JP2014079044A - 積層鋼板の製造方法、および、積層鋼板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】凹部形成工程(S102)では、磁性を有する鋼板10の頂面18側に開口する凹部12を所定箇所に形成する。部分非磁性化工程(S103)では、凹部12内の空間である注入空間13に非磁性材20を注入し、注入空間13内で非磁性材20を凝固させる。積層工程(S106)では、所定箇所である第1非磁性部581および第2非磁性部591に非磁性材20が設けられた鋼板10を積層する。部分非磁性化工程(S103)では、非磁性材20を注入空間13に注入しているので、部分非磁性化工程を一連のプレス工程内に組み込むことができ、製造工程を簡素化および高速化することができる。
【選択図】 図4
Description
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、製造工程の簡素化が可能な積層鋼板の製造方法、および、積層鋼板を提供することにある。
本発明では、非磁性材を注入空間に注入しているので、非磁性材を供給するための装置を簡易なものとすることができる。また、非磁性材の歩留まりが向上する。さらに、部分非磁性化工程を同一プレス型内にて行うことができ、一連のプレス工程内に組み込むことができるので、製造工程を簡素化および高速化することができる。ここでいう「一連のプレス工程内」とは、部分非磁性化工程が別工程となっているのではなく、前後の工程と連続した工程として実施されることを意味し、装置が一体か別体かは問わないものとする。
また、上記製造方法で製造すれば、製造工程を簡素化することができる。
(一実施形態)
本発明の一実施形態による積層鋼板は、図示しない回転電機のロータに用いられる。図1に示すように、ロータ1は、プレス加工により円環状に打ち抜いた磁性を有する鋼板10を積層して構成される。鋼板10は、内壁3、外壁4、および、円環部5を有する。円環部5には、図示しないマグネット(磁石)を挿入するためのマグネット穴50が形成される。本実施形態では、マグネット穴50は、16箇所に形成される。
ここで、中央ブリッジ部58および外周ブリッジ部59が磁性を有していると、有効磁束の経路ではない中央ブリッジ部58および外周ブリッジ部59に磁束が漏れ出してしまうため、回転電機としての性能が低下してしまう。
まず図4に示すように、本実施形態では、穴抜き工程(ステップS101、以下「ステップ」を省略し、単に記号「S」と記載する。)、凹部形成工程(S102)、部分非磁性化工程(S103)、平面化工程(S104)、形状形成工程(S105)、積層工程(S106)を順次行うことにより、非磁性部581、591を有するロータ1を製造している。S101の穴抜き工程およびS102の凹部形成工程は、図5中の第1プレス装置7内にて行われ、S103の部分非磁性化構成は部分非磁性化装置8内にて行われる。また、S104の平面化工程、S105の形状形成工程、および、S106の積層工程は、第2プレス装置9内にて行われる。
なお、図6中においては、第2プレス装置9内で行われるS104の平面化工程が省略されているが、(4)部分非磁性化と(5)内径抜きと間に平面化工程が行われることとなる。
ここまでの工程は、第1プレス装置7内にて行われる。
凝固した非磁性材20と鋼板10とが接触している溶接部21は、非磁性材20と鋼板10とが金属結合している。鋼板10と非磁性材20との結合強度の面からいえば、滴下される非磁性材20の容積を注入空間13の容積と略同等とし、溶接部21の面積が可及的大きくなるようにすることが望ましい。
部分非磁性化工程(S103)と連続して実施される平面化工程(S104)では、図13に示すように、第2プレス装置9内にて、パンチP2により、頂面18から突出した突出部23を隙間16に流し込み、非磁性材20の表面22を平面化加工する。これにより、図14に示すように、表面22に平面部24が形成される。また、隙間16に流し込まれた非磁性材20と凹部12とは、溶接部21の上方で接触して接触部25を形成する。接触部25は、溶接部21とは異なり、金属結合しておらず、単に接触しているだけであるので、鋼板10と非磁性材20との溶接の強度には寄与しない。
本実施形態では、非磁性材20は、注入空間13の容積以下となるように滴下されているので、平面化工程後は、鋼板10の頂面18から非磁性材20が突出せず、注入空間13内に収まる。したがって、非磁性材20は、複数の鋼板10の積層を妨げることがない。なお、非磁性材20の滴下量が注入空間13の容積より小さい場合、図14に示すように、平面化工程後も、若干の隙間16が残ることになる。
