JP2014082197A - 複合膜の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】P型半導体とN型半導体からなる複合膜の製造方法であって、前記P型半導体粒子54と前記N型半導体粒子54を、気体によって基板53に吹き付けることからなる複合膜の製造方法。前記P型半導体及び前記N型半導体において、一方の半導体が無機物からなる無機半導体であり、他方の半導体が有機物からなる有機半導体であり、前記無機半導体が、酸化チタンであり、前記有機半導体が、導電性高分子である。前記有機半導体粒子の粒径及び前記無機半導体粒子の粒径が1nm〜100μmであり、前記無機半導体粒子が、異なる平均粒子径を有する少なくとも2種の微粒子からなる微粒子である。
【選択図】図1
Description
一方、P型半導体とは、電荷を運ぶキャリアとして正孔(ホール)が使われる半導体である。正の電荷を持つ正孔が移動することで電流が生じる。つまり、正孔が多数キャリアとなる半導体である。例えばシリコンなど4価元素の真性半導体に、微量の3価元素(ホウ素、アルミニウムなど)を不純物として添加することでつくられる。
しかしながら、P型半導体粒子とN型半導体粒子をともに溶媒に分散させたペーストを焼き固める場合は、焼結工程の際に、例えば有機半導体粒子を使用した場合には有機半導体粒子が変質してしまい、その機能が失われるおそれがあった。一方で、低温域で焼結した場合には、例えば、無機半導体粒子を使用した場合には、無機半導体粒子の焼結が不十分となるおそれがあった。
[2]上記[1]に記載された複合膜の製造方法であって、前記P型半導体もしくは前記N型半導体の一方が多孔体であることを特徴とする複合膜の製造方法。
[3]上記[1]または[2]に記載された複合膜の製造方法であって、前記P型半導体及び前記N型半導体において、一方の半導体が無機物からなる無機半導体であり、他方の半導体が有機物からなる有機半導体であることを特徴とする複合膜の製造方法。
[4]上記 [3]に記載された複合膜の製造方法であって、前記無機半導体粒子の粒径が1nm〜100μmであることを特徴とする複合膜の製造方法。
[5]上記 [3]または[4]に記載された複合膜の製造方法であって、前記有機半導体粒子の粒径が1nm〜100μmであることを特徴とする複合膜の製造方法。
[6]上記 [3]〜[5]の何れか一項に記載された複合膜の製造方法であって、前記無機半導体粒子が、異なる平均粒子径を有する少なくとも2種の微粒子からなることを特徴とする複合膜の製造方法。
[7]上記 [3]〜[6]の何れか一項に記載された複合膜の製造方法であって、前記無機半導体が、酸化チタンであることを特徴とする複合膜の製造方法。
[8]上記 [3]〜[7]の何れか一項に記載された複合膜の製造方法であって、前記有機半導体が、導電性高分子であることを特徴とする複合膜の製造方法。
[9]上記[3]〜[8]の何れか一項に記載された複合膜の製造方法であって、前記有機半導体粒子の硬度よりも、前記無機半導体粒子の硬度の方が大きいことを特徴とする複合膜の製造方法。
ガスボンベ55には、原料粉体54を加速させて基材53に吹き付けるためのガス(以下、搬送ガスという)が収容されている。
ガスボンベ55には、搬送管56の一端が接続されている。ガスボンベ55から供給される搬送ガスは、搬送管56に供給される。
エアロゾル発生器58には、原料粉体54が装填されている。なお、太陽電池として色素増感型を製造する場合においては、原料粉体54への増感色素の吸着は、エアロゾル発生器58に装填する前に行われてもよく、エアロゾル発生器58内で行われてもよい。
原料粉体54はマスフロー制御器57から供給された搬送ガス中に分散されて、解砕器59及び分級器61へ搬送される。
また、成膜室51は、図示略の基台交換手段を備えている。
