JP2014080470A - 活性エネルギー線硬化性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】硬化前の塗膜のタック性が低く、また硬化後において硬化膜のカール性が低く、表面硬度が良好で、さらに屈曲性に優れ、さらに硬化後の加熱工程による熱カール性も低い塗膜を得ることができる活性エネルギー線硬化性組成物の提供。
【解決手段】グリシジル(メタ)アクリレート重合体と(メタ)アクリル酸とを付加反応させてなり、不飽和基当量がX(g/eq)のラジカル重合性不飽和基を有する重合体(A)と、分子内に3つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマー(B)とを含む活性エネルギー線硬化性組成物であって、
組成物中に重合体(A)を50〜95質量%、多官能モノマー(B)を5〜50質量%含有し、重合体(A)の重量平均分子量(Mw)が式(1)の条件を満たすことを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物。
式(1) 60X+80,000≦Mw≦500,000
(但し、不飽和基当量Xは200〜3000である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、硬化前の塗膜のタック性が低く、また硬化後において硬化膜のカール性が低く、表面硬度が良好で、屈曲性に優れ、さらに硬化後の加熱工程による熱カール性も低い塗膜を得ることができる活性エネルギー線硬化性組成物に関する。
透明プラスチックフィルム等の基材の表面を被覆し表面硬度を高めることを目的とし、コーティング剤として活性エネルギー線硬化性組成物が用いられている。従来の組成物では、得られる硬化膜の表面硬度を高くし、また硬化速度を速める目的で、(メタ)アクリロイル基を複数有する多官能モノマーが主成分として使用されてきた。
しかしながら、(メタ)アクリロイル基を複数有する多官能モノマーを主成分とした活性エネルギー線硬化性組成物から得られる硬化膜は、硬化時に基材フィルムがカールする場合や屈曲性に劣る場合があった。さらに、これらの組成物をタッチパネルなどの透明導電性フィルムの形成に適用した場合、製造工程での加熱処理により、フィルムがさらに大きくカールする(以下、熱カールという。)場合があった。このようにフィルムにカールまたは熱カールが生じると、タッチパネルの透明導電性フィルムに適用した場合、採寸安定性の低下によりディスプレイ表面への貼り合わせ工程での作業性が低下するという問題や、導電性フィルムが平坦でないことに起因して絶縁不良が起こりやすくなるという問題がある。
硬化時にカールが生じるのを抑制するために、ポリメチルメタクリレートなどの非反応性の重合体を添加し硬化収縮を緩和させる方法などが一般に行われているが、この方法では表面硬度が低下する問題がある。そこで、硬化時のカールまたは熱カールを抑制しながらも表面硬度を低下させない方法として、幾つか提案されている。
例えば、特許文献1には、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートと2官能のウレタンアクリレートとからなる組成物が示されており、この組成物により硬化後に良好な表面硬度が得られ、熱カールが抑制できることが記載されている。また、特許文献2には、グリシジルメタクリレート共重合体にアクリル酸を付加させてなるラジカル重合性不飽和基を有する重量平均分子量(Mw)が約18,000の重合体を約45質量%、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを約55質量%含有する組成物により、良好な表面硬度が得られ、カールが抑制できることが記載されている。
しかしながら、これらの組成物は硬化前の塗膜が液状または半液状となり、タックがあるため、埃やごみが付着しやすいという問題があり、取り扱い性や作業性の面において十分に満足のいくものではなかった。
特開2003−292828号公報 特開2007−84685号公報
本発明は、硬化前の塗膜のタック性が低く、また硬化後において硬化膜のカール性が低く、表面硬度が良好で、さらに屈曲性に優れ、さらに硬化後の加熱工程による熱カール性も低い塗膜を得ることができる活性エネルギー線硬化性組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、活性エネルギー線硬化性組成物において、特定の分子量を有し、かつラジカル重合性不飽和基を有する重合体と、多官能モノマーとを特定の比率で含有する活性エネルギー線硬化性組成物により、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、グリシジル(メタ)アクリレート重合体と(メタ)アクリル酸とを付加反応させてなり、不飽和基当量がX(g/eq)のラジカル重合性不飽和基を有する重合体(A)と、分子内に3つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマー(B)とを含む活性エネルギー線硬化性組成物であって、組成物中に重合体(A)を50〜95質量%、多官能モノマー(B)を5〜50質量%含有し、重合体(A)の重量平均分子量(Mw)が式(1)の条件を満たすことを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物である。
