JP2014073029A - 交流電動機の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】漏れインダクタンスでの電圧降下分を演算するための理想的な電流を遅れることなく算出することができる交流電動機の制御装置を提供する。
【解決手段】本発明は、記憶手段239に記憶された前回の制御周期で求めた第二の積分値と第四の積分値と、今回の制御周期で求めた第一の積分値と第三の積分値と第五の積分値と第六の積分値と、を加算して次回の制御周期の開始時点から終了時点までの交流電動機50に流れる電流の予測平均値(電流予測平均値iMp2,iTp2)を算出して電流制御手段100に入力する。
【選択図】図3

Description

本発明は、インバータで交流電動機を駆動する場合において、キャリア周波数とインバータの一次周波数が比較的近い場合に交流電動機を駆動する交流電動機の制御装置に関する。
近時、インバータを用いて交流電動機を可変速制御する電力変換装置が広く用いられている。この種のインバータには、高圧の半導体素子を用いるため、例えば、半導体スイッチのスイッチング周波数が1kHz程度に限られている電力変換装置(インバータ)や、一次周波数が比較的高い周波数となるインバータでは、インバータの出力交流電圧の一次周波数と、キャリア周波数とが近いことがある。例えば、キャリア周波数が一次周波数の10倍程度以下となると、低次の高調波電流が無視できなくなることがあるが、それでも電流制御や検出した電流に基づいて交流電動機の速度推定を行うことがある。このような場合、検出した高調波電流に電流制御や速度推定の調節器が反応してしまい、調節器の出力にリップルが重畳してしまうことがあった。
また、過去に検出された電流を平均化して用いると、制御器に入力する高調波は低減するものの、制御周期が比較的長いため、制御遅れを無視することができず、ゲインが上げられないなどの問題があった。そのような問題を解決するため、例えば、図9(A)に示すように、交流電動機に印加されているリップルの大きいd軸電流(図9(B)に示すように、交流電動機の磁極方向をd軸、このd軸と電気的に直交する方向をq軸、電圧指令値のベクトルの方向をT軸、このT軸と電気的に直交する方向をM軸とする)では、その予測値と、検出値とを時系列の1サンプル制御周期にわたって積算し、その平均値をPI制御に入力することで調節器が反応することを抑える技術が知られている(例えば、非特許文献1参照)。なお、本願出願人においても、このようなリップルを制御する技術を先に提案している(特許文献1参照)。
具体的には、図10に示すように、同期PWM領域においては、高調波の影響を避けるために、1制御周期(1制御区間)を8分割し、各分割区間での電流サンプリングを行って、平均電流を求めている。なお、図10において、区間kTは今回の制御区間(平均電流予測区間)、区間(k−1)Tは前回の割り込み区間、区間(k+1)Tは次回の割り込み区間である。この際、割り込み区間(k−1)Tでは、(k−1)T〜kTの平均電流を検出している。また、(k−1)Tで求めた三相の電圧指令値から、dq軸電圧ベクトルが印加される時間を求めることができる。また、kT〜(k+1)Tの予測電流の平均値が求まる。
この電流制御系では、電圧指令値や速度指令値に重畳されてしまうリップルを低減するために、kTの割り込みでは、(k−1)T〜kTの平均電流の代わりに、(k−1)T〜kTの平均電流と、kT〜(k+1)Tの予測電流の2つの平均値を用いて、電流制御系で(k+1)Tに適した電圧指令値を作成する。また、(k+1)Tでは、電流の高調波の周期性を考慮して、(k−1)T〜(k+1)Tまでの電流検出平均値を用いる。
「同期PWM領域での交流電動機の速度センサレス制御に適した制御系の構成の検討」(菊地寿江、能登泰之、美根宏則、松本 康/平成24年電気学会全国大会講演論文集4−134)
特願2012-041795号
ところが、一次周波数が上昇した場合には、交流電動機のインダクタンスに流れる電流によって作られる誘起電圧の大きさが増加する。この誘起電圧による漏れインダクタンスでの電圧降下をインバータ電圧によって補償できない場合は、電流制御系が共振的な応答を示し、問題となる。
すなわち、半導体スイッチのスイッチング周波数が1kHz程度とされているように、キャリア周波数が低いインバータにおいて、外乱となって重畳されてしまう。これにより、図9(A)に示すように、特に、d軸電流における電流指令値に対するリップルが大きく(例えば、1制御周期で50%以上変化する)なって、電流ベクトル(d軸電流とq軸電流の合成値)の位相が振れ易くなるといった悪影響を及ぼす虞があった。
しかしながら、上述した文献においては、このような悪影響を有効に抑制することまではし得ないという問題が生じていた。
そこで、本発明は、電流の高調波が外乱として電流制御系や速度推定系に悪影響を及ぼすことを回避しつつ、かつ一次周波数が上昇しても、インダクタンスに流れる電流によって作られる誘起電圧を補償することで電流制御系の安定化に貢献することができる交流電動機の制御装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の交流電動機の制御装置は、
電圧指令値に基づいて、直流を可変電圧可変周波数の三相交流を生成して交流電動機に供給する電力変換装置と、
前記直流の電圧値を検出する直流中間電圧検出手段と、
前記三相交流の電流値を検出する電流検出手段と、
前記電流検出手段で検出した前記三相交流の電流値から回転二軸(dq軸)における電流値を算出する三相二相座標変換手段と、
回転二軸における電流指令値を作成する電流指令値作成手段と、
当該電流指令値と前記電流検出値との差分に基づいて回転二軸における電圧指令値を生成する電流制御手段と、
当該回転二軸における電圧指令値から三相の前記電圧指令値を算出し、前記電力変換装置へ出力する第1の二相三相座標変換手段と、
を有する交流電動機の制御装置であって、
次回の制御周期の開始時点の電圧位相角と前記回転二軸における電圧指令値に基づいて三相各相の電圧パルスのオンオフ時間を算出する第2の二相三相座標変換手段と、