なお、P型半導体及びN型半導体のそれぞれは、ともに無機物からなる半導体、もしくはともに有機物からなる半導体を用いることが可能であるが、本実施形態において、一方の半導体が無機物からなる無機半導体であり、他方の半導体が有機物からなる有機半導体であることが好ましい。
以下、P型半導体として有機半導体を、そしてN型半導体として無機半導体を用いた複合膜の製造方法を例に挙げ詳細に説明する。
図1を用いて説明すると、まず無機半導体微粒子と有機半導体粒子とからなる原料粉体54をエアロゾル発生器58に納め、そこに搬送管56を通して搬送ガスを導入することで原料粉体54をエアロゾル化する。次に、基板53が設置されている成膜室51とエアロゾル発生器58との間に、真空ポンプ62によって圧力差を設けることで、このエアロゾル化した原料粉体54を搬送管56を通して成膜室51へ搬送し、基台63に設置された基板53に吹き付けることで、複合膜を製造する。
以下、本実施形態に係る複合膜の製造方法における条件等を、より詳細に説明する。
搬送ガスとしては、例えば、O2、N2、Ar、He、または空気など一般的なガスを用いることができるが、原料粉体54を構成する無機半導体粒子及び有機半導体粒子の種類に応じて適宜選択できる。
搬送ガスの流速及び流量は、ノズル52から吹き付ける原料粉体54の材質、平均粒径、流速及び流量に応じて適宜設定すればよい。
原料粉体54をエアロゾル発生器58に装填する方法は特に限定しないが、無機半導体粒子及び有機半導体粒子はエアロゾル発生器58に装填する前に混合されていることが好ましい。このように、無機半導体粒子及び有機半導体粒子を事前に混合しておくことにより、均質な複合膜を形成することができる。なお、有機半導体粒子と無機半導体粒子を別々のノズルより吹き付ける場合は予め混合していなくてもよい。
無機半導体微粒子と有機半導体の混合方法は特に制限されないが、例えば、無機半導体と有機半導体を適当な溶媒に分散させたのち、溶媒を蒸発させることで混合することができる。また、無機半導体微粒子と有機半導体をあらかじめ化学結合させておくこともできる。
また、無機半導体粒子と有機半導体粒子の混合比は特に限定せず、原料粉体54として用いる材料や平均粒径に応じて適宜決定すればよい。なお、複合膜における無機半導体粒子と有機半導体粒子との均質化の観点から、無機半導体粒子と有機半導体粒子の混合比は1:99〜99:1の範囲とすることが好ましい。
なお、本実施形態においては、予め増感色素を無機半導体粒子に吸着させておき、エアロゾル発生器58に装填してもよい。
無機半導体粒子の粒径は、1nm〜100μmの範囲であることが好ましい。無機半導体粒子の粒径が小さすぎると、吹付時の衝突エネルギーが十分ではなくなり基板への密着性が不足するおそれがあり好ましくない。一方、無機半導体粒子の粒径が大きすぎると無機半導体と有機半導体との界面の面積が不十分となるおそれがあり好ましくない。これらの観点から、無機半導体粒子の粒径は1nm〜100μmとすることが好ましく、より好ましくは10nm〜10μmの範囲である。
なお、原料粉体54を構成する無機半導体粒子は、異なる平均粒子径を有する少なくとも2種の微粒子からなることが好ましい。このように、無機半導体粒子として、粒子サイズの異なる多種類の微粒子を採用することにより、無機半導体と有機半導体の界面の面積を保ちつつ基板への密着性を保つことができる。
また、例えば、本実施形態に係る複合膜を色素増感太陽電池の電極への応用を想定した場合、有機半導体粒子の材料としては、可視光領域に光吸収を有する物質を有する材料を用いることが好ましく、具体的には300nm〜1000nmの波長領域に吸収を示す有機半導体を用いることが望ましい。このように、有機半導体粒子の材料として可視光領域に光吸収を有する物質を有する材料を用いることで、増感色素を用いることなく色素増感太陽電池の電極を製造でき、製造コストを抑制できるとともに製造プロセスを簡素化させることができる。
