電型半導体をp型半導体とし、第2導電型半導体としてn型半導体とするなど、他のどのような構成を採用してもよい。
半導体層20としては、具体例として後記する窒化ガリウム系化合物半導体の場合は、一般式InAlGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)のものを用いることができる。また、これに加えて、III族元素としてBが一部に置換されたものを用いてもよいし、V族元素としてNの一部をP、Asで置換されたものを用いてもよい。
(n側電極5、p側全面電極6及びp側パッド電極7)
第1実施形態においては、n側電極5はn型半導体層2と接触して形成され、p側全面電極6はp型半導体層4と接触して形成される。n側電極5は、半導体層20の上層の一部が除去されたn型半導体層2の露出面上に形成される。n側電極5は、半導体発光素子100に電流を供給するために、AuやAgなどからなる導電性ワイヤが接続されるパッド電極であり、例えばn型半導体層2の露出面側から順にW、Pt、Auが積層されてなる。なお、n側電極5を構成する材料は、n型半導体層2とオーミック接触することができる材料であれば、他の金属を組み合わせた積層物、合金等、他の材料を用いることもできる。
第1実施形態において、p側全面電極6は、半導体の積層構造の最上層であるp型半導体層4の上面に形成される。p側全面電極6は、p型半導体層4の上面の略全領域であって発光層3の略全領域に対応する領域に形成される。第1実施形態における半導体発光素子100は、主として電極配置面側から光を取り出す構成であるため、p側全面電極6が、発光層3から放出される光の波長において透光性を有することが好ましい。このような透光性と導電性とを兼ね備えた材料として、ITO(酸化インジウムスズ)、ZnO、p型半導体層4側から順にNi、Auを積層した金属薄膜、Ni、Auの合金の薄膜等を用いることができるが、p側全面電極6の材料は、p型半導体層4と、オーミック接触できる材料であれば、他の金属を組み合わせた積層物、合金等の、前記した材料以外の材料を用いることもできる。
p側パッド電極7は、p側全面電極6の一部の面上に設けられ、半導体発光素子100に電流を供給するため、AuやAgなどからなる導電性ワイヤが接続されるパッド電極である。p側パッド電極7は、n側電極5と同様に、例えばW、Pt、Au等を積層して形成することができる。
(第2主面上の積層構造30)
本発明の第1実施形態の半導体発光素子100において、透光性基板1の第2主面上には、第1金属層8と、第1金属層被覆層12と、第2金属層9と、中間層10と、第3金属層11とが順次積層された積層構造30が設けられている。
第1金属層8は、半導体層20の発光層3から放出され、透光性基板1を透過してきた光を上方に反射するための反射層である。図1に示す例では、第1金属層8は、透光性基板1の第2主面の中央部のみを覆っている。なお、半導体発光素子100として光取り出し効率を高くする点から、第1金属層8は、透光性基板1の第2主面をなるべく広く覆うことが好ましい。ただし、第2金属層9と透光性基板1との十分な密着性を確保するのに必要な面積を確保するために、透光性基板1の第2主面の周辺部には、第1金属層8が配置されないことが好ましい。
第1金属層8の材料としては、半導体層20から放出される光に対して反射率の高い金属材料である、Ag、Ag合金、Rh及びPtから選択されるいずれか1種からなることが好ましい。特に、Agの反射率は高いため、第1金属層8の材料としてAgを用いることが好ましい。
本発明の第1実施形態の半導体発光素子100では、第2金属層9が、第1金属層8の周囲に形成される。また、第2金属層9は、第2主面及び側面1aからなる透光性基板1の表面の一部に接して形成される。図1に示す例では、透光性基板1との密着力の高い第2金属層9が、第2主面の一部に接して形成されている。第2金属層9が、第2主面に接する部分を有しつつ、第1金属層8を囲うように覆うことにより、第1金属層8の透光性基板1に対する密着力を補強することができる。そのため、透光性基板1の第2主面に接して形成される第1金属層8(反射層)の剥離を抑制することができる。
第2金属層9の材料は、Al、Ni、Ti、又はAl合金からなることが好ましい。第2金属層9の材料が、これらの金属材料であることにより、透光性基板1の表面に接する部分では、透光性基板1との高い密着力を得ることができる。また、第2金属層9が第1金属層8の周囲に形成されることにより、第2金属層9による、第1金属層8の透光性基板1に対する密着力の補強を確実にできる。
本発明の半導体発光素子100では、第1金属層8と、第2金属層9との間に、第1金属層8の材料が、第2金属層9側に拡散することを防止するための第1金属層被覆層12を有することが好ましい。第1金属層被覆層12を有することにより、第1金属層8の材料が、第2金属層9側に拡散することを防止することができるので、第1金属層8の反射層としての性能の低下を防止することができる。
第1金属層被覆層12は、Niからなることが好ましい。特に、第1金属層8の材料が、Agである場合には、Niを材料とする第1金属層被覆層12を形成することにより、第1金属層8の材料が、第2金属層9側に拡散することを防止することを確実にできる。
本発明の半導体発光素子100は、第2金属層9の第1金属層8とは反対側の上面に形成される第3金属層11を有する。図1に示す例では、第3金属層11は、中間層10の上面であって、透光性基板1の第2主面の最上面(図1(b)においては、半導体発光素子100の最下部)に設けられ、不図示の実装基板に半導体発光素子100を接合するための接着剤としての機能を有する。第3金属層11としては、Au−Sn、Pd−Snなどを用いることができるが、融点が低く安定性のよいAu−Snを用いることが好ましい。
本発明の半導体発光素子100は、第2金属層9と第3金属層11との間に、第3金属層11の材料が第1金属層8へ拡散することを防止するための中間層10を有することが好ましい。第2金属層9と第3金属層11との間に、第3金属層11の材料が第1金属層8へ拡散することを防止するための中間層10を有することにより、第3金属層11の材料が第1金属層8(反射層)に移動することが防止される。そのため、第1金属層8が第3金属層11の材料によって変色することがなく、発光層3から放出される光を効率よく第1金属層8によって反射することができる。
第3金属層11の材料が第1金属層8へ拡散することを確実に防止するために、中間層10は、第3金属層11と接するように形成される第二中間層16、及び第二中間層16と第2金属層9との間に配置される第一中間層15のいずれか一つの層、又は両方の層を含むことができる。
第一中間層15は、Ti、W及びそれらの合金から選択される1種を含む材料からなることが好ましい。第一中間層15がこれらの材料であることにより、第3金属層11を構成する材料が第2金属層9及び第1金属層8へ拡散することを良好に抑制することができる。
第二中間層16は、Pt、Rh及びそれらの合金から選択される1種を含む材料からなることが好ましい。この第2中間層16は、例えばAuを材料とする第3金属層11と混ざり合うことがあるが、第3金属層11に接して設けることで、第3金属層11の材料がこの第二中間層16を越えて透光性基板1側に設けられた第2金属層9及び第1金属層8に移動することを防止できる。
また、半導体層20が、窒化物半導体を用いて、特に青色などの短波長の光を発光するとともに、第3金属層11にAuを含む接着材料を用いる場合は、第1金属層8の透光性基板1側にAuが析出することは大きな問題となる。すなわち、Auは青色などの短波長側の光の吸収が大きいため、第1金属層8の透光性基板1側にAuが析出すると、第1金属層8による反射率が低下するとともに配光特性に大きく影響する。本発明の半導体発光素子100が、所定の第二中間層16を有することにより、このような第1金属層8による反射率及び配光特性への悪影響を防止することができる。
透光性基板1の第2主面には、第1金属層8及び第2金属層9が接して形成されているので、半導体層20から透光性基板1を第2主面方向に透過してきた光を第2主面方向に反射して、半導体発光素子100の外に取り出すことができる。反射率の高い第1金属層8によって、半導体層20の発光層3から放出される光を効率よく反射するために、少なくとも発光層3と対向する位置に、第1金属層8を設けることが好ましい。
(製造方法)
図1及び図2を参照して、本発明の第1実施形態の半導体発光素子100の製造方法について説明する。なお、第1実施形態では、図1に示す半導体発光素子100が二次元的に配列されたウエハ状態で各工程が実施され、チップ状に分割された半導体発光素子100が得られる。
第1実施形態の半導体発光素子100を製造するための製造工程は、透光性基板1の第1主面上に半導体層20を形成する工程と、透光性基板1の第2主面上に第1金属層8を含む積層構造30を形成する工程と、半導体発光素子100のチップに分割する工程と、を含む。本発明の半導体発光素子100の製造方法は、透光性基板1の第2主面上に第1金属層8を含む積層構造30を形成する工程が、所定の半導体層20が形成された透光性基板1の第2主面に対して、第1金属層8を、第2主面に接するように形成する第1金属層形成工程と、第2金属層9を、第1金属層8を覆い、かつ第2主面及び側面1aからなる透光性基板1の表面の一部に接するように形成する第2金属層形成工程とを含むことに特徴がある。以下、各工程について順次説明する。
(第1主面上に半導体層20を形成する工程)
半導体層20を形成する工程は、透光性基板1の第1主面上に、半導体の積層構造である半導体層20を形成する工程と、半導体層20に電極を形成する工程とを含む。
(半導体層20を形成する工程)
まず、透光性基板1の第1主面上に、MOCVD法等により、下地層を介して、SiをドープしたGaNからなるn型半導体層2、InGaNからなる発光層3、MgをドープしたGaNからなるp型半導体層4を順次積層して、半導体層20を形成する。
半導体層20、特に窒化物半導体層の成長方法は、特に限定されないが、例示すればMOVPE(有機金属気相成長法)、MOCVD(有機金属化学気相成長法)、HVPE(ハイドライド気相成長法)及びMBE(分子線エピキタシ法)など、窒化物半導体等の半導体の成長方法として知られている方法を用いることができる。特に、MOCVDは、結晶性よく半導体を成長させることができるので好ましい。
(半導体層20に電極を形成する形成する工程)
まず、エッチング等により、n側電極5を設けるための半導体層20のn型半導体層2を露出させた凹部を形成する。次に、この凹部の底面であるn型半導体層2の露出面にn側電極5を形成する。そして、p型半導体層4上にp側全面電極6を形成し、さらにp側全面電極6の一部にp側パッド電極7を形成する。
電極の形成方法としては、蒸着法、スパッタリング法等の公知の方法を用いることができる。n側電極5として、例えば、n型半導体層2側からW、Pt、Auを順に積層し、p側全面電極6としてITOを成膜し、p側パッド電極7としては、W、Pt、Auを積層する。それぞれ所望の形状にパターニングすることによって第1実施形態の半導体層20の電極とすることができる。なお、p側パッド電極7とn側電極5とに同じ材料を用いる場合には、p側パッド電極7とn側電極5とを同じ工程において形成することもできる。
(第2主面上に第1金属層8を含む積層構造30を形成する工程)
第1主面上に半導体層20を形成した後、裏面である第2主面上に第1金属層8を含む積層構造30を形成する。
第1金属層8を含む積層構造30を形成する工程では、まず、第1金属層形成工程を実施する。第1金属層形成工程では、チップ化する際の切断部となる領域を含めて、第1主面上の第2金属層9が形成される領域に、フォトリソグラフィ法により、レジスト膜50によるマスクパターンを設ける。次に、透光性基板1の第2主面側の全面に、スパッタリング法及び蒸着法などから選択される成膜方法により、所定の材料の第1金属層8を成膜する(図2(a))。成膜後に、レジスト膜50を除去することにより、所望の形状の第1金属層8が形成される(図2(b))。
次に、第1金属層8の形成と同様な手順で、第1金属層8を覆うように第1金属層被覆層12を形成する。すなわち、チップ化する際の切断部となる領域を含めて、第1主面上の第2金属層9が形成される領域に、フォトリソグラフィ法により、レジスト膜50によるマスクパターンを設ける。次に、透光性基板1の第2主面側の全面に、スパッタリング法や蒸着法などにより、第1金属層被覆層12の所定の材料を成膜する。成膜後に、レジスト膜50を除去することにより所望の形状の第1金属層被覆層12が形成される(図2(c))。
次に、チップ化する際の切断部を焦点46とするように、レーザー光44を透光性基板1に対して照射する(図2(d))。レーザー光44としては、例えばフェムト秒レーザーが挙げられる。なお、このときには、レーザー光44の照射のみを行い、チップ化するための切断は行わない。
次に、チップ化する際の切断部となる領域及び第1金属層8等が形成された領域を含めた第2主面上の全体に、スパッタリング法などにより、所定の材料によって第2金属層9を積層するための第2金属層形成工程を実施する(図2(e))。このとき、第1金属層8及び第1金属層被覆層12の外縁の外側の、透光性基板1の第2主面に接して、第2金属層9が形成される。その結果、第2金属層9は、第1金属層8及び第1金属層被覆層12を囲うように覆うことになる。
