JP2014073249A - 眼科用検査装置及びこれを用いた検査方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】予め設定された被検部位を正しく観察できているかどうかを検出可能な眼科用検査装置及びそのような検査方法を実現する。
【解決手段】 被検眼2の前眼部を観察する前眼部観察光学系を含む検査光学系と、検査光学系を回転移動させる光学系移動機構95と、被検眼2の前眼部画像を表示する表示部110と、被検眼2の被検部位の位置の指定を受け付ける位置指定部109と、被検部位の位置情報に基づいて、検査時に満たすべき被検眼2の視軸と前眼部観察光学系の光軸の間の角度を回転角として算定する回転角算定部111と、基準位置から前記回転角だけ検査光学系を回転移動した状態で表示部110上に表示されるべき前眼部画像上の特定箇所の理想表示位置を算定する理想表示位置算定部131を備え、表示部110は、前記回転角だけ検査光学系を回転移動した状態で、前眼部画像と前記理想表示位置に基づく情報の両者を同時に表示できる構成である。
【選択図】 図9

Description

本発明は、眼科用検査装置に関する。より詳細には、前眼部の検査に利用される眼科用検査装置に関する。また、本発明は、このような眼科用検査装置を用いた検査方法に関する。
眼科用検査装置の一例として、従来、角膜細胞を観察・撮影する装置が開発されている。この装置においては、観察・撮影光学系と被検眼の位置合わせ(XYZアライメント)が重要であり、例えば、装置に取り付けられた顔当て部に被検者の額や顎を接触させて、顔が動かないように支持した後、被検眼に対して撮影光学系や観察光学系の光軸の位置合わせが行われる。
観察対象部位を変えながら観察(検査)を行う場合、撮影光学系や観察光学系の光軸と被検眼の視軸(視方向)との間の角度を変更する処理が行われる。例えば、下記特許文献1及び2には、装置内に備えられた複数の固視灯の中から選択した所定の固視灯を点灯させ、この点灯した固視灯を被検者に固視するように指示するという処理を、点灯する固視灯を変更しながら繰り返し行うことで、光軸に対する視軸を変化させながら被検部位の観察を行う装置が開示されている。
しかし、上記特許文献1及び2に記載された装置によれば、複数個の固視灯の設置位置が固定されているので、予め定められた部位しか観察できず、被検部位を任意に変更することができない。また、被検部位を変更する都度、被検者は異なる固視灯に視線を移して固視する必要があるが、顔を正面に固定したままで視線を正面以外の方向に固定し続けるのは困難な場合もあり、検査中に被検者の視方向が変化するおそれがある。
そこで、下記特許文献3には、被検者の視方向を固定させたまま、光学系を移動させることで、被検眼の視軸に対する光学系の光軸の角度を変更し、被検部位を任意に変更することのできる装置が開示されている。
特開平7−088086号公報 特開平7−100111号公報 特開2009−291516号公報
特許文献3に開示された装置によれば、固定されたスタンドボックス内に固視灯が設置されており、被検者は常時この固視灯に視線を向けておくことで、視方向が固定化される。そして、光学系を上下左右前後方向に移動させ、或いは所定点を中心に回転移動させることで、光軸と視軸のなす角度が変化して被検部位を任意の位置に設定することができる。
しかし、この装置では、被検者が点灯された固視灯に視線を向け続けている場合には、視方向が固定化されるために正確に被検部位を観察することができるが、仮に撮影動作中に被検者が視方向を変化させてしまったとしても、そのことを操作者側(検者側)で認識することが困難である。このため、操作者は、得られた画像が指定された被検部位の画像であるかどうかの確信が持てない。
本発明は、上記の問題点を鑑み、予め設定された被検部位を正しく観察できているかどうかを検出可能な眼科用検査装置及びそのような検査方法を実現することを目的とする。
本発明は、被検者の被検眼を検査するための眼科用検査装置であって、
前記被検眼の前眼部を観察する前眼部観察光学系を含む検査光学系と、
前記検査光学系を回転移動させる光学系移動機構と、
前記前眼部観察光学系で観察された前記被検眼の前眼部画像を表示する表示部と、
前記被検眼の被検部位の位置の指定を受け付ける位置指定部と、
前記被検部位の位置情報に基づいて、前記被検部位の検査時に満たすべき前記被検眼の視軸と前記前眼部観察光学系の光軸の間の角度を回転角として算定する回転角算定部と、
基準位置から前記回転角だけ前記検査光学系を回転移動した状態で前記被検眼が前記前眼部観察光学系によって観察された場合に、前記表示部上に表示されるべき前記前眼部画像上の特定箇所の理想表示位置を算定する理想表示位置算定部を備え、
前記表示部は、前記回転角だけ前記検査光学系を回転移動した状態で、前記前眼部画像と前記理想表示位置に基づく情報の両者を同時に表示できることを特徴とする眼科用検査装置。
上記構成によれば、被検部位を検査すべく検査光学系を回転移動させた状態において、表示部には、前眼部観察光学系によって撮影された被検眼の前眼部画像と共に、表示部上に表示されるべき前眼部画像上の特定箇所の理想表示位置に基づく情報が表示される。これにより、操作者(検者)は、表示部を確認することで、この理想表示位置に基づく情報と、実際に撮影されている前眼部画像の態様とを比較することができる。そして、理想表示位置に基づく情報に比べて前眼部画像の態様(前記特定箇所の表示位置)が大きく異なっている場合、被検部位とは異なる部位が観察されていることが分かる。
ここで、上記構成に加えて、操作者の操作によって位置の変更が可能に構成された外部固視灯を備えるのが好適である。
この外部固視灯は、前記被験者の前記被検眼とは反対眼で固視可能な位置に配置され、前記反対眼で固視させたまま位置を移動させることで、前記表示部に表示されている前記前眼部画像上の前記特定箇所の表示位置を移動させることができる構成である。
なお、外部固視灯は、例えばフレキシブルチューブに連結させて、当該フレキシブルチューブを操作者が動かすことで、その位置を移動させる構成とすることができる。また、操作者がトグルスイッチを操作することで、電気的に外部固視灯の点灯位置を移動させる構成としても構わない。その他、操作者の操作によって、外部固視灯の点灯位置を移動させることができる構成であれば、どのような構成で実現しても構わない。
特に、上記の効果を顕著なものとするためには、前記外部固視灯を前記反対眼によって無限遠視できる構成とするのが好適である。
外部固視灯を反対眼で固視させた状態で、この外部固視灯をある方向に移動させると、反対眼の視方向が変化し、これに連れて被検眼の視方向も同方向に変化する。外部固視灯が被検眼に極めて近い位置に存在する場合、輻輳が生じて、被検眼の視方向を目標とする方向に移動させるのが難しいことがある。このため、外部固視灯ができるだけ遠くに存在するように反対眼に視覚的に感じさせて、被検眼と反対眼の双方の視方向をほぼ平行にさせる。この状態で、外部固視灯を移動させることで、外部固視灯を見ていない被検眼も、反対眼の視方向の移動に連れて、同じ方向に移動することとなる。
従って、操作者は、表示部に表示されている前眼部画像の態様と、理想表示位置に基づく情報を確認し、両者が大きく離れている場合には、前眼部画像の特定箇所を理想表示位置に近づけるような方向に外部固視灯を移動させればよい。そして、表示部上において両者が近い位置に存在しているとき、被験者の視方向が理想的な方向を向いており、指定された被検部位が正しく撮影される状況にあることを操作者は認識することができる。よって、この状況となった時点で、操作者は撮影動作等の検査処理を実行すればよい。
被験者によっては、視方向を固定することが困難な場合もある。本構成によれば、外部固視灯を操作者が動かして視方向を誘導することができるので、このような被験者に対しても、被検眼の被検部位を正しく撮影させることが可能となる。
上記構成において、前記特定箇所を瞳孔とし、前記表示部が前記理想表示位置に基づく情報として、当該理想表示位置を中心とする円又は楕円を表示するものとしても構わない。