有機半導体粒子の粒径は、1nm〜100μmの範囲であることが好ましい。有機半導体粒子の粒径が小さすぎると吹付時の衝突エネルギーが十分ではなくなり基板への密着性が不足するおそれがあり好ましくない。一方、有機半導体粒子の粒径が大きすぎると無機半導体と有機半導体との界面の面積が不十分となるおそれがあり好ましくない。これらの観点から、有機半導体粒子の粒径は1nm〜100μmとすることが好ましく、より好ましくは10nm〜10μmの範囲である。
また、原料粉体54からなる複合膜と基材53との密着性をより高めることができる。尚、原料粉体54同士の衝突時は原料粉体54が溶融するような温度上昇は生じないため、新生面には、ガラス質からなる粒界層は形成されない。
以上の工程により、基材53の成膜面71の上に原料粉体54からなる所定の膜質及び膜厚の薄膜が成膜される。
また、無機半導体粒子と有機半導体粒子からなる原料粉体を気体によって基板に吹き付けることにより、多孔体となる無機半導体(もしくは有機半導体)粒子間に十分かつ均質に有機半導体(もしくは有機半導体)を充填させることができる。その結果、例えば、本実施形態に係る複合膜を太陽電池の電極に適用した場合、電極特性に優れた複合膜を得ることができる。
(実施例1)
基材53として、あらかじめFTO(フッ素ドープ酸化スズ)がガラス基板に製膜されたFTO−ガラス基板を用いた。
(無機半導体粒子および有機半導体粒子)
N型の無機半導体粒子として平均粒子径が約20nmのアナターゼ型TiO2粒子(日本エアロジル(株):P25)を用いた。また、P型の有機半導体粒子としてPolyhexylthiophene(P3HT、アルドリッチ(株))を用いた。これらの物質をエタノール中にそれぞれ10wt%になるように分散させ、EtOHを減圧乾燥させることで、無機半導体粒子と有機半導体の混合物を得た。
(製膜)
図1に記載の成膜装置60を使用して、エアロゾルデポジッション(AD)法によって前記混合物を成膜した。表1中の成膜法の「AD」はエアロゾルデポジッション法によって成膜していることを示す。
具体的には、成膜室51内において、10mm×0.5mmの長方形の開口部を持つノズル52からFTO−ガラス基板に対して前記混合物を吹き付けた。
搬送ガスであるN2をボンベ55から搬送管56へ供給し、その流速をマスフロー制御器57で調整した。吹き付け用の混合物粒子をエアロゾル発生器58に装填し、搬送ガスに分散させて、解砕器59および分級器61へ搬送し、ノズル52から基材53へ噴射した。成膜室51には真空ポンプ62が接続されており、成膜室内を陰圧にした。ノズル52における搬送速度は5mm/secとした。
以上により、基材53上に複合膜81を製造した。
P型の有機半導体粒子としてPolyaniline(PANI、シグマアルドリッチ社(Sigma−Aldrich Corp.))を用いた以外は、実施例1と同じ条件で成膜を行った。
(実施例3)
P型の有機半導体粒子としてPerylene(シグマアルドリッチ社(Sigma−Aldrich Corp.))を用いた以外は、実施例1と同じ条件で成膜を行った。
(実施例4)
P型の有機半導体粒子としてPentacene(シグマアルドリッチ社(Sigma−Aldrich Corp.))を用いた以外は、実施例1と同じ条件で成膜を行った。
(実施例5)
N型の無機半導体粒子として平均粒子径が約100nmの酸化亜鉛(ZnO)粒子(シグマアルドリッチ社(Sigma−Aldrich Corp.))を用い、P型の有機半導体粒子としてPolyhexylthiophene(P3HT、アルドリッチ(株))を用いた以外は、実施例1と同じ条件で成膜を行った。
(実施例6)
N型の無機半導体粒子として平均粒子径が約100nmの酸化亜鉛(ZnO)粒子(シグマアルドリッチ社(Sigma−Aldrich Corp.))を用い、P型の有機半導体粒子としてPolyaniline(PANI、シグマアルドリッチ社(Sigma−Aldrich Corp.))を用いた以外は、実施例1と同じ条件で成膜を行った。
(比較例1)
成膜方法としては、印刷焼成を用いて成膜を行った。