式(1) 60X+80,000≦Mw≦500,000
(但し、不飽和基当量Xは200〜3000である。)
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、重合体(A)のガラス転移点が30〜90℃であることが好ましい。
本発明によれば、硬化前の塗膜のタック性が低いので、塵やごみが付着し難く、取り扱い性や作業性に優れる。また硬化後において、硬化膜のカール性が低く、表面硬度が良好で、屈曲性に優れ、さらに硬化後の加熱工程による熱カール性も低い塗膜を得ることができる。したがって、例えば、硬化膜をタッチパネルの透明導電性フィルムに適用した場合、ディスプレイ表面への貼り合わせ工程での作業性が向上し、また導電性フィルムが平坦となり絶縁不良が起こり難いという効果が得られる。
以下、本発明の実施形態を説明する。本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、ラジカル重合性不飽和基を有する重合体(A)と、分子内に3つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマー(B)とを含む。各成分について説明する。
<ラジカル重合性不飽和基を有する重合体(A)>
本発明に用いられる重合体(A)は、グリシジル(メタ)アクリレート重合体と(メタ)アクリル酸とを付加反応により付加させてなる重合体である。なお、本明細書において(メタ)アクリレートはアクリレートまたはメタクリレートを表わし、(メタ)アクリル酸はアクリル酸またはメタクリル酸を表わす。
〔グリシジル(メタ)アクリレート重合体〕
(メタ)アクリル酸との付加反応に使用されるグリシジル(メタ)アクリレート重合体は、エポキシ基を含有する単量体のみから構成されるか、あるいはエポキシ基を含有する単量体とエポキシ基を含有しない単量体とから構成される。
エポキシ基を含有する単量体は、グリシジルメタクリレート、またはグリシジルアクリレートであり、工業的に容易に入手可能であることからグリシジルメタクリレートが好ましい。
エポキシ基を含有しない単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、芳香族ビニル化合物が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物などが挙げられ、好ましくは(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチルである。
また、芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、クロルスチレン、ヒドロキシスチレン、t−ブトキシスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン等が挙げられ、好ましくはスチレン、α−メチルスチレンである。
これらエポキシ基を含有しない単量体は1種のみ用いても2種以上を併用することができる。
本発明においては、エポキシ基を含有する単量体を重合することによって、あるいはエポキシ基を含有する単量体とエポキシ基を含有しない単量体とを重合することによって、グリシジル(メタ)アクリレート重合体が得られる。重合方法としては、公知の方法を選択することができ、例えば、懸濁重合および溶液重合が好適に用いられる。また通常、重合開始剤を添加して重合する。重合開始剤の具体例としては、例えば、10時間半減期温度が30℃から150℃の有機過酸化物やアゾ化合物が挙げられる。これらは、1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。重合開始剤の使用量は、用いる単量体の組み合わせや、反応条件などに応じて適宜設定する。
なお、重合開始剤の投入方法は、全量一括仕込みしてもよいし、一部を一括仕込みして残りを滴下してもよく、全量を滴下してもよい。また、単量体とともに滴下すると、反応の制御が容易となるので好ましく、さらに単量体滴下後も添加すると、残存単量体を低減できるので好ましい。
前記重合反応時には、分子量調整のために、必要に応じて、通常用いられる連鎖移動剤を添加してもよい。
前記重合反応時には、単量体、重合開始剤、連鎖移動剤の投入後、必要に応じて熟成を行うことが好ましい。熟成条件としては重合開始剤を完全に分解することのできる重合温度、重合時間とするのが好ましい。