続いて、スパッタリング法や蒸着法などにより、第2金属層9を覆うように中間層10を形成する。中間層10が多層膜構成である場合には、第2金属層9を覆うように、例えば上述の所定の第一中間層15及び所定の第二中間層16を、順次材料を変えて積層し、中間層10を形成する(図2(e))。
さらに続けて、スパッタリング法や蒸着法などにより、所定の材料の第3金属層11を積層する(図2(e))。
以上のようにして、チップ化する際の切断部となる領域を含めた第1実施形態の半導体発光素子100が形成される(図2(e))。
ここで、図3を参照して、第1金属層8及び第1金属層被覆層12を形成する工程を簡略化する手法について説明する。
図3(a)に示したように、まず、透光性基板1の第2主面上に、互いに種類の異なるフォトレジストからなる第1レジスト51と第2レジスト52とによるマスクパターンを形成する。例えば、第1レジスト51として、有機溶剤に可溶なフォトレジストを用い、第2レジスト52として、アルカリ水溶液に可溶なフォトレジストを用いる。
次に、図3(b)に示したように、有機溶剤を用いて第1レジスト51を除去することにより、開口部52bが先細りした先細り部52aを有する第2レジスト52によるマスクパターンが残る。
次に、図3(c)に示したように、先細り部52aを有する第2レジスト52をマスクとして、Alなどの反射材料をスパッタリングすることにより、第2レジスト52の先細り部52aの一部を除去しながら、透光性基板1上に第1金属層被覆層12が形成される。このとき、先細り部52aによって第1金属層8の領域が制限されるために、透光性基板1の露出面1cを残しつつ、第1金属層8が形成される。
次に、図3(d)に示したように、第1金属層被覆層12の材料をスパッタリングすることにより、第2レジスト52の先細り部52aをさらに除去しながら、絶縁材料によって第1金属層被覆層12が、第1金属層8の上面に積層するとともに、透光性基板1の露出面上にも積層する。その結果、第1金属層8の上面及び側面を被覆する第1金属層被覆層12を形成することができる。これによって、第1金属層8及び第1金属層被覆層12を形成する工程を簡略化することができる。
(半導体発光素子100のチップに分割する工程)
図1及び図2に戻って、説明を続ける。透光性基板1の第1主面上に半導体層20が形成され、第2主面上に第1金属層8、第1金属層被覆層12、第2金属層9、中間層10及び第3金属層11を含む積層構造30が形成されると、レーザー光44を照射した切断部を切断し、個々の半導体発光素子100をチップ状に分割する。
以上、説明した製造方法によって、図1に示した第1実施形態の半導体発光素子100を製造することができる。なお、以上の説明は、本発明の半導体発光素子100の一実施形態に係る製造工程を順に説明するものであり、本発明はこれに限定されるものではない。
<第2実施形態>
図4を参照して、本発明の第2実施形態の半導体発光素子100の構成について説明する。例えば図4に示すように、第2実施形態における半導体発光素子100は、図1に示した第1実施形態の半導体発光素子100と比べ、第2金属層9が、密着部9a及び被覆部9bの二つの部分からなることが異なる。
図4を参照して、第2実施形態の半導体発光素子100の構成について説明する。なお、図1に示した第1実施形態における半導体発光素子100と同じ構成要素については、同じ符号を付して説明は適宜省略する。
図4に示したように、第2実施形態の半導体発光素子100は、透光性基板1と、その透光性基板1の一方の主面(第1主面)上に、発光層3を有する半導体層20が設けられている。透光性基板1及び半導体層20は、第1実施形態の半導体層20と同様のものを用いることができる。
本発明の第2実施形態の半導体発光素子100は、透光性基板1の他方の主面(第2主面)上には、第1金属層8と、第1金属層被覆層12と、第2金属層9と、中間層10と、第3金属層11とが順次積層された積層構造30が設けられている。第2実施形態の第1金属層8、第1金属層被覆層12、中間層10及び第3金属層11は、第1実施形態の半導体層20と同様のものを用いることができる。第2実施形態の半導体発光素子100の第2金属層9は、第1実施形態のものとは異なるので、次に説明する。
本発明の第2実施形態の半導体発光素子100は、第2金属層9が、第2主面に接している部分のみに形成される密着部9aと、第1金属層8の上面全体に接して形成される被覆部9bとからなる。すなわち、密着部9a及び被覆部9bからなる第2金属層9は、第2主面と第1金属層8の上面とを連続して覆うように形成される。さらに、密着部9a及び被覆部9bの材料が、同一又は異なる材料を用いることができる。特に、密着部9a及び被覆部9bの材料に、異なる材料を用いる場合、材料の選択性の自由度を高めることができるので好ましい。
本発明の第2実施形態の半導体発光素子100では、第2金属層9の密着部9aが、第2主面の一部に接して形成されている。密着部9aの材料は、Al、Ni、Ti、Al合金又はAg合金からなることが好ましい。密着部9aの材料が、これらの金属材料であることにより、透光性基板1の表面に接する部分において、透光性基板1との高い密着力を得ることができる。透光性基板1がサファイア基板である場合には、密着部9aの材料として、サファイア基板と密着性の良い材料、例えばAl及びAg合金などから選択して用いることが好ましい。
本発明の第2実施形態の半導体発光素子100では、第2金属層9の被覆部9bが、第1金属層8の透光性基板1とは反対側の上面を覆い、かつ密着部9aの透光性基板1とは反対側の上面全体に接して形成される。被覆部9bの材料は、第1実施形態の第2金属層9の材料と同様に、Al、Ni、Ti、又はAl合金からなることが好ましい。密着部9a及び被覆部9bの材料は、同一であってもよいし、又は異なる材料であることもできる。したがって、本発明の第2実施形態の半導体発光素子100では、第2金属層9の材料の選択性の自由度を高めることができる。
被覆部9b及び密着部9aの材料が、それぞれ上述の材料からなる場合には、被覆部9bと、密着部9aとの間には、高い密着力を得ることができる。この結果、第2金属層9の密着部9aが、第2主面に接する部分を有しつつ、第2金属層9の被覆部9bとともに、第1金属層8を囲うように覆うことにより、第1金属層8の透光性基板1に対する密着力を補強することができる。そのため、透光性基板1の第2主面に接して形成される第1金属層8(反射層)の剥離を抑制することができる。
以上のような構造を有する本発明の第2実施形態の半導体発光素子100は、第1実施形態における半導体発光素子100と同様に動作することができる。そのため、発光層3から様々な方向に放出される光を、p側全面電極6を透過して半導体発光素子100の外に取り出すことができる。
(製造方法)
図4及び図5を参照して、本発明の半導体発光素子100の第2実施形態の製造方法について説明する。なお、第2実施形態でも、図1に示す半導体発光素子100が二次元的に配列されたウエハ状態で各工程が実施され、チップ状に分割された半導体発光素子100が得られる。
(第1主面上に半導体層20を形成する工程)
半導体層20を形成する工程は、透光性基板1の第1主面上に、半導体層20を形成する工程と、半導体層20に電極を形成する工程とを含む。半導体層20及びその電極は、第1実施形態の製造方法と同様な方法により形成することができる。
(第2主面上に第1金属層8を含む積層構造30を形成する工程)
第1主面上に半導体層20が形成されると、裏面である第2主面上に第1金属層8を含む積層構造30を形成する。第1金属層8及び第1金属層被覆層12は、第1実施形態の製造方法と同様な方法により、形成することができる。
次に、第1実施形態の製造方法と同様に、チップ化する際の切断部を焦点46とするように、レーザー光44を透光性基板1に対して照射する(図5(a))。なお、このときには、レーザー光44の照射のみを行い、チップ化するための切断は行わない。
次に、チップ化する際の切断部となる領域を含めて、第1金属層8及び第1金属層被覆層12が形成されていない第2主面上に、スパッタリング法などにより、所定の材料によって第2金属層9の密着部9aを積層する(図5(b))。このとき、第1金属層8及び第1金属層被覆層12の表面にレジスト膜50を形成し、密着部9aの形成後、レジスト膜50を剥離することにより、第1金属層8及び第1金属層被覆層12の表面への密着部9aの形成を避けることができる。
次に、チップ化する際の切断部となる領域及び第1金属層8等が形成された領域を含めた第2主面上の全体に、スパッタリング法などにより、所定の材料によって第2金属層9の被覆部9bを積層する(図5(c))。その結果、密着部9a及び被覆部9bからなる第2金属層9は、第1金属層8及び第1金属層被覆層12を囲うように覆うことになる。
続いて、第1実施形態の製造方法と同様に、スパッタリング法や蒸着法などにより、中間層10及び第3金属層11を形成する。
以上のようにして、チップ化する際の切断部となる領域を含めた第2実施形態の半導体発光素子100が形成される。半導体発光素子100は、透光性基板1の第1主面上に半導体層20が形成され、第2主面上に第1金属層8、第1金属層被覆層12、第2金属層9(密着部9a及び被覆部9b)、中間層10及び第3金属層11を含む積層構造30が形成されている。第1実施形態の製造方法と同様に、レーザー光44を照射した切断部を切断し、個々の半導体発光素子100をチップ状に分割する。
以上、説明した製造方法によって、図4に示した第2実施形態の半導体発光素子100を製造することができる。
<第3実施形態>
図6を参照して、本発明の第3実施形態の半導体発光素子100の構成について説明する。例えば図6に示すように、第3実施形態における半導体発光素子100は、図1に示した第1実施形態の半導体発光素子100に対して、第1金属層8が、第2主面の全面に形成され、第2金属層9が、側面1aに接して形成されることが異なる。
図6を参照して、第3実施形態の半導体発光素子100の構成について説明する。なお、図1に示した第1実施形態における半導体発光素子100と同じ構成要素については、同じ符号を付して説明は適宜省略する。
図6に示したように、第3実施形態の半導体発光素子100は、透光性の透光性基板1と、その透光性基板1の一方の主面(第1主面)上に、発光層3を有する半導体層20が設けられている。透光性基板1及び半導体層20は、第1実施形態の半導体層20と同様のものを用いることができる。
本発明の第3実施形態の半導体発光素子100は、透光性基板1の他方の主面(第2主面)上には、第1金属層8が第2主面の全面に積層され、さらに、第2金属層9と、中間層10と、第3金属層11とが、側面1aにまで回り込むように第2主面の全面に順次積層されて形成された積層構造30が設けられている。
本発明の第3実施形態の第1金属層8は、第2主面の全面に形成される。反射率の高い第1金属層8が、透光性基板1の第2主面の全体を直接覆うことにより、半導体層20の発光層3から放出され、透光性基板1を透過してきた光を、より高効率で上方に反射することができる。第1金属層8の材料としては、第1実施形態の場合と同様の材料を用いることができる。
本発明の第3実施形態の半導体発光素子100では、第2金属層9が、第1金属層8の周囲に形成され、さらに側面1aに接して形成される。図6に示す例では、透光性基板1との密着力の高い第2金属層9が、第1金属層8の上面に接するようにその周囲に形成され、さらに側面1aの一部に接して形成されている。第2金属層9が、側面1aに接する部分を有しつつ、第1金属層8を囲うように覆うことにより、第1金属層8の透光性基板1に対する密着力を補強することができる。そのため、透光性基板1の第2主面に接して形成される第1金属層8(反射層)の剥離を抑制することができる。
第2金属層9の材料は、Al、Ni、Ti、又はAl合金からなることが好ましい。第2金属層9の材料が、これらの金属材料であることにより、透光性基板1の表面に接する部分では、透光性基板1との高い密着力を得ることができる。さらに、第1金属層8の材料が、第2金属層9側に拡散することを防止する点から、第2金属層9の材料は、Niであることがより好ましい。
本発明の第3実施形態の半導体発光素子100では、第2金属層9を覆うように、さらに、中間層10が、第2主面の全面に積層される。中間層10は、さらに側面1aにまで回り込むように形成されることにより、第3金属層11の材料が第1金属層8へ拡散することを防止することができる。なお、中間層10の材料としては、第1実施形態の第二中間層16の場合と同様の材料を用いることができる。第3金属層11の材料が第1金属層8へ拡散することを防止することを確実にするために、第3実施形態の中間層10の材料は、Rhであることが好ましい。
本発明の第3実施形態の半導体発光素子100では、中間層10を覆うように、さらに、第3金属層11が、第2主面の全面に順次積層される。中間層10及び第3金属層11は、さらに側面1aにまで回り込むように形成することもできる。第3実施形態の第3金属層11の材料及びその機能は、第1実施形態の場合と同様である。
以上のような構造を有する本発明の第3実施形態の半導体発光素子100は、第1実施形態における半導体発光素子100と同様に動作することができる。そのため、発光層3から様々な方向に放出される光を、p側全面電極6を透過して半導体発光素子100の外に取り出すことができる。
(製造方法)
図6、図7及び図8を参照して、本発明の半導体発光素子100の第3実施形態の製造方法について説明する。第3実施形態の製造方法は、図7に示す第一例及び図8に示す第二例の、二つの製造方法を例示することができる。
(第3実施形態の第一例の製造方法)
