JP2014078677A - 積層構造体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】絶縁層の粗面を微細にした場合でも、微細な銅配線を精度よく形成することができる積層構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る積層構造体1の製造方法は、絶縁層2の表面を粗化処理して、表面の算術平均粗さRaが150nm未満である絶縁層2Aを形成する工程と、無電解銅めっき処理を行って、絶縁層2Aの粗化処理された表面上に、銅めっき層4を形成する工程と、銅めっき層4の表面上に、ドライフィルムレジスト5をラミネートする工程とを備える。本発明に係る積層構造体1の製造方法では、ドライフィルムレジスト5のラミネート温度以下における最低溶融粘度を、100Pa・s以上、300Pa・s以下にする。
【選択図】図1

Description

本発明は、絶縁層の表面上に銅めっき層が積層され、さらに該銅めっき層の表面上にドライフィルムレジストが積層されて形成されている積層構造体を得る積層構造体の製造方法に関する。
近年、高速かつ高容量の通信技術の要求に伴って、プリント配線板において、銅配線の配線幅をより一層細くすることが求められている。このため、銅配線の形成法に関しては、基板全面にパネルめっきした後に配線を形成するサブトラクティブ法から、基板の所定の部分にパターンめっきすることによって微細な配線を形成するセミアディティブ法(以下、SAP工法と記載することがある)にシフトしてきている。このようなSAP工法によりプリント配線板を得る方法は、例えば、下記の特許文献1に開示されている。
SAP工法において、細い配線を形成する際には、加工時の各種ウエットプロセスによる配線の剥がれ等が起きやすくなる。このことから、下地となる絶縁樹脂層と配線との密着性を高くすることが求められている。
また、パーソナルコンピュータやスマートフォンに用いられる中央演算素子(CPU)などに代表される半導体に関しては、その駆動周波数がGHzオーダーとなっていることから、半導体パッケージ基板内にも高周波信号が流れ込む。高周波信号が半導体パッケージ基板内を流れる際、基板内の絶縁樹脂自体の誘電正接が大きいと、電気エネルギーが熱エネルギーに変換され、高周波信号の伝送損失が生じやすくなり、更に発熱も生じやすくなる。このため、冷却機能を設けるなどの設計上の制約を受けることになる。そこで、この伝送損失(変換ロス)を低減するために、絶縁樹脂自体には低誘電率化及び低誘電正接化が要求されている。また、高周波信号は導体の表面近傍を流れることから、導体層の表面の表面粗さが大きくなることでも、導体の抵抗による伝送損失が生じる(所謂、表皮効果)。伝送損失を抑制するためには、導体層の表面を平滑にすることが求められることに加えて、導体と接する絶縁樹脂層の表面を平滑にすることも併せて求められる。
すなわち、近年、SAP工法用の層間絶縁樹脂組成物には、該組成物を用いた絶縁樹脂層の銅配線(導体層)に対する密着性を良好にし、さらに絶縁樹脂層の表面の平滑性(微細粗面化)を高めて、加えて絶縁樹脂層の誘電正接(低誘電正接)を良好にすることが求められている。
しかしながら、特に、絶縁樹脂層の表面を平滑にすると、SAP工法において配線形成のために用いるドライフィルムレジスト(以下、DFRと記載することがある)と無電解銅めっき層との密着性が低くなるという問題が生じる。DFRが部分的にでも剥がれると、銅配線間の形状に裾引きが生じたり、配線間の距離が短くなったり、配線ショートなどが起こったりする。これは、表面に微小な凹凸が形成されることによって、微細な凹凸表面にドライフィルムが追従できない領域が増加して、その結果としてDFRと無電解銅めっき層との接着面積が減少するためであると考えられる。
この問題を解決するために、無電解銅めっきされた表面をマイクロエッチングすることにより、アンカー効果を高めて密着力を向上させる手法が提案されている。しかしながら、この手法では無電解銅めっき層が薄くなりやすく、エッチングにより皮膜が部分的に消失して、以降の工程で不具合が発生する可能性がある。これを抑制するために、無電解銅めっき層の厚みを厚くすると、微細な配線を形成する際に非パターン部(非めっき部)の表面に残留する無電解銅をクイックエッチングで除去するために長時間を要する。さらにパターン部(めっき部)の電解銅めっきも同時にエッチングされ、配線が過度に細くなりやすい。
また、DFRを無電解銅めっき表面に貼り合わせる前に、銅とDFRの主成分であるアクリレートと相性の良い二官能化合物を銅めっき表面にウェット処理し、化学的な密着力を高める手法が提案されている。しかしながら、この手法では複数の処理が発生するため、コストが高くなったり、コンタミネーションが生じたりすることがある。
特開2012−33642号公報
以上のことから、従来のSAP工法では、層間絶縁樹脂層の微細粗面化によって、配線を形成するために用いるDFRと無電解銅めっき層との密着性が低くなり、微細な銅配線を精度よく形成できないという問題がある。
本発明の目的は、絶縁層の粗面を微細にした場合でも、微細な銅配線を精度よく形成することができる積層構造体の製造方法を提供することである。
本発明の広い局面によれば、絶縁層の表面を粗化処理して、表面の算術平均粗さRaが150nm未満である絶縁層を形成する工程と、無電解銅めっき処理を行って、前記絶縁層の粗化処理された表面上に、銅めっき層を形成する工程と、前記銅めっき層の表面上に、ドライフィルムレジストをラミネートする工程とを備え、前記ドライフィルムレジストのラミネート温度以下における最低溶融粘度を、100Pa・s以上、300Pa・s以下にする、積層構造体の製造方法が提供される。
本発明に係る積層構造体の製造方法のある特定の局面では、前記ドライフィルムレジストのラミネートを、真空ラミネート又は加熱ロールラミネートで行う。
本発明に係る積層構造体の製造方法のある特定の局面では、前記粗化処理が、過マンガン酸系ウェットエッチングプロセスである。
本発明に係る積層構造体の製造方法のある特定の局面では、粗化処理前の前記絶縁層の10GHzにおける誘電正接が0.010以下である。
本発明に係る積層構造体の製造方法のある特定の局面では、前記絶縁層が、熱硬化性樹脂と、硬化剤と、無機充填剤とを含む熱硬化性樹脂材料を用いて形成されている。
本発明に係る積層構造体の製造方法のある特定の局面では、前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂であり、前記硬化剤が、シアネートエステル化合物、活性エステル化合物、フェノール化合物又はナフトール化合物である。
本発明に係る積層構造体の製造方法のある特定の局面では、前記熱硬化性樹脂材料が硬化促進剤を含む。
本発明に係る積層構造体の製造方法は、絶縁層の表面を粗化処理して、表面の算術平均粗さRaが150nm未満である絶縁層を形成する工程と、無電解銅めっき処理を行って、上記絶縁層の粗化処理された表面上に、銅めっき層を形成する工程と、上記銅めっき層の表面上に、ドライフィルムレジストをラミネートする工程とを備えており、上記ドライフィルムレジストのラミネート温度以下における最低溶融粘度を、100Pa・s以上、300Pa・s以下にするので、絶縁層の粗面が微細であるにもかかわらず、微細な銅配線を精度よく形成することができる。