これにより、操作者は、実際に表示されている前眼部画像上の瞳孔と、表示部に表示されている円又は楕円を比較して、両者の位置が大きく離れているかどうかの確認を容易にすることができる。そして、両者の位置が大きく離れている場合には、被検部位が正しく撮影されていないことが認識できる。
そして、外部固視灯を備える構成である場合には、実際の前眼部画像の瞳孔と、前理想表示位置に基づく情報として表示部上に表示されている円又は楕円とが同心状になるように、操作者が外部固視灯を移動させればよい。これにより、操作者は簡易な方法で被検眼の視方向を正しい向きに調整することが可能となる。
また、上記構成において、前記基準位置を、前記前眼部観察光学系の光軸を前記被検眼の視軸と同じ向きにして、前記前眼部画像上の所定表示位置にプルキンエ像が表示される、前記検査光学系の配置位置としても構わない。
この所定表示位置を、前眼部画像上の中央位置としても構わない。
そして、この場合において、
前記理想表示位置算定部は、前記基準位置における標準的な正面視状態の瞳孔位置に関する情報と前記回転角に関する情報に基づいて、前記検査光学系を前記基準位置から前記回転角だけ回転させ、前記所定表示位置にプルキンエ像が表示されるように設定した場合における、前記前眼部画像上の瞳孔位置を前記理想表示位置として算定する構成としても構わない。
被験者によっては、基準位置によって実際に被検眼を撮影した場合に、プルキンエ像の位置と瞳孔中心の位置にずれが生じることが考えられる。このずれを考慮する場合、一般的には左右眼対象の視軸と眼軸のずれを想定しておけばよい。このため、前記基準位置における標準的な正面視状態の瞳孔位置に基づいて算定された回転移動後の理想的な瞳孔位置と、実際に得られた前眼部画像上の瞳孔位置との比較によって、被検部位が正しく撮影されているかどうかを判断することが可能である。
もっとも、基準位置における標準的な正面視状態の瞳孔位置に関する情報に代えて、基準位置における前記被検眼の正面視状態の瞳孔位置に関する情報を採用しても構わない。これにより、視軸と眼軸のずれを含む被験者の被検眼特有の状態を考慮した、厳密な視方向の修正が可能となる。
また、上記の構成に加えて、前記表示部が、前記基準位置において前記前眼部観察光学系で前記被検眼の前眼部を観察したときに得られる前記前眼部画像と、前記基準位置における標準的な正面視状態の瞳孔位置に関する情報の両者を同時に表示できる構成であるものとしても構わない。
このような構成としたとき、正面視の前眼部画像を撮影する際においても、表示部に標準的な正面視状態の瞳孔位置を表示させておくことで、操作者は、被験者が正しく正面視できているかどうかの判断をすることができる。また、更に外部固視灯を備える構成とすることで、操作者は、外部固視灯を移動して反対眼の視方向を誘導させて、被験者の被検眼を正しく正面視させることができる。
本発明によれば、前眼部観察光学系によって撮影された被検眼の前眼部画像と共に、表示部上に表示されるべき前眼部画像上の特定箇所の理想表示位置に基づく情報が表示部に表示される。よって、操作者は、検査(撮影)前の時点で、この表示部の表示態様を確認することで、被検部位が正しく撮影される状態であるかどうかを容易に確認することができる。
本発明に係る眼科用検査装置の一実施形態を示す模式的側面図である。 前記眼科用検査装置の一実施形態を示す模式的正面図である。 前記眼科用検査装置の本体部のθy回転移動を模式的に示す側面図である。 前記本体部のθx回転移動を模式的に示す平面図である。 前記眼科用検査装置を被験者側から見たときの模式的斜視図である。 前記眼科用検査装置の一実施形態を示す模式的側面図である。 前記本体部に内蔵された光学系を説明するための光路図である。 被検眼の模式的正面図及び断面図である。 前記本体部の制御系の構成を示す概念的ブロック図である。 本体部の回転移動によるプルキンエ像の変化を説明するための概念図である。 前眼部画像と理想表示位置に基づく情報の両者が表示されている表示部を模式的に示す図である。 前記本体部の制御系の構成を示す別の概念的ブロック図である。 基準アライメント完了時における観察相対角を説明するための概念図である。
本発明に係る眼科用検査装置(以下、適宜「本装置」という。)の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の各図面において、実際の寸法比と図面上の寸法比は必ずしも一致するものではない。
[外観の構成]
図1及び図2は、本装置の一実施形態の外観を示す概念図であり、図1は側方から見たときの図面、図2は正面から見たときの図面である。
本装置1は、XYZ架台(三軸架台ともいう)3に搭載された本体部5を備え、この本体部5内に観察・撮影用の光学系部材が収納されている。本実施形態では、本装置1が角膜内皮細胞の撮影を行うための装置であるものとして説明する。
本体部5は、支持枠7に支持された状態でXYZ架台3に搭載されている。XYZ架台3は基台11を有し、この基台11上にX軸方向にスライド可能なXテーブル13が形成されている。そして、このXテーブル13上には、Z軸方向にスライド可能なZテーブル15が形成され、更にこのZテーブル15上にはY軸方向にスライド可能なYテーブル17が形成されている。なお、この各テーブルの配置方法は、図1の形態に限られるものではない。
図1に示すように、本実施形態では、被検者から見て左右方向を「X軸方向」、上下方向(鉛直方向)を「Y軸方向」、前後方向を「Z軸方向」と規定する。つまり、Xテーブル13は左右方向にスライド可能であり、Zテーブル15は前後方向にスライド可能であり、Yテーブル17は鉛直方向に昇降可能である。各軸方向の移動機構は、送りネジ方式等の公知の機構を採用することができる。
また、Z軸方向に関し、本装置1から見て被検者側を「前方」、その反対側を「後方」と記載する。
図1に示すように、本装置1は、被検者10が額当て部33に額を当て、更に顎乗せ台35に顎を乗せることで、被検者10の顔を固定した状態で利用される。本体部5内には後述する光学系(検査光学系)が備えられており、この光学系に含まれる発光素子からの放射光が照明レンズ43を介して被検眼2に照射される。そして、この光が、被検眼2の前眼部にて反射され、その反射光が撮影レンズ41を介して本体部5内の光学系に取り込まれて、後述する処理が行われる。なお、図1において、撮影レンズ41を含む撮影光学系の光軸を符号51として表し、照明レンズ43を含む照明光学系の光軸を符号53として表している。
額当て部33は、支持部材34に固定されている。この支持部材34は基台11
に固定されており、後述するように、フレキシブルチューブ32を介して外部固視灯36が取付けられる(図6参照)。
更に、図1には図示していないが本体部5内には前眼部2を撮影するための前眼部撮影レンズが備えられており、このレンズを介しても放射光が被検眼2に照射される。この前眼部撮影レンズについては図7を参照して後述される。
本実施形態では、支持枠7がU字フレーム形状を示す構造であり、本体部5をX軸の回りに回転可能に支持している。より具体的にいえば、本装置1は、支持枠7の前方(被検者10側)に設定された基準点31を中心とした公転動作が可能となっている。この基準点31は、後述する検査光学系の光学基準軸上に設定されており、Z軸もこの基準点31を通るように設定されている。
支持枠7の側面には、基準点31を中心とした円弧形状のガイド溝9が形成されている。また、本体部5から外方に突出した複数の案内部材19が備えられており、この案内部材19は、ガイド溝9の縁に接しながら移動することができる。そして、本体部5には、基準点31を中心とした円弧形状のラック21が形成されている。支持枠7にはY回転駆動部23が設けられており、このY回転駆動部23によって回転駆動されるピニオンギア25がラック21に咬合している。Y回転駆動部23からの制御によってピニオンギア25を回転駆動することにより、基準点31を左右方向に通過するX軸の回りに本体部5を回転移動させることができる。これにより、本体部5をY軸方向(鉛直方向)に振ることができる(θy回転移動)。
図3は、本体部5における上記X軸回りのY軸方向への回転移動(θy回転移動)を模式的に示した側面図である。本体部5の位置を区別するために、位置に応じて異なる符号を付している(5a,5b,5c)。太い実線で示された本体部5aは、被検眼2と同じ高さに位置している状態を表している。また、細い二点鎖線で示された本体部5bは、本体部5aよりも高い位置に移動した状態を表しており、同様に細い二点鎖線で示された本体部5cは、本体部5aよりも低い位置に移動した状態を表している。