図7を参照して、本発明の半導体発光素子100の第3実施形態の第一例の製造方法について説明する。本発明の半導体発光素子100の第3実施形態の第一例の製造方法において、半導体層20を形成する工程は、透光性基板1の第1主面上に、半導体層20を形成する工程と、半導体層20に電極を形成する工程とを含む。半導体層20及びその電極は、第1実施形態の製造方法と同様な方法により形成することができる。
次に、第3実施形態の第一例の製造方法では、チップ化する際の切断部を焦点46とするように、レーザー光44を透光性基板1に対して照射する(図7(a))。レーザー光44を照射した切断部を切断し、個々の半導体発光素子100を積層構造30が形成する前の半導体発光素子100bをチップ状に分割する(図7(b))。レーザー光44の照射及びチップ状に分割する方法は、第1実施形態の製造方法と同様である。
チップ状に分割した半導体発光素子100bの裏面である第2主面上に、第1金属層8を含む積層構造30を形成する。
第1金属層8を含む積層構造30を形成する工程は、まず、チップ状の透光性基板1の第2主面側の全面に、スパッタリング法や蒸着法などにより、第1金属層8の所定の材料を成膜する。なお、第1金属層8の形成は、半導体発光素子100bをチップ状に分割する前に行い、第1金属層8を形成した後に、半導体発光素子100bをチップ状に分割することもできる。
次に、第1金属層8等が形成された第2主面上の全体に、スパッタリング法などにより、所定の材料によって第2金属層9を積層する。透光性基板1はチップ状なので、第2金属層9の成膜の際に、第2金属層9の所定の材料が側面1aにまで回り込むように成膜することができる。この結果、第2金属層9は、第1金属層8の周囲に形成され、さらに側面1aに接して形成される。
次に、上述の第2金属層9と同様にして、スパッタリング法や蒸着法などにより、中間層10及び第3金属層11を形成して、チップ状の透光性基板1の第2主面側に積層構造30を形成することができる(図7(c))。
以上のような第3実施形態の第一例の製造方法によって、図6に示した第3実施形態の半導体発光素子100を製造することができる。
(第3実施形態の第二例の製造方法)
第3実施形態の半導体発光素子100は、図8に示すような、第二例の製造方法によって製造することもできる。
本発明の半導体発光素子100の第3実施形態の第二例の製造方法において、半導体層20を形成する工程は、第一例の製造方法と同様である(図8(a))。
第3実施形態の第二例の製造方法では、次に、第1主面上に、フォトリソグラフィ法により、レジスト膜50によるマスクパターンを設ける(図8(b))。マスクパターンは、チップ化する際の切断部となる領域には、レジスト膜50を形成しないように設ける。図8(b)に示す例では、レジスト膜50によるマスクパターンが、幅dの溝54を形成できるように設けられている。その後の工程で、透光性基板1の側面1aに積層構造30を形成することを容易にする点から、溝54の幅dの寸法は、20〜60μmであることが好ましい。
次に、リアクティブイオンエッチングなどのエッチング法により、レジスト膜50をマスクパターンとして、透光性基板1のチップ化する際の切断部となる領域に、溝54を形成する(図8(c))。透光性基板1の側面1aに積層構造30を形成することを確実にし、チップ状に分割することを容易にする点から、溝54の深さは、好ましくは2〜40μm、より好ましくは5〜10μmであることができる。溝54を形成した後、レジスト膜50を除去する(図8(d))。
次に、第1金属層8を含む積層構造30を形成する。まず、チップ状の透光性基板1の第2主面側の全面に、スパッタリング法や蒸着法などにより、第1金属層8の所定の材料を成膜する。なお、第1金属層8の形成は、上述のレジスト膜50を形成する前に行うこともできる。その場合には、第1金属層8も含めて溝54が形成される。
次に、第1金属層8等が形成された第2主面上の全体に、スパッタリング法などにより、所定の材料によって第2金属層9を積層する。透光性基板1のチップ状に分割する位置には溝54が形成されているので、第1金属層8の成膜の際に、第1金属層8の所定の材料が側面1aにまで回り込むように成膜することができる。この結果、第2金属層9は、第1金属層8の周囲に形成され、さらに側面1aに接して形成される。
次に、上述の第2金属層9と同様にして、スパッタリング法や蒸着法などにより、中間層10及び第3金属層11を形成して、チップ状の透光性基板1の第2主面側に積層構造30を形成することができる。以上のようにして、チップ化する際の切断部となる領域を含めた第3実施形態の半導体発光素子100が形成される(図8(e))。
透光性基板1の第1主面上に半導体層20が形成され、第2主面上に第1金属層8、第2金属層9、中間層10及び第3金属層11を含む積層構造30が形成されると、溝54を形成した切断部を切断し、個々の半導体発光素子100をチップ状に分割する(図8(f))。
以上、説明した製造方法によって、図6に示した第3実施形態の半導体発光素子100を製造することができる。
<第4実施形態>
図9及び図10を参照して、本発明の第4実施形態の半導体発光素子100の構成について説明する。例えば図9及び図10に示すように、第4実施形態における半導体発光素子100は、図1に示した第1実施形態の半導体発光素子100と比べ、第2金属層9の代わりに、誘電体多層膜19を用いることが異なる。
図9及び図10を参照して、第4実施形態の半導体発光素子100の構成について説明する。なお、図1に示した第1実施形態における半導体発光素子100と同じ構成要素については、同じ符号を付して説明は適宜省略する。
図9及び図10に示したように、第4実施形態の半導体発光素子100は、透光性の透光性基板1と、その透光性基板1の一方の主面(第1主面)上に、発光層3を有する半導体層20が設けられている。透光性基板1及び半導体層20は、第1実施形態の半導体層20と同様のものを用いることができる。
図8に示す本発明の第4実施形態の半導体発光素子100は、透光性基板1の他方の主面(第2主面)上には、第1金属層8と、第1金属層被覆層12と、誘電体多層膜19と、中間層10と、第3金属層11とが順次積層された積層構造30が設けられている。図10に示す本発明の第4実施形態の半導体発光素子100は、図9に示す半導体発光素子100の構成に加え、誘電体多層膜19と中間層10との間に、第4金属層17がさらに設けられている。
第4実施形態の第1金属層8、第1金属層被覆層12、中間層10及び第3金属層11は、第1実施形態の半導体層20と同様のものを用いることができる。第4実施形態の半導体発光素子100では、第2金属層9の代わりに誘電体多層膜19を用いることが、第1実施形態のものとは異なるので、次に説明する。
本発明の第4実施形態の半導体発光素子100において、誘電体多層膜19の第1金属層8及び透光性基板1に対する配置は、第1実施形態の第2金属層9と同様である。すなわち本発明の第4実施形態の半導体発光素子100では、誘電体多層膜19が、第1金属層8の周囲に形成される。また、誘電体多層膜19は、少なくとも透光性基板1の第2主面又は側面1aに接して形成される。図9に示す例では、透光性基板1との密着力の高い誘電体多層膜19が、第2主面の一部に接して形成されている。誘電体多層膜19が、第2主面に接する部分を有しつつ、第1金属層8を囲うように覆うことにより、第1金属層8の透光性基板1に対する密着力を補強することができる。そのため、透光性基板1の第2主面に接して形成される第1金属層8(反射層)の剥離を抑制することができる。
誘電体多層膜19は、例えば、Nb及びSiOを1ペアとしてこれを順に3回繰り返したもの用いることができる。このような誘電体多層膜19を用いることにより、透光性基板1の表面に接する部分では、透光性基板1との高い密着力を得ることができる。また、第2金属層9が第1金属層8の周囲に形成されることにより、第2金属層9による、第1金属層8の透光性基板1に対する密着力の補強を確実にできる。
なお、誘電体多層膜19の光の透過率は、一般的に、第1金属層8を形成する金属薄膜と比べて大きい。そこで、図10に示す第4実施形態の半導体発光素子100の例では、誘電体多層膜19と中間層10との間に、例えば、PtやAl、Al合金などからなる第4金属層17がさらに設けられていることにより、誘電体多層膜19を透過した光を透光性基板1側へ反射することができる。この結果、図10に示す例では、図9に示す例と比べて、半導体発光素子100として光取り出し効率を向上させることができる。
以上のような構造を有する本発明の第4実施形態の半導体発光素子100は、第1実施形態における半導体発光素子100と同様に動作することができる。そのため、発光層3から様々な方向に放出される光を、p側全面電極6を透過して半導体発光素子100の外に取り出すことができる。
(製造方法)
本発明の半導体発光素子100の第4実施形態の製造方法について説明する。なお、第4実施形態でも、図1に示す半導体発光素子100が二次元的に配列されたウエハ状態で各工程が実施され、チップ状に分割された半導体発光素子100が得られる。
(第1主面上に半導体層20を形成する工程)
半導体層20を形成する工程は、透光性基板1の第1主面上に、半導体層20を形成する工程と、半導体層20に電極を形成する工程とを含む。半導体層20及びその電極は、第1実施形態の製造方法と同様な方法により形成することができる。
(第2主面上に第1金属層8を含む積層構造30を形成する工程)
第1主面上に半導体層20が形成されると、裏面である第2主面上に第1金属層8を含む積層構造30を形成する。第1金属層8及び第1金属層被覆層12は、第1実施形態の製造方法と同様な方法により形成することができる。
次に、第1実施形態の製造方法と同様に、チップ化する際の切断部を焦点46とするように、レーザー光44を透光性基板1に対して照射する。なお、このときには、レーザー光44の照射のみを行い、チップ化するための切断は行わない。
次に、チップ化する際の切断部となる領域及び第1金属層8等が形成された領域を含めた第2主面上の全体に、スパッタリング法などにより、所定の材料によって誘電体多層膜19を積層する。このとき、第1金属層8及び第1金属層被覆層12の外縁の外側の、透光性基板1の第2主面に接して、誘電体多層膜19が形成される。その結果、誘電体多層膜19は、第1金属層8及び第1金属層被覆層12を囲うように覆うことになる。
なお、誘電体多層膜19の形成後、中間層10の形成前に、スパッタリング法や蒸着法などにより、第4金属層17を形成することが好ましい。第4金属層17をさらに形成することにより、誘電体多層膜19を透過した光を透光性基板1側へ反射することができる。
続いて、第1実施形態の製造方法と同様に、スパッタリング法や蒸着法などにより、中間層10及び第3金属層11を形成する。
以上のようにして、チップ化する際の切断部となる領域を含めた第4実施形態の半導体発光素子100が形成される。半導体発光素子100は、透光性基板1の第1主面上に半導体層20が形成され、第2主面上に第1金属層8、第1金属層被覆層12、第4金属層17、中間層10並びに第3金属層11を含む積層構造30が形成されている。また、必要に応じて、第4金属層17と、中間層10との間に、第4金属層17が形成される。第1実施形態の製造方法と同様に、レーザー光44を照射した切断部を切断し、個々の半導体発光素子100をチップ状に分割する。
以上、説明した製造方法によって、図9及び図10に示した第4実施形態の半導体発光素子100を製造することができる。
次に、本発明の実施例について説明する。
なお、実施例において半導体発光素子100の積層構造30のダイシェア強度を測定した。ダイシェア強度の測定方法は、常温及び高温で半導体チップを横から水平方向に押し、剥がれたときの荷重として測定されたせん断強度である。この測定には、公知のダイシェア強度試験機が用いられる。なお、ダイシェア強度は、JEITA規格(EIAJ ED4703)やMIL規格(MIL−STD−883C)に定められている。
(実施例1)
サファイアからなるウエハ(透光性基板1)の主面上にn型窒化物半導体層、InGaNを含む活性層(発光層3)、p型窒化物半導体層を積層し、n側電極5を形成する領域のp型窒化物半導体層と活性層とn型窒化物半導体層の一部とを除去する。露出されたn型窒化物半導体層上にn側電極5を、p型窒化物半導体層上の全面に、ITOからなる透光性のp側全面電極6を設け、さらに、透光性のp側全面電極6上の一部にp側パッド電極7を設ける。
サファイアからなる透光性基板1の窒化物半導体層を積層した主面(第1主面)と反対の主面(第2主面)上に、チップ化する際の切断部となる部分を含めて、第1主面上の第2金属層9が形成される領域に、フォトリソグラフィ法により、レジスト膜50によるマスクパターンを設けた。次に、スパッタリング法により、全面にAgを120nmの膜厚となるように積層して、第1金属層8を形成した。形成したAgの第1金属層8の外縁の外側のレジスト膜50を除去した。次に、フォトリソグラフィ法により、第1金属層8の場合と同様に、レジスト膜50によるマスクパターンを設け、スパッタリング法により、Niを100nmの膜厚となるように積層して、第1金属層被覆層12を形成した。その後、レジスト膜50を除去した。
次に、レジスト膜50の除去後のサファイアからなる透光性基板1の露出した領域の切断部に沿って、レーザー光44を照射した。
