JP2014080473A - 含フッ素エーテル組成物、該組成物から形成された表面層を有する基材およびその製造方法 - Google Patents

含フッ素エーテル組成物、該組成物から形成された表面層を有する基材およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】撥水撥油性、防汚性および耐摩耗性に優れた表面層を有する基材および該基材の製造方法の提供。
【解決手段】ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖からなる主鎖と、該主鎖の少なくとも一方の末端に位置する加水分解性シリル基とがアミド結合またはウレタン結合を有する連結基で結合され、前記加水分解性シリル基1つ当たりの数平均分子量が2,000以上である含フッ素エーテル化合物(A1)と、少なくとも含フッ素有機溶媒を含み、含まれている溶媒のハンセン溶解度パラメータの極性項(dP)の体積平均値が2〜6、水素結合項(dH)の体積平均値が4〜12である媒体(B)とを含む含フッ素エーテル組成物を用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、含フッ素エーテル組成物、該組成物から形成された表面層を有する基材およびその製造方法に関する。
メガネレンズ、カメラレンズ、タッチパネル、家具等の基材の表面は、指紋、皮脂、汗、化粧品、食品等の汚れが付着しやすい。該汚れは、視認性や、操作性、見栄えに悪影響を及ぼす。そのため、基材の表面には、優れた撥水撥油性を有し、汚れが付着しにくく、付着しても容易に除去できるような防汚性が求められる。また、実際に使用することを鑑みると、基材の表面には防汚性と耐摩耗性も求められる。
基材の表面に防汚性および耐摩耗性を付与する方法としては、下記の表面処理剤を用いて基材の表面に表面層を形成させる方法が知られている。
(i)ペルフルオロポリエーテル化合物、酸、水および有機溶媒を含む表面処理剤(特許文献1)。
(ii)数平均分子量が1,100のペルフルオロポリエーテル化合物を含む表面処理剤(特許文献2)。
国際公開第2002/030848号 国際公開第2009/008380号
しかし、前記(i)、(ii)の表面処理剤では、表面層の耐摩耗性が不充分な場合があった。
本発明は、撥水撥油性、防汚性および耐摩耗性に優れた表面層を形成できる含フッ素エーテル組成物の提供を目的とする。
本発明は、撥水撥油性、防汚性および耐摩耗性に優れた表面層を有する基材、および該表面層を有する基材の製造方法の提供を目的とする。
本発明は、下記[1]〜[8]の構成を有する含フッ素エーテル組成物、該組成物から形成された表面層を有する基材およびその製造方法、ならびにタッチパネルを提供する。
[1]下記含フッ素エーテル化合物(A1)、その部分加水分解縮合物(A2)、または前記含フッ素エーテル化合物(A1)と部分加水分解縮合物(A2)との混合物と、下記媒体(B)と、を含む含フッ素エーテル組成物。
含フッ素エーテル化合物(A1):ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖を主鎖に有し、かつ該主鎖の少なくとも一方の末端に加水分解性シリル基を有し、前記ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖と前記加水分解性シリル基とがアミド結合またはウレタン結合を有する連結基で結合され、前記加水分解性シリル基1つ当たりの数平均分子量が2,000以上である含フッ素エーテル化合物。
媒体(B):少なくとも含フッ素有機溶媒を含み、含まれている溶媒のハンセン溶解度パラメータの極性項(dP)の体積平均値が2〜6、水素結合項(dH)の体積平均値が4〜12である媒体。
[2]前記含フッ素エーテル化合物(A1)が、下式(1)で表される化合物である、[1]の含フッ素エーテル組成物。
X−O−R−Y ・・・(1)
ただし、式(1)中の記号は下記の通りである。
:ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖。
X:炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基またはY。
Y:下式(Y1)〜(Y3)のいずれかで表される基。
−Q−C(O)NH(CHn1−Si(Lm1(R3−m1 ・・・(Y1)
−Q−CHOC(O)NH(CHn2−Si(Lm2(R3−m2 ・・・(Y2)
−Q−C(O)N((CHn3−Si(Lm3(R3−m3 ・・・(Y3)
〜Q:2価の連結基。
〜L:加加水分解性基。
〜R:水素原子または1価の炭化水素基。
m1〜m3:1〜3の整数。
n1〜n3:1〜6の整数。
[3]前記媒体(B)が、非フッ素系アルコールをさらに含む、[1]または[2]の含フッ素エーテル組成物。
[4]前記[1]〜[3]のいずれかの含フッ素エーテル組成物を基材の表面に塗布した後、前記媒体(B)を除去することを特徴とする、表面層を有する基材の製造方法。
[5]前記含フッ素エーテル組成物を前記基材の表面に塗布する方法が、スピンコート法、ワイプコート法、スプレーコート法、スキージーコート法、ディップコート法、ダイコート法、インクジェット法、フローコート法、ロールコート法、キャスト法、ラングミュア・ブロジェット法またはグラビアコート法である、[4]の表面層を有する基材の製造方法。
[6]前記基材の材質が、金属、樹脂、ガラス、セラミック、石、またはこれらの複合材料である、[4]または[5]の表面層を有する基材の製造方法。
[7]前記[1]〜[3]のいずれかの含フッ素エーテル組成物から形成されてなる表面層を有する基材。
[8]前記[1]〜[3]のいずれかの含フッ素エーテル組成物から形成されてなる表面層を入力面に有する、タッチパネル。
本発明の含フッ素エーテル組成物は、撥水撥油性、防汚性および耐摩耗性に優れた表面層を形成できる。
本発明の表面層を有する基材は、撥水撥油性、防汚性および耐摩耗性に優れた表面層を有している。
本発明の表面層を有する基材の製造方法によれば、撥水撥油性、防汚性および耐摩耗性に優れた表面層を有する基材を製造できる。
本明細書においては、式(1)で表される化合物を化合物(1)と記す。他の式で表される化合物も同様に記す。
本明細書においては、式(Y1)で表される基を基(Y1)と記す。他の式で表される基も同様に記す。
本発明における主鎖とは、該主鎖以外のすべての分子鎖が側鎖と見なされるような線状分子鎖である。
本発明における加水分解性シリル基とは、加水分解反応によってシラノール基(Si−OH)を形成し得る基である。
〔含フッ素エーテル組成物〕
本発明の含フッ素エーテル組成物は、含フッ素エーテル化合物(A1)、その部分加水分解縮合物(A2)、または前記含フッ素エーテル化合物(A1)と部分加水分解縮合物(A2)との混合物と、媒体(B)と、を含む。本発明の含フッ素エーテル組成物は、必要に応じて触媒(C)および他の添加剤(D)をさらに含んでいてもよい。
(含フッ素エーテル化合物(A1))
含フッ素エーテル化合物(A1)は、ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖を主鎖に有し、かつ該主鎖の少なくとも一方の末端に加水分解性シリル基を有する。含フッ素エーテル化合物(A1)は、ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖を主鎖に有することによって、ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖を有さず、ペルフルオロアルキル基を有する従来のシラン化合物に比べて、基材上に撥水撥油性、防汚性および耐摩耗性に優れた表面層を形成できる。
含フッ素エーテル化合物(A1)は、単一化合物であってもよく、ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖、末端基、連結基等が異なる2種類以上の混合物であってもよい。
含フッ素エーテル化合物(A1)は、主鎖の一方の末端のみに加水分解性シリル基を有していてもよく、主鎖の両方の末端に加水分解性シリル基を有していてもよい。表面層に防汚性および耐摩耗性を充分に付与する点からは、主鎖の一方の末端のみに加水分解性シリル基を有することが好ましい。