溶液重合の場合、使用する溶媒としては、グリシジル(メタ)アクリレート重合体の溶解性、重合開始剤の選択幅の広さ、および分子量の制御のし易さの点から、沸点が70〜200℃の溶媒が選択される。具体的には、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、トルエン等の芳香族系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ブチルカルビトール等のグリコール系溶媒等であり、これらの溶媒から選ばれる1種を単独でまたは2種以上を併せて用いることができる。
重合に使用する溶媒量としては、単量体に対して100〜1,000質量%が好ましい。溶媒量がこの範囲のとき、重合体溶液が撹拌しやすく均一な溶液にできるとともに、分子量の調整も行いやすく、単量体が残存しにくい。
前記重合反応時の単量体の投入方法は、全量一括仕込みしても良いし、一部を一括仕込みして残りを滴下しても良いし、全量を滴下しても良い。発熱の制御しやすさから、一部を一括仕込みして残りを滴下するか、または全量を滴下するのが好ましい。
本発明において、グリシジル(メタ)アクリレート重合体のエポキシ当量は、好ましくは120〜2,900であり、より好ましくは220〜1,430g/eqであり、さらに好ましくは270〜1,290g/eq、特に好ましくは420〜950g/eqである。
エポキシ当量が上述の範囲内である場合、(メタ)アクリル酸との付加反応により得られるラジカル重合性不飽和基を有する重合体(A)の不飽和基当量X(g/eq)を200〜3,000に調製しやすくなり、硬化膜の良好な表面硬度とカールの抑制を両立させやすくなるため好適である。
なお、エポキシ当量は、JIS K−7236に準じて測定することができる。
〔付加反応〕
次に、グリシジル(メタ)アクリレート重合体と(メタ)アクリル酸とを付加反応により付加させることによって、ラジカル重合性不飽和基を有する重合体(A)が得られる。グリシジル(メタ)アクリレート重合体中のエポキシ基に対する(メタ)アクリル酸の添加量は、エポキシ基のモル数に対して、好ましくは1.05〜1.20当量、より好ましくは1.07〜1.10当量である。(メタ)アクリル酸の添加量が多すぎると、硬化膜中に(メタ)アクリル酸が残存し易くなり表面硬度の低下や耐久性の低下を招くことがある。(メタ)アクリル酸の添加量が少なすぎると、付加反応時の分子量の増大が顕著となり、ゲル化を招くことがある。また得られる重合体中にエポキシ基が残存することにより、保存安定性の低下を招くこともある。
前記付加反応は、通常、溶媒の存在下に進められる。溶媒としては、グリシジル(メタ)アクリレート重合体を溶解するものが用いられ、具体的には、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、トルエン等の芳香族系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ブチルカルビトール等のグリコール系溶媒等が挙げられ、1種を単独でまたは2種以上を併せて用いることができる。
溶媒量としては、前記グリシジル(メタ)アクリレート重合体に対して50〜1,000質量%が好ましい。溶媒量が少ないと、グリシジル(メタ)アクリレート重合体濃度が高くなりすぎて、重合体溶液粘度が増大し、均一に撹拌し難くなることがある。溶媒量が多いと、グリシジル(メタ)アクリレート重合体濃度が低くなりすぎるために、付加反応が充分進行せずに分子量が増大することがある。
前記付加反応の反応条件としては、温度は50〜150℃が好ましく、70〜110℃がさらに好ましい。温度が低いと、付加反応が充分進行しないことがあり、一方、温度が高いと、分子量の増大が顕著になり、またゲル化を招くことがある。前記付加反応時には、必要に応じて、公知の触媒を使用することができる。触媒としては、例えば、四級アンモニウム塩、ピリジン、トリフェニルホスフィンが好ましい。触媒の使用量は、(メタ)アクリル酸に対して、0.01〜10質量%が好ましく、0.05〜5質量%がさらに好ましい。触媒の使用量が少ないと、付加反応が充分進行せずに分子量が増大することがある。触媒の使用量が多いと、重合体の着色や、硬化膜の表面硬度が低下することがある。
また、前記付加反応時に、重合禁止効果のあるガスを反応系中に導入したり、重合禁止剤を添加したりしてもよい。例えば、ガスとしては空気が挙げられ、重合禁止剤としてはヒドロキノン、メトキノン、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等が挙げられる。これら禁止剤は、1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。使用する禁止剤の量としては、(メタ)アクリル酸に対して0.01〜3質量%が好ましく、0.04〜1質量%がさらに好ましい。重合禁止効果のあるガスを反応系中に導入する場合、シリカゲル等の乾燥剤により脱水処理しても良い。
〔重合体(A)の重量平均分子量〕
