JP2014074755A - 液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の開口部を有する電極を用いた液晶表示装置において、生産効率を低下させることなく電極の断線を防止する。
【解決手段】第1基板及び第2基板と、複数の第1開口部18を有する第1電極13と、複数の第2開口部19及び複数の第3開口部31を有する第2電極14と、第1基板と第2基板の間に配置された液晶層を含み、第1電極と第2電極とが重なる領域において表示部が画定されており、第1電極は表示部の輪郭の少なくとも一部に沿って形成された1つ以上のエッジ部分を有し、第2電極は第1電極のエッジ部分と交差して表示部よりも外側へ張り出した部分を有しており、エッジ近傍領域30には各第1開口部は配置されず各第2開口部は配置され、各第3開口部は、エッジ近傍領域において、複数の第1開口部のエッジ部分に近い短辺と当該エッジ部分との間に配置される。
【選択図】図2

Description

本発明は、複数の開口部が設けられた電極を用いる液晶表示装置に関する。
液晶表示装置の電圧印加時における視角特性を向上させるためには、液晶層の液晶分子の配向方向を1つの画素(表示部)内で複数の方向に分割するマルチドメイン配向を用いることが有効である。マルチドメイン配向を実現する方法として、例えば特許4107978号公報(特許文献1)には、電極形状の工夫により液晶層内で180°異なる2つの方向にそれぞれ斜め電界を発生させることにより、それぞれの電界方向に沿って液晶分子を配向させる斜め電界配向制御法が提案されている。具体的には、特許文献1の液晶表示装置(液晶表示素子)は、上下基板の上下電極にそれぞれ複数の開口部を設けておき、それらが平面視において交互に周期的に配置されるように電極が形成されている。これにより、各開口部のエッジ付近から斜め電界を発生させてこの斜め電界に沿って液晶層内の液晶分子の配向を制御することが可能となり、各開口部を境界にして配向方向が互いに180°異なるマルチドメイン配向が実現される。また、特開2009−122271号公報(特許文献2)には、各開口部の形状をさらに工夫することにより配向均一性を向上し、外観観察における表示品位をより向上させた液晶表示装置が開示されている。
ところで、一般的に液晶表示装置の製造時には、1組のマザーガラス基板で同時に複数の液晶表示装置を製造することが多い(いわゆる多面取り)。このため、マザーガラス基板の基板面内の位置により、電極をパターニングする際のエッチング精度などにバラツキを生じやすい。また、これに重ねて製造ロットの違いによるバラツキも発生する。このようなバラツキにより、例えばエッチング過多によって長手方向において隣り合う開口部同士が結合してしまい、電極の一部に断線を生じるという不具合が発生する。このような不具合は、エッチング薬液の選択や温度管理等によってエッチングレートを低速化することによりある程度解消し得る。しかし、エッチングレートを低速化することにより生産効率が低下するため、解決方法としてはあまり好ましくない。
特許4107978号公報 特開2009−122271号公報
本発明に係る具体的態様は、複数の開口部を有する電極を用いた液晶表示装置において、生産効率を低下させることなく電極の断線を防止することが可能な技術を提供することを目的の1つとする。
本発明に係る一態様の液晶表示装置は、(a)対向配置される第1基板及び第2基板と、(b)複数の第1開口部を有しており、第1基板に設けられた第1電極と、(c)複数の第2開口部及び複数の第3開口部を有しており、第2基板に設けられた第2電極と、(d)第1基板と第2基板の間に配置された液晶層を含み、(e)第1電極と第2電極とが重なる領域において表示部が画定されており、(f)複数の第1開口部と複数の第2開口部は、各々、第1方向に延在して配置されており、かつ表示部内において、第1方向と直交する第2方向に対して交互に配置されており、(g)第1電極は、表示部の輪郭の少なくとも一部に沿って形成された1つ以上のエッジ部分を有し、第2電極は、第1電極のエッジ部分と交差して表示部よりも外側へ張り出した部分を有しており、(h)複数の第1開口部は、エッジ部分から表示部の内側へ所定範囲に設定されるエッジ近傍領域には配置されず、複数の第2開口部は、エッジ近傍領域においても配置され、複数の第3開口部は、エッジ近傍領域において、複数の第1開口部のエッジ部分に近い短辺と当該エッジ部分との間に配置される、液晶表示装置である。