再び図1に戻り、支持枠7は、更に基準点31を通過するY軸の回りにも回転可能に構成されている。具体的には、Yテーブル17に連結されて前方に延びた延長板部18にX回転駆動部27が設けられている。そして支持枠7の前部がX回転駆動部27の回転軸部28と連結されている。本体部5が移動して撮影状態のときに、この回転軸部28は基準点31を通過するY軸に共通化されている。この構成により、基準点31を上下(鉛直)方向に通過するY軸の回りに本体部5を回転移動させることができる。より具体的には、本体部5を、基準点31に向かうZ軸を中心振り分けとして水平面上を左右(X軸方向)に旋回移動させることができる(θx回転移動)。
図4は、本体部5における上記Y軸回りのX軸方向への回転移動(θx回転移動)を模式的に示した平面図である。図3と同様に、本体部5の位置を区別するために、位置に応じて異なる符号を付している(5d,5e,5f)。なお、図4では、位置関係を明瞭化するために、上から見た場合に被検者10や本体部5によって隠れる領域を有する、基台11,Xテーブル13,Zテーブル15についても意図的に図示している。なお、図4には、被検眼2とは逆の反対眼8によって固視されるための外部固視灯36を併せて図示しているが、この外部固視灯36についての説明は後述される。
図4において、太い実線で示された本体部5dは、被検眼2に向かう方向とZ軸が一致する状態を表している。また、細い二点鎖線で示された本体部5eは、本体部5dを基準にして被検者10から見て左側に振った状態を表しており、同様に細い二点鎖線で示された本体部5fは、本体部5dを基準にして被検者10から見て右側に振った状態を表している。
以上にて説明したように、本体部5のX軸回りのY軸方向への回転駆動はY回転駆動部23によって自動的に行われ、Y軸回りのX軸方向への回転駆動はX回転駆動部27によって自動的に行われる。
図5は、本装置1を被験者10側から見たときの模式的斜視図である。また、図6は、図1と同様に、本装置1を被験者10の側方から見た時の模式的正面図である。なお、図6では、説明の都合上、外部固視灯36に関連する箇所以外の図示を省略している。
上述したように、支持部材34は基台11に固定されており、この支持部材34に額当て部33が固定されている。なお、顎乗せ台35は支持部材34と連結されると共に、Y方向の高さ位置の調整が可能な態様で固定されている。
本実施形態では、支持部材34が逆U字形状を示しており、X方向に延伸する箇所に連結部材30を介してフレキシブルチューブ32が取付けられている。そして、このフレキシブルチューブ32の先端に外部固視灯36が取付けられている。
フレキシブルチューブ32は、一方の先端の位置を自在に調整することのできるチューブであり、その内部には電源供給用のケーブルが含まれている。この先端に外部固視灯36が取付けられることで、本装置1は、外部固視灯36の位置を操作者によって自在に動かすことができる構成である。図4及び図6に示すように、この外部固視灯36は、被験者の被検眼2ではなく、その反対眼8によって固視されるために設置されている。この外部固視灯36の役割については後述される。
[光学系の構成]
次に、図7を参照して本体部5に内蔵される光学系(検査光学系)の詳細な説明を行う。図7は、本体部5に内蔵された光学系の光路図である。なお、図7の構成は、あくまで一実施形態を示すものであり、この構成に限定されるものではない。例えば、後述するように、本体部5内の各光学系にはミラー69,71及び72が備えられているが、これらのミラーは本体部5の構成をできる限りコンパクトな構成とするために配置されたものであって、必ずしもこれらのミラーを備えることが必須要件というわけではない。
図7に示すように、本実施形態の本装置1は、本体部5内に撮影光学系52,照明光学系54,前眼部観察光学系56,アライメント指標投影光学系58を備えている。
図7によれば、照明光学系54の光軸53(以下、「照明光軸53」と略記)と、撮影光学系52の光軸51(以下、「撮影光軸51」と略記)とが交差しており、この交点が撮影光学系52の合焦点40に対応する(「合焦」についての説明は後述)。また、前眼部観察光学系56の光軸55(以下、「観察光軸55」と略記)が、照明光軸53と撮影光軸51のなす角を二分する位置となるように各光学系が配置されており、この観察光軸55が本体部5内の光学系の光学基準軸50に対応する。
撮影光学系52は、照明光学系54より放射された光が、被検眼2の角膜面4で反射された光を受光する光学系である。より具体的には、照明光軸53と撮影光軸51の交点、すなわち合焦点40を被検眼2の角膜面4上に一致させるとき、当該角膜面4で反射した光が撮影光学系52の光路を介して撮像装置62で受光される。従って、本装置1では、角膜面4での反射光を撮像装置62で受光すべく、XYZ架台3をZ方向に移動させることにより、合焦点40を被検眼2の被検部位に一致させる。この動作を「合焦」と呼ぶ。
合焦点40及び基準点31は、いずれも光学基準軸50上に位置するように設定されており、基準点31は、合焦点40よりもZ軸方向に関して前方に位置している。そして、この基準点31と合焦点40の間の距離は、一般的な角膜の曲率半径R(図8(b)参照)に対応させている。なお、図8は、被検眼を模式的に示した図面であり、(a)が正面図、(b)が断面図(A1−A2線断面)に対応している。
合焦点40を被検眼2の角膜面4に位置合わせしたとき、すなわち「合焦」がなされたとき、本装置1における基準点31が被検眼2の角膜の曲率中心20の位置に一致するように設定されている(図8(b)参照)。よって、基準点31を曲率中心20に一致させた状態の下で、本体部5(すなわち光学系)を、基準点31を中心にX軸回り或いはY軸回りに回転移動させた場合、合焦点40は、被検眼2の角膜面4に沿って円弧状に移動する。
再び図7に戻り、前眼部観察光学系56は、被検眼2の前眼部を観察するための撮像装置61(ここではテレビカメラとする。)を有する光学系である。前眼部観察光学系56は、被検眼2の角膜面4におけるアライメント指標光の反射像である輝点(プルキンエ像)を撮像装置61が受像することにより、前眼部の角膜頂点位置を検出することができるように構成されている。
アライメント指標投影光学系58は、前眼部観察光学系56の観察光軸55に沿って被検眼2にアライメント指標光を照射する光学系である。ここで、アライメント指標光とは、観察光軸55(これは光学基準軸50でもある)を被検眼2の角膜頂点に位置合わせするために用いられる光を指す。
以下、各光学系の構成の詳細について説明する。
照明光学系54は、角膜照明用光源としての高輝度LED素子63を有し、この高輝度LED素子63から放射された光が集光レンズ65を透過してスリット67を背後から照射する。このスリット光はミラー69で反射された後、照明レンズ43によって被検眼2の角膜面4に結像させられる。
本実施形態における撮影光学系52は、角膜内皮細胞を撮影するための撮像装置62(ここではテレビカメラとする。)を有している。図7に示されるように、本実施形態では、撮影光学系52で得られる像を受像する撮像装置62は、前眼部観察光学系56で得られる像を受像する撮像装置61とは別個の撮像装置である。
被検眼2の角膜面4において反射された照明光学系54からのスリット光は、撮影レンズ41を透過してミラー71で反射された後、スリット73の位置で結像される。そして、この結像された光が、リレーレンズ75を透過した後、ミラー72にて反射されて撮像装置62によって受光される。
アライメント指標投影光学系58は、アライメント指標光の光源としてのLED81を備えている。このLED81からの近赤外光は、ミラー87にて方向を変え、集光レンズ89によって平行光とされ、ハーフミラー91によって被検眼2の前眼部にその正面から照射される。アライメント指標光の被検眼2の角膜面4における反射像であるプルキンエ像は、ハーフミラー91,可視光カットフィルタ92及び前眼部撮影レンズ93を透過して撮像装置61に送られる。