本発明に用いられる重合体(A)は、硬化膜の良好な表面硬度とカールの抑制を両立させ、さらに硬化膜の屈曲性を良好にするために、重量平均分子量(Mw)が式(1)の条件を満たすものであり、より好ましくは式(2)の条件を満たすものである。重量平均分子量が小さいと、表面硬度が低下し、また硬化膜がカールしやすくなり、さらに屈曲性が低下することがある。また重量平均分子量が大きいと、粘度が著しく高くなることにより作業性が低下することがある。式(1)および式(2)中のXは、ラジカル重合性不飽和基を有する重合体(A)の不飽和基当量(g/eq)である。なお、重量平均分子量(Mw)はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
式(1) 60X+ 80,000≦Mw≦500,000
式(2) 60X+160,000≦Mw≦500,000
重合体(A)の不飽和基当量(X)は、硬化膜の良好な表面硬度とカールの抑制を両立させるために、通常、200〜3,000g/eqであり、好ましくは300〜1,500g/eq、より好ましくは350〜1,200g/eq、さらに好ましくは500〜1,000g/eqである。不飽和基当量(X)が小さいと、硬化膜がカールおよび熱カールしやすくなることがある。また不飽和基当量(X)が大きいと、硬化膜の表面硬度が低下することがある。
なお、不飽和基当量は、(メタ)アクリロイル基1モルが含まれる重合体(A)の固形分換算での重量であり、原料の物質収支から求めることができる。
重合体(A)のガラス転移点は、硬化前の塗膜のタック性を抑制し、また硬化膜のカール性を抑制するために、30〜90℃であることが好ましく、より好ましくは40〜85℃である。ガラス転移点が小さいと、硬化前の塗膜にタックが発現しやすくなることがある。またガラス転移点が大きいと、カールが発現しやすくなることがある。
なお、ガラス転移点は、示差走査熱量測定(DSC)により、JIS K−7121に従って測定することができる。
<多官能モノマー(B)>
本発明に用いられる多官能モノマー(B)は、分子内に3つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する。具体的には、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられ、その他、多官能ウレタン(メタ)アクリレート等も挙げられる。これら化合物は1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。好ましくは、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートである。
<活性エネルギー線硬化性組成物>
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、上記の重合体(A)と多官能モノマー(B)を含有する。硬化前の塗膜のタック性を抑制し、硬化膜の良好な表面硬度とカールの抑制を両立させ、さらに硬化膜の屈曲性を良好にするために、組成物中に固形分換算で重合体(A)を50〜95質量%、多官能モノマー(B)を5〜50質量%含有し、好ましくは重合体(A)を70〜90質量%、多官能モノマー(B)を10〜30質量%含有する。重合体(A)の含有量が少ないと、多官能モノマー(B)の含有量が相対的に多くなることにより、タックが発生しやすくなることがあり、またカールが発現しやすくなることがあり、さらに屈曲性が低下することがある。また重合体(A)の含有量が多いと、硬化膜の表面硬度が低下することがある。
また熱カール性やタック性を抑制するために、活性エネルギー線硬化性組成物中の固形分換算での不飽和基当量(Y)(eq/g)と活性エネルギー線硬化性組成物中の固形分換算での重合体(A)の含有量(Z)(質量%)との積を100で除した値(Y×Z÷100)は、150以上が好ましく、200以上がより好ましく、250以上がさらに好ましい。(Y×Z÷100)の値が150より小さいと、熱カール性やタック性を発現しやすくなることがある。
なお、(Y×Z÷100)の値は、重合体(A)の不飽和基当量(X)(eq/g)以下であり、活性エネルギー線硬化性組成物中の重合体(A)および多官能モノマー(B)の不飽和基当量の量的関係を表わしている。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、光重合開始剤を更に含有していてもよい。光重合開始剤としては、公知の開始剤を使用することができ、具体的には、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−シクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[ 4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル] −2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、4−メチルベンゾフェノン等が挙げられる。光重合開始剤の含有量は、重合体(A)と多官能モノマー(B)の合計量100質量%に対して、0.1〜10質量%が好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、必要に応じて、有機溶剤、光増感剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、帯電防止剤、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤等を更に含有していても良い。表面硬度を向上させる目的で、コロイダルシリカ等の無機微粒子成分を含有させることもできるが、硬化膜の透明性を低下させることがあるため、硬化膜をタッチパネルの透明導電性フィルムに適用するような場合には、無機微粒子成分を含有させないことが好ましい。