上記構成によれば、複数の開口部を有する電極を用いた液晶表示装置において、生産効率を低下させることなく電極の断線を防止することが可能になる。
上記の液晶表示装置において、エッジ部分は、例えば、複数の第1開口部の各々の長手方向と交差する位置に存在する。
エッジ部分が各第1開口部の長手方向と交差する位置に存在する場合には特に電極の断線が生じやすいが、それを防止することができる。
上記の液晶表示装置において、エッジ部分は、複数存在しており、そのうちの少なくとも1つに対してエッジ近傍領域が設定され、当該エッジ近傍領域には複数の第1開口部が配置されないことも好ましい。
それにより、少なくとも1つのエッジ部分において確実に導通がとられ、電極の断線を防止することができる。
上記の液晶表示装置において、複数の第1開口部と複数の第3開口部は、第1方向において隣り合う互いの一端を一致させて配置され、又は互いの一部が平面視において重なって配置されることも好ましい。
上記の液晶表示装置において、複数の第1開口部及び複数の第2開口部は、各々、第1方向に延びた長方形状の平面視形状を有することも好ましい。
図1は、第1実施形態の液晶表示装置の基本構造を示す断面図である。 図2(A)は、第1電極および第2電極とそれらに設けられる第1開口部および第2開口部の一例を示す平面図である。図2(B)は、第1電極および第2電極とそれらに設けられる第1開口部および第2開口部の他の一例を示す平面図である。図2(C)は、第1電極および第2電極とそれらに設けられる第1開口部および第2開口部の比較例を示す平面図である。 図3(A)は、上記した図2(A)または図2(B)に示した構造に相当する第2電極の構造を示す図であり、図3(B)は、上記した図2(A)または図2(B)に示した構造に相当する第1電極の構造を示す図である。図3(C)は、配向組織の計算結果を示す図である。 図4(A)は、上記した図2(C)に示した比較例の構造に相当する第2電極の構造を示す図であり、図4(B)は、上記した図2(C)に示した比較例の構造に相当する第1電極の構造を示す図である。図4(C)は、配向組織の計算結果を示す図である。 図5(A)は、第1開口部と第3開口部の端部同士が離れている場合における第2電極の構造を示す図である。図5(B)は配向組織の計算結果を示す図である。 図6(A)は、第1開口部と第3開口部の端部同士が重なる場合における第2電極の構造を示す図である。図6(B)は配向組織の計算結果を示す図である。 図7(A)は第1電極と第2電極を重ねて示した平面図であり、図7(B)は第1電極を示した平面図であり、図7(C)は第2電極を示した平面図である。ここでは、英文字「S」を表示するための電極構造の一例を示している。図7(D)は図7(A)に示したBX部の拡大図であり、図7(E)は図7(B)に示したBS部の拡大図であり、図7(F)は図7(C)に示したBC部の拡大図である。 図8(A)は第1電極と第2電極を重ねて示した平面図であり、図8(B)は第1電極を示した平面図であり、図8(C)は第2電極を示した平面図である。図8(D)は図8(A)に示したCX部の拡大図であり、図8(E)は図8(B)に示したCS部の拡大図であり、図8(F)は図8(C)に示したCC部の拡大図である。 図9(A)は第1電極と第2電極を重ねて示した平面図であり、図9(B)は第1電極を示した平面図であり、図9(C)は第2電極を示した平面図である。また、図9(D)は図9(A)に示したAX部の拡大図であり、図9(E)は図9(B)に示したAS部の拡大図であり、図9(F)は図9(C)に示したAC部の拡大図である。 図10(A)は一例の第1電極と第2電極を重ねて示した平面図であり、図10(B)は他の一例の第1電極と第2電極を重ねて示した平面図である。図10(C)は図10(A)に示したGG部の拡大図であり、図10(D)は図10(B)に示したHH部の拡大図である。 図11(A)は変形例の液晶表示装置における第1電極の構造を示し、図11(B)は変形例の液晶表示装置における第2電極の構造を示す平面図である。
