JP2014080623A - 金属加工油剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記の(A)成分、(B)成分、(C)成分および(D)成分と、
酸性リン酸エステルおよび亜リン酸エステルのうち少なくともいずれか1種とを配合してなることを特徴とする水溶性金属加工油剤。
(A)炭素数8以上18以下のカルボン酸
(B)トリアルカノールアミン
(C)質量平均分子量が200以上である水溶性ポリマー
(D)水
【選択図】なし
Description
一方、オイル系金属加工油剤は、乾燥性が十分ではなく熱風による高温乾燥が必要であるため、火災防止への対応も必要である。また、VOC(Volatile Organic Compounds:揮発性有機化合物)による作業者や環境への負荷も問題となる。そこで、冷却性、浸潤性に優れ、火災の危険がなく、環境への負荷も低い水溶性金属加工油剤が多用されるようになってきた。そして、前記したような親水性表面を有するアルミニウム板に対しても水溶性金属加工油剤が用いられる場合がある。
(A)炭素数8以上18以下のカルボン酸
(B)トリアルカノールアミン
(C)質量平均分子量が200以上である水溶性ポリマー
(D)水
(2)上述の(1)に記載の水溶性金属加工油剤において、前記各成分の配合量が該水溶性金属加工油剤全量基準で下記の通りであることを特徴とする水溶性金属加工油剤。
(A)成分:20質量%以上、40質量%以下
(B)成分:20質量%以上、40質量%以下
(C)成分:1質量%以上、15質量%以下
(D)成分:10質量%以上、80質量%以下
(3)上述の(1)または(2)に記載の水溶性金属加工油剤において、前記(C)成分が非イオン系界面活性剤であることを特徴とする水溶性金属加工油剤。
(4)上述の(3)に記載の水溶性金属加工油剤において、前記非イオン系界面活性剤がポリアルキレングリコール構造を有することを特徴とする水溶性金属加工油剤。
(5)上述の(1)から(4)までのいずれか1つに記載の水溶性金属加工油剤において、さらに、金属不活性化剤を配合してなることを特徴とする水溶性金属加工油剤。
(6)上述の(1)から(5)までのいずれか1つに記載の水溶性金属加工油剤において、前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分、前記(D)成分、および前記酸性リン酸エステルを配合してなることを特徴とする水溶性金属加工油剤。
(7)上述の(1)から(6)までのいずれか1つに記載の水溶性金属加工油剤において、前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分、前記(D)成分、前記酸性リン酸エステルおよび前記亜リン酸エステルを配合してなることを特徴とする水溶性金属加工油剤。
(8)上述の(1)から(7)までのいずれか1つに記載の水溶性金属加工油剤に対し、容量比で2〜200倍の水で希釈したことを特徴とする金属加工油剤。
(9)上述の(8)に記載の金属加工油剤がアルミニウム加工用であることを特徴とする金属加工油剤。
(A)炭素数8以上18以下のカルボン酸
(B)トリアルカノールアミン
(C)質量平均分子量が200以上である水溶性ポリマー
(D)水
カルボン酸としては、モノカルボン酸でもポリカルボン酸(二塩基酸等)でもよい。また、カルボン酸としては芳香族カルボン酸と脂肪酸があるが、水溶性および潤滑性の観点より脂肪酸(脂肪族カルボン酸)が好適である。カルボン酸としては、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよい。
具体的には、飽和脂肪酸として、カプリル酸(オクタン酸)、ペラルゴン酸(ノナン酸)、カプリン酸(デカン酸)、ラウリン酸(ドデカン酸)、ミリスチン酸(テトラデカン酸)、パルミチン酸(ヘキサデカン酸)、マルガリン酸(ヘプタデカン酸)、ステアリン酸(オクタデカン酸)などが挙げられる。また、これらの脂肪酸は、直鎖構造に限らずイソオクタン酸やネオデカン酸のようにすべての分岐型異性体を含む。不飽和脂肪酸としては、オクテン酸、デセン酸、ドコセン酸、オレイン酸などが挙げられる。直鎖構造に限らずすべての分岐型異性体を含むことは飽和脂肪酸と同様である。
特に上記したイソノナン酸は、油剤(原液)を水で希釈した時、固形物が液面にできるのを低減する効果(硬水安定性)に優れている。
また、脂肪酸の主鎖を構成するアルキル基としては耐腐敗性の点で分岐構造を有するものが好ましい。特に上記したイソノナン酸は、油剤(原液)を水で希釈した時、固形物が液面にできるのを低減する効果(硬水安定性)にも優れている。
脂肪酸としては二塩基酸を用いた方が塩として用いた場合に防錆性に優れるが、原液の安定性(不溶化しにくいこと)の観点からは、二塩基酸と一塩基酸とを混合して使用することも好ましい。
このようなアルカノールアミンとしては、例えば、トリエタノールアミン、トリ−n−プロパノールアミン、トリ−i−プロパノールアミン、およびトリ−n−ブタノールアミンなどが挙げられるが、水溶性の点でトリエタノールアミンが好ましい。
(C)成分として使用可能な水溶性ポリマーは質量平均分子量が200以上であれば特に制限されない。従って、本発明における水溶性ポリマーには、一般に高分子として認識されていない分子量のものも含まれる。本発明における水溶性ポリマーの好ましい質量平均分子量は、200以上70,000以下であり、250以上70,000以下であることがより好ましい。質量平均分子量が200未満であると、前記した効果を十分に奏することができない。なお、このような質量平均分子量は、例えばゲルクロマトグラフィーによって測定することができる。