有機溶剤は、活性エネルギー線硬化性組成物の均一性、安定性、更には基材との密着性、塗膜表面の平滑性などの観点から適宜選択され、具体的には、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、トルエン等の芳香族系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ブチルカルビトール等のグリコール系溶媒等が挙げられ、これら有機溶媒から選ばれる1種を単独でまたは2種以上を併せて用いることができる。有機溶剤は、活性エネルギー線硬化性組成物の固形分濃度が5〜90質量%に調整されるように用いることができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、例えば、基材に塗工して塗膜を形成し、更に活性エネルギー線を照射して硬化膜を形成することができる。
基材としては、公知の各種基材を用いることができ、具体的には、例えば、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリオレフィン、トリアセチルセルロース等のプラスチック基材が挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を基材に塗工する方法としては、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター等の公知の方法を選択できる。基材に塗工し、必要に応じ溶剤を乾燥させた後、活性エネルギー線を照射することにより、硬化膜が形成される。
活性エネルギー線硬化性組成物の塗工量としては、硬化前の塗膜において膜厚が1〜15μmが好ましく、より好ましくは4〜10μmである。
照射する活性エネルギー線としては、紫外線や電子線が挙げられる。紫外線により硬化させる場合、光源として高圧水銀灯、キセノンランプ等を有する紫外線照射装置を使用できる。照射する光量としては、200〜2,000mJ/cmが好ましい。一方、電子線により硬化させる場合は、100〜300keVの低エネルギー電子線加速装置を用いるのが好ましい。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。なお、各種物性値、測定、および評価は以下の方法に従った。
(1)重合体の重量平均分子量(Mw)
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定により、下記条件で求めた。
GPC装置:東ソー(株)製、HLC−8220
カラム:昭和電工(株)製、Shodex KF−805L
溶媒:テトラヒドロフラン
標準物質:ポリスチレン
(2)ガラス転移点(Tg)
示差走査熱量測定(DSC)により、JIS K−7121に従い中点ガラス転移点を求めた。
(3)不飽和基当量
原料の物質収支から、(メタ)アクリロイル基1モルが含まれる重合体(A)の質量(X)(eq/g)を算出した。
また、重合体(A)と多官能モノマー(B)を含む活性エネルギー線硬化性組成物についても同様に、(メタ)アクリロイル基1モルが含まれる活性エネルギー線硬化性組成物の質量(Y)(eq/g)を算出し、これと活性エネルギー線硬化性組成物中の固形分換算での重合体(A)の含有量(Z)(質量%)との積を100で除した値(Y×Z÷100)を算出した。
(4)タック性
活性エネルギー線硬化性組成物を基材に塗工・乾燥後の塗膜を触指により以下の基準により評価した。
○:粘着性がない。
△:わずかに粘着性がある。
×:粘着性がある。
(5)カール性
硬化膜が形成された基材を5cm×5cmに切り試験片とした。試験片の硬化膜を上にして平坦面上に置き、四隅の反り上がり量を測定し、それらの平均値(mm)をカール性とした。
(6)熱カール性
硬化膜が形成された基材を5cm×5cmに切り試験片とした。この試験片を強制対流式温風乾燥機で150℃、1時間加熱した。加熱後の試験片の硬化膜を上にして平坦面上に置き、四隅の反り上がり量を測定し、それらの平均値(mm)を熱カール性とした。
(7)鉛筆硬度
JIS K−5600に準拠し行った。
(8)密着性
JIS K−5400−8.5に準拠し行った。100マス中、残存しているマス数により評価した。
(9)屈曲性
直径5mmのSUS製の棒に硬化膜面を内側にして基材を巻きつけ、外観の変化を目視により以下の基準で評価した。
○:硬化膜の剥がれ、ひび割れがない。
×: 硬化膜の剥がれがある、またはひび割れがある。
(10)ヘイズ