本実施形態の部分非磁性化工程(S103)では、非磁性材20をアーク放電により溶融し、流動性を有する状態として、鉛直方向上方から注入空間13に注入しているので、非磁性材20を供給するための装置を簡易なものとすることができる。特に、本実施形態では、非磁性材20の供給装置をトーチT内に組み込み、ワイヤ供給されるので、部分非磁性化装置8を安価かつ小型にすることができる。また、非磁性材20の歩留まりが向上する。
(ア)上記実施形態では、凹部形成工程は、プレス加工により凹部を形成した。他の実施形態では、凹部形成工程は、他の機械加工、例えば、ドリルやエンドミルを用いた切削加工や放電加工等、プレス加工以外であってもよい。換言すると、凹部形成工程において、凹部は切削加工により形成されてもよい、ということである。また、凹部形成工程において、凹部は放電加工により形成されてもよい、ということである。凹部形成工程を切削加工や放電加工とすることにより、凹部形成の精度を高めることができる。また、上記実施形態では、凹部形成工程において、穴部の一部が小穴として残る場合があるが、切削加工や放電加工により凹部を形成する場合、小穴を形成してもよいし、敢えて形成しなくても構わない。さらに、凹部形成工程を切削加工や放電加工とする場合、穴抜き工程が不要であれば、省略してもよい。
(エ)部分非磁性化工程において注入される非磁性材は、非磁性の金属材料に限らず、例えば樹脂等、その他の材質であってもよい。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
10・・・鋼板
12・・・凹部
13・・・注入空間
18・・・頂面
20・・・非磁性材
50・・・マグネット穴
581・・・第1非磁性部(所定箇所)
591・・・第2非磁性部(所定箇所)
Claims (10)
- 磁性を有する鋼板(10)の頂面(18)側に開口する凹部(12)を所定箇所に形成する凹部形成工程(S102)と、
前記凹部内の空間である注入空間(13)に非磁性材(20)を注入し、前記注入空間内で前記非磁性材を凝固させる部分非磁性化工程(S103)と、
前記所定箇所に前記非磁性材が設けられた前記鋼板を積層する積層工程(S106)と、
を備える積層鋼板(1)の製造方法。 - 前記部分非磁性化工程では、溶融した状態の前記非磁性材を前記注入空間に注入し、前記非磁性材は注入されると同時に前記注入空間内で凝固することを特徴とする請求項1に記載の積層鋼板の製造方法。
- 前記部分非磁性化工程では、粉末状または粒状の前記非磁性材を前記注入空間に注入し、注入された前記非磁性材を溶融する溶融工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の積層鋼板の製造方法。
- 前記部分非磁性化工程にて前記注入空間に注入される前記非磁性材の容積は、前記注入空間の容積以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層鋼板の製造方法。
- 前記鋼板の前記頂面から突出した前記非磁性材の突出部(23)を前記注入空間内の隙間(16)に流し込み、前記非磁性材の前記頂面側を平面化加工する平面化工程(S104)を前記非磁性化工程の後段にさらに備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層鋼板の製造方法。
- 前記凹部形成工程の前段に、前記注入空間に相当する容積の穴部(11)を形成する穴抜き工程(S101)をさらに備え、
前記凹部形成工程は、前記穴部をプレス加工することにより前記凹部を形成することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層鋼板の製造方法。 - 前記凹部形成工程において、前記凹部は切削加工により形成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層鋼板の製造方法。
- 前記凹部形成工程において、前記凹部は放電加工により形成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層鋼板の製造方法。
- 前記積層工程の前段に、前記所定箇所に前記非磁性材が設けられた前記鋼板を所定の形状に形成する形状形成工程(S105)をさらに備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の積層鋼板の製造方法。
- 磁性を有する鋼板(10)が積層されてなる積層鋼板(1)であって、
前記鋼板は、
頂面(18)側に開口し、所定箇所に形成された凹部(12)と、
前記凹部内の空間である注入空間(13)にて凝固した非磁性材(20)と、
を備えることを特徴とする積層鋼板。
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