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の液晶表示装置の基本構造を示す断面図である。この液晶表示装置は、対向配置された第1基板11および第2基板12と、第1基板11に設けられた第1電極13と、第2基板12に設けられた第2電極14と、第1基板11と第2基板12の間に配置された液晶層17、を基本構成として備える。
第1基板11および第2基板12は、それぞれ例えばガラス基板、プラスチック基板等の透明基板である。図示のように、第1基板11と第2基板12は、所定の間隙(例えば4μm程度)を設けて貼り合わされている。
第1電極13は、第1基板11の一面側に設けられている。同様に、第2電極14は、第2基板12の一面側に設けられている。第1電極13および第2電極14は、それぞれ例えばインジウム錫酸化物(ITO)などの透明導電膜を適宜パターニングすることによって構成されている。第1電極13には複数の第1開口部18が設けられており、第2電極14には複数の第2開口部19および複数の第3開口部(ここでは図示せず)が設けられている。各第1開口部18、各第2開口部19および各第3開口部の詳細構造については後述する。
第1配向膜15は、第1基板11の一面側に第1電極13を覆うようにして設けられている。第2配向膜16は、第2基板12の一面側に第2電極14を覆うようにして設けられている。これらの第1配向膜15、第2配向膜16としては、液晶層17の配向状態を垂直配向に規制する垂直配向膜が用いられている。各配向膜にはラビング処理等の一軸配向処理は施されていない。
液晶層17は、第1基板11と第2基板12の間に設けられている。本実施形態においては、誘電率異方性Δεが負の液晶材料を用いて液晶層17が構成される。液晶材料の屈折率異方性Δnは、例えば0.09程度である。液晶層17に図示された太線は、液晶層17における液晶分子の配向方向を模式的に示したものである。本実施形態の液晶層17は、電圧無印加時における液晶分子の配向方向が第1基板11および第2基板12の各基板面に対して垂直となる垂直配向に設定されている。
第1偏光板21は、第1基板11の外側に配置されている。同様に、第2偏光板22は、第2基板12の外側に配置されている。第1偏光板21と第2偏光板22は、各々の吸収軸が互いに略直交するように配置されている。また、各偏光板と各基板との間には適宜Cプレート等の光学補償板が配置されてもよい。例えば本実施形態では、第1基板11と第1偏光板21の間、第2基板12と第2偏光板22の間のそれぞれに光学補償板23、24が配置されている。
次に、第1電極および第2電極とそれらに設けられる各開口部の構造について詳細に説明する。始めに、一例としてそれぞれ一方向に延在したストライプ状に形成された複数の第1電極と複数の第2電極とが各々の延在方向を略直交させて配置されている場合について説明する。このような電極構造は、例えば単純マトリクス駆動によるドットマトリクス表示型の液晶表示装置において用いられる。
図2(A)は、第1電極および第2電極とそれらに設けられる第1開口部および第2開口部の一例を示す平面図である。ここで示す第1電極13と第2電極14は、第1電極13が図中の上下方向に延在するストライプ状に形成され、第2電極14が図中の左右方向に延在するストライプ状に形成され、両者が部分的に重なっている。図2(A)は、第2電極14の側から見た平面図である。図示のように、第1電極13と第2電極14とが交差して画定される矩形領域20が画素部(表示部)に相当する。
各第1開口部18は、図中の左右方向に延びた長方形状に形成されており、図中の上下方向および左右方向に沿ってマトリクス状に配列されている。詳細には、各第1開口部18は、左右方向に隣り合うもの同士が相互に所定距離だけ離間しており、それぞれの長手方向に沿って同一線上に並んで配置されている。また、各第1開口部18は、上下方向に隣り合うもの同士が相互に所定距離だけ離間しており、それぞれの短手方向に沿って同一線上に並んで配置されている。