図1(a)〜(d)は、本発明の一実施形態に係る積層構造体の製造方法における各工程を説明するための模式的な部分切欠正面断面図である。 図2は、本発明の他の実施形態に係る積層構造体の製造方法により得られる積層構造体を用いた多層基板の一例を模式的に示す部分切欠正面断面図である。 図3は、実施例及び比較例の伝送損失の評価に用いたストリップライン構造(シングルエンド)を有するテストピースを模式的に示す断面図である。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明に係る積層構造体の製造方法は、絶縁層の表面を粗化処理して、表面の算術平均粗さRaが150nm未満である絶縁層を形成する工程と、無電解銅めっき処理を行って、上記絶縁層の粗化処理された表面上に、銅めっき層を形成する工程と、上記銅めっき層の表面上に、ドライフィルムレジストをラミネートする工程とを備える。本発明に係る積層構造体の製造方法では、上記ドライフィルムレジストのラミネート温度以下における最低溶融粘度を、100Pa・s以上、300Pa・s以下にする。
本発明に係る上述した構成の採用によって、絶縁層の粗面が微細であるにもかかわらず、微細な銅配線を精度よく形成することができる。例えば、銅配線が形成されている部分のラインL(幅方向寸法)と銅配線が形成されていない部分のスペースS(幅方向寸法)とに関して、L/S=10μm以下/10μm以下の銅配線を形成することができ、L/S=7μm/7μmの銅配線を形成することもでき、更にL/S=5μm/5μmの銅配線を形成することもできる。また、絶縁層の粗面を微細にすることで、絶縁層の粗面を微細にしなかった場合と比べて、銅配線に高周波信号を挿入した場合の伝送損失を低減することができる。
さらに、本発明に係る積層構造体の製造方法では、ドライフィルムレジスト(DFR)と銅めっき層との密着性を高めることもできる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態及び実施例を説明することにより、本発明を明らかにする。
本発明の一実施形態に係る積層構造体の製造方法では、先ず、図1(a)に示すように、絶縁層2を用意する。図1(a)では、絶縁層2は、基板3上に配置されている。伝送損失をより一層低減するために、絶縁層2の10GHzにおける誘電正接は0.010以下であることが好ましい。但し、絶縁層2の10GHzにおける誘電正接は0.010を超えていてもよい。
次に、図1(b)に示すように、絶縁層2の表面を粗化処理する。粗化処理により、粗化処理された表面の算術平均粗さRaが150nm未満である絶縁層2Aを形成する(粗化工程)。
上記粗化処理には、例えば、マンガン化合物、クロム化合物又は過硫酸化合物などの化学酸化剤等が用いられる。これらの化学酸化剤は、水又は有機溶剤が添加された後、水溶液又は有機溶媒分散溶液として用いられる。粗化処理に用いられる粗化液は、一般にpH調整剤などとしてアルカリを含む。粗化液は、水酸化ナトリウムを含むことが好ましい。
上記マンガン化合物としては、過マンガン酸塩が挙げられる。該過マンガン酸塩としては、過マンガン酸カリウム及び過マンガン酸ナトリウム等が挙げられる。上記クロム化合物としては、重クロム酸カリウム及び無水クロム酸カリウム等が挙げられる。上記過硫酸化合物としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム及び過硫酸アンモニウム等が挙げられる。
上記粗化処理の方法は特に限定されない。上記粗化処理の方法として、例えば、30〜90g/L過マンガン酸又は過マンガン酸塩溶液及び30〜90g/L水酸化ナトリウム溶液を用いて、処理温度30〜85℃及び1〜30分間の条件で、絶縁層を処理する方法が好適である。この粗化処理は1回又は2回行われることが好ましい。上記粗化処理の温度は50〜85℃の範囲内であることが好ましい。
上記粗化処理は、過マンガン酸系ウェットエッチングプロセスであることが好ましい。このような粗化処理によって、銅めっき層と絶縁層との密着性がより一層良好になる。
粗化処理の前に、絶縁層の表面を膨潤処理することが好ましい。但し、絶縁層の表面は、必ずしも膨潤処理しなくてもよい。
上記膨潤処理の方法としては、例えば、エチレングリコールなどを主成分とする化合物の水溶液又は有機溶媒分散溶液などにより、絶縁層を処理する方法が用いられる。膨潤処理に用いる膨潤液は、一般にpH調整剤などとして、アルカリを含む。膨潤液は、水酸化ナトリウムを含むことが好ましい。具体的には、例えば、上記膨潤処理は、40重量%エチレングリコール水溶液等を用いて、処理温度30〜85℃で1〜30分間、絶縁層を処理することにより行なわれる。上記膨潤処理の温度は50〜85℃の範囲内であることが好ましい。上記膨潤処理の温度が低すぎると、膨潤処理に長時間を要し、更に絶縁層と銅めっき層との密着性が低くなる傾向がある。
なお、絶縁層(硬化物)の粗化処理された表面の算術平均粗さRaは、JIS B0601−1994に準拠して測定された値である。
次に、図1(c)に示すように、無電解銅めっき処理を行って、絶縁層2Aの粗化処理された表面上に、銅めっき層4を形成する(銅めっき工程)。
次に、図1(d)に示すように、銅めっき層4の表面上に、ドライフィルムレジスト5をラミネートする(ラミネート工程)。このとき、ドライフィルムレジスト5のラミネート温度以下における最低溶融粘度を、100Pa・s以上、300Pa・s以下にする。このようにして、図1(d)に示す積層構造体1を得ることができる。
上記最低溶融粘度が100Pa・s未満である場合には、DFRが流れ出しすぎて、所定のドライフィルムの厚みが確保できず、狙いの厚みの銅配線パターンを形成することができない。また、上記最低溶融粘度が300Pa・sより大きい場合には、DFRが表面凹凸のある無電解めっき面に追従することができず、密着性が不足する。さらに、その後の現像工程で、ドライフィルムのリフトがおこり、狙いの銅配線パターンを形成することができない。表面凹凸のある無電解めっき面に対するDFRの追従性を高め、現像工程でのドライフィルムのリフトを抑制し、狙いの銅配線パターンを良好に形成する観点などから、上記最低溶融粘度は300Pa・s以下である。
上記DFRは、感光層を有するフィルムである。好ましい上記DFR(感光層)は、1)カルボキシル基を有するバインダー樹脂、2)光重合可能な不飽和化合物、及び3)光重合開始剤を含む。各成分の種類については、特に限定されず、公知の材料を組み合わせた成分であってもよい。
配合比率については、目安として上記1)バインダー樹脂の含有量が、20重量%未満である場合及び90重量%を超える場合には、露光及び現像によって形成されるレジストパターンが、レジストとしての特性を十分に有しなくなる傾向があり、例えば、テンティング、エッチング及び各種めっき工程において十分な耐性等を有しなくなる傾向がある。従って、上記DFR(感光層)100重量%中、上記1)バインダー樹脂の含有量は好ましくは20重量%以上、好ましくは90重量%以下である。
上記DFR(感光層)100重量%中、上記2)光重合可能な不飽和化合物の含有量は、好ましくは3重量%以上、より好ましくは10重量%以上、更に好ましくは15重量%以上、好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下、更に好ましくは55重量%以下である。上記2)光重合可能な不飽和化合物の含有量が上記下限以上であると、感度がより一層高くなる。上記2)光重合可能な不飽和化合物の含有量が上記上限以下であると、保存時に感光層が意図しない領域にはみ出し難くなる。
上記DFR(感光層)100重量%中、上記3)光重合開始剤の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、好ましくは20重量%以下である。上記3)光重合開始剤の含有量が上記下限以上であると、感度がより一層高くなる。上記3)光重合開始剤の含有量が上記上限以下であると、露光時にフォトマスクを通した光の回折によるかぶりが発生し難くなり、その結果として解像性の悪化が抑えられる。