前記三相二相座標変換手段で算出した前記回転二軸における電流値と前記第2の二相三相座標変換手段で算出した各相の電圧パルスのオンオフ時間に基づいて、次回の制御周期の開始時点から終了時点までの前記交流電動機に流れる電流の予測平均値を算出する平均電流予測手段と、を備え
前記電流制御手段は、さらに前記予測平均値を用いて前記電圧指令値を生成することを特徴とする。
特に、前記平均電流予測手段は、
前記各相の電圧パルスのオンオフ時間に基づいて演算した1制御周期内で出力される、ゼロ電圧ベクトルでない2種類の電圧ベクトルのうち第一の電圧ベクトルによって前記交流電動機に流れる電流の前記第一の電圧ベクトルが出力されてから次回の制御周期の終了時点までの第一の積分値を算出する手段と、
前記第一の電圧ベクトルによって前記交流電動機に流れる電流の次回の制御周期の終了時点から次々回の制御周期の終了時点までの第二の積分値を算出する手段と、
前記2種類の電圧ベクトルのうち第二の電圧ベクトルによって前記交流電動機に流れる電流の第二の電圧ベクトルが出力されてから次回の制御周期の終了時点までの第三の積分値を算出する手段と、
前記第二の電圧ベクトルによって前記交流電動機に流れる電流の次回の制御周期の終了時点から次々回の制御周期の終了時点までの第四の積分値を算出する手段と、
前記第二の積分値と前記第四の積分値とを記憶する記憶手段と、
今回の制御周期におけるサンプリングで検出された電流値によって前記交流電動機に流れる電流の次回の制御周期開始時点から終了時点までの第五の積分値を算出する手段と、
今回の制御周期での誘起電圧によって前記交流電動機に流れる電流の次回の制御周期開始時点から終了時点までの第六の積分値を算出する手段と、
を備え、
前記記憶手段に記憶された前回の制御周期で求めた前記第二の積分値と前記第四の積分値と、今回の制御周期で求めた前記第一の積分値と前記第三の積分値と前記第五の積分値と前記第六の積分値とを加算して、次回の制御周期の開始時点から終了時点までの前記交流電動機に流れる電流の予測平均値を算出することを特徴とする。
キャリア周波数とインバータ周波数との比率が10倍以上となるインバータにあっては、電流に含まれるリップルが少ないために問題は発生し難いが、例えば、半導体のスイッチング周波数が1kHz程度に限られているインバータや、数kHzのインバータ周波数を必要とする極数の多い高速モータでは、キャリア周波数と一次周波数とが近くなって制御遅れの影響を無視することができなくなる。そこで、時系列における制御周期の現時点から次の周期までの電流の平均値を予測することは可能であったものの、次の周期の開始から終了までの期間には対応できないために、漏れインダクタンスでの電圧降下分を演算するための電流は理想的な電流よりも1サンプル遅れた平均値となっていた。
本発明の交流電動機の制御装置によれば、次の制御周期の開始から終了までの電流を連続的に積分した値から平均値を予測し、その予測した平均値により漏れインダクタンスでの電圧降下分を演算することで漏れインダクタンスでの電圧降下分を演算するための理想的な電流を遅れることなく算出することが可能となった。
また、本発明の交流電動機の制御装置は、前記第二の積分値及び第四の積分値を算出する手段は、第一の電圧ベクトルの出力及び第二の電圧ベクトルの出力が終了してから、次の制御周期が開始し、かつ、終了するまでの1周期の間で前記電圧ベクトルの影響により前記交流電動機に流れる電流の任意時刻電流の瞬時値を連続的に積分した結果に基づくことにより、次の周期での前回値として容易に利用することが可能となり、サンプリングができなかった際の対応を可能とすることができる。
さらに、本発明の交流電動機の制御装置は、次回の制御周期の開始時点から終了時点までの交流電動機に流れる電流の予測平均値を記憶する手段を備え、前記記憶手段により前回の制御周期で求めた電流の予測平均値により、電流補償信号を算出し、前記電流制御手段に入力することを特徴とする。これにより、リップルの悪影響を受け難くすることができる。
また、本発明の交流電動機の制御装置は、前記電流制御手段は、次回の制御周期の開始時点から終了時点までの前記交流電動機に流れる電流の予測平均値を用いて、前記交流電動機のインダクタンスでの電圧降下分を演算し、電圧指令値を作成することにより、制御遅れの影響を受け難くすることができる。
本発明は、キャリア周波数が低いインバータにおいても、電流の高調波が外乱として電流制御系や速度推定系に悪影響を及ぼすことを回避しつつ、かつ一次周波数が上昇しても、インダクタンスに流れる電流によって作られる誘起電圧を補償することで電流制御系の安定化に貢献することができる交流電動機の制御装置を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る交流電動機の制御装置の機能ブロック図である。 本発明の一実施形態に係る電流制御手段の内部構成の説明図である。 本発明の一実施形態に係る平均電流予測手段の内部構成の説明図である。 本発明の一実施形態に係る電流積算手段(1)の内部構成の説明図である。 本発明の一実施形態に係る電流積算手段(2)の内部構成の説明図である。 本発明の一実施形態に係るパルス幅演算手段におけるスイッチング時間と電圧ベクトルの期間幅との時間関係の説明図である。 本発明の一実施形態に係る電流積算手段(3−1)の内部構成の説明図である。 本発明の一実施形態に係る電流積算手段の積分対象区間の説明図である。 (A)はd軸電流波形と電流指令値との関係を示すグラフ図、(B)はdq軸とMT軸との関係を示す説明図である。 従来の交流電動機の制御例を示す説明図である。