日本電色工業(株)製ヘイズメーターNDH−5000を用いてヘイズを測定した。
また実施例中の略号は以下のとおりである。
PGMEA:酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル
MEK:メチルエチルケトン
AA:アクリル酸
MMA:メタクリル酸メチル
EA:アクリル酸エチル
GMA:グリシジルメタクリレート
AIBN:2,2’−アゾビスイソブチロニトリル
TCP:パーロイルTCP(商品名 日油(株)製)
MSD:ノフマーMSD(商品名 日油(株)製)
TBAC:塩化テトラブチルアンモニウム
MQ:メトキノン
HCPK:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート
DTMPTA:ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート
HDA:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
ラジカル重合性不飽和基を有する重合体(A)の合成例1
<重合体(1)>
撹拌機、温度計、冷却管及び窒素導入管を備えた2リットルのセパラブルフラスコに、イオン交換水1200gを導入し、プロノン208(商品名、日油(株)製)0.5g、5質量%に調製したポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールPVA224E)水溶液10gを加え窒素置換した後、さらにGMA60g、MMA237g、EA3g、TCP1.7g、MSD1.7gを加えた。50℃に加熱後7時間熟成し、その後さらに70℃で1時間熟成し、残存開始剤を分解させた。200メッシュのポリエステル製ろ布でポリマービーズをろ取し、イオン交換水で洗浄した後、40℃で72時間温風乾燥した。
撹拌機、温度計、冷却管及び空気導入管を備えた1リットルのセパラブルフラスコに、乾燥したポリマービーズ150g、PGMEA352.3gを入れポリマー溶液とした後、90℃に昇温し、TBAC1g、MQ0.02gを加えた。AA15.6gとPGMEA25.0gを加えた後、12時間熟成することで、固形分濃度30質量%の重合体(1)が得られた。付加反応は空気雰囲気下で行なった。
得られた重合体(1)のTgは78℃、Mwは141,000であった。また不飽和基当量は783g/eqであった。
ラジカル重合性不飽和基を有する重合体(A)の合成例2
<重合体(2)>
合成例1におけるTCPを1.2gに、MSDを1.2gに変更する他は、合成例1と同様に重合操作を行った。付加反応操作は合成例1と同様に行った。これにより固形分濃度30質量%、Tg80℃、Mw269,000、不飽和基当量783g/eqの重合体(2)が得られた。
ラジカル重合性不飽和基を有する重合体(A)の合成例3
<重合体(3)>
合成例1におけるGMAを150gに、MMAを147gに変更する他は、合成例1と同様に重合操作を行った。付加反応操作は初期PGMEAを410.6gに、AAを41.8gに、TBACを3gに、MQを0.06gに変更する他は合成例1と同様に付加反応操作を行った。これにより固形分濃度30質量%、Tg44℃、Mw233,400、不飽和基当量356g/eqの重合体(3)が得られた。
ラジカル重合性不飽和基を有する重合体(A)の合成例4
<重合体(4)>
合成例1におけるGMAを30gに、MMAを267gに、TCPを0.8gに、MSDを0.8gに変更する他は、合成例1と同様に重合操作を行った。付加反応操作は初期PGMEAを342.7gに、AAを8.4gに、TBACを0.5gに、MQを0.01gに変更する他は合成例1と同様に付加反応操作を行った。これにより固形分濃度30質量%、Tg85℃、Mw391,200、不飽和基当量1,494g/eqの重合体(4)が得られた。
ラジカル重合性不飽和基を有する重合体(A)の合成例5
<重合体(5)>
合成例1におけるGMAを30gに、MMAを267gに、TCPを1.1gに、MSDを1.1gに変更する他は、合成例1と同様に重合操作を行った。付加反応操作は初期PGMEAを342.7gに、AAを8.4gに、TBACを0.5gに、MQを0.01gに変更する他は合成例1と同様に付加反応操作を行った。これにより固形分濃度30質量%、Tg84℃、Mw185,000、不飽和基当量1,494g/eqの重合体(5)が得られた。
ラジカル重合性不飽和基を有する重合体(A)の合成例6
<重合体(6)>
合成例1におけるGMAを15gに、MMAを282gに、TCPを0.8gに、MSDを0.8gに変更する他は、合成例1と同様に重合操作を行った。付加反応操作は初期PGMEAを334.8gに、AAを4.2gに、TBACを0.3gに、MQを0.01gに変更する他は合成例1と同様に付加反応操作を行った。これにより固形分濃度30質量%、Tg93℃、Mw364,000、不飽和基当量2,915g/eqの重合体(6)が得られた。
ラジカル重合性不飽和基を有する重合体(A)の合成例7
<重合体(7)>