この撮像装置61は、撮影光学系52及び照明光学系54の前部(被検者10側)に固定配置された前眼部照明用の赤外LED82からの照明によって照明された被検眼2の前眼部像も撮影している。撮像装置61で撮影された画像は、所定の表示処理が施された後、表示部110へと送られる(図9参照、なお図9についての説明は後述する。)。この表示部110は、例えばモニタにて構成されることができる。表示部110では、前眼部観察光学系56で撮影されている前眼部像が、LED81からの放射光の反射像たるプルキンエ像と共に表示される。このプルキンエ像が撮像装置61の表示画面の画面上の所定の位置(光学基準軸50に対応する位置)に達するように、XYZ架台3をXY方向に移動させることで、光学基準軸50を角膜頂点に一致させる。この動作を「アライメント動作」と呼ぶ。このアライメント動作は、撮像装置61上において、その中央位置にプルキンエ像が出現されるように自動的に行われるものとしてよい。
固視標投影光学系59は、被検者10に対して被検眼2に固視させるための指標光を発する基準固視灯83、及びこの基準固視灯83からの指標光をアライメント指標投影光学系58の光路に沿わせるためのコールドミラー85(可視光反射・赤外光透過ミラー)を備えている。コールドミラー85で反射された指標光は、ミラー87で光路が変更され、集光レンズ89によって平行光とされて被検眼2に投影される。従って、この基準固視灯83を固視する被検者10は、遠方視することとなる。この基準固視灯83は、後述する「基準位置」における被検者の被検眼2の状態を本装置1に認識させるために利用される。
撮影光学系52,照明光学系54,前眼部観察光学系56,アライメント指標投影光学系58,及び固視標投影光学系59を備えた本体部5は、前述のように、XYZの各軸方向に直線移動が可能であり、更に基準点31を中心としたX軸回りのY軸方向への回転移動(θy回転)、及びY軸回りのX軸方向への回転移動(θx回転)が可能である。つまり、光学基準軸50を、上下左右前後方向(XYZ方向)に直線移動させ、更に基準点31を中心として上下方向及び左右方向に傾斜させることが可能である。これらの動作の組み合わせにより、光学基準軸50を被検眼2の角膜面4上の任意の点における法線に一致させることができる。このことは、任意部位の角膜内皮細胞の撮影が可能になることを意味する。
なお、初期時においては、光学基準軸50が水平状態となるように本体部5が設定されているものとして構わない。
図7に示されるように、本実施形態では、撮影光軸51と照明光軸53とが同一鉛直面内に配置されている。このとき、撮影光学系52と照明光学系54が縦型(鉛直方向)に配置され、光学基準軸50もこれら両光軸51及び53と同一の鉛直面内に位置する。撮影光学系52は、照明光学系54よりも上方に配置され、両光軸51及び53共に、本体部5の幅方向(X軸方向)のほぼ中央に配置される。また、前眼部観察光学系56及びアライメント指標投影光学系58も、ほぼ両光軸51及び53と同一の鉛直面内に配置される。
このように光学系を配置することで、本体部5の横幅(X軸方向の幅)を小さくすることができ、コンパクトな構造が実現できる。また、本体部5の回転時において、支持部材34や顎乗せ台35、又は被検者10の頭部との干渉が避けられ、大きなθx回転角を確保することが可能になる。ただし、光学系のこのような配置は、あくまで一例であり、必ずしもこの構成に限られるものではない。
[制御系の構成及び動作]
次に、本体部5の制御を行うための制御系の構成及び動作について説明する。図9は、前記制御系の構成を示す概念的ブロック図である。なお、図9では、制御系の動作内容を明瞭化するために、図7に示した光学系についても併せて図示している。
制御系100は、撮影画像読み出し部101,前眼部画像読み出し部103,表示用処理部105,位置指定部109,回転角算定部111,初期位置設定部119,理想表示位置算定部131等を備えて構成される。また、図示しないが、必要な情報を格納するためのメモリや全体を制御するためのCPUを備えている。
図9に示した光学系移動機構95は、本体部5を移動させることで光学系の向きや位置を移動させるための機構群を指しており、図1に示すXYZ架台3(Xテーブル13,Yテーブル17,Zテーブル15)、Y回転駆動部23、及びX回転駆動部27を含めた概念である。
撮影画像読み出し部101は、撮影光学系52で得られた像、すなわち本実施形態であれば被検眼2の角膜内皮細胞を撮影するための撮像装置62で得られた画像の読み出し処理を行う。一方、前眼部画像読み出し部103は、前眼部観察光学系56で得られた像、すなわち被検眼2の前眼部画像を撮影するための撮像装置61で得られた画像の読み出し処理を行う。
以下では、撮像装置61で得られた画像を「前眼部画像」と呼び、撮像装置62で得られた画像を「撮影画像」と呼ぶ。
各画像読み出し部101及び103で得られた画像は、表示用処理部105において所定の表示処理が施された後、表示部110に送られる。なお、前述したように、表示部110は、例えばモニタにて構成される。
具体的には、アライメント動作が完了した後においては、前眼部画像読み出し部103によって被検眼の前眼部画像がプルキンエ像と共に読み出され、更に、合焦後においては、撮影画像読み出し部101によって被検部位における角膜内皮細胞の撮影画像が読み出される。本実施形態では、照明光学系54の光源として高輝度LED63を用いており、この高輝度LED63からの放射光が角膜面4にて反射された光を受光している間、撮像装置62では撮影画像が撮影され、その情報が撮影画像読み出し部101を介して表示部110へと送られる。
なお、表示部110では、撮影画像と前眼部画像を切り替えながら表示することができる構成としても構わないし、両者を並べて表示できる構成としても構わない。
また、後述するように、本実施形態における表示部110は、理想表示位置算定部131によって算定された理想表示位置に基づく情報を、前眼部画像に重ねて表示させることが可能な構成である。
以下では、制御系100の動作を説明するに当たり、本装置1を実際に利用する際のフローと共に説明する。
<ステップS1>
操作者は、まず本装置1に付属の電源(不図示)スイッチを操作して、電源を入れる。
<ステップS2>
制御系100は、電源ONを検出すると、制御プログラムが起動し、本体部5を初期位置に移動させるための制御を実行する。具体的には、初期位置設定部119が、内部に記録された初期位置に関する情報を光学系移動機構95に与え、光学系移動機構95が本体部5をXYZ方向に移動し、また必要に応じてθx回転やθy回転を行って、本体部5を初期位置に設定する。
ここで、初期位置の一例としては、被検者10が顎乗せ台35に顎を乗せ、額当て部33に額を当てた状態において、本体部5が被検者10のおよそ正面に位置すると共に、被検者から見てZ方向に最も離れた位置(後方の位置)とすることができる。なお、ここでいう「初期位置」は、後述の「基準位置」とは異なる概念である。
<ステップS3>
操作者は、被検者10に対し、本装置1の顎乗せ台35に顎を乗せ、額当て部33に額を当てるよう指示を行う。被検者10に応じて眼の高さは異なるため、この時点では必ずしも本体部5の光学系が被検眼2を捉えているとはいえない。また、仮に捉えていたとしても、アライメント動作が行われているわけではないので、撮像装置61によって被検眼2の前眼部が明瞭に撮影されているわけではない。
<ステップS4>
操作者は表示部110を見ながら、顎乗せ台35の高さ(Y軸方向)や、横方向(X軸方向)の顔の位置を調整し、表示部110に被検眼2の前眼部が表示されるように被検者10の顔と本体部5の位置関係をマニュアルで調整する(プレ設定)。ただし、本ステップにおいても、あくまでアライメント動作を行っているわけではないので、前眼部画像が表示部110に表示されるに留まり、プルキンエ像は確認できないか若しくは不鮮明である。
<ステップS5>
ステップS4において、被検眼2の前眼部が表示部110に表示されるようになった後、被検眼2の撮影準備ステップに入る。一例としては、基準固視灯83を点灯し、被検者10にこの基準固視灯83を固視するように指示を行う。図7を参照して説明したように、この基準固視灯83からの放射光は光学基準軸50と同じ向きに平行光として被検眼2に照射されるため、被検者10はほぼ正面を見続ければよい。これにより、被検者10の視方向がある程度固定される。