含フッ素エーテル化合物(A1)が有する加水分解性シリル基は、後述するように基材表面の水酸基と化学結合を形成できる。含フッ素エーテル化合物(A1)が主鎖の一方の末端のみに加水分解性シリル基を有する場合、含フッ素エーテル化合物(A1)は該末端のみで基材と結合する。一方、含フッ素エーテル化合物(A1)が主鎖の両方の末端に加水分解性シリル基を有する場合、含フッ素エーテル化合物(A1)は両方の末端で基材と結合する。これにより、主鎖の一方の末端のみに加水分解性シリル基を有する含フッ素エーテル化合物(A1)から形成された表面層中のポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖は、主鎖の両方の末端に加水分解性シリル基を有する含フッ素エーテル化合物(A1)から形成された表面層中のポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖に比べて基材上で動きやすい。そのため、主鎖の一方の末端のみに加水分解性シリル基を有する含フッ素エーテル化合物(A1)を用いて形成した表面層は、表面が摩耗されてもその力を効率的に逃がすことができ、耐摩耗性に優れる。
含フッ素エーテル化合物(A1)のポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖によって、表面層に撥水撥油性が付与され、良好な防汚性が得られる。
ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖としては、1種のオキシペルフルオロアルキレン単位のみから構成されていてもよく、炭素数の異なる2種以上のオキシペルフルオロアルキレン単位から構成されていてもよい。
オキシペルフルオロアルキレン単位は、側鎖がなくてもよく、側鎖があってもよい。オキシペルフルオロアルキレン単位としては、表面層に防汚性および耐摩耗性を充分に付与する点からは、炭素数1〜10のオキシペルフルオロアルキレン単位が好ましく、炭素数1〜6のオキシペルフルオロアルキレン単位がより好ましく、炭素数1〜4のオキシペルフルオロアルキレン単位が特に好ましい。
含フッ素エーテル化合物(A1)は、末端にペルフルオロアルキル基を有すると、表面層における撥水撥油性が特に優れる。
含フッ素エーテル化合物(A1)としては、ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖の一端に、酸素原子を介して炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基が結合し、ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖の他端に、連結基を介して加水分解性シリル基が結合している化合物が好ましい。該化合物から形成された表面層は、より防汚性および耐摩耗性に優れる。
ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖と加水分解性シリル基とは、アミド結合またはウレタン結合を有する連結基で結合される。含フッ素エーテル化合物(A1)では、ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖と加水分解性シリル基とがアミド結合を有する連結基で結合されることが好ましい。該連結基と媒体(B)との組み合わせにより、加水分解性シリル基と基材とが接触しやすくなり、得られる表面層の耐摩耗性が良好になる。
含フッ素エーテル化合物(A1)の加水分解性シリル基1つ当たりの数平均分子量(Mn)は、2,000以上である。具体的には、主鎖の一方の末端のみに加水分解性シリル基を有する含フッ素エーテル化合物(A1)の場合、該含フッ素エーテル化合物(A1)の数平均分子量(Mn)は、2,000以上である。主鎖の両方の末端に加水分解性シリル基を有する含フッ素エーテル化合物(A1)の場合、該含フッ素エーテル化合物(A1)の数平均分子量(Mn)は、4,000以上である。
前記加水分解性シリル基1つ当たりの数平均分子量(Mn)が前記下限値以上であれば、防汚性および耐摩耗性に優れた表面層を形成しやすい。
含フッ素エーテル化合物(A1)の加水分解性シリル基1つ当たりの数平均分子量(Mn)は、2,000〜10,000が好ましく、2,000〜7,000がより好ましく、3,000〜5,000が特に好ましい。なお、前記加水分解性シリル基1つ当たりの数平均分子量(Mn)が上限値以下であれば、表面層の外観に優れ、カバーガラスなど、電子部材の最表面や、各種物品の表面に使用した際、視界が良好となり、操作性、意匠性が良くなる。
本発明における含フッ素エーテル化合物の数平均分子量(Mn)は、特開2001−208736号公報に記載の方法に従い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(以下、「GPC」と記す。)によって測定される。
含フッ素エーテル化合物(A1)は、公知の含フッ素エーテル化合物と同様の方法で製造できる。たとえば、主鎖の末端にアリル基を有する含フッ素エーテル化合物である前駆体を製造し、該前駆体をヒドロシリル化して末端に加水分解性シリル基を導入する方法が挙げられる。また、主鎖の末端にエステル基を有する含フッ素エーテル化合物である前駆体を製造し、該前駆体にアミノ基と加水分解性シリル基とを有する化合物を反応させる方法が挙げられる。
含フッ素エーテル化合物(A1)としては、化合物(1)が好ましい。
X−O−R−Y ・・・(1)
ただし、式(1)中の記号は下記の通りである。
:ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖。
X:炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基またはY。
Y:基(Y1)〜(Y3)のいずれか。
−Q−C(O)NH(CHn1−Si(Lm1(R3−m1 ・・・(Y1)
−Q−CHOC(O)NH(CHn2−Si(Lm2(R3−m2 ・・・(Y2)
−Q−C(O)N((CHn3−Si(Lm3(R3−m3 ・・・(Y3)
〜Q:2価の連結基。
〜L:加水分解性基。
〜R:水素原子または1価の炭化水素基。
m1〜m3:1〜3の整数。
n1〜n3:1〜6の整数。
は、1種のオキシペルフルオロアルキレン単位のみから構成されていてもよく、炭素数の異なる2種以上のオキシペルフルオロアルキレン単位から構成されていてもよい。
オキシペルフルオロアルキレン単位の具体例としては、下記の単位が挙げられる。
(CFO)、
(CFCFO)、
(CFCFCFO)、
(CF(CF)CFO)、
(CFCFCFCFO)等。
としては、Xが炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基の場合、表面層に防汚性および耐摩耗性を充分に付与する点から、下式(2)で表される分子鎖が好ましい。
−(CFCFO)(CFCFCFCFO)− ・・・(2)
ただし、dは、0以上の整数であり、eは、0以上の整数であり、d+eは、5〜15の整数である。なお、(CFCFO)単位および(CFCFCFCFO)単位の結合順序は限定されない。すなわち、(CFCFO)単位および(CFCFCFCFO)単位がランダムに配置されてもよく、(CFCFO)単位と(CFCFCFCFO)単位とが交互に配置されてもよく、複数の単位からなるブロックの2以上が連結してもよい。
としては、XがYの場合、表面層に防汚性および耐摩耗性を充分に付与する点から、下式(3)で表される分子鎖が好ましい。
−(CFCFO)(CFO)− ・・・(3)
ただし、fは、0以上の整数であり、hは、0以上の整数であり、f+hは、5〜25の整数である。なお、(CFCFO)単位および(CFO)単位の結合順序は限定されない。すなわち、(CFCFO)単位および(CFO)単位がランダムに配置されてもよく、(CFCFO)単位と(CFO)単位とが交互に配置されてもよく、複数の単位からなるブロックの2以上が連結してもよい。
Xとしては、表面層に防汚性および耐摩耗性を充分に付与する点からは、炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基が好ましい。ペルフルオロアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。
Xのペルフルオロアルキル基の具体例としては、下記の基が挙げられる。
CF−、
CFCF−、
CF(CF−、
CF(CF−、
CF(CF−、
CF(CF−、
CFCF(CF)−等。
Xとしては、表面層に耐摩擦性および防汚性を充分に付与する点からは、下記の基が好ましい。
CF−、
CFCF−、
CF(CF−。
Yは、基(Y1)〜(Y3)のいずれかである。