次に、スパッタリング法により、Alを300nmの膜厚となるように積層して、第2金属層9を形成した。続けて、スパッタリング法により、Wからなる第一中間層15を700nm、Ptからなる第二中間層16を200nmの膜厚となるように積層して、中間層10を形成した。最後に、Au−Snを3500nmの膜厚となるように積層して、第3金属層11を形成した。以上のようにして、第2主面上に第1金属層8、第1金属層被覆層12、第2金属層9、中間層10及び第3金属層11を含む積層構造30が形成された。
次に、レーザー光44を照射した切断部を切断し、個々の半導体発光素子100をチップ状に分割した。これによって、図1に示した第1実施形態である実施例1の半導体発光素子100を得ることができた。
得られた実施例1の半導体発光素子100の積層構造30のダイシェア強度を測定した。その結果、第2金属層9を形成しなかった後述する比較例1の半導体発光素子100の積層構造30のダイシェア強度と比べて、実施例1の半導体発光素子100の積層構造30のダイシェア強度は、1.3〜2.3倍と高かった。また、実施例1の半導体発光素子100を実装基板に第3金属層11のAu−Snを接着剤として接合して特性を評価したところ、発光出力が高く、配光特性も良好だった。
(実施例2)
実施例2の半導体発光素子100の製造工程では、Agによる第2金属層9の代わりに、図4に示すように密着部9a及び被覆部9bを形成した以外は、実施例1と同様にして、第2実施形態である実施例2の半導体発光素子100を製造した。なお、密着部9aは、Al、Al合金又はAg合金を材料として用い、第1金属層8(膜厚120nm)及び第1金属層被覆層12(膜厚100nm)の合計膜厚220nmとなるように形成した。また、被覆部9bとしては、Alを300nmの膜厚で積層した。これによって、図4に示した第2実施形態である実施例2の半導体発光素子100を得ることができた。
(実施例3)
実施例3の半導体発光素子100の製造は、図7に示す製造工程により行った。すなわち、まず、実施例1と同様に、サファイアからなる透光性基板1の第1主面に、窒化物半導体層を積層した。次に、チップ化する際の切断部を焦点46とするように、レーザー光44を透光性基板1に対して照射した(図7(a))。次に、レーザー光44を照射した切断部を切断し、個々の半導体発光素子100を積層構造30が形成する前の半導体発光素子100bをチップ状に分割した(図7(b))。
チップ状に分割した半導体発光素子100bの裏面である第2主面上に、第1金属層8を含む積層構造30を形成した。具体的には、チップ状の透光性基板1の第2主面側の全面に、スパッタリング法により、Agからなる第1金属層8を、120nmの膜厚となるように成膜した。次に、Niからなる第2金属層9を、100nmの膜厚となるように積層して成膜した。このとき、Niからなる第2金属層9が側面1aにまで回り込むように成膜した。
次に、上述の第2金属層9と同様にして、スパッタリング法により、Rhからなる中間層10を、200nmの膜厚となるように積層して成膜した。最後に、Au−Snを3500nmの膜厚となるように積層して、第3金属層11を形成した。以上のようにして、第2主面上に第1金属層8、第2金属層9、中間層10及び第3金属層11を含む積層構造30が形成された(図7(c))。これによって、図6に示した第1実施形態である実施例1の半導体発光素子100を得ることができた。
(実施例4)
実施例4の製造工程では、Agによる第2金属層9の代わりに、図9に示すように誘電体多層膜19を形成した以外は、実施例1と同様にして、第4実施形態である実施例4の半導体発光素子100を製造した。なお、誘電体多層膜19としては、NbとSiOとの積層膜を用いた。また、第一中間層15は、Tiを3〜10nm、第二中間層16は、Pt又はRhを200nmの膜厚となるように積層して、中間層10を形成した。
(実施例5)
実施例5の製造工程では、誘電体多層膜19の形成後、中間層10の形成前に、Alからなる第4金属層17を形成した以外は、実施例4と同様にして、第4実施形態である実施例5の半導体発光素子100を製造した。なお、実施例5の第一中間層15は、Wを700nm、第二中間層16は、Ptを200nmの膜厚となるように積層して、中間層10を形成した。
(比較例1)
比較例1の製造工程では、第1金属層8を第1主面の全面に形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の半導体発光素子100を製造した。すなわち、比較例1の半導体発光素子100の場合には、第2金属層9が透光性基板1に接していない。
得られた比較例1の半導体発光素子100の積層構造30のダイシェア強度を測定した。その結果、上述した実施例1〜5の半導体発光素子100の積層構造30のダイシェア強度と比べて、比較例1の半導体発光素子100の積層構造30のダイシェア強度は低かった。
1 透光性基板
1a 側面
1c 露出面
2 n型半導体層
3 発光層
4 p型半導体層
5 n側電極
6 p側全面電極
7 p側パッド電極
8 第1金属層
9 第2金属層
9a 密着部
9b 被覆部
10 中間層
11 第3金属層
12 第1金属層被覆層
15 第一中間層
16 第二中間層
17 第4金属層
19 誘電体多層膜
20 半導体層
30 積層構造
44 レーザー光
46 レーザー光の焦点
50 レジスト膜
51 第1レジスト
52 第2レジスト
52a 先細り部
52b 開口部
54 溝
100、100b 半導体発光素子
本発明は、透光性基板の主面上に半導体層を有するとともに、透光性基板の主面と反対側の面に金属層を有する半導体発光素子及びその製造方法に関する。
特許文献1には、透光性基板上に発光層を含む複数の半導体層が積層されるとともに、前記透光性基板の裏面に前記発光層により発生された光を反射する反射層が形成されたことを特徴とする半導体発光素子が記載されている。また、特許文献1には、反射層は、金属膜又は異なる屈折率を有する2つの誘電体層が交互に積層された誘電体反射膜であることが記載されている。
また、特許文献2には、基板の上にIII族窒化物系化合物半導体より成る複数の半導体層が結晶成長により積層された半導体発光素子において、前記基板の発光層が位置する側とは反対側の面に、透光性の金属酸化物又は透光性のセラミックスより成る透光層と、前記発光層から放出される光を前記基板側に反射する金属製の反射層と、金属酸化物又はセラミックスより成る耐蝕層とを順次積層することにより、鏡部が形成されていることを特徴とするIII族窒化物系化合物半導体発光素子が記載されている。
また、特許文献3には、第1主面と第2主面とを備える透光性基板の前記第1主面上に、少なくとも発光層を有する半導体発光素子構造を有する半導体発光素子であって、前記第2主面上に、前記半導体発光素子構造の前記発光層から放出された光を反射する反射層と、前記反射層の前記透光性基板と反対側の上面及び側面を被覆する絶縁層と、前記絶縁層の前記反射層と反対側の上面に設けられた接着層と、を有することを特徴とする半導体発光素子が記載されている。また、特許文献3には、前記反射層は、Al、Ag、Al合金、Ag合金、Rh及びPtから選択されるいずれか一種からなること、前記絶縁層として、SiO、TiO、Nbなどを用いることができることが記載されている。
特開平10−270754号公報 特開2001−284642号公報 特開2010−199335号公報
しかしながら、透光性基板に光を反射するための金属層を設ける場合、互いの材質が異なるために透光性基板と金属層との密着力が弱く、金属層の周縁部で剥離しやすいという問題がある。特に、サファイア基板を透光性基板として、その表面にAgからなる金属層を形成する場合には、金属層の周縁部のみならず、金属層がサファイア基板から剥離してしまうという問題が生じることがある。
そこで、上述の問題を解決するために、本発明は、半導体層が形成される主面と反対側の面に金属層を有する半導体発光素子において、透光性基板と、金属層との剥離を抑制することのできる半導体発光素子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
本発明に係る構成は、第1主面と、第2主面と、前記第1主面及び前記第2主面に接する側面とを備える透光性基板と、前記透光性基板の第1主面側に形成される半導体層と、を有する半導体発光素子であって、前記透光性基板の第2主面に接して形成される第1金属層と、前記第1金属層の周囲において、少なくとも前記透光性基板の第2主面又は側面に接して形成される第2金属層と、前記第2金属層上に形成される第3金属層と、を有し、前記第1金属層は、前記第2金属層よりも前記発光層の発光ピーク波長に対する反射率が高く、前記第2金属層は、前記透光性基板との密着力が、前記第1金属層と前記透光性基板との密着力より大きいことを特徴とする半導体発光素子である。なお、第2金属層の代わりに誘電体多層膜を用いることもできる。
本発明により、透光性基板の一つの主面上に半導体層を有し、半導体層が形成される主面とは反対側の面に金属層を有する半導体発光素子において、透光性基板と、金属層との剥離を抑制することのできる半導体発光素子を得ることができる。
本発明の第1実施形態の半導体発光素子の構造の一例を示す模式図であり、(a)は第3金属層側から見た模式的平面図であり、(b)は、(a)のA−A’線における模式的断面図である。 本発明の第1実施形態に係る半導体発光素子の製造工程の一例を示す模式的断面図である。 本発明の第1実施形態に係る半導体発光素子の製造方法において、第1金属層及び第1金属層被覆層を形成する工程の変形例を説明するための模式的断面図である。 本発明の第2実施形態に係る半導体発光素子の構造の一例を示す模式的断面図である。 本発明の第2実施形態に係る半導体発光素子の製造工程の一例を示す模式的断面図である。 本発明の第3実施形態に係る半導体発光素子の構造の一例を示す模式的断面図である。 本発明の第3実施形態に係る半導体発光素子の製造工程の一例を示す模式的断面図である。 本発明の第3実施形態に係る半導体発光素子の製造工程の、別の一例を示す模式的断面図である。 本発明の第4実施形態に係る半導体発光素子の構造の一例を示す模式的断面図である。 本発明の第4実施形態に係る半導体発光素子の構造の、別の一例を示す模式的断面図である。
図面を参照して、本発明の実施形態に係る半導体発光素子100を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための態様を例示するものであって、本発明を以下のものに限定しない。実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は限定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。また、図面が示す各要素の大きさや位置関係等は、説明を明確にするために誇張していることがある。
半導体発光素子100は、第1主面と、第2主面と、第1主面及び第2主面に接する側面1aとを備える透光性基板1と、透光性基板1の第1主面側に形成される、少なくとも発光層3を有する半導体層20とを有する。本発明の半導体発光素子100は、反射層として、透光性基板1の第2主面に接して形成される第1金属層8を有する。本発明の半導体発光素子100は、さらに、第1金属層8の周囲において、少なくとも透光性基板1の第2主面又は側面1aに接して形成される第2金属層9を有する。
第2金属層9は、第2主面及び側面1aからなる透光性基板1の表面の少なくとも一部に接して形成される。なお、図1に示す例では、第2金属層9は、第2主面の一部に接して形成される様子を示している。また、図4に示す例では、密着部9a及び被覆部9bからなる第2金属層9のうち密着部9aが、第2主面の一部に接して形成される様子を示している。また、図6に示す例では、第2金属層9が、側面1aの一部に接して形成される様子を示している。図9及び図10に示す例では、第2金属層9の代わりに誘電体多層膜19を用いた例を示している。図1、図6、図9及び図10に示すように、第2金属層9及び誘電体多層膜19は、第2主面又は側面1aに接する部分を有しつつ、第1金属層8を囲うように覆っている。
なお、図1、図9及び図10に示す例では、第2金属層9又は誘電体多層膜19が、透光性基板1の表面のうち、第2主面のみに接して形成されている。この結果、第2金属層9又は誘電体多層膜19と、透光性基板1との密着性を確実に得ることができる。
本発明の半導体発光素子100において、第2金属層9及び誘電体多層膜19は、透光性基板1との密着力が、第1金属層8と透光性基板1との密着力より大きい。したがって、第2金属層9又は誘電体多層膜19と、透光性基板1との密着は強固である。そのため、第2金属層9によって第1金属層8の透光性基板1に対する密着力を補強することができる。この結果、本発明の半導体発光素子100において、透光性基板1の第2主面に接して形成される第1金属層8(反射層)の剥離を抑制することができる。また、第1金属層8は、第2金属層9よりも発光層3の発光ピーク波長に対する反射率が高いので、第1金属層8による高い反射率を維持しつつ、第2金属層9によって第1金属層8の透光性基板1に対する密着力を補強することができる。
また、本発明の半導体発光素子100において、第3金属層11を、第2金属層9の第1金属層8とは反対側の第2金属層9上に形成することにより、高い密着性で半導体発光素子100と実装基板とを接合することができる。
なお、上述の本発明の半導体発光素子100は、次の構成A及びBである半導体発光素子100とすることができる。