<ステップS6>
被検者10に対して基準固視灯83を固視させた状態で、操作者は本装置1に付属された撮影準備ボタン(不図示)を押す。これにより、本装置1の本体部5は自動的にアライメントされる。すなわち、被検眼2の前眼部画像のほぼ中央にプルキンエ像が表示されるように、光学系移動機構95(XYZ架台3)がXYZ方向に本体部5を移動させる。
より具体的には、まず表示部110においてプルキンエ像が検出されるまで、本体部5をZ方向に前進させる(被検者10側に近づける)。そして、プルキンエ像が検出された後は、このプルキンエ像を前眼部画像上の中心位置に最も近づけるように、本体部5をX及びY方向に移動させる。
前述したように、アライメント動作は、プルキンエ像を前眼部画像上の所定表示位置に設定することである。本実施形態では、この所定表示位置を「中心位置」としているが、この所定表示位置は適宜設定することが可能であり、必ずしも前眼部画像上の中心位置に設定しなければならないものではない。
本ステップで行われるアライメント動作は、本体部5を被検者10の正面に配置し、光学基準軸50を水平方向(Z方向)に向け、被検者10に正面を固視させた状態で行われるものである。以下、このような条件下で行われるアライメントを「基準アライメント」と呼ぶ。この基準アライメントが実行された後の本体部5の位置を「基準位置」と呼ぶ。
<ステップS7>
次に、操作者は、入力インタフェース102を操作して、任意の被検部位の位置を指定する。具体的には、表示部110上に表示された被検眼2の前眼部画像を見ながら、被検部位に相当する箇所にポインタを合わせ、マウスにてクリックするか、キーボードやタッチパネル等を操作することでその位置を確定する。図8(a)では、瞳孔中心76から上方(Y軸方向)に移動した箇所77を被検部位とした場合を示している。
<ステップS8>
操作者によって指定された被検部位に関する情報に基づいて、回転角算定部111は被検部位における法線方向を確定する。そして、この法線方向と光学基準軸50を一致させた場合に、被検者の視軸と光学基準軸50がなすべき角度を算定する。この角度が本体部5の回転角に相当する。
より詳細には、位置指定部109が、入力インタフェース102によって特定された被検部位77の座標に関する情報を認識し、それを回転角算定部111に出力する。回転角算定部111は、前眼部画像上における所定表示位置(本実施形態であれば中心位置)を基準としたときの被検部位77のX及びY軸方向の変位量を算定する。そして、この変位量と角膜の曲率半径Rに基づいて被検部位77における法線方向70を確定させる演算を行う。
図8(b)は、図8(a)の正面図を、Y軸方向に平行なA1−A2線で切断したときの断面図である。図8(b)によれば、図8(a)における被検部位77の下での法線70の方向は、被検眼の曲率中心20を通り、水平状態(Z軸に平行)の光学基準軸50に対して鉛直上方にθy2の角度をなす方向である。ただし、θy2=arcsin(D/R)である。図8(b)では、法線70の向きの理解のため、被検部位77における角膜接面77sを併せて示している。被検部位77における法線70は、当然に、被検部位77における角膜接面77sに直交する。図8(a)では、瞳孔中心からみてY方向にのみ変位した箇所を被検部位としたが、X方向にも変位している場合には、左右方向の角度θx2も併せて算定される。
なお、回転角算定部111は、メモリより角膜の曲率半径Rに関する情報を読み出して被検部位77における法線70の方向を算定するものとして構わない。そして、算定された角度に関する情報はメモリ内に記録される。
更に、理想表示位置算定部131は、回転角算定部111が算定した回転角に基づき、視方向が変化していなければ、表示部110に表示されるべき前眼部画像上の瞳孔中心76の位置を算定する。
図10(a)は本体部5の回転移動前、すなわち本体部5が基準位置に存在する時点における被検眼2の平面図及び前眼部画像に対応する。なお、図10(b)については後述する。
図10(a)に示すように、基準位置においてアライメントが完了した時点における標準的な前眼部画像は、プルキンエ像80が前眼部画像の中央に位置しており、この位置に瞳孔中心76が一致している。瞳孔78の外縁は、この瞳孔中心76を中心として所定の径を有するほぼ円形状を示している。本実施形態では、理想表示位置算定部131が、この図10(a)に示すような、基準位置における標準的な正面視状態の瞳孔位置に関する情報を記憶しているものとする。
そして、理想表示位置算定部131は、回転角算定部111が算定した回転角だけ光学系5が回転した場合において、アライメント処理が完了した状態における前眼部画像上に表示される瞳孔中心76の座標位置を、当該回転角(θx、θy)の情報より幾何学的に算定する。更にこのとき、θx、θyに応じて瞳孔78が楕円形状となるが、この楕円形状の長径及び短径についても、同時に幾何学的計算によって算定する。そして、この算定された瞳孔中心の位置及び径に基づいて、理想的な瞳孔位置を算定する。この理想的な瞳孔位置が「理想表示位置」に対応する。
理想表示位置算定部131は、この理想表示位置に関する情報を、表示用処理部105に出力する。表示用処理部105は、この情報に基づいて所定の表示用処理を行なって、表示部110に出力する。これにより、表示部110には、光学系5が回転角算定部111によって回転移動され、アライメント処理が完了した時点における、理想的な瞳孔78Dが表示される(図11参照)。なお、理想的な瞳孔中心76Dも併せて表示されるものとしても構わない。
更にこのとき、実際に撮影された前眼部画像上の被検眼2の瞳孔78と理想的な瞳孔78Dとが重なり合うことで操作者にとって視覚的に見づらくならないよう、理想表示位置に基づく情報の色を異ならせたり、理想的な瞳孔78Dの径の大きさを意図的に実際の瞳孔78と異ならせても構わない。
<ステップS9>
回転角算定部111は、ステップS8において算定した角度を、回転角に関する情報として光学系移動機構95に出力する。光学系移動機構95は、与えられた回転角(θx2,θy2)だけ基準点31を中心として本体部5(すなわち光学系)を回転移動させる(θx回転,θy回転)。
このとき、操作者は、基準固視灯83を消灯すると共に、被験者10に対して、反対眼8によって外部固視灯36を固視し続けるように指示する。上述したように、外部固視灯36は無限遠視が可能な構成であるため、反対眼8によって固視することで、反対眼8の視方向をZ軸方向に固定することができると共に、被検眼2との間の輻輳が生じない。すなわち、反対眼8の視方向をZ軸方向に固定させることにより、被検眼2の視方向も、光学系5の移動中においてもZ軸方向に固定させることが可能である。しかし、光学系5が目標の位置に移動した後に、被検眼2の視方向が移動してしまう場合もあり得る。更には、もともと被検眼2の視方向を固定することが困難な被験者においては、基準アライメント完了後から光学系5の移動完了までの間、または光学系5の移動完了後から撮影処理までの間に、被検眼2の視方向が移動してしまう場合はあり得る。また、被検眼2で基準固視灯83を固視していた状態から、反対眼8で外部固視灯36を固視していた状態になるときに、被検眼2の視方向が変化することが考えられる。
しかし、本装置1は、ステップS9において光学系5が移動した後においても、操作者によって被検眼2の視方向を正しい向きに調整することが可能な構成である。この視方向調整方法については、後のステップS10にて説明される。
ステップS9における光学系の回転移動が完了するまでの間に被検者の視方向が変化していなければ、回転移動後に光学系の光学基準軸50と法線70の向きが一致する。このとき、撮像装置61によって撮影された前眼部画像が映し出されている表示部110上には、プルキンエ像80が、光学基準軸50上において、ステップS7で指定された被検部位77の位置(例えば図8参照)に重なって出現する。この理由につき、以下説明する。