Yとしては、含フッ素エーテル組成物の貯蔵安定性、ならびに表面層の防汚性および外観が良好となる点からは、基(Y1)または基(Y2)が好ましく、基(Y1)が特に好ましい。
化合物(1)中にYが2つある場合、すなわちXがYの場合、2つのYは同一であってもよく、異なっていてもよい。
〜Qとしては、表面層の防汚性が良好となる点からは、炭素数1〜20のペルフルオロアルキレン基が好ましく、炭素数1〜3のペルフルオロアルキレン基が特に好ましい。
〜Lは加水分解性基である。
加水分解性基は、加水分解反応により水酸基となる基である。化合物(1)およびその部分加水分解縮合物の末端のSi−L(Si−L、Si−Lも同様。)は、加水分解反応によりシラノール基(Si−OH)となる。シラノール基は、さらに分子間で縮合反応してSi−O−Si結合を形成する。また、シラノール基は、基材の表面の水酸基(基材−OH)と脱水縮合反応して、化学結合(基材−O−Si)を形成する。化合物(1)は、末端に加水分解性シリル基を有するため、基材との反応性が良好であり、基材の表面に撥水撥油性を付与できる。
〜Lとしては、アルコキシ基、ハロゲン原子、アシル基、イソシアナート基(−NCO)、アミノ基等が挙げられる。
〜Lとしては、工業的な製造が容易な点から、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲン原子が好ましい。ハロゲン原子としては、塩素原子が特に好ましい。L〜Lとしては、化合物(1)の貯蔵安定性に優れる点から、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましい。また、化合物(1)の長期の貯蔵安定性が必要な場合には、L〜Lはエトキシ基が特に好ましい。含フッ素エーテル組成物の塗布後の反応時間を短時間とする場合には、L〜Lはメトキシ基が特に好ましい。
〜Rは水素原子または1価の炭化水素基である。1価の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリル基等が挙げられる。
〜Rとしては、1価の炭化水素基が好ましく、1価の飽和炭化水素基が特に好ましい。1価の飽和炭化水素基の炭素数は、合成が簡便である点から、1〜6が好ましく、1〜3がより好ましく、1〜2が特に好ましい。
m1〜m3は2または3が好ましく、3が特に好ましい。化合物(1)の分子中にL〜Lが複数存在することによって、表面層と基材の表面との反応性が良好になる。
m1〜m3が2以上である場合、化合物(1)の1分子中に存在する複数のL〜Lは互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。原料の入手容易性や製造容易性の点からは、化合物(1)の1分子中に存在する複数のL〜Lは、互いに同じであることが好ましい。
n1〜n3は2〜4の整数が好ましく、2または3が特に好ましい。
加水分解性シリル基(−Si(Lm1(R3−m1、−Si(Lm2(R3−m2、−Si(Lm3(R3−m3)としては、−Si(OCH、−SiCH(OCH、−Si(OCHCH、−SiCl、−SiCHCl、−Si(OCOCH、−Si(NCO)が好ましい。工業的な製造における取扱いやすさの点から、加水分解性シリル基は−Si(OCHが特に好ましい。
(部分加水分解縮合物(A2))
部分加水分解縮合物(A2)は、含フッ素エーテル化合物(A1)中の加水分解性シリル基の加水分解性基(L〜L)の一部が加水分解反応することによって形成されたシラノール基(Si−OH)が、分子間で脱水縮合反応して形成されるオリゴマーである。部分加水分解縮合物(A2)中には、少なくとも1つの加水分解性基またはその加水分解により生じた水酸基が存在している。
部分加水分解縮合物(A2)は、水および触媒の存在下、含フッ素エーテル化合物(A1)の加水分解性基の一部を加水分解することによって得られる。
触媒としては、酸触媒または塩基触媒等が挙げられる。また、触媒としては、無機触媒または有機触媒等が挙げられる。無機酸触媒としては、塩酸、硝酸等が挙げられる。有機酸触媒としては、カルボキシ基を有する化合物、スルホ基を有する化合物(p−トルエンスルホン酸等。)等が挙げられる。無機塩基触媒としては、アンモニア等が挙げられる。有機塩基触媒としては、フェニルアミン等が挙げられる。
加水分解に用いる水の量は、含フッ素エーテル化合物(A1)が有する加水分解性基に対し、モル換算で0.1〜3倍が好ましい。水の量が下限値以上であれば、含フッ素エーテル化合物(A1)の部分加水分解が充分に進行する。水の量が上限値以下であれば、含フッ素エーテル化合物(A1)およびその部分加水分解縮合物(A2)と、水とが相分離しにくい。
加水分解性基の加水分解は、有機溶媒中で行うことが好ましい。有機溶媒としては、メタノール等のアルコール系有機溶媒が好ましい。
(媒体(B))
媒体(B)は、少なくとも含フッ素有機溶媒を含む。含フッ素有機溶媒とは、分子内にフッ素原子を有する有機溶媒である。媒体(B)が含フッ素有機溶媒を含むことで、含フッ素エーテル組成物において、含フッ素エーテル化合物(A1)または部分加水分解縮合物(A2)が均一に溶解しやすくなる。
媒体(B)に含まれている溶媒のハンセン溶解度パラメータの極性項(dP)の体積平均値は、2〜6である。具体的には、媒体(B)が1種の含フッ素有機溶媒の場合、該含フッ素有機溶媒のハンセン溶解度パラメータの極性項(dP)が2〜6の範囲内である。媒体(B)が2種以上の溶媒を含む場合、各々の溶媒のハンセン溶解度パラメータの極性項(dP)を体積平均した値が2〜6の範囲内である。
媒体(B)に含まれている溶媒のハンセン溶解度パラメータの極性項(dP)の体積平均値は、3〜6が特に好ましい。前記極性項(dP)の体積平均値が前記範囲内であれば、防汚性および耐摩耗性に優れた表面層を形成しやすい。
媒体(B)に含まれている溶媒のハンセン溶解度パラメータの水素結合項(dH)の体積平均値は、4〜12である。具体的には、媒体(B)が1種の含フッ素有機溶媒の場合、該含フッ素有機溶媒のハンセン溶解度パラメータの水素結合項(dH)が4〜12の範囲内である。媒体(B)が2種以上の溶媒を含む場合、各々の溶媒のハンセン溶解度パラメータの水素結合項(dH)を体積平均した値が4〜12の範囲内である。
媒体(B)に含まれている溶媒のハンセン溶解度パラメータの水素結合項(dH)の体積平均値は、7〜12が特に好ましい。前記水素結合項(dH)の体積平均値が前記範囲内であれば、防汚性および耐摩耗性に優れた表面層を形成しやすい。
なお、ハンセン溶解度パラメータは、ヒルデブランド(Hildebrand)によって導入された溶解度パラメータを、ハンセン(Hansen)が分散項(dD)、極性項(dP)、水素結合項(dH)の3成分に分割し、3次元空間に示したものである。分散項(dD)は、分散力のよる効果を示す。極性項(dP)は、双極子間力による効果を示す。水素結合項(dH)は、水素結合力の効果を示す。
ハンセン溶解度パラメータの定義および計算方法は、下記の文献に記載されている。
Charles M. Hansen著、「Hansen Solubility Parameters: A Users Handbook」、CRCプレス、2007年。
ハンセン溶解度パラメータの文献値が知られていない溶媒については、コンピュータソフトウエア(Hansen Solubility Parameters in Practice(HSPiP))を用いることによって、その化学構造から簡便にハンセン溶解度パラメータを推算できる。
本発明においては、データベースに登録されている溶媒についてはその値を、登録されていない溶媒についてはHSPiPバージョン3による推算値を用いる。
含フッ素有機溶媒としては、フルオロアルカン、フルオロ芳香族化合物、フルオロアルキルエーテル、フルオロアルキルアミン、フルオロアルコール等が挙げられる。なかでも、含フッ素エーテル化合物(A1)の溶解性の点では、フルオロアルカン、フルオロ芳香族化合物、フルオロアルキルエーテルが好ましく、フルオロアルキルエーテルが特に好ましい。
フルオロアルカンとしては、炭素数4〜8の化合物が好ましい。市販品としては、C13H(AC−2000:製品名、旭硝子社製、dP=0、dH=0。)、C13(AC−6000:製品名、旭硝子社製、dP=0、dH=0。)、CCHFCHFCF(バートレル:製品名、デュポン社製、dP=0、dH=0。)等が挙げられる。
フルオロ芳香族化合物としては、ヘキサフルオロベンゼン(dP=0、dH=0。)、トリフルオロメチルベンゼン(dP=5.2、dH=3.5。)、ペルフルオロトルエン(dP=1.7、dH=0.2。)、ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(dP=6.8、dH=0。)等が挙げられる。