以下、本発明の一実施形態に係る交流電動機の制御装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る交流電動機の制御装置の機能ブロック図である。詳細は後述するが、概略的にはこの図に示すように、交流電動機の制御装置は、直流電源10、インバータ(電力変換装置)20、直流中間電圧検出手段30、電流検出手段40、交流電動機(誘導機)50、キャリア信号発生手段60、電流指令値作成手段70、磁束推定手段80、すべり周波数作成手段90、電流制御手段100、二相三相座標変換手段110、電圧指令値補償手段111、二相三相座標変換手段(2)112、速度推定器120、積分器130、三相二相座標変換手段140、dq軸電圧軸座標変換手段150、電圧軸dq軸座標変換手段160、電流指令値補償手段170、検出電流平均化手段180、平均電流予測手段200、を備える。
図1の構成において、電流制御手段100は、基本的には電流指令値作成手段70から出力される回転二軸における電流指令値、すなわちq軸電流指令値iq *及びd軸電流指令値id *が、検出されたq軸電流iq及びd軸電流idと夫々一致するように電圧指令値vd *,vq *を調節して出力する。この電圧指令値vd *,vq *は、二相三相座標変換手段110によって三相インバータ電圧指令値に変換され、インバータ20に入力される。
インバータ20は、この電圧指令値とキャリア信号発生手段60から出力されたキャリア信号とによって、直流電源10から供給される直流電圧を可変電圧可変周波数の三相の交流電圧に変換して交流電動機50に供給する。
本発明の主たる特徴は、次の制御周期の開始時点から終了時点までの交流電動機50に流れる電流の予測平均値を算出する平均電流予測手段200と、この予測平均値を用いて電圧指令値を生成する電流制御手段100の機能にあるが、以下、本制御装置の概要を説明しながら、これらの機能については詳述する。
直流電源10は、線路を介してインバータ20に直流電圧を供給する。また、前記線路に取り付けられた直流中間電圧検出手段30は、後述する二相三相座標変換手段110、二相三相座標変換手段(2)112、および平均電流予測手段200に検出した直流電圧値を与える。なお、直流電源10は、例えば、商用交流電源からの交流電圧を直流電圧に変換したものであっても良い。
このインバータ20は、交流電動機50にPWM変調された三相の交流電圧を供給している。具体的には、インバータ20は、二相三相座標変換手段110から出力される電圧指令値(三相インバータ電圧指令値)を入力し、この電圧指令値に基づいてキャリア信号発生手段60から得られたキャリア信号との三角波比較を行い、直流電源10から供給される直流電圧をスイッチングすることでPWM変調された三相の交流電圧を交流電動機50に供給する。
また、インバータ20と交流電動機50との間の交流線路に取り付けられた電流検出手段40は、インバータ20から交流電動機50に流れる三相電流iu,iv,iwを検出し、この検出値を三相二相座標変換手段140へ出力する。
一方、積分器130は、速度推定器120の出力(速度推定値ωrest)とすべり周波数作成手段90の出力(すべり周波数ωse)との和である一次周波数ω1を積分して角度θを出力する。本実施の形態においては、制御周期の開始時点だけではなく、制御周期中においても逐次積分動作を行っている。
三相二相座標変換手段140は、前記積分器130から与えられた角度θを用いて、電流検出手段40で検出された三相電流iu,iv,iwをdq軸上の値(d軸電流idとq軸電流iq)へと変換する。なお、本実施の形態においては、制御周期の開始時点だけではなく、制御周期中においても逐次変換を行っている。
電流指令値作成手段70は、交流電動機50の使用に基づく所定のd軸電流指令値id *と、発生トルクの大きさに応じてq軸電流指令値iq *を作成し、電流制御手段100へ出力する。
d軸電流より交流電動機50のd軸磁束を推定する磁束推定手段80は、推定されたd軸磁束(以下、「推定d軸磁束」という。)Φdをすべり周波数作成手段90と電流制御手段100へ出力する。本実施の形態においては、電流指令値作成手段70から出力されたd軸電流指令値id *をd軸電流として用いる。
すべり周波数作成手段90は、前記磁束推定手段80から出力された推定d軸磁束Φdと前記電流指令値作成手段70から出力されたq軸電流指令値iq *とからすべり周波数ωseを演算する。なお、推定d軸磁束Φd及びすべり周波数ωseの作成方法とは、例えば、杉本英彦,小山正人,玉井伸三(著)「ACサーボシステムの理論と設計の実際」、総合電子出版社、1990、p.121、p.102などに記載されているため、その詳細な説明は省略する。
さて電流制御手段100は、図2に示すように、電流指令値補償手段170の出力(電流補償値id ')と、電流指令値iq *,id *及び検出電流iq,idと、電圧軸dq軸座標変換手段160の出力idp2,iqp2と、磁束推定手段80から出力された推定d軸磁束Φdと、を入力とし、電流の偏差をPI調節器を用いて制御することで電圧指令値vd *,vq *を調節する。なお、P制御に代入するd軸電流補償値をd軸検出電流の代わりに使用している。また、電流制御手段100は、電圧指令値のベクトルの間の角度を負荷角δとして出力する。この負荷角δは、dq軸電圧軸座標変換手段150と、電圧軸dq軸座標変換手段160と、に出力する。
本実施の形態においては、電圧軸dq軸座標変換手段160は、その出力idp2,idq2を、電流制御手段100に対する漏れインダクタンスでの電圧降下を補償するための非干渉項に入力する。
速度推定器120は、式1に示すように、電流制御手段100から出力された電圧指令値vd *,vq *と、三相二相座標変換手段140から出力されたq軸電流iqとを用い、また電流指令値補償手段170からの出力id 'をd軸電流として用いて速度推定値ωrestを推定する。
式1
ここで、Φqは推定q軸磁束、Φdは推定d軸磁束、Rsは一次抵抗、Rrは二次抵抗、Lsは一次インダクタンス、Lrは二次インダクタンス、σは漏れ係数、ω1は一次周波数、Kωeは速度推定器の制御応答を決めるゲイン、である。
二相三相座標変換手段110は、dq軸の電圧指令値vd *,vq *を固定座標系の三相の電圧指令値に変換する。また、二相三相座標変換手段110は、直流中間電圧検出手段30から入力された直流電圧の値を用いて三相の電圧指令値を除算して、インバータ20に与える三相インバータ電圧指令値に変換する。また、三相インバータ電圧指令値に現在の制御周期の時間を掛けることで、三相のパルスがスイッチングを行う時刻iu,iv,iwを算出している。