本ステップS9の回転移動によって、光学基準軸50は、被検部位77における法線70と平行な向きとなるため、平行光であるアライメント指標光は、法線70と同じ方向に向けて被検眼2に照射される。従って、被検眼2の表面(角膜表面)における当該アライメント指標光の反射像たるプルキンエ像は、再び光学基準軸50から撮像装置61へと送られる。つまり、表示部110上に表示されている前眼部画像は、被検眼2を法線70の方向(この時点における光学基準軸50の方向)から見た像である。
別の箇所が被検部位と設定された場合につき、図10を参照して説明する。図10(a)は本体部5の回転移動前、すなわち本体部5が基準位置に存在する時点における被検眼2の平面図及び前眼部画像に対応する。また、図10(b)は、図10(a)上で指定された被検位置77aを角膜頂点とするように本体部5を回転移動させた後における被検眼2の平面図及び前眼部画像に対応する。
図10では、前眼部画像の中心位置からX軸方向にX2だけ移動した位置77aが被検部位として特定された場合を示している(図10(a))。このとき、ステップS8において回転角(θx2)が算定され、ステップS9においてこのθx2だけ本体部5が回転移動する。この結果、プルキンエ像80が、光学基準軸50上において被検部位77aと重なるように前眼部画像60上に現れる(図10(b))。このとき、被検部位77aが角膜頂点に一致していると判定できる。ただし、これは上述したように、ステップS9の回転移動完了までに被検者の視方向が変化しなかった場合においてであり、もし視方向が変化していた場合には、被検部位77aとは異なる箇所のプルキンエ画像が前眼部画像60の中心位置に現れることとなる。このときは、被検部位77aとは異なる角膜頂点が光学基準軸50に一致している。
<ステップS10>
操作者は、表示部110に表示されている画面を見て、被検眼2の視方向が正しい方向を見ているかどうかの確認をする。具体的には、ステップS8にて表示された理想的な瞳孔78Dの位置と、実際に前眼部観察光学系56にて観察されている瞳孔78の位置のずれを確認する。このずれがある程度大きい場合には、操作者は、外部固視灯36を手動で動かすことで被検眼2の視方向を正しい向きに調節する。以下、この視方向調整につき、説明する。
図11は、前眼部観察光学系56で観察されている前眼部画像と理想表示位置に基づく情報の両者が表示されている表示部110を模式的に示したものである。表示部110上に実線にて示されている瞳孔78は、前眼部観察光学系56にて観察されたアライメント完了後の被検眼2の瞳孔を示している。なお、この瞳孔78の中心が瞳孔中心76である。アライメント完了後の被検眼2であるため、被検眼2のプルキンエ像80は、表示部110上の中央に位置している。
一方、表示部110上に破線にて示されている瞳孔78Dは、理想表示位置算定部131によって算定された理想的な瞳孔の外縁を示している。また、この中心の点76Dは、理想的な瞳孔78Dの瞳孔中心を表している。なお、図11では、説明のために、表示部110上に瞳孔中心76、76Dが表示されているものとして図示しているが、実際には瞳孔78、78Dのみが表示部110上に表示されているものとしても構わない。
図11では、理想的な瞳孔78Dを、実際に観察される被検眼2の瞳孔78よりも大きな径、すなわち標準的な瞳孔の径よりも大きな径で表示している。これは、前述したように、2つの円(楕円)が重なり合った場合においても、操作者に対して実際の瞳孔の外縁と理想表示用瞳孔の外縁の区別を容易にさせるためである。
図11(a)は、一例として、正面視における理想表示位置に基づく情報と前眼部画像を表示部110上に表示した状態を示している。実際の被検眼2の瞳孔中心76は瞳孔中心76Dよりも下方にあり、本来、被検眼2が正面視をしなければならないのに、被検眼2の視方向がやや下向きになっていることを表している。
図11(b)〜(d)は、被検部位77を撮影すべく光学系5を移動させた後の被検眼2の前眼部画像と理想表示位置に基づく情報とを表示部110上に表示した状態を示している。(b)〜(d)は光学系5の位置は同一である。
ステップS9によって光学系5を移動した後、例えば表示部110には図11(b)のような状態が表示されていたとする。図11(b)によれば、実際に観察されている瞳孔78の中心76が、理想的な瞳孔78Dの中心76Dよりも左に位置している。つまり、この図より、被検眼2が本来見るべき方向よりも少し右を向いていることを示している。
操作者は、図11(b)に示す表示部110を確認すると、被験者10に対して、引き続き反対眼8によって外部固視灯36を固視続けるように要求した上で、外部固視灯36を少しずつ左方向に移動させる。前述したように、外部固視灯36は反対眼8によって無限遠視できる構成であるため、外部固視灯36からの放射光は平行光である。これにより、外部固視灯36を少し移動させることで、この外部固視灯36を固視している反対眼8の視方向が少し移動し、これに連れて被検眼2の視方向も移動する。
操作者は、表示部110を確認し、被検眼2の瞳孔78の中心76の位置が、理想的な瞳孔78Dの中心76Dの位置にほぼ一致するまで、外部固視灯36を少しずつ動かすことで視方向の調整を行う。なお、表示部110において、瞳孔中心76、76Dが表示されていない場合には、瞳孔78の外縁が理想的な瞳孔78Dの外縁とほぼ同心状となるまで、外部固視灯36を少しずつ動かすことで視方向の調整を行う。そして、図11(d)のように、両瞳孔中心76及び76Dの位置がほぼ一致すると、又は、両瞳孔78及び78Dがほぼ同心状になると、操作者は、被験眼2の視方向が正しい向きに調整され、被検部位77が撮影される状態となっていることが分かる。
なお、図11(c)は、実際に観察されている瞳孔78が理想的な瞳孔78Dよりも右に位置している場合を示している。この場合、被検眼2は本来見るべき方向よりも少し左を向いており、操作者は外部固視灯36を少しずつ右方向に移動させることで、瞳孔中心76の位置を理想表示用瞳孔中心76Dに近づける調整を行えばよい。
<ステップS11>
ステップS10において、被験眼2の視方向の調整が完了すると、光学基準軸50を被検部位77における法線70と平行な方向に維持したまま、合焦を行い、合焦点40を被検部位77に一致させるように位置合わせを行う。このとき、一例としては、合焦点40を被検部位77に近づけるように、本体部5をZ軸方向に少し移動させ、その後、光学基準軸50を法線70の方向に一致させるべく本体部5をX軸方向或いはY軸方向に移動させるという制御を繰り返し行うものとすることができる。
<ステップS12>
合焦が完了すると、撮影光学系52によって得られる撮影画像(ここでは角膜内皮細胞画像)を撮影する。この画像は、撮像装置62を介して表示部110へと送られる。
<ステップS13>
ステップS12にて撮影が完了後、更に他の被検部位を撮影したい場合には、当該他の被検部位を指定するステップS7へと戻り、以後のステップを繰り返す。なお、1回目のステップS7の時点において、複数の被検部位を予め指定する構成である場合には、このステップS7で指定されていた他の被検部位に関する情報に基づいて、ステップS8〜S12を繰り返す。一方、他の被検部位が存在しない場合には、所定の終了処理へ移行する。
(別の制御構成)
次に、制御系100が行う別の制御方法につき説明する。
上記実施形態では、ステップS8において、理想表示位置算定部131は、図10(a)に示すような基準位置における標準的な正面視状態の瞳孔位置に関する情報に基づいて理想表示位置を算定するものとした。しかし、これに代えて、被検眼2の実際の正面視状態の瞳孔位置に関する情報に基づいて理想表示位置を算定するものとしても構わない。
図12は、上記方法で理想表示位置を算定する際の制御系100の内部構成を模式的に示すブロック図である。図12に示す制御系100は、図9に示す構成に加えて、更に観察相対角算定部113を備えている。
<ステップS6A>
ステップS6において基準アライメントが完了した後、観察相対角算定部113は光学基準軸50と被検眼2の眼軸(「眼軸」については後述する。)のなす角度の算定を行う。以下では、光学基準軸50と眼軸のなす角度のことを「観察相対角」という。この言葉を用いれば、本ステップS6Aでは、基準アライメント完了時における観察相対角が算定される。この内容につき詳細を説明する。