構成Aの半導体発光素子100は、第1主面と、第2主面と、前記第1主面及び前記第2主面に接する側面1aとを備える透光性基板1と、前記透光性基板1の第1主面側に形成される半導体層20と、を有する半導体発光素子100であって、前記透光性基板1の第2主面に接して形成される第1金属層8と、前記第1金属層8の周囲において、少なくとも前記透光性基板1の第2主面又は側面1aに接して形成され、前記第1金属層8とは異なる材料を含む第2金属層9と、前記第2金属層9上に形成される第3金属層11と、を有する。
構成Bの半導体発光素子100は、第1主面と、第2主面と、前記第1主面及び前記第2主面に接する側面1aとを備える透光性基板1と、前記透光性基板1の第1主面側に形成される半導体層20と、を有する半導体発光素子100であって、前記透光性基板1の第2主面に接して形成される第1金属層8と、前記第1金属層8の周囲において、少なくとも前記透光性基板1の第2主面又は側面1aに接して形成される誘電体多層膜19と、前記誘電体多層膜19上に形成される第3金属層11と、を有する。
上述の構成A及びBにおいて、好ましくは、前記第2金属層9又は前記誘電体多層膜19は、前記透光性基板1との密着力が、前記第1金属層8と前記透光性基板1との密着力より大きく、さらに前記第1金属層8は、Agを含む材料からなることが好ましい。
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
図1を参照して、第1実施形態の半導体発光素子100の構成について説明する。
図1(b)に示したように、第1実施形態の半導体発光素子100は、透光性基板1と、その透光性基板1の一方の主面(これを第1主面とする)上に、発光層3を有する半導体層20が設けられている。半導体層20は、例えば、窒化物半導体からなるn型半導体層2と発光層3とp型半導体層4とを積層した半導体の積層構造である。p型半導体層4の表面にはp側全面電極6とp側パッド電極7とが設けられている。また、半導体層20の一部が除去され、n型半導体層2が露出された露出面には、n側電極5が設けられている。
透光性基板1の他方の主面(すなわち第1主面の裏面であり、これを第2主面とする)上には、第1金属層8と、第1金属層被覆層12と、第2金属層9と、中間層10と、第3金属層11とが順次積層された積層構造30が設けられている。
図1(a)及び(b)に示したように、第1金属層8は、第2主面の中央部のみを覆っている。また、第1金属層被覆層12は、第1金属層8の上面(透光性基板1と反対側の面)及び側面を被覆するように接して設けられている。
さらに、第2金属層9は、第1金属層被覆層12の上面(透光性基板1と反対側の面)及び側面を被覆し、かつ第1金属層8及び第1金属層被覆層12に覆われていない第2主面を被覆するように設けられている。すなわち、第2金属層9は、第2主面に接する部分を有しつつ、第2主面と第1金属層8の上面とを連続して覆うように形成されている。この結果、透光性基板1とともに、第1金属層8を囲うように覆うこととなり、第2金属層9によって第1金属層8の透光性基板1に対する密着力を補強することができる。
第2金属層9が、第2主面と第1金属層8の上面とを連続して覆うように形成されていることにより、第2金属層9による、第1金属層8の透光性基板1に対する密着力の補強を確実にできる。
なお、図1に示す例では、中間層10は、第一中間層15及び第二中間層16の二つの層からなる。
引き続き、図1を参照して各部の構成について詳細に説明する。
(透光性基板1)
透光性基板1は、半導体層20を形成するための部材であり、少なくとも半導体層20が発光する光の波長に対して透光性を有する材料、例えばサファイアやSiCなどの材料から選択される。
(半導体層20)
半導体層20は、少なくとも発光層3を有し、より好適には透光性基板1の第1主面上に第1導電型半導体、発光層3及び第2導電型半導体がこの順に形成される。本実施形態における半導体層20は、透光性基板1側から順に、n型半導体層2、発光層3及びp型半導体層4が積層された構成を有する。ただし、半導体発光素子100として機能する構成であれば、例えば、第1導電型半導体をp型半導体とし、第2導電型半導体としてn型半導体とするなど、他のどのような構成を採用してもよい。
半導体層20としては、具体例として後記する窒化ガリウム系化合物半導体の場合は、一般式InAlGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)のものを用いることができる。また、これに加えて、III族元素としてBが一部に置換されたものを用いてもよいし、V族元素としてNの一部をP、Asで置換されたものを用いてもよい。
(n側電極5、p側全面電極6及びp側パッド電極7)
第1実施形態においては、n側電極5はn型半導体層2と接触して形成され、p側全面電極6はp型半導体層4と接触して形成される。n側電極5は、半導体層20の上層の一部が除去されたn型半導体層2の露出面上に形成される。n側電極5は、半導体発光素子100に電流を供給するために、AuやAgなどからなる導電性ワイヤが接続されるパッド電極であり、例えばn型半導体層2の露出面側から順にW、Pt、Auが積層されてなる。なお、n側電極5を構成する材料は、n型半導体層2とオーミック接触することができる材料であれば、他の金属を組み合わせた積層物、合金等、他の材料を用いることもできる。
第1実施形態において、p側全面電極6は、半導体の積層構造の最上層であるp型半導体層4の上面に形成される。p側全面電極6は、p型半導体層4の上面の略全領域であって発光層3の略全領域に対応する領域に形成される。第1実施形態における半導体発光素子100は、主として電極配置面側から光を取り出す構成であるため、p側全面電極6が、発光層3から放出される光の波長において透光性を有することが好ましい。このような透光性と導電性とを兼ね備えた材料として、ITO(酸化インジウムスズ)、ZnO、p型半導体層4側から順にNi、Auを積層した金属薄膜、Ni、Auの合金の薄膜等を用いることができるが、p側全面電極6の材料は、p型半導体層4と、オーミック接触できる材料であれば、他の金属を組み合わせた積層物、合金等の、前記した材料以外の材料を用いることもできる。
p側パッド電極7は、p側全面電極6の一部の面上に設けられ、半導体発光素子100に電流を供給するため、AuやAgなどからなる導電性ワイヤが接続されるパッド電極である。p側パッド電極7は、n側電極5と同様に、例えばW、Pt、Au等を積層して形成することができる。
(第2主面上の積層構造30)
本発明の第1実施形態の半導体発光素子100において、透光性基板1の第2主面上には、第1金属層8と、第1金属層被覆層12と、第2金属層9と、中間層10と、第3金属層11とが順次積層された積層構造30が設けられている。
第1金属層8は、半導体層20の発光層3から放出され、透光性基板1を透過してきた光を上方に反射するための反射層である。図1に示す例では、第1金属層8は、透光性基板1の第2主面の中央部のみを覆っている。なお、半導体発光素子100として光取り出し効率を高くする点から、第1金属層8は、透光性基板1の第2主面をなるべく広く覆うことが好ましい。ただし、第2金属層9と透光性基板1との十分な密着性を確保するのに必要な面積を確保するために、透光性基板1の第2主面の周辺部には、第1金属層8が配置されないことが好ましい。
第1金属層8の材料としては、半導体層20から放出される光に対して反射率の高い金属材料である、Ag、Ag合金、Rh及びPtから選択されるいずれか1種からなることが好ましい。特に、Agの反射率は高いため、第1金属層8の材料としてAgを用いることが好ましい。
本発明の第1実施形態の半導体発光素子100では、第2金属層9が、第1金属層8の周囲に形成される。また、第2金属層9は、第2主面及び側面1aからなる透光性基板1の表面の一部に接して形成される。図1に示す例では、透光性基板1との密着力の高い第2金属層9が、第2主面の一部に接して形成されている。第2金属層9が、第2主面に接する部分を有しつつ、第1金属層8を囲うように覆うことにより、第1金属層8の透光性基板1に対する密着力を補強することができる。そのため、透光性基板1の第2主面に接して形成される第1金属層8(反射層)の剥離を抑制することができる。
第2金属層9の材料は、Al、Ni、Ti、又はAl合金からなることが好ましい。第2金属層9の材料が、これらの金属材料であることにより、透光性基板1の表面に接する部分では、透光性基板1との高い密着力を得ることができる。また、第2金属層9が第1金属層8の周囲に形成されることにより、第2金属層9による、第1金属層8の透光性基板1に対する密着力の補強を確実にできる。
本発明の半導体発光素子100では、第1金属層8と、第2金属層9との間に、第1金属層8の材料が、第2金属層9側に拡散することを防止するための第1金属層被覆層12を有することが好ましい。第1金属層被覆層12を有することにより、第1金属層8の材料が、第2金属層9側に拡散することを防止することができるので、第1金属層8の反射層としての性能の低下を防止することができる。
第1金属層被覆層12は、Niからなることが好ましい。特に、第1金属層8の材料が、Agである場合には、Niを材料とする第1金属層被覆層12を形成することにより、第1金属層8の材料が、第2金属層9側に拡散することを防止することを確実にできる。
本発明の半導体発光素子100は、第2金属層9の第1金属層8とは反対側の上面に形成される第3金属層11を有する。図1に示す例では、第3金属層11は、中間層10の上面であって、透光性基板1の第2主面の最上面(図1(b)においては、半導体発光素子100の最下部)に設けられ、不図示の実装基板に半導体発光素子100を接合するための接着剤としての機能を有する。第3金属層11としては、Au−Sn、Pd−Snなどを用いることができるが、融点が低く安定性のよいAu−Snを用いることが好ましい。
本発明の半導体発光素子100は、第2金属層9と第3金属層11との間に、第3金属層11の材料が第1金属層8へ拡散することを防止するための中間層10を有することが好ましい。第2金属層9と第3金属層11との間に、第3金属層11の材料が第1金属層8へ拡散することを防止するための中間層10を有することにより、第3金属層11の材料が第1金属層8(反射層)に移動することが防止される。そのため、第1金属層8が第3金属層11の材料によって変色することがなく、発光層3から放出される光を効率よく第1金属層8によって反射することができる。
第3金属層11の材料が第1金属層8へ拡散することを確実に防止するために、中間層10は、第3金属層11と接するように形成される第二中間層16、及び第二中間層16と第2金属層9との間に配置される第一中間層15のいずれか一つの層、又は両方の層を含むことができる。
第一中間層15は、Ti、W及びそれらの合金から選択される1種を含む材料からなることが好ましい。第一中間層15がこれらの材料であることにより、第3金属層11を構成する材料が第2金属層9及び第1金属層8へ拡散することを良好に抑制することができる。
第二中間層16は、Pt、Rh及びそれらの合金から選択される1種を含む材料からなることが好ましい。この第2中間層16は、例えばAuを材料とする第3金属層11と混ざり合うことがあるが、第3金属層11に接して設けることで、第3金属層11の材料がこの第二中間層16を越えて透光性基板1側に設けられた第2金属層9及び第1金属層8に移動することを防止できる。
また、半導体層20が、窒化物半導体を用いて、特に青色などの短波長の光を発光するとともに、第3金属層11にAuを含む接着材料を用いる場合は、第1金属層8の透光性基板1側にAuが析出することは大きな問題となる。すなわち、Auは青色などの短波長側の光の吸収が大きいため、第1金属層8の透光性基板1側にAuが析出すると、第1金属層8による反射率が低下するとともに配光特性に大きく影響する。本発明の半導体発光素子100が、所定の第二中間層16を有することにより、このような第1金属層8による反射率及び配光特性への悪影響を防止することができる。
透光性基板1の第2主面には、第1金属層8及び第2金属層9が接して形成されているので、半導体層20から透光性基板1を第2主面方向に透過してきた光を第主面方向に反射して、半導体発光素子100の外に取り出すことができる。反射率の高い第1金属層8によって、半導体層20の発光層3から放出される光を効率よく反射するために、少なくとも発光層3と対向する位置に、第1金属層8を設けることが好ましい。
(製造方法)
図1及び図2を参照して、本発明の第1実施形態の半導体発光素子100の製造方法について説明する。なお、第1実施形態では、図1に示す半導体発光素子100が二次元的に配列されたウエハ状態で各工程が実施され、チップ状に分割された半導体発光素子100が得られる。
第1実施形態の半導体発光素子100を製造するための製造工程は、透光性基板1の第1主面上に半導体層20を形成する工程と、透光性基板1の第2主面上に第1金属層8を含む積層構造30を形成する工程と、半導体発光素子100のチップに分割する工程と、を含む。本発明の半導体発光素子100の製造方法は、透光性基板1の第2主面上に第1金属層8を含む積層構造30を形成する工程が、所定の半導体層20が形成された透光性基板1の第2主面に対して、第1金属層8を、第2主面に接するように形成する第1金属層形成工程と、第2金属層9を、第1金属層8を覆い、かつ第2主面及び側面1aからなる透光性基板1の表面の一部に接するように形成する第2金属層形成工程とを含むことに特徴がある。以下、各工程について順次説明する。
(第1主面上に半導体層20を形成する工程)
半導体層20を形成する工程は、透光性基板1の第1主面上に、半導体の積層構造である半導体層20を形成する工程と、半導体層20に電極を形成する工程とを含む。