フルオロアルキルエーテルとしては、炭素数4〜12の化合物が好ましい。市販品としては、CFCHOCFCFH(AE−3000:製品名、旭硝子社製、dP=4.3、dH=2.8。)、COCH(ノベック−7100:製品名、3M社製、dP=2.2、dH=1。)、COC(ノベック−7200:製品名、3M社製、dP=1.3、dH=1.5。)、C13OCH(ノベック−7300:製品名、3M社製、dP=0.2、dH=0。)等が挙げられる。
フルオロアルキルアミンとしては、ペルフルオロトリプロピルアミン(dP=1、dH=0.7。)、ペルフルオロトリブチルアミン(dP=0、dH=0.3。)等が挙げられる。
フルオロアルコールとしては、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール(dP=5.2、dH=12.1。)、2,2,2−トリフルオロエタノール(dP=8.3、dH=16.4。)、ヘキサフルオロイソプロパノール(dP=4.5、dH=14.7。)等が挙げられる。
媒体(B)は、含フッ素有機溶媒に加えて、必要に応じて非フッ素系有機溶媒、水(dP=16、dH=42.3。)を含んでもよい。非フッ素系有機溶媒とは、分子内にフッ素原子を有さない有機溶媒である。
含フッ素エーテル化合物(A1)およびその部分加水分解縮合物(A2)が有する加水分解性シリル基の加水分解を促進できる点からは、媒体(B)は水を含むことが好ましい。
非フッ素系有機溶媒としては、水素原子および炭素原子のみからなる化合物と、水素原子、炭素原子および酸素原子のみからなる化合物が好ましい。具体的には、非フッ素系有機溶媒としては、炭化水素系有機溶媒、非フッ素系アルコール、非フッ素系ケトン、非フッ素系エーテル、非フッ素系エステル等が挙げられる。非フッ素系アルコールとは、分子内にフッ素原子を有さないアルコールである。非フッ素系ケトン、非フッ素系エーテル、非フッ素系エステルについても同様である。
含フッ素エーテル化合物(A1)を溶解しやすい点では、非フッ素系有機溶媒としては、非フッ素系アルコールが特に好ましい。
炭化水素系有機溶媒としては、ヘキサン(dP=0、dH=0。)、へプタン(dP=0、dH=0。)、シクロヘキサン(dP=0、dH=0.2。)が好ましい。
非フッ素系アルコールとしては、メタノール(dP=12.3、dH=22.3。)、エタノール(dP=8.8、dH=19.4。)、プロパノール(dP=6.8、dH=17.4。)、イソプロパノール(dP=6.1、dH=16.4。)が好ましい。
非フッ素系ケトンとしては、アセトン(dP=10.4、dH=7。)、メチルエチルケトン(dP=9、dH=5.1。)、メチルイソブチルケトン(dP=6.1、dH=4.1。)が好ましい。
非フッ素系エーテルとしては、ジエチルエーテル(dP=2.9、dH=4.6。)、テトラヒドロフラン(dP=5.7、dH=8。)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(dP=4.2、dH=7.3。)が好ましい。
非フッ素系エステルとしては、酢酸エチル(dP=5.3、dH=7.2。)、酢酸ブチル(dP=3.7、dH=6.3。)が好ましい。
媒体(B)としては、フルオロアルカン、フルオロ芳香族化合物およびフルオロアルキルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種と、水素原子、炭素原子および酸素原子のみからなる非フッ素系有機溶媒からなる群から選択される少なくとも1種とを混合した有機溶媒が好ましい。
媒体(B)中の含フッ素有機溶媒の含有量は、10〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましく、30〜70質量%が特に好ましい。前記含フッ素有機溶媒の含有量が下限値以上であれば、含フッ素エーテル化合物(A1)の溶解性が優れる。前記含フッ素有機溶媒の含有量が上限値以下であれば、含フッ素エーテル化合物(A1)と基材の表面の水酸基との反応性が良好になり、表面層の耐摩耗性が良好となる。
媒体(B)中の含フッ素有機溶媒および非フッ素系有機溶媒を合計した含有量は、90質量%以上が好ましく、98質量%以上が特に好ましい。前記含有量が下限値以上であれば、含フッ素エーテル化合物(A1)の溶解性が優れる。前記含有量の上限値は、100質量%である。
(触媒(C))
本発明の含フッ素エーテル組成物は、必要に応じて触媒(C)をさらに含んでいてもよい。
触媒(C)は、含フッ素エーテル化合物(A1)およびその部分加水分解縮合物(A2)の加水分解反応、脱水縮合反応を促進させる。すなわち、触媒(C)を用いることで、シラノール基の生成、部分加水分解縮合物の形成、基材の表面と表面層との密着が促進される。
触媒(C)としては、たとえば、部分加水分解縮合物(A2)の項で説明したものと同じものが挙げられ、好ましい態様も同様である。
(他の添加剤(D))
本発明の含フッ素エーテル組成物は、必要に応じて他の添加剤(D)をさらに含んでいてもよい。
他の添加剤(D)としては、紫外線吸収剤、光安定剤、熱硬化安定剤、酸化防止剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、顔料、染料、分散剤、帯電防止剤、界面活性剤(防曇剤、レベリング剤等。)、金属酸化物粒子、各種樹脂(エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等。)等が挙げられる。
(組成)
本発明の含フッ素エーテル組成物中の含フッ素エーテル化合物(A1)およびその部分加水分解縮合物(A2)の合計の含有量は、0.005〜1質量%が好ましく、0.005〜0.5質量%がより好ましく、0.005〜0.1質量%が特に好ましい。前記含有量が下限値以上であれば、表面層は耐摩擦性および防汚性に優れる。前記含有量が上限値以下であれば、表面層の外観に優れ、カバーガラスなど、電子部材の最表面や、各種物品の表面に使用した際、視界が良好となり、操作性、意匠性が良くなる。また含フッ素エーテル組成物は貯蔵安定性に優れる。
本発明の含フッ素エーテル組成物中の媒体(B)の含有量は、99〜99.995質量%が好ましく、99.5〜99.995質量%がより好ましく、99.9〜99.995質量%が特に好ましい。媒体(B)の含有量が上記範囲であれば、表面層の外観に優れ、カバーガラスなど、電子部材の最表面や、各種物品の表面に使用した際、視界が良好となり、操作性、意匠性が良くなる。また、表面層は防汚性と耐摩耗性に優れる。
本発明の含フッ素エーテル組成物に触媒(C)を含ませる場合、含フッ素エーテル化合物(A1)およびその部分加水分解縮合物(A2)の合計100質量部に対する触媒(C)の含有量は、20〜2,000質量部が好ましく、20〜1,000質量部がより好ましく、20〜200質量部が特に好ましい。
本発明の含フッ素エーテル組成物に他の添加剤(D)を含ませる場合、本発明の含フッ素エーテル組成物中の他の添加剤(D)の含有量は、0.001質量%以下が好ましく、0.000001〜0.001質量%が特に好ましい。
本発明の含フッ素エーテル組成物の固形分濃度は、0.005〜1質量%が好ましく、0.005〜0.5質量%がより好ましく、0.005〜0.1質量%が特に好ましい。固形分濃度が上記範囲であれば、表面層の外観に優れ、また、表面層は防汚性と耐摩耗性に優れる。
本発明の含フッ素エーテル組成物は、含フッ素エーテル化合物(A1)と部分加水分解縮合物(A2)の少なくとも一方を用いるため、基材上に撥水撥油性、防汚性に優れた表面層を形成できる。
また、本発明の含フッ素エーテル組成物は、含フッ素エーテル化合物(A1)、部分加水分解縮合物(A2)、または前記含フッ素エーテル化合物(A1)と部分加水分解縮合物(A2)との混合物と、媒体(B)とを組み合わせて用いるため、優れた耐摩耗性を有する表面層を形成できる。これは、以下のように考えられる。
ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖と加水分解性シリル基とが、アミド結合またはウレタン結合を有する連結基で結合された含フッ素エーテル化合物では、極性を持たないポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖と、極性を持ったアミド結合またはウレタン結合を有する連結基を有する。そのため、該含フッ素エーテル化合物は媒体中における溶解が不均一になりやすい。その結果、該含フッ素エーテル化合物の加水分解性シリル基と基材表面の水酸基との反応性が低下し、表面層に充分な耐摩耗性を付与できない場合があった。これに対して、本発明の含フッ素エーテル組成物では、ハンセン溶解度パラメータの極性項(dP)の体積平均値と水素結合項(dH)の体積平均値とを特定の範囲内とした媒体(B)を用いるため、含フッ素エーテル化合物(A1)およびその部分加水分解縮合物(A2)が媒体(B)中に均一に溶解する。そのため、含フッ素エーテル化合物(A1)およびその部分加水分解縮合物(A2)が有する加水分解性シリル基と基材表面の水酸基との反応性が高まり、優れた耐摩耗性を有する表面層を形成できると考えられる。
また、前述したように、含フッ素エーテル組成物に用いる含フッ素エーテル化合物(A1)は、加水分解性シリル基1つ当たりの数平均分子量(Mn)が2,000以上であるため、表面層中での含フッ素エーテル化合物(A1)中のポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖の運動性が高い。そのため、表面層の表面が摩耗されたときの力を逃がしやすく、優れた耐摩耗性が得られる。
〔表面層を有する基材〕
本発明の表面層を有する基材は、本発明の含フッ素エーテル組成物から形成された表面層を有する。
(基材)
表面層を形成する対象となる基材は、撥水撥油性の付与が求められている基材であれば特に限定されない。基材の表面の材料としては、金属、樹脂、ガラス、セラミック、石、これらの複合材料が挙げられる。
本発明の含フッ素エーテル組成物を用いて基材の表面に表面層を形成することによって、基材に良好な撥水撥油性が付与されるとともに、該表面が繰り返し摩耗されても撥水撥油性が低下しにくい優れた耐摩耗性、および基材の表面の指紋汚れを容易に除去できる防汚性が付与される。
本発明の表面層を有する基材は、良好な撥水撥油性を有するとともに、優れた防汚性および耐摩耗性を有するため、タッチパネルを構成する部材として好適である。タッチパネルとは、指等による接触によってその接触位置情報を入力する装置と表示装置とを組み合わせた入力/表示装置(タッチパネル装置)の、入力装置を意味する。タッチパネルは、基材と、入力検出方式に応じて、透明導電膜、電極、配線、IC等とから構成されている。本発明の表面層を有する基材の表面層を有する面をタッチパネルの入力面とすることにより、良好な指紋除去性を有するタッチパネルが得られる。
タッチパネル用基材の材質は、透光性を有する。「透光性を有する」とは、JIS R 3106に準じた垂直入射型可視光透過率が25%以上であることを意味する。
タッチパネル用基材の材質としては、ガラスまたは透明樹脂が好ましい。
ガラスとしては、ソーダライムガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、クリスタルガラス、石英ガラスが好ましく、化学強化したソーダライムガラス、化学強化したアルカリアルミノケイ酸塩ガラス、および化学強化したホウ珪酸ガラスが特に好ましい。
透明樹脂基材としては、アクリル樹脂、ポリカーボネートが好ましい。
また、基材としては、液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ、プロジェクションディスプレイ、プラズマディスプレイ、ELディスプレイ等の各種ディスプレイの最表面を構成するディスプレイ用基材も好適である。
基材の表面に形成される表面層の膜厚は、1〜100nmが好ましく、1〜50nmが特に好ましい。前記表面層の膜厚が下限値以上であれば、撥水撥油性、防汚性および耐摩耗性に優れる表面層が得られやすい。前記表面層の膜厚が上限値以下であれば、利用効率が高い。
なお、膜厚は、たとえば薄膜解析用X線回折計ATX−G(RIGAKU社製)を用いて、X線反射率法によって反射X線の干渉パターンを得て、該干渉パターンの振動周期から算出できる。
(製造方法)
本発明の表面層を有する基材の製造方法としては、本発明の含フッ素エーテル組成物を基材の表面に塗布した後、前記媒体(B)を除去する方法が好ましい。
含フッ素エーテル組成物の塗布方法としては、公知の手法を適宜用いることができる。
含フッ素エーテル組成物の塗布方法としては、スピンコート法、ワイプコート法、スプレーコート法、スキージーコート法、ディップコート法、ダイコート法、インクジェット法、フローコート法、ロールコート法、キャスト法、ラングミュア・ブロジェット法またはグラビアコート法が好ましい。
塗布した含フッ素エーテル組成物中の媒体(B)を除去する方法としては、公知の手法を適宜用いることができる。該除去方法としては、加熱、減圧、減圧下での加熱が挙げられる。
加熱する場合の温度は、10〜300℃が好ましく、20〜200℃が特に好ましい。
表面層を有する基材を製造する際には、表面層の耐摩耗性を向上させるために、必要に応じて、加水分解シリル基と基材との反応を促進するための操作を行ってもよい。該操作としては、加熱、加湿、光照射等が挙げられる。
また、形成した表面層中の化合物であって他の化合物や基材と化学結合していない化合物は、必要に応じて除去してもよい。具体的な方法としては、たとえば、表面層に溶剤をかけ流す方法や、溶剤をしみ込ませた布でふき取る方法が挙げられる。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
例1〜6は実施例であり、例7〜13は比較例である。
略号、測定方法および評価方法を以下に示す。
(略号)
Mn:数平均分子量。
Mw:質量平均分子量。
TMS:テトラメチルシラン。
R−225:ジクロロペンタフルオロプロパン。
HFIP:ヘキサフルオロイソプロパノール。
R−113:CClFCClF
CFE−419:CClFCClFCFOCFCClF
TFEO:トリフルオロエタノール。
PFA:テトラフルオロエチレン−ペルフルオロ(アルコキシビニルエーテル)共重合体。
DBTDL:ジブチルスズジラウリレート。
IPA:イソプロパノール。
AE3000:アサヒクリンAE−3000(製品名、旭硝子社製)。
VertrelXF(HFC−43−10mee):2H,3H−デカフルオロペンタン。
HFE7200:ノベック−7200(製品名、3M社製)。
MeOH:メタノール。
t−BME:メチル−tert−ブチルエーテル。
AA:酢酸。
HFC365:1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン。
MEK:メチルエチルケトン。
ACT:アセトン。
a:オキシペルフルオロアルキレン単位の数であり、aを付した化合物は、aの値が異なる2種以上の化合物からなる。aの平均値は、化合物のMnから求めた値である。
(Mnの測定)
含フッ素エーテル化合物のMnは、GPCによって測定した。GPCの測定は、特開2001−208736号公報に記載の方法に従い、下記条件にて行った。
移動相:R−225(旭硝子社製、アサヒクリンAK−225SECグレード1)およびHFIPの混合溶媒(R−225/HFIP=99/1(容量比))。
分析カラム:PLgel MIXED−Eカラム(ポリマーラボラトリーズ社製)を2本直列に連結したもの。
分子量測定用標準試料:分子量分布(Mw/Mn)が1.1未満である、Mnが2,000〜10,000のペルフルオロポリエーテル4種および分子量分布(Mw/Mn)が1.1以上である、Mnが1,300のペルフルオロポリエーテル1種。
検出器:蒸発光散乱検出器。
移動相流速:1.0mL/分。
カラム温度:37℃。
(水接触角)
表面層を有する基材を水平に保持し、表面層の表面に2μLの水を5滴置き、その接触角を測定し、5つの値の平均値を求めた。水接触角が大きいほど撥水性に優れる。
(ヘキサデカン接触角)
表面層を有する基材を水平に保持し、表面層の表面に2μLのノルマルヘキサデカンを5滴置き、その接触角を測定し、5つの値の平均値を求めた。ヘキサデカン接触角が大きいほど撥油性に優れる。
(耐摩耗性評価)
スチールウールボンスター(♯0000)を使用し、表面層を有する基材の表面層面を、荷重1kg/cm、速度320cm/分で、3,000往復摩耗した。その後、前記した方法で水接触角を測定した。摩耗後の水接触角が80°以上の場合を◎(良好)、60°以上80°未満の場合を○(可)、60°未満の場合を×(不可)とした。
(貯蔵安定性評価)
製造した含フッ素エーテル組成物を室温(20〜25℃)で3ヶ月間保管した。その後、該含フッ素エーテル組成物をディップコート法により基材に塗布し、120℃の熱風循環オーブン中で30分間加熱して乾燥させることで、表面層を有する基材を得た。その後、形成した表面層の水接触角を前記した方法により測定した。