同様に、各第2開口部19は、図中の左右方向に延びた長方形状に形成されており、図中の上下方向および左右方向に沿ってマトリクス状に配列されている。詳細には、各第2開口部19は、左右方向に隣り合うもの同士が相互に所定距離だけ離間しており、それぞれの長手方向に沿って同一線上に並んで配置されている。また、各第2開口部19は、上下方向に隣り合うもの同士が相互に所定距離だけ離間しており、それぞれの短手方向に沿って同一線上に並んで配置されている。また、各第1開口部18と各第2開口部19は、上下方向に沿って互いに重なることなく交互に配置されており、かつ各々の端部を上下方向においてほぼ揃えて配置されている。
ここで、第1電極13の左側エッジにより画定される矩形領域20の左側エッジからこの矩形領域20の内側へ所定距離までの領域として画定されるエッジ近傍領域30には、第1開口部18が配置されていない。これにより、第1電極13の左側エッジから一定距離には開口部が存在しないことになるので、第1電極13の断線を防止しやすくなる。一方で、第2開口部19はエッジ近傍領域30においても設けられている。これは、第2電極14の延在方向と各第2開口部19の長手方向が略同じであり、矩形領域20の左側エッジよりも外側へ第2電極14が張り出した電極構造となっているため、矩形領域20の左側エッジまで各第2開口部19を設けても第2電極14に断線が生じることがないからである。
さらに、第2電極14には、エッジ近傍領域30において第1開口部18が設けられていない領域を補完するようにして複数の第3開口部31が設けられている。各第3開口部31は、左右方向に延びた長方形状に形成されている。詳細には、各第3開口部31は、上下方向に隣り合う第2開口部19の列の相互間に配置された第1開口部18の列に沿って配置されており、各第1開口部18のエッジ部分に近い短辺とこのエッジ部分との間に配置される。図示の例では、各第3開口部31は、平面視において左右方向で隣り合う第1開口部18と相互の一端を重ね合わせて配置されている。なお、この場合に第3開口部31と第1開口部18の相互の一端側が部分的に重なっていてもよい。
図2(B)は、第1電極および第2電極とそれらに設けられる第1開口部および第2開口部の他の一例を示す平面図である。図示のように、矩形領域20の右側エッジにもエッジ近傍領域30を設けてもよい。この場合には、この矩形領域20の右側のエッジ近傍領域30にも第1開口部18は設けられないので第1電極13の断線を防止する効果がより高まる。また、この矩形領域20の右側のエッジ近傍領域30にも複数の第3開口部31が設けられる。
図2(C)は、第1電極および第2電極とそれらに設けられる第1開口部および第2開口部の比較例を示す平面図である。この比較例では、矩形領域20の左側および右側のそれぞれのエッジまで複数の第1開口部18が設けられているため、第1電極13の断線を生じやすくなる。例えば、長手方向において隣り合う第1開口部18同士を分離する分断部がエッチング不良により完全に消失した場合にはその部分を境界にして第1電極13の断線を生じる。
なお、ここでは例示していないが、矩形領域20の上下エッジにもさらにエッジ近傍領域を設けることができる。この場合には、矩形領域20から外側へ張り出すのは上下エッジに略直交方向へその延在方向を有する第1電極13であるので、矩形領域20の上下エッジから内側へ所定距離までの領域をエッジ近傍領域として設定する。そして、それらのエッジ近傍領域においては、第2電極14に第2開口部19を配置せず、第1電極13に第3開口部を配置すればよい。
次に、上記した電極構造を有する液晶表示装置における配向組織の違いを観察するためにシミュレーション解析を行った結果について説明する。本解析はシンテック製液晶表示機3次元解析シミュレーター LCD MASTER 3D バージョン7により行った。なお、シミュレーション解析の計算条件は次のとおりである(以下の実施形態においても同様)。観察領域は160×160μmの領域を40×40のメッシュ状に分割設定した。また、上側基板と下側基板の各表面はプレティルト角90°の垂直配向とし、液晶材料には誘電率異方性Δεが負で屈折率異方性Δnが略0.09であるネマティック液晶材料を想定した。そして、上側基板の電極に4V、下側基板の電極に0Vを印加し、液晶層の配向状態が定常状態に安定した後の配向組織を算出した。