電圧指令値補償手段111は、前回の制御周期で出力された電圧指令値vd *,vq *と、今回の制御周期の割り込み時点で判明した検出値id(k),iq(k)と、を用いて電圧指令値vd *,vq *を補償した電圧補償値vd **,vq **を式2のように演算する。
式2
ただし、id(k)は今回の制御周期で制御に用いるd軸電流の検出値(電流値)、id(k−1)は前回の制御周期で制御に用いられたd軸電流の検出値、iq(k)は今回の制御周期で制御に用いるq軸電流の検出値(電流値)、iq(k−1)は前回の制御周期で制御に用いられたq軸電流の検出値、Kcd,Kcqは電圧補償値の制御ゲイン、である。
具体的には、電圧指令値補償手段111で演算される電圧補償値vd **,vq **の制御ゲインKcd,Kcqは、電圧指令値vd *,vq *を電流(検出値)で偏微分した値に基づいて定められる。例えば、本実施の形態の場合は、P制御及びI制御のゲインに時間を掛けた値に基づいて定められ、今回の制御周期で作成される電圧指令値vd *,vq *にほぼ一致する値となるように制御調整される。
二相三相座標変換手段(2)112は、二相三相座標変換手段110とほぼ同様な動作を行っているが、積分器から与えられる角度から式3に示す演算を行って次の制御周期で用いられる角度θ1を算出している。
式3
ただし、ω1は一次周波数、Tは制御周期、θ0は現在の制御周期で座標変換に用いられている角度、である。二相三相座標変換手段(2)112は、このθ1と、電圧指令値補償手段111が出力した電圧補償値vd **,vq **と、を用いて座標変換を行う。そして、三相のパルスがスイッチングを行う時刻(三相パルススイッチング時間tu,tv,tw)を算出している。
dq軸電圧軸座標変換手段150は、電流制御手段100が出力している負荷角δを入力とし、dq軸電流id,iqを、電圧指令値vd *,vq *のベクトルの方向をT軸、それと直交する方向をM軸とするMT軸へ変換する回転座標変換を行い、MT軸電流iM,iTを出力する。
具体的には、dq軸電圧軸座標変換手段150は、式4の回転座標変換を用いている。
式4
検出電流平均化手段180は、キャリア周期の開始から終了までの間、複数回検出を行い、キャリア周期の開始〜終了までの検出電流の平均値を演算する。具体的には、検出電流平均化手段180は、三相二相座標変換手段140から出力されたd軸電流idと、キャリア信号発生手段60が生成するキャリア信号(図1では接続関係を省略)と、図示を略するタイマーからのカウント値と、により、キャリア周期の開始から終了までの期間における座標変換後のd軸電流idの変化から、所定のカウント値毎に複数回の検出を行い、キャリア周期の開始〜終了までの積算値を求める。このような動作をするため、タイマーはキャリア周期に比べて十分に短い周期の信号とする。d軸電流idは高調波を含んでいるため、周期は4倍以上に設定する。そして、検出電流平均化手段180は、キャリア信号の開始点でないときには、タイマーからの信号を受けると、新しいd軸電流idを、これまで積算した値に加算し、キャリア信号の開始点(終了点)となった時点では、これまで積算された信号を積算回数で除算して平均値を求め、平均d軸電流(1)idave1と、平均d軸電流(2)idave2として、電流指令値補償手段170に出力する。
平均電流予測手段200は、図3に示すように、パラメータ行列演算手段(1)201、パラメータ行列演算手段(2)202、MT軸誘起電圧演算手段203、図8(C)に示す第五の積分値を算出する電流積算手段(1)210、図8(D)に示す第六の積分値を算出する電流積算手段(2)220、図8(A)の下段に示す第一の積分値及び第二の積分値を算出する電流積算手段(3−1)230、図8(B)の下段に示す第三の積分値及び第四の積分値を算出する電流積算手段(3−2)240、パルス幅演算手段204、各電流積算手段210,220,230,240からの出力値を加算して次の制御周期の開始時点から終了時点までの交流電動機50に流れる電流の電流予測平均値iMp2,iTp2を求める加算手段250、記憶手段260、を備えている。なお、図8については後述する。
パラメータ行列演算手段(1)201は、式5に示すように、交流電動機のパラメータ行列Aを演算している。パラメータ行列演算手段(2)202は、式6に示すように、制御周期Tと制御周期2周期分2Tに対するパラメータ行列Aの行列指数関数を演算している。
式5
式6
電流積算手段(1)210は、図4に示すように、初期値演算手段211、電流積算手段213、記憶手段212、スイッチ214、を備える。
始めに、電流積算手段(1)210が動作を始めた1回目の制御周期での動作を説明する。初期値演算手段211は、式7に示す演算を行い、電流積算値の初期値iMavei0,iTavei0を求める。
式7
ただし、iMはキャリア信号の山谷のピークの時点でサンプリングされたM軸電流、iTはキャリア信号の山谷のピークの時点でサンプリングされたT軸電流、iMavei0はiMの影響で発生する電流予測値の初期値、iTavei0はiTの影響で発生する電流予測値の初期値、である。
初期値演算手段211から出力された初期値iMavei0,iTavei0は、記憶手段212に保存される。また、スイッチ214によって、初回の平均電流iMaveis,iTaveisとして出力される。
次に、初回以降の動作について述べる。電流積算手段213は、式8に示す演算を行って、現制御周期の始まりから2制御周期分先までiM,iTの影響で発生する電流予測値の平均値iMaveik,iTaveikを求める。
式8
ただし、Iは2行2列の単位行列であるとする。