3ヶ月間保管した含フッ素エーテル組成物を用いた場合の水接触角と、保管を行わなかった含フッ素エーテル組成物を用いた場合の水接触角の変化が5°未満の場合を○(可)、5°以上の場合を×(不可)とした。
〔合成例1:化合物(1−1)の合成〕
化合物(1−1)を下記の方法により合成した。
CFCF−O−(CFCFO−CFCFCFCFO)CFCFO−CFCFCFC(O)NH(CH−Si(OCH ・・・(1−1)
ただし、aは4〜10の整数であり、aの平均値は7である。
300mLの3つ口丸底フラスコに、水素化ホウ素ナトリウムの14.1gを入れ、R−225の350gを加えた。氷浴で冷却しながら撹拌し、窒素雰囲気下、フラスコの内温が10℃を超えないように化合物(4)の100g、メタノールの15.8g、およびR−225の22gを混合した溶液を滴下漏斗からゆっくり滴下した。
CF=CFO−CFCFCFCOOCH ・・・(4)
全量滴下した後、さらにメタノールの10gとR−225の10gを混合した溶液を滴下した。その後、氷浴を取り外し、フラスコの内温を室温までゆっくり昇温させながら撹拌を続けた。室温で12時間撹拌後、再び氷浴を用いて反応液を冷却し、反応液の液性が酸性になるまで塩酸水溶液を滴下した。反応終了後、反応液を水で1回、飽和食塩水で1回洗浄し、有機相を回収した。回収した有機相を硫酸マグネシウムで乾燥した後、固形分をフィルタによりろ過し、エバポレータで濃縮した。回収した濃縮液を減圧蒸留し、化合物(5)の80.6g(収率88%)を得た。
CF=CFO−CFCFCFCHOH ・・・(5)
化合物(5)のNMRスペクトル;
H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):2.2(1H)、4.1(2H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl) δ(ppm):−85.6(2F)、−114.0(1F)、−122.2(1F)、−123.3(2F)、−127.4(2F)、−135.2(1F)。
還流冷却器を接続した100mLのナスフラスコに、TFEOの6.64gを入れ、炭酸カリウムの7.32gを加えた。さらに、窒素雰囲気下、75℃で撹拌しながら、化合物(5)の19.87gを加え、1時間撹拌した。続いてナスフラスコの内温を120℃まで昇温し、130℃以下になるように制御しながら、化合物(5)の113.34gをゆっくりと滴下した。全量滴下した後、ナスフラスコの内温を120℃に保ちながらさらに1時間撹拌し、加熱を止めて室温に下がるまで撹拌を続けた。塩酸水溶液を加えて、過剰の炭酸カリウムを処理し、水とR−225を加えて分液処理を行った。反応液を3回水洗した後、有機相を回収し、エバポレータで濃縮することによって、高粘度のオリゴマーを得た。得られたオリゴマーをR−225の150gで希釈し、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:R−225)に展開して分取した。各フラクションについて、単位数(a+1)の平均値を19F−NMRの積分値から求めた。下式(6)中、(a+1)の平均値が7〜10のフラクションを合わせた化合物(6i)の48.5g、(a+1)の平均値が13〜16のフラクションを合わせた化合物(6ii)の13.2gを得た。
CFCH−O−(CFCFHO−CFCFCFCHO)a+1−H ・・・(6)
化合物(6i)のNMRスペクトル;
H−NMR(300.4MHz、溶媒:重アセトン、基準:TMS) δ(ppm):4.1(2H)、4.8(16H)、6.7〜6.9(8H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重アセトン、基準:CFCl) δ(ppm):−74.2(3F)、−84.3〜−85.1(16F)、−89.4〜−90.5(16F)、−120.2(14F)、−122.0(2F)、−126.6(14F)、−127.0(2F)、−145.1(8F)。
単位数(a+1)の平均値:8。
化合物(6ii)のNMRスペクトル;
H−NMR(300.4MHz、溶媒:重アセトン、基準:TMS) δ(ppm):4.1(2H)、4.8(28H)、6.7〜6.9(14H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重アセトン、基準:CFCl) δ(ppm):−74.2(3F)、−84.3〜−85.1(28F)、−89.4〜−90.5(28F)、−120.2(26F)、−122.0(2F)、−126.6(26F)、−127.0(2F)、−145.1(14F)。
単位数(a+1)の平均値:14。
還流冷却器を接続した300mLのナスフラスコに、化合物(6i)の113.33g、フッ化ナトリウムの5.0g、およびR−225の150gを入れ、さらに化合物(7)の84.75gを加えた。
CFCFCFOCF(CF)COF ・・・(7)
窒素雰囲気下、その溶液を50℃で13時間撹拌した後、70℃で3時間撹拌した。反応液から加圧ろ過器でフッ化ナトリウムを除去した後、過剰の化合物(7)とR−225を減圧留去した。シリカゲルクロマトグラフィ(展開溶媒:R−225)で高極性の不純物を除去し、下式(8)中、単位数(a+1)の平均値が8である、化合物(8i)の100.67g(収率80%)を得た。
CFCH−O−(CFCFHO−CFCFCFCHO)a+1−C(O)CF(CF)OCFCFCF ・・・(8)
化合物(8i)のNMRスペクトル;
H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):4.4(16H)、4.9(2H)、6.0−6.2(8H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl) δ(ppm):−75.2(3F)、−80.0(1F)、−81.9(3F)、−82.7(3F)、−84.7〜−85.0(16F)、−86.0(1F)、−90.5〜−93.0(16F)、−121.1(2F)、−121.5(14F)、−128.0(16F)、−130.3(2F)、−132.5(1F)、−145.3(8F)。
単位数(a+1)の平均値:8。
オートクレーブ(ニッケル製、内容積1L)を用意し、オートクレーブのガス出口に、0℃に保持した冷却器、フッ化ナトリウムペレット充填層および−10℃に保持した冷却器を直列に設置した。また−10℃に保持した冷却器から凝集した液をオートクレーブに戻す液体返送ラインを設置した。オートクレーブにR−113の750gを投入し、25℃に保持しながら撹拌した。オートクレーブに窒素ガスを25℃で1時間吹き込んだ後、窒素ガスで20体積%に希釈したフッ素ガス(以下、「20%フッ素ガス」と記す。)を、25℃、流速3.2L/時間で1時間吹き込んだ。20%フッ素ガスを同じ流速でオートクレーブに吹き込みながら、化合物(8i)の130gをR−113の448gに溶解した溶液を22時間かけて注入した。20%フッ素ガスを同じ流速でオートクレーブに吹き込みながら、オートクレーブの内圧を0.15MPa(ゲージ圧)まで加圧した。オートクレーブ内を25℃から40℃まで加熱しながら、R−113中に0.015g/mLのベンゼンを含むベンゼン溶液の8mLを注入し、オートクレーブのベンゼン溶液注入口を閉めた。20分撹拌した後、オートクレーブ内を40℃を保持しながら、再びベンゼン溶液の4mLを注入し、注入口を閉めた。同様の操作をさらに7回繰り返した。ベンゼンの注入総量は0.6gであった。20%フッ素ガスを同じ流速でオートクレーブ内に吹き込みながら、1時間撹拌を続けた。オートクレーブ内の圧力を大気圧にして、窒素ガスを1時間吹き込んだ。オートクレーブの内容物をエバポレータで濃縮し、下式(9)中、単位数(a)の平均値が7である、化合物(9i)の152.1g(収率99%)を得た。
CFCF−O−(CFCFO−CFCFCFCFO)CFCFO−CFCFCFCFO−C(O)CF(CF)OCFCFCF ・・・(9)
化合物(9i)のNMRスペクトル;
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl) δ(ppm):−80.0(1F)、−82.0〜−82.5(6F)、−84.0(30F)、−86.7〜87.8(6F)、−89.2(34F)、−126.5(32F)、−130.4(2F)、−132.4(1F)。
単位数(a)の平均値:7。