図3(A)は、上記した図2(A)または図2(B)に示した構造に相当する第2電極の構造を示す図であり、図3(B)は、上記した図2(A)または図2(B)に示した構造に相当する第1電極の構造を示す図である。第1電極の第1開口部および第2電極の第2開口部は、それぞれの長手方向において隣り合うもの同士を分断する部分が存在しない構造とした。また、図3(B)に示すように第1電極には矩形領域の右側に略50μm幅のエッジ近傍領域を設定し、このエッジ近傍領域には第1開口部を配置しないようにした。第2電極にはこのエッジ近傍領域において2つの第3開口部が配置されている。なお、本例では図3(A)に示すように各第3開口部が第1電極により形成される右側エッジよりも外側にはみ出しているが、各第3開口部の一端を右側エッジにそろえても同じ効果を示す。なお、各第1開口部の長手方向長さは略80μm、各第2開口部の長手方向長さは略130μm、各第3開口部の長手方向長さは略60μm、それぞれの幅は略10μm、上下方向に隣接する第1開口部と第2開口部のエッジ間距離は略40μm、上下方向に隣接する第2開口部と第3開口部のエッジ間距離は略40μmに設定されている。
図3(C)は、配向組織の計算結果を示す図である。なお、表側偏光板(A)は各開口部の長手方向に対して時計回りに45°の方向に設定し、裏側偏光板(P)は各開口部の長手方向に対して反時計回りに45°の方向に設定した。図示のように、第2電極上の各第3開口部の短辺の端面間と第1電極の上側の第1開口部の短辺の間をつなぐように暗領域が形成されているとともに、第2電極の各第3開口部の短辺の間をつなぐように暗領域が形成されている。後述する比較例の配向組織に比べて暗領域が多く発生しているがそれらの太さは細くなっている。また、暗領域の発生パターンが規則的であり、外観観察においても表示均一性に寄与すると考えられる。
図4(A)は、上記した図2(C)に示した比較例の構造に相当する第2電極の構造を示す図であり、図4(B)は、上記した図2(C)に示した比較例の構造に相当する第1電極の構造を示す図である。本例では、第1電極のほうが画素部(表示部)のエッジと一致しており第2電極は画素部のエッジの直交方向に対して外側へ張り出した構造とした。各第1開口部と各第2開口部の長手方向長さはそれぞれ略70μm、それぞれの幅は略10μm、上下方向に隣接する第1開口部と第2開口部のエッジ間距離は略40μmに設定されている。
図4(C)は、配向組織の計算結果を示す図である。なお、各偏光板の配置は上記と同様である。図示のように、画素部の右側エッジ付近で第1開口部と第2開口部の端部をつなぐようにして、V字を横にしたようなパターンの複数の暗領域が周期的に発生することがわかった。これは、画素部の右側エッジ付近の斜め電界により各開口部の長手方向とは略直交する方向へ液晶分子が配向するため、これらの暗領域周辺では液晶分子が面内で連続的に回転して配向していることを示している。図示の配向組織ではV字の頂点は第1開口部と第2開口部の各長辺エッジの相互間の略中央で均等に観察されるが構造的にこれを固定する要素が存在しないため、実際の液晶表示装置ではギャップ材等の存在による配向の乱れが懸念される。
なお、上記した例では画素部に設定するエッジ近傍領域の幅を略50μmとしていたが、この幅は50μm以下とすることが好ましく、30μm以下とすることがさらに好ましい。
また、上記した実施形態では、第1開口部と第3開口部の各短辺が同じ位置に配置された場合を示していたが、端部同士が離れていてもよいし、各短辺から一定範囲で両者が重なっていてもよい。