R1−[(OR2)m1−OR3]n1 (1)
(式中、R1は水素原子、炭素数1〜10のヒドロカルビル基、炭素数2〜10の含酸素ヒドロカルビル基、炭素数2〜10のアシル基および結合部2〜6個を有する炭素数1〜10のヒドロカルビル基のいずれかである。R2は炭素数2〜4のアルキレン基、R3は水素原子、炭素数1〜10のヒドロカルビル基、炭素数2〜10の含酸素ヒドロカルビル基、および炭素数2〜10のアシル基のいずれかである。n1は1〜6の整数、m1はm1×n1の平均値が6〜80となる数を示す。)
また、R1、R3における該アシル基のアルキル基部分は直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。該アシル基のアルキル基部分の具体例としては、上記アルキル基の具体例として挙げた炭素数1〜9の種々の基を同様に挙げることができる。
R1およびR3が、いずれもヒドロカルビル基、含酸素ヒドロカルビル基、またはアシル基である場合には、R1とR3は同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
さらにn1が2以上の場合には、1分子中の複数のR3は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
前記式(1)中のn1は1〜6の整数で、R1の結合部位の数に応じて定められる。例えばR1がアルキル基やアシル基の場合、n1は1であり、R1が結合部位2、3、4、5および6個を有する脂肪族炭化水素基である場合、n1はそれぞれ2、3、4、5および6となる。また、m1はm1×n1の平均値が6〜80となる数である。
上述したポリアルキレングリコールとしては、非イオン型(ノニオン型)界面活性剤として知られているもののうち、質量平均分子量が200以上のものを好適に使用することができる。
なお、本発明の水溶性金属加工油剤(原液)は、水で2〜200倍(容量比)、好ましくは5〜100倍に希釈されて使用される。
酸性リン酸エステルとしては、例えば、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート,テトラコシルアシッドホスフェート,イソデシルアシッドホスフェート,ラウリルアシッドホスフェート,トリデシルアシッドホスフェート,ステアリルアシッドホスフェート,イソステアリルアシッドホスフェートなどを挙げることができる。
これらの酸性リン酸エステルや亜リン酸エステルは、各々単独でも両者を混ぜて配合してもよいが、本油剤への配合量は、合計量で1〜15質量%程度が好ましい。
金属不活性化剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール、イミダゾリン、ピリミジン誘導体、チアジアゾール、およびチアジアゾール等が挙げられる。これらの1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。油剤への配合量は油剤全量基準で0.01〜1質量%程度が好ましい。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール;2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール;2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール;2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール;2,6−ジ−tert−ブチルフェノール;2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール;2,6−ジ−tert−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール;2,6−ジ−tert−アミル−4−メチルフェノール;n−オクタデシル3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオネートなどの単環フェノール類、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール);4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール);4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール);4,4’−ビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール);4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール);2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール);4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)などの多環フェノール類などが挙げられる。