粗化処理後の絶縁層の追従性を高める観点などから、上記DFRのラミネート温度以下における最低溶融粘度は、100Pa・s以上、300Pa・s以下である。上記最低溶融粘度を低くする方法としては、上記1)バインダー樹脂として、比較的低分子量のバインダー樹脂を用いる方法が好ましい。
上記DFRの溶融粘度は、粘弾性測定装置(ティーエイ・インスルメントジャパン社製「AR200ex」)を用いて測定される。
上記バインダー樹脂の重量平均分子量は、好ましくは5000以上、より好ましくは10000以上、好ましくは500000以下、より好ましくは40000以下である。上記重量平均分子量が上記下限以上であると、上記重量平均分子量が上記下限以上であると、DFRのテンティング膜強度がより一層高くなり、エッジフューズがより一層起こり難くなる。上記重量平均分子量が上記上限以下であると、現像性がより一層高くなる。
上記重量平均分子量は、日本分光社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(ポンプ:Gulliver、PU−1580型、カラム:昭和電工社製Shodex(登録商標)(KF−807、KF−806M、KF−806M、KF−802.5)4本直列、移動層溶媒:テトラヒドロフラン、ポリスチレン標準サンプルによる検量線使用)により重量平均分子量(ポリスチレン換算)として求められる。
上記DFR(上記感光層)を支持層(支持フィルム)上に積層して用いることが好ましい。ここで用いられる支持層は、活性光を透過可能であることが好ましく、透明であることが好ましい。活性光を透過する支持層としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、塩化ビニリデン共重合体フィルム、ポリメタクリル酸メチル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、スチレン共重合体フィルム、ポリアミドフィルム及びセルロース誘導体フィルム等が挙げられる。これらのフィルムは、必要に応じて延伸された状態で用いることもでき、延伸フィルムであってもよい。
支持層上に積層された上記DFR(感光層)の支持層側とは反対の表面に、必要に応じて保護層を積層することができる。支持層よりも保護層の方が感光層との密着力が十分に小さく、容易に剥離できることは、上記保護層に求められる重要な特性である。このような特性を発揮する保護層としては、例えば、ポリエチレンフィルム及びポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルム等が挙げられる。
上記DFR及び上記DFRを含むフィルムの市販品としては、例えば、デュポンMRCドライフィルム社製「JSF125」、日立化成工業社製「RY−3525」、並びにニチゴーモートン社製「RD−1225」等が挙げられる。
上記ラミネート工程において、ラミネート温度は好ましく100℃以上、より好ましくは120℃以上、好ましくは160℃以下である。上記ラミネート温度が上記下限以上であると、特に上記ラミネート温度が120℃以上であると、DFRの粘度を十分に低下させることができ、表面に凹凸のある無電解めっき面へのDFRの追従性をより一層良好にすることができる。
上記ラミネートは、真空ラミネート又は加熱ロールラミネートで行うことが好ましい。ビア内部へDFRが入り込まないようにすること(テンティングさせること)を考慮すると、上記ラミネートは、真空工程を含まないプロセスである加熱ロールラミネートで行うことが好ましい。
膨潤処理される絶縁層及び粗化処理される絶縁層は、熱硬化性樹脂材料を用いて形成されていることが好ましく、該熱硬化性樹脂材料を予備硬化させることにより形成されていることが好ましい。膨潤処理される絶縁層及び粗化処理される絶縁層は予備硬化物であることが好ましい。上記絶縁層を形成するための上記熱硬化性樹脂材料は、熱硬化性樹脂と、硬化剤とを含むことが好ましい。上記熱硬化性樹脂材料は、熱硬化性樹脂と、硬化剤と、充填剤とを含むことが好ましい。上記熱硬化性樹脂材料は、硬化促進剤を含むことが好ましい。上記充填剤は、無機充填剤であることが好ましく、シリカであることがより好ましい。充填剤を含む熱硬化性樹脂材料の使用により、絶縁層の熱による寸法変化がより一層小さくなり、すなわち絶縁層の線膨張率がより一層低くなる。
以下、上記熱硬化性樹脂材料に含まれている各成分の詳細を説明する。
[熱硬化性樹脂]
上記熱硬化性樹脂材料に含まれている熱硬化性樹脂は特に限定されない。絶縁性や機械強度をより一層良好にする観点からは、該熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂であることが好ましい。上記熱硬化性樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記エポキシ樹脂は特に限定されない。該エポキシ樹脂として、従来公知のエポキシ樹脂を使用可能である。該エポキシ樹脂は、少なくとも1個のエポキシ基を有する有機化合物をいう。上記エポキシ樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、アダマンタン骨格を有するエポキシ樹脂、トリシクロデカン骨格を有するエポキシ樹脂、及びトリアジン核を骨格に有するエポキシ樹脂等が挙げられる。
粗化処理された硬化物の表面の表面粗さをより一層小さくする観点からは、上記熱硬化性樹脂の熱硬化性官能基当量は好ましくは90以上、より好ましくは100以上、好ましくは1000以下、より好ましくは800以下である。上記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合に、上記熱硬化性官能基当量は、エポキシ当量を示す。
上記熱硬化性樹脂の分子量は1000以下であることが好ましい。この場合には、熱硬化性樹脂材料における充填剤の含有量を多くすることができる。さらに、充填剤の含有量が多くても、流動性が高い熱硬化性樹脂材料である樹脂組成物を得ることができる。このため、絶縁層となるBステージフィルムを基板上にラミネートした場合に、充填剤が均一に存在しやすくなる。
上記熱硬化性樹脂の分子量及び後述する硬化剤の分子量は、上記熱硬化性樹脂又は硬化剤が重合体ではない場合、及び上記熱硬化性樹脂又は硬化剤の構造式が特定できる場合は、当該構造式から算出できる分子量を意味する。また、上記熱硬化性樹脂又は硬化剤が重合体である場合は、重量平均分子量を意味する。
上記エポキシ樹脂は、常温(23℃)で液状であってもよく、固形であってもよい。Bステージフィルムの取り扱い性(ハンドリング性)を高める観点からは、上記熱硬化性樹脂材料は、常温(23℃)で液状であるエポキシ樹脂を含むことが好ましい。上記熱硬化性樹脂材料に含まれている充填剤を除く全固形分(以下、全固形分Bと記載することがある)100重量%中、常温で液状であるエポキシ樹脂の含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは25重量%以上、好ましくは80重量%以下である。常温で液状であるエポキシ樹脂の含有量が上記下限以上であると、熱硬化性樹脂材料における充填剤の含有量を多くすることが容易である。「全固形分B」とは、上記熱硬化性樹脂と上記硬化剤と必要に応じて配合される固形分との総和をいう。「全固形分B」には、充填剤は含まれない。充填剤を用いない場合には、上記全固形分B100重量%は、上記熱硬化性樹脂材料に含まれている全固形分100重量%を意味する。充填剤を用いる場合には、上記全固形分B100重量%は、上記熱硬化性樹脂材料に含まれている充填剤を除く全固形分100重量%を意味する。「固形分」とは、不揮発成分であり、成形又は加熱時に揮発しない成分をいう。