図13は、基準アライメント完了時における観察相対角についての説明をするための概念図である。基準アライメント完了時において、被検眼2は、正面に位置している本体部5の方向に視線を向けている。すなわち、視軸96の方向はZ軸方向であり、この方向は光学基準軸50の方向と一致している。しかし、眼球の前極と後極を結ぶ軸(眼軸)は、視軸の方向と必ずしも一致しない。瞳孔中心の位置は眼軸97によって規定される。一方、プルキンエ像の位置は光学基準軸50によって規定される。この結果、基準アライメント完了時においても、前眼部画像上における瞳孔中心とプルキンエ像の位置がずれることになる。
図13(a)は、眼軸と視軸の方向が所定角θx1だけX軸方向に振れている場合を図示したものである。一方(b)は、比較のために眼軸と視軸が共に同じ方向(Z軸方向)を向いている場合を図示したものである。いずれの図も被検眼2の視軸96の方向はZ軸方向であることを想定したものである。なお、図13(a)では、理解のために眼軸97が視軸96に対して極端にずれている場合を図示している。
既述のように、プルキンエ像80は、LED81から放射され、ハーフミラー91によって光学基準軸50と同じ向きにされたアライメント指標光(近赤外光)が、角膜面4において反射されることで得られる像である。基準アライメント完了時においては、この光学基準軸50と視軸96が同じ向きである。このため、図9(b)に示すように、仮に眼軸97が視軸96と同じ方向を向く被検眼2の場合には、アライメント指標光がZ軸方向に放射される角膜面上の点、すなわち角膜頂点84が眼軸97上に存在することとなり、この結果、前眼部画像60上において、瞳孔中心76の位置にプルキンエ像80が現れる。
しかし、眼軸97が視軸96に対してずれ角を有している場合、図13(a)に示すように、角膜頂点84は眼軸97上に存在しない。つまり、眼軸97上の点として規定される瞳孔中心76の位置と、光学基準軸50と同じZ軸方向を向いている視軸96上の点として規定されるプルキンエ像80の位置は当然にずれが生じる。図13(a)では、眼軸97が視軸96に対してX方向にθx1だけずれを有する場合を想定したため、前眼部画像60上において、瞳孔中心76はプルキンエ像80からX軸方向にdだけ離隔した位置に現れている。なお、図13において、符号64は回旋点を、符号78は瞳孔を、符号74は虹彩を夫々示している。回旋点64とは、眼軸97の向きを変える際に固定される点を指す。
なお、図13(a)のように、前眼部画像60上において瞳孔中心76の位置とプルキンエ像80の位置がずれるのは、上述のように眼軸96が視軸97に対してずれ角を有している理由の他、輻湊(両眼視状態)の発生、斜視の存在、或いは瞳孔が厳密な真円ではないこと等に由来する。
言い換えれば、基準アライメント完了時において、プルキンエ像80が瞳孔中心76の位置からがどの程度ずれているかという点は、個々の被検者10の当該被検眼2(右眼か左眼か)に特有の事情であるということが分かる。つまり、基準アライメントを行ったときのプルキンエ像80と瞳孔中心76の位置関係を把握しておくことで、この被検者10の被検眼2の特徴を認識することが可能となる。
以上説明したように、本ステップでは、基準アライメント完了時に得られるプルキンエ像80と瞳孔中心76との位置関係に基づいて、観察相対角算定部113が基準アライメント完了時における観察相対角を算定する。これにより、被検眼2固有の特徴を本装置1側で認識させることができる。
具体的には、観察相対角算定部113が、基準アライメント終了後に得られる前眼部画像を前眼部画像読み出し部103から読み出し、これによりプルキンエ像80と瞳孔中心76の相対位置関係を認識し、それに応じて観察相対角を算定する。
例えば、図13(a)の構成であれば、観察相対角はX軸方向にθx1と求められる。このθx1の値は、角膜の曲率半径R,プルキンエ像80と角膜頂点84の間の距離L,前眼部画像60上におけるプルキンエ像80と角膜中心76のX軸方向のずれ量dを用いて、θx1=arctan[d/(R−L)]として算定される。ここで、「d」の値は、前眼部画像60から読み取られる。また、RやLの値は、予めメモリに記録されており、観察相対角算定部113がメモリから必要な情報を読み出して演算処理を行うものとして構わない。Lの値としては、一般的な値(例えば3.8mm)を利用することができる他、L≒R/2として演算に用いても構わない。なお、一般的なRはR=7.7mmである。一方で、図13(b)の構成であれば、観察相対角が0と求められる。
本ステップS6Aで算定された、基準アライメント完了時における観察相対角に関する情報は、被検眼2に固有の情報として記録される。
なお、図9(a)では、基準アライメント完了時、すなわち視軸96をZ軸の方向に向けたときに、X軸方向にのみ眼軸97が振れている場合を説明したが、Y軸方向にのみ振れている場合もあり得るし、両方向に振れている場合も当然にあり得る。両方向に振れている場合には、X軸方向、Y軸方向双方における観察相対角(θx1,θy1)を算定する。
<ステップS7>
次に、上述したステップS7と同様に、操作者は、入力インタフェース102を操作して、任意の被検部位の位置を指定する。
<ステップS8>
上述したステップS8と同様、回転角算定部111は本体部5の回転角に相当する。
そして、理想表示位置算定部131は、回転角算定部111が算定した回転角(θx、θy)と、観察相対角算定部113が算定した観察相対角(θx1,θy1)に基づいて、視方向が変化していなければ、表示部110に表示されるべき前眼部画像上の瞳孔中心76の位置を算定する。
上述した実施形態では、理想表示位置算定部131は、正面視における前眼部画像が図10(a)を示すものとして理想表示位置を算定した。これに対し、この別形態では、図13(a)に示すように、予め被検眼2を撮影した実際の前眼部画像に関する情報に基づいて理想表示位置を算定する点が異なる。理想表示位置算定部131は、観察相対角算定部113によって算定された観察相対角に関する情報、つまり、実際の被検眼2の前眼部画像におけるプルキンエ像80と瞳孔中心76の位置関係に関する情報に基づいて、理想表示位置を算定する。
この方法によれば、被検眼2の正面視において、図13(a)のように、プルキンエ像76と瞳孔中心80の位置ずれが生じているような場合に、このずれを反映させた状態で理想表示位置を算定することができる。よって、上述した実施形態よりも精度の高い視方向調整が可能となる。
ただし、正面視状態でプルキンエ像76と瞳孔中心80に生じる位置ずれの程度は、基準アライメント状態から光学系5が移動して撮影動作に入るまでの間に被検眼2の視方向が変化することに起因した位置ずれの程度に比べてはるかに小さい。このため、上述した実施形態のように、標準的な正面視状態の瞳孔位置に関する情報に基づいて理想表示位置を算定し、これに基づいて前眼部画像の瞳孔位置を移動させる調整を行なうことで、被検部位を正しく撮影することは可能である。
[別実施形態の説明]
〈1〉 上記実施形態では、ステップS6における基準アライメント動作の完了後に観察される前眼部画像を表示部110で見ながら、ステップS7において操作者が入力インタフェース102を操作して被検部位の位置を指定する構成とした。しかし、被検部位の位置を指定する際には必ずしも被検者の前眼部画像が必要であるわけではない。
例えば、ダミーの前眼部画像(以下、「ダミー画像」と略記する。)を用意しておき、操作者が表示部110上に映し出されたダミー画像を見ながら、被検部位を入力インタフェース102で指定する。この指定は、本装置1の電源ON後、ステップS7までのどのタイミングで行っても構わない。
〈2〉 上記実施形態では、プルキンエ像76を表示部110の所定表示位置に設定した状態(アライメント完了状態)において、実際の被検眼2の瞳孔中心80と理想表示位置に基づく瞳孔中心80Dの相対的位置関係に基づいて被検眼2の視方向のずれの有無を検知したが、これ以外の検出方法を利用して視方向を検出する構成としても構わない。例えば、瞳孔中心に代えて、虹彩(黒目部)と強膜(白目部)の境界、或いは他のプルキンエ像(第4プルキンエ像等)を利用して、プルキンエ像(ここでは第1プルキンエ像に相当する)の位置を把握する構成としても構わない。