次に、記憶手段212に保存されている平均電流iMaveis,iTaveisの前回値をiMaveik-1,iTaveik-1と呼ぶことにする。新たに算出されたiMaveik,iTaveikと、iMaveik-1,iTaveik-1の差分を演算し、スイッチ214ではこの演算結果を出力している。従って平均電流iMaveis,iTaveisは式9のように演算される。
式9
式8は、現制御周期の始まりから2制御周期分先まで積分を行った値であり、記憶手段212に保存されている値は、現制御周期から1制御周期分まで積分を行った値である。初回の時のみ、式7を演算することで、次回以降は、式8と式9の計算で次の制御周期におけるiM,iTの影響で発生する電流予測値の平均値を演算している。なお、記憶手段212を用いなくても初期値演算手段211の単体でも同様に平均電流iMaveis,iTaveisを演算することができるが、この場合には演算量が増えるため、一旦記憶手段212に記憶するのが好ましい。
次に、MT軸誘起電圧演算手段203は、一次周波数と推定d軸磁束Φdと負荷角δを入力とし、誘起電圧を式10のように演算し、電流積算手段(2)220へ入力している。
式10
次に、電流積算手段(2)220の説明を行う。電流積算手段(2)220の構成図を図5に示す。初期値演算手段221、記憶手段222、電流積算手段223、スイッチ224、を備える。
始めに、電流積算手段(2)220が動作を始めた1回目の制御周期での動作を説明する。初期値演算手段221は、式11に示す演算を行い、電流積算値の初期値iMaveφ0,iTaveφ0を求める。
式11
ただし、iMaveφ0はeMの影響で発生する電流の平均値の予測値の初期値、iTaveφ0はeTの影響で発生する電流の平均値の予測値の初期値、である。
初期値演算手段によって格納されたiMaveφ0,iTaveφ0は、記憶手段222に保存される。また、スイッチ224によって、選択され、初回のiMaveφ,iTaveφとして出力される。
次に、初回以降の動作について述べる。電流積算手段223は、式12に示す演算を行って、現制御周期の始まりから2制御周期分先までの予測積算値を求める。eM,eTの影響で発生する電流予測値の平均値を演算する。
式12
次に、記憶手段222に保存されているiMaveφ,iTaveφの前回値をiMaveφk-1,iTaveφk-1と呼ぶことにする。新たに算出されたiMaveφ,iTaveφとiMaveφk-1,iTaveφk-1との差分を演算し、スイッチ224ではこの演算結果を出力している。従ってiMaveφ,iTaveφは式13のように演算される。
式13
電流積算手段(2)220は、電流積算手段(1)210と同様に初回のみ、初期値演算手段で演算を行い、初回以降は、式12と式13の演算を行うことで電流の平均値を予測している。やはり電流積算手段(1)210と同様に、初期値演算手段単体で同様な機能が実現できるが、演算量は増える。
次に、パルス幅演算手段204について説明する。パルス幅演算手段204は、二相三相座標変換手段(2)112の出力の、三相のパルス電圧がスイッチングする時間tu,tv,twから制御周期内に出力される2種類の電圧ベクトルのそれぞれの幅と、電圧ベクトルの出力終了時点から制御周期の終了時点までの時間を算出している。
三相のパルスのうち1相だけがパルスONされている期間を第一の電圧ベクトルが出力されている期間とし、2相がパルスONとなっている期間を第二の電圧ベクトルが出力されている期間とする。
パルス幅演算手段204は、スイッチング時間tu,tv,twに基づいて、第一の電圧ベクトルの期間幅tp1と、第一の電圧ベクトルの期間が終了してから制御周期が終わるまでの時間tq1と、第二の電圧ベクトルの期間幅tp2と、第二の電圧ベクトルの期間が終了してから制御周期が終わるまでの時間tq2と、を演算する。図6にこれらスイッチング時間tu,tv,twと各電圧ベクトルの期間幅tp1,tq1,tp2,tq2との関係を示す。パルス幅演算手段204は、これらのtp1〜tq2を電流積算手段(3−1)230と、電流積算手段(3−2)240と、に供給している。
電流積算手段(3−1)230は、図7に示すように、パラメータ行列演算手段231、パラメータ行列演算手段232、パラメータ行列演算手段233、電流積算手段234、電流積算手段235.パラメータ行列演算手段236、パラメータ行列演算手段237、電流積算手段238、記憶手段239を備える。なお、電流積算手段(3−2)240は、電流積算手段(3−1)230と入力がパルス幅演算手段204の電圧ベクトルの期間幅tp1,tq1から、パルス幅演算手段204の電圧ベクトルの期間幅tp2,tq2となっているだけで、同様の動作をする。
以下の説明では、電流積算手段(3−2)240も共通の動作を行うので、入力の変数tp1,tp2をtpで、入力の変数tq1,tq2をtqで、それぞれ読み変えて説明を行う。
パラメータ行列演算手段231は、式14のように演算を行い、行列Cをパラメータ行列演算手段232、パラメータ行列演算手段233.電流積算手段234に供給している。
式14
また、パラメータ行列演算手段232は、式15のように演算を行い、行列eCtpを電流積算手段234及び電流積算手段235に入力している。
式15
パラメータ行列演算手段233は、式16の演算を行っている。行列Fは、電流積算手段234に供給される。
式16
電流積算手段234は、行列F,C,eCtpを入力として、式17の演算を行い、電流の平均値iMavevs1,iTavevs1を算出している。
式17
ただし、Edcはインバータの直流電圧に対応ずる値、φはMT軸座標系からみた電圧ベクトルが出力された時の電圧位相角とする。
パラメータ行列演算手段236は、パルス幅演算手段の出力tqと行列Aとを入力とし、式18のように演算を行い、行列Gを出力する。
式18
電流積算手段235は、式19のように演算を行い電流の平均値iMavevs2,iTavevs2を求めている。
式19
パラメータ行列演算手段237は、パルス幅演算手段の出力tqと行列Aとを入力とし、式20のように演算を行い、行列Hを出力する。
式20
電流積算手段238は、式21に示す演算によって、電流の平均値iMavevs3,iTavevs3を求めている。