[硬化剤]
上記熱硬化性樹脂材料に含まれている硬化剤は特に限定されない。該硬化剤として、従来公知の硬化剤を使用可能である。上記硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記硬化剤としては、活性エステル化合物(活性エステル硬化剤)、シアネートエステル化合物(シアネートエステル硬化剤)、フェノール化合物(フェノール硬化剤)、アミン化合物(アミン硬化剤)、チオール化合物(チオール硬化剤)、イミダゾール化合物(イミダゾール硬化剤)、ホスフィン化合物(ホスフィン硬化剤)、酸無水物(酸無水物硬化剤)及びナフトール化合物(ナフトール硬化剤)等が挙げられる。
上記硬化剤は、シアネートエステル化合物、活性エステル化合物、フェノール化合物又はナフトール化合物であることが好ましい。絶縁層(硬化物)の誘電正接をより一層低減する観点からは、シアネートエステル化合物、活性エステル化合物がより好ましい。
上記硬化剤の分子量は、3000以下であることが好ましい。この場合には、熱硬化性樹脂材料における充填剤の含有量を多くすることができ、充填剤の含有量が多くても、流動性が高い熱硬化性樹脂材料である樹脂組成物を得ることができる。
上記全固形分B100重量%中、上記熱硬化性樹脂と上記硬化剤との合計の含有量は、好ましくは75重量%以上、より好ましくは80重量%以上、好ましくは99.9重量%以下、より好ましくは99重量%以下、更に好ましくは97重量%以下である。
上記熱硬化性樹脂と上記硬化剤との合計の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、より一層良好な硬化物が得られ、溶融粘度を調整することができるために充填剤の分散性を良好にすることができ、かつ硬化過程で、意図しない領域にBステージフィルムが濡れ拡がることを防止できる。さらに、硬化物の熱による寸法変化がより一層抑えられる。
上記熱硬化性樹脂と上記硬化剤との配合比に関しては、上記熱硬化性樹脂材料中の反応基の数A1と、上記熱硬化性樹脂材料中の上記硬化剤の反応基の数A2との比(A1:A2)が、1:0.5〜1:1.5の範囲内であることが好ましく、1:0.75〜1:1.25の範囲内であることがより好ましい。この比を満足する場合には、硬化物の電気特性及び耐湿性がより一層良好になり、更に硬化物の熱による寸法変化がより一層小さくなる。
[充填剤]
硬化物の熱による寸法変化をより一層小さくする観点からは、上記熱硬化性樹脂材料は、充填剤を含むことが好ましい。また、充填剤の使用により、絶縁層の粗化処理された表面の表面粗さを小さくすることができる。上記充填剤としては、無機充填剤、有機充填剤及び有機無機複合充填剤等が挙げられる。なかでも、無機充填剤が好ましい。上記充填剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記無機充填剤は特に限定されない。該無機充填剤として、従来公知の無機充填剤を使用可能である。上記無機充填剤としては、シリカ、タルク、クレイ、マイカ、ハイドロタルサイト、アルミナ、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム及び窒化ホウ素等が挙げられる。絶縁層の粗化処理された表面の表面粗さを小さくし、かつ硬化物の表面により一層微細な配線を形成し、かつ硬化物により一層良好な絶縁信頼性を付与する観点からは、上記無機充填剤は、シリカ又はアルミナであることが好ましく、シリカであることがより好ましく、溶融シリカであることが更に好ましい。シリカの使用により、硬化物の線膨張率をより一層低くすることができ、かつ粗化処理又はデスミア処理された硬化物の表面の表面粗さを効果的に小さくすることができる。シリカの形状は略球状であることが好ましい。
上記充填剤の平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上、好ましくは20μm以下、より好ましくは1μm以下である。上記充填剤の平均粒子径として、50%となるメディアン径(d50)の値が採用される。上記平均粒子径は、例えばレーザー回折散乱方式の粒度分布測定装置、並びに超音波減衰方式又は超音波振動電流方式(ゼータ電位)の粒度分布測定装置を用いて測定できる。
上記充填剤は、表面処理されていることが好ましく、カップリング剤により表面処理されていることがより好ましい。これにより、絶縁層の粗化処理された表面の表面粗さをより一層小さくすることができ、かつ硬化物の表面により一層微細な配線を形成することができ、かつ硬化物により良好な配線間絶縁信頼性及び層間絶縁信頼性を付与することができる。
上記カップリング剤としては特に限定されず、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤及びアルミニウムカップリング剤等が挙げられる。上記シランカップリング剤としては、アミノシラン、イミダゾールシラン及びエポキシシラン等が挙げられる。
上記充填剤の含有量は特に限定されない。上記熱硬化性樹脂材料に含まれている全固形分(以下、全固形分Aと記載することがある)100重量%中、上記充填剤の含有量は好ましくは50重量%以上、好ましくは85重量%以下、より好ましくは80重量%以下である。上記充填剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、絶縁層の粗化処理された表面の表面粗さをより一層小さくすることができ、かつ硬化物の表面により一層微細な配線を形成することができると同時に、この充填剤量であれば金属銅並に硬化物の熱線膨張係数を低くすることも可能である。「全固形分A」とは、熱硬化性樹脂と硬化剤と充填剤と必要に応じて配合される固形分との総和をいう。「固形分」とは、不揮発成分であり、成形又は加熱時に揮発しない成分をいう。
[他の成分及び熱硬化性樹脂材料の詳細]
上記熱硬化性樹脂材料は、必要に応じて硬化促進剤を含んでいてもよい。硬化促進剤の使用により、硬化速度をより一層速くすることができる。熱硬化性樹脂材料を速やかに硬化させることで、硬化物の架橋構造を均一にすることができると共に、未反応の官能基数を減らすことができ、結果的に架橋密度を高くすることができる。該硬化促進剤は特に限定されず、従来公知の硬化促進剤を使用可能である。上記硬化促進剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール化合物、リン化合物、アミン化合物及び有機金属化合物等が挙げられる。
上記イミダゾール化合物としては、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール及び2−フェニル−4−メチル−5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
上記リン化合物としては、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。
上記アミン化合物としては、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエチレンテトラミン、トリエチレンテトラミン及び4,4−ジメチルアミノピリジン等が挙げられる。