500mLのPFA製丸底ナスフラスコに、化合物(9i)の120gおよびR−225の240gを入れた。氷浴で冷却しながら撹拌し、窒素雰囲気下、メタノールの6.1gを滴下漏斗からゆっくり滴下した。窒素でバブリングしながら12時間撹拌した。反応混合物をエバポレータで濃縮し、下式(10)中、単位数(a)の平均値が7である、化合物(10i)の108.5g(収率100%)を得た。
CFCF−O−(CFCFO−CFCFCFCFO)CFCFO−CFCFCFC(O)OCH ・・・(10)
化合物(10i)のNMRスペクトル;
H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):3.9(3H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl) δ(ppm):−84.0(30F)、−88.2(3F)、−89.2(34F)、−119.8(2F)、−126.5(30F)。
単位数(a)の平均値:7。
300mLのナスフラスコに、化合物(10i)の92.5gおよび化合物(11)の6.51gを入れ、12時間撹拌した。
NH(CH−Si(OCH ・・・(11)
撹拌終了後、化合物(1−1)を97質量%含む組成物を得た。NMRから、化合物(9i)の98%が化合物(1−1)に変換されていることを確認した。また、化合物(11)のすべてが反応しており、副生物であるメタノールが生成していることを確認した。得られた化合物(1−1)のMnを測定したところ、2,900であった。
化合物(1−1)のNMRスペクトル;
H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):0.6(2H)、1.6(2H)、2.8(1H)、3.3(2H)、3.5(9H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl) δ(ppm):−84.1(30F)、−87.9(3F)、−89.3(34F)、−120.8(2F)、−126.6(28F)、−127.2(2F)。
〔合成例2:化合物(1−2)の合成〕
化合物(1−2)を下記の方法により合成した。
CFCF−O−(CFCFO−CFCFCFCFO)CFCFO−CFCFCFC(O)NH(CH−Si(OCH ・・・(1−2)
ただし、aは10〜16の整数であり、aの平均値は13である。
還流冷却器を接続した200mLのナスフラスコに、合成例1で得た化合物(6ii)の114.72g、フッ化ナトリウムの8.1gおよびR−225の101.72gを入れ、さらに合成例1の化合物(7)の95.18gを加えた。窒素雰囲気下、その溶液を50℃で12時間撹拌した後、室温で終夜撹拌した。加圧ろ過器で反応液からフッ化ナトリウムを除去した後、過剰の化合物(7)とR−225を減圧留去した。さらにシリカゲルクロマトグラフィ(展開溶媒:R−225)で高極性の不純物を除去し、下式(8)中、単位数(a+1)の平均値が14である、化合物(8ii)の94.57g(収率77%)を得た。
CFCH−O−(CFCFHO−CFCFCFCHO)a+1−C(O)CF(CF)OCFCFCF ・・・(8)
化合物(8ii)のNMRスペクトル;
H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):4.4(28H)、4.9(2H)、6.0−6.2(14H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl) δ(ppm):−75.2(3F)、−80.0(1F)、−81.9(3F)、−82.7(3F)、−84.7〜−85.0(28F)、−86.0(1F)、−90.5〜−93.0(28F)、−121.1(2F)、−121.5(26F)、−128.0(28F)、−130.3(2F)、−132.5(1F)、−145.3(14F)。
単位数(a+1)の平均値:14。
オートクレーブ(ニッケル製、内容積3L)を用意し、オートクレーブのガス出口に、0℃に保持した冷却器、フッ化ナトリウムペレット充填層および−10℃に保持した冷却器を直列に設置した。また−10℃に保持した冷却器から凝集した液をオートクレーブに戻す液体返送ラインを設置した。オートクレーブにR−113の2,350gを投入し、25℃に保持しながら撹拌した。オートクレーブに窒素ガスを25℃で1時間吹き込んだ後、20%フッ素ガスを、25℃、流速4.2L/時間で1時間吹き込んだ。20%フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、オートクレーブに、化合物(8ii)の213gをR−113の732gに溶解した溶液を、29時間かけて注入した。20%フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、オートクレーブの内圧を0.15MPa(ゲージ圧)まで加圧した。オートクレーブ内を25℃から40℃にまで加熱しながら、R−113中に0.009g/mLのベンゼンを含むベンゼン溶液の4mLを注入し、オートクレーブのベンゼン溶液注入口を閉めた。20分撹拌した後、オートクレーブ内を40℃を保持しながら、再びベンゼン溶液の5mLを注入し、注入口を閉めた。同様の操作をさらに7回繰り返した。ベンゼンの注入総量は0.4gであった。20%フッ素ガスを同じ流速でオートクレーブに吹き込みながら、1時間撹拌を続けた。オートクレーブ内の圧力を大気圧にして、窒素ガスを1時間吹き込んだ。オートクレーブの内容物をエバポレータで濃縮し、下式(9)中、単位数(a)の平均値が13である、化合物(9ii)の250.1g(収率99%)を得た。
CFCF−O−(CFCFO−CFCFCFCFO)CFCFO−CFCFCFCFO−C(O)CF(CF)OCFCFCF ・・・(9)
化合物(9ii)のNMRスペクトル;
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl) δ(ppm):−80.3(1F)、−82.0〜−82.5(6F)、−84.2(54F)、−86.9〜88.0(6F)、−89.4(58F)、−126.6(56F)、−130.4(2F)、−132.4(1F)。
単位数(a)の平均値:13。
500mLのPFA製丸底ナスフラスコに、化合物(9ii)の110gおよびR−225の220gを入れた。氷浴で冷却しながら撹拌し、窒素雰囲気下、メタノールの3.5gを滴下漏斗からゆっくり滴下し、窒素でバブリングしながら12時間撹拌した。反応混合物をエバポレータで濃縮し、下式(10)中、単位数(a)の平均値が13である、化合物(10ii)の103g(収率100%)を得た。
CFCF−O−(CFCFO−CFCFCFCFO)CFCFO−CFCFCFC(O)OCH ・・・(10)
化合物(10ii)のNMRスペクトル;
H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):3.9(3H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl) δ(ppm):−84.0(54F)、−88.2(3F)、−89.2(58F)、−119.8(2F)、−126.5(54F)。
単位数(a)の平均値:13。
300mLのナスフラスコに、化合物(10ii)の100.5gおよび合成例1の化合物(11)の4.38gを入れ、12時間撹拌した。
撹拌終了後、化合物(1−2)を97質量%含む組成物を得た。NMRから、化合物(10ii)の98%が化合物(1−2)に変換されていることを確認した。また、化合物(11)のすべてが反応しており、副生物であるメタノールが生成していることを確認した。得られた化合物(1−2)のMnを測定したところ、4,900であった。
化合物(1−2)のNMRスペクトル;
H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):0.6(2H)、1.6(2H)、2.8(1H)、3.3(2H)、3.5(9H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl) δ(ppm):−84.1(54F)、−87.9(3F)、−89.3(58F)、−120.8(2F)、−126.6(52F)、−127.2(2F)。
〔合成例3:化合物(1−3)の合成〕
化合物(1−3)を下記の方法により合成した。
(CHO)Si−(CHNHC(O)O(CHO−(CFCFO)−(CFO)CFCHO−C(O)NH(CH−Si(OCH ・・・(1−3)