式21
式21は、電圧ベクトルがOFFとなった後の電流の予測値の平均値であるが、次の制御周期が開始し、さらに終了するまでの1周期の間、電圧ベクトルの影響によって流れる電流を積算している。この値は、記憶手段239に記憶される。
なお、図8に積分対象としている期間を示す。図8において、図8(A)の上段は第1の電圧ベクトルの波形図、下段は第一の積分値及び第二の積分値として平均値を求める区間と第一の電圧ベクトルの影響で流れる電流との関係を示すイメージ波形図を示す。図8(B)の上段は第2の電圧ベクトルの波形図、下段は第三の積分値及び第四の積分値として平均値を求める区間と第二の電圧ベクトルの影響で流れる電流との関係を示すイメージ波形図を示す。また、図8(C)は第五の積分値として平均値を求める区間と現在検出した電流の影響でさらに流れる電流を示すイメージ波形図、図8(D)は第六の積分値として平均値を求める区間と現在検出した誘起電圧の影響でさらに流れる電流を示すイメージ波形図、図8(E)は第1の電圧ベクトルの波形図と第二の積分値で用いる前回値との関係を示す波形図、図8(F)は第2の電圧ベクトルの波形図と第四の積分値で用いる前回値との関係を示す波形図である。
記憶手段239は、電流積算手段238の出力(平均値iMavevs3,iTavevs3)を記憶しておき、次回の制御周期での演算で用いる。従って、今回の演算で用いる値は、電流積算手段238の前回の制御周期での値である。記憶手段239は、この前回の制御周期の値を、電流の平均値iMavevs4,iTavevs4として出力する。
最後に、式22を演算することにより、外部に出力するiMvs1,iTvs1を演算している。
式22
以上をまとめると、平均電流予測手段200では、
電流積算手段(1)210は、キャリアの開始時点で流れている電流の影響で、次の制御周期で流れる電流の積算値から平均値(平均電流iMaveis,iTaveis)を演算している。
電流積算手段(2)220は、二次磁束による誘起電圧の影響で、次の制御周期で流れる電流の積算値から平均値(平均電流iMaveφ,iTaveφ)を演算している。
電流積算手段(3−1)230は、第一の電圧ベクトルの影響で、次の制御周期で流れる電流の積算値から平均値(平均電流iMvs1,iTvs1)を演算している。
電流積算手段(3−2)240は、第二の電圧ベクトルの影響で流れる電流の積算値から平均値(平均電流iMvs2,iTvs2)を演算している。
このようにして、図3に示すように、各電流が流れる要因ごとの平均電流として、電流積算手段(1)210で求めた平均電流iMaveis,iTaveisと、電流積算手段(2)220で求めたiMaveφ,iTaveφと、電流積算手段(3−1)230で求めたiMvs1,iTvs1と、電流積算手段(3−2)240で求めたiMvs2,iTvs2と、を加算手段250で加算することにより、次の制御周期の開始時点から終了時点までの交流電動機に流れる電流の電流予測平均値iMp2,iTp2を求めている。また、記憶手段260は、その電流予測平均値iMp2,iTp2を記憶し、次の周期でiMp1,iTp1として1つ前の制御周期の演算結果を出力している。従って、iMp1,iTp1は、現在の制御周期から次の演算周期までの電流の予測した平均値に相当する。
次に、平均電流予測手段200は次の周期の開始から終了までの平均電流(平均値)を求める演算に関して説明を行う。式23は、MT軸上の電流の瞬時値の式である。制御区間の始まりをt=0とした場合に、t=ε経過したときの電流iM,iTの値である。なお、式23の右辺の各入力項は、電流の物理量を持つ項から成り立っており、右辺第一入力項は割り込み時の電流、右辺第二入力項は誘起電圧、右辺第三入力項はMT軸電圧である。
式23
ただし、τ:τ=0〜τ=εまでの積分に用いられる変数で時間を表す。
現在の制御周期の始まりで演算した電流、誘起電圧、インバータ電圧から次の周期の開始から終了時点での電流の平均値を求めるには電流iM,iTの瞬時値の関数を次の制御区間について積分した式24を演算する必要がある。
式24
ただし、VMkは現在の制御周期で出力されるM軸電圧の時間に関する関数、VMk+1は次の制御周期で出力されるM軸電圧の時間に関する関数、Vtkは現在の制御周期で出力されるT軸電圧の時間に関する関数、VTk+1は次の制御周期で出力されるT軸電圧の時間に関する関数である。
式24の中で、右辺第一項の積分結果と、右辺第二項の積分結果とは、前述の式7、式11に対応する。また、電流積算手段の前回値を用いることで、電流積算手段(1)210と電流積算手段(2)220とでは、演算量を減らしつつ、同様な演算結果を得ている。
右辺第四項は、積分区間が次の1制御周期となっており、積分に使用される電圧の関数も次の積分区間の関数となっており、全体的な積分区間が1制御分移動したのみで、上述した特許文献1に示される式16の右辺第三項の積分結果と同じ結果となる。
本実施の形態においては、次の制御周期の始まり時点での電流は不明であるので、特許文献1の場合とは異なり、平均電流を求める対象の制御区間の前で出力された電圧ベクトルの影響を考慮する必要がある。そのために、右辺第三項が必要となる。
右辺第三項は、現在の制御周期で出力された電圧指令値vd *,vq *の影響で、次の制御区間の開始から終了までの期間に流れる電流の予測値の平均値である。積分区間の期間では、すでに電圧ベクトルがOFFしている。そこで、電圧ベクトルがOFFしてからの積分を考える。パルス幅tで、出力されたときの電圧位相角がφの電圧ベクトルがOFFする時点での電圧ベクトルの影響で流れた電流は式25で表される。
式25
ただし、iM0,iT0は電圧ベクトルの影響で交流電動機に流れる電流の電圧ベクトルがOFFする時点での瞬時値である。従って、この電圧ベクトルの影響で次の周期に流れる電流の平均値は式26のように求められる。
式26
式26の結果は、式20を式21に代入したものに等しいことが分かる。また、本実施の形態では、この右辺第三項に当たる電流の平均値は、記憶手段239に保存しておき、次の周期で前回値として用いている。