上記有機金属化合物としては、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)及びトリスアセチルアセトナートコバルト(III)等が挙げられる。
硬化物の絶縁信頼性を高める観点からは、上記硬化促進剤は、イミダゾール化合物であることが特に好ましい。硬化物の絶縁信頼性を高める観点からは、上記硬化促進剤は、有機金属化合物を含まないことが好ましい。
上記硬化促進剤の含有量は特に限定されない。熱硬化性樹脂材料を効率的に硬化させる観点からは、上記全固形分B100重量%中、上記硬化促進剤の含有量は好ましくは0.01重量%以上、好ましくは3重量%以下である。
耐衝撃性、耐熱性、樹脂の相溶性及び作業性等の改善を目的として、熱硬化性樹脂材料には、カップリング剤、着色剤、酸化防止剤、紫外線劣化防止剤、消泡剤、増粘剤、揺変性付与剤及び上述した樹脂以外の他の樹脂等を添加してもよい。
上記カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤及びアルミニウムカップリング剤等が挙げられる。上記シランカップリング剤としては、ビニルシラン、アミノシラン、イミダゾールシラン及びエポキシシラン等が挙げられる。
上記他の樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ジビニルベンジルエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ベンゾオキサゾール樹脂、ビスマレイミド樹脂及びアクリレート樹脂等が挙げられる。
[熱可塑性樹脂]
上記熱硬化性樹脂材料は、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。該熱可塑性樹脂は特に限定されない。該熱可塑性樹脂として、従来公知の熱可塑性樹脂を使用可能である。上記熱可塑性樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記熱可塑性樹脂としては、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ゴム成分及び有機フィラー等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂は、フェノキシ樹脂であることが特に好ましい。該フェノキシ樹脂の使用により、溶融粘度を調整可能であるために無機充填剤の分散性が良好になり、かつ硬化過程で、意図しない領域に絶縁樹脂層が濡れ拡がり難くなる。また、熱可塑性樹脂の使用により、絶縁樹脂層の回路基板の穴又は凹凸に対する埋め込み性の悪化や無機充填剤の不均一化を抑制できる。
上記フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型の骨格、ビスフェノールF型の骨格、ビスフェノールS型の骨格、ビフェニル骨格、ノボラック骨格、ナフタレン骨格及びイミド骨格などの骨格を有するフェノキシ樹脂等が挙げられる。
上記フェノキシ樹脂の市販品としては、例えば、新日鐵住金化学社製の「YP50」、「YP55」及び「YP70」、並びに三菱化学社製の「1256B40」、「4250」、「4256H40」、「4275」、「YX6954BH30」及び「YX8100BH30」などが挙げられる。
上記熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、好ましくは5000以上、好ましくは100000以下である。上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算での重量平均分子量を示す。
上記熱可塑性樹脂の含有量は特に限定されない。上記全固形分B100重量%中、上記熱可塑性樹脂の含有量(熱可塑性樹脂がフェノキシ樹脂である場合にはフェノキシ樹脂の含有量)は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下、更に好ましくは15重量%以下である。上記熱可塑性樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、絶縁層の熱線膨張係数の低減化と絶縁樹脂層の回路基板の穴又は凹凸に対する良好な埋め込み性とが両立できる。上記熱可塑性樹脂の含有量が上記下限以上であると、絶縁層の成膜性が高くなり、より一層均質な絶縁層が得られる。上記熱可塑性樹脂の含有量が上記上限以下であると、絶縁層の粗化処理された表面凹凸の微細化と、絶縁層と銅めっき層との良好な密着性とが両立できる。
(Bステージフィルムである熱硬化性樹脂材料)
上記樹脂組成物をフィルム状に成形する方法としては、例えば、押出機を用いて、樹脂組成物を溶融混練し、押出した後、Tダイ又はサーキュラーダイ等により、フィルム状に成形する押出成形法、樹脂組成物を有機溶剤等の溶剤に溶解又は分散させた後、キャスティングしてフィルム状に成形するキャスティング成形法、並びに従来公知のその他のフィルム成形法等が挙げられる。なかでも、薄型化を進めることができるので、押出成形法又はキャスティング成形法が好ましい。フィルムにはシートが含まれる。
上記樹脂組成物をフィルム状に成形し、熱による硬化が進行し過ぎない程度に、例えば90〜200℃で10〜180秒間加熱乾燥させることにより、Bステージフィルムを得ることができる。
上述のような乾燥工程により得ることができるフィルム状の樹脂組成物をBステージフィルムと称する。
上記Bステージフィルムは、半硬化状態にある半硬化物である。半硬化物は、完全に硬化しておらず、硬化がさらに進行され得る。
上記樹脂組成物は、基材と、該基材の一方の表面に積層されたBステージフィルムとを備える積層フィルムを形成するために好適に用いることができる。積層フィルムのBステージフィルムが、上記樹脂組成物により形成される。
上記積層フィルムの上記基材としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム及びポリブチレンテレフタレートフィルムなどのポリエステル樹脂フィルム、ポリエチレンフィルム及びポリプロピレンフィルムなどのオレフィン樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、銅箔及びアルミニウム箔などの金属箔等が挙げられる。上記基材の表面は、必要に応じて、離型処理されていてもよい。
(プリント配線板)
上記熱硬化性樹脂材料は、プリント配線板において絶縁層を形成するために好適に用いられる。
上記プリント配線板は、例えば、上記樹脂組成物により形成されたBステージフィルムを用いて、該Bステージフィルムを加熱加圧成形することにより得られる。
(銅張り積層板及び多層基板)
上記熱硬化性樹脂材料は、銅張り積層板を得るために好適に用いられる。上記銅張り積層板の一例として、銅箔と、該銅箔の一方の表面に積層されたBステージフィルムとを備える銅張り積層板が挙げられる。この銅張り積層板のBステージフィルムが、本発明に係る熱硬化性樹脂材料により形成される。
上記銅張り積層板の上記銅箔の厚さは特に限定されない。上記銅箔の厚さは、1〜50μmの範囲内であることが好ましい。また、熱硬化性樹脂材料を硬化させた絶縁層と銅箔との接着強度を高めるために、上記銅箔は微細な凹凸を表面に有することが好ましい。凹凸の形成方法は特に限定されない。上記凹凸の形成方法としては、公知の薬液を用いた処理による形成方法等が挙げられる。
また、上記熱硬化性樹脂材料は、多層基板を得るために好適に用いられる。上記多層基板の一例として、回路基板と、該回路基板の表面上に積層された絶縁層とを備える多層基板が挙げられる。この多層基板の絶縁層が、上記熱硬化性樹脂材料を硬化させることにより形成される。上記絶縁層は、回路基板の回路が設けられた表面上に積層されていることが好ましい。上記絶縁層の一部は、上記回路間に埋め込まれていることが好ましい。