(半導体層20を形成する工程)
まず、透光性基板1の第1主面上に、MOCVD法等により、下地層を介して、SiをドープしたGaNからなるn型半導体層2、InGaNからなる発光層3、MgをドープしたGaNからなるp型半導体層4を順次積層して、半導体層20を形成する。
半導体層20、特に窒化物半導体層の成長方法は、特に限定されないが、例示すればMOVPE(有機金属気相成長法)、MOCVD(有機金属化学気相成長法)、HVPE(ハイドライド気相成長法)及びMBE(分子線エピキタシ法)など、窒化物半導体等の半導体の成長方法として知られている方法を用いることができる。特に、MOCVDは、結晶性よく半導体を成長させることができるので好ましい。
(半導体層20に電極を形成する形成する工程)
まず、エッチング等により、n側電極5を設けるための半導体層20のn型半導体層2を露出させた凹部を形成する。次に、この凹部の底面であるn型半導体層2の露出面にn側電極5を形成する。そして、p型半導体層4上にp側全面電極6を形成し、さらにp側全面電極6の一部にp側パッド電極7を形成する。
電極の形成方法としては、蒸着法、スパッタリング法等の公知の方法を用いることができる。n側電極5として、例えば、n型半導体層2側からW、Pt、Auを順に積層し、p側全面電極6としてITOを成膜し、p側パッド電極7としては、W、Pt、Auを積層する。それぞれ所望の形状にパターニングすることによって第1実施形態の半導体層20の電極とすることができる。なお、p側パッド電極7とn側電極5とに同じ材料を用いる場合には、p側パッド電極7とn側電極5とを同じ工程において形成することもできる。
(第2主面上に第1金属層8を含む積層構造30を形成する工程)
第1主面上に半導体層20を形成した後、裏面である第2主面上に第1金属層8を含む積層構造30を形成する。
第1金属層8を含む積層構造30を形成する工程では、まず、第1金属層形成工程を実施する。第1金属層形成工程では、チップ化する際の切断部となる領域を含めて、第主面上の第2金属層9が形成される領域に、フォトリソグラフィ法により、レジスト膜50によるマスクパターンを設ける。次に、透光性基板1の第2主面側の全面に、スパッタリング法及び蒸着法などから選択される成膜方法により、所定の材料の第1金属層8を成膜する(図2(a))。成膜後に、レジスト膜50を除去することにより、所望の形状の第1金属層8が形成される(図2(b))。
次に、第1金属層8の形成と同様な手順で、第1金属層8を覆うように第1金属層被覆層12を形成する。すなわち、チップ化する際の切断部となる領域を含めて、第1主面上の第2金属層9が形成される領域に、フォトリソグラフィ法により、レジスト膜50によるマスクパターンを設ける。次に、透光性基板1の第2主面側の全面に、スパッタリング法や蒸着法などにより、第1金属層被覆層12の所定の材料を成膜する。成膜後に、レジスト膜50を除去することにより所望の形状の第1金属層被覆層12が形成される(図2(c))。
次に、チップ化する際の切断部を焦点46とするように、レーザー光44を透光性基板1に対して照射する(図2(d))。レーザー光44としては、例えばフェムト秒レーザーが挙げられる。なお、このときには、レーザー光44の照射のみを行い、チップ化するための切断は行わない。
次に、チップ化する際の切断部となる領域及び第1金属層8等が形成された領域を含めた第2主面上の全体に、スパッタリング法などにより、所定の材料によって第2金属層9を積層するための第2金属層形成工程を実施する(図2(e))。このとき、第1金属層8及び第1金属層被覆層12の外縁の外側の、透光性基板1の第2主面に接して、第2金属層9が形成される。その結果、第2金属層9は、第1金属層8及び第1金属層被覆層12を囲うように覆うことになる。
続いて、スパッタリング法や蒸着法などにより、第2金属層9を覆うように中間層10を形成する。中間層10が多層膜構成である場合には、第2金属層9を覆うように、例えば上述の所定の第一中間層15及び所定の第二中間層16を、順次材料を変えて積層し、中間層10を形成する(図2(e))。
さらに続けて、スパッタリング法や蒸着法などにより、所定の材料の第3金属層11を積層する(図2(e))。
以上のようにして、チップ化する際の切断部となる領域を含めた第1実施形態の半導体発光素子100が形成される(図2(e))。
ここで、図3を参照して、第1金属層8及び第1金属層被覆層12を形成する工程を簡略化する手法について説明する。
図3(a)に示したように、まず、透光性基板1の第2主面上に、互いに種類の異なるフォトレジストからなる第1レジスト51と第2レジスト52とによるマスクパターンを形成する。例えば、第1レジスト51として、有機溶剤に可溶なフォトレジストを用い、第2レジスト52として、アルカリ水溶液に可溶なフォトレジストを用いる。
次に、図3(b)に示したように、有機溶剤を用いて第1レジスト51を除去することにより、開口部52bが先細りした先細り部52aを有する第2レジスト52によるマスクパターンが残る。
次に、図3(c)に示したように、先細り部52aを有する第2レジスト52をマスクとして、Alなどの反射材料をスパッタリングすることにより、第2レジスト52の先細り部52aの一部を除去しながら、透光性基板1上に第1金属層8が形成される。このとき、先細り部52aによって第1金属層8の領域が制限されるために、透光性基板1の露出面1cを残しつつ、第1金属層8が形成される。
次に、図3(d)に示したように、第1金属層被覆層12の材料をスパッタリングすることにより、第2レジスト52の先細り部52aをさらに除去しながら、絶縁材料によって第1金属層被覆層12が、第1金属層8の上面に積層するとともに、透光性基板1の露出面上にも積層する。その結果、第1金属層8の上面及び側面を被覆する第1金属層被覆層12を形成することができる。これによって、第1金属層8及び第1金属層被覆層12を形成する工程を簡略化することができる。
(半導体発光素子100のチップに分割する工程)
図1及び図2に戻って、説明を続ける。透光性基板1の第1主面上に半導体層20が形成され、第2主面上に第1金属層8、第1金属層被覆層12、第2金属層9、中間層10及び第3金属層11を含む積層構造30が形成されると、レーザー光44を照射した切断部を切断し、個々の半導体発光素子100をチップ状に分割する。
以上、説明した製造方法によって、図1に示した第1実施形態の半導体発光素子100を製造することができる。なお、以上の説明は、本発明の半導体発光素子100の一実施形態に係る製造工程を順に説明するものであり、本発明はこれに限定されるものではない。
<第2実施形態>
図4を参照して、本発明の第2実施形態の半導体発光素子100の構成について説明する。例えば図4に示すように、第2実施形態における半導体発光素子100は、図1に示した第1実施形態の半導体発光素子100と比べ、第2金属層9が、密着部9a及び被覆部9bの二つの部分からなることが異なる。
図4を参照して、第2実施形態の半導体発光素子100の構成について説明する。なお、図1に示した第1実施形態における半導体発光素子100と同じ構成要素については、同じ符号を付して説明は適宜省略する。
図4に示したように、第2実施形態の半導体発光素子100は、透光性基板1と、その透光性基板1の一方の主面(第1主面)上に、発光層3を有する半導体層20が設けられている。透光性基板1及び半導体層20は、第1実施形態の透光性基板1及び半導体層20と同様のものを用いることができる。
本発明の第2実施形態の半導体発光素子100は、透光性基板1の他方の主面(第2主面)上には、第1金属層8と、第1金属層被覆層12と、第2金属層9と、中間層10と、第3金属層11とが順次積層された積層構造30が設けられている。第2実施形態の第1金属層8、第1金属層被覆層12、中間層10及び第3金属層11は、第1実施形態の積層構造30と同様のものを用いることができる。第2実施形態の半導体発光素子100の第2金属層9は、第1実施形態のものとは異なるので、次に説明する。
本発明の第2実施形態の半導体発光素子100は、第2金属層9が、第2主面に接している部分のみに形成される密着部9aと、第1金属層8の上面全体に接して形成される被覆部9bとからなる。すなわち、密着部9a及び被覆部9bからなる第2金属層9は、第2主面と第1金属層8の上面とを連続して覆うように形成される。さらに、密着部9a及び被覆部9bの材料が、同一又は異なる材料を用いることができる。特に、密着部9a及び被覆部9bの材料に、異なる材料を用いる場合、材料の選択性の自由度を高めることができるので好ましい。
本発明の第2実施形態の半導体発光素子100では、第2金属層9の密着部9aが、第2主面の一部に接して形成されている。密着部9aの材料は、Al、Ni、Ti、Al合金又はAg合金からなることが好ましい。密着部9aの材料が、これらの金属材料であることにより、透光性基板1の表面に接する部分において、透光性基板1との高い密着力を得ることができる。透光性基板1がサファイア基板である場合には、密着部9aの材料として、サファイア基板と密着性の良い材料、例えばAl及びAg合金などから選択して用いることが好ましい。
本発明の第2実施形態の半導体発光素子100では、第2金属層9の被覆部9bが、第1金属層8の透光性基板1とは反対側の上面を覆い、かつ密着部9aの透光性基板1とは反対側の上面全体に接して形成される。被覆部9bの材料は、第1実施形態の第2金属層9の材料と同様に、Al、Ni、Ti、又はAl合金からなることが好ましい。密着部9a及び被覆部9bの材料は、同一であってもよいし、又は異なる材料であることもできる。したがって、本発明の第2実施形態の半導体発光素子100では、第2金属層9の材料の選択性の自由度を高めることができる。
被覆部9b及び密着部9aの材料が、それぞれ上述の材料からなる場合には、被覆部9bと、密着部9aとの間には、高い密着力を得ることができる。この結果、第2金属層9の密着部9aが、第2主面に接する部分を有しつつ、第2金属層9の被覆部9bとともに、第1金属層8を囲うように覆うことにより、第1金属層8の透光性基板1に対する密着力を補強することができる。そのため、透光性基板1の第2主面に接して形成される第1金属層8(反射層)の剥離を抑制することができる。
以上のような構造を有する本発明の第2実施形態の半導体発光素子100は、第1実施形態における半導体発光素子100と同様に動作することができる。そのため、発光層3から様々な方向に放出される光を、p側全面電極6を透過して半導体発光素子100の外に取り出すことができる。
(製造方法)
図4及び図5を参照して、本発明の半導体発光素子100の第2実施形態の製造方法について説明する。なお、第2実施形態でも、図に示す半導体発光素子100が二次元的に配列されたウエハ状態で各工程が実施され、チップ状に分割された半導体発光素子100が得られる。
(第1主面上に半導体層20を形成する工程)
半導体層20を形成する工程は、透光性基板1の第1主面上に、半導体層20を形成する工程と、半導体層20に電極を形成する工程とを含む。半導体層20及びその電極は、第1実施形態の製造方法と同様な方法により形成することができる。
(第2主面上に第1金属層8を含む積層構造30を形成する工程)
第1主面上に半導体層20が形成されると、裏面である第2主面上に第1金属層8を含む積層構造30を形成する。第1金属層8及び第1金属層被覆層12は、第1実施形態の製造方法と同様な方法により、形成することができる。
次に、第1実施形態の製造方法と同様に、チップ化する際の切断部を焦点46とするように、レーザー光44を透光性基板1に対して照射する(図5(a))。なお、このときには、レーザー光44の照射のみを行い、チップ化するための切断は行わない。
次に、チップ化する際の切断部となる領域を含めて、第1金属層8及び第1金属層被覆層12が形成されていない第2主面上に、スパッタリング法などにより、所定の材料によって第2金属層9の密着部9aを積層する(図5(b))。このとき、第1金属層8及び第1金属層被覆層12の表面にレジスト膜50を形成し、密着部9aの形成後、レジスト膜50を剥離することにより、第1金属層8及び第1金属層被覆層12の表面への密着部9aの形成を避けることができる。
次に、チップ化する際の切断部となる領域及び第1金属層8等が形成された領域を含めた第2主面上の全体に、スパッタリング法などにより、所定の材料によって第2金属層9の被覆部9bを積層する(図5(c))。その結果、密着部9a及び被覆部9bからなる第2金属層9は、第1金属層8及び第1金属層被覆層12を囲うように覆うことになる。
続いて、第1実施形態の製造方法と同様に、スパッタリング法や蒸着法などにより、中間層10及び第3金属層11を形成する。
以上のようにして、チップ化する際の切断部となる領域を含めた第2実施形態の半導体発光素子100が形成される。半導体発光素子100は、透光性基板1の第1主面上に半導体層20が形成され、第2主面上に第1金属層8、第1金属層被覆層12、第2金属層9(密着部9a及び被覆部9b)、中間層10及び第3金属層11を含む積層構造30が形成されている。第1実施形態の製造方法と同様に、レーザー光44を照射した切断部を切断し、個々の半導体発光素子100をチップ状に分割する。
以上、説明した製造方法によって、図4に示した第2実施形態の半導体発光素子100を製造することができる。
<第3実施形態>
図6を参照して、本発明の第3実施形態の半導体発光素子100の構成について説明する。例えば図6に示すように、第3実施形態における半導体発光素子100は、図1に示した第1実施形態の半導体発光素子100に対して、第1金属層8が、第2主面の全面に形成され、第2金属層9が、側面1aに接して形成されることが異なる。