合成例1におけるGMAを30gに、MMAを267gに、TCPを1.4gに、MSDを1.4gに変更する他は、合成例1と同様に重合操作を行った。付加反応操作は初期PGMEAを342.7gに、AAを8.4gに、TBACを0.5gに、MQを0.01gに変更する他は合成例1と同様に付加反応操作を行った。これにより固形分濃度30質量%、Tg84℃、Mw131,200、不飽和基当量1,494g/eqの重合体(7)が得られた。
ラジカル重合性不飽和基を有する重合体(A)の合成例8
<重合体(8)>
撹拌機、温度計、冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えた2リットルのセパラブルフラスコに、PGMEA350gを導入し、90℃に昇温後、GMA155.3g、MMA152.2g、EA3.1g、AIBN1gを3時間かけて滴下した。滴下終了後2時間熟成し、AIBN0.8gを一括投入した。その後さらに3時間熟成し、残存開始剤を分解させた。重合反応は窒素雰囲気下で行なった。
窒素導入管を空気導入管に換え、TBAC5.5g、MQ0.09gを加えた後、AA86.9gとPGMEA50gを30分かけて滴下した。滴下終了後10時間熟成した後、濃度調整のためPGMEA521.7gを加え、固形分濃度30質量%のラジカル重合性不飽和基を有する重合体(7)が得られた。付加反応は空気雰囲気下で行なった。
得られた重合体(8)のTgは52℃、Mwは140,300であった。また不飽和基当量は356g/eqであった。
ラジカル重合性不飽和基を有する重合体(A)の合成例9
<重合体(9)>
合成例8におけるGMAを155.9gに、MMAを31.2gに、EAを124.7gに変更する他は、合成例8と同様に重合操作を行った。また付加反応は合成例8と同様に行った。これにより固形分濃度30質量%、Tg17℃、Mw130,500、不飽和基当量356g/eqの重合体(9)が得られた。
ラジカル重合性不飽和基を有する重合体(A)の合成例10
<重合体(10)>
合成例8におけるGMAを256.9gに、MMAを0gに、EAを0gに、AIBNを2.5gに変更する他は、合成例8と同様に重合操作を行った。付加反応操作はAAを143.3gに、TBACを9.0gに、MQを0.14gに、濃度調整時のPGMEAを522.6gに変更する他は合成例8と同様に付加反応操作を行った。これにより固形分濃度30質量%、Tg35℃、Mw120,500、不飽和基当量214g/eqの重合体(10)が得られた。
ラジカル重合性不飽和基を有する重合体(A)の合成例11
<重合体(11)>
合成例8におけるGMAを71.5gに、MMAを286gに、EAを0gに、AIBNを2gに変更する他は、合成例8と同様に重合操作を行った。付加反応操作はAAを39.9gに、濃度調整時のPGMEAを520.9gに変更する他は合成例8と同様に付加反応操作を行った。これにより固形分濃度30質量%、Tg75℃、Mw97,900、不飽和基当量783g/eqの重合体(11)が得られた。
ラジカル重合性不飽和基を有する重合体(A)の合成例12
<重合体(12)>
合成例8におけるGMAを151.2gに、MMAを148.2gに、EAを3gに、AIBNを14gに変更する他は、合成例8と同様に重合操作を行った。付加反応操作はAAを84.3gに、TBACを5.2gに、MQを0.08gに、濃度調整時のPGMEAを482.3gに変更する他は合成例8と同様に付加反応操作を行った。これにより固形分濃度30質量%、Tg55℃、Mw25,700、不飽和基当量356g/eqの重合体(12)が得られた。
ラジカル重合性不飽和基を有する重合体(A)の合成例13
<重合体(13)>
合成例8におけるGMAを101.4gに、MMAを236.6gに、EAを0gに、AIBNを5.0gに変更する他は、合成例8と同様に重合操作を行った。付加反応操作はAAを56.5gに、TBACを3.6gに、MQを0.06gに、濃度調整時のPGMEAを510.1gに変更する他は合成例8と同様に付加反応操作を行った。これにより固形分濃度30質量%、Tg64℃、Mw61,600、不飽和基当量546g/eqの重合体(13)が得られた。
実施例1
合成例1で得られた重合体(1)0.5g(30%溶液として1.67g)、DPHA0.5g、MEK4.5g、光重合開始剤としてHCPK0.01gを加え混合し、固形分濃度15質量%の活性エネルギー線硬化性組成物を調製した。
次いで、厚さ100μmの低熱収縮PETフィルム(易接着処理)に、バーコーターを用いて、活性エネルギー線硬化性組成物を塗工し、90℃で1分間乾燥させた。その後、窒素雰囲気下で、高圧水銀灯を用いて紫外線を積算光量1,000mJ/cmで照射し、厚さ6μmの硬化膜を作製した。
得られた硬化膜について評価した結果を以下に示す。
<タック性>
触指の結果、粘着性はなく、「○」の評価であった。
<カール性>
四隅の反り上がり量の平均値が0.9mmであった。
<熱カール性>
四隅の反り上がり量の平均値が1.8mmであった。
<鉛筆硬度>
3Hであった。
<密着性>
100マス中、100マスが残存しており、100/100であった。
<屈曲性>