平均電流予測手段200は、以上の処理によって求めた現在の制御周期から次の演算周期までの電流予測平均値iMp1,iTp1と次の制御周期の開始時点から終了時点までの電流予測平均値iMp2,iTp2を電圧軸dq軸座標変換手段160に渡す。
次に、電圧軸dq軸座標変換手段160の説明を行う。電圧軸dq軸座標変換手段160は、MT軸からdq軸への座標変換を行い、平均電流予測手段200が出力するiMp1,iTp1をdq軸の平均予測電流idp1,iqp1に、imp2,iTp2をdq軸の平均予測電流idp2,iqp2にそれぞれ変換する。具体的には,式4の逆回転座標変換を用いて変換を行う。
また,得られた平均予測電流idp2,iqp2を電流制御手段100に供給し、平均予測電流idp1,iqp1を電流指令値補償手段170に入力する。
本実施の形態では、次の周期の開始から終了までの期間の電流予測値の平均値idp2,iqp2を電流制御手段100に入力し、また電流制御手段100では、この電流の値によって漏れインダクタンスでの電圧降下に相当する値を生成している。このため、制御遅れの影響を受け難くすることができる。
電流指令値補償手段170には、電圧軸dq軸座標変換手段160によって座標変換したMT軸の平均予測電流iMp,iTpに対するdq軸の平均予測電流idp,iqpのうちd軸平均予測電流idpが入力される。また、電流指令値補償手段170には、検出電流平均化手段180が出力している平均d軸電流(1)idave1と、平均d軸電流(2)idave2と、電流指令値作成手段70から出力されたd軸電流指令値id *と、が入力される。電流指令値補償手段170は、補償用電流id 'を電流制御手段100と速度推定器120とに出力する。
このように、インバータの一次周波数とキャリア周波数とが近い場合に、直接的に次の周期の開始から終了までの電流の平均値を予測する手段を提供する。また、予測した電流を用いて非干渉項を補償する。
すなわち、本発明の交流電動機の制御装置にあっては、三相の交流電流を検出する電流検出手段40と、交流電動機50に可変電圧可変周波数の交流電圧を与えるインバータ20と、直流中間電圧を検出する直流中間電圧検出手段30と、三相の交流電流を回転二軸(dq軸)に変換する二相三相座標変換手段110と、電流指令値作成手段70と、モータ軸束を推定する磁束推定手段80と、電流指令値iq *,id *と電流検出値の差分から電圧指令値vd *,vq *を作成する電流制御手段100と、電圧指令値vd *,vq *のdq軸の値から三相の電圧指令値(三相インバータ電圧指令値)を算出する二相三相座標変換手段110と、電圧指令値の座標変換手段により、次の制御周期の開始時点の電圧位相角に基づいた三相の電圧指令値を演算する二相三相座標変換手段(2)112と、三相の電圧指令値から各相のパルス電圧がオンオフする時間に基づいて演算した1制御区間内で出力されるゼロ電圧ベクトルでない第一の電圧ベクトルによって交流電動機に流れる電流の第一の電圧ベクトルが出力されてから次回の制御区間の終了時点までの第一の積分値を算出する電流積算手段(3−1)230と、次回の制御区間の終了時点から次々回の制御区間の終了時点までの第二の積分値を算出する電流積算手段238と、第二の電圧ベクトルによって交流電動機に流れる電流の第二の電圧ベクトルが出力されてから次回の制御区間の終了時点までの第三の積分値を算出する電流積算手段(3−2)240と、次回の制御区間の終了時点から次々回の制御区間の終了時点までの第四の積分値を算出する電流積算手段(3−2)240と、第二の積分値と第四の積分値とを記憶する記憶手段(239)と、今回の制御割り込みで検出された電流値id(k),iq(k)によって交流電動機に流れる電流の次回の制御周期開始時点から終了時点までの第五の積分値を算出する電流積算手段(1)210と、今回の制御周期での誘起電圧によって交流電動機に流れる電流の次回の制御周期開始時点から終了時点までの第六の積分値を算出する電流積算手段(2)220と、を備え、記憶手段239に記憶された前回の制御周期で求めた第二の積分値と第四の積分値と、今回の制御周期で求めた第一の積分値と第三の積分値と第五の積分値と第六の積分値とを加算し、この結果をもとに次回の制御周期の開始時点から終了時点までの交流電動機50に流れる電流のdq軸における予測平均値(idp2,iqp2)を算出して電流制御手段100に入力する。
これにより、漏れインダクタンスでの電圧降下分を演算するための理想的な電流を遅れることなく算出することが可能となった。
また、第二の積分値及び第四の積分値を算出する電流積算手段238は、第一の電圧ベクトルの出力及び第二の電圧ベクトルの出力が終了してから、次の制御周期が開始し、かつ、終了するまでの1周期の間で電圧ベクトルの影響により交流電動機50に流れる電流の任意時刻電流の瞬時値を連続的に積分した結果に基づくこととすることにより、次の周期での前回値として容易に利用することが可能となり、サンプリングができなかった際の対応を可能とすることができる。
さらに、平均電流予測手段200は、次回の制御周期の開始時点から終了時点までの交流電動機50に流れる電流の予測平均値iMp2,iTp2を記憶する記憶手段260を備え、記憶手段260により前回の制御周期で求めた電流の予測平均値iMp1,iTp1により、電流補償信号を算出して電流制御手段100に入力することにより、前回値が現在の制御割り込みの開始から終了までの電流平均値に相当するため、リップルの悪影響を受け難くすることができる。
しかも、電流制御手段100は、次回の制御周期の開始移転から終了時点までの交流電動機50に流れる電流の予測平均値を用いて、交流電動機50のインダクタンスでの電圧降下分を演算し、電圧指令値vd *,vq *を作成することにより、制御遅れの影響を受け難くすることができる。