図5(A)は、第1開口部と第3開口部の端部同士が離れている場合における第2電極の構造を示す図である。なお、第1電極の構造は上記した図3(B)に示すものであるとする。詳細には、図5(A)に示す第2電極では、各第3開口部の左側の短辺、すなわち画素部の右側エッジから遠い側の短辺の位置が図3(A)に示した例に比べて画素部の右側エッジ側へ略20μmずれた位置にあり、第1開口部の短辺とは同じ位置にない。すなわち、平面視において第1開口部と第3開口部とは端部同士が離れている。図5(B)は配向組織の計算結果を示す図である。図示の暗領域のパターンは上記した図3(C)に示したものとほぼ同等である。ただし、第1電極に配置された第1開口部の短辺エッジとその対向面にある第2電極の第3開口部の短辺の間をつなぐ暗領域の線が若干太くなる傾向が見られる。
図6(A)は、第1開口部と第3開口部の端部同士が重なる場合における第2電極の構造を示す図である。なお、第1電極の構造は上記した図3(B)に示すものであるとする。詳細には、図6(A)に示す第2電極では、各第3開口部の左側の短辺、すなわち画素部の右側エッジから遠い側の短辺の位置が図3(A)に示した例に比べて画素部の左側エッジ側へ略20μmずれた位置にあり、第1開口部の短辺とは同じ位置にない。すなわち、平面視において第1開口部と第3開口部とは端部同士が略20μmの長さ分だけ重なっている。図6(B)は配向組織の計算結果を示す図である。図示の暗領域のパターンは上記した図3(C)に示したものとほぼ同等である。ただし、第1電極に配置された第1開口部の短辺エッジとその対向面にある第2電極の第3開口部の短辺の間をつなぐ暗領域の線が若干太くなる傾向が見られる。
(第2実施形態)
次に、第1電極および第2電極とそれらに設けられる第1開口部および第2開口部の構造の一例として、いわゆるセグメント表示型の液晶表示装置に適した構造例を説明する。ここで、セグメント表示型の液晶表示装置とは、電極同士の重なり合う領域が表示したい文字や図案を形作るように構成され、基本的に予め定めた文字等のみを表示可能であり、概ね、有効表示領域内における面積比で50%以下程度の領域が文字等の表示に寄与するものをいう。なお、液晶表示装置は、複数の画素がマトリクス状に配列されたドットマトリクス表示型であってもよいし、セグメント表示型とドットマトリクス型が混合したものであってもよい。液晶表示装置の全体構成については第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
図7(A)は第1電極と第2電極を重ねて示した平面図であり、図7(B)は第1電極を示した平面図であり、図7(C)は第2電極を示した平面図である。ここでは、英文字「S」を表示するための電極構造の一例を示している。各図に示すように、第1電極13および第2電極14にはそれぞれ開口部が規則的かつ周期的に配置されており、かつ第1電極13と第2電極14の間で交互に配置される。各開口部の長手方向は図中の左右方向に一致している。図7(D)は図7(A)に示したBX部の拡大図であり、図7(E)は図7(B)に示したBS部の拡大図であり、図7(F)は図7(C)に示したBC部の拡大図である。図7(D)に示すように、第1電極13と第2電極14が重なる領域が表示部を構成しており、図示の部分(英文字「S」の右上部分)においては、表示部のエッジ上側付近以外では第1電極13よりも第2電極14のほうが表示部のエッジ外側へ張り出している。したがって、図7(D)および図7(E)に示すように、少なくとも表示部のエッジ付近にエッジ近傍領域を設定し、エッジから内側へ一定距離(例えば50μm幅)には第1電極13へ第1開口部18を配置せず、代わりに第2電極14に第3開口部31を配置している。逆に、図7(D)および図7(F)に示すように、表示部の上側エッジ付近では第2電極14よりも第1電極13のほうが表示部のエッジ外側へ張り出していることから、エッジから内側へ一定距離には第2電極14に第2開口部19を配置せず、代わりに第1電極13に第4開口部32を配置している。