図6を参照して、第3実施形態の半導体発光素子100の構成について説明する。なお、図1に示した第1実施形態における半導体発光素子100と同じ構成要素については、同じ符号を付して説明は適宜省略する。
図6に示したように、第3実施形態の半導体発光素子100は、透光性の透光性基板1と、その透光性基板1の一方の主面(第1主面)上に、発光層3を有する半導体層20が設けられている。透光性基板1及び半導体層20は、第1実施形態の透光性基板1及び半導体層20と同様のものを用いることができる。
本発明の第3実施形態の半導体発光素子100は、透光性基板1の他方の主面(第2主面)上には、第1金属層8が第2主面の全面に積層され、さらに、第2金属層9と、中間層10と、第3金属層11とが、側面1aにまで回り込むように第2主面の全面に順次積層されて形成された積層構造30が設けられている。
本発明の第3実施形態の第1金属層8は、第2主面の全面に形成される。反射率の高い第1金属層8が、透光性基板1の第2主面の全体を直接覆うことにより、半導体層20の発光層3から放出され、透光性基板1を透過してきた光を、より高効率で上方に反射することができる。第1金属層8の材料としては、第1実施形態の場合と同様の材料を用いることができる。
本発明の第3実施形態の半導体発光素子100では、第2金属層9が、第1金属層8の周囲に形成され、さらに側面1aに接して形成される。図6に示す例では、透光性基板1との密着力の高い第2金属層9が、第1金属層8の上面に接するようにその周囲に形成され、さらに側面1aの一部に接して形成されている。第2金属層9が、側面1aに接する部分を有しつつ、第1金属層8を囲うように覆うことにより、第1金属層8の透光性基板1に対する密着力を補強することができる。そのため、透光性基板1の第2主面に接して形成される第1金属層8(反射層)の剥離を抑制することができる。
第2金属層9の材料は、Al、Ni、Ti、又はAl合金からなることが好ましい。第2金属層9の材料が、これらの金属材料であることにより、透光性基板1の表面に接する部分では、透光性基板1との高い密着力を得ることができる。さらに、第1金属層8の材料が、第2金属層9側に拡散することを防止する点から、第2金属層9の材料は、Niであることがより好ましい。
本発明の第3実施形態の半導体発光素子100では、第2金属層9を覆うように、さらに、中間層10が、第2主面の全面に積層される。中間層10は、さらに側面1aにまで回り込むように形成されることにより、第3金属層11の材料が第1金属層8へ拡散することを防止することができる。なお、中間層10の材料としては、第1実施形態の第二中間層16の場合と同様の材料を用いることができる。第3金属層11の材料が第1金属層8へ拡散することを防止することを確実にするために、第3実施形態の中間層10の材料は、Rhであることが好ましい。
本発明の第3実施形態の半導体発光素子100では、中間層10を覆うように、さらに、第3金属層11が、第2主面の全面に順次積層される。中間層10及び第3金属層11は、さらに側面1aにまで回り込むように形成することもできる。第3実施形態の第3金属層11の材料及びその機能は、第1実施形態の場合と同様である。
以上のような構造を有する本発明の第3実施形態の半導体発光素子100は、第1実施形態における半導体発光素子100と同様に動作することができる。そのため、発光層3から様々な方向に放出される光を、p側全面電極6を透過して半導体発光素子100の外に取り出すことができる。
(製造方法)
図6、図7及び図8を参照して、本発明の半導体発光素子100の第3実施形態の製造方法について説明する。第3実施形態の製造方法は、図7に示す第一例及び図8に示す第二例の、二つの製造方法を例示することができる。
(第3実施形態の第一例の製造方法)
図7を参照して、本発明の半導体発光素子100の第3実施形態の第一例の製造方法について説明する。本発明の半導体発光素子100の第3実施形態の第一例の製造方法において、半導体層20を形成する工程は、透光性基板1の第1主面上に、半導体層20を形成する工程と、半導体層20に電極を形成する工程とを含む。半導体層20及びその電極は、第1実施形態の製造方法と同様な方法により形成することができる。
次に、第3実施形態の第一例の製造方法では、チップ化する際の切断部を焦点46とするように、レーザー光44を透光性基板1に対して照射する(図7(a))。レーザー光44を照射した切断部を切断し、個々の半導体発光素子100を積層構造30が形成する前の半導体発光素子100bをチップ状に分割する(図7(b))。レーザー光44の照射及びチップ状に分割する方法は、第1実施形態の製造方法と同様である。
チップ状に分割した半導体発光素子100bの裏面である第2主面上に、第1金属層8を含む積層構造30を形成する。
第1金属層8を含む積層構造30を形成する工程は、まず、チップ状の透光性基板1の第2主面側の全面に、スパッタリング法や蒸着法などにより、第1金属層8の所定の材料を成膜する。なお、第1金属層8の形成は、半導体発光素子100bをチップ状に分割する前に行い、第1金属層8を形成した後に、半導体発光素子100bをチップ状に分割することもできる。
次に、第1金属層8等が形成された第2主面上の全体に、スパッタリング法などにより、所定の材料によって第2金属層9を積層する。透光性基板1はチップ状なので、第2金属層9の成膜の際に、第2金属層9の所定の材料が側面1aにまで回り込むように成膜することができる。この結果、第2金属層9は、第1金属層8の周囲に形成され、さらに側面1aに接して形成される。
次に、上述の第2金属層9と同様にして、スパッタリング法や蒸着法などにより、中間層10及び第3金属層11を形成して、チップ状の透光性基板1の第2主面側に積層構造30を形成することができる(図7(c))。
以上のような第3実施形態の第一例の製造方法によって、図6に示した第3実施形態の半導体発光素子100を製造することができる。
(第3実施形態の第二例の製造方法)
第3実施形態の半導体発光素子100は、図8に示すような、第二例の製造方法によって製造することもできる。
本発明の半導体発光素子100の第3実施形態の第二例の製造方法において、半導体層20を形成する工程は、第一例の製造方法と同様である(図8(a))。
第3実施形態の第二例の製造方法では、次に、第主面上に、フォトリソグラフィ法により、レジスト膜50によるマスクパターンを設ける(図8(b))。マスクパターンは、チップ化する際の切断部となる領域には、レジスト膜50を形成しないように設ける。図8(b)に示す例では、レジスト膜50によるマスクパターンが、幅dの溝54を形成できるように設けられている。その後の工程で、透光性基板1の側面1aに積層構造30を形成することを容易にする点から、溝54の幅dの寸法は、20〜60μmであることが好ましい。
次に、リアクティブイオンエッチングなどのエッチング法により、レジスト膜50をマスクパターンとして、透光性基板1のチップ化する際の切断部となる領域に、溝54を形成する(図8(c))。透光性基板1の側面1aに積層構造30を形成することを確実にし、チップ状に分割することを容易にする点から、溝54の深さは、好ましくは2〜40μm、より好ましくは5〜10μmであることができる。溝54を形成した後、レジスト膜50を除去する(図8(d))。
次に、第1金属層8を含む積層構造30を形成する。まず、透光性基板1の第2主面側の全面に、スパッタリング法や蒸着法などにより、第1金属層8の所定の材料を成膜する。なお、第1金属層8の形成は、上述のレジスト膜50を形成する前に行うこともできる。その場合には、第1金属層8も含めて溝54が形成される。
次に、第1金属層8等が形成された第2主面上の全体に、スパッタリング法などにより、所定の材料によって第2金属層9を積層する。透光性基板1のチップ状に分割する位置には溝54が形成されているので、第2金属層9の成膜の際に、第2金属層9の所定の材料が側面1aにまで回り込むように成膜することができる。この結果、第2金属層9は、第1金属層8の周囲に形成され、さらに側面1aに接して形成される。
次に、上述の第2金属層9と同様にして、スパッタリング法や蒸着法などにより、中間層10及び第3金属層11を形成して、透光性基板1の第2主面側に積層構造30を形成することができる。以上のようにして、チップ化する際の切断部となる領域を含めた第3実施形態の半導体発光素子100が形成される(図8(e))。
透光性基板1の第1主面上に半導体層20が形成され、第2主面上に第1金属層8、第2金属層9、中間層10及び第3金属層11を含む積層構造30が形成されると、溝54を形成した切断部を切断し、個々の半導体発光素子100をチップ状に分割する(図8(f))。
以上、説明した製造方法によって、図6に示した第3実施形態の半導体発光素子100を製造することができる。
<第4実施形態>
図9及び図10を参照して、本発明の第4実施形態の半導体発光素子100の構成について説明する。例えば図9及び図10に示すように、第4実施形態における半導体発光素子100は、図1に示した第1実施形態の半導体発光素子100と比べ、第2金属層9の代わりに、誘電体多層膜19を用いることが異なる。
図9及び図10を参照して、第4実施形態の半導体発光素子100の構成について説明する。なお、図1に示した第1実施形態における半導体発光素子100と同じ構成要素については、同じ符号を付して説明は適宜省略する。
図9及び図10に示したように、第4実施形態の半導体発光素子100は、透光性の透光性基板1と、その透光性基板1の一方の主面(第1主面)上に、発光層3を有する半導体層20が設けられている。透光性基板1及び半導体層20は、第1実施形態の透光性基板1及び半導体層20と同様のものを用いることができる。
に示す本発明の第4実施形態の半導体発光素子100は、透光性基板1の他方の主面(第2主面)上には、第1金属層8と、第1金属層被覆層12と、誘電体多層膜19と、中間層10と、第3金属層11とが順次積層された積層構造30が設けられている。図10に示す本発明の第4実施形態の半導体発光素子100は、図9に示す半導体発光素子100の構成に加え、誘電体多層膜19と中間層10との間に、第4金属層17がさらに設けられている。
第4実施形態の第1金属層8、第1金属層被覆層12、中間層10及び第3金属層11は、第1実施形態の積層構造30と同様のものを用いることができる。第4実施形態の半導体発光素子100では、第2金属層9の代わりに誘電体多層膜19を用いることが、第1実施形態のものとは異なるので、次に説明する。
本発明の第4実施形態の半導体発光素子100において、誘電体多層膜19の第1金属層8及び透光性基板1に対する配置は、第1実施形態の第2金属層9と同様である。すなわち本発明の第4実施形態の半導体発光素子100では、誘電体多層膜19が、第1金属層8の周囲に形成される。また、誘電体多層膜19は、少なくとも透光性基板1の第2主面又は側面1aに接して形成される。図9に示す例では、透光性基板1との密着力の高い誘電体多層膜19が、第2主面の一部に接して形成されている。誘電体多層膜19が、第2主面に接する部分を有しつつ、第1金属層8を囲うように覆うことにより、第1金属層8の透光性基板1に対する密着力を補強することができる。そのため、透光性基板1の第2主面に接して形成される第1金属層8(反射層)の剥離を抑制することができる。
誘電体多層膜19は、例えば、Nb及びSiOを1ペアとしてこれを順に3回繰り返したもの用いることができる。このような誘電体多層膜19を用いることにより、透光性基板1の表面に接する部分では、透光性基板1との高い密着力を得ることができる。また、誘電体多層膜19が第1金属層8の周囲に形成されることにより、誘電体多層膜19による、第1金属層8の透光性基板1に対する密着力の補強を確実にできる。
なお、誘電体多層膜19の光の透過率は、一般的に、第1金属層8を形成する金属薄膜と比べて大きい。そこで、図10に示す第4実施形態の半導体発光素子100の例では、誘電体多層膜19と中間層10との間に、例えば、PtやAl、Al合金などからなる第4金属層17がさらに設けられていることにより、誘電体多層膜19を透過した光を透光性基板1側へ反射することができる。この結果、図10に示す例では、図9に示す例と比べて、半導体発光素子100として光取り出し効率を向上させることができる。
以上のような構造を有する本発明の第4実施形態の半導体発光素子100は、第1実施形態における半導体発光素子100と同様に動作することができる。そのため、発光層3から様々な方向に放出される光を、p側全面電極6を透過して半導体発光素子100の外に取り出すことができる。
(製造方法)
本発明の半導体発光素子100の第4実施形態の製造方法について説明する。なお、第4実施形態でも、図9及び図10に示す半導体発光素子100が二次元的に配列されたウエハ状態で各工程が実施され、チップ状に分割された半導体発光素子100が得られる。
(第1主面上に半導体層20を形成する工程)
半導体層20を形成する工程は、透光性基板1の第1主面上に、半導体層20を形成する工程と、半導体層20に電極を形成する工程とを含む。半導体層20及びその電極は、第1実施形態の製造方法と同様な方法により形成することができる。
(第2主面上に第1金属層8を含む積層構造30を形成する工程)
第1主面上に半導体層20が形成されると、裏面である第2主面上に第1金属層8を含む積層構造30を形成する。第1金属層8及び第1金属層被覆層12は、第1実施形態の製造方法と同様な方法により形成することができる。