印刷焼成としては具体的には、11重量%のTiO2粒子が含有された市販のペースト(ソラロニクス社製、商品名:T/SPペースト)に、P3HTがTiO2粒子の全重量(100重量部)に対して100重量%で添加されたペーストを調製し、そのペーストを所定の膜厚となるように基板上にドクターブレード法により塗布した後、500℃で30分焼成することによって複合膜の成膜を行った。
(比較例2)
成膜方法としては、印刷乾燥を用いて成膜を行った。
印刷乾燥としては具体的には、11重量%のTiO2粒子が含有された市販のペースト(ソラロニクス社製、商品名:T―Lペースト)に、P3HTがTiO2粒子の全重量(100重量部)に対して100重量%で添加されたペーストを調製し、そのペーストを所定の膜厚となるように基板上にドクターブレード法により塗布した後、150℃で30分乾燥することによって複合膜の成膜を行った。
成膜された複合膜の評価は、膜厚、外観、曲げ試験について行った。
外観は、光学顕微鏡で観察した結果を示したものであり、膜にクラックや成膜ムラ、変色(有機物の分解による)が見られない場合は「○」、いずれかがある場合は「×」で示した。
曲げ試験は、複合膜が成膜された基板を直径80mmの円筒に10回巻き付けた際に、成膜された複合膜が基板から剥離するか否かを目視で確認することにより行った。剥離しなかった場合は「○」、剥離した場合は「×」で示した。
また、得られた複合膜81を光学顕微鏡で観察した結果、膜にクラックや成膜ムラ、変色が見られず、外観は良好であった。
複合膜81について、さらにSEM画像観察してみると、光学顕微鏡での結果と同様に外観は良好であり、無機半導体粒子が多孔質体となっていることが確認でき、さらに、有機半導体粒子が、多孔質体となっている無機半導体内に十分にかつ均質に充填されていることが観察された。
また、曲げ試験によって、複合膜は基板から剥離されなかった。
実施例2〜6について、膜厚は表2に示した通りであり、外観及び曲げ試験結果はいずれも「○」であった。
以上の通り、本発明の複合膜の製造方法で得られた複合膜である実施例ではいずれも十分な膜厚が得られ、外観が良好であり、曲げ試験でも剥離はなかった。
Claims (9)
- P型半導体とN型半導体からなる複合膜の製造方法であって、前記P型半導体粒子と前記N型半導体粒子を、気体によって基板に吹き付けることからなる複合膜の製造方法。
- 請求項1に記載された複合膜の製造方法であって、前記P型半導体もしくは前記N型半導体の一方が多孔体であることを特徴とする複合膜の製造方法。
- 請求項1または2に記載された複合膜の製造方法であって、前記P型半導体及び前記N型半導体において、一方の半導体が無機物からなる無機半導体であり、他方の半導体が有機物からなる有機半導体であることを特徴とする複合膜の製造方法。
- 請求項3に記載された複合膜の製造方法であって、前記無機半導体粒子の粒径が1nm〜100μmであることを特徴とする複合膜の製造方法。
- 請求項3または4に記載された複合膜の製造方法であって、前記有機半導体粒子の粒径が1nm〜100μmであることを特徴とする複合膜の製造方法。
- 請求項3〜5の何れか一項に記載された複合膜の製造方法であって、前記無機半導体粒子が、異なる平均粒子径を有する少なくとも2種の微粒子からなることを特徴とする複合膜の製造方法。
- 請求項3〜6の何れか一項に記載された複合膜の製造方法であって、前記無機半導体が、酸化チタンであることを特徴とする複合膜の製造方法。
- 請求項3〜7の何れか一項に記載された複合膜の製造方法であって、前記有機半導体が、導電性高分子であることを特徴とする複合膜の製造方法。
- 請求項3〜8の何れか一項に記載された複合膜の製造方法であって、前記有機半導体粒子の硬度よりも、前記無機半導体粒子の硬度の方が大きいことを特徴とする複合膜の製造方法。
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