ここで、英文字「S」を表示するための電極構造の他の一例についても説明する。図8(A)は第1電極と第2電極を重ねて示した平面図であり、図8(B)は第1電極を示した平面図であり、図8(C)は第2電極を示した平面図である。各図に示すように、第1電極13および第2電極14にはそれぞれ開口部が規則的かつ周期的に配置されており、かつ第1電極13と第2電極14の間で交互に配置される。各開口部の長手方向は図中の左右方向に一致している。図8(D)は図8(A)に示したCX部の拡大図であり、図8(E)は図8(B)に示したCS部の拡大図であり、図8(F)は図8(C)に示したCC部の拡大図である。図8(D)および図8(E)に示すように、本例では表示部の右側エッジ付近と左側エッジ付近の両方にエッジ近傍領域を設定し、エッジから内側へ一定距離(例えば50μm幅)には第1電極13へ第1開口部18を配置せず、代わりに第2電極14に第3開口部31を配置している。逆に、図8(D)および図8(F)に示すように、表示部の上側エッジ付近では第2電極14よりも第1電極13のほうが表示部のエッジ外側へ張り出していることから、エッジから内側へ一定距離には第2電極14に第2開口部19を配置せず、代わりに第1電極13に第4開口部32を配置している。
ここで、比較例の電極構造の他の一例についても説明する。図9(A)は第1電極と第2電極を重ねて示した平面図であり、図9(B)は第1電極を示した平面図であり、図9(C)は第2電極を示した平面図である。また、図9(D)は図9(A)に示したAX部の拡大図であり、図9(E)は図9(B)に示したAS部の拡大図であり、図9(F)は図9(C)に示したAC部の拡大図である。各図に示すように、第1電極13および第2電極14にはそれぞれ複数の第1開口部18および複数の第2開口部19が規則的かつ周期的に配置されているが、上記した実施形態のような第3開口部や第4開口部は設けられていない。図9(D)および図9(E)に示すように、各第1開口部18は、表示部のエッジにおいて終端しており、表示部内のみ配置されている。同様に、図9(D)および図9(F)に示すように、各第2開口部19は、表示部のエッジにおいて終端しており、表示部内のみ配置されている。各第1開口部18は、それぞれの長手方向が図中の左右方向に揃っているため、この方向において隣り合う開口部同士がエッチング不良により結合した場合には、第1電極13に断線箇所が生じ得る。
ここで、セグメント表示型の液晶表示装置における電極構造の他の一例として、英文字「T」を表示するための電極構造例について説明する。図10(A)は一例の第1電極と第2電極を重ねて示した平面図であり、図10(B)は他の一例の第1電極と第2電極を重ねて示した平面図である。図10(C)は図10(A)に示したGG部の拡大図であり、図10(D)は図10(B)に示したHH部の拡大図である。図10(A)および図10(C)に示すように、表示部のエッジより外側に張り出した第2電極14が存在する部分では、表示部のエッジより内側の一定距離にエッジ近傍領域が設定され、このエッジ近傍領域内においては第1電極13に第1開口部18が配置されず、対向する第2電極14に複数の第3開口部31が配置されている。この例では、第2電極14に設けられた各第2開口部19は、それらの長手方向において互いを分離する分断部分がなく、表示部の一方エッジから他方エッジまで繋がって形成されている。一方で、第1電極13に設けられた各第1開口部18は、それらの長手方向に分断部分が存在する。これに対して、図10(B)および図10(D)に示す例では、第1電極13に設けられた各第1開口部18もそれらの長手方向において互いを分離する分断部分がなく、表示部の一方エッジから他方エッジまで繋がって形成されている。いずれの電極構造においても第1電極13に断線が生じることはない。
(変形実施例)
なお、本発明は上述した実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々に変形して実施をすることが可能である。例えば、上記した各実施形態では液晶層内の液晶分子が電圧無印加時においてプレティルト角が90°の垂直配向である場合について示したが、他の配向状態であってもよい。例えば、電圧無印加時の液晶層の層厚方向における略中央の液晶分子の配向方向が各開口部の長手方向に対して略直交し、かつプレティルト角が略0°である水平配向の液晶層を有する液晶表示装置にも本発明を適用可能である。