本発明においては、酸化防止剤として、前記フェノール系酸化防止剤及びアミン系酸化防止剤の中から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。また、その配合量は、酸化防止効果および経済性のバランスなどの面から、組成物全量基準で、0.01〜5質量%程度である。
〔実施例1〜2、比較例1〜3、参考例〕
表1に示す配合処方により水溶性金属加工油剤(原液)を調製した。各成分の詳細は以下の通りである。
1)ポリアルキレングリコールA
(EO)n−(PO)m−(EO)nで示されるブロック型共重合体を用いた。ここで、(EO)nはエチレンオキサイドの重合体からなり、(PO)mは、プロピレンオキサイドの重合体からなる。nは、約5であり、mは約35である。なお、両末端基とも水酸基である。
2)ポリアルキレングリコールB (株式会社日本乳化剤社製 PNT−40)
ポリエチレングリコールペンタエリスリトールエーテルを用いた。
(1)潤滑性(摩擦係数)
参考例を除き、原液をイオン交換水で50倍(容量比)に希釈した後、試験片に塗布して、下記に示す往復動摩擦試験により動摩擦係数(μ)を求めた。なお、参考例として、イオン交換水だけを用いた試験も行った。
試験機 :往復動摩擦試験機(株式会社オリエンテック社製)
試験片 :熱交換器用プレコートアルミニウムフィン材
(表面に親水性膜としてポリエチレングリコールが塗布)
試験条件:
液温:70℃
荷重:3kgf(29N)
摺動速度:20mm/s
振幅:50mm
この条件で、摺動1回目の最も高い摩擦係数を読み取った。なお、摩擦係数は、実施例、比較例および参考例とも各々3枚の試験片について測定したときの平均の値である。
ビーカー内に原液の各成分を入れ、スターラーで攪拌しながら混合させ均一な溶液とした。溶液を1晩静置した後、ビーカー中の溶液の様子を目視で観察し、以下の基準で原液安定性を評価した。
○:溶解している。
△:分散している(曇りがある)
×:固まっている。
ビーカー内に原液の各成分を入れ、スターラーで攪拌しながら混合させ均一な溶液とした(原液調製)。100mLメスシリンダーに98mLの水を入れ、次に原液2mLを加えて希釈した。メスシリンダーを3回上下に振った後、溶液を1晩静置した。メスシリンダー中の溶液の様子を目視で観察し、以下の基準で希釈液安定性を評価した。
○:溶解している。
△:分散している(曇りがある)
表1の結果より、本発明の金属加工油剤は、所定の水溶性金属加工油剤を水で希釈して使用しているので、アルミニウムフィン材に適用した場合、フィン材表面が親水性膜を有していても優れた潤滑性を発揮する。また、本発明の水溶性金属加工油剤は、原液安定性や、水で希釈後の希釈液安定性にも問題がない。
一方、本発明における必須の構成要素である(A)成分、(B)成分、(C)成分の少なくともいずれかを欠いている比較例1〜3の油剤は、水で希釈して使用した場合に、いずれも潤滑性を発揮できていない。
Claims (9)
- 下記の(A)成分、(B)成分、(C)成分および(D)成分と、
酸性リン酸エステルおよび亜リン酸エステルのうち少なくともいずれか1種とを配合してなる
ことを特徴とする水溶性金属加工油剤。
(A)炭素数8以上18以下のカルボン酸
(B)トリアルカノールアミン
(C)質量平均分子量が200以上である水溶性ポリマー
(D)水 - 請求項1に記載の水溶性金属加工油剤において、
前記各成分の配合量が該水溶性金属加工油剤全量基準で下記の通りである
ことを特徴とする水溶性金属加工油剤。
(A)成分:20質量%以上、40質量%以下
(B)成分:20質量%以上、40質量%以下
(C)成分:1質量%以上、15質量%以下
(D)成分:10質量%以上、80質量%以下 - 請求項1または請求項2に記載の水溶性金属加工油剤において、
前記(C)成分が非イオン系界面活性剤である
ことを特徴とする水溶性金属加工油剤。 - 請求項3に記載の水溶性金属加工油剤において、
前記非イオン系界面活性剤がポリアルキレングリコール構造を有する
ことを特徴とする水溶性金属加工油剤。 - 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の水溶性金属加工油剤において、
さらに、金属不活性化剤を配合してなる
ことを特徴とする水溶性金属加工油剤。 - 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の水溶性金属加工油剤において、
前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分、前記(D)成分、および前記酸性リン酸エステルを配合してなる
ことを特徴とする水溶性金属加工油剤。 - 請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の水溶性金属加工油剤において、
前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分、前記(D)成分、
前記酸性リン酸エステルおよび前記亜リン酸エステルを配合してなる
ことを特徴とする水溶性金属加工油剤。 - 請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の水溶性金属加工油剤に対し、
容量比で2〜200倍の水で希釈した
ことを特徴とする金属加工油剤。 - 請求項8に記載の金属加工油剤がアルミニウム加工用である
ことを特徴とする金属加工油剤。
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