上記多層基板では、上記絶縁層の上記回路基板が積層された表面とは反対側の表面が粗化処理されていることが好ましい。
また、上記多層基板は、上記絶縁層の粗化処理された表面に積層された銅めっき層をさらに備えることが好ましい。
上記多層基板の他の例として、回路基板と、該回路基板の表面上に積層された複数の絶縁層とを備える多層基板が挙げられる。上記複数層の絶縁層の内の少なくとも1層が、上記熱硬化性樹脂材料を硬化させることにより形成される。上記多層基板は、上記熱硬化性樹脂材料を硬化させることにより形成されている上記絶縁層の少なくとも一方の表面に積層されている回路をさらに備えることが好ましい。
図2に、本発明の他の実施形態に係る積層構造体の製造方法により得られる積層構造体を用いた多層基板を模式的に部分切欠正面断面図で示す。
図2に示す多層基板11では、回路基板12の上面12aに、複数層の絶縁層13〜16が積層されている。絶縁層13〜16は、絶縁層である。回路基板12の上面12aの一部の領域には、金属層17が形成されている。複数層の絶縁層13〜16のうち、回路基板12側とは反対の外側の表面に位置する絶縁層16以外の絶縁層13〜15には、上面の一部の領域に金属層17が形成されている。金属層17は回路である。回路基板12と絶縁層13の間、及び積層された絶縁層13〜16の各層間に、金属層17がそれぞれ配置されている。下方の金属層17と上方の金属層17とは、図示しないビアホール接続及びスルーホール接続の内の少なくとも一方により互いに接続されている。
多層基板11では、絶縁層13〜16が、本発明に係る熱硬化性樹脂材料を硬化させることにより形成されている。本実施形態では、絶縁層13〜16の表面が粗化処理又はデスミア処理されているので、絶縁層13〜16の表面に図示しない微細な孔が形成されている。また、微細な孔の内部に金属層17が至っている。また、多層基板11では、金属層17の幅方向寸法(L)と、金属層17が形成されていない部分の幅方向寸法(S)とを小さくすることができる。また、多層基板11では、図示しないビアホール接続及びスルーホール接続で接続されていない上方の金属層と下方の金属層との間に、良好な絶縁信頼性が付与されている。
以下、実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されない。
(実施例1)
(1)樹脂組成物ワニスの調製工程
メチルエチルケトン(MEK)10重量部に、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC社製「EXA−7200−H」)19重量部と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC社製「850S」)4.8重量部と、球状シリカフィラー(アドマテックス社製「アミノフェニルシラン処理されたSOC2」、平均粒子径0.5μm)及びナノシリカ(アドマテックス社製「SX007」、平均一次粒子径0.01μm)を重量比で58:2の割合で含有するシリカ含有スラリー74.7重量部(固形分で52.3重量部、分散溶剤:MEK)とを加え、撹拌機を用いて、1200rpmで60分間撹拌した。
次に、活性エステル化合物溶液(DIC社製「HPC−8000−65T」)29.3重量部(固形分で19重量部)とビスフェノールアセトフェノン骨格型フェノキシ樹脂(三菱化学社製「YX6954」)のMEK及びシクロヘキサノン混合溶液(固形分30重量%)4.3重量部とをさらに加え、撹拌機を用いて、1200rpmで90分間撹拌した。
その後、硬化促進剤であるDMAP(和光純薬工業社製「4,4−ジメチルアミノピリジン」)0.3重量部をさらに加え、撹拌機を用いて、1200rpmで15分間撹拌し、樹脂組成物のワニスを得た。
(2)積層フィルムの作製工程
離型処理された透明なPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(リンテック社製「PET5011 550」、厚み50μm)を用意した。このPETフィルムの離型処理された表面上にアプリケーターを用いて、乾燥後の厚みが50μmとなるように、得られたワニスを塗工した。次に、100℃のギヤオーブン内で2分間乾燥して、縦200mm×横200mm×厚み50μmの樹脂フィルムの未硬化物(熱硬化性樹脂材料であるBステージフィルム)とPETフィルムとの積層フィルムを作製した。
(3)樹脂フィルムの未硬化物のラミネート工程
両面銅張積層板(各面の銅箔の厚さ18μm、基板厚み0.7mm、基板サイズ100mm×100mm、日立化成社製「MCL−E679FG」)の銅箔面にφ200μmホールを1穴/mmの頻度で形成したテスト基板(銅張積層板)を用意した。この銅張積層板の両面をメック社製「CZ8101」に浸漬して、銅箔の表面を粗化処理した。
粗化処理された銅張積層板の両面に、名機製作所社製「バッチ式真空加圧ラミネーターMVLP−500−IIA」を用いて、得られた樹脂フィルムの未硬化物を、未硬化物が銅張積層板面に対向するようにしてラミネートして、積層体を得た。ラミネートの条件は、30秒減圧して気圧を13hPa以下とし、その後30秒間、100℃及び圧力0.8MPaでプレスする条件とした。
(4)硬化工程
樹脂フィルムの未硬化物がラミネートされた銅張積層板において、両面の離型PETフィルムを剥離した。内部の温度が180℃のギヤオーブン内に積層板を60分間入れ、樹脂フィルムの未硬化物を硬化させて、硬化物(絶縁層)を形成した。
(5)粗化処理工程
得られた絶縁層を、下記の(a)膨潤処理をした後、下記の(b)粗化処理をした。
(a)膨潤処理:
60℃の膨潤液(アトテックジャパン社製「スウェリングディップセキュリガントP」、和光純薬工業社製「水酸化ナトリウム」の水溶液)に、上記積層体を入れて、20分間揺動させた。その後、純水で洗浄した。すなわち、60℃で20分間膨潤処理を行った。
(b)粗化処理:
75℃の過マンガン酸ナトリウム(アトテックジャパン社製「コンセントレートコンパクトCP」、和光純薬工業社製「水酸化ナトリウム」)粗化水溶液に、上記積層体を入れて、20分間揺動させ、粗化処理された硬化物を得た。すなわち、75℃で20分間粗化処理を行った。
粗化処理された絶縁層を、40℃の中和液(アトテックジャパン社製「リダクションセキュリガントP」、和光純薬工業社製「硫酸」)により10分間洗浄した後、純水でさらに洗浄した。このようにして、銅張積層板上に、粗化処理された絶縁層(硬化物)を形成した。
なお、絶縁層の粗化処理された表面の算術平均粗さRaは、100nmであった。
(6)無電解銅めっき工程
次に、絶縁層の粗化処理された表面上において、無電解銅めっきを以下の手順で行った。
絶縁層の表面を、55℃のアルカリクリーナ(アトテックジャパン社製「クリーナーセキュリガント902」)で5分間処理し、脱脂洗浄した。洗浄後、絶縁層を23℃のプリディップ液(アトテックジャパン社製「プリディップネオガントB」)で2分間処理した。その後、絶縁層を40℃のアクチベーター液(アトテックジャパン社製「アクチベーターネオガント834」)で5分間処理し、パラジウム触媒を付けた。次に、30℃の還元液(アトテックジャパン社製「リデューサーネオガントWA」)により、絶縁層を5分間処理した。