また、上記した各実施形態においては液晶層内の液晶分子が電圧印加時において各開口部を境界に2方向に液晶分子を配向させる場合を示したが、液晶層が垂直配向である場合に限れば2方向以上の配向方向に制御することも可能である。この場合についてシミュレーション解析した結果を示しながら説明する。
図11(A)は変形例の液晶表示装置における第1電極の構造を示し、図11(B)は変形例の液晶表示装置における第2電極の構造を示す平面図である。図示のように、各電極上には2方向に屈曲し、左右方向に延在した開口部を配置されている。これにより液晶分子の配向方向を4方向に制御することができる。なお、それぞれの開口部の幅は略10μm、第1電極および第2電極上の各開口部同士の長辺エッジ間距離は略50μmに設定した。また、第1電極には画素エッジより内側に略30μmの範囲にエッジ近傍領域を設定し、ここには開口部を設けない構造とし、この部分の対向面である第2電極に開口部を設けた。なお、シミュレーション解析の条件については上記と同様である。図11(C)は配向組織の計算結果を示す図である。画素エッジ部分にのこぎり歯状の暗領域が生じるが、開口部のエッジにて暗領域(ディスクリネーション)が固定可能であり、外観上は均一に観察されることを示唆していると考える。なお、ここでは2方向に屈曲するV字状の開口部を用いたが、2方向以上に屈曲する形状の開口部(例えば、Y字状の開口部)を用いても同様な効果が得られる。
11:第1基板
12:第2基板
13:第1電極
14:第2電極
15:第1配向膜
16:第2配向膜
17:液晶層
18:第1開口部
19:第2開口部
21:第1偏光板
22:第2偏光板
23、24:光学補償板
30:エッジ近傍領域
31:第3開口部
32:第4開口部

Claims (5)

  1. 対向配置される第1基板及び第2基板と、
    複数の第1開口部を有しており、前記第1基板に設けられた第1電極と、
    複数の第2開口部及び複数の第3開口部を有しており、前記第2基板に設けられた第2電極と、
    前記第1基板と前記第2基板の間に配置された液晶層、
    を含み、
    前記第1電極と前記第2電極とが重なる領域において表示部が画定されており、
    前記複数の第1開口部と前記複数の第2開口部は、各々、第1方向に延在して配置されており、かつ前記表示部内において、前記第1方向と直交する第2方向に対して交互に配置されており、
    前記第1電極は、前記表示部の輪郭の少なくとも一部に沿って形成された1つ以上のエッジ部分を有し、前記第2電極は、前記第1電極の前記エッジ部分と交差して前記表示部よりも外側へ張り出した部分を有しており、
    前記複数の第1開口部は、前記エッジ部分から前記表示部の内側へ所定範囲に設定されるエッジ近傍領域には配置されず、前記複数の第2開口部は、前記エッジ近傍領域においても配置され、前記複数の第3開口部は、前記エッジ近傍領域において、前記複数の第1開口部の前記エッジ部分に近い短辺と当該エッジ部分との間に配置される、
    液晶表示装置。
  2. 前記エッジ部分は、前記複数の第1開口部の各々の長手方向と交差する位置に存在する、請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 前記エッジ部分は、複数存在しており、そのうちの少なくとも1つに対して前記エッジ近傍領域が設定され、当該エッジ近傍領域には前記複数の第1開口部が配置されない、請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
  4. 前記複数の第1開口部と前記複数の第3開口部は、前記第1方向において隣り合う互いの一端を一致させて配置され、又は互いの一部が平面視において重なって配置される、請求項1〜3の何れか1項に記載の液晶表示装置。
  5. 前記複数の第1開口部及び前記複数の第2開口部は、各々、前記第1方向に延びた長方形状の平面視形状を有する、請求項1〜4の何れか1項に記載の液晶表示装置。
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