ただし、pは15〜33の整数であり、qは8〜25の整数であり、pの平均値は約26、qの平均値は13である。
D4000(Solvay Solexis社製、商品名:D4000)の10gおよび触媒であるDBTDLの0.03gをCFE−419の25.0gに溶解した溶液を、窒素雰囲気下で300mLのナスフラスコに入れ、該ナスフラスコの内温を5℃以下に保持した。該ナスフラスコ内に、化合物(12)の1.2gをCFE−419の10.0gに溶解した溶液を1時間かけて穏やかに滴下し、約12時間撹拌した。過剰の化合物(12)およびCFE−419を減圧留去し、室温で液体の化合物の11.0gを得た。
該化合物のNMR分析の結果、D4000中の−CFCHOHの99.1モル%が−CFCHOC(O)NH(CHSi(OCHに変換された化合物であることを確認した。すなわち、化合物(1−3)が主たる生成物であった。得られた化合物(1−3)のMnを測定したところ、4,400であった。
O=C=NCHCHCHSi(OCH・・・(12)
化合物(1−3)のNMRスペクトル;
H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):0.9(4H)、1.8(4H)、3.2(4H)、3.8(18H)、7.0(2H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl) δ(ppm):−52.1(11F)、−53.7(11F)、−55.4(4F)、−81.3(8F)、−83.3(4F)、−89.1(34F)、−90.7(18F)。
〔合成例4:含フッ素エーテル化合物(F)の合成〕
国際公開第2009/008380号の化合物(A1−1)(CFO[CFCFO]CFC(O)NH(CHSi(OCH、aは7.3)と同様にして、主鎖の一方の末端のみに加水分解性シリル基を有する含フッ素エーテル化合物(F)を合成した。得られた含フッ素エーテル化合物(F)のMnを測定したところ、1,100であった。
〔例1〕
(含フッ素エーテル組成物の製造)
媒体(B)として、R−225とIPAとを体積比率34.5/65.5で混合した媒体(極性項(dP)の体積平均値:5.1、水素結合項(dH)の体積平均値:11.2。)の300gを調製した。その後、該媒体に、含フッ素エーテル化合物(A1)として、合成例2で製造した化合物(1−2)の0.15gを溶解し、含フッ素エーテル組成物(X1)を製造した。
(表面層を有する基材の製造)
厚さ1mmのガラスの表面に、含フッ素エーテル組成物(X1)をディップコート法により塗布し、120℃の熱風循環オーブン中で30分間加熱して乾燥させることで表面層を形成した。
形成された表面層の水接触角およびヘキサデカン接触角の測定、ならびに耐摩耗性および貯蔵安定性の評価結果を表2に示す。
〔例2〜13〕
含フッ素エーテル化合物、媒体の種類を表1に示すように変更した以外は、例1と同様にして、含フッ素エーテル組成物(X2)〜(X13)を製造した。
含フッ素エーテル組成物の種類を表1に示すように変更した以外は、例1と同様にして、表面層を有する基材を製造した。
形成された表面層の水接触角およびヘキサデカン接触角の測定、ならびに耐摩耗性および貯蔵安定性の評価結果を表2に示す。
なお、表1における媒体の組成における括弧内の数値は各溶媒の体積比率である。
Figure 2014080473
Figure 2014080473
例1〜6の含フッ素エーテル組成物(X1)〜(X6)を用いて形成した表面層は、水接触角およびヘキサデカン接触角が大きく、優れた撥水撥油性を発現し、防汚性と耐摩耗性に優れていた。優れた耐摩耗性が得られた要因は、以下のように推察される。溶解度パラメータの極性項(dP)と水素結合項(dH)の体積平均値が特定の範囲内の媒体(B)を用いたことで、含フッ素エーテル化合物(A1)のポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖と、極性を持った連結基とが共に溶解しやすくなったと考えられる。そのため、加水分解性シリル基の末端の溶解が良好になり、該末端と基材との反応性が高まったと考えられる。
一方、例7〜13の含フッ素エーテル組成物(X7)〜(X13)を用いて形成した表面層は、耐摩耗性が不充分であった。例7の含フッ素エーテル組成物(X7)は、含フッ素エーテル化合物の加水分解性シリル基1つ当たりの数平均分子量が2,000未満であるためと考えられる。例8〜10の含フッ素エーテル組成物(X8)〜(X10)は、媒体の溶解度パラメータの極性項(dP)と水素結合項(dH)の体積平均値が特定の範囲内でなかったためと考えられる。例11の含フッ素エーテル組成物(X11)は、媒体に含フッ素有機溶媒を含まなかったためと考えられる。例12〜13の含フッ素エーテル組成物(X12)〜(X13)は、媒体の溶解度パラメータの極性項(dP)が特定の範囲外だったためと考えられる。

Claims (8)

  1. 下記含フッ素エーテル化合物(A1)、その部分加水分解縮合物(A2)、または前記含フッ素エーテル化合物(A1)と部分加水分解縮合物(A2)との混合物と、下記媒体(B)と、を含む含フッ素エーテル組成物。
    含フッ素エーテル化合物(A1):ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖を主鎖に有し、かつ該主鎖の少なくとも一方の末端に加水分解性シリル基を有し、前記ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖と前記加水分解性シリル基とがアミド結合またはウレタン結合を有する連結基で結合され、前記加水分解性シリル基1つ当たりの数平均分子量が2,000以上である含フッ素エーテル化合物。
    媒体(B):少なくとも含フッ素有機溶媒を含み、含まれている溶媒のハンセン溶解度パラメータの極性項(dP)の体積平均値が2〜6、水素結合項(dH)の体積平均値が4〜12である媒体。
  2. 前記含フッ素エーテル化合物(A1)が、下式(1)で表される化合物である、請求項1に記載の含フッ素エーテル組成物。
    X−O−R−Y ・・・(1)
    ただし、式(1)中の記号は下記の通りである。
    :ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖。
    X:炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基またはY。
    Y:下式(Y1)〜(Y3)のいずれかで表される基。
    −Q−C(O)NH(CHn1−Si(Lm1(R3−m1 ・・・(Y1)
    −Q−CHOC(O)NH(CHn2−Si(Lm2(R3−m2 ・・・(Y2)
    −Q−C(O)N((CHn3−Si(Lm3(R3−m3 ・・・(Y3)
    〜Q:2価の連結基。
    〜L:加水分解性基。
    〜R:水素原子または1価の炭化水素基。
    m1〜m3:1〜3の整数。
    n1〜n3:1〜6の整数。
  3. 前記媒体(B)が、非フッ素系アルコールをさらに含む、請求項1または2に記載の含フッ素エーテル組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の含フッ素エーテル組成物を基材の表面に塗布した後、前記媒体(B)を除去することを特徴とする、表面層を有する基材の製造方法。
  5. 前記含フッ素エーテル組成物を前記基材の表面に塗布する方法が、スピンコート法、ワイプコート法、スプレーコート法、スキージーコート法、ディップコート法、ダイコート法、インクジェット法、フローコート法、ロールコート法、キャスト法、ラングミュア・ブロジェット法またはグラビアコート法である、請求項4に記載の表面層を有する基材の製造方法。
  6. 前記基材の材質が、金属、樹脂、ガラス、セラミック、石、またはこれらの複合材料である、請求項4または5に記載の表面層を有する基材の製造方法。
  7. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の含フッ素エーテル組成物から形成されてなる表面層を有する基材。
  8. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の含フッ素エーテル組成物から形成されてなる表面層を入力面に有する、タッチパネル。
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