次に、上記絶縁層を化学銅液(アトテックジャパン社製「ベーシックプリントガントMSK−DK」、アトテックジャパン社製「カッパープリントガントMSK」、アトテックジャパン社製「スタビライザープリントガントMSK」、アトテックジャパン社製「リデューサーCu」)に入れ、無電解めっきをめっき厚さが0.5μm程度になるまで実施して、銅めっき層を形成した。
無電解めっき後に、残留している水素ガスを除去するため、120℃の温度で30分間アニールした。無電解めっきの工程までのすべての工程は、ビーカースケールで処理液を1Lとし、絶縁層を揺動させながら実施した。
(7)ドライフィルムレジストのラミネート工程
銅めっき層上に、支持体であるPETフィルム上のアルカリ溶解型DFR(日立化成社製「RY−3525」)を、ロールラミネーター(大成ラミネーター社製「VA−700SH」)を用いて、温度150℃、圧力0.4MPa及び速度1.5m/sの条件にてラミネートして、積層構造体を得た。
なお、用いたアルカリ溶解型DFRは、ラミネート温度150℃以下における最低溶融粘度は250Pa・sであった。
なお、実施例及び比較例におけるDFRの溶融粘度は、粘弾性測定装置(ティーエイ・インスルメントジャパン社製「AR200ex」)を用いて、昇温速度を5℃/分、測定温度間隔を2.5℃、振動を1Hz/degとした条件で測定された値である。
(8)露光及び現像工程
得られた積層構造体を用いて、UV露光機(オーク製作所社製「EXA−1201」)にて、L/S=5μm/5μm、7μm/7μm、10μm/10μm、15μm/15μm、20μm/20μm、30μm/30μmのパターンマスクを介して、照射条件100mJ/cmで、DFRにUV照射を行った。
その後、25℃にて60分間保持した後で、DFRの支持体であるPETフィルムを剥離した。DFRの表面に、1重量%の炭酸ナトリウム水溶液を30℃にて、スプレー圧1.0kg/cmで80秒間スプレーし、現像を行い、未露光部を除去した。その後、20℃で、スプレー圧1.0kg/cmにて80秒間水洗を行い、乾燥することでDFRによるネガパターンを形成した。
(9)電解銅めっき工程
DFRの配線形成された後、めっき厚さが25μmとなるまで、電解銅めっきを実施し、電解銅めっき層を形成した。電解銅めっきとして硫酸銅水溶液(和光純薬工業社製「硫酸銅五水和物」、和光純薬工業社製「硫酸」、アトテックジャパン社製「ベーシックレベラーカパラシド HL」、アトテックジャパン社製「補正剤カパラシド GS」)を用いて、0.6A/cmの電流を流した。
(10)DFR剥離及びクイックエッチング
40℃の苛性ソーダ水溶液中に、電解銅めっき後の積層構造体を浸漬することにより、銅めっき配線間に残っているDFRを剥離した。さらに、DFRの下部の絶縁層の表面において、微細粗化孔に残留する無電解めっきを、過酸化水素水−硫酸系のクイックエッチング液(JCU社製「SAC」)で除去した。
(11)本硬化工程
クイックエッチング後の積層構造体を、180℃のギヤオーブンで60分間加熱し、本硬化させることで、銅めっきのアンカー部を引き締めることにより密着力を向上させ、銅めっき微細配線を作製した。
(実施例2)
ビスフェノールA型ジシアネートのプレポリマー(ロンザジャパン社製「BA230S75」、固形分75重量%のMEK溶液)30重量部と、フェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン社製「PT30」)10重量部と、MEK10重量部とを攪拌混合して、配合物を得た。その配合物に、ナフトール型エポキシ樹脂(新日鐵住金化学社製「ESN−475V」、固形分65重量%のMEK溶液)40重量部と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC社製「850S」)8重量部と、ビスフェノールアセトフェノン骨格型フェノキシ樹脂(三菱化学社製「YX6954」)のMEK及びシクロヘキサノン混合溶液(固形分30重量%)20重量部と、硬化促進剤(四国化成社製「2E4MZ」)0.3重量部と、コバルト(II)アセチルアセトナート(東京化成社製)の1重量%N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液4重量部と、球状シリカフィラー(アドマテックス社製「アミノフェニルシラン処理されたSOC2」、平均粒子径0.5μm)62重量部とを添加し、混合し、攪拌機を用いて1200rpmで分散して、樹脂組成物のワニスを作製した。
得られた樹脂組成物のワニスを用いたこと以外は実施例1と同様にして、上記(2)〜(11)の各工程を実施した。
なお、絶縁層の粗化処理された表面の算術平均粗さRaは、80nmであった。
(実施例3)
ナフトールクレゾール型エポキシ樹脂(日本化薬社製「NC7300L」)11重量部と、MEK30重量部とを攪拌し、混合して、配合物を得た。その配合物に、ビフェニル型ノボラック樹脂(明和化成社製「MEH7851−4H」)17重量部と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC社製「850S」)4重量部と、ビスフェノールアセトフェノン骨格型フェノキシ樹脂(三菱化学社製「YX6954」)のMEK及びシクロヘキサノン混合溶液(固形分30重量%)8重量部と、硬化促進剤(四国化成社製「2E4MZ」)0.3重量部と、球状シリカフィラー(アドマテックス社製「アミノフェニルシラン処理されたSOC2」、平均粒子径0.5μm)40重量部とを添加し、混合し、攪拌機を用いて1200rpmで分散して、樹脂組成物のワニスを作製した。
得られた樹脂組成物のワニスを用いたこと、ドライフィルムレジストをニチゴーモートン社製「RD−1225」に変更し、ラミネート温度を125℃に変更し、ラミネート温度125℃以下における最低溶融粘度を110Pa・sに変更したこと以外は実施例1と同様にして、上記(2)〜(11)の各工程を実施した。
なお、絶縁層の粗化処理された表面の算術平均粗さRaは、140nmであった。
(比較例1)
ドライフィムレジストのラミネート温度を120℃に変更し、ラミネート温度120℃以下における最低溶融粘度を350Pa・sに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、上記(1)〜(11)の各工程を実施した。なお、絶縁層の粗化処理された表面の算術平均粗さRaは、100nmであった。
(比較例2)
ドライフィルムレジストをデュポンMRCドライフィルム社製「JSF125」に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、上記(1)〜(11)の各工程を実施した。なお、絶縁層の粗化処理された表面の算術平均粗さRaは、100nmであった。また、用いたDFRのラミネート温度150℃以下における最低溶融粘度は90Pa・sであった。
(比較例3)
上記(5)粗化処理工程において、80℃で30分間膨潤処理を行ったこと、並びに80℃で30分間粗化処理を行ったこと以外は実施例1と同様にして、上記(1)〜(11)の各工程を実施した。なお、絶縁層の粗化処理された表面の算術平均粗さRaは、200nmであった。
(比較例4)
ドライフィムレジストのラミネート温度を100℃に変更し、ラミネート温度100℃以下における最低溶融粘度を1800Pa・sに変更したこと以外は実施例1と同様にして、上記(1)〜(11)の各工程を実施した。なお、絶縁層の粗化処理された表面の算術平均粗さRaは、100nmであった。
なお、絶縁層の粗化処理された表面の算術平均粗さRaは、200nmであった。
(評価)
(1)誘電正接