なお、上述した実施形態は本発明の交流電動機の制御装置における好適な具体例であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実現することができる。また、本実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、かつ、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能である。たとえば、平均電流予測手段200は、電圧軸dq軸座標変換手段160やdq軸電圧軸座標変換手段150と一体で実現しても良いし、さらに、二相三相座標変換手段(2)112や電圧指令値補償手段111と一体で実現しても良い。
10 直流電源
20 インバータ(電力変換装置)
30 直流中間電圧検出手段
40 電流検出手段
50 交流電動機
60 キャリア信号発生手段
70 電流指令値作成手段
80 磁束推定手段
90 周波数作成手段
100 電流制御手段
110 二相三相座標変換手段(座標変換手段)
112 二相三相座標変換手段(2)
120 速度推定器
130 積分器
140 三相二相座標変換手段
150 dq軸電圧軸座標変換手段
160 電圧軸dq軸座標変換手段
170 電流指令値補償手段
180 検出電流平均化手段
200 平均電流予測手段
210 電流積算手段(1)
220 電流積算手段(2)
230 電流積算手段(3−1)
238 電流積算手段
212,222,239,260 記憶手段
240 電流積算手段(3−2)

Claims (4)

  1. 電圧指令値に基づいて、直流を可変電圧可変周波数の三相交流を生成して交流電動機に供給する電力変換装置と、
    前記直流の電圧値を検出する直流中間電圧検出手段と、
    前記三相交流の電流値を検出する電流検出手段と、
    前記電流検出手段で検出した前記三相交流の電流値から回転二軸(dq軸)における電流値を算出する三相二相座標変換手段と、
    回転二軸における電流指令値を作成する電流指令値作成手段と、
    当該電流指令値と前記電流検出値との差分に基づいて回転二軸における電圧指令値を生成する電流制御手段と、
    当該回転二軸における電圧指令値から三相の前記電圧指令値を算出し、前記電力変換装置へ出力する第1の二相三相座標変換手段と、
    を有する交流電動機の制御装置であって、
    次回の制御周期の開始時点の電圧位相角と前記回転二軸における電圧指令値に基づいて三相各相の電圧パルスのオンオフ時間を算出する第2の二相三相座標変換手段と、
    前記三相二相座標変換手段で算出した前記回転二軸における電流値と前記第2の二相三相座標変換手段で算出した各相の電圧パルスのオンオフ時間に基づいて、次回の制御周期の開始時点から終了時点までの前記交流電動機に流れる電流の予測平均値を算出する平均電流予測手段と、を有する交流電動機の制御装置であって、
    前記平均電流予測手段は、
    前記各相の電圧パルスのオンオフ時間に基づいて演算した1制御周期内で出力される、ゼロ電圧ベクトルでない2種類の電圧ベクトルのうち第一の電圧ベクトルによって前記交流電動機に流れる電流の前記第一の電圧ベクトルが出力されてから次回の制御周期の終了時点までの第一の積分値を算出する手段と、
    前記第一の電圧ベクトルによって前記交流電動機に流れる電流の次回の制御周期の終了時点から次々回の制御周期の終了時点までの第二の積分値を算出する手段と、
    前記2種類の電圧ベクトルのうち第二の電圧ベクトルによって前記交流電動機に流れる電流の第二の電圧ベクトルが出力されてから次回の制御周期の終了時点までの第三の積分値を算出する手段と、
    前記第二の電圧ベクトルによって前記交流電動機に流れる電流の次回の制御周期の終了時点から次々回の制御周期の終了時点までの第四の積分値を算出する手段と、
    前記第二の積分値と前記第四の積分値とを記憶する記憶手段と、
    今回の制御周期におけるサンプリングで検出された電流値によって前記交流電動機に流れる電流の次回の制御周期開始時点から終了時点までの第五の積分値を算出する手段と、
    今回の制御周期での誘起電圧によって前記交流電動機に流れる電流の次回の制御周期開始時点から終了時点までの第六の積分値を算出する手段と、
    を備え、
    前記記憶手段に記憶された前回の制御周期で求めた前記第二の積分値と前記第四の積分値と、今回の制御周期で求めた前記第一の積分値と前記第三の積分値と前記第五の積分値と前記第六の積分値とを加算して、次回の制御周期の開始時点から終了時点までの前記交流電動機に流れる電流の予測平均値を算出し、
    前記電流制御手段は、さらに前記予測平均値を用いて前記電圧指令値を生成することを特徴とする交流電動機の制御装置。
  2. 請求項1に記載の交流電動機の制御装置において、
    前記第二の積分値を算出する手段及び前記第四の積分値を算出する手段は、それぞれ前記第一の電圧ベクトルの出力及び前記第二の電圧ベクトルの出力が終了してから、次の制御周期が開始し、かつ、終了するまでの1周期の間で前記電圧ベクトルの影響により前記交流電動機に流れる電流の任意時刻電流の瞬時値を連続的に積分した結果に基いて積分値を算出することを特徴とする交流電動機の制御装置。
  3. 請求項1又は2に記載の交流電動機の制御装置において、
    前記平均電流予測手段は、さらに、
    次回の制御周期の開始時点から終了時点までの前記交流電動機に流れる電流の予測平均値を記憶する手段を備え、
    前記記憶手段により前回の制御周期で求めた電流の予測平均値により、電流補償信号を算出し、前記電流制御手段に入力することを特徴とする交流電動機の制御装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の交流電動機の制御装置において、
    前記電流制御手段は、次回の制御周期の開始移転から終了時点までの前記交流電動機に流れる電流の予測平均値を用いて、前記交流電動機のインダクタンスでの電圧降下分を演算し、当該電圧降下分を用いて前記電圧指令値を生成することを特徴とする交流電動機の制御装置。
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