〈3〉 本実施形態では、本装置1を用いて撮影光学系52において被検眼の角膜内皮細胞の撮影を行う場合を想定して説明したが、本発明の技術は、被検眼上の被検部位を変更しながら検査を行う他の用途にも適用可能である。一例としては、トノメータに利用できる。トノメータとは、角膜表面に向け、瞬間的に細い空気流により加圧し、その動向から眼圧測定をする装置であり、被検部位に対して法線方向に加圧しなければ測定が不正確になるため、被検部位の法線方向を正確に認識することが必要である点において、本実施形態の角膜内皮細胞撮影と共通する。
別の例としては、スリットランプ等、前眼部を検査・観察・撮影する装置にも利用できる。本発明の方法を利用することで、装置と被検眼との位置関係が詳細に把握・記録できる。これにより、どの部分をどの方向から観察した結果であるかが認識できるため、観察場所の特定が可能となり、得られた像の歪みの補正が可能となる。
その他の例として、角膜光干渉断層計(OCT)にも本発明の技術を利用することが可能である。
〈4〉 上記の実施形態では、光学系が基準固視灯83を備える構成であるとして説明したが、必ずしも基準固視灯83を備えなくても構わない。この場合、基準アライメント時において反対眼8で外部固視灯36を固視させることにより、被検眼2を正面視させることができる。この場合、操作者は、表示部110上に表示された前眼部画像上の瞳孔78と標準的な正面視状態の瞳孔78Dの位置を比較し、ずれがある場合には瞳孔78を瞳孔78Dに近づけるように外部固視灯36を移動させることで被験者10を正しく正面視させることができる。
1: 本発明に係る眼科用検査装置
2: 被検眼
3: XYZ架台(三軸架台)
4: 角膜面
5: 本体部
5a,5b,5c,5d,5e,5f: 位置を区別した本体部
7: 支持枠
8: 反対眼
9: ガイド溝
10: 被検者
11: 基台
13: Xテーブル
15: Zテーブル
17: Yテーブル
18: 延長板部
19: 案内部材
20: 被検眼の角膜の曲率中心
21: ラック
23: Y回転駆動部
25: ピニオンギア
27: X回転駆動部
28: 回転軸部
30: 連結部材
31: 基準点
32: フレキシブルチューブ
33: 額当て部
34: 支持部材
35: 顎乗せ台
36: 外部固視灯
40: 合焦点
41: 撮影レンズ
43: 照明レンズ
50: 光学基準軸
51: 撮影光学系の光軸(撮影光軸)
52: 撮影光学系
53: 照明光学系の光軸(照明光軸)
54: 照明光学系
55: 前眼部観察光学系の光軸(観察光軸)
56: 前眼部観察光学系
58: アライメント指標投影光学系
59: 固視標投影光学系
60: 前眼部画像
61: 撮像装置
62: 撮像装置
63: 高輝度LED素子
64: 回旋点
65: 集光レンズ
67: スリット
69: ミラー
70: 法線
71: ミラー
72: ミラー
73: スリット
74: 虹彩
75: リレーレンズ
76: 瞳孔中心
76D: 理想的な瞳孔の中心
77: 被検部位
77s: 被検部位における角膜接面
78: 瞳孔
78D: 理想的な瞳孔
80: プルキンエ像
81: LED
82: 赤外LED
83: 基準固視灯
84: 角膜頂点
85: コールドミラー
87: ミラー
89: 集光レンズ
91: ハーフミラー
92: 可視光カットフィルタ
93: 前眼部撮影レンズ
95: 光学系移動機構
96: 視軸
97: 眼軸
100: 制御系
101: 撮影画像読み出し部
102: 入力インタフェース
103: 前眼部画像読み出し部
105: 表示用処理部
109: 位置指定部
110: 表示部
111: 回転角算定部
119: 初期位置設定部
120: 撮像装置
121: コールドミラー
131: 理想表示位置算定部
D: 被検部位と角膜頂点の間のXY平面上における距離
L: プルキンエ像の虚像と角膜頂点の間の距離
R: 角膜の曲率半径

Claims (8)

  1. 被検者の被検眼を検査するための眼科用検査装置であって、
    前記被検眼の前眼部を観察する前眼部観察光学系を含む検査光学系と、
    前記検査光学系を回転移動させる光学系移動機構と、
    前記前眼部観察光学系で観察された前記被検眼の前眼部画像を表示する表示部と、
    前記被検眼の被検部位の位置の指定を受け付ける位置指定部と、
    前記被検部位の位置情報に基づいて、前記被検部位の検査時に満たすべき前記被検眼の視軸と前記前眼部観察光学系の光軸の間の角度を回転角として算定する回転角算定部と、
    基準位置から前記回転角だけ前記検査光学系を回転移動した状態で前記被検眼が前記前眼部観察光学系によって観察された場合に、前記表示部上に表示されるべき前記前眼部画像上の特定箇所の理想表示位置を算定する理想表示位置算定部を備え、
    前記表示部は、前記回転角だけ前記検査光学系を回転移動した状態で、前記前眼部画像と前記理想表示位置に基づく情報の両者を同時に表示できることを特徴とする眼科用検査装置。
  2. 操作者の操作によって位置の変更が可能に構成された外部固視灯を備え、
    前記外部固視灯は、前記被験者の前記被検眼とは反対眼で固視可能な位置に配置され、前記反対眼で固視させたまま位置を移動させることで、前記表示部に表示されている前記前眼部画像上の前記特定箇所の表示位置を移動させることができることを特徴とする請求項1に記載の眼科用検査装置。
  3. 前記特定箇所は瞳孔であり、
    前記表示部は、前記理想表示位置に基づく情報として、当該理想表示位置を中心とする円又は楕円を表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の眼科用検査装置。
  4. 前記基準位置は、前記前眼部観察光学系の光軸を前記被検眼の視軸と同じ向きにして、前記前眼部画像上の所定表示位置にプルキンエ像が表示される、前記検査光学系の配置位置であり、
    前記理想表示位置算定部は、前記基準位置における標準的な正面視状態の瞳孔位置に関する情報と前記回転角に関する情報に基づいて、前記検査光学系を前記基準位置から前記回転角だけ回転させ、前記所定表示位置にプルキンエ像が表示されるように設定した場合における、前記前眼部画像上の瞳孔位置を前記理想表示位置として算定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の眼科用検査装置。
  5. 前記基準位置は、前記前眼部観察光学系の光軸を前記被検眼の視軸と同じ向きにして、前記前眼部画像上の所定表示位置にプルキンエ像が表示される、前記検査光学系の配置位置であり、
    前記理想表示位置算定部は、前記基準位置における前記被検眼の正面視状態の瞳孔位置に関する情報と前記回転角に関する情報に基づいて、前記検査光学系を前記基準位置から前記回転角だけ回転させ、前記所定表示位置にプルキンエ像が表示されるように設定した場合における、前記前眼部画像上の瞳孔位置を前記理想表示位置として算定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の眼科用検査装置。
  6. 前記表示部は、前記基準位置において前記前眼部観察光学系で前記被検眼の前眼部を観察したときに得られる前記前眼部画像と、前記基準位置における標準的な正面視状態の瞳孔位置に関する情報の両者を同時に表示できることを特徴とする請求項4に記載の眼科用検査装置。
  7. 請求項2に記載の眼科用検査装置を用いた検査方法であって、
    前記検査光学系を前記基準位置から前記回転角だけ回転移動させた後、前記被検眼の反対眼に前記外部固視灯を固視させた状態で、前記表示部上に表示されている前記前眼部画像上の前記特定箇所を前記理想表示位置に近づけるように、前記操作者が前記外部固視灯を操作することを特徴とする検査方法。
  8. 請求項6に記載の眼科用検査装置を用いた検査方法であって、
    前記検査光学系を前記基準位置に配置した後、前記被検眼の反対眼に前記外部固視灯を固視させた状態で、前記表示部上に表示されている前記前眼部画像上の瞳孔位置を、前記基準位置における標準的な正面視状態の瞳孔位置に近づけるように、前記操作者が前記外部固視灯を操作することを特徴とする検査方法。
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