離型PETフィルム(リンテック社製「5011」)上に、実施例及び比較例で用いた樹脂組成物のワニスを使用して厚み50μmの絶縁樹脂フィルムを形成し、該絶縁樹脂フィルムを所定の温度で硬化させた後、PETフィルムを剥離することにより、絶縁樹脂フィルムを得た。得られた絶縁樹脂フィルムを150mm×2mmの大きさに切断して、粗化処理前の絶縁層を用意した。空洞共振摂動法誘電率測定装置(関東電子応用開発社製「CP521」)、及びネットワークアナライザー(ヒューレットパッカード社製「8510C」)を用いて、空洞共振法により、25℃及び10GHzでの誘電正接を測定した。
(2)硬化物(絶縁層)の粗化処理された表面の算術平均粗さRa
非接触型表面粗さ計(ビーコインスツルメンツ社製WYKO NT1100)を用いて、VSIコンタクトモード、50倍レンズにより測定範囲を121μm×92μmとして、絶縁層の粗化処理された表面の算術平均粗さRaを測定した。なお、算術平均粗さRaは、無作為に選んだ測定箇所3点で測定し、測定値の平均値を採用した。
(3)DFRの密着性
実施例及び比較例において、絶縁層の表面全体に無電解銅めっきを行い、銅めっき層の表面上にDFRをラミネートした。フォトマスクを介さずDFRの全面をUV露光した後、DFRの支持体であるPETフィルムを剥離して、基板を得た。
30℃に保持された現像液(1重量%の炭酸ナトリウム水溶液)の入ったビーカーの中に、得られた基板を浸漬し、DFRが自然に剥離してくるまでの時間を測定することにより、DFRの密着性と剥離性との両立を評価した。DFRの密着性を下記の基準で判定した。
[DFRの密着性の判定基準]
総合判定×:自然剥離時間が0秒以上、30秒未満(剥離性はかなり良いが、密着性が悪い)
総合判定○:自然剥離時間が30秒以上、90秒未満(密着性及び剥離性の双方がかなり良い)
総合判定△:自然剥離時間が90秒以上、120秒未満(密着性がかなり良く、剥離性も良い)
総合判定×:自然剥離時間が120秒以上(密着性はかなり良いが、剥離性が悪い)
(4)ホール部の高低差及びDFRの追従性
φ200μmのホール部に充填された絶縁樹脂には、硬化時の収縮により、非充填部との間に高低差が形成される。この高低差を、接触式表面粗さ計(ミツトヨ社製「SJ−301」)にて測定した。この高低差による窪みが形成された部分において、DFRの追従性が悪い場合には、DFRとめっきとの間に空気が噛みこんで、ボイドが発生する。このボイドは、DFRの露光現像時に、パターン形成不良が引き起こす。
このボイド発生頻度を数えるために、DFRを貼り合せた後で光学顕微鏡(オリンパス社製「STM6」)にて基板面内の観察を行った。DFRの追従性を下記の基準で判定した。
[DFRの追従性の判定基準]
○:ボイドが全く発生しない
×:ボイドが一個以上発生している
(5)DFRの解像性の評価
DFRの露光現像工程後に形成されたDFRパターン(L/S=5μm/5μm、7μm/7μm、10μm/10μm、15μm/15μm、20μm/20μm、30μm/30μm)をSEM(JEOL社製「JSM−6700F」)で観察することにより、パターン形成性を確認した。DFRの解像性を下記の基準で判定した。
[DFRの解像性の判定基準]
○:全てのL/SでDFRパターン(厚み25μm)を形成できる
△:L/S=5μm/5μm、7μm/7μm、10μm/10μmではDFRパターンを形成できず、L/S=15μm/15μm以上でDFRパターンを形成できる
×:L/S=5μm/5μm、7μm/7μm、10μm/10μm、15μm/15μmでDFRパターンを形成できず、L/S=20μm/20μm以上でDFRパターンを形成できる
××:全てのL/SでDFRパターンを形成できない
(6)銅めっき微細配線の形成性
上記(10)DFR剥離及びクイックエッチングの工程後に、銅めっき配線をSEMで観察することにより、パターン形成性を評価した。銅めっき微細配線の形成性を下記の基準で判定した。
[銅めっき微細配線の形成性の判定基準]
○:全てのL/Sで厚み25μmの銅めっき層を形成できる
△:L/S=5μm/5μm、7μm/7μm、10μm/10μmでは厚み25μmの銅めっき層を形成できず、L/S=15μm/15μm以上で厚み25μmの銅めっき層を形成できる
×:L/S=5μm/5μm、7μm/7μm、10μm/10μm、15μm/15μmで厚み25μmの銅めっき層を形成できず、L/S=20μm/20μm以上で厚み25μmの銅めっき層を形成できる
××:全てのL/Sで厚み25μmの銅めっき層を形成できない
(7)伝送損失
実施例及び比較例の上記パターン形成と同様の方法で図3に示すストリップライン構造(シングルエンド)を有するテストピースを作製し、信号のライン伝送を評価した。この評価において、導体表面にはフラットボンド処理(メック社製)を行った。10GHzにおけるS21挿入損失パラメーターを測定することにより、伝送損失を評価した。
なお、下記の図3において、21はグランド層、22は絶縁層、23は信号層、24は絶縁層、25はグランド層である。また、H1は34μm、H2は34μm、tは15μm、W1は28μm、W2は30μmである。伝送ライン長に関しては、1inch(25.4mm)とした。
(8)銅めっきピール強度
実施例及び比較例において、配線を形成せずに、全面に電解銅めっきを施した積層構造体を準備した。銅めっきに10mm幅にカッターで切り込みを入れた。銅めっきの端部をめくり、90°剥離試験機(テスター産業社製「TE−3001」)を用いて、銅めっきを20mm剥離した。このときのピール強度を測定した。
結果を下記の表1に示す。
Figure 2014078677
1…積層構造体
2…絶縁層
2A…粗化処理された絶縁層
3…基板
4…銅めっき層(無電解銅めっき層)
5…ドライフィルムレジスト
11…多層基板
12…回路基板
12a…上面
13〜16…絶縁層
17…金属層(電解銅めっき層)

Claims (7)

  1. 絶縁層の表面を粗化処理して、表面の算術平均粗さRaが150nm未満である絶縁層を形成する工程と、
    無電解銅めっき処理を行って、前記絶縁層の粗化処理された表面上に、銅めっき層を形成する工程と、
    前記銅めっき層の表面上に、ドライフィルムレジストをラミネートする工程とを備え、
    前記ドライフィルムレジストのラミネート温度以下における最低溶融粘度を、100Pa・s以上、300Pa・s以下にする、積層構造体の製造方法。
  2. 前記ドライフィルムレジストのラミネートを、真空ラミネート又は加熱ロールラミネートで行う、請求項1に記載の積層構造体の製造方法。
  3. 前記粗化処理が、過マンガン酸系ウェットエッチングプロセスである、請求項1又は2に記載の積層構造体の製造方法。
  4. 粗化処理前の前記絶縁層の10GHzにおける誘電正接が0.010以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層構造体の製造方法。
  5. 前記絶縁層が、熱硬化性樹脂と、硬化剤と、無機充填剤とを含む熱硬化性樹脂材料を用いて形成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層構造体の製造方法。
  6. 前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂であり、
    前記硬化剤が、シアネートエステル化合物、活性エステル化合物、フェノール化合物又はナフトール化合物である、請求項5に記載の積層構造体の製造方法。
  7. 前記熱硬化性樹脂材料が硬化促進剤を含む、請求項5又は6に記載の積層構造体の製造方法。
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