次に、第1実施形態の製造方法と同様に、チップ化する際の切断部を焦点46とするように、レーザー光44を透光性基板1に対して照射する。なお、このときには、レーザー光44の照射のみを行い、チップ化するための切断は行わない。
次に、チップ化する際の切断部となる領域及び第1金属層8等が形成された領域を含めた第2主面上の全体に、スパッタリング法などにより、所定の材料によって誘電体多層膜19を積層する。このとき、第1金属層8及び第1金属層被覆層12の外縁の外側の、透光性基板1の第2主面に接して、誘電体多層膜19が形成される。その結果、誘電体多層膜19は、第1金属層8及び第1金属層被覆層12を囲うように覆うことになる。
なお、誘電体多層膜19の形成後、中間層10の形成前に、スパッタリング法や蒸着法などにより、第4金属層17を形成することが好ましい。第4金属層17をさらに形成することにより、誘電体多層膜19を透過した光を透光性基板1側へ反射することができる。
続いて、第1実施形態の製造方法と同様に、スパッタリング法や蒸着法などにより、中間層10及び第3金属層11を形成する。
以上のようにして、チップ化する際の切断部となる領域を含めた第4実施形態の半導体発光素子100が形成される。半導体発光素子100は、透光性基板1の第1主面上に半導体層20が形成され、第2主面上に第1金属層8、第1金属層被覆層12、誘電体多層膜19、中間層10並びに第3金属層11を含む積層構造30が形成されている。また、必要に応じて、誘電体多層膜19と、中間層10との間に、第4金属層17が形成される。第1実施形態の製造方法と同様に、レーザー光44を照射した切断部を切断し、個々の半導体発光素子100をチップ状に分割する。
以上、説明した製造方法によって、図9及び図10に示した第4実施形態の半導体発光素子100を製造することができる。
次に、本発明の実施例について説明する。
なお、実施例において半導体発光素子100の積層構造30のダイシェア強度を測定した。ダイシェア強度の測定方法は、常温及び高温で半導体チップを横から水平方向に押し、剥がれたときの荷重として測定されたせん断強度である。この測定には、公知のダイシェア強度試験機が用いられる。なお、ダイシェア強度は、JEITA規格(EIAJ ED4703)やMIL規格(MIL−STD−883C)に定められている。
(実施例1)
サファイアからなるウエハ(透光性基板1)の主面上にn型窒化物半導体層、InGaNを含む活性層(発光層3)、p型窒化物半導体層を積層し、n側電極5を形成する領域のp型窒化物半導体層と活性層とn型窒化物半導体層の一部とを除去する。露出されたn型窒化物半導体層上にn側電極5を、p型窒化物半導体層上の全面に、ITOからなる透光性のp側全面電極6を設け、さらに、透光性のp側全面電極6上の一部にp側パッド電極7を設ける。
サファイアからなる透光性基板1の窒化物半導体層を積層した主面(第1主面)と反対の主面(第2主面)上に、チップ化する際の切断部となる部分を含めて、第主面上の第2金属層9が形成される領域に、フォトリソグラフィ法により、レジスト膜50によるマスクパターンを設けた。次に、スパッタリング法により、全面にAgを120nmの膜厚となるように積層して、第1金属層8を形成した。形成したAgの第1金属層8の外縁の外側のレジスト膜50を除去した。次に、フォトリソグラフィ法により、第1金属層8の場合と同様に、レジスト膜50によるマスクパターンを設け、スパッタリング法により、Niを100nmの膜厚となるように積層して、第1金属層被覆層12を形成した。その後、レジスト膜50を除去した。
次に、レジスト膜50の除去後のサファイアからなる透光性基板1の露出した領域の切断部に沿って、レーザー光44を照射した。
次に、スパッタリング法により、Alを300nmの膜厚となるように積層して、第2金属層9を形成した。続けて、スパッタリング法により、Wからなる第一中間層15を700nm、Ptからなる第二中間層16を200nmの膜厚となるように積層して、中間層10を形成した。最後に、Au−Snを3500nmの膜厚となるように積層して、第3金属層11を形成した。以上のようにして、第2主面上に第1金属層8、第1金属層被覆層12、第2金属層9、中間層10及び第3金属層11を含む積層構造30が形成された。
次に、レーザー光44を照射した切断部を切断し、個々の半導体発光素子100をチップ状に分割した。これによって、図1に示した第1実施形態である実施例1の半導体発光素子100を得ることができた。
得られた実施例1の半導体発光素子100の積層構造30のダイシェア強度を測定した。その結果、後述する比較例1の半導体発光素子100の積層構造30のダイシェア強度と比べて、実施例1の半導体発光素子100の積層構造30のダイシェア強度は、1.3〜2.3倍と高かった。また、実施例1の半導体発光素子100を実装基板に第3金属層11のAu−Snを接着剤として接合して特性を評価したところ、発光出力が高く、配光特性も良好だった。
(実施例2)
実施例2の半導体発光素子100の製造工程では、Agによる第2金属層9の代わりに、図4に示すように密着部9a及び被覆部9bを形成した以外は、実施例1と同様にして、第2実施形態である実施例2の半導体発光素子100を製造した。なお、密着部9aは、Al、Al合金又はAg合金を材料として用い、第1金属層8(膜厚120nm)及び第1金属層被覆層12(膜厚100nm)の合計膜厚220nmとなるように形成した。また、被覆部9bとしては、Alを300nmの膜厚で積層した。これによって、図4に示した第2実施形態である実施例2の半導体発光素子100を得ることができた。
(実施例3)
実施例3の半導体発光素子100の製造は、図7に示す製造工程により行った。すなわち、まず、実施例1と同様に、サファイアからなる透光性基板1の第1主面に、窒化物半導体層を積層した。次に、チップ化する際の切断部を焦点46とするように、レーザー光44を透光性基板1に対して照射した(図7(a))。次に、レーザー光44を照射した切断部を切断し、個々の半導体発光素子100を積層構造30が形成する前の半導体発光素子100bをチップ状に分割した(図7(b))。
チップ状に分割した半導体発光素子100bの裏面である第2主面上に、第1金属層8を含む積層構造30を形成した。具体的には、チップ状の透光性基板1の第2主面側の全面に、スパッタリング法により、Agからなる第1金属層8を、120nmの膜厚となるように成膜した。次に、Niからなる第2金属層9を、100nmの膜厚となるように積層して成膜した。このとき、Niからなる第2金属層9が側面1aにまで回り込むように成膜した。
次に、上述の第2金属層9と同様にして、スパッタリング法により、Rhからなる中間層10を、200nmの膜厚となるように積層して成膜した。最後に、Au−Snを3500nmの膜厚となるように積層して、第3金属層11を形成した。以上のようにして、第2主面上に第1金属層8、第2金属層9、中間層10及び第3金属層11を含む積層構造30が形成された(図7(c))。これによって、図6に示した第実施形態である実施例の半導体発光素子100を得ることができた。
(実施例4)
実施例4の製造工程では、Agによる第2金属層9の代わりに、図9に示すように誘電体多層膜19を形成した以外は、実施例1と同様にして、第4実施形態である実施例4の半導体発光素子100を製造した。なお、誘電体多層膜19としては、NbとSiOとの積層膜を用いた。また、第一中間層15は、Tiを3〜10nm、第二中間層16は、Pt又はRhを200nmの膜厚となるように積層して、中間層10を形成した。
(実施例5)
実施例5の製造工程では、誘電体多層膜19の形成後、中間層10の形成前に、Alからなる第4金属層17を形成した以外は、実施例4と同様にして、第4実施形態である実施例5の半導体発光素子100を製造した。なお、実施例5の第一中間層15は、Wを700nm、第二中間層16は、Ptを200nmの膜厚となるように積層して、中間層10を形成した。
(比較例1)
比較例1の製造工程では、第1金属層8を第主面の全面に形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の半導体発光素子100を製造した。すなわち、比較例1の半導体発光素子100の場合には、第2金属層9が透光性基板1に接していない。
得られた比較例1の半導体発光素子100の積層構造30のダイシェア強度を測定した。その結果、上述した実施例1〜5の半導体発光素子100の積層構造30のダイシェア強度と比べて、比較例1の半導体発光素子100の積層構造30のダイシェア強度は低かった。
1 透光性基板
1a 側面
1c 露出面
2 n型半導体層
3 発光層
4 p型半導体層
5 n側電極
6 p側全面電極
7 p側パッド電極
8 第1金属層
9 第2金属層
9a 密着部
9b 被覆部
10 中間層
11 第3金属層
12 第1金属層被覆層
15 第一中間層
16 第二中間層
17 第4金属層
19 誘電体多層膜
20 半導体層
30 積層構造
44 レーザー光
46 レーザー光の焦点
50 レジスト膜
51 第1レジスト
52 第2レジスト
52a 先細り部
52b 開口部
54 溝
100、100b 半導体発光素子

Claims (17)

  1. 第1主面と、第2主面と、前記第1主面及び前記第2主面に接する側面とを備える透光性基板と、前記透光性基板の第1主面側に形成される半導体層と、を有する半導体発光素子であって、
    前記透光性基板の第2主面に接して形成される第1金属層と、
    前記第1金属層の周囲において、少なくとも前記透光性基板の第2主面又は側面に接して形成される第2金属層と、
    前記第2金属層上に形成される第3金属層と、を有し、
    前記第1金属層は、前記第2金属層よりも前記発光層の発光ピーク波長に対する反射率が高く、
    前記第2金属層は、前記透光性基板との密着力が、前記第1金属層と前記透光性基板との密着力より大きいことを特徴とする半導体発光素子。
  2. 前記第2金属層が、前記透光性基板の表面のうち、第2主面のみに接して形成される、請求項1に記載の半導体発光素子。
  3. 前記第2金属層が、前記第2主面と前記第1金属層の上面とを連続して覆うように形成されている、請求項2に記載の半導体発光素子。
  4. 前記第2金属層が、前記第2主面に接している部分のみに形成される密着部と、前記第1金属層の上面全体に接して形成される被覆部とからなり、前記密着部及び前記被覆部の材料が異なる材料である、請求項1又は2に記載の半導体発光素子。
  5. 前記第1金属層が、前記第2主面の全面に形成され、
    前記第2金属層が、前記側面に接して形成される、請求項1に記載の半導体発光素子。
  6. 前記第1金属層が、Ag、Ag合金、Rh及びPtから選択されるいずれか1種からなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  7. 前記第1金属層がAgからなり、前記透光性基板がサファイアからなる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  8. 前記第2金属層が、Al、Ni、Ti、又はAl合金からなる、請求項7に記載の半導体発光素子。
  9. 第1主面と、第2主面と、前記第1主面及び前記第2主面に接する側面とを備える透光性基板と、前記透光性基板の第1主面側に形成される半導体層と、を有する半導体発光素子であって、
    前記透光性基板の第2主面に接して形成される第1金属層と、
    前記第1金属層の周囲において、少なくとも前記透光性基板の第2主面又は側面に接して形成される誘電体多層膜と、
    前記誘電体多層膜上に形成される第3金属層と、を有し、
    前記誘電体多層膜は、前記透光性基板との密着力が、前記第1金属層と前記透光性基板との密着力より大きいことを特徴とする半導体発光素子。
  10. 前記誘電体多層膜が、前記第1金属層の上面を覆うように形成されている、請求項9に記載の半導体発光素子。
  11. 前記誘電体多層膜の上面に接して形成される第4金属層をさらに含む、請求項9又は10に記載の半導体発光素子。
  12. 前記第3金属層が、Au−Sn又はPd−Snからなる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  13. 前記第1金属層と、前記第2金属層又は前記誘電体多層膜との間に、前記第1金属層を構成する材料が、前記前記第2金属層又は前記誘電体多層膜側に拡散することを防止するための第1金属層被覆層を有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  14. 前記第1金属層被覆層が、Niからなる、請求項13に記載の半導体発光素子。
  15. 前記第2金属層と前記第3金属層との間に、前記第3金属層の材料が前記第1金属層へ拡散することを防止するための中間層を有する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  16. 前記中間層が、前記第3金属層と接するように形成される第二中間層を含み、前記第二中間層が、Pt、Rh及びそれらの合金から選択される1種を含む材料からなる、請求項15に記載の半導体発光素子。
  17. 前記中間層が、前記第二中間層と、前記第2金属層との間に配置される第一中間層をさらに含み、前記第一中間層が、Ti、W及びそれらの合金から選択される1種を含む材料からなる、請求項16に記載の半導体発光素子。
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