塗膜の剥がれ、ひび割れも無く、「○」の評価であった。
<ヘイズ>
0.45であった。
実施例2
合成例1で得られた重合体(1)0.7g(30%溶液として2.33g)、DPHA0.3g、MEK4.04gを加え混合し、固形分濃度15質量%の活性エネルギー線硬化性組成物を調製した。
次いで、厚さ100μmの低熱収縮PETフィルム(易接着処理)に、バーコーターを用いて、活性エネルギー線硬化性組成物を塗工し、90℃で1分間乾燥させた。その後、電子線を10Mrad照射し、厚さ6μmの硬化膜を作製した。
得られた硬化膜について評価した結果を以下に示す。
<タック性>
触指の結果、粘着性はなく、「○」の評価であった。
<カール性>
四隅の反り上がり量の平均値が0.1mmであった。
<熱カール性>
四隅の反り上がり量の平均値が0.2mmであった。
<鉛筆硬度>
2Hであった。
<密着性>
100マス中、100マスが残存しており、100/100であった。
<屈曲性>
塗膜の剥がれ、ひび割れも無く、「○」の評価であった。
<ヘイズ>
0.47であった。
実施例3〜12
以下、実施例1と同様な方法で、表1に示す活性エネルギー線硬化性組成物を調製した。また、これら活性エネルギー線硬化性組成物を用い、実施例1と同様の手法により硬化膜を作製し評価した結果を表2−1〜2−2に示す。
Figure 2014080470
Figure 2014080470
Figure 2014080470
比較例1〜10
比較例として、実施例1と同様な方法で表3に示す活性エネルギー線硬化性組成物を調製した。また、これら活性エネルギー線硬化性組成物を用い、実施例1と同様の手法により硬化膜を作製し評価した結果を表4−1〜4−2に示す。
Figure 2014080470
Figure 2014080470
Figure 2014080470
表2−1〜2−2に示される結果から以下のことが明らかである。本発明に係る実施例1〜10の活性エネルギー線硬化性組成物では、鉛筆硬度が多官能モノマーであるDPHAと同等の2H、またはそれ以上の3Hと表面硬度が良好であり、且つカール性および熱カール性を抑制した硬化膜を作製することができる。さらに、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、硬化前の塗膜のタック性が低く、また硬化膜は密着性、屈曲性、透明性についても良好である。
実施例11は、ガラス転移点が30℃より小さいため、わずかながらタックが発生している。また実施例12は、重合体(10)の不飽和基当量が小さいため、鉛筆硬度は優れているが、カールおよび熱カールがわずかであるが発現している。
一方、表4−1〜4−2に示されるとおり、比較例1、7は多官能モノマーの含有量が50質量%を超えているため、鉛筆硬度は良好であるが、硬化前の塗膜にタックが発生し、さらに硬化膜はカールおよび熱カールが大きい。
また比較例2では多官能モノマーが分子内に2つのアクリロイル基を有する二官能モノマーであるため、カールは抑制されるが、タックがわずかに発現し、さらに表面硬度が劣る。
さらに比較例3では、多官能モノマーを含まないため、カールおよび熱カールが発現しないが、表面硬度が劣る。
比較例4〜6および8〜9は、重量平均分子量(Mw)が式(1)の条件を満たさず、式(1)の下限値よりも小さいため、表面硬度が劣っている。
比較例10は、重合体(A)を含有しないため、タックが発生し、またカール性、熱カール性および屈曲性に劣る。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、基材の表面を被覆し保護するためのコーティング剤として利用することができる。また、得られる硬化膜は透明性が高いため、透明プラスチックフィルム等の透明基材のコーティング剤として、さらにタッチパネルなどの透明導電性フィルムの形成材料として好適に利用することができる。

Claims (2)

  1. グリシジル(メタ)アクリレート重合体と(メタ)アクリル酸とを付加反応させてなり、不飽和基当量がX(g/eq)のラジカル重合性不飽和基を有する重合体(A)と、分子内に3つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマー(B)とを含む活性エネルギー線硬化性組成物であって、
    組成物中に重合体(A)を50〜95質量%、多官能モノマー(B)を5〜50質量%含有し、重合体(A)の重量平均分子量(Mw)が式(1)の条件を満たすことを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物。
    式(1) 60X+80,000≦Mw≦500,000
    (但し、不飽和基当量Xは200〜3000である。)
  2. 重合体(A)のガラス転移点が30〜90℃であることを特徴とする請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
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